JP4916567B2 - 分散コンピューティングシステムの処理方法 - Google Patents
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Description
エージェントは自らが所持するラウンド値とリーダから受信したラウンド値とを比較し、自らが所持するラウンド値の方が大きければリーダに対して拒否信号を返し、そうでなければ送られた提案を受理し了承信号を返す[了承]。
リーダは、了承信号を受信したエージェントが全エージェントの過半数マイナス1以上である場合には(自身は合意しているため)、エージェントから返された提案があればその中から所定の一つを選び、当該提案がなければクライアントからの提案を選び他のエージェントにラウンド値を付して提案を送る。エージェントは自らが所持するラウンド値とリーダから受信したラウンド値とを比較し、自らが所持するラウンド値の方が大きければリーダに対して拒否信号を返し、そうでなければ送られた提案を受理し受諾信号を返す[受諾]。
リーダは、受諾信号を受信したエージェントが全エージェントの過半数マイナス1以上である場合には(自身は合意しているため)、合意成立と決定する[合意成立](この決定は覆らないことがPaxosアルゴリズムにより保証されている)。
その後、リーダは、インスタンスの実行指示を行い、合意形成されたインスタンスの実行に移行する[インスタンス実行]。
また、インスタンスとは、所定のタスクを実行するためのコマンドを含む処理実体のことをいう。
図1及び図2に示すように、本発明の分散コンピューティングシステムS(以下、「本システム」という。)は、複数台のサーバ(コンピューティングデバイス)がインターネット等のネットワークN及びLAN(符号L)を介して接続されていることにより構成されている。以下、説明の便宜上、1台のリーダサーバE(以下、「リーダ」という。)と、4台のエージェントサーバA〜D(以下、「エージェント」という。)(なお、以下、5台のサーバを総称して「各サーバ」という場合がある。)を例として説明する。
上記リーダEは、予め所定の方法(例えば、本システムSに加入した時刻が最も古いサーバをリーダとする、いわゆる最長老方式など)により、決定されることになる。
各サーバA〜Eは、それぞれ汎用コンピュータであり、CPU(図示せず)を備えているが、便宜上、そのCPU、記憶装置等のプロセッサ能力、ストレージ能力を合意形成部4A〜4Eと実行部5A〜5Eに分けて説明する(図2)。
また、上記分散コンピューティング用プログラムに従って、各合意形成部4A〜4E同士が所定の帯域内の通信方式(例えばUDP)によりメタデータを値渡しすることができるようになっている。
本システムSでは、複数のインスタンスを実行するにあたり、リーダ交替が生じない限りおいて、一度のラウンドの獲得、各インスタンス合意形成及び各インスタンスの実行という3段階の処理を行うことを特徴としている。
まず、リーダEは各インスタンスを実行する前にラウンドの獲得を行うことになる。この処理は、ラウンド提案信号送信ステップ(ST1)、ラウンド了承信号送信ステップ(ST2)及びラウンド獲得判定ステップ(ST3)から構成されている(図3)。
このラウンド値は、予め割り当てられているリーダEの装置番号と、通番から構成されており、本システムSの全体で一意に定められている。このラウンド値の大小は、まず通番を比較することにより判断されることになる。このとき、通番の値が大きいほどその強度が強くなるように設定されている。そして、当該通番が同じ場合には、装置番号が小さいほどその強度が強くなるように設定されている。
一方、各サーバA〜Eが、ラウンド値の提案を行う(以下、「ラウンド値を払い出す」とも称する。)場合には、自身が保有しているラウンド値(以下、「保有ラウンド値」という。)の通番に1を加えるとともに、自身の装置番号をその装置番号とする。
これにより、各サーバA〜Eは、本システムSの全体として、一意のラウンド値を提案することができ、以前に行われたインスタンス群と同一の処理を行うことがないようになっている。
図4に示すように、本ステップは、リーダEが、各エージェントA〜Dに対してラウンド値と、当該ラウンド値に対応し、合意を形成すべき実行内容を示す所定数毎(本実施形態ではB個)にグルーピングされているインスタンス群の識別情報を含むラウンド提案信号を、当該各エージェントA〜Dに対して送信する処理を行うステップである(S30)。
なお、後記するように、インスタンスの実行にあたっては、提案値の実体データ(以下、「提案値実体データ」という。)が必要となるが、当該提案値実体データは、各インスタンスの識別情報と関連づけられているため、データ処理上における問題が生じることはない。
また、提案ラウンド値とは、送信時にリーダEが保有し、各エージェントA〜Dに対して払い出した(送信した)ラウンド値である。
ブロック番号とは、各ブロックに付されたシーケンス番号(順序番号)である。
本ステップは、当該ラウンド提案信号を受信した各エージェントA〜Dが、受信したラウンド値(以下、「受信ラウンド値」という。)と、自らが保有しているラウンド値(以下、「保有ラウンド値」という。)とを比較し(S31)、受信ラウンド値が、保有ラウンド値以上の場合(S31のYes)には、リーダEに対して当該受信ラウンド値を受け入れることを示すラウンド了承信号を送信する(S32)処理を行うステップである。このとき、受信ラウンド値が保有ラウンド値以上であるため、各エージェントA〜Dは保有ラウンド値を受信ラウンド値に更新することになる。
また、ラウンド未了承信号は、データ種別を区別するための識別情報であるラウンド未了承タイプ(略称OldRound1)、送信元サーバ装置番号(エージェンA〜Dの装置番号)及び送信先サーバ装置番号(リーダEの装置番号)、ラウンド値を含むデータから形成されている(図6(c))。
なお、上記処理は、リーダEが各エージェントA〜Dからインスタンスの実行状態のデータを収集し、前のラウンドの獲得時に未処理のインスタンスが存在する場合には、今回のラウンド獲得時にそのインスタンスを実行するために行うものである。
この状態は、既にインスタンスの実行合意(後記)がなされているが、エージェントA〜Dは実行するインスタンスの合意形成に参加していない状態であるため、リーダEに対して、対象インスタンスを実行するために必要となるデータを含む決定データの送信を要求する(決定データ要求信号を送信する)ものである。
なお、決定データ要求信号は、決定データ要求タイプ、送信元サーバ装置番号、送信先サーバ装置番号、インスタンス通番から形成されている。(図7(a))
この状態は、リーダ交替時に生じうるものであり、リーダEが対象インスタンスを実行するために、エージェントA〜DがリーダEに対して、そのインスタンスの実行に必要となるデータを含む決定データ応答信号を、送信するものである。
なお、決定データ応答信号は、決定データ応答タイプ、送信元サーバ装置番号、送信先サーバ装置番号、インスタンス通番、提案値メタデータ、提案値実体データから形成されている(図7(b))。
本ステップは、リーダEが、セルPを構成するエージェントA〜Dの過半数から1を減じた数以上からラウンド了承信号を受信したか否かのラウンド了承信号受信条件の成否を判定する処理を行う(S34)ステップである。
上記処理を行う際に、リーダEは、ラウンド了承信号に対応する提案ラウンド値を自ら各エージェントA〜Dに送信しているため、当然に提案ラウンド値を受け入れることになる。したがって、自身とラウンド了承信号を受信したエージェントの数の合計が、セルPを構成するサーバA〜Eの過半数(本実施の形態の場合は、5台中3台。以下、この過半数を「定足数」という。)であることを、Paxosアルゴリズムによるラウンド獲得の合意(以下、「ラウンド獲得合意」という。)の条件としたものである。
なお、セルPを構成するサーバとは、通常は、本システムSの初期動作時におけるリーダEと各エージェントA〜Dをいう。
一方、リーダEが上記定足数のサーバからラウンド了承信号を受信していない場合(S34のNo)には、当該ラウンド値に基づくインスタンス群を実行することに関するラウンド獲得合意が形成されないことになる。このとき、リーダEであることが維持されている場合には、一定時間経過後にラウンド値を大きい値に変更し、各エージェントA〜Dに対してラウンド提案信号を再送信し(S30)、再度、ラウンド了承信号送信ステップ(ST2)を実行することになる。なお、リーダEであることが維持されていない場合には、他のリーダの配下になる。
以降のステップは、ラウンド獲得合意が形成されたことにより、実行対象の各インスタンスの合意形成を行うためのステップである。このとき、各インスタンスの実行にあたっては、Paxosアルゴリズムによる当該インスタンスに関する実行合意が形成される必要がある。
本ステップは、ラウンド獲得判定ステップ(ST3)において、リーダEが定足数のサーバから当該ラウンド了承信号を受信している場合(S34のYes)に、当該ラウンド獲得合意が形成されたものと判断し、リーダEが各エージェントA〜Dに対して、当該ラウンド値及び所望の順序で選択された実行対象となるインスタンスの識別情報を含むインスタンス提案信号を送信する(S35)処理を行うステップである。
本ステップでは、ラウンド了承信号送信ステップ(ST2)において説明した、リーダEとエージェントA〜Dのインスタンスの処理状態に応じて、その処理が異なることになる。
そして、それらのインスタンスの処理が終了した後に、リーダEは、リーダ交替後に指示されたインスタンスに対して、各エージェントA〜Dに対してインスタンス提案信号を送信することになる。
ここで、提案値実体データとは、対象となるインスタンスを実行するために必要となる実際のデータであり、インスタンス通番により提案値メタデータと対応づけられている。
なお、インスタンス提案代行信号は、データ種別を区別するための識別情報であるインスタンス提案代行タイプ(略称Beginリダイレクト)、送信元サーバ装置番号、送信先サーバ装置番号、提案値実体データを取得した場合にインスタンス了承信号を返信すべき返信先サーバ装置番号(通常はリーダEの装置番号)、ラウンド値、実行対象であるインスタンス通番を含むデータから形成されている(図8(b))。
本ステップは、各エージェントA〜Dにおいて、自身が受信した対象となる各インスタンスのラウンド値(受信ラウンド値)と、保有ラウンド値とを比較し(S36)、当該受信ラウンド値が保有ラウンド値以上の場合(S36のYes)には、当該各エージェンA〜Dが、リーダEに対してインスタンス了承信号を送信する(S37)処理を行うステップである。
また、インスタンス未了承信号は、データ種別を区別するための識別情報であるラウンド未了承タイプ(略称OldRound2)、送信元サーバ装置番号(エージェントA〜Dの装置番号)及び送信先サーバ装置番号(リーダEの装置番号)、ラウンド値を含むデータから形成されている(図9(b))。
図5に示すように、本ステップは、リーダEが、セルPを構成するエージェントA〜Dの過半数から1を減じた数以上からインスタンス了承信号を受信したか否かのインスタンス了承信号受信条件の成否を判定する(S39)処理を行う。
リーダEは、インスタンス了承信号に対応するインスタンスを自ら各エージェントに送信しているため、当然に当該インスタンスの実行を了承する(以下、「インスタンスの実行合意」という。)ことになる。したがって、自身とインスタンス了承信号を受信したエージェントの数の合計が、セルを構成するサーバの過半数であることを、Paxosアルゴリズムによるインスタンスの実行合意の条件としたものである。
本ステップは、インスタンス了承信号受信条件を満たした場合(S39のYes)には、当該所定の通番のインスタンスを実行することに関して、インスタンスの実行合意が形成されたものと判断する。そして、リーダEは、各エージェントA〜Dに対し、当該インスタンス了承信号を送信した所定の通番のインスタンスに関するインスタンス実行指示信号を送信する(S40)処理を行う。この処理は、一つのブロックを構成する連続するB個の総てのインスタンスの合意形成がなされるまで続けられる(S41)。
(8)インスタンス実行ステップ(ST8)
本ステップは、リーダEが上記インスタンス了承信号受信条件を満たしていると判断した場合(S39のYes)において、当該インスタンス了承信号受信条件の成立を実行契機として、自らは実行対象のインスタンス通番のインスタンスを、その通番に対して昇順に実行し、また、リーダEから実行指示信号を受信したエージェントA〜Dは、当該インスタンス実行指示信号の受信を実行契機として、対象となるインスタンスをその通番に対して昇順に実行する(S47)ステップである。
本システムSでは、上記の通り、インスタンスの実行にあたっては、連続するB個のインスタンスが通番に対して昇順に実行されるようにプログラミングされている。
しかし、上記の通り、リーダEは、エージェントA〜Dから送信されるインスタンス了承信号受信条件の成立を待つことなく、インスタンス通番の順序にしたがって連続的に、インスタンス提案信号を送信している(突き放し制御)。このとき、エージェントの動作状況若しくは通信回線の状態によって、インスタンス通番の順序に応じたインスタンスについて、実行合意が形成されない場合がある。そのため、定足数のサーバから受信したインスタンス了承信号のインスタンス通番が、実行された最新のインスタンスの次のインスタンス(以下、「次実行予定インスタンス」という。)のインスタンス通番であるかを判別し(S43)、当該条件を満たす場合(S43のYes)には、そのインスタンスを実行する(S47)。
一方、保留されている実行可能インスタンスの中に、次実行予定インスタンスが存在しない場合(S45のNo)には、上記インスタンスの処理を継続することになる(図5のD)。
本発明によれば、複数のインスタンスを実行するにあたり、リーダ交替が生じない限りおいて、一度のラウンド獲得が完了すれば、それ以降、各インスタンスの実行にあたっては、これらの処理を不要とすることができる。そのため、所与の実行順序で連続的にインスタンスの実行を行うことができることから、その処理の高速化を実現することが可能になる。
上記実施形態では、本システムが5台のサーバから構成される場合を例として説明したが、複数台のコンピューティングデバイスであれば、その種類や数はこれに限られるものではない。また、複数台の情報処理装置は、インターネットやLAN以外にも、どのような接続手段により接続されているものであってもよい。
K クライアント
A,B,C,D サーバ(エージェント)
E サーバ(リーダ)
P セル
4A,4B,4C,4D,4E 合意形成部
5A,5B,5C,5D,5E 実行部
Claims (2)
- セルを構成する複数のコンピューティングデバイスが、一部がリーダとなり他がエージェントとなり、Paxosアルゴリズムにより合意を形成することにより、前記複数のコンピューティングデバイスが実行すべき複数のインスタンスから形成されるインスタンス群を決定し、予め定められた実行順序で前記インスタンス群を実行する分散コンピューティングシステムにおいて、
前記リーダが、前記各エージェントに対して、前記実行すべきインスタンス群の内容を示す提案番号であるラウンド値及び所定数毎にグルーピングされている前記インスタンス群の識別情報を含むラウンド提案信号を送信するラウンド提案信号送信ステップと、
前記各エージェントは受信した前記ラウンド値と、自らが保有しているラウンド値とを比較し、前記受信したラウンド値が前記自ら保有しているラウンド値以上の場合には、前記リーダに対して前記ラウンド値を受け入れることを示すラウンド了承信号を送信するラウンド了承信号送信ステップと、
前記リーダは、前記セルを構成する複数の前記エージェントの過半数から1を減じた数以上から前記ラウンド了承信号を受信したか否かのラウンド了承信号受信条件の成否を判定するラウンド獲得判定ステップと、
前記ラウンド了承信号受信条件を満たした場合には、前記各エージェントに対して、前記ラウンド値及び前記インスタンス群のうちの対象となるインスタンスの識別情報と関連づけられており、前記インスタンスの実行に必要である実体データを含むインスタンス提案信号を、所望の順序で連続的に送信するインスタンス提案信号送信ステップと、
前記インスタンス提案信号を受信した前記各エージェントが、前記各インスタンスのラウンド値と自らが保有しているラウンド値を比較し、受信した前記ラウンド値が前記自ら保有しているラウンド値以上のときには、前記リーダに対して、前記対象となるインスタンスの実行を受け入れることを示すインスタンス了承信号を送信するインスタンス了承信号送信ステップと、
前記リーダが、前記セルを構成する複数の前記エージェントの過半数から1を減じた数以上から前記インスタンス了承信号を受信したか否かのインスタンス了承信号受信条件の成否を判定するインスタンス合意判定ステップと、
前記インスタンス了承信号受信条件を満たした場合には、前記各エージェントに対して前記予め定められた実行順序で、前記所定数に至るまで前記対象となるインスタンスの実行を命令するインスタンス実行指示信号を送信するインスタンス実行指示信号送信ステップと、
前記インスタンス実行指示信号を受信したエージェントは、対象となる前記インスタンスを実行するインスタンス実行ステップと、
を含み、
前記インスタンス提案信号送信ステップにおいて、前記リーダは、前記インスタンス了承信号受信条件を満たしたことを確認することなく、他のインスタンス提案信号を送信する、
ことを特徴とする分散コンピューティングシステムの処理方法。 - 前記ラウンド提案信号における前記インスタンス群の識別情報は、メタデータから形成されていることを特徴とする請求項1に記載の分散コンピューティングシステムの処理方法。
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