JP4926090B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
この離散周波数雑音は、クロスフローファンの軸方向に垂直な断面における風量変動や圧力変動が、クロスフローファンの軸方向に関してそろっている程大きくなる。即ち、離散周波数雑音は、クロスフローファンを貫流する気流において、クロスフローファンの軸方向に垂直な断面の風量変動や圧力変動が発生する位置やタイミング(同時性)が、クロスフローファンの軸方向に関して均一である(強い)程大きくなる。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機の側断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る空気調和機のスクロール部の斜視図である。図3はこの発明の実施の形態1に係る空気調和機の吹出口での気流の風量及び向きを表す図、図4は比較例の空気調和機の吹出口での気流の風量及び向きを表す図、図5はこの発明の実施の形態1に係る空気調和機における最大壁面間距離δ/スクロール部長さLと消費電力との関係を示す図である。
ディフューザ6は、スクロール部7A及びスタビライザ8により構成されている。スクロール部7Aは、軸方向を水平にして配置された円柱状の羽根車5の背面側に設けられ、意匠パネル2が、スクロール部7Aの上端部から、羽根車5の上部を覆って羽根車5の前面側にアーチ状に張り出すように配設されている。このとき、意匠パネル2及びスクロール部7Aの長手方向は、羽根車5の軸方向に平行に配置される。また、羽根車5は軸周りに回転自在に配設されている。なお、詳細には図示しないが、羽根車5の外周面は、周方向に所定のピッチで設けられた羽根により構成されている。また、吸込口2aが、意匠パネル2の前面と上面に桟状に形成されている。以降、羽根車5の軸方向を単に軸方向とする。
以下、気流方向と直交する通風路10の断面を通風路断面とし、軸方向に垂直な断面を通風路側断面として説明する。
図3では、吹出口11での軸方向の所定箇所を通過する気流ごとの風量及び向きが、風量の大きさに比例する長さを有する矢印付きの直線で視覚的に表されている。矢印が下向きにある場合は、気流が吹出口11から室内に放出されている状態を示す。そして、図3に示されるように、気流は、吹出口11の軸方向の全域に亘って、略均一な風量分布で室内に放出されていることが確認された。
まず、一般的に、羽根車5を貫流した気流は、羽根車5の軸方向の両端で風量が減少する。しかし、上述したように、空気調和機1Aの通風路10では、軸方向の中央部と両端部の静圧の差により中央部から両端部に向かわせる力が気流に働く。これにより、羽根車5の下流側の通風路10では、軸方向の両端側での風量が羽根車5の貫流直後の気流の風量の減少分を補うように増大される。従って、通風路10では、気流の風量は、軸方向に亘って均一化する。さらに、気流を遮るように吹出口11に突出する壁面もないので、吹出口11に到達された気流は、静圧を吹出口11で動圧を上昇させるように再変換することなく放出される。以上により、吹出口11から放出される気流の風量分布は軸方向の全域に亘って略均一になったものと判断される。
なお、図示しないが、吸込口2aのフィルタが目詰まりを起こしていない比較例の空気調和機についても吹出口11から放出される気流の風量分布を測定したところ、吹出口11の軸方向の両端側ほど風量が減少することが確認された。
比較例の空気調和機では、図4に示されるように、吹出口11における軸方向の両端において、気流が逆流して通風路10内に入りこむことが確認された。
上述したように、吹出口11の軸方向の両端から放出される気流の風量は、吸込口2aのフィルタが目詰まりを起こしていないときでも減少する。これに加え、吸込口2aのフィルタが目詰まりを起こし、吸込口2aでの圧力損失が大きくなると、気流を吹出口11から放出させようとする力が弱くなり、吹出口11における軸方向の両端では、気流が逆流して通風路10内に入りこむものと判断される。
ここで、羽根車5の軸心を含む平面が交差する案内壁面7aの一端又は他端の部位(端部)と羽根車5の軸心との間の距離を第1長さとし、当該平面が交差する案内壁面7aの軸方向の中央部の部位と羽根車5の軸心との間の距離を第2長さとする。そして、第1長さと第2長さの差をαとしたとき、図1に示されるように、羽根車5の軸心を含む平面が案内壁面7aの羽根車5の背後の部位から吹出口11側の端部に至る全領域と交差するように、当該平面を羽根車5の軸心まわりに回転させた場合に、当該平面の各回転角度毎に得られる差αの最大値を最大壁面間距離δとする。また、図2に示されるように、スクロール部7Aの軸方向の長さをスクロール部長さLとする。
空気調和機1Aの消費電力は、δ/Lを0から0.02まで変化させて測定した。比較例の空気調和機の消費電力を100としたときの空気調和機1Aの消費電力を図5に示す。
図5に示されるように、案内壁面が平面である(δ/L=0である)比較例の空気調和機の消費電力に対して、空気調和機1Aの消費電力は測定したδ/Lの全範囲で小さくなった。
δ/Lが0より大きないずれの値においても、通風路側断面における通風路面積は、案内壁面7aの軸方向の両端を除けばδ/Lが0のものと比較して大きくなる。従って、軸方向の各位置における通風路側断面が大きくなった空気調和機1Aでは、比較例の空気調和機に比べ、通風路10における動圧が減少する。これにより、空気調和機1Aでは、吹き出し気流の動圧損失が抑制され、消費電力が比較例の空気調和機に対して減少したものと判断される。
そして、δ/Lを0.0015から0.003に向けてさらに増大させた場合、案内壁面7aから剥離される気流は僅かである一方で、軸方向の各位置における通風路側断面の通風路面積が増大する。従って、δ/Lの増大に伴って、消費電力の低減効果が徐々に現れて、消費電力が比較例の空気調和機に対して減少したものと判断される。
そして、δ/Lが0.003以上では、軸方向の各位置における通風路側断面の通風路面積が大きくなるのに起因した消費電力の低減量と、気流が案内壁面7aから剥離されるのに起因した消費電力の増大量とが打ち消しあい、δ/Lの増大に伴う消費電力の低下が抑制されるものと判断される。以降、δ/Lが0.01に達するまで、軸方向の各位置における通風路側断面の通風路面積が大きくなるのに起因した消費電力の低減量と、気流が案内壁面7aから剥離されるのに起因した消費電力の増大量とが打ち消しあい、消費電力が最小値のまま推移するものと判断される。
また、案内壁面7aは、通風路10の外側への突出量が、軸方向の中央部から軸方向の両端部に向かって漸次減少する通風路断面の壁面形状を、羽根車5の背後から吹出口11側の端部近傍まで連続するように形成されている。さらに、案内壁面7aは、吹出口11側端部近傍から吹出口11に向かって、通風路断面における軸方向の中央部と両端部の通風路10の外側への突出量の差を漸次縮小し、軸方向に亘って同じ高さに形成された吹出口11の端部と連結するように形成されている。
即ち、スクロール部の案内壁面が平坦な比較例の空気調和機では、吸込口2aが目詰まりを起こして吸込口2aの圧力損失が大きくなると、図4に示されるように軸方向の端部において気流の逆流が生じる。つまり、気流の風量が少ない吹出口11の両端部では、比較例の空気調和機の内部に外部の空気が流れ込みやすくなる。気流が通風路10内に逆流する場合、以下の問題が発生する。比較例の空気調和機が冷房運転を行っている時に、室内の湿った暖気が通風路10内に逆流すると、暖気が熱交換器3で冷やされて熱交換器3に結露が生じる。この結露が多量になると、羽根車5の風力により、吹出口11から、水滴が滴下される。
図6はこの発明の実施の形態2に係る空気調和機のクロスフローファンに駆動モータが連結された状態を示す斜視図、図7はこの発明の実施の形態2に係る空気調和機における(スクロール部7Bの一端と側断面最大位置との間の長さx)/スクロール部長さLと消費電力との関係を示す図である。なお、図6において、上記実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
また、図6では、通風路側断面における通風路面積が最大となるスクロール部の軸方向の位置を破線で示している。
図6において、空気調和機1Bは、通風路側断面におけるスクロール部7Bの通風路10側の壁面(以降、案内壁面7bと記載する)の壁面形状が、通風路10の外側に凸状の曲線であり、さらに、吹出口11側の端部の高さが、軸方向に亘って同じになっている。
これにより、スクロール部7Aの軸方向の中央部で通風路側断面の通風路面積が最大となるように形成された案内壁面7aに比べ、案内壁面7bの一端側の軸方向の傾斜は急となる。以下、通風路側断面における通風路面積が最大となる案内壁面7bの所定部位の軸方向の位置を側断面最大位置とする。
そして、羽根車5を軸まわりに回転させる駆動力を供給する駆動モータ13が、羽根車5の一方の側壁5aの外面と相対するように羽根車5の外部に配置されている。また、連結軸14の一端が駆動モータ13に連結され、連結軸14は、駆動モータ13の駆動力により軸まわりに回転するようになっている。
そして、側壁5aの挿通孔5bに挿通された連結軸14の他端が、ファンボス16の孔に挿入されて、ファンボス16に固定されている。このとき、連結軸14は羽根車5と同軸に配置されている。
他の構成は、上記実施の形態1と同様に構成されている。
なお、図6では、羽根車5を側壁5aにより開口が塞口された円筒状に図示しているが、羽根車5の外周面に周方向に所定のピッチで配設された羽根(図示せず)の付け根は、径方向に関し、羽根車5の外周面から羽根車5の軸心側に所定距離侵入したところに配置されている。
上記のように連結軸14と羽根車5との間の連結が、側壁5aの内面に固定されたファンボス16を用いて行われる場合、羽根車5の軸方向のファンボス16側の端部近傍では、気流が羽根車5を貫流する際の通風抵抗がファンボス16によって増大する。また、羽根車5のファンボス16側の端部近傍では、羽根が、連結軸14との連結作業を容易にするため省略される場合もある。これにより、羽根車5を貫流した直後の気流の風量は、羽根車5のファンボス16側で特に減少される。
このため、吹出口11から同じ風量の気流を室内に放出する場合、風量分布が均一なときの気流の風速は、風量分布が不均一なときの気流の風速分布における風速の最大値に比べて小さくなる。つまり、駆動モータ13の負荷が、風量分布が不均一なときより、風量分布が均一なときの方が風速を小さくできる分だけ低減されるので、空気調和機1Bの消費電力が、側断面最大位置が案内壁面7bの軸方向の中央部にある空気調和機の消費電力より低減される。以下、側断面最大位置をファンボス16側に移動して気流を均一化することに起因する消費電力の低減を気流の均一化に起因する消費電力とする。
ここで、スクロール部7Bの一端と側断面最大位置との間の軸方向に関する長さをxとする。以下、(スクロール部7Bの一端と側断面最大位置との間の長さx)/(スクロール部長さL)を単にx/Lとして説明する。
x/Lを0.5より徐々に0.31まで減少させた場合、風量分布の均一化効果もx/Lの値の減少にともなって大きくなるので、消費電力はx/Lが0.31に近づくほど低減するものと判断される。しかし、x/Lが0.31になると、側断面最大位置がファンボス16に接近し過ぎたことにより、何等かの気流の乱れが誘発されるものと判断される。この気流の乱れは、空気調和機1Bの消費電力を増大させる要因となる。以下、側断面最大位置がファンボス16に接近し過ぎたことによる空気調和機1Bの消費電力の増大を気流の乱れに起因する消費電力の増大とする
Claims (4)
- 羽根車、及び通風路を構成し、該羽根車の背後から吹出口へと気流を案内する案内壁面を有するスクロール部を有するクロスフローファンを備えた空気調和機において、
上記案内壁面は、上記吹出口側の端部が、上記羽根車の軸方向の全域に亘って同じ高さに形成され、上記羽根車の軸方向に垂直な断面における壁面形状を上記通風路の外側に凸状とし、かつ上記通風路の外側への突出量が上記羽根車の軸方向の中央部から両端部に向かって漸次減少する気流方向に直交する断面における壁面形状を、上記羽根車の背後から上記吹出口側の端部近傍まで連続し、その後上記羽根車の軸方向における上記通風路の外側への突出量の差を気流方向の上記吹出口側に向かって漸次縮小し、上記羽根車の軸方向の全域に亘って同じ高さに形成された上記吹出口側の端部に連結する曲面で構成されていることを特徴とする空気調和機。 - 上記案内壁面は、該案内壁面の上記羽根車の軸方向の長さをLとし、及び上記案内壁面と交差する上記羽根車の軸心を含む平面における上記案内壁面の端部と上記羽根車の軸心との間の距離と上記案内壁面の上記羽根車の軸方向の中央部と上記羽根車の軸心との間の距離との差をαとし、上記平面が上記案内壁面の上記羽根車の背後の部位から上記吹出口側の端部に至る全領域と交差するように、上記平面を上記羽根車の軸心まわりに回転させた場合に、上記平面の各回転角度毎に得られる上記αの最大値をδとすると、0.003≦δ/L≦0.01を満足するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
- 羽根車、及び通風路を構成し、該羽根車の背後から吹出口へと気流を案内する案内壁面を有するスクロール部を有するクロスフローファンと、上記羽根車の一端側の側壁の内側に配設されたファンボスと、先端が上記側壁に挿通されて該羽根車の内部に配置され、上記羽根車と同軸に上記ファンボスに固定された連結軸と、該連結軸に上記羽根車の外部で連結され、該連結軸を軸まわりに回転させる駆動力を発生する駆動モータと、を備える空気調和機において、
上記案内壁面は、上記吹出口側の端部が、上記羽根車の軸方向の全域に亘って同じ高さに形成され、上記羽根車の軸方向に垂直な断面における壁面形状を上記通風路の外側に凸状とし、かつ上記通風路の外側への突出量が上記案内壁面の上記羽根車の軸方向の所定部位から両端部に向かって漸次減少する気流方向に直交する断面における壁面形状を、上記羽根車の背後から上記吹出口側の端部近傍まで連続し、その後軸方向における上記通風路の外側への突出量の差を気流方向の上記吹出口側に向かって漸次縮小し、上記羽根車の軸方向の全域に亘って同じ高さに形成された上記吹出口側の端部に連結する曲面で構成され、さらに、上記案内壁面の上記羽根車の軸方向の長さをLとし、上記案内壁面の一端と上記所定部位との間の軸方向の長さをxとすると、0.16<x/L<0.5を満足するように形成されていることを特徴とする空気調和機。 - 上記x/Lは0.27≦x/L≦0.31の範囲にあることを特徴とする請求項3記載の空気調和機。
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