JP4891766B2 - パンクレアチン及び比較可能な組成物のための分析法 - Google Patents

パンクレアチン及び比較可能な組成物のための分析法 Download PDF

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Description

本発明は、同一性、タンパク質及び/又はペプチドパターン、並びに、脂質分解活性、タンパク質分解活性及びデンプン分解活性を有する生理的に認容性の酵素混合物、特に消化酵素、例えばパンクレアチンの混合物を含有する試料の安定性を、特に前記の酵素混合物、例えば沈降パンクレアチン又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェアを含有する医薬品の製造において分析するための新規の方法に関する。
本発明の課題は、消化酵素、例えばパンクレアチンの混合物を含有する製薬的調剤のために、特に前記の酵素混合物、例えばパンクレアチン又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェアを含有する医薬品の製造において適当な新規の分析法を提供することである。特に、同一性、タンパク質及び/又はペプチドパターン、並びに前記の消化酵素試料の安定性を分析及び決定するための、医薬製造のために適当でありかつ確認の信頼性のある分析法を提供することが課題である。更なる課題は、パンクレアチン、特に沈降パンクレアチン又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェア試料の分析のために最適化された条件で前記分析法を提供することである。
本発明によれば、脂質分解活性、タンパク質分解活性及びデンプン分解活性を有する生理的に認容性の酵素混合物、例えば微生物由来の適当な酵素混合物及び/又は特に動物由来の消化酵素の混合物、例えば有利にパンクレアチン又は消化酵素のパンクレアチン様混合物が、本質的に本願明細書中に記載された分析法により分析される。
本発明のために、全ての動物又は微生物由来の脂質分解活性、タンパク質分解活性及びデンプン分解活性を有する生理的に認容性の酵素混合物を分析することができる。本発明の方法により分析される脂質分解活性、タンパク質分解活性及びデンプン分解活性を有する酵素混合物は、純粋に微生物由来、純粋に動物由来のものであってもよいし、動物及び微生物由来の酵素の混合物であってもよい。
従って本発明の1つの変形において、使用される酵素混合物は純粋に微生物由来ものである。特に、細菌により、即ちバチルス又はシュードモナス属菌株により、又は真菌培養組織、例えば糸状菌、例えばクモノスカビ属及びアスペルギルス属菌株により生成される酵素は、微生物酵素として特に適当である。そのような生理的に認容性の細菌及び/又は糸状菌類酵素の例は、例えばその合成及び消化不良の治療のための使用と関連して既に先行技術に記載されている。リパーゼは例えばバチルス又はシュードモナス属菌株から誘導されることができ、アミラーゼ及びリパーゼは糸状菌類、例えばクモノスカビ属菌株から誘導されることができ、プロテアーゼは例えばアスペルギルス属から誘導されることができる。
しかしながら本発明の有利な変形は、特性がパンクレアチンに極めて類似している脂質分解活性、タンパク質分解活性及びデンプン分解活性を有する消化酵素の混合物の使用を含む。本発明のために、パンクレアチンを含有する消化酵素の混合物及び特にパンクレアチン自体が有利に使用され、かつリパーゼ、プロテアーゼ及びアミラーゼの群の1種以上の微生物酵素、即ち微生物により合成される酵素を、所望であれば、パンクレアチン又はパンクレアチンを含有する消化酵素の混合物に添加することができる。更に有利に、本発明による方法は、沈降パンクレアチン又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェア試料の分析に適当である。
パンクレアチンは脂質分解活性、タンパク質分解活性及びデンプン分解活性を有する公知の酵素混合物であり、例えば腸溶マイクロスフェアを含有する顆粒、ペレット又はカプセルの形のクレオン(Creon)(登録商標)の商品名で市販で入手可能であり、例えば膵機能不全、胃の手術後の消化機能不全、肝臓及び胆管疾患、嚢胞性繊維症.及び慢性膵炎における酵素代替物のために医学的に使用される。パンクレアチンは一般に、例えばドイツ国特許明細書DE2512746及びDE4203315に記載された方法によってブタの膵臓から抽出することにより天然酵素の混合物として得られ、その後当業者に公知の方法で所望のガレヌス形に変換される。膵酵素は通常固体製剤の形で経口投与される。
本発明の1つの変形において、本発明により分析することができる医薬製剤は有利にパンクレアチン又はパンクレアチンを含有する消化酵素の混合物を含有する。この本発明により分析される医薬製剤は、パンクレアチン又はパンクレアチンを含有する消化酵素の混合物、及びパンクレアチンに加えて、リパーゼ、プロテアーゼ及びアミラーゼの群からの1種以上の生理的に認容性の、微生物から得ることができる種の酵素を含有してよい。このサプリメントにおいて使用される微生物酵素には特に既に上記されたバチルス又はシュードモナス属菌株による、又は真菌培養組織、例えば糸状菌、例えばクモノスカビ属又はアスペルギルス属菌株による細菌合成酵素が含まれる。パンクレアチン又はパンクレアチンを含有する酵素の混合物の他に含まれるリパーゼは、例えばバチルス又はシュードモナス属菌株に由来してよく、アミラーゼ及びリパーゼは糸状菌類、例えばクモノスカビ属菌株に由来してよく、プロテアーゼは例えばアスペルギルス属に由来してよい。
微生物及び/又は動物源から得ることができ、かつ本発明に関連して記載される、脂質分解活性、タンパク質分解活性及びデンプン分解活性を有する生理的に認容性の酵素混合物、例えばパンクレアチン又は非動物由来の酵素混合物を、本発明の方法により極めて効率的に分析することができることが見い出された。本発明は、例えば同一性、タンパク質及び/又はペプチドパターン、並びに、前記消化酵素組成物又は脂質分解活性、タンパク質分解活性及びデンプン分解活性を有する生理的に認容性の酵素混合物を含有する試料の安定性を分析及び決定するための強力でかつ信頼性のある(再現性のある)方法を提供する。与えられたパラメータを本発明による方法の全体的な機能を損なうことなくある程度変動させることができ;方法を実施するために以下の記載、実施例、表及び図に示されたパラメータの+/−10%、特に+/−5%の調整を望むことができることは当業者に自明である。
従って、本発明は、疾患の治療のための医薬製剤の製造において使用される脂質分解活性、タンパク質分解活性及びデンプン分解活性を有する生理的に認容性の消化酵素混合物を含有するタンパク質試料を2次元ゲル電気泳動(2D GE)によって特性解析及び/又は特定するための分析法に関するものであり、前記方法は
(a)酵素混合物試料をゲル電気泳動のための溶剤組成物中に溶解させることによる試料調製、ここで、前記溶剤組成物はタンパク質材料を溶解させるのに適当な特定の溶剤、タンパク質の定量化のための内部標準及びプロテアーゼインヒビターを含有する、
(b)ゲル電気泳動の一次元を定義し、かつタンパク質分画の分離のためにグラジエントを施与するための等電点電気泳動工程;
(c)再緩衝を含む後続の予備処理工程;
(d)二次元への移行及びSDS−PAGEによる分離;
(e)工程(d)から得られるゲルの固定及び染色;及び
(f)蛍光走査による比重評価
を含む。
2D GE法は、同一性、タンパク質及び/又はペプチドパターン、並びに、約8kDa(キロダルトン)を上回るタンパク質又はペプチド分画の分子量を有する、前記消化酵素組成物又は脂質分解活性、タンパク質分解活性及びデンプン分解活性を有する生理的に認容性の酵素混合物を含有する試料を分析及び決定するため特に適当である。本発明の変形において、同一性、タンパク質及び/又はペプチドパターン、並びに、パンクレアチン、特に沈降パンクレアチン又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェアの安定性を分析及び決定するのに特に適当である。本発明の方法のバリエーションを実施する際に適用可能なパラメータを、本発明の文脈において、以下の「MALDI−TOF−MSを用いたスポットの同定」「沈降パンクレアチンのストレス試験研究」「沈降パンクレアチン試料の同一性及びタンパク質パターンを2Dゲル電気泳動によって決定するための分析手法」に関する記載の段落及び関連する表に記載し、かつ与えられた図により更に説明する。
消化酵素試料、例えばパンクレアチン及び特に約8kD(キロダルトン)を下回るタンパク質又はペプチド分画の分子量を有する沈降パンクレアチン又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェアのために、本発明の変形によれば、該方法に分析RP−HPLC法の付加的な適用を追加することができる。
1つの態様において、本発明は上記で定義されたように、微生物合成リパーゼ、プロテアーゼ及びアミラーゼの酵素混合物の分析に関する。他の態様において、本発明は上記で定義されたように、消化酵素のパンクレアチン及び/又はパンクレアチン様混合物の分析に関する。更に他の態様において、本発明は上記で定義されたように、沈降パンクレアチン又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェアであるパンクレアチン試料の分析に関する。
他の態様において、本発明は上記で定義されたように、工程(a)において試料を溶解させるために使用する溶剤が、pH3〜10の、7M尿素、2Mチオ尿素、4%(w/v)CHAPS、1%(w/v)DTT及び0.5%ファーマライト(Pharmalyte)(登録商標)のリーシスバッファである分析法に関する。
更に他の態様において、本発明は上記で定義されたように、工程(a)において使用するタンパク質の定量化のための内部標準が、ホスホリラーゼB、有利にウサギホスホリラーゼB又は炭酸脱水酵素、有利にウシ炭酸脱水酵素である分析法に関する。
付加的な態様において、本発明は上記で定義されたように、プロテアーゼインヒビターがミニコンプリート(Mini Complete)及び/又はペファブロック(Pefabloc)である分析法に関する。
他の態様において、本発明は上記で定義されたように、工程(a)において試料を溶解させるために使用する溶剤が、1:1v/vの比で、pH3〜10の、7M尿素、2Mチオ尿素、4%(w/v)CHAPS、1%(w/v)DTT及び0.5%ファーマライト(登録商標)のリーシスバッファ2ml中に溶解されたミニコンプリート1.5mgと、リーシスバッファ2ml中に溶解されたペファブロック1mgとから成るLp3である分析法に関する。
本発明は上記で定義されたように、約8kDを上回る分子量を有するタンパク質及び/又はペプチド分画の特性解析及び定量化のために適用する分析2D GE法にも関する。
他の態様において、本発明は上記で定義されたように、パンクレアチンの、有利に沈降パンクレアチン試料の、又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェア試料の同一性及び/又はタンパク質及び/又はペプチドパターンの決定を含む分析法に関する。
他の態様において、本発明は上記で定義されたように、更にMALDI−TOF−MSを用いたタンパク質及び/又はペプチドスポットの同定を含む分析法に関する。
1つの態様において、本発明は上記で定義されたように、パンクレアチンの、有利に沈降パンクレアチン試料の、又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェア試料の同一性及び/又はタンパク質及び/又はペプチドパターン及び不純物及び/又は分解物を決定するためのストレス又は安定性試験として行い、かつ場合により前記のタンパク質、ペプチド、不純物及び/又は分解物の定量化をも含む分析法に関する。
他の態様において、本発明は上記で定義されたように、更に、RP−HPLCによる、低分子タンパク質及び約8kDを下回る分子量を有するペプチド分画の特性解析及び定量化を含む分析法に関する。
更に他の態様において、本発明は上記で定義されたように、疾患の治療のための医薬製剤の製造において使用される脂質分解活性、タンパク質分解活性及びデンプン分解活性を有する生理的に認容性の酵素混合物の試料を2次元ゲル電気泳動によって特性解析及び/又は特定するための適当な溶剤組成物において、前記溶剤組成物が、
(a)ゲル電気泳動及びタンパク質材料を溶解させるのに適当な溶剤、その際、前記溶剤はpH3〜10の、7M尿素、2Mチオ尿素、4%(w/v)CHAPS、1%(w/v)DTT及び0.5%ファーマライト(登録商標)のリーシスバッファである;
(b)タンパク質の定量化のための内部標準;及び
(c)プロテアーゼインヒビター
を含むことを特徴とする溶剤組成物に関する。
この溶剤の変形において、試料を溶解させるための溶剤は、1:1v/vの比で、pH3〜10の、7M尿素、2Mチオ尿素、4%(w/v)CHAPS、1%(w/v)DTT及び0.5%ファーマライト(登録商標)のリーシスバッファ2ml中に溶解されたミニコンプリート1.5mgと、リーシスバッファ2ml中に溶解されたペファブロック1mgとから成るLp3である。
以下で使用される幾つかの略記及び/又は用語の列挙:
mms ミニ−マイクロスフェア(mini-microspheres)(パンクレアチンミニ−マイクロスフェア)
HCl 塩酸
API 活性薬理成分(active pharmaceutical ingredient)
NDA 新薬承認申請(New Drug Application)
FDA 食品医薬品局(Food and Drug Administration)
MALDI−TOF MS マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(matrix assisted laser desorption and ionization mass spectroscopy)
UTLIEF 超薄層等電点電気泳動(ultrathin-layer isoelectric focusing)
MSI−MS エレクトロスプレーイオン化質量分析(electrospray ionization mass spectroscopy)
特に製薬及び調節の目的のための確認の後の本発明による分析法は、有利に沈降パンクレアチンの特性解析及び特定のために使用することが意図され、かつパンクレアチン腸溶マイクロスフェア(パンクレアチンミニ−マイクロスフェア)に適用することもできる。
例えば、活性成分である沈降パンクレアチン及び投与形であるパンクレアチン腸溶mmsに関してNDAのために提出されるべき製品の規格は、同定、純度、アッセイ、胃酸耐性及び酵素の放出といった項目を網羅している。技術水準の同定は酵素アッセイに基づいており、これはAPIと投与形の双方において酵素の活性を測定するために使用される。「純度」には残留溶剤(API、mms)、脂肪分(API)、水(API、mms)及び微生物学的特性の測定も含まれる。Q6Bガイドライン「生物工学/生物学的製品のための規格・試験方法と判定基準」に基づく現在のFDA要求及び期待を考慮するために、種々のクラスの酵素、不純物及び前記酵素からの分解物の同定及び定量化に特に注目した医薬物質及び投与形のために必要な更に詳細な特性解析が考慮される。特性解析からの結果及び方法は規格設定のために選択される。
従って、本発明は、特性解析及び規格設定のために2Dゲル電気泳動(2D GE)の使用を提案する。なぜならば、沈降パンクレアチンは種々のクラスの成分の複合混合物であるため、2次元ゲル電気泳動はペプチド及びタンパク質、即ち種々のクラスの酵素、不純物及びタンパク質の分解物を分離するための極めて優れた選択性をもたらすことが期待されることが見い出されたためである。更に、染色ゲルの画像化により、成分の定量化及びパンクレアチン試料、沈降パンクレアチン又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェアの試料におけるタンパク質及び/又はペプチドパターンの比較が可能となる。本発明は、最も顕著なスポットの同定を、トリプシン消化の後にスポットピッキング及びMALDI−TOF−MSにより行うことができることを示す。
一般に、本発明による2D GE法による分離は一次元(工程(b)等電点電気泳動)においてパンクレアチン試料又はmms試料の緩衝水溶液から、試料の脱塩の後に、ゲル上で3〜10のpHグラジエントで行われ、潜在的な成分又は化合物の広い範囲が網羅される。電気泳動はイモビリンドライストリップ(immobiline dry strip)上で実施される。開始するための例示的なグラジエントを以下に作表する:
Figure 0004891766
一般に、本発明による2D GE法の二次元での分離(工程(d)SDS−PAGE)は、手製のゲル上で(例えば以下の条件下で:T=13%、C=3%)、例えばSDS−GLYCIN−TRISバッファを用いて以下に作表した通りの例示的なグラジエントで実施される:
Figure 0004891766
一般に、染色を例えばエタノール/酢酸混合物で固定した後に蛍光染料を用いて行い、引き続き例えばエタノール/酢酸中で脱色する。水で洗浄した後、比重走査を行う。その後、MALDI−TOF−MSによる同定のために例えばコロイド状のクーマシーブルーでの染色を行う。この目的のために、スポットをゲルから選び取り、トリプシン消化物に施与する。ペプチドを例えばアセトニトリル/0.1%TFAを用いてゲルから抽出し、C18 ZipTipカラム上で精製する。2,5−ジヒドロキシ安息香酸を用いて共結晶化した後、抽出物をピペットで目的のプレート上に移す。
本発明の適用可能性及び有用性を説明するための例として、分析法において、パンクレアチンSPL85を含む沈降パンクレアチン(種々の国及び種々の製造法からのもの)の3つの種の3つの各バッチを選択した。各バッチの1つの試料をゲルに施与し、各々の種の1つのバッチに関して、沈降工程、試料調製及び分離の再現性を確認するために分析を3回実施した。スポットを定量化し、特徴的なスポットの同定を実施した。
本発明の適用可能性及び有用性を説明するための例として、安定性試験において、適用可能性及び有用性を説明するために前に使用したのと同一のバッチをストレス条件(温度、湿度、光)下におき、活性の損失を測定し、その後、差異を分析又は検査し、適切であれば潜在的な分解物を同定する。
上記に示したように、消化酵素試料、例えばパンクレアチン及び特に約8kD(キロダルトン)を下回るタンパク質又はペプチド分画の分子量を有する沈降パンクレアチン又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェアのために、本発明の変形によれば、該方法に分析RP−HPLC法の付加的な適用を追加することができる。本発明のRP−HPLC法の変形の実施において適用可能なパラメータを、以下で「パンクレアチンの分析のためのMALDI−TOF−MSを用いたRP−HPLCの実現性」に関する記載の項で詳述する。
本発明の文脈において、「MALDI−TOF−MSを用いたスポットの同定」、「沈降パンクレアチンのためのストレス試験研究」、「沈降パンクレアチンのストレス試験研究」「沈降パンクレアチン試料の同一性及びタンパク質パターンを2Dゲル電気泳動によって決定するための分析手法」及び関連する表を、与えられた図により更に説明する。
HPLCは、ルーチン分析のために、またタンパク質分析においても幅広く用いられている、広範囲に自動化され、十分に再現性を有する高度に選択的な方法である。化合物の定量化が容易であり、ピークの同定をLC−ESI−MSにより行うことができる。低分子のペプチド及び他の低分子の化合物を検出及び同定することができ、該方法は例えば2D−ゲル電気泳動又はSDS−PAGEに対して相補的である。従って、これを特に酵素クラス、不純物及び分解物のフィンガープリンティング、同定目的及び定量化のために使用することができる。
通常、HPLC法には例えば以下のものから構成されたagilent HPLC装置又は同等のシステムが含まれる:オートサンプラー G 1313A;Quat. pump G 1311A;UV検出器G 1314A;真空脱気装置G 1322A;HPカラムオーブンG1316A;1100 制御モジュール G 1323A;LANインターフェース35900E;及びChemServer。典型的なHPLCカラムは例としてRP18、5.0μmの固定相を有するMODULO O-CART QS UPTISPHERE 5 WRP, Interchim(UP5WRP$15QS)、長さ150mm、内径3.0mmのステンレス鋼の管材料;又は比較可能な同等のHPLCカラムであってよい。RP18、5.0μmの相は例えば水100%で操作でき、かつタンパク質及びペプチドのために適当であるために有益である。適当なカラムの他の例は、例えばVarian B.V., Middelburg, The Netherlandsから入手可能なPolaris 5μm C18-A 150 x 4.6 mm(製品オーダー番号A2000150X046);又は例えばMicroSolv Technology Corporation, Long Branch, NJ 07740, USAからのCogent Bidentate, C( (Octyl), 4μm, 300 A, 150 x 4.6 mmである。
HPLC法を以下の例示的な条件下で運転することができる:
操作モード グラジエントHPLC
移動相 移動相A 水/TFA0.05%(v/v)
移動相B アセトニトリル/TFA0.05%(v/v)
グラジエント
Figure 0004891766
流動速度 1.0ml/分
分析の期間 75分
温度 20±5.0℃
注入体積 10μl
検出のために例えばUV検出器を波長214nmで使用することができる。
MALDI−TOF−MSを用いたスポットの同定
本発明の一つの態様によれば、分析法は、例えば沈降パンクレアチンの試料のための、2Dゲルからのタンパク質スポットの同定を含む。MALDI−TOF−MSを用いたこのスポットの同定を、以下の項でより詳細に記載する。方法の手順を、2Dゲル電気泳動及びMALDI−TOF−MSに関して更に以下により詳細に記載する。タンパク質特性解析を、2Dゲル法を行うことにより得られた湿潤ゲルからペプチドマスフィンガープリンティングを確立することにより、及び明確に同定されなかったスポットのために付加的にMALDI−MS/MSを適用することにより行う。
ペプチドマスフィンガープリンティング:
ペプチドマスフィンガープリンティング(PMF)のために、個々のスポットを、直径0.2cmの操作されたピペットチップを用いて湿潤ゲルから手動で切り出す。その後、各スポットを単一の管に移す(0.5ml)。クーマシーブルーで染色したスポットを特別な洗浄手順で脱色する:1. 10mM炭酸水素アンモニウム100μl、5分間振盪、2. 10mM炭酸水素アンモニウム、50%アセトニトリル、5分間振盪。この手順を少なくとも3回、又は全てのスポットが完全に無色になるまで繰り返さねばならない。最終の洗浄工程の後にアセトニトリル5μlを各管に添加する。スポットが白色の場合、消化用バッファを管内のゲルの量に応じて2〜6μl添加することができる。消化用バッファは0.01μg/μl変性ウシトリプシン(Roche Diagnostics, Basel, Switzerland)を含有する10mM炭酸水素アンモニウムである。消化を37℃で一晩実施する。
消化の後、上澄み液を除去するとゲルマトリックスが管内に残る。上澄み液が残存していない場合には抽出媒体(1%TFA、50%アセトニトリル)5μlを添加すべきである。超音波処理浴内で超音波処理を10分間行った後、管をスピードバック(speedvac)に移し、アセトニトリルを除去する。その後、ペプチドを濃縮し、C18 ZipTip(Millipore, USA)を用いて製造者の指示に従って試料を脱塩する。抽出された混合物をMALDI−MSターゲット(Applied Biosystems)の上に移すことができる。試料0.1μlの量をDHBSマトリックス(2,5−ジヒドロキシ安息香酸:2ヒドロキシ−5メトキシ安息香酸 9:1)0.1μlと混合する。その後、ターゲットをMALDI質量分析計により測定する(Voyager STR, Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)。リフレクターモードでの質量範囲として600〜4200ダルトン(Da)を使用した。低分子量範囲(<600Da)はマトリックス効果のために検出が困難である。
PMFスペクトルを標識し、公知の自己トリプシン(autotryptic)ペプチドの2種の質量に対して内部キャリブレーションする(805.42Da;2163.05Da)。キャリブレーションしたスペクトルは通常50ppm未満の精度を有する。PMFのためのデータベース検索をソフトウェアProFound(Genomic Solutions, USA)を用いて行う。ヒット1とヒット2との間のギャップが少なくともe−04であり、かつ最も強度の質量を説明することができるか又はシーケンスカバー率が比較的高い(>30%)場合、顕著なヒットに達する。
同定の結果を以下の表Aに作表する。また、図1は沈降パンクレアチンからの同定スポットの標識により得られた2Dゲルを示す。
更に、図2は本発明による方法の高い再現性を示す。3種のゲルを別々の4日間で沈降パンクレアチンの単一試料から準備した。
MALDI−MS/MS:
PMFにより明確に同定することができなかったタンパク質スポットを、プロテオミクス分析器4700 (Applied Biosystems, Framingham, CA, USA)を用いてMALDI−MS/MSのために選択した。この目的のために、所定のピーク強度を有するペプチドを選択してかつ断片化し、シーケンス情報を得る。得られた断片スペクトルを使用し、マスコット(Mascot)ソフトウェア(Matrixscience, London, UK)を用いてNCBIデータベース(http://www.ncbi.nih.gov/),National Center for Biotechnology Information, National Library of Medicine,Building 38A, Bethesda, MD 20894, USAを検索した。所定のマスコットスコアを超えるスペクトルが有意である。疑問の余地のある場合にはマニュアル制御を行う。
表AはMALDI−MS/MSにより得られる結果を示す。
沈降パンクレアチンのストレス試験研究
本発明の他の態様によれば、2Dゲル電気泳動法を、沈降パンクレアチンの試料の分解プロセスのモニタリング及び/又は安定性のモニタリングのために使用する。この安定性試験を沈降パンクレアチンのためのストレス(安定性)試験に関する以下の試験報告においてより詳細に記載する。
本発明の他の態様によれば、ストレス試験において、2Dゲル電気泳動(2D GE)法の適性を、(a)沈降パンクレアチンに適用した際の安定性試験に関して、(b)ストレス試験の間に生じる潜在的な分解生成物の探索に関して、及び(c)分解を示すスポットの同定に関して検査した。研究により、この研究において含まれる沈降パンクレアチンの双方の型に関して比較可能な、既に同定された幾つかのスポットの顕著な変化が明らかとなった。従って該方法は安定性を示すものと見なされる。
2D GE法を、沈降パンクレアチンの特性解析のためのその適性について評価するために、沈降パンクレアチンの試料をストレス試験条件下で保管し、本発明の方法により検査した。前記試料のアリコートを2D GEによって試験し、ストレス試験を実施するために必要な持続時間を測定し、かつパンクレアチンの分解生成物に関連し得るスポットを探索した。
ストレス試験を以下の詳細に記載するように分析手法「2Dゲル電気泳動による同一性及びタンパク質パターン」により行った。
ストレス試験のために以下の試料を使用した:
Figure 0004891766
沈降パンクレアチン20gの量をペトリ皿に充填し、第二のペトリ皿でカバーした。試料を40℃/75%r.h.で保管した。試料100mgを最初及び1、2、4、8、16及び32日後に収穫した。0、16及び32日後に引き出した試料を2D GEにより試験した。全ての試料を、検査のために使用するまで、深冷凍結、即ち−15℃未満で、光及び湿気から保護して保管した。
結果を表A〜I及び図1〜7に示す。該図は沈降パンクレアチン試料のストレス安定性試験において得られた2Dゲルを示す。前記表及び図の内容を以下の通りにまとめる:
表A〜Iの内容:
表A 2D−GEからのスポット及びNCBIデータベースへのアクセッション番号(図1も参照のこと)
表B パンクレアチンバッチ1(t=0及び16日)に関するスポット強度及びスポットの平均及び標準偏差及びt0に対する調節
表C パンクレアチンバッチ1(t=0及び16日)に関するスポット強度及びスポットの平均及び標準偏差及びt0に対する調節
表D パンクレアチンバッチ1(t=32日)に関するスポット強度及びスポットの平均及び標準偏差及びt0に対する調節
表E パンクレアチンバッチ1(t=32日)に関するスポット強度及びスポットの平均及び標準偏差及びt0に対する調節
表F パンクレアチンバッチ2(t=0及び15日)に関するスポット強度及びスポットの平均及び標準偏差及びt0に対する調節
表G パンクレアチンバッチ2(t=0及び15日)に関するスポット強度及びスポットの平均及び標準偏差及びt0に対する調節
表H パンクレアチンバッチ2(t=32日)に関するスポット強度及びスポットの平均及び標準偏差及びt0に対する調節
表I パンクレアチンバッチ2(t=32日)に関するスポット強度及びスポットの平均及び標準偏差及びt0に対する調節
図1〜7の内容:
図1 標識された同定スポットを有する沈降パンクレアチンにより得られる2Dゲル(表J及びKのデータも参照のこと)
図2 沈降パンクレアチンの単一試料を用いた2Dゲル法の再現性;別々の4日間で行われた3種のゲル(IPG 3−10NL、蛍光染色;外部標準炭酸脱水酵素、320ngの量で施与)
図3 ストレス試験後のパンクレアチンバッチ1に関して得られた2Dゲル(Sypro Ruby)
図4 ストレス試験後のパンクレアチンバッチ2に関して得られた2Dゲル(Sypro Ruby)
図5 パンクレアチンバッチ1に関して算出された平均化されたゲル(n=3)
図6 パンクレアチンバッチ2に関して算出された平均化されたゲル(n=3)
図7 分析手法「同一性及びタンパク質パターン」に関する記載の項に記載されている通りに得られた、2種の内部標識タンパク質ホスホリラーゼB及び炭酸脱水酵素を添加した、沈降パンクレアチンの2Dゲル
沈降パンクレアチン試料の同一性及びタンパク質パターンを2Dゲル電気泳動によって決定するための分析手法
本発明の1つの態様によれば、2Dゲル電気泳動法を、沈降パンクレアチン試料の同一性及びタンパク質パターンを2Dゲル電気泳動によって決定するための分析手法として用いる。ここでこの手法を以下の略記を用いてより詳細に記載する:
CHAPS 3−(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ−1−プロパン−スルホネート
DTT ジチオトレイトール
TRIS トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン
APS 過硫酸アンモニウム
TEMED N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン
SDS ドデシル硫酸ナトリウム
適用された2D GE法の記載:
2次元ゲル電気泳動(2D GE)分離技術(O’Farrell PH, J. Biol. Chem. 250: 4007 − 4021 (1975))は、タンパク質の複合混合物の個々の成分の電気泳動度を利用したものであり、一次元において等電点電気泳動(IEF)により電荷(pI)に従って分画し、2次元においてSDS−PAGEによりサイズ(Mr)に従って分画する。
一般に、電気泳動は欧州薬局方(Ph. Eur. 2.2.31)に準拠して行われ、かつこの文脈において限定のない「水」という用語は二回蒸留された水、又は脱イオン水又は同等の品質の水を意味する。
該方法において以下の材料及び試薬を適用する:
−アセトニトリル、例えばMerck, Art.No. 1033530220
−アクリルアミド溶液、例えばServa, Art.No. 10688.02
−アガロース、例えばVWR International, Art.No. 1.16802.0025
−過硫酸アンモニウム、例えばServa, Art.No. 13 375.01
−ブロムフェノールブルー、例えばVWR International, Art.No. 1.08122.0005
−2−ブタノール、例えばVWR International, Art.No. 8.22263.1000
−CHAPS、例えばRoth, Art.No. 1479.2
−DTT、1,4−ジチオスレイトール、例えばRoth, Art.No. 6908.2
−電極紙、例えばAmersham Biosciences, Art.No. 80-1106-19
−電極紙ストリップ、例えばAmersham Biosciences, Art.No. 18-1004-40
−エタノール、例えばVWR International, Art.No. TC212-9025
−酢酸、例えばRoth, Art.No. 3738.2
−Immobiline Dry Strips, pH3-10NL、例えばAmersham Biosciences, Art.No.17-1235-01
−グリセリン、例えばServa, Art.No. 23176
−グリシン、例えばRoth, Art.No. 3908.3
−尿素、例えばRoche Diagnostics, Art.No. 1 685 902
−ヨードアセトアミド、例えばSigma, Art.No. I-6125
−PharmalyteTM 3-10, Amersham Biosciences, Art.No. 17-0456-01
−Protein Test Mixture 4, Serva, Art.No. 39208.01
−Protein Test Mixture 5, Serva, Art.No. 39209.01
−Roti-Blue(登録商標)-Concentrate, Art.No., A152.1
−試料カップ、例えばAmersham Biosciences, Art.No. 18-1004-35
−SDS、ドデシル硫酸ナトリウム、例えばServa, Art.No. 20 763.02
−シリコーン油、例えばServa, Art.No. 35132
−TEMED、例えばBio-Rad, Art.No. 161-0800
−チオ尿素、例えばFluka, Art.No. 88810
−電極バッファ用TRIS、例えばRoth, Art.No. 4855.2
−全ての他の溶液用のTRIS、例えばBio-Rad, Art.No. 161-0719。
該方法において、以下の溶液を適用する:
(1)リーシスバッファ:
7M尿素、2Mチオ尿素、4%(w/v)CHAPS、1%(w/v)DTT、0.5%PharmalyteTM pH 3-10
(2)試料Lp3のための溶剤:
リーシスバッファ2ml中に溶解されたミニコンプリート1.5mg:リーシスバッファ2ml中に溶解されたペファブロック1mg(1:1v/v)
(3)再水和溶液:
6M尿素、2Mチオ尿素、4%CHAPS、0.2%DTT、0.2%PharmalyteTM pH 3-10、若干のブロムフェノールブルー
(4)ゲル溶液(T=13%、C=3%):
グリセリン75g、水425mL、分離ゲルバッファ(5)375mL、アクリルアミド溶液630mL
(5)分離ゲルバッファ:
水900ml中にTRIS181.66g、SDS4gを溶解し、塩酸RでpHを8.8に調節し、体積が1000mlとなるように水で調節したもの。
(6)APS−溶液:
水中の過硫酸アンモニウム10%(w/v)
(7)グリセリン溶液:
水中のグリセリン50%(v/v)、若干のブロムフェノールブルーを添加したもの。
(8)水で含浸されたブタノール:
水上で貯蔵された2−ブタノール
(9)電極バッファ:
SDS19.9g、グリシン299.6g、TRIS58.0gを水20l中に溶解させたもの。
(10)DTT−溶液:
平衡バッファ中の1%DTT
(11)ヨードアセトアミド溶液:
平衡バッファ中の溶解された4%ヨードアセトアミド
(12)平衡バッファ:
30%グリセリン、6M尿素、4%SDS及び分離ゲルバッファ(5)33.40mLを水中に溶解させ、体積を1000mlに調節したもの。
(13)アガロース溶液:
バッファ(9)60ml中にアガロース300mg及び若干のブロモフェノールブルーを溶解させ、溶液が澄明になるまで沸騰させたもの。
(14)タンパク質標準溶液:
Protein Test Mixture4及び5各10mgをリーシスバッファ(1)1mL中に溶解させる。溶液を少量のブロモフェノールブルーを添加することにより着色する。タンパク質の分子量は6.5kDa、12.5kDa、21kDa、29kDa、45kDa、67kDa、97.4kDaである。
(15)エタノール/酢酸混合物:7%酢酸、10%エタノール
(16)Sypro Ruby溶液、Biorad:
(17)クーマシー溶液:
撹拌しながら、水180mL及びメタノール60mLをRoti-Blue(登録商標)-Concentrate60mLに添加する。
ペファブロックSCの記載:
AEBSFフッ化4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニル塩酸塩;これは以下の特徴を有する:
TLC中で均質;式:C10NOSF x HCl;分子量:Mr=239.5;セリンプロテアーゼの特異的な、有効な、及び非可逆的なインヒビター。ペファブロックSCの阻害活性はPMSF又はDFPと比較可能であるが、しかしながらこれは非毒性である。提案される開始濃度は0.1〜1.0mg/ml(0.4〜4mM)である。
ミニコンプリートの記載:
コンプリートミニプロテアーゼインヒビターカクテルタブレット;これは以下の製品プロフィールを有する;インヒビターの特異性;広い阻害特異性を有する数種のプロテアーゼインヒビターの混合物。セリン、システイン及びメタロプロテアーゼ並びにカルパインを阻害する。動物、植物、細菌、酵母及び真菌を含む組織又は細胞からの抽出物を使用する。可逆的及び非可逆的なプロテアーゼの双方を含有する。溶解性/安定性:水性バッファ中に可溶性であるか、又は抽出媒体に直接添加する。また、水1.5ml中の7x原液又は100mMホスフェートバッファ、pH7.0を準備する。原液は4℃で1〜2週間、又は−20℃で少なくとも12週間安定である。コンプリート中の全てのインヒビターを透析により除去することができる。>10kDaのカットオフの膜を使用することが推奨される。コンプリートを室温でチオール含有溶液中で使用することができる。提案される開始濃度:タブレット1つを水性バッファ又は水10ml中に溶解させる。極めて高いタンパク質分解活性が存在する場合にはタブレット1つに対してバッファ7mlを使用する。
該方法を以下の装置又は当業者に公知の適当な同等の装置を用いて行う:
−:超音波処理装置:Bandelin electronics, Sonoplus, HD 2070
−:再膨潤トレー:IPGストリップ7〜18cmのためのImmobiline DryStrip Reswelling Tray;Art.No. 80-6371-84, Amersham Biosciences
−:電気泳動装置:Multiphor II, Art.No. 18-1018-06, Immobiline Dry Strip Kit, Art.No. 18-1004-30, Amersham Biosciences
−:ゲルキャスター:DALT Multiple Gel Caster, Art.No. 80-6330-61, Amersham Biosciences
−:キャスティングカセット:Dalt Gel Cassette, Art.No. 80-6067-27, Amersham Biosciences
−:分離シート:Separator Sheets, Art.No. 80-6436-63, Amersham Biosciences
−:Hoefer Dalt分離チャンバ:IsoDalt Gel Electrophoresis System ID 440-230V; Art.No. 80-6068-98, Amersham Biosciences
−:サーモスタットユニット:MultiTemp III Thermostatic Circulator, Art.No. 18-1102-78, Amersham Biosciences
−:電気泳動電源:EPS 3501 XL Power Supply, Art.No. 18-1130-05, Amersham Biosciences
−:蛍光スキャナ:FLA3000 (Raytest)
−:ProteomWeaver 2.2 (Definiens AG, 80339 Muenchen, Germany)
(A)試料調製
試験すべき沈降パンクレアチンの試料10mgをLp3 500μl中に溶解させる。大気温度で5分間振盪した後、懸濁液を遠心分離する。澄明な上澄み液をタンパク質含分の測定のために使用する(Bradford)。2種の異なるタンパク質を内部標準、即ち(ウサギからの)ホスホリラーゼb及びウシ炭酸脱水酵素として使用する。前記の標準を、一次元での分離を行う前に使用溶液に添加する。澄明な上澄み液の量を変化させる(5〜15μl)ために、内部標準溶液1 2μl及び内部標準溶液2 6.7μlを添加する。
内部標準溶液1の調製(ホスホリラーゼb):
ホスホリラーゼbの溶液を調製する − 20℃で30分間振盪することにより1μg/μlの濃度を有するリーシスバッファ3中で凍結乾燥させる(Sigma, Prod.No.: P-6635)。
内部標準溶液2の調製(炭酸脱水酵素):
炭酸脱水酵素の溶液を調製する − 20℃で30分間振盪することにより0.03μg/μlの濃度を有するリーシスバッファ3中で凍結乾燥させる(Sigma, Prod.No.: P-6403)。
(B)Immobiline Dry Stripsの再水和
既にカットされているIPGストリップ(Immmobiline Dry Strips (T=4%、C=2.7%、pH3−10NL)を乾燥かつ凍結状態におく。使用前にストリップをReswelling Tray内で一晩再水和させる。18cmのストリップのために、再水和溶液(3)350μLを使用する。
(C)等電点電気泳動(1次元)
(C.1)再水和されたImmobiline Dry Stripsの準備
等電点電気泳動チャンバの冷却ブロックをサーモスタットで調温し、20℃にする。再水和したストリップを水に浸漬し、ゲルアップ(gel up)で水を含浸させた濾紙(電極紙)のシート上に配置する。濾紙の第二のシートを水で湿潤させ、これを吸取って過剰の水を除去し、IPGゲルストリップの表面上に置く。穏やかに数秒間吸取り、過剰の再水和溶液を除去する。
(C.2)該手法を以下の工程1〜13に従って行う。
1.冷却プレートをMultiphor II 電気泳動ユニット内に配置する。シリコーン油5mlをピペットで冷却プレート上に施与し、次いでImmobiline DryStrip trayを冷却プレート上に配置する。トレーと冷却プレートとの間の大きな気泡のトラッピングを避けるべきである。
2.トレー上の電極リードとMultiphor IIユニットとを接続する。
3.シリコーン油約5mlをトレーに注ぐ
4.Immobiline stripアライナーを油の頂部でトレー内に配置する。
5.再水和されたIPGゲルストリップ(ゲル面が上で酸末端がアノードに向いている)をトレー内のアライナーの隣接した溝内に移す。アノードゲル縁部が並ぶようにストリップを調整する。
6. 2種のIEF電極ストリップ又は厚さ2mmの濾紙から製造された紙ストリップ(例えばMN 440, Macherey & Nagel, Germany)をトレーに並んでいる全てのIPGゲルストリップの幅と相応する長さにカットする。電極ストリップを水で浸漬させ、過剰の湿分を濾紙で吸取ることにより除去し、湿潤したIEF電極ストリップをカソード及びアノード近傍の調整されたストリップの頂部に配置する。
7.電極を配置し、これをIEF電極ストリップの頂部に静かに押し下げる。
8.試料カップを試料カップバー上に配置する。カップをバーがゲル表面に接触しないような十分な高さに配置する。試料カップバーを、試料カップとアノード(又は、カソード試料適用の場合にはカソード)との間に数ミリメートルの距離ができるような位置に配置する。
9. 各IPGゲルストリップの上に1つの試料カップがのるように試料カップを移動させ、最後に、各ストリップとの良好な接触を保証するために試料カップを押し下げる。
10. 試料カップを正しく配置したらすぐに、シリコーン油約50mlをトレーに注ぎ、IPGゲルストリップを完全にカバーする。油が試料カップ内に漏れた場合、油を吸収し、試料カップを再度調節し、再度漏れを確認する。各試料カップを数滴のシリコーン油で充填する。
11. アンダーレイにより試料をカップ内にピペットで施与し、再度漏れを確認する。
12. Multiphor II 電気泳動チャンバの蓋を閉鎖し、以下の表に与えられたパラメータ(運転条件)により運転を開始させる。試料搬入を改善するために、最初の数時間は電圧を低い電圧(150〜300V)に制限する。その後、定常状態を持続させる。
Figure 0004891766
13. IEH運転が完了したら、電極、試料カップバー及びIEF電極ストリップをトレーから取り除く。清浄なピンセットを使用し、IPGゲルストリップをトレーから取り除く。二次元の運転のためにすぐに使用されるわけではなく、かつ/又は他の参照のために保持されるIPGゲルストリップを2枚のプラスチックフィルムのシートの間で−78℃で数ヶ月放置する。
(D)二次元(SDS−PAGE)のためのゲルのキャスティング
ゲルのキャスティングの1日前に、ゲル溶液1.5Lを準備し、脱気及び濾過する。溶液をしっかりと閉鎖されたフラスコ内で4℃で一晩保管する。キャスティングチャンバの溜めを漏斗で閉鎖する。グリセリン溶液125mlを充填する。キャスティングの直前にTEMED75μL及びAPS−溶液8mlをゲル溶液に撹拌しながら添加し、溶液をキャスティングチャンバに充填する。ゲル溶液を完全に移動した後、漏斗を取り除き、溜めからのグリセリン溶液を添加する。ゲル溶液をキャスティングチャンバのキャスティングカセット内にのみ配置する。ゲルを即座にブタノールで覆い、水を含浸させ、ゲルを3時間重合させる。
(E)二次元(SDS−PAGE)
SDS−PAGE法を以下の工程1〜11に従って実施する:
1. 電気泳動チャンバを電極バッファ(9)で充填し、冷却する(13℃)。キャスティングチャンバ内のゲルを、使用するまで、若干の水で覆う。
2. 各ゲルに対して、濾紙の小ストリップをタンパク質標準溶液5μlで浸漬する。
3. SDSゲルを鉛直位置で支持し、一次元IPGストリップの適用を助長する。
4. IPGゲルストリップを以下のように平衡化する:
集束させたIPGゲルストリップを冷凍装置から取り出し、個々の試験管内に配置する。平衡バッファ10mlを添加する。試験管をパラフィルムでシールし、振盪器上で10分間振盪させ、その後平衡バッファを流出させる。ヨードアセトアミド溶液10mlを上記のように試験管に添加し、振盪器上で更に10分間平衡化させる。
5. 第二の平衡化の後に、IPGゲルストリップを電極バッファで数秒間リンスする。
6. 過剰の水をゲルから除去し、IPGゲルストリップ及び濾紙及びタンパク質標準溶液をSDSゲルの頂部の近傍に配置し、高温のアガロース溶液(75℃)で覆う。慎重にIPGストリップをSDSゲルの表面にスパチュラで押し当て、完全な接触を達成する。アガロースを少なくとも5分間凝固させる。この手法を残りのIPGストリップに対して繰り返す。
7. ゲルカセットを電気泳動装置内に挿入し、電気泳動を開始させる。
8. SDS−PAGEゲルを以下の表で説明する通りに一晩運転させる。工程1は50Vh続く。
Figure 0004891766
9. ブロモフェノールブルートラッキング染料がゲルの低い端部に達したら運転を停止する。
10. カセットをスパチュラで慎重に開け、スパチュラをポリアクリルアミドゲルからアガロースオーバーレイを取り除くためにも使用する。
11. ゲルをカセットホルダーから取り除き、その後水に浸漬してガラスプレートからゲルを取り除く。その後、固定、タンパク質染色又はブロッティングを続ける。
(F)ゲルの固定及び染色
各ゲルを個々に固定する。固定をエタノール/酢酸混合物350mLで30分間実施する。染色を、SyproRuby−溶液(350ml)を用いて光から保護して3時間実施する。バックグラウンドの脱色を、エタノール/酢酸混合物350mLを用いて、光から保護して30分間行う。走査前に、ゲルを水で2回洗浄する。必要であればゲルを走査後にコロイド状のクーマシー−溶液で一晩染色する。翌日、着色されたゲルを水中で振盪する。バックグラウンドがほぼ脱色されたら光学式スキャナを用いて走査を行うことができる。
分析2Dゲル電気泳動法の評価
沈降パンクレアチンを用いて得られた典型的な2Dゲルを、標識された同定スポットと共に図1に示す。
2Dゲルの評価のための全ての得られた像を、蛍光スキャナ:FLA3000 (Raytest)を用いて測定する。ゲルをピクセルサイズ100μの16ビットファイルとして走査する。励起波長は473nmである。
Tiffファイルの評価をProteomWeaver 2.2 (Definiens)を用いて行う。像を適切な群に分類することにより実験を行う。その後、ソフトウェアのアルゴリズムに従って全てのゲルにわたってスポット検出を実施する。検出のために使用する設定はデフォルト設定であり、ゲル内のほぼ全ての観察可能なスポットに対して十分である。スポット検出後、全ての個々のゲルを手動で再確認し、不正確な検出が最小限に抑えられていることを確認する。スポット検出を行うと同時に、スポットの自動定量化をソフトウェアにより行い、実験全体にわたって量を標準化し、ゲル内の種々のスポットのスポット同一性の比較を容易にする。この標準化プロセスは、実験におけるゲルの数とは無関係であり、異なる時点での実験に集約されるゲルに関して実施することもできる。その後、ゲル全体にわたって、同じスポット同一物を同一のスポットに割り当てるマッチングプロセスを開始する。
更に、2種の内部標識タンパク質ホスホリラーゼB及び炭酸脱水酵素を添加して、沈降パンクレアチンを用いて得られた典型的な2Dゲルを図7に示す。標準化、定量化及び結果的なマッチングプロセスにより、2種の内部標識タンパク質の強度が参照された1つのスポットの強度と公知のタンパク質の量との比較が容易になる。本発明による実施例において、ホスホリラーゼB及び炭酸脱水酵素を、特徴的であるがしかしながら常に一定の量のタンパク質を有する全ての試料に対して添加する(それぞれ2μg及び0.2μg)。双方のタンパク質が2Dゲルにおいて一定のパターンを示し、かつパンクレアチン試料の存在するスポットと重ならないことが示された。炭酸脱水酵素のみが単一スポットを生じ、ホスホリラーゼBは少なくとも5種のアイソホームで現れるが、双方のタンパク質に関してスポット検出及び従って定量化を極めて容易に行うことができる。注目するスポットの強度と2種の標識タンパク質の強度との直接比較によって、スポットの強度が標識タンパク質の強度の範囲内になるとすぐに絶対的定量化がもたらされる。統計的に有意な結果を達成するために、全てのゲルを反復して処理し、少なくとも3回処理し、ゲルの群を相互に比較する。スポットの得られた平均強度は相互間のスポットの比較のためのベースである。
パンクレアチンの分析のためのMALDI−TOF−MSを用いたRP−HPLCの実現性
実現性の研究の主題は、パンクレアチン、特に沈降パンクレアチン又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェアの分析のためのMALDI−TOF−MSを用いたRP−HPLCの有用性を示すことである。以下の試験において、Peptidomics(登録商標)プラットフォーム(BioVisioN AG, Hannover)を、HPLC法の特異性に関する詳細な評価及び確認を含め、以下で詳細に説明する通りに、沈降パンクレアチンの特性解析のために適用した。
試料として、パンクレアチンの2種のバッチ(バッチ1及びバッチ2)をHPLC試験において使用した。試料は、特性解析のために使用されるまで、光及び湿気から保護されて、例えば密閉瓶中で5+/−3℃で保管されねばならない。開ける前に、例えば平衡化が完了するまで瓶を周囲条件で貯蔵することにより瓶を周囲条件に調節すべきである。
以下に概説するHPLC法を使用し、試料を試験した。破砕によって分画にし、引き続き、当業者に公知の標準プロトコル、例えばPeptidomics(登録商標)プラットフォームによるプロトコルに従って、MALDI−TOF−MSにより特性解析を行った。液体のクロマトグラフィーを欧州薬局方(Ph. Eur., 2.2.29)に従って実施する。
沈降パンクレアチンの特定成分(化合物)のタンパク質及び/又はペプチドパターンを214nmの検出波長でRP−18逆相カラム上でグラジエントHPLCにより行う。定量化を、面積%法に従って行う。一般に、Ph. Eur.試薬は文字Rにより示され;秤量又は測定された量はPh. Eur.において示される精度の程度に相応する(1.通則)。更に、限定のない「水」という用語は、比抵抗NLT0.18MΩm及びTOC NMT0.5mg/mlの脱イオン水を意味する。
以下の試薬をテスト実験において使用した:
−クロマトグラフィー用のアセトニトリルR、例えばBaker, no.: 9017
−トリフルオロ酢酸R
−塩化ナトリウムR
−溶剤:水1l中に塩化ナトリウムR20.00gを溶解したもの(2% NaCl溶液)
以下の装置又は同等のシステムをテスト試験において使用した:
以下のものから構成されたAgilent HPLC装置:
−オートサンプラー G 1313A
−ALSTherm G1330A
−Quat. pump G 1311A
−UV検出器G 1314A
−真空脱気装置G 1322A
−HPカラムオーブンG1316A
−1100 制御モジュール G 1323A
−LANインターフェース35900E
−ChemServer
Heraeus Biofuge 17RS又は同等のシステム。
カラム:
−Type: MODULO O-CART QS UPTISPHERE 5 WRP, Interchim(UP5WRP$15QS)
−固定相:RP − 18、5.0μm
−管材料:ステンレス鋼
−長さ:150mm
−内径:3.0mm
HPLC試験を以下の条件下で実施する:
操作モード グラジエントHPLC
移動相 移動相A 水/TFA0.05%(v/v)
移動相B アセトニトリル/TFA0.05%(v/v)
グラジエント
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流動速度 1.0ml/分
分析の期間 95分
温度 27±2.0℃
注入体積 10μl
オートサンプラー温度 4℃±1℃
214nmの波長でのUV検出器による検出
アッセイ準備:
試験すべき沈降パンクレアチン約80.0mgを30mlのビーカー中に秤り入れる。パンクレアチン腸溶ミニ−マイクロスフェアの試験のために、ミニ−マイクロスフェアを予め粉砕しなければならず、かつ粉末140mgを秤り入れる。試料を<4℃で15分間撹拌しながら氷冷溶剤10ml中に溶解させる。溶液を遠心分離する(約8ml;10分;15000r.p.m.;4℃;Heraeus Biofuge 17RS)。澄明な上澄み液を試料溶液として注入する。試料調製をシーケンスを開始する直前に新たに行わなければならない。
パフォーマンス:
沈降パンクレアチンの異なるバッチ及びその調製物は、上記のRP−HPLC法を用いることによりすでに試験されている。選択性は適当な処理時間内にピークの最大数を得るために最適化される。パンクレアチンバッチ1により得られる典型的なクロマトグラムを図8〜11及び表J及びKに示す。
表J及びKの内容:
表J パンクレアチンのスポット同定に関するデータ(図11参照):同定20+
表K パンクレアチンのスポット同定に関するデータ(図11参照):同定20+X
図8〜11の内容:
図8 沈降パンクレアチンの典型的なクロマトグラム、バッチ1
図9 沈降パンクレアチンの典型的なクロマトグラム(0〜14分)、バッチ1
図10 沈降パンクレアチンの典型的なクロマトグラム(60〜90分)、バッチ1
図11 沈降パンクレアチンの注釈付きのRP−HPLCクロマトグラム(35分)、バッチ1
特異性の評価及びピークの同定に関して、ESI−MSへのLCの結合は既に試されていたが、シグナルは重なっていた。従って、Peptidomics(登録商標)技術を適用することにより、沈降パンクレアチンの試料を試験した。クロマトグラムは自動的に96個の分画に分割され、その際、1つの分画は約55.1秒の処理時間に相当する。その後、分画を自動的にシナピン酸のマトリックスと一緒にピペットでターゲットプレート上に移した。個々の単一スポットをMALDI−TOF−MSにかけ、自動的なポジショニングの後に多重脱離及びイオン化を伴う。
考慮すべき興味深い質量範囲はm/z1〜約60000にわたる。この範囲を、シングルm/zシグナルの定量化を伴うPeptidomics(登録商標)技術のための標準プロトコルに従って視覚化した。見い出されたm/zを相応する分画及びもとのクロマトグラムに沿って示した。
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標識された同定スポットを有する沈降パンクレアチンにより得られる2Dゲル(表J及びKのデータも参照のこと)。 沈降パンクレアチンの単一試料を用いた2Dゲル法の再現性;別々の4日間で行われた3種のゲルを示す図(IPG 3−10NL、蛍光染色;外部標準炭酸脱水酵素、320ngの量で施与)。 ストレス試験後のパンクレアチンバッチ1に関して得られた2Dゲルを示す図(Sypro Ruby)。 ストレス試験後のパンクレアチンバッチ2に関して得られた2Dゲルを示す図(Sypro Ruby)。 パンクレアチンバッチ1に関して算出された平均化されたゲルを示す図(n=3)。 パンクレアチンバッチ2に関して算出された平均化されたゲルを示す図(n=3)。 分析手法「同一性及びタンパク質パターン」に関する記載の項に記載されている通りに得られた、2種の内部標識タンパク質ホスホリラーゼB及び炭酸脱水酵素を添加した、沈降パンクレアチンの2Dゲルを示す図。 沈降パンクレアチンの典型的なクロマトグラム、バッチ1を示す図。 沈降パンクレアチンの典型的なクロマトグラム(0〜14分)、バッチ1を示す図。 沈降パンクレアチンの典型的なクロマトグラム(60〜90分)、バッチ1を示す図。 沈降パンクレアチンの注釈付きのRP−HPLCクロマトグラム(35分)、バッチ1を示す図。

Claims (17)

  1. 脂質分解活性、タンパク質分解活性及びデンプン分解活性を有する生理的に認容性の消化酵素混合物を含有するタンパク質試料を2次元ゲル電気泳動によって分析するための方法であって、前記方法は試料の同一性及び/又はタンパク質及び/又はペプチドパターン及び不純物及び/又は分解物の存在を決定するためのストレス又は安定性試験として行う方法であり、
    (a)試料をゲル電気泳動のための溶剤組成物中に溶解させることによりタンパク質試料を調製する工程、ここで、前記溶剤組成物はタンパク質材料を溶解させるための溶剤、タンパク質の定量化のための内部標準及びプロテアーゼインヒビターを含有する;
    (b)ゲル電気泳動の一次元を等電点電気泳動により定義し、かつタンパク質分画の分離のためにグラジエントを施与する工程;
    (c)引き続き前記タンパク質分画を再緩衝する工程;
    (d)工程(c)からのタンパク質分画をゲル電気泳動の二次元へと移行させ、かつSDS−PAGEにより前記分画の成分を分離する工程;
    (e)工程(d)から得られるSDS−PAGEゲルの固定及び染色工程;
    (f)蛍光走査による前記ゲルの評価工程;及び
    (g)前記のタンパク質、ペプチド、不純物及び/又は分解物の定量化を行う工程
    を含む分析法。
  2. 前記酵素混合物が、微生物合成リパーゼ、プロテアーゼ及びアミラーゼの混合物である、請求項1記載の分析法。
  3. 前記酵素混合物が、パンクレアチン及び/又は消化酵素のパンクレアチン様混合物である、請求項1記載の分析法。
  4. 前記試料が、沈降パンクレアチン又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェアである、請求項3記載の分析法。
  5. 工程(a)において試料を溶解させるために使用する溶剤が、pH3〜10の、7M尿素、2Mチオ尿素、4%(w/v)CHAPS、1%(w/v)DTT及び0.5%ファーマライト(登録商標)のリーシスバッファである、請求項1記載の分析法。
  6. 工程(a)において使用するタンパク質の定量化のための内部標準が、ホスホリラーゼB又は炭酸脱水酵素である、請求項1記載の分析法。
  7. ホスホリラーゼBがウサギホスホリラーゼBであり、炭酸脱水酵素がウシ炭酸脱水酵素である、請求項6記載の分析法。
  8. プロテアーゼインヒビターがフッ化4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニル塩酸塩である、請求項1記載の分析法。
  9. 前記試料が、約8kDを上回る分子量を有するタンパク質及び/又はペプチド分画である、請求項1記載の分析法。
  10. パンクレアチンの同一性及び/又はタンパク質及び/又はペプチドパターンが同定される、請求項1記載の分析法。
  11. パンクレアチンが沈降パンクレアチン試料又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェア試料である、請求項10記載の分析法。
  12. 更にMALDI−TOF−MSを用いたタンパク質及び/又はペプチドスポットの同定を含む、請求項10又は11記載の分析法。
  13. パンクレアチンの同一性及び/又はタンパク質及び/又はペプチドパターン及び不純物及び/又は分解物の存在を決定するためのストレス又は安定性試験として行い、前記のタンパク質、ペプチド、不純物及び/又は分解物の定量化をも含む、請求項1から11までのいずれか1項記載の分析法。
  14. パンクレアチンが、沈降パンクレアチン試料又はパンクレアチンミニ−マイクロスフェア試料である、請求項13記載の分析法。
  15. 更に、RP−HPLCによる、約8kDを下回る分子量を有するタンパク質及び/又はペプチド分画の特性解析及び定量化を含む、請求項9記載の分析法。
  16. 前記酵素混合物が、医薬製剤の製造において使用される、請求項1記載の方法。
  17. 前記溶剤組成物が、
    (a)ゲル電気泳動及びタンパク質材料を溶解させるのに適当な溶剤、その際、前記溶剤はpH3〜10の、7M尿素、2Mチオ尿素、4%(w/v)CHAPS、1%(w/v)DTT及び0.5%ファーマライト(登録商標)のリーシスバッファである;
    (b)タンパク質の定量化のための内部標準;及び
    (c)プロテアーゼインヒビター
    を含むことを特徴とする、請求項1から16のいずれか1項記載の分析法。
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