JP4889179B2 - 潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は潤滑油組成物に関し、詳しくはロングドレイン性に優れた、特に内燃機関用として好適な低硫黄の潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、潤滑油の寿命を延長するためには、潤滑油基油の高度精製化、ポリα−オレフィン、ポリオールエステル等の合成油の使用、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDTP)、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、さらには有機モリブデン化合物等の酸化防止性添加剤を最適化することが行われてきた。中でもZDTP等の硫黄を含有する添加剤は酸化防止剤及び摩耗防止剤として、現在の潤滑油、特に内燃機関用の潤滑油には不可欠な添加剤として使用されている。
一方、ZDTPを含有しない潤滑油としては、その摩耗防止性能を維持するためにジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛や硫黄系添加剤を配合した潤滑油組成物が知られている(例えば、特開昭62−253691号公報、特表昭62−501917号公報、特開昭63−304095号公報、特表平1−500912号公報、特開平6−41568号公報等)。これら公報に記載の潤滑油はZDTPと同様に硫黄分を多く含有している。
しかし、これらZDTP等の硫黄を含有する添加剤は酸化防止性能を有するものの、それ自体が酸化あるいは熱分解する過程で放出される硫酸によって潤滑油の酸化劣化が加速されるため、さらなる潤滑油の寿命を延長するには限界があることが明らかになってきた。特に金属系清浄剤や無灰分散剤等を含有する組成物においては、酸中和特性の指標である全塩基価の消耗(劣化)が加速される傾向にあった。
【0003】
従って酸化安定性に極めて優れたロングドレイン型の潤滑油を得るためには、摩耗防止剤を中心とした抜本的な添加剤配合の見直しが必要となってきた。
また、近年の環境問題に対応して内燃機関に装着されている三元触媒や酸化触媒、NOx吸蔵還元触媒等の排ガス触媒、あるいはDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)等の排ガス後処理装置への影響を緩和する必要に迫られ、低硫黄、低リン、あるいは低灰分の潤滑油も要望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような要請に鑑み、摩耗防止剤を最適化することで潤滑油の酸化安定性を向上させ、塩基価維持性等のロングドレイン性及び高温清浄性に優れた潤滑油組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究した結果、特定のリン含有添加剤を含有させた潤滑油組成物が、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、潤滑油基油に、(A)下記一般式(1)で表わされるリン化合物、及びそれらの金属塩又はアミン塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする潤滑油組成物にある。
【0006】
【化2】
【0007】
一般式(1)において、R1は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R2及びR3は、そのいずれか一方が水素で他方が炭素数1〜30の炭化水素基であって、アルキル基、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基又はアルケニル基を示す。
前記(A)成分が、一般式(1)で表わされるリン化合物の金属塩であることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、更に(B)金属系清浄剤、(C)無灰分散剤及び(D)酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することが好ましい。
前記(B)成分が、硫黄を含有しない金属系清浄剤であることが好ましい。
潤滑油基油の全芳香族分が10質量%以下、硫黄分が0.05質量%以下であることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、内燃機関用であることが好ましく、硫黄分が50質量ppm以下の燃料を使用する内燃機関用であることが特に好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の潤滑油組成物について詳述する。
本発明の潤滑油組成物における潤滑油基油としては、特に制限はなく、通常の潤滑油に使用される鉱油系基油、合成系基油が使用できる。
鉱油系基油としては、具体的には、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいはワックス異性化鉱油、GTL WAX(ガストゥリキッドワックス)を異性化する手法で製造される基油等が例示できる。
【0009】
鉱油系基油中の硫黄分は、特に制限はないが、0.05質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがさらに好ましく、0.005質量%以下であることが特に好ましい。鉱油系基油の硫黄分を低減することで、よりロングドレイン性に優れ、内燃機関用潤滑油として使用した場合には、排ガス後処理装置への悪影響を極力回避可能な低硫黄の潤滑油組成物を得ることができる。
また、鉱油系基油の全芳香族含有量は、特に制限はないが、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。基油の全芳香族含有量を10質量%以下とすることでより酸化安定性に優れる組成物を得ることができる。
なお、上記全芳香族含有量とは、ASTM D2549に準拠して測定した芳香族留分(aromatic fraction)含有量を意味する。通常この芳香族留分には、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンの他、アントラセン、フェナントレン、及びこれらのアルキル化物、ベンゼン環が四環以上縮合した化合物、又はピリジン類、キノリン類、フェノール類、ナフトール類等のヘテロ芳香族を有する化合物等が含まれる。
【0010】
合成系基油としては、具体的には、ポリブテン又はその水素化物;1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン又はその水素化物;ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、及びジ−2−エチルヘキシルセバケート等のジエステル;ネオペンチルグリコールエステル、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、及びペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル;アルキルナフタレン、アルキルベンゼン、及び芳香族エステル等の芳香族系合成油又はこれらの混合物等が例示できる。
【0011】
本発明における潤滑油基油としては、上記鉱油系基油、上記合成系基油又はこれらの中から選ばれる2種以上の任意混合物等が使用できる。例えば、1種以上の鉱油系基油、1種以上の合成系基油、1種以上の鉱油系基油と1種以上の合成系基油との混合油等を挙げることができる。
【0012】
本発明において用いる潤滑油基油の動粘度は特に制限はないが、その100℃での動粘度は、20mm2/s以下であることが好ましく、より好ましくは10mm2/s以下である。一方、その動粘度は、1mm2/s以上であることが好ましく、より好ましくは2mm2/s以上である。潤滑油基油の100℃での動粘度が20mm2/sを越える場合は、低温粘度特性が悪化し、一方、その動粘度が1mm2/s未満の場合は、潤滑箇所での油膜形成が不十分であるため潤滑性に劣り、また潤滑油基油の蒸発損失が大きくなるため、それぞれ好ましくない。
【0013】
潤滑油基油の蒸発損失量としては、NOACK蒸発量で、20質量%以下であることが好ましく、16質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。潤滑油基油のNOACK蒸発量が20質量%を超える場合、潤滑油の蒸発損失が大きいだけでなく、内燃機関用潤滑油として使用した場合、組成物中の硫黄化合物やリン化合物、あるいは金属分が潤滑油基油とともに排ガス浄化装置へ堆積する恐れがあり、排ガス浄化性能への悪影響が懸念されるため好ましくない。なお、ここでいうNOACK蒸発量とは、CEC L−40−T−87に準拠して、潤滑油試料60gを250℃、−20mmH2Oの減圧下にて1時間保持した後の蒸発量を測定したものである。
【0014】
潤滑油基油の粘度指数は特に制限はないが、低温から高温まで優れた粘度特性が得られるようにその値は、80以上であることが好ましく、更に好ましくは100以上であり、更に好ましくは120以上である。その粘度指数が80未満である場合、低温粘度特性が悪化するため好ましくない。
【0015】
本発明の潤滑油組成物における(A)成分は、下記一般式(1)で表わされるリン化合物、及びそれらの金属塩又はアミン塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0016】
【化3】
【0017】
一般式(1)において、R1は炭素数1〜8の炭化水素基であり、R2及びR3は、そのいずれか一方が水素で他方が炭素数1〜30の炭化水素基であって、アルキル基、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基又はアルケニル基を示す。
上記炭素数1〜8の炭化水素基、あるいは炭素数1〜30の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキル置換アリール基、及びアリールアルキル基を挙げることができる。
【0018】
上記アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ペプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、及びトリアコンチル基等の炭素数1以上のアルキル基(これらは直鎖状であっても分枝状であっても良い)を挙げることができる。
上記シクロアルキル基としては、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基を挙げることができる。
上記アルキルシクロアルキル基としては、具体的には、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル基等の炭素数6〜10のアルキルシクロアルキル基(アルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任意である)を挙げることができる。
【0019】
上記アルケニル基としては、具体的には、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である)を挙げることができる。
【0020】
上記アリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等のアリール基;アルキルアリール基としては、具体的には、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基等の炭素数7〜10のアルキルアリール基(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、またアリール基への置換位置も任意である);上記アリールアルキル基としては、具体的には、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等の炭素数7〜10のアリールアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)をそれぞれ挙げることができる。
上記炭素数1〜30の炭化水素基は、好ましくは、炭素数2〜24の炭化水素基であることが好ましく、更に好ましくは、炭素数3〜20の炭化水素基であり、更に具体的には、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基であることが好ましく、更に好ましくは炭素数3〜18、更に好ましくは炭素数4〜12のアルキル基である。
【0021】
上記一般式(1)で表わされるリン化合物としては、上記R1が炭素数1〜8の炭化水素基であり、R2、R3の一方が炭素数1〜30の炭化水素基であって、アルキル基、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基又はアルケニル基、他方が水素であるホスホン酸モノエステルを挙げことができる。
【0023】
一般式(1)で表されるリン化合物の塩としては、R2、R3の少なくとも一方が水素である上記リン化合物に金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属塩化物等の金属塩基、アンモニア、炭素数1〜30の炭化水素基又はヒドロキシル基含有炭化水素基のみを分子中に有するアミン化合物等の窒素化合物を作用させて、残存する酸性水素の一部又は全部を中和した塩を挙げることができる。
【0024】
上記金属塩基における金属としては、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属;亜鉛、銅、鉄、鉛、ニッケル、銀、マンガン、モリブデン等の重金属等が挙げられる。これらの中ではカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属及び亜鉛、特に亜鉛が好ましい。
【0025】
上記リン化合物の金属塩は、金属の価数やリン化合物のOH基の数に応じその構造が異なり、従ってその構造については何ら限定されないが、例えば、酸化亜鉛1molとホスホン酸モノエステル(OH基が1つ)2molを反応させた場合、下記式で表わされる構造の化合物が主成分として得られると考えられるが、ポリマー化した分子も存在していると考えられる。
【0026】
【化4】
【0027】
また、例えば、酸化亜鉛1molとホスホン酸(OH基が2つ)1molとを反応させた場合、下記式で表わされる構造の化合物が主成分として得られると考えられるが、ポリマー化した分子も存在していると考えられる。
【0028】
【化5】
【0029】
一般式(1)で表されるリン化合物の金属塩としては、R1が炭素数1〜30の炭化水素基であり、R2、R3のいずれか1つが水素であるリン化合物の金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、塩基価維持性及び高温清浄性に優れる点でより好ましい。
【0030】
上記窒素化合物としては、具体的には、アンモニア、モノアミン、ジアミン、ポリアミンが挙げられる。より具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジヘプタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、及びプロピルブチルアミン等の炭素数1〜30のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルキルアミン;
【0031】
エテニルアミン、プロペニルアミン、ブテニルアミン、オクテニルアミン、及びオレイルアミン等の炭素数2〜30のアルケニル基(これらのアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルケニルアミン;メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ペンタノールアミン、ヘキサノールアミン、ヘプタノールアミン、オクタノールアミン、ノナノールアミン、メタノールエタノールアミン、メタノールプロパノールアミン、メタノールブタノールアミン、エタノールプロパノールアミン、エタノールブタノールアミン、及びプロパノールブタノールアミン等の炭素数1〜30のアルカノール基(これらのアルカノール基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルカノールアミン;
【0032】
メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、及びブチレンジアミン等の炭素数1〜30のアルキレン基を有するアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミン;ウンデシルジエチルアミン、ウンデシルジエタノールアミン、ドデシルジプロパノールアミン、オレイルジエタノールアミン、オレイルプロピレンジアミン、ステアリルテトラエチレンペンタミン等の上記モノアミン、ジアミン、ポリアミンに炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する化合物やN−ヒドロキシエチルオレイルイミダゾリン等の複素環化合物が置換した化合物;これらの化合物のアルキレンオキシド付加物;及びこれらの混合物等が例示できる。
これら窒素化合物の中でもデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン及びステアリルアミン等の炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アミン(これらは直鎖状でも分枝状でもよい)が好ましい例として挙げることができる。
【0033】
一般式(1)で表されるリン化合物のアミン塩としては、R1が炭素数1〜30の炭化水素基であり、R2、R3のいずれか1つが水素であるリン化合物のアミン塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、塩基価維持性及び高温清浄性に優れる点でより好ましい。
【0034】
本発明の潤滑油組成物において(A)成分の含有量の下限値は、摩耗防止性を発揮させるためには、組成物全量基準でリン元素換算量として0.005質量%以上であり、好ましくは0.01質量%以上、特に好ましくは0.02質量%以上である。また、(A)成分の含有量の上限値としては、通常1質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下である。(A)成分の含有量が、リン元素として1質量%を超える場合は、含有量に見合うだけの摩耗防止効果が得にくく、特に排ガス後処理装置を装着した内燃機関に使用する場合、リン元素換算での含有量が0.2質量%を超える場合、排ガス後処理装置への悪影響が懸念されるため好ましくなく、0.1質量%以下とすれば、その悪影響をより低減可能な組成物を得ることができる。
【0035】
本発明の潤滑油組成物は、ジチオリン酸亜鉛等の硫黄含有化合物を低減又は使用せずに(A)成分を含有させることで、摩耗防止性を維持しながら組成物の酸化安定性を高めることが可能となり、(B)金属系清浄剤、(C)無灰分散剤及び(D)酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種を含有させた場合に、より酸化安定性を高め、塩基価維持性及び高温清浄性に極めて優れた組成物を得ることが可能となる。
【0036】
(B)成分としては、潤滑油の金属系清浄剤として用いられる任意の化合物が使用可能であるが、具体的には例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属フェネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属カルボキシレートの中から選ばれる1種または2種以上の金属系清浄剤等が挙げられる。中でも、硫黄を含有しないアルカリ金属又はアルカリ土類金属フェネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレート、あるいはアルカリ金属又はアルカリ土類金属カルボキシレートが好ましく、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレートを使用することが酸化安定性、塩基価維持性及び高温清浄性に優れた低硫黄、あるいは実質的に硫黄を含有しない潤滑油組成物が得られる点で特に好ましい。
【0037】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネートとは、分子量400〜1500、好ましくは400〜700のアルキル芳香族化合物をスルホン化することによって得られるアルキル芳香族スルホン酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/またはカルシウム塩であり、カルシウム塩が好ましく用いられる。
【0038】
上記アルキル芳香族スルホン酸としては、具体的にはいわゆる石油スルホン酸や合成スルホン酸等が挙げられる。
ここでいう石油スルホン酸としては、一般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルホン化したものやホワイトオイル製造時に副生する、いわゆるマホガニー酸等が用いられる。また合成スルホン酸としては、例えば洗剤の原料となるアルキルベンゼン製造プラントから副生したり、ポリオレフィンをベンゼンにアルキル化することにより得られる、直鎖状や分枝状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルホン化したもの、あるいはジノニルナフタレン等のアルキルナフタレンをスルホン化したもの等が用いられる。またこれらアルキル芳香族化合物をスルホン化する際のスルホン化剤としては、通常発煙硫酸や無水硫酸が用いられる。
【0039】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属フェネートとしては、炭素数4〜30、好ましくは6〜18の直鎖または分枝アルキル基(これらは1級でも2級でも3級でも良い)を有するアルキルフェノール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/またはカルシウム塩が挙げられる。中でも硫黄を含有しないアルカリ金属又はアルカリ土類金属フェネートが特に好ましい。
【0040】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレートとしては、炭素数1〜40の炭化水素基を1つ又は2つ有するサリチル酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/またはカルシウム塩が挙げられる。例えば下記の一般式(2)で表されるものを挙げることができる。
【0041】
【化6】
【0042】
一般式(2)中、R11は、炭素数1〜40、好ましくは1〜30の炭化水素基を示し、好ましくは、アルキル基であり、Mは、アルカリ土類金属を示し、好ましくはカルシウム又はマグネシウムであり、カルシウムが特に好ましく、nは、1又は2である。
【0043】
上記R11としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等が挙げられ、これらは直鎖でも分枝でもよく、これらはまた1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でもよい。
【0044】
また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属フェネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレート等としては、上記のアルキル芳香族スルホン酸、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物、アリキルサリチル酸等を直接、マグネシウム及び/またはカルシウムのアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物等のアルカリ土類金属塩基と反応させたり、またはナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩としたり、さらにアルカリ土類金属塩と置換させること等により得られる中性塩だけでなく、当該中性塩と過剰のアルカリ土類金属又はアルカリ土類金属塩やアルカリ土類金属又はアルカリ土類金属塩基を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性塩や、炭酸ガス又はホウ酸若しくはホウ酸塩の存在下で当該中性塩をアルカリ土類金属の塩基と反応させることにより得られる過塩基性塩も含まれる。
本発明でいう金属系清浄剤としては、上記の中性塩、塩基性塩、過塩基性塩及びこれらの混合物等を用いることができる。
金属系清浄剤は、通常、軽質潤滑油基油等で希釈された状態で市販されており、また入手可能であるが、一般的に、その金属含有量が1.0〜20質量%、好ましくは2.0〜16質量%のものを用いるのが望ましい。
【0045】
本発明において、(B)成分の全塩基価は、通常0〜500mgKOH/g、好ましくは20〜450mgKOH/gであり、これらの中から選ばれる1種又は2種以上併用することができる。なお、ここでいう全塩基価とは、JIS K2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による全塩基価を意味する。
【0046】
また、本発明の(B)成分としては、その金属比に特に制限はなく、通常20以下のものを1種又は2種以上混合して使用できるが、金属比が3以下の金属系清浄剤を用いることが、酸化安定性や塩基価維持性及び高温清浄性等により優れるため特に好ましい。なお、ここでいう金属比とは、金属系清浄剤における金属元素の価数×金属元素含有量(mol%)/せっけん基含有量(mol%)で表され、金属元素とはカルシウム、マグネシウム等、せっけん基とはスルホン酸基、サリチル酸基等を意味する。
【0047】
本発明において、(B)成分の含有量は、通常金属元素換算量で1質量%以下であり、0.5質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以下であることがさらに好ましく、組成物の硫酸灰分を1.0質量%以下に低減するためには、(B)成分の含有量を0.3質量%以下とするのが好ましい。また、(B)成分の含有量は、酸化安定性や塩基価維持性、高温清浄性をより高めるためには、0.005質量%以上であり、好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.02質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上である。なお、ここでいう硫酸灰分とは、JIS K2272の5.「硫酸灰分の試験方法」に規定される方法により測定される値を示し、主として金属含有添加剤に起因するものである。
【0048】
(C)無灰分散剤としては、潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤を用いることができるが、例えば、炭素数40〜400の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはアルケニルコハク酸イミドの変性品等が挙げられる。これらの中から任意に選ばれる1種類あるいは2種類以上を配合することができる。
このアルキル基又はアルケニル基の炭素数は40〜400、好ましくは60〜350である。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が40未満の場合は化合物の潤滑油基油に対する溶解性が低下し、一方、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が400を越える場合は、潤滑油組成物の低温流動性が悪化するため、それぞれ好ましくない。このアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分枝状でもよいが、好ましいものとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーやエチレンとプロピレンのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基や分枝状アルケニル基等が挙げられる。
【0049】
(C)成分の具体的としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。これらのの中から選ばれる1種又は2種以上の化合物を用いることができる。
(C−1)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するコハク酸イミド、あるいはその誘導体
(C−2)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミン、あるいはその誘導体
(C−3)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、あるいはその誘導体
【0050】
上記(C−1)コハク酸イミドとしては、より具体的には、下記の一般式(3)及び一般式(4)で示される化合物等が例示できる。
【0051】
【化7】
【0052】
一般式(3)において、R20は、炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、hは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。
【0053】
【化8】
【0054】
一般式(4)において、R21及びR22は、それぞれ個別に炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、ポリブテニル基であることが好ましい。iは0〜4、好ましくは1〜3の整数を示す。
なお、コハク酸イミドには、ポリアミンの一端に無水コハク酸が付加した一般式(3)で表される、いわゆるモノタイプのコハク酸イミドと、ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加した一般式(4)で表される、いわゆるビスタイプのコハク酸イミドとが含まれるが、本発明の組成物には、それらのいずれでも、あるいはこれらの混合物が含まれていても良い。
【0055】
これらのコハク酸イミドの製法としては、例えば炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を有する化合物を無水マレイン酸と100〜200℃で反応させて得たアルキル又はアルケニルコハク酸をポリアミンと反応させることにより得ることができる。ポリアミンとしては、具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びペンタエチレンヘキサミン等が例示できる。
【0056】
上記(C−2)ベンジルアミンとしては、より具体的には、下記の一般式(5)で表される化合物等が例示できる。
【0057】
【化9】
【0058】
一般式(5)において、R23は、炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、jは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。
このベンジルアミンの製法としては、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、及びエチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンをフェノールと反応させてアルキルフェノールとした後、これにホルムアルデヒドとポリアミン(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びペンタエチレンヘキサミン等)をマンニッヒ反応により反応させることにより得ることができる。
【0059】
上記(C−3)ポリアミンとしては、より具体的には、下記の一般式(6)で表される化合物等が例示できる。
R24−NH−(CH2CH2NH)k−H (6)
一般式(6)において、R24は、炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、kは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。
このポリアミンの製法としては、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、及びエチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンを塩素化した後、これにポリアミン(例えば、アンモニアやエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びペンタエチレンヘキサミン等)を反応させることにより得ることができる。
【0060】
また、(C)成分の1例として挙げた含窒素化合物の誘導体としては、例えば、前述の含窒素化合物に炭素数1〜30のモノカルボン酸(脂肪酸等)やシュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンカーボネート等を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆる酸変性化合物;前述の含窒素化合物にホウ酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆるホウ素変性化合物;前述の含窒素化合物にリン酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆるリン酸変性化合物;前述の含窒素化合物に硫黄化合物を作用させた硫黄変性化合物;及び前述の含窒素化合物に酸変性、ホウ素変性、リン酸変性、硫黄変性から選ばれた2種以上の変性を組み合わせた変性化合物;等が挙げられる。これらの誘導体の中でもアルケニルコハク酸イミドのホウ酸変性化合物は耐熱性、酸化防止性及び摩耗防止性に優れ、本発明の潤滑油組成物においても塩基価維持性、高温清浄性及び摩耗防止性をより高めるために有効である。
【0061】
本発明の潤滑油組成物において(C)成分を含有させる場合、その含有量は、通常潤滑油組成物全量基準で、通常0.01〜20質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%である。(C)成分の含有量が0.01質量%未満の場合は、高温清浄性に対する効果が少なく、一方、20質量%を越える場合は、潤滑油組成物の低温流動性が大幅に悪化するため、それぞれ好ましくない。
【0062】
酸化防止剤(D)としては、フェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤、金属系酸化防止剤等の潤滑油に一般的に使用されているものであれば使用可能である。酸化防止剤の添加により、潤滑油組成物の酸化防止性をより高められるため、本発明の組成物の塩基価維持性及び高温清浄性をより高めることができる。
【0063】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、あるいは、オクチル−3−(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等の3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル置換脂肪酸エステル類等を好ましい例として挙げることができる。これらは二種以上を混合して使用してもよい。
【0064】
アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、及びジアルキルジフェニルアミンを挙げることができる。これらは二種以上を混合して使用してもよい。
上記フェノール系酸化防止剤とアミン系酸化防止剤は組み合せて配合しても良い。
【0065】
本発明の潤滑油組成物において(D)成分を含有させる場合、その含有量は、通常潤滑油組成物全量基準で5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは2.5質量%以下である。その含有量が5質量%を超える場合は、配合量に見合った十分な酸化防止性が得られないため好ましくない。一方、その含有量は、酸化安定性や塩基価維持性、高温清浄性等の性能をより高めるためには潤滑油組成物全量基準で好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以上である。
【0066】
本発明の潤滑油組成物は、その性能をさらに向上させるために、その目的に応じて潤滑油に一般的に使用されている任意の添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、例えば、(A)成分以外の摩耗防止剤、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤、及び着色剤等の添加剤等を挙げることができる。
【0067】
(A)成分以外の摩耗防止剤としては、例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛、ジスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類、等の硫黄含有化合物等が挙げられる。これらは0.005〜5質量%の範囲で本発明の組成物に含有させることが可能であるが、低硫黄化及び酸化安定性や塩基価維持性、高温清浄性の点から配合しないことが好ましい。
【0068】
摩擦調整剤としては、潤滑油用の摩擦調整剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、ジチオカルバミン酸モリブデン、ジチオリン酸モリブデン、モリブデンアミン錯体、モリブデン−コハク酸イミド錯体、二硫化モリブデン等のモリブデン系摩擦調整剤;及び炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基、特に炭素数6〜30の直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、アミン化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル等の無灰摩擦調整剤等が挙げられ、通常0.1〜5質量%の範囲で含有させることが可能である。これらの中では、硫黄あるいは金属を含有しない点で、無灰摩擦調整剤が好ましく用いられる。
【0069】
粘度指数向上剤としては、具体的には、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの重合体又は共重合体若しくはその水添物などのいわゆる非分散型粘度指数向上剤、又はさらに窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等が例示できる)若しくはその水素化物、ポリイソブチレン若しくはその水添物、スチレン−ジエン共重合体の水素化物、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体及びポリアルキルスチレン等が挙げられる。
【0070】
これら粘度指数向上剤の分子量は、せん断安定性を考慮して選定することが必要である。具体的には、粘度指数向上剤の数平均分子量は、例えば分散型及び非分散型ポリメタクリレートの場合では、通常5,000〜1,000,000、好ましくは100,000〜900,000のものが、ポリイソブチレン又はその水素化物の場合は通常800〜5,000、好ましくは1,000〜4,000のものが、エチレン‐α‐オレフィン共重合体又はその水素化物の場合は通常800〜500,000、好ましくは3,000〜200,000のものが用いられる。
【0071】
またこれらの粘度指数向上剤の中でもエチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物を用いた場合には、特にせん断安定性に優れた潤滑油組成物を得ることができる。上記粘度指数向上剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を任意の量で含有させることができる。粘度指数向上剤の含有量は、通常潤滑油組成物基準で0.1〜20質量%である。
【0072】
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、及びイミダゾール系化合物等が挙げられる。
【0073】
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、及び多価アルコールエステル等が挙げられる。
【0074】
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0075】
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、及びβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
【0076】
消泡剤としては、例えば、シリコーン、フルオロシリコール、及びフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
【0077】
これらの添加剤を本発明の潤滑油組成物に含有させる場合には、その含有量は潤滑油組成物全量基準で、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤ではそれぞれ0.005〜5質量%、金属不活性化剤では0.005〜1質量%、消泡剤では0.0005〜1質量%の範囲である。
【0078】
なお、本発明の潤滑油組成物は、低硫黄であり、酸化安定性、塩基価維持性及び高温清浄性に優れた潤滑油組成物であるが、その硫黄含有量は、潤滑油基油や各種添加剤の選択によって、組成物の全硫黄含有量が好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下、特に0.01質量%以下の低硫黄潤滑油組成物とすることも可能である。特に潤滑油基油や各種添加剤に含まれる希釈剤としての潤滑油に含まれる硫黄分に留意すれば、実質的に硫黄を含有しない潤滑油組成物を得ることも可能である。
また、本発明の潤滑油組成物は、金属を含有する添加剤等の選択によって、組成物の硫酸灰分を好ましくは1.0質量%以下とすることができ、より好ましくは0.9質量%以下、特に好ましくは0.8質量%以下とすることが可能である。
【0079】
本発明の潤滑油組成物は、低硫黄であり、酸化安定性、塩基価維持性及び高温清浄性に優れ、二輪車、四輪車、発電用、舶用等のガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスエンジン等の内燃機関用潤滑油として好ましく使用することができ、低硫黄、さらには低リン、低灰分の潤滑油とすることで、特に排ガス後処理装置を装着した内燃機関に好適である。また、低硫黄燃料、例えば、硫黄分が50質量ppm以下、さらに好ましくは30質量ppm以下、特に好ましくは10質量ppm以下のガソリンや軽油や灯油、LPG、天然ガス、あるいは硫黄分を実質的に含有しない燃料(水素、ジメチルエーテル、アルコール、GTL(ガストゥリキッド)燃料等)を用いる内燃機関用潤滑油、特にガソリンエンジン用やガスエンジン用潤滑油として特に好ましく使用することができる。
また、本発明の上記のような性能のいずれかが要求されるような潤滑油、自動又は手動変速機等の駆動系用潤滑油、グリース、湿式ブレーキ油、油圧作動油、タービン油、圧縮機油、軸受け油、冷凍機油等の潤滑油としても好適に使用することができる。
【0080】
【実施例】
以下に本発明の内容を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
【0081】
(実施例1〜3、比較例1)
表1に示されるように本発明の潤滑油組成物(実施例1〜3)、比較用の潤滑油組成物(比較例1)をそれぞれ調製した。
【0082】
【表1】
【0083】
得られた各組成物に対して下記の性能評価試験を行った。
(1)ホットチューブ試験でみた高温清浄性
JPI−5S−5599に準拠し、ホットチューブ試験を行った。評点は無色透明(汚れなし)を10点、黒色不透明を0点とし、この間をあらかじめ1刻みで作成した標準チューブを参照して評価した。その評価結果を表1に示す。
なお、290℃において当該評点が6以上であれば、通常のガソリンエンジン用、ディーゼルエンジン用の潤滑油として清浄性に優れたものであるが、ガスエンジン用の潤滑油としては、本試験において300℃以上においても優れた清浄性を示すことが好ましい。
【0084】
(2)ISOTによる全塩基価の経時変化
JIS K 2514に準拠するISOT試験(165.5℃)にて試験油を強制劣化させたときの全塩基価(塩酸法)の残存率の経時変化を測定した。その評価結果を表1に示す。試験時間に対する全塩基価残存率が高いほど塩基価維持性能が高く、より長時間使用できるロングドレイン油であることを示す。
【0085】
(3)NOx吸収試験による全塩基価の経時変化
日本トライボロジー会議予稿集1992、10、465に準拠した条件(150℃、NOx:1198ppm)にて試験油にNOxガスを吹き込み、強制劣化させたときの全塩基価(塩酸法)の経時変化を測定した。その評価結果を表1に示す。試験時間に対する全塩基価残存率が高いほど内燃機関で使用されるようなNOx存在下においても塩基価維持性能が高く、より長時間使用できるロングドレイン油であることを示す。
【0086】
(4)高速四球試験
ASTM D4172−94に準拠する高速四球試験において、回転数1800rpm、荷重392Nでの条件下で室温にて30分間試験を行い、試験後の試験球の平均摩耗痕径を測定した。その評価結果を表1に示す。摩耗痕径が0.6mm以下であれば、摩耗防止性に優れることを示す。
【0087】
表1に示すように、本発明の潤滑油組成物(実施例1〜3)は、従来の酸化安定性、塩基価維持性及び高温清浄性に優れるロングドレイン油として一般的なジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有する潤滑油組成物(比較例1)に比べ、上記各種試験における性能のいずれにも極めて優れていることがわかる。また、アルキルホスホン酸モノエステルのドデシルアミン塩を用いた場合(実施例2)と比べ、アルキルホスホン酸ジエステルを用いた場合(実施例3)、さらにはアルキルホスホン酸モノエステルの亜鉛塩を用いた場合(実施例1)、特に優れた性能を示すことがわかる。
また、実施例1の組成物の高速四球試験における摩耗痕径は、0.6mm以下であり、比較例1の組成物と比べても遜色のない摩耗防止性を示すことがわかる。
【0088】
【発明の効果】
本発明の潤滑油組成物は、低硫黄であり、酸化安定性、高温清浄性、塩基価維持性に優れた性能を発揮でき、摩耗防止性にも優れる。従って内燃機関用潤滑油としてだけでなく、このような性能のいずれかが要求される潤滑油、例えば、自動又は手動変速機等の駆動系用潤滑油、グリース、湿式ブレーキ油、油圧作動油、タービン油、圧縮機油、軸受け油、冷凍機油等の潤滑油としても好適に使用することができる。
Claims (5)
- 更に(B)金属系清浄剤、(C)無灰分散剤及び(D)酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の潤滑油組成物。
- 前記(B)成分が、硫黄を含有しない金属系清浄剤であることを特徴とする請求項2に記載の潤滑油組成物。
- 潤滑油基油の全芳香族分が10質量%以下、硫黄分が0.05質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の潤滑油組成物。
- 前記内燃機関が、硫黄分が50質量ppm以下の燃料を使用する内燃機関であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油組成物。
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