JP4912553B2 - 撓み軽減ベッド構造 - Google Patents

Description

【０００１】
関連出願
本発明は、２０００年１月１３日に出願された米国特許出願第０９／４８２，５９１号の一部継続出願であり、その内容はすべて、本願中に参考文献として編入したものである。
【０００２】
発明の背景
本発明は、ベッド構造に関し、より詳細には、片面のみを使用するマットレス構成体が硬質の支持体上に支持されていることにより、前記マットレスの就寝面の永久的な変形又は撓みが大幅に軽減されるベッド構造に関する。
【０００３】
寝具業界で知られているような従来のインナースプリングマットレスは、一般に、複数のワイヤスプリングからなる構成体を囲む２つの就寝面（上層及び下層）を有する弾性構造を備えている。前記複数のワイヤスプリングは、通常、その上層及び下層がパッド層で被覆され、また前記構成体全体は、キルティングが施されていることの多い表地の周囲をボーダー又は枠に縫い閉じた中に封入されている。マーシャル構造は、スプリング構成体構造の一形態として、長年にわたって知られている。マーシャル構造では、個々のワイヤコイルが、それぞれ織物製のポケットに被包されて、互いに線状に接着され、概ねマットレスの大きさに緊密に束ねられたコイルの列を形成している。そのような構造の例が、米国特許第６８５，１６０号、米国特許第４，２３４，９８３号、米国特許第４，２３４，９８４号、米国特許第４，４３９，９７７号、米国特許第４，４５１，９４６号、米国特許第４，５２３，３４４号、米国特許第４，５７８，８３４号、米国特許第５，０１６，３０５号及び米国特許５，６２１，９３５号に開示されており、これらの内容は全て、本願中に参考文献として編入されている。
【０００４】
従来、インナースプリングマットレスは、ポケットコイルを有するものであっても、又はオープンコイルを有するものであっても、上下層が同じであった。そのような従来のマットレスは、普通に使用している間に、前記上下層内のパッド材が圧縮されることから、若干の永久的な変形又は撓みがマットレス表面に生じることがあった。この永久的な変形は、就寝面の弾性的な支持というマットレスの意図された機能を損なうおそれがある。インナースプリングマットレスの製造者らは、マットレスを定期的に表裏に反転させることにより、上下両方の就寝面を使用し、上述の永久的な変形又は撓みを緩和、最小化及び／又は遅らせることを推奨している。使用を続けるにつれて、この圧縮又は撓みはより永久的となる。永久的な撓みの程度は、ワイヤスプリング芯構造の上側と下側とに設けられたパッドの種類と量とに直接に関係している。この欠点を解決するために、製造者らは、永続的な圧縮がより少ない材料を使用している、そのような材料は、一般に、より緻密である反面、快適性に欠け、しかもより高価である。
【０００５】
ボックススプリングなどの従来の支持体は、上層部が圧縮可能であるために、撓みの問題を引き起こすことが多かった。支持体の上層部の圧縮は、マットレス就寝面全体が撓む一因となる。
【０００６】
従って、パッド材が圧縮されても永久的な変形の程度が少ないと同時に、十分に快適に使用できるインナースプリングマットレス構成体を有するベッド構造を提供することが望ましい。更に、製造コスト効果の高いマットレス構成体を提供することが望ましい。
【０００７】
発明の概要
本発明は、硬質の支持体上に支持された、片面のみを使用するマットレス構成体を有するベッド構造を提供することにより、従来技術の改善を図るものである。前記片面のみを使用するマットレス構成体は、複数のワイヤスプリングからなる芯を有し、該ワイヤスプリングには、ポケットコイルスプリング又はオープンコイルスプリングが包含されるが、これらに限定されることはない。前記マットレスのスプリング芯は、前記マットレスの就寝上面を被覆している弾性的に圧縮可能な材料の層によって被覆されている。前記マットレスの前記スプリング芯は、一般に圧縮不可能な、実質的に硬質な材料からなる下層上に支持されている。前記複数のコイルスプリングからなる芯は、その周囲を前記下層に取り付けられている。前記マットレスの前記硬質な下層が、前記複数のコイルスプリングを堅固に支持しているので、両面を使用する従来のマットレスの場合に圧縮可能なパッドによるスプリングの支持が不十分であることから生じるおそれのある撓みが軽減される。
【０００８】
本発明においては、上層のパッドは、永久的な圧縮又は変形を回避すべく選択される。更に、パッドを必要とするのがマットレスの上層のみであるので、パッドの必要量が半減する。従って、パッドを備えた上層と硬質な下層とを有する本発明のマットレス構造では、当然のことながら、永久的な圧縮を起こしやすい材料の量が少なく、このため、マットレス全体の永久的な変形の程度も軽減される。また、本発明のマットレスは、マットレスを表裏に反転させることによる手入れも不要である。
【０００９】
マットレスの就寝面の撓みを更に軽減させるために、前記片面のみを使用するマットレスの前記硬質な下層と前記スプリング芯とを更に支持する硬質の支持体が設けられている。
【００１０】
発明の詳細な説明
ここで図面を参照すると、まず図１には、従来の両面を使用するマットレスの拡大断面図が図示されており、その全体を参照番号１０で表す。前記従来のマットレス１０には、主部品として、複数のマーシャルスプリングコイルからなるワイヤスプリング構成体１２が含まれている。このワイヤスプリング構成体１２は、前記マットレス１０の芯を有し、その詳細については後に説明する。前記マットレス１０に、オープンコイルスプリングが組み込まれていてもよいし、又は、その他のワイヤインナースプリングが組み込まれていてもよい。前記マットレス１０は就寝上面１４と就寝下面１６とを有するので、定期的に表裏に反転させて、そのパッド材料の圧縮及びこのために生じるマットレス１０の撓みを最小限に抑えることを意図された従来型のマットレスである。パッド材料１８は、面１４及び１６に同じものを使用するが、ポリウレタンのような独立気泡フォームの層を有する。前記マットレスの両面において前記材料１８を被覆している表地層２０は、キルティングされていてもよく、また、当該技術分野で周知のような具合に更に発泡材を含有していてもよい。前記２つの表地層２０は、前記複数のコイルスプリングの前記芯１２の周囲全体に延伸するボーダー２２に、例えば縫い付けることなどにより、固定されている。
【００１１】
ここで図２を参照すると、本発明に基づき構成されたマットレス３０の拡大断面図が図示されている。前記マットレス３０は、図１に図示された従来のマットレス１０と同様に、複数のマーシャルコイルからなる芯１２を有する。しかし、マットレス３０は、複数のオープンコイルスプリング又はその他のワイヤスプリングを備えた芯１２を有していてもよい。発泡材パッド１８の層及び表地２０の層によって、前記芯１２上に就寝上面３４が形成されている。しかし、本発明によれば、前記マットレス３０は、前記芯１２の下側に設けられた下面３６を有し、この下面３６は、不織シートの薄い層４０によって被覆された実質的に硬質な層３８を有する。ボーダー４２が、前記表地２０と前記シート層４０とを連結し、前記コイルスプリング構成体１２の周囲に沿って延びている。下部ボーダーワイヤ４４が、前記コイルスプリング構成体１２及び前記層３８に、例えば複数のホッグリング４６によって固定されている。
【００１２】
図３及び図４は、上述のマーシャルコイル構造のマットレス芯１２の一形態を図示したものである。この構造においては、緊密に配置されたコイルスプリングが整列され、線状の構成体５０（図４）をなしている。ここで、個々のスプリング５２は、それぞれが織物材料５６のポケット５４内に被包されている。この織物材料５６は、縫合又は超音波溶接によって複数のポケット５４を形成し、一体的なマーシャルコイル型構造１２をなしている。そのような構造の一例が、米国特許第５，６２１，９３５号に更に詳細に開示されているが、この特許は本発明の譲受人に譲渡されたものであり、その開示全体は、本願中に参考文献として編入されている。オープンコイルスプリング又はその他のワイヤスプリングを、マーシャルコイルスプリングと同様にマットレス芯１２に使用してもよいことは、当該分野で通常の技術を有する者に理解されるであろう。
【００１３】
先に述べたように、就寝面３４は、発泡材パッド１８の層と、表地２０の層とを備えている。この表地２０は、従来構造の表地である。しかし、本発明によれば、発泡材パッド１８は、快適であると同時に圧縮を最小限に抑えるべく特定されている。詳細には、発泡材パッド１８は、約１．０ポンド毎立方フートから２．５ポンド毎立方フートの密度を有する高密度ポリウレタンフォームである。また発泡材層３８は、１０ＩＬＤから５５ＩＬＤまでの範囲の硬度を有するが、ここで「ＩＬＤ」は、標準的な押込み荷重たわみ試験を表す。前記特定した範囲内で、就寝面３４の発泡材パッド１８は、個々の好みに応じて様々な程度の硬さ又は柔らかさを与えるように選択される。
【００１４】
前記比較的硬質の下層３８は、約１．８５ポンド毎立方フートの密度を有する高密度ポリウレタンフォームである。また前記発泡材層３８は３０ＩＬＤを上回る硬度を有する。実際には、５５を超えるあるＩＬＤが、コスト及び耐久性の観点から最も有効であることが証明されている。前記発泡材層３８の代わりに、別の硬質材料を用いてもよい。そのような材料に、硬質プラスチック、木、又はその他の不可縮性の硬質材料が包含されてもよい。前記層３８のそのような材料は、圧縮を防ぐためには、前記材料が耐えられない程度を下回る圧力から前記材料を解放した後に少なくとも高程度の修復性を発揮しなければならない。
【００１５】
ここで図５を参照すると、本発明に基づくベッド構造に用いる支持体６０が図示されている。本発明の前記支持体６０の最も重要な特徴は、マットレス３０（図２）を支持するための硬質な上面６２を設けた点である。マットレス３０を支持体６０で堅固に支持することによって、就寝面３４の撓みの程度がより軽減される。マットレス３０を堅固に支持するために、前記支持体６０は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第５，９４０，９０８号の開示及び、特にこの特許の図６に基づいて構成されている。
【００１６】
前記支持体６０は、構造枠６４を有している。前記構造枠６４は、一対の縦板（図５には縦板６６のみが図示されている）を含む長方形の縁を有する。前記一対の縦板は、呼び寸法１×３の、建築等級（原語ｃｏｎｓｔｒｕｃｔｉｏｎ ｇｒａｄｅ）を満たす標準的な木材から形成されていてもよい。これらの縦板は、頭側の端板６８によって前記枠６４の頭側の端に連結され、足側の端板７０によって前記枠６４の足側の端に連結されている。前記端板６８及び７０は、例えば、前記一対の縦板に同一平面内で接合している下方の１×２の端スラットであってもよい。横スラット７２、７４、７６、７８、８０、８２及び８４が、前記一対の縦板の上面上に配置され、側方に延伸して、前記一対の端板間に跨っている。又は、縦方向に延伸する中心支持板が前記頭側及び足側の板６８及び７０の底面に取り付けられ、前記複数の横スラット７２−８４のそれぞれの下側に固定されていることにより、枠６４の構造の完全性及び強度が高められていてもよい。
【００１７】
図５に更に図示されているように、横スラット８０、８２及び８４は、枠１０の長手方向の中央に位置し、Ｌ字型の断面形状を有する。ただし、前記Ｌ字型の複数の横スラットは、枠６４の長手方向のどの位置に配置されていてもよく、またその数がより少なくても又はより多くてもよいことに留意すべきである。前記Ｌ字形の横スラット８０、８２及び８４は、強化ブレース又はビームとして機能し、前記枠６４の変形を軽減する。
【００１８】
図５に図示されるように、非弾性的なベッディング支持体６０は、マットレス支持構成体８６を有する。前記マットレス支持構成体８６は、前記横スラット６８、７０、７２、７４、７６、７８、８０、８２及び８４上に支持されてこれに取り付けられた複数のワイヤ支持部材８８を備えている。本実施例においては、上層６３が前記構成体８６上に設けられており、カバー又は表地９０が、前記支持体６０全体の外表面を形成すべく設けられている。前記上層６３の構造及び性能は、マットレス３０の下層６８の構造及び性能と同じである。特に、上層６３は、３０ＩＬＤを上回る、詳細には５５ＩＬＤを上回る硬度を有して前記マットレス３０に硬質な支持表面を与えるべく設けられている。
【００１９】
本発明に基づく前記片面のみを使用するスプリングマットレス３０は、パッド材の望ましくない圧縮による就寝面の永久的な変形の程度を軽減させるという点で、従来の両面を使用するマットレスと比較して大幅な利点を有する。マットレス３０のパッドが、硬質の下層３８のために概ね半減するので、両面のパッド層が同じである従来構造の両面を使用するマットレスで起こりうるようなコイル構成体１２の沈み込み及び下部パッド層の圧縮が起こらない。片面のみを使用するマットレス３０の下側に硬質の支持体を加えることにより、前記マットレス３０のコイルスプリングが更に支持され、撓みがより軽減される。
【００２０】
本発明片面のみを使用するマットレス３０はまた、従来の両面を使用するマットレスで推奨されるような、定期的に表裏に反転させることによる手入れを省けるという利点も有する。従って、片面のみを使用するマットレス３０は、消費者にとってより使いやすい。更に、マーシャルコイル構造又はオープンスプリング構造は従来の材料を使用するので、片面のみを使用するマットレス３０は、当業で周知の技術を用いて容易に製造可能である。支持体６０も同様に、従来の製造技術を用いて構成可能である。
【００２１】
本発明を、そのいくつかの実施例を挙げて説明したが、数多くの変更及び修正を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく実行可能であることは、当業者に明らかであろう。従って、添付の請求項は、本発明の範囲内のそのような変更及び修正を包含するものとして意図されている。
【図面の簡単な説明】
本発明の以上の及びその他の新規な特徴及び長所は、添付の図面と関連させながら以下の詳細な説明を参考にすることにより、より十二分に理解されることであろう。
【図１】 両面を使用する従来のインナースプリングマットレスの拡大断面図である。
【図２】 本発明の原理に従って構成された、片面のみを使用するインナースプリングマットレスの拡大断面図である。
【図３】 図２に図示された本発明に基づくマットレス構造で使用されるマーシャルコイル構成体全体の略平面図である。
【図４】 図３に図示されたマーシャルコイル構成体の一部分を切り欠いた部分斜視図である。
【図５】 本発明で使用する支持体の部分組立分解立面図である。

Claims (16)

1. 下部ボーダーワイヤを有するワイヤスプリング構成体を備えた芯と；
   前記芯の上面を被覆し、就寝面を規定する上部パッド層と；
   前記下部ボーダーワイヤに固定され、前記芯の下側に、前記芯に接して配置された硬質な下層と；
   を備え、硬質な前記下層が、前記就寝面の永久的な変形を軽減すべく、前記芯に接触してこれを支持することを特徴とする、片面のみを使用するインナースプリングマットレス構成体。
2. 前記下層の硬度が３０ＩＬＤを上回ることを特徴とする、請求項１に記載のマットレス構成体。
3. 前記下層の密度が約１．８５ポンド毎立方フート（４８０．５キログラム毎立方メートル）、硬度が約５５ＩＬＤであることを特徴とする、請求項２に記載のマットレス構成体。
4. 前記芯が複数のポケットスプリングを備えたことを特徴とする、請求項１に記載のマットレス構成体。
5. 前記芯が下部ボーダーワイヤに囲まれており、前記ボーダーワイヤを前記下層に取り付けることによって、前記芯が前記下層に固定されていることを特徴とする、請求項１に記載のマットレス構成体。
6. ワイヤスプリング構成体を備えた芯と；
   前記芯の上面を被覆し、就寝面を規定する上部パッド層と；
   前記芯の下側に、圧縮可能な層を介在させることなく前記芯に接して配置された、硬質な下層と；
   を備え、前記下層が、複数のスプリングからなる前記芯による圧縮を防ぐ硬質プラスチック材料であることと、前記芯が下部ボーダーワイヤに囲まれており、前記ボーダーワイヤを前記下層に取り付けることによって、前記芯が前記下層に固定されていることを特徴とする、片面のみを使用するインナースプリングマットレス構成体。
7. 前記下層の硬度が３０ＩＬＤを上回ることを特徴とする、請求項６に記載のマットレス構成体。
8. 前記芯が複数のポケットスプリングを備えたことを特徴とする、請求項６に記載のマットレス構成体。
9. ワイヤスプリング構成体と、前記ワイヤスプリング構成体の下部ボーダーの周囲に配置されたワイヤと、を備えた芯と；
   前記芯の上面を被覆する上部パッド層と；
   前記芯の下側に位置する比較的硬質な下層と；
   を備え、前記下層が、複数のスプリングからなる前記芯による圧縮を防ぐ高密度の発泡材であり、前記ワイヤスプリング構成体の前記下部ボーダーの周囲の前記ワイヤが、前記下層に固定されていることを特徴とする、片面のみを使用するインナースプリングマットレス構成体と；
   前記マットレスを支持するための硬質な支持体と；
   を備えた、ベッド構造。
10. 前記下層の硬度が３０ＩＬＤを上回ることを特徴とする、請求項９に記載のベッド構造。
11. 前記下層の密度が約１．８５ポンド毎立方フート（４８０．５キログラム毎立方メートル）、硬度が約５５ＩＬＤであることを特徴とする、請求項１０に記載のベッド構造。
12. 前記芯が複数のポケットスプリングを備えたことを特徴とする、請求項９に記載のベッド構造。
13. 前記芯が下部ボーダーワイヤに囲まれており、前記下部ボーダーワイヤを前記下層に取り付けることによって、前記芯が前記下層に固定されていることを特徴とする、請求項９に記載のベッド構造。
14. ワイヤスプリング構成体を備えた芯と；
    前記芯の上面を被覆する上部パッド層と；
    前記芯の下側に位置する比較的硬質な下層と；
    を備え、前記下層が、複数のスプリングからなる前記芯による圧縮を防ぐ硬質プラスチック材料であることと、前記芯が下部ボーダーワイヤに囲まれており、前記下部ボーダーワイヤを前記下層に取り付けることによって、前記芯が前記下層に固定されていることと、を特徴とする、片面のみを使用するインナースプリングマットレス構成体と；
    前記マットレスを支持するための硬質な支持体と；
    を備えた、ベッド構造。
15. 前記下層の硬度が３０ＩＬＤを上回ることを特徴とする、請求項１４に記載のベッド構造。
16. 前記芯が複数のポケットスプリングを備えたことを特徴とする、請求項１４に記載のベッド構造。

Images