JP4890108B2 - 累進屈折力レンズのプリズム量チェック方法 - Google Patents

累進屈折力レンズのプリズム量チェック方法 Download PDF

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Description

本発明は老視補正用の眼鏡に使用される累進屈折力レンズのプリズム量のチェック方法に関するものである。
高齢により眼の水晶体による調節機能が低下し近方視が困難な状態が老視である。この老視に対する矯正用の眼鏡に累進屈折力レンズが使用されている。
一般的に累進屈折力レンズは屈折力のそれぞれ異なる2つの領域と、それら両領域の間で屈折力(度数)が累進的に変わる領域とを備えた非球面レンズとされており、境目がなく1枚のレンズで遠くのものから近くのものまで見ることができるものである。ここに2つの領域とは一般的には遠距離の物体を目視するためにレンズの上方位置に設定された遠用部領域と、近距離の物体を目視するためにレンズの下方位置に設定された近用部領域の2つの領域のことである。遠用部領域と近用部領域との移行帯である累進帯は滑らかかつ連続的に連結されている。
このような累進屈折力レンズは眼鏡店がユーザー(装用者)に関して入手したデータから選択された所定の注文データをレンズメーカーに連絡し、その注文データに基づいてレンズメーカーがレンズを作製し眼鏡店に供給するという供給体制を採っている。
ところで、作製されたレンズが注文したデータ通りに作製されているかどうかをチェックすることは眼鏡店として必要なことである。特に累進屈折力レンズでは遠近の2つのアイポイント、加入度あるいは累進帯長等の単焦点レンズにはない特殊な特性が設定されているためチェックする必要性が大きい。そのためメーカー側では眼鏡店側で光学特性をチェックするための指標とすべく、図3に示すようなマーク類をマーキングして累進屈折力レンズを納入するようにしている。尚、図3は一例であってこれらマークの位置は装用者の固有のデータや装用者の好み、更には眼鏡店の要望によって区々となるものである。
ここに、眼鏡店がチェックすべきデータの一つに左右のレンズのプリズム量の一致がある。左右のレンズの対応する測定位置において垂直方向のプリズム量が同じであることをチェックすることで、測定位置付近の左右のレンズのプリズム量にずれがないことを確認することとなる。例えば図3ではフィッティングポイント(遠用アイポイント)よりも2mm下側に測定位置が設定されている。通常この位置でのプリズム量を一致させている。つまり、この測定位置で左右のレンズとも所定の同じプリズム量が測定されるかどうかを眼鏡店でチェックし、同じであればフィッティングポイントを含む遠用領域付近では指定通りのプリズム形状が得られているものと判断するわけである。
一般に、左右のレンズのプリズム量はフィッティングポイント付近で一致させその一致位置をプリズム量測定点としている。これは、
1)一般的に累進屈折力レンズは遠用領域の見え方を主眼とするため、プリズム量も自然に最も見え方が重視される遠用領域のフィッティングポイント付近で左右のずれがないように設定することがほとんどであること。
2)レンズの端の方では表面と裏面の角度が大きくなり、それだけプリズム量が大きいということとなる。このような大きなプリズム量が測定される場合にはレンズを透過する光の角度がわずかでも変わると、それに応じてプリズム量も変化する率が大きくなるため誤差が大きくなってしまうこととなること。
3)レンズの端の方ではプリズム量測定機器としてのレンズメータを固定しにくいためこれも誤差の原因になってしまうこと。
等の理由による。
特開2000−199877号公報
ところが累進屈折力レンズにおいて左右レンズのプリズム量をフィッティングポイント付近で一致させることが常によいわけではない。左右の度数に大きな差があるいわゆる不同視の装用者が時々存在するからである。このような不同視の装用者にとっては必ずしも遠用領域の見え方を主眼することが好ましくない場合がある。つまり、不同視の装用者の眼鏡レンズでは遠用領域で左右レンズのプリズム量を一致させるとレンズの下方域において左右のレンズのプリズム量の差が極めて大きくなってしまうこととなるからである。一般に、若干のプリズム量の差による左右の眼に入射される光のずれは人の脳内で調整されて像は一体化できるものであるが(これを融像という)あまりに左右のレンズの近用領域のプリズム量が異なると左右の像のずれが大きく融像できなくなったり、頭痛や眼精疲労を引き起こす原因になったりするものである。
このような問題の解決のために不同視の装用者にとって左右レンズのプリズム量が一致する位置をフィッティングポイントよりもかなり下がった位置に設定したいとする要望がある。
しかし、その場合には上記のように眼鏡店側でフィッティングポイント付近でプリズム量のチェックをすることができなくなってしまう。
この場合にいくつかの解決手段が考えられる。1つには特許文献1に開示されているように左右のレンズを異なる加入パターンで設定し、測定位置は従来同様のフィッティングポイント付近としこの測定位置の左右レンズのプリズム量を一致させると共に、実際にプリズム量を一致させたい位置(フィッティングポイントよりもかなり下側)でも左右レンズのプリズム量を一致させるような特殊な特性のレンズを作製するという考えがある。
しかし、このような手段ではレンズに非常に大きな収差が発生すると考えられるため現実的な対応とはいえない。
また、他の手段としてプリズム量のチェック用のマークを新たに垂直方向に複数種類マーキングし、眼鏡店との話し合いでそれらのどの位置でプリズム量を一致させるかを合意し、プリズム量の一致したマーク位置で測定するようにメーカーが眼鏡店に報告することが考えられる。
しかし、この場合には眼鏡店は最も測定しやすいフィッティングポイント付近から離間した位置で測定しなければならず、更にいくつものマーキングがあるためプリズム量測定点を間違える可能性もある。また、イレギュラー的な測定を想定してこのように多くのマークを容易するのはかえってプリズム量測定点が一見して分かりにくく測定作業がしにくくなってしまう。一方、メーカー側ではレンズ面にいくつものマーキングをしなければならず面倒である。また、間違った位置を眼鏡店に報告してしまう可能性もある。
これらのことからプリズム量を一致させたい位置を変更してもプリズム量測定点は測定しやすい場所で行えるような手段が求められていた。
尚、プリズム量測定点と左右レンズのプリズム量の一致点との位置のずれはこのような垂直方向のプリズム量だけではなく装用者に斜位がある場合には水平方向のプリズム量にも生じる問題である。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、レンズの光学特性に影響を与えることなく左右のレンズのプリズム量の一致する位置と実際の左右のレンズのプリズム量の測定位置を異なる位置に設定できる累進屈折力レンズのチェック方法を提供することにある。
上記課題を解決するために請求項1の発明では、依頼者から提供された注文データに基づいて左右一対の累進屈折力レンズを作製する際に垂直方向に対してフィッティングポイントと近用入り口との間の領域に存在する両レンズのプリズム量が依頼された指定位置において一致するようにするレンズ作製工程と、前記レンズ作製工程において作製された前記両累進屈折力レンズについて依頼者が所定の測定位置でプリズム量測定機器によって測定するためのマークを前記両レンズにマーキングするマーキング工程と、前記作製工程において作製された前記両累進屈折力レンズについて前記マーク位置でプリズム量測定機器によって測定することによって得られるプリズム量を前もって算出するプリズム量算出工程と、前記作製工程で作製された前記両累進屈折力レンズを依頼者に供給するに際して、前記プリズム量算出工程において得られたプリズム量を報告するレンズ供給工程とを備え、 前記両累進屈折力レンズについて依頼者に対して光学特性測定機器によって前記マーク位置でのプリズム量の測定をするように求めるとともに、その測定値と報告されたプリズム量とを照合するように求めることをその要旨とする。
また請求項2の発明では、請求項1の発明の構成に加え、前記指定位置は近用入り口付近に存在することをその要旨とする。
また請求項3の発明では、請求項2の発明の構成に加え、前記指定位置は水平方向においてはフィッティングポイントより鼻側で近用入り口より耳側に存在することをその要旨とする。
また請求項4の発明では、請求項2又は3の発明の構成に加え、前記指定位置は累進帯長を垂直方向に三等分したその中間の等分領域に配置されることをその要旨とする。
また請求項5の発明では請求項2又は3の発明の構成に加え、前記指定位置は累進帯長を垂直方向に三等分した近用入り口側の等分領域に配置されることをその要旨とする。
また請求項6の発明では請求項1〜5のいずれかの発明の構成に加え、前記レンズ作製工程において作製される前記累進屈折力レンズは垂直方向に度数の累進帯を有することによる上下縁寄りのレンズ厚さの差を低減するためにレンズ肉厚の補正がされるとともに、同レンズ肉厚の補正に伴って前記指定位置でのプリズム量を補正前とは異なるプリズム量に変更していることをその要旨とする。
また請求項7の発明では請求項1〜5のいずれかの発明の構成に加え、前記指定位置におけるプリズム量は0であることをその要旨とする。
また請求項8の発明では請求項1〜5のいずれかの発明の構成に加え、前記指定位置におけるプリズム量は依頼によって指定されたプリズム量であることをその要旨とする。
また請求項9の発明では請求項1〜8のいずれかの発明の構成に加え、前記指定位置におけるプリズム量は同指定位置を通り眼回旋中心を通過する光を想定して設定されることをその要旨とする。
上記のような構成の累進屈折力レンズでは、まずレンズ作製工程でメーカー側は依頼者から提供された注文データに基づいて左右一対の累進屈折力レンズを作製する。注文データとは累進屈折力レンズの光学特性特定用の諸データであって、少なくとも遠用度数測定位置におけるS(球面度数)、C(乱視度数)、Ax(乱視軸の方向)、Add(加入度数)の各数値データを含む。
メーカー側は算出された数値や更に他の注文データ(例えばレンズの素材、レンズの屈折率、アッベ数、レンズのサイズ、レンズ中心厚、レンズのカーブ、累進帯長、瞳孔間距離等)に基づいて公知の手段でレンズを作製する。
そしてその際に両累進屈折力レンズのプリズム量に一致させないような指定が特にない場合には両累進屈折力レンズのプリズム量が依頼された指定位置において一致するようにレンズを作製する。
ここに、レンズのある位置でのプリズム量は例えば次のように決定される。
図4に示すように、レンズの物体側から入射する光線をAとする。レンズの眼球側に射出する光線をBとする。光線Aがレンズによって屈折されない状態を仮想して、レンズの眼球側に直線を延長し、レンズ眼球側面から1m離れた直線上の点をPとする。点P含み、光線Aを延長した直線と垂直に交わる面が光線Bと交わる点をQとする。線分PQの長さをcm単位で表した数値(プリズムディオプター)で表す。例えばPQが1cmならば1プリズムディオプターである。実際には、プリズムの成分を水平方向と垂直方向に分けて考えてそれぞれ算出する。光線の屈折方向について、水平方向は内側(鼻側)に屈折する場合にはインプリズムといい、逆に外側(耳側)に屈折する場合にはアウトプリズムという。垂直方向は上側に屈折する場合にはアッププリズムといい、逆に下側に屈折する場合にはダウンプリズムという。
作製された両累進屈折力レンズについてはマーキング工程において依頼者が所定の測定位置でプリズム量測定機器によって測定するためのマークを前記両レンズにマーキングする。マーキング手段としては容易に消すことのできるペイントが好ましいが、目視に支障がなければ刻印でも構わない。
次いで、プリズム量算出工程において両累進屈折力レンズについて前記マーク位置でプリズム量測定機器によって測定することによって得られるプリズム量を前もって算出する。これは例えばレンズの表面及び裏面のカーブと実際に指定位置に設定されたプリズム量から計算可能である。
このようなプリズム量の算出は依頼者から注文データを提供されると同時に行ってもよく、注文データに基づいて実際にレンズを作製した後に行ってもよい。
また、プリズム量算出工程によって得られた値が実際にマーク位置でプリズム量測定機器によって測定された値と同じかどうかをチェックする工程を挿入してもよい。
上記のような工程によって得られたレンズ供給工程で両累進屈折力レンズを依頼者に供給する。その際に、上記算出されたプリズム量を報告する。報告はレンズの供給にともなってその包装容器や包み紙に記載しても、カード等に記載してレンズと同梱しても、レンズそのものの表面や側面に、目立たない小さな文字でペイントしたり刻印してもよく、あるいはレンズの供給とは別個に連絡してもよい。
そして、このようにプリズム量の連絡をレンズとともに受けた依頼者は光学特性測定機器によってマーク位置でプリズム量を測定するとともに、その測定値と報告されたプリズム量とを照合してレンズが依頼通りのプリズム形状であるかどうかをチェックする。
このような構成とすることによって、左右の累進屈折力レンズのプリズム量の一致する位置を装用者の眼の性質や要望に応じて自由に設定できるとともに、依頼者側では一致位置にかかわらずプリズム量の測定位置はレンズの測定しやすく誤差の生じにくい位置で行うことができるため、不同視や斜位のユーザーについて困難なく最適なプリズム量の一致点の位置を設定することができるとともに測定に伴うトラブル(測定時間の遅延や測定誤差)も生じにくくなる。
また、例えば不同視のユーザーのために左右レンズのプリズム量の一致点の位置が通常とは異なるような依頼であっても依頼者は常に同じプリズム量の測定点を測定し、その測定値が報告された値と同じかどうかをチェックするだけでよいため、左右レンズのプリズム量の一致点の位置の違いによって測定位置を変更したりする必要はまったくなく依頼者側にとってもなんらの手間がかからず有利である。
ここに、「依頼された指定位置」とは具体的には垂直方向のプリズム量についてはフィッティングポイントと近用入り口との間に存在するようにすることが好ましい。更に、依頼された指定位置は水平方向のプリズム量についてはフィッティングポイントより鼻側であって近用入り口よりも耳側であることが好ましい。
更に、より具体的にはこれに加えて累進帯長を垂直方向に三等分したその中間の等分領域に配置されることが好ましい。この位置に垂直方向のプリズム量の一致点を配置すれば左右のレンズのプリズム量の差が遠用領域や近用領域で著しく大きくなることはなく不同視の装用者であっても比較的融像しやすくなる。
更に、指定位置を中間ではなく累進帯長を垂直方向に三等分した近用入り口側の等分領域に配置するようにしてもよい。つまり不同視の装用者で遠用よりも近用での見え方を重視したいというケースに対応できる。
ここに累進帯長とはフィッティングポイントと近用入り口の間の垂直方向の距離をいう。
更に、依頼された指定位置はフィッティングポイントと近用入り口とを結ぶ線上付近に存在することが好ましい。
また、指定位置におけるプリズム量は同位置を通り眼回旋中心を通過する光を想定して設定することが好ましい。つまり実際の見え方に近くするためにプリズム量測定機器によって指定位置において得られる測定値を、指定位置を通過し眼鏡レンズの実際の装用状態と同じ眼回旋中心を通過する光(透過光)となるように透過光補正をすることが好ましい。そして、作製側ではそのような補正された値に基づいて依頼者側の指定したマーク位置で得られるプリズム量を計算する。
これは特に指定位置が近用入り口に近い位置に存在する場合には意味がある。図5に示すように、指定位置がフィッティングポイント近傍(従来条件)であれば、レンズメータ条件と透過光条件でのプリズム効果の違いはわずかである。それは入射する光線と眼回旋中心を通過する光線の角度が似ているためである。実際にはフィッティングポイントと近用入り口の中間点付近が最も差が小さくなる。そのため、指定位置が近用入り口に近い位置にあれば両条件で光線角度の違いが大きくなる。そのため、このような補正をしないと実際の見え方とは異なった光学特性を設定することとなってしまう。
特に、左右レンズのプリズム量が一致する指定位置と実際にマークがマーキングされた測定位置が異なる本発明では依頼者は作製側から報告されるマーク位置でのプリズム量の数値を頼りにするしかない。つまり、依頼者は指定位置での実際の見え方がどのようなものか確認できないため作製側ではより実際の見え方に近い透過光の概念で作製したものでレンズを供給することが好ましい。
また、このようなチェックされるべき累進屈折力レンズがレンズ作製工程において作製される際には垂直方向に度数の累進帯を有することによる上下縁寄りのレンズ厚さの差を低減するためにレンズ肉厚の補正をしていることが好ましい。そして、その際にはレンズ肉厚の補正に伴って前記指定位置でのプリズム量を補正前とは異なるプリズム量に変更していることが必要である。
プラス度数の累進屈折力レンズでは図6の実線で示すようにレンズ下部寄りに比べてレンズ上部寄りが厚くなっている。図6の破線で示す部分は上方ほど厚みの増したアッププリズムである。そのためこの部分を除去することで厚みが薄く上下のレンズの厚みの揃ったレンズを作製することが可能となる。アッププリズムを除去することはプリズム量として見ればこの図6の実線のレンズにダウンプリズムを合成したことに相当する加工となる。
また、マイナス度数の累進屈折力レンズでも図7の実線で示すようにレンズ下部寄りに比べてレンズ上部寄りが厚くなっている。もっともプラス度数の累進屈折力レンズとは異なり中心付近の厚みを確保しなければならないのでレンズを薄くするというよりもレンズ上部と下部の厚みのバランスを取ることが主目的となる。つまり、レンズ上部寄りではアッププリズムを除去し(ダウンプリズムの合成)、レンズ下部寄りではダウンプリズムを合成する。レンズの厚みが揃うことでプリズム量測定機器の設定もしやすくなるため、測定者固有の測定誤差が少なくなる。
眼鏡店側からプリズム量の一致する位置のみならずその位置におけるプリズム量の指定がなされることがある。そのような場合は、依頼された指定位置においてレンズが指定のプリズム量をもつようにレンズを作成する。眼鏡店側からプリズム量の指定が水平方向のみなされた場合、眼鏡店側とレンズメーカーとの事前の取り決めによって、水平方向は指定のプリズム量として、垂直方向は上下縁寄りのレンズ厚さの差を低減するレンズ肉厚の補正のためのプリズム量とする方法もある。
以下、本発明の方法を実施した実施の形態について説明する。
図1に示すように、眼鏡店はまず、ユーザー(装用者)固有のデータをまとめ、メーカーに累進屈折力レンズを注文するための注文データを例えば発注用端末装置(図示せず)等を介してメーカーに発注をかける。メーカーでは注文データに基づいて累進屈折力レンズ1を作製する。注文データとは具体的には発注番号とレンズの商品名、カラー、フィッティングポイントの位置、フィッティングポイントにおけるS度数(球面度数)、C度数(乱視度数)、乱視軸、加入度、左右のプリズムの一致位置、プリズム測定位置、左右レンズのプリズム一致位置、同プリズム一致位置におけるプリズム量、瞳孔間距離、幾何中心間距離及び幾何中心からのフィッティングポイントの変位距離、眼鏡フレームの種別等である。
メーカーは累進屈折力レンズ1を作製し眼鏡店に供給するとともに、プリズム測定位置とプリズム測定位置において測定されるべきプリズム量を眼鏡店に連絡する。
図2に示すように、メーカー側で作製された累進屈折力レンズ1には各種マークが表示されている。遠用度数測定円3、幾何中心4、フィッティングポイント5、近用入り口6、プリズム一致点7、近用度数測定円8がそれぞれペイントされている。
本実施の形態では直径60mmのレンズ1において、プリズム測定点は幾何中心4と一致している。遠用度数測定円3は幾何中心4から8mm上にその中心点があり、フィッティングポイント5は幾何中心4から2mm上にある。プリズム一致点7はフィッティングポイント5からフィッティングポイントと近用入り口を結ぶ主子線上であって幾何中心から4mm下にマーキングされている。
その他、近用度数測定円8の中心点は幾何中心4から14mm下にある。近用入り口6は近用度数測定円8の上縁に接して配置されている。また、幾何中心4をはさんで耳側と鼻側それぞれ17mm前後の位置に隠しマーク9が刻印されている。隠しマーク9は累進屈折力レンズ1の枠入れの際の目安とするものである。隠しマーク9はペイントではないので恒久的に累進屈折力レンズ1に残るマークである。
眼鏡店はこの累進屈折力レンズ1の幾何中心4においてレンズメータによって測定する。そして測定した値が累進屈折力レンズ1の供給時に報告されたプリズム量と同じかどうかをチェックする。
次に、上記のような工程で行われる累進屈折力レンズ1のチェックをするため具体的なプリズム量を計算した結果を実施例として説明する。
以下の実施例はいずれも内面累進屈折力レンズで累進帯長12mm、屈折率1.6のレンズであり実施例1はマイナス度数レンズ、実施例2はプラス度数レンズの例とした。フィッティングポイント位置、プリズム測定点位置、プリズム一致点の各位置は上記実施の形態の通りである。また、以下の実施例では実際の装用状態と同じ眼回旋中心を通過する光(透過光)に補正したプリズム量に基づいて計算を行った。従って、プリズム測定点位置で測定されるプリズム量も透過光補正を考慮したプリズム量とされている。
(実施例1)
<右レンズについて>
実施例1の右レンズを表面2.8カーブ 遠用S−4.00D 加入度3.00Dに設定した。表面カーブは1.523屈折率換算とする。このようなレンズのプリズム量について表1に示す。尚、表中の記号はそれぞれ、U:アッププリズム、D:ダウンプリズム、I:インプリズム、O:アウトプリズムの略であって光線の屈折方向を表すものである。
Figure 0004890108
(イ)は比較のために計算した値であって、従来の左右レンズのプリズム量が一致する位置と測定点とが同じ測定位置である場合のプリズム量である。(ロ)は本実施例1において眼鏡店側で実際にレンズメータによって測定する際にその測定値と比較するために眼鏡店側に報告されるプリズム量である。(ハ)は本実施例1において左右レンズのプリズム量が一致する点(プリズム一致点7として累進屈折力レンズ1にマーキングされる位置)におけるプリズム量である。尚、上記のように透過光補正を行っているため、実際の装用状態で眼鏡店側の注文したプリズム量が得られるようになっている。もし、レンズメータでプリズム一致点を測定するとした場合(は)のプリズム量が測定されることとなるが、ここで測定されるプリズム量は眼鏡店側の注文したプリズム量とは若干異なる数値となる。
また、実施例1の右レンズでは上下縁厚を調整した。これを表2に示す。縁厚は左レンズとの兼ね合いでプリズム一致点を固定する必要があり、これを考慮して最適な厚みとしている。
Figure 0004890108
<左レンズについて>
実施例1の左レンズを表面2.4カーブ 遠用S−7.00D 加入度3.00Dに設定した。表面カーブは1.523屈折率換算とする。このようなレンズのプリズム量について表2に示す。尚、表中の記号は上記と同じ意味である。
Figure 0004890108
(ニ)は左右レンズのプリズム量が一致する点(プリズム一致点7として累進屈折力レンズ1にマーキングされる位置)におけるプリズム量である。(ハ)の値と一致する。
また、実施例1の左レンズでも上下縁厚を調整した。これを表4に示す。縁厚は右レンズとの兼ね合いでプリズム一致点を固定する必要があり、これを考慮して最適な厚みとしている。
Figure 0004890108
(実施例2)
<右レンズについて>
実施例2の右レンズを表面4.8カーブ 遠用S+1.00D 加入度3.00Dに設定した。表面カーブは1.523屈折率換算とする。このようなレンズのプリズム量について表2に示す。尚、表中の記号は上記と同じ意味である。
Figure 0004890108
(ホ)は本実施例2において左右レンズのプリズム量が一致する点(プリズム一致点7として累進屈折力レンズ1にマーキングされる位置)におけるプリズム量である。
また、実施例2の右レンズでは上下縁厚を調整した。これを表2に示す。縁厚は左レンズとの兼ね合いでプリズム一致点を固定する必要があり、これを考慮して最適な厚みとしている。
Figure 0004890108
<左レンズについて>
実施例2の左レンズを表面6.0カーブ 遠用S+4.00D 加入度3.00Dに設定した。表面カーブは1.523屈折率換算とする。このようなレンズのプリズム量について表7に示す。尚、表中の記号は上記と同じ意味である。
Figure 0004890108
(ヘ)は左右レンズのプリズム量が一致する点(プリズム一致点7として累進屈折力レンズ1にマーキングされる位置)におけるプリズム量である。(ハ)の値と一致する。
また、実施例2の左レンズでも上下縁厚を調整した。これを表8に示す。縁厚は右レンズとの兼ね合いでプリズム一致点を固定する必要があり、これを考慮して最適な厚みとしている。
Figure 0004890108
尚、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。
・上記実施の形態においてメーカー側でもレンズメータで測定点6で計算通りのプリズム量が測定されるかどうかをチェックするようにしてもよい。更に、プリズム一致点7で依頼通りのプリズム量となっているかをメーカー側でチェックしてもよい。
・上記実施例では透過光補正をするようにしていたが、必ずしも透過光補正をしなければならないわけではない。
・その他、本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
眼鏡店とメーカーとの累進屈折力レンズの注文と供給のタイミングを説明する説明図。 本実施の形態の累進屈折力レンズの表面に施されるマークの一例を説明する説明図。 従来の累進屈折力レンズの表面に施されるマークの一例を説明する説明図。 プリズム量の概念の説明をするための説明図。 透過光補正の概念を説明をするための説明図。 プラス度数の累進屈折力レンズにおいて上下のレンズの縁厚を調整する際のアッププリズムを削除する意味を説明する説明図。 マイナス度数の累進屈折力レンズにおいて上下のレンズの縁厚を調整する際の上部位置でアッププリズムを削除し下部位置でダウンプリズムを加える意味を説明する説明図。

Claims (9)

  1. 依頼者から提供された注文データに基づいて左右一対の累進屈折力レンズを作製する際に垂直方向に対してフィッティングポイントと近用入り口との間の領域に存在する両レンズのプリズム量が依頼された指定位置において一致するようにするレンズ作製工程と、
    前記レンズ作製工程において作製された前記両累進屈折力レンズについて依頼者が所定の測定位置でプリズム量測定機器によって測定するためのマークを前記両レンズにマーキングするマーキング工程と、
    前記作製工程において作製された前記両累進屈折力レンズについて前記マーク位置でプリズム量測定機器によって測定することによって得られるプリズム量を前もって算出するプリズム量算出工程と、
    前記作製工程で作製された前記両累進屈折力レンズを依頼者に供給するに際して、前記プリズム量算出工程において得られたプリズム量を報告するレンズ供給工程とを備え、
    前記両累進屈折力レンズについて依頼者に対して光学特性測定機器によって前記マーク位置でのプリズム量の測定をするように求めるとともに、その測定値と報告されたプリズム量とを照合するように求めることを特徴とする累進屈折力レンズのプリズム量チェック方法。
  2. 前記指定位置は近用入り口付近に存在することを特徴とする請求項1に記載の累進屈折力レンズのプリズム量チェック方法。
  3. 前記指定位置は水平方向においてはフィッティングポイントより鼻側で近用入り口より耳側に存在することを特徴とする請求項2に記載の累進屈折力レンズのプリズム量チェック方法。
  4. 前記指定位置は累進帯長を垂直方向に三等分したその中間の等分領域に配置されることを特徴とする請求項2又は3に記載の累進屈折力レンズのプリズム量チェック方法。
  5. 前記指定位置は累進帯長を垂直方向に三等分した近用入り口側の等分領域に配置されることを特徴とする請求項2又は3に記載の累進屈折力レンズのチェック方法。
  6. 前記レンズ作製工程において作製される前記累進屈折力レンズは垂直方向に度数の累進帯を有することによる上下縁寄りのレンズ厚さの差を低減するためにレンズ肉厚の補正がされるとともに、同レンズ肉厚の補正に伴って前記指定位置でのプリズム量を補正前とは異なるプリズム量に変更していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の累進屈折力レンズのプリズム量チェック方法。
  7. 前記指定位置におけるプリズム量は0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の累進屈折力レンズのチェック方法。
  8. 前記指定位置におけるプリズム量は依頼によって指定されたプリズム量であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の累進屈折力レンズのプリズム量チェック方法。
  9. 前記指定位置におけるプリズム量は同指定位置を通り眼回旋中心を通過する光を想定して設定されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の累進屈折力レンズのプリズム量チェック方法。
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