〔第1の実施形態〕
第1の実施形態では、ユーザが、コンテンツを受信する側の通信装置に対して、QoS種別としてそれぞれの通信装置ごとに受信優先度を指定し、その指定に従いネットワーク全体がPrioritized QoSによりQoS制御される形態について説明する。なお、全体の処理の流れを図4に示す。
<ネットワークの構成について>
図2において、本実施形態におけるネットワーク構成図を示す。本実施形態においては、通信装置10から通信装置20へのデータ伝送と、通信装置10から通信装置30へのデータ伝送と、通信装置10から通信装置40へのデータ伝送とが行われる。各通信装置は、ネットワークを通じて、他の通信装置とデータ伝送を行う機能を内蔵している。ネットワークとしては、イーサネット等の有線LANの他に、PLCや無線LAN等のネットワークが想定される。本実施形態においては、PLCネットワークにより各通信装置が接続されているものとする。
本発明の実施においては、通信装置として、データの送信と受信を行う任意の装置が想定される。データ送信を行う場合は、テキスト、音楽、静止画、動画等のコンテンツを保存したものが通信装置に当たる。
例えば、ホームサーバ、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバコンピュータ、HDDレコーダ、DVDプレイヤ、携帯型音楽プレイヤなどが、通信装置として考えられる。
また、データを直接送信するのではなく、他の通信装置から送信されたコンテンツの中継を行っている場合も考えられる。
例えば、インターネット上のサーバから送信されたコンテンツを中継するルータ、モデム、およびホームゲートウェイ等が通信装置である事が考えられる。
また、データ受信を行う装置としては、文書、映像、音楽、画像等のコンテンツを表示・再生・記録するための装置がこれに当たる。
例えば、テレビ受像器、VoD(Video on Demand)受信用のSTB(Set Top Box)、チューナ、PC、PDA、VoIP電話機、携帯電話機、携帯型音楽プレイヤ、HDDレコーダなどが通信装置として考えられる。
また、データを直接受信するのではなく、他の通信装置が受信するコンテンツの中継を行っている場合も考えられる。
例えば、インターネット上のサーバから送信されたコンテンツを中継するルータ、モデム、およびホームゲートウェイ等が通信装置である事が考えられる。
データ送信とデータ受信の両方を一つの通信装置が行ってもよい。
本実施形態において、通信装置10は、ホームサーバであり、MPEG形式やH.264形式等の映像データ、MP3形式やATRAC3形式等の音声データ、HTML形式やXML形式等のテキストデータを保存しているものとする。また、PLCのネットワークインタフェースを内蔵しており、PLCネットワーク経由で他の通信装置にこれらのコンテンツを送信可能である。
また、通信装置20は、PLCのネットワークインタフェースを内蔵した音楽プレイヤであり、PLC経由で受信した音声データを再生できる。
また、通信装置30は、PLCのネットワークインタフェースを内蔵したテレビ受像器であり、PLC経由で受信した映像データを再生できる。
また、通信装置40は、PLCのネットワークインタフェースを内蔵したPCであり、PLC経由で受信したテキストデータを表示できる。
本実施形態において、通信装置20は音声データを受信し、通信装置30は映像データを受信し、通信装置40はテキストデータを受信する。ユーザは、各通信装置の受信データの種類を認識しており、データの受信に際しては、通信装置20、通信装置30、通信装置40の順番で優先され、受信される事を意図しているものとする。受信側の各通信装置は、それぞれ別のユーザが使用していてもよいし、一人のユーザが複数の通信装置を使用していても良い。
<通信装置の構成について>
図1において、通信装置10・20・30・40の機能ブロック図を示す。通信装置10・20・30・40は、全て同じ構成を備えるが、通信装置の送受信の役割によっては使用しない機能ブロックも存在する。役割を限定して実装する場合、使用しない機能ブロックは省略して実装しても良い。
通信装置10・20・30・40は、QoS種別受付部11・21・31・41(QoS種別受付手段)と、QoS種別管理部12・22・32・42(QoS制御情報変換手段、QoS設定制御手段、QoS種別要求手段、QoS種別通知手段、QoS制御情報要求手段、QoS制御情報通知手段)と、データ送受信部13・23・33・43と、QoS制御部14・24・34・44(QoS設定制御手段)と、通信部15・25・35・45とを含んで構成される。
QoS種別受付部11・21・31・41は、QoS種別受付処理において、ユーザからどのQoS種別を用いてQoSデータ伝送を行うかを受け付ける。データ送受信部13・23・33・43は、受信データ決定処理において、コンテンツデータの送受信を行い、データ伝送要求処理において、データ伝送要求パケットの作成および送信を行う。QoS種別管理部12・22・32・42は、QoS制御情報変換処理において、QoS種別情報を、PLCネットワークにおける送信優先度に変換し、QoS設定処理において、QoS設定要求パケットの作成および送信を行い、QoS制御部14・24・34・44の設定を行う。QoS制御部14・24・34・44は、伝送するパケットの優先制御を行う。通信部15・25・35・45は、PLCネットワークに対するパケットの送受信を行う。
換言すれば、QoS種別管理部(QoS設定制御手段)12・22は、QoS制御情報変換処理において変換された送信優先度(QoS制御情報)に基づき、通信装置20が受信するデータに対するQoS設定処理を行う。
<QoS種別受付処理について>
通信装置20が、通信装置10との間で、QoS設定を行い、コンテンツのデータ伝送を行うまでの手順、すなわちQoS種別受付処理と、受信データ決定処理と、QoS制御情報変換処理と、QoS設定処理と、データ伝送要求処理とについて、以下に説明する。
通信装置20について、ユーザは、コンテンツ受信側の通信装置20・30・40のうち、最高の優先度でデータを受信したいと意図しているので、QoS種別受付部21により「高優先度」を指定する。具体的には、図3に示すようなスライド式の切り替えスイッチを、「高優先度」を示す位置に設定することが考えられる。
<受信データ決定処理について>
QoS種別が設定された後、任意のタイミングにおいて、通信装置20のデータ送受信部23が、受信するコンテンツデータを決定する。通信装置10に複数のコンテンツが保存されており、受信するコンテンツとして複数の候補がある場合、その中からどのコンテンツを受信するか決定する必要がある。コンテンツ決定方法は本発明の本質とは関係がないので、その方法は任意である。
例えば、通信装置10が、保存しているコンテンツのリストを作成し、コンテンツ受信側の通信装置20が、そのリストをPLC経由で受信して表示する事が考えられる。ユーザは、表示されたリストから所望のコンテンツを選択する。このような処理を行うための通信プロトコルやユーザインタフェースは、データ送受信部13・23が備えているものとする。なお、ユーザが受信するコンテンツデータを決定するのではなく、データ送受信部23が自動的に受信するコンテンツを決定しても良い。ここでは、何らかの音楽コンテンツが受信するコンテンツとして決定されたとする。
<QoS制御情報変換処理について>
通信装置20のデータ送受信部23は、受信するコンテンツデータを決定すると、QoS種別管理部22に対し、QoS制御情報変換処理を行うよう指示する。QoS種別管理部22は、QoS種別受付部21から、入力されたQoS種別情報を取得する。ここでは、「高優先度」という情報が得られるので、このQoS種別情報を、PLCネットワークにおける送信優先度に変換する。
例えば、PLCの規格であるHome Plug AV Specification 1.0.00においては、パケットの送信優先度として、0〜3の整数を指定可能なPLID(Priority Link ID)と呼ばれる値が定義されている。
通信装置10が通信装置20に対してパケットを送信する際には、このPLIDを参照して送信優先度が決定されるので、QoS種別管理部22は、QoS種別情報からPLIDを導出し、コンテンツ送信側の通信装置10に対して、自局が要求するPLIDを通知すればよい。
本実施形態では、QoS種別情報として「高優先度」が指定されていればPLIDの値を3とし、QoS種別情報として「中優先度」が指定されていればPLIDの値を2とし、QoS種別情報として「低優先度」が指定されていればPLIDの値を1とする変換方法を、全通信装置10・20・30・40が実装しているとする。
通信装置20においては、「高優先度」が指定されているので、PLIDの値として3が導出される。
なお、本実施形態においては、ネットワークとしてPLCを想定しているが、本発明は、PLCに限らず、同様のPrioritized QoSの仕組みを持つネットワークであれば実施可能である。例えば、IEEE802.11e規格の無線LANや、イーサネットにおいても実施可能である。
<QoS設定処理について>
通信装置20のQoS種別管理部22は、PLIDの値を含めたQoS設定要求パケットを作成し、通信部25を介して、作成したQoS設定要求パケットを、通信装置10に送信する。
すなわち、QoS種別管理部(QoS設定制御手段)22は、データを送信する通信装置に対して、QoS制御情報を含めたQoS設定要求を送信する。
Prioritized QoSにおいては、一般的に、優先度はコンテンツ送信側の通信装置10が決定するものであり、コンテンツ受信側の通信装置20から、コンテンツ送信側の通信装置10に対して、優先度を通知する方法は存在しない。そこで、QoS設定処理においては、何らかの新たなプロトコルを別途設け、通信装置20は、そのプロトコルにより、QoS種別情報を通信装置10に対し通知するものとする。
通信部25は、PLCネットワークの通信プロトコルに規定されたヘッダ情報を、QoS設定要求パケットに付加し、ネットワーク上に送信する。ヘッダ情報には、自局のアドレスと宛先である通信装置10のアドレスとが含まれている。
QoS設定要求パケットのPLCヘッダには、宛先として通信装置10のアドレスが含まれているので、通信装置10の通信部15は、このQoS設定要求パケットを受信する。通信部15は、QoS設定要求パケットを、QoS種別管理部12に通知する。
QoS種別管理部12は、QoS設定要求パケットから通信装置20のアドレスとPLIDの値である3とを取り出し、通信装置20宛のデータが実際に送信される際、指定されたPLIDが付与されるように、QoS制御部14の設定を行う。
すなわち、QoS種別管理部(QoS設定制御手段)12は、QoS制御情報をQoS制御部14に出力し、QoS制御部14は、当該QoS制御情報に基づいて、通信装置20が受信するコンテンツデータに対するQoS制御を行う。
なお、本実施形態では、コンテンツ受信側の通信装置20において、QoS種別情報からPLIDの値への変換を行い、そのPLIDの値を通信装置10に送信する場合について述べた。しかし、通信装置20では変換は行わずに、QoS種別情報をそのまま通信装置10に送信し、PLIDの値への変換は、通信装置10において行う事も考えられる。
<QoS設定通知パケットについて>
通信装置20が、QoS設定要求パケットを通信装置10へ送信した時に、通信装置10がこのQoS設定要求を拒否する場合がある。これは、通信装置10が有する優先制御用バッファの容量の限界などが原因である。この場合の処理の流れについて以下に説明する。
通信装置10は、QoS設定要求パケットを受信すると、QoS制御部14において、当該QoS設定要求パケットが示すQoS設定要求を受け入れることができるかどうかを判定する。
QoS制御部14は、QoS設定要求が受け入れ可能と判断した場合、その旨を示す情報(Result Code)を含むQoS設定通知パケットを、通信部15を介して通信装置20へ送信する。
通信装置20は、QoS設定要求が受け入れ可能であることを示すQoS設定通知パケットを受信すると、データ伝送要求パケットを通信装置10へ送信する。
QoS設定要求が受け入れ可能である場合にも、受信側の通信装置20の状態提示部26を、QoS要求が満たされた事を示す表示に変更させるために、通信装置10がQoS設定通知パケットを送信することが好ましい。
一方、QoS制御部14が、上記QoS設定要求は受け入れ不可能と判断した場合、その旨を示す情報(Result Code)を含むQoS設定通知パケットを、通信部15を介して通信装置20へ送信する。
通信装置20は、Result Codeを受け取ると、要求が受け入れられなかった事をユーザに報知する。この報知の方法としては、QoS種別受付部21のスイッチの傍に、状態提示部26としてLED(発光ダイオード)を設置しておき、指定したQoS要求が満たされなかった場合に、LEDを点滅させることにより、ユーザに対してQoS要求の結果を提示することが考えられる。
<データ伝送要求処理について>
通信装置20において、QoS設定要求パケットが送信された後、データ送受信部23は、通信装置10のデータ送受信部13に対するデータ伝送要求処理を実行する。
データ伝送要求処理では、データ伝送要求パケットが、通信装置20のデータ送受信部23から通信部25を経て通信装置10に送信される。そして、通信装置10の通信部15が、データ伝送要求パケットを受信し、受信したデータ伝送要求パケットをデータ送受信部13に渡す。
データ伝送要求パケットには、先に決定した、受信するコンテンツを識別するための情報が含まれているので、通信装置10のデータ送受信部13は、通信装置20に対して送信するべきコンテンツを知る事ができる。
例えば、受信データ決定処理時に、通信装置10から通信装置20に対して、所持している音楽コンテンツのリストを送信する際に、タイトルや内容を説明するためのテキスト情報と共に、その音楽コンテンツを一意に識別可能なIDをコンテンツごとセットにして通知しておく。そして、通信装置20は、ユーザがリストから選択した音楽コンテンツのIDを、データ伝送要求パケットにより通信装置10に通知する事が考えられる。
なお、通信装置10に送信すべきコンテンツを通知する方法については、本発明の本質とは関係ないので、何らかの他の方法によりデータ伝送要求を通信装置10に通知する構成でも良い。
データ伝送要求パケットを受け取ると、通信装置10のデータ送受信部13は、データ伝送要求パケットにより通知されたコンテンツの送信を開始する。
送信するコンテンツのデータはパケット化され、宛先情報と共に、順次QoS制御部14に渡される。QoS制御部14は、データの宛先に応じて、先に設定されたPLIDの値をパケットに付与する。パケットはPLIDの値に従って優先制御され、送信される。
例えば、PLIDの値ごとに送信キューを設けておき、高優先度のキューにパケットが残っている場合は、その送信が完了し、キューが空になるまでは、そのキューよりも低優先度のキューのパケットを送信しない、という処理により優先制御が可能となる。
優先度による送信制御の実装方法については、本発明の本質とは関係ないので、PLIDの値に応じた優先制御がなされるのであれば、任意の方法による制御でよい。
通信装置20宛のデータパケット(選択されたコンテンツ以外に何らかの他のデータ伝送が行われている場合はそのデータパケットも含む)は、優先度の設定以降、PLIDの値を3として、送信され続ける。
なお、QoS種別は、コンテンツ受信側の通信装置20の受信データ全てに対して指定されるものなので、ユーザが通信装置20のQoS種別受付部21によりQoS種別の指定を変更しない限り、コンテンツ送信側の通信装置10からのデータパケットの送信は、同じPLIDを使って行われる。すなわち、選択されたコンテンツの伝送が終了し、次に別のコンテンツを伝送する際にも、同じPLIDが使用される。
なお、本実施形態においては、QoS設定要求パケットとデータ伝送要求パケットとを別々に送信する方法について述べたが、これら二つのパケットが持つ通知機能を一つのパケットに持たせ、通信装置20は、その一つのパケットのみを送信することも考えられる。
<通信装置30における処理について>
通信装置20と同様に、他の通信装置30・40においても、QoS種別受付処理と、受信データ決定処理と、QoS制御情報変換処理と、QoS設定処理と、データ伝送要求処理とが実行される。
TV受像器である通信装置30とホームサーバである通信装置10との間で映像コンテンツがQoS伝送されるまでの手順を以下で説明する。
通信装置30において、ユーザは、コンテンツ受信側の通信装置20・30・40のうち、2番目の優先度でデータを受信したいと意図しているので、QoS種別受付部31において「中優先度」を指定する。具体的には図3に示すようなスライド式の切り替えスイッチを「中優先度」を示す位置に設定する。
QoS種別が設定された後の任意のタイミングにおいて、通信装置30のデータ送受信部33が、受信するコンテンツデータを決定する。ここでは、何らかの映像コンテンツが選択されたとする。
通信装置30のデータ送受信部33は、受信するコンテンツデータを決定すると、QoS種別管理部32に対し、QoS制御情報変換処理を行うよう指示する。QoS種別情報として「中優先度」が指定されているので、QoS種別管理部32は、PLIDの値として2を導出し、このPLIDの値を含めたQoS設定要求パケットを作成し、通信部35を介して、通信装置10に送信する。
通信装置10のQoS種別管理部12は、QoS設定要求パケットから、通信装置30のアドレスとPLIDの値である2とを取り出し、通信装置30宛のデータが実際に送信される際に、指定されたPLIDが付与されるように、QoS制御部14の設定を行う。
通信装置30において、QoS設定要求パケットが送信された後、データ送受信部33は、通信装置10のデータ送受信部13に対するデータ伝送要求処理を実行する。これにより、通信装置10のデータ送受信部13は、通信装置30に対して送信すべきコンテンツを知る事ができる。
データ伝送要求パケットを受け取ると、通信装置10のデータ送受信部13は、データ伝送要求パケットにより通知されたコンテンツの送信を開始する。
通信装置30宛のデータパケット(選択されたコンテンツ以外のデータパケットも含む)は、優先度の設定以降、PLIDの値を2として、送信され続ける。
なお、QoS種別は、コンテンツ受信側の通信装置30の受信データ全てに対して指定されるものなので、ユーザが通信装置30のQoS種別受付部31によりQoS種別の指定を変更しない限り、コンテンツ送信側の通信装置10からのデータパケットの送信は、同じPLIDを使って行われる。
<通信装置40における処理について>
通信装置40において、ユーザは、コンテンツ受信側の通信装置20・30・40のうち、最低の優先度でデータを受信したいと意図しているので、QoS種別受付部41において「低優先度」を指定する。具体的には図3に示すようなスライド式の切り替えスイッチを「低優先度」を示す位置に設定する。
QoS種別が設定された後の任意のタイミングにおいて、通信装置40のデータ送受信部43が、受信するコンテンツデータを決定する。
通信装置40のデータ送受信部43は、受信するコンテンツデータを決定すると、QoS種別管理部42に対し、QoS制御情報変換処理を行うよう指示する。QoS種別情報として「低優先度」が指定されているので、QoS種別管理部42は、PLIDの値として1を導出し、このPLIDの値を含めたQoS設定要求パケットを作成し、通信部45を介して、通信装置10に送信する。
通信装置10のQoS種別管理部12は、QoS設定要求パケットから、通信装置40のアドレスとPLIDの値である1とを取り出し、通信装置40宛のデータが実際に送信される際に、指定されたPLIDが付与されるように、QoS制御部14の設定を行う。
通信装置40において、QoS設定要求パケットが送信された後、データ送受信部43は、通信装置10のデータ送受信部13に対するデータ伝送要求処理を実行する。これにより、通信装置10のデータ送受信部13は、通信装置40に対して送信すべきコンテンツを知る事ができる。
データ伝送要求パケットを受け取ると、通信装置10のデータ送受信部13は、データ伝送要求パケットにより通知されたコンテンツの送信を開始する。
通信装置40宛のデータパケットは、優先度の設定以降、PLIDの値を1として送信され続ける。
なお、QoS種別は、コンテンツ受信側の通信装置40の受信データ全てに対して指定されるものなので、ユーザが通信装置40のQoS種別受付部41によりQoS種別の指定を変更しない限り、コンテンツ送信側の通信装置10からのデータパケットの送信は、同じPLIDを使って行われる。
なお、通信装置10は、QoS設定を要求しない、すなわちQoS設定要求パケットを送信しない通信装置については、最低の優先度を用いてデータ伝送をすれば十分であると判断しPLIDの値を常に1としてデータを送信すると決めれば、通信装置40については、QoS設定要求パケットの送信は不要となる。よって、通信装置40における上記処理においては、QoS設定要求パケットの送信処理を省略しても良い。
なお、通信装置20・30・40におけるQoS種別の設定は、同じユーザが実行しても良いし、それぞれ別のユーザが実行しても良い。但し、別々のユーザが設定を実行する場合は、どの通信装置に高い優先度を与えるか、予めユーザ間において合意を得るものとする。
<各通信装置におけるその後のデータ伝送について>
図4においては示していないが、最終的に、通信装置10は、通信装置20・30・40のそれぞれに対するデータ送信を、並行して行う。
その際、各パケットのPLIDの値は、通信装置20宛のパケットでは3、通信装置30宛のパケットでは2、通信装置40宛のパケットでは1として送信される。
よって、QoS種別受付部21において「高優先度」が指定された通信装置20宛のパケットが最も高い優先度を用いて送信され、QoS種別受付部31において「中優先度」が指定された通信装置30宛のパケットが2番目に高い優先度を用いて送信され、QoS種別受付部41において「低優先度」が指定された通信装置40宛のパケットが最も低い優先度を用いて送信される。これにより、ユーザが意図した通りの設定にてネットワークのQoS制御が行われる。
<QoS解放処理について>
本実施形態におけるQoS解放処理について、図5を参照しつつ説明する。図5は、本実施形態におけるQoS解放処理の流れを示すフロー図である。Prioritized QoS制御が行われるPLCネットワークにおけるQoS解放処理とは、QoS設定の対象となっていた受信側通信装置に関して、QoS設定を解除するための処理である。
QoS解放処理は、ユーザによってQoS種別が変更され、QoS設定が不要であることが指定された場合に実行される。例えば、図3に示す切り替えスイッチでは、「高優先度」、「中優先度」、「低優先度」の3段階を設けているが、優先度の設定をオフにできる選択肢を追加する。例えば「通常伝送」という選択肢を追加することが考えられる。
「通常伝送」が選択されたことを示す情報をQoS種別受付部21から、QoS種別管理部22が受け取ると、QoS設定を解除することを要求するためのQoS解除要求パケットを、通信部25を介して送信側の通信装置10へ送信する。このQoS解除要求パケットには、送信元である通信装置20のアドレスと、宛先である通信装置10のアドレスとが含まれている。
すなわち、QoS種別管理部(QoS設定制御手段)22は、QoS種別受付部21により受け付けられたQoS種別が、QoS制御が不要であることを示すものであった場合、自装置が受信するデータに対するQoS解放処理を行う。
通信装置10のQoS種別管理部12は、当該QoS解除要求パケットを、通信部15を介して受け取ると、当該QoS設定要求パケットに含まれるアドレスが示す通信装置20が受信するデータに対して設定されていたQoS設定を解除する命令を、QoS制御部14へ出力する。さらに、QoS種別管理部12は、通信装置20が受信するデータに対して設定されていたQoS設定を解除したことを通知するQoS解除通知パケットを、通信部15を介して通信装置20へ送信する。
すなわち、QoS種別管理部(QoS設定制御手段、QoS種別要求手段、QoS制御情報要求手段)12は、通信装置20から取得したQoS種別またはQoS制御情報が、QoS制御が不要であることを示すものであった場合、通信装置20が受信するデータに対するQoS制御を停止することをQoS制御部14へ通知し、QoS制御部14は、その通知を受けると、前記データに対するQoS制御を停止する。
QoS解除通知パケットを受け取ると、通信装置20のQoS種別管理部22は、QoS設定が解除された旨をLED等の状態提示部(不図示)を介してユーザに報知する。
優先度の設定がオフにされた場合には、QoS制御の対象となっている他の通信装置のQoS制御に影響を与えないレベルの伝送品質で、データが、優先度の設定がオフにされた通信装置へ送信されればよい。QoS設定処理を行っていない通信装置に対しては、デフォルトの優先度(PLIDとしては「0」)でパケットが伝送されるので、優先度の設定がオフに変更された場合も、デフォルトの優先度で伝送される状態に戻せばよい。
<コンテンツ送信側の通信装置が複数の場合について>
本実施形態においては、コンテンツ送信側に一つの通信装置10のみが存在する場合について述べたが、コンテンツ送信側の通信装置が複数存在する場合についても、本発明は適用可能である。その場合、コンテンツ受信側の通信装置が、QoS設定要求パケットやデータ伝送要求パケットを、コンテンツ送信側の全ての通信装置に対して送信すれば、コンテンツ送信側の通信装置は、コンテンツ受信側の各通信装置に対するPLIDの値を知ることができ、QoSデータ制御が可能となる。
なお、この場合、QoS設定要求パケットおよびデータ伝送要求パケットを送信する際は、ユニキャスト(単一の通信装置宛)を用いて複数の通信装置それぞれに対して複数のパケットを送信するのではなく、マルチキャスト(複数の通信装置宛)またはブロードキャスト(全通信装置宛)を用いて一つのパケットにより送信し、まとめて通知することも考えられる。これにより、パケットの送信回数を減少させる事ができる。
<本発明を実施していない通信装置が存在する場合について>
もし、本発明を実施していない通信装置がネットワーク内に存在し、その通信装置がコンテンツデータを受信する場合、その通信装置については、最も低い優先度を用いてデータ伝送を行う事が考えられる。
本発明を実施していない通信装置は、QoS設定要求パケットを送信しない、すなわちデータ伝送時に用いられるPLIDの値を、コンテンツ送信側の通信装置10に通知しない。よって、コンテンツ送信側の通信装置10がコンテンツデータの伝送を行う際、QoS制御部14は、その通信装置からはQoSについて明確な要求が無いと判断し、最も低い優先度を用いてコンテンツデータの送信を行えばよい。
<Parameterized QoSの場合について>
本実施形態においては、Prioritized QoSによりQoSを実現する方法について述べたが、Parameterized QoSを使用してQoSを実現してもよい。
具体的には、QoS種別受付部11・21・31・41が、特定の値よりも高い優先度を設定している場合には、Parameterized QoSの仕組みで伝送帯域を確保し、特定の値よりも低い優先度を設定している場合には、伝送帯域を確保せず、ベストエフォートによりデータを伝送することが考えられる。また、設定される優先度に応じ、確保する伝送帯域の大きさを変化させることも考えられる。
<他のプロトコルにおける本発明の適用について>
本実施形態においては、使用するネットワークプロトコルは、MAC層のプロトコルであるPLC(Home Plug AV Specification 1.0.00により規定)を想定しているが、これに限るものではなく、本発明は、同様のParameterized QoSの仕組みを持つネットワークプロトコルにおいても実施可能である。
例えば、IEEE802.11e規格の無線LANや、イーサネットにおいても実施可能である。PLCにおけるPLIDに相当するものをそれぞれのプロトコルにて規定されている値に変更すれば、簡単に本発明を使用できる。PLIDに相当するものとしては、IEEE802.11eにおいてはTIDフィールドが、イーサネットにおいてはVLANタグ内のuser priorityフィールドがこれに当たる。また、MAC層のプロトコルではないが、IPv4ヘッダにおける、ToS(Type of Service)フィールドを使用することも考えられる。ネットワークプロトコルを変更した場合でも、プロトコルスタック内の、データ伝送時の優先度制御を行う層が変更されるだけなので、発明の実施は同様に行う事ができ、その効果もほぼ同様である。
<QoS種別受付部の他の構成例について>
本実施形態においては、QoS種別受付部11・21・31・41として、3段階スライド式の切り替えスイッチについて述べたが、QoS種別受付部11・21・31・41は他の構成でも良い。
切り替え可能な段階数は任意の数で良いが、ネットワークにおいてサポートされている伝送優先度の段階数よりも、QoS種別受付部11・21・31・41により受付可能な段階数を多くしても、意味が無い。
例えば、PLIDでは、0から3までの4段階の値しか取り得ないので、それ以上の段階数を持つ切り替えスチッチを用いても無意味である。また、選択可能な段階を増やし過ぎると、ユーザにとって分かり難くなるという弊害が生じる。
また、スイッチとは別に、表示装置を設け、その表示装置にスイッチの状態を表示しても良い。例えば、液晶画面にスイッチの状態を表示する事が考えられる。この表示装置は、通信装置における他の状態を表示するための表示装置と共用することも考えられる。
なお、スイッチの選択状態は、ユーザにより目視確認できる事が望ましいが、これは必須ではない。例えば、一つのプッシュスイッチのみを設け、そのスイッチが押される度に循環的にQoS種別情報が切り替わる方法でも良い。例えば、プッシュスイッチを押す度に、QoS種別情報が、「高優先度」、「中優先度」、「低優先度」、「高優先度」という順序で切り替わる事が考えられる。
伝送するコンテンツのビットレートに対して、確保される伝送帯域のQoSが十分でない場合、コンテンツ受信側の通信装置においては、結果的に映像や音声の乱れが生じる。本実施形態においては、スイッチにて設定された優先度よりも高い優先度で伝送されるデータが存在するため、そちらのデータ伝送が優先され、十分な帯域が得られていない事が考えられる。そこで、乱れが生じた際、ユーザはスイッチを操作し、優先度設定の変更を繰り返し試み、最もコンテンツの再生状態が改善された時点でスイッチの操作を終了すれば良い。
また、スイッチの傍にLED等を設置し、そのLEDの点灯および消灯により、QoS種別が区別できるようにしてもよい。例えば、LEDが点灯している場合に「高優先度」を示し、消灯している場合に「低優先度」を示す構成が考えられる。
<QoS種別情報の他の例について>
QoS種別情報としては、本実施形態においてこれまでに述べた、「高優先度」「中優先度」「低優先度」という区分以外の区分も考えられる。
例えば、「映像」「音声」「その他」というように、受信されるデータの種類を示す区分でも良い。
音声は、映像に比べて、伝送遅延やエラーによる劣化が目立ちやすいので、音声を伝送する際には、映像の伝送よりも高い優先度を用いてQoSを確保する必要がある。また、FTPやWebコンテンツなどのデータ伝送については、多少伝送遅延やエラーがあっても、ユーザの操作に影響は出ないので他のデータよりも低い優先度で良い。すなわち、受信するデータの種類により、優先度を決定する事が可能である。
この場合、例えば、QoS制御情報変換処理時に、QoS種別情報として「音声」が指定されていればPLIDを3とし、「映像」ならば2、「その他」ならば1等と変換する事が考えられる。
また、QoS種別情報は、「TV」「電話」「その他」等のように、通信装置の種類を示す区分でも良い。この場合、「映像」「音声」「その他」の区分を指定する場合と、内部処理としては同様になるが、ユーザからみれば、何を接続するかという指定方法の方が分り易い。コンテンツを受信する通信装置が複数の機能を持っている(PC機能を内蔵しているTV等)場合に、この区分を使用することが考えられる。
また、QoS種別情報は、「20インチ」「37インチ」「45インチ」等のように、通信装置がTV受像器等である場合の表示画面サイズを示す区分でも良い。表示画面サイズが大きな通信装置ほど、高いビットレートの映像を要求する可能性が高いので、より大きな伝送帯域を確保するために伝送の優先度を高くする事が考えられる。
また、QoS種別情報は、「1920×1080(フルスペックハイビジョン)」「1366×768(ハイビジョン)」「640×480(非ハイビジョン)」等のように、通信装置がTV受像器等である場合の表示解像度を示す区分でも良い。表示解像度が大きな通信装置ほど、高いビットレートの映像を要求する可能性が高いので、より大きな伝送帯域を確保するために伝送の優先度を高くする事が考えられる。
また、QoS種別情報は、「6Mbps」「12Mbps」「24Mbps」等のように、受信するコンテンツのビットレートを示す区分でも良い。ビットレートが高いほど、伝送の優先度を高くすることが考えられる。
また、QoS種別情報は、「有料コンテンツ」「無料コンテンツ」等のように、受信するコンテンツが有料か否かを示す区分でも良い。
VoDサービスにおいて、視聴するコンテンツには、有料のコンテンツと無料のコンテンツとが存在する。例えば、最新の映画は有料であるが、ニュース番組やCMを含む番組は無料であったりする。
このようなときに、ユーザが今から受信するコンテンツが有料であるか無料であるかを、通信装置に設けられたスイッチにより指定し、「有料コンテンツ」が指定された場合には伝送優先度を高くし、「無料コンテンツ」が指定された場合には伝送優先度を低くする事が考えられる。
コンテンツのビットレートによって利用料金が異なるような場合は、単にコンテンツが有料か無料かだけではなく、「高価格コンテンツ」「低価格コンテンツ」「無料コンテンツ」という区分を用いて、コンテンツの価格に応じた優先度を指定できるようにしてもよい。
また、スイッチを2段階切り替え式とし、QoS種別情報の区分として「QoS必要」「QoS不要」を用いて、ユーザがその通信装置においてQoSを必要とするか否かの情報を指定できるようにしても良い。
「QoS必要」が指定された場合は高い優先度とし、「QoS不要」が指定された場合は低い優先度とする事が考えられる。
「QoS必要」および「QoS不要」の設定に際し、ユーザは、その通信装置におけるQoSの要否を、上記の条件(受信するデータの種類や接続される装置の種類など)から総合的に判断し設定する事が考えられる。
なお、上記のQoS種別情報の区分を組み合わせて使用しても良い。例えば、「映像」「音声」「その他」の区分と、「高優先度」「中優先度」「低優先度」の区分との組合せを指定する事が考えられる。その場合、PLIDに相当する伝送優先度が9段階以上指定できるネットワークを用いる場合に、「音声」+「高優先度」が指定されている場合は優先度を9(最高優先度)、「音声」+「中優先度」が指定されている場合は優先度を8、「音声」+「低優先度」が指定されている場合は7、「映像」+「高優先度」が指定されている場合は6、「音声」+「中優先度」が指定されている場合は5、といった具合に、より詳細な優先度設定が可能となる。
この場合、複数のスイッチを設け、複数のQoS種別を指定できる(3段階のスイッチをふたつ設ける)ようにしても良いし、一つのスイッチで全てのQoS種別を指定できる(9段階のスイッチを一つ設ける)ようにしても良い。
また、QoSの要否を指定するためのスイッチと、QoS種別を指定するためのスイッチとの両方を組み合わせて使用してもよい。
例えば、「QoS必要」と「QoS不要」とを切り替えるスイッチと、優先度を切り替えるスイッチとを組み合わせることが考えられる。この場合、ユーザが操作するのは基本的には「QoS必要」と「QoS不要」とを切り替えるスイッチのみとする。より細かい設定を行いたい場合にのみ、優先度の設定を変更する事が考えられる。
この構成により、優先度の設定は変更できなくても良いから簡単に使用したいというライトユーザに対しては、QoSの要否のみを指定させるという簡便な操作方法を提供し、より細かい設定を行いたいヘビーユーザに対しては、詳細な操作方法を提供する事が可能となる。
また、「QoS必要」と「QoS不要」とを切り替えるスイッチを設置し、「QoS必要」が設定された場合の優先度の設定はスイッチとは別の手段によって設定してもよい。例えば、PCを通信装置に接続して、そのPCの設定画面から優先度を入力できるようにしてもよい。
また、QoS要否のスイッチは通信装置の前面に設置し、優先度のスイッチは背面に設置する等すれば、ライトユーザが意図せずに優先度の設定を変更してしまい、問題なく動作していた環境を崩してしまう事態を防止する事ができる。
なお、上記の説明において、スイッチによるQoS種別情報の区分と優先度との対応付けは一例であり、別の組み合わせとしても良い。例えば、上記の説明においては、音声コンテンツの方が映像コンテンツよりも伝送する優先度が高くなるように設定しているが、この対応は逆でも良い。
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態では、ユーザが、コンテンツを受信する側のPLCアダプタに対して、QoS種別としてそれぞれのPLCアダプタが受信するコンテンツの種類を指定し、その指定に従いネットワーク全体がParameterized QoSによりQoS制御される形態について説明する。なお、全体の処理の流れを図9に示す。
<ネットワークの構成について>
図6において、本実施の形態におけるネットワーク構成図を示す。本実施形態においては、PLCネットワークに接続され通信するPLCアダプタと、実際にコンテンツのデータを送受信する装置とが分離されている点が、第1の実施形態とは異なる。
本実施形態においては、Parameterized QoSを使用する。Parameterized QoSではネットワーク内に一つの親局を設置し、その親局がネットワーク全体のQoSを管理する必要がある。本実施形態においては、PLCアダプタ50が親局の機能を持つが、これに限定されるものではなく、代わりに他のPLCアダプタ60・70・80が親局の機能を持っていても良い。
PLCアダプタ50・60・70・80は、第1の実施形態における通信装置10・20・30・40の通信機能に相当し、PLCネットワークを通じて他のPLCアダプタとのデータ伝送を行う装置である。イーサネット側から入力されたパケットを、PLCパケットに変換した上でPLCネットワーク側に出力したり、逆にPLCネットワーク側から入力されたパケットを、イーサネットパケットに変換した上でイーサネット側に出力したりする。すなわち、PLCアダプタ50・60・70・80は、PLCネットワークとイーサネットとの中継を行う装置である。
STB90およびSTB100は、VoDのSTBであり、第1の実施形態におけるコンテンツ受信側の通信装置20・30のデータ送受信部23・33に相当する。映像コンテンツのデータをデコードして表示する装置である。STB90・100は、QoSデータ伝送を想定して構成されておらず、PLCアダプタ60・70に対してPLCネットワークでのQoS設定を行うように指示を出す事はできない。
図示していないが、STB90・100には、それぞれTVモニタ等の表示装置が接続されており、STB90・100はデコードした映像をビデオ信号としてTVモニタに出力する。STB90・100がTV受像器に内蔵されている場合もある。映像の表示方法については本発明の本質に関係ないので省略する。STB90・100に入力された映像データは何らかの方法によりユーザに提示される。
PC110も、第1の実施形態におけるコンテンツ受信側の通信装置40のデータ送受信部43に相当する。本実施形態において、PC110は、インターネットから受信したWebコンテンツを表示する。PC110は、QoSデータ伝送を想定して構成されておらず、PLCアダプタ80に対してPLCネットワークでのQoS設定を行うように指示を出す事はできない。
ルータ120、VoDサーバ130、およびWebサーバ140を、一つにまとめたものが、第1の実施形態におけるコンテンツ送信側の通信装置10のデータ送受信部13に相当する。
VoDサーバ130は、STB90・100からのデータ伝送要求により、HD(High Definition)映像コンテンツ(16Mbpsの映像)やSD(Standard Definition)映像コンテンツ(6Mbpsの映像)のデータを、インターネット経由でルータ120に送信する。
Webサーバ140は、PC110からのデータ伝送要求により、Webコンテンツのデータを、インターネット経由でルータ120に送信する。
ルータ120は、インターネットから受信したデータをイーサネットに出力する。イーサネットに出力されたデータは、PLCネットワークを経由してSTB90・100およびPC110に伝送される。
すなわち、本実施形態において、PLCネットワークとイーサネットとを中継する通信装置であるPLCアダプタ60・70・80が、PLCアダプタに対してQoS設定の指示を出す事ができないイーサネット端末であるSTB90、STB100、およびPC110に代わって、STB90、STB100、およびPC110の受信しているフローに対するQoS設定を行う構成となっている。
通常、STB90・100は、イーサネットを用いてルータ120に直接接続されるが、本実施形態においては、ルータ120とSTB90・100との間にPLCネットワークを設けている。これは、例えば、宅外から光ファイバや電話線を引き込む場所の都合上、ルータ120は家の1階に設置されているが、STB90・100は家の2階にあるリビングルームにおいて使用される場合などに作られるネットワーク構成である。
本実施形態では、STB90が、VoDサーバ130からHD映像コンテンツを受信し、STB100が、VoDサーバ130からSD映像を受信し、PC110が、Webサーバ140からWebコンテンツを受信する。
STB90・100およびPC110は、それぞれ別のユーザにより使用されていても良いし、一人のユーザにより全ての装置が使用されていても良い。
<PLCアダプタの構成について>
図7において、PLCアダプタ50・60・70・80の機能ブロック図を示す。PLCアダプタ50・60・70・80は、全て同じ構成を備えるが、PLCアダプタの送受信の役割によっては使用しない機能ブロックも存在する。役割を限定して実装する場合、使用しない機能ブロックは省略して実装しても良い。
PLCアダプタ50・60・70・80は、QoS種別受付部51・61・71・81(QoS種別受付手段)と、QoS種別管理部52・62・72・82(QoS制御情報変換手段、QoS設定制御手段、QoS種別要求手段、QoS種別通知手段、QoS制御情報要求手段、QoS制御情報通知手段)と、QoS制御部54・64・74・84(QoS設定制御手段)と、PLC通信部55a・65a・75a・85aと、イーサネット通信部55b・65b・75b・85bと、ブリッジ部58・68・78・88(QoS設定制御手段、ブリッジ情報取得手段、フロー識別情報取得手段)と、トリガ検出部59・69・79・89(トリガ検出手段、トリガ検出通知手段、QoS設定制御手段、フロー識別情報取得手段)と、状態提示部56・66・76・86(状態提示手段)を含んで構成される。
QoS種別受付部51・61・71・81は、QoS種別受付処理において、ユーザからまたはイーサネット側に接続されている装置から、どのQoS種別を用いてQoSデータ伝送を行うかを受け付ける。QoS種別管理部52・62・72・82は、QoS制御情報変換処理において、QoS種別情報に基づき、QoSパラメータを作成し、QoS設定処理において、QoS設定要求パケットの作成および送信を行い、QoS制御部54・64・74・84の設定を行う。QoS制御部54・64・74・84は、QoS設定要求パケットに含まれるQoSパラメータを基に、帯域割り当てのスケジューリングを行う。PLC通信部55a・65a・75a・85aは、PLCネットワークに対するパケットの送受信を行う。イーサネット通信部55b・65b・75b・85bは、イーサネットに対するパケットの送受信を行う。ブリッジ部58・68・78・88は、PLC通信部55a・65a・75a・85aとイーサネット通信部55b・65b・75b・85bとの間におけるパケットのブリッジングと、PLC通信部55a・65a・75a・85aから受信したパケットのトリガ検出部59・69・79・89への通知とを行う。トリガ検出部59・69・79・89は、パケットの解析およびQoS種別管理部52・62・72・82に対するQoS設定処理の開始指示を行う。状態提示部56・66・76・86は、QoS設定の状態や処理の結果をユーザに提示する。
<QoS種別受付処理について>
VoDサーバ130が、PLCアダプタ50およびPLCアダプタ60を経由し、STB90に対して、HD映像コンテンツをQoS伝送するまでの手順を以下に説明する。
STB90においてHD映像コンテンツの受信を望む場合、ユーザは、STB90が接続されているPLCアダプタ60において、QoS種別受付部61により、QoS種別情報として「HD映像」を指定する。具体的には、図8に示すようなスライド式の切り替えスイッチを「HD映像」を示す位置に設定することが考えられる。
スイッチの設定状態は、QoS種別管理部62に通知される。通知の方法としては、スイッチの設定状態を一意に識別可能な数値を予め決定しておき(例えば、「OFF」なら「0」、「SD映像」なら「1」、「HD映像」なら「2」等とする)、この数値だけをQoS種別受付部61からQoS種別管理部62に通知する事が考えられる。通知する方法は、本発明の本質ではないので、どのような通知方法を用いても良い。
また、PLCアダプタ60にイーサネットにより接続されている装置がQoS種別を指定してもよい。詳細については後ほど述べる。
ここで、QoS設定のための一連の処理が開始されたことを、状態提示部66が、ユーザに提示してもよい。具体的には、QoS種別受付部61の傍にLEDを設置しておき、そのLEDを点滅させることが考えられる。そして、最終的にQoS設定のための一連の処理が完了した時点で、LEDを点灯状態にする。
QoS設定のための一連の処理には時間がかかる場合があり、その場合、スイッチの状態を変更してもすぐにはQoSデータ伝送が開始されず、通常のデータ伝送が行われてしまう。通常のデータ伝送が行われるので、音声コンテンツや映像コンテンツの伝送中に音や映像の乱れが生じる事になる。
この場合、ユーザは、QoS設定のため、スイッチを変更したにも拘わらず、音や映像が乱れたままである、と判断してしまう。
このような間違った判断結果を招かない為に、QoS設定がまだ完了していないことがユーザに提示されれば、ユーザが間違った判断をすることはなく、QoS設定の状態がより分り易くなるので、PLCアダプタをより快適に使用できる。
また、LEDの発光色を段階的に変化させ、あとどれくらいの時間が経過するとQoS設定が完了するかをユーザに提示してもよい。例えば、赤、黄、緑という順序で段階的に変化させる事が考えられる。
また、状態提示部56・66・76・86として液晶画面などを使用する場合、その画面に設定が完了するまでの時間を、数字により表示する事が考えられる。同様に、残り時間に応じて長さが変化するプログレスバーを表示してもよい。
また、ユーザが実際にコンテンツを視聴しているSTB90に、QoS種別受付部61のスイッチの状態が変更されたことを示す文字やアイコンを表示したり、QoS設定完了までの残り時間やプログレスバーを表示したりしてもよい。
<ブリッジ情報取得処理について>
コンテンツ送信側のPLCアダプタ50は、ルータ120から受信したデータパケットをPLCアダプタ60に転送する時のために、PLCアダプタ60からブリッジ情報を予め取得する。
PLCアダプタ50は、データ伝送の際、イーサネットにより接続されたルータ120から受信したデータパケットを、他のPLCアダプタ60・70・80に転送する。その際、パケットには、PLCアダプタ60・70・80のPLCネットワーク上でのアドレス(以後PLCアドレスと呼ぶ)ではなく、PLCアダプタの先にイーサネットにより接続されたSTB90、STB100、またはPC110のイーサネット上でのアドレス(以後イーサネットアドレスと呼ぶ)により宛先が示されている。
よって、PLCネットワーク内のそれぞれのPLCアダプタ60・70・80について、STB90、STB100、またはPC110のイーサネットアドレスの情報を、コンテンツ送信側のPLCアダプタ50が事前に知っておき、ルータ120から受信したパケットについて、その宛先となっている装置がどのPLCアダプタに接続されているかを判断し、そのPLCアダプタを転送先として、PLCネットワークを介してパケットを転送しなければならない。
そこで、コンテンツ送信側のPLCアダプタ50は、STB90のイーサネットアドレスの情報を得るために、ブリッジ情報要求パケットをPLCアダプタ60に送信する。具体的には、PLCアダプタ50のブリッジ部58は、ブリッジ情報要求パケットを作成し、PLC通信部55aに送る。PLC通信部55aは、ブリッジ情報要求パケットに対して、宛先としてPLCアダプタ60のアドレスを含むPLCヘッダを付加し、PLCネットワークにパケットを送信する。
なお、各PLCアダプタ50・60・70・80は、特定のパケットのやり取りにより、他のPLCアダプタのアドレスを事前に知ることが可能であるが、詳細については説明を省略する。
また、PLCアドレスとしては、ネットワーク参加時に各PLCアダプタに付与される識別子が用いられるが、本発明の本質とは関係ないので詳細は省略し、単にPLCアドレスと記載する。
PLCアダプタ60のPLC通信部65aは、このブリッジ情報要求パケットを受信すると、ブリッジ部68に受信を通知する。ブリッジ部68は、自局のイーサネット通信部65b経由で接続されている装置のイーサネットアドレスを含めたブリッジ情報通知パケットを作成する。
ここで、ブリッジ部68は、接続されているSTB90のイーサネットアドレスを事前に取得しているものとするが、この事前に取得する方法は本発明の本質とは関係なく、任意の方法でよいので説明を省略する。
本実施形態では、PLCアダプタ60にはSTB90が接続されているので、ブリッジ情報通知パケットは、STB90のイーサネットアドレスを含む。なお、一つのPLCアダプタに複数の装置が接続される場合、それら全てのイーサネットアドレスがブリッジ情報通知パケットに含まれる。
ブリッジ部68は、作成したブリッジ情報通知パケットをPLC通信部65aに送る。PLC通信部65aは、ブリッジ情報通知パケットにPLCヘッダを付加し、PLCネットワークにパケットを送信する。
PLCアダプタ50のPLC通信部55aは、このパケットを受信するとブリッジ部58に通知する。ブリッジ部58は、PLCアダプタ60のPLCアドレスと、ブリッジ情報通知パケットに含まれた、PLCアダプタ60の先に接続されているSTB90のイーサネットアドレスとを組にして、保存しておく。これらの情報をブリッジテーブルと呼ぶ。
なお、上記のブリッジ情報取得処理は、PLCアダプタ50がデータパケットの送信を開始する以前であれば、任意のタイミングで実行されて良い。
例えば、QoS種別の指定よりも前に実行されても良いし、PLCアダプタ50の電源が投入されてから、定期的にブリッジ情報取得処理が実行されても良い。
また、本実施形態においては、PLCアダプタ50がPLCアダプタ70やPLCアダプタ80に対してもデータを送信するので、最初の時点において、全てのPLCアダプタ60・70・80に対してブリッジ情報取得処理を行っておいてもよい。その際、ブリッジ情報要求パケットをマルチキャストやブロードキャストにより送信し、各PLCアダプタ60・70・80がそれに対してブリッジ情報通知パケットを返送してもよい。この場合、各PLCアダプタ60・70・80それぞれに対してユニキャストによりブリッジ情報要求パケットを複数個送信するよりも、帯域の利用効率が良くなる。
また、コンテンツ受信側のPLCアダプタ60・70・80が、ブリッジ情報要求パケットの受信の有無に関わらず、自主的にブリッジ情報通知パケットをPLCアダプタ50に送信してもよい。これをマルチキャストやブロードキャストにより送信してもよい。
<受信データ決定処理について>
QoS種別が設定された後、任意のタイミングにおいて、STB90が、受信するコンテンツデータを決定する。VoDサーバ130に複数のコンテンツが保存されており、受信するコンテンツとして複数の候補がある場合、その中からどのコンテンツを受信するか決定する必要がある。コンテンツ決定方法は本発明の本質とは関係がないので、その方法は任意である。
本実施形態では、一般的なSTBおよびVoDサーバにおける処理手順について、以下に説明する。
VoDサーバ130は、保存しているコンテンツのタイトルや内容説明のテキストと共にコンテンツを一意に識別可能なコンテンツ識別情報をコンテンツごとにセットにし、そのリストをSTB90に通知し、STB90は、そのリストをユーザに提示し、ユーザは、提示されたリストから所望のコンテンツを、STB90に付属のリモコンの操作等により選択する。
なお、ユーザにより受信するコンテンツデータを決定する以外に、STB90自体が受信するコンテンツを自動的に決定しても良い。ここでは、何らかのHD映像コンテンツが選択されたものとする。
<データ伝送要求処理について>
第1の実施形態においては、データ送受信部13・23・33・43が通信装置10・20・30・40に内蔵されていたので、データ送受信部13・23・33・43は、受信するコンテンツデータの決定後、QoS制御情報変換処理を開始するようQoS種別管理部12・22・32・42に対して直接指示できた。
それに対し、本実施形態においては、PLCアダプタ60とSTB90とは、分離されており、STB90が受信するコンテンツデータを決定しても、QoS種別管理部62に対してQoS制御情報変換処理の開始を直接指示することができない。
よって、STB90は、受信するコンテンツデータの決定後、すぐに、VoDサーバ130に対するデータ伝送要求処理を行う。
データ伝送要求処理の方法は、本発明の本質とは関係が無いので、その方法は任意である。本実施形態では、一般的なSTBおよびVoDサーバにおける処理手順について、以下に説明する。
まず、STB90が、データ伝送要求パケットを作成する。このパケットには先に選択されたコンテンツを識別するためのコンテンツ識別情報が含まれている。コンテンツ識別情報はVoDサーバ130とSTB90の間で一意に決定できる値が、予め取り決められており、コンテンツリストとして事前にSTB90が受信している。また、データ伝送要求パケットは最終的にはインターネット上のVoDサーバ130に送信される必要があるので、VoDサーバ130のIPアドレスも含まれている。
次に、STB90は、作成したパケットをイーサネット経由でPLCアダプタ60に送信する。次に、PLCアダプタ60は、受信したパケットをPLCネットワーク経由でPLCアダプタ50に送信する。次に、PLCアダプタ50は、受信したパケットをイーサネット経由でルータ120に送信する。次に、ルータ120は、受信したパケットをインターネット経由でVoDサーバ130に送信する。
ここで、PLCアダプタ60は、PLCアダプタ50と同様にブリッジ情報取得処理を完了しており、イーサネットから受信したパケットに宛先として含まれるルータ120のイーサネットアドレスから、PLCアダプタ50のPLCアドレスを導出し、そのアドレスをPLCヘッダに含めて送信しているものとする。なお、他の方法によりデータ伝送要求パケットをPLCアダプタ50に通知しても良い。
<トリガ検出処理について>
VoDサーバ130は、データ伝送要求パケットの受信後、そのパケットにより指定されたコンテンツの送信を開始する。蓄積されたコンテンツデータをパケット化し、宛先情報と共にインターネット経由でルータ120に順次送信する。ルータ120は、受信したデータパケットをイーサネット経由でPLCアダプタ50に順次送信する。
このデータパケットはVoDサーバ130からSTB90に送信される映像コンテンツのパケットであるので、宛先としてSTB90のIPアドレスが含まれている。
ルータ120はルーティング処理によって、IPアドレスからイーサネットアドレスを検索する。このルーティング処理は一般的な処理であり特筆すべき点は無いので詳細な説明は省略する。
ルーティング処理の結果、データパケットがルータ120からPLCアダプタ50に転送された時点では、データパケットには宛先アドレスとしてSTB90のイーサネットアドレスが含まれている。
PLCアダプタ50のイーサネット通信部55bは、受信したデータパケットをブリッジ部58に渡す。事前に取得しておいたブリッジテーブルには、PLCアダプタ60のPLCアドレスと、STB90のイーサネットアドレスとが含まれているので、ブリッジテーブルとデータパケットの宛先イーサネットアドレスとを照合すれば、このデータパケットのPLCネットワーク上の宛先はPLCアダプタ60である事がわかる。
よって、ブリッジ部58は、データパケットの宛先アドレスとしてPLCアダプタ60のPLCアドレスを含むPLCヘッダを、データパケットに付与しQoS制御部54に渡す。
この時点では、このデータパケットの属するフローに対しQoS設定が実行されていないので、QoS制御部54は、QoS制御に関しては何もせずに、通常のパケットとしてデータパケットをPLC通信部55aに渡す。PLC通信部55aは、データパケットをPLCアダプタ60に送信する。
PLCアダプタ60のPLC通信部65aは、受信したデータパケットをブリッジ部68に渡す。ブリッジ部68は、データパケットをイーサネットに転送するためにイーサネット通信部65bにデータパケットを渡すと共に、トリガ検出部69に対し、データパケットを受信した事を通知する。
この通知により、トリガ検出部69は、データ伝送が開始された事を知り、QoS設定処理が必要である事を認識し、QoS種別管理部62に対してQoS設定処理を開始するよう指示する。
すなわち、トリガ検出部69は、自装置が受信したデータに関する受信履歴を解析することにより、QoS設定処理を行うタイミングを検出する。換言すれば、トリガ検出部69は、自装置が受信したデータに関する受信履歴を解析することにより、QoS設定処理を行うかどうかを判定する。QoS種別管理部62は、トリガ検出部69によって検出されたタイミングにおいてQoS設定処理を行う。換言すれば、QoS種別管理部62は、トリガ検出部69がQoS設定処理を行うとの判定をしたときにQoS設定処理を行う。
なお、トリガ検出処理を送信側のPLCアダプタで行う場合には、トリガ検出部は、自装置が送信したデータに関する送信履歴を解析することにより、QoS設定処理を行うタイミングを検出する。受信履歴または送信履歴は、PLCアダプタが備える記憶部(不図示)に格納されればよい。
また、送信側または受信側のPLCアダプタが備えるQoS種別管理部は、データ通信の相手局から通知されたタイミングに従って、QoS設定処理を行ってもよい。逆に、QoS種別管理部は、トリガ検出部によって検出されたタイミングを、PLC通信部を介して、データ通信の相手局に対して通知してもよい。
<1つのPLCアダプタが、複数のPLCアダプタからデータパケット受信する場合について>
1つの受信側のPLCアダプタが、複数の送信側のPLCアダプタからデータパケット受信する場合の処理について以下に説明する。
受信側のPLCアダプタは、トリガ検出時に受信したパケットを送信側のPLCアダプタごとに区別し、送信側のPLCアダプタごとにQoS設定要求を行ってもよい。この構成により、それぞれの送信側のPLCアダプタに対して個別にQoS設定を行うことができる。
なお、受信側のPLCアダプタにおいて受信されたデータパケットには、送信元のイーサネットアドレス(ルータなどのアドレス)が含まれている。それゆえ、送信側のPLCアダプタから受信したブリッジ情報と、当該イーサネットアドレスとを照合すれば、そのデータパケットの送信側のPLCアダプタのPLCアドレスを知ることができる。従って、上記のように、受信したパケットを送信側のPLCアダプタごとに区別することができる。
<QoS設定処理の開始時期について>
上述の説明において、トリガ検出部69は、一つのデータパケットのみを受信した時点で、QoS設定処理の開始を指示しているが、特定の条件が満たされた場合にのみ、QoS設定処理の開始を指示しても良い。特定の条件とは、例えば、既定個数のパケットを受信した場合や、特定の頻度でパケットを受信した場合等が考えられる。
また、ブリッジ部68は、データパケットを受信した事を通知する際に、受信の通知に加え、データパケットの中身をトリガ検出部69に渡してもよい。トリガ検出部69は、渡されたデータパケットを解析し、特定の条件が満たされた場合にのみ、QoS種別管理部62に対し、QoS設定処理を開始するように指示しても良い。ここでいう特定の条件とは、例えば、特定のIPアドレスやPLCアドレス、イーサネットアドレスからのパケットを受信した場合や、特定のTCPポート番号またはUDPポート番号を含むパケットを受信した場合等が考えられる。
もし、上述のようにデータパケットの受信によりQoS設定処理を開始しない場合、PLCアダプタ60は、その電源が投入された時点か、QoS種別受付部61のスイッチが操作された時点において、QoS設定処理を開始する。
その場合、QoS設定処理を開始した時点からSTB90において受信データ決定処理が行われるまでの間は、コンテンツデータの伝送が行われないにも拘わらず、その伝送のための帯域が確保されてしまい、他のPLCアダプタ70・80は、その確保された帯域を利用する事ができないので、ネットワーク全体としての帯域の利用効率が低下してしまう。
これに対し、本実施形態では、データ伝送が開始された時点において、初めてQoS設定処理が実行されるので、帯域の利用効率が良いという利点がある。
また、PLCアダプタ60が、動画像コンテンツ等のQoSが必要とされるデータとは別に、Webコンテンツ等のQoSが不要なデータの受信を同時に行っている場合、単にパケット受信した時点でQoS設定処理を実行する構成とした場合、QoSが不要なデータを受信した時点においても、QoS設定処理が実行されてしまう事になる。
しかし、QoSが不要なデータのみを受信している時には、QoS設定を行わずに帯域を使用しないことが望ましい。
そのために、受信したパケットを解析し、そのパケットがQoSを必要とするデータであるかどうかを判別し、QoSが必要なデータであると判断された場合のみ、QoS設定を行う事が考えられる。
QoSの要否を判定する判定方法としては、パケットのヘッダを解析し、そのパケットがどのプロトコルを使用しているかにより判定する事が考えられる。
例えば、OSI参照モデルにおけるトランスポート層プロトコルとしては、一般的にTCPとUDPが用いられるが、この内、UDPは信頼性は低いが伝送速度は速いという特性があるので、動画像等リアルタイムデータの伝送に用いられる場合が多い。よって、UDPを用いているパケットを受信したときにはQoS設定を実行するとすれば、QoSが必要な可能性の高い場合にのみ、帯域を確保する制御を行う事が可能となる。
なお、パケットがUDPかどうかの判定には、IPヘッダにおける、Protocolフィールドを参照することが考えられる。このフィールドの値は、上位のプロトコルとして何が使用されているかを示す値なので、UDPやTCPを区別する事が可能である。
また、他のプロトコルが使用されているかどうかによって同様の判定を行っても良い。例えば、同様のプロトコルとしてRTP(Real-time Transport Protocol)も考えられる。RTPはストリーミングにおけるデータ伝送で用いられることが多い。
また、パケットの中身を解析して、そのパケットが音声や動画であった場合にQoS設定を実行する事が考えられる。例えば、RTPのヘッダにはPTフィールドと呼ばれるフィールドが含まれるが、これはそのRTPパケットに含まれるデータがどのようなコーデックのデータであるかを示している。すなわち、PTフィールドを解析すれば、そのパケットが映像であるか音声であるか等を知る事ができる。PTフィールドに映像や音声を示す値が含まれていたら、QoS設定を開始することが考えられる。
また、後で述べるようにQoS種別として「映像」や「音声」を指定する場合、QoS種別として「映像」が指定されており、かつ、PTフィールドに映像を示す値が含まれている場合にのみQoS設定を実行する事が考えられる。QoS種別として「映像」が指定されているが音声のパケットを受信した場合は、ユーザがQoSを確保して欲しい対象ではないと判断する事ができるので、そのような場合にはQoS設定を実行しない事が望ましい。
また、データ伝送の前には、送信側と受信側との間で何らかのネゴシエーションが実施される場合があるので、そのネゴシエーションのパケットを検出した時点でQoS設定を実行する事が考えられる。例えば、ストリーミングにより映像伝送などを行う際には、RTSP(Real Time Streaming Protocol)が使用される場合がある。
RTSPでは、データパケットの伝送を開始する前に、送信局と受信局との間で通信のためのネゴシエーションのためにいくつかのパケットをやり取りする。このパケットを検出した場合にQoS設定を実行することが考えられる。同様に、データパケットの伝送を終了する際にも、パケットがやり取りされるので、このパケットを検出した場合にはQoS解放処理を実行する事が考えられる。
なお、パケットがどのようなプロトコルに属するパケットであるかを解析する処理では、全てのパケットを解析するとCPUに負荷がかかり他の処理のためのCPUリソースが圧迫されてしまうので、間欠的にパケットの解析を行う事が考えられる。例えば、パケット100個ごとに解析を行う事が考えられる。また、個数ではなく、時間間隔を空けることも考えられる。例えば、100msに一度、その時点で最後に受信されたパケットについてのみ解析を行う事が考えられる。
また、動画像コンテンツ等のリアルタイムデータを伝送する場合、一般的にそのパケットは、一つ一つ単発的に送信されるのではなく、連続的かつバースト的に送信される事が多い。よって、PLCアダプタ60・70・80が、一つのパケットのみを受信した時点ではなく規定個数のパケットを規定期間内に受信した場合にのみ、QoS設定を行う事が考えられる。例えば、100msの期間に100個以上のパケットを受信した場合に、リアルタイムデータが受信されていると判断し、QoS設定を実行する事が考えられる。
また、上述のUDPパケットのように、リアルタイムデータである可能性が高いと予想されるパケットを連続的に受信した場合のみ計数することも考えられる。すなわち、UDPのパケットを100msの期間中に100個以上受信した場合にQoS設定を実行するという判定を行うことが考えられる。
これらの構成により、QoS設定の不要なデータ伝送に対し、帯域を確保してしまう可能性を減少させる事が可能である。
なお、送信側のPLCアダプタは、受信側のPLCアダプタがQoS制御の対象から外れている間は、QoS制御の対象となっている他のPLCアダプタに割り当てられたデータ伝送帯域以外の残りのデータ伝送帯域の少なくとも一部を利用して、当該受信側のPLCアダプタへデータを送信してもよい。
<トリガ検出に使用するパケットのフィールドについて>
IPパケットやイーサネットパケットのヘッダには、そのパケットの伝送優先度を示す情報が含まれている場合があるので、これらのフィールドをトリガ検出に使用することが考えられる。IPv4ヘッダにおける、ToS(Type of Service)フィールドや、イーサネットヘッダにおけるVLANタグ内のuser priorityフィールド等がこれに当たる。
例えば、VoDサーバ130やコンテンツ送信側のPLCアダプタ50からリアルタイムデータを送信する場合と非リアルタイムデータを送信する場合とにおいて、リアルタイムデータのパケットのヘッダには高優先度を示す値を含め、非リアルタイムデータのパケットのヘッダには低優先度を示す値を含めるようにする。その場合、コンテンツ受信側のPLCアダプタ60・70・80は、受信したパケットに含まれるこれらのフィールドを解析する事により、受信パケットがリアルタイムデータであるか否かを判別可能である。
コンテンツ受信側のPLCアダプタ60・70・80は、この仕組みを利用し、リアルタイムデータを受信した場合にのみ、QoS設定を行う事が考えられる。
なお、伝送優先度を示す複数のフィールドが受信パケットに含まれる場合、それらフィールドのうち、いずれをトリガ検出に使用するかは、予め何らかの方法で設定しておく。この設定はユーザが変更できるようにしてもよいし、予めいずれのフィールドを使用するか決めて実装してもよい。
例えば、PLCにおいて、コンテンツ送信側のPLCアダプタ50は、イーサネット側から受信したパケットに、そのままPLCのMACヘッダを付加して送信するため、コンテンツ受信側のPLCアダプタ60・70・80が受信したパケットには、User PriorityフィールドとToSフィールドとの両方のフィールドが含まれる。
なお、PLC以外のネットワークにおいては、コンテンツ送信側でイーサネットのヘッダを削除した上でMACヘッダを付加して送信する場合もある。その場合、コンテンツ受信側が受信したパケットには、ToSフィールドのみが含まれるので、ToSフィールドをトリガ検出に用いればよい。
また、IPプロトコルやイーサネットのヘッダには、そのパケットのフローを識別するための情報(フロー識別情報)が含まれている場合があるので、これらのフィールドをトリガ検出に使用することが考えられる。
IPv6ヘッダにおける、Flow Labelフィールドや、イーサネットヘッダにおけるVLANタグのVID(VLAN Identifier)フィールド等がこれに相当する。
例えば、コンテンツ送信側のPLCアダプタ50から、リアルタイムデータを送信する場合と非リアルタイムデータを送信する場合とで、これらのフィールドに異なる値を設定する。そして、予め何らかの方法により、コンテンツ受信側のPLCアダプタ60・70・80に対して、いずれのフィールド値がリアルタイムデータを表すかの取り決めを通知しておく。この仕組みにより、コンテンツ受信側のPLCアダプタ60・70・80は、受信したパケットがリアルタイムデータであるか否かを判別可能である。
この仕組みを利用し、リアルタイムデータを受信した場合にのみ、QoS設定を行う事が考えられる。
すなわち、QoS種別管理部(QoS設定制御手段)61・71・81は、ブリッジ部68.78・88により取得したブリッジ情報とフロー識別情報とを照合した結果に基づいて、QoS設定処理を行うか否かを判断してもよい。
なお、フローを識別するためのフィールドが、受信パケットに複数含まれる場合、そのうちいずれのフィールドをトリガ検出に使用するかは、予め何らかの方法で設定しておく。この設定はユーザが変更できるようにしてもよいし、予めいずれのフィールドを使用するかを決めて実装してもよい。
また、IPプロトコルやイーサネットのヘッダには、そのパケットの伝送品質を規定するための情報が含まれている場合があるので、これらのフィールドをトリガ検出に使用することが考えられる。IPv4ヘッダにおける、ToSフィールド等がこれに相当する。ToSフィールドには、遅延度、スループット、信頼性、金銭的コストなどの情報が含まれる。
例えば、コンテンツ送信側のPLCアダプタ50から、リアルタイムデータを送信する場合と非リアルタイムデータを送信する場合とで、このフィールドに異なる値を設定する。そして、予め何らかの方法により、コンテンツ受信側のPLCアダプタ60・70・80に対して、いずれのフィールド値がリアルタイムデータを表すかの取り決めを通知しておく。この仕組みにより、コンテンツ受信側のPLCアダプタ60・70・80は、受信したパケットがリアルタイムデータであるか否かを判別可能である。
この仕組みを利用し、リアルタイムデータを受信した場合にのみ、QoS設定を行う事が考えられる。
<QoS制御情報変換処理について>
QoS種別管理部62は、トリガ検出部69からQoS設定処理を開始するよう指示されると、まずQoS制御情報変換処理を行う。具体的には、QoS種別管理部62は、親局であるPLCアダプタ50に対して通知するべきQoSパラメータを、QoS種別受付部61にて指定されたQoS種別情報を基に決定する。
PLCアダプタ60において指定されたQoS種別情報は「HD映像」であるので、QoS種別管理部62は、HD映像の伝送に適したQoSが確保されるようなQoSパラメータを作成する。
具体的には、QoS種別管理部62は、例えば、QoS種別情報とQoSパラメータの各値とが保存されたテーブルを参照し、QoSパラメータを導出する事が考えられる。
必要なQoSパラメータは、ネットワークにおいて使用されるプロトコルにより異なり、また具体的なQoS設定パラメータも本発明の本質とは関係が無いので、任意である。
QoSパラメータの例としては、PLCの場合、データ伝送に必要なビットレート、許容される伝送遅延、許容される伝送遅延の揺らぎ、伝送されるパケットのサイズの平均値、最小値、最大値等、複数の値の組合せが、QoSパラメータである。
HD映像を伝送する場合、ビットレートとしては16Mbpsもしくはそれにマージンを加えた値とする事が考えられる。また、その他のパラメータについては、実験などにより得た最適値を予め保存しておく事が考えられる。
<QoS設定処理について>
コンテンツ受信側のPLCアダプタ60は、まず通信相手のPLCアダプタ50に対して接続の可否を問い合わせた上で、親局に対するQoS設定処理を実行する。
本実施形態では、PLCアダプタ50が送信局であり、かつ親局でもあるので、接続可否の問い合わせとQoS設定処理との両方の処理を、PLCアダプタ60は、PLCアダプタ50に対して行う。
QoS種別管理部62は、先に決定されたQoSパラメータを含めた接続要求パケットを作成し、PLC通信部65aに送る。PLC通信部65aは、接続要求パケットを、コンテンツ送信側のPLCアダプタ50に送信する。
PLCアダプタ50のPLC通信部55aは、このパケットを受信し、QoS種別管理部52に送る。QoS種別管理部52は、接続要求パケットに含まれる情報からデータ伝送の可否を判定する。この判定基準は実装によって異なるが、例えば、PLCアダプタ50におけるパケットの送信バッファの制限などにより受け入れが拒否される場合がある。
QoS種別管理部52は、データ伝送の要求の受け入れ可否を示す情報(Result Code)を含めて接続通知パケットを作成し、PLC通信部55aに送る。PLC通信部55aは、接続通知パケットをPLCアダプタ60に送信する。
PLCアダプタ60のPLC通信部65aは、このパケットを受信し、QoS種別管理部62に送る。QoS種別管理部62は、パケットに含まれるResult Codeから、データ伝送の要求が受け入れられたかどうかを知る。
この時、Result Codeが受け入れ拒否を示す情報である場合は、QoS設定処理を中止し、後で述べるように状態提示部66において、QoS要求が満たされなかった事をユーザに提示する。
Result Codeが受け入れ可能を示している場合、QoS種別管理部62は、接続要求パケットに含めたものと同じQoSパラメータを含めたQoS設定要求パケットを作成し、PLC通信部65aに送る。PLC通信部65aは、QoS設定要求パケットを親局であるPLCアダプタ50に送信する。PLCネットワークにおける子局は、特定のパケットのやり取りにより、親局のアドレスを事前に知ることが可能であるが、詳細については説明を省略する。なお、別のPLCアダプタが親局である場合は、そのPLCアダプタ宛に送信する。
PLCアダプタ50のPLC通信部55aは、このQoS設定要求パケットを受信し、QoS制御部54に送る。QoS制御部54は、QoS設定要求パケットに含まれるQoSパラメータを基に、要求を受け入れ可能かどうかを判定する。QoSを要求するフローが増えてくると、使用可能なPLCネットワークの帯域が不足し、全てのフローについてのQoS要求を満たす事ができなくなる場合がある。そのような場合は、何らかのルールに従い、幾つかのフローについてのみQoSを確保する。
例えば、QoS設定要求パケットを送信してきた順に要求を受け入れ、帯域が足りなくなった時点で要求を拒否するような制御を行う事が考えられる。具体的な判定方法は実装依存であり、本発明の本質とは関係ないので説明を省略する。
QoS設定要求パケットに含まれるQoSパラメータが受け入れ可能と判断された場合、QoS制御部54は、PLCネットワーク内でフローを一意に識別するためのGLID(Global Link ID)と呼ばれる識別子を割り当て、QoSパラメータに基づいて、そのGLIDのための帯域割り当てのスケジューリングを行う。
具体的なスケジューリングのアルゴリズムは本発明の本質とは関係ないので省略するが、親局50のQoS制御部54は、子局60から通知されたQoSの要求を満たすように、帯域割り当ての頻度、期間、および順序を決定する。
その後、QoS制御部54は、QoS要求の受け入れ可否を示す情報(Result Code)と、Result Codeが成功を示す値の場合はGLIDを含めてQoS設定通知パケットを作成してPLC通信部55aに送る。PLC通信部55aは、QoS設定通知パケットをPLCアダプタ60に送信する。PLCアダプタ60のPLC通信部65aはこのパケットを受信し、QoS種別管理部62に送る。
なお、上記の、コンテンツ送信側のPLCアダプタ50に対する接続処理は行わずに、QoS設定要求のみを行ってもよい。例えば、IEEE802.11eにおいては、コンテンツ送信側の通信装置に対する接続処理に相当するものは規定されていないので、親局に対するQoS設定処理のみが行われる。
<状態提示部66の制御処理について>
PLCアダプタ60のQoS種別管理部62は、QoS設定通知パケットに含まれるResult Codeから、QoS設定の要求が受け入れられた事を知る。QoS種別管理部62は、要求が受け入れられた事をユーザに示すために、状態提示部66を制御する。
具体的な状態提示部66の構成としては、QoS種別受付部61のスイッチの傍にLEDを設置しておき、指定したQoS要求が満たされた場合、すなわち、QoS設定通知パケットにおけるResult Codeが成功を示す値である場合は、LEDを点灯させ、QoS要求が満たされなかった場合、すなわちResult Codeが失敗を示す値である場合は、そのLEDを点滅させることにより、ユーザに対してQoS要求の結果を提示することが考えられる。
ここでは、Result CodeからQoS要求が受け入れられた事がわかるので、LEDを点灯させ、ユーザに対してQoS設定が成功した事を提示する。
なお、ここでQoS設定要求が受け入れられていなかった場合は、ユーザがPLCアダプタ60においてスイッチを「HD映像」に設定しているにも拘わらず、要求したQoSが確保されない状態となる。
スイッチにより設定された要求が満たされていない場合には、例えば、映像伝送を行うと映像の乱れが発生することがある。この時、スイッチにより設定された要求が満たされていない事がユーザに提示されないと、ユーザは、スイッチによりQoSを設定しているにも拘わらず映像の乱れが発生している原因を特定する事が難しい。
しかし、スイッチにより設定された要求が満たされていない事がユーザに提示される場合、ユーザは、QoSが保証されておらず帯域が足りないために映像の乱れが発生している事を知る事ができるので、ネットワーク全体としての調停を図るための対処を行う事ができる。
例えば、視聴するコンテンツのビットレートを、より低いビットレートに変更し、PLCアダプタ60のスイッチを「HD映像」から「SD映像」に切り替える等の対応が可能である。
例えば、QoS種別受付部61・71・81の傍にLEDを設置しておき、指定した要求が満たされた場合は、LEDを点灯させ、要求が満たされなかった場合は、そのLEDを点灯させないことにより、ユーザに対して処理結果情報を提示することが可能である。逆にLEDが点灯している場合に要求が満たされていない事を示し、消灯している場合に要求が満たされている事を示しても良い。
また、PLCアダプタが、既に何らかの表示装置を備えている場合、その表示装置を用いて、処理結果情報を表示する事が考えられる。例えば、PLCアダプタに、液晶画面が設けられている場合は、そこにQoS設定の成否を表示する事が考えられる。
また、QoS設定の成否だけでなく、何らかの他の状態を表示してもよい。例えば、なぜQoS設定に失敗したのかを表示する事が考えられる。
例えば、PLCネットワークの状態によっては、QoS設定要求パケットやQoS設定通知パケットがPLCアダプタ60やPLCアダプタ50から送信されても、通信エラーが原因で相手局が受信に失敗する場合がある。
このような場合に、QoS設定要求パケットやQoS設定通知パケットの送受信には成功したが帯域不足のため要求を親局から拒絶されたのか、あるいはQoS設定要求パケットやQoS設定通知パケットの送信自体が失敗したのかを判別できるような構成とする事が考えられる。これらの区別を表示する構成として、LEDの点滅パターンや発光色を変化させたり、液晶画面にエラーメッセージを表示させることが考えられる。
上述の説明は、PLCアダプタ60が、QoS設定通知パケットを受信した場合のものであるが、接続通知パケットを受信した場合にも同様の動作を行えばよい。
なお、QoS接続要求またはQoS設定要求が受け入れられなった場合には、PLCアダプタ60は、その旨を示す情報を、自局に接続されているSTB90へ送信し、STB90は、当該情報を自装置に接続されている表示装置(例えば、テレビモニタ)に表示してもよい。
<QoSデータ伝送について>
STB90におけるデータ伝送要求処理の後、PLCアダプタ50には、VoDサーバ130からルータ120を経てデータパケットが順次送信されてくる。先に述べた通り、データパケットの宛先としてはSTB90のIPアドレスが含まれている。ルータ120はルーティング処理によって、IPアドレスからイーサネットアドレスを検索して、PLCアダプタ50にイーサネット経由で送信する。PLCアダプタ50のイーサネット通信部55bは、受信したパケットをブリッジ部58に渡す。ブリッジ部58ではブリッジテーブルとデータパケットの宛先イーサネットアドレスとを照合し、データパケットの宛先アドレスとしてPLCアダプタ60のPLCアドレスを含むPLCヘッダを、データパケットに付与し、QoS制御部54に渡す。
ところで、実際にデータパケットを送信する際、親局から送信されたビーコンパケットには、QoS設定処理時に決定されたGLIDと、送信権付与開始時間と、送信権付与終了時間とが含まれており、各子局はこのビーコンパケットにより、送信権がどのフローに付与されているかを知る。
よって、コンテンツ送信側のPLCアダプタ50は、各データパケットがどのフローに属しているかを判別し、そのGLIDを知っておく必要がある。そのため、QoS制御部54は、パケットの中身を解析し、GLIDを導出する。GLIDの導出は、通常、予めPLCアダプタ50とPLCアダプタ60との間で何らかのパケットをやり取りし、フロー識別情報とGLIDとの対応を相互に理解しておき、それを基にGLIDを導出する。
フロー識別情報およびGLIDのやり取りためのプロトコルは、PLC規格では規定されておらず、PLCよりも上位層で独自に行う事になっている。上位層では、どのフローがどのMACアドレスやIPアドレス、ポート番号を使用しているかを知っており、QoS設定処理の結果で得られたGLIDの値をQoS制御部54から取得する事が可能であるので、MACアドレスやIPアドレス、ポート番号とGLIDとの対応を知っておく事ができる。
このようなフロー識別情報からGLIDを導出するためのルールを、classifyルールと呼ぶ。データパケットの中身を解析し、classifyルールとして記載されているMACアドレスやIPアドレス、ポート番号がパケットに含まれていれば、そのclassifyルールに記載されているGLIDのパケットであるという判別が可能である。
本実施形態においては、上位層においてパケットのやり取りをし、フロー識別情報を取得する代わりに、ブリッジ情報を用いる。ブリッジ情報は、先に述べた通り別の用途のために必要となる情報であるが、それをフロー識別情報としても流用する。
ブリッジ情報としては、STB90のイーサネットアドレスとPLCアダプタ60のPLCアドレスとが含まれている。また、QoS設定通知パケットには、GLIDと、フローの送信元としてPLCアダプタ50のPLCアドレスと、フローの宛先としてPLCアダプタ60のアドレスとが含まれている。
よって、フロー送信側のPLCアダプタ50では、STB90のイーサネットアドレスからPLCアダプタ60のPLCアドレスを導出し、さらにPLCアダプタ60のPLCアドレスからGLIDを導出する事が可能である。すなわち、STB90のイーサネットアドレスが宛先として含まれている場合に、QoS設定通知パケットで通知されたGLIDを導出するためのClassifyルールを作成する事ができる。
本実施形態においては、ブリッジ情報通知パケットにより得られたブリッジ情報が、QoS種別管理部52にも通知される構成としておき、QoS種別管理部52は、QoS設定処理完了時に、上記のような方法によりClassifyルールを作成し、QoS制御部54に設定しておく。
PLCアダプタ50がルータ120からデータパケットを受信し、その宛先がSTB90であった場合、上記Classifyルールによって、そのパケットの属するフローのGLIDが導出されることになる。
親局50は、フローごとに送信期間を設定するので、その送信期間を付与されたフロー以外は、送信できない。QoSデータ伝送を行うフローに含まれないパケットに対しては、いずれのフローにも親局50により送信権が付与されていない期間において、基本的には均等に送信機会が与えられるため、QoSは保証されない。
親局は、先に決定したスケジュールに従い、GLIDと送信権付与開始時刻と送信権付与終了時刻とを含めたビーコンパケットを送信する。ビーコンパケットに記載されたGLIDに合致するフローに対して、送信権付与開始時刻と送信権付与終了時刻とによって示される期間に送信権が付与される。ビーコンパケットは、全PLCアダプタが受信するので、各PLCアダプタは、現在送信権が付与されているフローを識別する事ができる。
PLCアダプタ50は、先のClassifyルールによりデータパケットのGLIDを導出しており、GLIDが合致するビーコンパケットを受信したら、送信権付与開始時刻と送信権付与終了時刻とにより示される期間にデータパケットを送信する。
実際には、ルータ120から受信したデータパケットは、PLCアダプタ50のQoS制御部54において送信権付与開始時刻になるまではバッファリングされる事になるが、その詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態においては、親局とデータパケットを送信するPLCアダプタとが同一なので、送信権付与パケットは送信されず、PLCアダプタ50は、ビーコンパケットを受信しなくとも、送信権が付与される期間を知る事ができるが、処理としては同様である。
なお、データパケットの宛先イーサネットアドレスについては、ブリッジ処理時と、Classifyルール照合処理時の両方において照合を行う必要があるが、これらを一度に処理してもよい。
<QoS解放処理について>
本実施形態におけるQoS解放処理について、図10を参照しつつ説明する。図10は、本実施形態におけるQoS解放処理の流れを示すフロー図である。Parameterized QoSによりQoS制御されるPLCネットワークにおけるQoS解放処理とは、QoS設定の対象となっていた受信側PLCアダプタに関して、そのQoS設定を解除するための処理である。
図10に示すように、受信側のPLCアダプタ60が有するトリガ検出部69が、QoS設定が不要になったことを検出した場合またはQoS種別受付部61が、QoS設定を解除する指示を受け付けた場合、QoS種別管理部62は、その情報を受け取り、QoS設定を解除することを要求するためのQoS解除要求パケットを、PLC通信部65aを介して親局であるPLCアダプタ50へ送信する。このQoS解除要求パケットには、送信元であるPLCアダプタ60のアドレスと、送信先であるPLCアダプタ50のアドレスとが含まれている。
すなわち、トリガ検出部69は、自装置が受信したデータに対するQoS解放処理を行うタイミングを検出(タイミングを判定)し、QoS種別管理部(QoS設定制御手段)62は、トリガ検出部69によって検出されたタイミング(トリガ検出部69によって判定されたタイミング)においてQoS解放処理を行う。また、QoS種別管理部62は、取得したQoS種別が、QoS制御が不要であることを示すものであった場合、PLCアダプタ60が受信するデータに対するQoS解放処理を行う。
また、送信側または受信側のPLCアダプタが備えるQoS種別管理部は、データ通信の相手局から通知されたタイミングに従って、QoS解放処理を行ってもよい。逆に、QoS種別管理部は、トリガ検出部によって検出されたタイミングを、PLC通信部を介して、データ通信の相手局に対して通知してもよい。
なお、トリガ検出部69が、QoS設定が不要になったことを検出する方法として、例えば、PLCアダプタ60においてデータパケットを受信するレートが、閾値以下になったことを検出することが挙げられる。詳細については後述する。
PLCアダプタ50のQoS種別管理部52は、当該QoS解除要求パケットを、PLC通信部55aを介して受け取ると、当該QoS解除要求パケットに含まれるアドレスが示すPLCアダプタ60に送信しているデータに対して設定されていたQoS設定を解除する命令を、QoS制御部54へ出力する。さらに、QoS種別管理部52は、PLCアダプタ60が受信するデータに対して設定されていたQoS設定を解除したことを通知するQoS解除通知パケットを、PLC通信部55aを介してPLCアダプタ60へ送信する。
QoS解除通知パケットを受け取ると、PLCアダプタ60のQoS種別管理部62は、QoS解除された旨を、状態提示部66を介してユーザに報知する。
なお、QoS種別管理部62は、QoS種別受付部61から、QoS設定がオフにされたことを示す情報を受け取った場合(本実施形態においては、図8のスライドスイッチにおいて「OFF」が選択された場合)に、上記QoS解放処理を行ってもよい。
また、QoS設定がオフにされた(自装置がQoS制御の対象から外れた)後で、データ伝送が継続される場合は、QoS種別管理部62は、QoS制御の対象となっている他のPLCアダプタ(PLCアダプタ70および80)に割り当てられた伝送帯域以外の残りの伝送帯域を使用して、データ伝送を行う事になる。
上述の通り、データパケットを送信する際、親局から送信されたビーコンパケットにより、各子局は送信権がどのフローに付与されているかを知る。子局がQoS制御の対象から外れた場合は、ビーコンパケットにおいて当該子局の帯域割り当てが無くなるので、送信局は他の子局に帯域が割り当てられている以外の時間で当該子局へデータを送信する。
<PLCアダプタ70における処理について>
VoDサーバ130から、PLCアダプタ50およびPLCアダプタ70を経由し、STB100に対して、SD映像コンテンツがQoS伝送されるまでの手順を以下に説明する。なお、PLCアダプタ70における処理のうち、PLCアダプタ60と同様である処理は、記載を省略している。
PLCアダプタ70にはSTB100が接続されている。ユーザは、STB100においてSD映像コンテンツの受信を意図しているので、PLCアダプタ70のQoS種別受付部71により「SD映像」を指定する。具体的には、図8に示すようなスライド式の切り替えスイッチを「SD映像」を示す位置に設定する。ここで、状態提示部76において、QoS設定のための一連の処理が開始されたことをユーザに提示してもよい。具体的にはLEDを点滅させる。
コンテンツ送信側のPLCアダプタ50は、コンテンツ受信側のPLCアダプタ70とイーサネットにより接続されている装置のイーサネットアドレスを得るために、ブリッジ情報要求パケットをPLCアダプタ70に送信する。
PLCアダプタ70は、自局のイーサネット通信部75b経由で接続されている装置のイーサネットアドレスを含めたブリッジ情報通知パケットを返送する。PLCアダプタ70にはSTB100が接続されているので、ブリッジ情報通知パケットには、STB100のイーサネットアドレスを含める。
QoS種別が設定された後、任意のタイミングにおいて、STB100は、受信するコンテンツデータを決定する。VoDサーバ130は、所持しているコンテンツのリストをSTB100に通知し、STB100は、そのコンテンツリストをユーザに提示し、ユーザは、提示されたコンテンツリストから所望のコンテンツを、STB100に付属のリモコン等の操作により選択する。
コンテンツが選択された後、STB100は、データ伝送要求パケットを作成し、VoDサーバ130に送信する。このパケットには先に選択されたコンテンツを識別するための情報が含まれている。
VoDサーバ130は、データ伝送要求パケットの受信後、そのパケットにより指定されたコンテンツの送信を開始する。VoDサーバ130は、蓄積されたコンテンツのデータをパケット化して、STB100に送信し、その経路上にあるPLCアダプタ70においてもそのパケットが受信される。
PLCアダプタ70のPLC通信部75aは、受信したデータパケットをブリッジ部78に渡す。ブリッジ部78は、データパケットをイーサネットに転送するためにイーサネット通信部75bにデータパケットを渡すと共に、トリガ検出部79に対して、データパケットを受信した事を通知する。これにより、トリガ検出部79は、データ伝送が開始された事を知り、QoS設定処理が必要である事を認識し、QoS種別管理部72に対してQoS設定処理を開始するように指示する。
QoS種別管理部72は、QoS設定処理を開始するように指示されると、まずQoS制御情報変換処理を行う。PLCアダプタ70において指定されたQoS種別情報は「SD映像」なので、SD映像コンテンツの伝送に適したQoSが確保されるQoSパラメータを作成する。SD映像コンテンツの伝送なので、ビットレートとして、6Mbpsもしくはそれにマージンを加えた値を設定する事が考えられる。その他のパラメータについては、実験などにより得た最適な値を保存しておく事が考えられる。
QoS種別管理部72はQoS制御情報変換処理にて決定されたQoSパラメータを含めた接続要求パケットを作成してPLCアダプタ50に送信する。PLCアダプタ50は、データ伝送の要求を受け入れる場合、要求受け入れを示す情報を含めて接続通知パケットを作成し、PLCアダプタ70宛に返送する。これにより、PLCアダプタ70のQoS種別管理部72は、データ伝送の要求が受け入れられた事を知る。
さらに、QoS種別管理部72は、接続要求パケットに含めたものと同じQoSパラメータを基にQoS設定要求パケットを作成し、PLC通信部75aに渡す。PLC通信部75aは、QoS設定要求パケットをPLCアダプタ50に送信する。
PLCアダプタ50のPLC通信部55aは、このパケットを受信し、QoS制御部54に渡す。QoS制御部54は、QoS設定要求パケットに含まれるQoSパラメータを基に要求を受け入れ可能かどうかを判定する。ここでは、要求を受け入れたものとし、GLIDを割り当てて、そのGLIDのための帯域割り当ての頻度、期間、および順序を決定し、それらの情報をQoS制御部54に設定する。GLIDとしてはPLCアダプタ60の受信するフローとは別の値が割り当てられる。
さらに、QoS制御部54は、QoS要求が受け入れられたことを示す情報を含めてQoS設定通知パケットを作成し、PLCアダプタ70に送信する。これにより、PLCアダプタ70のQoS種別管理部72は、QoS要求が受け入れられた事を知る。
QoS種別管理部72は、要求が受け入れられた事をユーザに示すために、状態提示部76を制御する。具体的にはLEDを点灯させる。
STB100におけるデータ伝送要求処理の後、PLCアダプタ50には、VoDサーバ130からルータ120を経てデータパケットが順次送信されてくる。PLCアダプタ50のイーサネット通信部55bは、受信したパケットをブリッジ部58に渡す。ブリッジ部58は、データパケットに含まれるSTB100のイーサネットアドレスと、ブリッジテーブルとを照合し、宛先としてPLCアダプタ70のPLCアドレスを導出する。ブリッジ部58は、宛先アドレスを含んだPLCヘッダをパケットに付与してQoS制御部54に渡す。
QoS種別管理部52は、データパケットにSTB100のイーサネットアドレスが宛先として含まれている場合に、QoS設定通知パケットにより通知されたGLIDを導出するためのClassifyルールを作成し、事前にQoS制御部54に設定しておく。PLCアダプタ50がルータ120からデータパケットを受信し、その宛先がSTB100であった場合、上記Classifyルールによって、そのパケットの属するフローのGLIDが導出される。
その後、GLIDが合致するフローに送信権が付与される期間に、データパケットをPLCアダプタ70に送信することにより、QoSデータ伝送が行われる。
<PLCアダプタ80における処理について>
PLCアダプタ60と同様、PLCアダプタ80においても、同様の処理が実行される。但し、PLCアダプタ80においては、QoS設定は行われない点が異なる。
PLCアダプタ80にはPC110が接続されている。ユーザは、PC110においてWebコンテンツの受信を意図している。すなわち、ユーザは、映像コンテンツ受信用のQoS機能を使用しない事を意図しているので、PLCアダプタ80のQoS種別受付部81により「OFF」を指定する。具体的には、図8に示すようなスライド式の切り替えスイッチを「OFF」を示す位置に設定する。ここで、状態提示部において、QoS設定のための一連の処理が開始されたことをユーザに提示してもよい。具体的にはLEDを点滅させる。
コンテンツ送信側のPLCアダプタ50は、コンテンツ受信側のPLCアダプタ80とイーサネットによって接続されている装置のイーサネットアドレスを得るために、ブリッジ情報要求パケットをPLCアダプタ80に送信する。
PLCアダプタ80は、自局のイーサネット通信部85b経由で接続されている装置のイーサネットアドレスを含めたブリッジ情報通知パケットを返送する。PLCアダプタ80にはPC110が接続されているので、ブリッジ情報通知パケットにはPC110のイーサネットアドレスを含める。
QoS種別が設定された後、任意のタイミングにおいて、PC110は、受信するWebコンテンツデータを決定する。具体的には、ユーザがPCのブラウザソフトを操作し、特定のURLにアクセスする事が考えられる。
コンテンツが選択された後、PC110は、データ伝送要求パケットを作成し、Webサーバ140に送信する。このパケットには受信するデータを識別するための情報が含まれている。
Webサーバ140は、データ伝送要求パケットの受信後、そのパケットにより指定されたコンテンツの送信を開始する。Webサーバ140は、蓄積されたコンテンツのデータをパケット化して、PC110に送信し、その経路上にあるPLCアダプタ80においてもそのパケットが受信される。
PLCアダプタ80のPLC通信部85aは、受信したデータパケットをブリッジ部88に渡す。ブリッジ部88は、データパケットをイーサネットに転送するためにイーサネット通信部85bにデータパケットを渡すと共に、トリガ検出部89に対して、データパケットを受信した事を通知する。これにより、トリガ検出部89は、データ伝送が開始された事を知り、QoS設定処理が必要である事を認識し、QoS種別管理部82に対してQoS設定処理を開始するように指示する。
QoS種別管理部82は、QoS設定処理を開始するように指示されると、まずQoS制御情報変換処理を行う。PLCアダプタ80において指定されたQoS種別情報は「OFF」なので、QoS設定は不要なことがわかる。よって、QoS制御情報変換処理では、何も処理を行わない。
PC110におけるデータ伝送要求処理の後、PLCアダプタ50には、Webサーバ140からルータ120を経てデータパケットが順次送信されてくる。PLCアダプタ50のイーサネット通信部55bは、受信したパケットをブリッジ部58に渡す。ブリッジ部58は、先に述べたとおり、データパケットに含まれるPC110のイーサネットアドレスと、ブリッジテーブルとを照合し、宛先としてPLCアダプタ80のアドレスを導出する。ブリッジ部58は、宛先PLCアドレスを含んだPLCヘッダをパケットに付与してQoS制御部54に渡す。
QoS制御部54は、QoS設定が行われていないので新たなClassifyルールを設定しない。よって、どのPLCアダプタにも送信権が付与されていない期間において、データパケットが送信され、通常のデータ伝送が行われる。
なお、PLCアダプタ60・70・80におけるQoS種別の設定は、同じユーザが実行しても良いし、それぞれ別のユーザが実行しても良い。但し、別々のユーザが設定を実行する場合は、どのPLCアダプタに高い優先度を与えるか、予めユーザ間において合意を得るものとする。
<各通信装置におけるその後のデータ伝送について>
図9においては示していないが、一旦データ送信が開始されれば、PLCアダプタ50からPLCアダプタ80へのデータパケットの送信は、他のパケット(データ伝送要求パケット、QoS設定要求パケット、他のPLCアダプタ60・70宛のデータパケットなど)の送信の合間に、断続的に行われる。
よって、各PLCアダプタ60・70・80へのデータ送信が開始された後、PLCアダプタ50は、PLCアダプタ60・70・80のそれぞれに対するデータ送信を並行して行う。PLCアダプタ50は、PLCアダプタ60・70・80へのデータ送信のために、帯域割り当てのスケジュールを決定し、そのスケジュールに従いパケット送信を行う。
具体的なスケジュールの例を図11に示す。この例では、PLCアダプタ60へHD映像コンテンツを送信する期間と、PLCアダプタ70へSD映像コンテンツを送信する期間と、その他の送信のための期間とをワンセットのスケジュール周期とし、このスケジュール周期を繰り返す形により、割り当てを行っている。
スケジュール周期や各PLCアダプタ60・70・80に与える送信期間は、QoS設定処理時に要求されたQoSパラメータを満足できるように計算して決定する。
PLCアダプタ60やPLCアダプタ70については、専用の送信期間が設けられており、この期間中は他のPLCアダプタは送信を行うことはできないので、予定通りの大きさの帯域を独占的に利用できる。すなわち、QoSが保証される。
これに対し、PLCアダプタ80については、QoS設定処理を行っていないので、送信期間は設けられず、「その他の送信」の期間にて送信を行う。この期間には、PLCアダプタ80以外のPLCアダプタ60・70も通信を行うことができるので、QoSは保証されない。
〔第3の実施形態〕
第3の実施形態において、ユーザが、コンテンツ受信側のPLCアダプタに対し、QoS種別としてそれぞれのPLCアダプタが受信するコンテンツの種類を指定し、それに従いネットワーク全体が、Parameterized QoSによりQoS制御されるまでの流れについて説明する。なお、全体の処理の流れを図13に示す。
<ネットワーク構成について>
図12において、本実施形態のネットワーク構成を示す。Parameterized QoSの親局50が、コンテンツデータの送信局60および受信局70・80とは別に存在している点や、コンテンツ送信側のPLCアダプタ50に接続されている装置がルータ120ではなく、ハードディスクレコーダ170となっている点等が異なっている。
QoS制御の基本的な流れは、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態においては、コンテンツ受信側のPLCアダプタ60によりQoS設定要求パケットが送信されたのに対し、本実施形態においては、コンテンツ送信側のPLCアダプタ60によりQoS設定要求パケットが送信される点が最大の相違である。
本実施形態では、Parameterized QoSを使用する。Parameterized QoSでは、ネットワーク内に一つの親局が存在し、その局がネットワーク全体のQoSを管理する。
本実施形態では、PLCアダプタ50が親局の機能を持つものとするが、これに限定されるものではなく、他のPLCアダプタ60・70・80が親局の機能を持っていても良い。
ハードディスクレコーダ170は、TV受像器150・160からの要求により、HD映像コンテンツやSD映像コンテンツのデータを、イーサネット経由で出力する。出力するコンテンツは、事前に電波放送やインターネット放送を受信して記録したものが想定されるが、ハードディスクレコーダ170がインターネットに接続されており、インターネットから受信したストリーミングデータを転送する事も考えられる。
いずれの場合でも、コンテンツは、MPEG等のデジタルデータにエンコードして出力される。出力されたデータは、コンテンツ送信側および受信側のPLCアダプタを経由してTV受像器150・160に送信される。TV受像器150・160は、デジタルデータをデコードして表示する。TV受像器150・160は、QoSデータ伝送を想定して構成されておらず、PLCアダプタ70・80に対してPLCネットワークでのQoS設定を行うように指示を出す事ができない。
すなわち、本実施形態においては、PLCネットワークとイーサネットを中継する通信装置であるPLCアダプタ70・80が、PLCアダプタ70・80に対しQoS設定の指示を出す事ができないイーサネット端末であるTV受像器150・160に代わって、TV受像器150・160の受信しているフローに対するQoS設定を行う構成となっている。
本実施形態では、TV受像器150が、ハードディスクレコーダ170からHD映像コンテンツを受信し、TV受像器160が、ハードディスクレコーダ170からSD映像を受信する状況を想定する。TV受像器150・160を、それぞれ別のユーザが使用していてもよいし、一人のユーザが使用していても良い。
以下では、ハードディスクレコーダ170からTV受像器150に対して、HD映像コンテンツがQoS伝送されるまでの手順を説明する。
<PLCアダプタの構成について>
PLCアダプタ50・60・70・80の構成は、第2の実施形態と同様の構成であるので、説明を省略する。
<QoS種別受付処理について>
PLCアダプタ70にはTV受像器150が接続されており、ユーザはTV受像器150においてHD映像コンテンツを受信したいと意図している。そこで、ユーザは、PLCアダプタ70のQoS種別受付部71において、「HD映像」を指定する。QoS種別受付部71の構成は、第2の実施形態と同様である。ここでは、図8に示すようなスライド式の切り替えスイッチを「HD映像」を示す位置に設定する。
また、コンテンツ受信側のPLCアダプタ70にイーサネットで接続されているTV受像器150がQoS種別を指定する構成でもよい。詳細については後ほど述べる。
ここで、第2の実施形態と同様に、状態提示部76が、QoS設定の一連の処理が開始された事をユーザに提示してもよい。
<ブリッジ情報取得処理について>
ブリッジ情報取得処理は、第2の実施形態における処理とと同様である。
コンテンツ送信側のPLCアダプタ60は、コンテンツ受信側のPLCアダプタ70とイーサネットによって接続されているTV受像器150のイーサネットアドレスを得るために、ブリッジ情報要求パケットをPLCアダプタ70に送信する。
PLCアダプタ70は、自局のイーサネット通信部75b経由で接続されているTV受像器150のイーサネットアドレスを含めたブリッジ情報通知パケットを返送する。PLCアダプタ70にはTV受像器150が接続されているので、ブリッジ情報通知パケットにはTV受像器150のイーサネットアドレスを含める。
<受信データ決定処理について>
受信データ決定処理は、第2の実施形態における処理と同様である。
QoS種別が設定された後の任意のタイミングにおいて、TV受像器150が受信するデータを決定する。ハードディスクレコーダ170は、所持しているコンテンツのリストをTV受像器150に通知し、TV受像器150がユーザにコンテンツリストを提示し、ユーザは表示されたリストから所望のコンテンツを、TV受像器150に付属のリモコンの操作等により選択する。
<QoS種別通知処理について>
QoS種別通知処理は、第2の実施形態においては行わない処理である。
第2の実施形態においては、ユーザ等からQoS種別を受け付けるのも、QoS設定処理を実行するのも、コンテンツ受信側のPLCアダプタ60・70・80であったため、PLCアダプタ60・70・80からPLCアダプタ50へQoS種別を通知する必要は無かった。
しかし、本実施形態においては、QoS種別を受け付けるのはコンテンツ受信側のPLCアダプタ70・80であり、QoS設定処理を行うのはコンテンツ送信側のPLCアダプタ60であるため、PLCアダプタ70・80からPLCアダプタ60に対し、ユーザ等により指定されたQoS種別を通知する必要がある。
PLCアダプタ60のQoS種別管理部62は、PLCアダプタ70宛のQoS種別要求パケットを作成し、PLC通信部65aに送る。PLC通信部65aは、PLCアダプタ70にQoS種別要求パケットを送信する。
PLCアダプタ70のPLC通信部75aは、このパケットを受信すると、QoS種別管理部72に送る。QoS種別管理部72は、QoS種別受付部71から受け付けられたQoS種別を取得し、そのQoS種別を含めたQoS種別通知パケットを作成し、PLC通信部75aに送る。
すなわち、QoS種別管理部(QoS種別通知手段)72は、QoS種別受付部71により受け付けられたQoS種別を、PLCアダプタ60に通知する。
ここで、QoS種別通知パケットに含める情報としては、QoS種別受付部71であるスイッチの設定状態を一意に識別可能な数値を予め決定しておき(例えば、「OFF」なら「0」、「SD映像」なら「1」、「HD映像」なら「2」等とする)、この数値をパケットに含める事が考えられる。
PLC通信部75aは、PLCアダプタ60にパケットを送信する。PLCアダプタ60のPLC通信部65aは、QoS種別通知パケットを受信すると、QoS種別管理部62に送る。
また、QoS種別通知パケットに、QoS種別としてどのような情報が用いられているかを示すQoS種別セット情報を含めても良い。例えば、QoS種別が「OFF」「SD映像」「HD映像」という区分ならば、QoS種別セット情報を「0」という値にし、QoS種別が「映像」「音声」「その他」という区分ならば、QoS種別セット情報を「1」という値にする事が考えられる。
QoS種別セット情報の値とその意味との対応を全ての通信装置が予め知っている場合、例えば、QoS種別セット情報を「0」とし、QoS種別を「1」として、QoS種別通知パケットに含めておけば、QoS種別通知パケットを受信した通信装置では、QoS種別通知パケットを送信した通信装置において、QoS種別が「SD映像」に設定されていることを知る事ができる。よって、異なるQoS種別を用いる通信装置を一つのネットワーク内に混在させる事が可能となる。
なお、コンテンツ送信側のPLCアダプタ60がコンテンツ受信側のPLCアダプタ70にQoS種別要求パケットを送信するタイミングは、データ送信の宛先が決定した後、つまり、データ伝送要求パケットを受信した後でもよい。
また、コンテンツ送信側のPLCアダプタ60は、PLCネットワークに存在する全てのPLCアダプタに対し、QoS種別要求パケットを送信してもよい。この場合、例えば、コンテンツ送信側のPLCアダプタ60が、他のPLCアダプタのPLCネットワークへの参加を検出した時点において、全てのPLCアダプタに対しQoS種別要求パケットを送信することが考えられる。
また、コンテンツ受信側のPLCアダプタ70・80がPLCネットワークに参加した際に、他のPLCアダプタに対してQoS種別通知パケットを自発的に送信しても良い。この場合、ユニキャストで個別に送信するのではなく、マルチキャストやブロードキャストを用いて複数のPLCアダプタに対しまとめて送信する事も考えられる。
<QoS制御情報変換処理について>
QoS制御情報変換処理は、第2の実施形態における処理とは異なる。
QoS種別管理部62は、親局であるPLCアダプタ50に対し通知するべきQoSパラメータを、QoS種別通知パケットにてPLCアダプタ70から通知されたQoS種別を基に決定する。
本実施形態においては、PLCアダプタ70からは、QoS種別として「HD映像」がQoS種別通知パケットにより通知されるので、QoS種別管理部62は、HD映像の伝送に適したQoSが確保されるようなQoSパラメータを作成する。
具体的なQoSパラメータの作成方法は、第2の実施形態と同様にブリッジテーブルを用いる事が考えられる。ここで作成されたQoSパラメータは、後ほどQoS設定処理にて使用される。
なお、QoS制御情報変換処理は、コンテンツ受信側のPLCアダプタ70において行っても良い。この場合、PLCアダプタ60からQoS制御情報要求パケットを受信したPLCアダプタ70のQoS種別管理部72は、QoS種別受付部71から得たQoS種別からQoSパラメータを作成し、QoSパラメータそのものをQoS制御情報通知パケットに含めてPLCアダプタ50に通知する。PLCアダプタ50のQoS種別管理部52は、通知されたQoSパラメータを保存しておくだけでよく、QoS制御情報変換処理を行う必要は無い。
すなわち、QoS種別管理部(QoS制御情報通知手段)72は、QoS制御情報を、PLCアダプタ60に通知してもよい。
<データ伝送要求処理について>
データ伝送要求処理は、第2の実施形態における処理と同様である。
TV受像器150は、データ伝送要求パケットを作成し、ハードディスクレコーダ170に送信する。このデータ伝送要求パケットには、先に選択されたコンテンツを識別するための情報が含まれている。
なお、上記において、ハードディスクレコーダ170とTV受像器150との間でコンテンツを選択する方法は本発明の本質とは関係ないので説明を省略するが、DLNA(Digital Living Network Alliance)により規定されているガイドラインに従ったものを使用することが考えられる。
<トリガ検出処理について>
トリガ検出処理は、第2の実施形態における処理と同様である。
ハードディスクレコーダ170は、データ伝送要求パケットを受信したら、そこで指定されたコンテンツの送信を開始する。蓄積されたコンテンツのデータをパケット化し、宛先アドレスの情報を付加して、順次イーサネット経由でPLCアダプタ60に送信する。
PLCアダプタ60のイーサネット通信部65bは、受信したデータパケットをブリッジ部68に渡す。このデータパケットは、ハードディスクレコーダ170からTV受像器150に送信される映像コンテンツを伝送するパケットであるので、宛先としてはTV受像器150のイーサネットアドレスが含まれている。ブリッジ部68は、受信したデータパケットについて、データパケットに含まれるTV受像器150のイーサネットアドレスと、ブリッジテーブルとを照合し、宛先としてPLCアダプタ70のアドレスを導出し、データパケットに宛先アドレスを含むPLCヘッダを付与した上で、QoS制御部64に送る。
現時点では、このデータパケットに対してQoS設定が完了していないので、QoS制御部64は何もせずに、通常のデータパケットとしてPLC通信部65aに渡す。PLC通信部65aは、データパケットをPLCアダプタ70に送信する。
<QoS設定処理の開始時期について>
PLCアダプタ70のPLC通信部75aにて受信されたデータパケットは、ブリッジ部78を経てトリガ検出部79に送られる。これにより、トリガ検出部79は、データ伝送が開始されたのでQoS設定処理が必要であると、判定する。判定方法は第2の実施形態と同様に種々の方法を用いてよい。
<トリガ検出通知処理について>
トリガ検出通知処理は、第2の実施形態においては行われない処理である。
本実施形態において、QoS設定処理を開始するのは、コンテンツ送信側のPLCアダプタ60であり、トリガ検出を行うのは、コンテンツ受信側のPLCアダプタ70であるので、トリガ検出の結果をPLCアダプタ70からPLCアダプタ60に通知する必要がある。
トリガ検出処理において、トリガ検出部79は、QoS設定処理が必要であると判定すると、トリガ検出通知パケットを作成し、PLCアダプタ60に送信する。トリガ検出通知パケットには自局のPLCアドレスを含める。
なお、QoS種別通知パケットの送信を省略し、トリガ検出通知パケットにQoS種別を含めて送信するものとしてもよい。コンテンツ送信側のPLCアダプタ60においてQoS種別が必要となるのは、QoS設定要求パケットを送信する時点であるので、トリガ検出処理が終わった時点で通知しても問題はない。
また、QoS種別管理部70は、トリガ検出部79が作成したトリガ検出通知パケットをデータ通信の相手局に対して送信するときに、当該トリガ検出通知パケットにトリガ検出部79が検出した上記フロー識別情報を含めてもよい。
<QoS設定処理について>
第2の実施形態とは異なり、本実施形態においては、コンテンツ送信側のPLCアダプタ60からQoS設定要求パケットが送信される。
コンテンツ送信側のPLCアダプタ60のQoS種別管理部62は、トリガ検出通知パケットを受信してQoS設定が必要である事を知ると、まず通信相手のPLCアダプタ70に対して接続の可否を問い合わせた上で、親局50に対するQoS設定処理を実行する。本実施形態では、コンテンツ受信側のPLCアダプタ70に対して接続要求パケットを送信し、親局であるPLCアダプタ50に対してQoS設定要求パケットを送信する。
PLCアダプタ60のQoS種別管理部62は、QoS制御情報変換処理時に保存しておいたQoSパラメータを含めた接続要求パケットを作成し、コンテンツ受信側のPLCアダプタ70に送信する。
PLCアダプタ70のQoS種別管理部72は、接続要求パケットに含まれる情報からデータ伝送の可否を判定する。PLCアダプタ70における受信バッファの制限などの理由でデータの受信が不可能な場合は、要求が受け入れられない場合がある。
QoS種別管理部72は、データ伝送の要求の受け入れ可否を示す情報(Result Code)を含めて接続通知パケットを作成し、PLCアダプタ60に送信する。PLCアダプタ60のQoS種別管理部62は、パケットに含まれるResult Codeから、データ伝送の要求が受け入れられたかどうかを知る。
このとき、Result Codeが受け入れ拒否を示す情報であった場合は、QoS設定処理を中止し、後で述べるように状態提示部66において、QoS要求が満たされなかった事をユーザに提示する。
Result Codeが受け入れ可能を示していた場合、QoS種別管理部62は、接続要求パケットに含めたものと同じQoSパラメータを含めたQoS設定要求パケットを作成し、PLCアダプタ50に送信する。
すなわち、QoS種別管理部(QoS設定制御手段)62は、ネットワークのQoS制御を行う通信装置であるPLCアダプタ50に対して、QoS制御情報を含めたQoS設定要求を送信する。
PLCアダプタ50のQoS制御部54は、QoS設定要求パケットに含まれるQoSパラメータを基に、要求を受け入れ可能かどうかを判定する。具体的な判定方法は第2の実施形態と同様である。ここでは、帯域割り当て要求が受け入れられたものとする。
さらにQoS制御部54は、PLCネットワーク内でフローを一意に識別するためのGLIDを割り当て、QoSパラメータを基にそのGLIDのための帯域割り当てのスケジューリングを行う。具体的な方法は第2の実施形態と同様である。QoS制御部54は、QoS要求の受け入れ可否を示す情報(Result Code)およびGLIDを含めてQoS設定通知パケットを作成し、コンテンツ送信側のPLCアダプタ60とコンテンツ受信側のPLCアダプタ70との両方に送信する。
すなわち、QoS制御部(制御手段)54は、QoS制御の内容を通知するためのQoS制御内容通知を、他の通信装置に対して送信することによりQoS制御を行う。QoS種別管理部(QoS設定制御手段)51は、QoS制御情報をQoS制御部54に出力し、QoS制御部54は、そのQoS制御情報に基づいて、コンテンツデータに対するQoS制御を行う。
なお、上記のコンテンツ送信側のPLCアダプタ60に対する接続処理は行わずに、QoS設定要求を行ってもよい。
なお、トリガ検出処理は、コンテンツ受信側のPLCアダプタ70ではなく、コンテンツ送信側のPLCアダプタ60において実行されても良い。その場合、トリガ検出通知パケットを送信する必要は無く、PLCアダプタ60は、トリガを検出したら、予め保存していたQoSパラメータを基にQoS設定要求パケットを作成し、PLCアダプタ50に送信する。PLCアダプタ50が、QoS設定通知パケットをPLCアダプタ60とPLCアダプタ70とに送信するのはこの場合も同様である。
<1つのPLCアダプタが、複数のPLCアダプタからデータパケット受信する場合について>
1つの受信側のPLCアダプタ(受信局)が、複数の送信側のPLCアダプタ(送信局)からデータパケット受信する場合の処理について以下に説明する。
この場合、全ての送信側のPLCアダプタが受信側のPLCアダプタにおけるQoS種別を知る必要がある。
各送信局がQoS種別要求パケットを受信局に送信した場合に、当該受信局が、QoS種別通知パケットを当該送信局へ返送する構成であった場合、各PLCアダプタは、ネットワークに存在する他の全てのPLCアダプタに対して、QoS種別要求パケットを送信する。これを受信したPLCアダプタはQoS種別情報を返送するので、送信側となるPLCアダプタは受信側のPLCアダプタにおけるQoS種別を知る事ができる。
受信局がQoS種別通知パケットを、送信局へ自発的に送る構成であった場合には、各PLCアダプタは、QoS種別通知パケットをネットワークに存在する他の全てのPLCアダプタへ送信する。このQoS種別通知パケットは、定期的に送信されてもよいし、QoS種別の指定が変更された都度送信されてもよい。また、この時、ブロードキャストでQoS種別通知パケットを各送信局へ送信する構成としてもよい。これにより、一度の送信で複数のPLCアダプタにQoS種別を通知することができる。
送信側のPLCアダプタは、受信したQoS種別を基に、送信局と受信局とが1対1の場合と同様のQoS設定を行えばよい。
<状態提示部の制御処理について>
本実施形態においては、QoS設定の要求を行うのは、コンテンツ送信側のPLCアダプタ60である。QoS設定の結果は、QoS設定通知パケットにより受信側のPLCアダプタ70に対しても通知されるが、この時に通知された結果が、PLCアダプタ70において指定されたQoS種別を基に設定されたものかどうかをPLCアダプタ70は判別する事ができない。
例えば、受信側のPLCアダプタ70が別の何らかの仕組みにより、自発的にPLCアダプタ60との間でQoS設定を行っていた場合、PLCアダプタ70では複数のQoS設定通知パケットが受信されることになるので、どのQoS設定通知パケットが示すGLIDが、PLCアダプタ70でのQoS種別指定に基づいて設定されたものであるかを、PLCアダプタ70は判別できない。
そのため、PLCアダプタ60は、状態提示部制御パケットを用いてPLCアダプタ70の状態提示部76を制御する。
また、図13に示すフロー図においては、QoS設定通知パケットは、親局50からコンテンツ送信側のPLCアダプタ60とコンテンツ受信側のPLCアダプタ70とに対して送信されている。しかし、PLCアダプタ50において、QoS設定が受け入れられず、処理に失敗した場合、PLCアダプタ70に対しては、QoS設定通知パケットは送信されない。
よって、この場合のためにも、コンテンツ受信側のPLCアダプタ70において、QoS設定の失敗をユーザに提示するためには、PLCアダプタ60は、状態提示部制御パケットを送信する必要がある。
PLCアダプタ60のQoS種別管理部62は、QoS設定通知パケットにより、QoS設定の要求が受け入れられたかどうかを知る。QoS種別管理部62は、QoS設定通知パケットに含まれるResult Codeに対応する、状態提示部66を制御するための制御情報を生成し、その制御情報を含めた状態提示部制御パケットを生成し、PLC通信部65aに送る。PLC通信部65aは、このパケットをPLCアダプタ70に送信する。
PLCアダプタ70のPLC通信部75aは、パケットを受信するとQoS種別管理部72に通知する。QoS種別管理部72は、要求が受け入れられた事をユーザに示すために、状態提示部76を制御する。具体的な制御方法は、第2の実施形態と同様であり、制御情報として、LEDを点灯させる場合と、LEDを点滅させる場合と、LEDを消灯させる場合の値をそれぞれ規定しておき、その値を状態提示部制御パケットに含めて送信することが考えられる。
なお、送信側のPLCアダプタ60が状態提示部制御パケットを送信してLEDを点灯状態にした後で、LEDを消灯状態にせずにPLCアダプタ60の電源が切れてしまったような場合、受信側のPLCアダプタ70ではQoSデータ伝送が行われていないにも関わらず、LEDが点灯したままとなってしまう。
このような状況になることを防ぐために、PLCアダプタ60は、状態提示部制御パケットに、タイムアウト時間を示す情報を含めることが好ましい。このタイムアウト時間とは、受信側のPLCアダプタ70が、状態提示部制御パケットの受信を待ち続ける時間の限界を示す時間である。
タイムアウト時間が例えば10秒間だとすると、PLCアダプタ60のQoS種別管理部62は、10秒より短い間隔で、状態提示部制御パケットをPLCアダプタ70へ送信する。PLCアダプタ70のQoS種別管理部72は、最後に状態提示部制御パケットを受信してから10秒以上が経過した場合に、自装置が受信するデータを対象としたQoS制御が行われていないと判定し、状態提示部76としてのLEDを消灯状態(自装置を対象とするQoS設定がなされていないことを示す状態)にする。このような処理により、上記の問題を解決できる。なお、上記の構成を実現する場合には、タイムアウト時間を測定するための計時部をPLCアダプタ60に備えることが好ましい。
<1つのPLCアダプタが、複数のPLCアダプタからデータパケット受信する場合の状態提示部制御パケットの受信について>
受信側のPLCアダプタ70が、複数の送信側のPLCアダプタからQoS種別指定に従ったQoS伝送データを受信する場合、複数の状態提示部制御パケットを受信する事になる。この場合、それぞれの送信元のPLCアダプタごとに状態を管理し、全ての送信側のPLCアダプタからLEDの点灯を指示されている場合のみLEDを点灯させ、LEDを点滅させるように指示している送信側のPLCアダプタが1つでも存在する場合には、LEDを点滅させ、全ての送信局からLEDの消灯を指示されている場合のみLEDを消灯させてもよい。
<QoSデータ伝送について>
その後、PLCアダプタ60にはハードディスクレコーダ170からイーサネット経由でデータパケットが順次送信されてくる。PLCアダプタ60のブリッジ部68がイーサネットとPLCの通信を中継する方法は、第2の実施形態と同様である。
すなわち、PLCアダプタ60のブリッジ部68は、ブリッジテーブルとデータパケットの宛先イーサネットアドレスとを照合し、パケットの宛先アドレスとしてPLCアダプタ70のPLCアドレスを導出し、PLCヘッダを付与してQoS制御部64に渡す。
上位層においてパケットのやり取りをしてフロー識別情報を取得する代わりにブリッジ情報を用いるのは第2の実施形態と同様である。すなわち、TV受像器150のイーサネットアドレスとブリッジテーブルとを照合し、PLCアダプタ70のPLCアドレスを導出し、PLCアダプタ70のPLCアドレスからQoS設定通知パケットにて通知されたGLIDを導出する。
これにより、データパケットにTV受像器150のイーサネットアドレスが宛先として含まれている場合に、QoS設定通知パケットにより通知されたGLIDを導出するためのClassifyルールを作成する事ができる。Classifyルールは、QoS制御部64に設定しておく。
最終的にPLCアダプタ60がハードディスクレコーダ170からデータパケットを受信し、その宛先がTV受像器150であった場合、上記Classifyルールにより、そのパケットの属するフローのGLIDが導出される。
第2の実施形態においては、親局とデータを送信するPLCアダプタとが同じであったので、コンテンツ送信側のPLCアダプタ50はビーコンパケットを参照する必要は無かったが、本実施形態においては、これとは異なり、親局50とデータを送信するPLCアダプタ60とが別であるので、PLCアダプタ60は、親局50が送信したビーコンパケットを参照し、データパケットの送信を行う。
PLCアダプタ60は、先のClassifyルールによりデータパケットのGLIDを導出しており、GLIDが合致するビーコンパケットを受信したら、送信権付与開始時刻と送信権付与終了時刻とによって示される期間にデータパケットを送信する。実際には、データパケットは、PLCアダプタ60のQoS制御部64において送信権付与開始時刻になるまでバッファリングされる。
<QoS解放処理について>
本実施形態におけるQoS解放処理について、図14を参照しつつ説明する。図14は、本実施形態におけるQoS解放処理の流れを示すフロー図である。
図14に示すように、受信側のPLCアダプタ70が有するトリガ検出部79が、QoS設定が不要になったことを検出すると、QoS種別管理部72は、その検出結果を受け取り、QoS設定を解除することを要求するためのQoS解除要求パケットを、PLC通信部75aを介して親局であるPLCアダプタ50へ送信する。このQoS解除要求パケットには、送信元であるPLCアダプタ70のアドレスと、送信先であるPLCアダプタ50のアドレスとが含まれている。
すなわち、トリガ検出部79は、受信データに関する受信履歴を解析することにより、当該受信データに対するQoS解放処理を行うタイミングを検出する。QoS種別管理部(QoS設定制御手段)72は、トリガ検出部79によって検出されたタイミングにおいてQoS解放処理を行う。
なお、PLCアダプタ70に入力されたQoS種別が、QoS制御をオフにすることを示す場合に、QoS解放処理を行ってもよい。すなわち、QoS種別管理部72は、QoS種別受付部71が取得したQoS種別が、QoS制御が不要であることを示すものであった場合、ネットワークのQoS制御を行う通信装置であるPLCアダプタ50に対して、QoS制御を解除することを要求するQoS解放要求を送信する。
なお、トリガ検出部79が、QoS設定が不要になったことを検出する方法として、例えば、PLCアダプタ70においてデータパケットを受信するレートが、閾値以下になったことを検出することが挙げられる。詳細については後述する。
PLCアダプタ50のQoS種別管理部52は、当該QoS解除要求パケットを、PLC通信部55aを介して受け取ると、当該QoS解除要求パケットに含まれるアドレスが示すPLCアダプタ70が受信するデータに対して設定されていたQoS設定を解除する命令を、QoS制御部54へ出力する。さらに、QoS種別管理部52は、PLCアダプタ70が受信するデータに対して設定されていたQoS設定を解除したことを通知するQoS解除通知パケットを、PLC通信部55aを介してPLCアダプタ70およびデータ送信側のPLCアダプタ60へ送信する。
送信側のPLCアダプタ60のQoS種別管理部62は、QoS設定通知パケットにより、QoS設定の要求が受け入れられたかどうかを知る。QoS種別管理部62は、QoS設定通知パケットに含まれるResult Codeに対応する、状態提示部66を制御するための制御情報を含めた状態提示部制御パケットを生成する場合と同様に、QoS解除通知パケットに含まれるResult Codeに対応する、状態提示部66を制御するための制御情報を含めた状態提示部制御パケットを生成する。そして、QoS種別管理部62は、状態提示部制御パケットに、タイムアウト時間を示す情報を含め、タイムアウト時間より短い間隔で、状態提示部制御パケットをPLCアダプタ70へ送信する。
また、受信側のPLCアダプタ70がQoS解除通知パケットを受け取った際に、PLCアダプタ70のQoS種別管理部72が、QoS解除された旨を、状態提示部76を介してユーザに報知してもよい。
なお、PLCアダプタ70がPLCアダプタ60へトリガ検出通知パケットを送信し、PLCアダプタ60が、QoS解除要求パケットをPLCアダプタ50へ送信してもよい。また、QoS制御情報変換処理を、コンテンツ受信側のPLCアダプタ70において行う場合、QoS種別管理部(QoS制御情報要求手段)62は、PLCアダプタ70から取得したQoS制御情報が、PLCアダプタ70が受信するデータに対するQoS制御が不要であることを示すものであった場合、前記データに対するQoS解放処理を行う。また、QoS種別受付部71により受け付けられたQoS種別が、PLCアダプタ70が受信するデータに対するQoS制御が不要であることを示すものである場合に、QoS種別管理部(QoS制御情報通知手段)72は、その旨の情報を含んだQoS制御情報を、PLCアダプタ60に通知する。
また、親局であるPLCアダプタ50においてQoS解放処理を行ってもよい。すなわち、PLCアダプタ50は、QoS制御を行うQoS制御部(制御手段)54を有し、QoS種別管理部52は、受信側のPLCアダプタへ送信するデータに対するQoS制御を停止することをQoS制御部54に対して通知し、QoS制御部54は、その通知を受けると、前記データに対するQoS制御を停止する。
<PLCアダプタ80における処理について>
PLCアダプタ80においても、PLCアダプタ70と同様の処理が実行される。
PLCアダプタ70との違いは、QoS種別受付部81において「SD映像」が指定され、QoS制御情報変換処理においてSD映像の伝送に適したQoSが確保されるようなQoSパラメータが作成される点が異なるだけであるので、詳細な説明は省略する。
なお、PLCアダプタ70およびPLCアダプタ80におけるQoS種別設定については、同じユーザが実行しても良いし、それぞれ別のユーザが実行しても良い。別のユーザが実行する場合は、ユーザ間でそれぞれのPLCアダプタにおいてどのようなQoS設定を行うかについて、合意を得ているものとする。
<各実施形態共通の補足説明>
各実施形態において共通の補足説明について以下に述べる。
<QoS解放のタイミングについて>
ネットワークの伝送帯域を有効利用するためには、QoSが必要とされるデータ伝送の終了後、QoS解放処理を行い、帯域を解放する事が望ましい。この解放処理により、QoSデータ伝送が行われない間は、その割り当て帯域は未使用となるので、他のフローのために帯域を利用可能となり、ネットワーク全体としての帯域の利用効率が向上する。
QoS解放処理を行うタイミングの判断には、QoS設定処理時と逆の判定方法を用いればよい。すなわち、PLCアダプタ60・70・80がデータを受信しなくなった時点において、QoS解放処理を行う事が考えられる。
例えば、PLCアダプタ60・70・80がデータパケットを受信しなくなってから一定時間が経過した時点において、QoS解放処理を行う事が考えられる。但し、一定時間の経過を判断する際に、誤ってQoS解放処理を行ってしまわないよう、上述のPLCネットワークにおける帯域割り当てスケジュールによっては、コンテンツデータ伝送の途中であっても、パケットの送信間隔が開く場合を考慮する必要がある。
よって、例えば、1分間程度などの比較的長い時間を用いて判定する事が望ましい。
また、QoS設定時と同様に、UDPパケットのように、リアルタイムデータである可能性が高いと予想されるパケットを受信しない状態が一定期間続いた場合に、QoS解放処理を行う事も考えられる。
<データ伝送中にQoS種別が変更された場合について>
QoS設定処理が完了し、QoSデータ伝送が実行されている最中に、QoS種別が変更された場合は、最初にQoS設定を行ったときと同じ処理を繰り返せばよい。
この場合、親局に対してQoS設定処理が行われた際には、既にQoS設定を行ったフローの場合、QoS設定処理により新規に帯域取得するのではなく、既に取得している帯域の変更を意味する情報を含めて送信するので、親局は元々確保していた帯域を新たに要求されたQoSパラメータに合わせて変更する。
この際、変更前に比べて変更後の要求の方がより大きな帯域を必要とする場合、つまり、帯域の拡大の要求である場合、他のフローのために帯域をすでに割いているため、帯域を拡大できない場合がある。
そのような場合には、状態提示部56・66・76・86にてユーザに対してQoS要求が満たされていないことが提示されるので、ユーザはQoS種別を元に戻す事が考えられる。
また、そのような場合に、元の帯域を開放してしまうと、元々確保していた帯域を別のフローの伝送のために取得されてしまう可能性があり、その場合、ユーザがQoS種別を元に戻しても、取得帯域は元に戻らない事になる。そのようなことを防ぐために、帯域の変更要求があっても、元々確保していた帯域は解放しないようにするのが望ましい。
また、ユーザが誤ってスイッチを操作してしまった場合を想定して、スイッチ切り替え後に一定の時間が経過してからQoS設定処理を行う事が考えられる。ユーザが誤ってスイッチを変更した場合、ユーザは即座にスイッチを元の状態に戻す事が考えられる。
QoS設定処理を行うと、親局の実装によっては、一時的に帯域が解放されたり、内部処理に遅延が生じてデータ伝送が滞る場合があり、そのような場合には映像や音声の乱れが発生してしまう。よって、QoS設定処理は無駄に実行されないのが望ましい。
スイッチが切り替えられてから一定時間が経過してからQoS設定処理を行うようにしておき、かつ、スイッチが変更された後、元の設定に戻された場合は、QoS設定処理を行わないようにしておけば、ユーザが誤ってスイッチを切り替えてすぐに元に戻した場合にはQoS設定処理は行われず、データ伝送が滞る事も回避できる。
すなわち、QoS種別受付部は、最後にQoS種別を受け付けてから所定の時間が経過しており、かつ、最後にQoS種別を受け付けたときに指定されたQoS種別と異なるQoS種別が指定されている場合にのみ、当該QoS種別を受け付けてもよい。
また、スイッチの設定が変更されQoS設定を開始するまでの間は、状態提示部56・66・76・86を通常のQoSデータ伝送中とは異なる状態にする事が考えられる。具体的には、LEDの発光色を変更させる事が考えられる。これにより、ユーザが意図せずスイッチを変更してしまった場合、LEDが通常と異なる色に発光するので、スイッチの設定が変更された事を認識しやすくなる。意図せずスイッチの設定が変更された事を認識したユーザは、スイッチをすぐに元に戻す操作を行う可能性が高いので、上記の問題を回避できる。
QoS設定のため一連の処理が行われている間と同様に、どの程度の時間が経過すると処理が開始されるかを、LEDの発光色や数字やプログレスバーによって表示してもよい。
上述の、スイッチ切り替え後に一定の時間が経過してからQoS設定処理を行う構成を、帯域が変更された場合に適用してもよいし、帯域が解放された場合に適用してもよく、第1の実施形態(すなわち、優先制御を行う場合)に適用してもよい。当該構成を第1の実施形態に適用した場合には、不要なトラフィックの発生を抑制することができるという効果が得られる。
なお、スイッチ切り替え後の一定の時間とは、一般的にユーザが誤りに気付いてスイッチを元に戻すために要する時間であり、例えば、2〜5秒間である。当該一定の時間は、特に限定されず、適宜設定されればよい。
また、スイッチが切替えられたことをユーザに報知することが好ましい。例えば、QoS種別管理部62は、QoS種別受付部61がQoS種別を受け付けると、QoS種別を受け付けたこと、または、受け付けたQoS種別を、状態提示部66を介してユーザに報知してもよい。または、QoS種別管理部62は、QoS種別受付部61がQoS種別を受け付けたことを示す受付情報または受け付けたQoS種別を、イーサネット通信部65bを介してSTB90へ送信し、STB90は、当該受付情報または当該QoS種別を、自装置に接続されている表示装置に表示してもよい。
すなわち、QoS種別管理部62は、状態提示部66、PLCアダプタ60が備える表示装置(不図示)またはスピーカ(不図示)、STB90に接続されたテレビモニタ等の、自装置と通信可能に接続された報知装置(報知手段)を介して、QoS種別を受け付けたことをユーザに報知する。
このようなQoS種別の報知は、QoS種別受付部61がQoS種別を受け付けるごとに行われてもよいし、QoS種別受付部61が受け付けたQoS種別(第2のQoS種別)が、前回受け付けたQoS種別(第1のQoS種別)と異なる場合にのみ行われてもよい。
以上のように、QoS種別管理部62は、QoS種別受付部61がQoS種別を受け付けた時に、自装置と通信可能に接続された報知装置を介して、当該QoS種別を受け付けたことをユーザに報知する。
<PLCアダプタに接続されるイーサネット機器の変更例について>
子局であるPLCアダプタに接続されるイーサネット機器は、電話機、録画装置、画像再生装置、有料サービスを受信する装置(例えば、STB)であってもよい。また、これらのイーサネット機器の名称を、QoS種別を選択するスイッチの選択肢として表示し、それらのQoS種別が選択された場合に、当該イーサネット機器が受信するデータに適した優先度やQoSパラメータがQoS設定処理で使用されるようにしてもよい。このような表示を設けることにより、ユーザが使用するイーサネット機器にとって好ましいQoS種別を簡単に設定できる。
<コンテンツ送信側のPLCアダプタが複数の場合について>
第2および第3の実施形態においては、コンテンツ送信側に一つのPLCアダプタ50のみが存在する場合について述べたが、コンテンツ送信側のPLCアダプタが複数存在する場合についても、本発明は適用可能である。親局であるPLCアダプタ50は、PLCネットワーク全体の帯域を管理しており、PLCアダプタ50からの送信ではないフローについても、帯域の管理を行う。親局が自局以外のPLCアダプタに対して帯域を割り当てる場合、親局は、全子局に対してビーコンパケットを送信する。ビーコンパケットには、GLIDが含まれているので現在帯域が割り当てられているフローを知る事ができる。よって、複数のPLCアダプタがコンテンツを送信している場合でも、特殊な処理を行う必要は無い。
<コンテンツ受信側のPLCアダプタが複数のフローを受信する場合について>
第2および第3の実施形態において、コンテンツ受信側のPLCアダプタ60・70・80のイーサネット側には、それぞれ一つの装置のみが接続され、一つのフローのみが伝送されることを想定している。
しかし、イーサネット側に接続された一つの装置が複数のフローを同時に受信する場合や、複数の装置がイーサネット側に接続され、各装置がそれぞれ別のフローを受信する場合には、PLCアダプタ60・70・80において複数のフローが受信される。
第2および第3の実施形態においては、ブリッジ情報から作成されたClassifyルールによりフローが識別される。コンテンツ受信側のPLCアダプタに複数の装置がイーサネット経由で接続されている場合、それら全ての装置のイーサネットアドレスがブリッジ情報に含まれる。
よって、最終的なClassifyルールとしては、コンテンツ受信側のPLCアダプタに接続されている全ての装置のイーサネットアドレス宛のパケットを、同じGLIDに振り分ける事になる。つまり、コンテンツ受信側のPLCアダプタに接続されている全ての装置に対して一つのフローを割る当てる事になる。よって、QoS種別受付部は1つだけで十分である。
第2および第3の実施形態と異なり、上位層にてフロー識別情報をやり取りする場合、IPアドレスやポート番号の情報から識別可能であるので、パケットを解析すれば、一つのPLCアダプタにおいて複数のフローが受信されている場合でも、それらを区別する事ができる。つまり、PLCアダプタに接続された装置ごとにフローを区別し、そのそれぞれに対しQoS設定を実行する事が可能である。区別されたフローの内、QoS設定をまだ行っていないフローを発見した場合に、そのフローに対してQoS設定を開始するという判定をトリガ検出部69・79・89において行えば、受信している全てのフローに対するQoS設定を実行できる。
この場合、QoS種別受付部61・71・81はPLCアダプタに一つだけとし、そこで指定されたQoS種別に対応するQoSパラメータを全てのフローに適用する事が考えられる。
また、QoS種別受付部61・71・81を複数設け、それぞれ異なるQoSパラメータを用いてQoS設定を行う事も考えられる。このような場合、QoS種別受付部61・71・81にて指定されたQoS種別を適用する対象を選択する必要がある。
例えば、QoS種別受付部61・71・81が一つのPLCアダプタに3つ設けられており、4つのフローを受信している場合は、いずれか3つのフローを選択する必要がある。このような場合、受信を開始したのが早い順番に対象とするフローを選択したり、PLCアダプタの構成を、ユーザがどのフローを適用対象とするか選択可能な構成とし、選択されたフローのみを対象としたり、PLCアダプタのイーサネット側に接続された装置から指定されたフローのみを対象としたり、予め決められたフロー識別情報を持つフローのみを対象としたりする事が考えられる。
また、PLCアダプタ60・70・80に複数のイーサネット接続端子を設けておき、ユーザがQoS通信用端子と通常通信用端子とを区別できるようにしておき、QoS通信用端子に接続された装置に対するフローについてのみQoS設定を行う事が考えられる。
但し、QoS通信用端子にイーサネットのハブを介して複数の装置を接続した場合、複数の装置が接続された状態と同じになってしまうので、QoS通信用端子に対しては一つの装置のみを接続する事をマニュアル等に記載等してユーザに周知する事が考えられる。
<本発明を実施していないPLCアダプタが存在する場合について>
もし、本発明を実施していないPLCアダプタがネットワーク内に存在し、そのPLCアダプタがコンテンツデータを送受信する場合、そのようなPLCアダプタが送受信するフローについては、QoS設定要求パケットを送信せず、親局であるPLCアダプタ50においてもQoS設定は行われない。
よって、コンテンツ送信側のPLCアダプタが本発明を実施していないPLCアダプタに対して送信するデータパケットについては、Classifyルールに合致しないのでGLIDは割り当てられず、通常のデータとして送信される。
なお、先述の通り、IPv4ヘッダにおけるToS(Type of Service)フィールドや、イーサネットヘッダにおけるVLANタグ内のuser priorityフィールド等のように、パケットには、伝送優先度を示す情報が含まれている場合がある。その場合、本発明を実施していないPLCアダプタやQoS種別として「OFF」が指定されているPLCアダプタに対しては、これらの優先度を示す情報に従い、コンテンツ送信側のPLCアダプタにおいて優先制御を行う事が考えられる。
但し、これらの伝送優先度を含むパケットの送信は、QoS設定処理によって確保された帯域以外の、残り帯域においてのみ送信可能である。従って、QoS設定処理によって確保された帯域の量により、伝送可能なパケットの量は変化する。なお、ここでいう伝送優先度は、QoS保証された帯域以外の残り帯域内での相対的な伝送優先度となる。
<Parameterized QoSの別の手法について>
第2および第3の実施形態においては、Parameterized QoSの方式として、親局が送信権を付与する手法(無線LANの規格であるIEEE802.11eではHCCA方式と呼ばれる)について述べたが、別の方式を用いても良い。
例えば、IEEE802.11eにおいては、Admission Control付きのEDCAと呼ばれる方式が規定されている。この方式では、各子局はQoSデータ伝送を希望する場合、親局に対してQoSパラメータを送信する。親局は、要求されたQoSを確保可能であると判断すれば要求を受け入れ、確保が不可能であると判断すれば要求を拒否する。
要求を受け入れた場合、QoSを要求した子局に対し、送信を許可する時間(Medium Time)を通知する。各子局には平等に送信権が付与されるが、子局がパケットを送信するたびにその送信に使用した時間をMedium Timeから減算し、Medium Timeが0になった時点でその子局は送信できなくなる。結果的に、Medium Timeを多く与えられた子局がより多くの帯域を割り当てられる事になる。
この方式を用いる場合においても、親局に対して送信されるQoS設定要求パケット自体は同じであるので、本発明をそのまま実施できる。
<Prioritized QoSの場合について>
第2および第3の実施形態においては、Parameterized QoSによってQoSを実現する方法について述べたが、Prioritized QoSを使用してQoSを実現しても良い。
具体的には、QoS種別受付部61・71・81によって指定されたQoS種別に応じて、パケットの伝送優先度を変化させることが考えられる。
例えば、コンテンツ受信側のPLCアダプタ60・70・80において設定されたQoS種別とフロー識別情報とを、QoS設定要求パケットを用いてコンテンツ送信側のPLCアダプタ50に通知し、PLCアダプタ50は、QoS設定要求パケットにより通知されたQoS種別情報をパケットの伝送優先度に変換する。変換は、予め作成した変換テーブルを保存しておき、変換時にそのテーブルに基づいて変換する事が考えられる。
コンテンツ送信側のPLCアダプタ50は、データパケットをルータ120から受信したら、そのデータパケットを解析して得たフロー識別情報と、コンテンツ受信側のPLCアダプタ60・70・80から通知されたフロー識別情報とを照合する。フロー識別情報が合致した場合は、コンテンツ受信側のPLCアダプタ60・70・80から通知された伝送優先度に従い、データパケットを伝送する。
このような方法により、QoS種別受付部61・71・81によって受付されたQoS種別に応じて、パケットの伝送優先度を変化させることが実現可能である。
<QoS種別受付部の他の構成例について>
第2および第3の実施形態においては、QoS種別受付部61・71・81として、3段階スライド式の切り替えスイッチについて述べたが、QoS種別受付部61・71・81は他の構成でも良い。
切り替え可能な段階数は任意の数で良いが、選択可能な段階数を増やし過ぎるとユーザにとって分かり難くなるという弊害が生じる。
なお、スイッチの選択状態は、ユーザにより目視確認できれば、ユーザにとっては設定状態がより分り易いので望ましいが、これは必須ではない。例えば、一つのプッシュスイッチのみを設け、そのスイッチが押される度に循環的にQoS種別情報が切り替わる物でも良い。例えば、プッシュスイッチを押す度に、QoS種別情報が、「HD映像」、「SD映像」、「OFF」、「HD映像」という順序で切り替わる事が考えられる。
伝送するコンテンツのビットレートに対して、確保される伝送帯域のQoSが十分でない場合、コンテンツ受信側のPLCアダプタにおいては、結果的に映像の乱れが生じる。そこで、乱れが生じた際、ユーザはスイッチを操作し、優先度設定の変更を繰り返し試み、最もコンテンツの再生状態が改善された時点でスイッチの操作を終了すれば良い。
また、スイッチとは別に表示装置を設け、その表示装置上にスイッチの状態を表示しても良い。例えば液晶画面にスイッチの状態を表示する事が考えられる。この表示装置は、PLCアダプタにおける他の状態を表示するためのものと共用することも考えられる。例えば上記のプッシュスイッチを押すたびに表示装置におけるQoS種別の表示を切り替える事が考えられる。
<QoS種別の他の例について>
QoS種別としては、上記で述べた以外の区分も考えられる。例えば、「映像」「音声」「その他」というように、受信されるデータの種類を示す区分でも良い。
映像や音声などのデータの種類が決定されれば、QoSパラメータはある程度予測可能である。そこで、帯域割り当ての頻度、期間、順序などのパラメータを、コンテンツ受信側のPLCアダプタ60・70・80においてテーブル等として所持しておき、QoS設定要求パケットにより指定すればよい。具体的な値は実験等により事前に最適な値を算出しておく事が考えられる。
また、QoS種別の区分は、「TV」「電話」「その他」等のように、PLCアダプタ60・70・80のイーサネット側に接続される装置の種類を示す区分でも良い。この区分では、「映像」「音声」「その他」を指定する場合と比べ、内部処理としては同様になるが、設定を行うユーザの観点からは、何を接続するかという指定方法のほうが分り易い。
また、「20インチ」「37インチ」「45インチ」等のように、PLCアダプタ60・70・80のイーサネット側に接続される装置(TV等)の表示画面サイズを示す区分でも良い。表示画面サイズが大きな装置ほど、大きなビットレートの映像を伝送する可能性が高いので、より大きな帯域を確保する事が考えられる。
また、「1920×1080(フルスペックハイビジョン)」「1366×768(ハイビジョン)」「640×480(非ハイビジョン)」等のように、PLCアダプタ60・70・80のイーサネット側に接続される装置(TV等)の表示解像度を示す区分でも良い。表示解像度が大きな装置ほど、大きなビットレートの映像を伝送する可能性が高いので、より大きな帯域を確保する事が考えられる。
また、「6Mbps」「12Mbps」「24Mbps」等のように、PLCアダプタ60・70・80経由で受信されるコンテンツのビットレートを示す区分でも良い。QoSパラメータのうち、最も重要な値はビットレートであり、それ以外のパラメータについては、実際に伝送されるデータの特性と不一致があっても伝送品質に影響が出ない場合が多い。よって、ビットレート以外の値は何らかの固定値として、ビットレートのみをスイッチで切り替えるという方法でも、ある程度のQoSの確保は可能である。
また、「有料コンテンツ」「無料コンテンツ」等のように、PLCアダプタ60・70・80経由で受信されるコンテンツが有料かどうかを示すものでもよい。
VoDサービスにおいて、視聴するコンテンツには、有料のコンテンツと無料のコンテンツとが存在する。例えば、最新の映画は有料であるが、ニュース番組やCMを含む番組は無料であったりする。
このようなときに、ユーザが今から受信するコンテンツが有料であるか無料であるかをPLCアダプタ60・70・80に設けられたスイッチにより指定し、「有料コンテンツ」が指定された場合には、QoSを確保して高品質に伝送し、「無料コンテンツ」が指定された場合には、QoSを確保せずに通常の伝送を行う事が考えられる。
コンテンツのビットレートによって利用料金が異なるような場合は、単にコンテンツが有料か無料かだけではなく、「高価格コンテンツ」「低価格コンテンツ」「無料コンテンツ」という区分を用いて、コンテンツの価格に応じたQoSを指定できるようにしてもよい。
また、スイッチを2段階切り替えとし、QoS種別の区分として「QoS必要」「QoS不要」を用いて、ユーザがそのPLCアダプタにおいてQoSを必要とするか否かの情報を指定できるようにしても良い。
「QoS必要」が指定された場合はQoSを確保し、「QoS不要」が指定された場合はQoSを確保しない事が考えられる。
「QoS必要」および「QoS不要」の設定に際し、ユーザは、PLCアダプタに接続される装置においてデータを受信する際のQoS要否を、上記の条件(受信するデータの種類や接続される装置の種類など)から総合的に判断し設定する事が考えられる。
なお、上記のQoS種別の区分を組み合わせて使用しても良い。例えば、「映像」および「24Mpbs」の組合せや、「音声」および「6Mbps」の組合せという指定をする事が考えられる。
この場合、複数のスイッチを設け、複数のQoS種別を指定できる(3段階のスイッチをふたつ設ける)ようにしても良いし、一つのスイッチでより複雑なQoS種別を指定できる(9段階のスイッチを一つ設ける)ようにしても良い。
また、QoSの要否を指定するためのスイッチと、QoS種別を指定するためのスイッチとの両方を組み合わせて使用してもよい。
例えば、「QoS必要」と「QoS不要」とを切り替えるスイッチと、「SD映像」と「HD映像」とを切り替えるスイッチを組み合わせることが考えられる。この場合、ユーザが操作するのは基本的には「QoS必要」と「QoS不要」を切り替えるスイッチのみとする。より細かい設定を行いたい場合にのみ、QoS種別の設定を変更する事が考えられる。
「SD映像」や「HD映像」の設定は変更できなくても良いから簡単に使用したいというライトユーザに対しては、QoSの要否のみを指定させるという簡便な操作を提供し、より細かい設定を行いたいヘビーユーザに対しては、詳細な操作方法を提供する事が可能となる。
また、QoS要否のスイッチはPLCアダプタの前面に設置し、QoS種別のスイッチは背面に設置する等すれば、ライトユーザが意図せずにQoS種別の設定を変更してしまい、問題なく動作していた環境を崩してしまう事態を防止する事ができる。
また、「許容遅延小」「許容遅延中」「許容遅延大」というように、PLCアダプタ60・70・80経由で受信されるコンテンツについて、どの程度の遅延が許容されるかを示す区分でも良い。許容される遅延が小さいコンテンツほど、高頻度で送信権が付与されるようなQoSパラメータを用いてQoS設定を行う事が考えられる。
また、「許容エラー小」「許容エラー中」「許容エラー大」というように、PLCアダプタ60・70・80経由で受信されるコンテンツについて、どの程度のエラーが許容されるかを示す区分でも良い。許容されるエラー率が低いコンテンツについては、再送機会が多く与えられてエラー率が低下するようなQoSパラメータを指定してQoS設定を行う事が考えられる。
また、「許容ジッター小」「許容ジッター中」「許容ジッター大」というように、PLCアダプタ60・70・80経由で受信されるコンテンツについて、どの程度のジッターが許容されるかを示す区分でも良い。ジッターとは伝送遅延の揺らぎである。許容されるジッターが低いコンテンツについては、再送機会が与えられる時間間隔がなるべく等しくなるようなQoSパラメータを指定してQoS設定を行う事が考えられる。
<QoS種別の別の指定方法>
上述した、QoS種別の各区分は、ユーザにより直接指定される以外に、PLCアダプタ60・70・80のイーサネット側に接続される装置により指定されてもよい。
現状では、イーサネット側に接続される装置は、QoSデータ伝送を想定して実装されていない事が多い。しかし、将来的にこれらの装置がより高機能化し、自局が受信するデータの種類などに応じてQoS種別を決定できるようになると考えられる。その場合、ユーザがスイッチによりQoS種別を指定する代わりに、これらの装置がPLCアダプタ60・70・80に対して何らかの指示を出す事により、QoS種別を指定することが考えられる。
例えば、PLCアダプタ60・70・80に接続された装置が、イーサネットによる通信を用いて指示を出す事が考えられる。そのような場合を想定し、PLCアダプタ60・70・80では、スイッチによるQoS種別の指定の受け付けと、イーサネット側に接続された装置によるQoS種別の指定の受け付けとの両方が可能となるように実装してもよい。
また、イーサネット側に接続された装置からのQoS種別の指定の受け付け、または、ユーザによるQoS種別の指定の受け付けの、どちらか一方だけを行う構成でもよい。この場合、どちらの設定を有効にするかを、ユーザに選択させても良いし、予め有効にする受け付け方法を決めておいても良い。
イーサネット側に接続された装置がユーザにより指定されたQoS種別を無効にできる制御を行う構成でも良い。
<PLCアダプタにハブを介して複数の装置を接続した場合の構成について>
コンテンツ受信側のPLCアダプタ70・80に、イーサネットのハブを介して複数のイーサネット機器(例えば、STB、PCなど)を接続してもよい。このような接続形態における処理の内容について以下に説明する。以下では、図15に示すように、PLCアダプタ70に、ハブ77を介してTV受像器150とPC110とが接続されている場合について説明する。なお、当該接続形態を、第2の実施形態に適用してもよい。
コンテンツ送信側のPLCアダプタ60は、コンテンツ受信側のPLCアダプタ70とイーサネットによって接続されているTV受像器150PC110のイーサネットアドレスを得るために、ブリッジ情報要求パケットをPLCアダプタ70に送信する。
PLCアダプタ70のブリッジ部78は、自局に接続されている全てのイーサネット機器のアドレス(すなわち、TV受像器150およびPC110のアドレス)を含めたブリッジ情報通知パケットを作成し、PLC通信部65a介してPLCアダプタ60へ返送する。
PLCアダプタ60のブリッジ部68は、PLCアダプタ70のアドレスとTV受像器150およびPC110のアドレスとを対応付けて、自身が使用可能な記憶部(不図示)に格納されているブリッジテーブルに保存する。
PLCアダプタ70のトリガ検出部79は、データパケットを受信した場合に、トリガ検出処理として、自局に接続されているイーサネット機器のアドレスごとに、データパケットの個数またはデータパケットを受信した頻度を自らが利用可能な記憶部(不図示)に保存する。
トリガ検出部79は、上記個数または頻度が閾値以上になったことを検出すると、QoS種別管理部72に対してQoS設定処理を開始するよう指示する。QoS種別管理部72は、接続要求パケットを生成し、PLC通信部75aを介してPLCアダプタ60に送信する。
PLCアダプタ60のQoS種別管理部62は、接続要求パケットに含まれるものと同じQoSパラメータを含めたQoS設定要求パケットを作成し、PLCアダプタ50に送信する。
QoS設定要求パケットを受け取ると、PLCアダプタ50のQoS制御部54は、フローに対してGLIDを割り当て、QoSパラメータを基にそのGLIDのための帯域割り当てのスケジューリングを行う。QoS制御部54は、QoS要求の受け入れ可否を示す情報(Result Code)およびGLIDを含めてQoS設定通知パケットを生成し、PLCアダプタ60(送信局)とPLCアダプタ70(受信局)との両方に送信する。QoS設定通知パケットには、PLCアダプタ70のアドレスも含まれている。
PLCアダプタ60のブリッジ部68は、QoS設定通知パケットを受け取ると、QoS設定通知パケットに含まれるPLCアダプタ70のアドレスを、ブリッジテーブルで検索し、PLCアダプタ70に接続されている全てのイーサネット機器のアドレスを取得する。ブリッジ部68は、取得したアドレスをQoS種別管理部62へ出力する。
QoS種別管理部62は、これらのアドレスと、QoS設定通知パケットに含まれるGLIDとを対応付けてClassifyルール(対応テーブル)を作成し、作成したClassifyルールをQoS制御部64へ出力する。
PLCアダプタ60がハードディスクレコーダ170からデータパケットを受信すると、QoS制御部64は、Classifyルールにおいて、PLCアダプタ70に関して複数のイーサネットアドレスが登録されていることを検出した場合、登録されている全てのアドレスについて、受信したデータパケットの宛先アドレスと合致するかどうかを判定する。アドレスが合致した場合に、QoS制御部64は、Classifyルールに登録されているGLIDが、そのデータパケットのGLIDであると判定する。
PLCアダプタ50は、帯域割り当てスケジュールに従い、GLIDと送信権付与開始時刻と送信権付与終了時刻とを含めたビーコンパケットをPLCアダプタ60・70・80へ送信する。
PLCアダプタ60のQoS制御部64は、先のClassifyルールによりデータパケットのGLIDを導出しており、ビーコンパケットを受信して、該当するGLIDに対応する送信権付与開始時刻と送信権付与終了時刻とにより示される期間にデータパケットを、PLC通信部65aを介してPLCアダプタ70へ送信する。
<トリガ検出を送信側のPLCアダプタで行う場合について>
トリガ検出を送信側のPLCアダプタで行ってもよい。すなわち、第2の実施形態では、PLCアダプタ50が、第3の実施形態では、PLCアダプタ60がトリガ検出を行ってもよい。
送信側のPLCアダプタのブリッジ部は、イーサネット側(ルータ120またはハードディスクレコーダ170)からパケットを受信した時に、トリガ検出の有無に関わらず、ブリッジテーブルを参照して、宛先のPLCアダプタのアドレスを特定する。この時に、トリガ検出部は、宛先のPLCアダプタごとに、パケットの個数またはパケットを受信した頻度を記憶部に保存することで、トリガ検出が可能となる。トリガ検出方法は、受信側のPLCアダプタで行う場合と同様である。
<状態提示部の変更例について>
QoSの状態を提示する状態提示部56・66・76・86は、他の情報を提示するための提示部と共用のものであってもよい。この構成により、状態提示部として実装するLED等の個数を減らすことができる。上記他の情報とは、例えば、電源状態、通信端末同士のリンク状態または通信速度、当該PLCアダプタが親局か子局であるかという情報である。
また、状態提示部56・66・76・86は、QoS設定処理及びQoS解放処理の結果から導出されるQoS設定状態をユーザに提示してもよい。例えば、QoS設定されていると、状態提示部としてのLEDが点灯し、QoS解放されるとLEDが消灯するように、QoS種別管理部は状態提示部を制御してもよい。QoS設定処理の状態が、データ通信の相手局から通知される場合には、QoS種別管理部は、データ通信の相手局から通知された、当該相手局におけるQoS設定処理の状態に基づいて状態提示部を制御する。換言すれば、状態提示部は、データ通信の相手局から通知された、当該相手局におけるQoS設定処理の状態に基づいて提示を行う。逆に、QoS設定処理の状態をデータ通信の相手局へ通知するPLCアダプタのQoS種別管理部は、データ通信の相手局に対し、QoS設定処理およびQoS解放処理の結果から導出されるQoS設定状態を、PLC通信部を介して通知する。
<QoS種別の変更例について>
QoS種別して、TV150の解像度に対応する区分を設けてもよい。例えば、走査線の数(1080、750、525本)に対応するQoS種別を設けてもよいし、インターレース方式かプログレッシブ方式かに対応するQoS種別を設けてもよいし、それらを組み合わせてもよい。なお、走査線の数が増えると、好ましいQoSのレベルは高まり、インターレース方式よりもプログレッシブ方式の方が、好ましいQoSのレベルは高い。
<QoS設定完了時間の提示方法について>
LEDの発光色を段階的に変化させ、あとどれくらいの時間が経過するとQoS設定が完了するかをユーザに提示する場合に、赤、黄、緑という順序で段階的に変化させてもよいし、LEDの点滅間隔を次第に短くしてもよい。
また、QoS設定が完了するまでの時間をSTBに接続されているテレビモニタに表示してもよい。この場合、残り時間を表示してもよいし、プログレスバー等を表示してもよい。
このような構成を実現させるためには、PLCアダプタ70のイーサネット通信部75bは、QoS設定が完了するまでの時間を示す時間情報をSTB100へ出力し、STB100は、当該時間情報を映像に重畳させて、自装置に接続されているテレビへ送信すればよい。
<QoS種別受付部の構成例について>
QoS種別受付部がプッシュスイッチである場合、多色発光のLEDをQoS種別受付部の近傍に設け、発光色によってQoS種別の設定状態を示してもよい。例えば、第1の実施形態における「高優先度」を緑で示し、「中優先度」を橙で示し、「低優先度」を赤で示してもよい。また、第2の実施形態および第3の実施形態における、「HD」映像を緑で示し、「SD映像」を橙で示し、「OFF」を赤で示してもよい。また、プッシュスイッチそのものを発光させてもよい。
プッシュスイッチを押す時間を変化させることによって、入力されるQoS種別を変化させてもよい。例えば、プッシュスイッチを押す時間が長いほど、優先度が高くなる、または、多くの帯域が確保されるようにしてもよい。例えば、押下時間が1秒以内であれば、低優先度、5秒以上10秒未満であれば、中優先度、10秒以上であれば、高優先度が入力される構成にしてもよい。
また、QoS種別受付部としてのプッシュスイッチを、他の操作命令を入力するためのスイッチとして用いてもよい。例えば、プッシュスイッチの押下時間が1秒未満である場合には、「ペアリング動作」を命じる命令が入力され、1秒以上である場合には、QoS種別を指定するための命令が入力されるようにしてもよい。なお、「ペアリング動作」とは、PLCアダプタ同士をひとつのネットワークとして認識させるための初期設定である。
また、QoS設定が完了するまでの時間をSTBに接続されているテレビモニタに表示する場合と同様の構成で、QoS種別の設定状態をテレビモニタに表示してもよい。
<トリガ検出処理に関わる変更例について>
トリガ検出部が、トリガを検出する条件をユーザが変更できる構成にしてもよい。例えば、パケットの受信個数、受信頻度、ビットレートの閾値、パケット解析の頻度またはトリガを検出するためのプロトコルをユーザが変更できる構成にしてもよい。上記条件を変更するために、PLCアダプタにコンピュータを接続し、専用のユーティリティソフトを用いて直接設定を変更できるようにしたり、PLCアダプタにHTTPサーバの機能を内蔵させ、HTTPサーバが提供する設定画面(HTMLなどで記述)でPLCアダプタの設定を変更できるようにしておいて、PLCアダプタに接続したPLCアダプタからWebブラウザで上記設定画面にアクセスして当該条件を変更してもよいし、PLCアダプタに、上記条件を変更するための入力部を設けてもよい。
<QoSスイッチについて>
イーサネット側に接続される装置(PLCアダプタに接続されるイーサネット機器、つまり、第2の実施形態におけるSTBやPC、および第3の実施形態におけるTVなど)にQoSスイッチを設け、イーサネット機器が、その設定状態をPLCアダプタへ送信し、その後のQoS設定処理を行うような構成としてもよい。
<各実施形態における送信時のQoS種別指定について>
なお、第1から第3の実施形態においては、通信装置(PLCアダプタ)がデータを受信する際のQoS種別を指定する方法について述べたが、通信装置(PLCアダプタ)がデータを送信する際のQoS種別を指定できるようにしてもよい。
一つの通信装置(PLCアダプタ)が送信と受信の両方を行う場合、送信用のQoS種別受付部と受信用のQoS種別受付部を設けても良いし、一つのQoS種別受付部により送信と受信と両方のQoS種別を受付できるようにしても良い。
また、送信側と受信側との両方にて、QoS種別が指定されている場合、それらQoS種別の平均をとったQoS種別が指定されたものとして、QoS設定を行ってもよいし、送信側もしくは受信側の何れかのQoS種別のみを参照し、他方のQoS種別の設定は無視する事も考えられる。
このようなポリシーがユーザに周知されていなければ運用に支障を来たすと考えられるので、ポリシーをマニュアルに記載する事などが考えられる。
なお、第2および第3の実施形態において、QoS種別受付部51・61・71・81を設けず、予め決められたQoS種別やQoSパラメータを用いてQoS設定を行う構成としても良い。この場合、ユーザは情報を入力しなくとも、PLCアダプタ50・60・70・80が自動的にQoS設定を行うので、STB90・100、PC110、TV受像機150・160等のQoS設定の指示を出せないイーサネット端末が受信するフローについて、QoSが確保されたデータ伝送を行う事が可能となる。
また、QoS種別受付部としてのQoSスイッチにおいて、伝送帯域を保証するための設定(Parameterized QoS)、優先制御を行うための設定(Prioritized QoS)およびQoS設定を行わない設定を選択できる構成にしてもよい。すなわち、QoS種別受付部は、QoS種別として、同じQoS制御下のPLCアダプタ以外のPLCアダプタに対する、自装置のデータ受信の優先度、および、自局へ送信されるデータのビットレート(伝送帯域)を示す情報を選択的に受け付けてもよい。このような構成を実現した場合の処理に関し、受信側のPLCアダプタがQoS設定要求パケット及びQoS解除要求パケットを送信する場合(第2の実施形態に相当)の例について、以下に説明する。なお、送信側のPLCアダプタがQoS設定要求パケット及びQoS解除要求パケットを送信する場合(第3の実施形態に相当)についても同様である事は自明なので、その説明を省略する。
<帯域保証から優先制御への変更>
QoSスイッチが、帯域保証から優先制御に変更された場合、受信側のPLCアダプタのQoS種別管理部は、優先制御への変更を要求するQoS設定要求パケットを送信側のPLCアダプタへ送信する。しかし、優先制御への変更に失敗する可能性があるので、すぐには、それまで確保していた伝送帯域を解放することを要求するQoS解除要求パケットを親局であるPLCアダプタへ送信しない。QoS設定要求パケットに対する応答として、QoS設定通知パケットを受信する事により、優先制御への変更が成功したかどうかがわかる。
優先制御への変更が成功した場合、受信側のPLCアダプタのQoS種別管理部は、上記QoS解除要求パケットを親局であるPLCアダプタへ送信する。これにより、確保されていた帯域は解放される。
また、受信側のPLCアダプタのQoS種別管理部は、状態提示部を介して、QoS設定に成功したことをユーザに報知する。
一方、優先制御への変更に失敗した場合、受信側のPLCアダプタのQoS種別管理部は、QoS解除要求パケットを親局のPLCアダプタへ送信せずに(すなわち、データ伝送帯域を解放せずに)、帯域保証されたデータの受信を継続する。この場合、受信側のPLCアダプタのQoS種別管理部は、状態提示部を介して、QoS設定に失敗したことをユーザに報知する。また、QoS種別が優先制御に設定されているが、データは帯域保証伝送されている状態となっていることをユーザに報知してもよい。
<優先制御から帯域保証への変更>
QoSスイッチが、優先制御から帯域保証に変更された場合、受信側のPLCアダプタのQoS種別管理部は、帯域保証への変更を要求するQoS設定要求パケットを親局であるPLCアダプタへ送信する。QoS設定要求パケットに対する応答として、QoS設定通知パケットを受信する事により、帯域保証への変更が成功したかどうかがわかる。
帯域保証への変更が成功した場合、受信側のPLCアダプタのQoS種別管理部は、上記QoS解除要求パケットを送信側のPLCアダプタへ送信する。これにより、データパケットに付与される優先度がデフォルト値に戻る。
また、受信側のPLCアダプタのQoS種別管理部は、状態提示部を介して、QoS設定に成功したことをユーザに報知する。
一方、優先制御への変更に失敗した場合、受信側のPLCアダプタのQoS種別管理部は、QoS解除要求パケットを送信側のPLCアダプタへ送信せずに(すなわち、優先度の設定をオフにせずに)、優先制御されたデータの受信を継続する。この場合、受信側のPLCアダプタのQoS種別管理部は、状態提示部を介して、QoS設定に失敗したことをユーザに報知する。また、QoS種別が帯域保証に設定されているが、データは優先制御伝送されている状態となっていることをユーザに報知してもよい。
<本発明の別の表現について>
本発明は、以下のようにも表現できる。
すなわち、本発明の通信装置は、データを送信する送信側通信装置からデータを受信する受信側通信装置としての通信装置であって、送信側通信装置からデータを受信する時の、当該送信側通信装置からデータを受信する他の受信側通信装置に対する、データ受信の優先度を示すQoS種別情報を受け付けるQoS種別受付部と、QoS種別受付部が受け付けたQoS種別情報と自装置のアドレスとを含むQoS設定要求パケットを、送信側通信装置へ送信するPLC通信部とを備えている。
また、本発明の通信装置は、受信側通信装置へデータを送信する送信側通信装置としての通信装置であって、受信側通信装置から送信されるQoS設定要求であり、受信側通信装置が送信側通信装置からデータを受信するときの、他の受信側通信装置に対する、データ受信の優先度を示すQoS種別情報と、QoS設定要求を送信する受信側通信装置のアドレスとを含むQoS設定要求を受信するPLC通信部と、PLC通信部が受信したQoS設定要求に含まれるQoS種別情報が示す優先度に対応する送信優先度を、当該QoS設定要求に含まれるアドレスが示す受信側通信装置へ送信するデータに付与するQoS制御部と、QoS制御部によって送信優先度が付与されたデータを、当該送信優先度に従って、QoS設定要求に含まれるアドレスが示す受信側通信装置へ送信するPLC通信部とを備えている。
また、本発明の通信装置は、送信側通信装置が送信したデータを受信する時の伝送帯域の大きさを示すQoS種別情報を受け付けるQoS種別受付部と、QoS種別受付部が受け付けたQoS種別情報が示す伝送帯域の大きさを示す情報を含むQoS通知パケットを生成するQoS種別管理部と、QoS種別管理部が生成したQoS通知パケットを送信側通信装置へ送信するPLC通信部とを備えている。
また、本発明の通信装置は、データを送信する少なくとも1つの送信側通信装置と、当該送信側通信装置からデータを受信する少なくとも1つの受信側通信装置と、QoS設定要求に従い送信側通信装置から受信側通信装置へ送信されるデータのQoS制御を行う制御手段を備えた制御装置(親局)と、を含む通信ネットワークにおける送信側通信装置としての通信装置であって、1つの受信側通信装置が受信するデータを対象とするQoS制御の開始を通知するトリガ検出通知を受信するPLC通信部と、PLC通信部がトリガ検出通知を受信したときに、当該受信側通信装置が受信するデータを対象とするQoS制御の開始を要求するQoS設定要求を制御装置へ送信するQoS種別管理部とを備えている。
また、本発明の通信装置は、データを送信する少なくとも1つの送信側通信装置と、当該送信側通信装置からデータを受信する少なくとも1つの受信側通信装置と、を含む通信ネットワークにおける送信側通信装置としての通信装置であって、QoS制御を行うQoS制御部と、受信側通信装置が受信するデータに対するQoS制御の開始を通知するトリガ検出通知を受信するPLC通信部とを備え、PLC通信部がトリガ検出通知を受信したときに、QoS制御部は、QoS制御(優先制御)を開始する。
また、受信側のPLCアダプタが、親局としての機能を備えていてもよい。この場合、本発明の通信装置は、データを送信する少なくとも1つの送信側通信装置と、当該送信側通信装置からデータを受信する少なくとも1つの受信側通信装置と、を含む通信ネットワークにおける受信側通信装置としての通信装置(親局)であって、QoS制御を行うQoS制御部を備え、QoS制御部は、送信側通信装置からのデータを受信することに応じて(トリガ検出の条件が満たされた場合に)、QoS制御を開始する。
また、本発明の通信装置は、イーサネット(第1のネットワーク)とPLCネットワーク(第2のネットワーク)との間でデータ伝送を中継するPLCアダプタ(通信装置)であって、イーサネットにより(イーサネットを介して)前記PLCアダプタと接続された受信側の装置が、PLCネットワークにより(PLCネットワークを介して)前記PLCアダプタと接続された送信側の装置から受信するフローについての、PLCネットワークにおけるQoSを設定するQoS種別管理部(QoS設定制御部)を備えている。
また、本発明に係る通信装置では、1つ以上のパケットの送信履歴または受信履歴を解析することにより、QoS設定処理およびQoSの解放要求を生成するQoS解放処理を開始するタイミングを検出するトリガ検出手段をさらに備え、前記QoS設定制御手段は、検出されたQoS設定処理を開始する前記タイミングにおいて前記QoS設定処理を行い、検出されたQoS解放処理を開始する前記タイミングにおいてQoS解放処理を行う事を特徴とする。
当該構成において、トリガ検出手段は、データ伝送のパケット通信が開始されたというパケット送受信の履歴に基づいて、QoS制御を行うためのQoS設定処理の開始を判断する。また、トリガ検出手段は、データ伝送のパケット通信が行われなくなったというパケット送受信の履歴に基づいて、QoS伝送のために確保していた伝送帯域を解放する処理の開始を判断する。
なお、生成されたQoSの解放要求は、Prioritized QoSの場合は、パケット伝送の送信元に送信され、Parameterized QoSの場合は、親局に送信される。
上記の構成によれば、実際にQoSの伝送帯域を確保すべき通信の開始後に、QoSの設定が行われるので、まだQoSの帯域を確保すべき通信が開始される前から、無駄にネットワークの帯域を確保してしまうという無駄を防止できるという効果を奏する。また、実際のQoS伝送が終了したにも拘わらず、QoSの伝送帯域が確保されたままであるという無駄を防止できるという効果も奏する。
また、本発明に係る通信装置では、上記構成に加えて、前記QoS設定制御手段は、パケット通信の相手局から通知された、QoS設定処理を開始するタイミングに従い前記QoS設定処理を開始し、パケット通信の相手局から通知された、QoSの解放要求を生成するQoS解放処理を開始するタイミングに従いQoS解放処理を開始する事を特徴とする。
当該構成において、QoS設定制御手段は、パケット通信の相手局からQoS設定処理を開始するタイミングを示すパケットを受信すると、QoS設定処理を開始し、パケット通信の相手局からQoS解放処理を開始するタイミングを示すパケットを受信すると、QoS解放処理を開始する。
上記の構成によれば、パケット通信の相手局から通知されるタイミングにおいて、QoSの設定が行われるので、QoS設定処理を開始するタイミングが通知される前から、無駄にネットワークの帯域を確保してしまうという無駄を防止できるという効果を奏する。また、QoS解放処理を開始するタイミングが通知された後でもQoSの伝送帯域が確保されたままであるという無駄を防止できるという効果も奏する。
また、本発明に係る通信装置では、上記構成に加えて、1つ以上のパケットの送信履歴または受信履歴を解析することにより、QoSの設定要求を生成するQoS設定処理およびQoSの解放要求を生成するQoS解放処理を開始するタイミングを検出するトリガ検出手段と、検出された前記タイミングをパケット通信の相手局に対し通知するトリガ検出通知手段とをさらに備えた事を特徴とする。
当該構成において、トリガ検出手段は、データ伝送のパケット通信が開始されたというパケット送受信の履歴に基づいて、QoS制御を行うためのQoS設定処理の開始を判断し、QoS設定処理を開始するようパケット通信の相手局に対し通知する。また、トリガ検出手段は、データ伝送のパケット通信が行われなくなったというパケット送受信の履歴に基づいて、QoS伝送のために確保していた伝送帯域を解放する処理の開始を判断し、QoS解放処理を開始するようパケット通信の相手局に対し通知する。
上記の構成によれば、実際にQoSの伝送帯域を確保すべき通信の開始後に、QoSの設定が行われるので、まだQoSの帯域を確保すべき通信が開始される前から、無駄にネットワークの帯域を確保してしまうという無駄を防止できるという効果を奏する。また、実際のQoS伝送が終了したにも拘わらず、QoSの伝送帯域が確保されたままであるという無駄を防止できるという効果も奏する。
また、本発明に係る通信装置では、上記構成に加えて、前記QoS設定制御手段は、前記QoS設定処理が最後に成功してから所定の時間が経過しており、かつ、該QoS設定処理が最後に成功した際に用いたQoS制御情報と異なるQoS制御情報が指定されている場合のみ、新たにQoS設定処理を実行する事を特徴とする。
当該構成において、例えばユーザが誤った操作により意図しないQoS種別の指定を行い、すぐに操作を取り消した場合は、最後に成功したQoS設定処理の状態は変更されない。
上記の構成によれば、ユーザの誤操作などによるQoS設定の変更を防止できるので、意図しないQoS設定の変更による再生映像や再生音声の乱れを防止することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る通信装置では、上記構成に加えて、自局に対しパケットを送信している通信装置に対して直前に通知した第1のQoS種別とその通知時刻を記憶する記憶手段を備え、前記QoS種別通知手段は、前記通知時刻から所定の時間が経過しており、かつ、前記第1のQoS種別と、前記QoS種別受付手段により新たに受け付けられた第2のQoS種別とが異なっている場合のみ該通信装置に対し、前記第2のQoS種別を通知する事を特徴とする。
当該構成において、例えばユーザが誤った操作により意図しないQoS種別の指定を行い、すぐに操作を取り消した場合は、第2のQoS種別は自局に対しパケットを送信している通信装置に対して通知されない。
上記の構成によれば、ユーザの誤操作などによるQoS設定の変更を防止できるので、意図しないQoS設定の変更による再生映像や再生音声の乱れを防止することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る通信装置では、上記構成に加えて、自局に対しパケットを送信している通信装置に対して直前に通知した第1のQoS制御情報とその通知時刻を記憶する記憶手段を備え、前記QoS制御情報通知手段は、前記通知時刻から所定の時間が経過しており、かつ、前記第1のQoS制御情報と、前記QoS種別受付手段により新たに受け付けられた第2のQoS種別から前記QoS制御情報変換手段により変換された、第2のQoS制御情報とが異なっている場合のみ該通信装置に対し、前記第2のQoS制御情報を通知する事を特徴とする。
当該構成において、例えばユーザが誤った操作により意図しないQoS種別の指定を行い、すぐに操作を取り消した場合は、第2のQoS制御情報は自局に対しパケットを送信している通信装置に対して通知されない。
上記の構成によれば、ユーザの誤操作などによるQoS設定の変更を防止できるので、意図しないQoS設定の変更による再生映像や再生音声の乱れを防止することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る通信装置では、上記構成に加えて、QoS設定処理の状態をユーザに提示する状態提示手段をさらに備えた事を特徴とする。
当該構成において、ユーザにより指定されたQoSの設定が開始されたか、処理中か、成功したか失敗したかなど、その状態を、状態提示手段が、ユーザに対し提示する。
上記の構成によれば、QoS設定処理の状態がユーザに提示されるので、ユーザは、自分が行ったQoS種別を指定する操作に対するQoS設定処理の状態を正しく把握することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る通信装置では、上記構成に加えて、前記QoS設定処理の状態をユーザに提示する状態提示手段をさらに備え、前記QoS種別受付手段は、データ通信通信の相手局から通知された、当該相手局におけるQoS設定処理の状態を前記状態提示手段に渡す事を特徴とする。
当該構成において、データ通信の相手局にてQoSの設定が開始されたか、処理中か、成功したか失敗したかなど、その状態がデータ通信の相手局から通知される。状態提示手段は、通知されたQoS設定処理の状態を、ユーザに対し提示する。
上記の構成によれば、データ通信の相手局にて行われているQoS設定処理の状態がユーザに提示されるので、ユーザは、QoS設定処理の状態を正しく把握することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る通信装置では、上記構成に加えて、前記QoS設定制御手段は、データ通信の相手局に対しQoS設定処理の状態を通知する事を特徴とする。
当該構成において、QoSの設定が開始されたか、処理中か、成功したか失敗したかなど、その状態をデータ通信の相手局へ通知する。
上記の構成によれば、QoS設定処理の状態をデータ通信の相手局へ通知するので、データ通信の相手局は、QoS設定処理の状態を正しく把握することができるという効果を奏する。
<その他の補足事項>
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
最後に、通信装置10・20・30・40およびPLCアダプタ50・60・70・80の各ブロック、特にQoS種別管理部12・22・32・42・52・62・72・82およびQoS制御部14・24・34・44・54・64・74・84は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、通信装置10・20・30・40およびPLCアダプタ50・60・70・80は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである通信装置10・20・30・40およびPLCアダプタ50・60・70・80の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記通信装置10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、通信装置10・20・30・40およびPLCアダプタ50・60・70・80を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。