JP4903025B2 - 発泡飲料用の注ぎ口構造並びにそれを有する泡改善缶容器、泡改善ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器、泡改善泡立て具、泡改善ディスペンサー及び泡改善発泡飲料用ピッチャー - Google Patents

発泡飲料用の注ぎ口構造並びにそれを有する泡改善缶容器、泡改善ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器、泡改善泡立て具、泡改善ディスペンサー及び泡改善発泡飲料用ピッチャー Download PDF

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Description

本発明は、ビール、発泡酒等の注ぎ出した時に泡立ちが求められる発泡飲料を注ぎ出す際に、泡量が多く、かつ、泡持ちが長時間化するように泡改善をした注ぎ口構造に関する。また、その注ぎ口構造を有する缶容器、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、「PET」という。)製容器、取り付け型の泡立て具、ディスペンサー及びピッチャーに関する。
ビール、発泡酒等の発泡飲料は、コップやジョッキに注ぎ出された時に、含有される蛋白成分によって泡が立ちやすい。この泡は、きめの細かいクリーミーな泡であることが好まれ、かつ、長時間消失せずに、いわば泡層が液を蓋している状態が長時間持続することが好まれる。
きめの細かいクリーミーな泡立ちを生じさせ、かつ、その泡層を長時間消失させずに残させるため、いくつか工夫がされている。
例えば、発泡飲料容器の注ぎ口に取り付ける泡立て器具に関する技術(例えば、特許文献1〜特許文献3を参照。)がある。
また、家庭用ビールサーバーの注ぎ口のビール流通経路中に表面に微細な凹凸を有する発泡誘因部材を介装する技術(例えば、特許文献4又は特許文献5を参照。)がある。
さらに、容器に泡立ち手段を設けた技術(例えば、特許文献6〜特許文献9を参照。)がある。
特開2004−123233号公報 特開2000−60710号公報 特開平6−345097号公報 特開2004−43033号公報 特開2002−332052号公報 特表平9−501381号公報 特表平9−501382号公報 特開2004−83029号公報 特表平8−507028号公報
ここで、特許文献1、6〜9の技術は泡を発生させる機構を付与する技術であり、また、特許文献2〜5の技術は、陶器部材又は微小突起を多数設けた粗面を有する部材を使用する技術であり、プラスチック容器、缶容器、ピッチャー又はディスペンサーについて幅広く適用できる技術ではない。また、缶容器、現状のプラスチック容器、ピッチャー又はディスペンサーについて、外観を変更せずに泡立ちや泡持ちを改善させる技術ではない。
本発明は、缶容器、プラスチック容器、ピッチャー又はディスペンサー等の発泡飲料と接触し、発泡飲料を注ぎ出す役割を持つ容器又は器具に対して幅広く適用でき、かつ、これらの容器又は器具の外観を変更せずに泡立ちや泡持ちを改善させることを目的とする。
本発明者らは、ビール、発泡酒等の発泡飲料の泡は、容器又は器具の素材の濡れ性及び表面エネルギーに大きな影響を受け、水に対する濡れ性が良い、つまり表面エネルギーが大きな容器又は器具では、泡量、泡持ちともに良好となることを見出し、本発明を完成させた。
具体的には、本発明に係る発泡飲料用の注ぎ口構造は、発泡飲料を注ぎ出すための注ぎ口構造において、
注ぎ口がプラスチック樹脂で形成されてなるか、或いは、注ぎ口の少なくとも内壁面がプラスチック樹脂からなる被覆層で覆われており、且つ、
前記プラスチック樹脂で形成された注ぎ口の内壁面又は前記被覆層の表面は、JIS K6768 1999で規定される濡れ性が38dyn/cm以上であるように表面改質されていることを特徴とする。
また、本発明に係る発泡飲料用の注ぎ口構造は、発泡飲料を注ぎ出すための注ぎ口構造において、
注ぎ口がプラスチック樹脂で形成されてなるか、或いは、注ぎ口の少なくとも内壁面がプラスチック樹脂からなる被覆層で覆われており、且つ、
前記注ぎ口を形成しているプラスチック樹脂又は前記被覆層を形成しているプラスチック樹脂は、JIS K6768 1999で規定される濡れ性が38dyn/cm以上であることを特徴とする。
本発明に係る発泡飲料用の注ぎ口構造では、前記注ぎ口の内壁面又は前記被覆層の表面が、粗面化処理されていることが好ましい。2杯目以降を注いだときの泡持ちをより良好とすることができる。
本発明に係る発泡飲料用の注ぎ口構造を、缶容器、プラスチック容器、ピッチャー又はディスペンサーに持たせることで、泡量、泡持ちともに良好とすることができる。具体的には、本発明に係る泡改善缶容器は、本発明に係る発泡飲料用の注ぎ口構造を有する缶容器であって、該缶容器の内面に被覆されたプラスチック樹脂からなる内面塗料層は、JIS K6768 1999で規定される濡れ性が38dyn/cm以上であるように表面改質されているか、或いは、前記濡れ性が38dyn/cm以上のプラスチック樹脂で形成されていることを特徴とする。
本発明に係る泡改善ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器は、本発明に係る発泡飲料用の注ぎ口構造を有するポリエチレンテレフタレート樹脂製容器であって、該ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器の少なくとも内面にJIS K6768 1999で規定される濡れ性が38dyn/cm以上であるプラスチック樹脂を被覆しているか、或いは、該ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器の少なくとも内面を表面改質して前記濡れ性を38dyn/cm以上としていることを特徴とする。
本発明に係る泡改善泡立て具は、発泡飲料用の注ぎ口に装着可能な取り付け構造を有し、且つ、本発明に係る発泡飲料用の注ぎ口構造を有することを特徴とする。
本発明に係る泡改善ディスペンサーは、発泡飲料抽出経路と泡抽出経路とを有するディスペンサーにおいて、前記泡抽出経路の注ぎ出し部が本発明に係る発泡飲料用の注ぎ口構造を有することを特徴とする。
本発明に係る泡改善発泡飲料用ピッチャーは、プラスチック樹脂製の発泡飲料用ピッチャーにおいて、該発泡飲料用ピッチャーの注ぎ口が本発明に係る発泡飲料用の注ぎ口構造を有することを特徴とする。
本発明に係る発泡飲料用の注ぎ口構造は、缶容器、プラスチック容器、ピッチャー又はディスペンサー等の発泡飲料と接触し、発泡飲料を注ぎ出す役割を持つ容器又は器具に対して幅広く適用でき、かつ、これらの容器又は器具の外観を変更せずに泡立ちや泡持ちを改善させることができる。
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
(作用)
泡は、ビール、発泡酒等の発泡飲料の液体中において発生するよりも、液と接している容器等の壁面で発生しやすいが、さらに泡の発生の程度は、壁面の素材の濡れ性及び表面エネルギーに大きな影響を受け、水に対する濡れ性が良い、つまり表面エネルギーが大きな壁面である場合、泡量、泡持ちともに良好となることが判明した。本発明者らの調査によれば、プラスチック容器又は内面塗料を施した金属缶の注ぎ口の壁面は、ガラス瓶の注ぎ口の壁面と比較して、濡れ性が低いので、実際に、泡量が少なく、また泡持ち時間が短かった。容器の形状を類型ごとに分類し、いずれの分類においてもこの傾向は同じであった。そこで、プラスチック容器又は内面塗料を施した金属缶において、注ぎ口の壁面のJIS K6768 1999で規定される濡れ性(以下、単に「濡れ性」と省略して表記する。)を38dyn/cm以上とすることで、泡量を多く、泡持ちを良くすることができた。濡れ性改善によって発泡飲料用の注ぎ口構造に泡改善効果を付与する技術は、プラスチック容器又は金属缶だけでなく、他にも適用できる。例えば、ビールディスペンサーの注ぎ出し部やビールピッチャーの注ぎ口の濡れ性を改善し、また、泡立ちを良くするために容器の注ぎ口に装着する泡改善泡立て具の注ぎ口の濡れ性を改善する。
(第一形態)
図1は第一形態に係る発泡飲料用の注ぎ口構造をプラスチック容器に持たせた場合の概略図であり、(a)は被覆層が容器の注ぎ口の内壁面のみを覆っている場合、(b)は被覆層が注ぎ口を含む容器の内壁面の全体を覆っている場合を示した。図1(a)に示すように、第一形態に係る発泡飲料用の注ぎ口構造10は、発泡飲料を注ぎ出すための注ぎ口構造において、注ぎ口の少なくとも内壁面がプラスチック樹脂からなる被覆層2で覆われており、且つ、被覆層2の表面は、濡れ性が38dyn/cm以上であるように表面改質されている。図1(a)に示した被覆層2は、プラスチック容器1の注ぎ口の内壁面のみを覆っているが、図1(b)に示すように被覆層2は、プラスチック容器1の内壁面全体を被覆していても良い。
注ぎ口構造は、発泡飲料を注ぎ出すための口(注ぎ口)が設けられている構造であれば、いかなる構造も本実施形態でいう注ぎ口構造に包含されるが、一般的に、発泡飲料を注ぎ出すための口(注ぎ口)と、当該口を形成する周辺部とを有する。ここで、周辺部は、例えば、ボトルのように首から口にかけて側面が縮径する筒状形状のタイプ、または、飲料用缶の缶蓋のように、円筒形状の側胴部の上端に巻き締められた缶蓋に設けられたプルタグが口となり、開封される缶蓋タイプ、または、ビールディスペンサーの注ぎ出し部のように側面が細長の管状形状のタイプ、または、ビールピッチャーのように口が大きく開口し、側面が円筒形状のタイプ、または、容器の口に取り付ける泡立て具のように、液の流れの一部を遮って流れを乱流とする、孔部と枠部とからなる攪拌板を有する泡立て具タイプがある。発泡飲料を注ぎ出すための口の形状は、特に限定されないが、一般的に真円若しくは楕円であり、正方形、矩形または多角形口であっても良い。
周辺部の材質は、特に制限はないが、通常は、アルミニウム、スチール、黄銅、銅、ステンレス、Crメッキ、Niメッキ等の金属、或いは、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレート(PET)、ポリスチレン樹脂、66ナイロン、6ナイロン、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂(ABS)、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート系コポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマ樹脂、ポリ‐4‐メチルペンテン‐1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリロニトリル‐スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂又は4弗化エチレン樹脂等のプラスチック樹脂である。
プラスチック樹脂からなる被覆層2は、注ぎ口の少なくとも内壁面を被覆している。これは、発泡飲料を注ぐ時に発泡飲料と接触する部分が注ぎ口の内壁面であるからであり、また、注ぎ口の内壁面が主として泡量、泡持ちに影響を与えるからである。したがって、製造上の問題がなければ、注ぎ口の内壁面のみならず、これに加えて注ぎ口の外壁面にプラスチック樹脂からなる被覆層2が被覆されていても良い。つまり、図1(a)で示すように、プラスチック容器1の注ぎ口の内壁面のみを覆っている形態を基本とするが、図1(b)で示すように、被覆層2は、プラスチック容器1の内壁面全体を被覆していても良い。さらに、注ぎ口の端面もプラスチック樹脂からなる被覆層2が被覆されていても良い。被覆層2は、プラスチック樹脂からなるが、当該プラスチック樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレート(PET)、ポリスチレン樹脂、66ナイロン、6ナイロン、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂(ABS)、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート系コポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマ樹脂、ポリ‐4‐メチルペンテン‐1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリロニトリル‐スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂又は4弗化エチレン樹脂等のプラスチック樹脂である。被覆層2を構成するプラスチック樹脂の種類は、注ぎ口の内壁の材質との接着性や表面改質する際の濡れ性向上のし易さを基に適宜選択される。被覆層2の表面は、濡れ性が38dyn/cm以上であるように表面改質されている。濡れ性が38dyn/cm未満であると、泡量が少なく、また、泡持ちが悪い。
被覆層2の表面改質の方法としては、例えば、コロナ放電処理、UV処理、添加剤を加える等の既存技術を使用する。
第一形態に係る発泡飲料用の注ぎ口構造の具体例としては、飲料缶の缶蓋の内面塗料の塗布層を被覆層2として、当該内面塗料の塗布層の濡れ性を38dyn/cm以上であるように表面改質している形態がある。ここで、缶蓋に加えて缶胴の内面塗料の塗布層も被覆層2として、当該内面塗料の塗布層の濡れ性を38dyn/cm以上に表面改質した形態としても良い。なお、PETボトル等のプラスチックボトルの内壁面、ビールディスペンサーの注ぎ出し部の内壁面、ビールピッチャーの内壁面又は容器の口に取り付ける泡立て具の液との接触する内壁面に被覆層2を別途設け、塗布層2の濡れ性を38dyn/cm以上であるように表面改質している形態でもよい。この場合、被覆層2の下地面が表面改質されにくい場合に有効である。
(第二形態)
図2は第二形態に係る発泡飲料用の注ぎ口構造をプラスチック容器に持たせた場合の概略図であり、(a)は被覆層が容器の注ぎ口の内壁面のみを表面改質した場合、(b)は被覆層が注ぎ口を含む容器の内壁面の全体を表面改質した場合を示した。図2(a)に示すように、第二形態に係る発泡飲料用の注ぎ口構造20は、発泡飲料を注ぎ出すための注ぎ口構造において、注ぎ口がプラスチック樹脂で形成されてなり、且つ、プラスチック樹脂で形成された注ぎ口の内壁面の表面3は、濡れ性が38dyn/cm以上であるように表面改質されている。図2(a)では、プラスチック容器1の注ぎ口の内壁面のみが表面改質されているが、図2(b)のように、プラスチック容器1の内壁面全体を表面改質しても良い。なお、図2(a)(b)において、表面改質した箇所を点線4で示した。
注ぎ口構造は、第一形態と同様である。
注ぎ口構造の周辺部の材質は、プラスチック樹脂であり、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレート(PET)、ポリスチレン樹脂、66ナイロン、6ナイロン、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂(ABS)、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート系コポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマ樹脂、ポリ‐4‐メチルペンテン‐1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリロニトリル‐スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂又は4弗化エチレン樹脂等のプラスチック樹脂である。
濡れ性が38dyn/cm以上であるように表面改質をする場所は、注ぎ口の少なくとも内壁面である。これは、発泡飲料と接触する部分が注ぎ口の内壁面であるからであり、また、注ぎ口の内壁面が主として泡量、泡持ちに影響を与えるからである。したがって、製造上の問題がなければ、注ぎ口の内壁面のみならず、これに加えて外壁面も表面改質をしても良い。つまり、図2(a)で示すように、プラスチック容器1の注ぎ口の内壁面のみを表面改質する形態を基本とするが、図2(b)で示すように、プラスチック容器1の内壁面全体を表面改質しても良い。さらに、注ぎ口の端面も表面改質しても良い。注ぎ口の内壁面は、濡れ性が38dyn/cm以上であるように表面改質されている。濡れ性が38dyn/cm未満であると、泡量が少なく、また、泡持ちが悪い。
表面改質の方法としては、例えば、コロナ放電処理、UV処理、添加剤を加える等の既存技術を使用する。
第二形態に係る発泡飲料用の注ぎ口構造の具体例としては、PETボトル等のプラスチックボトルの内壁面、ビールピッチャーの内壁面、ディスペンサーの泡抽出経路の注ぎ出し部の内壁面又は容器の口に取り付ける泡立て具の液との接触する内壁面を、濡れ性が38dyn/cm以上であるように表面改質している形態がある。この場合、被覆層2を設けずとも、注ぎ口構造の壁が、表面改質によって容易に濡れ性が改善されるプラスチック樹脂からなる場合に有効である。
(第三形態)
図1(a)に示すように、第三形態に係る発泡飲料用の注ぎ口構造30は、発泡飲料を注ぎ出すための注ぎ口構造において、注ぎ口の少なくとも内壁面がプラスチック樹脂からなる被覆層2で覆われており、且つ、被覆層2を形成しているプラスチック樹脂は、濡れ性が38dyn/cm以上である。図1(a)に示した被覆層2は、プラスチック容器1の注ぎ口の内壁面のみを覆っているが、図1(b)に示すように被覆層2は、プラスチック容器1の内壁面全体を被覆していても良い。
注ぎ口構造は、第一形態と同様であり、また、周辺部の材質も第一形態と同様である。
被覆層2が被覆する部分は、第1形態と同様である。被覆層2は、プラスチック樹脂からなるが、当該プラスチック樹脂としては、濡れ性が38dyn/cm以上である樹脂、例えば、66ナイロン(濡れ性40dyn/cm)、6ナイロン(濡れ性38dyn/cm)、アクリル樹脂(濡れ性38dyn/cm)、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(濡れ性40dyn/cm)である。濡れ性が38dyn/cm未満の樹脂であると、泡量が少なく、また、泡持ちが悪い。
第三形態に係る発泡飲料用の注ぎ口構造の具体例としては、PETボトル等のプラスチックボトルの内壁面、ビールピッチャーの内壁面、ディスペンサーの泡抽出経路の注ぎ出し部の内壁面又は容器の口に取り付ける泡立て具の液との接触する内壁面に、濡れ性が38dyn/cm以上のプラスチック樹脂からなる被覆層2を被覆する形態である。この場合、被覆層2の下地面が表面改質されにくい場合に有効である。また、被覆層2が飲料缶の缶蓋の内面塗料の塗布層である場合、被覆層2の樹脂として、濡れ性が38dyn/cm以上のプラスチック樹脂を用いる形態でも良い。このとき、飲料缶の缶胴の内面塗料の塗布層の樹脂として、濡れ性が38dyn/cm以上のプラスチック樹脂を用いても良い。
(第四形態)
第四形態に係る発泡飲料用の注ぎ口構造は、発泡飲料を注ぎ出すための注ぎ口構造において、注ぎ口がプラスチック樹脂で形成されてなり、且つ、注ぎ口を形成しているプラスチック樹脂は、濡れ性が38dyn/cm以上である。少なくとも注ぎ口のみが濡れ性38dyn/cm以上のプラスチック樹脂で形成されていれば良い。したがって、第四形態に係る発泡飲料用の注ぎ口構造には、例えば、注ぎ口を含む成形体全体が38dyn/cm以上のプラスチック樹脂で形成されている形態、また、注ぎ口以外の部分が他の樹脂で形成されている形態がある。濡れ性が38dyn/cm未満であると、泡量が少なく、また、泡持ちが悪い。
注ぎ口構造は、第一形態と同様である。
注ぎ口構造の周辺部の材質は、プラスチック樹脂であり、濡れ性が38dyn/cm以上である樹脂、例えば、66ナイロン(濡れ性40dyn/cm)、6ナイロン(濡れ性38dyn/cm)、アクリル樹脂(濡れ性38dyn/cm)、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(濡れ性40dyn/cm)である。濡れ性が38dyn/cm未満の樹脂であると、泡量が少なく、また、泡持ちが悪い。
第四形態に係る発泡飲料用の注ぎ口構造の具体例としては、容器の口に取り付ける泡立て具の注ぎ口構造、プラスチックボトルの口、ディスペンサーの泡抽出経路の注ぎ出し部又はビールピッチャーの注ぎ口がある。
第一形態乃至第四形態に係る発泡飲料用の注ぎ口構造では、注ぎ口の内壁面又は被覆層の表面が、粗面化処理されていることが好ましい。2杯目以降を注いだときの泡持ちをより良好とすることができる。粗面化処理としては、例えば、金型をブラストして成形面を粗面化して、金型の凹凸を成形体に転写する方法、成形体に直接ブラストしてその表面に凹凸をつける方法、又は、プラスチック成形の際に原料に発泡剤を混入して発泡成形を行なうことで成形体の表面に凹凸をつける方法がある。
形状が同一で、濡れ性(材質)及び表面粗さの異なる泡立て具を作製し、それを用いて、濡れ性及び表面粗さが泡持ちにどのように影響を与えるかを調べた。
(泡の評価方法)
500mlの耐圧PETボトルに5℃にて保管したビールを充填後、高さ105mm、満容量190mlのガラスコップに5秒で満量となるようにビールを注ぐ。このとき、コップの口の周端より30mm高のところに支持治具を配置し、支持治具に耐圧PETボトルの首を支えさせ、耐圧PETボトルを倒して、ビールをコップの中央で注ぎ込むようにする。このとき、泡までの高さを測定し、コップの高さから泡までの高さを差し引いて、泡量(mm)を算出する。同時に、泡持ち(時間)を測定する。泡切れの瞬間は、液面が見えた瞬間とする。泡量・泡持ちともに2杯目まで連続して測定する。2杯目ではビールの量が少なくなっていることによる流速及び注ぎ状態の変化に起因して、1杯目とは泡が異なる。そして、1杯目と2杯目の両方とも泡量及び泡持ちが良好であることが望まれる。試験は5回行ない、平均値を求めた。
(泡立て具の形状)
図3の形状の泡立て具を用いた。図3は、実施例で用いた泡立て具の形状を示す図であり、(a)は上面図、(b)はA−A線での断面図である。口の内径(図3(a)の内径に相当する)は16.3mmである。
泡立て具の試験番号と材質を表1にまとめた。

試験6において、アクアコーク(登録商標)とは吸水性樹脂(変性アルキレンオキサイド)であり、ポリエチレンに吸水性樹脂を混合することで泡立て具は親水化されている。JIS K6768 1999で規定される濡れ性は、PEが31dyn/cm、PETが36dyn/cm、EVOHが40dyn/cm、Fが31dyn/cmである。なお、JIS K6768 1999で規定される濡れ性の最大値は54dyn/cmであり、最小値は31dyn/cmである。したがって、PEとFはともに最小値を示し、差異が現れないため、材質の濡れ性は目視でも比較した。目視による各材質の濡れ性は、[EVOH]>>[PE(10)/AK(10)]>[PET]>[PE]>>[F]の関係があった。
図4に試験1〜試験12の泡立て具を装着した場合の1杯目と2杯目の泡持ち(秒)の比較グラフを示した。図4から、フッ素、PEのような撥水性を有する材質は泡持ちが悪く、EVOHのような親水性を有する材質は泡持ちが良いことがわかった。濡れ性は特に2杯目の泡持ちに大きな影響を与え、泡持ちに差がでた。金型をブラストすることで成形体に凹凸を設けた場合、濡れ性ほどの影響は与えないものの、泡持ちが改善されることがわかった。
第一形態に係る発泡飲料用の注ぎ口構造をプラスチック容器に持たせた場合の概略図であり、(a)は被覆層が容器の注ぎ口の内壁面のみを覆っている場合、(b)は被覆層が注ぎ口を含む容器の内壁面の全体を覆っている場合を示した。 第二形態に係る発泡飲料用の注ぎ口構造をプラスチック容器に持たせた場合の概略図であり、(a)は被覆層が容器の注ぎ口の内壁面のみを表面改質した場合、(b)は被覆層が注ぎ口を含む容器の内壁面の全体を表面改質した場合を示した。 実施例で用いた泡立て具の形状を示す図であり、(a)は上面図、(b)はA−A線での断面図である。 試験1〜試験12の泡立て具を装着した場合の1杯目と2杯目の泡持ち(秒)の比較グラフである。
1 プラスチック容器
2 被覆層
3 注ぎ口の内壁面の表面
4 表面改質した箇所
10,20,30 発泡飲料用の注ぎ口構造

Claims (8)

  1. 発泡飲料を注ぎ出すための注ぎ口構造において、
    注ぎ口がプラスチック樹脂で形成されてなるか、或いは、注ぎ口の少なくとも内壁面がプラスチック樹脂からなる被覆層で覆われており、且つ、
    前記プラスチック樹脂で形成された注ぎ口の内壁面又は前記被覆層の表面は、JIS K6768 1999で規定される濡れ性が38dyn/cm以上であるように表面改質されていることを特徴とする発泡飲料用の注ぎ口構造。
  2. 発泡飲料を注ぎ出すための注ぎ口構造において、
    注ぎ口がプラスチック樹脂で形成されてなるか、或いは、注ぎ口の少なくとも内壁面がプラスチック樹脂からなる被覆層で覆われており、且つ、
    前記注ぎ口を形成しているプラスチック樹脂又は前記被覆層を形成しているプラスチック樹脂は、JIS K6768 1999で規定される濡れ性が38dyn/cm以上であることを特徴とする発泡飲料用の注ぎ口構造。
  3. 前記注ぎ口の内壁面又は前記被覆層の表面が、粗面化処理されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡飲料用の注ぎ口構造。
  4. 請求項1、2又は3に記載の発泡飲料用の注ぎ口構造を有する缶容器であって、
    該缶容器の内面に被覆されたプラスチック樹脂からなる内面塗料層は、JIS K6768 1999で規定される濡れ性が38dyn/cm以上であるように表面改質されているか、或いは、前記濡れ性が38dyn/cm以上のプラスチック樹脂で形成されていることを特徴とする泡改善缶容器。
  5. 請求項1、2又は3に記載の発泡飲料用の注ぎ口構造を有するポリエチレンテレフタレート樹脂製容器であって、
    該ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器の少なくとも内面にJIS K6768 1999で規定される濡れ性が38dyn/cm以上であるプラスチック樹脂を被覆しているか、或いは、該ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器の少なくとも内面を表面改質して前記濡れ性を38dyn/cm以上としていることを特徴とする泡改善ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器。
  6. 発泡飲料用の注ぎ口に装着可能な取り付け構造を有し、且つ、請求項1、2又は3に記載の発泡飲料用の注ぎ口構造を有することを特徴とする泡改善泡立て具。
  7. 発泡飲料抽出経路と泡抽出経路とを有するディスペンサーにおいて、
    前記泡抽出経路の注ぎ出し部が請求項1、2又は3に記載の発泡飲料用の注ぎ口構造を有することを特徴とする泡改善ディスペンサー。
  8. プラスチック樹脂製の発泡飲料用ピッチャーにおいて、
    該発泡飲料用ピッチャーの注ぎ口が請求項1、2又は3に記載の発泡飲料用の注ぎ口構造を有することを特徴とする泡改善発泡飲料用ピッチャー。
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