JP4910195B2 - 免疫グロブリンgに結合する核酸とその利用法 - Google Patents

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Description

本発明は、免疫グロブリンG(IgG)に対する結合活性を有する核酸に関する。この核酸によって汎用的な抗体の精製、標識、固定化、修飾等が可能になる。
IgGは血清の主要なタンパク質の一つで、免疫系において異物を認識し排除に導くという重要な役割を担っている。この特性を活かして各種疾患の治療薬や診断薬、また試薬への応用研究が広くおこなわれている。その一つが癌に対する抗体療法で、抗体依存性細胞介在性細胞障害反応(ADCC)や補体依存性細胞障害反応(CDC)を利用したものや、癌細胞に発現する受容体等を抗体によって特異的にブロックして兵糧攻めにする分子標的医薬、あるいは癌細胞特異的な抗体に抗癌剤を結合した抗体を利用するミサイル療法などの開発が進められている。その中で、抗HER2受容体ヒト化単クローン抗体が、乳癌等の悪性腫瘍治療剤として開発され上市された(商品名ハーセプチン)。またIgGは、抗原と特異的に結合する性質を利用して、免疫学的測定をはじめ、細胞やタンパク質の機能解析、遺伝子の発現スクリーニングなど各種生化学実験の必須の道具として使われている。
IgGは2本のH鎖と2本のL鎖がジスルフィド結合(S−S結合)で結合したY字形の構造をしている。IgGをタンパク質分解酵素であるパパインで分解すると、定常部位からなるFcフラグメントと抗原結合部位を含むFabフラグメントに分けることができる。また、IgGにはサブクラスが存在し、ヒトIgGの場合はIgG1、IgG2、IgG3、IgG4の4種類が存在する。
抗体は血清やハイブリドーマ細胞培養上清液から抗体精製用カラムを用いて精製される。一般に第一段階の精製にはリガンドとしてProtein Aが使用される。Protein Aとは黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が産生する分子量42kDaのタンパク質で、IgGのFc領域に強く結合する。Protein Aは高価であり、また、動物種やサブクラスによって高純度の抗体を得ることができない場合や、Protein Aを用いた精製条件では抗体が変性する場合があり、Protein Aの性能を上回る新規の分離剤が求められている。
蛍光物質または酵素により標識された抗体は、免疫組織化学実験、組織染色、ELISA、ウエスタンブロッティング、フローサイトメトリーなど各種実験に用いられている。例えば組織染色では、FITCなどの蛍光物質が結合した抗体を用いることで、目的タンパク質の組織局在を調べることができる。また、ELISAやウエスタンブロッティングなどの測定では、まず検出したい物質に対して一次抗体を反応させ、次にその一次抗体と結合する標識された二次抗体を反応させることでより高感度な測定がおこなえるようになっている。例えば、GEヘルスケアー社のECLシステムでは、二次抗体として西洋ワサビペルオキシダーゼが結合した抗体を用い、その触媒作用によってルミノールを酸化・発光させて目的物質を検出する。しかし、化学修飾によって標識物質を抗体に結合させるには手間と時間がかかり、場合によっては抗体が変性する場合があり、新規の抗体標識技術の開発が求められている。また、標識化された二次抗体についてもより安価で高感度なものが望まれている。
各種疾患に対する診断用チップとして抗体チップの開発が進められている。その一つの課題は基板への抗体の固定化方法で、抗体の抗原結合部位を表面に高活性状態で高密度に整列させる方法の開発である。非特異的吸着を利用した固定化法やアミノ基を利用した固定化法では抗体が無秩序に配列してしまい、十分な感度を得ることができていない。
抗体は癌やリウマチなどの疾患に対する分子標的治療薬として急速に開発研究が推進され、これまでに約20種類の抗体医薬が実用化され、さらに世界的に約300種類の抗体医薬候補の臨床試験が実施されている。開発当初は抗体医薬としてマウス単クローン抗体が用いられていたが、マウス抗体はヒト免疫系に異物と認識されヒト抗マウス抗体の産生が誘導されたため、十分な治療効果を上げることができなかった。そこで遺伝子組換え技術を用いて、マウス抗体の定常領域をヒト抗体の定常領域に置き換えたキメラ抗体やマウス抗体の相補性決定領域以外全てヒト抗体に置き換えたヒト化抗体が開発された。また、ヒト抗体産生マウス(KMマウス)を用いたヒト単クローン抗体の作製法も開発されている。
抗体療法に用いられる単クローン抗体医薬の一つは、癌細胞を特異的に認識する抗体に抗癌剤や毒素を結合させたもので、これを標的細胞にインターナリゼーションさせて標的細胞を死滅させる。抗癌剤または毒素はインターナリゼーションされた後に抗体から切り離されることが必要である。そのため、抗体と抗癌剤または毒素を結合するリンカーにプロテアーゼ認識部位を含めるなどして、インターナリゼーションされた後に抗体から抗癌剤または毒素が切り離されるような細工が施されている。例えば、急性骨髄性白血病の治療薬として開発されたgemtuzumab ozogamicin(Mylotarg)はヒト化抗CD33単クローン抗体にカリケアマイシン誘導体を結合させたもので、MylotargがCD33に結合し細胞内にインターナリゼーションされると、カリケアマイシン誘導体が遊離して細胞を死滅させる。このように、抗体と抗癌剤または毒素を結合するリンカーの設計は重要で、より高い薬効を引き出すために、新規のリンカーの開発が進められている。
近年、RNAアプタマーの治療薬、診断薬、試薬への応用が注目されており、いくつかのRNAアプタマーが臨床段階あるいは実用化段階に入っている。2004年12月には世界初のRNAアプタマー医薬であるMacugenが加齢黄斑変性症の治療薬として米国で承認された。RNAアプタマーとはタンパク質などの標的物質に特異的に結合するRNAのことで、SELEX法(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)を用いて作製することができる(Ellington et al.,(1990)Nature,346,818−822;Tuerk et al.,(1990)Science,249,505−510)。SELEX法とは1014程度の異なるヌクレオチド配列を持つRNAのプールから標的物質に特異的に結合するRNAを選別してくる方法である。使用されるRNAは40残基程度のランダム配列をプライマー配列で挟み込んだ構造をしている。このRNAプールを標的物質と会合させて、フィルターなどを用いて標的物質に結合したRNAのみ回収する。回収したRNAはRT−PCRで増幅し、これを次のラウンドの鋳型として用いる。この作業を10回程度繰り返すことにより、標的物質と特異的に結合するRNAアプタマーを取得することができる。得られたRNAアプタマーが標的物質の機能を促進したり阻害したりする場合、このRNAアプタマーを医薬品などに応用することができる。実際には、ヒト翻訳開始因子であるeIF4A(特開2002−300885号公報、Oguro et al.,(2003)RNA 9,394−407)やeIF4E(特開2004−344008号公報、Mochizuki et al.,(2005)RNA 11,77−89)、骨代謝に関係する受容体RANK(Receptor Activator of NF−κB、Mori et al.,(2004)Nucleic Acids Res.32,6120−6128)などに特異的に結合するRNAアプタマーがSELEX法を用いて作製されている。抗DNA自己抗体の抗原認識部位を介して結合するRNAアプタマーもまた報告されている(Kim et al.,(2003)Biochemical and Biophysical Research Communication 300,516−523)。
本発明は、IgGに対するアプタマー及びその利用方法などを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、IgGに対して高度に設計された良質なアプタマーを作製することに成功し、もって本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の発明などを提供するものである。
[1]IgGのFc部分に対して結合するアプタマー。
[2]IgGのFc部分として、ヒトIgGのFc部分に対して特異的に結合する、上記[1]のアプタマー。
[3]アプタマーを構成する総ヌクレオチド数が40個以下である、上記[1]又は[2]のアプタマー。
[4]アプタマーに含まれる少なくとも1種のヌクレオチドが、リボースの2’位において、水素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基及び−O−Me基からなる群より選ばれる少なくとも2種の基を含むヌクレオチドである、上記[1]〜[3]のいずれかのアプタマー。
[5]GGUG(C/A)(U/T)で表されるヌクレオチド配列を含む、上記[3]のアプタマー。
[6]GGUG(C/A)(U/T)における3番目のUが、リボースの2’位において、ヒドロキシル基がフッ素原子で置換されているヌクレオチドである、上記[5]のアプタマー。
[7]GGUG(C/A)(U/T)における各ヌクレオチド(但し、3番目のUを除く)がそれぞれ、同一又は異なって、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドであるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、水素原子、フッ素原子又は−O−Me基で置換されているヌクレオチドである、上記[6]のアプタマー。
[8]GGUG(C/A)(U/T)がGGUGCU又はGGUGAUである、上記[5]のアプタマー。
[9]ANC(Nは、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドである)で表されるヌクレオチド配列をさらに含む、上記[5]のアプタマー。
[10]ANCにおける各ヌクレオチドがそれぞれ、同一又は異なって、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドであるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、水素原子、フッ素原子又は−O−Me基で置換されているヌクレオチドである、上記[9]のアプタマー。
[11]以下(i)〜(iii)のいずれかである、上記[9]のアプタマー:
(i)GGUG(C/A)(U/T)の5’側にGGAを含み、かつANCの3’側にUCCを含む;
(ii)GGUG(C/A)(U/T)の5’側にGGNX1Aを含み、かつANCの3’側にUNX2CCを含む(NX1、NX2はそれぞれ、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドである);あるいは
(iii)GGUG(C/A)(U/T)の5’側にGGNX3X4Aを含み、かつANCの3’側にUNX5X6CCを含む(NX3、NX4、NX5、NX6はそれぞれ、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドである)。
[12]GGA、GGNX1A又はGGNX3X4Aに含まれるGG、及びUCC、UNX2CC又はUNX5X6CCに含まれるCCがそれぞれ、リボースの2’位においてヒドロキシル基が水素原子で置換されているヌクレオチドである、上記[11]のアプタマー。
[13]以下(I)〜(III):
〔式中、N、N、N、N、Nはそれぞれ、同一又は異なって、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドであり、
及びNは互いに相補的なヌクレオチドであり、
及びNは互いに相補的なヌクレオチドであり、
(i)GGUG(C/A)(U/T)における各ヌクレオチド(但し、3番目のUを除く)、(ii)ANCにおける各ヌクレオチド、(iii)N〜Nの各ヌクレオチドがそれぞれ、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドであるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、水素原子、フッ素原子又は−O−Me基で置換されているヌクレオチドである〕で表される潜在的二次構造を有する、上記[6]のアプタマー。
[14]ループ構造における全てのヌクレオチドが、リボースの2’位において、ヒドロキシル基が水素原子で置換されている、上記[11]のアプタマー。
[15](I)〜(III)のいずれかで表される潜在的二次構造を有するアプタマーが、以下(I’)〜(III’):
〔式中、N、N、N、N、Nはそれぞれ、上記[13]と同義である〕のいずれかで表される潜在的二次構造を有する、上記[13]のアプタマー。
[16]AGGUG(C/A)(U/T)Cで表されるヌクレオチド配列を含み、AGGUG(C/A)(U/T)Cにおける4番目のUが、リボースの2’位において、ヒドロキシル基がフッ素原子で置換されているヌクレオチドであり、AGGUG(C/A)(U/T)Cにおける各ヌクレオチド(但し、4番目のUを除く)がそれぞれ、同一又は異なって、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドであるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、水素原子、フッ素原子又は−O−Meで置換されているヌクレオチドである、上記[3]のアプタマー。
[17]GANCU(Nは、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドである)で表されるヌクレオチド配列をさらに含み、GANCUにおける各ヌクレオチドがそれぞれ、同一又は異なって、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドであるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、水素原子、フッ素原子又は−O−Me基で置換されているヌクレオチドである、上記[16]のアプタマー。
[18]以下(Ia)〜(IIIa):
〔式中、N、N、N、N、N、N、Nはそれぞれ、同一又は異なって、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドであり、
及びNは互いに相補的なヌクレオチドであり、
及びNは互いに相補的なヌクレオチドであり、
及びNは互いに相補的なヌクレオチドであり、
(i)GGUG(C/A)(U/T)における各ヌクレオチド(但し、3番目のUを除く)、(ii)ANCにおける各ヌクレオチド、(iii)N〜Nの各ヌクレオチドがそれぞれ、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドであるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、水素原子、フッ素原子又は−O−Me基で置換されているヌクレオチドである〕で表される潜在的二次構造を有する、上記[6]のアプタマー。
[19](Ia)〜(IIIa)のいずれかで表される潜在的二次構造を有するアプタマーが、以下(Ia’)〜(IIIa’):
〔式中、N、N、N、N、Nはそれぞれ、上記[18]と同義である〕のいずれかで表される潜在的二次構造を有する、上記[18]のアプタマー。
[20]N、Nはそれぞれ、2’位においてヒドロキシル基が水素原子で置換されているヌクレオチドであり、N、Nはそれぞれ、2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドである、上記[19]のアプタマー。
[21](Ia’)〜(IIIa’)のいずれかで表される潜在的二次構造を有するアプタマーが、以下(Ia’’’)〜(IIIa’’’):
のいずれかで表される潜在的二次構造を有する、上記[19]のアプタマー。
[22]以下(a)〜(c)のいずれかである、上記[3]のアプタマー:
(a)配列番号1〜23のいずれかで表されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)からなるアプタマー;
(b)配列番号1〜23のいずれかで表されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)で表されるヌクレオチド配列において1又は数個のヌクレオチドが置換、欠失、挿入又は付加されたヌクレオチド配列からなるアプタマー;
(c)該(a)の連結物、該(b)の連結物、及び該(a)及び(b)の連結物からなる群より選ばれる連結物。
[23]上記[1]〜[22]のいずれか記載のアプタマー及びそれに結合した機能性物質を含む複合体。
[24]機能性物質が、親和性物質、標識用物質、酵素、薬物、毒素又は薬物送達媒体である、上記[23]の複合体。
[25]上記[1]〜[22]のいずれか記載のアプタマーあるいは上記[23]又は[24]の複合体が固定化された固相担体。
[26]固相担体が、基板、樹脂、プレート、フィルター、カートリッジ、カラム又は多孔質材である、上記[25]の固相担体。
[27]上記[25]又は[26]の固相担体を含む医療用機器。
[28]医療用機器が血液浄化用機器である、上記[27]の機器。
[29]上記[1]〜[22]のいずれか記載のアプタマー、上記[23]又は[24]の複合体あるいは上記[25]又は[26]の固相担体を含む、診断用又は検査用試薬。
[30]上記[1]〜[22]のいずれかのアプタマーあるいは上記[23]又は[24]の複合体を含む、医薬。
[31]上記[25]又は[26]の固相担体にIgG抗体を吸着させ、吸着したIgG抗体を溶出液により溶出させることを含む、抗体精製又は濃縮方法。
[32]溶出液が中性溶液である、上記[31]の方法。
[33]IgG抗体を作製し、作製されたIgG抗体を上記[25]又は[26]の固相担体により精製することを含む、精製抗体の製造方法。
[34]上記[1]〜[22]のいずれか記載のアプタマー、上記[23]又は[24]の複合体あるいは上記[25]又は[26]の固相担体を用いて、試料中のIgGの有無及び/又は量を測定することを含む、IgGの検出及び/又は定量方法。
図1は、配列番号1で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図2は、配列番号2で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図3は、配列番号3で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図4は、配列番号4で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図5は、配列番号5で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図6は、配列番号6で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図7は、配列番号7で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図8は、配列番号8で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図9は、配列番号9で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図10は、配列番号10で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図11は、配列番号11で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図12は、配列番号12で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図13は、配列番号13で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図14は、配列番号14で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図15は、配列番号15で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図16は、配列番号16で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図17は、配列番号17で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図18は、配列番号18で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図19は、配列番号19で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図20は、配列番号20で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図21は、配列番号21で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図22は、配列番号22で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図23は、配列番号23で表されるRNAの予測された二次構造を示す。
図24は、配列番号1で表されるRNAとヒトIgG−Fcの結合の様子を示す表面プラズモン共鳴解析で得られたセンサーグラムを示す。3’末端に16残基のPoly Aを付加したRNAをA−dT結合でセンサーチップに固定化し、IgG−FcをインジェクションしてRNAとの相互作用を観察した。縦軸のRUは、Relative Unitを示し、Resp.Diff.はResponse Differencesを示す。横軸は、時間(秒)を示す。縦軸、横軸におけるこれらの表記は、以下の図25〜31、42でも同様である。
図25は、配列番号3で表されるRNAとヒトIgG−Fcの結合の様子を示す表面プラズモン共鳴解析で得られたセンサーグラムを示す。3’末端に16残基のPoly Aを付加したRNAをA−dT結合でセンサーチップに固定化し、IgG−FcをインジェクションしてRNAとの相互作用を観察した。
図26は、ランダム配列のRNAプールとヒトIgG−Fcの結合の様子を示す表面プラズモン共鳴解析で得られたセンサーグラムを示す。3’末端に16残基のPoly Aを付加したRNAをA−dT結合でセンサーチップに固定化し、IgG−FcをインジェクションしてRNAとの相互作用を観察した。
図27は、配列番号1で表されるRNAとヒトIgG1とヒトFcγRIの複合体形成の様子を示す表面プラズモン共鳴解析で得られたセンサーグラムを示す。3’末端に16残基のPoly Aを付加したRNAをA−dT結合でセンサーチップに固定化し、IgG1をインジェクションしてRNAに結合し、次いでFcγRIをインジェクションしてIgG1との相互作用を観察した。
図28は、ランダム配列を含むRNAプールとヒトIgG1とヒトFcγRの結合の様子を示す表面プラズモン共鳴解析で得られたセンサーグラムを示す。3’末端に16残基のPoly Aを付加したRNAをA−dT結合でセンサーチップに固定化し、IgG1をインジェクションし、次いでFcγRIをインジェクションした。
図29は、配列番号1で表されるRNAとヒトIgG1とProtein Aの複合体形成の様子を示す表面プラズモン共鳴解析で得られたセンサーグラムを示す。3’末端に16残基のPoly Aを付加したRNAをA−dT結合でセンサーチップに固定化し、IgG1をインジェクションしてRNAに結合し、次いでProtein AをインジェクションしてIgG1との相互作用を観察した。
図30は、配列番号1で表されるRNAアプタマーとProtein Aの結合の様子を示す表面プラズモン共鳴解析で得られたセンサーグラムを示す。3’末端に16残基のPoly Aを付加したRNAをA−dT結合でセンサーチップに固定化し、Protein AをインジェクションしてRNAとの相互作用を観察した。
図31は、配列番号17−2で表されるRNAアプタマーとヒトIgG1の結合の様子を示す表面プラズモン共鳴解析で得られたセンサーグラムを示す。3’末端に16残基のPoly dAを付加したRNAをdA−dT結合でセンサーチップに固定化し、IgG1をインジェクションしてRNAとの相互作用を観察した。
図32は、配列番号15と17で表されるRNAを抗体精製用分離剤のリガンドとして用いてヒトIgG1をプルダウンしたときのSDS−PAGEの結果を示す。Poly(A)が結合したRNAをPoly(dT)が結合したビーズに固定化してヒトIgG1のプルダウンをおこなった。レーン1:配列番号15で表されるRNAをリガンドとして用いた場合。レーン2:配列番号17で表されるRNAをリガンドとして用いた場合。レーン3:Protein Aをリガンドとして用いた場合。レーン4:rProtein Aをリガンドとして用いた場合。
図33は、配列番号15で表されるRNAを抗体精製用分離剤のリガンドとして用いてヒト血清からヒトIgGを精製したときのSDS−PAGEの結果を示す。ビオチンが結合したRNAをストレプトアビジンのビーズに固定化して、ヒト血清からIgGをプルダウンした。RNAに結合したIgGは3種類の中性の溶出液を用いて溶出した。中性の溶出液でIgGが効率よく溶出されるかどうか確認するために、溶出し終わったビーズにサンプルバッファーを加えて加熱しSDS−PAGEで分析した。レーン1:分子量マーカータンパク質。レーン2:RNAをリガンドとして用いたビーズから200mM KClと10mM EDTAからなる溶出液で溶出されるIgG。レーン3:RNAをリガンドとして用いたビーズから200mM KClと10mM EDTAと10%グリセロールからなる溶出液で溶出されるIgG。レーン4:RNAをリガンドとして用いたビーズから600mM KClと10mM EDTAと10%グリセロールからなる溶出液で溶出されるIgG。レーン5:rProtein Aセファロースビーズを用いてIgGをプルダウンした場合で、pH3グリシンバッファーで溶出されるIgG。レーン6:レーン2の溶出液で処理した後のビーズに結合しているIgG。レーン7:レーン3の溶出液で処理した後のビーズに結合しているIgG。レーン8:レーン4の溶出液で処理した後のビーズに結合しているIgG。レーン9:RNAをリガンドとして用いたビーズに対して溶出処理をしないで直接ビーズにサンプルバッファーを加えて回収したIgG。レーン10:レーン5の溶出液で処理した後のビーズに結合しているIgG。
図34は、配列番号15で表されるRNAを繰り返し抗体精製用分離剤のリガンドとして使用できるかどうか試験したときのSDS−PAGEの結果を示す。一度抗体精製に使ったRNAが結合した分離剤を尿素で洗浄し、再度抗体精製をおこなった。これを2度繰り返した。レーン1:分子量マーカータンパク質。レーン2:一回目の精製で得られるIgG。レーン3:二回目の精製で得られるIgG。レーン4:三回目の精製で得られるIgG。
図35は、配列番号16および配列番号17−2で表されるRNAを抗体精製用分離剤のリガンドとして用いてヒト血清からヒトIgGを精製したときのSDS−PAGEの結果を示す。レーン1:分子量マーカータンパク質。レーン2:リガンドとして配列番号15で表されるRNAを用いた場合にプルダウンされるIgG。レーン3:リガンドとして配列番号16で表されるRNAを用いた場合にプルダウンされるIgG。レーン4:リガンドとして配列番号17−2で表されるRNAを用いた場合にプルダウンされるIgG。レーン5:rProtein Aをリガンドとして用いた場合にプルダウンされるIgG。レーン6:ヒト血清。
図36は、チオールカップリングにより固定化されたRNAアプタマーを用いて抗体精製をおこなった場合のSDS−PAGEの結果を示す。レーン1:分子量マーカータンパク質。レーン2:リガンドに配列番号15で表されるRNAを用い、5μLのヒト血清を加えた場合にプルダウンされるIgG。レーン3:リガンドに配列番号15で表されるRNAを用い、10μLのヒト血清を加えた場合にプルダウンされるIgG。レーン4:ブランク(リガンドが結合していないビーズに5μLのヒト血清を加えた場合にプルダウンされる血清タンパク質)。レーン5:rProtein Aビーズを用い、5μLのヒト血清を加えた場合にプルダウンされるIgG。レーン6:スタンダードヒトIgG1。レーン7:ヒト血清。
図37は、アミノカップリングによりにより固定化されたRNAアプタマーを用いて抗体精製をおこなった場合のSDS−PAGEの結果を示す。回収されたサンプルの半量をアプライした。レーン1:分子量マーカータンパク質。レーン2:リガンドとして配列番号15で表されるRNA(固定化量25μg)を用いて、10μlのヒト血清から回収したIgG。レーン3:リガンドとして配列番号15で表されるRNA(固定化量75μg)を用いて、10μlのヒト血清から回収したIgG。
図38は、アミノカップリングにより固定化されたRNAアプタマーを用いて抗体精製をおこなった場合のSDS−PAGEの結果を示す。プルダウンには10μLのヒト血清を用いた。レーン1:分子量マーカータンパク質。レーン2:リガンドに配列番号17−7で表されるRNAを用いた場合。レーン3:リガンドに配列番号17−8で表されるRNAを用いた場合。レーン4:リガンドに配列番号17−7−107で表されるRNAを用いた場合。レーン5:リガンドに配列番号15で表されるRNAを用いた場合。レーン6:rProtein A樹脂を用いた場合。レーン7:スタンダードヒトIgG1(6μg)。レーン8:ヒト血清(0.2μL)。
図39は、各種溶出液を用いて溶出した場合のSDS−PAGEの結果を示す。レーン1:分子量マーカータンパク質。レーン2:200mM KCl+10mM EDTA+pH7.6 10mM Tris。レーン3:200mM KCl+pH7.6 10mM Tris。レーン4:300mM NaCl+10mM EDTA+pH7.6 10mM Tris。 レーン5:10mM EDTA+pH7.6 10mM Tris。
図40は、加熱再生されたアプタマー樹脂の特性評価のために行ったSDS−PAGEの結果を示す。既に3回使用したアプタマー樹脂10μLを2つの方法で加熱処理し、再度10μLのヒト血清を用いてプルダウン実験をおこなった。中性溶出画分をSDS−PAGEにより分析。レーン1:配列番号17−18で表されるアプタマー樹脂、超純水中で85℃5分加熱。レーン2:配列番号17−17で表されるアプタマー樹脂、6M尿素中で65℃15分加熱。
図41は、樹脂結合型オリゴにより精製されたIgGについてのSDS−PAGEの結果を示す。配列番号15で表されるRNAが共有結合した樹脂結合型オリゴ10μLに10μLのヒト血清を加え、中性溶出液で溶出した画分をSDS−PAGEで分析した。
図42は、配列番号17−7で表されるRNAと抗体医薬品であるリツキサンの結合の様子を示す、表面プラズモン共鳴解析で得られたセンサーグラムを示す。3’末端に16残基のPoly Aを付加したRNAをA−dT結合でセンサーチップに固定化し、リツキサンをインジェクションしてRNAとの相互作用を観察した。
本発明は、免疫グロブリンG(IgG)に対するアプタマーを提供する。
アプタマーとは、所定の標的分子に対する結合活性を有する核酸分子をいう。アプタマーは、所定の標的分子に対して結合することにより、所定の標的分子の活性を阻害する作用もまた有し得る。本発明のアプタマーは、RNA、DNA、修飾核酸又はそれらの混合物であり得る。本発明のアプタマーはまた、直鎖状又は環状の形態であり得る。本発明のアプタマーは、IgGのFc部分に特異的に結合し得る。
本発明のアプタマーが結合し得るIgGとしては、例えば、ヒトIgG(例、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、ハムスターIgG、ブタIgGが挙げられる。
本発明のアプタマーは、IgGのFc部分の任意の部分に結合し得るものであり得る。IgGのFc部分は、マクロファージや好中球等の免疫担当細胞に発現している受容体タンパク質(FcγR)に対して結合することが知られているが、本発明のアプタマーは、FcγRに対する結合を担うFc部分とは異なるFc部分に結合するものであってもよい。また、Protein AがIgGのFc部分に結合することが知られているが、本発明のアプタマーは、ProteinAに対する結合を担うFc部分とは異なるFc部分に結合するものであってもよい。
本発明のアプタマーは、IgGに対して結合し得るものである限り特に限定されないが、例えば、解離定数(Kd値)に基づき評価する場合、約1×10−6M以下、好ましくは約1×10−7M以下、より好ましくは約1×10−8M以下のKd値を有するものであり得る。Kd値は、例えば、表面プラズモン共鳴を利用した方法により算出することができる。
本発明のアプタマーの長さは特に限定されず、通常、約16〜約200ヌクレオチドであり得るが、例えば約100ヌクレオチド以下であり、好ましくは約50ヌクレオチド以下であり、より好ましくは約40ヌクレオチド以下であり、さらにより好ましくは約30ヌクレオチド以下であり、最も好ましくは約25ヌクレオチド以下であり得る。また、本発明のアプタマーの長さは、例えば約18ヌクレオチド以上、好ましくは約20ヌクレオチド以上であってもよい。総ヌクレオチド数が少なければ、化学合成及び大量生産がより容易であり、かつコスト面でのメリットも大きい。また、化学修飾も容易であり、生体内安定性も高く、毒性も低いと考えられる。
本発明のアプタマーに含まれる各ヌクレオチドはそれぞれ、同一又は異なって、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチド(即ち、未置換であるヌクレオチド)であるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、任意の原子又は基で置換されているヌクレオチドであり得る。このような任意の原子又は基としては、例えば、水素原子、フッ素原子又は−O−アルキル基(例、−O−Me基)、−O−アシル基(例、−O−CHO基)、アミノ基(例、−NH基)で置換されているヌクレオチドが挙げられる。
本発明のアプタマーは、GGUG(C/A)(U/T)で表されるヌクレオチド配列を含むものであり得る。GGUG(C/A)(U/T)としては、例えば、GGUGCU、GGUGAU、GGUGCT、GGUGATが挙げられるが、RNA分子であるという観点からは、GGUGCU、GGUGAUが好ましい。本発明のアプタマーがGGUG(C/A)(U/T)を含む場合、核酸に含まれるGGUG(C/A)(U/T)の数は、1又は複数(例、2又は3個)であり得る。本発明のアプタマーは、1つのIgGに対して2個結合し得る。
本発明のアプタマーは、GGUG(C/A)(U/T)における3番目のUのリボースの2位がフルオロ化されたもの(即ち2’−F修飾)、又はIgGに対する本発明のアプタマーの結合活性を保持し得るように3番目のUのリボースの2位がフルオロ化以外の修飾を施されたものであり得る。このような修飾としては、例えば、−O−Me化、アミノ化(NH)が挙げられる。
本発明のアプタマーはまた、化学合成したものであり得、5’末端にモノホスフェート基を有し得る点で、転写(例、SELEX法)により合成された、5’末端にトリホスフェート基を有するアプタマーと異なり得る。本発明のアプタマーはまた、少なくとも1種(例、1、2、3又は4種)のヌクレオチドが、リボースの2’位において、ヒドロキシル基、又は上述した任意の原子又は基、例えば、水素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基及び−O−Me基からなる群より選ばれる少なくとも2種(例、2、3又は4種)の基を含むヌクレオチドであり得る。
本発明のアプタマーがGGUG(C/A)(U/T)で表されるヌクレオチド配列を含む場合、その両端において、ステム構造を有し得る。ステム構造は、バルジ構造の十分な安定化をもたらすものであり得る。例えば、ステム構造として、GGUG(C/A)(U/T)の5’末端のG(1番目のヌクレオチド)及び5’側でそれに隣接する1以上のヌクレオチド、3’末端のU/T(6番目のヌクレオチド)及び3’側でそれに隣接する1以上のヌクレオチドがそれぞれ、分子内塩基対合を形成し得る。5’側又は3’側で隣接する1以上のヌクレオチドは、1以上である限り特に限定されるものではないが、例えば2以上、好ましくは3以上であり得る。
本発明のアプタマーはまた、上述したGGUG(C/A)(U/T)で表されるヌクレオチド配列に加え、ANCで表されるヌクレオチド配列を含み得る。ANCにおけるNは、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれる任意のヌクレオチドであり得るが、A、G、C及びUが好ましく、A及びGがより好ましく、Aが最も好ましい。本発明のアプタマーがGGUG(C/A)(U/T)及びANCで表されるヌクレオチド配列を含む場合、GGUG(C/A)(U/T)が5’側、ANCが3’側に存在していてもよく、また、ANCが5’側、GGUG(C/A)(U/T)が3’側に存在していてもよい。本発明のアプタマーは、GGUG(C/A)(U/T)における5’末端のGがANCにおけるCと分子内塩基対合を形成し得る構造、及び/又はGGUG(C/A)(U/T)における3’末端のU/TがANCにおけるAと分子内塩基対合を形成し得る構造を有する。本発明のアプタマーがGGUG(C/A)(U/T)及びANCの双方を含み得る場合、アプタマーに含まれるGGUG(C/A)(U/T)及びANCの数はそれぞれ、1又は複数(例、2又は3個)であり得る。
本発明のアプタマーはまた、以下(i)〜(iii)のいずれかであり得る:
(i)GGUG(C/A)(U/T)の5’側にGGAを含み、かつANCの3’側にUCCを含む;
(ii)GGUG(C/A)(U/T)の5’側にGGNX1Aを含み、かつANCの3’側にUNX2CCを含む(NX1、NX2はそれぞれ、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドである);あるいは
(iii)GGUG(C/A)(U/T)の5’側にGGNX3X4A(例、GGACAG)を含み、かつANCの3’側にUNX5X6CCを含む(NX3、NX4、NX5、NX6はそれぞれ、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドである)。GGA、GGNX1A又はGGNX3X4A、及びUCC、UNX2CC又はUNX5X6CCにおける全てのヌクレオチドは、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチド(即ち、未置換であるヌクレオチド)であるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、水素原子、フッ素原子又は−O−Me基で置換されているヌクレオチドであり得るが、結合活性の観点より、2’位において、ヒドロキシル基が水素原子で置換されているヌクレオチドであることもまた、好ましい。
本発明のアプタマーはまた、AGGUG(C/A)(U/T)Cで表されるヌクレオチド配列、及び/又はGANCU(Nは、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドである)で表されるヌクレオチド配列を含み得る。AGGUG(C/A)(U/T)Cにおける4番目のUは、2’位において、ヒドロキシル基がフッ素原子で置換されているヌクレオチドであるか、又はIgGに対する本発明のアプタマーの結合活性を保持し得るように4番目のUのリボースの2’位がフルオロ化以外の修飾を施されたヌクレオチドであり得る。上記U以外のヌクレオチドはそれぞれ、同一又は異なって、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドであるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、水素原子、フッ素原子又は−O−Me基で置換されているヌクレオチドであり得る。
詳細には、本発明のアプタマーは、バルジ構造、及び当該バルジ構造の両端に存在する2つのステム構造(S1、S2)及びループ構造を含む、潜在的二次構造を有する。本明細書中で用いられる場合、「潜在的二次構造」とは、生理条件下で安定に存在し得る二次構造をいい、例えば、潜在的二次構造を有するか否かは、実施例記載の構造予測プログラムによって決定できる。ループ構造における全てのヌクレオチドは、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチド(即ち、未置換であるヌクレオチド)であるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、任意の原子又は基(例、水素原子、フッ素原子又は−O−Me基)で置換されているヌクレオチドであり得るが、結合活性の観点より、リボースの2’位において、ヒドロキシル基が水素原子で置換されているヌクレオチドであることもまた、好ましい。
より詳細には、本発明のアプタマーは、以下の(I)〜(III):
〔式中、N、N、N、N、Nはそれぞれ、同一又は異なって、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドであり、かつN及びNは互いに相補的なヌクレオチドであり、N及びNは互いに相補的なヌクレオチドである〕のいずれかで表される潜在的二次構造を有し得る。上記(I)〜(III)中、実線(太線)は、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドが任意の長さで連結していることを示し、実線(細線)は、相補的な結合(塩基対合)能を潜在的に有することを示す。S1、S2はそれぞれ、ステム構造を示す。S1、S2におけるステム構造において塩基対合し得るヌクレオチド数はそれぞれ1以上であり得るが、2以上、3以上又は4以上であってもよい。曲線部は、ループ構造を示す。ループ構造は、好ましくは3以上のヌクレオチドから構成され得るが4個のヌクレオチドから構成されるものが好ましい。好ましくは、上記(I)〜(III)で表される構造は、上記(I’)〜(III’)、下記(I’’)〜(III’’)又は(I’’’)〜(III’’’)で表される構造であり得る。
また、GGUG(C/A)(U/T)における3番目のUが、リボースの2’位において、フッ素原子で置換されているヌクレオチドであり得、本発明のアプタマーに含まれる他のヌクレオチド(上記Uを除く)がそれぞれ、同一又は異なって、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドであるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、任意の原子又は基(例、水素原子、フッ素原子、又は−O−Me基)で置換されているヌクレオチドであり得る。
本発明のアプタマーはまた、以下の(Ia)〜(IIIa):
〔式中、N、N、N、N、N、N、Nはそれぞれ、同一又は異なって、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドであり、かつN及びNは互いに相補的なヌクレオチドであり、N及びNは互いに相補的なヌクレオチドであり、N及びNは互いに相補的なヌクレオチドである〕のいずれかで表される潜在的二次構造を有し得る。上記(Ia)〜(IIIa)中、実線(太線)は、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドが任意の長さで連結していることを示し、実線(細線)は、相補的な結合(塩基対合)能を潜在的に有することを示す。S1、S2はそれぞれ、ステム構造を示す。S1、S2におけるステム構造において塩基対合し得るヌクレオチド数はそれぞれ1以上であり得るが、2以上、3以上又は4以上であってもよい。曲線部は、ループ構造を示す。ループ構造は、好ましくは3以上のヌクレオチドから構成され得るが、4個のヌクレオチドから構成されるものが好ましい。好ましくは、上記(Ia)〜(IIIa)で表される構造は、上記(Ia’)〜(IIIa’)、下記(Ia’’)〜(IIIa’’)又は上記(Ia’’’)〜(IIIa’’’)で表される構造であり得る。
また、GGUG(C/A)(U/T)における3番目のUが、リボースの2’位において、フッ素原子で置換されているヌクレオチドであり得、本発明のアプタマーに含まれる他のヌクレオチド(上記Uを除く)がそれぞれ、同一又は異なって、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドであるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、任意の原子又は基(例、水素原子、フッ素原子、又は−O−Me基)で置換されているヌクレオチドであり得る。結合活性の観点からは、N、Nが、それぞれ、リボースの2’位においてヒドロキシル基が水素原子に置換されているヌクレオチドであり、N、Nが、それぞれ、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドであることもまた、好ましい。
本発明のアプタマーはまた、(a)配列番号1〜23のいずれかで表されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)からなるアプタマー、(b)配列番号1〜23のいずれかで表されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)で表されるヌクレオチド配列において1又は数個のヌクレオチドが置換、欠失、挿入又は付加されたヌクレオチド配列からなるアプタマー、(c)上記(a)の複数の連結物、上記(b)の複数の連結物、上記(a)及び(b)の複数の連結物からなる群より選ばれる連結物であり得る。上記(b)において、置換、欠失、挿入又は付加されるヌクレオチド数は、数個である限り特に限定されないが、例えば約10個以下、好ましくは約8個以下、より好ましくは約6個以下、さらにより好ましくは5個以下、最も好ましくは4個、3個、2個又は1個であり得る。上記(c)において連結はタンデム結合にて行われ得る。また、連結に際し、リンカーを利用してもよい。リンカーとしては、ヌクレオチド鎖(例、1〜約20ヌクレオチド)、非ヌクレオチド鎖(例、−(CH)n−リンカー、−(CHCHO)n−リンカー、ヘキサエチレングリコールリンカー、TEGリンカー、ペプチドを含むリンカー、−S−S−結合を含むリンカー、−CONH−結合を含むリンカー、−OPO−結合を含むリンカー)が挙げられる。上記複数の連結物における複数とは、2以上であれば特に限定されないが、例えば2〜4個であり得る。上記(a)〜(c)における各ヌクレオチドはそれぞれ、同一又は異なって、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドであるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、任意の基(例、水素原子、フッ素原子又は−O−Me基)で置換されているヌクレオチドであり得る。
本発明のアプタマーはまた、加熱処理による再生、滅菌が可能であり得る。このような加熱処理としては、例えば、65〜85℃での数分間(例、5〜15分間)の処理が挙げられる。
本発明のアプタマーは、IgGに対する結合性、安定性、薬物送達性等を高めるため、各ヌクレオチドの糖残基(例、リボース)が修飾されたものであってもよい。糖残基において修飾される部位としては、例えば、糖残基の2’位、3’位及び/又は4’位の酸素原子を他の原子に置き換えたものなどが挙げられる。修飾の種類としては、例えば、フルオロ化、O−アルキル化(例、O−メチル化、O−エチル化)、O−アリル化、S−アルキル化(例、S−メチル化、S−エチル化)、S−アリル化、アミノ化(例、−NH)が挙げられる。このような糖残基の改変は、自体公知の方法により行うことができる(例えば、Sproat et al.,(1991)Nucle.Acid.Res.19,733−738;Cotton et al.,(1991)Nucl.Acid.Res.19,2629−2635;Hobbs et al.,(1973)Biochemistry 12,5138−5145参照)。
本発明のアプタマーはまた、IgGに対する結合性等を高めるため、プリン、ピリミジンが改変(例、化学的置換)されたものであってもよい。このような改変としては、例えば、5位ピリミジン改変、8位プリン改変、環外アミンでの改変、4−チオウリジンでの置換、5−ブロモまたは5−ヨード−ウラシルでの置換が挙げられる。また、ヌクレアーゼ及び加水分解に対して耐性であるように、本発明のアプタマーに含まれるリン酸基が改変されていてもよい。例えば、P(O)O基が、P(O)S(チオエート)、P(S)S(ジチオエート)、P(O)NR(アミデート)、P(O)R、R(O)OR’、COまたはCH(ホルムアセタール)または3’−アミン(−NH−CH−CH−)で置換されていてもよい〔ここで各々のRまたはR’は独立して、Hであるか、または置換されているか、または置換されていないアルキル(例、メチル、エチル)である〕。連結基は、−O−、−N−または−S−連結を通じて隣接するヌクレオチドに結合し得る。改変はまたキャッピングのような3’および5’の改変を含んでもよい。改変はさらに、ポリエチレングリコールやその他の脂質を末端に付加することにより行われ得る。このような改変については、例えば、米国特許第5,660,985号、同第5,756,703号を参照のこと。
本発明のアプタマーは、本明細書中の開示及び当該技術分野における技術常識により化学合成することができる。本発明のアプタマーとしてはまた、例えば、GGUG(C/A)(U/T)で表されるヌクレオチド配列(及び必要に応じてANCで表されるヌクレオチド配列)を含むアプタマーが挙げられるが、このようなアプタマーは、SELEX法及びその改良法(例えば、Ellington et al.,(1990)Nature,346,818−822;Tuerk et al.,(1990)Science,249,505−510)を利用することで高度に設計可能である。例えば、下記:
〔上記において、(N)aはa個のNからなるヌクレオチド鎖を示し、(N)bは、b個のNからなるヌクレオチド鎖を示し、Nはそれぞれ、同一又は異なって、A、G、C、U及びT(好ましくは、A、G、C及びU)からなる群より選ばれるヌクレオチドである。a、bはそれぞれ、同一又は異なって、任意の数であり得るが、例えば1〜約100個、好ましくは1〜約50個、より好ましくは1〜約30個、さらにより好ましくは1〜約20個又は1〜約10個であり得る。〕で表されるヌクレオチド配列からなる単一種の核酸分子又は複数種の核酸分子(例、a、bの数等が異なる核酸分子のライブラリ)、及びプライマー用配列(i)、(ii)にそれぞれ対応するプライマー対を用いることにより、GGUG(C/A)(U/T)で表されるヌクレオチド配列を含む本発明のアプタマーが高度に設計可能である。本発明はまた、このような高度な設計を可能とするアプタマー製造方法を提供する。
本発明のアプタマーは、例えば、抗体精製用分離剤としてのリガンド、抗体と標識物質を結合するリンカー、抗体の固定化剤、抗体と修飾物質を結合するリンカーとして有用であり得る。抗体精製用分離剤のリガンドとしての具体的な利用法は、Protein Aを用いた抗体精製方法とほぼ同様であるが、抗体を中性溶液で溶出できることから、抗体を酸性溶液で溶出することを要するProtein Aを用いた方法よりも、抗体の変性を防止することができるという利点を有する。本発明のアプタマーを抗体と標識物質を結合するリンカーとして用いる場合は、本発明のアプタマーが抗体から解離しない程度に高い結合活性が必要である。一方、抗体精製用分離剤として用いる場合は、一度吸着した抗体を溶出しなければならないので、必ずしも結合活性が高ければよいというわけではない。本発明では異なる配列および異なる長さ及び異なる修飾方法を用いることでIgGに対して異なる結合力や安定性を有し、安価である等の利点を有するアプタマーを提供する。本発明のアプタマーはまた、後述する種々の有用性を有する。
本発明はまた、本発明のアプタマー及びそれに結合した機能性物質を含む複合体を提供する。本発明の複合体におけるアプタマーと機能性物質との間の結合は共有結合、又は非共有結合であり得る。本発明の複合体は、本発明のアプタマーと1以上(例、2又は3個)の同種又は異種の機能性物質とが結合したものであり得る。機能性物質としては、例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、糖質、単糖、ポリヌクレオチド、ヌクレオチドが挙げられる。機能性物質としてはまた、例えば、親和性物質、標識用物質、酵素、薬物、毒素、薬物送達媒体が挙げられる。
親和性物質としては、例えば、ビオチン、ストレプトアビジン、標的相補配列に対して親和性を有するポリヌクレオチド、抗体、グルタチオンセファロース、ヒスチジンが挙げられる。
標識用物質としては、例えば、蛍光物質、発光物質、放射性同位体が挙げられる。蛍光物質としては、例えば、SYBR Green I、SYBR Green II、SYBR Gold、SYPRO Ruby、SYPRO Orange、SYPRO Tangerine、FITC、FAM、EGFP、ECFP、AttoPhos、SYPRO Red、Cy3、TAMRA、ROX、HEX、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Deep Purple、Pro−Q Diamond、Rhodamine Red、BODIPY 576/589、NED、R−phycoerythrin、RFP、HNPP、Alexa Flour 633、Alexa Flour 635、Alexa Flour 647、Cy5、BODIPY 650/665、DiD、TOTO−3、DDAO phosphate、Ethidium Bromide、SYPRO Rose、Cy7、フルオレセインが挙げられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルシフェリン、ルシゲニンが挙げられる。放射性同位体としては、例えば、H、14C、32P、35S、90Y、123I、125I、131Iが挙げられる。
酵素としては、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼが挙げられる。
薬物としては、例えば、抗癌剤が挙げられる。抗癌剤としては、例えば、カリケアマイシンやデュオカルマイシンなどミサイル療法に使用されているもの、シクロフォスファミド、メルファラン、イホスファミドまたはトロホスファミドなどのナイトロジェンマスタード類似体、チオテパなどのエチレンイミン類、カルムスチンなどのニトロソ尿素、テモゾロミドまたはダカルバジンなどのリースト剤、メトトレキセートまたはラルチトレキセドなどの葉酸類似代謝拮抗剤、チオグアニン、クラドリビンまたはフルダラビンなどのプリン類似体、フルオロウラシル、テガフールまたはゲムシタビンなどのピリミジン類似体、ビンブラスチン、ビンクリスチンまたはビンオレルビンなどのビンカアルカロイド及びその類似体、エトポシド、タキサン、ドセタキセルまたはパクリタキセルなどのポドフィロトキシン誘導体、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン及びミトキサントロンなどのアントラサイクリン類及び類似体、ブレオマイシン及びミトマイシンなどの他の細胞毒性抗生物質、シスプラチン、カルボプラチン及びオキザリプラチンなどの白金化合物、ペントスタチン、ミルテフォシン、エストラムスチン、トポテカン、イリノテカン及びビカルタミドなどの他の抗腫瘍剤が挙げられる。
毒素としては、例えば、リシン毒素、リア毒素が挙げられる。
薬物送達媒体としては、例えば、リポソーム、ミクロスフェア、ポリエチレングリコール、コレステロール、ペプチドが挙げられる。
本発明のアプタマー及び/又は本発明の複合体は、例えば、医薬又は試薬(例、診断薬、検査薬(実験用試薬を含む))として使用され得る。例えば、本発明の医薬又は診断薬は、例えば、異常IgG及び/又はIgGの過剰発現が原因の疾患(例、リウマチ、腎炎、キャッスルマン病、ヴェーゲナー肉芽腫症、糸球体硬化症、糸球体疾患、多発性動脈炎、紫斑病、エリテマトーデス、臓器移植における拒絶反応)、IgG産生に関連した疾患(例、B細胞リンパ腫)等の、自己免疫疾患を含むIgG関連疾患、あるいは癌の治療又は診断(例、病態把握、治療効果のモニタリング)に有用である。また、癌の治療では、本発明の複合体(例、抗癌剤や毒素に結合した本発明のアプタマーを抗体医薬に結合させたもの)を用いることで、癌細胞を死滅させることが可能である。
本発明の試薬は、抗体の代わりに本発明のアプタマーを用いること以外は、免疫学的方法と同様の方法により使用され得る。従って、抗体の代わりに本発明のアプタマーを用いることにより、酵素免疫測定法(EIA)(例、直接競合ELISA、間接競合ELISA、サンドイッチELISA)、放射免疫測定法(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、免疫クロマト法、ルミネッセンス免疫測定法、スピン免疫測定法、ウエスタンブロット法(例、ウエスタンブロット法における二次抗体の代わりとしての使用)、免疫組織化学的染色法、セルソーティング法等の方法と同様の方法により、上述した疾患の診断や後述するIgGの検出・定量を行い得る。本発明の診断用試薬を使用する方法もまた本発明により提供されるが、この場合、本発明の固相担体を用いることもできる。
本発明の医薬は、医薬上許容される担体が配合されたものであり得る。医薬上許容される担体としては、例えば、ショ糖、デンプン、マンニット、ソルビット、乳糖、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の賦形剤、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、ショ糖、デンプン等の結合剤、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ナトリウム−グリコール−スターチ、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、エアロジル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑剤、クエン酸、メントール、グリシルリシン・アンモニウム塩、グリシン、オレンジ粉等の芳香剤、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等の保存剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸等の安定剤、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニウム等の懸濁剤、界面活性剤等の分散剤、水、生理食塩水、オレンジジュース等の希釈剤、カカオ脂、ポリエチレングリコール、白灯油等のベースワックスなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
経口投与に好適な製剤は、水、生理食塩水、オレンジジュースのような希釈液に有効量のリガンドを溶解させた液剤、有効量のリガンドを固体や顆粒として含んでいるカプセル剤、サッシェ剤または錠剤、適当な分散媒中に有効量の有効成分を懸濁させた懸濁液剤、有効量の有効成分を溶解させた溶液を適当な分散媒中に分散させ乳化させた乳剤等である。
非経口的な投与(例えば、静脈内注射、皮下注射、筋肉注射、局所注入、腹腔内投与など)に好適な製剤としては、水性および非水性の等張な無菌の注射液剤があり、これには抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、等張化剤等が含まれていてもよい。また、水性および非水性の無菌の懸濁液剤が挙げられ、これには懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤等が含まれていてもよい。当該製剤は、アンプルやバイアルのように単位投与量あるいは複数回投与量ずつ容器に封入することができる。また、有効成分および医薬上許容される担体を凍結乾燥し、使用直前に適当な無菌のビヒクルに溶解または懸濁すればよい状態で保存することもできる。
本発明の医薬の投与量は、有効成分の種類・活性、病気の重篤度、投与対象となる動物種、投与対象の薬物受容性、体重、年齢等によって異なるが、通常、成人1日あたり有効成分量として約0.0001〜約2.0g/kg、例えば約0.0001〜約0.1g/kg、好ましくは約0.005〜約0.05g/kgであり得る。
本発明はまた、本発明のアプタマー及び/又は本発明の複合体が固定化された固相担体を提供する。固相担体としては、例えば、基板、樹脂、プレート(例、マルチウェルプレート)、フィルター、カートリッジ、カラム、多孔質材が挙げられる。基板は、DNAチップやプロテインチップなどに使われているものなどであり得、例えば、ニッケル−PTFE(polytetrafluoroethylene)基板やガラス基板、アパタイト基板、シリコン基板、アルミナ基板などで、これらの基板にポリマーなどのコーティングを施したものが挙げられる。樹脂としては、例えば、抗体精製クロマトグラフィーや抗体をリガンドとしたアフィニティークロマトグラフィーなどで使われるカラムに充填する樹脂、および、バッチ法で抗体を精製もしくは固定化するための樹脂が挙げられ、また、種々の濃度のアガロース粒子や高度架橋されたアガロース粒子、シリカ粒子、アクリルアミドとN,N’−メチレンビスアクリルアミドの共重合体、ポリスチレン架橋ジビニルベンゼン粒子、デキストランをエピクロロヒドリンで架橋した粒子、セルロースファイバー、アリルデキストランとN,N’−メチレンビスアクリルアミドの架橋ポリマー、単分散系合成ポリマー、単分散系親水性ポリマー、セファロース、トヨパールなどを含み、更にこれらの樹脂に各種官能基を結合させた樹脂を含む。
本発明のアプタマー及び/又は本発明の複合体は、自体公知の方法により固相担体に固定できる。例えば、親和性物質(例、上述したもの)や所定の官能基を本発明のアプタマー及び/又は本発明の複合体に導入し、次いで当該親和性物質や所定の官能基を利用して固相担体に固定化する方法が挙げられる。本発明はまた、このような方法を提供する。所定の官能基は、カップリング反応に供することが可能な官能基であり得、例えば、アミノ基、チオール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基が挙げられる。本発明はまた、このような官能基が導入されたアプタマーを提供する。
本発明の固相担体は、例えば、IgGの精製、及びIgGの検出、定量に有用であり得る。本発明の固相担体はまた、上述した異常IgG又はIgGの過剰発現が原因の疾患の治療に利用することができる。送液ポンプを用いて患者の血管から血液を本発明の固相担体(例、カートリッジ)に流し込み、所定の量のIgGを吸着除去した後、浄化された血液を患者に戻す。この場合、抗血液凝固剤を添加して血液が固まらないようにすることも有益である。IgGの除去量は透過血液量及び本発明の固相担体の吸着容量によって調節することができる。本発明の固相担体は中性溶出液を用いて洗浄し、加熱または紫外線照射などにより滅菌することで、再生することができる。本発明の固相担体を血液の浄化に利用する場合、使用方法の詳細や治療効果に関しては、透析療法やProtein Aを用いたIgG除去剤であるProsorba(Fresenius社製)及びImmunosorba(Fresenius社製)を用いた血液浄化法を参考に行うことができる。従って、本発明はまた、このような血液の浄化を可能とする、本発明の固相担体を含む医療用機器を提供する。
本発明は、抗体の精製及び/又は濃縮方法を提供する。本発明の精製及び/又は濃縮方法は、本発明の固相担体にIgG抗体を吸着させ、吸着したIgG抗体を溶出液により溶出させることを含み得る。本発明の精製及び/又は濃縮方法はまた、容器(例、フラスコ、試験管、チューブ)に本発明の固相担体を充填して精製又は濃縮を行う静的法、及び本発明の固相担体(例、カラム)にIgGを含む溶液を送液して精製又は濃縮を行う動的法であり得る。
本発明の固相担体へのIgG抗体の吸着は自体公知の方法により行うことができる。例えば、IgGを含有する試料(例、血液、血漿、血清、腹水、細胞培養上清、組織抽出液)を、本発明の固相担体又はそれを充填した容器又は支持体に導入する。静的法の場合は攪拌しながら1〜60分程度室温放置することでIgGは本発明の固相担体に結合する。動的法の場合は流速0.1〜20mL/分程度で試料を導入することでIgGは本発明の固相担体に結合する。IgGを含有する試料は本発明の固相担体に導入される前に希釈してもよい。希釈はNaClおよびMgClを含む溶液を用いることが好ましい。IgGが本発明の固相担体に結合した後、不純物を取除くために洗浄液で本発明の固相担体を洗浄する。洗浄液は、NaClおよびMgClを含有する溶液であることが好ましい。
IgG抗体の溶出は、中性溶液を用いて行うことができる。IgG抗体の精製においてProtein Aを用いる従来の方法では、溶出を酸性溶液で行う必要があり、従って、抗体が変性し易いという不利益があった。一方、本発明のアプタマーは、溶出を中性溶液で行うことが可能であり、従って、従来法とは異なり、抗体の変性を防止することができるという利点を有する。
中性溶出液は特に限定されるものではないが、例えばpH約6〜約9、好ましくは約6.5〜約8.5、より好ましくは約7〜約8であり得る。また、中性溶液は、カリウム塩(例、塩化カリウム(KCl)、酢酸カリウム、蟻酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、過塩素酸カリウム、クエン酸カリウム、リンゴ酸カリウム、シュウ酸カリウム、シアン化カリウム)、マグネシウム塩(例、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、蟻酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム)、カルシウム塩(例、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、蟻酸カルシウム、硫酸カルシウム、シュウ酸カルシウム)、アンモニウム塩(例、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、蟻酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、シアン化アンモニウム、シュウ酸アンモニウム)、キレート剤(例、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸ナトリウム等のクエン酸塩、リンゴ酸ナトリウム等のリンゴ酸塩、シュウ酸ナトリウム等のシュウ酸塩、エチレンジアミン、アセチルアセトナトリウム、EGTA)、変性剤又は表面活性剤(グアニジン、SDS、Tween20、NP−40、Triton X−100)を含み得るが、コストの面からはKClを含むものが好ましい。KCl溶液の濃度は100〜1000mM、好ましくは200〜800mM、更に好ましくは300〜600mMである。EDTA溶液の濃度は1〜100mM、好ましくは5〜50mM、更に好ましくは10〜20mMである。
本発明の精製方法はさらに、IgG抗体の吸着後、固相担体を洗浄することを含み得る。洗浄液としては、例えば、尿素、強塩基(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、弱塩基(例、アンモニア)、強酸(例、塩酸、硝酸、硫酸、トリフルオロ酢酸)、弱酸(例、酢酸、蟻酸)を含む溶液が挙げられる。尿素は、例えば、1〜10Mであり得る。強塩基及び弱塩基は0.01〜10Nが好ましいが、0.01〜1Nがより好ましく、0.01〜0.1Nがさらに好ましい。強酸及び弱塩基は0.01〜10Nが好ましいが、0.01〜1Nがより好ましく、0.01〜0.1Nがさらに好ましい。
本発明の精製方法はさらに、固相担体を加熱処理することを含み得る。かかる工程により、固相担体の再生、滅菌が可能である。このような加熱処理としては、例えば約50〜約100℃、好ましくは約60〜約90℃、より好ましくは約65〜約85℃での、数分間、例えば1〜30分間、好ましくは1〜20分間、より好ましくは5〜15分間の処理が挙げられる。加熱処理は尿素(例、1〜10M)中で行うことが可能である。
本発明はまた、精製抗体の製造方法を提供する。本発明の製造方法は、IgG抗体を作製し、作製されたIgG抗体を本発明のアプタマー及び複合体を利用して(例、本発明の固相担体の使用により)精製することを含み得る。
本発明の製造方法において作製される抗体は、IgGであり得る。抗体はまた、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であり得る。ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体は、自体公知の方法により作製できる。抗体はさらに、ヒト化抗体又はヒト抗体であり得るが、ヒト化抗体又はヒト抗体が好ましい。ヒト化抗体は、例えば特表平4−506458号公報、特開昭62−296890号公報等を、ヒト抗体は、例えば「Nature Genetics,Vol.l5,p.146−156,1997」、「Nature Genetics,Vol.7,p.13−21,1994」、特表平4−504365号公報、国際出願公開WO 94/25585号公報、「日経サイエンス、6月号、第40〜第50頁、1995年」、「Nature,Vol.368,p.856−859,1994」、特表平6−500233号公報等を参考にそれぞれ作製することができる。
次いで、作製された抗体は、アプタマーを用いて精製され得る。精製の詳細は、本発明の精製方法と同様であり得る。
本発明はまた、IgGの検出及び/又は定量方法を提供する。本発明の検出及び/又は定量方法は、本発明のアプタマーを利用して(例、本発明の複合体及び/又は固相担体の使用により)IgGを測定することを含み得る。この方法では、本発明の診断用試薬において上述したように、抗体の代わりに本発明のアプタマーを用いること以外は、免疫学的方法と同様の方法により、検出及び/又は定量を行うことができる。
本発明はまた、抗体の修飾方法を提供する。本発明の修飾方法は、本発明のアプタマーを介して、機能性物質を抗体に結合させることを含み得る。本発明は、このような修飾方法により作製された修飾抗体もまた提供する。
本明細書中で挙げられた特許および特許出願明細書を含む全ての刊行物に記載された内容は、本明細書での引用により、その全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例等に何ら制約されるものではない。
[実施例1] IgGに特異的に結合する核酸の作製
IgGに特異的に結合する核酸はSELEX法を用いて作製した。SELEXはEllingtonらの方法(Ellington and Szostak,Nature 346,818−822,1990)及びTuerkらの方法(Tuerk and Gold,Science 249,505−510,1990)を改良しておこなった。標的物質としてヒスチジンタグが付いたヒトIgG1のFc部分(Pro100〜Lys330)とRANK(Receptor activator of NF−κB)のキメラ体(IgG1−Fc、R&D Systems社製)を用いた。このキメラ体はマウスミエローマ細胞を用いて発現させたものである。最初のラウンドで用いたRNAは、化学合成によって得られたDNAをDuraScribeTM T7 Transcription Kit(Epicentre社製)を用いて転写して得た。この方法によって得られるRNAはピリミジン塩基含有ヌクレオチドのリボースの2’位がフルオロ化されたものである。DNA鋳型として40残基のランダム配列の両側にプライマー配列を持った長さ90残基のDNAを用いた。DNA鋳型とプライマーは化学合成によって作成した(Operon社製)。DNA鋳型の配列とプライマー配列を以下に示す。
DNA鋳型:5’−ctctcatgtcggccgtta−40N−cgtccattgtgtccctatagtgagtcgtatta−3’(配列番号24)
プライマーA:5’−taatacgactcactatagggacacaatggacg−3’(配列番号25)
プライマーB:5’−ctctcatgtcggccgtta−3’(配列番号26)
プライマーAはT7 RNAポリメラーゼのプロモーター配列を含んでいる。最初のラウンドで用いたRNAプールのバリエーションは理論上1014であった。
標的物質であるIgG1−FcはNi−NTAアフィニティー樹脂(Qiagen社製)またはBDTalonTMアフィニティー樹脂(BD Biosciences社製)に吸着させて固定した。これにRNAプールを加え、30分間室温で保持した後、IgG1−Fcに結合しなかったRNAを溶液Aで洗い流した。ここで溶液Aは145mM塩化ナトリウム、5.4mM塩化カリウム、1.8mM塩化カルシウム、0.8mM塩化マグネシウム、20mM pH7.6トリスの混合溶液である。IgG1−Fcに結合したRNAは、溶出液を加えて回収し、RT−PCRで増幅した後、DuraScribeTM T7 Transcription Kitで転写して次のラウンドに用いた。溶出液として溶液Aに250mMのイミダゾールを加えたものを用いた。7ラウンドおよび10ラウンド終了後、PCR産物をpGEM−T Easyベクター(Promega社製)にクローニングし、大腸菌株DH5α(Toyobo社製)にトランスフォーメーションした。シングルコロニーからプラスミドを抽出後、DNAシーケンサー(ABI PRISM3100、ABI社製)でヌクレオチド配列を決定した。配列番号1で表される配列を持つクローンは48クローン中10クローンあった。また、配列番号2、3、4、5、6、7、8で表される配列を持つクローンは、48クローン中それぞれ2、7、14、2、5、4、4クローン存在した。
配列番号1〜8で表されるRNAの二次構造をMFOLDプログラムを使って予測した(M.Zuker,Mfold web server for nucleic acid folding and hybridization prediction.Nucleic Acids Res.31(13),3406−15,(2003))。その構造を図1〜8に示す。図に示すように、これらのRNAはGGUGCUという共通配列を含み、この共通配列がバルジを形成していた。
プライマーセットを変えて、上記と同様の方法で再度SELEXをおこなった。プライマー配列を下記に記す。
プライマーC:5’−taatacgactcactatagggccacagcgag−3’(配列番号27)
プライマーD:5’−ccgaccacacgcg−3’(配列番号28)
8ラウンド終了後、配列番号9で表されるRNAが配列を調べた48クローン中1クローン存在していた。このRNAは、ヒトIgG1に特異的に結合し、GGUGCUの配列が存在した。しかし、このRNAの二次構造をMFOLDプログラムを使って予測したところ、GGUGCUのバルジ構造が存在していなかった。そこで、配列番号9で表されるRNAの二次構造をvsfold4プログラム(http://www.rna.it−chiba.ac.jp/vsfold4/)を用いて予測したところ、GGUGCUのバルジ構造が現れた(図9)。一方、他の47クローンは、IgG1とは、結合しなかった。
次に、アミノカップリングによりIgGのFcフラグメント(IgG−Fc)を固定化したSELEXをおこなった。100μgのヒトIgG−Fc(Athens Research & Technology社製)を30μLのNHS−activated Sepharoseビーズ(Amersham Bioscience社製)に固定化した。購入したIgG−Fc溶液にはTris緩衝液が含まれていたので、20mMHEPES緩衝液(Sigma社製)に置換してからカップリングをおこなった。カップリングは仕様書にそっておこなった。固定化量は、固定化前のIgG−Fc溶液と固定化直後の上清液をSDS−PAGEにより調べることで確認した。上清液からはIgG−Fcのバンドは検出されず、使用したIgG−Fcのほとんど全てがカップリングされたと考えられる。RNAは上記同様ピリミジン塩基含有ヌクレオチドのリボースの2’位がフルオロ化されたものを用いた。RNAの初期プールを作成するためのDNA鋳型として、40残基のランダム配列を以下のプライマー配列で挟み込んだものを用いた。
プライマーE:5’−taatacgactcactatagggtacgagtctggacttgcaa−3’(配列番号29)
プライマーF:5’−gcctgttgtgagcctca−3’(配列番号30)
7ラウンド終了後、配列番号19、20、21で表されるRNAが、配列を調べた48クローン中それぞれ13、9、6クローン存在していた。これらのRNAはGGUGCUの共通配列を含んでいた。MFOLDプログラムを使って二次構造を予測したところ、配列番号20と21のRNAは配列番号1のRNAと同様なバルジ構造を含んでいたが、配列番号19のRNAは含んでいなかった(図19〜21)。次に、48クローン中1クローンのみ存在したRNAの配列を詳しく調べたところ、配列番号22と23で表されるRNAがGGUGCUの共通配列を含んでいた。MFOLDプログラムを使って二次構造を予測したところ、配列番号22のRNAは共通のバルジ構造を含んでいたが、配列番号23のRNAは含んでいなかった。この他1クローンのものが15配列あった。これらは全てGGUGCUは含んでいなかった。これらの配列のうち8配列の結合活性を調べたが、いずれも結合活性がなかった。
リボースの2’位がフルオロ化されたピリミジン塩基含有ヌクレオチドと天然型のプリン塩基含有ヌクレオチドでできたRNAを用いて3回の異なるSELEXをおこなったが、そのいずれからもGGUGCUの共通配列を含むRNAが選択された。この共通配列の両側の配列に特別な特徴はなく、IgGとの結合にGGUGCUが重要であることが予想された。MFOLDプログラムを使って二次構造を予測したところ、選択されたRNAのほとんどがGGUGCUのバルジ構造を含んでおり、共通配列をもつすべてのRNAでGGUGCUのバルジ構造をとっていると予測される。
[実施例2] 結合活性の評価
配列番号1〜9で表されるRNAのヒトIgG−Fcに対する結合活性を表面プラズモン共鳴法により調べた。測定にはBIAcore社製のBIAcore2000を用いた。センサーチップにはストレプトアビジンが固定化されているSAチップを用いた。これに、5’末端にビオチンが結合している16残基のPoly dTを1000 RU程度結合させた。リガンドとなるRNAは、3’末端に16残基のPoly Aを付加し、dTとAの結合によりSAチップに固定した。その固定化量は、0.01μg/μLの濃度のものを60μLインジェクションすることで1000 RU程度とした。アナライト用のIgG−Fc(Athens Research & Technology社製)は0.6μMに調整したものを70μLインジェクションした。ランニングバッファーはSELEXで用いた溶液Aと同じ成分のものを用いた。
配列番号1または3で表されるRNAを固定してIgG−Fcをインジェクションした場合のセンサーグラムをそれぞれ図24または25に示す。RNAとIgG−Fcが結合している様子が示されている。コントロールとしてランダム配列を含むRNAプールを固定化した測定をおこなったが、IgG−Fcは結合しなかった(図26)。配列番号2〜9で表されるRNAに対して同様の測定をおこなったが、その全てがIgG−Fcと結合した。
次に、全長のヒトIgG1との結合活性を同様の方法で調べた。配列番号1〜9で表されるRNAは全てIgG1と結合した。また、ランダム配列を含むRNAプールは結合活性を示さなかった。
次に、濃度の異なるIgG(0.6μM〜0.05μM)を用いて速度論的解析を行い、各RNAアプタマーの解離定数(Kd)を求めた。解離定数は、3’末端に16残基のPolyAを付加したRNAをA−dT結合を利用してセンサーチップに固相化し、濃度の異なるIgG(0.6μM〜0.05μM)をインジェクトし、表面プラズモン共鳴によって求めた。結果を表1に示す。
配列番号19〜23で表されるRNAとヒトIgG1の結合活性を表面プラズモン共鳴法を用いて調べた。その結果、その全てのRNAがIgG1に対して結合活性を有していることがわかった。MFOLDプログラムを用いて予測される、配列番号19と23で表されるRNAの二次構造は共通のバルジ構造を含んでいなかったが、どちらもヒトIgG1に対して結合活性を有していた。
アプタマーの結合活性はBiacore2000(Biacore社製)を用いて測定された。Biacore2000には速度論的解析ソフトが組み込まれており、得られたセンサーグラムの形状に理論式をフィッティングさせることで解離定数を求めることができる。配列番号1〜9および19〜23で表される長いアプタマーは1:1結合モデルの理論式がうまくフィッティングしたが、配列番号17など短いアプタマーに対しては1:2結合モデルであるBivalentモデルの理論式がよりフィットした。抗体は対称的な構造をしているので、一つの抗体に対して二つのアプタマーが結合していることは極普通に受け入れられる考え方である。
以上より、SELEX法により作製された配列番号1〜9および19〜23で表されるRNAはヒトIgGに対して結合活性を有していることが確認された。これは共通配列であるGGUGCUがIgGとの結合に重要であることを示している。
[実施例3] RNAアプタマーの小型化
配列番号1〜9および19〜23で表されるRNAの長さは70残基程度であるが、40残基程度以下の長さまで短くすることができると、RNAアプタマーを化学合成により作製することができるようになる。そこで、配列番号1〜9および19〜23で表されるRNAの小型化を試みた。ここで、配列番号1〜9および19〜23で表されるRNAはピリミジン塩基含有ヌクレオチド(U、C)のリボースの2’位がフルオロ化されており、プリン塩基含有ヌクレオチド(A、G)は天然のRNAタイプのものである。また、本実施例で新たに作製する短いRNAは全てピリミジン塩基のリボースの2’位がフルオロ化されている。
初めに配列番号1で表されるRNAを基本として小型化を試みた。配列番号10で表されるRNAは配列番号1で表されるRNAの5’末端のGGGACACを、また、3’末端のGAGAGを切断したもので、転写用に5’末端にGGを付加したものである。配列番号11で表されるRNAは配列番号10で表されるRNAの5’末端のGGAAUを、また、3’末端のACAUを切断したものである。配列番号12で表されるRNAは配列番号11で表されるRNAの5’末端のGGACGAGUUを、また、3’末端のAACGGCCGを切断したもので、5’末端にGGを、また、3’末端にCCを付加したものである。配列番号13で表されるRNAは、配列番号12で表されるRNAのGGUGCUのバルジの後にあるステムループ構造を配列番号2で表されるRNAのステムループ構造に置き換えたものである。配列番号14で表されるRNAは配列番号13で表されるRNAのループ部分をGAAAテトラループに置き換えたものである。配列番号15で表されるRNAは配列番号13で表されるRNAの最初のステムから二つの塩基対を取り除いてステムを短くしたものである。配列番号16で表されるRNAは配列番号13で表されるRNAの二番目のステムから三つの塩基対を取り除いてステムを短くしたものである。配列番号17で表されるRNAは配列番号16で表されるRNAの最初のステムから二つの塩基対を取り除いてステムを短くしたものである。配列番号18で表されるRNAは配列番号17で表されるRNAの二番目のステムから一塩基対を取り除いてステムを短くしたものである。
小型化されたRNAの結合活性は表面プラズモン共鳴法を用いて確認した。測定は実施例1と同様に、16残基のPoly Aを付加したRNAをA−pT結合を利用して固定化し、そこにIgGをインジェクションすることでおこなわれた。その結果、GGUGCUのコンセンサス配列を含む配列番号10〜18で表されるRNAがヒトIgG1に対して結合活性を有していることがわかった。この内、配列番号18で表されるRNAは21残基からなるものであった。それぞれの解離定数を表1に示す。
配列番号17で表されるRNAの8番目のヌクレオチドのCをUに置換した変異体を作製した。このCは共通配列GGUGCUのCである。表面プラズモン共鳴解析の結果、この変異体はヒトIgG1に対して結合活性を有していないことがわかった。この事実は、共通配列であるGGUGCUがIgGとの結合に重要であることを示している。
以上より、配列番号1で表されるRNAを小型化することで、化学合成できる長さのRNAアプタマーを作製することができた。また、共通配列であるGGUGCUのバルジ構造が存在すればIgGとの結合活性が保持されることが示された。
[実施例4] 種特異性の評価
作製されたRNAアプタマーがヒトIgG1以外のサブクラスのIgGまたはヒト以外の動物種のIgGに対しても結合活性を有しているかどうか表面プラズモン共鳴法を用いて調べた。測定は実施例1と同様に、16残基のPoly Aを付加した核酸をA−pT結合を利用して固定化し、そこにIgGをインジェクションすることでおこなわれた。RNAアプタマーには配列番号1と17で表される核酸を用いた。抗体にはヒトIgG1(Calbiochem社製)、ヒトIgG2(Calbiochem社製)、ヒトIgG3(Calbiochem社製)、ヒトIgG4(Calbiochem社製)、マウスIgG1(Chemicon International社製)、マウスIgG2a(Chemicon International社製)、マウスIgG2b(Zymed Laboratories社製)、マウスIgG3(Bethyl Laboratories社製)、ラットIgG1(R & D Systems社製)、ラットIgG2a(Zymed Laboratories社製)、ラットIgG2b(Zymed Laboratories社製)、ラットIgG2c(UK−Serotec社製)、ウサギIgG(Zymed Laboratories社製)、ウシIgG1(Bethyl Laboratories社製)、ウシIgG2(Bethyl Laboratories社製)、ニワトリIgG(Rockland社製)、イヌIgG(Rockland社製)、ネコIgG(Bethyl Laboratories社製)、モルモットIgG(Biogenesis社製)、ハムスターIgG(Rockland社製)、ブタIgG(Rockland社製)を用いた。結果を表2に示す。
Protein AのデータはAmersham Biosciences社のカタログより引用した。+は結合の強さを表し、+が多い方が結合が強い。−は結合しないことを意味する。ndは測定していないことを意味する。
表2に示すように、配列番号1と17で表されるRNAはヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4、ハムスターIgG、ブタIgGには対しては結合活性を有しているが、他の動物種のIgGに対しては結合活性を有していないことがわかった。また、配列番号1と17で表される核酸はヒトIgD(Biogenesis社製)およびヒトIgE(Calbiochem社製)に対しても結合活性を有していなかった。更に、配列番号17で表される核酸はヒトIgA(Bethyl Laboratories社製)に対して結合活性を有していなかったが、ヒトIgM(Chemicon International社製)に対しては非常に弱いが結合活性を示した。
以上より、本発明で提供されるRNAアプタマーはヒト、ハムスター、ブタのIgGに特異的に結合するRNAであることがわかった。また、ヒトIgGに関してはサブクラスに関係なく、IgG1〜4の全てに結合することがわかった。これは現在抗体精製用樹脂のリガンドとして使われているProtein Aと異なる特性である。
[実施例5] RNAアプタマーの結合部位の検討1(FcγR)
IgGのFc部分はマクロファージや好中球などの免疫担当細胞に発現している受容体タンパク質(FcγR)に結合し、細胞の活性化あるいは抑制を促す。そこで、本発明で提供されるRNAがIgGのFcγR結合部位に結合しているかどうか表面プラズモン共鳴法を用いて調べた。まず、16残基のPoly Aを付加したRNAアプタマーを実施例1と同様な方法で固定化し、そこにヒトIgG1をインジェクションしてRNAアプタマーに結合させた後、FcγRをインジェクションした。もしIgGのRNAアプタマー結合部位がFcγRの結合部位と全体的にあるいは主要な一部分が重複していたら、FcγRはRNAアプタマーに結合しているIgGには結合することができないと考えられる。また、IgGとFcγRの結合力がIgGとRNAアプタマーの結合力より強く、RNAアプタマーとFcγRの置換反応が起こった場合は、IgGは固定されているRNAアプタマーから解離し、FcγRと複合体を形成して流し出されるものと予想される。
RNAアプタマーとして配列番号1で表されるRNAを、IgGとしてヒトIgG−Fc(Athens Research & Technology社製)を、FcγRとしてヒトFcγRI(R & D Systems社製)を用いて測定をおこなった。その結果、IgG−Fc結合後にFcγRIの結合によるシグナルの上昇が観察されたので(図27)、RNAアプタマー、IgG−Fc、FcγRIの三者複合体が形成されることがわかった。また、コントロールとしてランダム配列を含むRNAプールを用いた場合、IgG−FcとFcγRIはともに結合しなかった(図28)。
以上より、RNAアプタマーはIgGのFcγRI結合部位とは異なる部分に結合していることがわかった。
[実施例6] RNAアプタマーの結合部位の検討2(Protein A)
IgG−Fcに結合する他の物質としてはProtein Aがよく知られている。Protein AはIgGのFc部分に特異的に結合することから、抗体精製用分離剤のリガンドとして使われている。そこで、実施例5と同様の方法で、本発明で提供されるRNAがIgGのProtein A結合部位に結合しているかどうか調べた。まず、3’末端に16残基のPoly Aを付加した配列番号1で表されるRNAアプタマーを実施例1と同様の方法で固定し、そこにヒトIgG1(Calbiochem社製)を流してRNAアプタマーに結合させた後、Protein A(MP Biomedicals社製)をインジェクションした。その結果、IgG1結合後にProtein Aの結合によるシグナルの上昇が観察されたので(図29)、RNAアプタマー、IgG1、Protein Aの三者複合体が形成されることがわかった。また、コントロールとして配列番号1で表されるRNAアプタマーを固定したあとProtain Aをインジェクションするという測定をおこなったが、Protein Aの結合は見られなかった(図30)。
以上より、RNAアプタマーはIgG−FcのProtein A結合部位とは異なる部分に結合していることがわかった。
[実施例7] RNAアプタマーの2’修飾方法とIgGに対する結合活性
実施例1で作製されたRNAアプタマーはピリミジン塩基含有ヌクレオチドのリボースの2’位がフルオロ化されたものであった。本実施例では、リボースの2’位の修飾方法が異なるRNAを作製し、IgGに対する結合活性を表面プラズモン共鳴法を用いて調べた。
はじめに、配列番号11と13で表される天然型のRNAを作製し、IgGに対する結合活性を調べた。天然型RNAはテンプレートDNAを化学合成(オペロン社製)し、T7 RNAポリメラーゼ(Takara社製)を用いて転写することで作製した。結合活性は実施例1と同様に、表面プラズモン共鳴法により測定された。IgGとしてヒトIgG1(Calbiochem社製)を用いた。その結果、IgG1の結合量は低下したが、配列番号11と13で表される天然型のRNAはIgGに対して結合活性を有していることがわかった。
次に、配列番号17をもとにして以下に記すような修飾の異なる配列番号17−1〜17−14で表されるRNAを作製した。
配列番号17
G(OH)G(OH)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)C(F)C(F)G(OH)A(OH)A(OH)A(OH)G(OH)G(OH)A(OH)A(OH)C(F)U(F)C(F)C(F)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
配列番号17−1(23F1)
G(OH)G(OH)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)C(H)C(H)G(OH)A(OH)A(OH)A(OH)G(OH)G(OH)A(OH)A(OH)C(F)T(H)C(H)C(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
配列番号17−2(23F2)
G(H)G(H)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)C(F)C(F)G(H)A(H)A(H)A(H)G(OH)G(OH)A(OH)A(OH)C(F)U(F)C(H)C(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
配列番号17−3(23F3)
G(H)G(H)A(H)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)C(H)C(H)G(H)A(H)A(H)A(H)G(H)G(H)A(OH)A(OH)C(F)T(H)C(H)C(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
配列番号17−4(23F10)
G(H)G(H)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)C(F)C(H)G(H)A(H)A(H)A(H)G(OH)G(OH)A(OH)A(OH)C(F)U(F)C(H)C(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
配列番号17−5(23F11)
G(H)G(H)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)C(F)C(F)G(H)A(H)A(H)A(H)G(H)G(H)A(OH)A(OH)C(F)U(F)C(H)C(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
配列番号17−6(23F12)
G(H)G(H)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(H)C(F)U(F)C(F)C(F)G(H)A(H)A(H)A(H)G(OH)G(OH)A(OH)A(OH)C(F)U(F)C(H)C(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
配列番号17−7(23F23)
G(H)G(H)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(H)U(F)C(H)C(H)G(H)A(H)A(H)A(H)G(OH)G(OH)A(H)A(H)C(F)U(F)C(H)C(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
配列番号17−8(23F25)
G(OMe)G(OMe)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)C(F)C(F)G(OMe)A(OMe)A(OMe)A(OMe)G(OH)G(OH)A(OH)A(OH)C(F)U(F)C(OMe)C(OMe)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
配列番号17−9(23F32)
G(H)G(H)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(H)U(F)C(H)C(H)G(H)A(H)A(H)A(H)G(OMe)G(OH)A(H)A(H)C(F)U(F)C(H)C(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
配列番号17−10(23F33)
G(H)G(H)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(H)U(F)C(H)C(H)G(H)A(H)A(H)A(H)G(OH)G(OMe)A(H)A(H)C(F)U(F)C(H)C(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
配列番号17−11(23F41)
G(OMe)G(OMe)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(OMe)C(F)C(F)G(OMe)A(OMe)A(OMe)A(OMe)G(OH)G(OH)A(OH)A(OH)C(F)U(F)C(OMe)C(OMe)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
配列番号17−12(23F42)
G(OMe)G(OMe)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)C(OMe)C(F)G(OMe)A(OMe)A(OMe)A(OMe)G(OH)G(OH)A(OH)A(OH)C(F)U(F)C(OMe)C(OMe)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
配列番号17−13(23F43)
G(OMe)G(OMe)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)C(F)C(OMe)G(OMe)A(OMe)A(OMe)A(OMe)G(OH)G(OH)A(OH)A(OH)C(F)U(F)C(OMe)C(OMe)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
配列番号17−14(23F31)
G(H)G(H)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(H)U(OMe)C(H)C(H)G(H)A(H)A(H)A(H)G(OH)G(OH)A(H)A(H)C(F)U(F)C(H)C(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)A(H)
RNAは化学合成によって作製した(ジーンデザイン社製)。結合活性は実施例1と同様に、表面プラズモン共鳴法により測定された。IgGとしてヒトIgG1(Calbiochem社製)を用いた。測定の結果、配列番号17−1で表されるRNAは配列番号17で表されるRNAと同程度の結合活性を示した。また、配列番号17−2、17−4〜17−14で表されるRNAは配列番号17で表されるRNAより結合活性が高かった。一方、配列番号17−3で表されるRNAは配列番号17で表されるRNAより結合活性が低かった。
配列番号15で表される核酸をもとにして同様に修飾改変体を作製し、そのヒトIgGに対する結合活性を調べた。
配列番号15
G(OH)G(OH)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)C(F)U(F)G(OH)C(F)G(OH)A(OH)G(OH)C(F)C(F)A(OH)C(F)G(OH)C(F)G(OH)G(OH)A(OH)A(OH)C(F)U(F)C(F)C(F)
配列番号15−1(30F−1)
G(H)G(H)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)C(F)U(F)G(OH)C(F)G(OH)A(H)G(H)C(H)C(H)A(H)C(F)G(OH)C(F)G(OH)G(OH)A(OH)A(OH)C(F)U(F)C(H)C(H)
配列番号15−2(30F−2)
G(H)G(H)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)C(F)U(H)G(OH)C(F)G(OH)A(H)G(H)C(H)C(H)A(H)C(H)G(OH)C(H)G(OH)G(OH)A(OH)A(OH)C(F)U(F)C(H)C(H)
配列番号15−3(30F−3)
G(H)G(H)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)C(F)C(H)G(OH)C(H)G(OH)A(H)G(H)C(H)C(H)A(H)C(H)G(OH)C(H)G(OH)G(OH)A(OH)A(OH)C(F)U(F)C(H)C(H)
配列番号15−4(30F−4)
G(H)G(H)A(OH)G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)C(F)C(F)G(OH)C(H)G(OH)G(H)A(H)A(H)A(H)C(H)G(OH)C(H)G(OH)G(OH)A(OH)A(OH)C(F)U(F)C(H)C(H)
表面プラズモン共鳴法を用いた測定の結果、配列番号15−1〜15−3で表される核酸は配列番号15で表される核酸と同等の結合活性を有していることがわかった。
以上の結果をまとめたものを表3−1および表3−2に示す。表3中、結合活性の高さを+で表し、+の数が多いものほど活性が高いことを意味する。また、配列番号17−2で表されるRNAとIgGの結合の様子を図31に示す。
[実施例8] GGUGCUのバルジ構造
GGUGCU以外の配列でIgGと親和性のある配列がないか調べるために最適化SELEXをおこなった。最初のプールとしてGGUGCUの部分をランダム配列にしたRNAを用いた。このRNAプールは下記に示す化学合成で作製したDNAをテンプレートにして、DuraScribeTM T7 Transcription Kit(Epicentre社製)を用いて転写することで作製した。
DNAテンプレート:5’−tgtcggccgttacagttccggtttcccgg−6N−tgtaactcgtccattgtccc−3’(配列番号31)
プライマーG:5’−taatacgactcactatagggacaatggacgagttac−3’(配列番号32)
プライマーH:5’−tgtcggccgttacagttc−3’(配列番号33)
RNAプールの理論的なバリエーションは4096である。仕様書に基づいて、40μgのヒトIgG(Zymed Laboratories)を40μlのNHS−activated sepharose resin(Amasham Bioscience社製)に固定化した。SELEXは実施例1と同様におこなった。
3ラウンド終了後配列を調べたところ、48配列中36配列がGGUGCUを含んでいた。MFOLDプログラムを用いて二次構造を調べたところ、GGUGCUと異なる配列でGGUGCUと同じバルジ構造を形成するものは存在しなかった。また、表面プラズモン共鳴法を用いて結合活性を調べたところ、GGUGCUと異なる配列のものでヒトIgGに対して結合活性を有しているものは存在しなかった。
次に、2ラウンド終了後の配列を48配列調べた。GGUGCUを含む配列は1配列存在した。MFOLDプログラムを用いて全ての配列の2次構造を予測したところ、GGUGAUを含む配列がGGUGCUと同じバルジ構造を形成した。そこで、このクローンとIgGの親和性を表面プラズモン共鳴法を用いて調べたところ、このクローンがIgGに対して結合活性を有していることがわかった。また、ACCGACという配列が2クローン見つかったが、この配列はIgGに結合しなかった。MFOLDプログラムを用いるとGGUGCUおよびGGUGAU以外にもGGUGCUと同様なバルジ構造を形成する配列が見つかる。そこで、配列番号17−7で表される核酸のGGUGCUの代わりにそのような配列を含んだ核酸を化学合成し、ヒトIgG1との結合活性を表面プラズモン共鳴法を用いて測定した。GGUGCUの代わりに用いた配列は以下の通りである。
配列番号17−7のバルジ部分の配列: G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(H)U(OH)
配列番号17−7−1のバルジ部分の配列: G(OH)A(OH)U(F)G(OH)C(H)U(OH)
配列番号17−7−2のバルジ部分の配列: G(OH)C(F)U(F)G(OH)C(H)U(OH)
配列番号17−7−3のバルジ部分の配列: G(OH)G(OH)C(F)G(OH)C(H)U(OH)
配列番号17−7−4のバルジ部分の配列: G(OH)G(OH)U(F)A(OH)C(H)U(OH)
配列番号17−7−5のバルジ部分の配列: G(OH)G(OH)U(F)U(F)C(H)U(OH)
配列番号17−7−1〜17−7−5のうちヒトIgG1に対して結合活性を有するものは存在していなかった。
配列番号17−7で表される核酸のGGUGCUはG(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(F)U(F)のようにピリミジン塩基含有ヌクレオチドのリボースの2’位がフルオロ化されている。他の修飾方法でヒトIgGに対して結合活性を有しているものが存在するかどうか調べた。実験で使用した核酸は下記の通りで、化学合成により作製した。ヒトIgG1に対する結合活性は表面プラズモン共鳴法を用いて調べた。
配列番号17−7のバルジ部分の配列: G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(H)U(F)
配列番号17−7−101のバルジ部分の配列: G(OH)G(F)U(F)G(OH)C(H)U(F)
配列番号17−7−102のバルジ部分の配列: G(OH)G(OH)U(OH)G(OH)C(H)U(F)
配列番号17−7−103のバルジ部分の配列: G(OH)G(OH)U(H)G(OH)C(H)U(F)
配列番号17−7−104のバルジ部分の配列: G(OH)G(OH)U(F)G(F)C(H)U(F)
配列番号17−7−105のバルジ部分の配列: G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(OH)U(F)
配列番号17−7−106のバルジ部分の配列: G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(H)U(OH)
配列番号17−7−107のバルジ部分の配列: G(OH)G(OH)U(F)G(OH)C(H)U(OMe)
結合活性測定の結果、17−7−101、17−7−104〜107は17−7と同等の結合活性を有していることがわかった。また、17−7−102および17−7−103は結合活性を有していなかった。
以上を表4にまとめる。表4中、結合活性の高さを+で表し、+の数が多いものほど活性が高いことを意味する。
以上より、GGUGCUおよびGGUGAUのバルジ構造はIgGとの結合に重要であることがわかった。また、GGUGCUの3番目のUが天然のリボヌクレオチド(リボースの2’位がOHのもの)またはデオキシリボヌクレオチド(リボースの2’位がHのもの)の場合は結合活性がなくなることがわかった。
[実施例9] RNAアプタマーを用いたIgG精製法に関する実験
配列番号15と17で表されるRNAをビーズに固定化してヒトIgG1のプルダウン実験をおこなった。Oligo(dT)−Celluloseビーズ(Amersham Biosciences社製)を10μLずつ200μLのチューブ(Axygen社製)に入れ、ウシ血清アルブミン(Boehringer Mannheim社製)でコーティングした。そこに3’末端に16個Aを付けたRNAを約10μg加えて固定化した。RNAはDNA鋳型とプライマーを化学合成し(Operon社製)、これをDuraScribeTM T7 Transcription Kit(Epicentre社製)を用いて転写することで作製した。結合しなかったRNAを溶液Aを用いて洗浄することで取り除いた後、20μgのヒトIgG1(Calbiochem)を加え、30分間室温で保持した。RNAに結合しなかったヒトIgG1は溶液Aを用いて洗浄除去した。次に、ビーズにサンプルバッファーを加え、65℃で15分加熱し、SDS−PAGEで分析した。6xサンプルバッファーは1.3gドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、3mL 2−メルカプトエタノール、4.2mLグリセリン、1.5mgブロモフェノールブルーを混合して調整した。SDS−PAGEの結果を図32に示す。レーン1はリガンドに配列番号15のアプタマーを用いた場合、レーン2は配列番号17のアプタマーを用いた場合である。上のバンドがIgGの重鎖(H鎖)のバンドで下が軽鎖(L鎖)のバンドである。配列番号15または17で表されるRNAを抗体精製用分離剤のリガンドとして用いることでIgGをプルダウンすることができることがわかる。
Protein Aが結合したビーズ(Amersham Biosciences社製)と遺伝子組み替えによりアルブミン結合領域を除去したProtein A(rProtein A)が結合したビーズ(Amersham Biosciences社製)を10μL取り、20μgのヒトIgG1を加えて同様にIgGの精製をおこなった。溶出液としてpH3グリシンバッファーを用いた。溶出液をSDS−PAGEで分析した結果を図32に示す。レーン3がProtein Aをリガンドにした場合、レーン2がrProtein Aをリガンドにした場合である。アプタマーがProtein Aと同等の性能でIgGをプルダウンできることがわかる。
配列番号15で表されるRNAを用いてヒト血清からヒトIgGが精製できるかどうか調べた。また、中性の溶出液でIgGを溶出することができるかどうか検討した。ストレプトアビジンが結合したセファロースビーズ(Amersham Biosciences社製)を10μLずつ200μLのチューブ(Axygen社製)に入れ、ウシ血清アルブミンでコーティングした。そこに5’末端にビオチンを結合したRNA(ジーンデザイン社製)を約10μg加えて固定化した。結合しなかったRNAを取り除いた後、20μLのヒト血清(Chemicon International社製)を加え、30分間室温で保持した。RNAに結合しなかったヒト血清成分はNaCl−MgClバッファーを用いて洗浄除去した。NaCl−MgClバッファーとは150mM NaCl、2.5mM MgCl、pH7.6 20mM Trisバッファーである。RNAに結合したIgGは中性の溶出液を用いて溶出した。中性の溶出液として(1)200mM KCl+10mM EDTAの混合溶液、(2)200mM KCl+10mM EDTA+10%グリセロールの混合溶液、(3)600mM KCl+10mM EDTA+10%グリセロールの混合溶液を用いた。回収されたIgGの量を調べるために、溶出液をSDS−PAGEで分析した。また、溶出されずにビーズに結合しているIgGの量を調べるために、溶出液を取り除いた後のビーズにサンプルバッファーを加え、65℃で15分加熱し、SDS−PAGEで分析した。SDS−PAGEの結果を図33に示す。レーン2〜4より、アプタマー樹脂を用いて血清からヒトIgGを高純度でプルダウンできることがわかる。また、レーン6〜8でIgGがほとんど検出されていないことより、中性の溶出液を用いることでヒトIgGが溶出できることがわかる。
rProtein Aが結合したビーズを10μL取り、20μLのヒト血清を加えて同様にIgGの精製をおこなった。溶出液としてpH3グリシンバッファーを用いた。溶出液とビーズをSDS−PAGEで分析した結果を図33に示す。IgGの吸着容量に差があるが、アプタマー樹脂がrProtein A樹脂と同程度の純度でIgGを精製することができることがわかる。アプタマー樹脂を用いた場合はIgGを中性で溶出することができる点で、アプタマー樹脂はrProtein A樹脂より優れていると言える。
同様の実験をマウス血清(Chemicon International社製)を用いておこなった。rProtein Aを用いた場合はIgGはプルダウンされてきたが、配列番号15で表されるRNAを用いた場合はプルダウンされてこなかった。本発明の抗体精製用RNAリガンドはヒト抗体のみを高純度で精製することができることがわかる。
配列番号15で表されるRNAが繰り返し抗体精製用分離剤のリガンドとして使用できるかどうか試験した。上記のように、ビオチンが結合した約10μgのRNAを10μLのストレプトアビジンのビーズに固定化し、ヒト血清を加え、中性溶液でIgGを溶出した。その後、50μL 6M尿素で3回ビーズを洗浄し、尿素を取り除くためにNaCl−MgClバッファーで更に3回ビーズを洗浄した後に、再度ヒト血清を20μL加え、中性溶液でIgGを溶出した。これを再度おこない、3回の抗体精製におけるIgGの回収量をSDS−PAGEで確認した(図34)。その結果、プルダウンされたIgGの量は3回の抗体精製において大差ないことがわかった。これは、抗体精製用のRNAリガンドは尿素で洗浄し、再生することができることを示している。同様に0.1MのNaOHで洗浄をおこなった。3回繰り返し精製したが、大きくIgGの回収量が減少することはなかった。
次に、配列番号16で表されるRNAと配列番号17−2で表されるRNAの5’末端にビオチンを結合し、上述のとおりヒト血清からIgGを精製した。その結果、これらのRNAリガンドを用いることでIgGを高純度に精製できることがわかった(図35)。
以上より、RNAアプタマーをリガンドとして用いることで中性条件でヒト血清からヒトIgGを効率よくかつ高純度に精製できることがわかった。
[実施例10] チオールカップリングにより固定化されたRNAアプタマーを用いたIgG精製法に関する実験
配列番号15で表されRNAをチオールカップリングでビーズに固定化して実施例9同様のプルダウン実験をおこなった。配列番号15で表されるRNAの5’末端にC18のリンカーを挟んでチオール基を結合させた(ジーンデザイン社製)。このRNA約20μgをActivated Thiol Sepharoseビーズ(Amersham Bioscience社製)10μLに固定化した。固定化は仕様書にそっておこなった。固定化量は固定する前のRNAの量と固定化直後の上清中のRNAの量を吸光度計で測定することで見積もった。その結果、カップリングに用いたRNAの90%以上のRNAが固定化されることがわかった。このRNAアプタマービーズを用いて実施例9同様にプルダウン実験をおこなった。ビーズ10μgに対してヒト血清を5μLおよび10μL加え、洗浄、中性溶出液による溶出をおこない、SDS−PAGEで分析した(図36)。その結果、IgGが高純度にプルダウンされることが示された(図36レーン2、3)。
実施例9同様にrProtein Aビーズを用いたプルダウン実験もおこなった。rProtein Aビーズ10μLに対してヒト血清を5μL加え、洗浄後、SDS−PAGE用サンプルバッファーを加えて65℃15分加熱し、SDS−PAGEで分析した(図36レーン5)。
本プルダウン実験の結果より、チオールカップリングにより固定化したRNAアプタマービーズを用いることで、中性条件でヒト血清からヒトIgGを効率よくかつ高純度に精製できることがわかった。
[実施例11] アミノカップリングにより固定化されたRNAアプタマーを用いたIgG精製法に関する実験
RNAの5’末端にC12のリンカーを挟んでアミノ基を結合させ、RNAをアミノカップリングにより樹脂上に固定化した。アミノ基を結合したRNAは化学合成により作製した(ジーンデザイン社製)。RNAの固定化にはTresyl−TOYOPEARL樹脂(東ソー社製)を用いた。樹脂1mlあたり10mgのRNAを使用することで、約8mgのRNAを固定化した。固定化量はカップリング前後の上清中のRNAの量を吸光度計で測定することにより求めた。このアプタマー樹脂を用いて実施例9と同様にヒト血清からIgGのプルダウン実験をおこなった。リガンドとして、配列番号15(図37)、及び配列番号17−7、17−8、17−7−107、15で表されるRNA(図38)を用いた。その結果、これらのどのアプタマー樹脂からもrProtein A樹脂と同等の純度でIgGがプルダウンされることが示された(図37、38)。
実施例9でアプタマー樹脂を用いた場合、200mM KCl+10mM EDTAの中性溶出液でIgGを溶出できることを示した。ここではアミノカップリングにより固定化された配列番号17−7で表されるアプタマー樹脂を用いて、異なる成分の中性溶出液によるIgG溶出実験をおこなった。溶出液として(1)200mM KCl+10mM EDTA+pH7.6 10mM Tris、(2)200mM KCl+pH7.6 10mM Tris、(3)300mM NaCl+10mM EDTA+pH7.6 10mM Tris、(4)10mM EDTA+pH7.6 10mM Trisを用いた。実施例9と同様にヒト血清からIgGをプルダウンし、上記溶出液で溶出したものをSDS−PAGEを用いて分析した。その結果、KClまたはEDTAのみでIgGを溶出できることがわかった(図39)。
1M NaCl溶液でIgGを溶出することができるか検討した。核酸は負電荷を帯びているので、タンパク質との結合にはイオン結合が重要であると一般に考えられている。よって、タンパク質との結合を切るには高塩濃度の溶液を用いればよい。1MNaCl溶液を溶出液として上述と同様な実験をおこなったが、溶出液中にIgGは検出されず、そのほとんどがアプタマー樹脂に吸着したままであった。高濃度のNaCl存在化でアプタマーとIgGが結合していることを確認するために表面プラズモン共鳴法を用いた実験をおこなった。ランニングバッファーに500mMNaCl+2mMMgCl+10mM pH7.6Tris混合液を用いた。その結果、500mMのNaCl存在下でも全く結合活性が低下していないことがわかった。
以上より、アプタマー樹脂に結合したIgGは200mMKCl溶液では溶出できるが、1MNaCl溶液では溶出できないことがわかった。
次に、アプタマー樹脂の加熱による再生および滅菌に関する実験をおこなった。既に3回使用済みの配列番号17−17または17−18で表されるアプタマー樹脂を(1)超純水を加え85℃で5分間加熱または(2)6M尿素を加え65℃で15分間加熱し、再度プルダウン実験をおこなった。ヒト血清は10μL使用し、溶出液として200mM KCl+10mM EDTA+pH7.6 10mM Tris溶液を用いた。溶出液をSDS−PAGEで分析したところ、(1)および(2)による加熱処理によってアプタマー樹脂がほとんど劣化していないことがわかった(図40)。
IgGを動的状態で精製できるかどうか調べた。アプタマー樹脂100μLを小型カラム(MoBiTec/mobicols)に充填し、ヒト血清100μLを加えた。その後すぐに溶液Aをシリンジを用いて加え、樹脂を洗浄した(溶液A:4mL、流速約1mL/min)。次に、中性溶出液を用いてアプタマーリガンドに結合したIgGを溶出した(中性溶出液:2mL、流速約1mL/min)。溶出された画分をSDS−PAGEを用いて調べたところ、IgGが溶出されていることが確認された。また、それぞれの画分の吸光度を測定しIgGの動的精製量を求めたところ、一回の精製で樹脂1mLあたり3.5mgのIgGが精製できることがわかった。
[実施例12] 樹脂結合型オリゴを用いたIgGのプルダウン実験
上述までは化学合成により作製したアプタマーをpolyA−polydT結合、ビオチンーストレプトアビジン結合、チオールカップリング、アミノカップリングにより樹脂上に固定化して使用していた。しかし、核酸は樹脂に固定化した状態で合成し、合成後に樹脂から切り離して使用している。そこで、樹脂からの切り離しと樹脂への再結合過程を短縮する目的で、合成終了後に核酸を樹脂から切り離さないでそのままプルダウン実験に使用した(樹脂結合型オリゴ)。樹脂結合型オリゴは配列番号15で表されるRNAをOligo affinity support(Glen Research社製)上で合成したものを使用した(ジーンデザイン社製)。樹脂10μLにヒト血清10μLを加えてIgGをプルダウンし、中性溶出液で溶出したところ、IgGが高純度で精製された(図41)。
[実施例13] キメラ抗体に対する結合活性の評価
遺伝子組換え技術を用いて作製された医薬品用の抗体に対して本アプタマーが結合活性を有しているかどうか、表面プラズモン共鳴法を用いて確認した。抗体には医薬品として使用されているリツキサン(ロッシュ社製)を、リガンドに配列番号17−7で表される核酸を用いた。測定の結果、配列番号17−7で表される核酸はリツキサンに対して結合活性を有していることがわかった(図42)。
本発明によりIgGに対して結合能を有する核酸リガンドが提供される。本発明により提供される核酸リガンドはIgGに対して高い結合活性と特異性を保持している。また、化学合成できることから容易にヌクレオチド配列を変えたり修飾を加えたりすることができる。そのため、抗体を医薬・試薬・診断薬に利用する場合に、各々のニーズに合わせて結合活性や安定性を変化させたり、蛍光物質や抗癌剤などを結合させて新たな機能を加えることが容易である。又、近年ヒト化した単クローン抗体が分子標的医薬として実用化され世界的に抗体製剤の開発が進められている。そのため、現在抗体精製に使用されているProtein A樹脂分離剤にかわる高機能性分離剤の開発が期待され、その分離剤市場も500億円程度に達すると予想される。本発明により提供される核酸リガンドは抗体精製用分離剤のリガンドとして使用することが可能で、目的の抗体を中性条件で簡便に高純度に精製することができる。これは、従来のProtein Aを用いた酸性条件での精製と大きく異なり、精製中に抗体が失活する可能性が少ない。また、本発明により提供される核酸リガンドは抗体と蛍光物質や酵素を結合するための新規のリンカー、基板や樹脂に抗体を固定するための新規の固定化剤、さらに抗体と抗癌剤や毒素を結合するための新規のリンカーとして汎用的に利用が可能である。本発明は抗体に関する新規な分離剤、試薬、医薬の産業化と研究用ツールとして汎用的な利用が期待でき、その経済効果も大きい。
本出願は、2005年7月5日に日本で出願された特願2005−195717、及び2005年12月12日に米国で出願された米国仮出願US60/749,026を基礎としており、その内容は本明細書中に援用される。
[配列表]

Claims (21)

  1. ヒトIgGのFc部分に対して結合するアプタマーであって、
    以下(I)〜(III):
    〔式中、N 、N 、N 、N 、N はそれぞれ、同一又は異なって、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドであり、
    及びN は互いに相補的なヌクレオチドであり、
    及びN は互いに相補的なヌクレオチドであり、
    (i)GGUG(C/A)(U/T)における各ヌクレオチド(但し、3番目のUを除く)、(ii)AN Cにおける各ヌクレオチド、(iii)N 〜N の各ヌクレオチドがそれぞれ、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドであるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、水素原子、フッ素原子又は−O−Me基で置換されているヌクレオチドであり、
    GGUG(C/A)(U/T)における3番目のUが、リボースの2’位において、ヒドロキシル基がフッ素原子で置換されているヌクレオチドである〕のいずれかで表される潜在的二次構造を有する、アプタマー。
  2. (I)〜(III)のいずれかで表される潜在的二次構造を有するアプタマーが、以下(I’)〜(III’):
    〔式中、N、N、N、N、Nはそれぞれ、請求項と同義である〕のいずれかで表される潜在的二次構造を有する、請求項記載のアプタマー。
  3. ヒトIgGのFc部分に対して結合するアプタマーであって、
    以下(Ia)〜(IIIa):
    〔式中、N、N、N、N、N、N、Nはそれぞれ、同一又は異なって、A、G、C、U及びTからなる群より選ばれるヌクレオチドであり、
    及びNは互いに相補的なヌクレオチドであり、
    及びNは互いに相補的なヌクレオチドであり、
    及びNは互いに相補的なヌクレオチドであり、
    (i)GGUG(C/A)(U/T)における各ヌクレオチド(但し、3番目のUを除く)、(ii)ANCにおける各ヌクレオチド、(iii)N〜Nの各ヌクレオチドがそれぞれ、リボースの2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドであるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、水素原子、フッ素原子又は−O−Me基で置換されているヌクレオチドであり、
    GGUG(C/A)(U/T)における3番目のUが、リボースの2’位において、ヒドロキシル基がフッ素原子で置換されているヌクレオチドであるのいずれかで表される潜在的二次構造を有する、アプタマー。
  4. (Ia)〜(IIIa)のいずれかで表される潜在的二次構造を有するアプタマーが、以下(Ia’)〜(IIIa’):
    〔式中、N、N、N、N、N 、N 、N はそれぞれ、請求項と同義である〕のいずれかで表される潜在的二次構造を有する、請求項記載のアプタマー。
  5. 、Nはそれぞれ、2’位においてヒドロキシル基が水素原子又は−O−Me基で置換されているヌクレオチドであり、N、Nはそれぞれ、2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドである、請求項3又は4記載のアプタマー。
  6. がAであり、N がUである、請求項1〜5のいずれか1項記載のアプタマー。
  7. がCであり、N がGである、請求項1〜6のいずれか1項記載のアプタマー。
  8. (Ia’)〜(IIIa’)のいずれかで表される潜在的二次構造を有するアプタマーが、以下(Ia’’’)〜(IIIa’’):
    のいずれかで表される潜在的二次構造を有する、請求項記載のアプタマー。
  9. 以下(a)〜(c)のいずれかであり、ヒトIgGのFc部分に対して結合する、請求項1〜8のいずれか1項記載のアプタマー:
    (a)配列番号1〜18および20〜22のいずれかで表されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)からなるアプタマー;
    (b)配列番号1〜18および20〜22のいずれかで表されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)において、GGUGCU及びAAC(但し、配列番号14においては26〜28番目のAAC)を除く〜4個のヌクレオチドが置換、欠失、挿入又は付加されたヌクレオチド配列からなるアプタマー;
    (c)該(a)の連結物、該(b)の連結物、及び該(a)及び(b)の連結物からなる群より選ばれる連結物。
  10. 以下(a)〜(c)のいずれかであり、ヒトIgGのFc部分に対して結合する、請求項1〜8のいずれか1項記載のアプタマー:
    (a)総ヌクレオチド数が40個以下であって、配列番号13〜18のいずれかで表されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)からなるアプタマー;
    (b)総ヌクレオチド数が40個以下であって、配列番号13〜18のいずれかで表されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)において、GGUGCU及びAAC(但し、配列番号14においては26〜28番目のAAC)を除く1〜4個のヌクレオチドが、置換、欠失、挿入又は付加されたヌクレオチド配列からなるアプタマー;
    (c)該(a)の連結物、該(b)の連結物、及び該(a)及び(b)の連結物からなる群より選ばれる連結物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項記載のアプタマー及びそれに結合した標識用物質、酵素、薬物、毒素又は薬物送達媒体を含む複合体。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項記載のアプタマーあるいは請求項11記載の複合体が固定化された固相担体。
  13. 固相担体が、基板、樹脂、プレート、フィルター、カートリッジ、カラム又は多孔質材である、請求項12記載の固相担体。
  14. 請求項12又は13記載の固相担体を含む医療用機器。
  15. 医療用機器が血液浄化用機器である、請求項14記載の機器。
  16. 請求項1〜10のいずれか1項記載のアプタマー、請求項11記載の複合体あるいは請求項12又は13記載の固相担体を含む、診断用又は検査用試薬。
  17. 請求項1〜10のいずれか1項記載のアプタマーあるいは請求項11記載の複合体を含む、医薬。
  18. 請求項12又は13記載の固相担体にヒトIgGを吸着させ、吸着したヒトIgGを溶出液により溶出させることを含む、抗体精製又は濃縮方法。
  19. 溶出液が中性溶液である、請求項18記載の方法。
  20. ヒトIgGを作製し、作製されたヒトIgGを請求項12又は13記載の固相担体により精製することを含む、精製抗体の製造方法。
  21. 請求項1〜10のいずれか1項記載のアプタマー、請求項11記載の複合体あるいは請求項12又は13記載の固相担体を用いて、試料中のヒトIgGの有無及び/又は量を測定することを含む、ヒトIgGの検出及び/又は定量方法。
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