JP4909437B2 - ボルトの検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ボルトの検査方法に関するものであり、特に寒冷地に設置される風車用として使用の可否を判別することができるボルトの検査方法に関するものである。
風力発電装置用の風車に使用されるボルトは、高強度、高靭性が要求される。そのため、風車に使用されるボルト用の鋼材としては、高強度、高靭性を確保できる合金であるクロムモリブデン鋼が使用されることが多い。クロムモリブデン鋼は、炭素鋼(Fe+C)にクロム(Cr)を添加し焼き入れ性を向上させた上で、さらにモリブデン(Mo)を添加することにより一層焼き入れ性を向上させた合金で、焼き戻しによる軟化も起こりにくく、焼き戻し脆さも少ない。
前記風車に使用されるボルトの鋼材としてのクロムモリブデンの一例として、質量%での成分比において、0.33%以上0.38%以下のC、0.15%以上0.35%以下のSi、0.60%以上0.85%以下のMn、0.90%以上1.20%以下のCr、0.15〜0.30%以上のMoを含有し、Pを0.03%以下、Sを0.03%以下に制限した鋼材を挙げることができる。
このようなクロムモリブデン鋼を使用して作成したボルトは、非寒冷地に設置される風車に使用するには充分な強度、靭性を有しており、特に問題はない。
一方、周囲の温度が−40℃程度となるような寒冷地に設置される風車では、靱性の指標として−20℃におけるシャルピー衝撃エネルギーで27[J]以上を満たすボルトを使用することが要求される。しかし、クロムモリブデン鋼を使用して複数のボルトを作成すると、一部のボルトは前記−20℃におけるシャルピー衝撃エネルギー27[J]以上を満足するものの、一部のボルトは前記−20℃におけるシャルピー衝撃値27[J]以上を満足しないことが判明しており、クロムモリブデン鋼を使用して作成したボルトを寒冷地に設置される風車用のボルトとして使用することはできない。
そこで、寒冷地用の風車に使用するボルトの鋼材として、前記クロムモリブデン鋼に代えて、低温靭性の高い鋼材を使用することが考えられる。
前記低温靭性の高い鋼材として、例えば特許文献1(特開平8−67950号公報)に開示された強度及び靭性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼を使用することが考えられる。これは、C含有量が0.05〜1.5質量%、Si含有量が2質量%以下、Mn含有量が2質量%以下及びCr含有量が10〜20質量%であり、マトリックス中に粒径2μm以下の微細炭化物を1〜30体積%の割合で均一分散させ、旧オーステナイト粒径を30μm以下に微細化することによってマルテンサイト系ステンレス鋼の靭性を改善した鋼材である。
しかし、特許文献1に開示されている鋼材は、多量のCrを添加する必要があり、ボルト用鋼材の高強度化に寄与する鉄系の焼き戻し炭化物が析出成長せず、高強度化が困難である。そのため、寒冷地用の風車に使用するボルトの鋼材として使用することは難しい。
また、仮に寒冷地用の風車に使用するボルトの鋼材としての使用に耐えうる材料であっても、該材料を、非寒冷地用のボルトの鋼材として使用するクロムモリブデン鋼と平行して使用することは、寒冷地用の風車に使用するボルトの鋼材と、非寒冷地用に使用するボルトの鋼材とを別個の設備で製造する必要があり、設備のイニシャルコスト及びランニングコストが増大する。
そこで、前述のように、クロムモリブデン鋼を使用して作成したボルトは、寒冷地用風車で使用されるボルトに要求される前記−20℃におけるシャルピー衝撃エネルギー27[J]を満足するものと、満足しないものが混在していることを利用し、寒冷地用に使用できるボルトと寒冷地用に使用できないボルトに振り分けることが考えられる。
前記振り分けを行うためには例えば、作成されたボルトのロット毎に1つづつボルトを抜き出して、該抜き出したボルトに対してシャルピー衝撃試験を実施して、前記シャルピー衝撃値を満足すれば該当ロットのボルトは寒冷地用として使用可能、満足しなければ該当ロットのボルトは寒冷地用として使用不可能と振り分けを行う方法が挙げられる。
これにより、寒冷地用と非寒冷地用のボルトの鋼材を別個の設備で製造する必要はなく、設備のイニシャルコスト及びランニングコストが増大することなく、寒冷地用と非寒冷地用のボルト用の鋼材を準備することができる。
しかしながら、シャルピー衝撃試験は、切り欠きの入った角柱状の試験片に対して高速で衝撃を与えることで試験片を破壊し、破壊するために要したエネルギーによって、試験片の靭性を評価するための衝撃試験である。そのため、ボルトに対してシャルピー衝撃試験を行うためには、ボルトを切断して角柱状の試験片に加工する必要があり、煩雑で時間がかかる作業が必要となる。従って、前記クロムモリブデン鋼を使用して作成したボルトに対してシャルピー衝撃試験を実施し、該シャルピー衝撃試験の結果に基づいて、寒冷地用としての使用可であるか否かを分類することは、長時間の作業を伴うため工程の管理が煩雑となる。
さらに、このようにしてシャルピー衝撃試験によって寒冷地用としての使用可否を判別する方法では、製造されたボルトは、シャルピー衝撃試験を実施されるまで寒冷地用として使用可能か否かの判断が不可能であるため、製造されたボルト中の寒冷地用で使用可能なボルトの混在割合によっては寒冷地用として使用するボルトの必要数を確保できない可能性がある。
本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、クロムモリブデン鋼を使用して作成したボルトを、煩雑な作業を行うシャルピー衝撃試験を実施することなく、寒冷地用に使用できるボルトと、寒冷地用に使用できないボルトに振り分けることができる風力用ボルトの検査方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明においては、熱処理を施されたクロムモリブデン鋼を使用して作成したボルトを、寒冷地での使用の可否を判別するボルトの検査方法において、前記クロムモリブデン鋼の鋼材検査証明書に記載されたリン(P)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、スズ(Sn)それぞれの含有率(質量%)であるP%、Si%、Mn%、Sn%を用いて
J=(Si%+Mn%)×(P%+Sn%)×10
で計算されるJパラメータと、ボルト径を用いて、寒冷地での使用の可否を判別することを特徴とする。
ここで、鋼材検査証明書とは、鋼材を製造したメーカーが該鋼材の検査結果を証明した証明書であり、少なくともリン(P)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、スズ(Sn)それぞれの含有率(質量%)が記載されている必要がある。
前記ボルトの寒冷地での使用の可否は、従来より靱性の指標として知られていたシャルピー衝撃値によって判断することができる。
発明者は、クロムモリブデン鋼においては、Jパラメータとボルト径とが、前記シャルピー衝撃値の指標となることを見出し、Jパラメータとボルト径とを用いてボルトの寒冷地での使用の可否を判断できることを見出した。
Jパラメータとボルト径とを用いてボルトの寒冷地での使用の可否を判断することによって、手順が複雑で時間を要するシャルピー衝撃試験を実施する必要がなく、検査時間の短縮化が可能となり、工程を簡素化することができる。
さらに、前記Jパラメータを求めるために、鋼材検査証明書に記載されたリン(P)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、スズ(Sn)それぞれの含有率(質量%)を用いることで、鋼材の分析等を行うことなくJパラメータを求めることができるため、より短時間でJパラメータを求めることができる。
また、寒冷地で使用するボルトの最大ボルト径の、寒冷地での使用可能であると判断されるJパラメータの最大値を求め、前記Jパラメータが前記最大値以下、且つボルト径が前記D以下であるボルトを寒冷地での使用可能と判断することを特徴とする。
前記最大値を求めておけば、Jパラメータのみでボルトの寒冷地での使用の可否を判断することができるため、さらに検査時間の短縮化が可能となる。
また、ボルト径は前記最大値を求める際にのみ使用し、個々のボルトの寒冷地での使用可否の判断に使用することはなく、さらにJパラメータは、ボルトの製造前に鋼材検査証明書に記載されたSi、Mn、P、Snの4成分の含有率(質量%)を用いて計算することができるので、製造されたボルトの寒冷地用としての使用の可否を靱性の面に関しては鋼材の時点で判断することができる。
また、前記熱処理条件によって、該焼き入れ時における冷却方法が油冷か水冷かによって前記Jパラメータの最大値を異ならせたことを特徴とする。
水冷よりも油冷の方が冷却速度が遅いため、水冷で急冷したボルトよりも油冷で急冷したボルトの方が靱性が低下し、シャルピー衝撃値も大きくなる。そのため、前記冷却方法が油冷か水冷かによって前記Jパラメータの最大値を異ならせることで、より正確にボルトの寒冷地での使用の可否を判断することができる。
以上記載のごとく本発明によれば、クロムモリブデン鋼を使用して作成したボルトを、煩雑な作業を行うシャルピー衝撃試験を実施することなく、寒冷地用に使用できるボルトと、寒冷地用に使用できないボルトに振り分けることができる風力用ボルトの検査方法を提供することができる。
第1図は、焼き入れ時に油冷を使用して作成したボルトのvEave=27[J]を達成する温度とボルトの体格との関係をJパラメータごとにまとめたグラフである。
第2図は、焼き入れ時に水冷を使用して作成したボルトのvEave=27[J]を達成する温度とボルトの体格との関係をJパラメータごとにまとめたグラフである。
第3図は、焼き入れ時に水冷を使用してクロムモリブデン鋼で作成したボルトのvEave=27[J]を達成する温度とJパラメータとの関係をまとめたグラフである。
第4図は、本実施例におけるボルトの検査方法の手順を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
本発明者は、質量%での成分比において、0.33%以上0.38%以下のC、0.15%以上0.35%以下のSi、0.60%以上0.85%以下のMn、0.90%以上1.20%以下のCr、0.15〜0.30%以上のMoを含有し、Pを0.03%以下、Sを0.03%以下に制限したクロムモリブデン鋼を使用して作成されたボルトのシャルピー衝撃値に大きな影響を与える要素について検討を行った。その結果、クロムモリブデン鋼中のPの含有量P%(質量%)、Siの含有量Si%(質量%)、Mnの含有量Mn%(質量%)、Snの含有量Sn%(質量%)を用い、
J=(Si%+Mn%)×(P%+Sn%)×10 ・・・(1)
で表されるJパラメータが、ボルトのシャルピー衝撃値の指標となることを見出した。
なお、前記Si%、Mn%、P%、Sn%は鋼材の鋼材検査証明書に記載されている値を使用した。
前記Jがボルトのシャルピー衝撃値の指標となることを見出した検討結果について説明する。
溶製した前述の成分比を有するクロムモリブデン鋼を圧延し、軟化焼鈍した後、伸線し、ボルト形状に成形した後、加熱後油中で急冷する焼き入れ処理を行い、再加熱後一定時間保持してから徐冷する焼戻し処理を行った鋼材を使用して、ボルトを作成した。ボルトは以下の21種類を作成した。
J=100であり、ボルトの体格がそれぞれ28、30、32、35、36、38、40mmの7種類
J=200であり、ボルトの体格がそれぞれ28、30、32、35、36、38、40mmの7種類
J=300であり、ボルトの体格がそれぞれ28、30、32、35、36、38、40mmの7種類
ここで、ボルトの体格とは、ボルトの軸部の径を意味している。
以上の21種類のボルトに対し、シャルピー衝撃試験を実施し、環境温度が約−40℃となる寒冷地用のボルトに要求されるシャルピー衝撃値(vEave)=27[J]を満たす温度を調べた。結果を図1に示す。
図1は、焼き入れ時に油冷を使用して作成したボルトのvEave=27[J]を達成する温度とボルトの体格との関係をJパラメータごとにまとめたグラフである。図1において、縦軸はvEave=27[Jを達成する温度(℃)、横軸はボルトの体格(mm)である。
図1に示した通り、Jパラメータが同じボルトでは、ボルトの体格が大きくなるほどvEave=27[J]を達成する温度が高くなる傾向が見られた。
またボルトの体格が同じボルトでは、Jパラメータが大きくなるほどvEave=27[J]を達成する温度が高くなる傾向が見られた。
図1から、Jパラメータ=100では、ボルトの体格28mm〜40mmのすべてのボルトで、vEave=27[J]を達成する温度が−100℃〜−80℃の範囲であり、ボルトの体格40mm以下のボルトは寒冷地用として使用可能であることが分かる。またJパラメータ=200では、ボルトの体格28mm〜38mmのボルトはvEave=27[J]を達成する温度が−20℃以下であって、ボルトの体格が38mm以下であれば寒冷地用として使用可能であることがわかる。Jパラメータ=300では、ボルトの体格28mm〜40mmのすべてのボルトで、27[J]を達成する温度が−20℃よりも高く、ボルトの体格28mm以上では寒冷地用として使用できないことがわかる。
次に、溶製した前述の成分比を有するクロムモリブデン鋼を圧延し、軟化焼鈍した後、伸線し、ボルト形状に成形した後、加熱後水中で急冷する焼き入れ処理を行い、再加熱後一定時間保持してから徐冷する焼戻し処理を行った鋼材を使用して、ボルトを作成した。ボルトは以下の21種類を作成した。
J=100であり、ボルトの体格がそれぞれ28、30、32、35、36、38、40mmの7種類
J=200であり、ボルトの体格がそれぞれ28、30、32、35、36、38、40mmの7種類
J=300であり、ボルトの体格がそれぞれ28、30、32、35、36、38、40mmの7種類
該21種類のボルトは、前述の図1のグラフを作成する際に使用したボルトとは、焼き入れ処理時の急冷方法が異なる他は同じ方法で製造したものである。
以上の21種類のボルトに対し、シャルピー衝撃試験を実施し、シャルピー衝撃値(vEave)=27[J]を満たす温度を調べた。結果を図2に示す。
図2は、焼き入れ時に水冷を使用して作成したボルトのvEave=27[J]を達成する温度とボルトの体格との関係をJパラメータごとにまとめたグラフである。図2において、縦軸はvEave=27[J]を達成する温度(℃)、横軸はボルトの体格(mm)である。
図2に示したとおり、Jパラメータが同じボルトでは、ボルトの体格が大きくなるほどvEave=27[J]を達成する温度が高くなる傾向が見られた。またボルトの体格が同じボルトでは、Jパラメータが大きくなるほどvEave=27[J]を達成する温度が高くなる傾向が見られた。
Jパラメータ=100では、ボルトの体格32mm以下のボルトで、vEave=27[J]を達成する温度が−20℃以下であって、ボルトの体格が32mm以下であれば寒冷地用として使用可能であることが分かる。またJパラメータ=200及びJ=300では、ボルトの体格28mm〜40mmのすべてのボルトでvEave=27[J]を達成する温度が−20℃以下であって、ボルトの体格40mm以下のボルトは寒冷地用として使用可能であることがわかる。
また、鋼材の焼き入れ時の急冷方法が油冷か水冷かが異なり、ボルトの体格とJパラメータが同じボルト同士のvEave=27[J]を達成する温度を比較すると、焼き入れ時の急冷方法が水冷である方が低温である傾向が見られる。例えば図1と図2を参照し、Jパラメータ=200、ボルトの体格36mmにおけるvEave=27[J]を達成する温度は、図1に示した油冷で急冷したボルトでは約−35℃であるのに対し、図2に示した水冷で急冷したボルトでは約−55℃である。このことから、焼き入れ時の急冷方法が油冷である場合よりも、水冷である場合の方が高靱性を有するボルトを作成することができるといえる。
焼き入れ時の急冷方法が水冷である方が低温である傾向は、Jパラメータ、ボルトの体格に関わらず見られる。これは、水冷よりも油冷の方が冷却速度が遅いため、水冷で急冷したボルトよりも油冷で急冷したボルトの方が靱性が低下しているためと考えられる。
次に、寒冷地で使用する風車用のボルトとして、ボルト体格36mm以下のボルトを採用する場合において、Jパラメータに注目してさらに検討を継続した。
焼き入れ時の急冷方法が水冷である図2に示したデータのうち、ボルトの体格36mmのデータに注目し、図3にまとめた。
図3は、焼き入れ時に水冷を使用してクロムモリブデン鋼で作成したボルトのvEave=27[J]を達成する温度とJパラメータとの関係をまとめたグラフである。図3において、縦軸はvEave=27[J]を達成する温度(℃)、横軸はJパラメータである。
図3から分かるように、JパラメータとvEave=27[J]を達成する温度とは比例の関係にあり、Jパラメータが大きくなるにつれてvEave=27[J]を達成する温度も大きくなる。
前述の通り、環境温度が−40℃程度となるような寒冷地に設置される風車では、−20℃におけるシャルピー衝撃値vEaveが27[J]以上であるボルトが要求される。図3にまとめた焼き入れ時に水冷で急冷したボルトの体格36mmのボルトにおいては、−20℃におけるvEave=27[J]以上であるためには、Jパラメータが250以下であればよいことがわかる。
さらに、ボルトの体格36mm未満のボルトについて考える。図2から分かるように、ボルトの体格36mm未満のボルトはボルトの体格36mmのボルトよりも高靱性であるから、Jパラメータ≦250を満たせば、ボルトの体格36mm以下のボルト全てで−20℃におけるvEave=27[J]以上を満たすことができるといえる。即ち、寒冷地で使用する風車用のボルトとして採用する最大のボルトの体格36mmで、−20℃におけるvEave=27[J]以上を満たすJパラメータ≦250を満たせば、ボルトの体格によらず寒冷地で使用する風車用のボルトとして採用することができるといえる。
従って、ボルトの体格を測定する必要がなく、鋼材中のSi、Mn、P、Snの4成分の含有率(質量%)が分かればJパラメータを計算でき、寒冷地で使用する風車用のボルトとして使用可能か否か判断できる。
特に、前記鋼材中のSi、Mn、P、Snの4成分の含有率(質量%)は、鋼材の鋼材検査証明書に記載されており、前記含有率の測定を行う必要がない。
なお、寒冷地で使用する風車用ボルトの体格の上限を36mmとすることは一例に過ぎず、寒冷地で使用する風車用のボルトの体格の上限を他の大きさとする場合も、ボルトの体格の上限36mmの場合に図3を用いてJパラメータの上限値250を求めた方法と同様に、ボルトの体格の上限におけるJパラメータの上限値を求めておくことで、Jパラメータから寒冷地で使用する風車用のボルトとして使用可能か否かが判断できる。
また、焼き入れ時に水冷でなく油冷を実施した鋼材を使用する場合は、水冷を行った場合と別にJパラメータの上限値を求めておく必要がある。
次に、寒冷地で使用する風車用のボルトとして、焼き入れ時に水冷を使用したクロムモリブデン鋼を鋼材として使用し、ボルトの体格36mm以下、且つ−20℃におけるシャルピー衝撃値が27[J]以上であるボルトを採用する場合のボルト検査方法について説明する。
図4は、本実施例におけるボルトの検査方法の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS1でJパラメータの上限を設定する。ここでは、図3を用いて説明したようにJ=250が上限である。
次にステップS2で鋼材(焼き入れ時に水冷を使用したクロムモリブデン鋼)を入手する。通常、前記鋼材は鋼材メーカーから購入するものであり、鋼材メーカーからは必ず鋼材とともに該鋼材におけるSi、Mn、P、Snの4成分の含有率(質量%)が記載された鋼材検査証明書を入手する。
ステップS2で鋼材を入手すると、ステップS3で前記鋼材検査証明書に記載されたSi、Mn、P、Snの4成分の含有率(質量%)から当該鋼材におけるJパラメータを計算し、ステップS4でJ≧250か否か判断する。
ステップS4でNoと判断されると、当該鋼材を用いて製造されたボルトは寒冷地用として使用できないため、ステップS5でボルトを製造し、ステップS6で製造されたボルトの体格に関わらず非寒冷地用のボルトとして採用する。
ステップS4でYesと判断されると、ステップS7でボルトを製造する。
ステップS8では、ステップS7で製造されたボルトの体格を測定し、ボルトの体格≦36mm以下であるか否か判断する。
ステップS8でNoと判断されると、ボルトの体格が寒冷地で使用する風車用のボルトとしての規格を満たさないため、ステップS9で非寒冷地用のボルトとして採用する。
ステップS8でYesと判断されると、寒冷地用のボルトとして採用する。
以上のようにして、予めJパラメータの上限値を設定しておき、鋼材検査証明書に記載されたSi、Mn、P、Snの4成分の含有率(質量%)を用いてJパラメータを計算することで、製造されたボルトの寒冷地用としての使用の可否を簡単に判断することができる。
また、鋼材検査証明書に記載された前記含有率を計算に使用することで、鋼材の分析等を行う必要もない。
さらに、ボルトの製造前、即ち鋼材を導入した時点でJパラメータの計算ができるので、図4におけるステップ4までで靱性の面においては鋼材を導入した時点で寒冷地用としての使用の可否を判断することができる。従って、鋼材を導入した時点で寒冷地用として使用できるボルトの存在割合を予測することが可能であり、必要に応じて鋼材を追加発注するなどの対応を早めにとることができ、寒冷地用として使用するボルトの必要数を確保できなくなる可能性を低減することができる。
クロムモリブデン鋼を使用して作成したボルトを、煩雑な作業を行うシャルピー衝撃試験を実施することなく、寒冷地用に使用できるボルトと、寒冷地用に使用できないボルトに振り分けることができる風力用ボルトの検査方法として使用することができる。

Claims (3)

  1. 熱処理を施されたクロムモリブデン鋼を使用して作成したボルトを、寒冷地での使用の可否を判別するボルトの検査方法において、
    前記クロムモリブデン鋼の鋼材検査証明書に記載されたリン(P)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、スズ(Sn)それぞれの含有率(質量%)であるP%、Si%、Mn%、Sn%を用いて
    J=(Si%+Mn%)×(P%+Sn%)×10
    で計算されるJパラメータと、ボルト径を用いて、寒冷地での使用の可否を判別することを特徴とするボルトの検査方法。
  2. 寒冷地で使用するボルトの最大ボルト径での、寒冷地での使用可能であると判断されるJパラメータの最大値を求め、
    前記Jパラメータが前記最大値以下、且つボルト径が前記最大ボルト径以下であるボルトを寒冷地での使用可能と判断することを特徴とする請求項1記載のボルトの検査方法。
  3. 前記熱処理は焼き入れを含み、該焼き入れ時における冷却方法が油冷か水冷かによって前記Jパラメータの最大値を異ならせたことを特徴とする請求項2記載のボルトの検査方法。
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