JP4899170B2 - 画像処理システム、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、画像に現れている多数の粒子像を検出し得る画像処理技術に関し、特に、電子顕微鏡像のような低S/N比の画像に現れている粒子像を検出し得る画像処理技術に関する。
タンパク質の複合体、核酸、脂質あるいは多糖類などの生体高分子の立体構造を解析する従来技術として、生体高分子を結晶化させた試料を作成し、この試料をX線結晶構造解析法により解析し評価するという技術が使用されている。ところが、かかる技術は試料の結晶化を必要とするため、膜タンパク質などの結晶化が困難な試料の解析にこの技術を適用することができなかった。なお、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)法は、試料の結晶化を必要としないものの、大きな分子量を有する生体高分子を解析することが一般に難しい。
そこで、試料の結晶化を必要としない方法として、極低温透過型電子顕微鏡(Cryo-TEM:Cryo-Transmission Electron Microscope)を用いてタンパク質の構造解析を行う単粒子構造解析法が提案されている。この単粒子構造解析法は、極低温透過型電子顕微鏡中で極低温に冷却された試料から得た高解像度のTEM画像を使用する。試料には、多数の粒子状の生体高分子(以下「粒子」と呼ぶ。)が含まれており、これら生体高分子はランダムな方向を向いている。単粒子構造解析法は、このTEM画像から個々の粒子を表す局所画像(以下「粒子画像」と呼ぶ。)を切り出し、これら粒子画像に基づいて粒子の3次元構造を推定する方法である。この方法によれば、同一方向を向いた粒子の粒子画像を加算平均することにより、画像のノイズ成分を低減させることができる。
単粒子構造解析法に関する先行技術文献としては、たとえば、非特許文献1(佐藤主税他:「単粒子解析法による結晶を用いない蛋白質構造解析:電圧依存性Naチャンネルの構造を例として」,電子顕微鏡,37(1), 40-44, 2002)が挙げられる。
以下、図1を参照しつつ、単粒子解析法の一例を説明する。図1は、非特許文献1に記載されている単粒子解析法の概要を説明するための図である。生体高分子の電子顕微鏡像は、電子線照射による試料の損傷を防ぐために分解能が制限され、ノイズ成分を多く含む画像となる。タンパク質のように電子線損傷を受けやすい生体高分子を撮像した場合、電子顕微鏡像のS/N比が低いので、電子顕微鏡の持つ本来の分解能を十分に発揮させることが難しい。それ故、1枚の電子顕微鏡像から十分な情報が得られないだけでなく、生体高分子の立体構造の再構成も容易ではないという問題がある。単粒子解析法は、かかる問題を克服する方法として注目されている。
単粒子解析法では、先ず、試料の電子顕微鏡像(ELECTRON MICROGRAPH)に現れている多数の粒子を特定する。粒子の特定は、肉眼により行われる。次いで、電子顕微鏡像からこれら粒子それぞれの局所画像(粒子画像)を切り出す。次に、これら局所画像について位置合わせと回転合わせが実行される。その後、粒子画像は、粒子が向いている方向別に複数のグループに分類される。同じグループ内の粒子画像を平均化することで高S/N比の2次元平均化像(投影像)を得、当該2次元平均化像を用いて粒子の3次元立体構造を推定する。凍結法による無染色電子顕微鏡像は分子内密度を反映した投影像を与えると考えられる。よって、高S/N比の2次元平均化像から1次元に投影した像(シノグラム)を生成し、これらシノグラムを相互に比較することで各2次元平均化像に現れている粒子の3次元上の方位角(オイラー角)や共有回転軸を推定することができる(図1左下)。そして、2次元平均化像、方位角および共有回転軸に基づいて粒子の立体構造が再構成される。立体構造の再構成方法は、たとえば、非特許文献2(Joachim Frank, "Three-Dimensional Electron Microscopy of Macromolecular Assemblies", Oxford University Press, 2006, pp. 193-276)に開示されている。
さらに、こうして得られた立体構造から再投影像を生成し、この再投影像を利用して2次元平均化像の位置合わせをした後に、さらに平均化することで新たな2次元平均化像を生成する。そして、新たな2次元平均化像に基づいて粒子の立体構造が再構成される。このような再投影像を利用した位置合わせと立体構造の再構成というプロセスを繰り返し実行することで高い分解能で立体構造を推定することが可能となる。
単粒子解析法に関する先行技術文献としては、非特許文献1や非特許文献2のほかに特許文献1(特開2008−134212号公報)が挙げられる。
佐藤主税,上野豊,小椋俊彦,藤吉好則:「単粒子解析法による結晶を用いない蛋白質構造解析:電圧依存性Na+チャンネルの構造を例として」、電子顕微鏡、第37巻、第1号、第40〜44ページ(2002年)。 Joachim Frank, "Three-Dimensional Electron Microscopy of Macromolecular Assemblies", Oxford University Press, pp. 193-276 (2006). van Heel M., "Multivariate statistical classification of noisy images (randomly oriented biological macromolecules)", Ultramicroscopy, vol.13, pp.165-183 (1984). van Heel M., "Classification of very large electron microscopical image data sets", Optik, vol. 82, pp.114-126 (1989). 特開2008−134212号公報
前述の如く、単粒子解析法では、電子顕微鏡像から粒子画像を切り出すために、電子顕微鏡像に現れている多数の粒子を特定する必要があるが、各粒子の特定は肉眼により行われていた。しかしながら、電子顕微鏡像のS/N比が低く、そのコントラスト(電子顕微鏡像の最も明るい部分と最も暗い部分との輝度差の大きさ)が低い場合には、電子顕微鏡像の中から、ノイズに埋もれた数千〜数万もの粒子を肉眼で識別することは非常に難しく、また、その識別には多大な時間と熟練を要するという問題がある。
肉眼で粒子を識別する代わりに、パターンマッチング法により、参照画像(テンプレート)を用いて電子顕微鏡像の中から粒子を探し出す画像処理を利用すれば、短時間で粒子を特定することができる。しかしながら、単なるパターンマッチング法では、粒子の検出精度が非常に低いという問題がある。
上記に鑑みて本発明の目的は、生体高分子のような粒子像を低S/N比の画像の中から高精度かつ短時間で検出し得る画像処理システム、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体を提供することである。
本発明によれば、複数の対象粒子像を含む全体画像から複数の部分画像を抽出する部分画像抽出部と、前記対象粒子像を模した参照粒子像の画像データが格納されている画像記憶部と、前記各部分画像について当該各部分画像と前記参照粒子像との間の類似度分布を算出し、前記類似度分布のピークを検出するピーク検出部と、前記各部分画像について当該各部分画像内の所定の基準位置から前記ピークの位置に至る位置設定ベクトルを算出するベクトル算出部と、前記全体画像の領域に対して前記位置設定ベクトルにより指定された位置に前記ピークの位置を設定して2次元ピーク分布を生成するピーク分布生成部と、を備えた画像処理システムが提供される。この画像処理システムでは、前記部分画像抽出部は、前記複数の部分画像のうち所定方向に隣り合う部分画像同士が重複するように前記全体画像から前記複数の部分画像を抽出する。
また、本発明によれば、(a)複数の対象粒子像を含む全体画像から複数の部分画像を抽出するステップと、(b)前記対象粒子像を模した参照粒子像の画像データを画像記憶部から読み出し、前記各部分画像について当該各部分画像と前記参照粒子像との間の類似度分布を算出し、前記類似度分布のピークを検出するステップと、(c)前記各部分画像について当該各部分画像内の所定の基準位置から前記ピークの位置に至る位置設定ベクトルを算出するステップと、(d)前記全体画像の領域に対して前記位置設定ベクトルを用いて指定された位置に前記ピークの位置を設定して2次元ピーク分布を生成するステップと、を備えた画像処理方法が提供される。この画像処理方法では、複数の部分画像は、当該複数の部分画像のうち所定方向に隣り合う部分画像同士が重複するように全体画像から抽出される。
また、本発明によれば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み出されてコンピュータに画像処理を実行させるプログラムが提供される。この画像処理は、複数の対象粒子像を含む全体画像から複数の部分画像を抽出する部分画像抽出処理と、前記対象粒子像を模した参照粒子像の画像データを画像記憶部から読み出し、前記各部分画像について当該各部分画像と前記参照粒子像との間の類似度分布を算出し、前記類似度分布のピークを検出するピーク検出処理と、前記各部分画像について当該各部分画像内の所定の基準位置から前記ピークの位置に至る位置設定ベクトルを算出するベクトル算出処理と、前記全体画像の領域に対して前記位置設定ベクトルを用いて指定された位置に前記ピークの位置を設定して2次元ピーク分布を生成するピーク分布生成処理と、を含み、前記部分画像抽出処理では、前記複数の部分画像のうち所定方向に隣り合う部分画像同士が重複するように前記全体画像から前記複数の部分画像が抽出される。
さらに、本発明によれば、前記プログラムを記録した記録媒体が提供される。
本発明による画像処理システム、画像処理方法およびプログラムは、いずれも、複数の対象粒子像を含む全体画像から抽出された複数の部分画像を利用する。これら部分画像は、所定方向に隣り合う部分画像同士が重複するように抽出されるので、隣り合う部分画像が同一の対象粒子像を含み得るものである。本発明による画像処理システム、画像処理方法およびプログラムでは、各部分画像と参照粒子像との間の類似度分布のピークが検出されるとともに、各部分画像内の基準位置からピークの位置に至る位置設定ベクトルが算出される。そして、全体画像の領域に対して位置設定ベクトルにより指定された位置にピークの位置を設定することで2次元ピーク分布が生成される。位置設定ベクトルは、対象粒子像の存在確率が比較的高い領域を指すベクトルであるので、2次元ピーク分布では、対象粒子像の位置にピークが集中しやすい。それ故、低S/N比の画像からでも、2次元ピーク分布に基づいて高精度かつ短時間で対象粒子像を検出することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(画像処理システムの構成)
図2は、本発明に係る一実施形態の画像処理システムである粒子構造解析装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。この粒子構造解析装置1は、粒子像検出部2と立体構造解析部3とを有する。図3は、粒子像検出部2の概略構成を示す機能ブロック図である。
図2に示されるように、粒子像検出部2には、電子顕微鏡像である全体画像が入力されている。この電子顕微鏡像は、タンパク質の複合体、核酸、脂質あるいは多糖類などの生体高分子を含む試料を透過型電子顕微鏡で撮像したTEM(Transmission Electron Microscope)画像である。粒子像検出部2は、TEM画像に現れている観測粒子像(以下「対象粒子像」と呼ぶ。)の位置を高精度かつ短時間で特定し、その結果を立体構造解析部3に与える。立体構造解析部3は、粒子像検出部2で特定された対象粒子像の立体構造を推定する機能を有する。立体構造解析部3の機能は、たとえば、非特許文献1や特許文献1に開示されている技術を利用したものであればよく、特に制限されるものではない。
なお、粒子像検出部2と立体構造解析部3は、単一の装置内に組み込まれていてもよいし、あるいは、小規模または大規模なコンピュータネットワーク(たとえば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network))を介して相互接続されていてもよい。
図3に示されるように、粒子像検出部2は、画像入力部10、部分画像抽出部11、ピーク検出部12、ベクトル算出部13、ピーク分布生成部14、粒子像探索部15、データ記憶部16、粒子画像抽出部17、画像分類部18、平均化処理部19、更新処理部20および画像メモリ21を有する。コントローラ22は、機能ブロック10〜21の動作を制御して全体の処理を司る機能を有している。データ記憶部16は、画像記憶部161、参照画像記憶部162、ピーク分布画像記憶部163および派生画像記憶部164を含む。
図3の粒子像検出部2の機能ブロック10〜15,17〜20,22の全部または一部は、半導体集積回路などのハードウェアで実現されてもよいし、あるいは、不揮発性メモリや光ディスクなどの記録媒体に記録されたプログラムまたはプログラムコードで実現されてもよい。このようなプログラムまたはプログラムコードは、機能ブロック10〜15,17〜20,22の全部または一部の処理を、CPUなどのプロセッサを有するコンピュータに実行させるものである。
データ記憶部16は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリなどの記録媒体(たとえば、半導体メモリや磁気記録媒体)と、この記録媒体に対してデータの書込と読出を行うための回路やプログラムとで構成することができる。各種記憶部161〜164は、予め記録媒体の所定の記憶領域上に構成されていてもよいし、あるいは、粒子像検出部2の動作時に割り当てられる適当な記憶領域上に構成されてもよい。
図3を参照すると、画像入力部10には、多数の対象粒子像を含む電子顕微鏡像が全体画像として入力される。画像入力部10は、全体画像を表す転送信号を受信する受信器であってもよいし、あるいは、記録媒体から全体画像のデータを読み出す装置であってもよい。画像入力部10は、入力された全体画像のデータを画像記憶部161に格納する。
部分画像抽出部11は、コントローラ22からの指示に応じて、複数の対象粒子像を含む全体画像を画像記憶部161から読み出し、当該読み出された全体画像から部分画像P〜P(Mは正整数)を抽出する。後述するように、部分画像P〜Pのうち所定方向に隣り合う部分画像P,Pi+1が互いに重複するように部分画像P〜Pが抽出される。これにより、隣り合う部分画像P,Pi+1が同一の対象粒子像の全部または一部を含むことが可能となる。
参照画像記憶部162は、全体画像に含まれ得る対象粒子像を模した参照粒子像を含む参照画像R〜R(Nは正整数)を格納している。本実施形態では、これら参照画像R〜Rは、それぞれ、粒子が向いている方向が異なる同一種の粒子像を表す画像である。たとえば、参照画像Rは対象粒子の正面を模した像、参照画像Rは対象粒子の底面を模した像、参照画像Rは粒子の側面を模した像とすることができる。
ピーク検出部12は、各部分画像Pについて、当該各部分画像Pと参照粒子像との間の類似度の2次元分布(以下「類似度分布」と呼ぶ。)を算出し、類似度分布に現れるピークを検出する。
より具体的には、先ず、ピーク検出部12は、参照画像記憶部162から参照画像R〜Rを読み出す。上述した通り、参照画像R〜Rは、それぞれ、対象粒子像を模した参照粒子像を含む。次に、ピーク検出部12は、各部分画像Pに対して各参照画像Rを移動させつつ、各部分画像Pと各参照画像Rとの間の類似度を順次算出することにより類似度分布DSj,k(x,y,θ)を得る。ここで、x、yは、各部分画像P対する各参照画像Rのx方向とy方向への移動量(シフト量)である。また、θは、各部分画像P対する各参照画像Rの点(x、y)周りの回転移動量である。そして、ピーク検出部12は、この類似度分布DSj,k(x,y,θ)に現れるピークを検出する。
たとえば、ピーク検出部12は、各部分画像Pの中から着目画素領域を順次選択するとともに、当該着目画素領域ごとに、当該着目画素領域を含む画像領域と参照画像Rとの間の類似度を算出することにより類似度分布DSj,k(x,y,θ)を得る。この場合、x、yは、各部分画像Pに対する各参照画像Rの基準位置から着目画素領域へのシフト量であり、θは、着目画素領域の周りの回転移動量である。着目画素領域は、1画素単位で順次選択されてもよいし、あるいは、4画素×4画素といった複数画素単位で順次選択されてもよい。類似度としては、公知の相互相関係数が好適であるが、これに限定されるものではない。たとえば、着目画素領域を含む画像領域と参照粒子像との間の残差二乗和を変数とする算術関数(たとえば、1/X:Xは残差二乗和)を類似度とすることもできる。
ピーク検出部12は、各部分画像Pについて、類似度分布DSj,k(x,y)から閾値以上の類似度を有するピークを検出し、この検出結果をベクトル算出部13とピーク分布生成部14に与える。ここで、各部分画像Pについて最大の類似度を持つ単一のピークのみを検出してもよいし、あるいは、各部分画像Pについて複数個のピークを検出してもよい。以下、各部分画像Pについて最大の類似度を持つ単一のピークのみを検出し、当該ピークを用いて対象粒子像を検出する方法を「MRP(Multi-Reference Pickup)法」と呼び、各部分画像Pについて少なくとも1つのピークを検出し、当該ピークを用いて対象粒子像を検出する方法を「MRMP(Multi-Reference Multiple Pickup)法」と呼ぶこととする。
ベクトル算出部13は、各部分画像Pについて当該各部分画像Pの局所領域内の所定の基準位置(たとえば、部分画像Pの中心)からピークPkの位置に至る位置設定ベクトルを算出する。各ピークPkとこれに対応する位置設定ベクトルとの組がピーク分布生成部14に与えられる。
ピーク分布生成部14は、各部分画像Pについて位置設定ベクトルにより指定された位置にピークPkの位置を設定して、全体画像領域に対応する2次元ピーク分布を生成する。ここで、ピークPkの位置は、全体画像領域における各部分画像Pの位置(大域的な位置)を基点として位置設定ベクトルで指定される位置に設定される。この2次元ピーク分布は、ピーク分布画像記憶部163に格納される。より具体的に説明すると、ピーク分布生成部14は、全体画像領域における各部分画像Pの所定の基準位置(x,y)を、当該各部分画像Pについて算出された位置設定ベクトルv=(δx,δy)だけシフトさせ、シフトされた基準位置P(x+δx,y+δy)を位置設定ベクトルv=(δx,δy)により指定された位置とする。
そして、粒子像探索部15は、ピーク分布画像記憶部163から2次元ピーク分布を読み出し、この2次元ピーク分布に現れるピークの密度(以下「ピーク密度」と呼ぶ。)が閾値以上となる領域(対象粒子像の存在確率が高い領域)を探索して各対象粒子像の位置を検出する。ここで、ピーク密度は、単位面積当たりのピークの個数を意味する。ピーク密度が閾値以上となる領域は、2次元ピーク分布が局在化した領域である。低S/N比の全体画像に基づいて生成された2次元ピーク分布には、ノイズに埋もれた対象粒子像と同じ領域またはその周辺領域に多数のピークが現れることが期待されるので、ピーク密度が高い領域では対象粒子像の存在確率が高い。
さらに、粒子像探索部15は、2次元ピーク分布に現れるピークの位置の類似度が閾値以上となる領域を探索し、その探索結果に基づいて対象粒子像の位置を検出する機能を有する。ここで、粒子像探索部15は、2次元ピーク分布に現れる複数のピークの位置が重複するときは、これら複数のピークが有する類似度の加算結果(累積類似度)に基づいて対象粒子像の位置を検出する。S/N比が比較的高い画像領域では、同一位置に複数のピークが重複して現れる場合があり、その位置に対象粒子像が存在する確率は非常に高い。粒子像探索部15は、そのような対象粒子像の位置を確実に検出することができる。
図3に示されるように、粒子像探索部15は、ピーク密度算出部150と位置検出部151とを含む。ピーク密度算出部150は、2次元ピーク分布に対して探索窓を走査させつつ、この探索窓内のピークの個数を計数し、その計数値に基づいてピーク密度を順次算出する機能を有している。位置検出部151は、(i)ピーク密度が第1の閾値以上となったとき、もしくは、(ii)探索窓内のピーク位置の類似度または累積類似度が第2の閾値以上となったとき、当該探索窓の位置に対象粒子像が位置すると判定する。あるいは、位置検出部151は、(i),(ii)の双方の検出条件が満たされたときに限り、当該探索窓の位置に対象粒子像が位置すると判定することもできる。ユーザは、全体画像の画質に応じて第1の閾値および第2の閾値をそれぞれ任意の値に設定することにより検出精度を調整することが可能である。粒子像探索部15は、このようにして検出された対象粒子像の位置を示すデータを粒子画像抽出部17に与える。
なお、探索窓の形状としては、少なくとも1つの画素を含む円形状や矩形状が挙げられるが、特に限定されるものではない。
粒子画像抽出部17は、粒子像探索部15により検出された位置にある対象粒子像を含む粒子画像を全体画像から抽出し(切り出し)、これら粒子画像のデータを画像メモリ21を介して図2の立体構造解析部3に出力する機能を有する。図2の立体構造解析部3は、粒子像検出部2から入力された粒子画像に基づいて対象粒子像の立体構造を推定する。
粒子像検出部2は、全体画像から抽出された粒子画像に基づいて、参照画像記憶部162に記憶されている参照粒子像の品質を向上させる機能ブロック18〜20を有している。
画像分類部18は、粒子画像から派生画像を生成し分類する機能を有している。コントローラ22の制御により、画像分類部18は、粒子画像抽出部17から入力された粒子画像を、参照画像記憶部162内の参照画像R〜Rと比較することにより、派生画像を1以上のグループに分類する。
具体的には、画像分類部18は、粒子画像抽出部17から入力された各粒子画像S(i)に基づいて、参照画像記憶部162内の参照画像R〜Rとの間でピーク類似度を有する派生画像S(i,0)〜S(i,P)(Pは正整数)を生成する。ここで、iは、粒子画像を一意に特定する番号である。派生画像は、数学的には、参照画像R〜Rに対して各粒子画像S(i)の相対位置を、X軸並進方向(水平画素方向)、Y軸並進方向(垂直画素方向)および角度方向にそれぞれ移動させることで得られる画像である。類似度として相互相関係数を使用する場合、各参照画像Rの画素値を要素とするベクトルと、各派生画像の画素値を要素とするベクトルとの内積すなわち相関係数に比例する量を類似度として算出することができる。生成された派生画像S(1,0)〜S(1,P),…,S(T,0)〜S(T,P)(Tは2以上の正整数)は、派生画像記憶部164に一時的に格納される。
次に、画像分類部18は、派生画像記憶部164から派生画像S(1,0)〜S(1,P),…,S(T,0)〜S(T,P)を読み出し、これら派生画像S(1,0)〜S(1,P),…,S(T,0)〜S(T,P)を1以上のグループに分類する。具体的には、画像分類部18は、派生画像S(1,0)〜S(1,P),…,S(T,0)〜S(T,P)の各々に対してベクトル化処理を行う。派生画像S(1,0)〜S(1,P),…,S(T,0)〜S(T,P)が、それぞれ、水平画素数nと垂直画素数mを有する2次元画像であるとすれば、ベクトル化処理では、各2次元画像のn×m個の画素値を要素とするn×m次元の位置ベクトルが生成される。
派生画像S(1,0)〜S(1,P),…,S(T,0)〜S(T,P)は、それぞれ対応する位置ベクトルにより、n×m次元のベクトル空間内に位置付けられる。画像分類部18は、派生画像S(1,0)〜S(1,P),…,S(T,0)〜S(T,P)を、n×m次元のベクトル空間(画素空間)内での近接度に応じてグループ分けすることができる。たとえば、このベクトル空間内で、互いの距離が閾値以下となるように局所的な空間内に偏って分布する所定数以上の派生画像を1つのグループとして抽出することが可能である。
あるいは、画素空間と共役なイメージ空間内で、局所的な空間内に偏って分布する派生画像を1つのグループとして抽出することもできる。イメージ空間の次元が画素空間の次元よりも低い場合には、イメージ空間で派生画像を分類し、画素空間の次元がイメージ空間の次元よりも低い場合には、画素空間で派生画像を分類することが好ましい。これにより、派生画像の分類処理を効率的に行うことができる。このような分類法は、対応分析(corresponding analysis)を用いた階層分類法(hierarchical ascendant classification)として知られている。階層分類法は、たとえば、非特許文献3(van Heel M., "Multivariate statistical classification of noisy images (randomly oriented biological macromolecules)", Ultramicroscopy, vol.13, pp.165-183 (1984))や非特許文献4(van Heel M., "Classification of very large electron microscopical image data sets", Optik, vol. 82, pp.114-126 (1989))に開示されている。
平均化処理部19は、複数の派生画像S(1,0)〜S(1,P),…,S(T,0)〜S(T,P)の画素値をグループごとに平均化することによりグループごとに2次元平均化像を生成する。この平均化は、ランダムノイズを除去し得る平均化(たとえば、算術平均化)であればよく、特に限定されるものではない。
なお、平均化処理部19は、派生画像の画素値に当該派生画像の類似度に応じた係数を重み付けてもよい。派生画像の類似度が高いほど、当該派生画像の画素値に重み付けるべき係数を大きな値に設定し、一方、派生画像の類似度が低いほど、当該派生画像の画素値に重み付けるべき係数を小さな値に設定することが好ましい。これにより、2次元平均化像の品質向上が可能となる。類似度の値と重み付け係数の値との対応関係を示すルックアップテーブル(図示せず)を予め用意しておけば、平均化処理部19は、このルックアップテーブルを参照して、類似度に応じた最適な重み付け係数を設定することが可能である。
画像分類部18は、下限Smax−Δと上限Smaxとの幅Δを各粒子画像または全体画像のS/N比に応じて変動させてもよい。すなわち、各粒子画像または全体画像のS/N比が高いほどΔを小さくし、粒子画像のS/N比が低いほどΔを大きくすることが好ましい。これにより、平均化処理部19で生成される2次元平均化像の品質の向上が可能となる。粒子画像のS/N比と幅Δの値との対応関係を示すルックアップテーブル(図示せず)を予め用意しておけば、画像分類部18は、このルックアップテーブルを参照して、各粒子画像または全体画像のS/N比に応じた最適な幅Δを設定することが可能である。
更新処理部20は、参照粒子像を含む参照画像R〜Rを2次元平均化像のデータで置き換えることで画像記憶部161の記憶内容を更新する機能を有する。すなわち、更新処理部20は、平均化処理部19で生成された2次元平均化像群の品質が参照画像R〜Rのそれよりも良好か否かを判定する。この判定は、両方の画像のS/N比や輪郭抽出結果を対比することで実行される。そして、更新処理部20は、2次元平均化像群の品質が参照画像R〜Rのそれよりも良好であると判定したときに、参照画像群を2次元平均化像群で置き換える。これにより、ピーク検出部12は、更新された参照画像R〜R(Pは正整数)を用いて、より高精度に類似度分布のピークを検出することが可能となる。
(粒子構造解析処理)
以上の構成を有する粒子構造解析装置1の動作を以下に説明する。図4は、粒子構造解析装置1による粒子構造解析処理の手順の一例を概略的に示すフローチャートである。図4の処理では、参照画像記憶部162の記憶内容を更新する処理は実行されない。
図4を参照すると、ステップS1では、部分画像抽出部11は、複数の対象粒子像を含む全体画像を画像記憶部161から読み出し、続けて、全体画像から部分画像P〜Pを抽出する(ステップS2)。これら部分画像P〜Pのうち所定方向(たとえば、X軸方向)に隣り合う部分画像P,Pi+1は、同一の対象粒子像を含み得るように互いに重複する。
図5は、全体画像30と部分画像P〜Pの一部Pa〜Pfとを模式的に示す図である。図5に示されるように、部分画像Pa〜PcはX軸方向に互いに重複するように全体画像30から抽出される。部分画像Pd〜Pfについても同様である。よって、部分画像Pa〜Pcは、検出されるべき同一の対象粒子像31を含み、部分画像Pd〜Pfは、検出されるべき同一の対象粒子像32を含む。部分画像Pa,Pb,Pcの位置は、それぞれ、全体画像30の有効領域の原点Oを基点とするベクトルVa,Vb,Vcで特定される。
次に、図4を参照すると、ステップS3で、ピーク検出部12は、処理対象となる部分画像Pを表す番号iを初期値「1」に設定して(ステップS3)、ピーク検出処理を開始する。ピーク検出部12は、参照画像記憶部162から参照画像R〜Rを読み出し、これら参照画像R〜Rと部分画像Pとの間の類似度分布DSi,k(x,y,θ)を算出し(ステップS4)、次いで、類似度分布DSi,k(x,y,θ)から、閾値以上の類似度を有する単数または複数のピークPt(i,1)〜Pt(i,Q)(Qは正整数)を検出する(ステップS5)。
ただし、粒子像検出部2がMRP法による処理モードで動作する場合、ピーク検出部12は、コントローラ22からの指示に従って類似度分布DSi,k(x,y,θ)から最大の類似度を持つ単一のピークPt(i,1)のみを検出する。一方、粒子像検出部2がMRMP法による処理モードで動作する場合、ピーク検出部12は、コントローラ22からの指示に従って類似度分布DSi,k(x,y,θ)から複数のピークPt(i,1)〜Pt(i,Q)を検出することができる。
次のステップS6で、ベクトル算出部13は、部分画像Pの局所領域内の所定の基準位置(部分画像Pの中心)からピークPt(i,1)〜Pt(i,Q)の位置に至る位置設定ベクトルV(1)〜V(Q)を算出する。
次に、ベクトル算出部13は、全ての部分画像P〜Pについてベクトル算出処理が終了したか否かを判定する(ステップS7)。全ての部分画像P〜Pについてベクトル算出処理が終了していない場合(ステップS7のNO)、番号iがインクリメントされ(ステップS8)、ステップS4〜S7が繰り返し実行される。
一方、全ての部分画像P〜Pについてベクトル算出処理が終了している場合(ステップS7のYES)、ピーク分布生成部14は、全体画像の領域に対して、位置設定ベクトルV(j)(iは1〜Mの整数、jは1〜Qの整数)で指定される位置にピークPt(i,j)の位置を設定することにより2次元ピーク分布を生成する(ステップS9)。その後、ピーク分布生成部14は、この2次元ピーク分布をピーク分布画像記憶部163に記録する(ステップS10)。
図6(A),(B)は、それぞれ、異なる方向から視たときの同一の参照粒子像を含む参照画像R,Rを例示する図である。図7(A)〜(C)は、図6(B)の参照画像Rと図5の部分画像Pa,Pb,Pcとに基づいて算出された位置設定ベクトルVSa,VSb,VScを示す図である。図7(A)〜(C)では、いずれも、対象粒子像31の略中心位置にピークが検出されている。このため、位置設定ベクトルVSa,VSb,VScは、それぞれ、部分画像Pa,Pb,Pcの中心から対象粒子像31の略中心位置に至るベクトルである。
この場合、ピーク分布生成部14は、全体画像の領域内で、部分画像Pa,Pb,Pcをそれぞれ位置設定ベクトルVSa,VSb,VScだけシフトさせる。この結果、図7(A)〜(C)に示されるように、部分画像Pa,Pb,Pcはそれぞれシフトして部分画像SPa,SPb,SPcとなる。そして、ピーク分布生成部14は、全体画像の領域内で、シフトされた部分画像SPa,SPb,SPcの基準位置(たとえば、中心)にピークの位置を設定する(ステップS9)。
ステップS10で2次元ピーク分布が記録された後は、粒子像探索部15は、この2次元ピーク分布をピーク分布画像記憶部163から読み出し、この2次元ピーク分布のピーク密度およびピーク値(上記の類似度または累積類似度)を用いて対象粒子像を探索することにより各対象粒子像の位置を検出する(ステップS11)。
図8は、2次元ピーク分布50の一例を模式的に示す図である。図8に示されるように、2次元ピーク分布50には、複数のピークPt,Pt,…が現れている。粒子像探索部15は、図8に示されるように、2次元ピーク分布50に対して探索窓51を走査させつつ、この探索窓内のピーク密度を順次算出する。同時に、粒子像探索部15は、2次元ピーク分布50に現れる複数のピークPtの位置が重複するときは、これら複数のピークが有する類似度を加算して累積類似度を得る。粒子像探索部15は、(i)ピーク密度が第1の閾値以上となったとき、あるいは、(ii)探索窓内のピーク位置の類似度または累積類似度が第2の閾値以上となったときに、探索窓51の位置に対象粒子像が存在すると判定し、その判定結果を粒子画像抽出部17に与える。
その後、粒子画像抽出部17は、画像記憶部161から全体画像を読み出し、この全体画像から、粒子像探索部15による探索結果に基づいて対象粒子像が存在する画像領域を粒子画像として抽出する(ステップS12)。粒子画像群は、画像メモリ21を介して図2の立体構造解析部3に転送される。
立体構造解析部3は、粒子像検出部2から転送された粒子画像群に基づいて対象粒子像の立体構造を推定する(ステップS13)。以上で粒子構造解析処理は終了する。
上記粒子構造解析処理が奏する効果は以下の通りである。
上述の通り、各部分画像Pと参照粒子像との間の類似度分布のピークが検出されるとともに、各部分画像P内の基準位置からピークの位置に至る位置設定ベクトルが算出される。そして、位置設定ベクトルにより指定された位置にピークの位置を設定することで2次元ピーク分布が生成される。位置設定ベクトルは、対象粒子像の存在確率が比較的高い領域を指すベクトルであるので、2次元ピーク分布では、対象粒子像の位置にピークが集中しやすい。それ故、低S/N比の全体画像からでも、2次元ピーク分布に基づいて高精度かつ短時間で対象粒子像を検出することが可能となる。
また、粒子像探索部15は、2次元ピーク分布のピーク密度や累積類似度に基づいて対象粒子像を探索するので、高い精度で対象粒子像を検出することが可能である。さらに、粒子像探索部15は、2次元ピーク分布に対して探索窓を走査させつつ、この探索窓内のピークの個数をピーク密度として順次算出する。それ故、少ない計算量で高速にピーク密度や累積類似度を順次算出して対象粒子像の位置を自動的に検出することができる。
特に、粒子像検出部2をMRMP法による処理モードで動作させた場合は、低S/N比の全体画像中でノイズに埋もれた対象粒子像の存在する領域に複数のピークが現れやすい。MRMP法は、上述の通り、各部分画像について複数のピークを検出し得、複数のピークを用いて対象粒子像を検出する方法であるので、非常に低いS/N比の全体画像から対象粒子像を高い精度で検出することができる。
したがって、立体構造解析部3は、対象粒子の立体構造を高精度に推定することが可能である。
なお、対象粒子の検出精度を向上させるために、部分画像抽出部11は、全体画像または部分画像の空間周波数成分のうち特定帯域の空間周波数成分のみを抽出するバンドパスフィルタを有していてもよい。このバンドパスフィルタを使用すれば、特定帯域の空間周波数成分から対象粒子像を検出することができる。たとえば、ハイパスフィルタを用いて、高帯域成分のみに存在するノイズを全体画像から除去したり、ローパスフィルタを用いて、個々の対象粒子像全体あるいは電子顕微鏡像全体で不均一な輝度分布を均一な輝度分布にしたりすることで、対象粒子像の検出精度を向上させることが可能である。
あるいは、部分画像抽出部11は、複数の異なる帯域の空間周波数成分を出力するフィルタバンクを有していてもよい。離散ウェーブレット変換を実行するフィルタを使用すると、1つの全体画像から複数の異なる帯域の空間周波数成分を得ることができる。複数の異なる帯域の空間周波数成分に基づいてそれぞれ2次元ピーク分布を生成すれば、これら2次元ピーク分布の中から、対象粒子像の検出に最適な2次元ピーク分布を選択することが可能である。
対象粒子の検出精度を向上させるために、ピーク分布生成部14は、2次元ピーク分布の空間周波数成分のうち特定帯域の空間周波数成分のみを抽出するバンドパスフィルタ、あるいは、複数の異なる帯域の空間周波数成分を出力し得るフィルタを有していてもよい。このようなフィルタを使用することで、全体画像の品質に応じて対象粒子像の検出に最適な帯域の空間周波数成分を得ることができる。
(繰り返し処理)
図9は、粒子構造解析装置1による粒子構造解析処理の別の手順を示すフローチャートである。図9のフローチャートのステップS1〜S13は、図4のフローチャートのステップS1〜S13と同一であるので、その詳細な説明を省略する。図9のフローチャートでは、参照画像記憶部162の記憶内容を更新するために、ステップS20,S21が新たに追加されている。
図9を参照すると、ステップS12では、上述の通り、粒子画像抽出部17が、画像記憶部161から全体画像を読み出し、この全体画像から、粒子像探索部15による探索結果に基づいて、対象粒子像が存在する画像領域を粒子画像として抽出する。粒子画像は、画像分類部18に出力される。
次のステップS20では、コントローラ22は、繰り返し処理を終了するか否かを判定する。繰り返し処理が終了しない場合(ステップS20のNO)、ステップS21のフィードバック処理が実行される。図10は、フィードバック処理の手順を概略的に示すフローチャートである。
図10を参照すると、ステップS220では、画像分類部18は、粒子画像抽出部17から入力された各粒子画像S(i)から複数の派生画像S(i,0)〜S(i,P)を生成する。図11(A),(B)および図12は、派生画像S(i,0)〜S(i,P)の生成方法を説明するための図である。
図11(A)に示されるように、各粒子画像S(i)に基づいて、P個のピーク類似度にそれぞれ対応するP個の派生画像S(i,0)〜S(i,P=P)が生成される。p番目の派生画像S(i,p)は、数学的には、パラメータxp,yp,θ=thpで定められる量だけ、それぞれ、X軸並進方向、Y軸並進方向および角度θの方向に粒子画像S(i)を移動させることで生成される画像である。図11(B)に示されるように、xpは、X軸並進方向の移動量、ypは、Y軸並進方向の移動量、thpは、原点Oの周りの回転移動量、をそれぞれ表している。ここで、各粒子画像S(i)について派生画像の個数は複数であるが、これに限定されるものではなく、派生画像の個数は各粒子画像S(i)について1個であってもよい。
図12は、粒子画像S(i)の移動量(X軸並進移動量、Y軸並進移動量および回転移動量)とピーク類似度との関係の一例を説明するための概略図である。図12のグラフには、移動量に応じた複数のピークが現れている。画像分類部18は、これらピークのうち、最大類似度Smaxを上限とし、Smax−Δを下限とする範囲内の類似度を有するピークSPmax,SPのみを選択する。画像分類部18は、このような範囲内のピークに対応する派生画像S(i,0)〜S(i,P)を生成する(ステップS220)。
全ての粒子画像S(1)〜S(T)について派生画像S(1,0)〜S(1,P),…,S(T,0)〜S(T,P)が生成された後、ステップS221では、画像分類部18は、派生画像記憶部164から派生画像S(1,0)〜S(1,P),…,S(T,0)〜S(T,P)を読み出す。さらに画像分類部18は、これら派生画像S(1,0)〜S(1,P),…,S(T,0)〜S(T,P)をベクトル化し、複数のグループに分類する。
次いで、平均化処理部19は、分類された複数の派生画像の画素値をグループごとに平均化することによりグループごとに2次元平均化像を生成する(ステップS222)。そして、更新処理部20は、参照粒子像を含む参照画像R〜Rのデータを2次元平均化像群のデータで置き換えることで画像記憶部161の記憶内容を更新する(ステップS223)。ここで、更新処理部20は、2次元平均化像群の品質が、参照画像R〜Rのそれよりも良好である場合に限り、参照画像R〜Rを2次元平均化像群に置きかえてもよい。その後、コントローラ22は、処理を図9のフローチャートに戻し、ステップS3〜S20の手順を繰り返し実行させる。
繰り返し処理の実行回数が所定回数に到達した場合や、対象粒子像の検出精度が一定精度に到達した場合に、コントローラ22は、繰り返し処理を終了すると判定して(ステップS20のYES)、画像分類部18、平均化処理部19および更新処理部20の動作を停止させる。そして、立体構造解析部3は、粒子像検出部2から入力された粒子画像群に基づいて対象粒子像の立体構造を推定する(ステップS13)。以上で粒子構造解析処理は終了する。
上記繰り返し処理が奏する効果は以下の通りである。
上記繰り返し処理では、参照画像R〜Rは、S/N比が向上した2次元平均化像に置き換えられる(ステップS222,S223)。それ故、図9のステップS3〜S12,S20〜S21を繰り返し実行することにより、対象粒子像の検出精度を高めることが可能となる。
特に、フィードバック処理(図10)では、粒子画像から複数の派生画像が生成され、これら派生画像が複数のグループに分類される(ステップS220〜S221)。それ故、2次元平均化像の品質を向上させることができ、対象粒子像の検出精度をさらに高めることが可能となる。
(テストによる評価)
次に、粒子構造解析装置1の動作テストの実行結果について説明する。粒子構造解析装置1の機能をコンピュータプログラムで実現し、このコンピュータプログラムを実行することによりテストが実行された。
図13は、テストに使用された参照粒子像(モデル粒子像)を含む参照画像100〜103を示す図である。図13に示されるように、参照画像100の参照粒子像を0度、90度、180度および270度回転させることにより、それぞれ、4個の参照画像100,101,102,103が生成された。これら4個の参照画像100〜103を無作為に選択し、5120画素×5120画素の2次元画像内のランダムな位置に分布させた。さらに、この2次元画像にノイズを重畳させることにより100個または200個の対象粒子像を含む全体画像30が生成された。
図14(A)は、SN比(=S/N比)0.1の全体画像30中の対象粒子像を、図14(B)は、SN比0.01の全体画像30中の対象粒子像を、図14(B)は、SN比0.001の全体画像30中の対象粒子像を、それぞれ示す図である。
MRP法およびMRMP法を用いた第1の動作モード(図4)により、このような全体画像30から対象粒子像を検出した。図15(A)は、全体画像30を示す図であり、図15(B)は、この全体画像30の一部領域Wdを拡大表示した図である。図15(B)に示されるように、白線の枠で囲まれた領域が、MRMP法を用いて検出され(拾い上げられ)た対象粒子像を示している。
図16は、100個の対象粒子像を拾い上げたときの拾い上げ効率のS/N比依存性を示すグラフである。このグラフの横軸は、全体画像30のSN比(=S/N比)を示し、グラフの縦軸は、拾い上げ効率を示している。ここで、「拾い上げ効率」とは、全体画像30中のモデル粒子像の実際の位置と、検出された対象粒子像の位置との一致率(%)である。たとえば、検出された100個の対象粒子像の位置のうち50個の位置がモデル粒子像の実際の位置と一致した場合、拾い上げ効率は50%となる。図16のグラフ中、記号「×」は、MRP法による平均拾い上げ効率を、記号「○」は、MRMP法による平均拾い上げ効率を、それぞれ示している。実線は、MRP法による平均拾い上げ効率を示す点を結んだものである。このグラフでは、判別しにくいが、SN比が、1、0.1、0.01のそれぞれの拾い上げ効率の値は、MRP法とMRMP法とでほぼ同じであった。
図17は、200個の対象粒子像を拾い上げたときの拾い上げ効率のS/N比依存性を示すグラフである。このグラフの横軸は、全体画像30のSN比(=S/N比)を示し、グラフの縦軸は、拾い上げ効率を示している。たとえば、検出された200個の対象粒子像の位置のうち100個の位置がモデル粒子像の実際の位置と一致した場合、拾い上げ効率は50%となる。図17のグラフ中、実線は、MRP法による平均拾い上げ効率を、○の記号は、SN比0.001の全体画像30に対するMRMP法による平均拾い上げ効率を、それぞれ示している。
図16および図17のグラフによれば、ともに、10−2オーダーの低S/N比の全体画像30から100%の効率で対象粒子像が拾い上げられていることが分かる。特に、MRMP法を使用して対象粒子像を拾い上げた場合は、MRP法を使用して対象粒子像を拾い上げた場合と比べて、拾い上げ効率が向上していることが分かる。
図18は、S/N比0.001の全体画像30から100個の対象粒子像を拾い上げたときの拾い上げ効率のパラメータ依存性を示すグラフである。このグラフの横軸は、図8の探索窓51の半径Rとピーク密度に対する閾値ρとの組み合わせ(パラメータ)を示している。ピーク密度が閾値ρ以上となったときに、探索窓51の位置に対象粒子像が位置すると判定された。一方、図19は、S/N比0.001の全体画像30から200個の対象粒子像を拾い上げたときの拾い上げ効率のパラメータ依存性を示すグラフである。このグラフの横軸も、図8の探索窓51の半径Rとピーク密度に対する閾値ρとの組み合わせ(パラメータ)を示している。図18と図19のグラフには、ともに、MRP法による拾い上げ効率とMRMP法による拾い上げ効率とが示されている。
図18および図19のグラフによれば、MRP法とMRMP法の双方で、パラメータを調整すれば、略100%の拾い上げ効率を達成できることが分かる。また、MRMP法を使用した場合は、MRP法を使用した場合と比べて、拾い上げ効率のパラメータの設定値に対する依存性が低いことが分かる。言い換えれば、MRMP法は、パラメータに対して優れた耐ノイズ性を有し、パラメータ変動に対して高いロバストネス(robustness)を有する。
図20は、S/N比0.001の全体画像30から100個の対象粒子像を拾い上げたとき、拾い上げられた対象粒子像の累積頻度分布を示すグラフである。図21は、S/N比0.001の全体画像30から200個の対象粒子像を拾い上げたとき、拾い上げられた対象粒子像の累積頻度分布を示すグラフである。図20および図21は、異なるパラメータ(半径Rと閾値ρの組み合わせ)が使用された場合の合計16個のグラフからなり、各グラフには、使用されたパラメータの値が示されている。また、各グラフの縦軸は、拾い上げられた対象粒子像の累積頻度を示しており、各グラフの横軸は、全体画像30中のモデル粒子像の実際の位置と、拾い上げられた対象粒子像の位置との間の距離(単位:ピクセル)を示している。各グラフの横軸は、100個または200個のモデル粒子像のうちi番目のモデル粒子像の位置P(i)と、拾い上げられた100個または200個の対象粒子像のうち位置P(i)に最近接の対象粒子像の位置Q(i)との間のズレを表している。各グラフ中、破線はMRP法を用いた場合の結果を、実線はMRMP法を用いた場合の結果を、それぞれ示している。
図20と図21のグラフについては、累積頻度が0から100へ収束するときの曲線の立ち上がり部分の傾きが大きいほど、拾い上げられた対象粒子像の位置ズレは小さいので、対象粒子像の検出精度は高い。図20および図21のグラフによれば、MRP法とMRMP法の双方で、パラメータを調整すれば、高い検出効率を達成できることが分かる。また、MRMP法を使用した場合は、MRP法を使用した場合と比べて、パラメータの設定値に関係せずに、概ね、累積頻度の収束性が良好である。これらグラフから、MRMP法は、パラメータに対して優れた耐ノイズ性を有し、パラメータ変動に対して高いロバストネスを有することが分かる。
図22および図23は、TRPM2と呼ばれるタンパク質の観測粒子像を含む電子顕微鏡を全体画像30としたときに得られたグラフである。図22は、拾い上げ粒子数(拾い上げられた観測粒子像の個数)と相関値との関係を示すグラフであり、図23は、相関値と拾い上げられた観測粒子像の頻度分布を示している。各グラフには、使用されたパラメータ(半径Rと閾値ρの組み合わせ)の値が示されている。また、各グラフ中、破線はMRP法を用いた場合の結果を、実線はMRMP法を用いた場合の結果を、点線は、目視で観測粒子像を特定した場合の結果を、それぞれ示している。
図22のグラフの相関値は、拾い上げられ(検出され)た観測粒子像とTRPM2タンパク質の3次元構造の射影画像との間の相互相関係数である。図22のグラフは、相関値が高いほど、観測粒子像の検出精度が高いことを意味している。図22のグラフによれば、MRP法とMRMP法をそれぞれ使用した場合、パラメータを調整すれば、目視で観測粒子像を検出した場合よりも高い検出精度を達成できていることが分かる。たとえば、(R=1、ρ=1.00)、(R=2、ρ=0.50)、(R=2、ρ=1.00)、(R=3、ρ=0.67)、(R=5、ρ=0.40)というパラメータを使用した場合は、目視で観測粒子像を検出した場合よりも、高い検出精度が得られている。
また、図22のグラフによれば、MRMP法を使用した場合は、MRP法を使用した場合と比べて、観測粒子像の検出精度のパラメータ依存性が低いことが分かる。よって、MRMP法は、パラメータに対して優れた耐ノイズ性を有し、パラメータ変動に対して高いロバストネスを有することが分かる。
図23のグラフの相関値は、拾い上げられ(検出され)た観測粒子像とTRPM2タンパク質の3次元構造の射影画像との間の相互相関係数である。頻度分布の偏りが相関値の高い方にシフトするほど、観測粒子像の検出精度が高い。図23のグラフによれば、概ね、MRP法とMRMP法をそれぞれ使用した場合、目視で観測粒子像を検出した場合よりも高い検出精度を達成できていることが分かる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。たとえば、上記実施形態では、粒子構造解析装置1に入力される全体画像は電子顕微鏡像であり、参照画像記憶部162に記憶されている参照画像R〜Rは、生体高分子像を模した粒子像であるが、これに限定されるものではない。全体画像が、生体高分子像以外の対象粒子像を含む低S/N比画像であってもよいし、参照画像R〜Rが、生体高分子像以外の対象粒子像を模した画像であってもよい。上記実施形態の粒子構造解析装置1は、たとえば、地上を撮した衛星画像から、建築物などの構造物の像を対象粒子像として検出することができる。
また、粒子像検出部2の処理を並列化することができる。たとえば、複数のプロセッサを使用して、ピーク検出部12における類似度算出処理を、参照画像R(kは1〜Nのうちの任意整数)別にあるいは部分画像別に並列化することができる。
単粒子解析法の概要を説明するための図である。 本発明に係る一実施形態の画像処理システムである粒子構造解析装置の概略構成を示す機能ブロック図である。 粒子像検出部の概略構成を示す機能ブロック図である。 粒子構造解析処理の手順を概略的に示すフローチャートである。 全体画像と部分画像の一部とを模式的に示す図である。 (A),(B)は、それぞれ、異なる方向から視たときの同一の参照粒子像を含む参照画像を例示する図である。 (A)〜(C)は、図6(B)の参照画像と図5の部分画像とに基づいて算出された位置設定ベクトルを示す図である。 2次元ピーク分布を模式的に示す図である。 繰り返し処理を伴う粒子構造解析処理の手順を示すフローチャートである。 フィードバック処理の手順を概略的に示すフローチャートである。 派生画像の生成方法を説明するための図である。 移動量とピーク類似度との関係の一例を説明するための概略図である。 テスト用参照画像を示す図である。 (A),(B),(C)は、それぞれ、0.1、0.01、0.001のSN比(S/N比)を有するモデル粒子像(対象粒子像)を示す図である。 (A)は、全体画像を示す図であり、(B)は、全体画像の一部領域Wdを拡大した図である。 対象粒子像の拾い上げ効率のS/N比依存性を示すグラフである。 対象粒子像の拾い上げ効率のS/N比依存性を示すグラフである。 対象粒子像の拾い上げ効率のパラメータ依存性を示すグラフである。 対象粒子像の拾い上げ効率のパラメータ依存性を示すグラフである。 拾い上げられた対象粒子像の累積頻度分布を示すグラフである。 拾い上げられた対象粒子像の累積頻度分布を示すグラフである。 TRPM2タンパク質の観測粒子像を含む電子顕微鏡像から得られたグラフである。 TRPM2タンパク質の観測粒子像を含む電子顕微鏡像から得られたグラフである。
符号の説明
1 粒子構造解析装置(画像処理システム)
2 粒子像検出部
3 立体構造解析部
10 画像入力部
11 部分画像抽出部
12 ピーク検出部
13 ベクトル算出部
14 ピーク分布生成部
15 粒子像探索部
150 ピーク密度算出部
151 位置検出部
16 データ記憶部
161 画像記憶部
162 参照画像記憶部
163 ピーク分布画像記憶部
164 派生画像記憶部
17 粒子画像抽出部
18 画像分類部
19 平均化処理部
20 更新処理部
21 画像メモリ
22 コントローラ
30 全体画像
31,32 対象粒子像

Claims (29)

  1. 複数の対象粒子像を含む全体画像から複数の部分画像を抽出する部分画像抽出部と、
    前記対象粒子像を模した参照粒子像の画像データが格納されている画像記憶部と、
    前記各部分画像について当該各部分画像と前記参照粒子像との間の類似度分布を算出し、前記類似度分布のピークを検出するピーク検出部と、
    前記各部分画像について当該各部分画像内の所定の基準位置から前記ピークの位置に至る位置設定ベクトルを算出するベクトル算出部と、
    前記全体画像の領域に対して前記位置設定ベクトルにより指定された位置に当該ピークの位置を設定して2次元ピーク分布を生成するピーク分布生成部と、
    を備え、
    前記部分画像抽出部は、前記複数の部分画像のうち所定方向に隣り合う部分画像同士が重複するように前記全体画像から前記複数の部分画像を抽出する、画像処理システム。
  2. 請求項1に記載の画像処理システムであって、前記ピーク分布生成部は、前記各部分画像内の当該所定の基準位置を、当該各部分画像について算出された前記位置設定ベクトルだけシフトさせ、当該シフトされた基準位置を前記位置設定ベクトルにより指定された位置とする、画像処理システム。
  3. 請求項1または2に記載の画像処理システムであって、前記ピーク検出部は、前記各部分画像について、閾値以上の類似度を有する少なくとも1つのピークを検出する、画像処理システム。
  4. 請求項1に記載の画像処理システムであって、前記ピーク検出部は、前記各部分画像の中から着目画素領域を順次選択するとともに、前記着目画素領域ごとに前記参照粒子像と前記着目画素領域を含む画像領域との類似度を算出することにより前記類似度分布を得る、画像処理システム。
  5. 請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の画像処理システムであって、前記2次元ピーク分布に基づいて前記対象粒子像の位置を検出する粒子像探索部をさらに備える画像処理システム。
  6. 請求項5に記載の画像処理システムであって、前記粒子像探索部は、前記2次元ピーク分布に現れるピークの密度が閾値以上となる領域を探索し、その探索結果に基づいて前記対象粒子像の位置を検出する、画像処理システム。
  7. 請求項6に記載の画像処理システムであって、
    前記粒子像探索部は、
    前記2次元ピーク分布に対して探索窓を走査させつつ、前記探索窓内のピークの個数に基づいて前記密度を順次算出するピーク密度算出部と、
    前記密度が閾値以上となったときの前記探索窓の位置に前記対象粒子像が位置すると判定する位置検出部と、
    を含む、画像処理システム。
  8. 請求項5から7のうちのいずれか1項に記載の画像処理システムであって、
    前記粒子像探索部は、前記2次元ピーク分布に現れるピークの位置の類似度が閾値以上となる領域を探索し、その探索結果に基づいて前記対象粒子像の位置を検出し、
    前記2次元ピーク分布に現れる複数のピークの位置が重複するときは、前記複数のピークがそれぞれ有する類似度の加算結果に基づいて前記対象粒子像の位置が検出される、画像処理システム。
  9. 請求項5から8のうちのいずれか1項に記載の画像処理システムであって、
    前記粒子像探索部により検出された位置にある対象粒子像を含む粒子画像を前記全体画像から抽出する粒子画像抽出部と、
    前記粒子画像または当該粒子画像から派生させた派生画像を複数のグループに分類する画像分類部と、
    当該分類された粒子画像または派生画像を前記グループごとに平均化して2次元平均化像を生成する平均化処理部と、
    前記参照粒子像の画像データを前記2次元平均化像のデータで置き換えることで前記画像記憶部の記憶内容を更新する更新処理部と、
    をさらに備え、
    前記部分画像抽出部、前記ピーク検出部、前記ベクトル算出部、前記ピーク分布生成部および前記粒子像探索部は、前記2次元平均化像中の粒子像を前記参照粒子像として使用した処理を再度実行する、画像処理システム。
  10. 請求項9に記載の画像処理システムであって、前記部分画像抽出部、前記ピーク検出部、前記ベクトル算出部、前記ピーク分布生成部、前記粒子像探索部、前記粒子画像抽出部、前記平均化処理部および前記更新処理部は、繰り返し処理を実行する、画像処理システム。
  11. 請求項9または10に記載の画像処理システムであって、前記画像分類部は、粒子が向いている方向別に前記粒子画像または前記派生画像を複数のグループに分類する、画像処理システム。
  12. 請求項1から11のうちのいずれか1項に記載の画像処理システムであって、前記全体画像は、試料に含まれる複数の生体高分子を電子顕微鏡で撮像した画像である、画像処理システム。
  13. 請求項1から12のうちのいずれか1項に記載の画像処理システムであって、前記粒子画像に基づいて前記対象粒子像の立体構造を推定する立体構造推定部をさらに備える画像処理システム。
  14. (a)複数の対象粒子像を含む全体画像から複数の部分画像を抽出するステップと、
    (b)前記対象粒子像を模した参照粒子像の画像データを画像記憶部から読み出し、前記各部分画像について当該各部分画像と前記参照粒子像との間の類似度分布を算出し、前記類似度分布のピークを検出するステップと、
    (c)前記各部分画像について当該各部分画像内の所定の基準位置から前記ピークの位置に至る位置設定ベクトルを算出するステップと、
    (d)前記全体画像の領域に対して前記位置設定ベクトルを用いて指定された位置に当該ピークの位置を設定して2次元ピーク分布を生成するステップと、
    を備え、
    前記ステップ(a)において、前記複数の部分画像は、当該複数の部分画像のうち所定方向に隣り合う部分画像同士が重複するように前記全体画像から抽出される、画像処理方法。
  15. 請求項14に記載の画像処理方法であって、前記ステップ(b)では、前記各部分画像について、閾値以上の類似度を有する少なくとも1つのピークが検出される、画像処理方法。
  16. 請求項14に記載の画像処理方法であって、
    (e)前記2次元ピーク分布に基づいて前記対象粒子像の位置を検出するステップ、
    をさらに備える画像処理方法。
  17. 請求項16に記載の画像処理方法であって、前記ステップ(e)は、前記2次元ピーク分布に現れるピークの密度が閾値以上となる領域を探索し、その探索結果に基づいて前記対象粒子像の位置を検出するステップを含む、画像処理方法。
  18. 請求項17に記載の画像処理方法であって、
    前記ステップ(e)は、
    前記2次元ピーク分布に対して探索窓を走査させつつ、前記探索窓内のピークの個数に基づいて前記密度を順次算出するステップと、
    前記密度が閾値以上となったときに前記探索窓の位置に前記対象粒子像が位置すると判定するステップと、
    を含む、画像処理方法。
  19. 請求項16から18のうちのいずれか1項に記載の画像処理方法であって、
    前記ステップ(e)は、前記2次元ピーク分布に現れるピークの位置の類似度が閾値以上となる領域を探索し、その探索結果に基づいて前記対象粒子像の位置を検出するステップを含み、
    前記2次元ピーク分布に現れる複数のピークの位置が重複するときは、前記複数のピークがそれぞれ有する類似度の加算結果に基づいて前記対象粒子像の位置が検出される、画像処理方法。
  20. 請求項16から19のうちのいずれか1項に記載の画像処理方法であって、
    (f)前記対象粒子像を探索することにより検出された位置にある対象粒子像を含む粒子画像を前記全体画像から抽出するステップと、
    (g)前記粒子画像または当該粒子画像から派生させた派生画像を複数のグループに分類し、当該分類された粒子画像または派生画像を前記グループごとに平均化して2次元平均化像を生成するステップと、
    (h)前記参照粒子像の画像データを前記2次元平均化像のデータで置き換えることで前記画像記憶部の記憶内容を更新するステップと、
    をさらに備え、
    前記ステップ(a)〜(d)は、前記2次元平均化像中の粒子像を前記参照粒子像として使用して再度実行される、画像処理方法。
  21. 請求項20に記載の画像処理方法であって、前記ステップ(a)〜(h)は繰り返し実行される、画像処理方法。
  22. コンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み出されてコンピュータに画像処理を実行させるプログラムであって、
    前記画像処理は、
    複数の対象粒子像を含む全体画像から複数の部分画像を抽出する部分画像抽出処理と、
    前記対象粒子像を模した参照粒子像の画像データを画像記憶部から読み出し、前記各部分画像について当該各部分画像と前記参照粒子像との間の類似度分布を算出し、前記類似度分布のピークを検出するピーク検出処理と、
    前記各部分画像について当該各部分画像内の所定の基準位置から前記ピークの位置に至る位置設定ベクトルを算出するベクトル算出処理と、
    前記全体画像の領域に対して前記位置設定ベクトルを用いて指定された位置に当該ピークの位置を設定して2次元ピーク分布を生成するピーク分布生成処理と、
    を含み、
    前記部分画像抽出処理では、前記複数の部分画像のうち所定方向に隣り合う部分画像同士が重複するように前記全体画像から前記複数の部分画像が抽出される、プログラム。
  23. 請求項22に記載のプログラムであって、前記画像処理は、前記2次元ピーク分布に基づいて前記対象粒子像の位置を検出する粒子像探索処理をさらに含む、プログラム。
  24. 請求項23に記載のプログラムであって、
    前記画像処理は、
    前記粒子像探索処理により検出された位置にある対象粒子像を含む粒子画像を前記全体画像から抽出する粒子画像抽出処理と、
    前記粒子画像または当該粒子画像から派生させた派生画像を複数のグループに分類する画像分類処理と、
    当該分類された粒子画像または派生画像を前記グループごとに平均化して2次元平均化像を生成する平均化処理と、
    前記参照粒子像の画像データを前記2次元平均化像のデータで置き換えることで前記画像記憶部の記憶内容を更新する更新処理と、
    をさらに含み、
    前記部分画像抽出処理、前記ピーク検出処理、前記ベクトル算出処理および前記ピーク分布生成処理は、前記2次元平均化像中の粒子像を前記参照粒子像として使用して再度実行される、プログラム。
  25. 請求項24に記載のプログラムであって、前記部分画像抽出処理、前記ピーク検出処理、前記ベクトル算出処理、前記ピーク分布生成処理、前記粒子像探索処理、前記粒子画像抽出処理、前記平均化処理および前記更新処理は繰り返し実行される、プログラム。
  26. コンピュータに画像処理を実行させるプログラムを記録した記録媒体であって、
    前記画像処理は、
    複数の対象粒子像を含む全体画像から複数の部分画像を抽出する部分画像抽出処理と、
    前記対象粒子像を模した参照粒子像の画像データを画像記憶部から読み出し、前記各部分画像について当該各部分画像と前記参照粒子像との間の類似度分布を算出し、前記類似度分布のピークを検出するピーク検出処理と、
    前記各部分画像について当該各部分画像内の所定の基準位置から前記ピークの位置に至る位置設定ベクトルを算出するベクトル算出処理と、
    前記全体画像の領域に対して前記位置設定ベクトルを用いて指定された位置に当該ピークの位置を設定して2次元ピーク分布を生成するピーク分布生成処理と、
    を含み、
    前記部分画像抽出処理では、前記複数の部分画像のうち所定方向に隣り合う部分画像同士が重複するように前記全体画像から前記複数の部分画像が抽出される、記録媒体。
  27. 請求項26に記載の記録媒体であって、前記画像処理は、前記2次元ピーク分布に現れるピークの密度に基づいて前記対象粒子像を探索することにより前記対象粒子像の位置を検出する粒子像探索処理をさらに含む、記録媒体。
  28. 請求項27に記載の記録媒体であって、
    前記画像処理は、
    前記粒子像探索処理により検出された位置にある対象粒子像を含む粒子画像を前記全体画像から抽出する粒子画像抽出処理と、
    前記粒子画像または当該粒子画像から派生させた派生画像を複数のグループに分類する画像分類処理と、
    当該分類された粒子画像または派生画像を前記グループごとに平均化して2次元平均化像を生成する平均化処理と、
    前記参照粒子像の画像データを前記2次元平均化像のデータで置き換えることで前記画像記憶部の記憶内容を更新する更新処理と、
    をさらに含み、
    前記部分画像抽出処理、前記ピーク検出処理、前記ベクトル算出処理および前記ピーク分布生成処理は、前記2次元平均化像中の粒子像を前記参照粒子像として使用して再度実行される、記録媒体。
  29. 請求項28に記載の記録媒体であって、前記部分画像抽出処理、前記ピーク検出処理、前記ベクトル算出処理、前記ピーク分布生成処理、前記粒子像探索処理、前記粒子画像抽出処理、前記平均化処理および前記更新処理は繰り返し実行される、記録媒体。
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