JP4911758B2 - カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

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本発明は、いわゆる化学気相成長法(CVD法)によってカーボンナノチューブを製造する方法に関し、詳しくは、該化学気相成長法における炭素源としてショウノウ(camphor)を使用してカーボンナノチューブを製造する方法に関する。
カーボンナノチューブは、導電性、熱伝導性、機械的強度等の優れた特性を持つことから、多くの分野から注目を集めている新素材である。一般にカーボンナノチューブは、炭素または炭素を含む原料を、必要に応じて触媒の存在下で、高温条件に置くことによって合成される。主な製造方法として、アーク放電法、レーザ蒸発法および化学気相成長法が知られている。これらのうち化学気相成長法(すなわちCVD法)は、炭素を含む原料(炭素源)を熱分解させてカーボンナノチューブを合成するものであって、設備費用が安価である、反応条件のコントロールが容易である、システムの運転が容易でありスケールアップに適している、等の利点を有する。CVD法における炭素源としては、種々の化合物を使用し得る可能性が指摘されている。しかし実際には、アセチレン、ベンゼン等の化石燃料(典型的には石油)に由来する炭素源を用いた検討が大部分であった。例えば特許文献1には、使用し得る炭素源として数々の炭素化合物が列挙されているが、実施例において実際に使用されている炭素化合物はベンゼンのみである。
一方、非特許文献1には、ショウノウを炭素源とするCVD法によってカーボンナノチューブが得られることが記載されている。ショウノウは、植物から簡単に得ることができる(すなわち、化石燃料に依存することなく入手可能である)。したがって、CVD法における炭素源としてショウノウを用いることにより、炭素源として石油製品(アセチレン、ベンゼン等)を用いる場合に比べて環境負荷が低減するものと期待される。
特開2004−270088号公報 ムクル クマール(Mukul Kumar),安藤義則,カーボン(Carbon),第43巻,第533〜540頁,2005年
そこで本発明は、ショウノウを炭素源とするCVD法によってカーボンナノチューブを製造する方法であって、より効率よくカーボンナノチューブを製造し得るカーボンナノチューブ製造方法を提供することを目的とする。
ここに開示されるカーボンナノチューブ製造方法は、化学気相成長法(CVD法)によってカーボンナノチューブを製造する方法である。該方法は、触媒金属が支持体に担持された触媒体と炭素源としての固体ショウノウとを反応容器内の異なる箇所に配置することを含む。また、該反応容器内において、前記固体ショウノウを室温以上融点以下の温度(例えば凡そ80〜170℃)で徐々に気化させつつ、該気化により生じたショウノウ蒸気を前記触媒体に供給して熱分解させることを含む。
かかる製造方法によると、カーボンナノチューブ(典型的には、主として多層カーボンナノチューブ)を効率よく生じさせることができる。例えば、炭素源として使用したショウノウの質量を基準として、より高いカーボンナノチューブ収率が実現され得る。
ここで、「カーボンナノチューブ」とは、チューブ状の炭素同素体(典型的には、グラファイト構造の円筒型構造物)をいい、特別の形態(長さや直径)に限定されない。いわゆる単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、あるいはチューブ先端が角状のカーボンナノホーンは、ここでいうカーボンナノチューブ(以下、「CNT」ということもある。)の概念に包含される典型例である。
また、固体ショウノウを気化させる温度について「融点」とは、該固体ショウノウを気化させる際の雰囲気圧力におけるショウノウの融点をいう。
ここに開示される方法の好ましい一つの態様では、前記反応容器の一部に設けられた加熱ゾーンを外部から加熱しつつ前記ショウノウ蒸気の熱分解を行う。前記加熱ゾーンに前記触媒体を配置するとよい。一方、前記固体ショウノウは、該加熱ゾーンから外れた箇所に配置することが好ましい。これにより、前記固体ショウノウを反応容器の外部から直接的に加熱することなく該ショウノウを気化させるとよい。かかる態様は、固体ショウノウをその融点以下の温度で徐々に気化させるのに適した態様の一例である。
前記ショウノウ蒸気の熱分解は、前記反応容器にキャリアガスを流通させつつ行うことができる。該キャリアガスとして、例えば、不活性ガスと還元性ガスとを凡そ95:5〜80:20の体積比で含む混合ガスを好ましく使用することができる。かかる態様によると、より高いCNT収率が実現され得る。
前記触媒体としては、鉄およびコバルトを含む触媒金属が支持体としてのゼオライト粉末に担持された触媒体を好ましく使用することができる。好ましい一つの態様では、前記触媒体として、触媒金属源としての鉄化合物およびコバルト化合物を溶媒に溶解させた触媒金属源溶液とゼオライト粉末とを混合して凍結乾燥することにより用意された触媒体を使用する。かかる態様によると、触媒金属源のゼオライトへの担持がより一様になされ得ることから、より高いCNT収率が実現され得る。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、熱分解を行う際の温度および圧力を調節するための具体的な操作方法等のCVD法に関する一般的事項)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明のカーボンナノチューブ(以下、「CNT」ということもある。)製造方法では、炭素源としてショウノウ(camphor、C1016O)を使用する。使用するショウノウは、天然物に由来(天然ショウノウ)するか合成物(合成ショウノウ)であるかを問わず、これらを併用してもよい。d-体(d-camphor)、dl-体およびl-体のいずれのショウノウも使用可能である。これらの異性体の一種のみを用いてもよく二種以上の異性体の混合物を用いてもよい。入手容易性等の観点から、通常は主としてdl-ショウノウを使用することが好ましい。本発明の製造方法に使用する炭素源は、少なくともショウノウを主成分とするものであればよく、ショウノウ以外の成分を含んでいてもよい。純度90質量%以上のショウノウを炭素源に使用する(すなわち、ショウノウ成分の割合が90質量%以上の炭素源を使用する)ことが好ましい。純度95質量%のショウノウの使用がより好ましい。
前記触媒体を構成する触媒金属としては、CVD法においてショウノウの熱分解を触媒し得る一種又は二種以上の金属を使用することができる。例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、ルテニュウム(Ru)、銅(Cu)等から選択される一種又は二種以上を触媒金属に用いることができる。Fe及びCoの少なくとも一方を触媒金属として使用することが好ましい。Fe及びCoを組み合わせて使用することが特に好ましい。このことによって、触媒金属としてFeを単独で使用した場合に比べて、より品質のよい(例えば、チューブの形状がより整っている、より結晶性が高い、CNTの構成に関与しないカーボンの堆積量がより少ない、のうち一又は二以上を満たす)生成物が得られる。また、触媒金属としてCoを単独で使用した場合に比べて、CNTの生成速度をより高めることができる。ここに開示される方法の好ましい一つの態様では、前記触媒金属が実質的にFeおよびCoから構成される。
かかる触媒金属を保持する支持体(support)としては、CVD温度(該触媒体の存在下でショウノウを熱分解させる際の雰囲気温度)において安定な材料であれば特に限定なく使用することができる。支持体を構成する材質の好適例として、アルミナ、シリカ、ゼオライト、マグネシア、チタニア、ジルコニア、活性炭等を挙げることができる。触媒金属の担持に適することおよびCNTを効率よく成長させ得ることから、ゼオライト、シリカゲル等の無機多孔体の使用が特に好ましい。例えば、BET比表面積が400〜800m2/g程度のゼオライトを好ましく使用することができる。なかでも高シリカタイプのゼオライトが好ましい。例えば、SiO2/Al23の比率が10以上(Si/Alの比率が5以上)であるゼオライトが好ましく、SiO2/Al23の比率が100以上(Si/Alの比率が50以上)のものがより好ましい。SiO2/Al23の比率が200以上(Si/Alの比率が100以上)のものが更に好ましい。
支持体の形状は特に問わない。例えば、板状、筒状、ハニカム状、粉末状等の形状を有する支持体を使用することができる。通常は、粉状の支持体を用いることが好ましい。例えば、平均粒子径が凡そ0.1〜100μm(より好ましくは凡そ1〜20μm)の粉末状の支持体を好ましく使用することができる。
本発明の製造方法には、このような支持体に上記触媒金属が担持された触媒体を使用する。かかる触媒体は、例えば、使用する触媒金属を構成元素として含む化合物であって加熱により該金属の単体を生じ得るもの(該金属の塩等、以下「触媒金属源」ということもある。)を支持体に付与することによって得ることができる。二種以上の触媒金属を有する触媒体の場合には、各触媒金属に対応した触媒金属源を使用してもよく、二種以上の触媒金属を含む触媒金属源を使用してもよい。このような触媒金属源を支持体に付与した後、必要に応じて該触媒体を加熱することによって(非酸化性雰囲気で加熱することが好ましい。)、触媒金属が単体または合金の形態で担持された触媒体を得ることができる。
好ましく使用される触媒金属源としては、対応する触媒金属の酢酸塩(acetate)、硝酸塩(nitrate)、塩化物(chloride)、硫酸塩(sulphate)、アセチルアセトナート(acetyl acetonat)、メタロセン(ferrocene,
cobaltcene, nickelocene等)、金属フタロシアニン(Fe-phthalocyanine,
Co-phthalocyanine, Ni-phthalocyanine等)、Iron penta
carbonyl(Fe(CO5))等を例示することができる。
なお、ここでいう「触媒体」の概念には、一種類の触媒金属を単体として有するもの、複数種類の触媒金属をそれぞれ単体として有するもの、複数種類の触媒金属をそれらの合金として有するもの等のほか、一種または二種以上の触媒金属の少なくとも一部が、触媒金属源(例えば、該触媒金属の塩)またはその触媒金属源が部分的に分解して成る化合物の形態で担持されているものも含まれ得る。
触媒金属源を支持体に付与する方法としては、従来公知の方法を適宜採用し得る。好ましい一つの付与方法は、適当な溶媒に一種または二種以上の触媒金属源を溶解させて触媒金属源溶液を調製することを含む。該溶液の調製に用いる触媒金属源の種類および量は、目的とする触媒体が有する触媒金属の組成比に応じて定めることができる。例えば、FeおよびCoを触媒金属として有する触媒体を製造する場合であって、Fe源として鉄(II)アセテート((CH3COO)2Fe,以下「IA」と表記することもある。)を使用し、Co源としてコバルトアセテートテトラハイドレート((CH3COO)2Co・4HO,以下「CA」と表記することもある。)を使用する場合には、これらの触媒金属源をIA:CA=1:1の質量比で適当な溶媒(例えば水)に溶解させることにより、FeとCoとを凡そ1:0.7のモル比で有する触媒源溶液を調製することができる。
次いで、このようにして調製した触媒金属源溶液を支持体に含浸させる。例えば、該溶液に粉末状の支持体を加えて分散させる。かかる分散を適切に行うために超音波振動を付与してもよい。このとき加える支持体の量は、目的とする触媒体における触媒金属濃度(すなわち、支持体と触媒金属との合計質量に占める触媒金属の質量割合)に応じて決定すればよい。その後、溶媒を除去することによって、支持体に触媒金属源が担持された触媒体を得ることができる。溶媒の除去方法としては、例えば、常圧において必要に応じて加熱条件下で乾燥させる方法、該溶媒(例えば水)を凍らせた状態で減圧により気化させる方法(凍結乾燥法)、等を好ましく採用することができる。なお、触媒金属源溶液を支持体に付与する方法はこれに限定されない。例えば、該溶液を支持体にスプレーする方法等の、従来公知の方法を特に限定なく採用することができる。また、触媒金属源溶液の調製に使用する溶媒は、使用する触媒金属源をよく溶かすものであればよく、特に限定されない。溶媒の除去が容易であるという観点からは、常圧で40〜100℃程度の温度域において容易に気化し得る溶媒が好ましい。例えば、水、低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール等)、アセトン、テトラヒドロフラン等から選択される一種類の溶媒または二種以上の混合溶媒を好ましく使用することができる。
触媒体における、触媒金属の質量(金属原子換算)と支持体の質量との合計質量に占める該触媒金属の質量の割合(触媒濃度(質量%))は特に限定されない。例えば、触媒濃度が凡そ1〜70質量%の範囲にある触媒体を使用することができる。該触媒濃度が凡そ20%〜60%(好ましくは凡そ25%〜55%、より好ましくは凡そ30%〜50%、特に好ましくは凡そ35%〜45%)の範囲にある触媒体の使用が好ましい。触媒金属濃度が上記範囲よりも低すぎると、CNTの製造効率(例えば、単位時間当たりの収量、触媒金属の質量当たりの収量、使用したショウノウの質量に対する収率等)が低下しがちとなることがある。一方、触媒金属濃度が上記範囲よりも高すぎると、触媒金属の利用効率が低下しやすくなり、その結果、触媒金属の質量当たりのCNT収量が低下傾向となることがあり得る。
触媒金属としてFeおよびCoを使用する場合、触媒体に含まれるFeとCoとの比率は、例えばそれぞれ鉄(II)アセテート(IA)およびコバルトアセテートテトラハイドレート(CA)換算として、IA:CAの質量比が凡そ75:25〜20:80の範囲となる比率とすることができる。該質量比を凡そ60:40〜40:60の範囲とすることが好ましく、凡そ55:45〜45:55(例えば、略50:50)の範囲とすることがさらに好ましい。
特に限定するものではないが、炭素源として使用するショウノウ1gに対して使用する触媒体の質量は、支持体と該支持体に付与された触媒金属源(例えば、IAおよびCA)との合計質量が例えば凡そ0.02g〜0.5gとなる範囲とすることができ、凡そ0.05g〜0.15g(例えば、略0.1g)の範囲とすることが好ましい。また、ショウノウ1gに対し、例えば凡そ0.005g〜0.4g、より好ましくは凡そ0.01g〜0.1g(例えば、略0.02g)の触媒金属(例えばFeおよびCo)を含む量の触媒体を好ましく使用することができる。
ここに開示されるCNT製造方法では、CVD反応を行うための反応容器(リアクター)内部のそれぞれ異なる箇所に、固体状のショウノウ(固体ショウノウ)と、触媒体とを用意する。その固体ショウノウを室温以上融点以下の温度(例えば、融点よりも凡そ10℃以上低い温度)で徐々に気化させる。これにより、典型的には、固体ショウノウが液化を経ることなく気化(すなわち昇華)してショウノウ蒸気を生じる。該ショウノウ蒸気を前記触媒体に供給して該触媒体の存在下で熱分解させることによりCNT(典型的には、主として多層CNT)を製造する。このように固体ショウノウを徐々に(穏やかに)昇華させることにより、該昇華により生じたショウノウ蒸気を適切な供給レートで触媒体に供給することができる。これによりCNT収率の向上が実現され得る。
上記ショウノウ蒸気の触媒体への供給レートは、例えば、触媒体に含まれる触媒金属(金属原子換算)0.02g当たり、凡そ0.005〜0.05g/分(より好ましくは0.015〜0.05g/分)のショウノウ蒸気が供給される程度のレートとすることができる。より具体的には、例えば、鉄源としてのIAおよびコバルト源としてのCAが支持体(典型的にはゼオライト粉末)に担持された触媒体であってIA:CA:支持体の質量比が概ね35:35:30である組成の触媒体0.1g当たり、凡そ0.005〜0.05g/分(より好ましくは0.015〜0.05g/分)のショウノウ蒸気が供給される程度の供給レートを好ましく採用することができる。なお、ショウノウ蒸気の供給レートが凡そ0.015〜0.05g/分であることは、例えば、1gの固体ショウノウを凡そ20〜70分かけて徐々に気化(昇華)させつつ、該気化により生じたショウノウ蒸気を触媒体に供給することに相当する。
反応容器内における固体ショウノウおよび触媒体の配置位置は、例えば筒状(または管状)の反応容器を使用する場合、該反応容器の軸方向(反応容器内におけるガスの流動方向)に位置をずらして固体ショウノウおよび触媒体を配置することができる。典型的には、該反応容器の一端側(ガス流動の上流側)に固体ショウノウを配置し、他端側(ショウノウの配置箇所よりもガス流動の下流側)に触媒体を配置する。筒状(例えば円筒状)であって、該筒の断面における開口面積を円に換算した場合における該円の直径に対して該筒の長さが10倍〜100倍程度(より好ましくは20倍〜50倍程度)である形状の反応容器を好ましく使用することができる。特に限定するものではないが、本発明のCNT製造方法は、例えば、内容積が凡そ100mL〜5000mL(より好ましくは凡そ200mL〜2000mL)程度の反応容器を使用して好適に実施することができる。
ここに開示されるCNT製造方法は、例えば、従来の一般的な構成のCVD装置を使用して実施することができる。例えば、図1に示すように、長手方向がほぼ水平となるように設置された(すなわち、横型の)筒状のリアクター10内に、炭素源としての固体ショウノウ12を気化(昇華)させる気化ゾーン2と、触媒体14を備え該触媒体上でショウノウを熱分解させてCNTを成長させる成長ゾーン3と、が設けられた構成のCNT製造装置1を使用することができる。該装置は、また、成長ゾーン3の温度を調節する温度調節手段20を備える。さらに、リアクター10にキャリアガスを供給するガス供給手段30、リアクター10内のガスを排出するガス排出部40等を備えることができる。該装置は、また、リアクター10内のガス圧を調節する圧力調節手段(図示せず)を備えることができる。
上記温度調節手段20は、成長ゾーン3を囲んで配置されたヒータ(例えば電気炉)24を備える。成長ゾーン3は、このヒータ24により外部から直接的に加熱可能な加熱ゾーンとして構成されている。該加熱ゾーンに触媒体14が配置される。一方、固体ショウノウ12は、ヒータ24で囲まれた部分(加熱ゾーン)から外れた位置に配置される。図1に示す例では、成長ゾーン(加熱ゾーン)3よりもキャリアガス入口側、すなわちキャリアガス流路の上流側に外れた位置に固体ショウノウ12が配置されている。
キャリアガスとしては非酸化性ガスを使用することが適当である。換言すれば、不活性ガスおよび還元性ガスから選択される一種または二種以上をキャリアガスとして使用することができる。不活性ガスとしては、アルゴン(Ar)ガス、窒素(N2)ガス、ヘリウム(He)ガス等を例示することができる。還元性ガスとしては、水素(H2)ガス、アンモニア(NH3)ガス等を例示することができる。ここに開示される製造方法の好ましい一つの態様では、上記キャリアガスとして不活性ガス(例えばArガス)と還元性ガス(例えばH2ガス)との混合ガスを使用する。かかる混合ガスにおける不活性ガスと還元性ガスとの混合比は、例えば不活性ガス:還元性ガスの体積比が凡そ99:1〜50:50となる比率とすることができ、凡そ95:5〜80:20とすることが好ましい。この範囲の比率とすることにより、キャリアガスとして上記混合ガスを用いることによる効果(典型的には、CNTの収率を向上させる効果)がよりよく発揮され得る。
かかるキャリアガスをリアクターに供給する際のガス流量は特に限定されず、リアクターの形状(容量等)および/または他のCVD条件(気化ゾーンの温度、雰囲気圧力等)に応じて適宜選択することができる。通常は、滞留時間が凡そ2分〜60分(好ましくは凡そ5分〜30分)となる程度の流量とすることが適当である。例えば、後述する製造例に使用した形状のリアクターでは、キャリアガスの流量を例えば凡そ5sccm〜250sccm(sccm:標準状態における体積に換算した1分当たりの流量(cm3/分))程度とすることができ、凡そ25sccm〜125sccm(より好ましくは凡そ30sccm〜80sccm、例えば概ね50sccm)程度とすることが好ましい。また、例えば、触媒体に供給されるガス(ショウノウ蒸気とキャリアガスとの混合ガス)に含まれるショウノウ蒸気の濃度が概ね20〜70体積%(より好ましくは、概ね40〜60体積%)となるようにキャリアガスの流量および/またはショウノウの気化速度を調節することが好ましい。
触媒体の存在下でショウノウを熱分解させる際の雰囲気温度(すなわちCVD温度。例えば、成長ゾーンを備えるリアクターにおける該成長ゾーンの温度)は、例えば600℃を超えて700℃未満とすることができ、凡そ610℃以上690℃以下の範囲とすることが適当であり、凡そ620℃以上680℃以下の範囲とすることが好ましく、凡そ635℃以上655℃以下の範囲がさらに好ましい。CVD温度が上記範囲よりも高すぎる場合または低すぎる場合には、CNTの製造効率(例えば、単位時間当たりの収量、触媒金属の質量当たりの収量、ショウノウの質量に対する収率等)が低下傾向となる。
ここに開示される方法の典型的な態様では、炭素源としてのショウノウを固体状態から気化(昇華)させる際の温度(例えば、気化ゾーンを備える構成のリアクターにおける該気化ゾーンの温度)を、室温以上であってショウノウの融点(大気圧下において、d-ショウノウでは179.8℃、dl-ショウノウでは178.8℃)よりも低い温度とする。通常は、上記融点よりも概ね10℃以上(より好ましくは概ね20℃以上)低い温度で固体ショウノウを気化させることが好ましい。固体ショウノウを気化させる際の温度として、例えば凡そ80〜170℃(より好ましくは凡そ100〜150℃)の温度を好ましく採用することができる。かかる温度とすることにより、固体ショウノウを徐々に気化させてショウノウ蒸気を生じさせ、該ショウノウ蒸気をここに開示される適切な供給レートで触媒体に供給することができる。
上記好ましい温度で固体ショウノウを気化させる方法は特に限定されない。例えば、気化ゾーンを備える構成のリアクターにおいて、該気化ゾーンの外部にヒータを設置し、該ヒータによって気化ゾーンに配置された固体ショウノウを外部から直接的に加熱することにより気化ゾーン内の固体ショウノウを上記温度に加熱する方法も採用可能である。ただし、固体ショウノウを徐々に気化(昇華)させるのにより適するという観点等から、外部から気化ゾーンを直接的に加熱する(熱エネルギーを直接供給する)ことなく上記気化温度を実現することが好ましい。例えば、リアクターを通じての伝熱(上記加熱ゾーンを構成するリアクター壁面から気化ゾーンに伝わる熱等)を利用する方法、高温の(ここに開示される好ましい気化温度またはそれ以上の温度に加熱された)キャリアガスを固体ショウノウに供給する方法、等を好ましく採用することができる。これらの方法の組み合わせにより固体ショウノウを上記気化温度で気化させるようにしてもよい。
固体ショウノウに高温のキャリアガスを供給する場合には、例えば図2に示すように、リアクター10のうち気化ゾーン2よりもキャリアガス入口側(上流側)に該リアクター10がヒータ(例えば電気炉)22で囲まれたゾーン(加熱ゾーン5)が設けられた構成のCNT製造装置4を用いることができる。ガス供給手段30から供給されるキャリアガスを加熱ゾーン5で適切な温度に加熱して気化ゾーン2に流入させることにより、該キャリアガスを熱源として固体ショウノウ12を上述した好ましい気化温度で気化させることができる。なお、図2に示す装置4では反応容器10の上流側に設けられた加熱ゾーン5によりキャリアガスを加熱する構成となっているが、この加熱ゾーン5を設ける代わりに、あらかじめ加熱したキャリアガスを反応容器10に供給してもよい。また、図2に示す装置4において、あらかじめ加熱したキャリアガスを反応容器10に供給し、そのキャリアガスの温度を必要に応じて加熱ゾーン5によりさらに調節してもよい。
ショウノウを熱分解させる際の雰囲気圧力(ガス圧)は特に限定されないが、通常は1×103Pa(約7.5Torr)〜200×103Pa(約1500Torr)程度とすることが適当である。上記範囲よりも雰囲気圧力が低すぎるとCNTの製造効率が低下しがちとなり、上記範囲よりも圧力が高すぎると設備コストが嵩む。これらの観点から、例えば10×103Pa〜大気圧(約75〜760Torr)程度の雰囲気圧力を好ましく採用することができる。ここに開示される発明は、例えば、反応容器内が概ね大気圧である態様で好ましく実施することができる。
使用する触媒体には、該触媒体へのショウノウ供給に先立って、該触媒体を事前に加熱する前処理(プレヒート)を施すことができる。このような前処理は、例えば、リアクター内に触媒体を配置し、該リアクターにキャリアガスを流通させつつ該触媒体を適当な温度に加熱することによって好適に実施することができる。触媒体のプレヒートを行う際の加熱温度は凡そ500℃以上とすることが適当である。また、ショウノウの熱分解を行う際の温度(CVD温度)と同程度の温度でプレヒートを行ってもよい。触媒金属の少なくとも一部が触媒金属源またはその触媒金属源が部分的に分解して成る化合物の形態で担持されている形態の触媒体を使用する場合には、このような前処理を施すことが特に好ましい。なお、上記前処理は、支持体に触媒金属を担持(典型的には、触媒金属源の形態で)してから該触媒体にショウノウを供給するまでの間に実施すればよい。例えば、外部で前処理を施した触媒体をリアクター内にセットしてもよく、上述した例のようにリアクター内で触媒体の前処理を行ってもよい。通常は、ショウノウ蒸気の供給(すなわち、CNTの生成)を開始する直前に触媒体の前処理を行うことが好ましい。
ここに開示される方法の好ましい態様によると、反応容器内にセットされるショウノウの質量を基準として、凡そ40%以上(より好ましい態様では凡そ45%以上、例えば凡そ45〜55%)のCNT収率が実現され得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
[製造装置の構成]
以下に示す製造例においてカーボンナノチューブの作製に使用した装置の概略構成につき、図面を参照して説明する。
図2に示すように、カーボンナノチューブ製造装置1は、大まかに言って、リアクター10と、リアクター10内の温度を調節する温度調節手段20と、リアクター10にキャリアガスを供給するガス供給手段30と、リアクター10内のガスを排出するガス排出部40とを備える。
リアクター10は、長手方向の一端および他端が閉塞された石英管から主として構成されている。この石英管は、長さ1m、内径26mmの円筒型であって、その内容積は531mLである。製造装置1の使用時(すなわち、カーボンナノチューブ製造時)には、後述するように、リアクター10内の一端側(上流側)にある気化ゾーン2に炭素源としての固体ショウノウ12を配置し、他端側(下流側)にある成長ゾーン3に触媒体14を配置する。
温度調節手段20は、二つの横型の環状電気炉22,24を含む。該電気炉22,24は水平方向(横方向)に並んで配置されており、それらの内部にリアクター10が、長手方向がほぼ水平となるように保持されている。二つの横型の環状電気炉22,24を含む。該電気炉22,24は水平方向(横方向)に並んで配置されており、それらの内部にリアクター10が、長手方向がほぼ水平となるように保持されている。第一の電気炉22は気化ゾーン2よりもさらに上流側(加熱ゾーン5)においてリアクター10を取り囲み、第二の電気炉24は気化ゾーン2よりも下流側において成長ゾーン3を取り囲んでいる。すなわち気化ゾーン2は、第一の電気炉22と第二の電気炉24との間に設定されている。それらの電気炉22,24にはそれぞれ制御部23,25が連結されており、その制御部23,25からの信号によって電気炉22,24の出力を制御することができる。
リアクター10の長手方向の一端にはガス供給手段30が接続されている。このガス供給手段30は、リアクター10の内部に所定の供給量にてガス(例えば、キャリアガスとしてのアルゴン/水素(H2)混合ガス)を供給可能に構成されている。一方、リアクター10の長手方向の他端にはガス排出部40が接続されている。このガス排出部40は、所定の処理液(例えば水)41を貯留する処理槽42と、リアクター10の他端から処理液41中に排ガスを導入可能に設けられた排ガス導入管44と、処理液41を経た排ガスを処理槽42から外部に排出する排ガス導出管46とを備える。排ガス導出管46には、圧力調節手段としての真空ポンプ(図示せず)が連結されている。必要に応じてこの真空ポンプを稼動させることにより、リアクター10からのガス排出量を制御することができる。そして、該ガス排出量とガス供給手段30からのガス供給量とのバランスによって、リアクター10内の雰囲気圧力(ガス圧)を調節することができる。なお、以下の製造例では、いずれもリアクター10内の雰囲気圧力を大気圧としてカーボンナノチューブを製造した。
[炭素源(ショウノウ)の用意]
炭素源としては、島田化学工業株式会社(Shimada Chemicals)製のショウノウ(純度96%)を使用した。
[触媒体Cat(1)の用意]
鉄(II)アセテート(IA)およびコバルトアセテートテトラハイドレート(CA)を水に溶解させた。この水溶液に、支持体としてのゼオライト粉末(東ソー株式会社製品,Y型ゼオライト,商品名「HSZ−390HUA」,カチオンタイプ=H,Si/Al比=200)を添加して、IA:CA:ゼオライト粉末を35:35:30の質量比で含有する組成物を調製した。該組成物を超音波で10分間処理した後、凍結乾燥させて微粉化することにより、ゼオライト粉末にIAおよびCAが上記質量比で担持された触媒体Cat(1)を得た。
[触媒体Cat(2)の用意]
鉄(II)アセテート(IA)およびコバルトアセテートテトラハイドレート(CA)をエタノールに溶解させた。このエタノール溶液に、触媒体Cat(1)の作製に用いたものと同じゼオライト粉末を添加して、IA:CA:ゼオライト粉末を35:35:30の質量比で含有する組成物を調製した。該組成物を超音波で10分間処理し、80℃で24時間乾燥させた後に微粉化することにより、ゼオライト粉末にIAおよびCAが上記質量比で担持された触媒体Cat(2)を得た。
これらの触媒体Cat(1)およびCat(2)は、いずれも、ゼオライトと触媒金属(ここではFeおよびCo、いずれも金属原子換算)との合計質量を100質量%として、触媒金属を凡そ40質量%の割合で含有する(すなわち、触媒金属濃度40質量%)。また、該触媒体に含まれるFeとCoとのモル比(濃度比)は凡そ1:0.7である。
<製造例1>
図2に示すように、1gの固体ショウノウ12を石英ボートに載せ、リアクター10の気化ゾーン2に配置した。また、0.1gの触媒体(ここではCat(1))14を石英ボートに載せて、リアクター10のうち第二の電気炉24に囲まれたゾーン(成長ゾーン3)、すなわち加熱ゾーンに配置した。
第二の電気炉24に通電して成長ゾーン3を所定のCVD温度(ここでは650℃)に加熱した。そして、ガス供給手段30からリアクター10に、キャリアガスとしてArガスと水素(H2)ガスとを90:10の体積比で含む混合ガス(すなわち、10%のH2ガスを含むArガス)を50sccmの流量で供給した。なお、本製造例では第一の電気炉22は使用しなかった。気化ゾーン2に配置された固体ショウノウ12は、CVD温度に加熱された成長ゾーン3(加熱ゾーン)から広がる熱によりショウノウの融点以下の温度(本製造例では凡そ100〜150℃)に加熱されて徐々に気化(昇華)した。これにより生じたショウノウ蒸気がキャリアガスとともに成長ゾーン3に送り込まれ、成長ゾーン3に配置された触媒体14と接触して熱分解された(CVD反応)。このようにして石英ボート内の固体ショウノウ12がなくなるまで(すなわち全て気化するまで、ここでは約20〜25分間)CVD反応を行った後、同流量のキャリアガスをリアクター10に供給しつつ、同温度で10分間のアニーリングを行った。引き続き同流量のキャリアガスを供給しながら第二の電気炉24を自然に冷却させた。そして、リアクター10内から触媒体14を、生成したカーボンナノチューブとともに回収した。その触媒体14をエタノール中で5分間超音波処理し、マイクログリッド上に滴下した。このようにして得られたカーボンナノチューブを回収し、その質量(すなわち、カーボンナノチューブの収量)を測定した。その測定結果を、製造条件の概略とともに表1に示す。表1には、使用したショウノウの質量に対する収率を併せて示している。
<製造例2,3>
リアクター10内にセットする固体ショウノウ12の量および使用する触媒体(ここではCat(1))の量を変更した点以外は製造例1と同様にしてカーボンナノチューブを製造した。すなわち、製造例2では固体ショウノウ2gに対して触媒体0.2gを使用した。また、製造例3では固体ショウノウ3gに対して触媒体0.3gを使用した。製造例2,3ともに、気化ゾーン2に配置された固体ショウノウ12を気化させる際の温度(気化温度)は製造例1と同様に凡そ100〜150℃であり、石英ボート内の固体ショウノウ12が全て気化するまでに要した時間は、2gの固体ショウノウを使用した製造例2では35〜40分程度、3gの固体ショウノウを使用した製造例3では45〜50分程度であった。これらの製造例により得られたカーボンナノチューブの収量および収率を、製造条件の概略とともに表1に示す。
<製造例4〜6>
これらの製造例では、触媒金属源溶液の溶媒に水を用いて凍結乾燥法により作製した触媒体Cat(1)に代えて、触媒金属源溶液の溶媒にエタノールを用いて加熱乾燥法により作成した触媒体Cat(2)を使用した。その他の点(固体ショウノウおよび触媒体の使用量等)については製造例1〜3とそれぞれ同様にしてカーボンナノチューブを製造した。これらの製造例により得られたカーボンナノチューブの収量および収率を、製造条件の概略とともに表1に示す。
<製造例7>
本製造例では、図2に示す構成の製造装置4を使用し、ただし石英ボートに載せた固体ショウノウ12はリアクター10のうち第一の電気炉22で囲まれたゾーン(加熱ゾーン5)に配置した。すなわち、本製造例では固体ショウノウを気化させる気化ゾーンとして加熱ゾーン5を用いた。固体ショウノウ12の使用量は1gとした。また、0.1gの触媒体(ここではCat(1))14を石英ボートに載せて、リアクター10のうち第二の電気炉24に囲まれたゾーン(成長ゾーン3)に配置した。
第二の電気炉24に通電して成長ゾーン3を所定のCVD温度(ここでは650℃)に加熱した。また、ガス供給手段30からリアクター10に、キャリアガスとしてのArガスを100sccmの流量で供給した。そして、第一の電気炉22に通電し、加熱ゾーン5に配置された固体ショウノウ12を210℃に加熱した。この気化温度はショウノウの融点を約30℃上回る温度である。これにより固体ショウノウ12は液化(融解)を経て気化した。全てのショウノウが気化するまでに要した時間は15分以下(10〜15分)であった。該気化により生じたショウノウ蒸気はキャリアガスとともに成長ゾーン3に送り込まれて熱分解された(CVD反応)。石英ボート内のショウノウが全て気化するまでCVD反応を行った後、同流量のキャリアガスをリアクター10に供給しつつ、同温度で10分間のアニーリングを行った。引き続き同流量のキャリアガスを供給しながら電気炉22,24を自然に冷却させた。その後、製造例1と同様にカーボンナノチューブを回収して該カーボンナノチューブの収量および収率を求めた。得られた結果を、製造条件の概略とともに表2に示す。
<製造例8>
キャリアガスとしてArガスに代えてAr:H2を97:3の体積比で含む混合ガス(すなわち、3%のH2ガスを含むArガス)を使用した点以外は製造例7と同様にしてカーボンナノチューブを製造した。この製造例により得られたカーボンナノチューブの収量および収率を、製造条件の概略とともに表2に示す。
<製造例9>
キャリアガスの流量を100sccmから50sccmに変更した点以外は製造例8と同様にしてカーボンナノチューブを製造した。この製造例により得られたカーボンナノチューブの収量および収率を、製造条件の概略とともに表2に示す。
<製造例10>
本製造例では、キャリアガスとして、Ar:H2を97:3の体積比で含む混合ガスに代えて、Ar:H2を90:10の体積比で含む混合ガスを使用した。その他の点については製造例9と同様にしてカーボンナノチューブを製造した。この製造例により得られたカーボンナノチューブの収量および収率を、製造条件の概略とともに表2に示す。
<製造例11>
本製造例では、触媒体としてCat(1)に代えてCat(2)を使用した。その他の点については製造例10と同様にしてカーボンナノチューブを製造した。この製造例により得られたカーボンナノチューブの収量および収率を、製造条件の概略とともに表2に示す。
Figure 0004911758
Figure 0004911758
表1および表2に示されるように、固体ショウノウを融点よりも30℃以上高い温度で気化させた製造例7〜11のカーボンナノチューブ収率はいずれも40%に満たなかった。一方、固体ショウノウを融点以下の温度(100〜150℃)で徐々に気化させて生じたショウノウ蒸気を触媒体に供給(触媒体0.1g当たりのショウノウ蒸気供給レートは0.017〜0.025g/分)した製造例1〜6では、いずれも45%を超える高いカーボンナノチューブ収率が実現された。
カーボンナノチューブ製造装置の概略構成を例示する模式図である。 カーボンナノチューブ製造装置の概略構成を例示する模式図である。
符号の説明
1,4:カーボンナノチューブ製造装置
2:気化ゾーン
3:成長ゾーン(加熱ゾーン)
5:加熱ゾーン
10:リアクター(反応容器)
12:炭素源(固体ショウノウ)
14:触媒体
20:温度調節手段
30:ガス供給手段
40:ガス排出部

Claims (6)

  1. 化学気相成長法によってカーボンナノチューブを製造する方法であって:
    触媒金属が支持体に担持された触媒体と炭素源としての固体ショウノウとを反応容器内の異なる箇所に配置すること;および、
    該反応容器内において前記固体ショウノウを室温以上融点以下の温度で徐々に気化させつつ該気化により生じたショウノウ蒸気を前記触媒体に含まれる触媒金属(金属原子換算)0.02g当たり0.005〜0.05g/分の供給レートで該触媒体に供給して熱分解させること;
    を含む、カーボンナノチューブ製造方法。
  2. 前記固体ショウノウを80〜170℃の温度で気化させる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ショウノウ蒸気の熱分解は前記反応容器の一部に設けられた加熱ゾーンを外部から加熱しつつ行われ、前記加熱ゾーンに前記触媒体を配置する一方、前記固体ショウノウは該加熱ゾーンから外れた箇所に配置される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ショウノウ蒸気の熱分解は前記反応容器にキャリアガスを流通させつつ行われ、ここで該キャリアガスとして不活性ガスと還元性ガスとを95:5〜80:20の体積比で含む混合ガスを使用する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記触媒体として、鉄およびコバルトを含む前記触媒金属が前記支持体としてのゼオライト粉末に担持された触媒体を使用する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記触媒体は、触媒金属源としての鉄化合物およびコバルト化合物を溶媒に溶解させた触媒金属源溶液と、前記ゼオライト粉末とを混合して凍結乾燥することにより用意されたものである、請求項5に記載の方法。
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