JP4912426B2 - 配管診断装置、及び空気調和機 - Google Patents
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Description
例えば、空気調和機において、冷媒を循環させる配管の異常を検出するためには、異常診断の度に当該配管内の冷媒を除去する必要があり、ほぼ通年使用されている空気調和機に、従来の技術を適用するのは困難である。また、空気調和機が運転中に配管の異常の検出を行うことができない。
室内機と、
室外機と、
導電性の配管の外周に断熱材を設けて構成され、前記室内機及び前記室外機に冷媒を循環させる冷媒配管と、
上記の配管診断装置と
を備えたものである。
<構成>
図1は実施の形態1に係る空気調和機及び配管診断装置の構成を示す図である。
図1に示すように、空気調和機は、室外機1、室内機a2、室内機b3、室内機c4、配管5、及び配管6を備える。
また、本実施の形態における配管診断装置は、診断装置7、及び診断装置9を備える。
室外機1、室内機a2、室内機b3、及び室内機c4は、配管5、6中を流れる冷媒の圧力を変化させて冷媒の吸熱、放熱により空気調和を行う。
室外機1は、冷媒を圧縮する図示省略の圧縮機と、冷媒が外気と熱交換される図示省略の室外熱交換器(冷媒回路)等を含んで構成されている。室外機1は、例えば、屋外に据え付けられるようになっており、ビルの屋上等に配置される。
室内機a2、b3、及びc4は、室外機1から送られる冷媒が室内の空気と熱交換される図示省略の室内熱交換器(冷媒回路)と熱交換された空気を室内に送り出す図示省略の送風装置等含んで構成されている。室内機a2、b3、及びc4は、例えば、室内の天井に組み込まれる。
配管5及び6は、例えば、銅などの金属素材により構成され、導電性を有している。
配管5の外周は、発泡ウレタン等の絶縁材料からなる断熱材501で覆われている(図4参照)。配管6の外周は、発泡ウレタン等の絶縁材料からなる断熱材601で覆われている(図4参照)。
この断熱材501及び601により、配管5及び配管6が直接空気に触れ、結露などしないように施工される。
主配管50は、室外機1と室内機c4とを接続する。
分岐配管51は、主配管50から分岐して、室内機a2に接続される。
分岐配管52は、主配管50から分岐して、室内機b3に接続される。
主配管60は、室外機1と室内機c4とを接続する。
分岐配管61は、主配管60から分岐して、室内機a2に接続される。
分岐配管62は、主配管60から分岐して、室内機b3に接続される。
なお、各配管の長さはこれに限るものではなく、任意の長さとすることができる。
インピーダンスアッパー81は、例えばファライトコアなどで構成され、高周波信号に対して誘導特性を有している。インピーダンスアッパー81は、配管5と配管6との間を高周波信号の帯域において所定のインピーダンスで分離する。
インピーダンスアッパー81は、配管5及び配管6の室外機1の近傍に取り付けるのが望ましい。
インピーダンスアッパー11は、例えばファライトコアなどで構成され、高周波信号に対して誘導特性を有している。インピーダンスアッパー11は、配管5と配管6との間を高周波信号の帯域において所定のインピーダンスで分離する。
インピーダンスアッパー11は、配管5及び配管6の室内機4cの近傍に取り付けるのが望ましい。
これにより、当該所定信号は、接続部8を介して、導電性を有する配管5と配管6の間を、配管表層を導体として伝搬する。
伝搬して来た所定信号は、接続部10を経由し、診断装置9で取得される。
そして、診断装置9は、取得した所定信号の周波数特性を計測する。診断装置9は、この周波数特性に基づいて、配管5、6、及び断熱材501、601の少なくとも1つについて、劣化状態などの異常の有無を検知する。詳細は後述する。
図2に示すように、診断装置7は、信号印加手段71を備える。
診断装置9は、信号検出手段91、異常検知手段92、記憶部93、及び監視手段94を備える。
信号印加手段71は、所定信号として、所定の振幅及び所定の周波数帯域を持つ高周波信号を配管5及び6に印加する。
本実施の形態では、1MHz〜10MHzの帯域を持つ高周波信号を印加する場合について説明する。
なお、これに限らず、信号印加手段71は、所定信号として、所定の振幅を有する高周波信号を、所定の周波数範囲でスイープさせて配管5及び6に印加しても良い。
また、信号検出手段91は、初回時又は所定のタイミングで検出した所定信号の周波数特性の情報を、配管5、6及び断熱材501、601等の配管外周に設けられた材料が正常状態における周波数特性の情報として、記憶部93に記憶させる。
記憶部93は、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリなどの記憶装置で構成することができる。
なお、異常の有無に関する情報の出力に必要なインターフェースを適宜備えるようにしても良い。
次に、本実施の形態における配管診断装置の動作について説明する。
まず、配管診断装置は、配管5、6及び断熱材501、601等の配管外周に設けられた材料が劣化・破損等していない状態(以下「正常状態」ともいう)における周波数特性を取得する。
ここで、正常状態の周波数特性の情報を取得する所定のタイミングとしては、例えば、配管5及び6を交換・補修後に始めて当該配管診断装置を動作させる際や、分岐配管の接続構成を変更した際などが想定される。
高周波帯の信号は、配管5と配管6の間を、金属部表層を導体として伝搬する。
診断装置9の信号検出手段91は、接続部10を経由し、配管5及び6を伝搬して来た高周波信号を検出する。
信号検出手段91は、検出した高周波信号について、その周波数毎の信号レベル(振幅)を計測する。
例えば、信号検出手段91は、周波数毎に既知の送信信号レベルとの差分を計算することにより、室外機1と室内機c4間のゲイン−周波数特性を計測する。
そして、信号検出手段91は、計測した周波数特性を正常状態における周波数特性の情報として、記憶部93に記憶させる。
図3においては、室外機1と室内機c4との間の冷媒配管のゲイン−周波数特性を1MHz〜10MHzの周波数範囲において計算しプロットしたものである。
ここで、図1に示したように、室内機a2への分岐配管51と分岐配管61は室内機a2内部の冷媒回路により電気的に短絡されている。また、室内機b3への分岐配管52と分岐配管62は室内機b3内部の冷媒回路により電気的に短絡されている。
そして、分岐配管51、61、及び分岐配管22、62は、それぞれ20mである。
このため、図3に示すように、高周波信号の波長λの1/4及び1/2の長さが、分岐配管長(20m)となる周波数近傍で、ノッチフィルタ状にゲインが大きく低下する周波数特性となる。以下、ゲインが大きく低下する周波数を「減衰周波数」と称する。
図4に示すように、配管5、6及び断熱材501、601が劣化・破損等していない状態では、断熱材501及び601の比誘電率εは、所定の値(例えば、ε≒1)を持つ。
図5に示すように、例えば断熱材501及び601の一部が劣化して、劣化部502及び602に位置する配管5及び6が、直接外気に曝された場合を考える。
空気調和機の運転により、配管5、6に冷媒が循環すると、外気に曝された配管5、6周辺空気に含まれる水蒸気が凝縮して、配管5、6の一部が結露する。これによって、劣化部502、602は湿気を含むことになる。
このとき、水の比誘電率は約30であるため、図5に示すように、水分を含んだ劣化部502及び602の比誘電率εは、正常時と比較して上昇し(例えば、ε≦30)、配管5、6全体としての周波数特性が変化することになる。
図6においては、室内機b3への分岐配管52及び62のうち、1mの長さが水分を含んだ場合(図5の結露状態)のゲイン−周波数特性を計算したものである。
図6に示すように、4MHz近辺、及び9MHz近辺のノッチ状の減衰周波数が、各々3.5MHz、7MHz近辺にシフトしている。
これは配管5及び6の一部の断熱材が水分を含むため誘電率が高くなり、その区間の伝搬速度が式(1)に示す誘電率の影響で遅くなることに起因する。
以下、配管5、6及び断熱材501、601等の配管外周に設けられた材料が結露、劣化、破損等、及び腐食の可能性がある状態を「異常」と称する。
なお、この計測は、例えば使用者からの操作により、任意のタイミングで行っても良い。
高周波帯の信号は、配管5と配管6の間を、金属部表層を導体として伝搬する。
診断装置9の信号検出手段91は、接続部10を経由し、配管5及び6を伝搬して来た高周波信号を検出する。
信号検出手段91は、検出した高周波信号について、その周波数毎の信号レベル(振幅)を計測する。
例えば、信号検出手段91は、周波数毎に既知の送信信号レベルとの差分を計算することにより、室外機1と室内機c4間のゲイン−周波数特性を計測する。
この異常の検知は、例えば、信号検出手段91により検出された高周波信号の減衰周波数が、正常状態における減衰周波数と比較して、所定値以上変化したとき、異常であると検知する。
図6の例では、計測された周波数特性について、4MHz近辺、及び9MHz近辺の減衰周波数が、正常状態での減衰周波数と比較して所定値以上変化したとき、室内機b3への分岐配管52、62、及びその断熱材501、601の何れかに、断熱材劣化による結露などの異常が生じていると検知する。
以上のように本実施の形態においては、導電性の配管5、6に所定信号を印加し、配管5、6を伝搬した所定信号に基づき異常の有無を検知する。
このため、配管5、6内の冷媒などの内容物の有無にかかわらず、配管5、6及び該配管外周に設けられた断熱材501、601などの材料の異常を検知することができる。
なお、減衰周波数は、分岐配管の長さにより定まるため、同じ長さの分岐配管が複数有る場合には、どの分岐配管が異常であるかを識別することができない。この場合においても、多数の分岐配管のうち、異常が生じている配管を当該長さの分岐配管に絞ることが可能である。これにより、例えば劣化点検などのメンテナンスを行う配管候補を、当該長さの分岐配管に絞ることが可能となり、メンテナンスの工数を削減できる効果を有する。
例えば、信号検出手段91は、計測した高周波信号の周波数特性の情報を記憶部93に記憶させ、異常検知手段92は、記憶された正常状態における周波数特性と、記憶された計測時の周波数特性とを比較して、異常の有無を検知するようにしても良い。
また例えば、信号検出手段91は、配管5、6を伝搬した高周波信号の周波数特性を任意のタイミングで複数検出し、当該複数の周波数特性の情報を記憶部93に記憶させる。そして、異常検知手段92は、記憶部93に記憶された正常状態における周波数特性と、記憶部93に記憶された計測された複数の周波数特性とをそれぞれ比較し、当該比較結果の情報をそれぞれ記憶部93に記憶させ、記憶部93に記憶された比較結果の経時変化に基づいて、異常の有無を検知する。
例えば、通信装置の通信可否等の伝送路の特性計測モードを用いてゲイン特性の取得を行い、他のコントローラーへ情報を送信し、コントローラーが判断しても良い。
この場合、通信装置が、配管の結露等の異常を検知する診断装置7及び9を兼ねることができ、別個に診断装置7及び9を設けることなく冷媒漏洩の一要因である結露等を検出することができる。
<構成>
図7は実施の形態2に係る空気調和機及び配管診断装置の構成を示す図である。
図7において、空気調和機の構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
また、図7に示すように、本実施の形態における配管診断装置は、診断装置12を備える。
診断装置12は、上記実施の形態1と同様に、インピーダンスアッパー81によって交流的に分離された配管5及び6の一端に接続される。診断装置12は、接続部8の室外機1近傍の配管5及び6に接続するのが望ましい。
インピーダンスアッパー81の構成は上記実施の形態1と同様である。
図8に示すように、診断装置12は、信号印加手段121、信号検出手段122、異常検知手段123を備える。
信号検出手段122は、パルス信号の反射波を検出する。
異常検知手段123は、反射波の遅延時間に基づき、配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常の有無を検知する。
次に、本実施の形態における配管診断装置の動作について説明する。
反射波を用いた異常の検出の原理と、診断装置12の動作を、1台の室外機1と1台の室内機4の構成の場合を例に、図8〜図12を用いて説明する。
図10は実施の形態2に係る正常状態におけるインピーダンスモデルを示す図である。
図11は実施の形態2に係る劣化状態における配管のインピーダンスを模式的に示した図である。
図12は実施の形態2に係る劣化状態におけるインピーダンスモデルを示す図である。
図13は実施の形態2に係るパルス波形と正常時及び劣化時における送信点波形を示す図である。
従って、図13の送信点波形(1)に示すように、送信端Aでは、印加したパルス信号に端部Bで反射した反射波が重畳される。
このパルス信号の印加から反射波が重畳されるまでの時間t1は、反射が起きる位置、すなわち、図9に示した送信端Aから端部Bまでの距離に比例する。つまり、パルス信号には、時間t1だけ遅延した反射波が合成される。
従って、図11に示すように、配管5、6の一部が結露すると、当該部分のインピーダンスの不整合が生じる。このときのインピーダンスモデルを図12に示す。
従って、図13の送信点波形(2)に示すように、送信端では、劣化部502、602で反射した反射波が重畳された後、端部Bで反射した反射波が重畳される。
以上のように本実施の形態においては、パルス信号を配管5、6に印加し、当該パルス信号の反射波の遅延時間に基づき、異常の有無を検知する。これにより上記実施の形態1と同様に、配管5、6内の冷媒などの内容物の有無にかかわらず、配管5、6及び該配管外周に設けられた断熱材501、601などの材料の異常を検知することができる。
また、反射波の遅延時間により、送信端と異常箇所との間の距離を求めることができる。
Claims (11)
- 導電性の配管に所定の振幅及び所定の周波数帯域を持つ高周波信号を印加する信号印加手段と、
前記配管を伝搬した前記高周波信号の周波数特性を検出する信号検出手段と、
前記信号検出手段が検出した前記所定信号に基づき、前記配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常の有無を検知する異常検知手段と、
前記配管及び該配管外周に設けられた材料が正常状態における周波数特性の情報が記憶される第1の記憶手段と、
第2の記憶手段と、
第3の記憶手段と
を備え、
前記配管は、
主配管と、
前記主配管から分岐した1又は複数の分岐配管と
を有し、
前記信号検出手段は、
前記配管を伝搬した前記高周波信号の周波数特性を任意のタイミングで複数検出し、当該複数の周波数特性の情報を前記第2の記憶手段に記憶させ、
前記異常検知手段は、
前記第1の記憶手段に記憶された正常状態における周波数特性の減衰周波数と、前記第2の記憶手段に記憶された複数の周波数特性の減衰周波数とをそれぞれ比較し、該比較結果の情報をそれぞれ前記第3の記憶手段に記憶させ、
前記第3の記憶手段に記憶された減衰周波数の前記比較結果の経時変化に基づいて、前記配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常の有無を検知し、
当該減衰周波数と前記分岐配管の長さに基づき、前記主配管及び前記分岐配管のうち何れが異常であるかを識別する
ことを特徴とする配管診断装置。 - 前記信号検出手段は、
初回時又は所定のタイミングで検出した前記所定信号の周波数特性の情報を、前記配管及び該配管外周に設けられた材料が正常状態における周波数特性の情報として、前記第1の記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項1記載の配管診断装置。 - 前記異常検知手段は、
前記信号検出手段により検出された前記所定信号の減衰周波数が、正常状態における減衰周波数と比較して、所定値以上変化したとき、前記配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方が異常であると検知する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の配管診断装置。 - 前記信号印加手段は、
前記所定信号として、所定の振幅を有する高周波信号を、所定の周波数範囲でスイープさせて前記配管に印加し、
前記信号検出手段は、
前記高周波信号の周波数特性を検出する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の配管診断装置。 - 前記信号印加手段は、
前記所定信号として、送信情報を所定の周波数帯域を持つ送信信号に変調して前記配管に印加し、
前記信号検出手段は、
前記送信信号を復調して前記送信情報を取得する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の配管診断装置。 - 前記信号印加手段は、
周波数帯域が2〜30MHzの間のキャリア周波数を用いて前記送信情報を変調する
ことを特徴とする請求項5記載の配管診断装置。 - 前記信号印加手段は、
前記異常検知手段が検知した異常の有無に関する情報を、前記送信信号に変調して前記配管に印加する
ことを特徴とする請求項5又は6記載の配管診断装置。 - 前記配管を伝搬した前記送信信号を復調して、前記異常検知手段が検知した異常の有無に関する情報を取得する監視手段を備えた
ことを特徴とする請求項7記載の配管診断装置。 - 室内機と、
室外機と、
導電性の配管の外周に断熱材を設けて構成され、前記室内機及び前記室外機に冷媒を循環させる配管と、
請求項1〜8の何れかに記載の配管診断装置と
を備えたことを特徴とする空気調和機。 - 前記室内機を複数備え、
前記配管は、
前記複数の室内機のうち、任意の室内機と前記室外機とを接続する主配管と、
前記主配管から分岐して、他の室内機と前記室外機とを接続する1又は複数の分岐配管とを有し、
前記配管診断装置は、
前記配管及び前記断熱材の少なくとも一方の異常を検知したとき、
前記主配管及び前記1又は複数の分岐配管のうち何れが異常であるかを識別する
ことを特徴とする請求項9記載の空気調和機。 - 前記配管を、前記室内機及び前記室外機の少なくとも一方から交流的に分離するインピーダンス調整器を備え、
前記信号印加手段は、交流的に分離された前記配管の一端に前記所定信号を印加する
ことを特徴とする請求項9又は10記載の空気調和機。
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