JP2007298365A - 弾性・粘性測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】弾性散乱の強い測定対象物の弾性及び粘性を短時間で高精度に測定することができ、生体(in vivo)の診断などにも適用可能な弾性・粘性測定装置を提供する。
【解決手段】励起レーザ光源10から発せられた励起光101を被測定部位302に集光すると共に該集光位置を移動させ、被測定部位302で発生した散乱光102を捕捉しその広がり角を調整して、光路上に配置された複数のエタロン401a,401b、該エタロンの間の光路上に配置された光アイソレータ405を透過させた後、CCDラインセンサ403上に集光し、ここで測定された光強度分布から散乱光の光スペクトルを解析して、ブリルアン周波数シフト、ブリルアン線幅を算出し、該算出値を輝度に変換すると共に、集光位置(被測定部位302の位置)に対応付けて、3次元画像としてディスプレイ50に表示する。
【選択図】 図1
【解決手段】励起レーザ光源10から発せられた励起光101を被測定部位302に集光すると共に該集光位置を移動させ、被測定部位302で発生した散乱光102を捕捉しその広がり角を調整して、光路上に配置された複数のエタロン401a,401b、該エタロンの間の光路上に配置された光アイソレータ405を透過させた後、CCDラインセンサ403上に集光し、ここで測定された光強度分布から散乱光の光スペクトルを解析して、ブリルアン周波数シフト、ブリルアン線幅を算出し、該算出値を輝度に変換すると共に、集光位置(被測定部位302の位置)に対応付けて、3次元画像としてディスプレイ50に表示する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、測定対象物の弾性および粘性を非接触、非侵襲で測定する弾性・粘性測定装置に関し、詳しくは、例えば生体組織のような弾性散乱の強い測定対象物の弾性および粘性を非接触、非侵襲で、且つ簡便、短時間で高精度に測定することができる弾性および粘性の測定装置に関する。
測定対象物の弾性、粘性を測定する技術としては、従来から、超音波エラストグラフィ、MRエラストグラフィ、光音響ビスコエラストメトリ、OCTエラストグラフィなどの技術が知られている。しかし、超音波エラストグラフィにおいては、超音波探触子または超音波伝達媒質(水やグリースなど)を測定対象物に接触させる必要があった。MRエラストグラフィにおいては、圧力波を励振するトランスデューサを測定対象物に接触させる必要があった。光音響ビスコエラストメトリにおいては、光音響波を測定するために圧電トランスデューサを測定対象物に接触させる必要があった。OCTエラストグラフィにおいても、測定対象物に応力を与える手段を接触させる必要があった。
一方、ブリルアン散乱は物質内の弾性波による光散乱であり、ブリルアン散乱光の周波数および線幅から弾性および粘性に関する情報が得られる。また、測定は完全に非接触で行うことが可能であるため、生体などの測定、診断に適用することが考えられる。
ブリルアン散乱光のスペクトルを測定して周波数および線幅を求める測定手法はブリルアン分光と呼ばれる。ブリルアン分光は可視または近赤外光の励起光を用いて行われ、散乱光の周波数シフトの典型値は1〜20GHzである。これは光周波数(200〜600THz)に比べて小さな周波数差なので、サンダーコック型分光器や、角度分散型分光器が用いられてきた。
サンダーコック型分光器は、可変マルチパスエタロンや複数のタンデム化された可変マルチパスエタロンを用いる分光器であるが、エタロンの共振器長を変えることによってスペクトルを測定するため測定時間が数分と長く、生体(in vivo)の測定には不向きである。また、共振器長の精密な調整が必要なため安定性も低く、高精度の測定結果を得ることが困難であった。
角度分散型分光器は、ラインセンサで並列的にスペクトルを測定するため測定時間が数秒と短く、安定性も優れている。しかし、従来の角度分散型分光器はコントラストが低いため、生体組織のような、弾性散乱の強い散乱性媒質への適用が難しかった。
具体的には、ブリルアン散乱光によって測定対象物の弾性、粘性を測定する方法として、例えば、非特許文献1(N. Berovic, et al., Eur. Biophys. J. V.17, pp.69-74 (1989))には、波長488nmのArイオンレーザからの100mWの光を、生体から摘出した筋線維サンプル(in vitro)に集光し、発生したブリルアン散乱光を、90dBのコントラストを有する4パスファブリーペロー干渉計(サンダーコック型分光器)によって2minの測定時間で測定し、筋線維の弾性を調べることが開示されている。
非特許文献2(K.J. Koski, et al., Appl. Phys. Lett. V.87, p.061903, (2005))には、波長532nmのNd:YAGレーザからの13mWのレーザ光をコリメートしてサンプルに照射し、180°方向に後方散乱されたブリルアン散乱光をエアギャップエタロンに入射し、角度方向に分散されたスペクトル成分を−60℃に冷却されたCCD(電荷結合素子)で測定することが開示されている。測定対象物サンプルはxyz移動ステージに設置されたポリスチレン球を含んだメタノールであり、ステージを移動させながら1secの測定時間でブリルアン周波数および線幅を測定することにより、弾性および粘性の情報を表す画像を構築している。
非特許文献3(Ito, et al., Jpn. J. Appl. Phys. V.40, Pt.1, N.5B, pp.3575-3578 (2001))には、波長532nmのダイオード励起固体レーザからのレーザ光をサンプルに集光し、90°方向に発生したブリルアン散乱光をソリッドエタロンに入射し、角度方向に分散されたスペクトル成分を−20℃に冷却されたCCDで測定することにより、3secの測定時間でブリルアン散乱スペクトルを得ることが開示されている。ここでは、エタロンの有効径を2mmに制限することによりフィネスが130に向上している。
N. Berovic, et al., Eur. Biophys. J. V.17, pp.69-74 (1989)
K.J. Koski, et al., Appl. Phys. Lett. V.87, p.061903, (2005)
Itoh, et al., Jpn. J. Appl. Phys. V.40, Pt.1, N.5B, pp.3575-3578 (2001)
しかし、散乱性媒質では周波数シフトを持たない強い弾性散乱光がブリルアン散乱と共に発生するため、コントラストの高い分光器が必要となる。非特許文献1では、ウサギから摘出した腰筋の筋線維(in vitro)を測定しており、ブリルアン散乱よりも約70dB高い強度の弾性散乱が観測されている。このように弾性散乱の強い生体組織を測定するためには、70dB以上のコントラストが必要である。しかし、従来の角度分散型分光器のフィネスは約130以下と小さく、その結果コントラストは約38dB以下と低く、このような要求を満足し得ない。
非特許文献2では、フィネスの値は開示されていないが、エタロンの反射率と面精度から計算されるフィネスは74である。
非特許文献3では、エタロンの有効径を制限することによって実効的に面精度を改善できることが示されているが、それでも有効径2mmでの130が最大のフィネスであった。また、有効径6mmではフィネス110であった。
非特許文献3では、エタロンの有効径を制限することによって実効的に面精度を改善できることが示されているが、それでも有効径2mmでの130が最大のフィネスであった。また、有効径6mmではフィネス110であった。
このように、エタロンとラインセンサを用いた分光器ではコントラストが低いことが欠点であった。
一方、非特許文献1に開示されているサンダーコック型分光器は、90dBと高いコントラストを有するが、前記したように測定時間と安定性に問題があり、生体(in vivo)への適用は困難であった。
一方、非特許文献1に開示されているサンダーコック型分光器は、90dBと高いコントラストを有するが、前記したように測定時間と安定性に問題があり、生体(in vivo)への適用は困難であった。
図6に、非特許文献2に開示された技術を応用したブリルアン分光装置の例を示す。該装置において、レーザ光源10から出射したコリメートされた励起光101は、半透鏡201およびレンズ202を通って測定対象物30中の被測定部位に集光される。その結果、散乱光102が発生する。入射励起光に対して180°の方向に後方散乱した散乱光はレンズ202によって捕捉される。散乱光には、被測定部位以外で生じた散乱光などの迷光成分が混在しうるが、散乱光をスリット204に通すことによって迷光成分が除去される。続いて散乱光はレンズ205を通り、それによって広がり角が調整された後、エタロン401、レンズ402を通ってCCDセンサ403上に結像される。
因みに、エタロンは、光周波数fおよび入射角度θに依存した透過率T(θ,f)を有し、良く知られているように、
と表される。式中のΔδは反射に伴う位相シフトの効果を表す。ただし、エタロンを構成する2枚の反射鏡は同一と仮定し、透過率パラメタをT、反射率パラメタをR、反射鏡間隔(共振器長)をd、共振器内の屈折率をn'、外部環境の屈折率をn、エタロンへの入射角をθ、散乱光の周波数をf、真空中の光速をcとする。
本発明では、外部環境は空気や不活性気体でありn=1と見なせる。透過率Tは下式のmが整数となるときに極大となる。
本発明では、外部環境は空気や不活性気体でありn=1と見なせる。透過率Tは下式のmが整数となるときに極大となる。
従って、周波数fによって異なる方向θに透過率ピークを有することになる。レンズ402によって出射方向θをCCDセンサ上の位置に対応付けられるため、CCDセンサで測定される光強度の空間分布からエタロン入射光のスペクトル情報を得ることができる。
エタロンの透過率ピークは光周波数fおよび入射角余弦cosθ’に関して周期的であり、ピーク間隔はFSR(Free Spectral Range)と呼ばれ、透過ピークの半値全幅(FWHM)に対するFSRの比はエタロンのフィネスFと呼ばれ、
と与えられる。フィネスFは反射鏡の反射率R0と平坦度λ/qによって制限され、
と表される。FRおよびFFは、それぞれ反射率および平面度によるフィネスと呼ばれる。また、エタロンの透過率の最大値と最小値の比はコントラストCと呼ばれ、
と与えられる。
前述したように、非特許文献2ではフィネスの値は開示されていないが、前記式によるエタロン401の反射率と面精度から計算されるフィネスは74であるため、70dB以上のコントラストを得ることは難しく、弾性散乱の強い散乱性媒質、例えば生体組織などへの適用は困難である。
すなわち、非特許文献2では単一のエタロンを用いて角度分散分光を行っていたため、コントラストが低い問題があった。具体的には、エタロンの反射率が99.5%、平坦性がλ/150であった。これらの値から予測されるフィネスは74であり、このフィネスから予測されるコントラストは33dBである。
生体ではブリルアン散乱に比べて非常に強い弾性散乱が発生する。例えば非特許文献1ではブリルアン散乱よりも70dB高い弾性散乱が観測されている。そのため、生体を対象として測定するためには高いコントラスト(例えば70dB以上)が必要となる。
従って、非特許文献2の技術を生体に適用したとすると、コントラスト不足の問題が生じ、測定できないと予想される。実際、非特許文献2における測定対象はメタノールおよびポリスチレンである。これらの物質は屈折率が実質的に均一であるため弾性散乱は生体に比べて低い。非特許文献2では、生体を対象とした測定については記載されていない。
前述したように、非特許文献2ではフィネスの値は開示されていないが、前記式によるエタロン401の反射率と面精度から計算されるフィネスは74であるため、70dB以上のコントラストを得ることは難しく、弾性散乱の強い散乱性媒質、例えば生体組織などへの適用は困難である。
すなわち、非特許文献2では単一のエタロンを用いて角度分散分光を行っていたため、コントラストが低い問題があった。具体的には、エタロンの反射率が99.5%、平坦性がλ/150であった。これらの値から予測されるフィネスは74であり、このフィネスから予測されるコントラストは33dBである。
生体ではブリルアン散乱に比べて非常に強い弾性散乱が発生する。例えば非特許文献1ではブリルアン散乱よりも70dB高い弾性散乱が観測されている。そのため、生体を対象として測定するためには高いコントラスト(例えば70dB以上)が必要となる。
従って、非特許文献2の技術を生体に適用したとすると、コントラスト不足の問題が生じ、測定できないと予想される。実際、非特許文献2における測定対象はメタノールおよびポリスチレンである。これらの物質は屈折率が実質的に均一であるため弾性散乱は生体に比べて低い。非特許文献2では、生体を対象とした測定については記載されていない。
本発明はこのような従来事情に鑑みて成されたもので、その目的とする処は、ブリルアン散乱光によって、測定対象物の弾性および粘性を非接触、非侵襲で簡便且つ高精度に測定することができる装置を提供することにある。より具体的には、弾性散乱の強い測定対象物、例えば、生体組織(in vitro)や生体(in vivo)の弾性・粘性を、短時間で高精度に測定することができ、生体(in vivo)の診断などに適用することも可能な測定装置を提供することである。
以上の目的を達成するために、本発明に係る弾性・粘性測定装置は、励起光を測定対象物の被測定部位に集光すると共に該被測定部位で発生した散乱光を捕捉する照射・捕捉光学系と、前記照射・捕捉光学系で捕捉された散乱光をエタロンに透過させ光電変換素子の配列上に集光する分光光学系と、前記光電変換素子の配列によって測定された光強度分布から前記散乱光の光スペクトルを算出し、さらに該光スペクトルからブリルアン周波数シフト又はブリルアン線幅の少なくとも一方を算出するスペクトル解析手段とを有し、前記分光光学系が、光路上に配設された複数のエタロンを有することを特徴とする。
より具体的には、励起光を発生させる励起レーザ光源と、前記励起光を測定対象物の被測定部位に集光すると共に該被測定部位で発生した散乱光を捕捉するレンズ、及び該レンズによる集光位置を移動させる機構を持つ照射・捕捉光学系と、前記照射・捕捉光学系で捕捉された散乱光の広がり角を調整してエタロンを透過させ光電変換素子の配列上に集光する分光光学系と、前記光電変換素子の配列によって測定された光強度分布から前記散乱光の光スペクトルを算出し、さらに該光スペクトルからブリルアン周波数シフト又はブリルアン線幅の少なくとも一方を算出するスペクトル解析手段と、前記ブリルアン周波数シフト又はブリルアン線幅の値を輝度に変換すると共に該変換値を前記集光位置に対応付けて画像として表示する画像表示手段とを有し、前記分光光学系は光路上に直列に配置された複数のエタロンを有することを特徴とする。
このような構成によれば、測定対象物の片側のみでの光学結合によってその弾性、粘性を測定し得ると共に、光路上に配置された複数のエタロンにより、弾性散乱を所定のコントラストに調整して、高精度な測定結果を短時間で得ることができる。
また、散乱光スペクトルを構成する光周波数成分を、光電変換素子の配列で並列的に検出することによって、より短時間での測定が可能になる。
また、散乱光スペクトルを構成する光周波数成分を、光電変換素子の配列で並列的に検出することによって、より短時間での測定が可能になる。
ここで、測定対象物が、弾性散乱の強い生体組織(in vitro)や生体(in vivo)である場合、少なくとも1つの光電変換素子において、捕捉光学系から光電変換素子に至る光路の光透過率の、光周波数に関する最大値/最小値の比が70dB以上であることがより好ましく、そのために、それぞれのエタロンは、88以上のフィネスを有することが好ましい。
光電変換素子の配列は、光電変換素子と転送素子を有する電荷転送素子(CCD)センサで構成すると良い。また、光電変換素子の配列は、励起光がスポット状のビームである場合は1次元配列(例えばCCDラインセンサ)で構成し、励起光がライン状のビームである場合は2次元配列(例えばCCDイメージセンサ)で構成すると良い。
光電変換素子の配列は、光電変換素子と転送素子を有する電荷転送素子(CCD)センサで構成すると良い。また、光電変換素子の配列は、励起光がスポット状のビームである場合は1次元配列(例えばCCDラインセンサ)で構成し、励起光がライン状のビームである場合は2次元配列(例えばCCDイメージセンサ)で構成すると良い。
また、前記スペクトル解析手段によるブリルアン周波数シフト又はブリルアン線幅の算出値は、被測定部位(励起光の集光位置)と対応付けることで、該被測定部位の弾性・粘性情報として出力し、該弾性・粘性情報を、文字データ等として出力、記憶、送信等することができる。
より簡便、短時間で良否判定などを行いたい場合は、前記ブリルアン周波数シフト又はブリルアン線幅の値を輝度に変換すると共に、該変換値を前記集光位置(被測定部位)に対応付けて画像として表示する画像表示手段を備えることが好ましい。
より簡便、短時間で良否判定などを行いたい場合は、前記ブリルアン周波数シフト又はブリルアン線幅の値を輝度に変換すると共に、該変換値を前記集光位置(被測定部位)に対応付けて画像として表示する画像表示手段を備えることが好ましい。
前記分光光学系における隣り合うエタロンの間の光路上に、該エタロン相互間での反射光の干渉を抑制する光アイソレータが配置されていることが好ましい。
この場合、隣り合う複数のエタロンによって多重反射された散乱光が元の散乱光に混入することによる雑音を抑制し、所定のコントラストに調整された高精度な測定結果を得ることができる。
すなわち、エタロンを複数化してコントラストを改善した角度分散分光に関しては、非特許文献2では開示や示唆はされていない。これは、エタロンを複数重ねて用いると、隣り合うエタロンの離間寸法を十分に大きくとれない場合、反射光の干渉が生じる虞れがあるためと推測される。エタロンでは、透過されなかった光は反射光となるため、二枚のエタロンを重ねると、二枚目のエタロンからの反射光が一枚目に戻り、元の入射光と干渉する可能性がある。本発明では、光アイソレータによりこの問題を解決することで高いコントラストを実現することができる。また、高コントラスト性に加えて角度分散分光方式の高速性が備わることで、生体の測定に適したブリルアン分光装置が実現する。
この場合、隣り合う複数のエタロンによって多重反射された散乱光が元の散乱光に混入することによる雑音を抑制し、所定のコントラストに調整された高精度な測定結果を得ることができる。
すなわち、エタロンを複数化してコントラストを改善した角度分散分光に関しては、非特許文献2では開示や示唆はされていない。これは、エタロンを複数重ねて用いると、隣り合うエタロンの離間寸法を十分に大きくとれない場合、反射光の干渉が生じる虞れがあるためと推測される。エタロンでは、透過されなかった光は反射光となるため、二枚のエタロンを重ねると、二枚目のエタロンからの反射光が一枚目に戻り、元の入射光と干渉する可能性がある。本発明では、光アイソレータによりこの問題を解決することで高いコントラストを実現することができる。また、高コントラスト性に加えて角度分散分光方式の高速性が備わることで、生体の測定に適したブリルアン分光装置が実現する。
前記励起光の光周波数を変化させる手段または前記各エタロンのFSRを変化させる手段を有し、前記各エタロンは光軸に対し実質的に垂直となる向きで配置され、該各エタロンに入射する散乱光のビーム径をD、エタロンの共振器媒質の屈折率をn’、共振器長をd、フィネスをFとし、θcrit=n’D/(2Fd)で定義される臨界角をθcritとして、0≦θ≦θcritなる入射角θの範囲内に、前記被測定部位で発生したストークスブリルアン散乱光の透過率が極大となる角度が存在するように、前記光周波数または前記FSRを変化させることが好ましい。
この場合、ストークスブリルアン散乱光に対するフィネスがビームオフセットによる効果で低下するのを防いで、高いコントラストを実現し、ブリルアン周波数シフトの測定精度を高めることができる。
この場合、ストークスブリルアン散乱光に対するフィネスがビームオフセットによる効果で低下するのを防いで、高いコントラストを実現し、ブリルアン周波数シフトの測定精度を高めることができる。
前記励起光の光周波数を変化させる手段または前記各エタロンのFSRを変化させる手段を有し、前記各エタロンは光軸に対し実質的に垂直となる向きで配置され、該各エタロンに入射する散乱光のビーム径をD、エタロンの共振器媒質の屈折率をn’、共振器長をd、フィネスをFとし、θcrit=n’D/(2Fd)で定義される臨界角をθcritとして、3θcrit≦θ≦7θcritなる入射角θの範囲内に、前記励起光と同じ周波数を有する弾性散乱光の透過率が極大となる角度が存在するように、前記光周波数または前記FSRを変化させることが好ましい。
この場合、測定対象物のブリルアン周波数シフトの範囲についての事前情報が得られないとしても、ストークスブリルアン散乱光に対するフィネスがビームオフセット効果で低下するのを防いで、高いコントラストを実現し、ブリルアン周波数シフトの測定精度を高めることができる。
この場合、測定対象物のブリルアン周波数シフトの範囲についての事前情報が得られないとしても、ストークスブリルアン散乱光に対するフィネスがビームオフセット効果で低下するのを防いで、高いコントラストを実現し、ブリルアン周波数シフトの測定精度を高めることができる。
前記測定対象物としての生体軟組織の音速範囲及び屈折率から求められるブリルアン周波数シフトの下限値fB1、上限値fB2に対し、垂直入射光に対する前記各エタロンのFSRが、0.16≦fB1/FSR、且つ、fB2/FSR≦0.44を満たすことが好ましい。
この場合、測定対象物が生体軟組織のような弾性散乱の強いものであっても、隣り合う次数のストークスブリルアン散乱光とアンチストークスブリルアン散乱光が混合するのを防いで、周波数シフトの測定を可能にすると共に、コントラストの低下を抑制することができる。
測定対象物が生体軟組織である場合のより具体的な条件は、励起光の波長をλ、v1=1500m/s、v2=1625m/s、n1=1.35、n2=1.42として、fB1=2*n1*v1/λ、fB2=2*n2*v2/λで定義されるブリルアン周波数シフトの下限値fB1、上限値fB2に対し、垂直入射光に対する前記各エタロンのFSRが、0.16≦fB1/FSR、且つ、fB2/FSR≦0.44を満たすことである。
この場合、測定対象物が生体軟組織のような弾性散乱の強いものであっても、隣り合う次数のストークスブリルアン散乱光とアンチストークスブリルアン散乱光が混合するのを防いで、周波数シフトの測定を可能にすると共に、コントラストの低下を抑制することができる。
測定対象物が生体軟組織である場合のより具体的な条件は、励起光の波長をλ、v1=1500m/s、v2=1625m/s、n1=1.35、n2=1.42として、fB1=2*n1*v1/λ、fB2=2*n2*v2/λで定義されるブリルアン周波数シフトの下限値fB1、上限値fB2に対し、垂直入射光に対する前記各エタロンのFSRが、0.16≦fB1/FSR、且つ、fB2/FSR≦0.44を満たすことである。
前記励起光の波長が600〜1000nmであり、前記光電変換素子はSi半導体からなる光電変換媒質を有する電荷結合素子であり、前記光アイソレータはII−VI族磁性半導体からなるファラデー素子を有することが好ましい。この場合、弾性散乱の散乱断面積を低減して、測定の信号対雑音比を向上させると共に、量子限界の高感度検出を低コストで実現することができる。また、光アイソレータを従来に比べて低コストで容易に実現させることが可能になる。II−VI族磁性半導体としては、(Cd,Mn)Te、(Hg,Mn)Te、(Hg,Cd,Mn)Teが実用性が高く好ましい。
前記照射・捕捉光学系が前記散乱光の光路上にピンホールを有し、該ピンホールと前記被測定部位は1または複数のレンズによって結像関係となるように結合され、前記光電変換素子の配列は1次元配列であると良い。
この場合、被測定部位以外からの散乱光をピンホールで除去して、測定の信号対雑音比を高め、高精度の測定が可能になる。
この場合、被測定部位以外からの散乱光をピンホールで除去して、測定の信号対雑音比を高め、高精度の測定が可能になる。
前記照射・捕捉光学系が前記散乱光の光路上にスリットを有し、該スリットと前記被測定部位は1または複数のレンズによって結像関係となるように結合され、前記光電変換素子の配列は2次元配列であると良い。
この場合、被測定部位以外からの散乱光をスリットで除去して、測定の信号対雑音比を高め、高精度の測定が可能になる。
この場合、被測定部位以外からの散乱光をスリットで除去して、測定の信号対雑音比を高め、高精度の測定が可能になる。
励起光を、被測定部位に集光されるライン状ビームにすることもできる。そのための手段として、例えば、光路上に配置されたシリンドリカルレンズを用いることができる。ライン状の励起光を用いることで、一つの軸方向(例えばx軸方向)に伸びるライン状の領域を被測定部位とすることができる。
この場合、被測定部位がライン状の領域となるので、スポット状の被測定部位である場合(励起光がスポット状に集光される場合)に比べ、広範囲の領域を同時に測定することが可能になる。
この場合、被測定部位がライン状の領域となるので、スポット状の被測定部位である場合(励起光がスポット状に集光される場合)に比べ、広範囲の領域を同時に測定することが可能になる。
前記照射・捕捉光学系の集光位置を移動させる機構を備えた場合、該機構による前記集光位置の移動の軸方向を1つ以上有することが好ましい。すなわち、前記集光位置を移動させる機構は、移動の軸方向を、少なくとも1つ以上有することが好ましい。
尚、このように、前記集光位置を移動可能とした場合、該集光位置の位置情報を検出又は算出する手段として、センサーやエンコーダなどで構成される位置情報取得手段やカメラ等の撮像手段を設け、該位置情報取得手段,撮像手段により、前記した二つまたは三つの軸方向へ移動した被測定部位の位置情報(2次元位置情報または3次元位置情報)を取得し、該位置情報を、前記ブリルアン周波数シフト、ブリルアン線幅の算出値、又は、該算出値を輝度に変換した変換値に対応付けるように構成すると良い。
尚、測定結果を画像として表示する場合、スペクトル解析手段による解析結果に基づき、測定結果を2次元画像または3次元画像として表示可能な画像表示手段を用いることは言うまでも無い。
尚、測定結果を画像として表示する場合、スペクトル解析手段による解析結果に基づき、測定結果を2次元画像または3次元画像として表示可能な画像表示手段を用いることは言うまでも無い。
前記励起光はパルス光源であり、前記光電変換素子の配列は該励起光パルスに同期して動作させることが好ましい。
この場合、励起光の平均パワーを抑制して測定対象物の熱的損傷を抑制し得ると共に、散乱光を時間選択的に測定することができるので、例えば、生体(in vivo)の診断装置としての適用が可能になる。
また、励起光のピークパワーによって発生した散乱光を時間選択的に測定することができるので、信号対雑音比を高めることができる。
この場合、励起光の平均パワーを抑制して測定対象物の熱的損傷を抑制し得ると共に、散乱光を時間選択的に測定することができるので、例えば、生体(in vivo)の診断装置としての適用が可能になる。
また、励起光のピークパワーによって発生した散乱光を時間選択的に測定することができるので、信号対雑音比を高めることができる。
以上説明したように、本発明によれば、ブリルアン散乱光を有効に利用して、測定対象物の弾性、粘性を非接触、非浸襲で、短時間且つ高精度に測定することができる。よって、弾性散乱の強い測定対象物、例えば、生体組織(in vitro)や生体(in vivo)における弾性・粘性の測定などに好適に用いることができる。
また、複数のエタロンの利用により高いコントラストを実現し、且つ、高コントラスト性に加えて角度分散分光方式の高速性が備わることで、生体の測定に適したブリルアン分光装置が実現し、生体診断への適用が可能になるなど、多くの効果を奏する。
また、複数のエタロンの利用により高いコントラストを実現し、且つ、高コントラスト性に加えて角度分散分光方式の高速性が備わることで、生体の測定に適したブリルアン分光装置が実現し、生体診断への適用が可能になるなど、多くの効果を奏する。
以下、本発明の実施形態の例を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1は本発明に係る弾性・粘性測定装置の実施形態の一例を示す概略図である。この測定装置は、レーザ光源10と、照射・捕捉光学系20と、分光光学系40と、スペクトル解析手段を有するCCDコントローラ404と、画像表示手段としてのディスプレイ50などを備え、生体(in vivo)用の診断装置として構成されている。
(実施形態1)
図1は本発明に係る弾性・粘性測定装置の実施形態の一例を示す概略図である。この測定装置は、レーザ光源10と、照射・捕捉光学系20と、分光光学系40と、スペクトル解析手段を有するCCDコントローラ404と、画像表示手段としてのディスプレイ50などを備え、生体(in vivo)用の診断装置として構成されている。
レーザ光源10は、波長800nm、パルス幅100ns、ピークパワー100mWの励起光101を発生させるもので、その励起光101は、照射・捕捉光学系を構成する半透鏡201、可動鏡206a,206b、レンズ202を通して、測定対象物30の被測定部位302に集光される。
可動鏡206a,206bは、不図示の可動機構により、二つの軸方向(本例ではx軸方向とy軸方向)へ移動可能に構成されており、励起光101の集光位置を2次元方向へ移動可能としている。レンズ202は、励起光101を被測定部位302に集光すると共に、該被測定部位302で発生した散乱光102を捕捉するもので、不図示の可動機構により、さらにもう一つの軸方向(本例ではz軸方向)へ移動可能として、前記可動鏡206a,206bと協働し励起光101の集光位置を3次元方向へ移動可能としている。
可動鏡206a,206b、レンズ202の前記した移動は、不図示の制御部により制御されて集光位置を3次元(x軸方向、y軸方向、z軸方向)制御し、3次元測定を可能にしている。尚、その制御部は、前記集光位置の位置情報、すなわち、測定対象物30における被測定部位302のx軸方向、y軸方向、z軸方向の位置情報を取得するための手段を備え、その位置情報を、後述するCCDコントローラ404に送るようになっている。位置情報取得手段は、例えば、可動鏡206a,206b、レンズ202の移動距離を検出又は算出するセンサーやエンコーダ等を用いて構成したり、カメラ等の撮像手段で構成することが出来る。
被測定部位302から生じた散乱光102は後方散乱となり、レンズ202、可動鏡206a,206b、半透鏡201を通り、レンズ203によってピンホール204b上に集光されるようになっている。
ピンホール204bは、被測定部位302と共焦点の関係にあり、被測定部位302以外の位置で発生した散乱光を除去して、測定の信号対雑音比を高め、高精度の測定を可能にすると共に、位置選択的な測定を可能としている。
ピンホール204bを通過した散乱光102は、レンズ205によって再びコリメートされ、シリンドリカルレンズ207とレンズ208によってx方向の広がり角が調整された後、分光器(分光光学系)40を構成する一次側のエタロン401aに垂直に入射する(伝搬方向をz軸とする)。このとき、散乱光102のx方向の広がり角θdivは、後述のように、片側で1〜28mradとなるように調整される。
分光器40は、光路上に配置された複数(本例では二つ)のエタロン401a,401b、隣り合うエタロン401a,401b間の光路上に配置された光アイソレータ405、CCDラインセンサ(光電変換素子の1次元(x軸方向)配列)403、二次側のエタロン401bを通過した散乱光をCCDラインセンサ403上に集光するレンズ402から構成される。
一次側のエタロン401aを出射した光は、光アイソレータ405を通って二次側のエタロン401bに垂直に入射する。二次側のエタロン401bを出射した光は、レンズ402によってCCDラインセンサ403上に集光される。これらエタロン401a,401bは、88以上のフィネスを有し、光路上に直列に配置されている。
CCDラインセンサ403上に集光された光はその光強度分布を測定され、その光強度分布は、CCDコントローラ404に送られる。
CCDコントローラ404は、その光強度分布から散乱光102の光スペクトルを算出し、さらに、該光スペクトルからブリルアン周波数シフトとブリルアン線幅を算出し、該算出値を画像表示手段50に送るスペクトル解析手段を備える。
画像表示手段50は、CCDコントローラ404から送られる前記ブリルアン周波数シフト又はブリルアン線幅の値を輝度に変換すると共に、該変換値を前記集光位置に対応付け、3次元画像として表示可能なディスプレイで構成される。
CCDコントローラ404は、その光強度分布から散乱光102の光スペクトルを算出し、さらに、該光スペクトルからブリルアン周波数シフトとブリルアン線幅を算出し、該算出値を画像表示手段50に送るスペクトル解析手段を備える。
画像表示手段50は、CCDコントローラ404から送られる前記ブリルアン周波数シフト又はブリルアン線幅の値を輝度に変換すると共に、該変換値を前記集光位置に対応付け、3次元画像として表示可能なディスプレイで構成される。
ところで、後述するように、エタロン401a,401bへの入射角は零とするのがフィネスの点で好ましいが、このとき、隣り合うエタロン401a,401bの間での反射光の干渉が問題となる虞れがある。すなわち、エタロン401a,401bにおいては、透過されない光はほぼ全て反射されるため、反射光の発生は避けられない。垂直ではなく有限の入射角で光がエタロンへ入射するよう構成した場合は、隣り合うエタロン401a,401bの間隔を、エタロン有効径/入射角の長さ以上に遠ざけることにより反射光の干渉を抑制できる。しかし、本例のように、散乱光102をエタロン401a,401bに垂直入射させる場合、この方法は使用できない。
そこで、本例では、隣り合うエタロン401a,401bの間の光路上に光アイソレータ405を配置して、前述した反射光を減衰させている。
そこで、本例では、隣り合うエタロン401a,401bの間の光路上に光アイソレータ405を配置して、前述した反射光を減衰させている。
従来の角度分散型分光器では波長488〜532nmが用いられてきたが、この波長で光アイソレータを実現するのは困難であり、可能だとしてもコストが高い。
一方、波長600〜1000nmでは、(Cd,Mn)Teや(Hg,Mn)Teや(Hg,Cd,Mn)TeなどのII−VI族希薄磁性半導体系のファラデー素子を有する光アイソレータ405が利用可能である。
1000〜1600nmの波長帯でも磁性ガーネット系や希薄磁性半導体系のアイソレータが利用可能であるが、これらの波長帯では検出器としてSiではなくInGaAsを用いる必要があり、Siを使用できる600〜1000nmに比べ、感度およびコストの点で劣る。また、弾性散乱の散乱断面積は波長増大と共に低下するので、従来用いられていた488〜532nmに比べ、波長600〜1000nmは弾性散乱が低い点でも、生体等の散乱性媒質での測定に適している。
一方、波長600〜1000nmでは、(Cd,Mn)Teや(Hg,Mn)Teや(Hg,Cd,Mn)TeなどのII−VI族希薄磁性半導体系のファラデー素子を有する光アイソレータ405が利用可能である。
1000〜1600nmの波長帯でも磁性ガーネット系や希薄磁性半導体系のアイソレータが利用可能であるが、これらの波長帯では検出器としてSiではなくInGaAsを用いる必要があり、Siを使用できる600〜1000nmに比べ、感度およびコストの点で劣る。また、弾性散乱の散乱断面積は波長増大と共に低下するので、従来用いられていた488〜532nmに比べ、波長600〜1000nmは弾性散乱が低い点でも、生体等の散乱性媒質での測定に適している。
よって、本例では、波長600〜1000nmを用いており、これにより、波長488〜532nmを用いる場合に比べ、弾性散乱が低く、エタロン401a,401bによる反射光による雑音を、光アイソレータ405を用いて低減することが容易である利点を有す。
また、1000nmを超える波長帯に比べ、Siベースの検出器が利用できるため低コストで高感度を実現でき、微弱なブリルアン散乱光の検出に適している。このような好ましい波長範囲は、従来技術では示されていなかった。
また、1000nmを超える波長帯に比べ、Siベースの検出器が利用できるため低コストで高感度を実現でき、微弱なブリルアン散乱光の検出に適している。このような好ましい波長範囲は、従来技術では示されていなかった。
本例における測定対象物30は、生体(in vivo)の眼底の血管である。動脈硬化や高血圧症などの疾患により、血管の弾性が上昇することが知られているので、眼底血管の弾性を測定することによってこれらの疾患を診断することができる。
また、開頭して露出された脳を測定対象物としてもよく、それによって脳腫瘍摘出術中に脳の各位置での脳腫瘍の有無を確認し、最低限の切除で確実に脳腫瘍を除去することが可能となる。
角度分散型分光器を用いたブリルアン分光がこのような診断に適していることは、従来技術では示されていなかった。
また、開頭して露出された脳を測定対象物としてもよく、それによって脳腫瘍摘出術中に脳の各位置での脳腫瘍の有無を確認し、最低限の切除で確実に脳腫瘍を除去することが可能となる。
角度分散型分光器を用いたブリルアン分光がこのような診断に適していることは、従来技術では示されていなかった。
散乱光102は、励起光101と同じ周波数を有する弾性散乱光と、周波数シフトを有するブリルアン散乱光からなる。生体の軟組織の音速としては以下の値がこれまでに報告されている。
・ウサギの腰筋の筋線維:1500〜1520m/s(N. Berovic, et al, Eur. Biophys. J. Vol. 17, pp. 69-74 (1989))
・ヒトの水晶体の辺縁部:1625m/s(J. Randall, et al., Proc. R. Soc. Lond. Vol. B214, pp. 449-470 (1982))
これらの値から、軟組織の音速の典型的な範囲は1500〜1625m/sと考えられる。
・ウサギの腰筋の筋線維:1500〜1520m/s(N. Berovic, et al, Eur. Biophys. J. Vol. 17, pp. 69-74 (1989))
・ヒトの水晶体の辺縁部:1625m/s(J. Randall, et al., Proc. R. Soc. Lond. Vol. B214, pp. 449-470 (1982))
これらの値から、軟組織の音速の典型的な範囲は1500〜1625m/sと考えられる。
また、波長600〜1000nmの範囲での軟組織の屈折率に関しては、
・ブタの上皮:1.38〜1.42(H. Ding, et al., J. Opt. Soc. Am. A Vol. 22, pp. 1151-1157 (2005))
・ブタの真皮:1.35〜1.37(同上)
などの値が報告されており、典型的な範囲は1.35〜1.42と考えられる。
・ブタの上皮:1.38〜1.42(H. Ding, et al., J. Opt. Soc. Am. A Vol. 22, pp. 1151-1157 (2005))
・ブタの真皮:1.35〜1.37(同上)
などの値が報告されており、典型的な範囲は1.35〜1.42と考えられる。
一方、ブリルアン散乱の後方散乱光の周波数シフトfBは、光波長をλ、屈折率をn、音速をvとして、
と与えられるので、周波数シフトの典型的な範囲は、波長800nmでは5.1〜5.8GHzとなる。
図2は、前述のエタロン401a,401bの透過率がブリルアン散乱光の光周波数において極大となる条件における弾性散乱光の抑圧度を、3水準のコントラストCで評価した結果を示す。図2(a)に示すように、ブリルアン散乱の周波数シフトfBのFSRに対する比(fB/FSR)が0.5となるようにFSRを選ぶと、弾性散乱の抑圧度は最大となる。しかし、fB/FSR≧0.5の場合は、ブリルアン散乱のストークス成分とアンチストークス成分のオーバーラップが生じて周波数測定が困難となるので実用的でない。従って、ブリルアン散乱光のFWHM線幅をΔfBとして、
(fB+ΔfB/2)/FSR<0.5
である必要がある。
(fB+ΔfB/2)/FSR<0.5
である必要がある。
前述のように、波長800nmにおける生体軟組織のブリルアン周波数シフトの典型的な範囲はfB=5.1〜5.8GHzであり、ΔfBとしては0.65GHz(J. Randall, et al., Proc. R. Soc. Lond. Vol. B214, pp. 449-470 (1982))などの値が開示されていることから、0.5−fB/FSR≧0.65/(2*5.1)=0.06であれば周波数測定は可能である。
そこで、fB/FSR=0.16〜0.44となるよう選ぶと周波数測定が可能となり、図2(b)に示されるように、抑圧度の劣化も6dB以下に抑えられるので好ましい。また、fB/FSR=0.24〜0.44となるよう選ぶと、抑圧度劣化が3dB以下となりさらに好ましい。
また、図2(b)に示すように、抑圧度劣化を一定値に抑えるためのfB/FSR比の範囲は、コントラストには実質的に依存しない一般性の高い条件であるが、このことは従来技術では示されていなかった。
また、図2(b)に示すように、抑圧度劣化を一定値に抑えるためのfB/FSR比の範囲は、コントラストには実質的に依存しない一般性の高い条件であるが、このことは従来技術では示されていなかった。
波長800nmにおけるブリルアン周波数シフトの範囲が5.1〜5.8GHzであることから、抑圧度劣化を6dB以下に抑えるためには、FSRは12〜36GHzの範囲が好ましく、さらに3dB以下に抑えるためには12〜24GHzの範囲が好ましい。
前述の式〔数4〕より、周波数のFSRは、
と表される。後述のように、エタロンへの入射角θは零に近いことが好ましいので、エタロン401a,401bの共振器媒質をn’=1の気体とすると、共振器長dは4.1〜13.0mm、さらには6.2〜13.0mmが好ましい範囲である。また、共振器媒質をn’=1.45のガラスとすると、共振器長dは2.8〜9.0mm、さらには4.3〜9.0mmが好ましい範囲となる。
角度分散型分光器においては、エタロンを通過する光周波数が入射角に依存することを利用してスペクトル情報を取得することから、エタロン401a,401bに入射させる散乱光102は有限の広がり角を持つ必要がある。
透過率のピークは前述の式〔数4〕におけるmが整数値をとることに対応するが、この整数をMとすると、入射角θ=0において透過率が極大をとる光周波数fMは、
透過率のピークは前述の式〔数4〕におけるmが整数値をとることに対応するが、この整数をMとすると、入射角θ=0において透過率が極大をとる光周波数fMは、
によって定められる。光周波数がfM+Δfに変化すると、光が透過する角度θは、
に変化するので、
と与えられる。また、この透過ピークからp本(p=0,1,2,・・・)離れた透過ピークは、
と表される。これは良く知られている。式〔数15〕は周波数f(=fM+Δf)と透過角θpの関係を表している。光波長は800nmであることから、光周波数fMは約375THzである。FSRは上記のように12〜24GHzが好ましい。
図3に、FSR=24GHzの時の散乱光102のスペクトルを構成する周波数成分が前記式〔数15〕に従って異なる入射角θで透過率ピークを持つ様子を示す。図3(a)は散乱光のスペクトルを示す。散乱光は弾性散乱光(Elastic)、ストークスブリルアン散乱光(Stokes)、アンチストークスブリルアン散乱光(Anti−Stokes)からなる。図3(b)は〔数15〕によって与えられる、光周波数と透過角(透過率がピークをとる角度)の関係を示す。図3(c)は、(a)と(b)によって与えられる、エタロン透過後散乱光強度の角度依存性を示す。図3(d)はエタロンの入射角θの定義を示す模式図である。
散乱光102におけるブリルアン周波数シフトfBを弾性散乱光からの周波数差として測定するためには、原理的には、
散乱光102におけるブリルアン周波数シフトfBを弾性散乱光からの周波数差として測定するためには、原理的には、
までの角度を測定できればよい。上述のように、波長800nm(fM=375THz)ではfB=5.1〜5.8GHzで上限は5.8GHzであるから、n=n’=1とすると、θBは5.6mradとなる。
また、診断の目的によってはfBの絶対値は必ずしも必要ではなく、正常組織のfBからの変化が分かれば十分であることも多い。この場合は、上記のfBの範囲の幅0.7GHzからθBはθB1=1.9mradとなる。これらの値はFSRには依存しない。
n’≠1の場合はn’倍すればよい。
一方、アライメントの不確かさによってθが未知のオフセットθofsを含んでいる場合や、FSR、光周波数、屈折率などに無視できない不確かさが含まれる場合は、不確かさの程度に応じてN=2〜6本の透過ピークを測定することが好ましく、これをp=0,1,・・・,N−1とした前記式〔数15〕に代入して連立方程式を解くことにより、前記の不確かさの影響を排除してΔfを求めることができる。N=6、FSR=12〜24GHzの場合、θBはθB2=20〜28mradとなる。
n’≠1の場合はn’倍すればよい。
一方、アライメントの不確かさによってθが未知のオフセットθofsを含んでいる場合や、FSR、光周波数、屈折率などに無視できない不確かさが含まれる場合は、不確かさの程度に応じてN=2〜6本の透過ピークを測定することが好ましく、これをp=0,1,・・・,N−1とした前記式〔数15〕に代入して連立方程式を解くことにより、前記の不確かさの影響を排除してΔfを求めることができる。N=6、FSR=12〜24GHzの場合、θBはθB2=20〜28mradとなる。
次に、エタロン401a,401bへの入射ビームのx方向直径Dxは2mm以下に調整されるのが好ましい。Itohらの文献が開示しているように、それによって1枚のエタロンのフィネスは130、コントラストは38dBが実現される。このエタロンが2枚直列接続されるため、コントラストは77dBとなり、生体測定に十分なコントラストが得られる。さらに3枚では115dB、4枚では153dBが得られる。
より好ましくは、入射ビーム径は100μm以下である。このように小さなビーム径は角度分散型分光器では用いられていなかったが、ファイバインライン型エタロンには用いられており、面精度の影響が実質的に排除されるため、1000〜1500のフィネス、従って一段で56〜59dB、二段で112〜119dBのコントラストが実現可能である。
より好ましくは、入射ビーム径は100μm以下である。このように小さなビーム径は角度分散型分光器では用いられていなかったが、ファイバインライン型エタロンには用いられており、面精度の影響が実質的に排除されるため、1000〜1500のフィネス、従って一段で56〜59dB、二段で112〜119dBのコントラストが実現可能である。
ただし、エタロン401a,401bの有効径を制限することによるフィネスの改善は、エタロンに垂直入射する光については有効であるが、有限の入射角θをもって入射する光の場合は、反射によってビーム位置のオフセットがエタロンの有効径を増大させる点に注意が必要である。
有限の入射角を持つ光の存在は角度分散型分光では本質的であり避けられない。ビームオフセットによって拡大した有効径Dofs(θ)は、フィネスをFとしてF回反射したビームのオフセットで表されるとすると、
となる。エタロンの有効径Deffは、入射ビーム径をDとすると、
と表される(図4(a),(b)参照)。
臨界角θcritは有効径の増大(従ってフィネスの低下)が始まる入射角であり、n’=1、D=2mm、F=130、d=4.3〜9.0mmとすると、θcrit=0.85〜1.79mradとなる。有効径を制限することによるフィネス向上の効果を得るためには、入射角は臨界角以下である必要がある。
臨界角θcritは有効径の増大(従ってフィネスの低下)が始まる入射角であり、n’=1、D=2mm、F=130、d=4.3〜9.0mmとすると、θcrit=0.85〜1.79mradとなる。有効径を制限することによるフィネス向上の効果を得るためには、入射角は臨界角以下である必要がある。
一方、ブリルアン分光においては全ての入射角に対してフィネスが高い必要は無く、ブリルアン散乱光の周波数に対応する入射角においてフィネスが高ければ十分である。そこで、臨界角以下の角度範囲にブリルアン散乱光の透過ピークが存在するように、レーザ光源10の周波数またはエタロン401a,401bのFSRを調整することが好ましい。
そのために、共振器温度が制御された半導体レーザや、外部共振器付き半導体レーザを光源10として用いることや、温度制御器406a,406bによって温度が制御されたエタロン401a,401bを用い、CCDラインセンサ403で弾性散乱光のピーク位置を測定し、弾性散乱光の透過角を計算し、弾性散乱光からfB=5.1〜5.8GHz離れた周波数を持つブリルアン散乱光の透過角θBがθB<0であれば励起光の周波数を増大させ、θB>θcritであれば励起光の周波数を減少させる制御を行うことが望ましい。
励起光周波数の増大の代わりに、エタロン401a,401bのFSRを増大させても良い。また、上に示したように、θcrit=0.85〜1.79mradはθBの1/7〜1/3倍であるから、弾性散乱光の透過角が3θcrit〜7θcritの範囲となるように制御を行ってもよい。
上述のように、ブリルアン散乱光が臨界角より小さな透過角を持つことが好ましい。ブリルアン散乱光は励起光よりも低周波のストークス成分(ストークスブリルアン散乱光と呼ぶ)と高周波のアンチストークス成分(アンチストークスブリルアン散乱光と呼ぶ)を持ち、いずれか一方について周波数シフトを測定すれば十分であるが、前記式〔数14〕より光周波数の増大とともに透過角は増大することから、ストークスブリルアン散乱光の透過角が臨界角以下となることが好ましい。
このとき、図3(c)に示すように、光軸上にストークスブリルアン散乱光が透過し、その外側に励起光と同じ周波数を有する弾性散乱光が透過するので、これをCCDラインセンサ403上に結像し、2つの光がセンサ上に集光される位置の間隔とレンズの焦点距離から2つの光の角度差を求め、前記式〔数14〕から周波数差を求めることができる。
(実施形態2)
第2の実施形態について図5に基づき説明するが、第1の実施形態と同様の構成要素については図中に同一の符号を付すなどして重複する説明を省略し、相違点を中心に以下説明する。
第2の実施形態について図5に基づき説明するが、第1の実施形態と同様の構成要素については図中に同一の符号を付すなどして重複する説明を省略し、相違点を中心に以下説明する。
この例におけるレーザ光源10は実施形態1と実質的に同様であるが、照射・捕捉光学系20において、前記したレンズ202に代えてシリンドリカルレンズ202bを用い、このシリンドリカルレンズ202bによって、励起光101がライン状ビーム(この例ではy軸方向を幅方向とするライン状ビーム)となり、測定対象物30内にライン状に集光される。
またこの例では、このライン状ビームによるライン状の集光位置が被測定部位302であり、前述した不図示の移動機構と制御部により、シリンドリカルレンズ202bと可動鏡206を移動可能として、前記ライン状スポットを2次元的(この例ではx軸方向とz軸方向)に移動制御することで、測定対象物30の3次元空間をスキャン可能となっている。ビームがライン状なので集光位置のy軸方向への移動は不要であり、可動鏡206は1つで良い。
またこの例では、このライン状ビームによるライン状の集光位置が被測定部位302であり、前述した不図示の移動機構と制御部により、シリンドリカルレンズ202bと可動鏡206を移動可能として、前記ライン状スポットを2次元的(この例ではx軸方向とz軸方向)に移動制御することで、測定対象物30の3次元空間をスキャン可能となっている。ビームがライン状なので集光位置のy軸方向への移動は不要であり、可動鏡206は1つで良い。
ライン状の集光位置(被測定部位302)から発生した散乱光102は、レンズ203を通ってスリット204上に集光される。スリット204は、前記したライン状ビームと同様にy軸方向へ伸びている。
スリット204はライン状の集光位置と共焦点の関係にあり、スリット204上に被測定部位302のy軸方向の像209aが結像される。実施形態1と同様に、スリット204通過後の散乱光はレンズ205、シリンドリカルレンズ207を通り、それによってx方向の広がり角が調整される。このとき、シリンドリカルレンズ207の焦点面のy軸方向には、対象の像209bが結像される(図5中の(b)図参照)。
その後、レンズ208によってコリメートされ、光路上に直列に配置されたエタロン401a,401b,401cを通過する。
それぞれのエタロン401a,401b,401cの間には、光アイソレータ405a,405bが配置されており、これら光アイソレータ405a,405bによって、隣り合うエタロン間で反射される光による雑音が抑制される。
それぞれのエタロン401a,401b,401cの間には、光アイソレータ405a,405bが配置されており、これら光アイソレータ405a,405bによって、隣り合うエタロン間で反射される光による雑音が抑制される。
エタロン401c通過後の光はレンズ402によって、光電変換素子を2次元方向に配列したCCDイメージセンサ403b上に集光される。このとき、x軸方向の強度分布はスペクトル情報、y軸方向の強度分布は対象像の情報をそれぞれ有している。
すなわち、この実施形態は、ライン状のビームでy軸方向の像情報を取得することによって、実施例1に比べ可動鏡を1つ減らしている。これにより測定時間が短縮され、光学系が小型化されるなどの利点を奏する。
すなわち、この実施形態は、ライン状のビームでy軸方向の像情報を取得することによって、実施例1に比べ可動鏡を1つ減らしている。これにより測定時間が短縮され、光学系が小型化されるなどの利点を奏する。
上述した2つの実施形態において、レーザ光源10はパルス光であることが好ましい。
パルス光を用いることで、生体(in vivo)に適用した場合、組織の熱的損傷を低減すると共に、信号のピーク強度を高めることができるなどの利点がある。
パルス光を用いることで、生体(in vivo)に適用した場合、組織の熱的損傷を低減すると共に、信号のピーク強度を高めることができるなどの利点がある。
また、CCDイメージセンサ403bに到達するパルス光に同期させて、CCDイメージセンサ403bの電子シャッタを動作させることにより、信号帯雑音比を向上できる。これはCCDイメージセンサ403bの光電変換素子に蓄積された光電子を排出するリセット信号と、蓄積された光電子を転送素子に移動させる読出し信号を、図5中の(c)に示したように、光パルスに同期させて発生させる、詳しくは、励起光パルスの立ち上がりに同期して光電変換素子に蓄積された光電子を排出して次の蓄積を開始し、励起光パルスの立下りに同期して蓄積された光電子を転送素子へ転送するようにすることで実現される。
以上、本発明の実施形態例を図面に基づいて説明したが、本発明は図示例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において各種の変更が可能であることは言うまでもない。
10:レーザ光源
101:励起光
102:散乱光
20:照射・捕捉光学系
201:半透鏡
202:レンズ
202b:シリンドリカルレンズ
206,206a,206b:可動鏡
204:スリット
204b:ピンホール
30:測定対象物
302:被測定部位
40:分光器(分光光学系)
401a,401b,401c:エタロン
405,405a,405b:光アイソレータ
403:CCDラインセンサ(光電変換素子の1次元配列)
403b:CCDイメージセンサ(光電変換素子の2次元配列)
404:CCDコントローラ
101:励起光
102:散乱光
20:照射・捕捉光学系
201:半透鏡
202:レンズ
202b:シリンドリカルレンズ
206,206a,206b:可動鏡
204:スリット
204b:ピンホール
30:測定対象物
302:被測定部位
40:分光器(分光光学系)
401a,401b,401c:エタロン
405,405a,405b:光アイソレータ
403:CCDラインセンサ(光電変換素子の1次元配列)
403b:CCDイメージセンサ(光電変換素子の2次元配列)
404:CCDコントローラ
Claims (11)
- 励起光を測定対象物の被測定部位に集光すると共に、該被測定部位で発生した散乱光を捕捉する照射・捕捉光学系と、
前記照射・捕捉光学系で捕捉された散乱光をエタロンに透過させ光電変換素子の配列上に集光する分光光学系と、
前記光電変換素子の配列によって測定された光強度分布から前記散乱光の光スペクトルを算出し、さらに該光スペクトルからブリルアン周波数シフト又はブリルアン線幅の少なくとも一方を算出するスペクトル解析手段と、を有する弾性・粘性測定装置であって、
前記分光光学系が、光路上に配置された複数のエタロンを有することを特徴とする弾性・粘性測定装置。 - 励起光を発生させる励起レーザ光源と、
前記励起光を測定対象物の被測定部位に集光すると共に該被測定部位で発生した散乱光を捕捉するレンズ、及び該レンズによる集光位置を移動させる機構を持つ照射・捕捉光学系と、
前記照射・捕捉光学系で捕捉された散乱光の広がり角を調整してエタロンを透過させ光電変換素子の配列上に集光する分光光学系と、
前記光電変換素子の配列によって測定された光強度分布から前記散乱光の光スペクトルを算出し、さらに該光スペクトルからブリルアン周波数シフト又はブリルアン線幅の少なくとも一方を算出するスペクトル解析手段と、
前記ブリルアン周波数シフト又はブリルアン線幅の値を輝度に変換すると共に、該変換値を前記集光位置に対応付けて画像として表示する画像表示手段と、を有する弾性・粘性測定装置であって、
前記分光光学系は光路上に直列に配置された複数のエタロンを有することを特徴とする弾性・粘性測定装置。 - 前記分光光学系における隣り合うエタロンの間の光路上に光アイソレータが配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の弾性・粘性測定装置。
- 前記励起光の光周波数を変化させる手段または前記各エタロンのFSRを変化させる手段を有し、前記各エタロンは光軸に対し実質的に垂直となる向きで配置され、該各エタロンに入射する散乱光のビーム径をD、エタロンの共振器媒質の屈折率をn’、共振器長をd、フィネスをFとし、θcrit=n’D/(2Fd)で定義される臨界角をθcritとして、0≦θ≦θcritなる入射角θの範囲内に、前記被測定部位で発生したストークスブリルアン散乱光の透過率が極大となる角度が存在するように、前記光周波数または前記FSRを変化させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の弾性・粘性測定装置。
- 前記励起光の光周波数を変化させる手段または前記各エタロンのFSRを変化させる手段を有し、前記各エタロンは光軸に対し実質的に垂直となる向きで配置され、該各エタロンに入射する散乱光のビーム径をD、エタロンの共振器媒質の屈折率をn’、共振器長をd、フィネスをFとし、θcrit=n’D/(2Fd)で定義される臨界角をθcritとして、3θcrit≦θ≦7θcritなる入射角θの範囲内に、前記励起光と同じ周波数を有する弾性散乱光の透過率が極大となる角度が存在するように、前記光周波数または前記FSRを変化させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の弾性・粘性測定装置。
- 前記測定対象物としての生体軟組織の音速範囲及び屈折率から求められるブリルアン周波数シフトの下限値fB1、上限値fB2に対し、垂直入射光に対する前記各エタロンのFSRが、0.16≦fB1/FSR、且つ、fB2/FSR≦0.44を満たすことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の弾性・粘性測定装置。
- 前記励起光の波長が600〜1000nmであり、前記光電変換素子はSi半導体からなる光電変換媒質を有する電荷結合素子であり、前記光アイソレータはII−VI族磁性半導体からなるファラデー素子を有することを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の弾性・粘性測定装置。
- 前記照射・捕捉光学系は前記散乱光の光路上にピンホールを有し、該ピンホールと前記被測定部位は1または複数のレンズによって結像関係となるように結合されており、前記光電変換素子の配列は1次元配列であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の弾性・粘性測定装置。
- 前記照射・捕捉光学系は前記散乱光の光路上にスリットを有し、該スリットと前記被測定部位は1または複数のレンズによって結像関係となるように結合されており、前記光電変換素子の配列は2次元配列であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の弾性・粘性測定装置。
- 前記照射・捕捉光学系の集光位置を移動させる機構は、少なくとも1つ以上の移動軸を有することを特徴とする請求項2ないし9のいずれかに記載の弾性・粘性測定装置。
- 前記励起光はパルス光源であり、前記光電変換素子の配列は該励起光パルスに同期して動作させることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の弾性・粘性測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006125983A JP2007298365A (ja) | 2006-04-28 | 2006-04-28 | 弾性・粘性測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006125983A JP2007298365A (ja) | 2006-04-28 | 2006-04-28 | 弾性・粘性測定装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007298365A true JP2007298365A (ja) | 2007-11-15 |
Family
ID=38767976
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JP2006125983A Pending JP2007298365A (ja) | 2006-04-28 | 2006-04-28 | 弾性・粘性測定装置 |
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JP (1) | JP2007298365A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009276292A (ja) * | 2008-05-16 | 2009-11-26 | Fujifilm Corp | 液体の表面物性の異方性評価方法およびそれに用いる装置 |
JP2013205231A (ja) * | 2012-03-28 | 2013-10-07 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | ブリルアン散乱顕微鏡 |
CN104237071A (zh) * | 2014-09-23 | 2014-12-24 | 南昌航空大学 | 一种气体体粘滞系数的测量方法及装置 |
CN108645751A (zh) * | 2018-05-15 | 2018-10-12 | 浙江大学 | 一种基于光悬浮微粒的动力粘度的测量方法及装置 |
US20210085178A1 (en) * | 2019-09-23 | 2021-03-25 | Intelon Optics, Inc. | Scanning Patient Interface Systems And Methods |
-
2006
- 2006-04-28 JP JP2006125983A patent/JP2007298365A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009276292A (ja) * | 2008-05-16 | 2009-11-26 | Fujifilm Corp | 液体の表面物性の異方性評価方法およびそれに用いる装置 |
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CN108645751A (zh) * | 2018-05-15 | 2018-10-12 | 浙江大学 | 一种基于光悬浮微粒的动力粘度的测量方法及装置 |
CN108645751B (zh) * | 2018-05-15 | 2020-05-19 | 浙江大学 | 一种基于光悬浮微粒的动力粘度的测量方法及装置 |
US20210085178A1 (en) * | 2019-09-23 | 2021-03-25 | Intelon Optics, Inc. | Scanning Patient Interface Systems And Methods |
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