JP4884802B2 - 高清浄鋼の製造方法 - Google Patents

高清浄鋼の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4884802B2
JP4884802B2 JP2006058435A JP2006058435A JP4884802B2 JP 4884802 B2 JP4884802 B2 JP 4884802B2 JP 2006058435 A JP2006058435 A JP 2006058435A JP 2006058435 A JP2006058435 A JP 2006058435A JP 4884802 B2 JP4884802 B2 JP 4884802B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ton
molten steel
power density
steel
stirring power
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006058435A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007231410A (ja
Inventor
元裕 長尾
哲史 出浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2006058435A priority Critical patent/JP4884802B2/ja
Publication of JP2007231410A publication Critical patent/JP2007231410A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4884802B2 publication Critical patent/JP4884802B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Description

本発明は、高清浄鋼の製造方法に関する。
周知の如く、船舶用部品、例えば船舶エンジン内のクランクシャフト等を製造するにあたっては、その元となる鋼塊や鋼材は、高い耐疲労特性が要求されるため、疲労特性に大きな影響を及ぼす介在物の非常に少ない高清浄鋼(高清浄度鋼)であることが必要不可欠である。
高清浄鋼を製造する方法としては、転炉から出鋼された溶鋼に対し2次精錬を行うことで、更なる組成調整を実施し、この2次精錬終了後の溶鋼に対して脱ガス処理を行うことで、溶鋼内に存在する水素等のガス成分の除去を行っていた。
高清浄鋼を製造する技術は数々提唱されていて、例えば、特許文献1には、真空脱ガスを攪拌動力密度300W/ton以上の条件で攪拌した後、攪拌動力密度250W/ton以下の攪拌を少なくとも5分以上行う技術が開示されている。
特許文献2に開示された高清浄鋼の製造技術は、転炉から出鋼された溶鋼を、2次精錬すると共に真空脱ガスし、さらに、真空脱ガス後の溶鋼に対して2回目の2次精錬を行うものとなっている。
特開平11−279630号公報 特開2003−253325号公報
しかしながら、特許文献1の技術を採用した場合、以下のような不具合が生じることが現場の実績として挙がってきている。
すなわち、特許文献1の技術は、真空脱ガス処理時の攪拌動力密度が300W/tonと大きいものとなっており強攪拌状態で脱ガスを行うものとなっている。その後、250W/ton以下に下げるとしているが、300W/tonの攪拌動力密度で強攪拌され、一旦溶鋼中に懸濁したスラグは、250W/tonの攪拌では前述の懸濁が促進されて、巻き込みスラグに起因する介在物が鋼塊中に発生することは避けられない。
また、特許文献2の技術においては、2次精錬処理→真空脱ガス処理→2次精錬処理と2回の2次精錬を行っているが、各処理における攪拌動力密度の考え方が開示されていない。溶鋼を攪拌することなく単に2回の2次精錬処理を行うだけで、高清浄鋼を溶製することが困難であるという事は、当業者間では広く知られている。
つまり、特許文献1や特許文献2などの従来からの技術を用いるだけでは、スラグ巻き込みに起因する介在物がほとんど存在せず高い清浄度を備えた高清浄鋼を製造することは困難である。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、スラグ巻き込みに起因する介在物がほとんど存在しない高清浄鋼の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明にかかる高清浄鋼の製造方法は、転炉又は電気炉から出鋼された溶鋼に対し1回目の電極加熱式の精錬装置を用いた2次精錬を行い、該1回目の電極加熱式の精錬装置を用いた2次精錬終了後の溶鋼に対して脱ガス処理を行い、該脱ガス処理後の溶鋼に対して2回目の電極加熱式の精錬装置を用いた2次精錬を行うことで高清浄鋼を製造する高清浄鋼の製造方法において、前記1回目の電極加熱式の精錬装置を用いた2次精錬処理では、攪拌動力密度が5〜60W/tonとなるように吹き込みガスの流量を調整すると共に、前記脱ガス処理後のスラグ組成が、CaO/SiO2≧3.5且つCaO/Al23=1.5〜3.5且つT.Fe+MnO≦1.0質量%となるようにスラグ調整を行い、前記脱ガス処理では、当該脱ガス処理の中期までは攪拌動力密度が50〜200W/tonとなるように吹き込みガスの流量を調整し、脱ガス処理の中期以降は攪拌動力密度が140W/ton以下(0W/tonを除く)となるように吹き込みガスの流量を調整し、前記2回目の電極加熱式の精錬装置を用いた2次精錬処理では、攪拌動力密度が25W/ton以下(0W/tonを除く)となるように吹き込みガスの流量を調整することを特徴とする。
なお、以降の説明における2次精錬は、電極加熱式の精錬装置を用いた2次精錬のことである。
本願発明人らは、数々の実験を繰り返すと共に、鋼塊の製造実績を検討することで、以上述べた技術的手段に至った。
まず、本願発明者らは、スラグ巻き込みに起因する介在物がほとんど存在せず高い清浄度を備えた高清浄鋼を製造するためには、転炉により製造された溶鋼に対して、2次精錬処理→脱ガス処理→2次精錬処理という順序で、2回の2次精錬を行うことが必要不可欠であると考えた。
さらに、1回目の2次精錬処理は溶鋼成分を所定のものとする処理であって、脱ガス処理は溶鋼内に存在する水素等のガス成分の除去を行う処理であるため、両処理とも溶鋼表面に浮かぶスラグの巻き込みを極力抑制しながらも、攪拌動力密度を大きくする必要があると考えるに至った。一方、2回目の2次精錬処理には、脱ガス処理で一旦溶鋼中に巻き込んだスラグを浮上分離させる機能を主に担わせており、溶鋼を加熱保持しつつ新たなスラグ巻き込みが発生しないように低攪拌動力密度で攪拌を行う必要性があると考えた。
各処理での攪拌動力密度の最適値に関しては、複数の鋼塊の製造実績をまとめて得られた図2(a)〜図2(d)の結果から導出した。
まず、図2(d)からわかるように、最終的に介在物の多い鋼塊(NG鋼塊、図中)とならないためには、2回目の2次精錬処理における攪拌動力密度を25W/ton以下(0W/tonを除く)の範囲となるように底吹きガスの流量を調整すればよく、より好ましくは、20W/ton以下とするとよい。
さらに、図2(c)からわかるように、最終的に介在物の多い鋼塊(NG鋼塊、図中)とならないためには、脱ガス処理の後半(処理時間の中期以降)での攪拌動力密度を140W/ton以下(0W/tonを除く)の範囲となるように、底吹きガスの流量を調整すればよく、より好ましくは、100W/ton以下(0W/tonを除く)とするとよい。主としてこの2つの条件を満足することで、溶鋼に対するスラグの巻き込みを防止することが可能である。
溶鋼の成分調整や脱ガスの効率を上げるためには、図2(a),(b)に示すように、1回目の2次精錬処理では、攪拌動力密度が5〜60W/tonとなるように底吹きガスの流量を調整し、且つ脱ガス処理の処理時間中期までは攪拌動力密度が50〜200W/tonとなるように底吹きガスの流量を調整するとよい。
なお、脱ガス処理や2回目の2次精錬において、スラグによる溶鋼成分の再酸化を防ぐために、一定の成分組成を有するスラグを生成する必要がある。そのために、1回目の2次精錬処理においては、脱ガス処理後のスラグ組成が、
(i) CaO/SiO2≧3.5、
(ii) CaO/Al23=1.5〜3.5、
(iii) T.Fe+MnO≦1.0質量%
の3つの条件を同時に満たすように、加熱温度を制御したり副原料の投入量を調整したりする必要がある。
以上述べた技術的手段により、スラグ巻き込みに起因する介在物がほとんど存在せず高い清浄度を備えた高清浄鋼を製造することができる。
本発明によれば、高い清浄度を備えた高清浄鋼を製造することができる。
以下、本発明にかかる高清浄鋼の製造方法を図を基に説明する。
図1には、本方法を適用する2次精錬装置1と真空脱ガス装置2(脱ガス装置)の概略図が示されている。
2次精錬装置1は、電極加熱式の精錬装置(LF)であって、大気圧の雰囲気下で精錬を行うものである。2次精錬装置1は、溶鋼3が装入された取鍋4と、この取鍋4の上部口4aに覆い被さる蓋体5とを有している。
取鍋4の底部には、装入された溶鋼3内にArなどの攪拌ガスを吹き込むための吹き込み口(ポーラス)6が設けられている。一方、この取鍋4が載置される載置台7側には、取鍋4の吹き込み口6に着脱自在であって連通状態となるガス導入管8と、このガス導入管8に攪拌ガスを供給するガス供給手段(図示せず)が設けられている。かかる吹き込み口6とガス導入管8とガス供給手段とで、2次精錬中に溶鋼3を攪拌させるためのガス吹き込み手段9が構成されている。なお、ガス吹き込み手段9は、取鍋4の上部からガスを吹き込むランスを備えていてもよい。
また、蓋体5には、溶鋼3を加熱するためにアーク放電を行う複数の電極10が挿通されていると共に、CaO等のフラックスを装入するためのフラックス供給手段11が設けられている。
以上述べた2次精錬装置1では、電極10でアーク放電を発生させることにより溶鋼3を所定温度まで上げつつ、フラックス供給手段11を用いてフラックスを投入し、さらに、ガス吹き込み手段9からガスを吹き込んで溶鋼3を攪拌することによって、化学組成を調整したり溶鋼3内の介在物を浮上分離させたりして溶鋼3の2次的な精錬を行う。
真空脱ガス装置2(VD)は、溶鋼3が装入された取鍋4と、取鍋4内のガスを排気して真空状態に近づける排気手段12とを有している。
取鍋4は、2次精錬装置1で用いられた取鍋4と同一のものであって、取鍋4の底部には、装入された溶鋼3内にArなどの攪拌ガスを吹き込むための吹き込み口6が設けられている。一方、この取鍋4が載置される載置台7側には、取鍋4の吹き込み口6に着脱自在であって連通状態となるガス導入管8と、このガス導入管8に攪拌ガスを供給するガス供給手段(図示せず)が設けられている。ガス供給手段は2次精錬装置1で用いたものと共通であっても構わない。かかる吹き込み口6とガス導入管8とガス供給手段とで、脱ガス中に溶鋼3を攪拌させるためのガス吹き込み手段9が構成されている。
排気手段12は、取鍋4の上部口4a(溶鋼装入口)にパッキン等を介して密閉状態で被さる密閉蓋体14と、この密閉蓋体14に貫通し、取鍋4内部に連通する排気管13と、この排気管13が連結されて取鍋4内の空気やガスを外部に排気する排気装置(図示せず)とを有している。
真空脱ガス装置2では、排気装置を作動させ、排気管13を通じて取鍋4内であって溶鋼3上方のガスを排気することで、取鍋4内を真空状態に近づける。加えて、ガス吹き込み手段9からArガスを吹き込んで溶鋼3を攪拌する。そうすることで、溶鋼3内に存在する水素等のガス成分の除去を行う。
以上述べた2次精錬装置1と真空脱ガス装置2とを用いて、高清浄鋼の製造を行うやり方を以下説明する。
図1に示すように、まず、転炉や電気炉から出鋼され取鍋4に装入された溶鋼3は、2次精錬装置1へ運ばれ、1回目の2次精錬処理(以降、LF−Iと記載することもある)
が施される。具体的には、電極10でアーク放電を発生させることにより溶鋼3をTL=1600℃程度まで上げつつ、フラックス供給手段11を用いてフラックスを投入し、さらに、ガス吹き込み手段9からArガスを吹き込んで溶鋼3を攪拌する。溶鋼3の攪拌強度としては、式(1)で計算される攪拌強度密度が、撹拌動力密度εが5〜60W/tonとなるようにArガスの流量を調整する。なお、撹拌動力密度εの計算において、底吹きガスの吹き込み前温度To(Arガスの吹き込み前温度)は常温、298Kとし、底吹きガスの吹き込み後温度Tg(Arガスの吹き込み後温度)は溶鋼温度TLとしている。
転炉や電気炉から受鋼した取鍋4を最初に精錬するLF−Iにおいては、溶鋼3の加熱
および成分調整が主であり、このときに適切な攪拌を行わなければ、溶鋼成分および溶鋼温度の均一化ができない。しかしながら、過剰な溶鋼攪拌は、成分と温度が均一でもスラグを巻込みやすく、後の欠陥源になり得る可能性大である。ゆえに、撹拌動力密度εが5〜60W/tonとしている。こうすることで、スラグ巻込みを防止しつつ溶鋼3の成分、温度の均一化が図れるようになる。
Figure 0004884802
表1には、取鍋4の底部から供給されるArガスの流量Qgと溶鋼量MLとの比Qg/MLが様々な値をとる複数の操業例(比較例及び本発明例)に関し、撹拌動力密度εと操業結果との具体的な関係が示されている。この表中のデータは、本願発明者らが製造した鋼塊の操業実績をまとめたものであって、攪拌動力密度εの上下限値を決定する基となった図2のデータである。なお、図2において、□は本発明例、◇は比較例を示す。
Figure 0004884802
例えば、1回目の2次精錬処理(LF−I)において、取鍋4のサイズや実際の溶鋼装
入量ML等、幾つか条件は異なるものの、Qg/MLを0.30〜3.75Nl/min・tonとすることで、撹拌動力密度εが4.7〜67.2W/tonとなっている。
なお、この処理において、フラックス供給手段11を介して装入されるフラックスの種類や量は、後述する真空脱ガス処理終了後(言い換えれば、2回目の2次精錬処理スタート時)におけるスラグの組成が、
(i) SiO2の質量に対してCaOの質量が3.5倍以上となる、
(ii) Al23の質量に対してCaOの質量が1.5〜3.5倍となる、
(iii) スラグ組成中のT.Feの質量とMnOの質量の総和が、スラグの全質量の1.0%以下となる、
の3つの条件を同時に満たすように、加熱温度を制御したり副原料(フラックス)の投入量を調整したりする。
1回目の2次精錬処理が完了した溶鋼3は、取鍋4ごと真空脱ガス装置2に搬送され、当該溶鋼3に対して真空脱ガス処理(以降、VDと記載することもある)が施される。
詳しくは、排気装置(図示せず)を作動させ、排気管13を通じて取鍋4内であって溶鋼3上方のガスを排気することで、取鍋4内をP=0.5Torr程度の真空状態に近づける。加えて、ガス吹き込み手段9からArガスを吹き込んで溶鋼3を攪拌する。そうすることで、溶鋼3内に存在する水素等のガス成分の除去が行われる。VDの時間は全体で約20分程度であり、その前半(処理時間の中期以前、前半10分)では、撹拌動力密度εが50〜200W/tonとなるように底吹きガスの流量Qgを調整し、後半(処理時間の中期以降、後半10分)は撹拌動力密度εが140W/ton以下(0W/tonは除く)となるように底吹きガスの流量Qgを調整する。
VDにおいては、成分調整がほぼ完了した溶鋼3からの水素を除去する処理が行われるが、このときも、溶鋼3内へのスラグ巻込み防止と脱水素とが両立できる撹拌動力密度εを採用することが好ましい。そこで、VD処理時間の前半で、撹拌動力密度εが50〜200W/tonとすることで、スラグの巻込みを最小に抑えつつ、脱水素が効率よく行えるようになる。加えて、VD後半では、撹拌動力密度εを140W/ton以下に抑えると、巻き込んだスラグの浮上分離が促進されるようになる。
さらに、本実施形態の場合、VD後の溶鋼3に対して2回目の2次精錬(以降、LF−IIと記載することもある)を行うことで高清浄鋼を製造するようにしている。
すなわち、真空脱ガス処理が完了した溶鋼3を、取鍋4ごと2次精錬処理装置に搬送し、溶鋼3に対して2回目の2次溶鋼処理を施す。具体的には、電極10でアーク放電を発生させることにより溶鋼3をTL=1600℃程度まで上げつつ、ガス吹き込み手段9からArガスを吹き込んで溶鋼3を攪拌する。溶鋼3の攪拌強度としては、式(1)で計算される撹拌動力密度εが、25W/ton以下(0W/tonは除く)となるようにArガスの流量Qgを調整する。
再度、LF処理(LF−II)を行うことで、VD途中から行った「巻き込んだスラグお
よび脱酸生成物の浮上分離」さらに促進させることができる。このとき、LF−IIにおける撹拌動力密度εは、新たなスラグ巻き込みを防止するために25W/ton以下であることが必要であり、この撹拌動力密度εで溶鋼3の加熱・保持を行うことで、確実なスラグ、脱酸生成物の浮上分離が可能である。
なお、前述した如く、LF−IIにおけるスラグ成分は、
(i) 塩基度、すなわちCaO/SiO2≧3.5、
(ii) CaO/Al23=1.5〜3.5、
(iii) T.Fe+MnO≦1.0質量%、
であるため、スラグ中の酸化物による溶鋼成分の再酸化が確実に防げるようになっている。
以上述べた高清浄鋼の製造方法を採用することで、スラグ巻き込みに起因する介在物がほとんど存在せず高い清浄度を備えた高清浄鋼を製造することが可能となる。
表2には、本発明にかかる高清浄鋼の製造方法を用いた場合と、用いない場合(比較例)で、鋼塊を製造した場合の結果をまとめている。
Figure 0004884802
条件1〜条件5には、LF−Iにおいて撹拌動力密度εが5〜60W/tonが満たす
ものと、満たさないものが示してある。また、撹拌動力密度εが5〜60W/tonの範囲内にあっても、以下に示すスラグ組成の条件(スラグ組成条件と呼ぶこともある)を満たす場合と満たさない場合とが示してある。
(i) CaO/SiO2≧3.5、
(ii) CaO/Al23=1.5〜3.5、
(iii) T.Fe+MnO≦1.0質量%
なお、他の条件(VD、LF−IIでの条件)は全て満たしている。
撹拌動力密度εが5〜60W/tonが満たす条件2〜条件4であって、スラグ組成条件も満たすものは、LF−I終了後における溶鋼成分や温度の均一化は確実に図られてい
ると共に、スラグの巻き込みも発生していない。LF−II終了後の鋼塊に検出された介在
物の最大サイズは0.5mm以下となっており、鋼塊の清浄度はDIN K4規格でのDIN K4≦10を満たし、総合評価は○となっている。
なお、DIN K4規格でのDIN K4≦10とは、被検査面の単位面積あたりの介在物のうち、200μm以上の介在物の総面積が、10μm2相当であることを意味し、高い清浄度を有していることを示している。ただし、介在物の種類によって「重み付け」がなされるため、厳密な面積とは一致しない。
条件1では、撹拌動力密度εが3W/tonであって、5W/tonより小さいため、スラグの巻き込みは発生していないものの、溶鋼3のかき混ぜが不足し、成分や温度が不均一なものとなっている。ゆえに、介在物や清浄度といった評価指標では、条件2〜条件4と同様の結果となっているが、総合評価では×である。
逆に、条件5では、撹拌動力密度εが65W/tonであって、60W/tonより大きく強攪拌状態となっていたため、成分や温度が均一化は図れたものの、スラグ巻き込みが確認され、LF−II終了後の鋼塊には、最大サイズが0.5mm〜1.0mmの範囲に
ある介在物が検出された。ゆえに、総合評価は△となっている。
条件6〜条件10には、VDの前半において撹拌動力密度εが50〜200W/tonが満たすものと満たさないものとが示してある。また、撹拌動力密度εが50〜200W/tonの範囲内にあっても、スラグ組成条件を満たす場合と満たさない場合とが示してある。なお、他の条件(LF−I、VDの後半、LF−IIでの条件)は全て満たすものと
なっている。
撹拌動力密度εが50〜200W/tonを満たす条件7〜条件9の内、スラグ組成条件を満たすものは、VD処理中期におけるスラグ巻き込みは認められず、最終的に製造された鋼塊において検出された介在物は、最大サイズ<0.5mmとなっており、鋼塊の清浄度はDIN K4規格でのDIN K4≦10を満たし、総合評価は○となっている。
条件6では、撹拌動力密度εが40W/tonであって、50W/tonより小さいため、スラグの巻き込みは発生していないものの、溶鋼3のかき混ぜが不足し、脱水素処理が十分には行われなかった。ゆえに、最終的に製造された鋼塊において検出された介在物は、最大サイズ<0.5mm、且つ鋼塊の清浄度はDIN K4規格でのDIN K4≦10を満たしてはいるが、総合評価は×となっている。
条件10では、撹拌動力密度εが210W/tonであって、200W/tonより大きく強攪拌状態となっていたため、脱水素は確実に行われたものの、スラグ巻き込みが確認された。ゆえに、最終的に製造された鋼塊において検出された介在物は、最大サイズ<0.5mmとなっており、鋼塊の清浄度はDIN K4規格でのDIN K4≦10を満たしてはいるが、総合評価は△となっている。
条件11〜条件15には、VDの後半において撹拌動力密度ε≦140W/tonの条件を満たすものと満たさないものとが示してある。また、撹拌動力密度εが≦140W/tonであっても、スラグ組成条件を満たす場合と満たさない場合とが示してある。なお、他の条件(LF−I、VDの前半、LF−IIでの条件)は全て満たすものとなっている。
撹拌動力密度εが140W/ton以下が満たされた条件12〜条件14の内、スラグ組成条件を満たすものは、最終的な鋼塊における介在物のサイズは、最大サイズ<0.5mmであって、その清浄度はDIN K4規格でのDIN K4≦10を満たす。
条件11では、撹拌動力密度εが15W/tonであって、撹拌動力密度ε≦140W/tonの条件を満たしスラグの巻き込みは発生していない。ゆえに、最終的に製造された鋼塊において検出された介在物は、最大サイズ<0.5mmとなっており、鋼塊の清浄度はDIN K4規格でのDIN K4≦10を満たしていて、所望する結果とはなっている。しかしながら、溶鋼3の脱ガス時の攪拌が不十分であるため、十分な脱ガスがなされておらず、総合評価が×となっている。
条件15では、撹拌動力密度εが150W/tonであって、140W/tonより大きく強攪拌状態となっていたため、脱水素は確実に行われたものの、スラグ巻き込みが確認された。ゆえに、最終的に製造された鋼塊において検出された介在物の大きさは、0.5mm≦最大サイズ<1.0mmとなっており、鋼塊の清浄度はDIN K4規格でのDIN K4≦10を満たしてはいるが、総合評価は×となった。
条件16〜条件20には、LF−IIにおいて撹拌動力密度ε≦25W/tonの条件を
満たすものと満たさないものとが示してある。また、撹拌動力密度εが≦25W/tonであっても、スラグ組成条件を満たす場合と満たさない場合とが示してある。なお、他の条件(LF−I、VDでの条件)は全て満たすものとなっている。
撹拌動力密度ε≦25W/ton(0W/tonを除く)を満たす条件17〜条件19の内、スラグ組成条件を満たすものは、LF−2終了後における介在物のサイズが、最大サイズ<0.5mmとなって、最終的に製造された鋼塊の清浄度はDIN K4規格でのDIN K4≦10を満たすものとなっている。
条件16では、撹拌動力密度εが5W/tonであって、撹拌動力密度ε≦25W/tonの条件を満たしスラグの巻き込みは発生しておらず、最終的に製造された鋼塊において検出された介在物は、0.5mm≦最大サイズ<1.0mmとなっており、鋼塊の清浄度はDIN K4規格でのDIN K4=11〜35となっている。しかしながら、弱攪拌すぎて溶鋼中の合金成分及び溶鋼温度の不均一が発生するために、鍛鋼品としては不良と判断せざるを得ず、総合評価を×としている。
条件20では、撹拌動力密度εが30W/tonであって、撹拌動力密度ε≦25W/tonの条件を外れている。ゆえに、最終的に製造された鋼塊において検出された介在物は、最大サイズ≧1.0mmとなっていて、鋼塊の清浄度はDIN K4規格でのDIN K4≧36で、製造された鋼塊の総合評価は×である。
以上述べた如く、本発明にかかる高清浄鋼の製造方法を採用することで、スラグ巻き込みに起因する介在物がほとんど存在せず高い清浄度を備えた高清浄鋼を製造することが可能となる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
すなわち、脱ガス装置としては、真空脱ガス装置に限定されない。また、真空脱ガス装置であってもVD装置に限定されず、VOD装置(タンク脱ガス装置)などを採用してもよい。
高清浄鋼の製造方法を示した模式図である。 各処理における攪拌動力密度の上下限値を示す図である。
符号の説明
1 2次精錬装置
2 真空脱ガス装置
3 溶鋼
4 取鍋
4a 上部口
5 蓋体
6 吹き込み口
7 載置台
8 ガス導入管
9 ガス吹き込み手段
10 電極
11 フラックス供給手段
12 排気手段
13 排気管
14 密閉蓋体

Claims (1)

  1. 転炉又は電気炉から出鋼された溶鋼に対し1回目の電極加熱式の精錬装置を用いた2次精錬を行い、該1回目の電極加熱式の精錬装置を用いた2次精錬終了後の溶鋼に対して脱ガス処理を行い、該脱ガス処理後の溶鋼に対して2回目の電極加熱式の精錬装置を用いた2次精錬を行うことで高清浄鋼を製造する高清浄鋼の製造方法において、
    前記1回目の電極加熱式の精錬装置を用いた2次精錬処理では、攪拌動力密度が5〜60W/tonとなるように吹き込みガスの流量を調整すると共に、前記脱ガス処理後のスラグ組成が、CaO/SiO2≧3.5且つCaO/Al23=1.5〜3.5且つT.Fe+MnO≦1.0質量%となるようにスラグ調整を行い、
    前記脱ガス処理では、当該脱ガス処理の中期までは攪拌動力密度が50〜200W/tonとなるように吹き込みガスの流量を調整し、脱ガス処理の中期以降は攪拌動力密度が140W/ton以下(0W/tonを除く)となるように吹き込みガスの流量を調整し、
    前記2回目の電極加熱式の精錬装置を用いた2次精錬処理では、攪拌動力密度が25W/ton以下(0W/tonを除く)となるように吹き込みガスの流量を調整することを特徴とする高清浄鋼の製造方法。
JP2006058435A 2006-03-03 2006-03-03 高清浄鋼の製造方法 Active JP4884802B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006058435A JP4884802B2 (ja) 2006-03-03 2006-03-03 高清浄鋼の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006058435A JP4884802B2 (ja) 2006-03-03 2006-03-03 高清浄鋼の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007231410A JP2007231410A (ja) 2007-09-13
JP4884802B2 true JP4884802B2 (ja) 2012-02-29

Family

ID=38552295

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006058435A Active JP4884802B2 (ja) 2006-03-03 2006-03-03 高清浄鋼の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4884802B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5800465B2 (ja) * 2010-03-31 2015-10-28 株式会社神戸製鋼所 高清浄度鋼の製造方法
JP2011214083A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Kobe Steel Ltd 取鍋精錬方法
JP5921768B2 (ja) 2012-05-14 2016-05-24 ポスコ 高清浄溶鋼の製造方法及び精錬装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6254064A (ja) * 1985-09-02 1987-03-09 Aichi Steel Works Ltd 高品質肌焼鋼の製造法
JPH10195521A (ja) * 1997-01-09 1998-07-28 Kawasaki Steel Corp Al含有ステンレス鋼の高清浄化方法
JP3903580B2 (ja) * 1998-03-26 2007-04-11 Jfeスチール株式会社 高清浄度鋼の溶製方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007231410A (ja) 2007-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2012172169A (ja) 有価金属回収方法
US20160122853A1 (en) Processes for producing low nitrogen essentially nitride-free chromium and chromium plus niobium-containing nickel-based alloys and the resulting chromium and nickel-based alloys
CN101029345A (zh) 低磷电渣重熔钢的生产方法
JP4257368B2 (ja) 高清浄度鋼の製造方法
JP5800465B2 (ja) 高清浄度鋼の製造方法
JP4884802B2 (ja) 高清浄鋼の製造方法
WO1996017093A1 (fr) Procede d'affinage de metal en fusion
JP5063966B2 (ja) 溶鋼の製造方法
JP2014019886A (ja) 取鍋脱ガス方法
WO2012146826A1 (en) Method and apparatus for fabricating a copper product
JP6825399B2 (ja) 清浄鋼の溶製方法
JP4751100B2 (ja) 浮遊選鉱による銅の回収方法
CN113136476A (zh) 一种废弃钢材去渣冶炼方法
JP5005476B2 (ja) 高清浄度鋼の製造方法
CN101886203B (zh) 一种低氮硅铁产品
CN102634717B (zh) 一种车轴钢钢锭的制造方法
JPH07238344A (ja) 高清浄鋼およびその製造方法
JP5096779B2 (ja) 溶鋼への希土類元素の添加方法
JP6443192B2 (ja) FeSi合金粒を用いたスラグの改質方法
JP6471553B2 (ja) 鋳造装置および鋳造方法
KR101660774B1 (ko) 전로 조업 방법
JP2007177296A (ja) 溶鋼の脱酸方法
JP4726448B2 (ja) 球状黒鉛鋳鉄の製造方法
JP3832222B2 (ja) 溶鋼の精錬方法
CN108504822A (zh) 一种控制超低碳钢中小粒径氧化铝夹杂物形貌的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080926

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110222

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110406

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111206

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111207

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141216

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4884802

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150