JP4918562B2 - 軸方向出力分布制御方法及び軸方向出力分布制御補助装置 - Google Patents

軸方向出力分布制御方法及び軸方向出力分布制御補助装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4918562B2
JP4918562B2 JP2009038136A JP2009038136A JP4918562B2 JP 4918562 B2 JP4918562 B2 JP 4918562B2 JP 2009038136 A JP2009038136 A JP 2009038136A JP 2009038136 A JP2009038136 A JP 2009038136A JP 4918562 B2 JP4918562 B2 JP 4918562B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
parameter
xenon
iodine
core
power distribution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009038136A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010190853A (ja
Inventor
雅之 加内
雅俊 永井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2009038136A priority Critical patent/JP4918562B2/ja
Priority to PCT/JP2010/052474 priority patent/WO2010095696A1/ja
Priority to EP10743822.8A priority patent/EP2400504A4/en
Priority to US13/202,219 priority patent/US20120033780A1/en
Publication of JP2010190853A publication Critical patent/JP2010190853A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4918562B2 publication Critical patent/JP4918562B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G21NUCLEAR PHYSICS; NUCLEAR ENGINEERING
    • G21CNUCLEAR REACTORS
    • G21C7/00Control of nuclear reaction
    • G21C7/06Control of nuclear reaction by application of neutron-absorbing material, i.e. material with absorption cross-section very much in excess of reflection cross-section
    • G21C7/08Control of nuclear reaction by application of neutron-absorbing material, i.e. material with absorption cross-section very much in excess of reflection cross-section by displacement of solid control elements, e.g. control rods
    • GPHYSICS
    • G21NUCLEAR PHYSICS; NUCLEAR ENGINEERING
    • G21CNUCLEAR REACTORS
    • G21C17/00Monitoring; Testing ; Maintaining
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Plasma & Fusion (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • High Energy & Nuclear Physics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

本発明は、原子炉の軸方向における出力分布を制御する技術に関し、特に、加圧水型原子炉内で発生しうるキセノン振動を抑制することに関する。
従来、原子力発電所等で用いられる加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)においては、キセノン振動という現象が発生することが知られている。このキセノン振動は、核分裂で発生する核分裂生成物のうち、中性子の吸収能力が高いキセノンの空間濃度分布が変動することにより引き起こされる原子炉内における出力分布の空間振動のことである。
キセノン振動が発生すると、原子炉内の出力分布の歪みが大きくなり、局所的に出力が過大となり、原子炉の炉心には局所的に温度が上昇する部分が発生することがある。原子炉の運転中において炉心の健全性を確保するために、キセノン振動が発生した場合には、これを安全性に問題がない範囲内に抑制する必要がある。
上記のような出力分布の過大な歪みを抑制する技術として、軸方向出力分布を一定の範囲内に収めるような「出力分布制御法」が知られている。例えば、軸方向出力分布一定値制御法では、定格出力において、制御棒がほぼ全引き抜きの状態で安定している状態の軸方向出力分布偏差(AO:Axial Offset)を目標値と定める。そして、運転時の軸方向出力分布偏差AO(出力が定格出力より低い場合はAOに相対出力を乗じた値)が、当該目標値から一定の許容範囲内に収まっているか否かを監視し、軸方向出力分布偏差AOが当該許容範囲から逸脱した場合、制御棒を用いて直ちに許容範囲内に誘導するように制御している(特許文献1、非特許文献1)。
また、本願発明者による発明として、特許第3202430号公報に記載のキセノン振動制御方法が知られている(特許文献2、非特許文献2、非特許文献3)。このキセノン振動制御方法では、原子炉の炉心における軸方向出力分布偏差(AO)と、現在のキセノン濃度がその状態で平衡状態として実現するのに対応する軸方向出力分布偏差(AO)と、現在のヨウ素濃度がその状態で平衡状態として実現するのに対応する軸方向出力分布偏差(AO)とを利用する。そして、パラメータDAOPX(=AO−AO)をX軸に、パラメータDAOIX(=AO−AO)をY軸にプロットしたときの軌跡に基づいて、この軌跡を原点に移動させるように制御棒を挿入あるいは引き抜くことによって発生したキセノン振動を消滅させるようになっている。
特開2000−121779号公報 特許第3202430号公報
火力原子力発電Vol.31 No.2「PWRのロードフォロー運転」 日本原子力学会誌Vol.33 No.3「軸方向出力分布偏差のオンラインデータ処理に基づくPWRの軸方向キセノン振動の最適制御法」 日本原子力学会誌Vol.38 No.1「負荷追従運転時のキセノン振動制御に対するアキシャルオフセット軌跡法の改良」
しかしながら、上述した従来の「出力分布制御法」は、単に、軸方向出力分布偏差AOを許容範囲内に制御するものであるため、大きなキセノン振動の発生は防げても、キセノン振動を消滅させることはできない。したがって、別途、キセノン振動の制御、発生に対する対策を講じなければならないという問題がある。また、出力分布の情報のみに基づいて制御するものであるため、出力値に応じて許容範囲が変化する等、運転方法に多くの制約があり、原子炉を効率的に運転することが困難であるという問題もある。
また、上記特許文献2に記載された発明は、発生したキセノン振動を消滅させる点では確実な方法であって効果的であるが、あくまでも既に発生してしまったキセノン振動を制御するものである。このため、出力分布制御には適用できない。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、簡単かつ目標が明確な運転操作によって原子炉内の軸方向出力分布を制御するだけで、キセノン振動を同時に制御してキセノン振動を抑制すること、キセノン振動を抑制する作業の負荷を軽減することのうち、少なくとも一つを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る軸方向出力分布制御方法は、 原子炉の炉心上半分での相対出力(P)及び同炉心下半分での相対出力(P)に基づいて、炉心軸方向出力分布偏差と、現在のキセノン濃度がその状態で平衡状態として実現するのに対応するキセノン対応軸方向出力分布偏差と、現在のヨウ素濃度がその状態で平衡状態として実現するのに対応するヨウ素対応軸方向出力分布偏差とをそれぞれ下記関係式(1)〜(3)又は(1)’〜(3)’により算出する軸方向出力分布偏差算出ステップと、前記原子炉の運転中における炉心軸方向出力分布偏差とキセノン対応炉心軸方向出力分布偏差との差を用いて表されるキセノンパラメータ、及び前記原子炉の運転中におけるヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差とキセノン対応炉心軸方向出力分布偏差との差を用いて表されるヨウ素パラメータを算出するパラメータ算出ステップと、前記炉心の安全性を確保するために必要な、キセノンパラメータの許容値及びヨウ素パラメータの許容値と、前記パラメータ算出ステップで算出されたキセノンパラメータ及びヨウ素パラメータとに基づいて、前記パラメータ算出ステップで算出されたキセノンパラメータ及びヨウ素パラメータによって描かれる楕円の長径に向けて、キセノンパラメータ及びヨウ素パラメータが移動するように制御棒を移動制御する制御棒移動ステップと、を含むことを特徴とする。
炉心軸方向出力分布偏差:(P−P)、又は(P−P)/(P+P)・・・式(1)
キセノン対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTX−PBX)、又は(PTX−PBX)/(PTX+PBX)・・・式(2)
ヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTI−PBI)、又は(PTI−PBI)/(PTI+PBI)・・・式(3)
炉心軸方向出力分布偏差:(P−P)/(P+P)・・・式(1)’
キセノン対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTX−PBX)/(PTX+PBX)・・・式(2)’
ヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTI−PBI)/(PTI+PBI)・・・式(3)’
ただし、
TX:キセノン濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心上半分の出力
BX:キセノン濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心下半分の出力
TI:ヨウ素濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心上半分の出力
BI:ヨウ素濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心下半分の出力
本発明は、パラメータ(DAOPX、DAOIX)とその許容値(DAOPX_L、DAOIX_L)とに基づいて、前記パラメータの軌跡によって描かれる楕円の長径に向けて、前記パラメータの最新の値(プロット点)を誘導するように制御棒を移動制御する。これによって、原子炉内の軸方向出力分布を制御するだけで、キセノン振動を同時に制御でき、キセノン振動を迅速かつ極めて小さく抑制し、原子炉制御上の安全性を確実なものにすることができる。同時に、キセノン振動を抑制する作業の負荷を軽減できる。また、前記パラメータとその許容値とを比較することで、制御棒の移動タイミング及び移動量が容易に視認され、簡単かつ確実に制御棒を操作することができ、制御戦略を極めて簡単明瞭なものにすることができる。さらに、前記パラメータの最新の値とその許容値とを同時に比較することにより、前記パラメータの最新の値が許容値を超えた場合のみならず、超える前であっても制御棒を移動させることができる。これによって、前記パラメータの最新の値が許容値を超えるおそれがある場合でも原子炉内の軸方向出力分布を制御して、キセノン振動を迅速に抑制できる。
本発明の望ましい態様としては、前記軸方向出力分布制御方法において、前記パラメータ算出ステップの後であって前記制御棒移動ステップの前に、直交座標系において、前記キセノンパラメータの許容値を一方の軸に、前記ヨウ素パラメータの許容値を他方の軸として、前記キセノンパラメータの許容値及び前記ヨウ素パラメータの許容値によって描かれる許容範囲軌跡を表示手段に表示するとともに、前記パラメータ算出ステップで算出された前記キセノンパラメータを前記一方の軸に、前記ヨウ素パラメータを前記他方の軸にした軌跡を前記表示手段に表示する軌跡表示ステップを有することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記軸方向出力分布制御方法において、前記制御棒移動ステップにおいては、前記パラメータ算出ステップで算出された前記キセノンパラメータとヨウ素パラメータとの少なくとも一方が、前記キセノンパラメータの許容値と前記ヨウ素パラメータの許容値との少なくとも一方を超える前に、前記楕円の長径に向けてキセノンパラメータ及びヨウ素パラメータが移動するようにするように前記制御棒を移動制御することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記軸方向出力分布制御方法において、前記キセノンパラメータの許容値を直交座標系の横軸に、前記ヨウ素パラメータの許容値を前記直交座標系の縦軸にした場合において、前記横軸と、前記楕円の長径と、前記許容範囲軌跡とで囲まれる領域に、前記キセノンパラメータ及び前記ヨウ素パラメータが入ったときに、前記楕円の長径に向けてキセノンパラメータ及びヨウ素パラメータが移動するように制御棒を移動制御することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記軸方向出力分布制御方法において、前記制御棒移動ステップの前に、前記パラメータ算出ステップで算出された前記キセノンパラメータと前記ヨウ素パラメータとの少なくとも一方が、前記キセノンパラメータの許容値と前記ヨウ素パラメータの許容値との少なくとも一方を超えたか否かを判定する許容範囲超過判定ステップを有し、前記制御棒移動ステップにおいては、前記キセノンパラメータと前記ヨウ素パラメータとの少なくとも一方が、前記キセノンパラメータの許容値と前記ヨウ素パラメータの許容値との少なくとも一方を超えた場合に、前記キセノンパラメータ及び前記ヨウ素パラメータによって描かれる楕円の長径に向けて、キセノンパラメータ及びヨウ素パラメータが移動するように制御棒を移動制御することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記軸方向出力分布制御方法において、前記許容範囲超過判定ステップにおいて、前記許容範囲超過判定ステップにおいて、前記キセノンパラメータと前記ヨウ素パラメータとの少なくとも一方が、前記キセノンパラメータの許容値と前記ヨウ素パラメータの許容値との少なくとも一方を超えたと判定されたとき、その旨を報知する報知ステップを有することが好ましい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、原子炉の炉心上半分での相対出力(P)及び同炉心下半分での相対出力(P)に基づいて、炉心軸方向出力分布偏差と、現在のキセノン濃度がその状態で平衡状態として実現するのに対応するキセノン対応軸方向出力分布偏差と、現在のヨウ素濃度がその状態で平衡状態として実現するのに対応するヨウ素対応軸方向出力分布偏差とをそれぞれ下記関係式(1)〜(3)、又は(1)’〜(3)’により算出する軸方向出力分布偏差算出部と、前記原子炉の運転中における炉心軸方向出力分布偏差とキセノン対応炉心軸方向出力分布偏差との差を用いて表されるキセノンパラメータ、及び前記原子炉の運転中におけるヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差とキセノン対応炉心軸方向出力分布偏差との差を用いて表されるヨウ素パラメータを算出するパラメータ算出部と、直交座標系において、前記炉心の安全性を確保するために必要な、キセノンパラメータの許容値を一方の軸に、ヨウ素パラメータの許容値を他方の軸として、前記キセノンパラメータの許容値及び前記ヨウ素パラメータの許容値によって描かれる許容範囲軌跡、及び前記パラメータ算出部が算出した前記キセノンパラメータを前記一方の軸に、前記ヨウ素パラメータを前記他方の軸にした軌跡を表示手段に表示する軌跡表示部と、を含むことを特徴とする。
炉心軸方向出力分布偏差:(P−P)、又は(P−P)/(P+P)・・・式(1)
キセノン対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTX−PBX)、又は(PTX−PBX)/(PTX+PBX)・・・式(2)
ヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTI−PBI)、又は(PTI−PBI)/(PTI+PBI)・・・式(3)
炉心軸方向出力分布偏差:(P−P)/(P+P)・・・式(1)’
キセノン対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTX−PBX)/(PTX+PBX)・・・式(2)’
ヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTI−PBI)/(PTI+PBI)・・・式(3)’
ただし、
TX:キセノン濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心上半分の出力
BX:キセノン濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心下半分の出力
TI:ヨウ素濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心上半分の出力
BI:ヨウ素濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心下半分の出力
本発明は、キセノン振動を抑制するにあたって、パラメータ(DAOPX、DAOIX)とその許容値(DAOPX_L、DAOIX_L)とを表示手段に表示させる。そして、前記パラメータの軌跡によって描かれる楕円の長径に向けて、前記パラメータの最新の値(プロット点)を誘導するように制御棒を移動制御する。これによって、キセノン振動を抑制するにあたっては、表示手段に表示された前記パラメータとその許容値とを比較できるので、制御棒の移動タイミング及び移動量が容易に視認できる。その結果、簡単かつ確実に制御棒を操作することができるので、キセノン振動を抑制する作業の負荷を軽減でき、また、制御戦略を極めて簡単明瞭なものにすることができる。
本発明の望ましい態様としては、前記軸方向出力分布制御補助装置において、前記パラメータ算出部が算出したキセノンパラメータとヨウ素パラメータとの少なくとも一方が、前記炉心の安全性を確保するために必要なキセノンパラメータの許容値と前記ヨウ素パラメータの許容値との少なくとも一方を超えると判断されたときには、キセノンパラメータ及びヨウ素パラメータによって描かれる楕円の長径に向けて、キセノンパラメータ及びヨウ素パラメータが移動するようにするように制御棒を移動制御することが好ましい。
本発明は、簡単かつ目標が明確な運転操作によって原子炉内の軸方向出力分布を制御するだけで、キセノン振動を同時に制御して、キセノン振動を抑制できる。
図1は、本実施形態に係る軸方向出力分布制御装置及び原子炉の全体構成を示す模式図である。 図2は、本実施形態において、キセノン振動が安定している場合におけるプロット軌跡を示す図である。 図3は、本実施形態において、キセノン振動が発散性の場合におけるプロット軌跡を示す図である。 図4は、本実施形態において、キセノン振動中のAOを示す図である。 図5は、図4に対応する(DAOPX、DAOIX)のプロット軌跡を示す図である。 図6は、本実施形態の軸方向出力分布制御方法を示すフローチャートである。 図7は、(DAOPX、DAOIX)のプロット軌跡を示す図である。 図8は、(DAOPX_L、DAOIX_L)の軌跡を示す図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
図1は、本実施形態に係る軸方向出力分布制御プログラム1aを搭載した軸方向出力分布制御装置1と、この軸方向出力分布制御装置1によって制御される原子炉10の全体構成を示している。本実施形態において、原子炉10は、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。原子炉10は、圧力容器11と、この圧力容器11内に設けられる炉心12と、この炉心12内の核分裂反応を制御する制御棒13と、この制御棒13を上下方向に駆動する制御棒駆動装置14と、炉心12の高さ位置に対応して分割して配置される炉外中性子束検出器15a、又は炉内中性子束検出器15bと、炉外中性子束検出器15a、又は炉内中性子束検出器15bの検出値に基づいて炉心12の相対出力を算出する中性子束計測装置16とを有している。
炉心12の内部には、核燃料となる複数の燃料棒13が配置されている。制御棒13は、制御棒駆動装置14によって駆動され、炉心12に対して挿入及び抜き出しの制御が可能に構成されている。なお、本実施形態において、「軸方向」とは、炉心12の軸方向をいうものであり、燃料棒13の長手方向及び制御棒13の駆動方向に一致している。そして、加圧水型原子炉では、軸方向におけるキセノン振動が優位であることから、本実施形態では軸方向におけるキセノン振動について説明する。
制御棒駆動装置14は、後述する演算処理手段5によって制御され、制御棒13を上下方向に駆動する。また、炉外中性子束検出器15a、又は炉内中性子束検出器15bは、炉心12の上半分及び下半分の中性子束を検出するものである。中性子束計測装置16は、炉外中性子束検出器15a又は炉内中性子束検出器15bの検出値に基づき、炉心上半分の相対出力(以下、Pという)及び炉心下半分の相対出力(以下、Pという)を算出する。なお、本実施形態において、相対出力とは、原子炉10の定格出力を1.0に規格化した際の出力をいうものとする。
軸方向出力分布制御装置1は、図1に示すように、主として、液晶ディスプレイ等からなる表示手段2と、キーボードやマウス等からなる入力手段3と、本実施形態の軸方向出力分布制御プログラム1aや各種のデータ等を記憶する記憶手段4と、これら各構成手段を制御するとともに各種のデータを取得して演算処理を実行する演算処理手段5とから構成されている。軸方向出力分布制御装置1は、原子炉10の軸方向出力分布を制御して、キセノン振動を抑制する他、軸方向出力分布制御を補助する軸方向出力分布制御補助装置としても機能する。
軸方向出力分布制御装置1が備える記憶手段4は、ハードディスクやRAM(Random Access Memory)等から構成されており、図1に示すように、プログラム保存部41と、制御情報保存部42とを有している。次に、記憶手段4の各構成部についてより詳細に説明する。プログラム保存部41には、本実施形態の軸方向出力分布制御プログラム1aがインストールされている。そして、演算処理手段5によって実行されることにより、原子炉10の軸方向出力分布制御を実現する。
制御情報保存部42は、原子炉10の炉心12における軸方向出力分布偏差(以下、「AO」と略する場合がある)に関する許容範囲(許容値)を記憶するものである。この許容範囲は、炉心12の安全解析と矛盾がないように、炉心12の特性によって定められるものであり、炉心12の軸方向における出力が変化することにより発生するキセノン振動の影響を抑制し、炉心12の安全性を確保しうる範囲に設定される。
軸方向出力分布制御装置1が備える演算処理手段5は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等から構成されている。演算処理手段5は、図1に示すように、相対出力取得部51と、軸方向出力分布偏差算出部52と、パラメータ算出部53と、軌跡表示部54と、許容範囲判定部55と、制御棒移動部56と、報知部57とを有する。演算処理手段5は、プログラム保存部41にインストールされた軸方向出力分布制御プログラム1aを読み込んで実行することにより、原子炉10の軸方向出力分布制御を実現する。
すなわち、演算処理手段5が軸方向出力分布制御プログラム1aを読み込んで実行することにより、相対出力取得部51、軸方向出力分布偏差算出部52、パラメータ算出部53、軌跡表示部54、許容範囲判定部55、制御棒移動部56、報知部57それぞれの機能が実現される。なお、軸方向出力分布制御装置1が、本実施形態に係る軸方向出力分布制御補助装置の機能を実現するためには、少なくとも、軸方向出力分布偏差算出部52と、パラメータ算出部53と、軌跡表示部54とがあればよい。
次に、演算処理手段5の各構成部についてより詳細に説明する。相対出力取得部51は、炉心12の上下領域における相対出力P及びPを取得するものである。本実施形態において、相対出力取得部51は、所定の時間間隔で中性子束計測装置16から相対出力P及びPを取得し、軸方向出力分布偏差算出部52へ出力する。
軸方向出力分布偏差算出部52は、原子炉10の炉心12における軸方向出力分布偏差(炉心軸方向出力分布偏差)と、現在のキセノン濃度がその状態で平衡状態として実現するのに対応する軸方向出力分布偏差(キセノン対応炉心軸方向出力偏差分布)と、現在のヨウ素濃度がその状態で平衡状態として実現するのに対応する軸方向出力分布偏差(ヨウ素対応炉心軸方向出力偏差分布)とを算出する。
軸方向出力分布偏差算出部52は、相対出力取得部51から相対出力P及び相対出力Pを取得し、下記関係式(1)〜(3)、又は(1)’〜(3)’により炉心軸方向出力分布偏差、キセノン対応炉心軸方向出力偏差分布、ヨウ素対応炉心軸方向出力偏差分布を算出する。ここで、式(1)〜(3)は、相対出力P、P、キセノン濃度についての相対出力PTX、PBX、ヨウ素濃度についての相対出力PTI、PBIの差であり、式(1)’〜(3)’は、式(1)〜(3)を、全炉心相対出力P=(P+P)=(PTX+PBX)=(PTI+PBI)で除したものである。
炉心軸方向出力分布偏差:(P−P)=ΔI・・・式(1)
キセノン対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTX−PBX)・・・式(2)
ヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTI−PBI)・・・式(3)
炉心軸方向出力分布偏差:(P−P)/(P+P)=AO・・・式(1)’
キセノン対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTX−PBX)/(PTX+PBX)=AO・・・式(2)’
ヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTI−PBI)/(PTI+PBI)=AO・・・式(3)’
ただし、
TX:キセノン濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心上半分の相対出力
BX:キセノン濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心下半分の相対出力
TI:ヨウ素濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心上半分の相対出力
BI:ヨウ素濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心下半分の相対出力
ここで、AO及びAOの算出方法についてより詳細に説明する。炉心上半分及び炉心下半分における平均キセノン濃度X、Xの変化は、それぞれ下記関係式(4)、(5)により軸方向出力分布偏差算出部52が算出する。
dX/dt=yΣφ+λ−(σφ+λ)X・・・式(4)
dX/dt=yΣφ+λ−(σφ+λ)X・・・式(5)
また、炉心上半分及び炉心下半分における平均ヨウ素濃度I、Iの変化は、それぞれ下記式(6)、(7)により算出される。
dI/dt=yΣφ−λ・・・式(6)
dI/dt=yΣφ−λ・・・式(7)
ただし、
、y:キセノン及びヨウ素の核分裂による発生割合
λ、λ:キセノン及びヨウ素の崩壊定数
Σ:巨視的核分裂断面積
σ:キセノンの微視的吸収断面積
φ:定格出力時の平均中性子束
したがって、軸方向出力分布偏差算出部52が上記式(4)〜(7)を逐次積分することにより、炉心上半分及び炉心下半分における平均キセノン濃度X、X、及びヨウ素濃度I、Iが算出される。一方、平衡状態のキセノン濃度X Eq、X Eqは、炉心上半分及び炉心下半分における平衡状態の相対出力P Eq、P Eqを用いて下記関係式(8)、(9)により表される。
Eq=(y+y)Σφ Eq/(σφ Eq+λ)・・・式(8)
Eq=(y+y)Σφ Eq/(σφ Eq+λ)・・・式(9)
また、炉心上半分及び炉心下半分における平衡状態のヨウ素濃度I Eq、I Eqは、炉心上半分及び炉心下半分における平衡状態の相対出力P Eq、P Eqを用いて下記関係式(10)、(11)により表される。
Eq=yΣφ Eq/λ・・・式(10)
Eq=yΣφ Eq/λ・・・式(11)
上記式(8)、(9)より、炉心上半分及び炉心下半分におけるキセノン濃度X、Xが軸方向出力分布偏差算出部52に与えられると、軸方向出力分布偏差算出部52は、それらに対応した出力レベルPTX、PBXを算出する。したがって、AOは、下記関係式(12)により算出することができる。
AO=(PTX−PBX)/(PTX+PBX)=(y+y)Σ(X−X)/{(y+y)Σ(X+X)−2σ}・・・式(12)
同様に、AOは、下記関係式(13)により算出することができる。
AO=(PTI−PBI)/(PTI+PBI)=(I−I)/(I+I)・・・式(13)
パラメータ算出部53は、パラメータDAOPX及びパラメータDAOIXを算出するものである。具体的には、パラメータ算出部53は、軸方向出力分布偏差算出部52からAO、AO、AOを取得し、パラメータDAOPX(=AO−AO)及びパラメータDAOIX(=AO−AO)を算出する。ここで、パラメータDAOPXは、AOとAOとの差を用いて表されるキセノンパラメータであり、パラメータDAOIXは、AOとAOとの差を用いて表されるヨウ素パラメータである。
本実施形態では、DAOPX及びDAOIXを、それぞれキセノンパラメータ及びヨウ素パラメータとして用いるが、これらに原子炉10の全相対出力Pを乗じた値を、それぞれキセノンパラメータ及びヨウ素パラメータとしてもよい。この場合、キセノンパラメータは、DAOPX×P={(P−P)/(P+P)−(PTX−PBX)/(PTX+PBX)}×P、ヨウ素パラメータはDAOIX×P={(PTI−PBI)/(PTI+PBI)−(PTX−PBX)/(PTX+PBX)}×Pとなる。
ここで、P=(P+P)=(PTX+PBX)=(PTI+PBI)なので、キセノンパラメータDAOPX×Pは、(P−P)−(PTX−PBX)、ヨウ素パラメータDAOIX×Pは、(PTI−PBI)−(PTX−PBX)となる。すなわち、キセノンパラメータDAOPX×Pは、炉心軸方向出力分布偏差(P−P)とキセノン対応炉心軸方向出力分布偏差(PTX−PBX)との差分である(式(1−式(2))。また、ヨウ素パラメータDAOIX×Pは、ヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差(PTI−PBI)とキセノン対応炉心軸方向出力分布偏差(PTX−PBX)との差分である(式(3)−式(2))。なお、キセノンパラメータとしてDAOPX×P、ヨウ素パラメータとしてDAOIX×Pを用いると、原子炉10の出力変化に対する一般性を持たせることができるので、原子炉10の出力が一定でない場合においても常時原子炉10を監視できる。
なお、負荷追従運転によって出力が変動する場合、本実施形態の制御方法をそのまま適用することができない。したがって、特に、軸方向出力分布偏差AOを算出する際には特別な配慮が必要となる。
次に、具体的に説明する。まず、上記関係式(4)、(5)には、出力P、Pと、キセノン濃度X、Xの積の項があるため、キセノン濃度変化は炉心12の各領域の出力に対して非線形となる。このため、平衡キセノン濃度と出力の関係式(上記関係式(8)、(9))から分かるように、出力が増加すれば、平衡キセノン濃度は(y+y)Σ/σに漸近する。
もし、キセノン濃度がこの漸近値に近づくと、この値から逆算して得られる出力は無限大になり得る。このようなキセノン濃度は、例えば、定格出力運転から部分出力へ出力を低下すれば出現し得る。すなわち、上記関係式(12)を用いて得られる偏差AOは非常に大きくなり、実際の運転条件で考えられる値から大きく逸脱してしまうおそれがある。この場合、軌跡は発散する。
上記の問題は、軸方向出力分布偏差AOを運転時の出力で、現時点のキセノン分布のオフセットを平衡条件下で与えるような軸方向出力分布のオフセットと定義することにより解決できる。
まず、キセノンオフセットXを次式で定義する。
=(X−X)/(X+X)・・・式(14)
次に、上記関係式(8)、(9)を上記関係式(14)に代入すると、
=λ(P−P)/{λ(P+P)+2σφ}・・・式(15)
また、定義より、PとPは次式で表される。
=P(1+AO)・・・式(16)
=P(1−AO)・・・式(17)
ここで、Pは実際の運転出力(相対出力)であり、測定値から得られる。なお、上述した定義では、キセノン濃度からの逆算により得られるPTX、PBXから算出していたため、実際の出力と一致しない場合があった。
上記関係式(16)、(17)を上記式(15)に代入し、軸方向出力分布偏差AOについて解くと、下記関係式(18)で表される。この関係式(18)を使用することにより、どのような運転状態であっても本実施形態の制御方法を適用することができる。
AO={−1+√(1−4AC)}/2A・・・式(18)
ただし、
A=σφPX/λ
C=−X−A
軌跡表示部54は、パラメータ(DAOPX、DAOIX)をプロットした軌跡(プロット軌跡)、及びパラメータ(DAOPX、DAOIX)の許容値(DAOPX_L、DAOIX_L)の軌跡によって描かれる許容範囲軌跡を表示手段2に表示させる。具体的には、軌跡表示部54は、記憶手段4の制御情報保存部42に格納されている許容値(DAOPX_L、DAOIX_L)を取得し、直交座標系において許容値(DAOPX_L)をX軸(一方の軸であり横軸)とし、また許容値(DAOIX_L)をY軸(他方の軸であり縦軸)とする軌跡を表示手段2に表示させる。同時に、軌跡表示部54は、パラメータ算出部53により算出されたパラメータ(DAOPX、DAOIX)を取得し、直交座標系においてパラメータ(DAOPX)をX軸(一方の軸であり横軸)とし、またパラメータ(DAOIX)をY軸(他方の軸であり縦軸)とするプロット軌跡を表示手段2に表示させる。
炉心軸方向出力分布偏差として式(1)に示すΔIを用いる場合、軌跡表示部54は、パラメータ(DAOPX、DAOIX)それぞれに全相対出力Pを乗じた値(DAOPX×P、DAOIX×P)をプロットした軌跡(プロット軌跡)を表示手段2に表示させる。具体的には、軌跡表示部54は、パラメータ算出部53により算出されたパラメータ(DAOPX×P、DAOIX×P)を取得し、直交座標系においてパラメータ(DAOPX×P)をX軸(一方の軸であり横軸)とし、またパラメータ(DAOIX×P)をY軸(他方の軸であり縦軸)とするプロット軌跡を表示手段2に表示させる。同様に、許容値(DAOPX_L)、許容値(DAOIX_L)についても、それぞれ全相対出力Pを乗じて表示手段2に表示させる。なお、軌跡の表示方法は、これに限られるものではなく、例えば直交座標系において、パラメータDAOPXやDAOPX×PをY軸に、パラメータDAOIXやDAOIX×PをX軸にした軌跡を表示するようにしてもよい。
ここで、直交座標系において、パラメータ(DAOPX)と許容値(DAOPX_L)とは同じ軸(X軸)に、パラメータ(DAOIX)と許容値(DAOIX_L)とは同じ軸(Y軸)に表示される。なお、軌跡の表示方法は、これに限られるものではなく、例えば直交座標系において、パラメータ(DAOPX)及び許容値(DAOPX_L)をY軸に、パラメータ(DAOIX)及び許容値(DAOIX_L)をX軸にした軌跡を表示するようにしてもよい。
なお、パラメータ(DAOPX、DAOIX)のプロット軌跡は、次に示す(1)〜(5)の特徴を有していることが知られている。
(1)キセノン振動が安定している場合、図2に示すように、軌跡は原点を中心とする偏平な楕円になる。当該楕円の長径aは、第1象限と第3象限に存在し、キセノン振動の大きさによらず、横軸に対して一定角度(約36°前後)で傾斜する。
(2)軌跡は、常に反時計回りで進行し、キセノン振動の1周期(約30時間)で原点の周りを1周する。よって、この楕円上を移動する速さは、楕円の長径aから離れるほど速くなる。
(3)キセノン振動が発散性の場合、図3に示すように、楕円状の渦巻きが大きくなり、収束性の場合には小さくなって原点に収束する。
(4)制御棒13をステップ状に炉心12に挿入すると、軌跡は横軸に平行に負側に移動し、制御棒13を炉心12から引き抜くと、軌跡は横軸に平行に正側に移動する。また、制御棒13を停止すると、軌跡はその位置から上記(1)〜(3)の特徴を有する新たな楕円を描く。
(5)軌跡が原点にあるとき(AO=AO=AOの条件のとき)、キセノン振動は消滅する。
パラメータ(DAOPX、DAOIX)の許容値(DAOPX_L、DAOIX_L)は、炉心12の安全性を確保し得るAOの制限範囲内でとり得る軸方向出力分布偏差AO、AO、AOに基づき、炉心12の安全解析によって、その結果を包絡するように求められる。このように、許容値(DAOPX_L、DAOIX_L)は、炉心12の安全解析と矛盾がないように、炉心12の特性によって定められるものであり、炉心12の軸方向における出力が変化することにより発生するキセノン振動の影響を抑え、炉心12の安全性を確保しうる範囲に設定される。得られた許容値(DAOPX_L、DAOIX_L)は、記憶手段4の制御情報保存部42に保存され、必要に応じて演算処理手段5に読み出される。軌跡表示部54が表示手段2へ許容値(DAOPX_L、DAOIX_L)を表示させると、原点の周りに許容範囲が描かれる。本実施形態では、この許容範囲をパラメータ(DAOPX、DAOIX)が超えないように、原子炉10内の軸方向出力分布が制御される。
ここで、許容値DAOPX_Lはキセノンパラメータの許容値であり、許容値DAOIX_Lはヨウ素パラメータの許容値である。キセノンパラメータとしてDAOPX×Pを用い、ヨウ素パラメータとしてDAOIX×Pを用いる場合、許容値DAOPX_Lに全相対出力Pを乗じたものがキセノンパラメータの許容値となり、許容値DAOIX_Lに全相対出力Pを乗じたものヨウ素パラメータの許容値となる。
許容範囲判定部55は、パラメータ(DAOPX、DAOIX)が許容値(DAOPX_L、DAOIX_L)を超えたか否かを判別するものである。具体的には、許容範囲判定部55は、パラメータ算出部53が算出したパラメータDAOPX及びパラメータDAOIXと許容値(DAOPX_L)及び許容値(DAOIX_L)とを比較する。そして、パラメータDAOPXが許容値(DAOPX_L)を超えていることと、パラメータDAOIXが許容値(DAOIX_L)を超えていることとの少なくとも一方が成立する場合に、パラメータ(DAOPX、DAOIX)が許容値(DAOPX_L、DAOIX_L)を超えたと判定する。その場合、許容範囲判定部55は、その旨の信号(警報信号)を制御棒移動部56と報知部57との少なくとも一方へ出力するようになっている。
制御棒移動部56は、制御棒駆動装置14を制御して、制御棒13の炉心に対する挿入・抜き出し・停止の移動制御を実行するものである。本実施形態では、表示手段2に表示された許容範囲軌跡と、パラメータ算出部53によって算出された現時点におけるパラメータ(DAOPX、DAOIX)とを作業者が監視する。そして、監視中に、例えば、パラメータ(DAOPX、DAOIX)が許容範囲軌跡を超えそうになった場合(すなわち、パラメータ(DAOPX、DAOIX)が許容値(DAOPX_L、DAOIX_L)を超える前)に、作業者は入力手段3を介して制御棒13を移動させるための操作を実行する。これによって、キセノン振動が大きくなる前に原子炉10内の軸方向出力分布を制御できるので、キセノン振動を迅速に抑制できる。また、制御棒移動部56は、許容範囲判定部55からパラメータ(DAOPX、DAOIX)が許容値(DAOPX_L、DAOIX_L)を超えた旨の信号を受け取った場合に、制御棒13を移動させるようにしてもよい。
報知部57は、AOが許容範囲を超えた旨を警報するものである。本実施形態において、報知部57は、許容範囲判定部55からAOが許容範囲を超えた旨の出力信号を取得した場合、軌跡表示部54によるプロット点の表示色を変更する。例えば、通常時(パラメータ(DAOPX、DAOIX)が許容値(DAOPX_L、DAOIX_L)内にあるとき)のプロット点が青色で表示される場合、報知部57は、青色とは異なる赤色等の目立つ色でプロット点を表示させることで、原子炉10の作業員に報知するようになっている。そして、報知部57によって警報がなされると、作業員は、入力手段3を介して制御棒13を移動させるための操作をしてもよい。この場合、制御棒移動部56は、入力手段3から入力された操作情報(移動方向や移動量)を取得し、当該操作に対応する駆動信号を制御棒駆動装置14へ出力するようになっている。なお、報知部57による警報方法は、上述した構成に限られるものではない。例えば、表示手段2に別途、警告メッセージを表示させるようにしてもよく、あるいは音声出力手段から警報を発生させるようにしてもよい。
本実施形態において、制御棒13を移動させる際には、表示手段2に表示された楕円軌跡のプロット点が、パラメータ(DAOPX、DAOIX)によって描かれる楕円の長径に向けて移動するように操作するだけでよい。これは、本願発明者による従来にない新たな知見に基づく操作方法である。すなわち、本願発明者は、プロット点が楕円軌跡の長径上にある場合、AOが一定であるという事実を見出した。
上記事実について、図面を用いてより詳細に説明する。図4は、炉心12に制御棒13を挿入し(原点〜A点)、一定時間保持した後(A点〜B点)、引き抜くことにより(B点〜C点)外乱を付与し、キセノン振動を誘発させたときの炉心12の軸方向出力分布偏差AOを示している。また、図5は、図4に対応するパラメータ(DAOPX、DAOIX)のプロット軌跡を示している。
図4に示すように、軸方向出力分布偏差AOの挙動は、キセノン振動の発生に繋がる所定の周期で上下に振動を繰り返しているところ、その変化率、すなわち接線の傾きは、極点(D、E、F)において0となる。そして、これらの極点(D、E、F)は、図5の楕円軌跡上においては長径上に位置している。したがって、プロット点が楕円軌跡の長径上に存在する場合、軸方向出力分布偏差AOは一定であり、プロット点が長径aから離れているときは、常に軸方向出力分布偏差AOが変化しつつあること、すなわちキセノン振動が大きくなりつつあることが示されている。
また、パラメータDAOPXは、(AO−AO)で定義されるため、楕円軌跡の長径a及び短径は、軸方向出力分布偏差AO(図4の振幅)に比例する。したがって、上記の特徴(4)より、プロット点を楕円軌跡の長径aに向けて誘導するだけで、楕円軌跡の長径が短くなるため、当該偏差AOは小さくなる。そして、移動後の位置から長径a及び短径が短縮化された楕円軌跡を描くこととなる。すなわち、キセノン振動が極めて小さなものとなる。
なお、制御棒13を移動する際には、プロット点を長径a上まで移動させることが好ましいが、可能な限り近づけるだけでもよい。これにより、軸方向出力分布偏差AOの変化率が最小になるため、キセノン振動を抑制できる。また、他に外乱が存在しない限り、プロット点を移動させた後は、キセノン振動は振幅が小さくなる方向に進展するため、その後は放置しておいても、プロット点が原点に接近してゆき、キセノン振動は自然に消滅する方向に向かう。
また、本実施形態では、制御棒13を作業員によって操作しているが、この構成に限られるものではなく、制御棒移動部56によって自動制御するようにしてもよい。この場合、制御棒移動部56は、許容範囲判定部55から警報信号を取得すると、現在のプロット点から楕円軌跡の長径aまでのX軸方向距離を算出する。そして、当該距離に基づいて、制御棒13の移動量を算出し、その分だけ制御棒13を挿入させる旨の操作信号を制御棒駆動装置14へ出力するように構成される。この場合も、制御棒移動部56が、楕円の長径に向けてプロット点を誘導するように制御棒を移動制御することになる。ただし、制御棒13の移動量とプロット点の移動量との関係は、時々刻々変化するものであるため、その時点での条件に応じた演算処理が実行される。
次に、図6〜図8を用いて、本実施形態に係る軸方向出力分布制御方法を説明する。本実施形態に係る軸方向出力分布制御方法は、軸方向出力分布制御装置1が本実施形態に係る軸方向出力分布制御プログラム1aを実行することにより実現される。加圧水型原子炉を制御する場合、まず、ステップS1において、軸方向出力分布制御1の相対出力取得部51は、中性子束計測装置16から炉心上半分の相対出力(P)及び炉心下半分の相対出力(P)を取得する。
次に、ステップS2に進み、軸方向出力分布偏差算出部52は、相対出力取得部51によって取得されたP及びPに基づき、上記関係式(1)〜(3)を用いて各軸方向出力分布偏差AO、AO、及びAOを算出する(軸方向出力分布偏差算出ステップ)。また、ステップS3において、パラメータ算出部53は、軸方向出力分布偏差算出部52が算出した各軸方向出力分布偏差AO、AO、及びAOから、パラメータDAOPX及びパラメータDAOIXを算出する(パラメータ算出ステップ)。
次にステップS4に進み、軌跡表示部54は、記憶手段4の制御情報保存部42から許容範囲軌跡を取得して表示手段2へ表示させるとともに(図7の点線L)、パラメータ算出部53が算出したパラメータ(DAOPX、DAOIX)を示すプロット点を表示手段2へ表示させる(軌跡表示ステップ)。パラメータ(DAOPX、DAOIX)のプロット点の軌跡は図7の実線Tであり、原点Oの周りを1周すると楕円(楕円軌跡)となる。パラメータ(DAOPX、DAOIX)のプロット点が原点Oの周りを1周した場合に描かれる楕円の長径aは、図7の一点鎖線で示される。
次にステップS5に進み、制御棒13を移動させるか否かが判定される。本実施形態においては、作業者が表示手段2に表示されたパラメータDAOPX及びパラメータDAOIXの最新のプロット点と、許容値(DAOPX_L、DAOIX_L)の許容範囲軌跡Lとを比較する。そして、現時点、すなわち最新のパラメータDAOPXとパラメータDAOIXとの少なくとも一方が、許容値DAOPX_Lと許容値DAOIX_Lとの少なくとも一方を超えそうになった場合(最新のプロット点が許容範囲軌跡Lを超えそうになった場合)、あるいは超えた場合(最新のプロット点が許容範囲軌跡Lを超えた場合)に、制御棒13を移動させると判定される。なお、ステップS5における制御棒13を移動させるか否かの判定では、最新のプロット点が許容範囲軌跡Lを超えた場合の方が、最新のプロット点が許容範囲軌跡Lを超えそうになった場合よりも優先される。
ステップS5でNoと判定された場合、ステップS1〜ステップS5が繰り返される。この場合、軌跡表示部54は、ステップS4でパラメータ(DAOPX、DAOIX)を示すプロット点を表示手段2に表示するので、所定の時間間隔でプロット点の軌跡が表示手段2に表示される。なお、一度許容範囲軌跡Lが表示手段2に表示されていれば、以降はそのまま許容範囲軌跡の表示が継続される。
次に、ステップS5でYesと判定された場合、すなわち、最新のプロット点が許容範囲軌跡Lを超えそうになった場合(図7のPT1)、あるいは超えた場合(図7のPT2)、ステップS6に進み、作業員は、入力手段3から制御棒13を移動させるための操作を実行する(制御棒移動ステップ)。本実施形態において、作業員は、表示手段2に表示されたパラメータ(DAOPX、DAOIX)の最新のプロット点が、楕円軌跡の長径aに向けて移動するように制御棒13を操作する。
これにより、他に外乱がない限り、軸方向出力分布偏差AOの変化率が最小になるため、キセノン振動を抑制できる。また、キセノン振動は振幅が小さくなる方向に進展するため、その後は放置しておいても、プロット点が原点Oに接近してゆき、キセノン振動は自然に消滅する方向に向かう。制御棒13を移動制御した後は、STARTへ戻り、原子炉10の運転状況の監視が継続される。
楕円軌跡の長径aは、パラメータ算出部53によって算出されたパラメータ(DAOPX、DAOIX)のプロット点の軌跡で形成される楕円の長径aである。ここで、上述したように、楕円の長径は、第1象限と第3象限に存在し、キセノン振動の大きさによらず、横軸に対して一定角度(約36°前後)で傾斜するので、許容範囲軌跡Lも、パラメータ(DAOPX、DAOIX)のプロット点の楕円軌跡と同じく、長径が第1象限と第3象限に存在する楕円となる。したがって、ステップS6においては、パラメータ(DAOPX、DAOIX)の最新のプロット点が、許容範囲軌跡Lの長径に向けて移動するように制御棒13が操作されるようにしてもよい。
ここで、最新のプロット点が許容範囲軌跡Lを超えそうになった場合(図7のPT1)は、X軸と、楕円の長径aと、許容範囲軌跡Lとで囲まれる領域A1、A2に軌跡のプロット点が入ったときに、前記楕円の長径に向けてパラメータ(DAOPX、DAOIX)の最新のプロット点を楕円の長径aに向けて移動するように制御棒13を移動させることが好ましい。例えば、プロット点PT0は領域A1、A2にないため、時間が経過して最新のプロット点PTnが領域A2に入ってから制御棒13を移動させる操作が実行されることが好ましい。このようにすれば、制御棒13の引き抜き過ぎ、あるいは挿入し過ぎという無駄な動作を回避できるので、より迅速にキセノン振動を抑制できる。なお、領域A1、A2は、X軸上、楕円の長径a上、許容範囲軌跡L上を含む。
ここで、制御棒移動部56によって制御棒13を自動制御する場合、ステップS5において、許容範囲判定部55は、最新のパラメータDAOPXとパラメータDAOIXとの少なくとも一方が、許容値DAOPX_Lと許容値DAOIX_Lとの少なくとも一方を超えたか否かを判定する。その結果、最新のパラメータが許容値を超えたと許容範囲判定部55が判定した場合、制御棒移動部56は、許容範囲判定部55が出力した警報信号を取得して、現在のプロット点から楕円軌跡の長径aまでのX軸方向距離を算出する。そして、当該距離に基づいて、制御棒13の移動量を算出し、その分だけ制御棒13を挿入させる旨の操作信号を制御棒駆動装置14へ出力する。
また、報知部57による警報に基づき、作業者が制御棒13を操作してもよい。この場合、許容範囲判定部55は、最新のパラメータDAOPXとパラメータDAOIXとの少なくとも一方が、許容値DAOPX_Lと許容値DAOIX_Lとの少なくとも一方を超えたか否かを判定する。そして、最新のパラメータが許容値を超えたと許容範囲判定部55が判定した場合、報知部57は、例えば、最新のプロット点の表示色を変更して表示することで、その旨を警報する。これにより、作業員は、最新のパラメータ(DAOPX、DAOIX)が許容値を超えたことを容易に視認できるので、制御棒13を操作するタイミングを確実に把握できる。最新のパラメータ(DAOPX、DAOIX)が許容値を超えたことを把握した作業員は、入力手段3から制御棒13を移動させるための操作を実行する。
以上、本実施形態によれば、
1.原子炉10内の軸方向出力分布を制御するだけで、キセノン振動を同時に制御でき、キセノン振動を迅速かつ極めて小さく抑制し、原子炉制御上の安全性を確実なものにすることができる。
2.制御棒13の移動タイミング及び移動量が容易に視認され、簡単かつ確実に制御棒13を操作することができ、制御戦略を極めて簡単明瞭なものにすることができる等の効果を奏する。
3.パラメータ(DAOPX、DAOIX)の最新のプロット点と許容範囲軌跡Lとを同じ表示手段2で同時に比較することにより、最新のプロット点が許容範囲軌跡Lを超えた場合のみならず、超える前であっても制御棒13を移動させることができる。これによって、最新のプロット点が許容範囲軌跡Lを超えるおそれがある場合でも原子炉内の軸方向出力分布を制御して、キセノン振動をより迅速に抑制できる。
以上のように、本発明に係る軸方向出力分布制御方法及び軸方向出力分布制御補助装置は、原子炉の軸方向における出力分布を制御することに有用である。
1 軸方向出力分布制御装置
1a 軸方向出力分布制御プログラム
2 表示手段
3 入力手段
4 記憶手段
5 演算処理手段
10 原子炉
11 圧力容器
12 炉心
13 制御棒
14 制御棒駆動装置
15a 炉外中性子束検出器
15b 炉内中性子束検出器
16 中性子束計測装置
41 プログラム保存部
42 制御情報保存部
51 相対出力取得部
52 軸方向出力分布偏差算出部
53 パラメータ算出部
54 軌跡表示部
55 許容範囲判定部
56 制御棒移動部
57 報知部

Claims (8)

  1. 原子炉の炉心上半分での相対出力(P)及び同炉心下半分での相対出力(P)に基づいて、炉心軸方向出力分布偏差と、現在のキセノン濃度がその状態で平衡状態として実現するのに対応するキセノン対応軸方向出力分布偏差と、現在のヨウ素濃度がその状態で平衡状態として実現するのに対応するヨウ素対応軸方向出力分布偏差とをそれぞれ下記関係式(1)〜(3)又は(1)’〜(3)’により算出する軸方向出力分布偏差算出ステップと、
    前記原子炉の運転中における炉心軸方向出力分布偏差とキセノン対応炉心軸方向出力分布偏差との差を用いて表されるキセノンパラメータ、及び前記原子炉の運転中におけるヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差とキセノン対応炉心軸方向出力分布偏差との差を用いて表されるヨウ素パラメータを算出するパラメータ算出ステップと、
    前記炉心の安全性を確保するために必要な、キセノンパラメータの許容値及びヨウ素パラメータの許容値と、前記パラメータ算出ステップで算出されたキセノンパラメータ及びヨウ素パラメータとに基づいて、前記パラメータ算出ステップで算出されたキセノンパラメータ及びヨウ素パラメータによって描かれる楕円の長径に向けて、キセノンパラメータ及びヨウ素パラメータが移動するように制御棒を移動制御する制御棒移動ステップと、
    を含むことを特徴とする軸方向出力分布制御方法。
    炉心軸方向出力分布偏差:(P−P)、又は(P−P)/(P+P)・・・式(1)
    キセノン対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTX−PBX)、又は(PTX−PBX)/(PTX+PBX)・・・式(2)
    ヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTI−PBI)、又は(PTI−PBI)/(PTI+PBI)・・・式(3)
    炉心軸方向出力分布偏差:(P−P)/(P+P)・・・式(1)’
    キセノン対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTX−PBX)/(PTX+PBX)・・・式(2)’
    ヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTI−PBI)/(PTI+PBI)・・・式(3)’
    ただし、
    TX:キセノン濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心上半分の出力
    BX:キセノン濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心下半分の出力
    TI:ヨウ素濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心上半分の出力
    BI:ヨウ素濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心下半分の出力
  2. 前記パラメータ算出ステップの後であって前記制御棒移動ステップの前に、直交座標系において、前記キセノンパラメータの許容値を一方の軸に、前記ヨウ素パラメータの許容値を他方の軸として、前記キセノンパラメータの許容値及び前記ヨウ素パラメータの許容値によって描かれる許容範囲軌跡を表示手段に表示するとともに、前記パラメータ算出ステップで算出された前記キセノンパラメータを前記一方の軸に、前記ヨウ素パラメータを前記他方の軸にした軌跡を前記表示手段に表示する軌跡表示ステップを有する請求項1に記載の軸方向出力分布制御方法。
  3. 前記制御棒移動ステップにおいては、
    前記パラメータ算出ステップで算出された前記キセノンパラメータとヨウ素パラメータとの少なくとも一方が、前記キセノンパラメータの許容値と前記ヨウ素パラメータの許容値との少なくとも一方を超える前に、前記楕円の長径に向けてキセノンパラメータ及びヨウ素パラメータが移動するようにするように前記制御棒を移動制御する請求項2に記載の軸方向出力分布制御方法。
  4. 前記キセノンパラメータの許容値を直交座標系の横軸に、前記ヨウ素パラメータの許容値を前記直交座標系の縦軸にした場合において、
    前記横軸と、前記楕円の長径と、前記許容範囲軌跡とで囲まれる領域に、前記キセノンパラメータ及び前記ヨウ素パラメータが入ったときに、前記楕円の長径に向けてキセノンパラメータ及びヨウ素パラメータが移動するように制御棒を移動制御する請求項3に記載の軸方向出力分布制御方法。
  5. 前記制御棒移動ステップの前に、前記パラメータ算出ステップで算出された前記キセノンパラメータと前記ヨウ素パラメータとの少なくとも一方が、前記キセノンパラメータの許容値と前記ヨウ素パラメータの許容値との少なくとも一方を超えたか否かを判定する許容範囲超過判定ステップを有し、
    前記制御棒移動ステップにおいては、前記キセノンパラメータと前記ヨウ素パラメータとの少なくとも一方が、前記キセノンパラメータの許容値と前記ヨウ素パラメータの許容値との少なくとも一方を超えた場合に、前記キセノンパラメータ及び前記ヨウ素パラメータによって描かれる楕円の長径に向けて、キセノンパラメータ及びヨウ素パラメータが移動するように制御棒を移動制御する請求項1又は2に記載の軸方向出力分布制御方法。
  6. 前記許容範囲超過判定ステップにおいて、前記キセノンパラメータと前記ヨウ素パラメータとの少なくとも一方が、前記キセノンパラメータの許容値と前記ヨウ素パラメータの許容値との少なくとも一方を超えたと判定されたとき、その旨を報知する報知ステップを有する請求項5に記載の軸方向出力分布制御方法。
  7. 原子炉の炉心上半分での相対出力(P)及び同炉心下半分での相対出力(P)に基づいて、炉心軸方向出力分布偏差と、現在のキセノン濃度がその状態で平衡状態として実現するのに対応するキセノン対応軸方向出力分布偏差と、現在のヨウ素濃度がその状態で平衡状態として実現するのに対応するヨウ素対応軸方向出力分布偏差とをそれぞれ下記関係式(1)〜(3)、又は(1)’〜(3)’により算出する軸方向出力分布偏差算出部と、
    前記原子炉の運転中における炉心軸方向出力分布偏差とキセノン対応炉心軸方向出力分布偏差との差を用いて表されるキセノンパラメータ、及び前記原子炉の運転中におけるヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差とキセノン対応炉心軸方向出力分布偏差との差を用いて表されるヨウ素パラメータを算出するパラメータ算出部と、
    直交座標系において、前記炉心の安全性を確保するために必要な、キセノンパラメータの許容値を一方の軸に、ヨウ素パラメータの許容値を他方の軸として、前記キセノンパラメータの許容値及び前記ヨウ素パラメータの許容値によって描かれる許容範囲軌跡、及び前記パラメータ算出部が算出した前記キセノンパラメータを前記一方の軸に、前記ヨウ素パラメータを前記他方の軸にした軌跡を表示手段に表示する軌跡表示部と、
    を含むことを特徴とする軸方向出力分布制御補助装置。
    炉心軸方向出力分布偏差:(P−P)、又は(P−P)/(P+P)・・・式(1)
    キセノン対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTX−PBX)、又は(PTX−PBX)/(PTX+PBX)・・・式(2)
    ヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTI−PBI)、又は(PTI−PBI)/(PTI+PBI)・・・式(3)
    炉心軸方向出力分布偏差:(P−P)/(P+P)・・・式(1)’
    キセノン対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTX−PBX)/(PTX+PBX)・・・式(2)’
    ヨウ素対応炉心軸方向出力分布偏差:(PTI−PBI)/(PTI+PBI)・・・式(3)’
    ただし、
    TX:キセノン濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心上半分の出力
    BX:キセノン濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心下半分の出力
    TI:ヨウ素濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心上半分の出力
    BI:ヨウ素濃度を平衡状態の濃度として出現させる炉心下半分の出力
  8. 前記パラメータ算出部が算出したキセノンパラメータとヨウ素パラメータとの少なくとも一方が、前記炉心の安全性を確保するために必要なキセノンパラメータの許容値と前記ヨウ素パラメータの許容値との少なくとも一方を超えると判断されたときには、キセノンパラメータ及びヨウ素パラメータによって描かれる楕円の長径に向けて、キセノンパラメータ及びヨウ素パラメータが移動するようにするように制御棒を移動制御する制御棒移動部を備える請求項7に記載の軸方向出力分布制御補助装置。
JP2009038136A 2009-02-20 2009-02-20 軸方向出力分布制御方法及び軸方向出力分布制御補助装置 Active JP4918562B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009038136A JP4918562B2 (ja) 2009-02-20 2009-02-20 軸方向出力分布制御方法及び軸方向出力分布制御補助装置
PCT/JP2010/052474 WO2010095696A1 (ja) 2009-02-20 2010-02-18 軸方向出力分布制御方法及び軸方向出力分布制御補助装置
EP10743822.8A EP2400504A4 (en) 2009-02-20 2010-02-18 METHOD AND ASSISTANCE DEVICE FOR CONTROLLING AXIAL PERFORMANCE DISTRIBUTION
US13/202,219 US20120033780A1 (en) 2009-02-20 2010-02-18 Axial power distribution control method and axial power distribution control supporting device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009038136A JP4918562B2 (ja) 2009-02-20 2009-02-20 軸方向出力分布制御方法及び軸方向出力分布制御補助装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010190853A JP2010190853A (ja) 2010-09-02
JP4918562B2 true JP4918562B2 (ja) 2012-04-18

Family

ID=42633976

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009038136A Active JP4918562B2 (ja) 2009-02-20 2009-02-20 軸方向出力分布制御方法及び軸方向出力分布制御補助装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20120033780A1 (ja)
EP (1) EP2400504A4 (ja)
JP (1) JP4918562B2 (ja)
WO (1) WO2010095696A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6139074B2 (ja) 2012-08-13 2017-05-31 三菱重工業株式会社 原子炉の監視装置及び原子炉の制御装置
WO2014091955A1 (ja) * 2012-12-14 2014-06-19 日本電気株式会社 制御棒監視システム、および制御棒監視方法
CN110689974B (zh) * 2018-11-02 2021-03-30 上海核工程研究设计院有限公司 一种基于瞬时伽马响应修正的改进堆芯功率分布的测量方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6139636B2 (ja) * 1974-07-15 1986-09-04 Hitachi Ltd
US4079236A (en) * 1976-03-05 1978-03-14 Westinghouse Electric Corporation Method and apparatus for monitoring the axial power distribution within the core of a nuclear reactor, exterior of the reactor
JPS55162096A (en) * 1979-06-06 1980-12-17 Hitachi Ltd Method of monitoring power change in bwr type reactor
JP3202430B2 (ja) * 1993-09-13 2001-08-27 三菱重工業株式会社 原子炉のキセノン振動制御方法
JP2000121779A (ja) * 1998-10-13 2000-04-28 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 原子炉炉心の出力分布制御方法
JP4533911B2 (ja) * 2007-05-10 2010-09-01 三菱重工業株式会社 キセノン振動予測方法及びキセノン振動予測用コンピュータプログラム
KR101119548B1 (ko) * 2007-08-21 2012-03-13 미쯔비시 헤비 인더스트리즈 리미티드 축방향 출력분포 제어방법, 축방향 출력분포 제어시스템 및 축방향 출력분포 제어프로그램

Also Published As

Publication number Publication date
WO2010095696A1 (ja) 2010-08-26
EP2400504A4 (en) 2015-04-29
US20120033780A1 (en) 2012-02-09
EP2400504A1 (en) 2011-12-28
JP2010190853A (ja) 2010-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5047293B2 (ja) 軸方向出力分布制御方法、軸方向出力分布制御システムおよび軸方向出力分布制御プログラム
EP3965121A1 (en) Method and device for measuring control rod worth in subcritical state of nuclear power plant
JP4918562B2 (ja) 軸方向出力分布制御方法及び軸方向出力分布制御補助装置
JP6099876B2 (ja) 炉心解析プログラムおよび解析装置
JP4981830B2 (ja) 軸方向出力分布予測方法及び軸方向出力分布予測装置
JPH06347586A (ja) 沸騰水形原子炉における炉心の乾燥に関する監視方法
JP7175960B2 (ja) 閾値の緩和を含む核炉心を監視するための方法、および関連するプログラム、保持体、核原子炉
EP2157582B1 (en) Method for predicting xenon oscillation and computer program for predicting xenon oscillation
JP2014063262A (ja) 応力分布推定方法、これを用いる解析方法及び解析システム
JP2005061951A (ja) 制御棒引抜監視装置
JP2000121779A (ja) 原子炉炉心の出力分布制御方法
JP5305335B2 (ja) 核出力計測装置
Wang et al. The development of candling module code in module in-vessel degraded analysis code MIDAC and the relevant calculation for CPR1000 during large-break LOCA
JP7344745B2 (ja) 未臨界度測定装置および未臨界度測定方法
JP2012112862A (ja) 燃料集合体の燃焼度分布測定方法および燃焼度分布測定装置
JPS58187896A (ja) 原子炉状態予測監視方法
Lianjie et al. Coupled Three-Dimensional Neutronics and Thermal-Hydraulics Analysis for SCWR Core Typical Transients
JPH02110399A (ja) 原子炉自動起動装置
JP2008008758A (ja) 制御棒引抜監視装置
JPS58198796A (ja) 原子炉制御棒引抜監視装置
JPS62257088A (ja) 原子力プラントの状態評価支援方法及びその装置
JPS58173493A (ja) 原子炉監視装置
JP2012184991A (ja) 原子炉出力制御装置及びプログラム
JPH04198796A (ja) プラント監視装置
JPH022982A (ja) 原子炉保護方式

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111104

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120110

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120130

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150203

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4918562

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150203

Year of fee payment: 3