JP4887045B2 - プラスチックボトル - Google Patents

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本発明は、プラスチックボトルに関し、詳しくは、容器の胴部に複数の減圧吸収パネルを備えたプラスチックボトルに関する。
ポリエステル製のプラスチックボトル内に高温の内容物を充填して密栓した後、冷却すると内容物の密度変化によってボトル内が減圧状態になるため、従来から、容器の胴部に減圧吸収パネルを設けてボトルの変形を防止することが行われてきている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−75408号公報
しかし、従来のボトルは、高温の内容物を充填して密栓した直後にはボトル内が陽圧状態と熱とにより、減圧吸収パネルがボトル胴部表面より突出変形する。その後、内容物の温度低下による密度変化によりボトル内が減圧状態となるため、突出した減圧吸収パネルはボトル胴部表面より凹んで凹状態になる。このため、減圧吸収パネルが突出した状態から凹状態への可動量が大きい程、減圧吸収能力が高く、ボトル内への高温内容物充填時の陽圧と冷却後の減圧とを緩和することができる。
しかしながら、この可動量が大き過ぎると、減圧時に全ての減圧吸収パネルが凹状態にならない。すなわち、陽圧時にボトル胴部表面より突出した減圧吸収パネルはそのままの状態で保持されてしまい、製品の外観不良となってしまう。
そこで、従来は、この減圧吸収パネルの突出を発生させないように、減圧吸収パネルを略平面乃至は凹面、あるいは減圧吸収パネル中央に凹面を設けていたが、この方法では減圧吸収パネルの可動量が減少する。すなわち、減圧吸収量が低下するため、従来の減圧吸収パネルだけでは十分な減圧吸収量を確保できず、ボトルの変形によりボトル強度が低下することがあった。
そこで本発明は、陽圧時には過剰な突出を抑制し、減圧時には元の状態に復元してから更にボトル内側に凹んで減圧を吸収する構造の減圧吸収パネルを備えたプラスチックボトルを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明のプラスチックボトルは、ボトルの胴部に複数の減圧吸収パネルを備えたプラスチックボトルにおいて、前記減圧吸収パネルを、筒状の胴部表面から傾斜してボトル内側に陥没する周縁部と、該周縁部に囲まれたパネル部とで形成し、該パネル部は、径方向外側に向かって平面視円弧状に膨出する凸状曲面と、該凸状曲面の上部及び下部に位置して縦方向に対しては前記周縁部からボトル内側に傾斜して前記凸状曲面に接続するとともに、径方向外側に向かって平面視円弧状に膨出する凸状復元面と、前記凸状面と前記凸状復元面との境界において周方向に形成されてパネル部の突出を抑制するための変曲点として作用する境界線と、からなることを特徴とし、特に、前記凸状曲面及び凸状復元面の肉厚を0.20〜0.45mmに設定し、さらには、凸状曲面及び凸状復元面における周方向の曲率を、ボトル胴部表面の周方向の曲率より小さくしたことを特徴としている。
本発明のプラスチックボトルによれば、高温の内容物、例えば、加熱殺菌された70℃前後のタレ等の調味料をボトルに充填して密栓したとき、ボトル内が陽圧となる。このとき、パネル部全体がボトル外側に膨出してボトル内の陽圧が吸収されるが、前記凸状曲面と凸状復元面との境界線が変曲点となって過剰なパネル部の突出が抑制される。
その後、内容物の温度が低下すると、弾性復元機能を備えた凸状復元面の復元作用によって、該凸状復元面がボトル内側に凹むとともにパネル部全体が周縁部を支点としてボトル内側に引き込まれて元の状態に復元する。
さらに、内容物の温度が低下して常温となったとき、ボトル内は負圧となるが、周方向に対して円弧状に膨出した形状を有するパネル部全体が周縁部を支点としてボトル内側に引き込まれて平坦乃至は凹曲面に変形し、ボトル内の減圧が吸収される。このため、従来のボトルで発生していたような減圧吸収パネルの突出変形やボトル全体の偏平化が防止され、良好な外観形状が維持される。
図1は本発明の一形態例を示すプラスチックボトルの正面図、図2は減圧吸収パネル部分を断面で示す側面図、図3は図1のIII−III線断面図、図4は図1のIV−IV線断面図である。
このプラスチックボトル11は、ポリエチレンテレフタレートを周知の方法で2軸延伸ブロー成形した、いわゆるPETボトルであって、円筒状の胴部12の上半部には周方向の凹溝13が上下ほぼ等間隔に設けられている。また、胴部12の下半部には、上下方向に長い略長方形状の6個の減圧吸収パネル14が周方向に等間隔で設けられている。減圧吸収パネル14は、胴部表面15から傾斜してボトル内側に陥没する周縁部16と、この周縁部16に囲まれた略長円形状のパネル部17とで形成されている。また、胴部12の底部近傍には、周方向の凹溝18が設けられている。
図2、図3及び図4に示すように、パネル部17は凸状曲面17aと凸状復元面17bとで形成されている。凸状曲面17aは、ボトルの周方向に対してボトル外側に向かって円弧状に膨出する曲面となっており、その両側縁が前記周縁部16と接続している。この凸状曲面17aの上部及び下部に前記凸状復元面17bが設けられている。凸状復元面17bは、ボトルの縦方向(軸芯方向)に対しては、前記周縁部16からボトル内側に傾斜して前記凸状曲面17aに接続するとともに、周方向に対してはボトル外側に円弧状に膨出する曲面となっており、前記凸状曲面17aと凸状復元面17bとの境界線17cが変曲点となって過剰なパネル部の突出を抑制できるようになっている。
前記パネル部17の肉厚は、0.20〜0.45mmの範囲、好ましくは0.25〜0.35mmの範囲に設定されている。本発明のプラスチックボトルは、パネル部17が前記肉厚に設定されるとともに、凸状曲面17aの上部及び下部に弾性復元機能を備えた凸状復元面17bが設けられていることを特徴とするものであって、パネル部17の肉厚が0.20mm未満では耐圧強度等が不十分となり、逆に0.45mmを超えると、パネルを可動させるためには高い減圧が必要となり、ボトル内減圧は緩和されない。
なお、凸状曲面17a及び凸状復元面17bの周方向の曲率は、胴部表面15の曲率以下であれば任意に設定でき、周縁部16によるボトル内側へのパネル部17の凹み(深さ)は1mm乃至数mmに設定すればよい。
このようなパネル部17を有する減圧吸収パネル14は、内容物を高温充填して密栓したとき、ボトル内が陽圧で高温状態となっているため、凸状曲面17aと凸状復元面17bとからなるパネル部全体が弾性変形しながらボトル外側に膨らむことにより、ボトル内の陽圧が吸収される。このとき、前記凸状曲面17aと凸状復元面17bとの境界線17cが変曲点となって過剰なパネル部17の突出を抑制する。
また、高温充填した内容物の冷却による密度変化に対しては、凸状曲面17aの上部及び下部に位置する凸状復元面17bの復元作用によって、該凸状復元面17bがボトル内側に凹むとともに凸状曲面17aがボトル内側に凹むことにより、パネル部17が元の状態に復元する。さらに、内容物の温度が低下して常温となったとき、ボトル内は負圧となるが、周方向に対して円弧状に膨出した形状を有するパネル部17の全体が周縁部16を支点としてボトル内側に引き込まれて平坦乃至は凹曲面に変形し、ボトル内の減圧が吸収される。
これにより、高温で内容物を充填して密栓したときのボトル内の陽圧及び熱による減圧吸収パネル14の突出変形や冷却後にボトル内が負圧となることによるプラスチックボトル11の変形も確実に防止することができる。
なお、減圧吸収パネル14の設置数や大きさは任意であり、プラスチックボトル11の容量や、高温充填した内容物の冷却による密度変化の状況等に応じて適宜選択することができる。通常は、減圧吸収パネル14の総表面積がボトルの表面積全体の1/3程度となるように設定し、上下それぞれの凸状復元面17bの縦方向の長さAが凸状曲面17aの縦方向の長さBの1/3程度となるように設定することが好ましい。
容量が1リットルの2軸延伸ポリエステル製ボトルにおいて、本発明の減圧吸収パネル14を備えた実施例ボトルと、パネル部17を平面とした比較例ボトルとを使用して比較した。なお、両ボトルの重量はそれぞれ35gであり、パネル部17以外の形状は全て同一とした。前記実施例ボトルとしては、筒状の胴部表面から傾斜してボトル内側に陥没する周縁部16と、該周縁部16に囲まれたパネル部17とで形成し、該パネル部17は周方向に対してはボトル外側に円弧状に膨出する凸状曲面17aと、該凸状曲面17aの上部及び下部に位置して縦方向に対しては前記周縁部16からボトル内側に傾斜して前記凸状曲面17aに接続するとともに、周方向に対してはボトル外側に円弧状に膨出する凸状復元面17bからなり、パネル部17の肉厚が0.25mm〜0.3mmの分布を持ったものを使用した。
まず、高温充填した内容物が冷却されて体積が縮小したときのボトル内圧の変化を測定した。測定は、1070mlの内容物が1020mになり、体積が50ml減少した場合について行った。その結果、実施例ボトルの内圧が−14.5kpaに減圧したのに対し、比較例ボトルの内圧は−22.5kpaに減圧した。この結果から、減圧時の減圧吸収パネルが、比較例ボトルでは平面から凹面に変形するのに対し、実施例ボトルでは周方向に対して円弧状に膨出した形状を有するパネル部全体が周縁部を支点としてボトル内側に引き込まれて凹むことにより、減圧吸収能力が向上したといえる。
また、72℃の温水を充填して密栓した後、常温に冷却してから両ボトルの垂直荷重強度を測定した。その結果、実施例ボトルは260Nの強度を有していたのに対し、比較例ボトルは200Nであった。さらに、冷却後の減圧吸収パネルの状態を目視で観察したが、両ボトル共に、突出変形は認められなかった。
本発明の一形態例を示すプラスチックボトルの正面図である。 減圧吸収パネル部分を断面で示す側面図である。 図1のIII−III線断面図である。 図1のIV−IV線断面図である。
符号の説明
11…プラスチックボトル、12…胴部、13…凹溝、14…減圧吸収パネル、15…胴部表面、16…周縁部、17…パネル部、17a…凸状曲面、17b…凸状復元面、17c…境界線、18…凹溝

Claims (3)

  1. ボトルの胴部に複数の減圧吸収パネルを備えたプラスチックボトルにおいて、
    前記減圧吸収パネルを、筒状の胴部表面から傾斜してボトル内側に陥没する周縁部と、該周縁部に囲まれたパネル部とで形成し、
    該パネル部は、
    径方向外側に向かって平面視円弧状に膨出する凸状曲面と、
    該凸状曲面の上部及び下部に位置して縦方向に対しては前記周縁部からボトル内側に傾斜して前記凸状曲面に接続するとともに、径方向外側に向かって平面視円弧状に膨出する凸状復元面と、
    前記凸状面と前記凸状復元面との境界において周方向に形成されてパネル部の突出を抑制するための変曲点として作用する境界線と、
    からなることを特徴とするプラスチックボトル。
  2. 前記凸状曲面及び凸状復元面の肉厚を、0.20〜0.45mmに設定したことを特徴とする請求項1記載のプラスチックボトル。
  3. 前記凸状曲面及び凸状復元面の周方向の曲率を、ボトル胴部表面の周方向の曲率より小さくしたことを特徴とする請求項1又は2記載のプラスチックボトル
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