以下、本発明の実施の形態に係る除電装置について図面を参照しながら説明する。本実施の形態では、除電器およびエア供給モジュールにより除電装置が構成される。
(1)除電器の構成
図1は除電器の外観斜視図であり、図2は除電器の内部構成を示す模式図である。なお、図1および図2においては、矢印X,Y,Zで示すように、互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向と定義する。以下に示す図3〜図41においても同様に、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。
図1に示すように、除電器100は、略楕円形状の断面を有するとともにY方向に沿って長尺状に延びている。以下、除電器100のYZ平面に沿う一面および他面を一側面および他側面と呼び、XZ平面に沿う一面および他面を一端面および他端面と呼ぶ。
除電器100の一側面には、表示部11およびモジュラコネクタ12が設けられている。表示部11は、例えばLED(発光ダイオード)等からなり、除電器100の動作状態等を表示する。モジュラコネクタ12には、外部電源からの電力を供給するための電源コードまたは複数の除電器100を互いに通信可能とするための接続コード等が接続される。また、除電気100の一側面および他側面に互いに同じ高さでY方向に延びるように嵌合溝13が形成されている。
除電器100の一端面および他端面には、外部からエアを導入するためのエアポート14が設けられている。なお、図1には、除電器100の一端面に設けられたエアポート14のみが示される。
除電気100の底部には、グランドプレート(接地プレート)15が取り付けられている。グランドプレート15は、XY平面に沿ってY方向に延びるとともに、除電器100の一側面および他側面にかけて湾曲している。また、グランドプレート15から下方に突出するように、複数(本例では8つ)の略円筒状のキャップ20がY方向に沿って等間隔で取り付けられている。後述のように、各キャップ20内には、イオンを発生させるための電極針が設けられている。
図2に示すように、除電気100の内部には、制御ユニット21、高電圧ユニット22および複数(本例では2つ)のエアユニット23が設けられている。制御ユニット21は、CPU(中央演算処理装置)、電源回路および表示回路等を含み、モジュラコネクタ12からの電力供給を受けて、各種回路を制御する。制御ユニット21は、グランドプレート15および高電圧ユニット22に接続されている。高電圧ユニット22は昇圧回路等を含み、高電圧を発生する。
複数のエアユニット23は、Y方向に沿って直列に配置され、連通管13aを介して互いに接続されるとともに、除電気100の一端面側および他端面側において、連通管13bを介してエアポート14に接続されている。
エアユニット23には、グランドプレート15の開口部15a(後述の図3参照)を通して複数のキャップ20が取り付けられている。本例では、各エアユニット23に4つのキャップ20が取り付けられている。エアポート14から導入されるエアは、エアユニット23を通して各キャップ20に供給される。
各キャップ20内には電極針25が設けられている。電極針25は、エア供給ユニット23を通して上記の高圧ユニット22と電気的に接続されている。高電圧ユニット22によって各電極針25に高電圧が印加されることにより、各電極針25の先端部でコロナ放電が発生し、周囲の雰囲気がイオン化される。
(2)エアユニットおよびキャップの詳細
次に、エアユニット23およびキャップ20の詳細について説明する。図3(a)はエアユニット23にキャップ20を取り付けた状態を示す断面図であり、図3(b)はキャップ20を下方から見た図である。
図3(a)に示すように、エアユニット23は、流路形成部材210、接点支持部材220および高電圧配板保持部材230から構成される。流路形成部材210は、上方に開口する中空構造を有する。流路形成部材210の所定部分には、下方に突出するように円筒状のキャップ取り付け部211が設けられている。
接点支持部材220は、流路形成部材210の上端部に取り付けられる。これにより、流路形成部材210の内部にエア流路F1が形成される。図1および図2に示したエアポート14から導入されたエアは、エア流路F1に導かれる。
接点支持部材220には上下に貫通する貫通孔221が形成されており、この貫通孔221を上方から閉塞するように、高電圧配板保持部材230が取り付けられる。貫通孔221の上端部には、高電圧配板保持部材230により保持された高電圧配板225が配置される。高電圧配板225は、図2の高電圧ユニット22と電気的に接続されている。
キャップ20は、略円筒状の保持部201およびその保持部201に一体的に形成された外筒部202を含む。キャップ20の保持部201内には、先端部が下方に露出した状態で電極針25が支持されている。外筒部202は、露出した電極針25の先端部を取り囲むように下方に延びている。
キャップ20の外筒部202が流路形成部材210のキャップ取り付け部211の外周面に嵌合される。また、キャップ20の保持部201は接点支持部材220の貫通孔221に挿入される。この場合、電極針25の後端部が高電圧配板225に接触する。それにより、電極針25と図2の高電圧ユニット22とが電気的に接続される。
電極針25の周りにはエア流路F2が形成されている。キャップ20の保持部201には、電極針25を中心とする周方向に沿って、複数のエア供給路20aが設けられている。エア供給路20aを介してエア流路F1とエア流路F2とが連通する。エア流路F1からエア供給路20aを介してエア流路F2に供給されたエアは、電極針25を外気に対してシールドしつつ、電極針25の外周面に沿って電極針25の下方に移動する。それにより、電極針25の先端部近傍で生成されたイオンがキャップ20の下方に押し出される。
ここで、図1および図2のエアポート14から導入されるエアの流量は、例えば1分当り20リットル程度に調整される。この場合、エア流路F2を通して供給されるエアによって電極針25の外周面および先端部が確実にシールドされるとともに電極針25の先端部近傍で生成されるイオンがキャップ20の下方に向けて確実に押し出される。このため、外気に含まれる粉塵等が電極針25に付着することを抑制することができるとともに、生成されたイオンを確実に外部へ搬送することができる。
(3)エア供給モジュールの構成
次に、除電器100に取り付けられるエア供給モジュールについて説明する。図4は、エア供給モジュールの概観斜視図である。
図4に示すように、エア供給モジュール300は、エンドユニット31、表示窓付エア供給ユニット32、1または複数(本例では3つ)のエア供給ユニット33、およびエンドユニット34を含む。
エンドユニット31は、Y方向に延びる略円筒状の流路形成部311、および流路形成部311から下方に延びる断面逆U字状の側壁312を有する。流路形成部311には、ねじ切り加工が施された接続孔31aがY方向に貫通するように形成されている。側壁312の内側面には、互いに対向するように2本の突条部313がY方向に沿って形成されている。
エア供給ユニット32は、Y方向に延びる略円筒状の流路形成部321、および流路形成部321から下方に延びる断面逆U字状の側壁322を有する。エア供給ユニット32の流路形成部321および側壁322は、エンドユニット31の流路形成部311および側壁312よりもY方向の長さが長く設定されている。
側壁322の内側面には、互いに対向するように2本の突条部313がY方向に沿って形成されている。流路形成部321の一端面には、Y方向に突出するように円筒状の結合部324が形成されている。結合部324の内部を通して流路形成部321をY方向に貫通するようにエア通路32aが形成されている。流路形成部321の上部には、断面T字状の取付嵌合部325がY方向に沿って設けられている。また、側壁322の所定部には、矩形の切り抜き部326が形成されている。
エア供給ユニット33は、切り抜き部324が形成されていない点を除いてエア供給ユニット32と同様の形状を有し、流路形成部321、側壁322、突条部323、結合部324、エア通路32aおよび取付嵌合部325に相当する流路形成部331、側壁332、突条部333、結合部334、エア通路33aおよび取付嵌合部335を有する。
エンドユニット34は、エンドユニット31とほぼ同様の形状を有し、エンドユニット31の流路形成部311、側壁312、突条部313に相当する流路形成部341、側壁342および突条部343を有する。また、流路形成部311には、ねじ切り加工が施された接続孔34aがY方向に貫通するように形成されている。エンドユニット34とエンドユニット31とが異なる点として、エンドユニット34の一端面には、Y方向に突出するように円筒状の結合部344が形成されている。
(4)エア供給ユニットの詳細
次に、エア供給ユニット32,33の詳細について説明する。図5(a)は、エア供給ユニット32のXZ平面における断面図である。なお、エア供給ユニット33のXZ平面における断面は、切り抜き部326がない点を除いて図5(a)に示すエア供給ユニット32の断面と同様である。図5(b)は、エア供給ユニット32を図5(a)のA−A線において切欠いた状態で示す一部切欠き断面図である。また、図5(c)はエア供給ユニット33を図5(a)のA−A線において切欠いた状態で示す一部切欠き断面図である。
図5(a)および図5(b)に示すように、エア供給ユニット32のエア通路32aを中心として一方および他方の側壁322の内部に広がるようにエア供給空間327が形成されている。また、一方の側壁322の底部および他方の側壁322の底部を貫通するように、それぞれ複数(本例では8つ)のエア吹き出し孔32bがY方向に沿って並列に形成されている。複数のエア吹き出し孔32bは、2つの領域に分かれて配置されており、各領域に互いに等しい数(本例では4つ)のエア吹き出し孔32bが等間隔で配置されている。
同様に、図5(c)に示すように、エア供給ユニット33のエア通路33aを中心として一方および他方の側壁332の内部に広がるようにエア供給空間337が形成されている。また、一方の側壁332の底部および他方の側壁332の底部を貫通するように、それぞれ複数(本例では8つ)のエア吹き出し孔33bがY方向に沿って並列に形成されている。複数のエア吹き出し孔33bは、2つの領域に分かれて配置されており、各領域に互いに等しい数(本例では4つ)のエア吹き出し孔33bが等間隔で配置されている。
(5)除電器への取り付け
次に、エア供給モジュール300の除電器100への取り付け方法について説明する。図6〜図8は、エア供給モジュール300の除電器100への取り付け方法を説明するための図である。
図6(a)に示すように、まず、除電器100の一端部側からエンドユニット31が取り付けられる。この場合、エンドユニット31の突条部313が除電器100の嵌合溝13に嵌合され、所定位置までY方向にスライドされる。
続いて、図6(b)に示すように、除電器100の他端部からエア供給ユニット32が取り付けられる。この場合、エア供給ユニット32の突条部323が除電器100の嵌合溝13に嵌合され、除電器100の一端部側に向けてY方向にスライドされる。そして、図6(c)に示すように、エア供給ユニット32の結合部324がエンドユニット31の接続孔31aに挿入される。なお、エア供給ユニット32は、除電器100の表示部11上に配置される。この場合、エア供給ユニット32の切り抜き部326を通して表示部11の表示を視認することが可能となる。
エア供給ユニット32と同様にして、図7(d)に示すように、複数のエア供給ユニット33が順に取り付けられる。この場合、エア供給ユニット32に隣接するエア供給ユニット33の結合部334(図4)はエア供給ユニット32のエア通路32a(図4)に挿入され、他のエア供給ユニット33の結合部334は隣接するエア供給ユニット33のエア通路33aに挿入される。
続いて、図7(e)に示すように、除電器100の他端部からエンドユニット34が取り付けられる。この場合、エンドユニット34の結合部344が除電器100の最も他端部側に位置するエア供給ユニット33のエア通路33a(図4)に挿入される。
このようにしてエンドユニット31,34およびエア供給ユニット32,33が除電器100に取り付けられた後、図8(f)に示すように、エンドユニット31,34の接続孔31a,34aに、後述のエア導入管を接続するため接続部材40が取り付けられる。接続部材40は挿入孔40aを有する略円筒形状に形成されている。挿入孔40a内には図示しないロック爪が設けられており、エア導入管が挿入孔40a内に挿入されると、このロック爪によりエア導入管が挿入孔40a内で固定される。
(6)除電器およびエア供給モジュールの設置
次に、工場等における除電器100およびエア供給モジュール300の設置方法について説明する。図9は除電器100およびエア供給モジュール300の設置方法を示す図である。
図9に示すように、除電器100およびエア供給モジュール300の設置時には、複数(本例では2つ)の上部取付具41および2つの端部取付具42が用いられる。
上部取付具41は、固定支持部材411および揺動支持部材412からなる。固定支持部材411は、XY平面に沿った略平板形状を有し、その両側辺の近傍にねじ挿入孔411aが形成されている。揺動支持部材412は、固定支持部材411に揺動可能に接続されており、その下部には断面略T字状の嵌合溝412aがY方向に貫通するように形成されている。
上部取付具41は、エア供給ユニット32,33のうちの任意の1つまたは複数に取り付けられる。図9においては、エア供給ユニット32および除電器100の他端部側に位置するエア供給ユニット33に上部取付具41が取り付けられる。具体的には、揺動支持部材412の嵌合溝412aにエア供給ユニット32,33の取付嵌合部325,335が嵌合される。
端部取付具42は、XY平面およびXZ平面に沿うようにL字状に折曲された固定支持部材421、およびXZ平面に沿った略平板状の揺動支持部材422からなる。固定支持部材421のXY平面に沿う部分にはねじ挿入孔421aが形成されている。揺動支持部材422は、固定支持部材421の下端部に揺動可能に接続されており、揺動支持部材422の上端部近傍にはエア導入管挿入孔422aが形成されている。
端部取付具42は、固定支持部材421のXY平面に沿う部分をY方向の外側に向けた状態で、ねじ等により除電器100の一端面および他端面に取り付けられる。
上部取付具41がエア供給モジュール300に取り付けられるとともに端部取付具42が除電器100に取り付けられた状態で、上部取付具41の固定支持部材411および端部取付具52の固定支持部材421が、図示しないねじによって工場等の設置部分(例えば天井)に固定される。
なお、上部取付具41の揺動支持部材412は固定支持部材411に対して揺動可能であり、また、端部取付具42の揺動支持部材422は固定支持部材421に対して揺動可能であるので、設置された除電器100およびエア供給モジュール300を鉛直面に対して傾斜させることも可能である。
続いて、エア(空気)を導入するためのエア導入管50が、端部取付具42のエア導入管挿入孔422aを通して、エア供給モジュール300の両端部側から接続部材40の挿入孔40aに挿入される。これにより、エア導入管50がエンドユニット31,34に接続され、除電器100およびエア供給モジュール300の設置が完了する。
なお、エンドユニット31,34のうちの一方のみにエア導入管50を接続してもよい。その場合、エンドユニット31,34の他方には、接続部材40の代わりに接続孔31a,34aを閉塞するための閉塞部材(図示せず)が取り付けられる。
(7)除電器のキャップとエア吹き出し孔との位置関係
図10(a)はエア供給モジュール300が取り付けられた除電器100を下方から見た図であり、図10(b)はエア供給モジュール300が取り付けられた除電器100を一端面側から見た図である。
図10(a)に示すように、エア供給モジュール300が除電器100に取り付けられた状態では、各キャップ20を挟むようにエア供給ユニット32,33のエア吹き出し孔32b,33bが配置される。詳細には、各キャップ20の一方側および他方側にそれぞれ4つのエア吹き出し孔32bまたは4つのエア吹き出し孔33bが配置される。
また、図10(b)に示すように、エア供給ユニット32,33の側壁322,332の下端部におけるエア吹き出し孔32b,33bの開口部は、キャップ20の先端部とほぼ同じ高さまで延びている。
(8)エアの流れ
次に、エア供給モジュール300に導入されるエアの流れについて説明する。図11は、エア供給モジュール300に導入されるエアの流れを説明するための図である。なお、エアの代わりに不活性ガスおよびドライガス等の他の気体を用いてもよい。
図11に示すように、エア導入管50から導入されるエアは、エンドユニット31,34の接続孔31a,34aおよびエア供給ユニット32,33のエア通路32a,33aを通って、エア供給ユニット32,33のエア供給空間327,337に導かれる。そして、エア供給ユニット32の複数のエア吹き出し孔32bを通してエアが下方に吹き出されるとともに、各エア供給ユニット33の複数のエア吹き出し孔33bを通してエアが下方に吹き出される。この場合、複数のエア吹き出し孔32aを通して吹き出されるエアおよび複数のエア吹き出し孔32bを通して吹き出されるエアは、それぞれ帯状の流れを形成する。
ここで、エア供給ユニット33の側壁332の下端部の高さとエア吹き出し孔33bから吹き出されるエアの流れとの関係について説明する。図12は、エア供給ユニット33の側壁332の下端部の高さとエア吹き出し孔33bから吹き出されるエアの流れとの関係を説明するための模式図である。なお、エア供給ユニット32の側壁322の下端部の高さとエア吹き出し孔32bから下方に吹き出されるエアの流れとの関係は、図12に示すエア供給ユニット33の場合と同様である。
以下、図12において、除電器100の一方の側面側に位置するエア吹き出し孔33bから吹き出されるエアを第1エアA1と呼び、他方の側面側に位置するエア吹き出し孔33bから吹き出されるエアを第2エアA2と呼ぶ。
図12(a)および図12(b)には、側壁332の下端部が除電器100の底部に取り付けられたグランドプレート15よりも高い位置にある場合のエアの流れが示される。
上記のように、グランドプレート15の両側部は、上方に円弧状に湾曲している。そのため、図12(a)に示すように、側壁332の下端部がグランドプレート15よりも上方にあると、第1エアA1および第2エアA2が、コアンダ効果によりグランドプレート15の湾曲部分を伝って内方へと導かれる。なお、コアンダ効果とは、流体の流れの中に物体がある場合、その物体の表面に沿って流体が流れることをいう。
この場合、図12(b)に示すように、第1エアA1と第2エアA2とが除電器100の下端部近傍において衝突し、拡散する。そのため、第1エアA1および第2エアA2を遠くまで到達させることができない。
また、この場合には、第1エアA1および第2エアA2が除電器100の下端部近傍に流れ込むため、キャップ20内の電極針25(図3)を覆うように形成されたシースエア層が第1エアA1および第2エアA2によって破壊される。それにより、電極針25の先端に不純物等が付着しやすくなる。
図12(c)〜図12(d)には、側壁332の下端部が除電器100の底部に取り付けられたグランドプレート15よりも低い位置にある場合のエアの流れが示される。
図12(c)に示すように、第1エアA1および第2エアA2がグランドプレート15よりも低い位置から高速で吹き出された場合、第1エアA1と第2エアA2との間にY方向の軸周りに回転する渦が発生する。この渦により、第1エアA1と第2エアA2との間の雰囲気が、第1エアA1および第2エアA2の流れの中に導かれて吸収される。それにより、図12(d)に示すように、第1エアA1と第2エアA2との間に負圧領域Hが形成される。
そのため、図12(e)に示すように、第1エアA1および第2エアA2が負圧領域Hに引き込まれて互いに合流する。この場合、第1エアA1および第2エアA2の下方への流れは維持されるので、合流したエアは、除電器100から下方に遠く離れた位置まで到達する。
本実施の形態では、図10(b)に示したように、側壁332の下端部が除電器100の底部に取り付けられたグランドプレート15の底面よりも低い位置にある。そのため、図12(c)〜図12(e)に示したように、エア吹き出し孔32b,33bから吹き出されるエアは、除電器100から下方に遠く離れた位置まで到達する。
(9)イオンとエアとの関係
図13は、除電器100の各キャップ20において生成されるイオンとエア吹き出し孔33bから吹き出されるエアとの関係を示す図である。なお、除電器100の各キャップ20において生成されるイオンとエア吹き出し孔32bから吹き出されるエアとの関係は、図13に示す関係と同様である。
図13に示すように、キャップ20内において電極針25の先端部近傍にイオンLが生成され、キャップ20のエア流路F2を通して吹き出されるエアによって、キャップ20内から下方に押し出される。また、除電器100の一方の側面側および他方の側面側から、エア吹き出し孔33bを通して下方に第1エアA1および第2エアA2が吹き出される。
ここで、エア吹き出し孔33bはキャップ20を挟むように除電器100の一方の側面側および下方の側面側に配置され(図10(a)参照)、また、側壁322,332の下端部の高さは各キャップ20の先端部の高さとほぼ等しく設定されている。そのため、上記のようにキャップ20から下方に押し出されたイオンLは、第1エアA1と第2エアA2との間の雰囲気中に存在する状態となる。
図12(c)に示したように、第1エアA1と第2エアA2との間の雰囲気は、第1エアA1および第2エアA2へ吸収される。そのため、生成されたイオンは、第1エアA1および第2エアA2に吸収され、第1エアA1および第2エアA2の流れによって除電器100から下方に遠く離れた位置まで送られる。
(10)本実施の形態の効果
本実施の形態では、除電器100の各キャップ20内において生成されたイオンが、エア供給ユニット32,33から吹き出されるエアによって下方に遠く離れた位置まで送られる。それにより、ワーク等の除電対象物が、除電器100から下方に遠く離れた位置にある場合でも、除電対象物にイオンを迅速かつ確実に供給することができる。
また、除電器100aの一方の側面側から吹き出される第1エアA1および他方の側面側から吹き出される第2エアA2は、除電器100の下端部から所定距離下方に離間した位置で合流する。そのため、第1エアA1および第2エアA2によって、キャップ20内の電極針25近傍に形成されたシースエア層が破壊されることがない。したがって、電極針25に不純物が付着することをシースエア層により防止しつつ除電器100から下方に遠く離れた位置にイオンを送ることができる。
さらに、第1エアA1および第2エアA2は、除電器100aの一方の側面側および他方の側面側から帯状に吹き出される。この場合、各キャップ20を包囲するように第1エアA1および第2エアA2が吹き出される場合と比べて、キャップ20近傍の気流の乱れが抑制される。したがって、シースエア層が破壊されることをより確実に防止することができる。
また、本実施の形態のエア供給モジュール300は、エア供給ユニット32,33の個数を調整することにより、Y方向の長さおよびキャップ20の個数等が異なる種々の除電器100に対して適用が可能である。
(11)実施例
エア供給モジュール300を用いて除電器100を使用する場合およびエア供給モジュール300を用いずに除電器100を使用する場合のそれぞれにおいて、イオンが供給される距離を調べた。
(11−1)エア供給モジュールを用いる場合
図14は、エア供給モジュール300を用いた場合のイオンの到達距離の測定結果を示す図である。ここで、除電対象物の電位を1000Vから100Vに下げるために必要なイオンの量をイオンの十分量とする。図14において、E1は十分量のイオンが1秒以内に供給された領域を示し、E2は十分量のイオンが1〜2秒で供給された領域を示し、E3は十分量のイオンが2〜5秒で供給された領域を示し、E4は十分量のイオンが5〜10秒で供給された領域を示す。また、図14において、縦軸は除電器100から下方向への距離を示し、横軸は除電器100の電極針25を通るY方向の鉛直面から側方への距離を示す。
除電器100の電極針25(図3)は、一本のみを使用した。また、除電器100に導入するエアの流量は1分当り約20リットルに設定し、エア供給モジュール300に導入するエアの流量は1分当り約250リットルに設定した。
図14に示すように、エア供給モジュール300を用いた場合には、1秒以内に除電器100から約40cm離れた位置まで十分量のイオンを供給することができた。また、2秒以内に除電器100から約65cm離れた位置まで十分量のイオンを供給することができた。
さらに、5秒以内に除電器100から約100cm離れた位置まで十分量のイオンを供給することができた。また、10秒以内に除電器100から約140cm離れた位置まで十分量のイオンを供給することができた。
(11−2)エア供給モジュールを用いない場合
図15は、エア供給モジュール300を用いなかった場合のイオンの到達距離の測定結果を示す図である。図15において、E6は十分量のイオンが1秒以内に供給された領域を示し、E7は十分量のイオンが1〜2秒で供給された領域を示し、E8は十分量のイオンが2〜5秒で供給された領域を示し、E9は十分量のイオンが5〜10秒で供給された領域を示す。また、図15において、縦軸は除電器100から下方向への距離を示し、横軸は除電器100の電極針25を通るY方向の鉛直面から側方への距離を示す。
なお、エア供給モジュール300を用いなかった点を除いて、上記と同様の条件で測定を行った。
図15に示すように、エア供給モジュール300を用いない場合には、1秒以内に除電器100から約25cm離れた位置までしか十分量のイオンを供給することができなかった。また、2秒以内に除電器100から約40cm離れた位置までしか十分量のイオンを供給することができなかった。
さらに、5秒以内に除電器100から約60cm離れた位置までしか十分量のイオンを供給することができなかった。また、10秒以内に除電器100から約85cm離れた位置までしか十分量のイオンを供給することができなかった。
このように、エア供給モジュール300を用いた場合には、除電器100により生成されたイオンが下方に遠く離れた位置に迅速に供給されることがわかった。
(12)変形例
(12−1)エア供給ユニットの第1の変形例
図16(a)はエア供給ユニット33の第1の変形例の一部切欠き断面図であり、図16(b)は図16(a)に示すエア供給ユニット33を下方から見た図である。
図16(a)および図16(b)の例では、エア供給ユニット33の底部に、複数のエア吹き出し孔33bの代わりにスリット状のエア吹き出し孔33cが形成されている。この場合、図10の互いに近接した4つのエア吹き出し孔33bが、1つのエア吹き出し孔33cに対応する。
スリット状のエア吹き出し孔33cの幅または長さを調整することにより、エア吹き出し孔33bから吹き出されるエアの流速等を容易に調整することができる。なお、エア供給ユニット32においても、同様に、複数のエア吹き出し孔32bの代わりにスリット状のエア吹き出し孔に形成してもよい。
(12−2)エア供給ユニットの第2の変形例
図17(a)はエア供給ユニット32,33の第2の変形例を示す外観斜視図であり、図17(b)は図17(a)に示すエア供給ユニット32,33を下方から見た図である。図4〜図16においては、2つのキャップ20に対して1つのエア供給ユニット32,33が設けられているが、図17の例では、1つのキャップ20に1つのエア供給ユニット32,33が設けられている。
この場合、エア供給ユニット32,33の配置の自由度が向上される。例えば奇数個のキャップ20を有する除電器100に対しても、全てのキャップ20に対して均一にエア供給ユニット32,33を配置することができる。
(12−3)第3の変形例
エンドユニット31,34およびエア供給ユニット32,33を互いに連結した状態で維持するための係止機構を設けてもよい。図18は、係止機構の一例を示す図である。なお、図18においては、エンドユニット31およびエア供給ユニット32に係止機構が設けられた場合を示す。
図18に示すように、係止機構は、エンドユニット31に設けられた突起部T1、およびエア供給ユニット32に設けられた鉤状部T2からなる。突起部T1はエンドユニット31の流路形成部311の一端部に設けられ、鉤状部T2はエア供給ユニット32の流路形成部321の一端部に設けられる。
エンドユニット31とエア供給ユニット32とが連結されると、鉤状部T2の先端部が突起部T1の縁部に係止される。それにより、エンドユニット31とエア供給ユニット32とが互いに連結された状態で維持される。
(12−4)エンドユニットの変形例
エンドユニット31,34において、エア供給ユニット32,33のエア供給空間327,337およびエア吹き出し孔32b,33b(図4および図5)と同様の下方にエアを供給するための機構を設けてもよい。具体的には、エンドユニット31,34の内部に、エア通路31a,34aを中心として一方の側壁312,342および他方の側壁312,342にエア供給空間を設け、一方の側壁312,342の底部および他方の側壁312,342の底部を貫通するようにエア吹き出し孔を設けてもよい。
また、エンドユニット31,34を用いずに、エア供給ユニット32,33にエア導入管50が接続可能な構成としてもよい。例えば、エア供給ユニット32,33のエア通路32a,33a(図4および図5)の内周面にねじ切り加工を施すとともに、結合部324,334(図4および図5)の外周面にねじ切り加工を施す。
隣接するエア供給ユニット32,33を互いに連結させる際には、一方のエア供給ユニット32,33の結合部324,334が他方のエア通路32a,33aにねじ込まれる。除電器100の一端部および他端部に位置するエア供給ユニット32,33のエア通路32a,33aには、接続部材40を介してエア導入管50(図9)が接続される。なお、除電器100の一端部に位置するエア供給ユニット32,33に取り付けられる接続部材としては、結合部324,334を螺合することが可能なねじ孔が形成されたものを用いる。
また、結合部324,334を設ける代わりに、隣接するエア供給ユニット32,33の一方および他方のエア通路32a,33aに螺合可能でかつ一方および他方のエア通路32a,33aを互いに連通させる連通孔が形成された略円筒状のねじ部材(図示せず)を用いてもよい。
このねじ部材を隣接するエア供給ユニット32,33の一方および他方のエア通路32a,33aに螺合することにより、一方および他方のエア通路32a,33aが互いに連通する状態で隣接するエア供給ユニット32,33が連結される。
また、接続部材40のエア供給ユニット32,33への取り付けを螺合以外の他の方法で行ってもよい。例えば、接続部材40の一端部を除電器100の他端部に位置するエア通路32a,33aに押し込むことにより、接続部材40のエア供給ユニット32,33への取り付けが可能な構成とする。その場合、エア通路32a,33aの内周面には、ねじ切り加工を施す代わりに接続部材40の受け入れが可能な機構を設ける。また、結合部324,334の外周面には、接続部材40の一端部と同様の機構を設ける。なお、除電器100の一端部に位置するエア供給ユニット32,33に取り付けられる接続部材には、結合部324,334を受け入れ可能な機構を設ける。
このように、エンドユニット31,34を用いない構成とすることにより、エア供給モジュール300の部品点数を削減することが可能となる。それにより、エア供給モジュール300の除電器100への取り付けが容易になるとともに、製造コストの削減が可能となる。
(12−5)除電器への取付方法の他の例
エンドユニット31,34およびエア供給ユニット32,33の各々を除電器100の側面または上面にねじ止めしてもよい。この場合、エンドユニット31,34の突状部313,343およびエア供給ユニット32,33の突状部323,333は設けなくてもよい。
また、エンドユニット31,34の側壁312,342の内側面間の距離およびエア供給ユニット32,33の側壁322,332の内側面間の距離が下方に向かって漸次小さくなるように設定してもよい。この場合、エンドユニット31,34およびエア供給ユニット32,33を除電器100に取り付けた際に、側壁312,342,322,332から除電器100に内方への応力が加わる。そのため、エンドユニット31,34およびエア供給ユニット32,33が除電器100に固定される。なお、エンドユニット31,34の突状部313,343およびエア供給ユニット32,33の突状部323,333は設けなくてもよい。
(13)エア供給ユニットの他の例
(13−1)構成
エア供給ユニット32,33の代わりに、以下に示すエア供給ユニット61を用いてもよい。図19(a)はエア供給ユニット61の外観斜視図であり、図19(b)は図19(a)に示すエア供給ユニット61を反対側から見た外観斜視図である。
図19に示すように、エア供給ユニット61は、Y方向に延びる略円筒状の流路形成部610、および流路形成部610に連結されたエア供給部620,630,640を有する。なお、流路形成部610のY方向の長さは、上記エア供給ユニット32,33の流路形成部321,331のY方向の長さと等しい。
エア供給部620は流路形成部610の一端部から斜め下方に湾曲して延び、エア供給部630は流路形成部610の他端部からエア供給部620と同じ側の斜め下方に湾曲して延びている。エア供給部640は、流路形成部610の中間部分からエア供給部620,630とは反対側の斜め下方に湾曲して延びている。
エア供給部620の上下方向の長さはエア供給部630の上下方向の長さよりも短く、エア供給部620のY方向の幅はエア供給部630のY方向の幅よりも大きい。エア供給部640は、エア供給部620の長さおよび幅と等しい長さおよび幅を有する第1供給部641、およびエア供給部630の長さおよび幅と等しい長さおよび幅を有する第2供給部642からなる。
エア供給部620,630,640の各々の内側面には、突条部611が互いに同じ高さで形成されている。流路形成部610の一端面には、Y方向に突出するように円筒状の結合部612が形成されている。結合部612の一端面から流路形成部610をY方向に貫通するようにエア通路610aが形成されている。流路形成部610の上部には、断面T字状の取付嵌合部613がY方向に沿って設けられている。
なお、エア供給部620,630,640の内部には、それぞれエア通路610aに連通するエア供給空間(図示せず)が形成されており、エア供給部620,630,640の底部には、それぞれエア供給空間に連通するエア吹き出し孔が形成されている(後述の図21参照)。
図20は複数(本例では4つ)のエア供給ユニット61を除電器100に取り付けた状態を示す図であり、図21はエア供給ユニット61のエア吹き出し孔と除電器100のキャップ20との位置関係を示す図である。なお、エア供給ユニット61の除電器100への取り付け方法は、上記エア供給ユニット32,33を除電器100に取り付ける場合と同様である(図6〜図8参照)。
図20に示すように、エア供給部620,630は除電器100の一方の側面側に配置され、エア供給部640は除電器100の他方の側面側に配置される。複数のエア供給ユニット61が連結された場合、隣接する2つのエア供給ユニット61に関して、一方のエア供給ユニット61のエア供給部620と他方のエア供給ユニット61のエア供給部630とが互いに当接した状態となる。
上記のように、エア供給部620の形状はエア供給部640の第1供給部641の形状と同じであり、エア供給部630の形状はエア供給部640の第2供給部642の形状と同じである。そのため、エア供給部620とエア供給部630とが互いに当接することにより一体化した場合、一体化したエア供給部620およびエア供給部630の形状がエア供給部640の形状と等しくなる。以下、一体化したエア供給部620およびエア供給部630を組み合わせ構造体650と呼ぶ。
本例では、除電器100の一方の側面側に3つの組み合わせ構造体650が等間隔で配置される。また、除電器100の他方の側面側に4つのエア供給部640が等間隔で配置される。組み合わせ構造体650とエア供給部640とは、除電器100を挟んで互いに対向しないように交互に配置される。
図21に示すように、各エア供給部620の底部には2つのエア吹き出し孔620aが形成されており、各エア供給部630の底部には1つのエア吹き出し孔630aが形成されている。また、各エア供給部640の第1供給部641の底部には2つのエア吹き出し孔641aが形成され、第2供給部642の底部には1つのエア供給部642aが形成されている。
組み合わせ構造体650におけるエア吹き出し孔620aとエア吹き出し孔630aとの位置関係は、エア供給部640におけるエア吹き出し孔641aとエア吹き出し孔642aとの位置関係に等しい。
また、組み合わせ構造体650に形成されるエア吹き出し孔620a,630aは、除電器100の一方の側面側において、隣接するキャップ20間の領域の側方に配置される。エア供給部640に形成されるエア吹き出し孔641a,642aは、除電器100の他方の側面側において、隣接するキャップ20間の領域の側方に配置される。すなわち、各キャップ20の側方には、エア吹き出し孔620a,630a,641a,642aのいずれも位置しない。
上記のように、エア吹き出し孔620a,630a,641a,642aは、流路形成部610(図19)内のエア通路610aに連通している。エア導入管50(図9)から導入されるエアは、図19のエア供給ユニット61のエア通路610aを通って、エア供給ユニット61内の図示しないエア供給空間に導かれる。そして、エア吹き出し孔620a,630a,641a,642aを通してエアが吹き出される。
(13−2)エアの流れ
次に、エア供給ユニット61のエア吹き出し孔620a,630a,641a,642aから吹き出されるエアの流れについて説明する。図22(a)はエア吹き出し孔620aから吹き出されるエアの流れを示し、図22(b)はエア吹き出し孔630aから吹き出されるエアの流れを示し、図22(c)はエア吹き出し孔641aから吹き出されるエアの流れを示し、図22(d)はエア吹き出し孔642aから吹き出されるエアの流れを示す。また、図23はエア吹き出し孔620a,630a,641a,642aから吹き出されるエアの全体的な流れを除電器100の下方から見た図である。
以下、エア吹き出し孔620aから吹き出されるエアを第3エアA3と呼び、エア吹き出し孔630aから吹き出されるエアを第4エアA4と呼ぶ。また、エア吹き出し孔641aから吹き出されるエアを第5エアA5と呼び、エア吹き出し孔642aから吹き出されるエアを第6エアA6と呼ぶ。
図22(a)に示すように、エア供給部620の下端部は、除電器100底部に取り付けられるグランドプレート15よりも上方に位置する。また、図22(b)に示すように、エア供給部630の下端部は、グランドプレート15よりも上方に位置する。そのため、第3エアA3および第4エアA4は、コアンダ効果により除電器100の一方の側面側からグランドプレート15の湾曲部分を伝って内方へ導かれる。
ところで、上記のように、エア供給部620はエア供給部630に比べて比較的上下方向に短く形成されている。すなわち、エア供給部620の下端部は、エア供給部630の下端部よりも高い位置にある。そのため、エア吹き出し孔620aから吹き出される第3エアA3は、エア吹き出し孔630aから吹き出される第4エアA4よりも除電器100との接触面積が大きくなる。
この場合、第3エアA3は第4エアA4よりもコアンダ効果による作用が大きくなり、第3エアA3の流れの方向と鉛直面との間の角度θ1は、第4エアA4の流れの方向と鉛直面との間の角度θ2よりも大きくなる。それにより、第3エアA3は、除電器100の一方の側面側から他方の側面側に向かって斜め下方に流れ、第4エアA4は除電器100の一方の側面側から除電器100のほぼ下方に向かって流れる。
また、図22(c)および図22(d)に示すように、エア供給部640の第1供給部641および第2供給部642の下端部は、グランドプレート15よりも上方に位置する。第1供給部641の上下方向の長さは、エア供給部620の長さと同じであり、第2供給部642の上下方向の長さはエア供給部630の長さと同じである。したがって、第1供給部641の下端部の高さはエア供給部620の下端部の高さと同じであり、第2供給部642の下端部の高さはエア供給部630の下端部の高さと同じである。
そのため、第5エアA5は、コアンダ効果により除電器100の他方の側面側から一方の側面側に向かって斜め下方に流れ、第6エアA6は除電器100の他方の側面側から除電器100のほぼ下方に向かって流れる。なお、第5エアA5の流れの方向と鉛直面との間の角度θ3は、第3エアA3の流れの方向と鉛直面との間の角度θ1と等しくなり、第6エアA6の流れの方向と鉛直面との間の角度θ4は、第4エアA4の流れの方向と鉛直面との間の角度θ2と等しくなる。
図23に示すように、エア吹き出し孔620aとエア吹き出し孔641aとは互いに対向しないように交互に配置されているため、エア吹き出し孔620aから吹き出される第3エアA3とエア吹き出し孔641aから吹き出される第5エアA5とは互いに干渉しない。
また、複数のエア供給部620は互いに等間隔で配置されているので、エア吹き出し孔620aから吹き出される第3エアA3は除電器100の他方の側面側に均一に供給される。また、複数の第1供給部641は互いに等間隔で配置されているので、エア吹き出し孔641aから吹き出される第5エアA5は除電器100の一方の側面側に均一に供給される。
また、エア吹き出し孔630aとエア吹き出し孔642aとは互いに対向することなく交互にかつ等間隔で配置されているため、エア吹き出し孔630aから吹き出される第4エアA4とエア吹き出し孔642aから吹き出される第6エアA6とが除電器100の下方に均一に供給される。
また、エア吹き出し孔620a,630a,641a,642aは隣接するキャップ20間の領域の側方に配置されているので、エア吹き出し孔620a,630a,641a,642aから吹き出されるエアによってキャップ20内の電極針25近傍に形成されるシースエア層が破壊されることが防止される。
なお、エア吹き出し孔620a,641aから吹き出される第3エアA3および第5エアA5は、エア吹き出し孔630a,642aから吹き出される第4エアA4および第6エアA6よりも広範囲に供給されるため、より多くの流量が必要になる。そこで、本実施の形態では、エア吹き出し孔620a,641aの数をエア吹き出し孔630a,642aの数よりも多く設定している。これにより、広範囲に供給するために必要な第3エアA3および第5エアA5の流量が確保される。
このように、エア供給ユニット61を用いた場合には、上記エア供給ユニット32,33を用いる場合と比べてより広範囲にエアを供給することができる。したがって、除電器100により生成されたイオンをより広範囲に送ることができ、除電可能な領域を拡大することができる。
なお、エアが供給される範囲は、各エア吹き出し孔の大きさおよび隣接するエア吹き出し孔間の距離によって変化する。例えば、エア吹き出し孔の大きさを小さくすると、吹き出されるエアの流れが速くなる。しかしながら、エアの流れが速すぎると、複数のエア吹き出し孔から吹き出されるエアが互いに干渉し、エアが供給される範囲が狭くなる。そのため、エアが互いに干渉することなく広範囲に流れるように、各エア吹き出し孔の大きさおよび隣接するエア吹き出し孔間の距離を最適に設定することが好ましい。
(13−3)実施例
エア供給ユニット61を含むエア供給モジュール300を用いて除電器100を使用し、イオンが供給される範囲を調べた。図24には、イオンが供給される範囲の測定結果が示される。
図24において、E11は十分量のイオンが1秒以内に供給された領域を示し、E12は十分量のイオンが1〜2秒で供給された領域を示し、E13は十分量のイオンが2〜3秒で供給された領域を示し、E14は十分量のイオンが3〜4秒で供給された領域を示し、E15は十分量のイオンが4〜5秒で供給された領域。また、図24において、縦軸は除電器100から下方向への距離を示し、横軸は除電器100の電極針25を通るY方向の鉛直面から側方への距離を示す。
なお、除電対象物の電位を1000Vから100Vに下げるために必要なイオンの量をイオンの十分量とする。また、除電器100の電極針25(図3)は、一本のみを使用した。また、除電器100に供給するエアの流量は1分当り約20リットルに設定し、エア供給モジュール300に供給するエアの流量は1分当り約100リットルに設定した。
図24に示すように、エア供給ユニット61を含むエア供給モジュール300を用いて除電器100を5秒間使用した場合には、除電器100から約60cm下方の領域において、横方向に約80cmの範囲に十分量のイオンを供給することができた。
一方、エア供給モジュール300を用いない場合は、除電器100から60cm下方の領域において、側方に約10cmの範囲にしかイオンを供給することができなかった(図15参照)。
(13−4)変形例
(13−4−1)
エア供給ユニット61の代わりに以下に示すエア供給ユニット66を用いてもよい。図25(a)はエア供給ユニット66の外観斜視図であり、図25(b)は図25(a)に示すエア供給ユニット66を反対側から見た外観斜視図である。また、図26はエア供給ユニット66を下方から見た図である。以下、エア供給ユニット61とエア供給ユニット66とが異なる点を説明する。
図25(a)および図25(b)に示すように、エア供給ユニット66は、エア供給ユニット61(図19)のエア供給部620,630,640に相当するエア供給部670,680,690を有する。
エア供給部670,680の上下方向の長さは互いに等しく設定されている。また、エア供給部690は、エア供給部670,680が連結された形状を有し、下端部の高さが一定に維持されている。なお、エア供給部670のY方向の幅はエア供給ユニット61(図19)のエア供給部620のY方向の幅と等しく、エア供給部680のY方向の幅はエア供給ユニット61のエア供給部630のY方向の幅と等しく、エア供給部680のY方向の幅はエア供給ユニット61のエア供給部640のY方向の幅と等しい。
図26に示すように、エア供給部670の底部には、エア供給ユニット61のエア吹き出し孔620a(図21)に相当するエア吹き出し孔670aが形成され、エア供給部680の底部には、エア供給ユニット61のエア吹き出し孔630aに相当するエア吹き出し孔680aが形成されている。また、エア供給部690の底部には、エア供給ユニット61のエア吹き出し孔641a,642aに相当するエア吹き出し孔691a,692aが形成されている。
エア供給ユニット66のエア吹き出し孔670a,691aは、エア供給ユニット61のエア吹き出し孔620a,641a(図21)よりも内方に形成されている。また、エア供給ユニット66のエア吹き出し孔680a,692aは、エア供給ユニット61のエア吹き出し孔630a,642a(図21)よりも外方に形成されている。この場合、エア供給ユニット66を除電器100に取り付けた状態では、エア吹き出し孔670a,691aと除電器100との距離が、エア吹き出し孔680a,692aと除電器100との距離よりも短くなる。
図27(a)はエア吹き出し孔670aから吹き出されるエアの流れを示し、図27(b)はエア吹き出し孔680aから吹き出されるエアの流れを示す。図27において、エア吹き出し孔670aから吹き出されるエアを第7エアA7と呼び、エア吹き出し孔680aから吹き出されるエアを第8エアA8と呼ぶ。
図27(a)および図27(b)に示すように、エア供給部670,680の下端部は、除電器100の底部に取り付けられるグランドプレート15よりも上方に位置する。そのため、第7エアA7および第8エアA8は、コアンダ効果によりグランドプレート15の湾曲部分を伝って内方へ導かれる。
ところで、図26に示したように、エア吹き出し孔680a,692aは、エア供給ユニット61のエア吹き出し孔630a,642aよりも内方に形成されている。そのため、エア吹き出し孔670aから吹き出される第7エアA7は、エア吹き出し孔680aから吹き出される第8エアA8よりも除電器100との接触面積が大きくなる。
それにより、第7エアA7は第8エアA8よりもコアンダ効果による作用が大きくなる。したがって、第7エアA7は、図22(a)に示した第3エアA3と同様に除電器100の一方の側面側から他方の側面側に向かって斜め下方に流れる。また、第8エアA8は、図22(b)に示した第4エアA4と同様に、除電器100の一方の側面側から除電器100のほぼ下方に向かって流れる。
なお、エア吹き出し孔691aから吹き出されるエアの流れは、図22(c)に示した第5エアA5の流れと同様になり、エア吹き出し孔692aから吹き出されるエアの流れは、図22(d)に示した第6エアA6の流れの流れと同様になる。
このように、エア供給ユニット66のエア吹き出し孔670a,680a,691a,692aから吹き出されるエアの流れは、エア供給ユニット61の620a,630a,641a,642aから吹き出されるエアの流れと同様になる。したがって、エア供給ユニット66を用いた場合においても、エア供給ユニット61を用いた場合と同様に広範囲にエアを供給することができる。
(13−4−2)エア吹き出し孔の他の例
図25および図26に示したエア供給ユニット66において、エア吹き出し孔670a,680a,691a,692aの代わりに図28に示すエア吹き出し孔670b,680b,690bを形成してもよい。図28(a)はエア吹き出し孔670b,680b,690bが形成されたエア供給ユニット66を下方から見た図であり、図28(b)は図28(a)に示すエア供給ユニット66が複数個連結された状態を示す図である。
図28(a)に示すように、エア供給部670にはエア吹き出し孔670aの代わりにエア吹き出し孔670bが形成され、エア供給部680にはエア吹き出し孔670aの代わりにエア吹き出し孔680bが形成されている。
図28(b)に示すように、複数のエア供給ユニット66が連結されると、エア供給部670に形成されるエア吹き出し孔670aとエア供給部680に形成されるエア吹き出し孔680aとがスリット状のエア吹き出し孔675bを形成する。
また、エア供給部690にはエア吹き出し孔691a,692aの代わりにエア吹き出し孔690bが形成されている。エア吹き出し孔690bは、YZ平面に関してエア吹き出し孔675bと対称な形状を有する。
エア吹き出し孔675b,690bは、一端部から他端部にかけて内方から外方に向かうように斜めに形成されている。この場合、エア吹き出し孔675b,690bと除電器100との距離が、一端部から他端部にかけて漸次長くなる。そのため、エア吹き出し孔675b,690bの一端部側から吹き出されるエアは、他端部側から吹き出されるエアよりも除電器100との接触面積が大きくなる。
それにより、エア吹き出し孔675bの一端部側から吹き出されるエアは、図22(a)に示したように、除電器100の一方の側面側から他方の側面側に向かって斜め下方に流れ、エア吹き出し孔690bの一端部側から吹き出されるエアは、図22(c)に示したように、除電器100の他方の側面側から一方の側面側に向かって斜め下方に流れる。
一方、エア吹き出し孔675b,690bの他端部側から吹き出されるエアは、図22(b)および図22(d)に示したように、除電器100のほぼ下方に向かって流れる。
なお、エア吹き出し孔675b,690bの一端部側から吹き出されるエアは他端部側から吹き出されるエアよりも広範囲に供給されるため、より多くの流量が必要になる。本例においては、エア吹き出し孔675b,690bの幅が、内方に位置する一端部から外方に位置する他端部にかけて漸次縮小されている。この場合、エア吹き出し孔675b,690bの一端部側から吹き出されるエアの流量が他端部側から吹き出されるエアの流量よりも多くなる。そのため、広範囲に供給するために必要なエアの流量が確保される。
このように、エア供給ユニット66のエア吹き出し孔670b,680b,690bから吹き出されるエアの流れは、エア供給ユニット61の620a,630a,641a,642a(図21)から吹き出されるエアの流れと同様になる。したがって、エア供給ユニット61を用いた場合と同様に広範囲にエアを供給することができる。
(14)エア供給ユニットのさらに他の例
(14−1)構成
図4〜図6のエア供給ユニット32,33の代わりに、図28に示すエア供給ユニット71を用いてもよい。図29(a)はエア供給ユニット71の外観斜視図であり、図29(b)はエア供給ユニット71のXZ平面における断面図である。以下、図4に示したエア供給ユニット33とエア供給ユニット71とが異なる点を説明する。
図29(a)に示すように、エア供給ユニット71は、エア供給ユニット33の流路形成部331、側壁332、突条部333、エア通路33a、結合部334および取付嵌合部335に相当する流路形成部711、側壁712、突条部713、エア通路71a、結合部714および取付嵌合部715を有する。
図29(b)に示すように、エア供給ユニット71の一方の側壁712の下端部は、他方の側壁712の下端部よりも下方に延びるとともに内方に向けて湾曲している。なお、エア供給ユニット71の他方の側壁712の上下方向の長さは、エア供給ユニット33の側壁332の上下方向の長さと同じである。
また、エア供給ユニット71のエア通路33aから一方の側壁712の内部に広がるようにエア供給空間717が形成されている。一方の側壁712の内方に向けられた底部には、X方向に貫通するエア吹き出し孔71bが形成されている。
(14−2)エアの流れ
図30は、エア供給ユニット71を除電器100に取り付けた状態を示す図である。なお、エア供給ユニット71の除電器100への取り付け方法は、上述のエア供給ユニット32,33を除電器100に取り付ける場合と同様である。
図30に示すように、エア供給ユニット71を除電器100に取り付けた場合、エア供給ユニット71のエア吹き出し孔71bが除電器100のキャップ20の先端部近傍に向けられた状態となる。
エア吹き出し孔71から吹き出されるエアは、キャップ20内のシースエア層を維持しつつキャップ20の先端部近傍を通って側方に流れる。それにより、キャップ20内において生成されたイオンが除電器100の側方の領域に送られる。
この場合、除電器100を除電対象物の側方に設置した状態で使用することができる。また、除電対象物の上方において、除電器100を90°傾けた状態(水平に配置した状態)で使用することができる。このように、エア供給ユニット71を用いることにより、レイアウトの自由度が向上する。
なお、エア供給ユニット32と同様に、エア供給ユニット71の一方の側壁712に矩形の切り抜き部を形成してもよい。その場合、除電器100の表示部11上にエア供給ユニット71を配置しても、切り抜き部を通して表示部11の表示を視認することができる。
(15)連結ユニット
(15−1)構成
上記のエア供給ユニット32,33,61,66,71の代わりに、以下に示す連結ユニット75を用いてもよい。図31(a)は連結ユニット75の概観斜視図であり、図31(b)は連結ユニット75を除電器100に取り付けた状態を示す図である。
図31(a)に示すように、連結ユニット75は、エア供給ユニット33(図4)の流路形成部331、側壁332、突条部333、エア通路33a、結合部334および取付嵌合部335に相当する流路形成部751、側壁752、突条部753、エア通路75a、結合部754および取付嵌合部755を有する。
連結ユニット75の側壁752は、エア供給ユニット33の側壁332よりも上下方向に短く形成されている。また、側壁752には、エア供給空間およびエア吹き出し孔等のエアを吹き出すための機構が設けられていない。
図31(b)に示すように、連結ユニット75は、例えば複数のエア供給ユニット32,33のうちの1つまたは複数の代わりに所定の位置に取り付けられる。なお、連結ユニット75の除電器100への取り付け方法は、エア供給ユニット32,33を除電器100に取り付ける場合と同様である。
連結ユニット75からはエアが吹き出されないので、連結ユニット70を用いることによりエアの使用量を削減することができる。図31(b)の例においては、エア供給ユニット32,33と連結ユニット75とを交互に配置することにより、エアの使用量を抑制しつつ除電器100の下方にほぼ均一にエアを供給することができる。
また、除電器100のY方向の長さに対して除電対象物が小さい場合、または除電対象範囲が小さい場合には、複数のエア供給ユニット32,33のうち除電対象物または除電対象範囲の上方に配置されるエア供給ユニット32,33のみを用い、それ以外のエア供給ユニット32,33を連結ユニット75に代えてもよい。この場合、所望の領域に効率よくエアを供給することができる。
なお、エア供給ユニット32の代わりに連結ユニット70を用いる場合には、除電器100の表示部14(図1)が連結ユニット70の側壁802によって隠されないように、側壁802の上下方向の長さを適宜調整することが好ましい。
図31(b)の例では、エア供給ユニット32,33と連結ユニット70とを組み合わせて用いる場合を示したが、エア供給ユニット61またはエア供給ユニット71と連結ユニット70とを組み合わせて用いてもよい。
(15−2)連結ユニットの他の例
図32は連結ユニット75の他の例を示す図である。連結ユニット75の代わりに図32に示すような側壁752を有さない連結ユニット75Aを用いてもよい。
(16)エア供給モジュールの他の例
(16−1)エア供給モジュールの構成
次に、エア供給モジュールの他の例について説明する。図33は、エア供給モジュールの他の例の外観斜視図である。
図33に示すように、エア供給モジュール400は、エンドユニット80、複数(本例では4つ)の流路形成ユニット81、複数(本例では16個)のノズルユニット82およびエンドユニット83を有する。
エンドユニット80は、断面略楕円形状の流路形成部801を有し、流路形成部801の一端部には、略円筒状の導入管接続部802が連結されている。また、流路形成部801の一端部からXZ平面に沿って下方に延びるように端部接続部803が形成されており、流路形成部801の一方の側部および他方の側部からYZ平面に沿って下方に延びるように側壁804が設けられている。各側壁804の内側面には、Y方向に延びる突条部805が形成されている。
導入管接続部802には、ねじ切り加工が施された導入孔802aがY方向に貫通するように形成されている。また、流路形成部801の内部には、導入孔802aに連通しかつ流路形成部801の他端部側に開口するエア通路801a(後述の図37参照)が形成されている。
流路形成ユニット81は断面略楕円形状を有し、流路形成ユニット81をY方向に貫通するようにエア通路81aが形成されている。流路形成ユニット81の一端部には、Y方向に突出するように結合部812が形成されている。
流路形成ユニット81の底部には、突起および溝等からならなる複数のノズル取付部813が流路形成ユニット81の一方の側部および他方の側部に沿って設けられている。本例では、流路形成ユニット81の一方の側部および他方の側部に沿ってそれぞれ2つのノズル取付部813が設けられている。なお、図33においては、流路形成ユニット81の一方の側部に沿って設けられたノズル取付部813のみが示される。各ノズル取付部813には、エア通路81aに連通する連通路813a(後述の図39参照)が形成されている。
ノズルユニット82は、YZ平面に沿って上下に延びるように設けられている。ノズルユニット82の上部には接続部821が設けられている。接続部821は、流路形成ユニット81のノズル取付部813に対して相補的な形状を有する。ノズルユニット82の詳細については後述する。
エンドユニット83は、エンドユニット80とほぼ同様の形状を有し、XZ平面に関してエンドユニット80と対称に配置される。エンドユニット83は、エンドユニット80の流路形成部801、導入管接続部802、端部接続部803、側壁804および突条部805に相当する流路形成部831、導入管接続部832、端部接続部833、側壁834および突条部835を有する。また、流路形成部831内にはエア通路831aが形成されており、導入管接続部832にはエア通路831aに連通する導入孔832aが形成されている。なお、エンドユニット83の一端部には、Y方向に突出するように結合部836が形成されている。
(16−2)ノズルユニットの詳細
次に、ノズルユニット82の詳細について説明する。図34は、ノズルユニット82のYZ平面における断面図である。
図34に示すように、ノズルユニット82の内部には、エア供給空間822が形成されている。また、接続部821が設けられたノズルユニット82の上部を貫通するように連通路822aが形成されており、ノズルユニット82の下端部を貫通するように複数(本例では4つ)のエア吹き出し孔82bがY方向に沿って等間隔で形成されている。
(16―3)除電器への取り付け
図35は除電器100に取り付けた状態のエア供給モジュール400の側面図であり、図36は図35に示すエア供給モジュール400をその一端部側から見た図である。図37は、エンドユニット80,83および流路形成ユニット81の連結状態を示す断面図である。図38は、除電器100に取り付けた状態のエア供給モジュール400を下方から見た図である。なお、図35、図37および図38において、除電器100、エンドユニット80,83および流路形成ユニット81の左側の端部を一端部と呼び、右側の端部を他端部と呼ぶ。
図35〜図38に示すように、除電器100の一端部にエア供給モジュール400のエンドユニット80が取り付けられる。エンドユニット80の側壁804の突条部805は、除電器100の嵌合溝13に嵌合される(図36)。また、エンドユニット80の端部接続部803は除電器100の一端面に当接した状態となる。なお、エンドユニット80の端部接続部803を除電器100の一端面にねじ止めすることにより、エンドユニット80を除電器100の一端部に固定してもよい。
除電器100の他端部側にはエンドユニット83が取り付けられる。エンドユニット83の側壁834の突条部835は、除電器100の嵌合溝13に嵌合される。また、エンドユニット80の端部接続部833は除電器100の一端面に当接した状態となる。なお、エンドユニット80の端部接続部833を除電器100の他端面にねじ止めすることにより、エンドユニット83を除電器100の他端部に固定してもよい。
図35に示すようにエンドユニット80,83の導入管接続部802,832には、接続部材40(図9参照)を介してエア導入管50(図9参照)が接続される。
なお、エンドユニット80,83のうちの一方のみにエア導入管50を接続してもよい。その場合、エンドユニット80,83の他方には、接続部材40の代わりに導入孔802a,832aを閉塞するための閉塞部材(図示せず)が取り付けられる。
エンドユニット80とエンドユニット83との間には、複数の流路形成ユニット81が取り付けられる。この場合、図37に示すように、エンドユニット80の他端部の開口に流路形成ユニット81の結合部812が嵌め込まれる。また、他の流路形成ユニット81の結合部812が隣接する流路形成ユニット81の他端部の開口に嵌め込まれる。エンドユニット83に隣接する流路形成ユニット81の他端部の開口には、エンドユニット83の結合部836が嵌め込まれる。
各流路形成ユニット81のノズル取付部813にはノズルユニット82が取り付けられる(図35)。具体的には、ノズルユニット82の接続部821(図33)が流路形成ユニット81のノズル取付部813(図33)に嵌合されることにより、ノズルユニット82が流路形成ユニット81に取り付けられる。
図38に示すように、複数のノズルユニット82は、除電器100の一側面側および他側面側において等間隔に配置される。除電器100の一側面側に取り付けられるノズルユニット82と除電器100の他側面側に取り付けられるノズルユニット82とは、除電器100のキャップ20を挟んで互いに対向する。なお図36に示すように、各ノズルユニット82の下端部は、除電器100のキャップ20の先端部とほぼ同じ高さに位置する。
したがって、除電器100のキャップ20とノズルユニット82のエア吹き出し孔82bとの位置関係は、除電器100のキャップ20と上記エア供給ユニット32,33のエア吹き出し孔32b,33b(図10)の位置関係と等しくなる。
(16−4)エアの流れ
図39は、エア供給モジュール400に導入されたエアの流れを示す図である。図39に示すように、エア導入管50から導入されたエアは、エンドユニット80,83のエア通路801a,831aを通して複数の流路形成ユニット81のエア通路81aに導かれる。エア通路81aに導かれたエアは、流路形成ユニット81の連通路813aおよびノズルユニット82の連通路822aを通してノズルユニット82のエア供給空間822に導かれる。そして、各ノズルユニット82のエア吹き出し孔82bからエアが下方に吹き出される。
この場合、各ノズルユニット82のエア吹き出し孔82bから吹き出されるエアの流れは、エア供給ユニット32,33のエア吹き出し孔32b,33bから吹き出されるエアの流れと同様になる。したがって、除電器100によって生成されたイオンが、エア供給ユニット32,33から吹き出されるエアによって下方に遠く離れた位置まで送られる。
このように、エア供給モジュール400を用いた場合には、上記のエア供給ユニット32,33を含むエア供給モジュール300を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
また、エア供給モジュール400においては、ノズルユニット82が流路形成ユニット81に対して着脱自在に構成されている。そのため、エンドユニット80,83および流路形成ユニット81を除電器100に取り付けたままの状態で、ノズルユニット82を他の部材等に付け替えることができる。
例えば、ノズルユニット82の代わりに流路形成ユニット81の連通路813aを閉塞する閉塞部材を流路形成ユニット81のノズル取付部813に取り付けることにより、図31に示した連結ユニット75を用いる場合と同様に、エアの使用量を削減しつつエアの供給領域を調整することが可能になる。
また、ノズルユニット82の代わりに他の構成のノズルユニットを用いることにより、エアの流れを容易に変更することができる。以下、ノズルユニットの他の例について説明する。
(16−5)ノズルユニットの他の例
ノズルユニット82の代わりに、図40および図41に示すノズルユニット90およびノズルユニット91を用いてもよい。図40(a)はノズルユニット90の外観斜視図であり、図40(b)はノズルユニット90のYZ平面における断面図である。図41(a)はノズルユニット91の概観斜視図であり、図41(b)はノズルユニット91のYZ平面における断面図である。
図40(a)に示すように、ノズルユニット90は、互いに平行に上下に延びる第1ノズル901および第2ノズル902を有する。第1ノズル901および第2ノズル902は、その上端部において一体的に連結されている。第1ノズル901の上下方向の長さは第2ノズル902の上下方向の長さよりも短く、第1ノズル901のY方向の幅は第2ノズル902の幅よりも大きい。また、ノズルユニット90の上部には、2つの接続部903が設けられている。接続部903は、ノズルユニット82の接続部821と同様の形状である。2つの接続部903の間隔は、流路形成ユニット81(図33)のノズル取付部813の間隔と等しく設定される。
また、図40(b)に示すように、ノズルユニット90の内部には、一方の接続部903の下方から第1ノズル901の下端部にかけてエア供給空間904が形成されており、他方の接続部903の下方から第2ノズル902の下端部にかけてエア供給空間905が形成されている。
一方の接続部903が設けられたノズルユニット90の部分を貫通するように連通路904aが形成されている。また、第1ノズル901の下端部を貫通するように2つのエア吹き出し孔904bが形成されている。
また、他方の接続部903が設けられたノズルユニット90の部分を貫通するように連通路905aが形成されている。また、第2ノズル902の下端部を貫通するように1つのエア吹き出し孔905bが形成されている。
図41(a)に示すように、ノズルユニット91は、上下に延びる第1供給部911および第2供給部912からなる第3ノズル913を有する。第3ノズル913の第1供給部911は第1ノズル901と同様の長さおよび幅を有し、第2の供給部912は第2ノズル902と同様の長さおよび幅を有する。ノズルユニット91の上部には、流路形成ユニット81(図33)のノズル取付部813の間隔と等しい間隔で2つの接続部914が設けられている。接続部914は、ノズルユニット82の接続部821と同様の形状を有する。
図41(b)に示すように、ノズルユニット91の内部には、2つの接続部914の下方から第3ノズル913の第1供給部911および第2供給部912の下端部にかけてエア供給空間915が形成されている。接続部914が設けられたノズルユニット91の部分を貫通するように連通路915aが形成されている。また、第1供給部911の下端部を貫通するように2つのエア吹き出し孔915bが形成されており、第2供給部912の下端部を貫通するように1つのエア吹き出し孔915cが形成されている。
図40のノズルユニット90は、除電器100の一方の側面側において流路形成ユニット82に取り付けられる。図41のノズルユニット91は、除電器100の他方の側面側において流路形成ユニット82に取り付けられる。
この場合、ノズルユニット90のエア吹き出し孔904b,905bと除電器100のキャップ20との位置関係が、上記エア供給ユニット61のエア吹き出し孔620a,630aと除電器100のキャップ20との位置関係と等しくなる(図21参照)。また、ノズルユニット91のエア吹き出し孔915b,915cと除電器100のキャップ20との位置関係が、上記エア供給ユニット61のエア吹き出し孔641a,642aと除電器100のキャップ20との位置関係と同様になる(図21参照)。
それにより、各ノズルユニット90,91のエア吹き出し孔904b,905b,915b,915cから吹き出されるエアの流れは、上記エア供給ユニット61のエア吹き出し孔620a,630a,641a,642aから吹き出されるエアの流れと同様になる。
したがって、気体供給モジュール400においてノズルユニット82の代わりにノズルユニット90,91を用いた場合には、エア供給ユニット61を含むエア供給モジュール300を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
(16−6)ノズルユニットのさらに他の例
ノズルユニット82の代わりに、図42に示すノズルユニット92を用いてもよい。図42(a)はノズルユニット92の外観斜視図であり、図42(b)は、ノズルユニット92のXZ平面における断面図である。
図42(a)に示すように、ノズルユニット92はノズルユニット82に比べて上下方向に長く形成されているとともに、ノズルユニット92の下端部は略J字状に湾曲している。ノズルユニット92の上部には、ノズルユニット82の接続部821と同様の形状の接続部921が設けられている。
また、図42(b)に示すように、ノズルユニット92の内部にはエア供給空間922が形成されている。エア供給空間922から上方に接続部921の底部を貫通するように連通路922aが形成されている。また、エア供給空間922からノズルユニット92の内方に向けられた底部を貫通するようにエア吹き出し孔922bが形成されている。
ノズルユニット92は、除電器100の一方の側面側において流路形成ユニット82に取り付けられる。なお、ノズルユニット92を用いる場合には、除電器100の他方の側面側における流路形成ユニット82のノズル取付部813に、連通路813aを閉塞するための閉塞部材が取り付けられる。
この場合、ノズルユニット92のエア吹き出し孔922bと除電器100のキャップ20との位置関係が、上記エア供給ユニット71のエア吹き出し孔71bと除電器100のキャップ20との位置関係と等しくなる(図30参照)。
それにより、各ノズルユニット92のエア吹き出し孔922bから吹き出されるエアの流れは、上記エア供給ユニット71のエア吹き出し孔71bから吹き出されるエアの流れと同様になる。したがって、気体供給モジュール400においてノズルユニット82の代わりにノズルユニット92を用いた場合には、エア供給ユニット71を含むエア供給モジュール300を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
(17)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態では、除電器100およびエア供給モジュール300,400が除電装置の例であり、除電器100が本体部の例であり、エア流路F2が気体吹き出し孔の例であり、キャップ20が保持部材の例であり、エア吹き出し孔32b,33b,33c,82b,620a,630a,641a,642a,670a,680a,691a,692a,670b,680b,690b,904b,905b,915b,915c,71b,922bが気体吹き出し口の例であり、エア供給モジュール300,400が気体吹き出し部の例である。
また、エア吹き出し孔32b,33b,33c,82bが第1の気体吹き出し口の例であり、グランドプレート15が本体部の底面の例であり、エア供給ユニット32,33またはノズルユニット82が気体吹き出し用部材の例であり、側壁322,332が第1および第2の側壁部の例であり、エア通路32a,33aが気体通路の例であり、連結ユニット75,75Aが連結部材の例であり、エア通路33aが連通路の例であり、エア導入管50が気体導入手段の例である。
また、エア吹き出し孔620a,630a,641a,642a,670a,680a,691a,692a,670b,680b,690b,904b,905b,915b,915cが第2および第3の気体吹き出し口の例であり、エア吹き出し孔71b,922bが第4の気体吹き出し口の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。