JP4919465B2 - 新規アセン系付加化合物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明の化合物(3)も同様に架橋部:X=−C(Cl2)S−の結合の向きにより立体異性を生じる可能性があるが、いずれの立体異性体においても同様な反応性を有し、化合物(1)または(2)を生成する。
反応式(I)によって示されるアセン系チオホスゲン付加体(3)の製造方法
反応式(I)において、原料である化合物(4)はアントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ノナセン、オクタセン等のアセン系化合物であり、1次元方向に縮合した芳香環構造を特徴とする。アセン系化合物(4)は末端の芳香環に置換基R1、R2を有しており、置換基R1、R2はそれぞれ独立して、H、C1〜C6の低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。かかるアセン系化合物(4)は市販試薬として容易に入手することができ、あるいは公知文献(例えば米国特許公開第2003/0100779号公報、Chem. Ber.,96,707(1963))を参考に容易に合成することができる。
反応式(II)の反応は、上記の反応式(I)により製造されたチオホスゲン付加化合物(3)を原料とする。この化合物(3)は反応性に富むジクロロ置換基を有するため、下記の反応式(II-a)および反応式(II-b)に示すように種々のプロトン性反応試剤と容易に反応し、化合物(1)のチオラクトン型アセン系付加体を生成する。反応式(II-a)では化合物(3)に水が一段階的に反応して化合物(1)を生成し、反応式(II-b)では化合物(3)にアルコール類が反応し、次いで水が反応することにより化合物(1)を生成する二段階工程を経る。
反応式(III)の反応は、上記の反応式(I)により製造されたチオホスゲン付加体化合物(3)を原料とする。この化合物(3)は反応性に富むジクロロ置換基を有するため、チオ化反応試剤中の硫黄原子と容易に反応して化合物(2)のジチオラクトン型アセン系付加体を生成する。
反応式(IV)の反応は、上記の反応式(II)または(III)により製造された化合物(1)または化合物(2)を原料とする。化合物(1)または(2)は熱または光により分解されて付加部分のCOSまたはCS2を脱離してアセン系化合物(4)を生成する。
窒素で置換した四つ口フラスコにペンタセン0.56g(2mmol)、α,α,α−トリフルオロトルエン20ml、およびチオホスゲン1.15g(10mmol)を封入し、60℃で30時間反応した。反応終了後、クロロホルムを加えて析出結晶を溶解し、微量の不溶物をろ過により除いてから濃縮した。得られた粗結晶にn−ヘプタンを加えてスラリー化し、ろ過した。さらに粗結晶をn−ヘプタンで洗浄し、乾燥すると灰白色粉末結晶の目的化合物(A)が710mg(単離収率90%)得られた。そのNMRデータおよび分解温度を以下に示す。
[1H−NMR](CDCl3:δ)5.37(s,H),5.51(s,H),7.44−7.50(m,4H),7.76−7.80(m,2H),7.80−7.88(m,4H),7.96−8.02(m,2H)
分解温度(示差熱分析):247〜255℃
(1)化合物(B)の合成
窒素で置換した四つ口フラスコに実施例1で得た化合物(A)0.45g(1.14mmol)およびメタノール30mlを加え、窒素気流下、5℃に冷却した。これにナトリウムメトキシド0.12g(2.3mmol)のメタノール溶液(5ml)を滴下してから50〜60℃に加温し、1時間反応した。反応終了後、反応液の濃縮物をクロロホルムで抽出し、有機相を水洗、分液した。次いでクロロホルム抽出液の濃縮物を少量のメタノールに懸濁させ、氷水冷却後にろ過した。さらに少量のメタノールで洗浄し、乾燥すると白色粉末結晶の目的化合物(B)が350mg(単離収率80%)得られた。そのNMRデータおよび分解温度を以下に示す。
[1H−NMR](CDCl3:δ)3.37(s,6H),5.08(s,H),5.41(s,3H),7.40−7.48(m,4H),7.74−7.76(m,2H),7.76−7.80(m,4H),7.84−7.88(m,2H)
分解温度(示差熱分析):196〜220℃
(2)化合物(C)の合成
四つ口フラスコに(1)で得た化合物(B)0.20g(0.5mmol)、テトラヒドロフラン(10ml)、5N塩酸0.2mlを入れ、室温にて15時間反応した。反応終了後、酢酸エチルを加えて抽出、水洗、分液、濃縮の操作を行なった。得られた濃縮物についてアセトニトリルを用いて再結晶を行い、ろ過、乾燥すると白色粉末結晶の目的化合物(C)が140mg(単離収率83%)得られた。そのNMRデータおよび分解温度を以下に示す。
[1H−NMR](CDCl3:δ)5.48(s,H),5.84(s,H),7.46−7.54(m,4H),7.76−7.84(m,4H),7.86−7.94(m,4H)
分解温度(示差熱分析):188〜210℃
四つ口フラスコに実施例1で得た化合物(A)0.20g(0.5mmol)、テトラヒドロフラン(6ml)、および10N塩酸水溶液0.1mlを入れ、室温にて15時間反応した。反応終了後、酢酸エチルを加えて抽出、水洗、分液、濃縮の操作を行なった。得られた濃縮物についてアセトニトリルを用いて再結晶を行い、ろ過、乾燥すると白色粉末結晶の目的化合物(C)が140mg(単離収率83%)得られた。
四つ口フラスコに実施例1で得た化合物(A)0.20g(0.5mmol)、テトラヒドロフラン(8ml)、水50mgおよびトリフルオロ酢酸60mg(0.5mmol)を入れ、室温にて15時間反応した。反応終了後、酢酸エチルを加えて抽出、水洗、分液、濃縮の操作を行なった。得られた濃縮物についてアセトニトリルを用いて再結晶を行い、ろ過、乾燥すると白色粉末結晶の目的化合物(C)が140mg(単離収率83%)得られた。
窒素で置換した四つ口フラスコに実施例1で得た化合物(A)398mg(1.0mmol)、エチルキサントゲン酸カリウム357mg(2.2mmol)、およびジメチルアセトアミド(40ml)を入れ、窒素気流下110℃で1時間反応した。反応終了後、水およびクロロホルムを加えて抽出、水洗、分液、濃縮の操作を行なった。得られた濃縮物についてシリカゲルカラムクロマトグラフを行なうことにより黄色粉末結晶の目的化合物(D)が122mg(単離収率34%)得られた。そのNMRデータおよび分解温度を以下に示す。
[1H−NMR](CDCl3:δ)5.94(s,H),6.12(s,H),7.44−7.52(m,4H),7.76−7.84(m,4H),7.86−7.95(m,4H)
分解温度(示差熱分析):193〜210℃
窒素で置換した四つ口フラスコに実施例1で得た化合物(A)398mg(1.0mmol)、エチルキサントゲン酸カリウム357mg(2.2mmol)、ジメチルアセトアミド(40ml)および18−クラウン−6 13mg(0.05mmol)を入れ、窒素気流下110℃で1時間反応した。反応終了後、水およびクロロホルムを加えて抽出、水洗、分液、濃縮の操作を行なった。得られた濃縮物についてシリカゲルカラムクロマトグラフを行なうことにより黄色粉末結晶の目的化合物(D)が190mg(単離収率53%)得られた。
窒素で置換した四つ口フラスコにヘキサセン0.66g(2mmol)、α,α,α−トリフルオロトルエン30ml、およびチオホスゲン1.15g(10mmol)を封入し、60℃で50時間反応した。反応終了後、クロロホルムを加えて析出結晶を溶解し、不溶物をろ過により除いてから濃縮した。得られた粗結晶にn−ヘプタンを加えてスラリー化し、ろ過した。さらに粗結晶をn−ヘプタンで洗浄し、乾燥すると灰白色粉末結晶の目的化合物(E)が700mg(単離収率79%)得られた。
[1H−NMR](CDCl3:δ)5.37(s,H),5.52(s,H),7.44−7.51(m,4H),7.76−7.80(m,2H),7.80−7.90(m,4H),7.95−8.02(m,2H),8.27−8.34(m,2H)
分解温度(示差熱分析):252〜263℃
四つ口フラスコに実施例1で得た化合物(E)220mg(0.5mmol)、テトラヒドロフラン(12ml)、および10N塩酸水溶液0.1mlを入れ、室温にて20時間反応した。反応終了後、酢酸エチルを加えて抽出、水洗、分液、濃縮の操作を行なった。得られた濃縮物についてアセトニトリルを用いて再結晶を行い、ろ過、乾燥すると白色粉末結晶の目的化合物(F)が160mg(単離収率82%)得られた。
[1H−NMR](CDCl3:δ)5.48(s,H),5.85(s,H),7.46−7.55(m,4H),7.76−7.85(m,4H),7.86−7.95(m,4H),8.28−8.36(m,2H)
分解温度(示差熱分析):195〜220℃
窒素で置換した四つ口フラスコにクロロテトラセン0.79g(3mmol)、α,α,α−トリフルオロトルエン30ml、およびチオホスゲン2.50g(22mmol)を封入し、65℃で18時間反応した。反応終了後、メチレンクロライドを加えて析出結晶を溶解し、不溶物をろ過により除いてから濃縮した。得られた濃縮物を1%含水テトラヒドロフラン溶液50mlに溶解し、室温で20時間攪拌してから再度濃縮した。得られた濃縮物についてシリカゲルカラムクロマトグラフを行うと黄色粉末結晶の目的化合物(G)が0.95g(単離収率98%)得られた。
[1H−NMR](CDCl3:δ)5.27〜5.33(m,H),5.63〜5.69(m,H),7.14−7.31(m,2H),7.35−7.54(m,3H),7.66−7.90(m,4H)
[FT−IR](KBr)C=O:1690cm−1
窒素で置換した四つ口フラスコにブロモテトラセン0.60g(1.9mmol)、α,α,α−トリフルオロトルエン30ml、およびチオホスゲン1.50g(13mmol)を封入し、65℃で18時間反応した。反応終了後、メチレンクロライドを加えて析出結晶を溶解し、不溶物をろ過により除いてから濃縮した。得られた濃縮物を1%含水テトラヒドロフラン溶液40mlに溶解し、室温で20時間攪拌してから再度濃縮した。得られた濃縮物についてシリカゲルカラムクロマトグラフを行うと黄色粉末結晶の目的化合物(H)が0.54g(単離収率78%)得られた。
[1H−NMR](CDCl3:δ)5.27〜5.33(m,H),5.63〜5.69(m,H),7.10−7.40(m,2H),7.43−7.70(m,3H),7.72−7.97(m,4H)
[FT−IR](KBr)C=O:1691cm−1
窒素で置換した反応器に実施例5で得た化合物(D)11mgを入れ、窒素気流下に100℃から210℃まで加熱したところ、この間に21%の重量減少および黒色への変化が確認された。得られた加熱分解物についてTOFF-Massスペクトルを測定し、ペンタセンに相当する分子量278のピークを検出した。
窒素で置換した反応器に実施例8で得た化合物(F)5mgを入れ、窒素気流下に100℃から250℃まで加熱したところ、この間に15%の重量減少および黒色への変化が確認された。得られた加熱分解物についてTOFF-Massスペクトルを測定し、ヘキサセンに相当する分子量328のピークを検出した。
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- 反応が相間移動触媒の存在下で行われることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
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