JP4897821B2 - 光学ヘテロダインサンプリング装置 - Google Patents

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Description

本発明の分野は、物質の機械的、熱的、または光学的特性の、超高速、非破壊測定である。超高速測定は、ピコ秒のオーダーの時間分解能を有する測定を意味すると理解される。
このタイプの時間分解能を有する測定値を、それぞれが「ポンプ」および「プローブ」列と称され、パルス周期Tを有し、各パルスは、約100フェムト秒(fs)の持続時間τを有する、2つのパルス列を使用するサンプリング技術を介して得ることが知られている。
ポンプビームは、物質またはサンプル内に擾乱を引き起こし、それに応答して、その光学特性(反射率、吸収、膨張、収縮など)に依存する光学信号を生成する。プローブビームは、「ポンプ−プローブ」遅延と称される量Tpsだけ遅延され、物質の反応を読み取る。プローブビームは一般的には、ポンプビームよりも強度が低い。物質の時間的反応は、この遅延を、ゼロと、最大でパルス列の周期Tに等しい持続時間の間で変化させることにより再構築される。実際は、この持続時間は、Tよりも遥かに短い。典型的には、Tは13nsのオーダーであり、遅延における変動は、典型的には2または3nsに制限されている。
通常は、ポンプとプローブの両者のパルス列は、同じパルス繰返し周期Tを有しており、従って、サンプリングは、「ホモダイン」と称される。図1は、ホモダインサンプリングの場合の、遅延Tpsによるポンプおよびプローブパルス列のオフセットを、この遅延に対して得られるサンプル反応の値と共に示している。この技術を利用することを可能にするアセンブリの例が、図2に図示されている。ホモダインサンプリング装置100は、レーザービームを、変調器8により変調されるポンプビームと、光学遅延線11により遅延される第2のプローブビームに分割できる分割器9に接続されるレーザー源10を具備する。変調器の目的は、信号を変換してより高い周波数を有するようにして、それにより前記信号を、信号の周波数をfとしたときの、1/fの範囲のノイズから切離すことである。2つのビームは、その後、顕微鏡レンズ30を介して、サンプル200上を指すように焦点を合わされる前に、連結器20により連結される。図における例においては、サンプル反応は、反射により得られる。反応は、ポンプビームフィルタ60でフィルタ処理された後に、光検出器50に導かれる。光検出器は、信号のベースバンドにおける再構築を可能にする復調器12を介して、取得システム70に接続される。
遅延Tpsは、ビームの1つの経路内に配置されたミラーの機械的平行移動システムを具備する光学遅延線により生成され制御される。遅延は、下記に公式により平行移動に関連付けられる。
ps=d/c
ここにおいてdは遅延線の長さであり、cは光速である。
大きさのオーダーに留意すると、30μmの長さdは、100fsの遅延を引き起こす。実際は、遅延線の長さは制限されている。実際、30cm以上の変位は、1つのビームの点の、他のビームに対する点への合焦に重大な影響を与える。10nsの遅延は、3mの長さdを必要とし、従って、達成するのは難しい。時間遅延に対する2から3nsの制限は、変位に対するこの制限に対応する。物質の時間反応は、約2から3nsにわたってしか再構築されない。
更に、これらの変位を達成すると、サンプル上へのレーザービームの点への合焦の安定性は悪影響を受ける。
更に、遅延線の変位によりもたらされた振動は、信号対雑音比を低減し、測定時間を大幅に増加させる。通常は、数ナノ秒にわたって信号を取得するためには、つまり、異なる変位を引き起こし、最大Tpまたは約13nsの時間にわたって物質の反応を走査するには30から40分かかる。
これらの困難を克服するために、1つの解決法は、パルス繰返し周期Tpを有するポンプビームと、周期Tsを有するプローブビームを使用することであり、ここで、TpはTsとは異なる。このサンプリングは、従って、「ヘテロダイン」と称される。図3は、ヘテロダインサンプリングの場合の、遅延Tpsによるポンプおよびプローブパルス列のオフセットを、この遅延に対して取得されたサンプル反応の値と共に示している。ポンプとプローブパルス列の間の遅延Tpsは、ホモダインサンプリングのように、もはや固定ではなく、時間と共に変化する。Tp−Tsが固定されている一方で、遅延Tpsは、0とTpの間で直線的に変化する。周期Tpは、1/ΔFの時間において走査され、ここにおいてΔF=|Fs−Fp|であり、ΔFはうなり周波数と称され、Fpは、1/Tpに等しく、ポンプビームの繰返し周波数であり、Fsは、1/Tsに等しく、プローブビームの繰返し周波数である。
この技術により、サンプル反応を、機械的平行移動なしで、従って、サンプル上のビーム焦点の変更なしで測定可能になる。
遅延Tp−Tsは、レーザーの自然ジッターのために、周波数FpとFsがランダムに変化するように、実際は直線的には変化しない。このジッターは、うなり周波数ΔFを、量g(t)だけランダムに変調する効果を有する。この現象は、短縮された時間分解能が所望されるときは、更に重大になる。実際、13nsの周期Tpに対して、1psの時間分解能を達成するためには、各測定値に対してジッターにより導入された不確定さは、時間と共に累積するので、13,000の測定値が必要になる。ジッターは、従って、時間分解能を制限する効果を有する。
本発明の目的は、約1psまたはそれ以下(100fs)の時間分解能を有する測定値が、機械的平行移動を実行する必要がなく、非常に長い取得時間またはジッターのいずれかにより不都合にならずに、得られるようにすることである。
より具体的には、本発明は、それぞれが、Fs≠Fpである繰返し周波数FsとFpを有するポンプビームとプローブビームを放射するように構成された2つのパルスレーザー源と、サンプル上に導かれるポンプおよびプローブビームを連結するための要素を具備し、更にサンプル反応信号の光検出システムを具備する信号経路と、前記信号経路に接続される、反応信号を取得するためのシステムを具備する光学ヘテロダインサンプリング装置に関する。本装置は、FsとFpが実質的に一定であり、取得システムは、取得トリガー要素を具備し、装置は、前記トリガー要素に接続され、うなり周波数|Fs−Fp|を測定し、ポンプおよびプローブビームパルスが一致するたびに、パルスを含む同期信号を生成するように適合される測定装置を有する同期経路を具備することを主な特徴とする。
この同期チャネルにより、取得システムが、反応の初期の瞬間、つまり、ポンプパルスが、サンプル上でプローブパルスに一致する瞬間を突き止めることが可能になる。これにより、時間分解能に対するレーザーの自然ジッターの効果を最小にすることが可能になる。
本発明の1つの特徴によれば、測定装置は、2光子フォトダイオードを具備する。
本発明の更なる特徴によれば、前記装置は、1つのレーザー源を他のレーザー源に結合し、例えば、1つのレーザー源の出力に配置される周波数分周器と、前記分周器と他方のレーザー源に接続される周波数合成器を有する装置を具備する。
光検出システムは、光検出器、または光検出器の列、または光検出器の格子であってよい。
レーザー源は、随意的に同じ波長を有してもよい。
パルス周波数FpとFsは、好ましくは、1kHzと10GHzの間であり、より具体的には、1kHzと100MHzの間である。
本発明の1つの特徴によれば、|Fs−Fp|を測定するための装置を有する同期経路は、サンプル反応信号の経路内に配置される。
この場合、本発明による装置は、2つの経路内にサンプル反応信号分離器を具備し、信号経路は1つの経路上に配置され、同期経路は他方の経路上に配置される。
本発明の更なる特徴によれば、同期経路は、サンプルに導かれるポンプおよびプローブビームの経路内に配置される。
本発明による装置は、好ましくは、光検出システムの入力に配置される、サンプルからのポンプビーム用のフィルタを、反応信号光検出システムの出力に配置されるローパスフィルタと共に具備する。
うなり周波数|Fs−Fp|が、1Hzと100kHzの間であると有利である。
本発明の1つの特徴によれば、レーザー源は、10fsと10ピコ秒の間の持続時間を有するパルスを放射する。
時間分解能は、約1ピコ秒に等しいと有利である。
本発明の1つの実施の形態によれば、装置は、サンプル上へのポンプビームおよび/またはプローブビームを走査するための装置を具備する。
本発明の1つの特徴によれば、走査装置は、2つのレンズと、ビームまたは複数のビームを変位させ、レンズの平行移動プレートであるか、または2つのそれぞれ直交する軸の周りを回転できる2つの検流ミラーを具備する変位要素を具備する。
本発明の更なる特徴によれば、走査装置は、ポンプビームとプローブビームを変位するように適合され、連結器は、前記走査装置を具備する。
本発明の更なる特徴によれば、走査装置は、ポンプビームとプローブビームを変位でき、連結器の下流に配置される。
走査装置は、サンプルを平行移動させるプレートを具備できる。
本発明は更に、それぞれが、Fs≠Fpである繰返し周波数FsとFpを有するポンプパルスビームとプローブパルスビームを放射する2つのレーザー源を具備する装置を使用する、光学ヘテロダインサンプリングの方法に関し、ポンプおよびプローブビームを連結するステップと、連結されたポンプおよびプローブビームをソース上に導くステップと、サンプル反応を光検出するステップと、検出光信号を取得するステップを含み、FsとFpは実質的に一定であり、方法は、うなり周波数|Fs−Fp|を測定して、ポンプおよびプローブパルス間の一致の瞬間を隔離するステップを更に含み、取得ステップは、一致の瞬間の関数としてトリガーされることを特徴とする。
本発明の1つの特徴によれば、本方法は、1つのレーザー源を他のレーザー源に結合するステップを更に具備する。
好ましくは、うなり周波数|Fs−Fp|は実質的にτFspと等しく、ここにおいてτは、プローブビームパルスの持続時間である。
本発明の1つの特徴によれば、サンプル反応は、ポンプとプローブビームの反射または透過により取得される。
本発明の更なる特徴によれば、本方法は、サンプル上へのポンプおよび/またはプローブビームを走査するステップを具備する。
ポンプとプローブビームは重ね合わせることができる。
サンプルは、薄い層における物質、集積回路、半導体、生体細胞、または化学試薬であってよい。
サンプリングは、ピコ秒のオーダーの時間分解能を有すると有利である。
本発明の1つの特徴によれば、レーザー源は、約100フェムト秒の持続時間を有するパルスを放射する。
うなり周波数|Fs−Fp|は、好ましくは、1Hzと100kHzの間である。
パルス周波数FsとFpは、例えば、1kHzと100MHzの間であってよい。
本発明の更なる特徴と利点は、非制限的な例による下記の詳細な記述と、添付された図面への参照から明らかになろう。
同一の要素は、各図において同一の参照符号が付けられている。
本発明は、機械的平行移動の実行を回避でき、取得時間を大幅に削減できるヘテロダインサンプリングの原理に基づいている。図4に関連して説明される、本発明による装置150は、従って、ポンプビームとプローブビームをそれぞれ放射できる、ポンプパルスレーザー源10とプローブパルスレーザー源15を従来の方法で具備する。ポンプビームのパルスの持続時間は、プローブビームのパルスの持続時間とは一般的に等しくないが、それらは等しくてもよい。下記において、考慮しているパルス持続時間τは、プローブビームパルスの持続時間である。ポンプとプローブビームは、一般的には同じ波長を有しないが、それらは等しくてもよい。
ビームは、レンズのような合焦要素30を介して、測定対象のサンプル200上に導かれる前に、例えば、ミラー21と半透明スライド22を具備する連結器20により連結される。図に示されているように反射により、または透過により得られるサンプルの反応は、光検出器50により受信されて、取得システム70に送信される。ポンプフィルタ60は、好ましくは、光検出器50の前に配置されて、残留ポンプ信号のフィルタ処理をする。ローパスフィルタ55を、光検出器50と取得システム70の間に配置して、反応に重ね合わされたレーザーパルスを削除することは好都合である。信号経路51は、これらの3つの構成要素60、50、および55を全体として表現している。
ジッターは、時間分解能Tp−Tsを制限する効果を有する。従って、実際は、
p−Ts=ΔF/Fps
である。
時間分解能がΔF/Fps(またはΔFがレーザー周波数に比べて小さいときは、ΔF/F2 s)に等しいので、ΔFの変調は、時間分解能を制限する。
レーザーの自然ジッターの、時間分解能への影響を最小化する1つの解決法は、反応の初期の瞬間、つまり、サンプル上で、ポンプパルスがプローブパルスと一致する瞬間を、図3にグラフ「同期経路」により示すように、隔離することである。これは、転置された時間での、サンプル反応の時間スケールの再構築を伴う。
従って、本発明による装置150は、信号経路に加えて、ポンプとプローブのレーザーパルスがサンプル上で一致するたびに、パルスから構成される同期信号を生成できる|Fs−Fp|を測定するための測定装置91を具備する同期経路90を具備する。前記同期信号は、ポンプパルス列または信号と、プローブパルス列または信号の積に比例する。測定装置91は、例えば、2光子フォトダイオードを具備する。測定は、例えば、半透明スライド81およびミラー82を含む分周期80により信号経路の前で、その一部が回収される反応信号から行われる。
1つの変形例によると、この同期チャネル90は、サンプル200の前に配置され、測定は、サンプルの前のポンプとプローブビームの一部を回収することにより行われる。この変形例は、参照番号92または93により指定されている。
取得システム70は、取得をトリガーするトリガー要素71を具備する。同期経路90(または92または93)は、その出力において、この要素71に接続され、一致の瞬間において、反応の受信をトリガーできる。この瞬間は初期の瞬間であり、時間ゼロとも称される。
ジッターの影響は、下記の方法で更に削減できる。第1時間内では、遅延Tpsへのジッターの影響は下記のように計算される。
p(2ΠFpt)をポンプパルス列とし、
p(2ΠFp(t−Tps(t)))=lp((2ΠFst)をプローブパルス列とする。
プローブパルス列の瞬間周波数は、次のように記述される。
s(t)=dFp(t−Tps(t))/dt=Fp(1−dTp3(t)/dt)
遅延における線形変動は、プローブパルス列の周波数が下記の一定量だけオフセットされると得られる。
|Fs−Fp|=ΔF=FpdTps(t)/dt
従って、遅延は、ゼロからTpに変化する(時間分解能に従って、離散的に)。パルス列の周期は、うなり周波数ΔFの逆数に等しい時間において走査される。サンプル反応は、ΔTps/Δt=ΔF/Fpである、転置された時間スケールにおいて観測される。この時間スケールの拡大により、反応信号のスペクトルが、検出器の帯域幅において転置されるようになる。
psの変動は、実際は、ランダム周波数変動である、ジッターg(t)のノイズ項を含む。このジッターは、量g(t)だけ、うなり周波数をランダムに変調する効果を有する。
従って、
Figure 0004897821
である。
不確定度ΔTpsは、時間と共に増幅される。
Figure 0004897821
測定期間を通して、この不確定度は、次のようになる。
Figure 0004897821
この不確定度を最小化するためには、ジッターは、大きな値として選択されるうなりΔFと比較して、無視できる程度でなければならない。しかし、前記うなりは制限され、ΔFmaxとして指定されるΔFに対する上界には、それが達成したいと所望する時間分解能が課せられる。
分解能は、τ≧|ΔF|/|Ts−Tp|である、パルスの持続時間τにより本質的に制限される。
従って、
τ≧|ΔF|/(Fs.Fp
ゆえに、ΔFmax=τFpsとなる。
100fsのパルス(τ=100fs)を提供する、76MHzのパルス周波数FpとFsを有するレーザーSa:Tiに対しては、600HzのうなりΔFmaxが、100fsに等しい最大時間分解能に対して得られる。ジッターは、得られる分解能に対して、数Hzよりかなり小さくなければならない。
ジッターの影響を最小化するために、2つのパルス列の1つの周波数を、図4に示された結合装置5を使用して、他のパルス列の周波数に結合することができる。この装置は、例えば、2つのレーザーキャビティの1つの長さを制御する装置であってもよい。
周波数合成器7の同期入力が使用されて、基準信号F/nが、マスターの役割を果たす2つのレーザー源の1つ10のパルス列の周波数分周期6により、そこに入力される。周波数合成器7の出力は、これに続いて量ΔFだけオフセットされ、信号F+ΔFが、スレーブレーザー源15の制御システムによるコマンドとして使用される。
図に示されるように、マスターレーザー源はポンプレーザー源であり、スレーブレーザー源はプローブレーザー源である。プローブレーザー源をマスターレーザー源とし、ポンプレーザー源をスレーブレーザー源とする、この逆もまた可能である。
2つの、ポンプおよびパルスレーザー源の周波数が結合されるとき、うなりは、装置の性能が容認する程度に弱くてもよい(典型的には、数分の1ヘルツ)。
ジッターの影響がいったん最小化されると、パルス持続時間τにより制限される最大分解能は、ΔF≦τFspであれば達成できる。
現在考慮しているローパスフィルタの帯域は、下記のように定義され、ローパスフィルタの反応時間は、その帯域幅の逆数に等しい。
τR≒1/Bd
所望の時間分解能τeffは、転置された時間において、ローパスフィルタの反応時間τRになる。
τeff=τRΔF/Fpであれば、
τeff≒ΔF/(Bdp)と、推測できる。
ΔF=600HzとFp=76MHzにより、8MHzの帯域幅が、1psの有効時間分解能に対して得られる。
下記の表は、実行されたテストの特徴と性能をまとめたものである。
Figure 0004897821
図5は、本発明によるヘテロダインサンプリング装置での、13nsの持続時間Tpにおける、厚さ280mmのタングステンフィルム上で得られた反射率Rに対するパルス反応のグラフを示している。より正確には、測定値は、ΔR/R0に対するパルス反応の値であり、R0は、タングステンフィルムの平均反射率であり、ΔRは、反射率のバラツキである。1ピコ秒の時間分解能があり、時間範囲は、13nsのオーダーのパルス列の周期Tpまで拡張され、従って、30秒の取得時間は、約1nsの時間範囲、つまり10倍小さい時間範囲に対するホモダインサンプリング装置との比較により、10から50のファクターにより分割される。
本発明のサンプリング法は、数nmから数μmの、薄い層における物質の光学、熱、および機械特性の測定、超小型電子装置における欠陥の分析、ピコ秒の音響特性、短時間(fs−μs)における小さな空間領域(nm−μm)への熱伝達の研究、ナノ対象物およびナノ物質の研究、化学反応の研究、および生体トレーサーの追尾に特に適用される。
本発明によるサンプリング装置は、サンプル200上へのポンプおよび/またはプローブビームを走査する装置に接続できる。サンプル上のビームまたは複数のビームの各位置に対して、時間反応信号は、上記に開示したように、記録される。最大時間分解能は、レーザーパルスの持続時間である。従って、このサンプリング装置は、高速撮像に適用できる。
サンプルの表面の走査から、走査された表面応答のフィルムが、2つのポンプレーザーパルスの間の時間範囲の間、つまり、12nsの間、毎秒1012画像のオーダーの分解能で再構築できる。このタイプの走査は、サンプルとして、250nmの厚さで、表面積15×15μm2のタングステンフィルムで行われた。
走査装置300は、図6から図9に示されているように、焦点距離がf1とf2であり、お互いにf1+f2の距離をおいて配置された2つのレンズ301と302と、ビームまたは複数のビームを変位するための要素303を具備する。この変位要素303は、図6と図8に示されているように、サンプルの面に平行な面X、Yにおけるレンズの平行移動プレートであるか、または図7と図9に示されているように、それぞれ直交する軸φ1、θ1の周りの回転できる2つの検流ミラーを具備する。bという文字は、対応する走査装置300とレンズ30を通して、サンプル200まで到達するポンプおよびプローブビームの経路を示している。
図6aおよび図7aを参照して説明される第1実施の形態によれば、走査装置300は、例えば、半透明スライド22の上流における連結器20に含まれ、ビームは、連結器20により連結されるが、重ね合わされない。プローブビームはサンプル200を走査し、一方、ポンプビームは、サンプル上の固定位置に留まる。
図8aと図9aを参照して説明される第2実施の形態によれば、走査装置300は、連結器20の下流にあり、ポンプおよびプローブビームは、連結器20により連結および重ね合わされ、サンプル上200に重ね合わされる。
上記の実施の形態においては、ポンプおよび/またはプローブビームは変位され、サンプル200は固定される。
図10aと図10bを参照して説明される更なる実施形態によれば、ポンプとプローブビームは固定され、従って、走査装置300は、サンプルが搭載される、サンプルの面における平行移動プレートである。
図6から図10に示されているポンプとプローブビームは交換できる。
図1は、ホモダインサンプリングの場合の、ポンプおよびプローブパルス列と、時間の関数としてのサンプルからの反応を模式的に示している。 図2は、上記に模式的に説明したように、最先端技術によるホモダインサンプリング装置を示している。 図3は、ヘテロダインサンプリングの場合の、ポンプおよびプローブパルス列と、時間の関数としてのサンプルからの反応を模式的に示している。 図4は、上記に模式的に説明したように、本発明による例としてのヘテロダイン装置を示している。 図5は、本発明による装置により得られる、時間の関数としての、タングステンフィルムのパルス反応の例として表現を模式的に示している。 図6aは、走査装置を備えた、本発明によるヘテロダインサンプリング装置の例を模式的に示している。 図6bは、対応する走査装置とレンズを通して、サンプルまで到達するポンプとプローブビームの経路を模式的に示している。 図7aは、走査装置を備えた、本発明によるヘテロダインサンプリング装置の例を模式的に示している。 図7bは、対応する走査装置とレンズを通して、サンプルまで到達するポンプとプローブビームの経路を模式的に示している。 図8aは、走査装置を備えた、本発明によるヘテロダインサンプリング装置の例を模式的に示している。 図8bは、対応する走査装置とレンズを通して、サンプルまで到達するポンプとプローブビームの経路を模式的に示している。 図9aは、走査装置を備えた、本発明によるヘテロダインサンプリング装置の例を模式的に示している。 図9bは、対応する走査装置とレンズを通して、サンプルまで到達するポンプとプローブビームの経路を模式的に示している。 図10aは、走査装置を備えた、本発明によるヘテロダインサンプリング装置の例を模式的に示している。 図10bは、対応する走査装置とレンズを通して、サンプルまで到達するポンプとプローブビームの経路を模式的に示している。

Claims (33)

  1. ジッターを有し、それぞれが、Fs≠Fpであるパルス周波数FsとFpを有するポンプビームとプローブビームを放射するように適合された2つのパルスレーザー源(10、15)と、サンプル(200)上に導かれる前記ポンプビームおよび前記プローブビームを連結するための連結要素(20)と、を具備し、更にサンプル反応信号用の光検出システム(50)を有する信号経路(51)と、前記信号経路に接続される前記検出光信号を取得するための取得システム(70)と、を具備する光学ヘテロダインサンプリング装置(150)であって、
    sとFpは実質的に一定であり、
    前記取得システムは、取得トリガー要素(71)を具備し、
    当該装置は、
    前記トリガー要素に接続され、うなり周波数|Fs−Fp|を測定し、前記ポンプビームおよび前記プローブビームパルスが一致するたびに、パルスから構成される同期信号を生成するように適合される測定装置(91)を有する同期経路(90)を具備することを特徴とする装置。
  2. 前記測定装置(91)は、2光子フォトダイオードを具備する請求項1に記載の装置。
  3. 1つのレーザー源を他のレーザー源に結合するための結合装置(5)を具備する請求項1または2に記載の装置。
  4. 前記結合装置(5)は、前記1つのレーザー源の出力に配置される周波数分周器(6)と、前記分周器(6)と前記他方のレーザー源に接続される周波数合成器(7)と、を具備する請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
  5. 前記光検出システム(50)は、光検出器、または光検出器の列、または光検出器の格子である請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
  6. 前記レーザー源(10、15)は異なる波長を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
  7. 前記パルス周波数FsとFpは、1kHzと10GHzの間である請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
  8. 前記パルス周波数FsとFpは、1kHzと100MHzの間である請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
  9. |Fs−Fp|を測定するための前記測定装置(91)を具備する前記同期経路(90)は、前記サンプル反応信号の前記経路内に配置される請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
  10. 2つの経路内にサンプル反応信号分離器(80)を具備し、前記信号経路(51)は一方の経路上に配置され、前記同期経路(90)は他方の経路上に配置される請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。
  11. 前記同期経路(90)は、前記サンプルに導かれる前記ポンプビームおよび前記プローブビームの前記経路内に配置される請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
  12. 前記光検出システム(50)の前記入力に配置される、前記サンプルからの前記ポンプビーム用のフィルタ(60)を具備する請求項1から11のいずれか1項に記載の装置。
  13. 前記反応信号光検出システム(50)の前記出力に配置されるローパスフィルタ(55)を具備する請求項1から12のいずれか1項に記載の装置。
  14. 前記うなり周波数|Fs−Fp|は、1Hzと100kHzの間である請求項1から13のいずれか1項に記載の装置。
  15. 前記レーザー源(10、15)は、10フェムト秒と10ピコ秒の間の持続時間を有するパルスを放射するように適合されている請求項1から14のいずれか1項に記載の装置。
  16. 前記時間分解能は、約1ピコ秒に等しい請求項1から15のいずれか1項に記載の装置。
  17. 前記サンプル(200)上への前記ポンプビームおよび/または前記プローブビームを走査するための走査装置(300)を具備する請求項1から16のいずれか1項に記載の装置。
  18. 前記走査装置は、2つのレンズ(301、302)と、前記ビームまたは前記複数のビームを変位させる変位要素(303)を具備する請求項1から17のいずれか1項に記載の装置。
  19. 前記変位要素(303)は、レンズ(301または302)の平行移動プレートであるか、または2つのそれぞれ直交する軸の周りを回転できる2つの検流ミラーを具備する請求項1から18のいずれか1項に記載の装置。
  20. 前記走査装置(300)は、前記ポンプビームと前記プローブビームを変位でき、前記連結器(20)は、前記走査装置を具備する請求項17から19のいずれか1項に記載の装置。
  21. 前記走査装置(300)は、前記ポンプビームまたは前記プローブビームを変位でき、前記連結器(20)の下流に配置される請求項17から19のいずれか1項に記載の装置。
  22. 前記走査装置(300)は、前記サンプルを平行移動させる平行移動プレート(200)を具備する請求項17に記載の装置。
  23. ジッターを有し、それぞれが、Fs≠Fpであるパルス周波数FsとFpを有するポンプパルスビームとプローブパルスビームを放射できる2つのレーザー源(10、15)を具備する装置を使用する、光学ヘテロダインサンプリングの方法であって、前記ポンプビームおよび前記プローブビームを連結するステップと、前記連結されたポンプビームおよびプローブビームをソース(200)上に導くステップと、サンプル反応を光検出するステップと、前記検出光信号を取得するステップを含む方法であって、FsとFpは実質的に一定であり、前記方法は、前記うなり周波数|Fs−Fp|を測定して、前記ポンプビームおよび前記プローブパルス間の一致の瞬間を隔離するステップを更に含み、前記取得ステップは、前記一致の瞬間の関数としてトリガーされる方法。
  24. 1つのレーザー源を他のレーザー源に結合するステップを更に具備する請求項23に記載の方法。
  25. 前記うなり周波数|Fs−Fp|は、実質的にτFspと等しく、ここにおいてτは、前記プローブビームのパルスの持続時間である請求項23または24に記載の方法。
  26. 前記サンプル反応は、前記ポンプビームと前記プローブビームの反射または透過により取得される請求項23から25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記サンプル上への前記ポンプビームおよび/または前記プローブビームを走査するステップを具備する請求項23から26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記ポンプビームと前記プローブビームは重ね合わされる請求項23から27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記サンプルは、薄い層における物質、集積回路、半導体、生体細胞、または化学試薬である請求項23から28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記サンプリングは、ピコ秒のオーダーの時間分解能を有する請求項23から29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 前記レーザー源は、約100フェムト秒の持続時間を有するパルスを放射できる請求項23から30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 前記うなり周波数|Fs−Fp|は、10Hzと100kHzの間である請求項23から31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記パルス周波数FsとFpは、0.1MHzと100MHzの間である請求項23から32のいずれか1項に記載の方法。
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