JP4908707B2 - マイクロ波加熱中の重量測定誤差を修正する方法 - Google Patents

マイクロ波加熱中の重量測定誤差を修正する方法 Download PDF

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Description

【0001】
発明の分野
本出願は、同時係属出願され、そして一般に譲渡される特許出願第09/398,129号(Microwave Volatilities Analyzer with High Efficiency Cavity)および同第09/397,825号(Microwave Appratus and Method for Achieving Acculate Weight Measurements)(いずれも本出願と同時に出願されている)に関連する。
【0002】
本発明は、試料物質の重量を加熱前、加熱中、および加熱後に測定する方法に関する。とくに、本発明は、空気密度勾配によってもたらされる重量の偏りを考慮することによって、見かけの重量を真の重量に修正することによる重量測定値の精度向上に関する。
発明の背景
試料固形分または試料水分の測定は日常的な実験室の測定である。多数の農産物、食品、および製品(たとえば、織物、フィルム、コーティング、紙、および塗料)は固形分又は水分に基づいて販売されている。したがって、固形物及び水分の分析の行われることが多い。残念なことに、通常の方法を用いて水分および固形分をモニターする方法は極めて時間を要する。たとえば、固形分を得るために対流オーブンで試料を乾燥するには4時間以上を要し、典型的には乾燥した試料の乾燥保存を必要とする。
【0003】
しかし、種々の物質(たとえば、農産物、食品、酪農製品、薬品、紙製品、及びタバコ)の定量分析を促進させるために、水分または溶剤を蒸発させる高速分析法がある。これらの方法は物質試料を加熱して種々の揮発分を除くために、マイクロ波エネルギーを用いることが多い。その後、水分、固形物、または他の残留物及び減量を求めることができる。このような重量測定値を迅速かつ正確に得るためには、試料を、天秤から取り出さないで、むしろ各逐次工程後に適切に秤量する。このような自動化は人間の誤差の可能性を減少させる。
【0004】
物体の重量は、マイクロ波加熱中に加熱試料から揮発分を除きながら、反復して検知または測定されることが多い。したがって、該方法には感度の良い化学天秤だけでなく試料の熱い間に重量を測定する機能も必要である。しかし、これらの方法は、マイクロ波キャビティ内の温度及び圧力の変動によって生じる浮力の影響に対して重量測定値を修正することができない。この欠陥は固形分又は水分の測定に対して著しい誤差を生じることがある。
【0005】
本出願とともに一般に譲渡される米国特許第4,753,889号(以後、Collins‘889特許と呼ぶ)は高水分量を有する物質の迅速定量分析に関するものである。Collins‘889特許は、水分を除く場合に他の物質を除去も破壊もせずに、存在する固形物及び他の物質を測定するための水分蒸発法を開示している。とくに、迅速分析は、水分を除去するためのマイクロ波加熱に続く溶剤抽出および含有量測定によって促進される。米国特許第4,753,889号は、その全文を本明細書に参照として組み入れてある。
【0006】
同様に、本出願とともに一般に譲渡される米国特許第4,291,775号(以後、Collins‘775特許と呼ぶ)は阻害性対流気流の問題を提言している。より具体的には、Collins‘775特許は、自動天秤に触れずにバランス板を覆うエアバリヤーシールド(air barrier shield)を導入することによって、加熱物体を秤量する場合の感度の良い自動天秤の秤量精度を向上させる方法及び装置を記載している。これは、感度の良い天秤を妨害し、したがって正確な試料重量測定の達成を妨げることがある対流気流を減少させる傾向がある。いいかえると、対流気流の除去は天秤の運動を減少させ、その結果感知される試料重量測定値の変動を減少させる。米国特許第4,291,775号は、その全文を参照として本明細書に組み入れてある。
【0007】
最後に、本出願とともに一般に譲渡される米国特許出願第09/397,825号(Microwave Apparatus and Method for Achieving Accurate Weight Measurements)は、エアシールドを加熱キャビティに固定する場合に、エアシールドが化学天秤に接触しないように、加熱キャビティ内面に着脱可能に固着されるエアシールドを包含させることによって、Collins‘775特許の教示に改良を加えている。実験室技術員又は計器操作員は、エアシールドをマイクロ波キャビティ内面に固着させることによって、キャビティフロアに載せ、さらに化学天秤および加熱する試料のいずれをも実質的に包囲するように置かなければならない可動バリヤを操作する必要がない。米国特許出願第09/397,825号(Microwave Apparatus and Method for Achieving Accurate Weight Measurements)も同様にその全文を参照として本明細書に組み入れてある。
【0008】
これらの方法は、マイクロ波加熱および乾燥に関連する特定問題を克服するけれども、試料を包囲する異なる空気密度によってもたらされる浮力の影響を考慮するように見かけの試料重量を修正する方法は開示もしなければ教示もしていない。したがって、加熱環境内の温度および圧力の変動によってもたらされる浮力の影響に対する重量測定値の修正法が必要である。
発明の目的および要約
したがって、本発明の目的は、より正確な試料の重量測定値を得るために、マイクロ波加熱中に生じる浮力の影響を考慮するように、見かけの試料重量測定値を修正する方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、加熱中に生じる揚力の影響を考慮するように、重量測定値を修正することによって、試料の固形分を正確に求める方法を提供することにある。
【0010】
本発明は、ひとつには、試料パッドの表面温度、および試料パッドを包囲する周囲の空気温度を測定し、さらにこの温度差によって生じた試料パッドの浮力を計算することによって、これを達成する。
【0011】
本発明の前記のみならず他の目的及び利点ならびに前記を達成する態様を、さらに下記の詳細な説明及びその添付図面に明示する。
発明の詳細な説明
本発明は、浮力の影響を修正することによって正確な試料の重量を得る方法である。この浮力の影響は、試料パッドに作用する異なる空気圧を作り出す空気密度勾配によってもたらされる。
【0012】
もっとも広い態様では、該方法は、物体、典型的には軽量の試料パッドの見かけの重量を測定し、一方同時に物体の表面温度および物体を包囲する周囲の空気温度を測定し、ついでこれらの温度測定値に基づいて物体に作用する浮力を予測することを含む。その後、物体に作用すると予測される浮力により見かけの重量を修正することによって、物体の真の重量を求める。
【0013】
物体に作用する浮力の予測を完結させるために、物体の投影表面積を知らなければならないことは、当業者には理解されよう。本明細書で用いる投影表面積は、水平面上の試料の投影によって形成される。たとえば、平らな水平面の投影表面積は表面積そのものである。対照的に、球のような三次元の物体は円のような二次元の投影表面積を有するであろう。
【0014】
典型的には、該物体の表面積が大体一定となるように、実質的に平らな上面及び下面のみならず既定の投影表面積を有する軽量の試料パッドが用いられる。これに関し、CEM Corporation(Stallings,North Carolina)から入手可能な試料パッドがとくに有効であることが判明している。好ましいCEM試料パッドは表面積(および投影表面積)が98平方センチメートル(すなわち、3.8インチ×4,0インチ)である。
【0015】
1つの好ましい態様では、重量測定を化学天秤を用いて行う。他の好ましい態様では、赤外線を用いて物体の表面温度を測定する。化学天秤及び赤外線装置を用いる技術は当該技術分野では周知であり、本明細書ではこれ以上は述べない。
【0016】
もっとも好ましくは、マイクロ波装置を用いてこの方法を行う。したがって、さらに他の態様では、物体を包囲する周囲の空気温度は全くマイクロ波キャビティ内の周囲の空気温度である。マイクロ波装置を用いる場合に、マイクロ波キャビティが、マイクロ波キャビティ内の周囲の空気温度を制御するように考案された加熱可能なキャビティフロアを包含することができる。(加熱可能なキャビティフロアはマイクロ波キャビティ内の凝縮を減少させるために用いられることもある。) この装置では、マイクロ波キャビティの周囲の空気温度は加熱可能なマイクロ波キャビティフロアの測定温度に基づいて予測するのが好ましい。
【0017】
浮力の影響を修正する本発明の方法は、高速マイクロ波装置を用いて試料の固形分または試料の水分を求める場合にとくに適切であることが認められている。うまく設計されたマイクロ波装置は、4時間以上を要することがある通常の対流加熱法、さらには10から20分を要する赤外加熱法とも異なり、約2分以内に試料の固形分を確定することができる。
【0018】
当業者には理解されるように、農産物、食品、および繊維製品のような物質は高温乾燥時に吸湿性であることが多い。したがって、このような乾燥物質は最終の重量を測定する前に水分を再吸収させると、固形分測定値に誤差を生じる。したがって、通常の乾燥法は、乾燥後に、高温の物質試料をまず無水の環境で温度平衡にもたらさなければならない。もっとも一般的には、これには物質試料をデシケーターで乾燥することが必要である。対照的に、本発明の方法は、乾燥終了時に、直ちに最終の試料重量を得ることができる。したがって、時間を要する乾燥保存工程の必要がない。
【0019】
1つの広範な態様において、マイクロ波装置を用いて物質試料の固形分を正確に求める方法は、乾燥前に浮力の効果を考慮するように物質試料の測定重量を修正することによって物質試料の真の重量を求めることが必要である。該態様では、マイクロ波キャビティ内に導入されたマイクロ波エネルギーが数分以内に物質試料を乾燥させる。その後、浮力の影響を考慮して乾燥後の物質試料の真の重量を求めることができる。当業者には理解されるように、物質試料の固形分は、乾燥後の物質試料の真の重量を、乾燥前の物質試料の真の重量で割ることによって計算される。
【0020】
したがって、本発明のこの態様における方法は、化学天秤を用いてマイクロ波キャビティ内に配設される試料パッドの見かけの重量を測定すると同時に、試料パッドの初めの表面温度及びマイクロ波キャビティの初めの周囲の空気温度を測定することを含む。前記同様、さらに試料パッドの初めの表面温度及びマイクロ波キャビティの初めの周囲の空気温度から試料パッドに作用する浮力を導き出すことができる。次に、試料パッドに作用すると予測される浮力により試料パッドの初めの見かけの重量を修正することによって試料パッドの真の重量を求めることができる。
【0021】
いったん、試料パッドの真の重量が確定すると、固形分の必要な物質試料を試料パッドに載せる。ついで、試料パッドと物質試料との見かけの合計重量を測定すると同時に、試料パッドのその後の表面温度及びマイクロ波キャビティのその後の周囲の空気温度を測定する。その後の、試料パッドの温度及びマイクロ波キャビティ内の周囲の空気温度に基づいて、試料パッド及び物質試料に作用する浮力を予測することができる。
【0022】
次に、試料パッドおよび物質試料に作用すると予測される浮力により、試料パッドおよび物質試料の見かけの合計重量を修正することによって、試料パッド及び物質試料の真の合計重量を求めることができる。最後に、当業者には理解されるように、乾燥前の物質試料の真の重量は、試料パッド及び物質試料の真の合計重量から、試料パッドの真の重量を差し引くことによって容易に計算される。
【0023】
次に、熱エネルギー、好ましくはマイクロ波放射線を物質試料に適用する。これによって物質試料から水分が除かれる。ついで、化学天秤を用いて試料パッド及び乾燥物質試料の見かけの合計重量を測定すると同時に、試料パッドの最終の表面温度及びマイクロ波キャビティの最終の周囲の空気温度を測定する。さきに開示したように、試料パッド及び乾燥物質試料に作用する浮力は、試料パッドの最終の表面温度及びマイクロ波キャビティの最終の空気温度に基づいて予測される。
【0024】
その後、試料パッド及び乾燥物質試料に作用すると予測される浮力により、試料パッド及び乾燥物質試料の見かけの合計重量を修正することによって、試料パッド及び乾燥物質試料の真の合計重量が得られる。さらに、試料パッド及び乾燥物質試料の真の重量から試料パッドの真の重量を差し引くことによって、容易に乾燥物質試料の真の重量が計算される。当業者には理解されるように、さらに乾燥後の物質試料(すなわち、乾燥物質試料)の真の重量を、乾燥前の物質試料の真の重量で割ることによって物質試料の固形分が計算される。
【0025】
物質試料の固形分を求めるこの方法は、マイクロ波装置を用いることによって、約2分未満で完了できることを強調しなければならない。さらに、物質試料は、冷却前に秤量されるので、マイクロ波キャビティ内で凝縮することがあるような水分を再吸収させることがない。
【0026】
特定の理論に拘束されることを望むわけではないが、本方法の発明者等は試料パッド近傍に温度勾配が存在するときには、浮力の影響が生じると信じている。これは、いうまでもなく、試料の加熱操作中、とくに高速マイクロ波装置を用いる場合に予想されることである。さらに具体的には、温度勾配が空気密度を試料パッドの周囲で変化させるのは、空気密度が温度に逆比例するからである。したがって、パッド下方の空気圧がパッド上方の空気圧よりも大きいという点で、試料パッドは幾分浮揚性になることができる。
【0027】
流体力学および伝熱分野の専門家には理解されるように、このような空気圧の差は試料パッドに上向きの揚力を作り出し、それによって化学天秤は試料パッドの低い重量測定値を記録する。この浮力の概念については、IncroperaおよびDewittがFundamentals of Heat Transfer(John Wiley&Sons,1981)(参照としてその全文を本明細書に組み入れてある)においてさらに深く説明している。本発明の好ましい態様はマイクロ波キャビティを用いているけれども、本発明はそれに限定されないことを理解すべきである。
【0028】
この浮力現象は、試料パッドに及ぼす温度勾配の影響を図示する図1を参照することにより、試料加熱という状況においてさらに良く理解できるであろう。要するに、化学天秤(図示せず)に結合される化学天秤ステム2は試料パッド4を支持し、試料パッド4はさらに加熱物質試料6を支持する。試料パッド4の表面温度Tsは温度T∞(試料パッドを包囲する周囲の温度)よりも高い。試料パッド4の表面は、試料パッドの表面からフィルム層10まで延びる対流上昇流(convection plume)8を形成する。対流上昇流8内には、試料パッド表面4からフィルム層の境界線10まで下降する温度勾配がある。対流上昇流外の周囲の空気温度T∞は、典型的にはフィルム層10の温度Tfよりも低い。周囲の空気が試料パッドよりも温かい場合に試料パッドが実際に沈むことは価値がない。
【0029】
フィルム層10の温度Tfは、試料パッド4の表面温度と周囲さもなければ試料パッド4を包囲する空気の温度T∞とを平均する(すなわち、(Ts+T∞)÷2)ことによって経験的に求められる。試料パッド上の真の力を求めるために、フィルム層10の空気の密度を、周囲さもなければ試料パッドを包囲する空気の密度と比較する。下記の実施例において、密度はフィルム層の空気密度を示す。
【0030】
とくに、フィルム層の空気密度(ρf)および周囲の空気密度(ρ∞)は下式によって計算される:
ρ=P÷(R・T)
式中:
ρ=空気密度(mg/cm3)、
P=空気圧(N/m2)、
R=空気の気体定数(287.1J/kg・K)、および
T=温度(K)
さらに、パッド上面(Ff)およびパッド下面(F∞)に及ぼすそれぞれの力は下式によって計算することができる:
F=ρ・g・h・A
式中:
F=試料の一面に及ぼす力
ρ=密度(mg/cm3
g=重力の加速度
h=試料パッド上部の流体柱の高さ
A=パッドの投影表面積(cm3
実際問題として、薄いパッドの上部および下部の流体柱の高さの差は無視できるであろうということに留意すべきである。同様に、便宜上、質量単位の点から浮揚性揚力を得るために重力の加速度を省略することができる。本発明者等が質量と重量の相違を知らないわけではないことを理解する必要がある。一定の重力の場で校正された化学天秤を取扱う場合に、質量と重量との交換可能な使用は真に便利である。
【0031】
したがって、1つの態様において、本発明は、物体の表面積、物体の表面温度、および物体を包囲する周囲の空気温度の関数としての浮力の計算を、下記比例式を用いて容易にする:
浮力 ∝ [(P・A)÷R] ・[(1÷T)-(2÷(T+Ts)]
式中:
P=気圧(N/m2)、
A=物体の投影表面積(cm2)、
R=空気の気体定数(287.1J/(kg・K))、
T∞=周囲の空気の温度絶対温度(K)、および
s=表面絶対温度(K)。
【0032】
前記のように、物体は典型的には物質試料を支持するように考案された軽量試料パッドである。
実施例1は、CEM Corporationの標準98cm2試料パッドの上面(3.85″×4.0″)と周囲もしくは試料パッドを包囲する空気との温度差の結果として計算された浮揚性揚力のデータ(すなわち、F∞−Ff)を開示する。とくに実施例1は周囲の空気が25℃の温度および101,325N/m2(すなわち、1気圧)の圧力を有すると仮定する。
【0033】
これに関し、Ts(試料パッドの表面温度)とT∞(周囲もしくは試料パッドを包囲する空気の温度)との温度差に基づいて浮揚性揚力を修正する関数を確定することができる。さきに開示したようにTf(フィルム層の温度)はTsとT∞平均する((Ts+T∞)÷2)ことによって計算される。実施例1からのデータおよび制約事項を反映する図2は25℃の温度および1013ミリバール(すなわち、101,325N/m2または1気圧)の圧力における浮揚性揚力と温度差(すなわち、Ts−T∞)との相関関係を示す。この相関関係は下記のように表すことができる:
浮揚性揚力(mg)=−0.0003(△T)2+0.1931(△T)+0.0076
実施例2は、実施例1と同様に、CEM Corporationの標準98cm2試料パッドの上面(3.85″×4.0″)と周囲もしくは試料パッドを包囲する空気との温度差(すなわち、F∞−Ff)の結果として計算された浮揚性揚力を開示している。しかし、実施例2は50℃の周囲の空気温度および1013ミリバール(すなわち、1気圧)における浮揚性揚力を検討している。
【0034】
【表1】
Figure 0004908707
Figure 0004908707
当業者には理解されるように、温かい周囲の空気温度は試料パッドの浮力を低下させる。これは、図3に示すように、絶対的な意味だけではなく、図4に示すように、相対的な意味においても真実である。図3および4はいずれも実施例1および2に示すデータを図示している。
【0035】
最後に、実施例3はCEM Corporationの標準98cm2試料パッドの上面(3.85″×4.0″)と周囲もしくは試料パッドを包囲する空気との温度差の結果として計算された浮揚性揚力(すなわち、F∞−Ff)をも開示している。しかし、表3は、周囲の空気は25℃に保つが、空気圧は標準圧力(1013ミリバール)から僅かに低い圧力(960ミリバール)に変化させる場合の圧力の影響を検討している。
【0036】
【表2】
Figure 0004908707
これに関し、図5は、実施例3からのデータを図示することによって、温度差(すなわち、Ts−T∞)の関数としての浮揚性揚力に及ぼす周囲の空気圧の相対的な影響を示す。当業者には理解されるように、一定の温度差を仮定すると、低い周囲の空気圧は、高い周囲の空気圧に比べて計算される浮揚性揚力を減少させる。
【0037】
本明細書に記載された目的は、同時係属出願され、そして一般に譲渡される特許出願第09/398,129号(Microwave Volatiles Analyzer with High Efficiency Cavity)および同第09/397,825号(Microwave Apparatus and Method for Achieving Accurate Weight Measurements)(いずれも参照としてその全文を本明細書に組み入れてある)によって開示された要素を包含させることによってさらに増大される。
【0038】
本発明の典型的な態様は図面および明細書に開示されている。特定な用語は全般的および記述的意味においてのみ用いられ、限定するためのものではない。本発明の範囲はクレームに示される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は化学天秤のステムに載っている試料パッドに及ぼす概略の浮力の影響を示す。
【図2】 図2は、試料パッドの表面温度と試料パッドを包囲する周囲の空気温度との差に基づく浮力の相関関係を示し、この場合に周囲の空気は室温(25℃)および標準圧力(1013ミリバール)下にある。
【図3】 図3は、25℃または50℃にある周囲の空気によって包囲される試料パッドの表面温度に基づく標準の98cm2試料パッドに及ぼす浮力の影響を示す。
【図4】 図4は、試料パッドの表面温度と試料パッドを包囲する周囲の空気温度との差に基づく、標準98cm2試料パッドに及ぼす浮力の影響を示し、この場合に周囲の空気温度は25℃または50℃である。
【図5】 図5は、試料パッドの表面温度と試料パッドを包囲する周囲の空気温度(25℃)との差に基づく、標準98cm2試料パッドに及ぼす浮力の影響を示し、この場合に周囲の空気圧は1013ミリバールまたは950ミリバールである。

Claims (9)

  1. 浮力の影響を考慮することによって正確な試料の重量を得る方法であって、該方法が、
    マイクロ波キャビティ内に配設された試料パッドの見かけの重量を化学天秤で測定すると同時に、試料パッドの初めの表面温度および該マイクロ波キャビティ内の初めの周囲の空気温度を測定すること;
    該試料パッドの測定された初めの表面温度および該マイクロ波キャビティ内の測定された初めの周囲の空気温度に基づいて、該試料パッドに作用する浮力を予測すること;
    該試料パッドに作用すると予測される浮力により、該試料パッドの初めの見かけの重量を修正することによって該試料パッドの真の重量を求めること;
    その後、該試料パッドに物質試料を置くこと;
    該試料パッドと該物質試料の見かけの合計重量を化学天秤で測定すると同時に、該試料パッドのその後の表面温度及び該マイクロ波キャビティ内のその後の周囲の空気温度を測定すること;
    該試料パッドのその後の表面温度および該マイクロ波キャビティ内のその後の周囲の空気温度に基づいて該試料パッドおよび該物質試料に作用する浮力を予測すること;
    試料パッド及び該物質試料に作用すると予測される浮力により、該試料パッド及び該物質試料の見かけの合計重量を修正することによって、該試料パッドと該物質試料との真の合計重量を求めること;そして
    該試料パッドと該物質試料の真の合計重量から該試料パッドの真の重量を差し引くことによって乾燥前の該物質試料の真の重量を計算すること;
    以上の工程を含む方法。
  2. 請求項1記載の正確な試料の重量を得る方法であって、同時に該物体の表面温度を測定する工程が、同時に該物体の表面からの赤外線を測定することを含む方法。
  3. 請求項記載の正確な試料の重量を得る方法であって、同時にマイクロ波キャビティ内の周囲の空気温度を測定する工程が、該物体の下にある加熱可能なキャビティフロアの温度を測定し、そして該物体の下にある加熱可能なキャビティフロアの測定温度に基づいてマイクロ波キャビティ内の周囲の空気温度を予測することを含む方法。
  4. 請求項1記載の正確な試料の重量を得る方法であって、さらに該物体にマイクロ波エネルギーを適用する工程を含む方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1つの項記載の正確な試料の重量を得る方法であって、該物体に作用する浮力を予測する工程が、該物体の表面積を測定し、そして該物体の表面積、該物体の表面温度、および該物体を包囲する周囲の空気温度の関数として該浮力を計算することを含む方法。
  6. 請求項記載の正確な試料の重量を得る方法であって、該浮力を、該物体の表面積、該物体の表面温度、及び該物体を包囲する周囲の空気温度の関数として計算する工程が、下記の比例式から浮力を計算することを含む方法:
    【式2】
    Figure 0004908707
    式中:
    p=気圧(N/m2)、
    A=該物体の投影表面積(cm2)、
    R=空気の気体定数(287.1J/(kg・K))、
    T∞=周囲の空気の絶対温度(K)、および
    s=該物体表面の絶対温度(K)。
  7. 下記諸工程:
    該物質試料が乾燥するまで該物質試料に熱エネルギーを適用すること
    該試料パッドと該乾燥物質試料との見かけの合計重量を化学天秤で測定すると同時に、該試料パッドの最終の表面温度及び該マイクロ波キャビティの最終の周囲の空気温度を測定すること
    該試料パッドの最終の表面温度及び該マイクロ波キャビティの最終の周囲の空気温度に基づいて該試料パッドおよび該乾燥物質試料に作用する浮力を予測すること
    該試料パッドおよび該乾燥物質試料に作用すると予測される浮力により、該試料パッド及び該乾燥物質試料の見かけの合計重量を修正することによって、該試料パッドと該乾燥物質試料との真の合計重量を求めること;および
    該試料パッドおよび該乾燥物質試料の真の重量から、該試料パッドの真の重量を差し引くことによって、該乾燥物質試料の真の重量を計算すること
    をさらに含む請求項記載の方法。
  8. 該物質試料に熱エネルギーを適用する工程が、該物質試料が乾燥するまで該物質試料にマイクロ波放射線を適用することを含む請求項記載の方法。
  9. 乾燥前の該物質試料の真の重量で、該乾燥物質試料の真の重量を割ることによって、該物質試料の固形分を計算する工程をさらに含む請求項または記載の方法。
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