JP4885275B2 - タービン用翼 - Google Patents

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本発明は、ガスタービンに関し、より詳しくは、ガスタービンのタービン用翼(動翼・静翼)に関するものである。
ガスタービンのタービン部におけるタービン用翼(静翼)としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
特開2001−254605号公報 また、ガスタービン用翼において、翼の腹側のフィルム冷却専用の流体通路をもつことも特許文献2に開示されている。 特公昭62−24606 さらに、ガスタービンの翼面における熱負荷に応じた詳細な冷却構造とすることも特許文献3に開示されたものも知られている。 特開2002−242607
しかしながら、上記特許文献1に開示されたタービン用翼では、ガスタービン用翼の運転時の環境が、翼本体の背側(凸部側)表面の雰囲気圧力は翼腹側(凹部側)表面の圧力に比べ低いためインサート内に導入された冷却空気は、背側フィルム冷却孔を通して圧力の低い背側に多く流れる。このため翼腹側冷却のための冷却空気の最低必要流量を確保するには投入する冷却空気流量を増やす必要がある。すると翼本体の背側に必要以上の冷却空気が流れ無駄な冷却空気が燃焼ガスと混ざりタービンを回転させるガスの温度を下げるため、タービン効率を低下させるという問題があった。
また、翼本体の背側内部のインピンジメント板の孔径またはフィルム冷却孔の孔径を小さくすれば無駄な空気が少なくなるとも考えられるが、加工が難しくなる問題があり、ごみによる孔詰まりの問題もあった。さらに、背側のインピンジメント板の孔径は腹側と同じで孔数を少なくすることも考えられるが、インピンジメント板の孔の分布がまばらになり、均一冷却が難しくなるという問題があった。
また、特許文献2に開示されているような構造では、タービン翼の肉薄化には対応が不可能であり、かえって冷却効果を下げていた。
さらに、特許文献3に開示されているような構造では、翼の構造が複雑になりタービン価格の上昇の原因となっていた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、翼本体の背側(凸部側)に流れる無駄な冷却空気をなくし、使用する冷却空気(冷却媒体)量を低減させることができ、さらに翼の肉薄化にも効果的に対応でき、経済的にも効果を有する特に1500℃以上の高温燃焼タービンにも適用可能なタービン用翼を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係るタービン用翼は、複数個のフィルム冷却孔が設けられ、かつ、前縁と後縁とを結ぶ中心線に沿って翼腹側と背側に仕切る板状のリブが前縁と後縁との間に設けられ、背側と腹側のキャビティが連通しない少なくとも2つ以上のキャビティが設けられた翼本体と、前記キャビティ内に、自身の外周面と前記翼本体の内周面との間に冷却空間を形成するように配置され、かつ、圧力調整部材としての機能を有する複数個のインピンジメント冷却孔が設けられた第1のインピンジメント板および/またはシュラウド内部の第2のインピンジメント板とにより、翼背側のキャビティに流出入する冷却空気圧力を翼腹側の冷却空気圧力より低くする手法を採用し、翼本体の背側(凸部側)に流れる無駄な冷却空気を少なくし、全体として使用する冷却空気(冷却媒体)量を低減させ、低減させた空気量を更なる出力増加を目的とする。
本発明に係るタービン用翼によれば、圧力調整部材としての機能を有する第1および第2のインピンジメント板により、キャビティ内の空間を翼本体の腹側(凹部側)から背側(凸部側)に流れようとする冷却空気の流路抵抗が増え、背側に流れる冷却空気(冷却媒体)が少なくなり、使用する冷却空気量が低減することとなる。
また、本発明に係るタービン用翼によれば、圧力の低く、かつ、流速の遅い冷却空気が、例えば、中央部に位置するキャビティの背側に形成されたフィルム冷却孔から吹き出され、翼本体の背側の外壁面に沿って、持続性の高い冷却空気による膜が均一に形成されることとなる。
これにより、燃焼ガス(高温ガス)から翼本体の表面(より詳しくは、翼本体の背側の外壁面)への熱伝達がより低減され、フィルム冷却効率が向上することとなる。
上記タービン用翼において、前記キャビティ内の空間を、前記中心線に沿って腹側と背側とに仕切る板状の第2のリブが設けられており、また連通させていないので、運転中の腹側のキャビティ内圧力変動が背側のキャビティ内圧力に影響を与えないので効果は大きい。さらに第2のリブは、翼の外部の燃焼ガス側と内部のキャビティ側にかかる圧力差を小さくすることができ、翼の軽量化および冷却効果向上を目的とした薄肉化による強度低下を補うことができるという効果を持っている。
このようなタービン用翼によれば、キャビティ内の空間を翼本体の腹側キャビティから背側のキャビティに流れようとする冷却空気はなく、翼背側に流れる冷却空気が最適量となり、結果としてタービンの運転に使用する冷却空気量が低減することとなる。
上記タービン用翼において、複数個のインピンジメント冷却孔を有するとともに、前記第2のリブの背側に位置する空間の上流側に配置された第2のインピンジメント板とを備え、前記第2のインピンジメント板に形成されたインピンジメント冷却孔を通過した冷却媒体が、前記第2のリブの背側に位置する空間内に導入されるように構成されているとさらに好適である。
このようなタービン用翼によれば、第2のインピンジメント板に向かって供給された(吹き出された)冷却空気は、第2のインピンジメント板をインピンジメント冷却した後、第2のインピンジメント板に形成されたインピンジメント冷却孔を通過して、例えば、図2および図3に示すような、第2のインピンジメント板の内壁面と内側シュラウドの表面との間、および第2のインピンジメント板の内壁面と外側シュラウドの表面との間に形成された冷却空間内を通り、中央部に位置するキャビティの背側で、かつ、第1のリブの壁面、第2のリブの壁面、および第1のインピンジメント板の内壁面により形成された空間内に流入するようになっている。そして、キャビティの背側で、かつ、第1のリブの壁面、第2のリブの壁面、および第1のインピンジメント板の内壁面により形成された空間内に流入した冷却空気は、キャビティの背側に設けられて、翼本体の背側の内壁面に向かって開口するインピンジメント冷却孔から第1のインピンジメント板の外壁面、第1のリブの壁面、および翼本体の背側の内壁面により形成された冷却空間内に吹き出して翼本体の背側の内壁面をインピンジメント冷却した後、フィルム冷却孔から吹き出されるようになっている。
すなわち、第2のインピンジメント板をインピンジメント冷却した冷却空気は、翼本体の背側の内壁面をインピンジメント冷却するとともに、翼腹側の冷却に影響を及ぼすことなく翼本体の背側の外壁面(外周面)をフィルム冷却するのに利用されることとなる。
これにより、例えば、中央部に位置するキャビティの背側で、かつ、第1のリブの壁面、第2のリブの壁面、および第1のインピンジメント板の内壁面により形成された空間内に流入する冷却空気量を低減させることができ、全体の冷却空気量(冷却空気の消費量)を低減させることができるとともに、翼の冷却に寄与しない温度の低い冷却空気がフィルム冷却孔から吹き出されるのを防止することができる。
また、本発明の別の態様に係るタービン用翼は、複数個のフィルム冷却孔が設けられ、かつ、立設方向軸線に対して略直交する断面における前縁と後縁とを結ぶ中心線に対して略直交して設けられた少なくとも1つの板状の第1のリブによって、内部に少なくとも2つのキャビティが形成された翼本体と、前記キャビティ内に、自身の外周面と前記翼本体の内周面との間に冷却空間を形成するように配置され、かつ、複数個のインピンジメント冷却孔が設けられた第1のインピンジメント板とを備えている。
本発明に係るタービン用翼によれば、第1のインピンジメント板により、キャビティ内の空間を翼本体の腹側(凹部側)から背側(凸部側)に流れようとする冷却空気の流路抵抗が増え、背側に流れる冷却空気(冷却媒体)が少なくなり、使用する冷却空気量が低減することとなる。
また、本発明に係るタービン用翼によれば、圧力の低く、かつ、流速の遅い冷却空気が、例えば、中央部に位置するキャビティの背側に形成されたフィルム冷却孔から吹き出され、翼本体の背側の外壁面に沿って、持続性の高い冷却空気による膜が均一に形成されることとなる。
これにより、燃焼ガス(高温ガス)から翼本体の表面(より詳しくは、翼本体の背側の外壁面)への熱伝達がより低減され、フィルム効率が向上することとなる。
上記タービン用翼において、前記キャビティ内の空間を、前記中心線に沿って腹側と背側とに仕切る板状の第2のリブが設けられているとさらに好適である。
このようなタービン用翼によれば、キャビティ内の空間を翼本体の腹側から背側に流れようとする冷却空気の流路抵抗がさらに増え、背側に流れる冷却空気がさらに少なくなり、使用する冷却空気量がさらに低減することとなる。
上記タービン用翼において、複数個のインピンジメント冷却孔を有するとともに、前記第2のリブの背側に位置する空間の上流側に配置された第2のインピンジメント板とを備え、前記第2のインピンジメント板に形成されたインピンジメント冷却孔を通過した冷却媒体が、前記第2のリブの背側に位置する空間内に導入されるように構成されているとさらに好適である。
このようなタービン用翼によれば、第2のインピンジメント板に向かって供給された(吹き出された)冷却空気は、第2のインピンジメント板をインピンジメント冷却した後、第2のインピンジメント板に形成されたインピンジメント冷却孔を通過して、例えば、図2および図3に示すような、第2のインピンジメント板の内壁面と内側シュラウドの表面との間、および第2のインピンジメント板の内壁面と外側シュラウドの表面との間に形成された冷却空間内を通り、中央部に位置するキャビティの背側で、かつ、第1のリブの壁面、第2のリブの壁面、および第1のインピンジメント板の内壁面により形成された空間内に流入するようになっている。そして、キャビティの背側で、かつ、第1のリブの壁面、第2のリブの壁面、および第1のインピンジメント板の内壁面により形成された空間内に流入した冷却空気は、キャビティの背側に設けられて、翼本体の背側の内壁面に向かって開口するインピンジメント冷却孔から第1のインピンジメント板の外壁面、第1のリブの壁面、および翼本体の背側の内壁面により形成された冷却空間内に吹き出して翼本体の背側の内壁面をインピンジメント冷却した後、フィルム冷却孔から吹き出されるようになっている。
すなわち、第2のインピンジメント板をインピンジメント冷却した冷却空気は、翼本体の背側の内壁面をインピンジメント冷却するとともに、翼本体の背側の外壁面(外周面)をフィルム冷却するのに利用されることとなる。
これにより、例えば、中央部に位置するキャビティの背側で、かつ、第1のリブの壁面、第2のリブの壁面、および第1のインピンジメント板の内壁面により形成された空間内に流入する冷却空気量を低減させることができ、全体の冷却空気量(冷却空気の消費量)を低減させることができるとともに、温度の低い冷却空気がフィルム冷却孔から吹き出されるのを防止することができる。
本発明に係るタービン用翼は、前縁と後縁とを結ぶ中心線に沿って腹側と背側とに仕切る板状のリブが、前縁と後縁の間に設けられ、背側と腹側のキャビティが連通しない少なくとも2以上のキャビティが設けられたタービン用翼であって、背側のキャビティに供給される冷却空気の通路は、冷却空気の流れ方向の上流側に形成され、内側シュラウド及び外側シュラウドの表面に設けられた第2のインピンジメント板と、冷却空気の流れ方向に対して背側キャビティの下流側に形成され、背側の翼本体の内壁面に近接する第1のインピンジメント板とからなる圧力調整部材を備える。
腹側のキャビティに供給される冷却空気の通路は、圧力調整部材として背側の翼本体の内壁面に近接する第1のインピンジメント板を備えるが、内側シュラウド及び外側シュラウドに設けた第2のインピンンジメント板を介さずに、内側シュラウド及び外側シュラウドから直接腹側のキャビティに冷却空気が供給される構成を備えることが望ましい。
このようなタービン翼によれば、腹側のキャビティに供給される冷却空気の通路の圧力調整部材は、第1のインピンジメント板のみから構成されているのに対し、背側のキャビティに供給される冷却空気の通路の圧力調整部材は、第1のインピンジメント板及び、第2のインピンジメント板で構成されているため、腹側のキャビティに供給される冷却空気の通路は、背側のキャビティに供給される冷却空気の通路に比べ、圧力調整部材の数が少ない。
背側のキャビティに供給される冷却空気の通路は、第1のインピンジメント板及び第2のインピンジメント板により減圧されるので、背側のキャビティの圧力は腹側のキャビティの圧力より低圧となる。この結果、背側のキャビティに供給され、背側の翼本体のフィルム冷却孔から排出される冷却空気量が低減される。
本発明に係るガスタービンは、全体の冷却空気量を低減させることができるとともに、温度の低い冷却空気が必要以上にフィルム冷却孔から吹き出されるのを防止することができるタービン用翼を備えている。
本発明に係るガスタービンによれば、全体の冷却空気量が低減されることとなるので、タービン前段の圧縮機からの抽気量が少なくなり燃焼用空気を燃焼器に、より多く供給できるので、ガスタービンの燃焼ガス量を増やすことができ、性能(出力)を向上させることができるとともに、フィルム冷却孔からの温度の低い冷却空気の不必要な吹き出しが防止されることとなるので、ガスタービンの熱効率を向上させることができる。
本発明によれば、翼本体の背側(凸部側)に流れる無駄な冷却空気を少なくし、使用する冷却空気(冷却媒体)量を低減させることができるという効果を奏する。
本発明に係るタービン用翼を具備したガスタービンを示す図であって、車室上半部を取り外した状態を示す概略斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るタービン用翼を、その前縁と後縁とを結ぶ中心線に対して略直交する面で切った要部斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るタービン用翼を、その前縁と後縁とを結ぶ中心線に対して略直交する面で切った要部断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るタービン用翼の略中央部を、その立設方向軸線に対して略直交する面で切った要部断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るタービン用翼の外側シュラウドを、外側から見た斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係るタービン用翼の略中央部を、その立設方向軸線に対して略直交する面で切った要部断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るタービン用翼を、その前縁と後縁とを結ぶ中心線に対して略直交する面で切った要部断面図である。
1 ガスタービン
10 タービン用翼
11 翼本体
14 フィルム冷却孔
15 リブ(第1のリブ)
16 リブ(第2のリブ)
24 内壁面(内周面)
30 インピンジメント板(第1のインピンジメント板)(圧力調整部材)
33 外壁面(外周面)
36 インピンジメント板(第2のインピンジメント板)(圧力調整部材)
50 タービン用翼
60 タービン用翼
C1 キャビティ
C2 キャビティ
C3 キャビティ
C4 キャビティ
C5 キャビティ
L.E.前縁
T.E.後縁
以下、本発明に係るタービン用翼の第1の実施形態について、図1から図5を参照しながら説明する。
図1は本発明に係るタービン用翼を具備したガスタービンを示す図であって、車室上半部を取り外した状態を示す概略斜視図、図2は本実施形態に係るタービン用翼を、その前縁と後縁とを結ぶ中心線に対して略直交する面で切った要部斜視図、図3は本実施形態に係るタービン用翼を、その前縁と後縁とを結ぶ中心線に対して略直交する面で切った要部断面図、図4は本実施形態に係るタービン用翼の略中央部を、その立設方向軸線に対して略直交する面で切った要部断面図、図5は本実施形態に係るタービン用翼の外側シュラウドを、外側(外周側)から見た斜視図である。
図1に示すように、ガスタービン1は、燃焼用空気を圧縮する圧縮部2と、この圧縮部2から送られてきた高圧空気中に燃料を噴射して燃焼させ、高温燃焼ガスを発生させる燃焼部3と、この燃焼部3の下流側に位置し、燃焼部3を出た燃焼ガスにより駆動されるタービン部4とを主たる要素とするものである。
本実施形態に係るタービン用翼10は、例えば、タービン部4における第一段静翼に適用され得るものであり、図2および図3に示すように、翼本体11と、内側シュラウド12と、外側シュラウド13とを備えている。
図4に示すように、翼本体11には、複数個のフィルム冷却孔14と、翼本体11の立設方向軸線に対して略直交する断面における前縁L.E.と後縁T.E.とを結ぶ中心線(図示せず)に対して略直交して設けられ、翼本体11の内部を複数個(本実施形態では4個)のキャビティC1,C2,C3,C4に区画する板状のリブ(第1のリブ)15と、中央部に位置するキャビティ(最も前縁側に位置するキャビティC1および最も後縁側に位置するキャビティC4以外のキャビティ)C2,C3を腹側と背側に区画する(略二分する)板状のリブ(第2のリブ)16と、最も後縁側に位置するキャビティC4内の冷却空気(冷却媒体)を翼本体11の外部に導くとともに複数のピンフィン(図示せず)を有する空気孔17とが設けられている。
なお、板状のリブ16は、翼内部で冷却用空気が腹側より背側に移動することを阻止するので、翼背側のキャビティ内圧力と翼腹側キャビティ内圧力を異ならすことができる効果を有している。
また、最も前縁側に位置するキャビティC1内には、インサート18およびインピンジメント板19が収められて(収容されて)おり、最も後縁側に位置するキャビティC4内には、インサート20が収められて(収容されて)いる。
インサート18,20はそれぞれ、複数個のインピンジメント冷却孔(図示せず)が設けられた中空状のものであり、インピンジメント板19は、複数個のインピンジメント冷却孔(図示せず)が設けられた板状のものである。
インサート18は、キャビティC1内の腹側に配置され、インピンジメント板19は、その内壁面(内周面)21がインサート18の背側に位置する外壁面(外周面)22と対向し、かつ、外壁面(外周面)23が翼本体11の背側に位置する内壁面24と対向するように配置されている。
そして、インサート18の外壁面22と翼本体11の腹側に位置する内壁面24との間、インサート18の外壁面22とリブ15の壁面25との間、インサート18の外壁面22とインピンジメント板19の内壁面21との間、およびインピンジメント板19の外壁面23と翼本体11の背側に位置する内壁面24とリブ15の壁面25との間にはそれぞれ、冷却空間、すなわち、冷却空気の通路が形成されている。
インサート20はキャビティC4内に配置されており、インサート20の外壁面(外周面)26と翼本体11の内壁面24との間、およびインサート20の外壁面26とリブ15の壁面25との間にはそれぞれ、冷却空間、すなわち、冷却空気の通路が形成されている。
そして、冷却空気が図示していない手段によってインサート18,20の内部に導入され、複数個のインピンジメント冷却孔を通って冷却空間内に吹き出して、翼本体11の内壁面24がインピンジメント冷却されるようになっている。
また、翼本体11の内壁面24をインピンジメント冷却した冷却空気は、翼本体11の複数個のフィルム冷却孔14から吹き出して、翼本体11のまわりに冷却空気によるフィルム層を形成し、翼本体11がフィルム冷却されるようになっている。
さらに、翼本体11の後縁からは、空気孔17を通って冷却空気が噴出され、この際にピンフィンを冷却して翼本体11の後縁近傍が冷却されるようになっている。
さらにまた、インサート18の内部に導入され、翼本体11の腹側の内壁面24に向かって開口するインピンジメント冷却孔から冷却空間内に吹き出して翼本体11の腹側の内壁面24をインピンジメント冷却した冷却空気の一部が、インサート18の外壁面22と翼本体11の内壁面24との間に形成された冷却空間、およびインサート18の外壁面22とリブ15の壁面25との間に形成された冷却空間を通ってインサート18の外壁面22とインピンジメント板19の内壁面21との間に形成された冷却空間に流れ込むようになっている。そして、インサート18の外壁面22とインピンジメント板19の内壁面21との間に形成された冷却空間に流れ込んだ冷却空気は、翼本体11の背側の内壁面24に向かって開口するインピンジメント冷却孔から冷却空間内に吹き出して翼本体11の背側の内壁面24をインピンジメント冷却した後、フィルム冷却孔14から吹き出されるようになっている。
一方、中央部に位置するキャビティC2,C3にはそれぞれ、インピンジメント板30が収められて(収容されて)いる。
インピンジメント板30はそれぞれ、複数個のインピンジメント冷却孔(図示せず)が設けられた板状のものであり、その内壁面(内周面)31がリブ16の壁面32と対向し、かつ、その外壁面(外周面)33が翼本体11の内壁面24と対向するように配置されている。
そして、インピンジメント板30の外壁面33と翼本体11の内壁面24とリブ15の壁面25との間にはそれぞれ、冷却空間、すなわち、冷却空気の通路が形成されている。
図2および図3に示すように、内側シュラウド12は翼本体11の内側(内周側)に設けられており、外側シュラウド13は翼本体11の外側(外周側)に設けられている。
内側シュラウド12の表面(図2および図3において下側の面)34および外側シュラウド13の表面(図2および図3において上側の面)35にはそれぞれ、インピンジメント板36が設けられている。
インピンジメント板36はそれぞれ、複数個のインピンジメント冷却孔(図示せず)が設けられた板状のものであり、中央部に位置するキャビティC2,C3の、リブ16の壁面32よりも背側に形成された空間(すなわち、リブ15の壁面25とリブ16の壁面32と翼本体11の内壁面24とで囲まれた空間)の上方または下方を覆うように配置されている。
そして、インピンジメント板36の内壁面37と内側シュラウド12の表面34との間、およびインピンジメント板36の内壁面37と外側シュラウド13の表面35との間にはそれぞれ、冷却空間、すなわち、インピンジメント板36に形成されたインピンジメント冷却孔を通過した冷却空気を、中央部に位置するキャビティC2,C3の、リブ16の壁面32よりも背側に形成された空間内に導く冷却空気の通路が形成されている。
なお、中央部に位置するキャビティC2,C3の、リブ16の壁面32よりも背側に形成された空間内には、インピンジメント板36に形成されたインピンジメント冷却孔を通過した冷却空気のみが供給され得るようになっている。
また、インピンジメント板36をインピンジメント冷却した冷却空気は、中央部に位置するキャビティC2,C3の、リブ16の壁面32よりも背側に形成された空間内に流入し、翼本体11の背側の内壁面24に向かって開口するインピンジメント冷却孔から冷却空間内に吹き出して翼本体11の背側の内壁面24をインピンジメント冷却した後、フィルム冷却孔14から吹き出されるようになっている。
なお、図3に示すように、中央部に位置するキャビティC2(C3)の、リブ16の壁面32よりも背側に形成された空間(すなわち、リブ16の壁面32と、インピンジメント板30の内壁面31との間に形成された空間)の内側シュラウド12側の入口部分には、翼本体11の背側および腹側の内壁面24に沿って、インピンジメント受板38がそれぞれ固定されている。また、インピンジメント板30の翼立設方向の熱伸び差を吸収しながら、冷却空気をシールするため、インピンジメント板30の一端部(図3における下側の端部)は、インピンジメント受板38に設けられた溝38a内に差し込まれる構造とされ、インピンジメント板30の一端部が溝38a内をスライドすることにより、インピンジメント板30が翼立設方向に伸縮できるようになっている。
さらに、図5に示すように、内側シュラウド12の表面34(図2および図3参照)および外側シュラウド13の表面35(図2および図3参照)にはそれぞれ、インピンジメント板40(36)が設けられている。
インピンジメント板40(36)はそれぞれ、複数個のインピンジメント冷却孔41が設けられた板状のものであり、翼本体11の腹側上流側および前縁上流側の上方または下方を覆うように配置されている。
そして、インピンジメント板40(36)の内壁面(図示せず)と内側シュラウド12の表面34との間、およびインピンジメント板40(36)の内壁面(図示せず)と外側シュラウド13の表面35との間にはそれぞれ、冷却空間、すなわち、インピンジメント板40(36)に形成されたインピンジメント冷却孔41を通過した冷却空気を、側部流路42の前縁側開口端43に導く冷却空気の通路が形成されている。
側部流路42は、内側シュラウド12および外側シュラウド13の前縁側から後縁側にかけて、その両側部に形成された冷却空気の通路であり、その後縁側開口端44はそれぞれ、内側シュラウド12および外側シュラウド13の幅方向にわたって、その後縁部に形成されたヘッダ45の対応する端部に接続されている。また、側部流路42の内壁面には、図示しない複数の板状の突起(タービュレータ)が設けられている。
ヘッダ45は、側部流路42の前縁側開口端43から側部流路42内に流入した冷却空気を、内側シュラウド12および外側シュラウド13の後縁部に形成された後縁流路46導く冷却空気の通路である。
そして、インピンジメント板40(36)に形成されたインピンジメント冷却孔41を通過した冷却空気は、側部流路42の前縁側開口端43から側部流路42内に流入し、側部流路42、ヘッダ45、および後縁流路46を通過した後、内側シュラウド12および外側シュラウド13の後縁から放出されるようになっている。このとき、内側シュラウド12および外側シュラウド13の前縁部、両側部、および後縁部は、冷却空気により冷却されるようになっている。
このように構成されたタービン用翼10において、インピンジメント板36に向かって供給された(吹き出された)冷却空気は、インピンジメント板36をインピンジメント冷却した後、インピンジメント板36に形成されたインピンジメント冷却孔を通過して、インピンジメント板36の内壁面37と内側シュラウド12の表面34との間、およびインピンジメント板36の内壁面37と外側シュラウド13の表面35との間に形成された冷却空間内を通り、中央部に位置するキャビティC2,C3の背側で、かつ、リブ15の壁面25、リブ16の壁面32、およびインピンジメント板30の内壁面31により形成された空間内に流入するようになっている。そして、キャビティC2,C3の背側で、かつ、リブ15の壁面25、リブ16の壁面32、およびインピンジメント板30の内壁面31により形成された空間内に流入した冷却空気は、キャビティC2,C3の背側に設けられて、翼本体11の背側の内壁面24に向かって開口するインピンジメント冷却孔からインピンジメント板30の外壁面33、リブ15の壁面25、および翼本体11の背側の内壁面24により形成された冷却空間内に吹き出して翼本体11の背側の内壁面24をインピンジメント冷却した後、フィルム冷却孔14から吹き出されるようになっている。
一方、中央部に位置するキャビティC2,C3の腹側で、かつ、リブ15の壁面25、リブ16の壁面32、およびインピンジメント板30の内壁面31により形成された空間内には、図示していない手段によって内側シュラウド12及び外側シュラウド13に設けた第2のインピンジメント板36を介さずに、キャビティC2、C3の腹側に冷却空気が直接導入(供給)されるようになっている。そして、キャビティC2,C3の腹側で、かつ、リブ15の壁面25、リブ16の壁面32、およびインピンジメント板30の内壁面31により形成された空間内に流入した冷却空気は、キャビティC2,C3の腹側に設けられて、翼本体11の腹側の内壁面24に向かって開口するインピンジメント冷却孔からインピンジメント板30の外壁面33、リブ15の壁面25、および翼本体11の背側の内壁面24により形成された冷却空間内に吹き出して翼本体11の腹側の内壁面24をインピンジメント冷却した後、フィルム冷却孔14から吹き出されるようになっている。
すなわち、キャビティC2、C3の腹側に供給され、腹側の翼本体11のフィルム冷却孔14から流出する冷却空気の通路は、圧力調整部材として第2のインピンジメント板36を備えておらず、第1のインピンジメント板30のみを備えている。
一方、上述のように、キャビティC2、C3の背側に供給され、背側の翼本体11のフィルム冷却孔14から流出する冷却空気の通路は、圧力調整部材として第2のインピンジメント板36と、第1のインピンジメント板30を備えている。
このようなタービン用翼10の構成により、キャビティC2,C3の背側に供給される冷却空気は、第1のインピンジメント板30及び、第2のインピンジメント板36からなる圧力調整部材を経て翼本体11の背側のフィルム冷却孔14から流出する。
一方、キャビティC2,C3の腹側に供給される冷却空気の通路は、キャビティの下流側に設けられ、翼本体11の内壁面24に対面する第1のインピンジメント板30のみを圧力調整部材として備えるにすぎない。その結果、キャビティC2,C3の腹側の圧力は高く、キャビティC2,C3の背側の圧力が低くなり、背側の翼本体11のフィルム冷却孔14から流出する冷却空気量が低減し、翼全体11の冷却空気量の適正化が図られる。
また、図示していない手段によってインサート18,20の内部に導入された冷却空気は、複数個のインピンジメント孔を通って冷却空間内に吹き出して、翼本体11の内壁面24がインピンジメント冷却されるようになっている。
そして、翼本体11の内壁面24をインピンジメント冷却した冷却空気は、翼本体11の複数個のフィルム冷却孔14から吹き出して、翼本体11のまわりに冷却空気によるフィルム層を形成し、翼本体11がフィルム冷却されるようになっている。
さらに、本実施形態に係るタービン用翼10では、インサート18の内部に導入され、翼本体11の腹側の内壁面24に向かって開口するインピンジメント冷却孔から冷却空間内に吹き出して翼本体11の腹側の内壁面24をインピンジメント冷却した冷却空気の一部が、インサート18の外壁面22と翼本体11の内壁面24との間に形成された冷却空間、およびインサート18の外壁面22とリブ15の壁面25との間に形成された冷却空間を通ってインサート18の外壁面22とインピンジメント板19の内壁面21との間に形成された冷却空間に流れ込むようになっている。そして、インサート18の外壁面22とインピンジメント板19の内壁面21との間に形成された冷却空間に流れ込んだ冷却空気は、翼本体11の背側の内壁面21に向かって開口するインピンジメント孔から冷却空間内に吹き出して翼本体11の背側の内壁面24をインピンジメント冷却した後、フィルム冷却孔14から吹き出されるようになっている。
さらにまた、インサート20の内部に導入され、翼本体11の内壁面24に向かって開口するインピンジメント冷却孔から冷却空間内に吹き出して翼本体11の内壁面24をインピンジメント冷却した冷却空気の一部は、インサート20の外壁面26と翼本体11の内壁面24との間に形成された冷却空間、および空気孔17を通ってピンフィンを冷却した後、翼本体11の後縁から吹き出されるようになっている。
さらにまた、本実施形態に係るタービン用翼10では、インピンジメント板40(36)に形成されたインピンジメント冷却孔41を通過した冷却空気が、側部流路42の前縁側開口端43に向かって一様に流れ、側部流路42の前縁側開口端43から側部流路42内に流入した冷却空気は、直線状の流路を有する側部流路42およびヘッダ45を通過した後、後縁流路46を通って内側シュラウド12および外側シュラウド13の後縁から放出されるようになっている。
本実施形態に係るタービン用翼10によれば、インピンジメント板36をインピンジメント冷却した冷却空気が、翼本体11の背側の内壁面24をインピンジメント冷却するとともに、翼本体11の背側の外壁面(外周面)をフィルム冷却するのに利用されることとなる。
これにより、中央部に位置するキャビティC2,C3の背側で、かつ、リブ15の壁面25、リブ16の壁面32、およびインピンジメント板30の内壁面31により形成された空間内に流入する冷却空気量を低減させることができ、全体の冷却空気量(冷却空気の消費量)を低減させることができるとともに、冷却能力を十分に使用されていない温度の低い冷却空気がフィルム冷却孔14から吹き出されるのを防止することができる。
また、本実施形態に係るタービン用翼10によれば、圧力の低く、かつ、流速の遅い冷却空気が、中央部に位置するキャビティC2,C3の背側に形成されたフィルム冷却孔14から吹き出され、翼本体11の背側の外壁面に沿って、持続性の高い冷却空気による膜が均一に形成されることとなる。
これにより、燃焼ガス(高温ガス)から翼本体11の表面(より詳しくは、翼本体11の背側の外壁面)への熱伝達をより低減させることができて、フィルム冷却効率を向上させることができる。
さらに、本実施形態に係るタービン用翼10によれば、側部流路42の前縁側開口端43から流入した冷却空気を内側シュラウド12および外側シュラウド13の後縁(すなわち、後縁流路46の下流側開口端)に導く流路の屈曲部は、側部流路42の後縁側開口端44とヘッダ45の端部との接合(連通)部、およびヘッダ45の中央部と後縁流路46の上流側開口端との接合(連通)部の二つだけとされているので、流路の屈曲部における圧力損失(流路抵抗)を低減させることができ、冷却空気の流速を増加させることができて、内側シュラウド12および外側シュラウド13を効率よく冷却することができるとともに、インピンジメント板40(36)の内壁面と内側シュラウド12の表面34との間、およびインピンジメント板40(36)の内壁面と外側シュラウド13の表面35との間に形成された冷却空間内に流入する冷却空気量を低減させることができ、全体の冷却空気量(冷却空気の消費量)をさらに低減させることができる。
本実施形態に係るタービン用翼10を備えたガスタービン1によれば、ガスタービンの冷却に寄与しない不必要な冷却空気が燃焼ガスと混合し燃焼ガス温度を下げないのでガスタービンの性能を向上させることができるとともに、圧縮部より抽気する冷却空気量を減らすと、その減らした圧縮空気全量をガス燃焼用空気として使用することができるので、完全燃焼させる燃料ガス投入量を増やすことができる。すると燃焼ガス総量が増えるので圧縮機部分を大型化することなくタービン出力が向上させることができ、タービンの小型高出力化を実現できるので、結果として性能が向上するという利点を有するものである。また、リブ16が翼の強度向上に寄与するので翼の薄肉化を図ることができるという利点を有する。さらに簡易な構造で翼背側と腹側の冷却空気量の最適化を各々独立して制御できるという利点を有するものである。
本発明に係るタービン用翼の第2の実施形態について、図6を参照しながら説明する。図6は本実施形態に係るタービン用翼の略中央部を、その立設方向軸線に対して略直交する面で切った要部断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係るタービン用翼50は、腹側の中央部に位置する2個のキャビティ(最も前縁側に位置するキャビティC1および最も後縁側に位置するキャビティC4以外のキャビティ)C2,C3の代わりに、1個のキャビティC5を備えているという点で上述した実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
本実施形態では、背側の中央部に位置するキャビティC2,C3を前縁側と後縁側に区画する板状のリブ15と、背側の中央部に位置するキャビティC2,C3と腹側の中央部に位置するキャビティC5を腹側と背側に区画する(略二分する)板状のリブ16とがT字交差するように(すなわち、リブ15とリブ16の断面視形状が略T字形状になるように)、リブ15およびリブ16が形成されている。
本実施形態に係るタービン用翼50によれば、背側の中央部に位置するキャビティC2,C3がリブ15によって前縁側と後縁側に区画されることとなるので、背側のバルジング応力に対する強度を向上させることができる。
また、本実施形態に係るタービン用翼50によれば、腹側の中央部に位置するキャビティを前縁側と後縁側に区画するリブ15が不要となるので、腹側の中央部に位置するキャビティC5の構造を簡略化することができて、製造時の鋳造工程が容易になり、製造コストを低減させることができる。
さらに、本実施形態に係るタービン用翼50によれば、冷却しにくいリブ15の数が減少するので、腹側の中央部に位置するキャビティC5の冷却効率を向上させることができる。
その他の作用効果は、上述した実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
本発明に係るタービン翼の第3の実施形態について、図7を参照しながら説明する。図7は本実施形態に係るタービン用翼を、その前縁と後縁とを結ぶ中心線に対して略直交する面で切った要部断面図である。
図7に示すように、本実施形態に係るタービン用翼60は、中央部に位置するキャビティC2(C3)の、リブ16の壁面32よりも背側に形成された空間の側に設けられたインピンジメント受板38の代わりに、仕切板39が設けられているという点で上述した実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
すなわち、上述した実施形態では、図2または図3に示すように、内側シュラウド12および外側シュラウド13のそれぞれに設けられたインピンジメント板36をインピンジメント冷却した冷却空気が、中央部に位置するキャビティC2(C3)のうち、リブ16の壁面32よりも背側に形成された空間内に流入する、いわゆる「両側供給方式」が採用されている。
これに対して、本実施形態では、図7に示すように、中央部に位置するキャビティC2(C3)のうち、リブ16の壁面32よりも背側に形成された空間であって、前縁側に近い空間は、一方(図7において上方)が外側シュラウド13と連通し、他方(図7において下方)がインピンジメント板30の一端部(図7における下側の端部)に固定された仕切板39により閉塞されている。また、同時に、後縁側に近い空間は、他方が内側シュラウド12と連通し、一方がインピンジメント板30の他端部(図7における上側の端部)に固定された仕切板39(図示せず)により閉塞されている。すなわち、前縁側に近い空間に供給される冷却空気は、外側シュラウド13のインピンジメント板36でインピンジメント冷却した冷却空気のみが供給され、内側シュラウド12側からは供給されない。一方、後縁側に近い空間に供給される冷却空気は、内側シュラウド12のインピンジメント板36でインピンジメント冷却した冷却空気のみが供給され、外側シュラウド13側からは冷却空気が供給されない、いわゆる「片側供給方式」が採用されている。
なお、本実施形態における前縁側に近い空間は、他方が内側シュラウド12と連通し、一方がインピンジメント板30の他端部に固定された仕切板39により閉塞されるとともに、後縁側に近い空間は、一方が外側シュラウド13と連通し、他方がインピンジメント板30の一端部に固定された仕切板39(図示せず)により閉塞されたものとすることもできる。
本実施形態に係るタービン用翼60によれば、仕切板39は、インピンジメント板30に密着するようにして固定されており、仕切板39とインピンジメント板30との接合部におけるシール性が確保されることとなるので、当該接合部からの冷却空気の漏れを確実に防止することができる。
なお、上述した実施形態では、インピンジメント板30の一端部が、インピンジメント受板38に差し込まれる構造とされているため、インピンジメント板30の一端部とインピンジメント受板38の溝38aとの間から冷却空気が若干漏れてしまうことがある。
その他の作用効果は、上述した実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
なお、本発明は第一段静翼のみに適用され得るものではなく、その他の段の静翼、あるいは動翼にも適用可能である。
また、上述した実施形態では、中央部に位置するキャビティC2,C3内の腹側および背側にそれぞれインピンジメント板30を備え、これらキャビティC2,C3内の空間を、中心線に沿って腹側と背側とに仕切るリブ16を備えるとともに、リブ16の背側に位置する空間の上流側にインピンジメント板36を備えた一具体例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、中央部に位置するキャビティC2,C3内の背側のみにインピンジメント板30を備えた構成(すなわち、リブ16、腹側のインピンジメント板30、および上流側のインピンジメント板36を有しない構成)としてもよいし、リブ16、および中央部に位置するキャビティC2,C3内の背側に配置されたインピンジメント板30のみを備えた構成(すなわち、腹側のインピンジメント板30、および上流側のインピンジメント板36を有しない構成)としてもよいし、リブ16、中央部に位置するキャビティC2,C3内の背側に配置されたインピンジメント板30、インピンジメント板36のみを備えた構成(すなわち、腹側のインピンジメント板30を有しない構成)としてもよいし、各段の静翼間においては背側と腹側のインピンジメント板の開口面積の大小で流量を微調整する構成を付加してもよい。
さらに、本発明は中央部に位置するキャビティ(最も前縁側に位置するキャビティC1および最も後縁側に位置するキャビティC4以外のキャビティ)C2,C3内のみに適用され得るものではなく、最も前縁側に位置するキャビティC1および/または最も後縁側に位置するキャビティC4にも適用可能である。

Claims (8)

  1. 前縁と後縁とを結ぶ中心線に沿って翼腹側と翼背側とに仕切る板状のリブが、前縁と後縁の間に設けられ、背側と腹側のキャビティが連通しない少なくとも2以上のキャビティが設けられたタービン用翼において、
    翼背側のキャビティに流出入する冷却空気の圧力調整部材を有しており、翼腹側に比べて翼背側から流出する冷却空気量が少ないことを特徴とするタービン用翼。
  2. 前記圧力調整部材が、キャビティに流入する冷却空気の上流に位置するインピンジメント板であることを特徴とする請求項1記載のタービン用翼。
  3. 前記圧力調整部材が、キャビティより流出する冷却空気の下流に位置するインピンジメント板であることを特徴とする請求項1記載のタービン用翼。
  4. 前記圧力調整部材が、キャビティより流出する冷却空気の上流と下流に位置する2枚のインピンジメント板であることを特徴とする請求項1記載のタービン用翼。
  5. 前縁と後縁とを結ぶ中心線に沿って翼腹側と翼背側とに仕切る板状のリブが、前縁と後縁の間に設けられ、背側と腹側のキャビティが連通しない少なくとも2以上のキャビティが設けられたタービン用翼において、
    翼腹側のキャビティに供給され、翼腹側の翼本体のフィルム冷却孔から流出する冷却空気の通路と、
    翼背側のキャビティに供給され、翼背側の翼本体のフィルム冷却孔より流出する冷却空気の通路には、それぞれ圧力調整部材が備えられ、
    翼腹側の冷却空気の通路に設けられた圧力調整部材は、翼背側の冷却空気の通路に設けられる圧力調整部材より数が少ないことを特徴とするタービン用翼。
  6. 前記翼腹側の翼本体のフィルム冷却孔から流出する冷却空気の通路に設けられる前記圧力調整部材は、前記翼腹側のキャビティより流出する冷却空気の下流に設けられたインピンジメント板であり、
    前記翼背側の翼本体のフィルム冷却孔から流出する冷却空気の流路に設けられる前記圧力調整部材は、前記翼背側のキャビティに流入する冷却空気の上流に設けられたインピンジメント板と、前記翼背側のキャビティより流出する冷却空気の下流に設けられたインピンジメント板である、請求項5記載のタービン用翼。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のタービン用翼を備えてなることを特徴とするガスタービン。
  8. 各段のインピンジメント孔の径が異なることを特徴とする請求項7記載のガスタービン。
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