JP4901324B2 - 硬化肉盛層形成方法 - Google Patents

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本発明は、硬化肉盛層形成方法に関する。
従来、耐摩耗性を必要とする部材(母材)上に肉盛溶接を行うことにより硬化肉盛層を形成して、母材の耐摩耗性を向上させることが行われている。この硬化肉盛層の形成においては、溶接によって溶加材を溶融させて母材上に溶融池を生成すると共に、溶融池に硬質粒子を散布する(特許文献1参照)。これにより、硬質粒子が未溶融状態で混入された硬化肉盛層を得ることができ、耐摩耗性を向上させることができる。
特開平8−47774号公報
上記のような硬化肉盛層では、耐摩耗性を向上させるために硬化肉盛層の硬度を高めることが重要であるが、硬度が向上すれば亀裂が生じ易くなるという問題がある。また、亀裂を生じ難くするためには延性を向上させることが有効であるが、この場合、硬度が低下して耐摩耗性が低下する恐れがある。
本発明の課題は、硬化肉盛層における亀裂の発生を抑えると共に、耐摩耗性を向上させることができる硬化肉盛層形成方法を提供することにある。
第1発明にかかる硬化肉盛層形成方法は、炭素鋼からなる溶加材を溶融させて母材上に溶融池を生成する工程と、炭化物又は炭窒化物を含有する硬質粒子を溶融池に供給する工程と、溶融池が凝固することにより母材上に形成され硬質粒子を未溶融状態で含有すると共に硬質粒子の一部が溶融することによりオーステナイト組織を母相に含有する硬化肉盛層を得る工程と、母材および硬化肉盛層のオーステナイト組織にマルテンサイト変態を起こさせて硬化させるように母材および硬化肉盛層を焼き入れする工程とを備える。
この硬化肉盛層形成方法では、炭化物又は炭窒化物を含有する硬質粒子を溶融池に供給することにより、硬質粒子に含まれる炭化物の一部が硬化肉盛層の溶加材に溶出する。このため、硬質粒子を未溶融状態で含有すると共に、オーステナイトが安定化した組織を母相に含有する硬化肉盛層が形成される。これにより、割れ難い硬化肉盛層を形成することができる。そして、この硬化肉盛層が焼き入れされることにより、硬化肉盛層の母相がマルテンサイト変態を起こし、硬化肉盛層の硬度を向上させることができる。また、硬化肉盛層のオーステナイトがマルテンサイトに変態して硬化肉盛層が膨張することにより、母材のマルテンサイト変態膨張に追従することができる。このため、硬化肉盛層と母材との冷却により変位差を低減させることができ、焼き入れの際に硬化肉盛層に亀裂が生じることを抑えることができる。これにより、この硬化肉盛層形成方法では、硬化肉盛層における亀裂の発生を抑えると共に、耐摩耗性を向上させることができる。
第2発明にかかる硬化肉盛層形成方法は、第1発明の硬化肉盛層形成方法であって、硬質粒子は、炭化物としてWCを含有する。
この硬化肉盛層形成方法では、硬質粒子がWCを含有する。WCは炭素鋼からなる溶加材に比較的よく溶けるため、溶出する炭素濃度が高くなり、硬化肉盛層中のマルテンサイト組織の量を増大させることができる。これにより、硬化肉盛層の硬度をより向上させることができる。
第3発明にかかる硬化肉盛層形成方法は、第1発明または第2発明の硬化肉盛層形成方法であって、硬質粒子は、WCを含有する第1粒子と、TiC又はTiCNを含有する第2粒子とを有する。
この硬化肉盛層形成方法では、硬質粒子は、WCを含有する第1粒子と、TiC又はTiCNを含有する第2粒子とを有する。WCは比較的溶加材によく溶けるため、溶出する炭素濃度が高くなり、硬化肉盛層中のマルテンサイト組織の量を増大させることができ、硬化肉盛層の硬度を向上させることができる。また、TiC又はTiCNが添加されることにより、生成されるマルテンサイト組織をより微細化することができる。これにより、硬化肉盛層の靱性を向上させることができる。また、WCと、TiC又はTiCNとの配合比を調整することによって、硬化肉盛層の硬度と靱性とを調整することも可能である。
第4発明にかかる硬化肉盛層形成方法は、第1発明から第3発明のいずれかの硬化肉盛層形成方法であって、母材および硬化肉盛層を焼き入れする工程では、硬化肉盛層が得られる際の入熱によって生成した脆弱な熱影響組織を消失させると共に硬化肉盛層を硬化させる。
この硬化肉盛層形成方法では、母材および硬化肉盛層を焼き入れする工程において、脆弱な熱影響組織を消失させると共に硬化肉盛層を硬化させる。このため、硬化肉盛層における亀裂の発生を抑えると共に、耐摩耗性を向上させることができる。
本発明にかかる硬化肉盛層形成方法では、硬化肉盛層の硬度を向上させることができると共に、硬化肉盛層に亀裂が生じることを抑えることもできる。これにより、この硬化肉盛層形成方法では、硬化肉盛層における亀裂の発生を抑えると共に、耐摩耗性を向上させることができる。
本発明に係る硬化肉盛層形成方法において用いられる溶接システム1を図1に示す。溶接システム1は、硬質粒子2を未溶融状態で含有する硬化肉盛層3をアーク溶接によって母材4上に形成するものである。母材4は、例えば、耐摩耗性が必要とされるバケットツースなどの建設機械の構成部品であり、S45Cなどの炭素鋼や、SCM440などの低合金鋼からなるものである。また、母材4としては、CrMo鋼、Cr鋼、ボロン鋼、Mn鋼などの金属からなるものも利用できる。この溶接システム1は、トーチ5と、硬質粒子供給ノズル6とを備えている。
トーチ5には、溶加材として溶接ワイヤ7が供給される。この溶接ワイヤ7は、軟鋼などの炭素鋼を主成分とするものである。溶接ワイヤ7は、図示しないコイルから繰り出されてトーチ5へ供給され、トーチ5の先端から所定の長さL1(突出長さ)だけ突出している。この溶接ワイヤ7がアークによって溶融して溶加材として供給されることによって、母材4上に溶融池8が生成される。トーチ5は、母材4の表面に対して角度θ(トーチ角)で傾斜しており、母材4の表面に沿って所定速度で移動する(図1の矢印A1参照)。
硬質粒子供給ノズル6は、トーチ5の外部においてトーチ5に近接して配置されており、溶接ワイヤ7が溶融して形成される溶融池8の上方に配置される。硬質粒子供給ノズル6は、トーチ5の進行方向(図1の矢印A1参照)に沿って前後に所定幅でウィービングしながらトーチ5と共に移動する(図1の矢印A2,A3参照)。硬質粒子2は、移動する硬質粒子供給ノズル6から重力落下することにより溶融池8のアーク直下に供給される。なお、硬質粒子供給ノズル6と溶融池8のアーク発生部分までの距離はL2である。また、硬質粒子供給ノズル6の外周には水冷パイプ9が配設されており、硬質粒子供給ノズル6を冷却している。
硬質粒子供給ノズル6から供給される硬質粒子2は、炭化物又は炭窒化物を主成分として含有する粒子、または、これらの1種類以上をFe系、Co系、Ni系の金属で結合した粒子からなるものである。硬質粒子2は、硬化肉盛層3の添加成分として必要な硬度、例えば、500〜2000Hv、好ましくは1000〜1800Hvの硬度を有する。また、硬質粒子2の粒径は、0.5〜5mm、好ましくは0.5〜2.5mmであり、その添加量は、硬化肉盛層3に対して5〜55体積%、好ましくは15〜45体積%である。また、硬質粒子2は、1種類の粒子に限らず、複数種類の粒子が混合したものであってもよい。
なお、硬化肉盛層3の熱膨張係数は、硬質粒子2の熱膨張係数と、硬化肉盛層3の母相となる溶加材の熱膨張係数との複合則が成り立つため、硬質粒子2の熱膨張係数と供給量とを調整することによって、硬化肉盛層3の熱膨張係数を所望の値に調整することも可能である。例えば、溶加材として熱膨張係数14.9の炭素鋼を用い、硬質粒子2として熱膨張係数7.2のNbCを含有率35体積%となるように供給した場合、硬化肉盛層3の熱膨張係数は、14.9×(1−0.35)+7.2×0.35=12.2となる。このため、硬化肉盛層3の熱膨張係数は、溶加材のみの場合の熱膨張係数よりも小さくなり、冷却中の硬化肉盛層3に圧縮の応力が発生し易くなる。これにより、硬化肉盛層に亀裂が発生し難くなる。また、溶加材として軟鋼を用いた場合、軟鋼は延性があるため、亀裂の発生をより抑えることができる。
次に、この溶接システム1を用いた硬化肉盛層形成方法のフローを図2に示す。
まず、第1工程S1では、アーク溶接が行われる。ここでは、アークを発生させることによって溶接ワイヤ7が溶融して溶加材として供給され、母材4上に溶融池8が生成される。なお、本発明に係る硬化肉盛層形成方法では、硬化肉盛層3の形成前に軟鋼等による下盛層を形成する下盛溶接は行われない。
次に、第2工程S2では、硬質粒子2が硬質粒子2供給ノズル6から落下して溶融池8に供給される。この第2工程S2は第1工程S1と並行して行われ、凝固する前の溶融池8に硬質粒子2が供給される。ここで、液体状態の溶融池8に、溶接ワイヤ7を構成する溶加材より比重が小さい硬質粒子2を供給することによって、未溶融の硬質粒子2が表面に多く集まった硬化肉盛層3を形成することができ、硬化肉盛層3の冷却過程において、表面における亀裂の発生を抑えることができる。この場合の硬質粒子2としては、例えば、溶加材として鋼を用いる場合には、TiC、TiCN、ZrC、Cr3C2または、これらの1種類以上をFe系、Co系、Ni系の金属で結合した粒子からなるものがある。などがある。また、半凝固状態の溶融池8に、溶加材の比重以上の比重を有する硬質粒子2を供給してもよい。例えば、鋼を溶加材として用いる場合、溶加材と概ね同じ比重を有する硬質粒子2としては、NbCがある。また、より大きな比重を有するものとしては、Mo2C、TaC、WC、W2C、または、これらの1種類以上をFe系、Co系、Ni系の金属で結合した粒子からなるものがある。この場合も、未溶融の硬質粒子2が表面に多く集まった硬化肉盛層3を形成することができ、硬化肉盛層3の冷却過程において、表面における亀裂の発生を抑えることができる。さらに、溶加材の比重より小さい第1粒子と、溶加材の比重以上の比重を有する材料からなる第2粒子とを含む硬質粒子2を供給してもよい。この場合、硬化肉盛層3中に硬質粒子2を分散させることができる。また、当然に、硬化肉盛層3の表面近傍にも硬質粒子2を分布させることができるため、硬化肉盛層3の冷却過程において、表面における亀裂の発生を抑えることもできる。
第3工程S3では、溶融池8が凝固することにより、母材4上に形成され硬質粒子2を未溶融状態で含有する硬化肉盛層3が得られる。ここでは、トーチ5と硬質粒子2供給ノズル6とが移動した後の部分において、溶融池8が自然に凝固して硬化肉盛層3が形成される。
トーチ5と硬質粒子2供給ノズル6とが移動しながら、上記の第1工程S1から第3工程S3が繰り返し行われることにより、母材4の所定領域を覆うように硬化肉盛層3が形成される。
次に、第4工程S4では、母材4と硬化肉盛層3との焼き入れが行われ、第5工程S5において、母材4と硬化肉盛層3との焼き戻しが行われる。ここで、第4工程S4の焼き入れは、母材4および硬化肉盛層3の組織にマルテンサイト変態を起こさせて硬化させるために適当な条件で行われ、例えば、母材4と硬化肉盛層3とが850〜950℃で1〜2時間程度加熱された後に水冷又は油冷により冷却される。また、第5工程の焼き戻しでは、例えば、母材4と硬化肉盛層3とが200〜350℃で3時間程度加熱した後に放冷により冷却される。
このような硬化肉盛層形成方法によって硬化肉盛層3が形成されると、未溶融の硬質粒子2が硬化肉盛層3に残存する一方、硬質粒子2の一部が溶けて炭素が溶加材に溶出する。このため、第3工程後の硬化肉盛層3の母相(溶加材)は、オーステナイトが安定化し、残留オーステナイトが多く含まれた組織となり、延性を有する。これにより、硬化肉盛層3において亀裂が発生し難くなる。
また、この硬化肉盛層3が第4工程において焼き入れされることにより、マルテンサイトが生成し、硬度が増大して耐摩耗性が向上すると共に、硬化肉盛層3の形成時の入熱で生成した脆弱な熱影響組織部(HAZ)が消失する。
さらに、硬化肉盛層3を形成するための溶接の熱によって硬度が低下していた母材4が焼き入れされることにより、母材4の硬度を増大させることもできる。
以下、本実施形態に係る硬化肉盛層形成方法の具体的実施例について説明する。なお、各実施例における条件を比較した表を図3に示す。
上述した溶接システム1および硬化肉盛層形成方法において、以下の条件で硬化肉盛層3を形成する。
〔母材4および溶接ワイヤ7の種類〕
母材4は、SH30製(NiCrMo鋼)であり、重量%で、C:0.25〜0.30%、Si:1.20〜1.60%、Mn:0.8〜1.0%、Ni:0.25〜0.35%、Cr:1.85〜2.15%、Mo:0.30〜0.40%、Al:0.03〜0.3%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる。
溶接ワイヤ7は、JFE溶接棒株式会社KC−50製(50kg級軟鋼、比重7.8)であり、φ1.2mmのものを用いた。
なお、溶接ワイヤ7の突出長さL1は25mmであり、トーチ角θは60°である。
〔溶接条件〕
溶接電流:330〜350A
溶接電圧:33V
溶接入熱:15.4〜15.6kJ/cm
溶接速度(トーチ5の移動速度):42〜45cm/min
なお、シールドガスとして、CO2を毎分30リットル供給する。
〔硬質粒子2供給ノズル6の移動条件〕
ウィービング波形:sin波
ウィービング周波数:3.0Hz
ウィービング幅:8.0〜9.8mm
硬質粒子2供給ノズル6とアーク発生部分までの距離L2:25mm
〔硬質粒子2の種類〕
硬質粒子2として、WC−Coを主成分とする超硬粒(比重14.5g/cm3)を用いた。この超硬粒は、超硬合金のスローアウェイチップ廃材の破砕粒から得られたものである。硬質粒子2に関する他の条件は以下の通りである。
硬質粒子2の粒径:0.71〜2.36mm
硬質粒子2の供給量:306.5g/min
粒子供給総体積:21.1cm3/min
硬質粒子2の含有率:38.5%
なお、硬質粒子2の含有率は、硬化肉盛層3の総断面積における硬質粒子2の断面積の割合を示すものであり、硬質粒子2の硬化肉盛層3への溶け混みを考慮しない見かけの含有率である。
〔熱処理条件〕
焼き入れ条件:950℃で1時間加熱した後、水冷
焼き戻し条件:200℃で3時間加熱した後、放冷
〔結果〕
焼き入れ前の硬化肉盛層3では、硬質粒子2が未溶融で残存していると共に、母相は、残留オーステナイトが非常に多い組織となる。また、硬化肉盛層3に亀裂は発生しない。
焼き入れ及び焼き戻し後の硬化肉盛層3では、母相にマルテンサイトが生成しており、硬度が向上する。また、硬化肉盛層3に亀裂は発生しない。さらに、焼き入れにより、母材4の硬度も向上する。
〔条件〕
硬質粒子2として、WC−Coを主成分とする超硬粒と、TiCおよびTiCN−Niを主成分とするサーメット粒とを混合したものを用いた。超硬粒については、実施例1と同様である。サーメット粒は、サーメットスローアウェイチップ廃材の破砕粒から得られたものである。サーメット粒の粒径は0.71〜2.36mmである。
硬質粒子2中の超硬粒とサーメット粒との配合率は、体積%で、超硬粒:62%、サーメット粒:38%であり、重量%で、超硬粒:76%、サーメット粒:24%である。
硬質粒子2の供給量は、超硬粒:163.0g/min、サーメット粒:49.5g/minである。
また、粒子供給総体積は、17.8cm3/minであり、硬質粒子2の含有率は37.1%である。
他の条件については、第1実施例と同様である。
〔結果〕
この場合も、実施例1と同様に、硬度が向上していると共に亀裂が発生していない硬化肉盛層3が得られる。また、1〜5μmの粒状のTiC又はTiCNが均一に析出し、硬質粒子2に超硬粒のみが配合された実施例1と比べて、母相のオーステナイトやマルテンサイトの組織が微細化する。また、実施例1のように、超硬粒の配合率が高いと、高い硬度が得られる一方で脆弱な(W,Fe)共晶炭化物が析出し易くなるが、硬度と靱性とのバランスの観点からは本実施例の配合率がより望ましいと考えられる。
また、実施例1と同様に、焼き入れにより母材4の硬度も向上する。
〔条件〕
硬質粒子2として、超硬粒とサーメット粒とを第2実施例とは異なる配合率で混合したものを用いた。
硬質粒子2中の超硬粒とサーメット粒との配合率は、体積%で、超硬粒:34%、サーメット粒:66%であり、重量%で、超硬粒:50%、サーメット粒:50%である。
硬質粒子2の供給量は、超硬粒:96.3g/min、サーメット粒:96.3g/minである。
また、粒子供給総体積は、19.5cm3/minであり、硬質粒子2の含有率は39.1%である。
他の条件については、第1実施例と同様である。
〔結果〕
この場合も、実施例1と同様に、硬度が向上していると共に亀裂が発生していない硬化肉盛層3が得られる。また、第2実施例と同様に、1〜5μmの粒状のTiCが均一に析出し、硬質粒子2に超硬粒のみが配合された実施例1と比べて、母相のオーステナイトやマルテンサイトの組織が微細化する。また、実施例1よりも(W,Fe)共晶炭化物の析出量が少なくなる。さらに、焼き入れにより母材4の硬度も向上する。
硬質粒子2として、超硬粒とサーメット粒とを第2実施例および第3実施例とは異なる配合率で混合したものを用いた。
硬質粒子2中の超硬粒とサーメット粒との配合率は、体積%で、超硬粒:12.5%、サーメット粒:88%であり、重量%で、超硬粒:22%、サーメット粒:78%である。
硬質粒子2の供給量は、超硬粒:36.5g/min、サーメット粒:126.5g/minである。
また、粒子供給総体積は、19.4cm3/minであり、硬質粒子2の含有率は39.0%である。
他の条件については、第1実施例と同様である。
〔結果〕
この場合も、実施例1と同様に、硬度が向上していると共に亀裂が発生していない硬化肉盛層3が得られる。また、第2実施例および第3実施例と同様に、1〜5μmの粒状のTiC又はTiCNが均一に析出し、硬質粒子2に超硬粒のみが配合された実施例1と比べて、母相のオーステナイトやマルテンサイトの組織が微細化する。また、実施例1よりも(W,Fe)共晶炭化物の析出量が少なくなる。さらに、焼き入れにより母材4の硬度も向上する。
硬質粒子2として、超硬粒が配合されておらずサーメット粒のみからなるものを用いた。
硬質粒子2の供給量は、158.5g/minである。
また、粒子供給総体積は、21.1cm3/minであり、硬質粒子2の含有率は38.5%である。
他の条件については、第1実施例と同様である。
〔結果〕
この場合も、実施例1と同様に、硬度が向上していると共に亀裂が発生していない硬化肉盛層3が得られる。さらに、焼き入れにより母材4の硬度も向上している。
母材4として、重量%で、C:0.32〜0.35%、Si:0.15〜0.35%、Mn:0.85〜1.10%、Cr:0.85〜1.10%、B:0.0005〜0.0050%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなるSBT−1H(MnCrB鋼)を用いた。
また、850℃で2時間加熱した後に水冷することで焼き入れを行い、200℃で3時間加熱した後に放冷することにより焼き戻しを行った。
他の条件については、実施例1と同様である。
この場合も、亀裂を発生させることなく硬度の高い硬化肉盛層3および母材4を得ることができる。
本発明は、硬化肉盛層における亀裂の発生を抑えると共に、耐摩耗性を向上させることができる効果を有し、硬化肉盛層形成方法として有用である。
本発明に係る硬化肉盛層形成方法で用いられる溶接システムの構成を示す図。 本発明に係る硬化肉盛層形成方法のフローを示す図。 各実施例の条件を比較した表を示す図。

Claims (4)

  1. 炭素鋼からなる溶加材を溶融させて母材上に溶融池を生成する工程と、
    炭化物又は炭窒化物を含有する硬質粒子を前記溶融池に供給する工程と、
    前記溶融池が凝固することにより、前記母材上に形成され前記硬質粒子を未溶融状態で含有すると共に前記硬質粒子の一部が溶融することによりオーステナイト組織を母相に含有する硬化肉盛層を得る工程と、
    前記母材および前記硬化肉盛層のオーステナイト組織にマルテンサイト変態を起こさせて硬化させるように前記母材および前記硬化肉盛層を焼き入れする工程と、
    を備える硬化肉盛層形成方法。
  2. 前記硬質粒子は、前記炭化物としてWCを含有する、
    請求項1に記載の硬化肉盛層形成方法。
  3. 前記硬質粒子は、WCを含有する第1粒子と、TiC又はTiCNを含有する第2粒子とを有する、
    請求項1または2に記載の硬化肉盛層形成方法。
  4. 前記母材および前記硬化肉盛層を焼き入れする工程では、前記硬化肉盛層が得られる際の入熱によって生成した脆弱な熱影響組織を消失させると共に、前記硬化肉盛層を硬化させる、
    請求項1から3のいずれかに記載の硬化肉盛層形成方法。
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