しかしながら、上記した飲料水ディスペンサでは、水タンクや冷水タンクなどのリザーバタンクに流出した飲料水に対して殺菌処理を施すことは可能であるものの、その殺菌効果を飲料水が充填される飲料ボトル(水ボトルや給水タンク)まで作用させることができず、飲料ボトル内で飲料水が長期間滞留してしまうと、飲料水の鮮度低下や腐敗を招来する恐れがあるという問題点があった。
特に、飲料ボトルから飲料水が流出したときに飲料ボトル内へ大気中の空気が入り込むため、かかる空気を介して飲料ボトル内に雑菌が混入する恐れがあるという問題点がある。確かに、飲料ボトル内へ入り込む空気については、エアフィルタなどによって塵埃などの微粒子は除去されているものの、かかるエアフィルタでは大気中に浮遊する雑菌までは十分に除去できず、結果、飲料ボトル内に大気中の雑菌が混入するのである。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、飲料ボトルに充填されている飲料の長期滞留を防止して、かかる飲料の鮮度低下や腐敗を防止することができる飲料分配装置を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1の飲料分配装置は、飲料ボトルから飲料を抽出するための飲料抽出弁と、その飲料抽出弁より上方で飲料ボトルの口部を下向きにして飲料ボトルを上下反転姿勢で保持するホルダ部材と、そのホルダ部材により保持される飲料ボトルの口部に挿着される挿着プラグと、その挿着プラグに設けられ飲料ボトル内の飲料が吸入される吸入口と、その吸入口と連通されて前記挿着プラグ内部に設けられる吸入流路と、その吸入流路と連通接続されて飲料を前記飲料抽出弁へ供給する飲料供給経路とを備えており、更に、前記吸入口とは位置を異ならせて前記挿着プラグに設けられ飲料ボトル内へ飲料を吐出する吐出口と、その吐出口と連通されて前記挿着プラグ内部に前記吸入流路と隔絶して設けられる吐出流路と、その吐出流路に一端部が連通接続され前記飲料供給経路の途中に他端部が連通接続される飲料返還経路と、その飲料返還経路を通じて前記飲料供給経路から飲料を前記吐出流路へ移送する飲料移送手段とを備えている。
この請求項1の飲料分配装置によれば、飲料ボトルは、ホルダ部材により上下反転姿勢で保持されることで、その口部が下向きにされる。飲料を飲料ボトルから抽出するには、飲料抽出弁が開かれる。すると、飲料ボトルの口部に挿着される挿着プラグの吸入口から、飲料ボトル内にある飲料が挿着プラグの吸入流路を通じて飲料供給経路へ流れ込み、この飲料供給経路を通じて飲料が飲料抽出弁から外部へ抽出されるのである。
一方、飲料抽出弁が閉塞されている場合に、飲料移送手段が駆動されると、飲料供給経路にある飲料が、飲料返還経路を通じて挿着プラグの吐出流路へ移送されて、その挿着プラグの吐出口から飲料ボトル内へ吐出される。この流れによって、飲料ボトルに充填されている飲料は、飲料ボトルから吸入口、吸入流路、飲料供給経路、飲料返還経路、吐出流路、及び、吐出口を順番に経て再び飲料ボトルへ返還される。つまり、飲料ボトルを一部に含んだ飲料の循環経路(循環流)が構成されるのである。
請求項2の飲料分配装置は、請求項1の飲料分配装置において、前記飲料返還経路の途中に介設され、その飲料返還経路を通過する飲料に抗菌成分を溶解させる抗菌部材を備えている。
この請求項2の飲料分配装置によれば、請求項1の飲料分配装置と同様に作用する上、飲料抽出弁が閉塞されている場合に、飲料移送手段が駆動されて、飲料供給経路にある飲料が飲料返還経路を通じて挿着プラグの吐出流路へ移送されると、その飲料返還経路を通過する飲料中に抗菌部材から抗菌成分が溶解されて、抗菌成分を含有した飲料が挿着プラグの吐出口から飲料ボトル内へ吐出される。この流れによって、抗菌成分を含んだ飲料は、飲料ボトルから吸入口、吸入流路、飲料供給経路、飲料返還経路、吐出流路、及び、吐出口を順番に経て循環されるのである。
請求項3の飲料分配装置は、請求項2の飲料分配装置において、前記抗菌部材は、その抗菌部材の内部を通過する飲料に抗菌性イオン成分を溶出可能な素材で形成され、飲料の流通可能な空隙が三次元的に連続形成される立体網状構造を備えている。
この請求項3の飲料分配装置によれば、請求項2の飲料分配装置と同様に作用する上、飲料返還経路を通過する飲料は、立体網状構造の抗菌部材における三次元的に連続形成される空隙を通じて、その抗菌部材の内部を通過し、その通過の際に抗菌部材の素材に接触することで、その飲料中に抗菌成分である抗菌性イオン成分が溶出される。
ところで、例えば、飲料移送手段が飲料返還経路の途中に介設させる流体ポンプなどである場合に、飲料抽出弁の高さ位置よりも、挿着プラグ、飲料返還経路、飲料移送手段および抗菌部材の高さ位置が低いと、飲料移送手段内部や飲料返還経路内部で飲料が長時間滞留したままで放置されて飲料が汚染されることが懸念される。そこで、請求項4の飲料分配装置は下記する解決手段を採用している。
請求項4の飲料分配装置は、請求項1から3のいずれかの飲料分配装置において、前記飲料返還経路の途中に介設され、その飲料返還経路を通過する飲料に抗菌成分を溶解させる抗菌部材を備えており、前記挿着プラグ、飲料返還経路、飲料移送手段および抗菌部材は、前記飲料抽出弁と略等しい高さ位置、又は、その飲料抽出弁より上方の高さ位置に配設されるものである。
請求項5の飲料分配装置は、請求項1から4のいずれかの飲料分配装置において、前記吐出口は、前記挿着プラグにおける前記吸入口の開口位置から上方に離間した位置に開口形成されるものである。
請求項6の飲料分配装置は、請求項5の飲料分配装置において、飲料ボトルは、先端部に口部が開口される頸部と、その頸部の基端部に連設される胴部とを有するものであり、前記挿着プラグは、前記ホルダ部材による保持状態にある飲料ボトルの口部に挿着される場合に、その飲料ボトルの頸部内を通じて飲料ボトルの胴部側へ向けて立設されるものであり、前記吐出口は、飲料ボトルの口部に挿着されたときの前記挿着プラグの外周面における、飲料ボトルの頸部基端部に略等しい高さ位置、又は、飲料ボトルの頸部基端部より上方の高さ位置に開口形成されるものであり、前記吸入口は、飲料ボトルの口部に挿着されたときの前記挿着プラグの外周面における、前記吐出口の開口位置よりも飲料ボトルの頸部先端部に近い高さ位置に開口形成されるものである。
この請求項6の飲料分配装置によれば、請求項5の飲料分配装置と同様に作用する上、ホルダ部材により保持された飲料ボトルは、その胴部が上側となって、その頸部が下側となった上下反転姿勢となる。また、この上下反転姿勢で、飲料ボトルの頸部先端部にある口部は下向きに開口されて、この口部に挿着プラグが挿着される。
このとき、挿着プラグは飲料ボトルの頸部内を通じて飲料ボトルの胴部側へ向けて立設される。さらに、挿着プラグの外周面にある吐出口および吸入口の高さ位置は、吐出口が飲料ボトルの頸部基端部と比べて略等しいか又は上方の位置とされる一方、吸入口が吐出口の開口位置よりも下方に離間して飲料ボトルの頸部先端部に近い位置とされる。
請求項7の飲料分配装置は、請求項1から6のいずれかの飲料分配装置において、前記吐出口は、前記挿着プラグの周方向において前記吸入口の開口部分を除く部分に開口形成されるものである。
請求項8の飲料分配装置は、請求項7の飲料分配装置において、前記吸入口は、前記吐出口に対して前記挿着プラグの周方向反対側に相当する箇所に開口形成されるものである。
請求項9の飲料分配装置は、請求項1から8のいずれかの飲料分配装置において、前記ホルダ部材により保持される飲料ボトルの下方にて前記飲料供給経路の一部として設けられ、前記吸入経路を通じて飲料ボトルから取り出された飲料を冷却して貯留する冷却タンクと、その冷却タンクの一部と連通接続されその冷却タンクから供給される飲料を加熱して貯留する加熱タンクと、その加熱タンクに貯留される飲料を抽出する加熱飲料抽出弁とを備えている。
この請求項9の飲料分配装置によれば、請求項1から8のいずれかの飲料分配装置と同様に作用する上、飲料を抽出するために飲料抽出弁が開かれると、飲料は、挿着プラグの吸入口および吸入経路を通じて、飲料ボトルから飲料供給経路の一部をなす冷却タンクに取り出されて貯留される。また、飲料抽出弁が開かれることで、冷却タンク内で冷却されている飲料が飲料抽出弁から外部へ抽出される。つまり、飲料抽出弁からは冷却された飲料を取得できるのである。
一方、加熱された飲料を抽出するために加熱飲料抽出弁が開かれると、冷却タンクにある飲料は、冷却タンクの一部から加熱タンクへ供給されて、この加熱タンク内に貯留されて加熱される。また、加熱飲料抽出弁が開かれることで、加熱タンク内で加熱されている飲料が加熱飲料抽出弁から外部へ抽出される。つまり、加熱飲料抽出弁からは加熱された飲料を取得できるのである。
請求項10の飲料分配装置は、請求項1から9のいずれかの飲料分配装置において、前記飲料供給経路の一部として設けられ、前記ホルダ部材により保持される飲料ボトルの下方にて前記吸入流路と連通接続され、その吸入経路を通じて飲料ボトルから取り出された飲料を貯留するリザーバタンクを備えており、そのリザーバタンクには、前記吸入流路が連通接続されている部分から離間して、前記飲料返還経路の前記他端部が連通接続されている。
この請求項10の飲料分配装置によれば、請求項1から9のいずれかの飲料分配装置と同様に作用する上、飲料を抽出するために飲料抽出弁が開かれると、飲料ボトル内の飲料は、挿着プラグの吸入口及び吸入流路を通じてリザーバタンクへと供給され、そのリザーバタンクから飲料供給経路を介して飲料抽出弁へ供給される。一方、飲料抽出弁が閉塞された状態で飲料移送手段が駆動されると、飲料ボトル内にある飲料は、飲料ボトルから挿着プラグの吸入口、挿着プラグの吸入流路、リザーバタンク、飲料返還経路、吐出流路、及び、吐出口を経て再び飲料ボトルへ戻る循環経路を通じて循環させられる。
また、リザーバタンクには挿着プラグの吸入流路と飲料返還経路の他端部とが各々連通接続されており、これら双方の連通接続箇所は相互に離間されている。このため、飲料移送手段により飲料が循環されると、リザーバタンク内には挿着プラグの吸入流路から飲料返還経路へ向かう飲料の流れができ、この飲料の流れがリザーバタンク内にある飲料の流動を生起させる。
請求項11の飲料分配装置は、請求項1から10のいずれかの飲料分配装置において、前記飲料移送手段により飲料の移送を所定の移送時間が経過するまで継続させる移送継続手段と、その移送継続手段の終了後に前記飲料移送手段による飲料の移送を停止させる移送停止手段と、その移送停止手段による飲料移送の停止から経過時間を計数する第1計時手段とを備えており、前記移送継続手段は、その第1計時手段の計数値が所定の停止期間を経過した場合に再実行されるものである。
この請求項11の飲料分配装置によれば、請求項1から10のいずれかの飲料分配装置と同様に作用する上、移送継続手段によって飲料移送手段による飲料の循環移送が所定の移送時間だけ継続されると、移送停止手段によって飲料移送手段による飲料の循環移送が停止されて、この停止後、第1計時手段によって、所定の停止期間の計数がなされて、かかる停止期間が経過すると、移送継続手段が再び実行される。この結果、所定の停止期間が経過する度ごとに、飲料移送手段による飲料の循環移送が定期的かつ間欠的に行われる。
請求項12の飲料分配装置は、請求項11の飲料分配装置において、容量サイズが異なる2種類以上の飲料ボトルを装着可能に形成されている前記ホルダ部材と、そのホルダ部材に装着される飲料ボトルについて2種類以上の容量サイズの中から1種類の容量サイズを選択する選択手段と、その選択手段によって選択された容量サイズを記憶しておく容量記憶手段と、飲料ボトルの各容量サイズに適した停止期間を記憶する停止期間記憶手段とを備えており、前記移送継続手段は、前記容量記憶手段に記憶される容量サイズに適した停止期間を前記停止期間記憶手段から参照し、この参照した停止期間よりも前記第1計時手段の計数値が大きくなる場合に再実行されるものである。
この請求項12の飲料分配装置によれば、請求項11の飲料分配装置と同様に作用する上、ホルダ部材に装着された飲料ボトルの容量サイズが選択手段によって選択されると、その容量サイズに適した停止期間が参照されて、この停止期間が経過したときに移送継続手段が再実行される。
請求項13の飲料分配装置は、請求項11又は12の飲料分配装置において、前記飲料返還経路の途中に介設され、その飲料返還経路を通過する飲料に抗菌成分を溶解させる抗菌部材を備えており、前記移送時間は、前記ホルダ部材に装着されている飲料ボトル内にある飲料に対し、前記抗菌部材から溶解される抗菌成分の濃度が、前記飲料移送手段による飲料の循環移送によって飲用可能な適正濃度になるまでの所要時間である。
この請求項13の飲料分配装置によれば、請求項11又は12の飲料分配装置と同様に作用する上、移送継続手段によって、飲料移送手段による飲料の循環移送は、所定の移送時間が経過するまで継続される。そして、この移送時間の経過後、移送停止手段によって、飲料移送手段による飲料の循環移送が停止されると、ホルダ部材に装着されている飲料ボトル内にある飲料に対して、飲用可能な適正濃度の抗菌成分が抗菌部材から溶解させられる。
請求項14の飲料分配装置は、請求項13の飲料分配装置において、容量サイズが異なる2種類以上の飲料ボトルを装着可能に形成されている前記ホルダ部材と、そのホルダ部材に装着可能な容量サイズの中から1種類の容量サイズを選択する選択手段と、その選択手段によって選択された容量サイズを記憶しておく容量記憶手段と、飲料ボトルの各容量サイズに適した前記移送時間を記憶する移送時間記憶手段と、前記移送継続手段による飲料の移送開始から経過時間を計数する第2計時手段とを備えており、前記移送継続手段は、前記容量記憶手段に記憶される容量サイズに適した移送時間を前記移送時間記憶手段から参照し、この参照した移送時間よりも第2計時手段の計数値が大きくなるまで、前記飲料移送手段による飲料の移送を継続させるものである。
この請求項14の飲料分配装置によれば、請求項13の飲料分配装置と同様に作用する上、ホルダ部材に装着された飲料ボトルの容量サイズが選択手段によって選択されると、その飲料ボトルの容量サイズに適した移送時間が参照されて、この移送時間が経過するまで、移送継続手段によって、飲料移送手段による飲料の循環移送が継続される。そして、この移送時間の経過後、移送停止手段によって、飲料移送手段による飲料の循環移送が停止される。すると、飲料中に溶解される抗菌成分の濃度は飲用可能な適正濃度に調整される。
請求項15の飲料分配装置は、請求項14の飲料分配装置において、前記移送継続手段は、その移送継続手段による飲料の移送継続中に、前記選択手段によって前記容量記憶手段に記憶される容量サイズよりも大きな容量サイズが選択されると、この新たに選択された容量サイズに適した移送時間を前記移送時間記憶手段から再参照し、その再参照した移送時間から前記第2計時手段の計数値を差し引いた残余時間が経過するまで、前記飲料移送手段による飲料の移送を継続するものである。
この請求項15の飲料分配装置によれば、請求項14の飲料分配装置と同様に作用する上、移送継続手段によって飲料移送手段による飲料の循環移送が継続されている途中に、容量記憶手段に記憶される容量サイズよりも大きな容量サイズが選択手段によって新たに選択されると、移送継続手段は、その新たに選択された容量サイズに適した移送時間を移送時間記憶手段から再参照する。
そして、移送継続手段は、この再参照した移送時間から第2計時手段の計数値を差し引いた残余時間が更に経過するまで、飲料移送手段による飲料の循環移送を継続させる。この結果、飲料ボトルの容量サイズを誤って小さく選択してしまって、そのまま飲料移送手段による飲料の循環移送が開始されたとしても、その飲料の循環移送の途中で飲料ボトルの容量サイズを大きなものに再選択すれば、その再選択された大きな容量サイズに適した移送時間分だけ飲料の循環移送を行うことができる。
請求項16の飲料分配装置は、請求項11から15のいずれかの飲料分配装置において、飲料ボトルに充填されている飲料の有無を検知する検知手段を備えており、前記移送継続手段は、その検知手段によって飲料ボトル内の飲料の存在が検知される場合に実行される一方、その検知手段によって飲料ボトル内の飲料の存在が検知されない場合に実行が禁止されるものである。
この請求項16の飲料分配装置によれば、請求項11から15のいずれかの飲料分配装置と同様に作用する上、新たな飲料ボトルがホルダ部材に装着されて、検知手段によって飲料の存在が検知されると、移送継続手段は、飲料移送手段による飲料の循環移送を所定の移送時間が経過するまで継続させる。
これに対して、ホルダ部材に飲料ボトルが未装着の場合や、ホルダ部材により保持される飲料ボトル内に飲料がなくて、検知手段によって飲料が検知されない場合、移送継続手段の実行が禁止される。つまり、ホルダ部材に飲料ボトルが未装着の場合や、ホルダ部材により保持される飲料ボトル内に飲料がない場合は、飲料移送手段による飲料の循環移送が禁止されるのである。
また、上記した請求項1から16のいずれかの飲料分配装置の変形例として、以下のものがある。なお、下記する第1変形例から第7変形例に係る飲料分配装置を、上記した請求項1から16のいずれかの飲料分配装置に対して適用可能であることは当然のことながら容易に推察できるものである。
第1変形例の飲料分配装置は、本体ケースと、飲料ボトルから飲料を抽出するための飲料抽出弁と、その飲料抽出弁より上方で飲料ボトルの口部を下向きにして当該飲料ボトルを上下反転姿勢で前記本体ケース上で保持するホルダ部材と、そのホルダ部材により保持される飲料ボトルの口部に挿着される挿着プラグと、その挿着プラグに設けられ飲料ボトル内の飲料が吸入される吸入口と、その吸入口と連通されて前記挿着プラグ内部に設けられる吸入流路と、その吸入流路と連通接続されて飲料を前記飲料抽出弁へ供給する飲料供給経路とを備えており、更に、前記ホルダ部材により保持される飲料ボトルの下方にて前記飲料供給経路の一部として設けられ、前記吸入経路を通じて飲料ボトルから取り出された飲料を冷却して貯留する冷却タンクと、その冷却タンクの一部と連通接続されその冷却タンクから供給される飲料を加熱して貯留する加熱タンクと、前記本体ケース内に配設されるHEPAフィルターと、そのHEPAフィルターに一端部が連通接続され、前記冷却タンクの空気層に他端部が連通接続され、中間部分が前記加熱タンクの周囲に配管され、その加熱タンクの発熱によって前記HEPAフィルターを通過した空気を加熱する通気管とを備えており、その通気管を通じて前記冷却タンク内へ供給された空気が、その冷却タンクから飲料ボトル内へ供給されるものである。
第2変形例の飲料分配装置は、本体ケースと、飲料ボトルから飲料を抽出するための飲料抽出弁と、その飲料抽出弁より上方で飲料ボトルの口部を下向きにして当該飲料ボトルを上下反転姿勢で前記本体ケース上で保持するホルダ部材と、そのホルダ部材により保持される飲料ボトルの口部に挿着される挿着プラグと、その挿着プラグに設けられ飲料ボトル内の飲料が吸入される吸入口と、その吸入口と連通されて前記挿着プラグ内部に設けられる吸入流路と、その吸入流路と連通接続されて飲料を前記飲料抽出弁へ供給する飲料供給経路とを備えており、更に、前記ホルダ部材により保持される飲料ボトルの下方にて前記飲料供給経路の一部として設けられ、前記吸入経路を通じて飲料ボトルから取り出された飲料を冷却して貯留する冷却タンクと、その冷却タンクの一部と連通接続されその冷却タンクから供給される飲料を加熱して貯留する加熱タンクと、前記本体ケース内に配設されるHEPAフィルターと、そのHEPAフィルターに一端部が連通接続されて前記加熱タンクの周囲に配管され、その加熱タンクの発熱によって前記HEPAフィルターを通過した空気を加熱する通気管と、その通気管の他端部に連通接続され前記ホルダー部材と飲料ボトルとの間に形成される閉塞空間と、その閉塞空間の一部を成す前記ホルダー部材に穿設され前記閉塞空間と前記冷却タンクとを連通接続する通気孔とを備えており、その通気孔を通じて前記閉塞空間から前記冷却タンク内へ供給された空気が、その冷却タンクから飲料ボトル内へ供給されるものである。
第3変形例の飲料分配装置は、第1変形例又は第2変形例の飲料分配装置において、前記通気管が前記加熱タンクの周囲に螺旋状に巻回されている。
第4変形例の飲料分配装置は、第1変形例から第3変形例のいずれかの飲料分配装置において、前記本体ケース上で保持される飲料ボトルの全体を包囲して収容可能であって密閉性を有した収容フードを備えており、この収容フードによって飲料ボトルを収容するためのクリーンルームを構成するものである。
第5変形例の飲料分配装置は、第1変形例、第3変形例、又は、第4変形例のいずれかの飲料分配装置において、前記冷却タンクから飲料が前記飲料抽出弁又は加熱タンクへ排出されて前記冷却タンク内の飲料液面が低下することによって、飲料ボトル内にある飲料が前記吸入口及び吸入流路を通じて前記冷却タンク内へ供給され、かつ、前記通気管を通じて空気が冷却タンク内へ供給されて、その冷却タンク内にある空気が前記吸入口及び吸入流路を通じて飲料と入れ違いとなって前記冷却タンク内へ供給されるものである。
第6変形例の飲料分配装置は、第2変形例から第4変形例のいずれかの飲料分配装置において、前記飲料抽出弁及び飲料供給経路を通じて前記冷却タンクから飲料が排出されて前記冷却タンク内の飲料液面が前記通気孔よりも低下することによって、飲料ボトル内にある飲料が前記吸入口及び吸入流路を通じて前記冷却タンク内へ供給され、かつ、前記閉塞空間にある空気が冷却タンク内へ供給されて、その冷却タンク内にある空気が前記吸入口及び吸入流路を通じて飲料と入れ違いとなって前記冷却タンク内へ供給されるものである。
第7変形例の飲料分配装置は、第2変形例から第4変形例、又は、第6変形例のいずれかの飲料分配装置において、前記通気管と前記閉塞空間との間に介在される空気フィルターを備えている。
請求項1の飲料分配装置によれば、飲料抽出弁が閉塞状態の場合に、飲料移送手段によって、飲料ボトルから挿着プラグの吸入口、挿着プラグの吸入流路、飲料供給経路、飲料返還経路、挿着プラグの吐出流路、挿着プラグの吐出口を順番に経て再び飲料ボトルへと至る循環経路を通じて飲料の循環させることができる。このように、飲料ボトルを一部に包含した循環経路を通じて飲料を循環させることで、飲料が飲料ボトル内部や、挿着プラグ内部や、飲料供給経路内部などに長時間滞留したまま放置されることを防止でき、結果、飲料の腐敗を防止できるという効果がある。
また、飲料を飲料ボトル内へ吐出して返還する吐出口は、飲料ボトルから飲料を取り出すための吸入口とともに挿着プラグに設けられるので、別途、飲料ボトルへ飲料を返還するための部品を新設する必要もなく、その分、飲料の循環経路の構造を簡素化できるといいう効果がある。しかも、挿着プラグには、吐出口に連通する吐出流路と吸入口に連通する吸入流路とが相互に隔絶して設けられるので、飲料ボトルから出入りする飲料の流れが挿着プラグ内で衝突して飲料の循環流が乱されることを防止できるという効果がある。
さらに、吐出口は、吸入口とは位置を異ならせて挿着プラグに設けられるので、吐出口から吐出された飲料の流れが、吸入口へ吸入される飲料の流れに引き込まれることを防止できる。このため、吸入口への飲料の流れに邪魔されることなく、吐出口から飲料ボトルへ返還された飲料の流れによって、飲料ボトル内の飲料を全体的に流動させることができ、結果、飲料ボトル内にある飲料の腐敗などを防止できるという効果がある。
請求項2の飲料分配装置によれば、請求項1の飲料分配装置の奏する効果に加え、飲料抽出弁が閉塞状態の場合に飲料返送手段によって、飲料ボトルから挿着プラグの吸入口、挿着プラグの吸入流路、飲料供給経路、飲料返還経路、挿着プラグの吐出流路、挿着プラグの吐出口を順番に経て再び飲料ボトルに至る循環経路を通じて飲料を循環させることで、かかる循環経路を通過する飲料に抗菌成分を溶解させることができるという効果がある。
このため、例えば、万が一飲料抽出弁から浸入した微生物が、飲料供給経路、挿着プラグの吸入流路、又は、これらを通じて飲料ボトルへ到達するような事態が生じても、これらの飲料供給経路、挿着プラグの吸入流路、又は、飲料ボトル内で微生物が繁殖することを抗菌成分によって阻止できるという効果がある。しかも、かかる飲料の循環によって、飲料ボトル内でも抗菌成分を含んだ飲料が流動されるので、抗菌成分を飲料ボトル内全体に均一に拡散させることもでき、飲料ボトル内の飲料の殺菌性を一層向上できるという効果がある。
また、抗菌部材は飲料返還経路の途中に介設されている。このため、飲料が飲料ボトルから吸入口、吸入流路および飲料供給経路を経て飲料抽出弁から抽出される場合、つまり、飲料を飲料抽出弁から抽出する場合に、飲料中に余分な抗菌成分が溶解されることがなく、抗菌成分が高濃度となって飲用可能な適正濃度を逸脱することを防止できるという効果がある。
請求項3の飲料分配装置によれば、請求項2の飲料分配装置の奏する効果に加え、抗菌部材は、その立体網状構造の空隙内に飲料を通過させるだけで抗菌性イオン成分を飲料中に溶解させて抗菌性や殺菌性を付与できるので、従来のように殺菌ランプや細菌濾過器に比べて構造が簡素であって故障しにくく、メンテナンスの労力が軽減されるという効果がある。
しかも、飲料が抗菌部材の内部を通過する際に抗菌部材の素材に接触することで飲料中に抗菌成分である抗菌性イオン成分が溶出されるので、抗菌部材を通過する飲料に対して抗菌性イオン成分を均一に拡散させることができる。よって、例えば、飲料ボトルの下段に設けられるリザーバタンク内に抗菌剤ペレットを沈水させる従来技術の場合のように、抗菌成分が拡散不十分で濃度不均一となることもなく、飲料の腐敗を確実に防止できるという効果がある。
請求項4の飲料分配装置によれば、請求項1から3のいずれかの飲料分配装置の奏する効果に加え、挿着プラグ、飲料返還経路、飲料移送手段および抗菌部材を、飲料抽出弁と略等しい高さ位置、又は、その飲料抽出弁より上方の高さ位置に配設することによって、例えば、飲料移送手段内部や飲料返還経路内部で飲料が滞留放置され難い管路構成とすることができ、結果、飲料移送手段内部や飲料返還経路内部における飲料の腐敗を防止できるという効果がある。
請求項5の飲料分配装置によれば、請求項1から4のいずれかの飲料分配装置の奏する効果に加え、上下反転姿勢の飲料ボトルの口部に挿着プラグが挿着される場合、その挿着プラグの吐出口は、挿着プラグの吸入口よりも上方に離間して開口される状態となる。このため、挿着プラグの吐出口は、そこから吐出される飲料の流れが挿着プラグの吸入口へ吸入される飲料の流れに撹乱され難くかつ引き込まれ難く、挿着プラグよりも上方に広がる飲料ボトルの胴部内へ飲料を確実に吐出でき、飲料ボトル内全体で飲料の流動を円滑に喚起できるという効果がある。
請求項6の飲料分配装置によれば、請求項5の飲料分配装置の奏する効果に加え、飲料ボトル内へ飲料を吐出する吐出口は、飲料ボトルの口部に挿着された場合に、挿着プラグの外周面であって、飲料ボトルの頸部基端部と略等しい高さ位置か、又は、飲料ボトルの頸部基端部より上方の高さ位置に開口形成される。つまり、かかる吐出口は飲料ボトル内の頸部と胴部との繋ぎ目付近、又は、飲料ボトルの胴部内に位置するので、飲料を飲料ボトルの胴部内へスムーズに吐出して流動させることができるという効果がある。
請求項7の飲料分配装置によれば、請求項1から6のいずれかの飲料分配装置の奏する効果に加え、挿着プラグにおける飲料の吐出口と飲料の吸入口とは、その挿着プラグの周方向に位置が異ならせてある。このため、挿着プラグの吐出口から吐出される飲料の流れが、挿着プラグの吸入口へ向かう流れによる撹乱や吸い込み作用を受け難くなり、飲料ボトル内全体で飲料の流動を喚起できるという効果がある。
請求項8の飲料分配装置によれば、請求項7の飲料分配装置の奏する効果に加え、飲料ボトルから飲料を吸入する吸入口は、飲料ボトル内に飲料を吐出する吐出口に対して、挿着プラグの周方向反対側に相当する箇所に開口形成される。つまり、これらの吸入口と吐出口とは、挿着プラグの周方向における正反対の位置に各々開口形成されるので、吸入口への飲料流入、及び、吐出口からの飲料流出の双方が互いに干渉することなく相互に効率よく機能するという効果がある。
請求項9の飲料分配装置によれば、請求項1から8のいずれかの飲料分配装置の奏する効果に加え、飲料ボトルに充填される飲料に対して冷却及び加熱を施して、冷たい飲料と、温かい飲料との双方を抽出して飲用できるという効果がある。
請求項10の飲料分配装置によれば、請求項9の飲料分配装置の奏する効果に加え、飲料移送手段により飲料が循環される場合に、挿着プラグの吸入流路から飲料返還経路へ向かう飲料の流れによってリザーバタンク内にある飲料の流動が生起されるので、この飲料の流動によって、リザーバタンク内で飲料が滞留して腐敗することを防止でき、なおかつ、抗菌成分を飲料中に溶解させる場合には、リザーバタンク内に対する抗菌成分の拡散を促進できるという効果がある。
請求項11の飲料分配装置によれば、請求項1から10のいずれかの飲料分配装置の奏する効果に加え、飲料の循環移送が定期的かつ間欠的に実行されるので、飲料移送手段によって常時飲料を循環移送させる必要がない分、飲料の循環移送に伴う稼働コストを低減でき、その上、飲料ボトル内で飲料が長期間滞留することに起因する、飲料の鮮度低下や腐敗を防止できるという効果がある。
請求項12の飲料分配装置によれば、請求項11の飲料分配装置の奏する効果に加え、ホルダ部材に装着される飲料ボトルの容量サイズを選択手段により選択すれば、その容量サイズに適した時間間隔(停止期間)で、飲料移送手段による飲料の循環移送を定期的かつ間欠的に行うことができるという効果がある。
請求項13の飲料分配装置によれば、請求項11又は12の飲料分配装置の奏する効果に加え、所定の容量サイズの飲料ボトルがホルダ部材に装着される場合に、その飲料ボトルの容量サイズ分の飲料に対して溶解される抗菌成分の濃度は、飲料移送手段による飲料の移送時間に基づいて飲用可能な適正濃度に調整される。
このため、飲料中の抗菌成分濃度を測定するための測定装置が不要となるので、その分、装置全体としての製造コストを低減できるという効果がある。しかも、飲料移送手段により飲料を所定時間移送させた後は、移送停止手段によって飲料の循環移送を停止させるので、飲料中にある抗菌成分が過剰に濃度上昇することを防止できるという効果がある。
請求項14の飲料分配装置によれば、請求項13の飲料分配装置の奏する効果に加え、ホルダ部材に装着される飲料ボトルの容量サイズを選択手段により選択すれば、その容量サイズに適した移送時間を用いて、飲料移送手段による飲料の循環移送を行うことができるという効果がある。
請求項15の飲料分配装置によれば、請求項14の飲料分配装置の奏する効果に加え、例えば、実際にホルダ部材に装着されている飲料ボトルの容量サイズよりも小さな容量サイズが選択手段により選択されるか、又は、容量記憶手段に記憶されている場合でも、飲料移送手段による飲料の循環移送開始後に、選択手段によって正しい容量サイズを再選択することで、飲料ボトルの正しい容量サイズに適した移送時間分だけ、飲料の循環移送を実行でき、飲料ボトルの正確な容量サイズに適した濃度の抗菌成分を溶解させることができるという効果がある。
請求項16の飲料分配装置によれば、請求項11から15のいずれかの飲料分配装置の奏する効果に加え、例えば、飲料ボトルの交換後において、飲料ボトル内に飲料の存在が検知手段によって検知されると、移送継続手段によって、飲料移送手段による飲料の循環移送が所定の移送時間だけ継続できる。
したがって、飲料ボトルの交換の前後において飲料ボトルの容量サイズが同一である場合には、選択手段によって新たに容量サイズを選択せずとも自動的に、飲料ボトルの容量サイズに適した移送時間だけ飲料移送手段により飲料を循環移送させることができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本発明の一実施例であるウォータサーバー1は、飲料ボトル50に充填されている飲料水を冷水バルブ3又は温水バルブ4から抽出して分配することができる飲料分配装置の一種である。
図1は、このウォータサーバー1で使用される飲料ボトル50の縦断面図である。図1に示すように、飲料ボトル50は、軸方向先端部が開口された略円筒状の頸部51と、その頸部51の軸方向基端部に連設される略中空樽状の胴部52とを備えている。この図1に示す飲料ボトル50は、その容量サイズが12リットルの容器体であって、ポリカーボネートなどの耐衝撃性のある合成樹脂材料で形成されている。
具体的に、この飲料ボトル50は、その頸部51の外径が胴部52の外径の略15%〜略25%、頸部51の軸方向長さが胴部52の軸方向長さの略25%〜略35%、頸部51の軸方向長さが頸部51の軸方向基端部(付け根)から胴部52の重心位置まで至る距離の略50%〜略60%、飲料ボトル50の肩部53の傾斜角度が略水平線に対して略0°〜略30°、及び、重量が略0.5kg〜略1.5kgとされている。
また、この飲料ボトル50は、ホルダ部材5により上下反転姿勢で保持される場合に、ホルダ部材5(の支持フランジ部5a)から飲料ボトル50の重心位置までの距離が短くなるように設計されており、上下反転姿勢のままでも安定的に支持できるように形成されている(図2参照)。しかも、飲料ボトル50は、その頸部51が後述するホルダ部材5の遊挿筒部5bに遊挿されるので、かかる遊挿筒部5bに比べて小径かつ短身状に形成されている(図3参照)。
なお、本実施例では、主に、容量サイズが12リットルの飲料ボトル50を図示して説明するが、ウォータサーバー1で使用可能な飲料ボトル50の容量サイズは必ずしも12リットルに限定されるものではなく、この他にも、4リットル、8リットル、20リットルのものが使用可能である。
飲料ボトル50は、その頸部51の軸方向先端部にボトルキャップ54が密嵌されており、このボトルキャップ54によって、その頸部51先端部にある開口が密閉されている。また、このボトルキャップ54の天面端中央部には飲料ボトル50の頸部51内周と連通したプラグ孔55が開口形成されており、このプラグ孔55には後述する挿着プラグ5cを密嵌状態で挿着させることができる(図3参照)。
また、このプラグ孔55の内径は飲料ボトル50の頸部51内径よりも小さく形成されており、このプラグ孔55の内周部には、当該プラグ孔55を閉塞するためのプラグキャップ56が抜脱可能に内嵌されている。プラグキャップ56は、挿着プラグ5cがプラグ孔55に未挿着のときにプラグ孔55を密栓するものである。なお、飲料ボトル50は、その容量サイズが異なっていても、そのボトルキャップ54のプラグ孔55やプラグキャップ56は共通化されており、全ての容量サイズの飲料ボトル50に対して共通の挿着プラグ5cが使用可能とされている。
図2は、本発明の一実施例であるウォータサーバー1の外観正面図である。図2に示すように、ウォータサーバー1は、縦長の略直方体状に形成された中空箱状の本体ケース2を備えており、この本体ケース2の正面上部には冷水バルブ3と温水バルブ4とが左右に間隔を隔てて並設されている。冷水バルブ3は、冷却された飲料水を抽出するための蛇口(コック)であり、温水バルブ4は、加熱された飲料水を抽出するための蛇口(コック)である。
また、本体ケース2の上端部には、ホルダ部材5によって、上下反転姿勢の飲料ボトル50が着脱可能に保持されている。このホルダ部材5は、上下反転姿勢にすることでプラグ孔55が下向きとなった飲料ボトル50を保持するものであって(図3参照)、冷水バルブ3及び温水バルブ4よりも上方位置に飲料ボトル50全体を支持するものである。
図3は、本体ケース2における上端部分の部分断面図である。図3に示すように、ホルダ部材5は、その上部に形成される略皿状の支持フランジ部5aと、その支持フランジ部5aの中央部分から下方に延設される無蓋有底略円筒状の遊挿筒部5bと、その遊挿筒部5bの内周部に設けられる軸状の挿着プラグ5cとを備えている。このホルダ部材5は、これらの支持フランジ部5a、遊挿筒部5b、及び、挿着プラグ5cが一体成形されたものである。
遊挿筒部5bは、その内径が飲料ボトル50の頸部51外径より大きく形成されており、その内周部に飲料ボトル50の頸部51を上方から遊挿することができる。また、支持フランジ部5aは、遊挿筒部5bの上端部外周から略水平方向に延設される底板部5a1と、その底板部5a1の外周端部から上方に立設される周壁部5a2とを備えている。
支持フランジ部5aの底板部5a1には、その一箇所に冷却タンク11内へ空気を吸気するためのエアキャップ6が着脱可能に取り付けられており、このエアキャップ6内には大気中の塵埃を除去するためのエアフィルタ(図示せず)が内蔵されている。また、支持フランジ部5aの周壁部5a2は、上下反転姿勢となった飲料ボトル50の肩部53に当接して、飲料ボトル50を下方から支持するものである。
挿着プラグ5cは、飲料ボトル50とウォータサーバー1とを連通接続させる器具である。この挿着プラグ5cは、ホルダ部材5により保持される飲料ボトル50のプラグ孔55に着脱可能に挿着されるものであって、容量サイズが異なっていてもプラグ孔55及びプラグキャップ56が共通ならば、2種類以上の飲料ボトル50のプラグ孔55に対して挿着できる。このため、ホルダ部材5には、容量サイズが異なる2種類以上の飲料ボトル50を装着することができるのである。
この挿着プラグ5cは、ホルダ部材5の遊挿筒部5bの内周底部から立設されており、この遊挿筒部5bの内周底部から支持フランジ部5aの周壁部5a2上端付近まで延びている。このため、挿着プラグ5cは、ホルダ部材5によって保持される飲料ボトル50のプラグ孔55に挿着される場合に、飲料ボトル50の頸部51内を通じて飲料ボトル50の胴部52側へ向けて立設されるのである。
また、挿着プラグ5cの上端部(先端部)は、飲料ボトル50のプラグ孔55に内嵌されるプラグキャップ56の内周部に嵌合可能に形成されている。このため、挿着プラグ5cがプラグ孔55に挿入される場合には、プラグキャップ56を、挿着プラグ5cの上端部に嵌合させてプラグ孔55から抜脱させることができ、挿着プラグ5cがプラグ孔55から抜脱される場合には、挿着プラグ5cの上端部に嵌合されているプラグキャップ56をプラグ孔55内に戻して内嵌させることができるのである。
また、この挿着プラグ5cの外周面には、飲料ボトル50内の飲料水が吸入される開口部である吸入口7と、飲料ボトル50内へ飲料水を吐出する開口部である吐出口8とが設けられている。吸入口7及び吐出口8は、それぞれ相互に位置を異ならせて挿着プラグ5cの外周面に設けられており、吐出口8の開口位置は、吸入口7の開口位置から挿着プラグ5cにおける上方に離間した位置に設定されている。具体的に、吐出口8は、吸入口7よりも上側であって挿着プラグ5cの軸方向上端部に開口形成されており、吸入口7は、吐出口8よりも下側であって挿着プラグ5cを軸方向に略二等分したときの中点位置付近に開口形成されている。
このため、挿着プラグ5cが飲料ボトル50のプラグ孔55に挿着された場合に、吸入口7は吐出口8の開口位置よりも飲料ボトル50の頸部51先端部に近い高さ位置に開口され、吐出口8は、飲料ボトル50の頸部51基端部と略等しい高さ位置、或いは、飲料ボトル50の頸部51基端部より上方の高さ位置に開口される。つまり、吸入口7は飲料ボトル50の頸部51内に設けられ、吐出口8は飲料ボトル50における頸部51と胴部52との繋ぎ目、或いは、胴部52内に設けられるのである。
また、挿着プラグ5cの内部には、吸入口7と連通する吸入流路9と、吐出口8と連通する吐出流路10とが設けられている。これらの吸入流路9及び吐出流路10は、それぞれ相互に隔壁5dによって隔絶されており、いずれの流路9,10も挿着プラグ5cの軸方向に沿って遊挿筒部5bの下端部まで連通形成されている。そして、吸入流路9は、遊挿筒部5bの下端面で冷却タンク11の内部と連通接続され、吐出流路10は、遊挿筒部5bの下端部で飲料返還パイプ22の一端部と接続されている。
図4(a)は、挿着プラグ5cの軸方向基端部の横断面図であり、図4(b)は、挿着プラグ5cにおける吸入口7の開口箇所の横断面図であり、図4(c)は、挿着プラグ5cにおける吐出口8の開口箇所の横断面図である。なお、図4(a)は、図3のIV−IV線における横断面図であり、図4(b)は、図3のIV’−IV’線における横断面図であり、図4(c)は、図3のIV”−IV”線における横断面図でもある。
図4(a)に示すように、挿着プラグ5cの内周部には隔壁5dが一体成形されており、この隔壁5dは、挿着プラグ5cの内周部を周方向に4つの区画に等分割するとともに、これらの4つの区画を相互に隔絶させている。これら4つの断面視略扇形状の区画のうち、隣り合う3つが吸入流路9であり、残る1つが吐出流路10である。このように、吐出流路10は、吸入流路9と隔壁5dを介することで隔絶した状態で挿着プラグ5cの内周部に設けられている。
図4(b)及び図4(c)に示すように、挿着プラグ5cの外周面には、各吸入流路9に個別に連通する吸入口7が合計3箇所に開口形成されるとともに、吐出流路10に連通する吐出口8が開口形成されている。そして、これらの3箇所の吸入口7に1箇所の吐出口8を加えた合計4箇所の開口部はそれぞれ挿着プラグ5cの外周方向に略等間隔で形成されている。
このように、吐出口8は、挿着プラグ5cの周方向において吸入口7の開口部分を除く部分に開口形成されており、また、吸入口7は、吐出口8に対して挿着プラグ5cの周方向反対側に相当する箇所に少なくとも開口形成されていることが好ましいのである。
また、図4(b)に示した挿着プラグ5cの横断面形状と、図4(c)に示した挿着プラグ5cの横断面形状とを比較すると、挿着プラグ5cにおける吐出口8の開口箇所では、挿着プラグ5cの内周部に吐出流路10のみが設けられており、挿着プラグ5cの吸入口7の開口箇所には存在したはずの3つの吸入流路9が埋め塞がれている。
このようにして、挿着プラグ5cの内周部に3本ある全ての吸入流路9は、図3に示すように、各吸入口7の開口箇所よりも挿着プラグ5cの軸方向基端側にのみ連通形成され、各吸入口7の開口箇所よりも挿着プラグ5cの軸方向先端側では埋め塞がれており、各吸入口7から流入した飲料水が挿着プラグ5cの軸方向先端側へ流入して滞留することが防止されている。
図5は、ウォータサーバー1の本体ケース2の内部構成図であり、その一部を概略的に図示したものである。図5に示すように、冷却タンク11は、ホルダ部材5によって保持される飲料ボトル50よりも下方に配設されており、飲料ボトル50から挿着プラグ5cの吸入口7及び吸入流路9を通じて取り出された飲料水を、冷水バルブ3へ供給する前に一旦貯留して冷却するリザーバタンクである。
この冷却タンク11は、その上部が開口された略無蓋有底の円筒容器であり、この冷却タンク11の上部にはホルダ部材5が取り付けられている。ホルダ部材5は、その支持フランジ部5aが冷却タンク11の上部開口に嵌着されており、このホルダ部材5によって冷却タンク11の上部開口が閉塞されている。また、ホルダ部材5の遊挿筒部5bは、冷却タンク11の内周部に挿設されており、その結果、挿着プラグ5cの吸入流路9と冷却タンク11内部とが連通接続されている。
また、冷却タンク11の内部には、ホルダ部材5の遊挿筒部5bより下方に仕切板12が配設されており、この仕切板12によって、冷却タンク11の内部は、上側略2/3の部分に相当する上部空間13と、下側略1/3の部分に相当する下部空間14とに区画されている。もっとも、これら上部空間13と下部空間14とは、仕切板12の外周面と冷却タンク11の内周面との間に設けられる空隙15を介して連通されており、上部空間13と下部空間14との間で飲料水が流通可能とされている。
更に、冷却タンク11の外周部であって下部空間14に相当する箇所には、その下部空間14内にある飲料水を冷却するため、冷凍機に接続されている冷却管16が巻回されている。このため、飲料ボトル50から取り出された飲料水は、まず、冷却タンク11の上部空間13へ流れ込み、そこから仕切板12を隔てた下部空間14へと流れ込んで、かかる下部空間14内で冷却される。
かかる場合に、仕切板12は、下部空間14で冷却された飲料水が上部空間13へ流入することを妨害することで、上部空間13内にある飲料水の水温を下部空間14内の飲料水に比べて高めに保持する。そして、この上部空間13にある飲料水は、仕切板12に連結されて当該上部空間13と連通している送水パイプ17を通じて加熱タンク18へ供給される一方、冷却タンク11の下部空間14にある飲料水は、冷却タンク11の底部に連通接続されている冷水供給パイプ19を通じて冷水バルブ3へ供給される。
加熱タンク18は、冷却タンク11よりも下方に配設されており、送水パイプ17を通じて冷却タンク11の上部空間13から自然流下により供給される飲料水を、温水バルブ4へ供給する前に一旦貯留して加熱するリザーバタンクである。この加熱タンク18は、その内部に電力供給を受けて発熱する加熱ヒータ20が配設された中空密閉型の容器であり、この加熱タンク18内にある飲料水は、当該加熱タンク18の上部に連通接続されている温水供給パイプ21を通じて、温水バルブ4へ供給される。
冷水供給パイプ19及び冷水バルブ3は、冷却タンク11よりも下方に配設されており、冷却タンク11の下部空間14にある冷却された飲料水が冷水供給パイプ19を通じて冷水バルブ3へと自然流下するように構成されている。そして、送水パイプ17、加熱タンク18、温水供給パイプ21及び温水バルブ4も、冷却タンク11よりも下方に配設されており、冷却タンク11の上部空間13にある飲料水が送水パイプ17、加熱タンク18及び温水供給パイプ21を通じて温水バルブ4へと自然流下するように構成されている。
ところで、このウォータサーバー1における飲料水の流通経路は、飲料ボトル50から飲料水を冷水バルブ3又は温水バルブ4からウォータサーバー1の外部へ取り出すための飲料供給経路と、飲料ボトル50から冷却タンク11の上部空間13へ流出した飲料水を飲料ボトル50へ返還させるための飲料返還経路とに大別される。また、飲料供給経路には、冷却タンク11と冷水供給パイプ19とが順番に連通接続される冷水系の飲料供給経路と、冷却タンク11に連通されている送水パイプ17と加熱タンク18と温水供給パイプ21とが順番に連通接続される温水系の飲料供給経路との、2系統が備えられている。
一方、飲料返還経路としては、冷却系の飲料供給経路の一部としての冷却タンク11から飲料ボトル50へ飲料水を返還するため、飲料返還パイプ22が備えられている。また、この飲料返還パイプ22の途中には、抗菌ユニット23と、飲料返還パイプ22を通じて冷却タンク11にある飲料水を挿着プラグ5cの吐出流路10へ移送する移送ポンプ24とが、介設されている。したがって、本実施例では、抗菌ユニット23及び移送ポンプ24も飲料返還経路の一部を構成することとなる。
この飲料返還パイプ22は、上記したように一端部が挿着プラグ5cの吐出流路10と連通接続されており、その他端部が、挿着プラグ5cの吸入流路9と冷却タンク11との連通接続箇所(部分)から離間して、仕切板12の近傍の箇所に連通接続されている。つまり、飲料返還パイプ22の他端部は、冷水系の飲料供給経路の途中部分に連通接続されているのである。
移送ポンプ24は、飲料返還パイプ22における冷却タンク11側の部分から吸い込んだ飲料水を、当該移送ポンプ24内部を通過させて、飲料返還パイプ22の飲料ボトル50側(挿着プラグ5cの吐出流路10側)の部分へ吐き出す流体ポンプである。また、抗菌ユニット23は、飲料返還パイプ22を通過する飲料水に抗菌成分を溶解させるものであり、飲料返還パイプ22の途中部分であって、その飲料返還パイプ22の冷却タンク11側端部と移送ポンプ24の吸込口24aとの間に介設されている。
これらの飲料返還パイプ22、移送ポンプ24および抗菌ユニット23は、上記した挿着プラグ5cよりも下方の高さ位置に配設される一方で、冷水バルブ3及び温水バルブ4より上方の高さ位置に配設されている。このように、冷水バルブ3や温水バルブ4の配設位置よりも挿着プラグ5c、飲料返還パイプ22、移送ポンプ24及び抗菌ユニット23の配設位置を高くすることで、移送ポンプ24内部や移送ポンプ24の前後の飲料返還パイプ22内で飲料水が長時間滞留したままで放置されることを防止できる。
このウォータサーバー1によれば、移送ポンプ24が駆動されると、冷却タンク11内にある飲料水は、飲料返還パイプ22内へ吸い込まれる。飲料返還パイプ22へ吸い込まれた飲料水は、抗菌ユニット23を通過してから移送ポンプ24へ吸い込まれ、その移送ポンプ24から飲料返還パイプ22を通じて挿着プラグ5cの吐出流路10へ移送される。挿着プラグ5cの吐出流路10の移送された飲料水は、この吐出流路10を通じて吐出口8から飲料ボトル50内へ吐出されて、飲料ボトル50内で流動させられる。
このとき、飲料ボトル50内にある飲料水は、挿着プラグ5cの各吸入口7から吸入流路9へ吸入されて、冷却タンク11の上部空間13へ流れ出る。この結果、ウォータサーバー1内には、移送ポンプ24によって、飲料水が飲料ボトル50、冷却タンク11、抗菌ユニット23を順番に通過する循環流が形成されて、この循環流によって飲料水には抗菌成分が溶解させられるのである。
図6は、抗菌ユニット23の内部構造を示す断面図である。図6に示すように、抗菌ユニット23は、飲料返還パイプ22の途中に介設されるとともに当該飲料返還パイプ22と連通接続される中空のケース体23aを備えている。このケース体23aの内部には抗菌部材23bが収容されており、この抗菌部材23bは、ケース体23aの内部を通過する飲料水に抗菌性イオン成分を溶出可能な素材で形成されている。
抗菌部材23bは、飲料水の流通可能な空隙が三次元的に連続形成される立体網状構造を備えており、飲料水は、この抗菌部材23bの内部にある空隙を通過する際に、抗菌部材23bと接触することで、その飲料水中に抗菌成分である抗菌性イオン成分を溶出するのである。なお、本実施例の抗菌部材23bは、抗菌性イオン成分として銀イオンを溶出する金属銀で形成されている。
図7は、ウォータサーバー1の平面図である。図7に示すように、ホルダ部材5は、その支持フランジ部5aの周壁部5a2の内周面に、飲料ボトル50に充填されている飲料水の有無(残余)を検知する光電センサ25が埋設状態で配設されている。この光電センサ25は、光線を投光する投光器25aと、その投光器25aからの光線を受光する受光器25bとを備えており、受光器25bが受光した光線量を示す検出信号の変化に基づいて、飲料ボトル50がホルダ部材5に装着されているか否かや、飲料ボトル50内の飲料水の有無を検知するものである。
光電センサ25は、その投光器25aと受光器25bとが互いにホルダ部材5の周壁部5a2の内周面に対向配置されており、両者間で投光及び受光される光線の光軸(図中の1点鎖線)は、挿着プラグ5cを避けて、飲料ボトル50内部における頸部51と胴部52との繋ぎ目付近を通過するように設定されている。
図8は、ウォータサーバー1の電気的構成を示すブロック図である。図8に示すように、ウォータサーバー1は、本体ケース2内部に制御基板30が配設されており、この制御基板30には、CPU31と、ROM32と、RAM33と、EEPROM34と、入出力ポート35とが設けられている。そして、これらのCPU31、ROM32、RAM33及びEEPROM34は、バスライン36を介して相互に接続されており、このバイスラインは、また、入出力ポート35にも接続されている。
CPU31は、ウォータサーバー1における各種処理及び動作を制御する制御手段として機能する演算装置であり、後述する操作パネル監視処理、飲料ボトル監視処理、飲料循環移送処理、間欠運転処理、停電バックアップ処理、及び、停電復帰処理等を行うものでである。また、ROM32は、そのCPU31により実行される各種の制御プログラムやデータを記憶する書き換え不能な不揮発性メモリである。更に、RAM33は、CPU31が制御プログラムを実行する場合にワークメモリとして機能する書き換え可能な揮発性メモリである。
入出力ポート35は、前記した移送ポンプ24と、前記した光電センサ25の投光器25a及び受光器25bと、操作パネル37と、計時回路38と、主電源回路39と、停電検出回路40と、バックアップ電源41と、電源切替回路42等と接続されている。光電センサ25による検出信号は、CPU31によって常時監視されており、入出力ポート35を介してCPU31に読み込まれる。CPU31では、この光電センサ25の検出信号に基づいて、飲料ボトル50の装着の有無や、飲料ボトル50内の飲料水の有無を判断する。
操作パネル37は、ウォータサーバー1の動作条件等を設定するためのものであり、主としてウォータサーバー1の設置業者により直接操作される。例えば、ホルダ部材5に装着される飲料ボトル50の容量サイズも、この操作パネル37により設定することができる。具体的に、操作パネル37は、ホルダ部材5に装着される飲料ボトルについて、2種類上の容量サイズの中から1種類を選択して設定することができる。
例えば、操作パネル37には、4種類の容量サイズの中から1種類の容量サイズを選択するために、押しボタン型キースイッチで構成される4個のボトル選択スイッチ(図示せず。)が横並びに配設されている。各ボトル選択スイッチには、「4リットル」、「8リットル」、「12リットル」、「20リットル」の各容量サイズが1個ずつ別々に割り当てられており、飲料ボトル50の容量サイズに対応するボトル選択スイッチが操作者の指先等によって押下される。
このようにして、操作パネル37を操作して入力されたデータは、入出力ポート35を介してCPU31に読み込まれて、ROM32に記憶されている制御プログラムに応じて処理される。なお、操作パネル37は、本体ケース2の外側面等に配設されている(図示せず)。
また、操作パネル37は、当該操作パネル37に対して所定の入力操作がなされることで、その動作モードが、飲料ボトル50の容量サイズを選択設定するための操作が不能なロックモードか、又は、飲料ボトル50の容量サイズを選択設定するための操作が可能なアンロックモードかの、いずれか一方から他方へ切替えられるように構成されている。なお、操作パネル37は、初期状態の動作モードがアンロックモードとされている。
ところで、操作パネル37の動作モードを切り替える入力操作については、当然のごとく様々なパターンに設定することが可能であるが、例えば、上記した4個のボトル選択スイッチを同時に所定時間押し続けることで、操作パネル37の動作モードをロックモードかアンロックモードに切り替えるようにしても良い。
計時回路38は時間を計数する回路であり、この計時回路38により計数される時間(以下「計数値」という。)は、移送ポンプ24を駆動させて飲料水を循環移送させる時間(以下「飲料移送時間」という。)の計測や、移送ポンプ24を停止させて飲料水の循環移送を停止させる期間(以下「移送停止期間」という。)の計測に使用される。なお、以下の説明において、移送ポンプ24によって飲料水を上記した飲料返還経路(飲料返還パイプ22)を通じて循環移送させる処理を「飲料循環移送処理」という。
主電源回路39は、ウォータサーバー1の通常稼働時に制御基板30の各部へ電力を供給するための電力回路であり、例えば、商用交流電源から供給される交流電力を制御基板30の駆動用の直流電力に変換する回路である。
停電検出回路40は、主電源回路39による電力供給の停電を検出するための回路である。この停電検出回路40による停電検出信号は、入出力ポート35を介してCPU31に読み込まれて、後述する停電バックアップ処理を実行するためのトリガー信号となる。電源切替回路42は、停電検出回路40によって停電が検出される場合に、CPU31による制御とは無関係に自動的に、制御基板30への電力供給源を主電源回路39からバックアップ電源41に切り替える回路である。
バックアップ電源41は、主電源回路39の停電時に制御基板30の各部へ電力を供給する電源であり、例えば、電池などが使用される。このバックアップ電源41からの電力供給を受けることで、計時回路38は、停電時であっても移送ポンプ24の移送停止期間の経過時間を計測できるのである。
EEPROM34は、各種データを書き換え可能な不揮発性メモリであり、繰返しカウンタ34aと、残量フラグ34bと、容量サイズメモリ34cと、計時メモリ34dと、移送停止期間メモリ34eと、飲料移送時間メモリ34fとを備えている。
繰返しカウンタ34aは、ホルダ部材5に現在装着されている飲料ボトル50について飲料循環移送処理が実行された回数を記憶するカウンタであり、現在装着されている飲料ボトル50に対して1回以上の飲料循環移送処理が実行された場合には、この飲料循環移送処理の実行回数に応じた値が記憶される。
例えば、ホルダ部材5に現在装着されている飲料ボトル50に対して、飲料循環移送処理を既に2回実行している場合には、繰返しカウンタ34aに「2」が記憶される。また、繰返しカウンタ34aの値が「0」の場合は、飲料ボトル50が装着されたばかりで飲料循環移送処理を1回も実行していない状態を示している。
残量フラグ34bは、ホルダ部材5に現在装着されている飲料ボトル50について、飲料水の有無を示すフラグである。ここで、残量フラグ34bがオンされている場合には飲料ボトル50内に飲料水があることを示し、一方、残量フラグ34bがオフされている場合には飲料ボトル50内に飲料水がないことを示す。CPU31は、光電センサ25の検出信号に基づいて飲料ボトル50内の飲料水の有無を常時監視しており、飲料ボトル50内に飲料水が存在すると判断する場合には残量フラグ34bをオンし、飲料ボトル50内に飲料水が存在しないと判断する場合には残量フラグ34bをオフする。なお、残量フラグ34bは初期状態においてオフされている。
容量サイズメモリ34cは、操作パネル37によって選択された飲料ボトル50の容量サイズを記憶するメモリエリアである。例えば、本実施例のウォータサーバー1では、操作パネル37によって4リットル、8リットル、12リットル、又は、20リットルの中から1種類の容量サイズを選択設定することが可能になっている。このため、容量サイズメモリ34cは、上記4種類の容量サイズのうち、操作パネル37によって選択されたいずれか1種類のみを記憶するように構成されている。
また、CPU31は、電源投入後から操作パネル37の入力操作を常時監視しており、操作パネル37に対して容量サイズの入力操作がなされると、その操作により新たに選択設定された容量サイズが容量サイズメモリ34cに上書きされて、容量サイズメモリ34cの記憶内容を更新するのである。このため、容量サイズメモリ34cには、常に容量サイズに関する最新の設定情報が記憶保持される。もっとも、操作パネル37がロックモードの場合には、容量サイズメモリ34cの更新処理は禁止される。
なお、本実施例では、容量サイズメモリ34cに初期値として4リットルが予め設定されている。つまり、ウォータサーバー1に初めて飲料ボトル50が装着される場合には、操作パネル37を用いた容量サイズの選択操作がなされてなくても、飲料ボトル50の容量サイズは4リットルとして飲料循環移送処理が実行されるのである。
計時メモリ34dは、計時回路38の計数値を一時的にバックアップするためのメモリエリアであり、主として、主電源回路39の停電が発生した場合に、その停電発生時点における計時回路38の計数値を記憶保持するものである。主電源回路39の停電が発生した場合、停電検出回路40からの停電検出信号がCPU31に読み込まれると、このCPU31が、バックアップ電源41からの電力供給を受けることで駆動されて、当該主電源回路39の停電発生時点における計時回路38の計数値を計時メモリ34dに書き込むのである。なお、計時メモリ34dは初期値が「0」に設定されている。
移送停止期間メモリ34eは、移送ポンプ24による飲料循環移送処理を定期的かつ間欠的に実行するため、4種類ある飲料ボトル50の容量サイズの各々に対応づけて、その各容量サイズに適合している飲料水の移送停止期間を記憶するメモリエリアである。図9は、移送停止期間メモリ34eの記憶内容の一例を表した概念図である。
図9に示すように、移送停止期間メモリ34eには、各容量サイズについてそれぞれ適合する移送停止期間の値が記憶されており、この値を参照してCPU31は移送ポンプ24の移送停止期間を決定するのである。具体的には、移送停止期間メモリ34eに記憶される移送停止期間は、容量サイズが4リットル、8リットル、12リットル又は20リットルのいずれであっても8時間に設定されている。
なお、移送停止期間メモリ34eに記憶される移送ポンプ24の移送停止期間は、必ずしも各容量サイズについて全て同じ数値である必要はなく、容量サイズ毎に異なる数値に設定するようにしても良い。
飲料移送時間メモリ34fは、4種類ある飲料ボトル50の容量サイズのそれぞれに対応づけて、各容量サイズに適合する飲料移送時間を記憶するメモリエリアである。ここで、飲料移送時間は、ホルダ部材5に装着されている飲料ボトル50内にある飲料水に対して、抗菌部材23bから溶解される抗菌成分の濃度が、移送ポンプ24による飲料循環移送処理によって飲用可能な適正濃度になるまでの所要時間である。
つまり、ウォータサーバー1は、この飲料移送時間メモリ34fを参照することで各容量サイズに適合する飲料移送時間を取得して、この飲料移送時間が経過するまで飲料循環移送処理を継続することで、飲料水中の抗菌成分の濃度を調整するのである。
図10は、飲料移送時間メモリ34fの記憶内容の一例を表した概念図である。図8に示すように、飲料移送時間メモリ34fに記憶される飲料移送時間は、容量サイズメモリ34cに記憶される容量サイズと、飲料ボトル50の状況とに基づいて選択決定される。ここに、飲料ボトル50の状況とは、ホルダ部材5に装着された直後であるために飲料循環移送処理が未処理である飲料ボトル50と、過去に飲料循環移送処理を1回以上施された飲料ボトル50との違いをいう。
ところで、飲料ボトル50がホルダ部材5に装着された直後であって飲料循環移送処理が未処理である場合に、繰返しカウンタ34aの値はCPU31によって「0」に設定され、飲料ボトル50が過去に飲料循環移送処理を1回以上受けたものである場合、繰返しカウンタ34aの値はCPU31によって「1」以上に設定される。このため、飲料移送時間メモリ34fでは、この繰返しカウンタ34aの値に対応づけて飲料移送時間が記憶されている。
具体的には、繰返しカウンタ34aの値が「0」のときに用いられる飲料移送時間として、4リットルの容量サイズに対して60秒が、8リットルの容量サイズに対して120秒が、12リットルの容量サイズに対して180秒が、20リットルの容量サイズに対して300秒が、それぞれ記憶されている。また、繰返しカウンタ34aの値が「1」以上のときに用いられる飲料移送時間として、4リットルの容量サイズに対して12秒が、8リットルの容量サイズに対して24秒が、12リットルの容量サイズに対して36秒が、20リットルの容量サイズに対して60秒が、それぞれ記憶されている。
次に、上記のように構成されたウォータサーバー1における各種動作の制御処理について説明する。まず、このウォータサーバー1の電源が投入されると、CPU31は、ROM32から制御プラグやデータを読み込んで、かかる制御プラグラムを起動して、以下に説明する各処理を実行する。
[操作パネル監視処理]
操作パネル監視処理では、操作パネル37の入力操作を常時監視し、操作パネル37を介して飲料ボトル50の容量サイズの選択設定がなされると、その選択された1種類の容量サイズを容量サイズメモリ34cに上書きして、この容量サイズメモリ34cに記憶される飲料ボトル50の容量サイズを更新(変更)する。
また、この操作パネル監視処理では、操作パネル37の動作モードを切り替えるための入力操作の有無を常時監視し、操作パネル37の動作モードをロックモードに切り替える入力操作がなされると、それ以降の容量サイズメモリ34cへの容量サイズの上書きを禁止する。これによって、操作パネル37による容量サイズの選択設定操作が禁止されるのである。
例えば、ウォータサーバ1が初期設置された後、設置業者が、操作パネル37を操作してウォータサーバ1に装着される飲料ボトルの容量サイズを選択設定してから、操作パネル37の動作モードをロックモードに設定するのである。さすれば、ウォータサーバ1の利用者が2本目以降の飲料ボトルの交換時に操作パネル37を誤操作したとしても、飲料ボトル50の容量サイズが間違って変更されることが回避されて、不適正な飲料循環移送処理が実行されることを防止されるのである。
また、このように操作パネル37がロックモードに設定されている場合に、ウォータサーバ1に装着される飲料ボトル50の容量サイズを変更するときは、例えば、飲料ボトル50の配達業者などの作業員によって、操作パネル37の動作モードがアンロックモードに一旦切り替えられる。すると、操作パネル37が容量サイズを選択設定するための操作が可能な状態となるので、かかる作業員が、新しい容量サイズを操作パネル37を介して選択設定してから、再び操作パネル37の動作モードをロックモードに切り替えるのである。
[飲料ボトル監視処理]
飲料ボトル監視処理では、光電センサ25による検出信号を常時監視し、この光電センサ25からの検出信号が飲料ボトル50をホルダ部材5に装着したことを示すものである場合には繰返しカウンタ34aの値を「0」に初期化する。また、この光電センサ25からの検出信号が、飲料ボトル50内に飲料水があることを示す場合には残量フラグ34bをオンする一方、飲料ボトル50内に飲料水がないことを示す場合には残量フラグ34bをオフする。
[飲料循環移送処理]
図11は、飲料循環移送処理を示したフローチャートであって、図12中のS27の処理である。図11に示すように、飲料循環移送処理では、まず、飲料ボトル50内の飲料水の有無を判断するため、残量フラグ34bの状態をチェックする(S1)。ここで、残量フラグ34bがオフであれば(S1:No)、飲料ボトル50内に飲料水は存在しておらず、飲料循環移送処理によって抗菌成分を飲料水に溶解させる必要もないので、S2からS12までの処理をスキップして、この飲料循環移送処理を終了する。
これに対して、残量フラグ34bがオンであれば(S1:Yes)、飲料ボトル50内に飲料水があるので、かかる飲料ボトル50の容量サイズに適した飲料移送時間を選定するため、容量サイズメモリ34cに現在記憶されている容量サイズをRAM33に読み込んでから(S2)、この容量サイズに適合しかつ繰返しカウンタ34aの現在値に対応する飲料移送時間を、飲料移送時間メモリ34fからRAM33に読み込む(S3)。
例えば、繰返しカウンタ34aの現在値が「0」であって、容量サイズメモリ34cに記憶される容量サイズが、4リットルの場合には60秒を、8リットルの場合には120秒を、12リットルの場合には180秒を、20リットルの場合には300秒を、飲料移送時間メモリ34fからRAM33に読み込むのである。また、繰返しカウンタ34aの現在値が「1」以上であって、容量サイズメモリ34cに記憶される容量サイズが、4リットルの場合には12秒を、8リットルの場合には24秒を、12リットルの場合には36秒を、20リットルの場合には60秒を、飲料移送時間メモリ34fからRAM33に読み込むのである。
このS3の処理後は、計時回路38をクリアしてから計時回路38による計数を開始して(S4,S5)、それとほぼ同時に移送ポンプ24の駆動を開始する(S6)。この移送ポンプ24の駆動開始によって実際の飲料循環移送が開始されるのである。また、移送ポンプ24の駆動後は、計時回路38の計数値がRAM33に読み込んだ飲料移送時間を超過するまで待機しつつ(S7,S8:No)、この待機中に操作パネル37を介して飲料ボトル50の容量サイズの変更がなされていないかどうかを監視する(S7)。
この監視中に操作パネル37の入力操作によって容量サイズの変更があれば、上記した操作パネル監視処理によって容量サイズメモリ34cに記憶される容量サイズが変更されるはずである。よって、S7の監視処理では、容量サイズメモリ34cに現在記憶されている容量サイズと、既にRAM33に読み込んである容量サイズとを比較する。そして、容量サイズメモリ34cに現在記憶されている容量サイズの方が大きくなった場合に(S7:Yes)、RAM33に既に読み込んである飲料移送時間を容量サイズに適合したものに変更するのである。
具体的には、RAM33に読み込んである容量サイズを消去してから、新たに容量サイズメモリ34cに現在記憶されている容量サイズをRAM33に読み込んで(S9)、この容量サイズに適合しかつ繰返しカウンタ34aの現在値に対応する飲料移送時間を、改めて飲料移送時間メモリ34fからRAM33に読み込んでから(S10)、処理をS7及びS8の待機ループへ移行するのである。
さすれば、新たに選択された容量サイズに適した飲料移送時間から計時回路38による現在の計数値を差し引いた残余時間が、現時点から更に経過するまで飲料循環移送処理を延長したこととなるのである。この結果、飲料ボトルの容量サイズを誤って小さく選択したまま、飲料循環移送処理が開始されたとしても、この飲料循環移送処理の途中で飲料ボトルの容量サイズを大きなものに再選択すれば、その再選択された大きな容量サイズに適した移送時間分だけ飲料循環移送処理を行うことができるのである。
なお、飲料ボトル50をホルダ部材5に装着する前に、正しい飲料ボトル50の容量サイズを、操作パネル37を介して入力しておけば、飲料循環移送処理の開始後に容量サイズを修正する処理(S9,S10)は不要となる。
そして、計時回路38の計数値がRAM33に読み込んだ飲料移送時間を超過すると(S8:Yes)、移送ポンプ24の駆動開始から飲料ボトル50の容量サイズに適合した飲料移送時間が経過したものと判断して、移送ポンプ24の駆動を停止して(S11)、1回分の飲料循環移送処理が終了した旨を記憶するために繰返しカウンタ34aの値に1加算して(S12)、この飲料循環移送処理を終了するのである。
[間欠運転処理]
図12は、飲料循環移送処理のための間欠運転処理を示したフローチャートである。図12に示すように、間欠運転処理は、上記した飲料循環移送処理を定期的に間欠運転するための処理であって、まず、繰返しカウンタ34aの値をチェックする(S21)。ここで、繰返しカウンタ34aの値が「0」であれば(S21:Yes)、飲料ボトル50がホルダ部材5に装着直後であるため、飲料循環移送処理が未処理であって飲料水中に抗菌成分が未混入であると判断して、S22からS26までの処理をスキップし、飲料ボトル50内の飲料水に対して直ぐに飲料循環移送処理を実行して(S27)、再び処理をS21へ移行する。
これに対して、繰返しカウンタ34aの値が「1」以上である場合には(S1:No)、初回の飲料循環移送処理の場合(即ち、繰返しカウンタ34aの値が「0」の場合)とは異なって、既に飲料ボトル50の飲料水中には抗菌成分が混入されているので、間欠的かつ定期的に抗菌成分を補充するための飲料循環移送処理を実行する必要がある。そこで、繰返しカウンタ34aの値が「1」以上である場合には(S1:No)、まず、容量サイズメモリ34cに記憶されている容量サイズをRAM33に読み込んでから(S22)、この容量サイズに適合しかつ繰返しカウンタ34aの現在値に対応する移送停止期間を、移送停止期間メモリ34eからRAM33に読み込むのである(S23)。
なお、本実施例では、容量サイズメモリ34cに記憶される容量サイズが4リットル、8リットル、12リットル、又は、20リットルのいずれの場合であっても、移送停止期間として一律に8時間が、移送停止期間メモリ34eからRAM33に読み込まれるのである。
このS23の処理後は、計時回路38をクリアしてから計時回路38による計数を開始し(S24,S25)、この計時回路38の計数値がRAM33に読み込んだ移送停止期間を超過するまで待機する(S26:No)。その後、計時回路38の計数値がRAM33に読み込んだ移送停止期間を超過すると(S26:Yes)、移送ポンプ24による前回の飲料循環移送処理から一定の移送停止期間が経過したものと判断して、飲料循環移送処理を実行してから(S22)、再び処理をS21へ移行するのである。
[停電バックアップ処理]
停電バックアップ処理では、上記した飲料循環移送処理の実行中に、主電源回路39の停電が停電検出回路40により検出されると、計時回路38の計数値が計時メモリ34dに書き込まれる。例えば、飲料循環移送処理の飲料移送時間として120秒が設定されている場合に、飲料循環移送処理の開始から40秒経過した時点で主電源回路39の停電が発生すると、このときの計時回路38の計数値である40秒の値が計時メモリ34dに記憶されるのである。
[停電復帰処理]
停電復帰処理では、停電していた主電源回路39からの電力供給が復帰した場合に、計時メモリ34dの値をチェックして、かかる計時メモリ34dの値が0を超えている場合には、飲料循環移送処理の実行途中で停電が発生したものと判断して、中断していた飲料循環移送処理の不足分を続行する。例えば、飲料循環移送処理の飲料移送時間として120秒が設定されている場合に計時メモリ34dの値が40秒ならば、主電源回路39の電力供給が復帰したときに、残りの80秒間の飲料循環移送処理を続行するのである。
なお、停電復帰処理の実行完了時には、移送ポンプ24の駆動を停止して、1回分の飲料循環移送処理が終了した旨を記憶するために繰返しカウンタ34aの値に1加算して、この飲料循環移送処理を終了するのである。
以上説明した本実施例によれば、請求項11の移送継続手段としてはS5、S6及びS8のNoの分岐が、移送停止手段としてはS8のYesの分岐及びS11の処理が、第1計時手段の一部としてはS25の処理が、第1計時手段の計数値が所定の停止期間を経過した場合に再実行される移送継続手段としてはS21のNoの分岐及びS26のYesの分岐を経て実行される前記S5、S6及びS8のNoの分岐が、それぞれ該当する。請求項12の移送継続手段としてはS22、S23及びS26のYesの分岐を経て実行される前記S5、S6及びS8のNoの分岐が該当する。請求項14の第2計時手段の一部としてはS5の処理が、移送継続手段としてはS2及びS3を経て実行される前記S5、S6及びS8のNoの分岐が、それぞれ該当する。請求項15の移送継続手段としては、前記S5及びS6を経て実行されるS8のNoの分岐中に、一時的にS7のYesに分岐してS9及びS10を経て再び実行されるS8のNoの分岐が、該当する。請求項16記載における、検知手段によって飲料ボトル内の飲料水の存在が検知される場合としてはS1のYesの分岐が、検知手段によって飲料ボトル内の飲料水の存在が検知されない場合としてはS1のNoの分岐が、それぞれ該当する。
次に、図13及び図14を参照して、上記した第1実施例の変形例について説明する。
図13は、第2実施例のウォータサーバー70の本体ケース2の内部構成図であり、その一部を概略的に図示したものである。第2実施例のウォータサーバー70は、上記した第1実施例のウォータサーバー1に対して、冷却タンクへ供給する空気の濾過構造を変更したものである。以下、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
図13に示すように、第2実施例のウォータサーバー70にあっては、飲料ボトル50がホルダ部材5によって保持される場合、飲料ボトル50の重量によって、飲料ボトル50の肩部53が支持フランジ部5aの周壁部5bの上端部に密着するように構成されている。そして、かかる場合において、飲料ボトル50とホルダ部材5との間には、飲料ボトル50の肩部53と、ホルダ部材5における支持フランジ部5aの底板部5a1及び周壁部5bと、ホルダ部材5の遊挿筒部5bとによって包囲された隙間部分である閉塞空間71が形成される。
この閉塞空間71の一部を成す遊挿筒部5bの底部には、かかる閉塞空間71と冷却タンク73とを連通させる通気孔72が合計2箇所に穿設されており、この通気孔72を通じて、閉塞空間71内にある空気が冷却タンク73内へ流入する構造とされている。また、冷却タンク73は、第1実施例における冷却タンク11とは異なって、その上部中央のみに開口が形成された略有底有蓋の円筒容器に形成されており、かかる上部開口にホルダ部材5の遊挿筒部5bが嵌着されることで、ホルダ部材5と連結されている。
このため、冷却タンク73は、第1実施例の冷却タンク11の場合とは異なり、ホルダ部材5の支持フランジ部5aから分離されている。その結果、支持フランジ5aに装着されているエアキャップ6は、第1実施例の場合と異なって、冷却タンク73の内部の空気層に直接空気を流入させるようにはなっておらず、上記した閉塞空間71と通気管74との間に介在されて、通気管74から供給される空気を当該エアキャップ6内のエアフィルターを通過させて閉塞空間71へ流入させるように構成されている。
通気管74は、その一端部74aがエアキャップ6と連通接続されており、その一部分に伝熱効率の高い銅製の管材で形成された銅管部分74bを備えている。この通気管74の銅管部分74bは、加熱タンク18の外周に螺旋状に巻回されており、かかる加熱タンク18の発熱によって加熱されるように構成されている。このため、通気管74内を通過する空気を加熱処理することができ、有害物質が空気中に残存しても、これらを殺菌処理等することができる。
また、通気管74の銅管部分74bは、上記した如く、加熱タンク18の外周に螺旋状に巻回されるので、加熱タンク18から吸熱を受ける銅管部分74bの総延長を大きくすることができ、その分、通気管74及びその内を通過する空気に対する伝熱効率が高められている。しかも、図示は省略するものの、加熱タンク18の外周に巻着される通気管74の外周には更に断熱材が巻着されており、通気管74の銅管部分74dの保温性が高められている。そして、通気管74の他端部74cには、当該通気管74と連通した状態で、HEPA(high-efficiency-particulate-air-filter)フィルター75が接続されている。
このHEPAフィルター75は、本体ケース2内の空気中に浮遊する雑菌、ウイルス、アレルゲン物質、塵埃その他の浮遊有害物質を除去して、通気管74へ吸入される空気を清浄化するものである。このHEPAフィルター75は、ウォータサーバー70の本体ケース2内に配設されており、本体ケース2外の大気に曝され続けることがない。このため、HEPAフィルター75に、本体ケース2外に浮遊する雑菌、ウイルス、アレルゲン物質その他の浮遊有害物質が付着する頻度を低減でき、HEPAフィルター75内で雑菌等が繁殖することが抑制される。
図14は、第3実施例のウォータサーバー80の本体ケース2の内部構成図であり、その一部を概略的に図示したものである。この第3実施例のウォータサーバー80は、上記した第1実施例及び第2実施例に対し、冷却タンクへ供給する空気の濾過構造を変更したものであって、エアキャップに内蔵されるエアフィルタを介さずに通気管から冷却タンクへ空気を直接に取り入れるように構成したものである。
以下、第1実施例及び第2実施例で説明済みの内容については、その説明を省略する。なお、第3実施例のウォータサーバー80では、第2実施例で説明した閉塞空間71、通気孔73、冷却タンク11は構成に含まれていない。
図14に示すように、第3実施例のウォータサーバー80は、第1実施例及び第2実施例の場合とは異なり、ホルダ部材5の支持フランジ部5aの底板部5a1にあったエアキャップ6が削除されており、底板部5a1はその全周が平面状に形成されている。しかも、冷却タンク11は、その内部の空気層11aと通気管74の一端部74aとが連通接続されており、この通気管74を流れてきた空気が冷却タンク11の空気層11aへ直接に流入されるように構成されている。このため、通気管74内を通過して加熱処理された空気は、外気と接触して再汚染されることなく、冷却タンク11内へ直接に取り入れられるのである。
また、通気管74の一端部74aの接続位置は、冷却タンク11内における空気層11aの存在位置であって、飲料の液面より常に上方となる箇所とされており、通気管74へ飲料が流入することが防止されている。なお、図示は省略するものの、かかる通気管74から冷却タンク11へ向けた空気の流れのみを通過させ、飲料又は空気が通気管74へ逆流することを防止する逆流防止弁を、通気管74の一端部74aに配設するようにしても良い。
ところで、本体ケース2は、その上端部に天板2aが覆設されており、この天板2aの平面視略中央部が平面視略円形状に開口されている。この天板2aの開口部(以下、「天板2aの天板開口部」又は「本体ケース2の天板開口部」という。)の周縁部からは略円筒状の環状壁2bが下方へ向けて垂設されており、この環状壁2bの内周部は本体ケース2の内部と連通されている。また、ホルダ部材5は、支持フランジ部5aの底板部5a1の下面から下方へ略円筒状に垂設される嵌合部5eを備えており、この嵌合部5eと上記した支持フランジ部5a、遊挿筒部5b及び挿着プラグ5cとが一体成形されたものである。
ここで、本体ケース2の環状壁2bの内周部にはホルダ部材5の嵌合部5eが嵌入されており、この嵌合部5eは、その外周面に周着されている合成樹脂製の密封パッキン81の介在によって、本体ケース2の環状壁2b内に密嵌されている。このため、本体ケース2の環状壁2bの内周部、即ち、本体ケース2の天板開口部は、密封パッキン81及びホルダ部材5を介して密閉されており、この環状壁2bの内周面と嵌合部5eの外周面との間から、本体ケース2外に浮遊する雑菌、ウイルス、アレルゲン物質その他の浮遊有害物質が本体ケース2内へ侵入することが防止されている。
また、ホルダ部材5の支持フランジ部5aには、その周壁部5a2の外周全体に軒状部5a3が周設されている。この軒状部5a3は、その外径が本体ケース2の天板開口部の内径より大きく形成されており、天板2aの天板開口部の周縁から立設される平面視円環状の凸状部2cの外周に外嵌されている。このため、天板2aの天板開口部全体がホルダ部材5によって被覆されかつ閉塞されるので、本体ケース2外に浮遊する雑菌、ウイルス、アレルゲン物質その他の浮遊有害物質が、本体ケース2の天板開口部に侵入することが更に防止されている。
しかも、本体ケース2の環状壁2bは冷却タンク11の上部開口に嵌入されており、この環状壁2bは、その外周面に周着されている合成樹脂製の密封パッキン82の介在によって、冷却タンク11の上部開口に密嵌されている。この結果、冷却タンク11は、密封パッキン82及びホルダ部材5を介して密閉されており、本体ケース2内外に浮遊する雑菌、ウイルス、アレルゲン物質その他の浮遊有害物質が、冷却タンク11へ侵入することが防止されている。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、本実施例では、挿着プラグ5cの内周部を周方向に略4等分して3本の吸入流路9と1本の吐出流路10とを設けたが、かかる挿着プラグ5cの断面形態は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、図15に示すように変形させても良い。
図15は、上記した第1実施例から第3実施例についての更なる変形例を示す図であって、挿着プラグの断面形態を示した横断面図である。この図15(a)に示すように、挿着プラグ5cの内周部は、隔壁5dによって略半分ずつに隔絶して、その一方を吸入流路9とするとともに他方を吐出流路10としても良い。また、図15(b)に示すように、挿着プラグ5cの内周部は、隔壁5dによって、中心角略90°の断面視扇状の吐出流路10と、中心角略270°の扇状の吸入流路9とに2分割しても良い。
また、第1実施例から第3実施例では、飲料返還パイプ22の途中に抗菌ユニット23を介設したが、例えば、ウォータサーバーの仕様に応じて、かかる抗菌ユニットを飲料返還パイプ22から撤去した構造を採用しても良い。また、かかる場合には、飲料移送時間や移送停止期間は、抗菌成分の濃度を調整する条件に準拠させる必要もなく、適宜変更しても良い。
また、第1実施例から第3実施例では、飲料ボトル50が本体ケース2の上部に露出した状態で装着されたが、飲料ボトルの装着形態は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、本体ケースの上部に、飲料ボトル全体を包囲して収容可能であって密閉性を有した収容フードを設けて、この収容フードによって飲料ボトルを収容するためのクリーンルームを構成することで、挿着プラグを通じて冷却タンクや飲料ボトルへ浸入する有害物を遮断するようにしても良い。