JP4908031B2 - 高含水率廃棄物の処理方法及び処理装置 - Google Patents

高含水率廃棄物の処理方法及び処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、高含水率廃棄物の処理方法及び処理装置に関し、更に詳しくは、セメント焼成設備を用いて高含水率廃棄物を焼却処理する際に、このセメント焼成設備のクリンカ焼成効率を高めることにより、この焼却処理を行うことによるセメント焼成設備への影響を少なくし、多量の処理を可能とする高含水率廃棄物の処理方法及び処理装置に関するものである。
従来、水分を多く含む高含水率廃棄物の例として下水処理場から排出される脱水汚泥があり、この脱水汚泥は、これまでは焼却・溶融等の処理がなされてきたが、近年、資源として有効利用するための再利用処理が進められている。特に注目される再利用処理の例としては、バイオマスガス化して燃料として利用する方法や炭化処理を行い燃料とする方法があり、近年では、セメント製造設備での再利用処理も多くなってきている。
例えば、脱水汚泥を、乾燥することなく、また、添加剤を用いて前処理することなく、直接セメントキルンの窯尻部または仮焼炉にパイプライン輸送にて導入して焼却する方法(特許文献1等参照)がある。一般に、脱水汚泥は、その殆どが水と有機物であるから、セメントキルンや仮焼炉で焼却する際に残分となる灰分はごく微量であり、したがって、セメントクリンカの成分に影響を及ぼすこともなく、セメントキルン内での焼却処理が可能であり、しかも、燃焼灰などの新たな廃棄物を出さないため、有効な処理方法である。
このセメント焼成設備にて処理される脱水汚泥としては、セメント焼成設備に容易にパイプ輸送し投入することが可能なものが好ましく、一般的には、含水率が80%前後の高含水率汚泥が多く用いられている。
しかし、高含水率汚泥をセメントキルンの窯尻部に直接投入する方法では、高含水率汚泥中の水分の蒸発が、セメントキルンの窯尻部における原料の温度の低下、サスペンションプレヒータや仮焼炉にて加熱および脱炭酸された原料の持つ顕熱の低下、セメント原料がクリンカ状に焼結する帯域(キルン焼成帯)の温度の低下等の原因となり、したがって、セメントクリンカが十分焼成されなくなる虞がある。このような温度の低下を生じさせないためには、セメント焼成設備のセメントクリンカ焼成量を極端に低下させる操業が必要となるが、その場合、単位クリンカ当たりの焼成用熱量や電力使用量が高くなり、経済的な操業が不可能になる。また、セメントクリンカ焼成能力を極端に低下させた場合には、所要量のセメント製造を行うことが不可能となるなどの虞がある。
このため、セメント焼成設備では、高含水率汚泥の投入量を制限する必要があり、クリンカ焼成量に対して、せいぜい1〜3%程度までの処理がおこなわれているのが実状である。
そこで、このセメントキルンの窯尻部に直接投入する方法の問題点を解消するために、高含水率汚泥をセメント焼成設備から排出される高温の排ガスを利用して乾燥させ、この乾燥排ガスから分離した乾燥汚泥をセメント焼成設備の代替燃料としてセメントキルンの窯尻部や仮焼炉等に投入し焼却処理する方法がある。
この方法では、高含水率汚泥を乾燥する乾燥装置に多量の高温排ガスを導入する必要があり、しかも乾燥に用いられた後の排ガスは臭気成分や多量の水蒸気を含んでいるので、この排ガスを直接外部に放出することができない。そこで、乾燥させた後の排ガスをセメント焼成設備のクリンカクーラに導入して冷却空気などに再利用した後、セメントキルンや仮焼炉に導入して燃料燃焼用空気としてフレーム内で高温度に加熱して焼却処理を施し、含まれる臭気成分を分解して無臭化した後、セメント焼成設備から排出する方法も考えられる。
特開2002−52397号公報
ところで、前述の高含水率汚泥をセメント焼成設備から排出される高温の排ガスを利用して乾燥させる焼却処理方法では、乾燥後の排ガスをセメントキルンや仮焼炉に導入して燃料燃焼用空気として利用した場合、この排ガスが多量の水蒸気を含むために、特にセメントキルンにおいて高温のフレームを形成することが難しくなる。このためにセメント焼成設備の操業は、セメントキルン等においてセメントクリンカの焼成度を維持するために燃焼ガスを多くすることによってのみ対応することとなる。
したがって、この焼却処理方法では、別途乾燥設備が必要となるばかりでなく、セメント焼成設備においてもクリンカ焼成効率が悪化するとともにクリンカの生産能力も低下する虞があるという問題点があった。
このように、上述したセメント焼成設備にて排出される高温の排ガスを利用して高含水率汚泥を乾燥させた後、焼却する処理方法では、前述のセメントキルンに直接投入する方法と比較してセメント焼成設備の操業に与える影響は約1/2程度に減少するが、反面、高含水率廃棄物の乾燥のためにセメント焼成装置から排出される多量の排ガスが必要となることや、乾燥装置などの設備が別途必要となるために、必ずしも有効な方法ではない。
また、セメント焼成設備の操業に与える影響を全く無くするために、独立した乾燥装置を用いて高含水率廃棄物を乾燥させ、この乾燥した廃棄物をセメントキルンや仮焼炉に投入する方法もある。この方法は、確かに、セメント焼成装置からの乾燥のための排ガスは必要なくなるものの、別途、乾燥用の熱源や乾燥装置から排出される排ガスを脱臭処理するための加温装置等が必要となり、装置構成がより複雑となるばかりでなく、前記の直接投入する方法による損失熱量と比較して、多くの燃料を必要とする場合がある等の問題点があり、必ずしも有効な方法ではなかった。
さらに、セメント焼成設備で処理を行う高含水率廃棄物は、下水汚泥の他、工場汚泥、廃水、中和水、有機性スラッジ等もあり、性状や取り扱い方も多様である。したがって、これらの高含水率廃棄物を全て同一の乾燥装置で乾燥することは難しい。
このような理由で、セメント焼成設備にて全ての高含水率廃棄物を同時に処理を行うことが望まれるが、これらの多様な高含水率廃棄物を従来のセメント焼成設備に同時に直接投入して焼却処理を行うと、セメント焼成設備に与える影響がより一層大きくなるなどの問題点もあった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、セメント焼成設備を用いて廃棄物を焼却処理するに際して、水分が多く含まれる高含水率廃棄物であっても、セメント焼成設備の操業に与える影響が小さく、セメント焼成設備にて効率的に処理することが可能であり、しかも多量の高含水率廃棄物を処理することが可能な高含水率廃棄物の処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、セメント焼成設備におけるクリンカの焼成度を維持するための焼成許容範囲を広くすることにより、水分が多量に含まれる高含水率廃棄物を別途乾燥することなくセメント焼成装置に直接投入した場合においても、セメントクリンカ焼成工程が高含水率廃棄物中の水分の蒸発による影響を受け難くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の高含水率廃棄物の処理方法は、セメント原料を予熱するサスペンションプレヒータと、予熱された前記セメント原料を仮焼する仮焼炉と、この仮焼されたセメント原料を焼成しクリンカとするセメントキルンと、このクリンカを冷却するクリンカクーラとを備えたセメント焼成設備を用いて高含水率廃棄物を焼却処理する方法であって、前記クリンカクーラは、長尺箱状のクーラ本体内の長手方向に、スリット状の冷却空気の噴出孔が形成されたクーラプレートと、前記クーラプレートの下面に設けられたグレートサポートとで構成された風箱を配列してなる波形プレート構造の高効率型クリンカクーラであり、前記高含水率廃棄物のうち粘性の高い高含水率汚泥を、前記サスペンションプレヒータ、前記仮焼炉及び前記セメントキルンのうちいずれか一個所以上に直接投入し、その後焼却処理を行い、前記高含水率廃棄物のうち粘性の低い高含水率汚泥を、前記セメントキルンの窯尻部、前記仮焼炉の二次空気ダクト、前記仮焼炉の上半部からサスペンションプレヒータの最下段のサイクロンまでの間、のうちいずれか一個所以上に直接投入し、その後焼却処理を行うことを特徴とする。
この高含水率廃棄物の処理方法では、セメント焼成装置のクリンカクーラを高効率型クリンカクーラとすることにより、セメントキルンに回収される二次空気温度を高めることが可能になり、セメントキルンでのクリンカ焼成帯域の温度を容易に高めることが可能になる。
これにより、水分が多量に含まれる高含水率廃棄物を別途乾燥することなくサスペンションプレヒータ、仮焼炉及びセメントキルンのうちいずれか一個所以上に直接投入し、その後焼却処理を行うこととしても、セメント焼成設備におけるクリンカ焼成度を維持するための焼成許容範囲が広くなる。よって、セメントキルン内にて、セメント原料の温度が高含水率廃棄物の水分の蒸発に伴い大きく低下しても、セメントクリンカとして容易に焼成することが可能となり、また、セメントクリンカ焼成工程が高含水率廃棄物中の水分の蒸発による影響を受け難くなる。よって、セメント焼成設備の操業に与える影響を少なく抑えることが可能になり、セメントの品質を低下させることなく、安定したセメント焼成設備の操業が可能になる。
前記高含水率廃棄物の前記仮焼炉または前記セメントキルンへの投入量は、前記セメント焼成設備における前記クリンカの焼成量に対して4重量%以上、前記高含水率廃棄物に含まれる合計水分量で前記クリンカの焼成量に対して3重量%以上、のいずれかであり、かつ前記高含水率廃棄物の無添加時のセメントクリンカ焼成能力に対して10重量%以下であることが好ましい。
本発明の高含水率廃棄物の処理方法では、高含水率廃棄物の仮焼炉またはセメントキルンへの投入量を上記のように多量に設定した場合であっても、セメントキルンに回収される二次空気が従来型クリンカクーラと比較して高温となり、セメントキルンのクリンカ焼成帯域の温度が容易に上昇し、セメントクリンカの焼成度が維持される。
これにより、従来のセメント焼成設備と比較してセメントキルン内でクリンカ焼成度を保つための多量の燃焼ガスを必要としなくなり、セメント焼成設備における各所の温度上昇を小さく保つことが可能となり、従来のセメント焼成設備で生じていた温度上昇に伴うセメント焼成設備の操業に対する悪影響や、セメントキルンにおけるクリンカの焼成度が不足する等の不具合も小さくなる。よって、セメント焼成設備における高含水率廃棄物の処理量を増加することが可能となる。
前記高含水率廃棄物は、下水汚泥、工場汚泥、廃水、中和水、有機性スラッジから選択される1種または2種以上であり、かつ、高温にて焼却処理を行う廃棄物であることが好ましい
本発明の高含水率廃棄物の処理方法では、高含水率廃棄物のうち粘性の高い高含水率汚泥を、サスペンションプレヒータ、仮焼炉及びセメントキルンのうちいずれか一個所以上に直接投入し、その後焼却処理を行い、高含水率廃棄物のうち粘性の低い高含水率汚泥を、セメントキルンの窯尻部、仮焼炉の二次空気ダクト、仮焼炉の上半部からサスペンションプレヒータの最下段のサイクロンまでの間、のうちいずれか一個所以上に直接投入し、その後焼却処理を行うことにより、高含水率廃棄物の性状に応じて投入箇所を選定することが可能となる。これにより、高含水率廃棄物を多量に投入した場合であっても、セメントクリンカ焼成工程の特定の部分に該廃棄物の処理による影響が集中することがなく、高含水率廃棄物中の水分の蒸発による影響を分散することとなり、セメント焼成設備の操業に与える影響を小さくすることが可能となる。よって、セメントの品質を低下させることなく、安定したセメント焼成設備の操業が可能になる。
本発明の高含水率廃棄物の処理装置は、セメント原料を予熱するサスペンションプレヒータと、予熱された前記セメント原料を仮焼する仮焼炉と、この仮焼されたセメント原料を焼成しクリンカとするセメントキルンと、このクリンカを冷却する高効率型クリンカクーラとを備え、前記高効率型クリンカクーラが、長尺箱状のクーラ本体内の長手方向に、スリット状の冷却空気の噴出孔が形成されたクーラプレートと、前記クーラプレートの下面に設けられたグレートサポートとで構成された風箱を配列してなる波形プレート構造のクリンカクーラであるセメント焼成設備を用いて高含水率廃棄物を焼却処理する装置であって、前記サスペンションプレヒータ、前記仮焼炉及び前記セメントキルンのうち一個所以上に、前記高含水率廃棄物の処理能力が、前記セメント焼成設備におけるクリンカの焼成量に対して合計4重量%以上、かつ前記高含水率廃棄物の無添加時のセメントクリンカ焼成能力に対して10重量%以下であり、前記高含水率廃棄物のうち粘性の高い高含水率汚泥を、前記サスペンションプレヒータ、前記仮焼炉及び前記セメントキルンのうちいずれか一個所以上に直接投入し、前記高含水率廃棄物のうち粘性の低い高含水率汚泥を、前記セメントキルンの窯尻部、前記仮焼炉の二次空気ダクト、前記仮焼炉の上半部から前記サスペンションプレヒータの最下段のサイクロンまでの間、のうちいずれか一個所以上に直接投入する高含水率廃棄物投入手段を備えてなることを特徴とする。
この高含水率廃棄物の処理装置では、前記クリンカクーラを高効率型クリンカクーラとするとともに、前記サスペンションプレヒータ、前記仮焼炉及び前記セメントキルンのうち一個所以上に、前記セメント焼成設備におけるクリンカの焼成量に対して合計4重量%以上、かつ前記高含水率廃棄物の無添加時のセメントクリンカ焼成能力に対して10重量%以下の処理能力を有する高含水率廃棄物投入手段を備えたことにより、セメントキルンにおけるクリンカ焼成帯域の温度を容易に上昇させることが可能となり、セメント焼成設備におけるクリンカの焼成許容範囲が広くなる。
これにより、水分が多く含まれる高含水率廃棄物を別途乾燥することなくセメント焼成装置に直接投入した場合においても、しかも投入量を上記のように多量に設定した場合であっても、セメントクリンカ焼成工程が高含水率廃棄物中の水分の蒸発による影響を受け難くなる。よって、一定の品質のセメントを安定して製造し、しかもセメント焼成設備の安定操業が行え、かつ多量の高含水率廃棄物の処理を行うことが可能になる。
本発明の高含水率廃棄物の処理装置では、高含水率廃棄物投入手段の前記高含水率廃棄物の投入口の取付位置を、高含水率廃棄物が粘性の高い高含水率汚泥の場合、サスペンションプレヒータ、仮焼炉及びセメントキルンのうちいずれか一個所以上とし、また、粘性の低い高含水率汚泥の場合、セメントキルンの窯尻部、仮焼炉の二次空気ダクト、仮焼炉の上半部からサスペンションプレヒータの最下段のサイクロンまでの間、のうちいずれか一個所以上としたことにより、汚泥や廃水などの異なった種類の高含水率廃棄物をそれぞれの性状に応じて異なった箇所に直接投入処理を行うことにより、セメントクリンカ焼成工程の特定の部分に該廃棄物の処理による影響が集中することがなくなり、高含水率廃棄物中の水分の蒸発による影響を分散することとなる。よって、セメント焼成設備の操業に与える影響が小さくなり、セメントの品質を低下させることなく、安定したセメント焼成設備の操業が可能になる。
本発明の高含水率廃棄物の処理方法によれば、クリンカクーラを高効率型クリンカクーラとしたので、セメントキルンにおけるクリンカ焼成帯域の温度を容易に上昇させることができ、セメント焼成設備におけるクリンカ焼成度を維持するための焼成許容範囲を広げることができる。
また、高含水率廃棄物のうち粘性の高い高含水率汚泥を、サスペンションプレヒータ、仮焼炉及びセメントキルンのうちいずれか一個所以上に直接投入し、その後焼却処理を行い、高含水率廃棄物のうち粘性の低い高含水率汚泥を、セメントキルンの窯尻部、仮焼炉の二次空気ダクト、仮焼炉の上半部からサスペンションプレヒータの最下段のサイクロンまでの間、のうちいずれか一個所以上に直接投入し、その後焼却処理を行うので、水分が多く含まれる高含水率廃棄物を別途乾燥することなくセメント焼成装置に直接投入した場合においても、セメント原料をセメントクリンカとして容易に焼成することができ、セメントクリンカ焼成工程が高含水率廃棄物中の水分の蒸発による影響を受ける虞がなくなる。したがって、セメント焼成設備の操業に与える影響を最小限に抑えることができ、セメントの品質を低下させることなく、安定したセメント焼成設備の操業を行うことができる。
本発明の高含水率廃棄物の処理装置によれば、クリンカクーラを高効率型クリンカクーラとするとともに、サスペンションプレヒータ、仮焼炉及びセメントキルンのうち一個所以上に、高含水率廃棄物の処理能力が、セメント焼成設備におけるクリンカの焼成量に対して合計4重量%以上、かつ高含水率廃棄物の無添加時のセメントクリンカ焼成能力に対して10重量%以下であり、高含水率廃棄物のうち粘性の高い高含水率汚泥を、サスペンションプレヒータ、仮焼炉及びセメントキルンのうちいずれか一個所以上に直接投入し、高含水率廃棄物のうち粘性の低い高含水率汚泥を、セメントキルンの窯尻部、仮焼炉の二次空気ダクト、仮焼炉の上半部からサスペンションプレヒータの最下段のサイクロンまでの間、のうちいずれか一個所以上に直接投入する高含水率廃棄物投入手段を備えたので、セメントキルンにおけるクリンカ焼成帯域の温度を容易に上昇させることができ、セメント焼成設備におけるクリンカ焼成度を維持するための焼成許容範囲を広くすることができる。
したがって、水分が多く含まれる高含水率廃棄物を別途乾燥することなくセメント焼成装置に直接投入した場合においても、セメントクリンカ焼成工程が高含水率廃棄物中の水分の蒸発による影響を受け難くなり、よって、一定の品質のセメントを安定して製造することができ、セメント焼成設備の安定操業を長期間に亘って行うことができる。
本発明の高含水率廃棄物の処理方法及び処理装置の最良の形態について、図面に基づき説明する。
なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の一実施形態のセメント製造設備を示す模式図であり、セメントキルンの窯尻部に高含水率廃棄物の処理装置を設けることにより、高含水率廃棄物を直接セメントキルンの窯尻部に投入して焼却処理を行うセメント製造設備の例である。
図において、1はセメント原料を乾燥・粉砕する原料ミル、2はセメント原料粉を分離するサイクロン、3はセメント原料貯蔵庫、5はセメントキルン、6は高効率型クリンカクーラ、7は仮焼炉、8は複数段のサイクロン8a〜8dからなるサスペンションプレヒータ、9は仮焼炉7の二次空気ダクト、10は電気集塵機、11は排気煙突、12はバーナー、13はクーラ排気ライン、14はセメント原料供給ライン、15はセメント原料粉供給ライン、16はセメントクリンカ搬送ライン、17は水分を多量に含む有機系の汚泥である高含水率有機汚泥(高含水率廃棄物)をセメントキルン5の窯尻部5aへ直接投入する高含水率有機汚泥の直接投入処理装置である。
この直接投入処理装置17は、高含水率有機汚泥を貯留する貯留槽21と、高含水率有機汚泥のセメントキルン5の窯尻部5aへの投入量を調整するポンプ(高含水率廃棄物投入手段)22と、高含水率有機汚泥をセメントキルン5の窯尻部5aへ搬送し投入する高含水率有機汚泥供給ライン23とにより構成されている。
このポンプ22は、セメント焼成設備におけるクリンカの焼成量に対して合計4重量%以上の処理能力を有する。
次に、本実施形態にて使用される高効率型クリンカクーラの一例について説明する。
図2は高効率型クリンカクーラ6の縦断面図、図3は図2のA−A線に沿う断面図であり、図において、31はセメントキルン5の窯前部5bに接続された長尺箱状のクーラ本体、32はクーラプレート、33はクーラプレート32の下面に設けられたグレートサポート、34は仕切板、35は冷却空気用配管、36は配管35の途中に設けられた屈曲可能なフレキシブル継手、37〜37及び37a−1、37a−2は冷却空気ファン、38はエアビーム(風箱)である。
クーラプレート32は、矩形状の板体であり、その表面には横幅方向にスリット状の冷却空気の噴出孔が数本形成されており、このスリット状の噴出孔からは冷却空気が板体表面に沿ってクリンカの進行方向に噴出するものであり、この冷却機構によって、プレート32の表面が冷却空気により保護されるため、高温クリンカによるプレート表面の熔損を防止することができるものであり、いわゆる波形プレート構造と称されるものである。
このクーラプレート32は、グレートサポート33と一体になることで、クーラプレート32とグレートサポート33とで囲まれた空間をエアビーム(風箱)38としている。
このエアビーム38は、図3に示すように、クーラ本体31の幅方向に仕切板34により2分割されており、それぞれの区画に送風するファン37a−1及びファン37a−2によって一定の冷却空気がエアビーム38を経由してクーラプレート32の表面のスリット状の噴出孔からクリンカ層に対してクリンカの進行方向(図2中矢印方向)に噴出される。
この冷却空気によって、クリンカの冷却がクーラ本体31の幅方向に均一にしかも効率よく行われるようになっている。しかも、噴出する空気量を減少させた場合であっても、上述した冷却機構によりプレート32の表面の熔損を防止することができる。さらに、少ない空気量でクリンカを冷却した後の冷却空気は、高温度となるので、2次空気の熱回収率を高めることができる。
この高効率型の冷却機構は、セメントキルン5及び仮焼炉7での燃料燃焼用2次空気の回収領域に設けられており、クリンカクーラ6の全冷却面積に対して25〜35%の面積に設置することで十分な高温二次空気を回収することができるとともに、良好なクリンカ冷却が得られるものである。
このような冷却機構を持つ高効率型クリンカクーラとすることにより、クリンカクーラにおける冷却空気とクリンカの熱交換が均一にしかも効率よく行われ、セメントキルンおよび仮焼炉用2次空気の温度が高くなる。従来型のクリンカクーラに比較してセメントキルン用の二次空気は200℃以上高く、通常1000℃以上の二次空気が得られるので、セメントキルンにおいて容易に高温度のフレームを形成することができる。
次に、上記のセメント焼成設備を用いて高含水率廃棄物を焼却処理する方法について説明する。
ここで焼却処理される高含水率廃棄物は、下水汚泥、工場汚泥、廃水、中和水、有機性スラッジから選択される1種または2種以上であり、かつ、高温にて焼却処理を行う廃棄物であり、多様な廃棄物である。
このように多様な高含水率廃棄物のうち、粘性の高い高含水率汚泥の投入位置は、セメントキルン5、仮焼炉7、サスペンションプレヒータ8のうちいずれかとすることができるが、特に、セメントキルン5の窯尻部5aが好ましい。
一方、廃水などのほぼ100重量%が液体である低粘性の高含水率廃棄物の投入位置は、セメントキルン5の窯尻部5aの他、仮焼炉7の二次空気ダクト9、仮焼炉7の上半部からサスペンションプレヒータ8の最下段のサイクロン8dまでの間、のうち一個所以上が可能であるが、特に、仮焼炉7の上半部からサスペンションプレヒータ8の最下段のサイクロン8dまでの間であると、この投入によるセメント焼成装置に与える影響が小さいので好ましい。
高含水率廃棄物の投入位置を上記のように選択した理由は、投入された高含水率有機汚泥や廃水などに含まれる臭気成分や有機成分が完全に燃焼分解され、しかも新たな臭気成分などを発生させる虞のない温度領域である必要があるからであり、最下段のサイクロン8dより燃焼ガスで上流側の位置であれば良い。
また、高含水汚泥の場合は、投入箇所を仮焼炉7とすると、含まれる水分が急激に蒸発することにより、仮焼炉7の燃料燃焼フレームの形成に対して悪影響を及ぼすので好ましくない。
また、前述の廃水の投入処理の場合にもあるように、セメントキルン5の窯尻部5a、仮焼炉7の二次空気ダクト9、仮焼炉7の上半部からサスペンションプレヒータ8の最下段のサイクロン8dまでの間では、それぞれの個所によって高含水率廃棄物のセメント焼成装置に与える影響が変化する。
例えば、セメントキルン5の窯尻部5aの場合では、投入された高含水率汚泥は直ちにセメントキルン5に導入され蒸発によって主にセメント原料の温度を低下させることとなり、セメントキルン5でのクリンカ焼成が難しくなり、特にセメントキルン5での燃料および燃焼ガスを増加させるなどの必要が生じる。
一方、仮焼炉7の二次空気ダクト9に投入する場合には、この二次空気ダクト9内で急激な水分蒸発により二次空気温度が低下することとなる。このためセメント原料の脱炭酸を維持するために仮焼炉7の燃料を増加する必要が生じる。
このように、高含水率有機汚泥や廃水などの投入個所、およびその後の水分の蒸発挙動によって、セメント焼成設備内の各所に与える影響が変化するので、多量の高含水率廃棄物を投入する場合には、特定の個所に集中投入することを避け、例えば、セメントキルン5の窯尻部5a及び仮焼炉7の二次空気ダクト9、仮焼炉7の上半部から最下段サイクロン8dまでの間等、2箇所以上に分散して投入することにより、より安定した高含水率廃棄物の処理が可能となる。
上記の高含水率廃棄物の投入箇所のうち、特にセメントキルン窯尻部5aに下水汚泥などを多量に投入をおこなった場合には、仮焼された高温度のセメント原料がセメントキルン内で急激に冷却される。そこで、クリンカとして焼成度を保つためには、過剰な燃料を使用しセメントキルン内の燃焼ガスを多くする必要がある。
過剰な燃焼ガスはセメントキルン5の窯尻部5aのガス温度を高めるので、この部位にアンザツの付着を多くし、セメントキルンのガスの流れを阻害し通ガス量を低減させる可能性がある。
特に、従来のセメント焼成設備においては、多量の高含水率廃棄物を窯尻部に投入処理をおこなうと、クリンカの焼成度を維持するに十分な燃焼ガスが得られないなどにより、必要量のクリンカを焼成することが不可能となり、しかも満足な品質が得られないなどの操業に対する影響が急激に高くなる。
本実施形態のセメント製造設備は、高効率型クリンカクーラ6と、水分を多量に含む有機系の汚泥である高含水率有機汚泥を直接投入する高含水率有機汚泥の直接投入処理装置17とを備えたので、セメントキルン5内のクリンカ焼成帯域の温度を容易に高めることができ、よって、過剰な燃焼ガスを必要としなくなり、セメント焼成設備の操業に与える影響を小さくすることができる。したがって、高含水率有機汚泥を多量に処理する場合であってもクリンカ品質を保つことができる。
本発明の実施例1〜6として高効率型クリンカクーラ6を付設したセメント焼成設備Aを用い、実施例7、8として従来型クリンカクーラを付設したセメント焼成設備Bを用い、比較例として、従来型クリンカクーラを付設したセメント焼成設備Bを用い、これらのセメント焼成設備A、Bについて、下水汚泥(高含水率汚泥)および水分がほぼ100重量%の廃液(廃水)の投入量および投入位置を変化させ処理試験を行った。
なお、これらの下水汚泥、廃水、セメント焼成設備A、B等の概要は下記の通りである。
(1)下水汚泥
含水率 82%(固形分 18%)
固形分の性状
組成 :灰分14.2%、揮発分70%、固形炭素8.3%
元素分析:炭素37.4%、水素5.7%、窒素4.4%、酸素36.3%
発熱量(高位):3500Kcal/kg
(真発熱量3100Kcal/kg)
理論燃焼空気量:3.8Nm/kg
理論燃焼ガス量:4.4Nm/kg
(2)廃水
水分ほぼ100重量%の中和等の処理廃液
(3)セメント焼成設備A
a.サスペンションプレヒータおよび仮焼炉
4段サイクロン型サスペンションプレヒータ及び流動層式仮焼炉(N−MFC型)
b.セメントキルン
セメントキルンサイズ 110mL×5.8mφ
c.クリンカクーラ
二次空気回収域:高効率型クリンカクーラ(IKN社製ペンジュラムクリンカクーラ)
クーラ排気領域:従来型クリンカクーラ(バブ日立社製)
(4)セメント焼成設備B
a.サスペンションプレヒータおよび仮焼炉
5段サイクロン型サスペンションプレヒータ及び噴流炉式仮焼炉(N−SF型)
b.セメントキルン
セメントキルンサイズ 100mL×5.3mφ
c.クリンカクーラ
従来型クリンカクーラ(バブ日立社製)
「実施例1〜6」
セメント焼成設備Aについて下水汚泥もしくは廃水の投入処理量および投入位置を選定し、下水汚泥または廃水の投入の無いセメントクリンカ生産量(クリンカ生産能力)に対して1重量%、4重量%、7重量%、10重量%の4水準で変更させた場合について、セメント焼成設備のクリンカ生産能力、クリンカ品質(焼成度)およびクリンカ焼成熱量原単位等の操業における変化を調べた。
なお、投入位置については、下水汚泥はセメントキルン窯尻部を、また廃水は仮焼炉を選定した。
また、操業条件は、サスペンションプレヒータ8の排ガス温度が380℃以上になった場合に、最上段のサイクロン8aのガスの入り口から水の噴霧(または散水)を行い、最上段のサイクロン8aの排ガス温度を380℃に維持した。
これらの結果を表1に示す。なお、下水汚泥を全く投入しない場合を「基準」として、下水汚泥または廃水の処理を増加させた場合について、セメント焼成設備の操業値の変化について調べた。各操業条件における燃料焚比、セメント焼成設備の各部温度、操業状況の評価結果を表2に示す。
なお、表2中の「温度変化量」とは、基準値からの温度変化量(温度差)のことである。
Figure 0004908031
Figure 0004908031
表1及び表2によれば、セメント焼成設備Aにおけるセメントキルンの窯尻部5aにおける下水汚泥の処理を増加した場合であっても、セメントキルンの窯尻部の温度の上昇は大きくなく、セメントクリンカの焼成度に与える影響は無かった。処理可能量は、無添加時のセメントクリンカ焼成能力に対して約10%までは可能であることが確認された。
セメントクリンカ焼成設備の能力は、下水汚泥の添加量を増加するにしたがって低下し、下水汚泥の処理重量の約2〜3重量倍のセメントクリンカの焼成能力が低下していた。
また、単位セメントクリンカ焼成のための熱量使用量(熱量原単位)は、下水汚泥の無添加時のクリンカ焼成量(クリンカ焼成能力)に対して1重量%の処理量につき熱量原単位は1.5〜3%の悪化が見られた。この熱量原単位の悪化は、下水汚泥の持つ水分の蒸発潜熱に対して2〜2.5倍の熱量に相当する。特に下水汚泥の処理量が多くなるに従って熱量原単位の悪化程度が増加してくる。
このように、セメント焼成設備Aで下水汚泥を処理する場合、従来のセメント焼成設備(セメント焼成設備B)と同様にクリンカ焼成量および熱量原単位に大きく影響を及ぼすが、表2に示すように、セメントキルンの窯尻部の温度の上昇も比較的小さくなった。したがって、多量に処理した場合であっても、クリンカ焼成度の維持などの操業に与える影響が小さく、下水汚泥の処理量を容易に増加することができた。
仮焼炉の胴体部で廃水を噴霧処理した実施例5、6においては、セメントキルン窯尻部の温度変化も僅かであり、セメントクリンカを十分焼成することが可能であった。また、クリンカ焼成量や熱量原単位の変化は、上記の下水汚泥の処理の場合と同程度であった。
「比較例1〜6」
従来型クリンカクーラを付設するセメント焼成設備Bについて、下記の3条件にて下水汚泥の投入場所の違いによるセメント焼成設備の操業に対する影響度を調べた。
(1)セメントキルン窯尻部に下水汚泥を投入してセメントキルン内で焼却処理を行う場合
(2)仮焼炉二次空気ダクトに廃水を投入して、二次ダクト内および仮焼炉で焼却処理を行う場合
(3)最下段サイクロン内に廃水を投入して焼却処理を行う場合
なお、投入位置については、下水汚泥はセメントキルン窯尻部を、また廃水は仮焼炉を選定した。
また、操業条件は、サスペンションプレヒータ8の排ガス温度が380℃以上になった場合に、最上段のサイクロン8aのガスの入り口から水の噴霧(または散水)を行い、最上段のサイクロン8aの排ガス温度を380℃に維持した。
これらの結果を表3に示す。なお、下水汚泥を全く投入しない場合を「基準」とした。
また、下水汚泥の処理を増加させた場合について、セメント焼成設備の操業値の変化について調べた。各操業条件における燃料焚比、セメント焼成設備の温度、操業状況の評価結果を表4に示す。
なお、表4中の操業状況の判断基準は下記の通りである。
○:クリンカの焼成度の維持及び長時間の連続操業に支障が無い場合。
△:セメントキルンの燃焼ガス量が確保できない等により、頻繁にクリンカ焼成量をより低下させて対応する等の場合。
×:クリンカ焼成度の維持が難しく、連続操業が困難である場合。
「実施例7、8」
従来型クリンカクーラを付設するセメント焼成設備Bについて、廃水、または下水汚泥および廃水の投入処理量を、下水汚泥または廃水の投入の無いセメントクリンカ生産量(クリンカ生産能力)に対して6〜7重量%とし、さらに、廃水、または下水汚泥および廃水の投入位置を1個所以上とした場合について、セメント焼成設備の操業に対する影響度を調べた。
ここでは、実施例7では、廃水の投入位置を最下段サイクロン内とし、実施例8では、下水汚泥の投入位置をセメントキルン窯尻部とするとともに、廃水の投入位置を最下段サイクロン内とした。
操業条件は、サスペンションプレヒータ8の排ガス温度が380℃以上になった場合に、最上段のサイクロン8aのガスの入り口から水の噴霧(または散水)を行い、最上段のサイクロン8aの排ガス温度を380℃に維持した。
これらの結果を表3に示す。なお、下水汚泥を全く投入しない場合を「基準」とした。
また、下水汚泥の処理を増加させた場合について、セメント焼成設備の操業値の変化について調べた。各操業条件における燃料焚比、セメント焼成設備の温度、操業状況の評価結果を表4に示す。
なお、表4中の操業状況の判断基準は比較例1〜6と同様である。
Figure 0004908031
Figure 0004908031
表3及び表4によれば、下水汚泥の処理可能量は、高効率型クリンカクーラを付設したセメント焼成設備Aでは、無処理時のクリンカ焼成能力に対して約10%程度までの下水汚泥の処理が可能であったが、従来型クリンカクーラを付設したセメント焼成設備Bでは、約4%の下水汚泥の処理時はセメント焼成設備の操業の継続が可能であったものの、セメントキルン窯尻温度の上昇に伴うアンザツ付着が増加した場合はクリンカ焼成度を維持することが難しく、著しくクリンカ焼き出し量を低下させる必要があるなどの問題点があった。
また、約6%の下水汚泥の処理時には、セメント焼成設備の操業が不安定となり、クリンカ焼成度を確保することが困難であった。
特に、6%の水準では、セメントキルンの窯尻部の温度の上昇に伴う急激なアンザツ付着の増加や、燃焼ガス量が低下することにより、クリンカ焼成帯のクリンカ温度を維持することが難しく、操業に対する悪化要因が多くなり、長時間の連続操業は困難な状況であった。
したがって、セメント焼成設備Bにおける下水汚泥の処理可能量は、セメント焼成設備の安定操業が可能な範囲のみにて行われるとすると、無添加時のクリンカ焼成能力に対して約3〜4%以下となる。
クリンカ焼成能力の変化については、セメント焼成設備Bにおいても、セメント焼成設備Aと同様に下水汚泥の処理量に対して約3重量倍のクリンカ焼成量が低下する。また、クリンカ焼成の熱量原単位は、3〜4%の処理範囲においては2.0%程度悪化することが確認された。
仮焼炉二次空気ダクトに廃水を投入した比較例4,5,6では、仮焼炉での燃料使用量比が多くなり、クリンカ焼成量の低下、クリンカ焼成の熱量原単位の増加が比較例1〜3より大きかったが、セメントキルン窯尻温度などの上昇は少なく、クリンカの焼成度等の操業に与える影響はむしろ小さかった。
一方、最下段サイクロン内に廃水を投入した実施例7、8では、比較例1〜6のうち処理量が同程度の場合と比較して、クリンカ焼成量の低下、クリンカ焼成の熱量原単位の増加が小さく、しかもセメントキルン窯尻温度などの上昇が僅かであるため、クリンカの焼成度等の操業に与える影響は小さく、従来のセメント焼成設備(焼成設備B)であっても、安定した操業が継続できることが分かった。
以上のように、高含水率廃棄物の性状に応じて投入箇所を選定すること、および2箇所以上の異なる箇所において処理することにより、セメント焼成設備の特定の場所に影響が集中することなく、または影響が大きくなることなく操業が可能となることが確認できた。
本発明の一実施形態のセメント製造設備を示す模式図である。 本発明の一実施形態のセメント製造設備の高効率型クリンカクーラを示す縦断面図である。 図2のA−A線に沿う断面図である。
符号の説明
1 原料ミル
2 サイクロン
3 セメント原料貯蔵庫
5 セメントキルン
5a 窯尻部
5b 窯前部
6 高効率型クリンカクーラ
7 仮焼炉
8 サスペンションプレヒータ
8a〜8d サイクロン
9 二次空気ダクト
10 電気集塵機
11 排気煙突
12 バーナー
13 クーラ排気ライン
14 セメント原料供給ライン
15 セメント原料粉供給ライン
16 セメントクリンカ搬送ライン
17 高含水率有機汚泥の直接投入処理装置
21 貯留槽
22 ポンプ
23 高含水率有機汚泥供給ライン
31 クーラ本体
32 クーラプレート
33 グレートサポート
34 仕切板
35 冷却空気用配管
36 フレキシブル継手
37〜37、37a−1、37a−2 冷却空気ファン
38 エアビーム

Claims (4)

  1. セメント原料を予熱するサスペンションプレヒータと、予熱された前記セメント原料を仮焼する仮焼炉と、この仮焼されたセメント原料を焼成しクリンカとするセメントキルンと、このクリンカを冷却するクリンカクーラとを備えたセメント焼成設備を用いて高含水率廃棄物を焼却処理する方法であって、
    前記クリンカクーラは、長尺箱状のクーラ本体内の長手方向に、スリット状の冷却空気の噴出孔が形成されたクーラプレートと、前記クーラプレートの下面に設けられたグレートサポートとで構成された風箱を配列してなる波形プレート構造の高効率型クリンカクーラであり、
    前記高含水率廃棄物のうち粘性の高い高含水率汚泥を、前記サスペンションプレヒータ、前記仮焼炉及び前記セメントキルンのうちいずれか一個所以上に直接投入し、その後焼却処理を行い、
    前記高含水率廃棄物のうち粘性の低い高含水率汚泥を、前記セメントキルンの窯尻部、前記仮焼炉の二次空気ダクト、前記仮焼炉の上半部から前記サスペンションプレヒータの最下段のサイクロンまでの間、のうちいずれか一個所以上に直接投入し、その後焼却処理を行うことを特徴とする高含水率廃棄物の処理方法。
  2. 前記高含水率廃棄物の前記仮焼炉または前記セメントキルンへの投入量は、
    前記セメント焼成設備における前記クリンカの焼成量に対して4重量%以上、前記高含水率廃棄物に含まれる合計水分量で前記クリンカの焼成量に対して3重量%以上、のいずれかであり、かつ前記高含水率廃棄物の無添加時のセメントクリンカ焼成能力に対して10重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の高含水率廃棄物の処理方法。
  3. 前記高含水率廃棄物は、下水汚泥、工場汚泥、廃水、中和水、有機性スラッジから選択される1種または2種以上であり、かつ、高温にて焼却処理を行う廃棄物であることを特徴とする請求項1または2記載の高含水率廃棄物の処理方法。
  4. セメント原料を予熱するサスペンションプレヒータと、予熱された前記セメント原料を仮焼する仮焼炉と、この仮焼されたセメント原料を焼成しクリンカとするセメントキルンと、このクリンカを冷却する高効率型クリンカクーラとを備え、前記高効率型クリンカクーラが、長尺箱状のクーラ本体内の長手方向に、スリット状の冷却空気の噴出孔が形成されたクーラプレートと、前記クーラプレートの下面に設けられたグレートサポートとで構成された風箱を配列してなる波形プレート構造のクリンカクーラであるセメント焼成設備を用いて高含水率廃棄物を焼却処理する装置であって、
    前記サスペンションプレヒータ、前記仮焼炉及び前記セメントキルンのうち一個所以上に、
    前記高含水率廃棄物の処理能力が、前記セメント焼成設備におけるクリンカの焼成量に対して合計4重量%以上、かつ前記高含水率廃棄物の無添加時のセメントクリンカ焼成能力に対して10%以下であり、前記高含水率廃棄物のうち粘性の高い高含水率汚泥を、前記サスペンションプレヒータ、前記仮焼炉及び前記セメントキルンのうちいずれか一個所以上に直接投入し、前記高含水率廃棄物のうち粘性の低い高含水率汚泥を、前記セメントキルンの窯尻部、前記仮焼炉の二次空気ダクト、前記仮焼炉の上半部から前記サスペンションプレヒータの最下段のサイクロンまでの間、のうちいずれか一個所以上に直接投入する高含水率廃棄物投入手段を備えてなることを特徴とする高含水率廃棄物の処理装置。
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