JP4888658B2 - 板ガラス積層構造体及び多重板ガラス積層構造体 - Google Patents

板ガラス積層構造体及び多重板ガラス積層構造体 Download PDF

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Description

本発明は、建造物や車載用途、あるいは電子部品用途として、高強度かつ高靭性を有する透過窓材等として利用される板ガラス積層体及び該板ガラス積層体をさらに積層した多重板ガラス積層構造体に関する。
板ガラスは、その透光性のため多くの用途で使用されている。各種建造物の窓板ガラスや車のフロントガラスとして、あるいは電子部品、例えば液晶表示装置やプラズマディスプレイなどの画像表示装置の表示窓として、さらに電子部品を収納する各種パッケージの窓材として多様な性能を付与された板ガラス物品が利用されている。
このような各種の用途から必然的に必要となる性能、例えば構造的な強度や剛性の強化、断熱性や熱衝撃性の改善、あるいは板ガラスとしての透過性能の向上などについては、高い性能を実現するため、あるいは弱点を克服するためにこれまでにも多数の発明が行われている。
例えば、特許文献1には、建築物の窓やドア用のガラスや車両用の窓ガラスとして好適に使用することのできる軽量で、断熱性、安全性に優れた積層体として、ガラス板がアクリル樹脂面でポリビニルブチラール樹脂を介して接合している積層体が開示されている。また、特許文献2には、防犯を目的とした窓板ガラスとして、ホウ珪酸ガラス板を使用し、それらの相互間に介在させる中間膜としてテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライドの共重合体を使用する合わせガラスが開示されている。また、特許文献3には、自動車の窓ガラスとして使用される接着積層した合わせガラスについて、音響・振動、遮音性能に優れたフロントウインドシールドガラスとして利用できるように、ポリビニルブチラール膜や塩化ビニル系樹脂膜を10℃から50℃の温度範囲で保持、制御することが開示されている。さらに、特許文献4には、防弾性に加えて軽量性をも併せ持つ防犯防弾用複合ガラスとして、高周波加熱架橋させたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートを介在させたものが開示されている。
特開平6−99547号公報 特開2006−96612号公報 特開平5−310450号公報 特開2003−252658号公報
近年の犯罪の増加などに起因する防犯意識の高まりから、建造物等の窓板ガラスの性能を一層向上させるための各種の試みが行われており、窓板ガラスの防犯性能を高めるという観点についても、従来から、前記したような性能を有する各種の板ガラスが開発されてきた。これらの板ガラスの耐性を向上する視点は、衝撃力などの外的な物理応力に対する耐久性の向上、例え板ガラスが割れても破片が飛散して災害を招くことを防止できるような構造の採用、ライターやバーナー等の加熱機器によって引き起こされる熱衝撃に対する耐性の向上といったものである。
しかしながら、近年、より一層高い機能を有し、様々な性能を有する板ガラス積層体が要望されており、このような要望に対応するためには、強度的又は熱的な性能を高めるだけでは十分とは言えない。
本発明は、以上のような要望に対応することができ、耐衝撃性、防犯性、耐熱衝撃そして透光性や気密性に優れる板ガラス積層体及び該板ガラス積層体をさらに積層した多重板ガラス積層構造体を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の板ガラス積層構造体は、1mm未満の板厚を有する少なくとも3枚以上の板ガラスが、それらの相互間に中間層を介して積層された板ガラス積層構造体であって、前記中間層を介して対向する前記板ガラス間の間隔Hに変化があり、前記板ガラスの透光面の最大外形寸法の50%の長さを有すると共に、該最大外形寸法の方向に平行で、かつ、前記透光面の面心を中点とする仮想直線上に、該仮想直線の中点を含む長さ20mmの中央部と、該仮想直線の両端からそれぞれ長さ20mmの両端部を設定したとき、該中央部及び両端部について、前記中間層を介して対向する前記板ガラス間の間隔Hの最大変化量ΔHmaxが、μm<ΔHmax<200μmであることを特徴とする
ここで、本発明の板ガラス積層構造体は、少なくとも3枚以上の板ガラスを積層して構成されるので、板ガラス間の間隔は積層方向に2箇所以上形成されるが、上記間隔Hの最大変化量ΔHmaxがμm<ΔHmax<200μmなる関係は、少なくとも、該板ガラス積層構造体の一方の最外層に最も近接して形成される上記間隔Hにおいて満たされていれば良い。また、面心とは、一つの透光面における幾何学的な重心の位置を意味している。
本発明者は、積層された状態の板ガラス構造体に加わる応力に関する研究を行う中で、積層された板ガラスの積層状態によって該構造体の強度に大きな違いが発生することに着目し、かかる認識を基礎として見出された知見に基づいて従来にない安定性を有する高い強度を実現することのできる板ガラス積層構造体を提示するものである。すなわち、板ガラス積層構造体は、上記間隔Hの最大変化量ΔHmaxが1μmより大きくかつ200μm未満のときに、該構造体に加えられる応力、特に透光面に対する外部からの衝撃力に対して優れた耐久性能を発揮することができる。
本発明の板ガラス積層構造体では、積層された板ガラス間の間隔(中間層の肉厚)に変化が認められる。そして、この板ガラス間の間隔の変化は、外部からの衝撃的な応力の印加に対して緩衝作用を有すると共に、板ガラスと中間層の密着性を向上させることを本発明者は見出し、この性質を利用することによって柔軟性と高い剛性を併せ持ち、耐衝撃性のある構造物を構築することが可能になるとの着想を得た。すなわち、このような状態で板ガラスの間隙の変化が周期性を有して繰り返されている場合には、板ガラスと中間層との接着強度は化学的な結合に加えて互いに噛み合わさった界面となり、外力によって生じる構造物の変形における板ガラスと中間層との間において生じる剪断力に対して界面剥離限界強度が改善され、完全に平行な状態であるよりも急激な外力からの力を吸収するように働き、外力に対して高い耐性が実現できるのである。更に、本発明の板ガラス積層構造体は、外力作用による変形初期において積層された板ガラス間の間隔の大なる部分の中間層の柔軟な変形効果により相対的に小さな弾性を示すのに対して、外力作用による変形が大きくなると、積層された板ガラスの間隙の小なる部分の中間層の変形抵抗が加わることによって相対的に大きな弾性を示すという、2段階弾性特性を実現することができる。そして、このような板ガラス間の間隔(中間層の肉厚)の変化は、上記仮想直線上の中央部及び両端部における間隔Hの最大変化量ΔHmaxを管理することによって正しく管理することができる。すなわち、本発明の板ガラス積層構造体を構成する板ガラスは、厚みが1mm以下であるため、その透光面の最大外形寸法の方向(例えば、長辺と短辺とを有する板ガラスでは、長辺の方向)に沿ってたわみ易いという構造的な弾性性状を有している。従って、板ガラス積層構造体において、板ガラス間の間隔の変化は最大外形寸法の方向で顕著に形成されるので、上記仮想直線上の中央部及び両端部における間隔Hの最大変化量ΔHmaxによって正しく管理することができる。そして、上記間隔Hの最大変化量ΔHmaxをμm<ΔHmax<200μmの範囲内に規制することによって、上記の特性を有する板ガラス積層構造体を得ることができる。このように、本発明の板ガラス積層構造体は、外力に対する高い耐性を示すと共に、変形の進展に応じて弾性が変化する非線形弾性を有するという全く新しい特性を持つ材料である。
積層された板ガラス間の間隔(中間層の肉厚)の変化は、例えば、板ガラス積層構造体の透光面における任意の直線領域について0.1mm〜100mmの周期性を有するように形成されたものである。本発明の板ガラス積層構造体では、この間隔の変化が、中間層を介して対向する板ガラスの表面の一方又は双方に存在する、うねりと呼称される反復凹凸形状によって形成されるものであってもよく、また、板ガラス成形後に圧延加工等の2次的な転写を行う熱処理で板ガラス表面のみを変形、固化させる方法によるものであってもよく、あるいは、レーザー照射やマスキングを伴う薬品処理などにより板ガラス表面を部分的に除去して透光面に反復凹凸構造を形成する方法によるものであってもよい。
さらに、上記間隔Hを管理する領域を、該最大外形寸法の方向に平行で、かつ、前記透光面の面心を中点とする上記仮想直線上の任意の(全ての)長さ20mmの領域とすることにより、板ガラス間の間隔(中間層の肉厚)の変化をより正確に管理することができる。
すなわち、本発明の板ガラス積層構造体のより好ましい形態は、1mm未満の板厚を有する少なくとも3枚以上の板ガラスが、それらの相互間に中間層を介して積層された板ガラス積層構造体であって、前記板ガラスの透光面の最大外形寸法の50%の長さを有すると共に、該最大外形寸法の方向に平行で、かつ、前記透光面の面心を中点とする仮想直線上の任意の長さ20mmの直線部について、前記中間層を介して対向する前記板ガラス間の間隔Hの最大変化量ΔHmaxが、μm<ΔHmax<200μmであることである。さらに好ましい形態は、1mm未満の板厚を有する少なくとも3枚以上の板ガラスが、それらの相互間に中間層を介して積層された板ガラス積層構造体であって、前記板ガラスの略矩形状の透光面の面積に対して40%以上の面積を占め、かつ該透光面の幾何学的な重心を含む中央領域における中間層を介して対向する前記板ガラス間の間隔Hの最大変化量ΔHmaxが板面に平行な任意の20mmの寸法について、μm<ΔHmax<200μmにあることである。
しかしながら、上記間隔Hの最大変化量ΔHmaxが200μm以上になると、透光面において積層構造体を透過してきた光線のゆがみが大きくなり、外観が悪くなる。一方、上記間隔Hの最大変化量ΔHmaxがμm以下では、本発明の効果が得がたいものとなってしまう。
本発明の板ガラス積層構造体では、光学的な性能を重視する場合であれば、透過光線の直進方向からの逸脱がなるべく小さいことが好ましい。このような観点からは、最大変化量ΔHmaxはなるべく小さい方が好ましく、より高い外観性を実現するためには、ΔHmax<180μmであることが好ましく、さらに好ましくはΔHmax<150μm、一層好ましくはΔHmax<120μm、さらに一層好ましくはΔHmax<100μm、より一層好ましくはΔHmax<80μm、最も好ましくはΔHmax<50μmにあるようにすることである。一方、本発明の板ガラス積層構造体の強度特性、即ち、外力に対する耐性と非線形弾性において十分な値を得るという観点からは、最大変化量ΔHmaxを大きい値とする方が好ましい。このような観点から、より高い強度特性を実現するためには、好ましくは2μm<ΔHmax、より好ましくは3μm<ΔHmax、一層好ましくは5μm<ΔHmax、最も好ましくは10μm<ΔHmaxにあるようにすることである。むろん、これら最大変化量ΔHmaxの上限値や下限値については、本発明の板ガラス積層構造体の使用用途や使用状況等によって任意に組み合わされるものとなる。
本発明の板ガラス積層構造体に用いる板ガラスとしては、例えば液晶表示装置等に搭載する用途の板ガラスとして製造されたものより表面形状に一定以上の起伏を有するものが好ましい。液晶用板ガラスとしての表面品位規格としての「うねり」は表面形状を規定する指標であり、例えば、少なくとも1箇所以上の任意の20mm長の区間において表面起伏が0.1μm以下であることが求められる。しかしながら、板ガラス製造工程における何らかの製造条件の要因についての変動のために、液晶用板ガラスに求められるうねり規格限界を超える表面品位となることもあり、2μmのようなうねり規格を超える表面形状を有する板ガラスは不良品として粉砕され、ガラス原料として再利用されていた。このような表面品位を有する板ガラスであっても、本発明の板ガラス積層構造体に用いることで板ガラス間の間隔に変化が繰り返して現れ、上述した様な板ガラス積層構造体としての強度特性の改善を期待することができる。
あるいは、上記の「うねり」として200μmを最大値とする表面仕上げ処理を施した当接平面を有する高剛性の2枚の当て板材によって本発明の板ガラス積層構造体を挟みこみ、当て板材の表面うねりを当て板材に当接する板ガラス積層体へ加熱転写することにより、上記間隔Hの最大変化量ΔHmaxがμm<ΔHmax<200μmになるようにしても良い。
また、本発明の板ガラス積層構造体を構成する板ガラスの寸法は、厚み寸法が1mm未満でありさえすれば特に限定されることはない。例えば板厚寸法については0.9mm、0.85mm、0.8mm、0.77mm、0.76mm、0.75mm、0.73mm、0.71mm、0.7mm、0.68mm、0.65mm、0.63mm、0.61mm、0.6mm、0.5mm、0.3mm、0.2mm、0.1mm等の各種の板厚寸法のものを採用することができる。一方、板ガラス積層構造体を構成する板ガラスの厚み寸法が1mm以上となると、前記板ガラス単体での剛性は高くなるものの、柔軟性が低下し、脆性が強く現れるため、本発明の板ガラス積層構造体の優れた強度特性を発現するために必要な積層板ガラスの間隔Hの変化を自由に与えることが困難となるので、好ましくない。特に、従来の合わせガラスに用いられている厚み寸法2mm以上の板ガラスにおいては、板ガラス単体の剛性が高くなりすぎるため本発明の板ガラス積層構造体に用いることはできない。また、板ガラスの端面の形状や角部の形状についても特に限定されることはない。例えば、板ガラスの端面の形状については、C面やR面等の加工形状を有するものを適宜採用してもよい。また、板ガラスの角部の形状についてもC面、R面等の形状を採用できる。
板ガラスの透光面の大きさについては、例えば、矩形形状を有する板ガラスの縦横寸法ならば、300×400mm、360×465mm、370×470mm、400×500mm、550×650mm、600×720mm、650×830mm、680×880mm、730×920mm、1000×1200mm、1100×1250mm、1370×1670mm、1500×1800mm等といった任意の寸法を必要に応じて採用することが可能であって、加工条件さえ整えば他の比率を有する縦横寸法の板ガラスであっても対象とすることができる。また、板ガラス形状として矩形形状の例を示したが、本発明の板ガラス積層構造体を構成する板ガラス形状については矩形に限定されるものではなく、どのような形状であってもよい。
本発明の板ガラス積層構造体を構成する板ガラスの材質としては、所望の硬度と密度を有する多成分系酸化物ガラスであればどのようなものであってもよい。例えば、本発明を適用することのできる材質としては、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、アルミノシリケートガラス等が特に好適であり、その中でも無アルカリガラスは最も好ましい。
本発明に適用する板ガラスとして、例えば無アルカリガラスを選択する場合には、より好ましい材質の1つとして次の様なものがある。それはガラス組成が酸化物換算の質量百分率表示で、SiO2 50%〜85%、Al23 2%〜30%、R2O(R=Na+K+Li) 0.1質量%以下となるようなものである。また、本発明に適用する板ガラスが含有する鉄成分であるFe23は板ガラスに青緑色あるいは茶色の着色を板ガラスに与えるために、その含有率としては0.2%以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1%以下であり、無色透明性が必要とされる場合には0.05%以下であることが好ましい。本発明においては板ガラスを積層する構成により前記板ガラスの色が強調されるために、板ガラス積層構造体を構成する板ガラス素材の着色を管理することが必要となる。
また、本発明の板ガラス構造体を構成する板ガラスは、各種成形法によって成形されたものを採用することが可能である。例えばロールアウト法、リドロー法、ダウンドロー法、フロート法等を必要に応じて使用することが可能である。
また、本発明の板ガラス構造体を構成する板ガラスを所望の寸法となるように加工する方法としては種々の加工方法を採用してもよい。例えば、ダイヤモンドホイールによる切断加工、ウォータージェット切断加工、切削加工、ワイヤーソー切断装置による切断、バンドソー切断装置による加工、レーザー切断装置、折り割加工機、研磨装置、切削装置等を必要に応じて使い分けることが可能である。
また、本発明の板ガラス積層構造体は、経済的な観点からその積層する板ガラスの枚数は、より好ましくは30枚以下であることが好ましく、一層好ましくは15枚以下であることである。
また、本発明の板ガラス積層構造体は、上述に加えて板ガラス端面のみを所定の表面粗さとなるように加工するため各種加工法を選択して採用することができる。また、端面のみを所定の化学薬品で処理することもでき、熱間加工を施す等して風冷強化やイオン交換強化してもよい。
中間層については、どのような有機樹脂を充填したものであってもよい。例えばPVB(ポリビニルブチラール)、ウレタン樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)、PMA(メタクリル樹脂)、PC(ポリカーボネート)、PVF(ポリビニルホルマール)、POM(ポリアセタール)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、AS(AS樹脂)、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、PA(ポリアミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、DAP(ジアリルフタレート樹脂)、AAS(AAS樹脂)、ACS(ACS樹脂)、TPX(ポリメチルペンテン)、PPO(ポリフェニレンオキシド)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、BS(ブタジエンスチレン樹脂)、PABM(ポリアミノビスマレイミド)、MBS(MBS樹脂)、PAI(ポリイミド)、PAR(ポリアリレート)、PASF(ポリアリルスルフォン)、BR(ポリブタジエン)、PESF(ポリエーテルスルフォン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、SI(ケイ素樹脂)、PTFE(ポリ4フッ化エチレン)、FEP(ポリフッ化エチレンプロピレン)、PFA(ペルフロロアルコキシフッ化プラスチック)、耐熱フッ素系樹脂等の材料を必要に応じて使用することができる。これらの中間層は単一層であっても、さらに多層構造となっているものであってよい。また複数の中間層について異なる構成よりなるものであってもよい。
また、本発明の板ガラス積層構造体に係る中間層には、着色剤、赤外線や紫外線などの特定波長についての光線の吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤、塗料性改良剤、あるいは耐電防止剤等の各種添加剤、薬剤などを適量配合することでさらに付加的な性能を付与することができる。また、酸化錫や酸化インジウムなど酸化膜、金、銀、銅、パラジウム、白金、チタン、インジウムあるいはアルミニウム等の金属膜、有機樹脂膜等を適宜選択して使用することができる。
本発明に板ガラス構造体に係る中間層に適用する材料は、予め部分架橋した状態にあるゲル状重合物を準備し、それを中間層となるように成形したものを使用することもできる。この場合には、部分架橋したゲル状重合物についてはどのような形態であってもよく、粉粒状、ペレット状、ボール状、あるいはシート状等の種々の形状とすることができる。この中でも特にシート形状とするならば、さらにシート表面に所望の表面処理剤、機能膜を塗布、被覆させる等の対処を行うことができる。また成形時の微細な気泡の除去も行い易いので好ましい。
本発明について、上記間隔Hの最大変化量ΔHmaxが、1μm<H<200μmの範囲にあることを確認する方法としては、工業用CTスキャンにより上記間隔Hの最大変化量ΔHmaxを管理する領域を含む部分について非破壊で断層撮影を行い、その断層写真によって断層撮影線上の上記間隔Hを測定する方法がある。このCTスキャン断層撮影においては高分解能撮影が可能であり、数十μmオーダーの変化を評価することができるので、本発明の板ガラス積層構造体の構造を確認する上では好ましい。また、レーザー反射光の計測によりガラス界面位置を検出するレーザー多層膜測定センサーを板ガラスに対して走査することで、管理すべき領域の上記間隔Hの最大変化量ΔHmaxを連続的に測定することが出来る。上記間隔Hの最大変化量ΔHmaxを管理する領域が長くなる場合、あるいは計測を効率化するための簡便な管理方法としては、板ガラス積層構造体を上記間隔Hの最大変化量ΔHmaxを管理する直線領域に沿ってウォータージェット切断装置等により切断し、その板厚み断面を10倍率以上のCCD顕微鏡にて観察して上記間隔Hの変化を測定する方法や、板ガラス積層構造体に対し10度から80度程度の入射角を有してレーザー光源やキセノン光源からの光を透過させ、その透過光の強度変化より上記間隔Hの変化を計測する光透過強度測定方法がある。光透過強度測定方法では透過光路内に在る板ガラス積層構造体の全ての上記間隔Hの変化量を合成した最大変化量ΔH’maxが測定され、最大変動ΔHmaxは、構成板ガラス枚数をnとすると、ΔH’max/nから算出することができる。更には、板ガラス積層構造体を介して観察した格子模様のような一定の幾何学模様の歪みより上記間隔Hの変化を評価する方法等で行うことができる。上記測定方法により本発明の板ガラス積層構造体の上記間隔Hを計測する際に短周期の変動成分が含まれる場合には、計測された上記間隔Hより表面粗さに相当する高周波成分を除去し、長周期成分であるうねり成分に関して上記間隔Hの最大変化量ΔHmaxを評価する。このうねり成分を得るためには、高周波成分を濾波するために例えばカットオフ値0.08ミリとする濾波うねり曲線Wを用いることが好ましい。
また、本発明の板ガラス積層構造体は、上述に加えヤング率(縦弾性係数、ヤング弾性率、ヤング係数ともいう)が30GPa以上であるならば、高い剛性を有するため建材等の窓材としても好適な構造物となる。
板ガラス積層構造体のヤング率が30GPaより小さいと、建材用などの大面積を有する窓材として使用された場合に構造体の中央部が容易に変形しやすく、変形量が大きくなりすぎると板ガラスと中間層が剥離しやすくなるため好ましくない。
本発明の板ガラス積層構造体は、ヤング率が30GPa以上であるならば、大型の構造物の部材として板ガラス積層構造体が使用される場合であっても、充分に高い機械的な諸性能を有するものであるため、建造物の設計自由度を向上することが可能となる。
本発明の板ガラス積層構造体のヤング率を計測する計測方法としては、曲げ試験装置を使用して積層体中央に荷重を掛けた場合の積層構造体の撓み量を作動トランスなどで検出することで計測することが可能である。また、それ以外に横振動法やパルスエコーオーバーラップ法等の計測方法によって測定してもよい。
本発明の板ガラス積層構造体を形成する方法については、各種の方法が利用できる。例えば、予め積層状態に保持した板ガラスの間に中間層となる樹脂を注入することで積層体とし、その後で樹脂を硬化させることによって積層構造体とするものでもよく、あるいは、板ガラス間に樹脂製のシート材を挿入した状態で板ガラスを重ねた状態とし、そのまま加熱処理や圧縮処理を施すものでもよい。また、板ガラスの一方の透光面に所定厚の中間層となる樹脂材を塗布し、その上にさらに板ガラスを重ね、またその上に樹脂材を塗布するという操作を繰り返すものでもよく、また、上記したような各種方法を複合したような方法であってもよい。すなわち、本発明の板ガラス積層構造体の製造方法として1mm未満の板厚を有する少なくとも3枚以上の板ガラスを中間層を介して積層すると共に、該接着層を介して板ガラス同士を接着して積層体を形成する工程と、該積層体を冷却して中間層を効果させる工程とを有する方法を採用することができる。
そして、本発明の板ガラス積層構造体を形成するためには、予め積層する板ガラスに所定の表面うねり、あるいは透明な被膜等を周期的に被された状態を有する板ガラスを適用するのが最も容易であり、最適な表面うねりや被膜などを有するようにガラス表面を各種表面形成手段によって加工あるいは被覆することで、その板ガラスを使用して本発明の板ガラス積層構造体とすることができる。ここで、各種表面形成手段としては、上述したものに加えてガラス表面の研磨加工や切削加工などの方法によっても所望のうねり状態を実現することはできるが、最も簡易なものとして、板ガラスを溶融状態から成形する際の成形速度や冷却条件などの成形条件を精密に調整することによって板ガラスの表面うねり状態を調整するのが好ましい。また、被覆方法としては公知の様々な方法を使用すればよい。
また、本発明の板ガラス積層構造体は、上述に加え、積層された板ガラスの平均厚み寸法に対して95%以下の厚み寸法を有する第2の板ガラスが、少なくとも一方の前記板ガラスに最外層に接合膜を介在して配されており、かつ該接合膜の厚み寸法が、中間層の厚み寸法の平均値以上であるならば、板ガラス積層構造体に衝撃的な応力が加えられても、板ガラス積層構造体の最外層をなす第2の板ガラスによって、内部構造に加わる力は緩和され、それだけ耐久性が高まる構成となる。
第2の板ガラスについては、その材質が積層構造体を構成する板ガラスと同等の材質であってもよいが、異なる材質でもよい。また、この第2の板ガラスは必要に応じて結晶化ガラスや化学強化ガラス、物理強化ガラスとしてもよい。特に、高剛性、高強度を有する結晶化板ガラスや強化板ガラスを第2の板ガラスとして板ガラス積層構造体の最外層に配置することで、板ガラス積層構造体としての剛性や強度を効率よく改善することができる。さらに、この第2の板ガラスは模様板ガラス、特定の彩色を施した化粧板ガラスであってもよい。
また、この第2の板ガラスについては、特定の光学性能を有する被膜、電気的な性能を有する被膜、保護強化膜あるいは粘着性膜によって被覆されていてもよく、使用される用途に応じて最適な構成を採用してよい。
さらに、第2の板ガラスの表面性状については、サンドブラストやレーザー加工、研磨処理、フッ酸エッチング処理等によってその透光面の表面粗さを適宜調整することが可能である。また、第2の板ガラスの周端面については、板ガラスとは異なる形状であっても同じ形状であってもよく、その加工方法についても公知の各種の加工方法を採用することができる。
さらに、第2の板ガラスと板ガラスとの間に介在する接合膜については、第2の板ガラスと板ガラスとを接着、接合することができ、接合後に所望の強度を実現できるならどのようなものであっても使用することができる。有機系接合膜、無機系接合膜あるいは有機−無機複合材料系接合膜の使用が可能である。さらに、これらの有機系接合膜としては、中間膜として利用可能な材料より成る単一組成接合膜としてもよく、機能性を付与するために中間膜として利用可能な複数材料より構成した多層接合膜であっても良い。例えば、厚み1mmから3mmのポリカーボネート板を0.2mm厚のEVA薄膜で挟み込んだ3層構成の接合膜とすることで耐貫通性を向上することができる。さらに、各種の添加材を混合した構成であってもよい。
また、本発明の板ガラス積層構造体は、上述に加え、中間層が、熱可塑性樹脂を用いたシート材により構成されてなるものであるならば、積層構造を構成する際に効率的な工程で積層構造体を形成することができ、積層構造体の成形品位を管理し易く好ましい。
例えば、PVB(ポリビニルブチラール)やEVA(エチレンポリビニルアセテート)などの熱可塑性樹脂材をフィルム状に予め成形したものを板ガラスと板ガラスとの間に挟接した状態で保持し、その状態で加熱などして板ガラスと接合させて中間層とすることができる。
上記シート材には予め適所に凹凸を施す等することも可能で、適切なフィラー等を添加したシート材を予め準備してもよい。凹凸については規則的な凹凸にしてもよく、不規則な凹凸としてもよい。また、フィラーは予めシート成型時にシート材に混入するように調整することもでき、シート材を作成後にシート材の適所に埋め込むこともできる。
また、本発明に係る中間層を構成するものとして例えばポリビニルブチラールを使用する場合には、その質量平均分子量が10,000から350,000とすることが好ましい。このような質量平均分子量とすることによって、強度について好ましい性能が実現できる。更に、本発明に係る中間層としてPTFE(ポリ4フッ化エチレン)、FEP(ポリフッ化エチレンプロピレン)、PFA(ペルフロロアルコキシフッ化プラスチック)等のフッ素樹脂より成り、ガラスとの表面接合性を改善した中間層を用いることで板ガラス積層構造体の耐熱性を大きく改善することができる。
また、本発明の板ガラス積層構造体は、上述に加え、中間層に、ガラス、結晶化ガラス、金属及び炭素の群の内、1種以上により構成されてなるペレット、繊維状物、網状物、組布あるいは織布を含有してなるものであるならば、用途に応じて最適な構成を採用することによって、充分な剛性と強度を有する板ガラス構造体とすることができ、多様なニーズに対応することが可能となる。
上記のガラス、結晶化ガラス、金属及び炭素については、その材質については特に限定しない。例えばガラスについては、各種の多成分系ガラス、あるいは石英ガラスなどを使用でき、結晶化ガラスについても種々の結晶化ガラス材質が利用できる。また、金属やカーボンについても同様である。さらにペレット、繊維状物、網状物、組布あるいは織布については、その大きさや形状などについても限定されることはない。
例えば中間層にガラス繊維が含有してなる場合については、中間層の剛性が向上し、本発明の板ガラス積層構造体としての剛性が大きく改善できる。中間層に含有するガラス繊維の直径、長さなどの外形寸法については、板ガラス構造体が所望の寸法とできるものであれば、特に限定されることはない。また、ガラス繊維の組成についても特に限定されない。例えばシリカガラス、Eガラス、Dガラス、Hガラス、ARガラスあるいはSガラス等の材質を適宜選択することができる。また、中間層の樹脂材料との屈折率を整合させた特殊ガラス繊維を含有する場合には、本発明の板ガラス積層構造体における光透過時の光散乱がなく澄明な透過性能を維持することができる。
また、中間層内のガラス繊維の表面には、所望の性能を付与するこのできる被覆剤を適量塗布することができる。ガラス繊維表面に塗布できる被覆剤としては、例えば集束剤、結束剤、カップリング剤、潤滑剤、帯電防止剤、乳化剤、乳化安定剤、pH調整剤、消泡剤、着色剤、酸化防止剤、妨黴剤あるいは安定剤等を単独種あるいは複数種を任意にガラス繊維の表面に適量塗布することができる。また、このような表面処理剤、あるいは塗布剤は殿粉系のものであってもプラスチック系のものであってもよい。
また、本発明の板ガラス積層構造体は、上述に加え、ガラス繊維が長さ寸法5mm以下であるならば、ガラス繊維同士が絡まったりすることなく均質な分散状態となりやすいため、偏った分散状態から発生する中間層の強度のばらつきや、その厚み寸法の偏りなどの問題を生じにくいものである。
また、本発明の板ガラス積層構造体は、必要に応じて適所にレーザーやエッチング、サンドブラスト等を使用することによって材質コードや型番等をガラス表面に刻印することが可能である。
さらに、本発明の板ガラス積層構造体は、上述に加え、透過率が30%以上であれば、建造物の採光用の窓としても使用できるので好ましい。
ここで、透過率が30%以上であるとは、板ガラス積層構造体の表面反射を含めた直線透過率について、波長400nmから800nmの範囲の可視光線に関しての平均の透過率が30%以上であることを意味している。この板ガラス積層構造体の表面反射を含めた透過率の計測については、公知のダブルビームスキャンタイプの分光透過率測定装置等を使用して、その計測光側に所定寸法面積を有する板ガラス積層構造体を配した状態で計測すればよい。この際に板ガラス積層構造体の表面に何らかの膜材が施されているならば、それを含めた計測が行われるように注意が必要である。
また、本発明の板ガラス積層構造体は、建造物等の窓材として使用され、板ガラス積層構造体を通して反対側にある遠方の対象物を目視観察するような使い方をする場合には、なるべく高い透過率を有することが好ましく、その透過率は40%以上である方がよく、さらに好ましくは50%以上とすることである。
さらに、本発明の板ガラス積層構造体は、その表面に各種方法により被膜を施すことが可能である。被膜の種類としては、光学性能を付与する屈折率調整膜、不透過膜、反射防止膜や耐候性を向上させる保護膜、さらに導電膜、帯電膜等を適宜採用することができる。また膜の施工方法としては、化学蒸着法、物理蒸着法、スプレー法、ディッピング法、貼り付け法あるいは刷毛塗り法等を適宜使用することが可能である。
また、本発明の板ガラス積層構造体は、積層体を形成する際に予め成形した型材中に板ガラスを押圧することによって、全体が湾曲した構造物としてもよい。
また、本発明の板ガラス積層構造体は、防犯性能を一層高める目的で、板ガラス間の中間層に透明導電体や金属配線を検知用の配線として配設することが可能であり、このような構造とすることによって、板ガラス積層構造体が建造物の窓材やドア材として使用された場合に、それを破断、あるいは貫通するような破壊行為を電気的に容易に検知することが可能となる。また上記以外の特定のセンサーすなわち振動センサーや温度センサー等の端子を板ガラス間に挟装することができる。
また、本発明の多重板ガラス積層構造体は、上記の板ガラス積層構造体の相互間に、0.3mm以上の厚み寸法を有する間隙充填膜を介して多重構造としたことを特徴とする。
間隙充填膜の厚み寸法が0.3mmに満たないと、大面積を有する板ガラス積層構造体同士を充分に強力に接合することができない場合があるので好ましくない。
また、本発明の板ガラス積層構造体は、液晶表示装置搭載用の板ガラス材をリサイクルすることによって構成されたものであってもよい。
具体的には、例えば日本電気硝子株式会社のガラス材質コードであれば、OA−10やOA−21といった液晶表示装置搭載用の無アルカリ板ガラス材料を、一度液晶表示装置として組み立てた後、液晶表示装置の故障などによって使用不可能となった装置から回収して本発明の板ガラス構造体として採用するものであってもよい。特に、液晶表示装置に用いられていた無アルカリ板ガラス材を再利用する場合には、その表面に形成された薄膜トランジスタ回路は板ガラス間隔Hを規則正しく変化させる構造物となり、本発明の板ガラス積層構造体に利用する板ガラスとしては望ましいものである。また、廃材を再溶融して所定寸法に成形した薄板状の無アルカリガラスを使用するものであってもよい。
以上のように、本発明の板ガラス積層構造体は、1mm未満の板厚を有する少なくとも3枚以上の板ガラスが、それらの相互間に中間層を介して積層された板ガラス積層構造体であって、前記板ガラスの透光面の最大外形寸法の50%の長さを有すると共に、該最大外形寸法の方向に平行で、かつ、前記透光面の面心を中点とする仮想直線上に、該仮想直線の中点を含む長さ20mmの中央部と、該仮想直線の両端からそれぞれ長さ20mmの両端部を設定したとき、該中央部及び両端部について、前記中間層を介して対向する前記板ガラス間の間隔Hの最大変化量ΔHmaxが、μm<ΔHmax<200μmであるため、耐衝撃性、防犯性、耐熱衝撃等の諸性能に優れた構造を有し、小変形時の柔軟性により衝突する物・人に対する低傷害性と共に建造物等において要求される各種の強度性能を実現することのできる窓材として好適なものである。
さらに、本発明の板ガラス積層構造体は、積層された3枚以上の板ガラスの平均厚み寸法に対して95%以下の厚み寸法を有する第2の板ガラスが、少なくとも一方の最外層に前記板ガラスに接合膜を介して配されており、かつ該接合膜の厚み寸法が、中間層の厚み寸法の平均値以上であるならば、耐衝撃性を改善することが可能であり、一層高い頑健性を付与されたものとなり、より広範囲の用途で使用することができる。
また、本発明の板ガラス積層構造体は、中間層が熱可塑性樹脂より成る適切な厚みを有するシート材により構成されてなるならば、各中間層の厚みや板ガラス積層枚数を任意に選択することで、弾性率、靭性、耐貫通性、透過率、耐熱性等の板ガラス積層構造体の材料特性を容易に所望値に調節することができ、なおかつ、安定した品位の板ガラス積層構造体を効率よく製造することができるので好適である。
また、本発明の板ガラス積層構造体は、中間層に、ガラス、結晶化ガラス、金属及び炭素の群の内、1種以上により構成されてなるペレット、繊維状物、網状物、組布あるいは織布を含有してなるものであるならば、剛性と耐衝撃性能をさらに向上させ、大面積の構造物であっても充分な強度性能を実現することができる。
さらに、本発明の多重板ガラス積層構造体は、前記の板ガラス積層構造体の相互間に、0.3mm以上の厚み寸法を有する間隙充填膜を介して多重構造としものであるため、1つの板ガラス積層構造体では強度面で不十分であるような場合であっても、さらに複数を積層することによって強度を向上した仕様とすることも可能である。
以下、本発明の板ガラス積層構造体の実施の形態について、その詳細を実施例に即して具体的に説明する。
図1及び図2に本発明の本発明の板ガラス積層構造体10について、その説明図と斜視図とを示す。図1(A)は斜視全体図、図1(B)は部分断面図、図1(C)は図1(B)図の要部拡大断面図である。これら図中の表記で、20は板ガラス積層構造体を構成する各板ガラス、20aは透光面、30は板ガラス間に介在する中間層を表している。
この板ガラス積層構造体10は、図1(A)、図1(B)からも判るように、3枚の0.7mm厚寸法の板ガラス20について、エッジを揃えて積層することで構成されたものであり、それぞれの板ガラス20は、縦300mm、横500mmの透光面の面積を有するものである。この3枚の板ガラス20は、その組成がいずれも酸化物換算の質量百分率表示でSiO2 60質量%、Al23 16質量%、B23 10質量%、MO(M=Ca、Mg、Ba、Sr、Zn) 14質量%、Fe23 0.01質量%よりなるものであり、液晶表示装置に使用された無アルカリ組成を有する板ガラスを回収し再利用するものである。
また、3枚の板ガラス20の中間層30としては、Eガラス組成を有する長さ0.1mmのガラス繊維を0.5質量%だけ混入した厚み0.2mmを有するポリビニルブチラール(PVB)の層である。ガラス繊維については、既存のガラス繊維をボールミル等の適当な粉砕装置を使用することによって、微細寸法のファイバ材を成形したものである。
この板ガラス積層構造体10は、建造物の窓材用途として試作されたものであり、構造体10の厚み寸法は3mm以内であり、板ガラス積層構造体10の端面部には、必要に応じて枠で固定することができるような構成となっている。また板ガラス20の最外表面である透光面20aには、熱線反射膜(図示省略)が施されており、戸外からの太陽光を反射することによって、目視する場合に感じる特有のギラツキ感を抑制することができるものとなっている。
図2は、この板ガラス積層構造体10に、中間層30を介して対向する板ガラス20間の寸法の変動について説明する説明図である。板ガラス積層構造体10の透光面の最大外形寸法が500mmであり、これを100とすると透過面の中央部に50に相当する長さすなわち250mmの直線の中点が該透光面の面心に一致させ、透光面の長辺に平行となるように配置させ、直線領域40の中央部41と両端部42、43における20mmの直線区間について、図1(C)に部分的に拡大表示で示すように板ガラス間の間隔Hの最小値Hminと最大値Hmaxの差であるΔHmaxを計測すると、板ガラス20間の間隔H寸法の変動の最大値ΔHmaxがそれぞれ24μm、63μm、39μmと測定され、24μmから63μmの範囲であり、いずれも200μm以下であることから本発明の板ガラス積層構造体の条件を満足していることが切断観察法によって確認できた。また、上記と同様の計測を板ガラス積層構造体10の略矩形状の透光面の面積に対して40%の面積を占め、かつ該透光面の幾何学的な重心を含む縦200mm、横300mmの矩形状の中央領域の他の複数箇所について行っても、やはりΔHmaxが24μmから63μmの範囲内となり、この領域についても上記間隔Hの変化の存在を確認することができる。このような板ガラス間隔Hの変化を得るために、板ガラスと同一寸法を有する厚み3mmのアルミ板材に、表面仕上げにより最大うねりとして100μmを有する表面を与えて、この表面仕上げをした2枚のアルミ材を当て板として本発明の板ガラス積層構造体を挟み込み、表面うねりを転写した。また、これ以外にも種々の方法があり、例えば、中間層30に添加するフィラー材の分布やフィラー材の量等を適宜調整すること、あるいは中間層30に予め微細な凹凸を有するシート材を使用することによっても板ガラス間隔Hの変化を与えることが可能である。
次いで、本発明の板ガラス積層構造体の製造方法について以下で順番に説明する。
まず、予め所定寸法となるよう、酸化物換算の質量百分率表示で、SiO2 50%〜85%、Al23 2%〜30%、R2O(R=Na+K+Li) 0.1質量%以下の組成を有する無アルカリガラスの板材を準備する。ここでは、液晶表示装置として一度組み立てられた板ガラスのリサイクル品を使用して、洗浄工程を通して、その板ガラスの表面に汚れや付着物等がない状態となるように充分に清浄された状態とする。これら板ガラス表面上の薄膜構造物が板ガラス間隔Hを規則正しく変化させる役割を担わせる為に、板ガラス上に構成された各種透明薄膜回路や光学薄膜層については除去しない。また、この板ガラス積層構造体用途に採用するものとしてガラスを製造するなら、ガラス熔融炉から板ガラスを成形する場合には、所定の原料を調合して熔融し、均質化してガラス板としてオーバーフローダウンドロー法等の成形方法により、精度の高い寸法を有する板ガラスとすることができる。
次いでエタノール12:トルエン8:ブタノール1なる混合有機溶媒100mlに対してポリビニルブチラール(PVB)樹脂粉末20gを溶解し、そこに予めボールミルで粉砕して準備したEガラスの組成を有する0.1mm長のガラス繊維を0.5質量%相当量を秤量して混合し、ホモジナイザーを使用して均質に混合したPVB溶液を準備する。混合時に巻き込まれた気泡の脱気操作を行い、泡の含有しない均質なPVB溶液を得る。
水平に保持した板ガラスの透明薄膜トランジスタ回路を有する面上に所定量のPVB溶液を滴下しコーターにて均一な厚みを有する様に繰り返し塗布した上で、有機溶媒を乾燥させ200ミクロンの平均厚みを有するPVB樹脂膜を形成する。この方法で製膜する事が可能なPVB樹脂膜の厚みは数百μmから数十μmまでの範囲であり、比較的自由に樹脂膜厚みを調整することができる。また、PVB樹脂膜に残留する有機溶媒を極力なくすることで後工程での発泡などの外観不良を改善することが可能である。
その片面にPVB樹脂膜を持つ板ガラスを2枚とPVB樹脂膜のない板ガラス1枚を積層し、板ガラスと同一形状と同一寸法を有する厚み3mmのアルミ板材に、表面仕上げにより最大うねりとして100μmを有する表面を与えて、この表面仕上げをした2枚のアルミ材の表面状態を転写するように当て板として板ガラス3枚を挟み、積層状態の板ガラスとアルミ当て板を減圧袋内へ密閉収納し、板ガラスとPVB樹脂の間の空隙の残る空気を真空脱気して、約100℃に加熱しながら10kgf/cm2の圧力で約20分間ホットプレスを行いPVB樹脂と板ガラスを融着し、本発明の板ガラス積層構造体を得た。
次いで本発明の板ガラス積層構造体の機械的性能の評価について説明する。
板ガラス積層構造体の3点曲げ試験による荷重歪み特性について、本発明の板ガラス積層構造体の性能を評価するため、縦50mm、横180mmの透光面面積を有し、厚み0.7mmの液晶板ガラスうねり規格外品を準備する。この板ガラスについて4層、5層そして6層積層させた状態とするため、厚み寸法0.25mmのエチルポリビニルアセテート(EVA)樹脂シート、厚み寸法0.38mm及び0.76mmのポリビニルブチラール(PVB)樹脂シートについて板ガラスと同一寸法を有するように整えた上で、積層する板ガラスの間に樹脂シートを挟み込み、板ガラスと樹脂シートの積層構成体とする。そしてこの板ガラスと樹脂シートの積層構成体をアルミ当て板の最大50μmのうねり表面処理を施した当接面により挟み込み、減圧用の樹脂製袋内にて減圧固定状態とし、次いで加熱しつつ、10kgf/cm2の加圧条件にて20分間の加熱圧着を行うことで試験片を得る。
こうして得られた試験片について、常温常圧環境下にて島津製作所製強度試験装置を使用し、120mmスパンの3点曲げ試験にて、クロスヘッド速度0.5mm/minの条件で試験片の耐荷重性の評価を実施した。
結果の代表例として、6枚の板ガラスを厚み0.25mmのEVA樹脂膜を用いて構成した本発明の板ガラス積層構造体(厚み5.16mm)の3点曲げ試験における荷重歪み挙動を図3に示し、その挙動を説明する。この図3では、横軸はクロスヘッドによる試験片押し込み量即ち試験片の変位(mm)を示し、縦軸はクロスヘッドを介して印加した荷重値(kgf)を表している。評価した試験片は、荷重が62kgfで3.5mmの変位を示すが、この荷重値で試験装置のクロスヘッドが当接する板ガラス構造体表面の裏面に位置する板ガラス構造体の板ガラスが割れて、荷重値がある程度減少する。しかしながら、本発明の板ガラス積層構造体は多層の板ガラスが積層されており、荷重が直ちにゼロへ戻らず、残りの5枚の板ガラスが板ガラス構造体としての強度を維持することが示される。その結果、荷重値の減少は49kgfに留まる。更に、クロスヘッドを挿下すると、その変位が4.9mmまで増加すると共に再度荷重が61kgfまで回復し2枚目の板ガラスの破断が生じる。更に続けてクロスヘッドを挿下する事により荷重増加とそれに続く板ガラスの破断が繰り返し生じる。最終的に、変位7.7mmにおいて最後の板ガラスが割れて、試験片が構造材料としての強度を失うまでは、試験片を構成する板ガラスの一部がひび割れているにもかかわらず板ガラス積層構造体としては構造材料としての強度を維持している。従前の合わせガラスは荷重歪み挙動において高い剛性を示し極めて僅かな変形を呈するものの板ガラス破断後直ちに強度を失い、折損するという破滅的な限界挙動を示す。一方、本発明の板ガラス積層構造体は3点曲げ試験において最初の板ガラスの破断までは線形弾性挙動を示し、それ以降は複合材料として材料強度を維持するという特徴的な性能を有している。この結果より、本発明の板ガラス積層構造体は外力エネルギーを吸収する能力に優れた荷重変位特性を有し、従来の板ガラスや合わせガラスでは得る事ができない高い靭性すなわち高い衝撃吸収能力を有していることが分かる。また、最初の板ガラスの割れが生じるまでの直線関係より本板ガラス積層構造体のヤング率は、10.9GPaという高い値を有している。また、本試験に用いた板ガラス積層構造体の板ガラスの間隔Hは、試料の面心をその中点に含み長辺方向に平行な長さ90mm直線領域についてキセノン光透過強度測定方法により評価したところ、長さ20mmあたりの間隔寸Hの寸法の最大変動ΔHmaxは17μmから36μmであることが確認できた。ただし、キセノン光の強度値を板ガラス間隔Hに換算するために、予め透過光強度と板ガラス間隔Hの変化との対応を示す検量線を作成した上で、試料における板ガラス間隔Hを評価した。
次に、本発明の板ガラス積層構造体の4点曲げ試験による機械的性能評価について説明する。4枚の板ガラスを厚み0.76mmのPVB樹脂膜を用いて構成した本発明の板ガラス積層構造体(厚み5.08mm)の4点曲げ試験における荷重歪み挙動を図4に示し、その挙動についても説明する。この図4において、横軸はクロスヘッドによる試験片押し込み量即ち試験片の変位(mm)を示し、縦軸はクロスヘッドを介して試験片に印加した荷重(kgf)を表している。この図4の挙動で特徴的なことは、クロスヘッドが2mm挿下されるまでの必要荷重は高々2kgfと小さな値であるが、その変位以上のクロスヘッド押し込みに対しては荷重が急増するという非線形弾性挙動である。つまり、初期変位に対しては0.7GPaという比較的低いヤング率を示すが、一定値以上の変位に対しては8.9GPaという10倍以上のヤング率を示すという2種類の弾性変形特性を有するという特異な非線形弾性を有している。即ち、本発明の板ガラス積層体に対して力が加わった場合にはある変形範囲までは柔軟に変形してエネルギーを吸収するが、変位が大きくなる場合には第2弾性特性により大きな力を受け止めることができる。この特徴を利用することで、例えば、本発明の板ガラス積層体と人体との衝突においては、初期に本発明の板ガラス積層体が柔軟に変形することで人体を低衝撃で受け止めた後に、第2の性質の発現により高弾性体としてより多くのエネルギーを吸収し人体を保護するという新しい板ガラス材料としての応用が期待できる。この変形初期の柔軟な弾性挙動は局所的な撓みや凹凸による板ガラス間隔Hの変化を有するという特徴に由来するものと考える。上述の3点曲げ挙動で示される高靭性と4点曲げ挙動に見られる非線形弾性特性は、積層数や中間層厚みにより変化は認められるものの、本発明の板ガラス積層体に共通して存在する性能であることが見出された。本試験に用いた板ガラス積層構造体の板ガラスの間隔Hは、試料の面心をその中点に含み長辺方向に平行な長さ90mm直線領域についてレーザー多層膜測定センサーにより評価したところ、長さ20mmあたりの間隔Hの寸法の最大変化量ΔHmaxは23μm〜45μmの範囲であった。
さらに3点曲げ試験を行うことによって得られる、積層数と中間層厚み・種類を変化させた場合のヤング率の変化について、図5にまとめて示す。ここで、横軸は板ガラスの積層数を示し、縦軸は3点曲げ試験で得られたヤング率である。中間層の種類毎に板ガラス積層数を増加させた場合、ガラス/中間層樹脂の体積比率が減少するために板ガラス積層体としてのヤング率は低下することが分かる。一方、同じ板ガラス積層数については、中間膜厚みが薄くなるにつれてガラス/中間層樹脂の体積比率が増加するので板ガラス積層体としてのヤング率が増大する。以上の結果より、本発明の板ガラス積層体を構成するガラス/中間層樹脂の体積比率を調節することで任意のヤング率を得ることができることが示された。本試験に用いた板ガラス積層構造体の板ガラスの間隔Hは、試料の面心をその中点に含み長辺方向に平行な長さ90mm直線領域についてレーザー多層膜測定センサーにより評価したところ、長さ20mmあたりの間隔Hの寸法の最大変化量ΔHmaxは18μm〜31μmの範囲にあることが確認できた。
この結果から、本発明の板ガラス積層構造体は、積層材料の構成を適切に設計することにより、構造材料としての使用に耐え得る高剛性を付与することも、或いは、極めて柔軟な弾性的性質を付与することもできることが判明した。
また、この試験で、応力が印加された時に本発明の板ガラス積層構造体は、中間層が板ガラスのズリ変形を抑制するように働くため、積層によって加えられる応力を緩和することができることが見いだされた。このため、積層された3層以上のガラス板は、応力の印加によって一度に破砕することなく、徐々に破壊されていくことになる。こうした板ガラス積層間の撓みのある構造に加え、このような性能ゆえに本発明の板ガラス積層構造体は、耐衝撃性に優れた構造となっている。
また、本明の板ガラス積層構造体については、前記したことからも明らかなように板ガラス構造体の製造条件を適宜変更すると、さらに高いヤング率を有するものとすることもできる。なるべく高いヤング率となるような条件を選択すれば、その値は31GPaと一層高い値となることも判明している。
また、本発明の板ガラス積層構造体について、0.7mm厚の板ガラスについて、ヤング率E(kgf/mm2)、板厚みθ(mm)、熱膨張率α(1/K)とし耐熱衝撃指数R=(Eαθ2)―1を算出すると、その値は20K/kgf以上となり、高い耐熱性を実現できることが確認できた。
さらに本発明の板ガラス積層構造体について、その化学的な耐久性を評価するため、予め作成した実施例1と同様の構成を有する本発明の板ガラス積層構造体を80mm角の正方形状を有するように切断した、10検体について沸騰水中にて12時間の耐水性に関する煮沸試験を行い、その試験終了後の板ガラス積層構造体表面の状態を20倍の実体顕微鏡と目視による観察で異常が認められないか評価した。その結果、本発明のガラス構造体については、構造体の表面に構造体の変質等に起因する透過率の低下は認められず、実用上問題のない耐水性を有していることが判明した。
以上のように、本発明の板ガラス構造体は、高い耐衝撃性を有するばかりでなく、耐熱性や耐水性についても優れた性能を有しており、各種建造物の窓材として好適なものであることが判明した。
次いで本発明の他の板ガラス積層構造体について以下に示す。
図6には、本発明の他の板ガラス積層構造体11の部分断面図を示している。この板ガラス積層構造体11は、強化処理を施した硼珪酸ガラスの板ガラス21であって、その寸法は300mm×400mmの透光面を有し、板厚寸法が0.6mmであり、20mm長の区間において表面起伏は20μmを超える状態である。そして、各板ガラス間の中間層31としては、透光性アルミナフィラーを分散混合したポリビニルブチラール樹脂シートにより構成される厚み寸法0.38mmの中間層31の介在により積層されている。
そして、この板ガラス積層構造体11のさらなる構造上の特徴としては、板ガラス積層構造体11の一方側については、透明結晶化ガラス製の薄板ガラス(第2の板ガラス)50がポリビニルブチラールの接合膜60により接合されていることである。薄板ガラスである結晶化ガラス50の板厚寸法は、0.48mmであって、板ガラス21の80%の板厚寸法になっている。また、接合膜60については、0.76mmの厚み寸法を有している。
この構造体11についても、中間層31を介して対向する板ガラス21間の寸法の変動については、板ガラス積層構造体11の板ガラスの透光面の面心を中点を持ち、長辺に平行な長さ200mmの直線領域の中央部の20mmと両端部の20mmにおいて、レーザー多層膜測定センサーを用いた測定によって板ガラス間の間隔Hの最大変化量ΔHmaxが110μm、76μm,140μmとなり、76μmから140μmの範囲であり、1μm<H<200μmの範囲内にあることが判明し、高い剛性を有する構造となっている。
図7には、本発明の他の多重板ガラス積層構造体12の部分断面図を示している。この多重板ガラス積層構造体12は、実施例2に示したと同様の板ガラス21とその中間層31とにより構成される2つの板ガラス積層構造体11を間隙充填層70によって接合した繰り返し構造を有する構成である。間隙充填層については、接着層付きポリカーボネート樹脂膜を挟み込むにより形成したもので、その厚み寸法は0.64mmである。
この構造体12についても、中間層31を介して対向する板ガラス21間の寸法の変動については、板ガラス積層構造体11の板ガラスの透光面の面心を中点を持ち、長辺に平
行な長さ200mmの直線領域の中央部と両端部において、板ガラス間の間隔Hの20mmにおける最大変化量ΔHmaxが110μm、76μm,140μmとなり、76μmから140μmの範囲であり、1μm<H<200μmの範囲内にあるので、高い剛性を有する構造となっている。
さらに、本発明の板ガラス積層構造体を構成する板ガラス厚みについてさらに薄い厚みを有する板ガラスについて構造強度を評価した例を説明する。
板厚み0.1mmを有する板ガラスを厚み0.25mmのEVA樹脂膜を用いて板ガラス4層を積層した板ガラス積層構造体と板ガラス6層を積層した板ガラス積層構造体を準備した。これらの積層構造を有する板ガラス積層構造体をそれぞれ2体づつ3点曲げ試験に供して、それらの荷重歪み挙動より各構成の板ガラス積層構造体のヤング率を求めた。その結果、板ガラス4層を積層した板ガラス積層構造体のヤング率は17GPaとなり、板ガラス6層を積層した板ガラス積層構造体のヤング率は7GPaとなることが確認できた。これらのヤング率は板ガラス材料としては極めて小さな値であり、優れて柔軟な材料となっていることが判明した。なお、本積層構造体の板ガラスの間隔Hの最大変化量ΔHmaxはレーザー顕微鏡による透明体境界面位置測定法によって62〜108μmであることが確認でき、本発明の板ガラス積層構造体であることが分かる。
以上のように本発明の板ガラス積層構造体とそれをさらに多重化した多重板ガラス積層構造体は、高い剛性を有し、優れた耐衝撃性能を有する構造体であって、建造物や電子部品等の各種の広範囲の用途に適用することが可能となる品位を有する構造材料である。
本発明の板ガラス積層構造体の説明図であり、(A)は斜視全体図、(B)は部分断面図、(C)は要部拡大断面図である。 本発明の板ガラス間隔Hの200μmまでの変動が認められる領域についての説明図。 本発明の板ガラス積層構造体について、板ガラスを6層積層したものについての3点曲げ試験結果を示すグラフ図。 本発明の板ガラス積層構造体について、板ガラスを4層積層したものについての4点曲げ試験結果を示すグラフ図。 本発明の板ガラス積層構造体について、3点曲げ試験により計測したヤング率を示すグラフ図。 本発明の他の板ガラス積層構造体の部分断面図。 本発明の多重板ガラス積層構造体の部分断面図。
符号の説明
10、11 板ガラス積層構造体
12 多重板ガラス積層構造体
20、21 板ガラス
20a 透光面
30、31 中間層
40 透光面上の該最大外形寸法方向に平行な直線領域
41 直線領域40の中央部
42、43 直線領域40の両端部
50 薄板ガラス(第2の板ガラス)
60 接合膜
70 間隙充填膜
H 板ガラス間の間隔
ΔHmax 最大変化量
P 面心

Claims (5)

  1. 1mm未満の板厚を有する少なくとも3枚以上の板ガラスが、それらの相互間に中間層を介して積層された板ガラス積層構造体であって、
    前記中間層を介して対向する前記板ガラス間の間隔Hに変化があり、
    前記板ガラスの透光面の最大外形寸法の50%の長さを有すると共に、該最大外形寸法の方向に平行で、かつ、前記透光面の面心を中点とする仮想直線上に、該仮想直線の中点を含む長さ20mmの中央部と、該仮想直線の両端からそれぞれ長さ20mmの両端部を設定したとき、該中央部及び両端部について、
    前記板ガラス間の間隔Hの最大変化量ΔHmaxが、μm<ΔHmax<200μmであることを特徴とする板ガラス積層構造体。
  2. 前記積層された3枚以上の板ガラスの平均厚み寸法に対して95%以下の厚み寸法を有する第2の板ガラスが、少なくとも一方の最外層の前記板ガラスに接合膜を介して配されており、かつ該接合膜の厚み寸法が、前記中間層の厚み寸法の平均値以上であることを特徴とする請求項1に記載の板ガラス積層構造体。
  3. 前記中間層が、熱可塑性樹脂を用いたシート材により構成されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の板ガラス積層構造体。
  4. 前記中間層に、ガラス、結晶化ガラス、金属及び炭素の群の内、1以上により構成されてなるペレット、繊維状物、網状物、組布あるいは織布を含有してなるものであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の板ガラス積層構造体。
  5. 請求項1から請求項4の何れかに記載の板ガラス積層構造体の相互間に、0.3mm以上の厚み寸法を有する間隙充填膜を介在して多重構造としたことを特徴とする多重板ガラス積層構造体。
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