JP4927290B2 - 変異イオンチャンネルタンパク質を含んで成るウイルス - Google Patents
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Description
関連出願に対するクロスリファレンス
この出願は、2000年4月14日に出願された米国特許出願番号第60/197,209号の一部継続出願である。
【0002】
政府の権利の主張
本発明は、アメリカ合衆国政府の助成金(国立アレルギー感染病研究所からの助成金AI-29599, AI-42774及びAI-44386)によってなされた。当該政府は、本発明における一部の権利を有するものと思われる。
【0003】
本発明の背景
細胞膜は、様々なタンパク質が埋め込まれている、脂質分子の二重層から成る。その疎水性の内装により、細胞膜の脂質二重層は、多くの極性分子が通過する障壁としての役割を果たし、そしてそれ故に細胞の生存にとって必須である。細胞又は細胞内区画の内側への、又は外側への小さな水溶性分子の輸送を容易にするために、前記膜は担体タンパク質又はチャンネルタンパク質を有する。イオンチャンネルは、多くの細胞機能にとって必須であり、これには筋細胞の電気的な興奮性及び神経系における電気的なシグナル伝達を含む(Alberts et al., 1994によって概説された)。それらは全ての動物細胞及び植物細胞、並びに微生物において存在するだけでなく、ウイルスにおいても同定されており(Ewart et al., 1996;Piller et al., 1996;Pinto et al., 1992;Schubert et al., 1996;Surgrue et al., 1990;Sunstrom et al., 1996)、この中でそれらはウイルスの生活環における重要な役割を果たしていると考えられている。
【0004】
A型インフルエンザウイルスは、核タンパク質(NP)によってキャプシド形成された8つのRNAセグメントでエンベロープ形成された(−)鎖のウイルスである(Lamb及びKrugによって1996年に概説された)。ウイルスの膜は3つのタンパク質:赤血球凝集素(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、及びM2、が貫通している。HA及びNAの細胞外ドメイン(外部ドメイン)は極めて可変性であり、一方、M2の外部ドメインはA型インフルエンザウイルス間で本質的に不変である。ウイルスの生活環は、一般的に、細胞表面受容体に対する付着、細胞内への侵入及びウイルス核酸のアンコーティング、それに続く細胞の内側でのウイルス遺伝子の複製、を含む。ウイルスタンパク質及び遺伝子の新たなコピーの合成の後に、これらの構成成分は子孫ウイルス粒子へと組み立てられ、これらはその後細胞から出ていく(Roizman及びPaleseによって1996年に概説された)。異なるウイルスタンパク質が、これらの段階の各々で役割を果たしている。A型インフルエンザウイルスにおいて、イオンチャンネル活性を有するM2タンパク質(Pino et al., 1992)は、宿主細胞の透過とウイルスRNAのアンコーティングの間の、ウイルスの生活環における初期状態で機能すると考えられている(Martin and Helenius, 1991;Heleniusによって1992年に概説されたもの;Surgrue et al., 1990)。一旦ビリオンがエンドサイトーシスを経験すると、ビリオンに付随するM2イオンチャンネルである、ホモ四量体のへリックスの束が、酸不安定性のM1タンパク質−リボ核タンパク質複合体(RNP)の相互作用を分断し、それによって細胞質へのRNPの放出を促進するように、エンドソームからビリオンの内側にプロトンを流入させると考えられている(Heleniusによって1992年に概説された)。更に、HAが細胞内で開裂されるいくつかのインフルエンザ菌株の中でも(例えば、A/fowl plagues/Rostock/34)、M2のイオンチャンネルは、トランスゴルジ網のpHを上昇させ、この画分における低pHの条件に起因する高次構造の変化を防ぐと考えられている(Hay et al., 1985;Ohuchi et al., 1994;Takeuchi and Lamb, 1994)。
【0005】
M2タンパク質がイオンチャンネル活性を有するという証拠は、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の卵母細胞において当該タンパク質を発現させ、そして膜電流を測定することによって得られた(Pinto et al., 1992;Wang et al., 1993;Holsinger et al., 1994)。M2タンパク質の膜貫通(TM)ドメインにおける特異的な変化は、当該チャンネルの動力学及びイオン選択性を変え、M2 TMドメインがイオンチャンネルの細孔を構成しているという強力な証拠を提示した(Holsinger, et al., 1994)。事実、M2のTMドメイン自身が、イオンチャンネルとして機能しうる(Duff and Ashley, 1992)。M2タンパク質のイオンチャンネル活性が、インフルエンザウイルスの生活環において必須であると考えられているのは、M2イオンチャンネル活性をブロックする塩酸アマンタジンが(Hay et al., 1978)、ウイルスの複製を阻害するためである(Kato and Eggers, 1969;Skehel et al., 1978)。しかしながら、A型インフルエンザウイルスの複製におけるこの活性についての必要性は、直接的には証明されていなかった。
【0006】
一般的に、インフルエンザのワクチンは、高い力価で増殖し得る、生弱毒ワクチン又は死滅したウイルスから調製されてきた。生ウイルスワクチンは、免疫系を全ての局面で活性化し、そして防御抗原のそれぞれに対する免疫応答を刺激し、不活性化ワクチンの調製において起こり得る防御抗原の選択的な破壊における困難性を除いている。また、生ウイルスワクチンによって生まれた免疫性は、不活性化ワクチンによって誘導されるものよりも通常より長持ちし、より効果的であり、そしてより交差反応性がある。更に、生ウイルスワクチンは、不活性化ウイルスワクチンよりも製造するのにあまり費用がかからない。しかしながら、弱毒ウイルスにおける変異ははっきりしていない。
【0007】
この様に、必要なのは、ワクチンのための組換え弱毒インフルエンザウイルス、例えば、確定した変異を有する弱毒ウイルス、を調製するための方法である。
【0008】
本発明の要約
本発明は、変異イオンチャンネルタンパク質を含んで成る、単離され、且つ精製された組換えウイルスであって、相当する野生型のイオンチャンネルタンパク質の活性と比較して、イオンチャンネル活性を欠いているか、又はそれよりも低下している変異イオンチャンネルタンパク質を含んで成るウイルス、を提供する。イオンチャンネルタンパク質の活性は、当業界で周知の方法によって測定されることがあり、例えばHolsinger et al. (1994) を参照のこと。本発明の組換えウイルスはin vitroで複製するが、in vivoで弱毒化される。好ましくは、当該ウイルスは、組換えオルソミクソウイルス、例えば組換えインフルエンザウイルス、又は組換えレンチウイルス、例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)、である。更に好ましくは、変異イオンチャンネルタンパク質は、変異イオンチャンネルタンパク質である。本発明の1つの態様において、変異イオンチャンネルタンパク質は、相当する野生型のイオンチャンネルタンパク質と比較して、少なくとも1つのアミノ酸の置換を含んで成る。当該イオンチャンネルタンパク質における当該置換は、外部ドメイン、TMドメイン、又は細胞質ドメイン、あるいはそれらの任意な組み合わせにおいて位置づけられることがある。好ましい置換は、イオンチャンネルタンパク質のTMドメインの中、又はその付近にある。例えば、A型インフルエンザウイルスの場合、置換はM2の残基25〜43、すなわちTMドメインにあってもよく、そして好ましくはM2のTMドメインの、27、30、31、34、38、及び/又は41位にある。本発明の別の態様において、変異イオンチャンネルタンパク質は、外部ドメイン、TMドメイン、細胞質ドメイン、又はそれらの任意な組み合わせの少なくとも一部に欠失を含んで成る。好ましくは、当該欠失はTMの中、又はその付近にある。本発明の更に別の態様において、変異イオンチャンネルは、イオンチャンネルタンパク質の一部、例えばウイルスのイオンチャンネルタンパク質の外部ドメイン及び/又は細胞質ドメイン、並びに異種タンパク質、例えば異種タンパク質のTMドメインを含んで成るキメラタンパク質である。更に本発明の範囲内のものとして、少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失、挿入、異種タンパク質の機能的部分、例えば、TM部分の様な構造を提供し、又は完全長の異種タンパク質の相当する部分と同一の活性、例えばリガンドに結合する、触媒活性、を有する部分、又は検出可能な表現型を有する他のもの、あるいはそれらの組み合わせを含んで成る変異イオンチャンネルタンパク質を含んで成る組換えウイルスである。
【0009】
後述する様に、欠損したM2イオンチャンネル活性を有する組換えA型インフルエンザウイルスは、逆遺伝学系を用いて調製した(例1及びNeumann et al., 1999を参照のこと)。思いがけないことに、全てのM2イオンチャンネル変異体が、野生型がin vitroでするのと同じ効率で複製したが、それらの増殖はマウスにおいて弱められた。キメラタンパク質、例えば、M2のTMドメインがHA又はNA由来のTMドメインによって置換されたキメラタンパク質、である変異M2イオンチャンネルタンパク質を含んで成る組換えウイルスも調製した。これらの組換えウイルスは、組織培養において良好に複製したが、マウスにおいて高度に弱毒化された。この様に、M2イオンチャンネル活性は、A型インフルエンザウイルスの生活環に必須ではない。むしろ、例えばin vivoにおけるウイルスの複製を促進し得る補助機能を果たすと思われる。M2の外部ドメイン及びB型肝炎のコアタンパク質を含む融合タンパク質から自発的に形成した、E.コリ(E.coli)由来の粒子のマウスに対する投与が、致死ウイルスの曝露に対して90〜100%の防御をもたらし(Neirynck et al., 1999 )、そして低温に適合した生ワクチンがヒトに有効であるということを考えると、in vitroではなくin vivoでの変異M2イオンチャンネルウイルスの弱められた増殖は、これらの変異ウイルスが生インフルエンザワクチンの開発に有用であろうことを示している。この様に、本発明は更に、本発明の組換えウイルスを含んで成るワクチン又は免疫原性組成物、及び脊椎動物を免疫化し、又は脊椎動物の免疫応答を誘導するために、それぞれ当該ワクチン又は免疫原性組成物を使用する方法、を提供する。
【0010】
更に提供するものとして、相当する野生型イオンチャンネルタンパク質と比較して、活性を欠き、又はそれより低い活性を有する変異イオンチャンネルタンパク質を含んで成る組換えインフルエンザウイルスを調製する方法がある。当該方法は、組換えウイルスが生成する様に、変異イオンチャンネルタンパク質を含んで成るベクターを含む、多数のインフルエンザベクターを含んで成る組成物と、宿主細胞を接触させることを含んで成る。例えば、A型インフルエンザの場合、当該組成物は:a)転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのPA cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのPB1 cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのPB2 cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのHA cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのNP cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのNA cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのM cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、及び転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのNS cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、から選択される少なくとも2つのベクター(ここで、M cDNAは、変異イオンチャンネルタンパク質のDNAを含んで成る);及び
b)インフルエンザウイルスのPAをコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのPB1をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのPB2をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのNPをコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのHAをコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのNAをコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのM1をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、イオンチャンネルタンパク質、好ましくは変異イオンチャンネルタンパク質をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、及びインフルエンザウイルスのNS2をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクターを含んで成る。好ましくは、a)又はb)のベクターにおける変異イオンチャンネルタンパク質は、変異M2イオンチャンネルタンパク質、例えば少なくとも1)のアミノ酸置換、欠失、挿入、又は異種配列を有するものであって、相当する野生型のM2イオンチャンネルタンパク質の活性と比較して、イオンチャンネル活性を欠くか、又はそれよりも低いイオンチャンネル活性を有するもの、である。本発明は更に、上述の様な組成物、及び、例えば感染性のウイルスを生成せしめる様な、前記組成物と接触した宿主細胞、を提供する。あるいは、当該宿主細胞は、各ベクター、又はベクター群の一部と順次接触され得る。
【0011】
本発明はまた、例えば膜貫通ドメインを有するインフルエンザタンパク質由来の、異種膜貫通タンパク質と連結し、好ましくは細胞質ドメインと連結したインフルエンザウイルスのイオンチャンネルタンパク質の外部ドメインを含んで成るキメラタンパク質をコードするベクターを提供する。
【0012】
本発明の詳細な説明
定義
本明細書で使用する場合、用語「単離され、そして/あるいは精製され」は、本発明のベクター、プラスミド又はウイルスのin vitroでの調製、単離及び/又は精製であって、その結果、それがin vivoの物質を伴わず、又は実質的にin vitroの物質から精製されること、を言及する。本発明の単離されたウイルス調製物は、通常in vitroでの培養及び増殖によって得られ、そして他の感染性物質を実質的に含まない。本明細書で使用する場合、「実質的に含まない」は、特定の感染性物質のための、その物質についての標準的な検出方法を用いる検出のレベル未満であることを意味する。「組換え」ウイルスは、例えば、ウイルスゲノムに対して変化を導入するための組換えDNA技術を用いて、in vitroで操作されたものである。
【0013】
本明細書で使用する場合、「組換え核酸」又は「組換えDNA配列又はセグメント」は、供給源から誘導され、又は単離され、続いてin vitroで化学的に変化させられることがあり、その結果、その配列が天然のものではなく、又は天然のゲノム内に配置した場合に配置されない天然配列に相当する核酸、例えばDNAを言及する。供給源から「誘導される」DNAの例は、有用なフラグメントとして同定され、そして次に本質的に純粋な形態で化学的に合成されるDNA配列である。供給源から「単離される」その様なDNAの例は、化学的手段によって、例えば制限エンドヌクレアーゼの使用によって、前記供給源から切り出され、又は除去され、その結果、本発明における使用のために、遺伝子操作の方法論によって更に操作され、例えば増幅され得る様な、有用なDNA配列である。
【0014】
オルソミクソウイルス
A型インフルエンザウイルス
A型インフルエンザウイルスは、合計10個のタンパク質をコードする8個の一本鎖の(−)鎖(negative−sense)のウイルスRNA(vRNA)のゲノムを有する。インフルエンザウイルスの生活環は、宿主細胞の表面上のサリチル酸含有受容体に対するHAの結合から始まり、これに受容体媒介型のエンドサイト−シスが続く。後期エンドソームにおける低いpHは、HAの高次構造の変化を引き起こし、それによってHA2サブユニットのN末端(いわゆる融合ペプチド)を表面に曝す。融合ペプチドは、ウイルスの膜とエンドソームの膜との融合を開始し、そしてマトリックスタンパク質(M1)及びRNP複合体が細胞質に放出される。RNPは、vRNAに対してキャプシド形成する核タンパク質(NP)、及び、PA、PB1、及びPB2タンパク質によって形成されるウイルスポリメラーゼ複合体、から成る。RNPは核に輸送され、ここで、転写及び複製が行われる。RNAポリメラーゼ複合体は、3つの異なる反応:5′キャップ及び3′ポリA構造を有するmRNAの合成、完全長の相補RNA(cRNA)の合成、及び鋳型としてcDNAを用いるゲノムvRNNの合成、から成る。新規に合成されたvRNA、NP及びポリメラーゼタンパク質は、続いてRNPへと構築され、核から輸出され、そして原形質膜に輸送され、ここで子孫ウイルス粒子の発芽が起こる。ノイラミニダーゼ(NA)タンパク質は、シアリルオリゴ糖からシアリル酸を除去し、それによって細胞表面から新規に構築されたビリオンを放出し、そしてウイルス粒子の自己集合を防ぐことによって、感染後期における必須の役割を果たしている。ウイルスの構築はタンパク質−タンパク質の相互作用及びタンパク質−vRNAの相互作用を伴うが、これらの相互作用の性質はほとんど知られていない。
【0015】
B型及びC型のインフルエンザウイルスは、構造的且つ機能的にA型インフルエンザウイルスに類似しているが、多少の差異がある。例えば、B型インフルエンザウイルスは、イオンチャンネル活性を有するM2タンパク質を有していない。その代わりとして、NA遺伝子の生成物であるNBタンパク質がおそらくイオンチャンネル活性を有し、そしてその結果A型インフルエンザウイルスのM2タンパク質と類似の機能を有する。同様に、C型インフルエンザウイルスは、イオンチャンネル活性を有するM2タンパク質を有していない。しかしながら、CM1タンパク質がこの活性を有するようである。
【0016】
トゴトウイルス
トゴトウイルス(THOV)は、オルソミクソウイルス科の新しい属を表している。それらはマダニによって伝染し、そして家畜、例えばラクダ、ヤギ、及びウシにおいて発見されてきた。従って、THOVはマダニ及び脊椎動物の細胞において複製し得る。THOVゲノムは、一本鎖の、(−)鎖RNAの6個のセグメントを含んで成る。3つの最大のセグメントによってコードされるタンパク質は、インフルエンザウイルスのポリメラーゼタンパク質PB2、PB1、及びPAに対して有意な相同性を示す。セグメント5は、インフルエンザウイルスのNPに関連するタンパク質をコードする。セグメント4によってコードされるTHOVの糖タンパク質は、インフルエンザウイルスのHA又はNAのいずれに対しても相同性がないが、バキュロウイルスの糖タンパク質に対しては配列類似性を示す。最小のセグメントはマトリックスタンパク質をコードすると考えられており、そしてインフルエンザウイルスタンパク質のいずれにも似ていない。インフルエンザウイルスの様に、vRNAの3′及び5′の両末端はプロモーター活性のために必要とされ、そしてこの活性は、それぞれvRNAの3′及び5′末端の末端14及び15ヌクレオチドに位置している。
【0017】
THOVのmRNAの合成は、宿主細胞由来のキャップ構造によって刺激される。しかしながら、インフルエンザウイルスと対照的に、キャップ構造のみ(挿入したヌクレオチド無し)が、細胞のmRNAから開裂される(Albo et al., 1996 ; Leahy et al., 1997 ; Weber et al., 1996 )。in vitroでの開裂アッセイは、vRNAの3′及び5′の両末端が、エンドヌクレアーゼ活性のために必要とされるが(Leahy et al., 1998)、モデルcRNAプロモーターの挿入がエンドヌクレアーゼ活性を刺激しないことを、インフルエンザウイルスについて示されていた様に(Cianci et al., 1995 ; Hagen et al., 1994)明らかにした。「フック」構造がTHOVについて提案されており(Leathy et al., 1997 ; Weber et al., 1997)、これはインフルエンザウイルスについて提案されたコークスクリュー構造に類似している(Flick et al., 1996)。cRNAのプロモーター配列は、cRNAの5′末端にある2位と9位の間、及び3位と8位の間における塩基対の形成をさせない。これらのヌクレオチド間で塩基対合させるための3位又は8位における変化はエンドヌクレアーゼ活性を刺激し、これは提案された「フック」構造の強力な補強証拠である(Leahy et al., 1998)。更に、この構造はTHOVの生活環の制御に必須であると思われ;「フック」構造を形成するvRNAプロモーターはPB2のエンドヌクレアーゼ活性を刺激することがあり、それによって転写をせしめる。cRNAのプロモーターは、対照的に「フック」構造を形成しないと思われ、そしてその結果、複製をもたらすエンドヌクレアーゼ活性を刺激することができない様である
【0018】
ブニヤウイルス科
ブニヤウイルス科は、ヒトにおいて出血熱又は脳炎性の熱病(例えば、リフトバレー熱、ハンターン、ラ・クロス、及びクリミアーコンゴの出血熱)を引き起こす複数のウイルスを含む。球状で、且つエンベロープ型のビリオンは、一本鎖で(−)鎖のRNAの3つのセグメントを含む(Elliott によって1997年に概説された)。最大のセグメント(L)はウイルスのRNAポリメラーゼタンパク質(Lタンパク質)をコードし、一方、Mセグメントは、2つのウイルス性糖タンパク質G1及びG2、並びに非構造タンパク質(NSm)をコードする。最小のセグメント(S)は、ヌクレオキャプシドタンパク質(N)及び第二非構造タンパク質(NSs)をコードする。ウイルスの複製及び転写は細胞質で起こり、そして新規に構築されたビリオンはゴルジ体の膜を通過して発芽する。
【0019】
Bridgen及びElliott(1996)は、クローニングしたcDNAに全体が由来する感染性のブニヤンベラウイルスを産生するために逆遺伝学の系を確立した。彼らは、Schnell 等(1994)によって最初に説明された狂犬病ウイルスのための、戦略:ウイルスのポリメラーゼ及び核タンパク質を発現する細胞における、(+)鎖のアンチゲノムRNA((−)鎖のゲノムRNAではない)をコードするcDNAの細胞内転写、に従った。Bridgen及びElliott(1996)は、HeLa T4+細胞を、T7ポリメラーゼを発現するワクシニアウイルスに感染させ、そしてこれらの細胞を、S、M、及びLセグメントによってコードされるタンパク質を発現するプラスミドでトランスフェクションした。彼らは次に、T7ポリメラーゼプロモーターに隣接する完全長のアンチゲノムcDNA及びデルタ型肝炎ウイルスのリボザイムをコードする3つのプラスミドでこれらの細胞をトランスフェクションした。ワクシニアウイルス粒子の数と関連するブニヤウイルス粒子の数を増大させるために、筆者等は、ワクシニアウイルスではなくブニヤンベラウイルスが複製するカの細胞を使用した。このプロトコールは、ブニヤウイルス科を遺伝子操作するだけでなく、異なるブニヤウイルス科の菌株で細胞を同時感染することによって容易に得ることのできない遺伝子交雑(reassortant)ウイルスを産生するために使用され得る。
【0020】
転写及び複製に必要とされるブニヤウイルスのプロモーター因子及びウイルスタンパク質を研究するために、Dunn等(1995)は、ブニヤンベラのS RNAセグメントの、5′と3′の非翻訳領域間の(−)鎖の配向のCAT遺伝子をクローニングした。細胞は、L及びSセグメントによってコードされるタンパク質を発現するコンストラクトでトランスフェクションされ、そして次にin vitroで転写されたRNAでトランスフェクションされ、これによりCAT活性がもたらされた。ブニヤウイルスのSセグメントは、重複するリーディングフレームの2つのタンパク質、N及びNSsをコードしている。これらの両タンパク質が転写及び複製に必要か否かを決定するために、N又はNSsを単独で発現するコンストラクトがCAT活性について試験された。Lタンパク質を伴う、Nタンパク質の発現はCAT活性をもたらしたが、CAT活性はNSsの発現コンストラクトでは検出されなかった。この様に、Lタンパク質及びNタンパク質は、ブニヤウイルス様RNAの転写及び複製にとって十分なものである。
【0021】
インフルエンザウイルスと同様に、ブニヤウイルスのRNAの末端配列は相補性があり、そして高度に保存されている。従って、これらの配列因子はブニヤウイルスのプロモーターを限定し、そしてプロモーター活性に必須であるとみなされている。当該ウイルスRNAの3′末端における5つのヌクレオチドの欠失は、CATの発現を大幅に減少させる(Dunn et al., 1995 )。対照的に、5′末端における2つのヌクレオチド、又は3′末端における11〜35のヌクレオチドの挿入は、CATの発現を無効にはしない(Dunn et al., 1995 )。従って、インフルエンザウイルスのポリメラーゼ複合体の様に、ブニヤウイルスのポリメラーゼタンパク質は、内部での転写及び/又は複製を見かけ上開始させ得る。
【0022】
本発明は、以下の限定しない例によって更に説明される。
【0023】
例1
材料と方法
細胞とウイルス 293Tヒト胚性腎細胞及びMadin−Darbyイヌ腎細胞(MDCK)を、10%ウシ胎児血清を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)及び5%ウシ新生児血清を含む改変イーグル培地(MEM)中でそれぞれ維持した。全ての細胞が5%CO2 で、37℃で維持された。インフルエンザウイルスA/WSN/33(H1N1)及びA/PR/8/34(H1N1)を10日齢の卵で増殖した。
【0024】
プラスミドの構築 RNAポリメラーゼIのコンストラクトを生成するために、A/WSN/33又はA/PR/8/34ウイルスのRNAに由来するクローニングされたcDNAを、RNAポリメラーゼIのプロモーター配列とターミネーター配列との間に導入した。要約すると、クローニングしたcDNAを、BsmBI部位を含むプライマーを用いるPCRによって増幅し、BsmBIで消化し、そして、BsmBI部位によって分離されるヒトRNAポリメラーゼIのプロモーターとマウスRNAポリメラーゼIのターミネーターとを含むpHH21ベクターのBsmBI部位へとクローニングした(図2)。A/WSN/33菌株のPB2、PB1、PA、HA、NP、NA、M、及びNS遺伝子を、以下のプラスミド:pSCWPB2、pGW−PB1、及びpSCWPA(全てカリフォルニア大学ロサンゼルス校のDr. Debi Nayakより入手)、並びにpWH17、pWNP152、pT3WNA15(Castrucci et al., 1992)、pGT3WN、並びにpWNS1の使用によってそれぞれ増幅した。インフルエンザA/PR/8/34ウイルスのPB1遺伝子は、鋳型としてpcDNA774(PB1)(Perez et al., 1998)を用いることによって増幅した。プライマーの配列については図6を参照のこと。遺伝子が不所望の変異を含んでいないことを確認するために、PCR由来のフラグメントは、オートシークエンサー(Applied Biosysten Inc., CA USA)を用いて製造業者によって推奨されるプロトコールに従い配列決定された。A/WSN/33ウイルスのHA、NP、NA、及びM1遺伝子をコードするcDNAを記載通りに(Huddleston et al., 1982)クローニングし、そして真核発現ベクターpCAGGS/MCS(ニワトリβ−アクチンプロモーターによって制御される)(Niwa et al., 1991)にサブクローニングし、pEWSN−HA、pCAGGS−WSN−NP0−14、pCAGGS−WNA−15、及びpCAGGS−WSN−M1−2/1がそれぞれ生成した。A/PR/8/34ウイルス由来のM2及びMS2遺伝子をPCRによって増幅し、そしてpCAGGS/MCS内にサブクローニングした結果、pEP24c及びpCA−NS2が生成した。最後に、pcDNA774(PB1)、pcDNA762(PB2)、及びpcDNA787(PA)が、サイトメガロウイルスプロモーター(Perez et al., 1998)の支配下でPB2、PB1、及びPAタンパク質を発現するために使用された。
【0025】
感染性インフルエンザ粒子の産生 293T細胞(1×106 )を、Trans IT LT−1(Panvera, Madison, Wisconsin )の取扱い説明書に従う使用により、異なる量の最大17個のプラスミドでトランスフェクションした。要約すると、DNAとトランスフェクション試薬を混合し(DNA1μg当たり2μlのTrans IT LT−1)、室温で45分間インキュベートし、そして細胞に加えた。6時間後、DNA−トランスフェクション試薬の混合物は、0.3%ウシ血清アルゴミン及び0.01%ウシ胎児血清を含むOpti−MEM(Gibco/BRL, Gaithersburg, Maryland)と交換された。トランスフェクション後の異なる時点で、ウイルスを上清から収集し、そしてMDCK細胞上で滴定した。ヘルパーウイルスはこの手順に必要とされなかったので、回収したトランスフェクタントウイルスは、プラーク精製無しで解析された。
【0026】
プラスミドをトランスフェクションした、ウイルスを産生する細胞のパーセンテージの決定 トランスフェクションの24時間後、293T細胞は、0.02%EDTAで単細胞に分散された。細胞懸濁液を続いて10倍に希釈し、そして24穴プレート中のコンフルコントなMDCK細胞の単層に移した。ウイルスは赤血球凝集アッセイによって検出した。
【0027】
免疫染色アッセイ インフルエンザウイルスの感染から9時間後、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄し、そして3.7%パラホルムアルデヒド(PBS中)を用いて、室温で20分間固定した。次に、それらを0.1%Triton X−100で処理し、そして Neumann et al (1997) に記載の様に取り扱った。
【0028】
結果
ウイルスRNAセグメント、3つのポリメラーゼサブユニット及びNPタンパク質の、プラスミドに起因する発現による感染性ウイルスの産生 精製したビリオンから抽出したRNPの混合物による細胞のトランスフェクションは感染性のインフルエンザ粒子をもたらすが、このストラテジーは、8個の異なる、in vitroで産生したRNPと一緒に使用した場合、あまり有効ではないようである。cDNAから感染性のインフルエンザウイルスを完全に産生するために、8個のウイルスRNPがin vivoで産生された。次の様に、ヒトRNAポリメラーゼIプロモーターと、マウスRNAポリメラーゼIターミネーターとが隣接する、A/WSN/33ウイルスの完全長ウイルスRNAのcDNAを含むプラスミドが調製された。原則として、これらの8個のプラスミドの、真核細胞内へのトランスフェクションは、全部で8個のインフルエンザvRNAの合成をもたらすはずである。タンパク質発現プラスミドのコトランスフェクションによって産生したPB2、PB1、PA及びNPタンパク質は続いて、複製され、そして転写され、最終的に感染性のインフルエンザウイルスを形成する機能的vRNPにvRNAを構築するはずである(図3)。1×106 個の293T細胞が、タンパク質発現プラスミド(1μgのpcDNA762(PB2)、1μgのpcDNA774(PB1)、0.1μgのpcDNA787(PA)、及び1μgのpCAGGS−WSN−NP0/14)及び1μgの以下のRNAポリメラーゼIプラスミド(pPo1I−WSN−PB2、pPo1I−WSN−PB1、pPo1I−WSN−PA、pPo1I−WSN−HA、pPo1I−WSN−NP、pPo1I−WSN−NA、pPo1I−WSN−M、及びpPo1I−WSN−NS)のいずれかでトランスフェクションした。低量のpcDNA787(PA)を使用する決定は、これまでの観察(Mena et al., 1996 )、及びウイルス様粒子(VLP)の産生のための至適条件上でのデータ(データは示さない)を基にした。293T細胞のトランスフェクションから24時間後、1ml当たり7×103 pfu のウイルスが上清中に見られ(表1の実験1)、プラスミドからA型インフルエンザウイルスを完全に産生する逆遺伝学の可能性を初めて証明した。
【表1】
【0029】
全てのウイルス構造タンパク質の同時発現によるインフルエンザウイルスの産生の効率 ウイルスのNP及びポリメラーゼタンパク質の発現は、インフルエンザウイルスのプラスミドに起因する産生にとって十分であるが、その効率を向上させ得ることも可能であった。これまでの研究において、全てのインフルエンザウイルスの構造タンパク質(PB2、PB1、PA、HA、NP、NA、M1、M2、及びNS2)の発現は、レポーターであるクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子をコードする人工vRNAを含んだVLPをもたらした(Mena et al., 1996 )。この様に、構造タンパク質の完全な補集合体(Complement)の利用は、ウイルスRNAの複製及び転写に必要とされるもののみの代わりに、ウイルス産生の効率を向上させ得る。このために、293T細胞は至適な量のウイルスタンパク質発現プラスミド(VLPの産生によって判断する;非公開データ):1μgのpcDNA762(PB2)及びpcDNA774(PB1);0.1μgのpcDNA787(PA);1μgのpEWSN−HA、pCAGGS−WSN−NP0/14、及びpCAGGS−WNA15;2μgのpCAGGS−WSN−M1−2/1;0.3μgのpCA−NS2;並びに0.03μgのpEP24c(M2用)を、1μgの各RNAポリメラーゼIプラスミド(表1の実験2)と一緒にトランスフェクションした。第2の細胞の集合は、遺伝子交雑ウイルスを産生するために置換されたpPo1I−PR/8/34−PB1のPB1遺伝子を除き、同一のRNAポリメラーゼIプラスミドの集合を、PA、PB1、PB2、及びNPのみを発現するプラスミド(表1の実験3)又は全てのインフルエンザ構造タンパク質を発現するもの(表1の実験4)と一緒にトランスフェクションされた。WSNウイルスの収率は、トランスフェクションから24時間後(表1の実験1及び2)又は36時間後(データは示さない)に目立つほど相違はなかった。しかしながら、全てのインフルエンザウイルスの構造タンパク質を提供した場合に、PR/8/34−PB1を有するウイルスの収率において10倍以上の増大が見られた(表1の実験3及び4)。PA、PB1、PB2、又はNPタンパク質の発現のためのプラスミドの1つを欠くネガティブコントロールは、ウイルスを全く生成しなかった(表1の実験5〜8)。この様に、産生したウイルスに依存して、全てのA型インフルエンザウイルスの構造タンパク質の発現は、逆遺伝学的な方法の効率を向上させた。
【0030】
次に、細胞のトランスフェクション後のウイルス産生の動力学が、A/PR/8/34−PB1遺伝子を有するウイルスを産生するために使用したプラスミドの集合を用いて決定された。3つの実験のうちの2つにおいて、ウイルスはトランスフェクションから24時間後に初めて検出された。この時に測定した103pfu/ml超の力価は、トランスフェクションから48時間後までに106pfu/ml超に増大した(表2)。ウイルスを産生していた、プラスミドをトランスフェクションした細胞のパーセンテージを推定するために、293T細胞は、細胞を分散させるために、トランスフェクションから24時間後にEDTA(0.02%)で処理され、そして次に限界希釈研究が実施された。この実験において、遊離しているウイルスは、この時点での培養上清中には見られなかった。結果は、103.3 個の細胞のうちの1つが感染性のウイルス粒子を産生した。
【表2】
【0031】
NAタンパク質にFLAGエピトープを含むインフルエンザウイルスの回収 A型インフルエンザウイルスのゲノム内に変異の誘導をせしめた新規の逆遺伝学系を証明するために、NAタンパク質中にFLAGエピトープ(Castracci et al., 1992)を含むウイルスが産生された。293T細胞は、NAタンパク質及び、当該タンパク質の頭の下部にあるFLAGエピトープの両方をコードするcDNAを含むRNAポリメラーゼIプラスミド(pPo1I−WSN−NA/FL79)を、必要なRNAポリメラーゼI及びタンパク質の発現プラスミドと一緒にトランスフェクションされた。回収されたウイルス(PR8−WSN−FL79)が実際にNA−FLAGタンパク質を発現しなかったことを確認するために、PR8−WSN−FL79又はA/WSN/33の野生型ウイルスに感染した細胞の免疫染色アッセイを行った。FLAGエピトープに対するモノクローナル抗体はPR8−WSN−FL79に感染した細胞を検出したが、野生型ウイルス感染したものは検出しなかった(図4)。PR8−WSN−FL79ウイルスの回収の効率はタダ無しの野生型ウイルスと同程度であった(データは示さない)。これらの結果は、新規の逆遺伝学系が、A型インフルエンザウイルスのゲノム内に変異を導入せしめることを示唆している。
【0032】
PA遺伝子内に変異を含む感染性インフルエンザウイルスの産生 PA遺伝子内に変異を有するウイルスを産生するために、2つのサイレントな変異が導入されて制限エンドヌクレアーゼのための新規認識配列を生成せしめた(mRNAの846位のBsp120I及び1284位のPvuII)。従来、逆遺伝学によってこの遺伝子を修飾することが不可能であったのは、信頼できる選択の系がなかったためである。トランスフェクタントウイルスであるPA−T846C及びPA−A1284が回収された。回収されたトランスフェクタントウイルスは、2つの継続的な限界希釈によって生物学的にクローニングされた。回収されたウイルスがPA遺伝子内に変異を有する実際のトランスフェクタントであることを証明するために、PA遺伝子のcDNAが逆転写酵素PCRによって得られた。図5に示す様に、PA−T846C及びPA−A1284Cウイルスは、新規に導入された制限部位の存在によって示される様に、PA遺伝子内に予想された変異を有していた。逆転写段階のない、同一のウイルス試料及びプライマーのPCRは、いずれの生成物も生成せず(データは示さない)、このことはPAのcDNAが、当該ウイルスを産生するために使用されたプラスミドの代わりにvRNAから実際に生じたことを示唆している。これらの結果は、変異した遺伝子を有するウイルスが、ヘルパーウイルスの使用無しにどの様に産生され、そして回収され得るかを例示している。
【0033】
考察
本明細書に記載の逆遺伝学の系は、クローニングしたcDNAに完全に由来するA型インフルエンザウイルスを効率的に産生せしめる。Bridgen及びElliott (1996) もブニヤンベラウイルス(ブニヤウイルス科)を産生するために逆遺伝学を使用したが、それはわずかに3つのセグメントの(−)鎖RNAを含み、そしてその産生効率は低く、102pfu/107 細胞であった。ウイルスの収率は実験によって異なったが、インフルエンザウイルスの場合は一貫して103pfu/106 細胞であり、8個のセグメントを含んでいた。上述の逆遺伝学系の高い効率についての複数の説明が存在する。in vitroでRNPを産生する代わりに(Luytjes et al., 1989)、RNPは、RNAポリメラーゼIを用いるvRNAの細胞内合成を介して、そしてウイルスポリメラーゼタンパク質及びNPの、プラスミドに起因する発現を介して、in vivoで産生された。更に、プラスミドで容易にトランスフェクションされる293T細胞の使用は(Goto et al., 1997 )、細胞の多数の群が、ウイルスの産生に必要なプラスミドの全てを受け入れることを保証した。尚、増殖細胞中で最も豊富に発現した酵素の1つであるRNAポリメラーゼIによって産生された転写物の多くが、当該系の全体的な収率に寄与している様であった。これらの特徴は、それに相当して豊富な量のvRNA転写物並びにvRNAのキャプシド形成、核におけるRNPの形成、及び新規ウイルスが構築され、そして放出される細胞膜に対するこれらの複合体の輸出、にとって適当な量のウイルスタンパク質をもたらす。
【0034】
これまでに確立された逆遺伝学系(Enami et al., 1990 ; Neumann et al., 1994 ; Luytjes et al., 1989 ; Pleschka et al., 1996)はヘルパーウイルスの感染を必要とし、そしてそれ故に少数のトランスフェクタントが膨大な数のヘルパーウイルスから回収されることを可能にする選択方法を必要とする。その様なストラテジーは、次のcDNA由来遺伝子:PB2(Subbarao et al., 1993 )、HA(Enami et al., 1991 : Horimoto et al., 1994)、NP(Li et al., 1995)、NA(Enami et al., 1990)、M(Castrucci et al., 1995 ; Yasuda et al., 1994)、及びNS(Enami et al., 1991 )のうちの1つを有するインフルエンザウイルスを産生するために利用されてきた。選択方法の多くは、HA及びNA遺伝子に適用可能なものを除き、増殖温度、宿主範囲の制限、又は薬物感受性に依存し、その結果遺伝子産物の機能解析のための逆遺伝学の有用性を制限している。信頼性のある抗体に起因する選択系が利用可能なHA及びNA遺伝子を用いても、顕著な増殖欠陥を有するウイルスを産生することは困難である。対照的に、本明細書に記載の逆遺伝学系はヘルパーウイルスを必要とせず、そして任意な遺伝子セグメントの変異又は重度の増殖欠陥を有するトランスフェクタントの産生を可能にする。この利点は図5中に示されており、これは変異したPA遺伝子を有するトランスフェクタントウイルスの回収を示している。A型インフルエンザウイルスゲノム内に任意の生存可能な変異を導入するための技術の使用は、ウイルスゲノムの非翻訳領域内の制御配列の性質、ウイルスタンパク質の構造と機能の関係、並びに宿主範囲の制限及びウイルスの病原性の分子基盤、の様な長年の多くの問題に対して研究者が対処することを可能にするだろう。
【0035】
不活性化インフルエンザワクチンが利用可能であるが、局所的IgA及び細胞障害性T細胞の応答を誘発するそれらの限定された能力に部分的に起因して、それらの効率も最適状態には及ばない。現在進行中の低温適合型の生インフルエンザワクチンの臨床試験は、その様なワクチンが最適に弱毒化され、その結果それらがインフルエンザの症候を引き起こさないが、なおも防御免疫を誘導することを示唆している(Keitel及びPiedraによって1998年に概説された)。しかしながら、予備的な結果は、これらの生ウイルスワクチンが最良に不活性化されたワクチンよりも有意に有効ではなく(Keitel及びPiedraによって1998年に概説された)、更なる改良の余地を残していることを示唆している。1つの可能性として、上述の逆遺伝学系を用いて低温適合型ワクチンを修飾することが挙げられる。あるいは、内部タンパク質をコードする遺伝子内に、多数の弱毒化変異を有する「マスター」A型インフルエンザ菌株を産生するために、逆遺伝学を用いることによって最初からやり直すこともできる。本明細書に記載の逆遺伝学系の最も興味をそそる利用は、インフルエンザウイルスの新規なHA又はNAのサブタイプに関係する、疑わしい流行病の場合における弱毒化生ウイルスワクチンの素速い産生にあると思われる。
【0036】
この新規逆遺伝学系は、ワクチンベクターとしてのインフルエンザウイルスの使用を増強する様である。当該ウイルスは、インフルエンザウイルスのタンパク質に加えて、外来タンパク質又は免疫原性エピトープを発現するために操作され得る。例えば、9番目のセグメントとして外来タンパク質を有するウイルスが産生され得ることがあり(Enami et al., 1991)、そしてそれらは生ワクチンとして使用され得る。インフルエンザウイルスは、強力な細胞性免疫及び体液性免疫の応答を刺激するだけでなく、それらは豊富なビリオン表面のHA及びNAタンパク質(例えば、15個のHA及び9個のNAのサブタイプ並びにそれらの流行性変異体)も産生し、同一の標的群の繰り返しの免疫を可能にする。
【0037】
レポーター遺伝子をコードする人工vRNAを有するインフルエンザVLPは、ウイルス構造タンパク質及びvRNAをワクシニア−T7ポリメラーゼ系で発現させることによって産生されてきた(Mena et al., 1996 )。逆遺伝学を用いて、現在はvRNAの転写及び複製に必要なタンパク質(すなわち、PA、PB1、PB2、及びNP)をコードするvRNA、並びに注目のタンパク質をコードするvRNAを含むVLPを産生することもできる。その様なVLPは有用な遺伝子送達担体であることもある。重要なことに、ウイルス構造タンパク質をコードする遺伝子のそれらの欠如は、感染性のウイルスがVLP遺伝子治療後に産生されないことを保証する。インフルエンザウイルスのゲノムが宿主の染色体に組み込まれないので、VLP系は細胞の短期間の伝達のみを必要とする状況での(例えば、ガンの治療のための)遺伝子治療に適している。アデノウイルスベクターと対照的に、インフルエンザVLPはHA及びNA変異体を含むことがあり、これが標的群の繰り返しの処置を可能にする。
【0038】
オルソミクソウイルス科は、A型、B型、及びC型のインフルエンザウイルス、並びに近年分類されたトゴトウイルスを含んで成る。本明細書に記載のクローニングしたcDNAに完全に由来する感染性A型インフルエンザウイルスを産生するためのストラテジーは任意のオルソミクソウイルスに適用され、そして恐らくは他のセグメント化された(−)鎖RNAウイルス(例えば、ブニヤウイルス科、アレナウイルス科)にも同様に適用される。技術的な制限無しにウイルスゲノムを操作する能力は、ウイルスの生活環及びそれらの制限、ウイルスタンパク質の機能及びウイルスの病原性の分子機構の研究についての深遠な意味を有する。
【0039】
例2
材料と方法
細胞とウイルス 293Tヒト胚性腎細胞及びMadin−Darbyイヌ腎細胞(MDCK)を、10%FCSを添加したDMEM及び5%ウシ新生児血清を含むMEM中でそれぞれ維持した。293T細胞系は、シミアンウイルス40T抗原の遺伝子が挿入された293系の誘導体である(DuBridge et al., 1987 )。全ての細胞を5%(O2 中で37℃で維持した。インフルエンザウイルスA/Udorn/307/72(H3N2)(Udorn)を10日齢の卵で増殖した。
【0040】
プラスミドの構築 UdornのウイルスのcDNAは、Katz等によって記述されている様に(1990)、ウイルスRNAの保存された3′末端に相補的なオリゴヌクレオチドを用いるウイルスRNAの逆転写によって合成された。cDNAは、BsmBI部位を含むM遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーを用いるPCRによって増幅され、そしてPCR産物はpT7Bluebluntベクター(Novagen, Madison, WI)内にクローニングされた。生じたコンストラクトは、pTPo1TUdMと表した。BsmBIによる消化後、BsmBI部位によって分離された、ヒトRNAポリメラーゼIのプロモーター及びマウスRNAポリメラーゼIのターミネーターを含むpHH21ベクター(Neumann et al., 1999)のBsmBI部位にフラグメントがクローニングされ、pPo1UdMが生成した。vRNAの発現のための、pHH21由来のプラスミドは、この報告の中で「Po1I」として言及される。
【0041】
M変異体は以下の様に構築した。pTPo1IUdMは、連続的な(back-to-back)プライマーM2104R(5′-AAGAGGGTCACTTGAATCG-3′;配列番号:1)及びM2V27T(5′-ACTGTTGCTGCGAGTATC-3′;配列番号:2)及びM2A30P(5′-GTTGTTGCTCCAACTATC-3′;配列番号:3)及びM2S31N(5′-GTTGTTGCTGCGAACATC-3′;配列番号:4)及びM2del29−31(5′-GTTGTTATCATTGGGATCTTGC-3′;配列番号:5)、並びに連続的なプライマーM2128R(5′-CCCAATGATACTCGCAGC-3′;配列番号:6)及びM2W41A(5′-ATCTTGCACTTGATATTGGCAATTC-3′;配列番号:7)、並びに連続的プライマーM2HATMR(5′-CACCAGTGAACTGGCGACAGTTGAGTAGATCGCCAGAATGTCACTTGAATCGTTGCATCTGC-3′;配列番号:8)及びM2HATM(5′-CTTTTGGTCTCCCTGGGGGCAATCAGTTTCTGGATGGATCGTCTTTTTTTCAAATGC-3′;配列番号:9 )、及びM2NATMR(5′-GCTTAGTATCAATTGTATTCCATTTATGATTGATATCCAAATGCTGTCACTTGAATCGTTGCATCTGC-3′;配列番号:10)及びM2NATM(5′-ATTATAGGAGTCGTAATGTGTATCTCAGGGATTACCATAATAGATCGTCTTTTTTTCAAATGC-3′;配列番号:11 )を用いるインバースPCR(Ochman et al., 1998)によって最初に増幅された。
【0042】
PCR産物は、リン酸化され、セルフライゲーションされ、そしてE.コリの菌株DH5α中で増殖され、そして次にBsmBIで消化され、そしてpHH21ベクターのBsmBI部位にクローニングされた。生じたコンストラクトは、pPo1IM2V27T、pPo1IM2A30P、pPo1IM2S31N、pPo1M2del29−31、pPo1IM2W41A、pPo1M2HATM、及びpPo1IM2NATMと表された。全てのコンストラクトが、不所望の変異が存在しないことを保証するために配列決定された。A/WSN/33(H1N1)ウイルスのHA(pEWSN−HA)、NP(pCAGGS−WSN−NP0/14)、NA(pCAGGS−WNA15)、M1(pCAGGS−WSN−M1−2/1)タンパク質、並びにA/Peurto Rico/8/34(H1N1)ウイルスのM2(pEP24c)、NS2(pCANS2)、PB1(pcDNA774)、PB2(pcDNA762)、及びPA(pcDNA787)の発現のためのプラスミドは、Neumann 等によって1999年に記述されている。
【0043】
プラスミドに起因する逆遺伝学 トランスフェクタントウイルスは、Neumann 等によって1999年に報告されている様に産生された。要約すると、17個のプラスミド(8個のRNAセグメントのための8個のPo1Iコンストラクト及び9個の構造タンパク質のための9個のタンパク質発現コンストラクト)をトランスフェクション試薬(DNA1μg当たり2μlのTrans IT LT−1(Panvera, Madison, WI))と混合し、室温で15分間インキュベートし、そして1×106 個の293T細胞に加えた。6時間後、DNAトランスフェクション試薬混合物を、0.3%BSA及び0.01%FCSを含むOpti−MEM(GIBCO/BRL)と交換した。48時間後、上清中のウイルスをMDCK細胞中で1回プラーク精製し、そして次にストックウイルスの産生のためにMDCK細胞に接腫した。トランスフェクタントウイルスのM遺伝子は、遺伝子の起源及び意図した変異の存在を確認し、そして不所望な変異が存在していないことを保証するために配列決定された。全ての実験において、トランスフェクションウイルスは、UdornウイルスからはM遺伝子のみを、そしてA/WSN/33からは残りの遺伝子を含んでいた。
【0044】
トランスフェクタントウイルスの複製特性 MDCK細胞は、24穴プレートの2つ1組の穴において、細胞当たり0.001プラーク形成単位(PFU)の感染多重度(MOI)で野生型及び変異ウイルスに感染され、1ml当たり0.5μgのトリプシンを含むMEM培地を注がれ、そして37℃でインキュベートされた。異なる時点で、上清はMDCK細胞上でのプラークアッセイにおける感染性ウイルスについてアッセイされた。
【0045】
変異ウイルスのアマンタジン感受性を研究するために、当該ウイルスは、異なる濃度の薬物の存在下で、MDCK細胞中で滴定された。
【0046】
ウイルスへのM2の組み込み トランスフェクタントウイルスは、1ml当たり0.5μgのトリプシンを含むMDCK細胞中で生育した。ウイルスは、50,000g、4℃での2.5時間の6段階のショ糖勾配(20、30、35、40、45、及び50%)を介して精製された。ウイルスはPBS中で再懸濁され、そして一定分量において−80℃で保存された。精製したウイルスは、溶解バッファー(0.6M KCl、50mM Tris−HCl〔pH7.5〕、0.5%Triton X−100)中で再懸濁した。ウイルスの溶解液を15%のSDS−ポリアクリルアミドゲル上で流し、次にこれをポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜に電気的にトランスファーした。当該膜を、5%スキムミルク/PBSを用いて4℃で一晩ブロッキングし、そして次に14C2抗M2モノクローナル抗体(Dr. R. Lamb の好意により提供されたもの)及び抗WSN−NPモノクローナル抗体と一緒に室温で1時間インキュベートした。当該膜は、0.05%Tween−20を含むPBSで3回洗浄した。結合した抗体をVECTASTAIN ABCキット(Vector)及びWestern immunoblot ECL system(Amersham)を用いて検出された。シグナルの強度は、Alpha Imager 2000(Alpha Innotech Corporation)を用いて定量した。
【0047】
実験的感染 イソフランで麻酔した5週齢の雌性のBALB/cマウスを、50μl(5.0×103PFU)のウイルスを用いて経鼻的に感染させた。器官中のウイルスの力価は、既述の様に(Bilsel et al., 1993 )、MDCK細胞の感染から3日後に決定された。
【0048】
結果
M2タンパク質中に変異を含むA型インフルエンザウイルスの産生
M2タンパク質のTMドメインは、αヘリックス構造を有する様にモデリングされる(Dutt et al., 1992 ; Sugrue and Hay, 1991 ; Sansom and Kerr, 1993)。いずれもαヘリックスの同一の面上に位置している残基V−27、A−30、S−31、G−34、及びL−38における変異は、M2イオンチャンネルの特性を変える(Grambas et al., 1992 ; Pinto et al., 1992 ; Wang et al., 1993 )。M2のイオンチャンネル活性がウイルスの複製に必須であるか否かを決定するために、5つのプラスミドを構築し、そしてM2のTMドメインにおいて変化を有する変異ウイルスを産生するために使用する(図7)。アフリカツメガエルの卵母細胞で発現した変異タンパク質の全細胞電流が、Holsinger 等によって(1994)、二電極膜電位固定法(Two-electrode voltage-Clamp procedure)を用いて測定された。3つの変異、すなわちM2A30P、M2W41A、及びM2del29−31のいずれも、中性又は低pHのいずれにおいても機能的なイオンチャンネル活性を有していなかった。低pHでイオンチャンネル活性を示したM2V27T及びM2S31N(Holsinger et al., 1994)は、ポジティブコントロールとして使用した。
【0049】
プラスミドに起因する逆遺伝学(Neumann et al., 1999)によって変異ウイルスを産生するために、293T細胞は、A/Udorn/307/72(H3N2)(Udorn)ウイルス(野生型)由来の、M遺伝子を除き全てのA/WSN/33(H1N1)ウイルス遺伝子をコードしたウイルスRNAセグメントの産生のために、9個のタンパク質発現プラスミド及び8個の他のものでトランスフェクションされた。相当するトランスフェクタントウイルスは、親のUdorn M遺伝子を含むウイルスのために、M2V27T、M2A30P、M2S31N、M2W41A、M2del29−31、及びWSN−UdMと表された。
【0050】
ウイルス産生の効率を決定するために、トランスフェクションから48時間後の293T細胞の培養上清中で、ウイルスはMDCK細胞を用いて滴定された。表3に示す様に、野生型又は変異体のM遺伝子を有する105 超のトランスフェクタントウイルスが存在していた。この様に、M2の変異を担持する全てのウイルス及び野生型のUdorn M遺伝子を保持するウイルスは、同じ効率で産生された。トランスフェクタントウイルスは、一度MDCK細胞でプラーク精製され、そして次にウイルスストックを生成するためにMDCK細胞に接種された。導入された変異の安定性は、MDCK細胞における10回の継代の後に、トランスフェクタントウイルスのM遺伝子セグメントを配列決定することによって解析した。復帰変異体は見られなかった。
【表3】
【0051】
組織培養におけるM2変異ウイルスの増殖特性 次に、MDCK細胞におけるM2イオンチャンネル変異体と野生型WSN−UdMウイルスとの増殖特性が比較された(図8)。細胞は0.001のMOIで感染し、そして培養上清中でのウイルスの収率は、感染後の異なる時点で決定された。変異ウイルスは、増殖速度又は48時間目に形成されたプラークのサイズ(3日で直径1.5mm)のいずれにおいても野生型WSN−UdMウイルスと目につくほどの差異はなかった。
【0052】
これらのウイルスのアマンタジン感受性を評価するために、M2変異体及び野生型WSN−UdMウイルスは、異なる濃度のアマンタジンの存在下で、MDCK細胞内でプラークを形成した。細胞培養において、アマンタジンは、ウイルスの複製に対して2つの別個の濃度依存性阻害作用を生み出す。エンドソームのpHの増大に起因する、50μM超の濃度での非特異的作用は、エンドサイト−シスに関与するHAの膜融合活性の活性化を阻害し(Daniels et al., 1985);一方、0.1〜5μMの低濃度においては、当該薬物感受性はウイルスの複製を阻害する(Appleyard, 1977 )。図9に示す様に、アマンタジンは、3つの試験濃度のいずれかにおいて、野生型WSN−UdMウイルスの収率、及びプラークのサイズを著しく減少させた。対照的に、5μMのアマンタジンでは、M2変異ウイルスの複製はほぼ全く影響されず、阻害もされなかった。薬物の非特異的活性による実質的な阻害は、50μMで見られた。この様に、M2変異体の全てが野生型ウイルスよりもアマンタジンに対して耐性があった。
【0053】
M2のTMドメインがHA又はNAのもので置換されたトランスフェクタントウイルスの産生 M2A30P、M2W41A、及びM2del29−31変異体は、二電極膜電位固定法(Holsinger et al., 1994)によってアッセイした場合、機能的なイオンチャンネル活性を有さないが、それらは全てMDCK細胞において野生型ウイルスと同様に複製した(図8)。この様に、M2のイオンチャンネル活性は、低レベルのイオンチャンネル活性が当該アッセイの感度末端であったことを除外することはできないが、ウイルスの複製にとって必須ではないと思われる。
【0054】
M2チャンネルイオン活性がウイルスの複製にとって必須でないか否かを決定するために、M2のTMドメインがA/WSN/33ウイルスのHA又はNA由来のもので置換されたキメラ変異ウイルスが産生された(図10)。プラスミドでトランスフェクションされた293T細胞の上清がウイルスの産生についてアッセイされた場合、キメラ変異体(M2HATM及びM2NATM)はそれぞれ生存可能であったが、それらの力価は野生型WSN−UdMの力価より1log 以上低かった(表3)。当該変異体はまた、48時間の増殖の後、ピンポイントのプラークを産生した。その様に、M2のTMドメインは、in vitroでのウイルスの複製にとって不要である。
【0055】
組織培養におけるM2HATM変異体の増殖特性 M2NATMウイルスストックの力価が104PFU/mlを超えなかったので、M2HATMウイルスは、最初にMDCK細胞におけるM2HATMウイルス対野生型WSH−UdMウイルスによる子孫ウイルスの産生の時間経過を試験することによる、更なる解析のために適用された(図8)。M2HATMは、感染から12及び24時間後に野生型WSN−UdMウイルスよりも低い力価をもたらしたが、36時間目のその最大の力価は、野生型ウイルスのものとほぼ同一であった。その結果は、M2のTMドメインの欠如が、組織培養におけるウイルスの複製能を大幅に害することはないことを示唆している。
【0056】
ビリオン内への変異M2分子の組み込み おそらく、M2の点変異体及びキメラ変異体は多少の残留性があるイオンチャンネル活性を保持しており、その結果、ビリオン内へのM2タンパク質の組み込みの増大が、この機能におけるいずれかの欠陥を補うと思われる。従って、インフルエンザのビリオン内への野生型M2と変異M2の組み込み効率が、NPの強度を基に標準化後に、ウェスタンブロット解析を用いて比較された(図11)。2つの変異M2タンパク質(M2del29−31及びM2HATM)のビリオンの組み込みは、W41A変異体は更に効率的に組み込まれたが、野生型タンパク質のものよりわずかに低かった。野生型のM2タンパク質のわずかに下で検出されたバンドは、他の者によって報告されている様に(Zebedee and Lamb, 1988)、おそらくM2のタンパク質分解的に開裂した形態である。抗NPに反応性があったが、抗M2抗体にはない、NPタンパク質の下にある更なるバンドは、NPの開裂産物である(Zhirnov and Bukrinskaya, 1984 )。同時に、これらの結果は、ビリオン内へのM2タンパク質の組み込みの増大が、欠陥のあるM2イオンチャンネル活性を補うものではないと思われることを証明している。
【0057】
マウスにおけるM2変異ウイルスの複製 in vivoにおけるM2イオンチャンネル活性の役割を決定するために、野生型WSN−UdMウイルスと同様に、又はそれよりも効率的に肺で複製する6個の変異ウイルスのいずれかでマウスを感染させたが(表4)、M2del29−31ウイルスの力価は、野生型ウイルスのものより1log 以上低かった。対照的に、当該変異体は鼻甲介における異なる複製能を示したが、感染したマウスのいずれかのその様な試料から回収されたM2A30P又はM2del29−31はいずれも示さなかった。M2HATMウイルスは、肺又は鼻甲介のいずれからも回収されなかった。これらの結果は、M2イオンチャンネル活性がin vivoでの効率的なウイルス複製に必要であることを示唆している。更に、感染したマウスの血清は、免疫化ウイルスと結合する抗体を有する(例3を参照のこと)。
【表4】
【0058】
考察
逆遺伝学系(Neumann et al., 1999)は、イオンチャンネル活性をブロックすることが知られているM2タンパク質のTMドメイン内に変化を有する、トランスフェクタントA型インフルエンザウイルスを産生するために使用された。この機能的な欠陥にも関わらず、全ての変異ウイルスが、in vitroで野生型WSN−UdMと同じ効率で複製した。ウイルスの複製におけるM2イオンチャンネル活性の不要性は、M2タンパク質のTMドメインがHA又はNA由来のものと置換された実験によって補強された。この様に、in vitroでの研究において、A型インフルエンザウイルスは、効率的な複製のためにM2イオンチャンネル活性を必要としていなかった。
【0059】
M2イオンチャンネル活性は、宿主細胞侵入段階とウイルスRNAのアンコーティング段階との間の、ウイルスの生活環の初期に機能することが考えられている。Zhirnov 等は(1990)、低pHがin vitroでのウイルスRNPからのM1タンパク質の解離を誘導することを報告した。この観察は、エンドソームにおけるM2イオンチャンネル活性を介する、ビリオンの内側へのタンパク質の導入が、RNPからのM1の解離に重要であることを示唆することを導いている(Heleniusによって1992年に概説された)。もしそうであれば、この過程はM2イオンチャンネル活性又はM2ドメインの欠如で、その様に起こり得るのであろうか。低pHに曝露されたビロソーム中のHAタンパク質の免疫電子顕微鏡は、標的膜の不在のもと、HA2サブユニットのN末端融合ペプチドが、HAを固着した同一の膜の部位内に挿入されたことを証明した(Wharton et al., 1995)。従って、1つの可能性として、HAの融合ペプチドがウイルスのエンベロープ内に挿入され、エンドソームからウイルスの内側へのプロトンの流れを可能にする孔をウイルスの膜に形成し、その結果RNP−M1の相互作用の破壊をもたらすということが挙げられる。あるいは、M1は、他のウイルス膜タンパク質、例えばHA、NA又はその両方のTM領域によるイオンチャンネル活性を含む、完全に異なる機構によってRNPから解離することが可能なようである。
【0060】
M2イオンチャンネルの起源はどこにあるのだろうか。M2イオンチャンネル活性は、細胞内に開裂可能なHAを有するA/fowel plaque/Rostock/34(FPV Rostock)の菌株で最初に発見された(Sugreu et al., 1990 ; Ohuchi et al., 1994 ; Takeuchi and Lamb, 1994 )。この菌株において、HAは、トランスゴルジ網における低pH誘導型の高次構造的変化を、この画分においてpHを上昇させるM2イオンチャンネル活性無しに受ける。故に、従来、A型インフルエンザウイルスは、高次構造的な変化が細胞内で開裂可能なHAで起こる様な上のレベルまで、トランスゴルジ網のpHの増大を促進するM2タンパク質を備えていたと思われる。細胞内で開裂可能なHA無しに、A型インフルエンザウイルスが出現し始めた場合、M2タンパク質と関連する高いイオンチャンネル活性を維持するための選択的な圧力はさほどなかった。この活性の結果としての減少は、RNPからのM1の解離をさせるのに十分であったと思われる。事実、イオンチャンネル活性は、現在認識されているウイルスのM2タンパク質間で著しく異なり、例えばヒトUdornウイルス(細胞内で開裂不可能なHAを含む)に由来するM2タンパク質は、等量のFPV Rostockウイルス(細胞内で開裂可能なHAを含む)のM2によって示される同一のイオンチャンネル活性を生み出すために5倍以上必要とされる(Takeuchi and Lamb, 1994 )。逆に、複数のA型インフルエンザウイルスのHAが、ニワトリにおける複製の間に、細胞内で開裂不可能なものから開裂可能なものへと変化し(Kawaoka et al., 1984 ; Horimoto and Kawaoka, 1995 ; Horimoto et al., 1995 )、これは限定されたイオンチャンネル活性を有するM2タンパク質が、細胞内で開裂可能なHAに一度切り替わって、より大きな活性を獲得し得ることを示唆している。
【0061】
M2イオンチャンネルノックアウトウイルス及びM2HATMウイルスは、組織培養において適度に複製したが、マウスにおいて高度に弱毒化され、生ワクチンとしてのそれらの使用についての可能性を増大させた。現在臨床試験中の低温適合型生ワクチンは(Maasab and Bryantによって1999年に概説された)は、一般的な個体群における使用がかなり期待された(Sears et al., 1988 ; Steinhoff et al., 1991 ; Steinhoff et al., 1990)。主な関心事項は、前記ワクチンにおける限定された数の弱毒化変異が(Cox et al., 1988 ; Herlocher et al., 1993 )、復帰変異ウイルスの産生を可能にし得るということにある。例えば、M2のTMドメインHA由来のものと置換することによってM2イオンチャンネル活性を除くことは、復帰変異ウイルスの出現の可能性を大きく低下させる。この様に、我々の新規な逆遺伝学の系を用いる、修飾されたウイルス遺伝子を有するインフルエンザウイルスの産生は、安全な生インフルエンザワクチンの製造をもたらし得る。
【0062】
今日まで、イオンチャンネルとして働く4つのウイルスタンパク質:A型インフルエンザウイルスのM2、B型インフルエンザウイルスのNB、並びにヒト免疫欠損ウイルス1型(HIV−1)のVpu及びVprが報告されている(Ewart et al., 1996 ; Piller et al., 1996 ; Pinto et al., 1992 ; Schabert et al., 1996 ; Sunstorm et al., 1996 )。A型及びB型のインフルエンザウイルスの複製戦略が非常に類似しているので、NBのイオンチャンネル活性もウイルスの生活環の初期に役割を果たしていると考えられるが、NBはなおもウイルスの複製において証明された機能を欠いている。HIV−1のVpuタンパク質は細胞からのウイルス粒子の放出を増強するが(Schubert et al., 1995 ; Strebel et al., 1988 ; Terwilliger et al., 1989 )、その遺伝子は、in vitroでのHIV−1の複製を完全に抑制することなく欠失され得る(Cohen et la., 1988 ; Klimkait et al., 1990 ; Strebel et al., 1988, 1989 )。別のHIV−1補助タンパク質であるVprは、組織培養における複製にとって必須でない様である(Dedera et al., 1989 )。最後に、本明細書において、我々はM2イオンチャンネル活性がA型インフルエンザウイルスの生活環に必須でないことを示した。従って、ウイルスタンパク質のイオンチャンネル活性は、本明細書の上文で示す様なある条件下で、例えばin vivoで、より効率的なウイルスの複製を促進し得るが、通常補助的な機能であると思われる。
【0063】
例3
材料と方法
細胞とウイルス 293Tヒト胚性腎細胞及びMadin−Darbyイヌ腎(MDCK)細胞を、10%FCSを添加したDMEM及び5%ウシ新生児血清を含むMEM中でそれぞれ維持した。293T細胞系は、シミアンウイルス40T抗原の遺伝子が挿入された、293系の誘導体である(Dubridge et al., 1987 )。全ての細胞を5%CO2 中で37℃に維持した。M2del29−31ウイルス及びWSN−UdM(野生型)ウイルスは、MDCK細胞中で増殖した。A/WSN/33(H1N1)ウイルスは、10日齢の胚含有型のニワトリの卵で増殖した。
【0064】
免疫化及び防御試験 BALB/cマウス(4週齢の雌)を、1mlのM2del29−31ウイルス又は野生型WSN−UdMウイルス当たり50μlの1.1×105pfuで経鼻的に免疫化した。2週目に、血清、気管−肺の洗浄液、及び鼻の洗浄液を得るために、4匹のマウスを犠牲にした。ワクチン接種から2週間後及び1又は3ヵ月後に、免疫化したマウスを、麻酔にかけて100LD50量の野生型WSNウイルスで経鼻的に曝露した。ウイルスの力価の決定のために、肺を3日目に回収し、そしてホモジェナイズしてMDCK細胞上で滴定した。残りの動物は、曝露から14日間の感染の臨床的な徴候及び症候のために観察された。
【0065】
ウイルス特異抗体の検出 血清試料は、ELISAによって抗体について試験された。このアッセイにおいて、0.5%Triton X−100及び0.6MのKClを含む0.05MのTris−HCl(pH7.8)を用いた室温での処理後に、ウェルを精製したWSNウイルスでコーティングし、そしてPBSで希釈した。ウイルスでコーティングしたプレートと試験血清試料とのインキュベーションの後、結合した抗体は、ウサギ抗マウスIgA(Kirkegaard & Perry Laboratories Inc., Gaithersburg, MD)及び西洋ワサビペルオキシダーゼと複合したヤギ抗マウスIgG(Boehringer Mannheim, Germany)で検出された。
【0066】
結果
免疫化から2週目に、ウイルス特異的IgG及びIgAが免疫化したマウスの鼻の洗浄液、肺の洗浄液及び血清において見られた。特に、ウイルス特異的IgGは、3つ全ての試料の型のM2del29−31ウイルスで免疫化したマウスにおいて、より高いレベルで見られ、そしてウイルス特異的IgAは、M2del29−31で免疫化したマウス由来の肺の洗浄液中で見られたが、WSN−UdMで免疫化したマウス由来の肺の洗浄液中で検出することができなかった(図12)。
【0067】
当該マウスは、免疫化から2週間、1ヶ月又は2ヶ月、野生型ウイルスで曝露され、そして最大で2週間体重が測定された(図13)。M2del29−31ウイルスで免疫化し、そして野生型ウイルスで曝露したマウスの体重は、免疫化と曝露との間のタイミングに関係なく比較的一定のまま維持されたが、野生型ウイルスで免疫化し、そしてその後野生型ウイルスに曝露されたマウスの体重は、免疫化と曝露との間のタイミングに関係なく、曝露後に急激に低下した。
【0068】
ウイルスの力価を決定するために、曝露から3日目にいくつかのマウスから肺が回収された(表4)。野生型ウイルスで免疫化され、そして野生型ウイルスで曝露したマウスのみが、肺中に検出可能なウイルスを有していた。曝露された免疫化マウスの肺におけるウイルスの存在の欠如は、暴露後の生存と相関していた。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0069】
全ての刊行物、特許及び特許出願が、引用によって本明細書に組み入れられる。前述の明細書において、本発明はそれらのいくつかの好ましい態様に関して記載され、そして例示のために多くの詳細なことが記述されたが、当業者にとって、本発明が追加の態様を許すことがあり、そして本明細書で詳述したもののいくつかが、本発明の基本的な原理から逸脱することなくかなり変更され得ることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、確立された逆遺伝学系の略図である。RNPトランスフェクション法(A)において、精製されたNP及びポリメラーゼタンパク質は、in vitroで合成したVRNAを用いて、RNPへと構築される。細胞をRNAでトランスフェクションし、続いてヘルパーウイルスに感染させる。RNAポリメラーゼI法(B)において、RNAポリメラーゼIプロモーター、救出されるべきrRNAをコードするcDNA、及びRNAポリメラーゼIのターミネーターを含むプラスミドが細胞にトランスフェクションされる。RNAポリメラーゼIによる細胞内転写は、ヘルパーウイルスの感染によって子孫ウイルス粒子内にパッケージングされる合成vRNAを生成する。両方法を用いて、トランスフェクタントウイルス(すなわち、クローニングしたcDNA由来のRNAを含むもの)が、ヘルパーウイルス群から選択される。
【図2】 図2は、RNAポリメラーゼIコンストラクトの産生の略図である。インフルエンザウイルス由来のcDNAは、PCRによって増幅され、BsmBIで消化され、そして、ヒトRNAポリメラーゼIのプロモーター(P)及びマウスRNAポリメラーゼIのターミネーター(T)を含むpHH21ベクターCE. Hoffmann, Ph. D. thesis, Tustas, Liebig-University, Giessen, Germany)のBsmBI部位にクローニングされた。ターミネーター配列の上流にあるチミジンヌクレオチド( *T)は、インフルエンザウイルスRNAの3′末端を表す。A型インフルエンザウイルス配列は、ボールド体の文字で示す。
【図3】 図3は、セグメント化された(−)鎖RNAウイルスを産生するための逆遺伝学的方法の案である。RNAポリメラーゼIのプロモーター、8個のウイルスRNAセグメントのそれぞれのためのcDNA、及びRNAポリメラーゼIのターミネーターを含むプラスミドが、タンパク質発現プラスミドと一緒に細胞内にトランスフェクションされる。感染性のウイルスが、PA、PB1、PB2、及びNPを発現するプラスミドで産生され得るが、残り全ての構造タンパク質(括弧で示す)の発現が、産生されるウイルスに依存して、ウイルスの産生効率を増大させる。
【図4】 図4は、トランスフェクタントウイルスに感染した細胞におけるFLAGエピトープの検出を示す。抗体の染色は、PR8−WSN−FL79(A.D)又はA/WSN/33野生型ウイルス(B.E)のいずれかに感染したMDCK細胞において、あるいはニセ(mock)の感染MDCK細胞C.F)上で、NAを同定するために使用された。感染から9時間後、細胞をパラホルムアルデヒドに固定し、Triton X−100で処理し、そして抗FLAG(A〜C)又は抗WSN NA(D〜F)モノクローナル抗体と一緒にインキュベートした。強いゴルジ染色(赤色)が、ポジティブな試料(A、D、並びにE)で見られる。
【図5】 図5は、PA変異体の回収を示す。各ウイルスのPA遺伝子は、1226bpのフラグメント(レーン1、3、5の、677−1903位のmRNA)をもたらすプライマーを用いるRT−PCRによって増幅され、続いてこれは制限酵素Bsp120I(レーン4、7の、846位のmRNA)又はPvuII(レーン2、6の、1284位のmRNA)で消化された。PCR産物におけるBspRoI又はPvuII部位の存在は、169bpと1057bp又は607bpと619bpのフラグメントのいずれかをそれぞれもたらした。MW=分子量マーカー。
【図6A】 図6Aは、インフルエンザ配列を増幅するために利用されるプライマーである。
【図6B】 図6Bは、インフルエンザ配列を増幅するために利用されるプライマーである。
【図7】 図7は、変異インフルエンザウイルスのM2タンパク質及びそれらの特性の略図を示す。TMドメインのアミノ酸配列(残基25〜43)は、図の拡大部分は一文字表記で示される。イオンチャンネル活性は、Holdinger 等によって(1994)、二電極膜電位固定法を用いて決定された。+は検出可能なイオンチャンネル活性であり;−は検出不可能なイオンチャンネル活性である。
【図8】 図8は、M2変異ウイルス及び野生型WSN−UdMウイルスの増殖曲線を示す。MDCK細胞は、0.001のMOIでウイルスに感染した。感染後の表示時間は、上清中のウイルスの力価が決定された。値は、3つ1組の実験値の平均である。SDは各試料につき0.59未満である。
【図9】 図9は、M2イオンチャンネル変異体のアマンタジン感受性を示す。変異ウイルス及び野生型WSN−UdMウイルスは、異なる濃度のアマンタジンの存在下での、MDCK細胞におけるプラーク形成能について試験された。実験は3回実施し、結果は平均±SDで示す。
【図10】 図10は、キメラM2変異体の略図を示す。各変異体は、M2のTMドメインをHA又はNAのもので置換することによって構築した。
【図11】 図11は、インフルエンザのビリオン内へのM2変異体の組み込みを示す。精製したウイルスは、試料バッファー中で溶解された。ウイルスタンパク質は2−メルカプトエタノールで処理され、15%SDS−PAGEによって分離され、PVDF膜にトランスファーされ、そして14C2抗M2モノクローナル抗体(Zebedee and Lamb, 1988)及び抗WSN−NPモノクローナル抗体で検出された。マーカータンパク質の分子量を左側に示す。
【図12】 図12は、ワクチン接種したマウス由来の鼻の洗浄液(A)、肺の洗浄液(B)又は血清(C)の中のウイルス特異的抗体を示す。マウスは、50μlの1.1×105PFU/mlのM2del29−31又は野生型WSN−UdM(コントロール)ウイルスで経鼻的に免疫化された。免疫化後の第2週目に、4匹のマウスが試料を得るために犠牲となった。
【図13】 図13は、免疫化後から2週目(A)、1ヶ月目(B)又は2ヶ月目(C)に野生型ウイルスに曝露された免疫化マウスの体重を示す。
【配列表】
Claims (20)
- 単離され、且つ精製された組換えインフルエンザウイルスであって、相当する野生型M2タンパク質と比較して、活性を欠いているか、又は低下した活性を有する変異M2タンパク質を含んで成り、当該変異がM2タンパク質の膜貫通ドメイン内にあり、且つ当該変異が前記ウイルスのin vitroでの複製を変化させないが、in vivoでの弱毒化に関与しており、且つ当該変異M2タンパク質が、当該M2タンパク質の膜貫通ドメイン内の残基29−31を含む1又は複数の残基の欠失を有している、ウイルス。
- 前記欠失が残基29−31を含む、請求項1に記載の単離され、且つ精製されたウイルス。
- 前記欠失が残基29−31の欠失である、請求項1に記載の単離され、且つ精製されたウイルス。
- 前記変異を含み、且つGTTGTTATCATTGGGATCTTGC(配列番号:5)に相当する遺伝子セグメントを含んで成る、請求項1に記載の単離され、且つ精製されたウイルス。
- 組換えウイルスが更に、病原の異種免疫原性タンパク質を含んで成る、請求項1に記載の単離され、且つ精製されたウイルス。
- 請求項1に記載の単離され、且つ精製されたウイルスを含んで成るワクチン。
- 相当する野生型M2タンパク質と比較して、活性を欠いているか、又は低下した活性を有する変異M2タンパク質を含んで成る組換えインフルエンザウイルスの調製方法であって、(i)組換えインフルエンザウイルスを生成するために、宿主細胞を多数のインフルエンザベクターと接触させ、ここで、当該多数のベクターは、a)転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのPA cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのPB1 cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのPB2 cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのHA cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのNP cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのNA cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、及び転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのM cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのNS cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、を含んで成り、ここで、前記M cDNAは、変異M2タンパク質のDNAを含んで成り、当該変異M2タンパク質は、当該M2タンパク質の膜貫通ドメイン内の残基29−31を含む1又は複数の残基の欠失を有している;及び
b)インフルエンザウイルスのPAをコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのPB1をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのPB2をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのNPをコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、を含んで成り、任意に、インフルエンザウイルスのHAをコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのNAをコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのM1をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、M2タンパク質をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、及びインフルエンザウイルスのNS2をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、を含んで成る;そして
(ii)当該ウイルスを単離すること、
を含んで成る方法。 - 前記欠失が残基29−31を含む、請求項7に記載の方法。
- 前記欠失が残基29−31の欠失である、請求項7に記載の方法。
- 前記変異を含み、且つGTTGTTATCATTGGGATCTTGC(配列番号:5)に相当する遺伝子セグメントを含んで成る、請求項7に記載の方法。
- 脊椎動物を免疫化するのに有効な量の請求項1に記載の組換えウイルスを含んで成る、医薬組成物。
- 前記脊椎動物が鳥類である、請求項11に記載の医薬組成物。
- 前記脊椎動物が哺乳類である、請求項11に記載の医薬組成物。
- 前記脊椎動物がヒトである、請求項11に記載の医薬組成物。
- a)転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのPA cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのPB1 cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのPB2 cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのHA cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのNP cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのNA cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのM cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、及び転写終結配列と連結したインフルエンザウイルスのNS cDNAと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、を含んで成り、ここで、前記M cDNAは、変異M2タンパク質のDNAを含んで成り、当該変異M2タンパク質は、当該M2タンパク質の膜貫通ドメイン内の残基29−31を含む1又は複数の残基の欠失を有している;及び
b)インフルエンザウイルスのPAをコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのPB1をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのPB2をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのNPをコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、を含んで成り、任意に、インフルエンザウイルスのHAをコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのNAをコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、インフルエンザウイルスのM1をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、M2タンパク質をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、及びインフルエンザウイルスのNS2をコードするDNAセグメントと作用可能に連結したプロモーターを含んで成るベクター、を含んで成る、多数のベクターを含んで成る組成物。 - アンチセンスの配向の、注目のDNAフラグメントと作用可能に連結したプロモーターを更に含んで成る、請求項15に記載の組成物。
- ベクターが、病原の免疫原性ポリペプチド又はペプチドをコードするDNAフラグメントを含んで成る、請求項15に記載の組成物。
- 請求項7に記載の方法によって調製される、単離されたウイルス。
- 請求項1又は18に記載のウイルスと接触された、単離された宿主細胞。
- 医療に使用するための量の請求項1に記載の組換えインフルエンザウイルスを含んで成る医薬組成物。
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