JP4456169B2 - インフルエンザウイルスベクターのパッケージングのためのシグナル - Google Patents
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Description
本発明は、少なくとも一部は、アメリカ合衆国の政府からの助成金(国立保健研究所からの助成金AI47446)で行われた。政府は、本発明の一部の権利を有する。
インフルエンザAおよびBウイルスのゲノムは負の極性の8つの1本鎖RNA断片からなり、その内の2個は、膜糖タンパク質、血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)をコードする。インフルエンザウイルスの複製は、ビリオン表面上のウイルスHAタンパク質の、細胞のシアル酸を含むレセプターへの結合により開始される。レセプターに結合した後、ビリオンは、エンドサイトーシスにより、宿主細胞に取り入れられる。後期エンドソーム中の酸性環境は、HAの高次構造変化を引き起こし、ウイルスエンベロープとエンドソーム膜との間の融合を開始し、そして、M2イオンチャネルを活性化し、プロトンのビリオン内部への流入を生じる。ビリオン内部を低pHに曝露することは、M1タンパク質とリボヌクレオタンパク質複合体(RNP)との間の酸不安定な相互作用を崩壊し、RNPの細胞質への放出を沈静すると考えられる。RNPは、次いで、核に輸送され、そこで、ウイルスmRNAおよびウイルスゲノムが合成される。mRNAは細胞質に入り、そしてウイルスタンパク質が合成される。核タンパク質(NP)は、核に入り、新規に合成されたvRNAをキャプシド形成し、そして、3個のポリメラーゼサブユニットタンパク質(PA、PB1、PB2)と一緒にRNPを形成する。M1およびNS2タンパク質の存在下で、RNPは、核から搬出される。3個の形質膜結合タンパク質(HA、NAおよびM2)およびRNPは相互作用し、そして、出芽することにより新規のビリオンを形成する。NAは、シアル酸を細胞の複合糖質およびウイルス糖タンパク質から除去することにより、感染細胞からのウイルス放出の原因となる(Lambら、2000)。
本発明は、インフルエンザウイルスの組み込み配列(「パッケージシグナル」またはvRNAのキャプシド形成シグナル)および必要に応じて異種核酸断片を含む、単離された組換え核酸分子(ポリヌクレオチド)(例えば、ベクター)を提供する。一般に、組み込み配列は、各インフルエンザvRNA断片のコード領域の1つの末端または各末端において、約150個〜約250個のヌクレオチドで存在する。1つの実施形態では、インフルエンザウイルス組み込み配列は、NAコード領域のN末端に対応する配列を含むNA vRNAの3’末端に対応する配列(例えば、3’非コード配列の19個のヌクレオチドを含むA型NA vRNAの3’末端の37個のヌクレオチドおよびNAに対する最初の19個のコードするヌクレオチドに少なくとも対応するヌクレオチド)および必要に応じて、NAコード領域のC末端に対応する配列を含むNA vRNAの5’末端に対応する組み込み配列(例えば、5’非コード配列の28個のヌクレオチドを含むA型NA vRNAの5’末端の67ヌクレオチドおよびNAの39個の3’をコードするヌクレオチドに対応する少なくとも39個のヌクレオチド)を含む。別の実施形態において、インフルエンザウイルス組み込み配列は、NSコード領域のN末端に対応する配列を含むNS vRNAの3’末端に対応する配列を含む。なお、別の実施形態においては、インフルエンザウイルス組み込み配列は、HAコード領域のC末端に対応する配列を含むHA vRNAの5’末端に対応する配列(例えば、5’非コード配列の45個のヌクレオチドを含むA型HA vRNAの5’末端の135個のヌクレオチドおよびHAの80個の3’コードヌクレオチドに対応する少なくとも80個のヌクレオチド)および必要に応じて、HAコード領域のN末端に対応する配列を含むHA vRNAの3’末端に対応する組み込み配列(例えば、3’非コード配列の33個のヌクレオチドを含むA型HA vRNAの3’末端の36個のヌクレオチドおよびHAの最初の3個のコードヌクレオチドに対応する少なくとも3個のヌクレオチド)を含む。さらなる実施形態では、インフルエンザウイルス組み込み配列は、PB2のコード領域のC末端に対応する配列を含むPB2 vRNAの5’末端に対応する配列を含む。別の実施形態では、インフルエンザウイルス組換え配列は、Mコード領域のN末端に対応する配列を含むM vRNAの3’末端に対応する配列(例えば、3’非コード領域の26個のヌクレオチドを含むA型M vRNAの3’末端の247個のヌクレオチドおよびMコード領域のN末端に対応する配列の221個のヌクレオチド)、およびMコード領域のC末端に対応する組み込み配列を含むM vRNAの5’末端に対応する配列(例えば、3’非コード配列の23個のヌクレオチドを含むA型M vRNAの5’末端の242個のヌクレオチドおよびMコード領域のC末端に対する少なくとも219個のヌクレオチドに対応する配列の219個のヌクレオチド)を含む。別の実施形態では、インフルエンザウイルス組換え配列は、NSコード領域のN末端に対応する配列を含むNS vRNAの5’末端に対応する配列(例えば、3’非コード配列を含む配列およびNSコード領域のN末端に対応する少なくとも最初の30個のヌクレオチド)、およびNSコード領域のC末端に対応する組み込み配列を含むNS vRNAの5’末端に対応する配列(例えば、5’非コード配列を含む配列およびNSコード領域のC末端に対応する配列の、少なくとも最後の30個のヌクレオチド)を含む。1つの実施形態においては、インフルエンザウイルス組み込み配列は、PB1コード領域のN末端に対応する配列を含むPB1 vRNAの5’末端に対応する配列およびPB1コード領域のC末端に対応する組み込み配列を含むPB1 vRNAの5’末端に対応する配列を含む。なお別の実施形態においては、インフルエンザウイルス組み込み配列は、PAコード領域のN末端に対応する配列を含むPA vRNAの5’末端に対応する配列およびPAコード領域のC末端に対応する組み込み配列を含むPA vRNAの5’末端に対応する配列を含む。本明細書で使用される場合、インフルエンザウイルス「組み込み配列」は、対応する(相同な)3’および5’非コード領域を有するvRNA中に存在する場合、それらの配列を含む核酸分子のビリオン中への組み込みおよび繰り返しの継代の間、ビリオン中でのその分子の維持を生じる配列である。したがって、本発明は以下をも提供する。
(1)
インフルエンザウイルス取り込み配列を含むインフルエンザウイルスベクターであって、該ベクターは、以下:
a)インフルエンザウイルスNA vRNAの3’非コード領域に相当する配列、3’NA組み込み配列、異種核酸セグメント、およびNA vRNAの5’非コード領域;
b)インフルエンザウイルスHA vRNAの3’非コード領域に相当する配列、異種核酸セグメント、5’HA組み込み配列、およびHA vRNAの5’非コード領域;
c)インフルエンザウイルスM vRNAの3’非コード領域に相当する配列、3’M組み込み配列、異種核酸セグメント、5’M組み込み配列、およびM vRNAの5’非コード領域;
d)インフルエンザウイルスNS vRNAの3’非コード領域に相当する配列、3’NS組み込み配列、異種核酸セグメント、およびNS vRNAの5’非コード領域;
e)インフルエンザウイルスPB2 vRNAの3’非コード領域に相当する配列、異種核酸セグメント、5’PB2組み込み配列、およびPB2 vRNAの5’非コード領域;
f)インフルエンザウイルスPB1 vRNAの3’非コード領域に相当する配列、異種核酸セグメント、5’PB1組み込み配列、およびPB1 vRNAの5’非コード領域;または
g)インフルエンザウイルスPA vRNAの3’非コード領域に相当する配列、異種核酸セグメント、5’PA組み込み配列、およびPA vRNAの5’非コード領域;
を含み、ここで、該ベクターに相当するvRNAが、インフルエンザウイルスタンパク質を発現しかつ該ベクターに相当する該vRNA以外のvRNAを含む細胞内に存在する場合、該ベクターに相当する該vRNAがビリオン内にパッケージされる、インフルエンザウイルスベクター。
(2)
項目1a)に記載のベクターであって、前記3’NA組み込み配列が、NAの最初の19個のコードヌクレオチドに相当する少なくとも19個のヌクレオチドを含む、ベクター。
(3)
5’NA組み込み配列をさらに含む、項目2に記載のベクター。
(4)
項目3に記載のベクターであって、前記5’NA組み込み配列が、NAの39個の3’コードヌクレオチドに相当する少なくとも39個のヌクレオチドを含む、ベクター。
(5)
項目1a)に記載のベクターであって、前記3’NA組み込み配列が、NAの最初の90個のコードヌクレオチドに相当する少なくとも90個のヌクレオチドを含む、ベクター。
(6)
項目1b)に記載のベクターであって、前記5’HA組み込み配列が、HAの80個の3’コードヌクレオチドに相当する少なくとも80個のヌクレオチドを含む、ベクター。
(7)
項目1b)に記載のベクターであって、前記5’HA組み込み配列が、HAの291個の3’コードヌクレオチドに相当する少なくとも291個のヌクレオチドを含む、ベクター。
(8)
3’HA組み込み配列をさらに含む、項目1b)に記載のベクター。
(9)
項目8に記載のベクターであって、前記3’HA組み込み配列が、HAの最初の3個のコードヌクレオチドに相当する少なくとも3個のヌクレオチドを含む、ベクター。
(10)
項目8に記載のベクターであって、前記3’HA組み込み配列が、HAの最初の9個のコードヌクレオチドに相当する少なくとも9個のヌクレオチドを含む、ベクター。
(11)
前記異種核酸セグメントが、内部リボソーム侵入配列に相当する配列を含む、項目1に記載のベクター。
(12)
前記異種核酸セグメントが、マーカー遺伝子のオープンリーディングフレームに相当する配列を含む、項目1に記載のベクター。
(13)
前記異種核酸セグメントが、免疫原性タンパク質もしくは病原体のペプチド、または治療タンパク質のオープンリーディングフレームに相当する配列を含む、項目1に記載のベクター。
(14)
組み込み配列が、A型インフルエンザウイルスに由来する、項目1に記載のベクター。
(15)
組み込み配列が、B型インフルエンザウイルスに由来する、項目1に記載のベクター。
(16)
前記異種核酸セグメントが、他の核酸セグメントと融合して融合タンパク質をコードする、項目1に記載のベクター。
(17)
項目1に記載のベクターに相当するvRNAを含む、組換えインフルエンザウイルス。
(18)
前記異種核酸セグメントが、マーカー遺伝子のオープンリーディングフレームに相当する配列を含む、項目17に記載の組換えウイルス。
(19)
前記異種核酸セグメントが、免疫原性タンパク質もしくは病原体のペプチドのオープンリーディングフレームに相当する配列を含む、項目17に記載の組換えウイルス。
(20)
前記オープンリーディングフレームが、HAタンパク質をコードする、項目19に記載の組換えウイルス。
(21)
前記オープンリーディングフレームが、NAタンパク質をコードする、項目19に記載の組換えウイルス。
(22)
前記異種核酸セグメントが、膜貫通タンパク質のオープンリーディングフレームに相当する配列を含む、項目17に記載の組換えウイルス。
(23)
前記異種核酸セグメントが、膜融合活性を有するタンパク質のオープンリーディングフレームに相当する配列を含む、項目17に記載の組換えウイルス。
(24)
前記異種核酸セグメントが、ウイルスカプシドタンパク質のオープンリーディングフレームに相当する配列を含む、項目17に記載の組換えウイルス。
(25)
前記異種核酸セグメントが、小胞性口内炎ウイルスGタンパク質のオープンリーディングフレームに相当する配列を含む、項目17に記載の組換えウイルス。
(26)
前記異種核酸セグメントが、治療タンパク質のオープンリーディングフレームに相当する配列を含む、項目17に記載の組換えウイルス。
(27)
前記HAタンパク質が、B型HAタンパク質である、項目20に記載の組換えウイルス。
(28)
細胞において異種核酸セグメントを発現する方法であって、該方法は、以下:細胞を項目17の組換えウイルスと接触させる工程、および該異種核酸セグメントにコードされる産物が細胞内で発現しているか否かを検出または決定する工程を、包含する方法。
(29)
NAの5’コード領域に相当するインフルエンザウイルスNA組み込み配列、および異種核酸セグメントを含む、単離された核酸分子。
(30)
NSの5’コード領域に相当するインフルエンザウイルスNS組み込み配列、および異種核酸セグメントを含む、単離された核酸分子。
(31)
HAの3’コード領域に相当するインフルエンザウイルスHA組み込み配列、および異種核酸セグメントを含む、単離された核酸分子。
(32)
PB2の3’コード領域に相当するインフルエンザウイルスPB2組み込み配列、および異種核酸セグメントを含む、単離された核酸分子。
(33)
Mの3’コード領域およびMの5’コード領域に相当するインフルエンザウイルスM組み込み配列、および異種核酸セグメントを含む、単離された核酸分子。
(34)
項目1に記載のベクターであって、前記ベクターに相当するvRNAが前記細胞内に存在する場合、該vRNAが、野生型vRNAの少なくとも10%に相当する効率でビリオン内にパッケージされる、ベクター。
(35)
項目1に記載のベクターであって、前記ベクターに相当するvRNAが前記細胞内に存在する場合、該vRNAが、野生型vRNAの少なくとも30%に相当する効率でビリオン内にパッケージされる、ベクター。
(36)
項目1に記載のベクターであって、前記ベクターに相当するvRNAが前記細胞内に存在する場合、該vRNAが、野生型vRNAの少なくとも60%に相当する効率でビリオン内にパッケージされる、ベクター。
(37)
複製不完全インフルエンザ様ウイルスを調製する方法であって、該方法は、以下:
a)組換え宿主細胞を、野生型NSコード配列を有するvRNAを欠く組換えインフルエンザウイルス、およびリコンビナーゼの配列を含む組み換えインフルエンザウイルスと接触させる工程であって、ここで、該組換え宿主細胞は、組換え核酸分子を含み、該組換え核酸分子は、NS2オープンリーディングフレームを含むが、リコンビナーゼ5’からNS2オープンリーディングフレームによって認識される2つの部位特異的組換え配列に作動可能に連結された組み込み配列を含まず、ここで、リコンビナーゼ非存在下ではNS2は発現しない、工程;および
b)複製不完全インフルエンザ様ウイルスを、組換え宿主細胞から単離する工程、
を、包含する、方法。
(38)
前記リコンビナーゼが、Creであり、そして前記部位特異的組換え配列が、loxP配列である、項目37に記載の方法。
(39)
前記リコンビナーゼが、FLPndであり、そして前記部位特異的組換え配列が、frt配列である、項目37に記載の方法。
本明細書で使用される場合、用語「単離されたおよび/または精製された」とは、インビトロの調製、宿主細胞または本発明のウイルスの単離および/または精製をいい、故に、インビボの物質とは関連しないか、または、実質的にインビトロの物質から精製される。本明細書で使用される場合、「実質的に純粋な」とは、目的種が、優性種存在であること(すなわち、モルベースで、目的種が、組成物中の他の任意の個体種より多量にある)、および好ましくは、実質的に精製された画分は、目的種が、存在する全ての高分子種の少なくとも約50%(モルベースで)を構成する組成物であることを意味する。一般に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種の約50%より多くを含み、より好ましくは、約80%より多くを含み、さらにより好ましくは、約85%より多く、約90%、約95%および約99%より多くを含む。最も好ましくは、目的種は、本質的に均質になるまで精製される(混入種は、従来の検出方法によっては、組成物中では、検出され得ない)。
本発明に従って、インフルエンザウイルスの十分な複製を支持する任意の細胞を、本発明に使用し得、その細胞は、インフルエンザウイルスに対するレセプターである、1個以上のシアル酸を減少するかまたは減衰したレベルで発現する変異細胞を含む。その方法により得られたウイルスを、再類別ウイルスにし得る。
本発明のワクチンは、任意の病原体(例えば、1つ以上の細菌、ウイルス、酵母または菌類由来の免疫原性タンパク質)の糖タンパク質を含む免疫原性タンパク質を含み得る。従って、1つの実施形態において、本発明のインフルエンザウイルスは、インフルエンザウイルスまたは他のウイルス性病原体に対するワクチンベクターであり得、これらのウイルス性病原体としては、例えば、レンチウイルス(例えば、HIV)、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、CMVまたはHSV)または肢および口の疾患ウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の不活性化インフルエンザウイルスワクチンは、公知の方法(例えば、ホルマリン、β−プロピオラクトン処理が挙げられるが、これらに限定されない。)を使用して本発明の複製したウイルスを不活性化することにより提供される。本発明に使用され得る不活性化ワクチン型としては、完全ウイルス(WV)ワクチンまたはサブビリオン(SV)(分割)ワクチンが挙げられ得る。WVワクチンは、インタクトで、不活性なウイルスを含むが、SVワクチンは、精製され、界面活性剤(脂質を含むウイルス外皮を溶解する)で分解され、その後、残留物ウイルスを化学的に不活性化したウイルスを含む。
弱毒化したインフルエンザウイルス生ワクチンもまた、インフルエンザウイルス感染を防止するか処置するために、公知の方法段階に従って、使用され得る。弱毒化は、好ましくは、弱毒化したドナーウイルス由来の弱毒化遺伝子を、複製した、公知の方法に従って単離したかまたは再類別したウイルスに移すことにより、1段階で達成される(例えば、Murphy、1993を参照のこと)。インフルエンザAウイルスに対する耐性は、HAおよびNA糖タンパク質に対する免疫反応の発達によって媒介されるので、これらの表面抗原をコードする遺伝子は、再類別したウイルスまたは高増殖臨床単離体に由来するはずである。弱毒化遺伝子は、弱毒化親に由来する。このアプローチでは、弱毒化を与える遺伝子は、好ましくは、HAおよびNA糖タンパク質をコードしない。さもなければ、これらの遺伝子は、臨床ウイルス単離体の表面抗原を有する再類別体に移され得ない。
接種または非経口投与または経口投与に適した、本発明の薬学的組成物は、弱毒化したかまたは不活性化したインフルエンザウイルスを含み、必要に応じてさらに、滅菌水または非水性溶液、懸濁液およびエマルションを含む。組成物は、さらに、当該分野において公知の補助薬剤または賦形剤を含み得る。例えば、Berkowら、1987;Goodmanら、1990;Avery’s Drug Treatment 1987;Osol、1980;Katzung、1992を参照のこと。本発明の組成物は、一般に個体の用量(ユニット用量)の形態で提示される。
組成物(またはそれが誘発する抗血清)の投与は、「予防的な」または「治療的な」目的のいずれかのためであり得る。予防的に提供される場合、本発明の組成物(ワクチンである)は、病原性感染のいかなる症状も明らかになる前に提供される。本組成物の予防的な投与は、後の感染を防止するかまたは緩和するために役立つ。治療的に提供される場合、弱毒化したかまたは不活性化したウイルスワクチンは、実際の感染の症状の検出の際に提供される。組成物の治療的投与は、実際の感染を緩和するために役立つ。例えば、Berkowら、1992;Goodmanら、1990;Avery、1987およびKatzung、1992を参照のこと。
本発明の組成物は、受動免疫かまたは能動免疫のいずれかにより、1つ以上の病原体(例えば、1つ以上のインフルエンザウイルス株)に対する耐性を与え得る。能動免疫では、不活性化されたかまたは弱毒化された生存ワクチン組成物が、予防的に宿主(例えば、哺乳動物)に投与され、投与に対する宿主の免疫反応は、感染および/または疾患に対して防御する。受動免疫では、誘発された抗血清は、回復され得、および少なくとも1つのインフルエンザウイルス株により引き起こされた感染を有すると疑われるレシピエントに投与され得る。
その投与が、症状もしくは疾患の状態の全体もしくは一部の弱化、または疾患に対する個体の全体または一部の免疫でのいずれかを生じる(すなわち、抑制)場合、ワクチンは、疾患を防止するかまたは弱めると言われる。
(材料および方法)
(ウイルスおよび細胞)
単一患者かまたはMardin−Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞(A/Tottori/872/K4/94;K4)の肺含有鶏卵(A/Tottori/AT1/AM2AL3/94;AM1AL3)から単離されたヒトH3N2ウイルスを、T.Ito(Tottori University、Tottori、Japan)から入手した。ウイルスストックは、0.3%のウシ血清アルブミンおよび0.5mgのトリプシン/mlを補充した最小必須培地(MEM)中の10日齢の胚含有鶏卵(AMZAL3 ウイルス)かまたはMDCK細胞(K4ウイルス)上で増殖させた。MDCK細胞を、5%新生児子牛血清(Sigma、St.Louis、MO)を補充したMEM中で維持した。
75%のコンフルーエンシーまで増殖したMDCK細胞を、リン酸緩衝生理食塩水で3回洗浄し、その後、0.3%子牛血清アルブミンを含むMEM中のMaakia amurensis(MAA)レクチン(100mg/ml;Boehringer Mannheim、Mannheim、Germany)またはSambucus nigra(SNA)レクチン(100mg/ml;Boehringer Mannheim)中でインキュベートした。48時間のインキュベート後、培地を成長培地(MEM−5%子牛胎児血清)で置き換えた。レクチン選択を、上記のようにさらに2回繰り返した。生存した細胞コロニーをクローン化し、SNA−選択細胞株およびMAA−選択細胞株を、それぞれMDCK−Sn10およびMDCK−Maと名付けた。
両方の細胞株および精製したウイルスのシアル酸(N−アセチルノイラミン酸[NeuAc]およびN−グリコリルノイラミン酸[NeuGc])含有量を、Suzukiら(1997)に記載されるように、高性能液体クロマトグラフィーにより蛍光定量的に決定した。各サンプルを5mlのすりガラスのふたのバイアル中に置き、100μl(25mM)の硫酸と混合した。次いで、バイアルを60℃で12時間熱し、シアロ糖鎖を加水分解した。冷却後、50μlの1,2−ジアミノ−4,5−メチレンジオキシベンゼンを、50μlの加水分解質に添加し、その後、混合物を暗黒下で、60℃で2.5時間加熱し、シアル酸の蛍光を発色させた。生じた溶液の10μlのアリコートを次いで、サンプル注入バルブ(モデル7125;Reodyne)ならびに20μlフローセルおよび記録計(Chromatopac C−RSA;Shionadzu、Kyoto、Japan)備えた蛍光分光光度計(650−105;Hirachi、Tokyo、Japan)を備え付けた880−PU高性能液体クロマトグラフ(JASCO、Tokyo、Japan)に注入した。蛍光分光光度計を、373nmの励起波長および448nmの放射波長に位置した。校正曲線を確立するために、NeuAc(Sigma)およびNeuGc(Sigma)の標準混合物(200pmol/μl)を使用した。
ウイルスシアリダーゼ活性(5×105PFU)を、Haraら(1987)によって記載されるように、2’−(4−メチルウンベリフェリル)−αーD−N−アセチルノイラミニックアシッド(Sigma)を基質として用いて測定した。簡単に言えば、蛍光発生的な基質を(0.5M酢酸ナトリウム(pH4.6)で1:2に希釈し)、等容量のウイルスサンプルに添加し、37℃で、30分間インキュベートした。200mlの0.5M Na2CO2(pH10.7)により反応を止め、次いで、蛍光を360nmの励起波長および460nmの放射波長でインキュベートした。全ての反応を2組行った。
製造者(Qiagen、Inc.、Valencia、Calif.)により説明されるように、Qiappin vRNA精製キットを使用して、全ウイルスRNA(vRNA)を、ウイルスサンプルから入手した。cDNA産生のために、保存された12個のインフルエンザAウイルス遺伝子断片のvRNA3’末端ヌクレオチドに相補的な、オリゴヌクレオチド Uni−12を、モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(Promega、Madison、WI)反応に対するプライマーとして使用した。NA遺伝子cDNAを、NA遺伝子特異的プライマーJN2−43(5’cRNAセンス配列:5’−TGGCTCGTTTCTCTCACTATTGCC−3’;配列番号1)およびJN2−1410r(3’−cRNAアンチセンス配列:5’−TTATATAGGCATGAGATTGATGTCCG−3’;配列番号2)および10UのPwo DNAポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)を使用して、30回のPCRの間で増幅した。生じたPCR産物を、ベクターpCR21(Invitrogen、Carlsbad、Calif)にサブクローニングし、自動蛍光配列決定に使用した。HA遺伝子特異的プライマーJH3−Up(5’cRNAセンスプライマー配列、5’−AGCAAAAGCAGGGGATAATTCTATTAACCATGAAGAC−3’;配列番号3)およびJH3−Down(3’cRNAアンチセンスプライマー配列、5’−AGTAGAAACAAGGGTGTTTTTAATTAATGCACTC−3’;配列番号4)を用いて、HA遺伝子を同様の様式で、クローン化した。単離したそれぞれに対して、NAおよびHAコンセンサス配列を入手するために、3個のクローンを試験した。
(レクチン耐性細胞株の産生)
細胞の表面でシアル酸発現のレベルが減少した細胞株を産生するために、シアル酸結合特異性が異なる2個のレクチン(SNAおよびMAA)を使用した。SNAレクチンは、α(2−6)結合によりガラクトースまたはNーアセチルガラクトサミンに結合したシアル酸に特異的である(Shibuyaら、1987)のに対して、MAAレクチンは、α(2,3)結合によりガラクトースに結合したシアル酸に、結合する。インフルエンザウイルスの増殖を補助するMDCK細胞株は、レクチン選択に対する親細胞として使用される。いずれかのレクチンの存在下でインキュベートした場合、細胞の多くは、1週間以内に死ぬ。耐性の細胞クローンを次いで、ストック培養のために増殖させる。MAAおよびSNAレクチン選択から生じた細胞株を、それぞれ、MDCK−MaおよびMDCK−Sn10と名付けた。
インフルエンザウイルスが、どのようにレセプター発現が減少した細胞に適応しているか知るために、公知のシアル酸レセプター結合特異性(Itoら、1997)を用いて、2個のインフルエンザウイルス改変体(AM2AL3およびK4)を選択した。AM2AL3ウイルスが、NeuAcα(2−3)Galに対して特異的であるのに対して、K4ウイルスは、α(2−6)結合[NeuAcα(2−6)Gal]によりガラクトースに結合したNeuAcを特異的に認識する。両方のウイルスとも、MDCK細胞中と同様に、MDCK−Sn10細胞中でよく複製する(表1)。しかし、MDCK−Ma細胞中での両方のウイルスの力価は、MDCK細胞より1桁低い。また、各ウイルスでの感染後、10の感染の重複でさえ、少量の割合のMDCK−Ma細胞は、いかなる細胞変性効果もなく、コンフルーエンシーになるまで、増殖し続けた。ウイルスの増殖を促進するトリプシンを含む培地の置き換えによる血球凝集アッセイにより、ウイルス産生は、これらの生存する細胞中では、検出され得ない。インフルエンザウイルスHAおよびNPタンパク質の両方に対する免疫化学染色によっては、細胞は、またネガティブであった(データは示さず)、従って、細胞は、持続的に感染していないことを示している。
生存した細胞を、MaKSと名付けた。
シアル酸の量の減少が、MaKS細胞のレクチン結合の減少の原因となっているかどうか決定するために、MaKS細胞中でのシアル酸の存在量を、液体クロマトグラフィー分析により定量化した。MaKS細胞株(それぞれ、8.2および0.4pmol/μgタンパク質)は、MDCK細胞(216.0および2.5pmol/μgタンパク質)より、低いレベルのNeuAcおよびNeuGcを示したが、NeuGc量は、非常に少なかった。これらのデータは、MaKS細胞中のシアル酸レセプター決定基の広範囲の減少を示している。
AM2AL3およびK4ウイルスが、非常に低いレベルのウイルスレセプターを発現する細胞中で、どのように増殖し、増殖を細胞に適応させているか決定するために、両方のウイルスを連続的に、液体培養中のMaKS細胞に通過させた。両方のウイルスとも、MDCK細胞と比較して、MaKS細胞では、より不十分にしか複製しない(表2)ので、第1〜3継代まで、希釈せずに行い、第4〜13継代までは、1:1000希釈で行った。第8継代の後、いずれかの改変体により産生されたプラークの直径は、大きいもの(3mmより大きい)からより小さいもの(約1nm)に変化した。第10継代およびそれより高いものまでは、ウイルスをMDCK細胞でアッセイした場合、より小さなプラークしか存在しなかった(データは、示さず)。13の連続した継代の後、両方のウイルスは、MaKS細胞で増殖し得、ならびにMDCK細胞ではより良く増殖し得た(表2)。第13継代の後、各改変体から産生したウイルスストックを増幅し、それぞれ、AL3(MaKS)−13およびK4(MaKS)−13と名付けた。
レセプター濃度の減少により特徴付けられた細胞環境に対するウイルス適応の分子的基盤を決定するために、AL3(MaKS)−13およびK4(MaKS)−13ウイルスのHA遺伝子を逆転写し、cDNAをPCRによって増幅し、その後、得られた産物を配列決定した。2個の親ウイルス由来の対応するHA遺伝子と比較して、遺伝子のいずれもが、変異を含まなかった。
本発明の研究では、外性細菌シアリダーゼ活性およびウイルスNAに対する抗体の存在下でのインフルエンザAウイルスの継代が、ウイルスNA遺伝子の欠失につながる(Liuら、1993;Liuら、1995;Yangら、1997)。さらに、このような継代により入手したNA変異体は、シアル酸残基に対する分子の親和性を減少させるHAタンパク質中の補償的変異体(Hughesら、2000)の結果として、外性のシアリダーゼ活性を欠損する細胞培養中でならびに、卵中で、マウス中で、増殖し得た。本明細書に記載したように、インフルエンザAウイルスは、シアリダーゼ活性が消滅したNA遺伝子の大きな欠失変異体により、レセプターの発現が大きく減少した細胞内での増殖に適応し得る。ウイルスレセプターの減少が、理論上、レセプター結合HAタンパク質に影響し得るにもかかわらず、NA遺伝子のみが変化している。
(材料および方法)
(細胞)
293Tヒト胚腎臓細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)を補充したDulbecco培地中で維持し、Madin−Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞を、5%ウシ新生児血清を補充したEagle培地中で維持した。
RNAポリメラーゼIプロモーターおよびターミネーター(Pol1プラスミドと呼ばれる)の制御下で、A/WSN/33(H1N1)ウイルス遺伝子のcDNAを有するプラスミドおよびNeumannら(1999)に記載されたインフルエンザウイルスタンパク質を発現するpCAGGS/MCSプラスミドを使用して、インフルエンザAウイルスを産生した(図4B)。簡単に言えば、Pol1プラスミドおよびタンパク質発現プラスミドを、トランスフェクション薬剤、Trans IT LT−1(Panvera、Madison、WI)とともに混合し、室温で10分間インキュベートし、その後、Opti−MEM(GIBCO/BRL)で培養した1×106個の293T細胞を添加した。トランスフェクト後、48時間で、HAタンパク質を活性化するために、0.5μg/mlのトリプシンを培地に添加し、その後、37℃で1時間インキュベートした。次いで、上清を回収した。
NAFLAG遺伝子は、NA cRNAの5’非コード領域;細胞質末端領域(6アミノ酸)膜貫通領域(29アミノ酸)および柄領域(16アミノ酸)に対応するNAの51個のコドン(図4A);FLAGエピトープ(Asp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Lys:配列番号5);2個の連続した終止コドン(TAA TAG;配列番号6)およびNA cRNAの3’末端配列の185塩基を含む。この3’末端配列の長さは、短縮NA断片中で発見された最も短いものである。(Yangら、1997)。pPol1−NAFLAGWTは(ネガティブセンスNAFLAG RNAを産生し)、pT7Blue−NA(BsmB1部位により切断された全長A/WSN/33 NA遺伝子を含む)中のWSN NA遺伝子のヌクレオチド173〜1070(ポジティブセンスの)の欠失ヌクレオチドにより作成され、そして、FLAG配列、2個の終止コドンおよびStuI部位をPCRにより挿入することにより作成される。このフラグメントをStuIで消化し、自己連結させた。NAFLAG遺伝子を、BsmBIで切断し、pHH21のBsmBI部位に挿入した。
短縮NAタンパク質のC末端に付着したFLAGエピトープを検出するために、MDCK細胞を、このエピトープを有するウイルスで感染し、0.5μg/mlのトリプシンおよび100μU/mlのVibrio Choleraeシアリダーゼ(GIBCO/BRL)を含む0.6%アガロースでオーバーレイした。感染した細胞を、3%ホルムアルデヒド溶液で固定し、3%ホルムアルデヒド溶液中の0.1% TritonX100溶液を浸透させた。次いで、ベクタステインABCキット(Vector、Burlingame、CA)および抗FLAGモノクローナル抗体M2(Sigma)を一次抗体として、およびビオチン標識した抗マウスIgGを二次抗体として使用して、FLAGエピトープを検出した。WSNウイルス感染した細胞を同定するために、ウサギ抗WSN血清を一次抗体として使用した。
感染細胞を、ジゴキシゲニン(DIG)標識プローブとハイブリダイズし、DIG核酸検出キット(Roche)を用いて、製造者のプロトコールに従って染色した。FLAGエピトープをコードする核酸配列(GACTACAAGGACGACGATGACAAG;配列番号7)に相補的なオリゴヌクレオチド(100pmol)を、DIGオリゴヌクレオチドテーリングキット(Roche)により、37℃で6時間標識した。ウイルス感染細胞を、3%ホルムアルデヒド溶液で固定し、3%ホルムアルデヒド溶液中の0.1%Triton−X 100で浸透させ、そしてプレハイブリダイゼーション緩衝液(5×SSC、1%(検出キットの)ブロック試薬、0.1%N−ラウロイルサルコシン、0.02%ドデシル硫酸ナトリウム[SDS]、0.1mg/ml(検出キットの)ポリ(A)−DNA含有)中で、65℃で30分間プレハイブリダイズした。オリゴヌクレオチドプローブ(10pmol)を、プレハイブリダイゼーション緩衝液に加え、そして55℃で1時間ハイブリダイズした。ハイブリダイズした細胞を、洗浄緩衝液(0.1Mマレイン酸、0.15M NaCl、0.3%Tween 20(pH7.5))で5分間洗浄し、1%ブロック剤によって室温で30分間ブロックし、そしてアルカリホスファターゼと結合した抗DIG抗体(1:500)と共に、室温で30分間インキュベートした。次いで、細胞を、洗浄緩衝液で洗浄し、そしてニトロブルーテトラゾリウムクロリド/5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−ホスフェート(NBT/BCIP)と共に、検出緩衝液(0.1M Tris−HCl、0.1M NaCl(pH9.5))中で、室温で3時間、暗所でインキュベートした。
NAFLAGWTウイルスまたはNAFLAGM(−)ウイルス(300プラーク形成単位[PFU])を、3×104PFUのNA(−)ウイルスと混合し、そしてサブコンフルエントなMDCK細胞に感染させる(0.01の多重感染)ために使用し、そして0.5μg/mlのトリプシンおよび100μU/mlのVibrio choleraeシアリダーゼを含有した倍地中で、72時間インキュベートした。回収したウイルスを、MDCK細胞を感染させるために使用した。この過程を、5回繰り返した。
(NA遺伝子セグメントを欠いたインフルエンザAウイルスは、生存可能である)
短縮型NA遺伝子の繰り返し継代後の維持は、ウイルス複製のためのその重要性を示唆した。NA RNAセグメントを有さない変異型インフルエンザAウイルスを産生するために、293T細胞に、vRNA(NA vRNAを除く)を産生し、そしてその9個の構造タンパク質を発現させるために、これをプラスミドでトランスフェクトした。293T細胞培養の上清を、MDCK細胞と共に、Vibrio Choleraeシアリダーゼ存在下でインキュベーションする際、プラーク(直径189±15.6μm)が観察された。液体培養において、このウイルス(NA(−)と呼ぶ)は、l05PFU/mlまで増殖した。従って、7つのvRNAセグメントだけを有するインフルエンザAウイルスは、生存可能であった。
短縮型NA遺伝子の、繰り返し継代後の安定的な維持についての分子的機序を理解するため、短縮型NA遺伝子を含むウイルスの増殖を、NA遺伝子の開始コドンを欠きNA(−)ウイルスをコードするウイルスと、比較した。変異型ウイルスNAFLAGWTを、逆遺伝学によって産生した。NAFLAGWTは、内部欠失を有するNA遺伝子、および短縮型NA遺伝子に融合したFLAGエピトープ配列を有する。NAFLAGWTは、105PFU/mlまで増殖し、そして、細菌シアリダーゼ存在下で、プラークを産生した。このプラークを、抗FLAGモノクローナル抗体または抗WSNポリクローナル抗体によって、免疫染色した(図4C)。NA(−)ウイルスまたはNAFLAGWTウイルスによって産生されたプラークを、抗WSN抗体で染色したが、後者のウイルスのプラークだけが、抗FLAG抗体で染まった。
短縮型NAタンパク質またはウイルスRNAのどちらが、効率的なウイルス複製に重要であるかを決定するため、NA開始コドンおよび別のインフレームのATGコドン(15番目のコドン)の両方を欠いたNAFLAGM(−)遺伝子を、構築した(図6A)。NAFLAGM(−)ウイルスによって産生されたプラークは、抗FLAG抗体で検出されず(図6B)、このタンパク質が翻訳されないことを示した。NAFLAGM(−)ウイルスが、NAFLAGM(−)遺伝子を保有することを保証するため、このウイルスによって産生されたプラーク上で、FLAG配列特異的プローブを用いて、インサイチュハイブリダイゼーションを行った。これらのプラークは、プローブに反応し、このウイルス中のNAFLAGM(−)遺伝子の存在を保証した。次いで、このウイルスの複製能力を、上述の7個のセグメントのウイルスと比較した。FLAG配列特異的プローブで標識したプラークのパーセンテージは、徐々に増加し(図7B)、プラークの80%近くが、5回の継代でFLAG配列陽性になった(図7A)。継代の間、短縮型NAタンパク質を発現するプラークの復帰突然変異体は存在しないことが、抗FLAG抗体による染色がなかったことから実証された。従って、ウイルスRNAそれ自体が、効率的なウイルス複製において重要な役割を果たすように見えるが、混合感染において、NAFLAGM(−)が優勢になる速度が、NAFLAGWTウイルスの場合よりも遅かったため、短縮型NAタンパク質もまた、効率的なウイルス複製において役割を果たし得る。
CK2−29およびE17Eウイルスの長い継代の後であってさえ(Hughesら,2000)、短縮型NA遺伝子は維持された。これは、ビリオン内へのvRNA組み込みのためのシグナル(すなわち、パッケージングシグナル)が、NA RNAセグメントのコード領域内に存在することを示唆する。この仮説を試験するため、eGFPコード配列を、短縮型NA遺伝子のインフレーム内の、NA配列が欠失した場所に挿入した。従って、NA−(183)GFP(157)と名付けたこの組換え遺伝子は、NA vRNAの3’非コード末端と、NAコード領域のN末端領域の61組のコドンと、eGFPコード領域と、NA vRNAの5’末端の185個のヌクレオチドを保有する。NA−(183)GFP(157)遺伝子を、対応する野生型NA遺伝子の代わりに保有するウイルスを、調製し、そしてプラークアッセイを行った(図8A)。プラークの90%以上が、eGFPを発現していた。これは、NA−(183)GFP(157)遺伝子が、ビリオンに組み込まれ、そしてウイルス複製の間維持されたことを示す(図8B)。この発見は、NS非コード配列に隣接するCAT配列が、5継代より多くは維持されなかったことを考えると、興味深い(Luytjesら,1989)。
何故、8個のRNAセグメントを有するウイルスが、7個のRNAセグメントを有するウイルスよりよく増殖するのかを理解するため、感染性ビリオン産生を、6個、7個、または8個のウイルスRNAセグメントを保有するウイルスの間で比較した(図9)。8個のセグメントのウイルスを産生するため、293T細胞を、正常なウイルス産生のための9個の構造タンパク質全てと8個のPolIプラスミドとについてのタンパク質発現プラスミドでトランスフェクトした。また、NS2産生を消失させる2つの変異を有するNS
PolIプラスミドを、使用した;従って、293T細胞から産生したウイルスは、複製の多重サイクルを受けない。さらに、HAタンパク質およびNAタンパク質の産生をそれぞれ消失させる変異を有するHA PolIプラスミドおよびNA PolIプラスミドを、使用した。これにより、遺伝子セグメントの消失の効果が、RNAセグメントだけに制限され、遺伝子産物に波及しない。7個のセグメントのウイルスの産生のためには、NA遺伝子のPolIプラスミドを除去し、一方、NAタンパク質の発現のためのプラスミドを含めた。6個のセグメントを有するウイルスを調整するために、HA RNAおよびNA RNAのプラスミドを省き、一方、HAタンパク質およびNAタンパク質の発現のためのプラスミドを含めた。
NA vRNAにおけるパッケージングシグナルに絞るため、3’コード領域または5’コード領域(vRNAセンス)におけるさらなる欠失を含む、短縮型NA遺伝子を有するウイルスを、調製した(図8A)。NA−(183)GFP(0)ウイルス(NAコード領域の5’末端を欠く)によって産生されるプラークのおよそ40%が、eGFPを発現した。一方、NA0G185ウイルス(NAコード領域の3’末端を欠く)によって産生されるプラークの1.8%しか、eGFPを発現しなかった。これらのデータは、NA
vRNAコード領域の3’末端が、ビリオンパッケージングのために重要であることを示す(図8)。
欠失構築物の作製により、ビリオンへのNAセグメントの組み込みをもたらすNAコード領域を、決定した。コード領域の両端が重要であることが見出されたが、NAコード配列の5’末端に対応するvRNAの3’末端は、他の端より重要であった。NSセグメントについては、NSコード配列の5’末端に対応するvRNAの3’末端は、他の端よりも、組み込みのために重要だと考えられる(図22)。対照的に、HAセグメント、Mセグメント、およびNPセグメントは、両端が重要であり、そしてPB2については、PB2コード配列の3’末端に対応するvRNAの5’末端が、重要である。これらの結果は、vRNAセグメント組み込みについて重要な配列が、コード領域内に配置され、従って、それぞれのセグメントに独特であることを示す。おそらく、これらの領域が、他のウイルスRNAと、塩基対形成によって相互作用し、8個のvRNAセグメントのセットのビリオン内への補充を導く。vRNAとウイルス成分との間のこの相互作用は、ウイルス特異的であり、この相互作用は、抗ウイルス化合物の開発の標的になり得る。
ウイルス内容物の正しい画像を得るため、電子顕微鏡断層撮影法を行った(図11A)。50nmの厚みのビリオンの画像を集めた。次いで、ビリオンの1つの分析を行い、ビリオン内容物の3D画像を再構築した。粒子内の構造(ロッド(rod))を、それぞれの構造を見分けるために色で示す(図11B〜図11F、上、横および下からの像を示す)。ロッドの像のほとんどは切断されているが、ロッドが中央に沿って切断される1つの像については、分子全体を示す。
(材料および方法)
(細胞)
293Tヒト腎性幹細胞およびCOS−7細胞を、10%ウシ胎仔血清および抗生物質を含有するダルベッコ改変イーグル最小必須培地(DMEM)中で維持した。Madin−Derbyイヌ腎臓(MDCK)細胞を、5%新生仔ウシ血清および抗生物質を含有するMEM中で培養した。細胞を、37℃で、5%CO2中で維持した。
各A/BキメラHApPolI構築物(1μg)を、Trans IT(Mirus)試薬を、他の4つのpCAGGSベースのプラスミド(3つのポリメラーゼサブユニット(PA、PB1、およびPB2)ならびにA/WSNウイルス(Neumannら,1991)の核タンパク質(NP)を発現する)(各1μg)と共に使用して、COS−7細胞内にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を、Vibrio choleraeシアリダーゼ(10U/ml)およびTPCK−トリプシン(2.5μg/ml)で、37℃で30分間処理した。次いで、細胞を、4%パラホルムアルデヒドで固定し、そして抗B/HA抗体および市販のABC検出キット(Vector laboratory)を用いて免疫染色した。また、赤血球吸着アッセイを行い、各HAのレセプター結合特性を評価した。簡潔に言うと、トランスフェクトされた細胞を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中の1%ニワトリ赤血球細胞懸濁液の中で、室温で30分間インキュベートし、次いで、観察の前に5回洗浄した。さらに、融合アッセイを行った。簡潔に言うと、トランスフェクトした細胞を、HEPES緩衝液(pH5.0)中で、37℃で5分間インキュベートし、その後、培養液中で7時間インキュベーションした。冷メタノールで固定した後、融合細胞を、上述のように免疫染色した。
ウイルスを、Neumannら(1999)に記載されるように、プラスミドベースのA/WSN逆遺伝学系またはプラスミドベースのB/Lee逆遺伝学系を使用して、産生した。プラスミドから産生した野生型遺伝子型を有するウイルスを、それぞれ、A/WSN−RまたはB/Lee−Rと名付け、比較のためのコントロールとして用いた。A/Bキメラウイルスを産生するため、pPolI−WSN−HAの代わりに、キメラHA PolI構築物を使用した。293T細胞から産生されたウイルスを、限界希釈により、生物学的に1回クローン化し、MDCK細胞内に、ストックウイルスを産生した。
ウイルス病原性を試験するため、セボフルランで麻酔した4週齢の雌BALB/cマウスを、A/Bキメラウイルスまたは野生型ウイルス(105TCID50/50μ1)で鼻腔内感染させた。死亡率および体重を、感染後14日間モニターした。感染3日後、幾匹かの感染マウスを、器官におけるウイルス力価を決定するため、安楽死させた。
(A/BキメラHA遺伝子の構築)
B型HAのA型ウイルス成分との適合性を決定するため、A/WSN遺伝子とB/Lee HA遺伝子との間に、一連のキメラ遺伝子を構築した(図14)。RNAセグメントの両端における非コード配列は、おそらく、RNA転写および複製のために、A型ウイルスとB型ウイルスとの間で相互転換可能である(Crescenzo−Chaigneら,1999;Desselbergerら,1980;Musterら,1981)ので、A型ウイルスの非コード配列およびB型ウイルス由来のコード配列全体を含むキメラHA遺伝子を、調製した(図14A、ANBH)。この構築物は、インタクトなB型HAタンパク質を産生する。次に、B型HAコード配列のシグナル配列および非コード配列がA型ウイルスのそれと変換されたキメラ遺伝子(ANSBH)を、調製した。この構築物はまた、細胞性シグナルペプチダーゼによるA型シグナルペプチドの除去後、インタクトなB型HAも産生する。同様に、キメラ遺伝子もまた、調製され、ここで、HAの膜貫通領域および細胞質領域コードする配列が、B型からA型に変換され(ANTBH)、従って、A/BキメラHAタンパク質をコードする。シグナルおよび膜貫通/細胞質領域の両方をコードする配列をB型からA型に変えた別のキメラ遺伝子(ANSTBH)を、調製した。この構築物は、ANTBHのキメラHAタンパク質のシグナルペプチド除去後と同じキメラHAタンパク質を生成する。さらに、キメラを、全てのB型由来の切断部位に相当する領域の上流の配列および全てのHAコード配列(ANBW)におけるAウイルス由来の下流領域の配列を含むように調製した。この構築物は、B型ウイルスのHA1領域およびA型ウイルスのHA2領域を含む、キメラHAタンパク質を生成する。最後に、ANBW構築物の範囲内で、シグナル配列がB型からA型に変え、ANBWが生じるものと同じHAタンパク質を生じるキメラ遺伝子を、調製した。
キメラHAの機能を評価するため、各pPolI HA構築物を、PA発現プラスミド、PB1発現プラスミド、PB2発現プラスミド、およびNP発現プラスミドと共に、A型ウイルスのCOS−7細胞にトランスフェクトした。キメラHA構築物の全ては、細胞表面上で発現した。これらのHAのレセプター結合活性を試験するため、血球吸着アッセイを、行った。トランスフェクトさせた細胞を、このアッセイの前に細菌性シアリダーゼで処理し、そのレセプター結合活性を妨害するHA多糖類の側鎖における末端のシアル酸を除去した(Luoら,1999)。ANBH発現細胞、ANSBH発現細胞、ANTBH発現細胞、およびANSTBH発現細胞は血球吸着したが、他の2つの発現細胞(ANBW発現細胞およびANSBW発現細胞)は、血球吸着しなかった(表3)。同様に、前者のHAは細胞融合を誘導したが、後者はしなかった。これらの結果は、前者のHAキメラは生物学的に機能的であり、一方、後者はそうではないことを示した(おそらく、構造的変異のため)。先行の報告から予測されるように、機能性B型HAは、インタクトな野生型B型HAセグメントから、A型ポリメラーゼ複合体およびNPによって生成され(表3)、B型プロモーター構造とA型ポリメラーゼ複合体との間の適合性を確認した。
インフルエンザAウイルス感染の間、キメラHA遺伝子が機能するか否かを決定するため、HA遺伝子をA/B HAキメラ遺伝子に置換した変異体WSNウイルスを、調製した。プラスミドベースの逆遺伝学は、約l07TCID50/mlの力価を有する野生型ウイルス(表3)を産生させた。pPolI−WSN−HAの代わりにpPolI−B−HAを使用した場合、感染性のウイルスは産生されなかった。生物学的に機能する4つのキメラHA構築物(表3)を、プラスミドトランスフェクト細胞の上清におけるウイルス力価から判断して異なった効率を有するにもかかわらず、感染性A型ウイルス中で首尾よくレスキューした。ANBH HAを保有するウイルスは、わずかしか複製されず、一方、ANSTBH HAを有するウイルスは、最高の効率で産生され、そして106TCID50/ml近くまで増殖した。生物学的に機能するタンパク質を発現しない他のキメラ分子は、ウイルス産生を支持しなかった。A/Bキメラウイルスを、ANBHウイルス、ANSBHウイルス、ANTBHウイルス、およびANSTBHウイルスと命名した。
A/B HAキメラウイルスの複製特性を決定するため、細胞を、0.01のMOIでウイルスに感染させ、そして生じたウイルスを、その増殖動態学について試験した(図15)。キメラHAを有するウイルスで、野生型Aウイルスよりよく増殖したウイルスはなかったが、ANSTBHウイルスおよびANTBHウイルスは、106TCID50/ml近くまで増殖した。A型およびB型の両ウイルスと違い、これらのキメラウイルスの全ては、免疫染色でのみ検出し得る正確なプラークを形成した(データは示さない)。
細胞培養中のA/Bキメラウイルスの制限された複製は、これらのウイルスが、インビボで弱毒化されたことを示唆する。従って、マウスを、A/B HAキメラウイルス(l05TCID50/50μ1)で鼻腔内接種した。ストックの力価が低すぎた(約103TCID50/ml)ので、ANBHウイルスは試験しなかった。試験した他の3つのキメラウイルスのどれも、マウスに致死性ではなかった。他方、同用量の野生型Aウイルスは、全ての感染マウスを殺傷し、同用量の野生型Bウイルスは、8匹の感染マウスのうち7匹を殺傷した(表4)。キメラウイルスを、接種3日後に、肺および鼻甲介から回収し、これらのウイルスがマウス内で複製されたことを示した。興味深いことに、キメラウイルスの複製は、肺において野生型ウイルスと比較してより強く制限され、そして鼻甲介において野生型ウイルスと比較してより弱く制限される。このことは、肺におけるウイルス複製レベルと致死性との間の関連性を示唆する。ANTBHキメラウイルスおよびANSTBHキメラウイルスで感染させたマウスは、野生型Aウイルスで感染させたマウスと比較して低い程度ではあるが、体重を減少した。合わせて、これらのデータは、A/B HAキメラウイルスは、マウスにおいて弱毒化されることを示す。
A/B HAキメラウイルスが、B型ウイルス由来のHA外部ドメインを発現するため、これらのウイルスは、野生型Bウイルス感染に対し、感染防御免疫応答を提供することが予測される。誘発実験の前に、抗B抗体が、キメラウイルスの感染後に、マウスにおいて誘発されるか否かを決定した。接種3週間後、キメラウイルスで感染させたマウス由来の鼻腔/気管洗浄サンプル中のB型ウイルス特異的IgA抗体および血清サンプル中のIgG抗体を、ELISA試験によって検出した(図16A)。HI抗体もまた、A/B HAキメラウイルス感染マウス由来の血清サンプル中で検出した(図16B)。従って、特定の抗体応答を、キメラウイルスで感染した全てのマウスにおいて実証した(ANSBHウイルスは、より低い免疫応答しか誘発しなかった)。
本明細書中で記載されるように、第1回目について、A型ウイルスの背景の中にA型HAの代わりにB型HAを有するインフルエンザウイルス(従って、A型ウイルスタンパク質およびB型ウイルスタンパク質の両方を有する)を、産生した。何がA/B HAキメラウイルスの産生のために不可欠であるか?このキメラ遺伝子は、ビリオンを維持するように転写され、かつ複製されなければならない。同じウイルス型で保存されているが、RNA転写およびRNA複製において必要とされるプロモーター配列を含む非コード領域の
両端における末端配列(Luytjesら,1989)が、A型RNAセグメントとB型RNAセグメントとの間で異なっている(Crescenzo−Chaigneら,1999;Desselbergerら,1980)。しかし、先行研究は、B型ウイルスNSセグメントの非コード配列に隣接されるレポーター遺伝子が、A型ポリメラーゼによって転写され、そして複製されたことを示している(Musterら,1991)。さらに、A型ウイルスNAのコード配列およびB型ウイルスNSの非コード配列を含むキメラ遺伝子を含むキメラA/Bインフルエンザウイルスを、産生した(Musterら,1991)。これらのデータは、A型ポリメラーゼ複合体が、A型ウイルス遺伝子のプロモーターより低い相同性であるにもかかわらず、B型NS遺伝子のプロモーター配列を認識したことを示した。
(材料および方法)
(細胞およびウイルス)
293Tヒト腎臓幹細胞(サルウイルス40T抗原の遺伝子が挿入された293株の誘導体)を、10%ウシ胎仔血清(FCS)で補充したダルベッコ改変イーグル培地内で維持した。ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、およびMadin−Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞について、5%のFCSを含有するDMEM、ならびに10%および5%の新生仔ウシ血清を含有するMEMを、それぞれ使用した。全ての細胞を、5%CO2中で37℃で維持した。A/WSN/33(H1N1)(WSN)ウイルスを、Neumannら(1999)に記載されるように、逆遺伝学によって産生し、そしてMDCK細胞内で増殖させた。逆遺伝学によって産生したVSVインディアナ(Indiana)株を、BHK細胞内で増殖させた。
インフルエンザウイルス様粒子(VLP)および変異体インフルエンザAウイルスの産生のために、ヒトRNAポリメラーゼIプロモーターおよびマウスRNAポリメラーゼIターミネーターの制御下(PolIプラスミドと呼ぶ)のWSNウイルス遺伝子のcDNAを有するプラスミド、および真核生物タンパク質発現ベクターpCAGGS/MCS(ニワトリβ−アクチンプロモーターによって制御される)を、使用した。簡潔には、PolIプラスミドおよびタンパク質発現プラスミドを、トランスフェクション薬剤と混合した。Trans IT LT−1(Panvera、Madison、WI)を、15分間室温でインキュベートし、Opti−MEM I(GIBCO/BRL)中で培養した1×106の293T細胞に加えた。6時間後、DNAトランスフェクション薬剤混合物を、0.3%BSAおよび0.01%FCS含有Opti−MEM Iと置換した。48時間後、上清中のVLPまたは変異体インフルエンザAウイルスを、回収した。この研究において産生されたトランスフェクト体は、全て、変異体HA vRNAセグメントを、WSNウイルスの他のvRNAセグメントと共に含み、そして変異体HA vRNAセグメントの名で命名される(例えば、HA(0)GFP(0)RNAセグメントを含むVLPは、HA(0)GFP(0)VLPと名付けられる)。
HA vRNAの3’非コード領域、増強緑色蛍光タンパク質(GFP、Clontech)の相補的コード配列、およびHA vRNAの5’非コード領域を含むネガティブ−センスRNAを産生するために、pPolIHA(0)GFP(0)を使用した。簡潔には、GFP遺伝子を、BsmBI部位およびHAの3’非コード配列または5’非コード配列を含むプライマーを用いたPCRによって増幅し、BsmBIで切断し、そしてPolIプラスミドのBsmBI部位内にクローン化した。このプラスミドの細胞への導入は、GFPコード配列をネガティブ−センス方向でHA vRNAの5’非コード領域および3’非コード領域に隣接して含むRNAを生じる。
NA遺伝子の203〜1109(ポジティブセンス)に対応する、pT7Blue−NA中の領域を、まず、逆PCRによってBglIIと置換した。次いで、GFP遺伝子を、このBGlII部位および1226位(野生型NA遺伝子において)のStuI部位内に、NAタンパク質のインフレームでクローン化した。次いで、NA(183)GFP(157)遺伝子を、PolIプラスミドpHH21のBsmBI部以内に挿入した。
インフルエンザVLPによる感染の16時間後、細胞を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、そして3.7%ホルムアルデヒド(PBS中)で室温で20分固定し、その後、0.1%TritonX−100で処理し、そして加工した。VLP産生の効率を試験するため、106個の細胞を、プラスミド−トランスフェクトした293T細胞の培養上清0.1mlと共にインキュベートし、そして免疫染色アッセイによって検出したNP陽性細胞の数を、感染16時間後に記録した。
VLPまたは変異ウイルスを、4℃で、50,000×gで1.5時間遠心沈殿した。濃縮したVLPまたは濃縮したウイルスを、溶解緩衝液(0.6M KCl、50mM Tris−HCl(pH 7.5)、0.5%Triton X−100)中に懸濁した。溶解緩衝液を、15%SDS−ポリアクリルアミドゲルに置き、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)メンブレン上にエレクトロトランスファーし、PBS中の5%スキムミルクで、4℃で一晩ブロックし、抗WSNウイルスポリクローナル抗体、抗HAモノクローナル抗体、または抗VSVGモノクローナル抗体と共に、室温で1時間インキュベートした。このメンブレンを、0.05%Tween−20含有PBSで3回洗浄した。結合した抗体を、VECTASTAIN ABCキット(Vector)およびKonica immunostaining kit(Konica)を用いて検出した。
PolIプラスミドにトランスフェクトさせた293T細胞中に存在するvRNAを、トランスフェクションの24時間後、Isogen RNA抽出キット(Nippon Gene、Tokyo、Japan)を用いて抽出した。RNAを、グリオキサール/DMSO/リン酸緩衝液中で、50℃で1時間グリオキシル化し、10mMリン酸化緩衝液(pH 7.0)中で、1.0%アガロースゲル上の電気泳動によって分離した。RNAを、ナイロンメンブレン上にブロットし、そしてDIGオリゴヌクレオチドテーリングキット(Roche)を使用して標識したGFP配列に相補的なオリゴヌクレオチドプローブ(ATGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCATCAAGG;配列番号8)(10pmol)で、37℃で30分間ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションを、GFPプローブを用いて、Easy Hyb(Roche)中で、42℃で一晩行った。RNAのバンドを、DIG核酸検出キット(Roche)を使用して、検出した。簡潔には、ハイブリダイズしたメンブレンを、洗浄緩衝液(0.1Mマレイン酸、0.15M
NaCl、0.3%Tween20(pH7.5))で洗浄し、1%ブロッキング試薬で室温で30分間ブロックし、そしてアルカリホスファターゼと結合する抗DIG抗体(1:5000)と共に、室温で30分間インキュベートした。次いで、このメンブレンを、洗浄緩衝液で洗浄し、そしてニトロブルーテトラゾリウムクロリド/5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸(NBT/BCIP)と共に、検出緩衝液(0.1M Tris−HCl、0.1M NaCl、pH 9.5)中で、室温で暗所でインキュベートした。RNAバンドを、DIG核酸検出キット(Roche)を使用して、検出した。コントロールRNAを、偽トランスフェクトした293T細胞から抽出した。
24ウェルプレートの2連のウェル中のBHK、CHO、またはMDCK細胞を、ウイルスで感染させ、0.01%FCS含有のMEM培地をかぶせ、そして37℃でインキュベートした。別々の時期に、上清を、MDCK細胞上のプラークアッセイにおいて、感染性ウイルスについてアッセイした。
(HA vRNAのコード領域は、ビリオン内へのHAセグメントの取り込みに必要である)
HA vRNAのコード領域が、NA vRNAに関して、そのビリオン取り込みに必要であるか否かを決定するため、2つのプラスミドを構築した:HA vRNAの3’非コード領域および5’非コード領域ならびにGFPコード配列しか含まないpPolIHA(0)GFP(0)、およびヌクレオチド500位〜1218位でHA配列が欠失した後でGFPコード配列がHA遺伝子内にインフレームで(ポジティブセンスまたはポジティブ方向で)挿入されるpPolIHA(468)GFP(513)(図17)。後者の構築物は、3’HA非コード領域(33ヌクレオチド)、N−末端コード領域に対応する468ヌクレオチド、停止コドンを有するGFPオープンリーディングフレーム、C−末端HAコード領域に対応する513ヌクレオチド、および5’HA非コード領域 (45ヌクレオチド)を保有する。生じた融合タンパク質は、HAのN−末端156アミノ酸およびGFP配列全長を含む。
以前に、NA vRNAコード領域の3’端が、5’端よりも、ビリオン取り込みにおけるより重要な役割を果たすことを示した。従って、3’端、5’端、または両端のいずれが、HA vRNAセグメントのビリオン内への取り込みに重要であるかを、決定した。この問題に取り組むために、HA vRNAコード領域の3’末端を欠失したHA(0)GFP(1011)遺伝子、およびHA vRNAコード領域の5’末端を欠失したHA(966)GFP(0)遺伝子を調製し(図17)、そしてこれらのHA vRNAのビリオン取り込みを、上述のように試験した。プラスミド−トランスフェクト細胞中の両vRNAの量は、HA(468)GFP(513) vRNAの量に匹敵し得る(データは示さない)が、HA(0)GFP(1011)およびHA(966)GFP(0)の両セグメント取り込み効率は、それぞれわずか6.8%および8.4%であった(図17)。このことは、HA vRNAコード領域の3’末端および5’末端が、HAセグメントのビリオン取り込みにおいて、重要な役割を果たすことを示す。
HAセグメントがビリオンに取り込まれるために必要な配列が決定されたため、これらの配列に隣接する外来遺伝子が、インフルエンザAウイルスに取り込まれ、繰り返し継代の間維持され得るか否かを試験した。外来遺伝子のモデルとしては、VSV Gコード配列を、GFP配列の代わりに、pPolIHA(9)GFP(80)のBamHI部位およびXbaI部位の中に挿入した。生じた構築物を、pPolHA(9)VSVG(80)と名付けた。これは、3’HA非コード領域(33ヌクレオチド)、N−末端HAコード領域に対応する9ヌクレオチド、停止コドンを有するVSV Gオープンリーディングフレーム(1552ヌクレオチド)、C−末端HAコード領域に対応する80ヌクレオチド、および5’HA非コード領域(45ヌクレオチド)を有した。コントロールとして、1つのベクターを構築した。このベクター、pPolIHA(0)VSVG(0)は、3’非コード領域および5’非コード領域だけを保有し、HA vRNAコード領域を有さない。VSV Gタンパク質は、HAタンパク質およびNAタンパク質の両方と置換されるべきであるため、NAコード領域は、外来遺伝子と置換され得る。従って、GFPコード配列およびNAセグメントの効果的なビリオン取り込みに必要なNAコード配列を有する組換えNA RNAセグメントの産生のために、pPolINA(183)GFP(157)Met(−)を、構築した。この構築物において、NAオープンリーディングフレームの開始コドンを、ATGからGCGへの置換によって破壊した。従って、GFPオープンリーディングフレームは、自身の開始コドンから翻訳される。
培養上清中のウイルスの収量を、MDCK細胞に対するプラークアッセイによって、37℃での感染後の種々の時点で決定した。WSNウイルスの力価よりも低いとはいえ、BHK細胞およびMDCK細胞の両方におけるVSVG(HA)GFP(NA)ウイルスの最大力価は、1mlあたり少なくとも106PFUに達した(図21)。CHO細胞におけるWSNウイルスの乏しい増殖とは対照的に、VSVG(HA)GFP(NA)ウイルスは、これらの細胞においても、試験した他の2つの細胞株と同様に増殖した(図21)。さらに、細胞株の各々における複製の間に、VSVG(HA)GFP(NA)ウイルスに感染した細胞は、GFPを発現した。
ゲノムパッケージング機構の決定は、インフルエンザウイルスの生活環を理解するため、および外来タンパク質の発現用のインフルエンザウイルスベースのベクターの開発のために重要である。本研究では、HA vRNAにおけるコード領域の3’末端および5’末端の両方における配列が、このセグメントのビリオンへの効率的な取り込みに必要とされることが実証された。さらに、この知見を用いて、HA vRNAおよびNA vRNAのそれぞれのビリオン取り込みに必要な配列と隣接した、VSV GおよびGFPのコード配列を含む2つの組換えRNAセグメントを保有する新規のインフルエンザベースのウイルスを作製して、2つの外来遺伝子の安定な発現を実証した。
gp160で、NAはgagで、そしてM2はnefで置換され得る。得られる組換えインフルエンザウイルスは、ワクチンとして、または別のHIVワクチン(例えば、HIV DNAワクチン)のためのブースターとして用いられて、粘膜免疫を含めて免疫を増強または誘導し得る。あるいは、ワクチンは、NAコードセグメントが別の病原体のコードセグメント(例えば、ヘルペスウイルスの糖タンパク質D)で置換されている、組換えインフルエンザウイルスに基づく多価ワクチンであり得、このワクチンは、インフルエンザウイルス感染およびヘルペスウイルス感染に対する防御免疫応答をもたらし得る。
Gタンパク質は、基底外側表面へと輸送される。本研究では、HAタンパク質およびNAタンパク質の代わりにVSV Gを保有する組換えVSVG(HA)GFP(NA)ウイルスを、成功裏に作製した。しかし、この組換えウイルスのVSV Gタンパク質は、点変異に起因して、細胞質ドメインの最後の13残基を欠いていた。細胞質ドメインにおけるこれらの13残基の欠失は、基底外側表面よりも先端表面へとより効率的に輸送されるタンパク質を生じることが公知である。それゆえ、VSVG(HA)GFP(NA)ウイルス中のVSV Gタンパク質へと導入された変異は、先端表面へのその効率的な輸送を促進して、VSVG(HA)GFP(NA)ウイルスの効率的な出芽をもたらすようであった。
図26に図示されるように、タンパク質(例えば、NS2)をコードするインフルエンザウイルス様RNAを構成的に発現する細胞株が作製され得るが、このRNAは、取り込みシグナルを欠く。NS2コード配列を欠くウイルス(NS2 KO)もまた調製され得る(Neumannら,2000;Watanabeら,2002)。NS2 KOウイルスが正常細胞に感染した場合、子孫のウイルスは生成されない。なぜなら、このウイルスはNS2を欠くからである。対照的に、NS2 KOウイルスが、NS2をコードするが取り込みシグナルを欠くインフルエンザウイルス様RNAを発現する細胞に感染した場合、NS2は、ウイルス感染の際に発現され、そして子孫NS2 KOウイルスが生成される。しかし、NS2をコードするインフルエンザウイルス様RNAは、NS2 KOウイルス中に組み込まれない。なぜならこれは、ビリオン取り込みシグナルを欠くからである。従って、NS2 KOは、正常細胞において複製能力がないままである。この系は、複製能力のないウイルスのためのプロデューサー細胞の産生のために用いられ得る。この系を用いて、細胞に対する毒性がウイルスタンパク質を構成的に発現する細胞株の生成を代表的に抑制するウイルスタンパク質を発現するプロデューサー細胞が作製され得る。従って、本願においては、ビリオン取り込みシグナルの知見を用いて、特定のセグメントがビリオン中に組み込まれるのを可能にしない系を設計し得る。
Claims (24)
- インフルエンザウイルスHA vRNAの3’非コード領域および3’HA組み込み配列を含むHAコード配列に相当する配列、
遺伝子産物をコードする異種オープンリーディングフレームについての核酸セグメント、ならびに
5’HA組み込み配列およびHA vRNAの5’非コード領域を含むHAコード配列を含む、インフルエンザウイルス組み込み配列を含むインフルエンザウイルスベクターであって、
ここで、3’HA組み込み配列を含む該HAコード配列は、5’HAコード配列の少なくとも3ヌクレオチドを含み、そして該5’HA組み込み配列を含む該HAコード配列は、3’HAコード配列の1011ヌクレオチドを超えては有さず、そして該ベクターにおける該HAコード配列は、機能的HAをコードしない、ベクター。 - 請求項1に記載のベクターであって、前記5’HA組み込み配列が、HAの80個の3’コードヌクレオチドに相当する少なくとも80個のヌクレオチドを含む、ベクター。
- 請求項1に記載のベクターであって、前記5’HA組み込み配列が、HAの291個の3’コードヌクレオチドに相当する少なくとも291個のヌクレオチドを含む、ベクター。
- 請求項1に記載のベクターであって、前記3’HA組み込み配列が、HAの最初の9個のコードヌクレオチドに相当する少なくとも9個のヌクレオチドを含む、ベクター。
- 前記異種核酸セグメントが、内部リボソーム侵入配列に相当する配列を含む、請求項1に記載のベクター。
- 前記異種核酸セグメントが、免疫原性タンパク質もしくは病原体のペプチド、または治療タンパク質のオープンリーディングフレームに相当する配列を含む、請求項1に記載のベクター。
- 前記組み込み配列が、A型インフルエンザウイルスに由来する、請求項1に記載のベクター。
- 前記組み込み配列が、B型インフルエンザウイルスに由来する、請求項1に記載のベクター。
- 前記異種核酸セグメントが、他の核酸セグメントと融合して融合タンパク質をコードする、請求項1に記載のベクター。
- 請求項1に記載のベクターに相当するvRNAを含む、組換えインフルエンザウイルス。
- 前記異種核酸セグメントが、マーカー遺伝子のオープンリーディングフレームに相当する配列、免疫原性タンパク質もしくは病原体のペプチドのオープンリーディングフレームに相当する配列または治療タンパク質に相当する配列を含む、請求項10に記載の組換えウイルス。
- 前記オープンリーディングフレームが、NAタンパク質をコードする、請求項10に記載の組換えウイルス。
- 前記異種核酸セグメントが、膜貫通タンパク質のオープンリーディングフレームに相当する配列、膜融合活性を有するタンパク質のオープンリーディングフレームに相当する配列、またはウイルスカプシドタンパク質のオープンリーディングフレームに相当する配列を含む、請求項11に記載の組換えウイルス。
- 前記異種核酸セグメントが、小胞性口内炎ウイルスGタンパク質のオープンリーディングフレームに相当する配列またはHAタンパク質に相当する配列を含む、請求項11に記載の組換えウイルス。
- 前記HAタンパク質が、B型HAタンパク質である、請求項14に記載の組換えウイルス。
- 細胞において異種核酸セグメントを発現する方法であって、該方法は、以下:細胞を請求項10の組換えウイルスと接触させる工程、および該異種核酸セグメントにコードされる産物が細胞内で発現しているか否かを検出または決定する工程を、包含する方法。
- 前記ベクターに対応するvRNAは、前記細胞に存在する場合、対応する野生型vRNAの効率の少なくとも10%の効率でビリオン中にパッケージングされる、請求項1に記載のベクター。
- 前記ベクターに対応するvRNAは、前記細胞に存在する場合、対応する野生型vRNAの効率の少なくとも30%の効率でビリオン中にパッケージングされる、請求項1に記載のベクター。
- 前記ベクターに対応するvRNAは、前記細胞に存在する場合、対応する野生型vRNAの効率の少なくとも60%の効率でビリオン中にパッケージングされる、請求項1に記載のベクター。
- インフルエンザウイルスHA vRNAの3’非コード領域および3’HA組み込み配列を含むHAコード配列に相当する配列、
遺伝子産物をコードする異種オープンリーディングフレームについての核酸セグメント、ならびに
5’HA組み込み配列およびHA vRNAの5’非コード領域を含むHAコード配列を含むベクターであって、
ここで、3’HA組み込み配列を含む該HAコード配列は、5’HAコード配列の少なくとも3ヌクレオチドを含み、そして該5’HA組み込み配列を含む該HAコード配列は、3’HAコード配列の1011ヌクレオチドを超えては有さず、そして該ベクターにおける該HAコード配列は、機能的HAをコードしない、ベクター。 - インフルエンザウイルスHA vRNAの3’非コード領域および3’HA組み込み配列を含むHAコード配列に相当する配列、
遺伝子産物をコードする異種オープンリーディングフレームについての核酸セグメント、ならびに
5’HA組み込み配列およびHA vRNAの5’非コード領域を含むHAコード配列を含む、インフルエンザウイルス組み込み配列を含むベクターであって
ここで、3’HA組み込み配列を含む該HAコード配列は、5’HAコード配列の966ヌクレオチドを超えては含まず、そして該5’HA組み込み配列を含む該HAコード配列は、3’HAコード配列の少なくとも54ヌクレオチドを有し、そして該ベクターにおける該HAコード配列は、機能的HAをコードしない、ベクター。 - インフルエンザウイルスHA vRNAの3’非コード領域および3’HA組み込み配列を含むHAコード配列に相当する配列、
遺伝子産物をコードする異種オープンリーディングフレームについての核酸セグメント、ならびに
5’HA組み込み配列およびHA vRNAの5’非コード領域を含むHAコード配列を含むベクターであって、
ここで、3’HA組み込み配列を含む該HAコード配列は、5’HAコード配列の966ヌクレオチドを超えては含まず、そして該5’HA組み込み配列を含む該HAコード配列は、3’HAコード配列の少なくとも54ヌクレオチドを有し、そして該ベクターにおける該HAコード配列は、機能的HAをコードしない、ベクター。 - 前記5’HA組み込み配列は、3’HAコード配列の513ヌクレオチドを超えては有しない、請求項1または20に記載のベクター。
- 前記3’HA組み込み配列は、5’HAコード配列の468ヌクレオチドを超えては有しない、請求項21または22に記載のベクター。
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