JP4884367B2 - 神経疾患を発症する危険性を決定するための方法 - Google Patents

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Description

本発明は、神経疾患の診断の領域に関する。より詳細には、本発明は、アルツハイマー病または多発性硬化症のような神経疾患を発症する危険性を決定するための方法を提供する。本発明の方法は、診断対象の被験体のMBL遺伝子における1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無の検出に基づく。
マンナン結合レクチン(MBL)は、肝細胞によって合成される血漿中コレクチン(コラーゲン様およびC型レクチンドメインの両方を伴うタンパク質)であり、血流に分泌される。MBLは、補体活性化のMBL経路を介する自然免疫系において重要な役割を有すると考えられる。MBLは、広範な細菌および他の微生物に結合することができ、それらを中和する、ならびに/または補体活性化のレクチン経路を使用して補体を活性化することによってそれらにオプソニンを作用させる多量体分子である。MBLは、細菌、真菌、ウイルスおよび原生動物において特徴的に提示されるが、哺乳動物細胞においては認められない反復性のマンノースおよびN−アセチルグルコサミン糖モチーフに結合する(非特許文献1)。MBLは、糖修飾型病原体に対する任意の一次免疫応答の最初の数時間/数日において重要な役割を果たすことが示唆されている。これは、適応免疫系が作動状態になる前の第一線の防御を宿主に提供する。さらに、ヒトでは、MBLは、適応系が未だ未熟である月齢6〜18箇月において特に重要であり得る。
ヒトコレクチン遺伝子は、すべて、第10染色体上のクラスター(q21−24)に局在する(非特許文献2)。2種のヒトMBL遺伝子、MBL−1(偽遺伝子)およびMBL−2(タンパク質産物をコードする)が存在する。MBL−2は、シグナルペプチド、システインリッチ領域およびグリシンリッチコラーゲン性領域の一部をコードするエキソン1(図1)を伴う4種のエキソンを含んでなる。エキソン2は、コラーゲン性領域の残りの部分をコードし、エキソン3は、「ネック」領域として公知であるαヘリックスによるコイルドコイル構造をコードする。第4のエキソンは、球状の形状構成に適応する炭水化物認識ドメインをコードする。
MBL欠乏は、異なる多くの集団において報告されており、3つの構造および3つのプロモーター変異によって概要が説明される。構造変異は、高い頻度(一般に、ほとんどの集団研究において15%もしくはそれ以上の累積対立遺伝子頻度)で発生し、エキソン1のコドン52、54および57(それぞれ、ヌクレオチド+154、+161および+170)における一塩基変化である。変化は:Arg−52からCys(R52C、MBL D変異体)、Gly−54からAsp(G54D、MBL B変異体)およびGly−57からGlu(G57E、MBL C変異体)である。A変異体は野生型MBLであり、Oは、組み合わされたすべての変異体を指す(非特許文献3;非特許文献4)。BおよびC変異体は、コラーゲン三重螺旋を形成する改変された能力を生じるコラーゲン性領域のGly−Xaa−Xaa反復が破壊されている。D変異体は、さらなるシステイン残基を導入し、従って、さらなるジスルフィド結合の作製によってオリゴマー形成を破壊し得る。B変異体変異はユーラシア人集団の22〜28%において生じる一方、C変異体変異はサブ・サハラ・アフリカ人集団の特徴であり、それは、50−60%の頻度に達する。D変異は、欧州人集団において14%の頻度に達するが、それ以外では、それよりかなり低くあり得る。
上記の構造遺伝子変異に加えて、MBL遺伝子のプロモーター領域および5’UTRにおけるいくらかの多型が記載されている(非特許文献4)。これらは、MBL遺伝子のそれぞれ−550位、−221位および+4位のH/L、Y/XおよびP/Q座位である。3つの座位は密接に連結し、4つのプロモーターハプロタイプ(LXP、LYP、LYQおよびHYP)が一般に見出される。
連鎖不平衡のため、7つのハプロタイプ:HYPA、LYPA、LYQA、LXPA、LYPB、LYQC、およびHYPDしか一般に見出されていない(非特許文献1)。他には、ごく稀な2つのハプロタイプ:全身性エリテマトーデスを伴う3例のアフリカ系アメリカ人におけるHXPA(非特許文献5)および欧州系ブラジル人において最近見出されたLYPD(非特許文献6)が記載されている。
血清におけるMBL2の濃度は、健康な個体間で高度に変動する。この変動は、プロモーター、5’UTRおよびエキソン1多型の存在によって、十分に遺伝的に決定される。先の研究では、3つの構造変異体B、C、およびDならびにプロモーターハプロタイプのいくつかが、血清におけるMBL濃度に対する優性効果を有することが示されている。7つのハプロタイプの組み合わせから作製される遺伝子型は、健康なヒトにおいて見出される1000倍の濃度変動の主な原因である。3つのすべてのエキソン1変異体は、野生型遺伝子のホモ接合体と比較して、有意に減少したMBLレベルに関連する。例えば、比較的一般的なA/Bヘテロ接合体は、一般に、A/A個体において見出されるMBL濃度の約10分の1を有する一方、B/Bホモ接合体または複合変異体ヘテロ接合体(B/Cなど)は、典型的に、酵素免疫測定法(ELISA)のほぼ検出限界のMBLレベルを所有する。これらの変異体構造変更は、コラーゲン形成自体の開始の破壊を生じ、適切な三量体形成を妨げて、非機能的MBL2ペプチドを生じる。これらの構造異常ペプチド鎖によって、MBLはマトリックスメタロプロテアーゼタンパク質分解をさらに受け易くなり、血清において測定可能なMBL2は縮小されたものであることが示されている。二型性H/LおよびY/X座位は、転写レベルでの変調を可能にし、付随する産生H>LおよびY>Xを伴う(非特許文献7)。高MBL2産生性のハプロタイプはHYPであり、LYQおよびLYPがこれに続くことが良好に確立されている一方、LXPハプロタイプは、最も低いレベルの血清中MBL2に関連する。LXプロモーターは、B構造遺伝子変異体を伴う個体において見出されるのと同様のMBL2レベルに影響を及ぼすことが示されている(非特許文献8)。
いくらかの研究によって、血流における可溶性MBL2の欠乏は、個体の感染に対する全体的なかかり易さを増加し、免疫が同時に障害を受ける(co−compromised)場合の重要な危険因子を構成することが示されている。いくらかの独立した報告から、低いMBL2濃度は、特に小児および化学療法を経験する癌患者のような免疫無防備状態の個体における回帰感染に関与することが示されている。さらに、MBL2は、自己免疫疾患、嚢胞性線維症の経過に影響を及ぼし得、おそらく反復流産に関与する。免疫不全ウイルス(HIV)感染におけるMBL2の役割はかなり注目されており、若干相反する所見を生じている。ウイルス性肝炎に関するMBL2の役割についてもまた、討論されている。一般に、B型肝炎またはC型肝炎ウイルスのいずれかによる慢性感染は、一般に、低減されたMBLに関連する(非特許文献7)。
対照的に、リーシュマニア(leishmania)のようないくつかの細胞内寄生体に対し、MBL欠乏は保護的であり得るという証拠が存在し、これは、サブ・サハラ・アフリカおよび南米における高頻度のMBL変異を説明し得る。
MBLと疾患との間の関連は複雑であるという証拠がますます増えている。現在、MBLはまた、感染および自己免疫疾患の両方において疾患の重度を変調することが可能であることを示唆する多くの出版物が出現している(非特許文献9)。MBLがそのような効果を発揮する機構は不明であるが、前炎症性サイトカインの用量依存的変調による1つの可能性が存在する。
ランツレイン(Lanzrein)ら(非特許文献10)は、コントロール被験体と比較して、アルツハイマー病(AD)患者のCSFにおいて低減されたレベルのMBL2を観察した。MBL2の血清レベルは、同じ患者において変化しなかったため、CSFにおけるMBL2のこのような減少は、AD患者における補体活性化に関係する高い程度のMBL消費に関連するようである。これまでのところ、ADまたは他の神経疾患におけるMBLによる遺伝的関連の研究については報告されていない。
アルツハイマー病(AD)は、不可逆的な認識および身体的悪化によって特徴付けられる加齢に関連する進行性の神経変性障害である。ADの発症率は年齢と共に増加し、65歳を超える高齢者では10人中1人および85歳を超える高齢者では2人中ほぼ1人が罹患している。全体的に、該疾患の自然経過は、究極的に破壊的な記憶喪失、重大な行動および人格変化、ならびに重度の損傷を受けた認識能力を生じる不可逆的な進行性の脳障害として特徴付けることができる。これらの障害は、脳細胞の根本的な死滅および該脳細胞間のコミュニケーションの崩壊に関連する。AD患者のための施設および付随的ケアを提供しなければならない保険医療システムがかなり高額であることを考慮すると、社会および国民経済に対するADの影響は極めて大きい。
疫学調査では、高い実年齢、女性、低い教育レベルおよび認知症の家族歴が認められることを含むADにおけるいくらかの既知または潜在的な危険因子が実証されている(非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14)。同定される異なる遺伝子マーカーのうち、現在、最も重要な危険因子はアポリポタンパク質E(ApoE)である。ε4対立遺伝子は、早発性および遅発性家族性ADならびに散発性ADの感受性遺伝子として認識される(非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18)。より最近、ApoE遺伝子のプロモーター領域の他の多型は、ADに関連することが見出されている(非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21;非特許文献22)。常染色体優性早発性ADでは、3つのさらなる遺伝子における変異、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、プレセニリン1(PSEN1)、およびプレセニリン2(PSEN2)遺伝子が同定されている(非特許文献23;非特許文献24)。プレセニリン−1(PSEN1)遺伝子型およびCYP46多型もまた、より高い危険性の遅発性散発性ADと関連している(非特許文献25;非特許文献26)。しかし、APP、PSENおよびCYP46変異の相対的寄与は、かなりの論争の主題であり、他の遺伝的因子の関与が示唆される。
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系(CNS)の炎症性疾患である。主に、それは、白質組織の疾患である。MSに罹患したヒトでは、プラークと呼ばれる損傷部の斑点または病巣が、CNS白質の見かけ上無作為な領域に出現する。病巣部位では、ミエリンと呼ばれる神経の絶縁物質が失われる(即ち、脱髄)。MSを伴うヒトは、脳または脊髄によって制御されるかもしくはそれらを介して通過する任意の機能の部分的または完全な消失を経験し得る。
MSの最も明白な危険因子は性別(女性)である。すべての研究において、女性の方が男性よりも多く罹患する。他の危険因子には、民族性(MSは、北欧系の白色人種に最も多く、アジア、アフリカおよび米国先住民の間では極めて稀である)ならびに家族歴が含まれる。MSを伴う血縁者を有するヒトは、MSの家族歴を伴わないヒトよりも疾患を発症する可能性が高い。多様な集団の研究から、発病に関与する遺伝的感受性が存在することは明らかなようである。
他のいくらかの神経疾患は、所定の遺伝的危険因子に関連している。レビー小体型痴呆(DLB)は、例えば、進行性の認知症または精神病を提示する病気である。発症時には認められないかまたは軽度であり得るパーキンソン病の症状は、終局的には一般的になり、筋固縮は、通常、重度である。レビー小体は、脳幹、前脳基底部、視床下部神経核および新皮質において豊富に見出される。レビー小体型痴呆は、脳においてタングルおよび過リン酸化タウが相対的に認められないことによって特徴付けられる。パーキンソン病(PD)は、中高年期に生じるレビー小体病のタイプであり、極めて緩徐な進行および長期間の経過を伴う。それは、主に、黒質線条体ドーパミン系に関与する神経系疾患の例としてみなすことができる。コントロールと比較して、PD患者の間では、一般的なCYP2D6変異対立遺伝子、CYP2D6Bの頻度の上昇が認められており、この対立遺伝子に対してホモ接合またはヘテロ接合である被験体では危険性は約2倍に増える(非特許文献27;非特許文献28)。他のいくらかの遺伝子マーカーも、グルコセレブロシダーゼ(非特許文献29)、モノアミンオキシダーゼA(非特許文献30;非特許文献31)、モノアミンオキシダーゼB(非特許文献32;非特許文献33)、ドーパミン受容体およびトランスポーター(非特許文献34;非特許文献35;非特許文献36)、ならびにカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(非特許文献37)のようなPDと、可変的に関連することがある。遺伝的危険因子と所定の神経疾患とのこれらの異なる関連にもかかわらず、神経疾患を発症する危険性の信頼し得る予測を提供するより正確な遺伝子マーカーに対する調査が継続して行われている。
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本発明は、被験体が神経疾患を発症する危険性にある(増強されたまたは上昇した危険性を有する)かどうかを決定するための方法およびキットを提供する。本発明の方法およびキットは、前記被験体のMBL遺伝子における1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無の検出に基づく。前記遺伝子における核酸変異体の有無に基づいて、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定することができる。
本発明の方法およびキットは、特に、プロモーター領域、5’非翻訳領域(5’UTR)およびMBL2遺伝子のエキソン1における核酸変異体配列の検出に関する。より詳細には、本発明は、核酸位置−550、−221、+4、+154、+161および/または+170でのMBL2遺伝子における核酸変異体配列の検出に関する。本発明の好適な実施態様では、以下の核酸変異体配列が、MBL2遺伝子において、−550位(G>C)、−221位(G>C)、+4(C>T)位、+154位(C>T)、+161位(G>A)および/または+170位(G>A)で検出される。本発明の別の好適な実施態様では、以下の核酸変異体配列が、MBL2遺伝子において、−221位(G>C)、+154位(C>T)、+161位(G>A)および/または+170位(G>A)で検出される。
MBL2遺伝子の+154位でのヌクレオチドT(変異体D)、+161位でのヌクレオチドA(変異体B)および+170位でのヌクレオチドA(変異体C)の普及は、コントロール群における被験体と比較して、ADを患う被験体ではかなり低いようであった。従って、+154位でのヌクレオチドT(変異体D)、+161位でのヌクレオチドA(変異体B)および+170位でのヌクレオチドA(変異体C)の非存在、またはハプロタイプHYPD、LYPBおよびLYQCの非存在は、被験体がアルツハイマー病のような神経疾患を発症する危険性にあることを示す。
MBL2遺伝子の−221位でのヌクレオチドC(変異体X)の普及は、コントロール群における被験体と比較して、ADを患う被験体ではかなり高いようであった。従って、−221位でのヌクレオチドC(変異体X)の存在、またはハプロタイプLXPAの存在は、被験体がアルツハイマー病のような神経疾患を発症する危険性にあることを示す。
LYPAハプロタイプの普及は、コントロール群における被験体と比較して、MSを患う患者ではより高いようであった。従って、ハプロタイプLYPAの存在は、被験体が多発性硬化症のような神経疾患を発症する危険性にあることを示す。
MBL遺伝子における核酸変異体もまた、それらの表現型によって検出することができる。表現型検出は、MBL産物の1つもしくはそれ以上のタンパク質変異体の濃度の測定および/またはMBL産物の機能的活性の測定を含む。
本発明の方法およびキットであれば、任意の神経疾患を発症する危険性を決定することができる。好適な実施態様では、危険性は、アルツハイマー病、ピック病、パーキンソン病、レビー小体型痴呆、ハンチントン病、第13染色体認知症(chromosome 13 dementias)、ダウン症候群、脳血管疾患、多発性硬化症、ラスムッセン脳炎、ウイルス性髄膜炎、神経精神全身性エリテマトーデス(NPSLE、マクネ(McCune)およびゴルバス(Golbus)、1988年;ファイングラス(Feinglass)ら、1989年;ハンリー(Hanly)およびリャーング(Liang)、1997年;クロアケ(Croake)ら、1998年)、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、伝染性海綿状脳症、虚血再潅流損傷(例えば、脳卒中)、脳外傷、微生物感染または慢性疲労症候群の発症について決定される。
本発明の方法およびキットは、インビボでもまたはインビトロでも使用することができる。好適な実施態様では、方法およびキットは、脳、血液、血漿、唾液、皮膚および脳脊髄液を含むがそれらに限定されない組織サンプルまたは体液サンプルのような生物学的サンプルに対してインビトロで行われる。
本発明の方法およびキットはまた、神経疾患を発症する危険性を決定するための他の方法と組み合わせて行うことができる。好適な実施態様では、方法およびキットは、ApoE遺伝子型分類のための方法および/または他のマーカーと組み合わせて行われる。
本発明は、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための方法およびキットに関する。本発明の方法およびキットは、被験体のMBL遺伝子における1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無の検出に基づく。本発明は、MBL遺伝子における所定の核酸変異体が、コントロール被験体と比較して、ADまたはMSを患う患者においてより高い頻度で存在する一方、MBL遺伝子における他の核酸変異体が、コントロール被験体と比較して、ADまたはMSを患う患者においてより高い頻度で存在しないことを同定している。従って、本発明は、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための方法であって、下記工程:
(a)前記被験体のMBL遺伝子における1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無を検出し;次いで
(b)工程(a)において検出される核酸変異体から、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定し、それによって、MBL遺伝子における所定の変異体配列の非存在または存在が、被験体が神経疾患を発症する危険性にあることを示すものである
を含む、方法を提供する。
核酸変異体配列は、好ましくは、MBL2遺伝子のプロモーター領域、5’非翻訳領域(5’UTR)、および/またはエキソン1において検出される。より詳細には、MBL2遺伝子における核酸変異体配列が、核酸位置−550、−221、+4、+154、+161および/または+170で検出される。本発明の好適な実施態様では、以下の核酸変異体配列が、MBL2遺伝子において、−550位(G>C)、−221位(G>C)、+4(C>T)位、+154位(C>T)、+161位(G>A)および/または+170位(G>A)で検出される。本発明の別の好適な実施態様では、以下の核酸変異体配列が、MBL2遺伝子において、−221位(G>C)、+154位(C>T)、+161位(G>A)および/または+170位(G>A)で検出される。
従って、本発明は、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための方法であって、下記工程:
(a)前記被験体のMBL2遺伝子の−221位(G>C)、+154位(C>T)、+161位(G>A)および/または+170位(G>A)の1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無を検出し;次いで
(b)工程(a)において検出される核酸変異体から、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定し、それによって、MBL2遺伝子における所定の変異体配列の非存在または存在が、被験体が神経疾患を発症する危険性にあることを示すものである
を含んでなる、方法を提供する。
より具体的には、本発明は、MBL2遺伝子の+154位でのヌクレオチドT(変異体D)、+161位でのヌクレオチドA(変異体B)および+170位でのヌクレオチドA(変異体C)の普及が、コントロール群における被験体と比較して、ADを患う被験体ではかなり低いようであったことを同定している。従って、+154位でのヌクレオチドT(変異体D)、+161位でのヌクレオチドA(変異体B)および+170位でのヌクレオチドA(変異体C)の非存在は、被験体がADのような神経疾患を発症する危険性にあることを示し、本発明の方法は、以下の工程を含んでなる:
(a)前記被験体のMBL2遺伝子の+154位(nt T)、+161位(nt A)および/または+170位(nt A)の1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無を検出し;次いで
(b)工程(a)において検出される核酸変異体から、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定し、それによって、MBL2遺伝子の+154位のヌクレオチドT(変異体D)、+161位のヌクレオチドA(変異体B)および+170位のヌクレオチドA(変異体C)の非存在が、被験体がADのような神経疾患を発症する危険性にあることを示すものである。
+154位のヌクレオチド配列T(変異体D)、+161位のヌクレオチドA(変異体B)および+170位のヌクレオチドA(変異体C)は、MBL2ハプロタイプHYPD、LYPBおよびLYQCに対応する。従って、ハプロタイプHYPD、LYPBおよびLYQCの非存在は、被験体がADのような神経疾患を発症する危険性にあることを示す。
本発明は、MBL2遺伝子の−221位のヌクレオチドC(変異体X)の普及が、コントロール群における被験体と比較して、ADを患う被験体ではかなり高いようであったことをさらに同定している。従って、−221位のヌクレオチドC(変異体X)の存在は、被験体がADのような神経疾患を発症する危険性にあることを示し、本発明の方法は、以下の工程を含んでなる:
(a)前記被験体のMBL2遺伝子の−221位での核酸変異体の有無を検出し;次いで
(b)工程(a)において検出される核酸変異体から、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定し、それによって、MBL2遺伝子の−221位のヌクレオチドC(変異体X)の存在が、被験体がADのような神経疾患を発症する危険性にあることを示すものである。
−221位のヌクレオチド配列C(変異体X)は、MBL2ハプロタイプLXPAに対応する。従って、ハプロタイプLXPAの存在は、被験体がADのような神経疾患を発症する危険性にあることを示す。
本発明は、ハプロタイプLYPAの普及が、コントロール群における被験体と比較して、MSを患う被験体ではより高いようであったことをさらに同定している。従って、ハプロタイプLYPAの存在は、被験体がMSのような神経疾患を発症する危険性にあることを示し、本発明の方法は、以下の工程を含んでなる:
(a)前記被験体においてMBLハプロタイプを検出し;次いで
(b)工程(a)において検出されるハプロタイプから、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定し、それによって、ハプロタイプLYPAの存在が、被験体がMSのような神経疾患を発症する危険性にあることを示すものである。
用語「核酸」は、8ヌクレオチドから完全なヌクレオチド配列までを含有し得る一本鎖または二本鎖の核酸配列を指す。約100ヌクレオチド長まである核酸もまた、しばしば、オリゴヌクレオチドと称される。核酸は、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、ヌクレオチドアナログまたは修飾されたヌクレオチドよりなり得、あるいは治療目的のために適応されていてもよい。
本発明において使用される用語「変異体」または「核酸変異体」は、MBL遺伝子における所定の位置の核酸配列が、1つもしくはそれ以上の参照核酸配列(Genebank NM_000242.1およびNT_024082)に対して異なることを意味する。用語「核酸多型」または「多型」は、集団の>1%の配列に存在する集団における2もしくはそれ以上の変異体の存在を表す。ほとんどの単一核酸多型は、一ヌクレオチド、即ち、一塩基多型またはSNPに影響を及ぼす多型である。核酸多型は、1つもしくはそれ以上の参照核酸の主要なヌクレオチド配列に対する調査対象の核酸の主要なヌクレオチド配列における任意の数の連続および/または非連続的差異をさらに含む。用語「多型位置」または「位置」は、核酸多型が生じる核酸位置を指す。少なくとも1つのそのような多型を含んでなる核酸配列は、「多型核酸配列」、「多型ポリヌクレオチド」、「多型配列」などと称される。
用語「ハプロタイプ」は、単一の染色体上において見出される連続多型の特定のパターンを意味する。本明細書において使用する用語「対立遺伝子」は、特定の染色体位置(座位)の遺伝子またはDNA配列のいくらかの代替的形態の1つである。各常染色滞座位で、個体は2つの対立遺伝子を所有し、1つは父方から遺伝されたものであり、1つは母方から遺伝されたものである。
MBL2遺伝子、ヒトMBLタンパク質をコードする遺伝子の部分の構造を図1に示す。MBL2遺伝子は4つのエキソンを有する。エキソン1は、以下の3つの一塩基多型を含有する:
− 核酸位置154(C>T):コドン52(R52C)、「変異体D」と称される;
− 核酸位置161(G>A):コドン54(G54D)、「変異体B」と称される;
− 核酸位置170(G>A):コドン57(G57E)、「変異体C」と称される;
一方、野生型のMBL2遺伝子は「変異体A」と称される。
これらの多型は、それぞれコラーゲン様ドメインにおいて単一のアミノ酸置換をもたらし、その構造においていくつかの異常を生じる。
MBL2遺伝子のプロモーターおよび5’非翻訳領域もまた多型である。一塩基多型は:
− 核酸位置−550(G>C):変異体H/L;
− 核酸位置−221(G>C):変異体Y/X;
− 5’UTR(C>T)の核酸位置+4:変異体P/Q
に存在する。
プロモーター変異体は、コーディング変異体(coding variant)と絶対連鎖不平衡(absolute linkage desequilibrium)の状態にあり、64の可能なハプロタイプのうち僅か7つしか観察されていない、即ち、HYPA、LXPA、LYQA、LYPA、HYPD、LYPBおよびLYQC(ミンチントン(Minchinton)ら、2002年)。次の他の2つの稀なハプロタイプについても記載されている:HXPA(サリバン(Sullivan)ら、1996年)およびLYPD(ボルド(Boldt)およびペッツル−エルラー(Petzl−Erler)(2002年)。
本明細書において使用するMBL2アミノ酸変化の命名法は、一般に受け入れられており、デン・デュネン(den Dunnen)およびアントナラキス(Antonarakis)(2000年)によって推奨されている。配列変体の説明のための命名法の頻回な改訂は、Human Genome Variation Societyのウェブサイト上に提供されている。
本発明の方法が行われる被験体は、神経疾患を発症する危険性を決定することが必要である任意の被験体であり得る。被験体は、(限定されないが)ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、サル、ウサギ、ノウサギ、ニワトリ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ハムスター、ヘラジカ、シカ、トラ、ゾウ、ゼブラフィッシュ、フグ(Fugu)、ハエ、虫(worm)またはC.エレガンス(C.elegans)のような非ヒト被験体であってもよい。好ましくは、被験体は霊長類である。さらに好ましくは、被験体はヒトである。
本発明の方法であれば、任意の神経疾患を発症する危険性を決定することができる。中枢神経系(CNS)における免疫および炎症反応は、アルツハイマー病、重症筋無力症、多発性硬化症、微生物感染、頭部外傷および脳卒中、ピック病、パーキンソン病、レビー小体型痴呆、ハンチントン病、第13染色体認知症、ダウン症候群、脳血管疾患、ラスムッセン脳炎、ウイルス性髄膜炎、NPSLE、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、伝染性海綿状脳症、虚血再潅流損傷のような多様な慢性および急性神経疾患において観察される。従って、好適な実施態様では、アルツハイマー病、ピック病、パーキンソン病、レビー小体型痴呆、ハンチントン病、第13染色体認知症、ダウン症候群、脳血管疾患、多発性硬化症、ラスムッセン脳炎、ウイルス性髄膜炎、NPSLE、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、伝染性海綿状脳症、虚血再潅流損傷(例えば、脳卒中)、脳外傷、微生物感染または慢性疲労症候群を発症する危険性が決定される。
用語「神経疾患を発症する」は、本発明の方法が行われる時点では、被験体は何ら神経疾患の臨床徴候を示さないが、前記被験体は、生涯において後に神経疾患の臨床徴候を示すであろうことを意味する。用語「神経疾患を発症する」は、本発明の方法が行われる時点で、被験体は、既に神経疾患の臨床徴候を示すことをさらに含意し得る。本発明の方法は、次いで、神経疾患の鑑別診断または疾患進行の経過および重度をモニターするために行われる。用語「危険性」、「増強された危険性」、「上昇した危険性」または「可能性」は交換可能であり、神経疾患を発症する可能性について使用される。
本発明の方法は、インビボでもまたはインビトロでも使用することができる。しかし、被験体から得られる生物学的サンプル中のMBL遺伝子における核酸変異体のインビトロ検出が好適である。用語「生物学的サンプル」は、組織サンプルまたは体液サンプルを意味する。組織サンプルとしては、脳サンプル、口腔細胞(bucal cell)または皮膚サンプルが挙げられる(但し、これらに限定されない)。用語「体液」は、血液、血漿、血清、リンパ、尿、唾液または脳脊髄液を含むがこれらに限定されない身体に存在するすべての液体を指す。用語「脳脊髄液」または「CSF」は、脳脊髄液全体または当業者に周知のその画分の誘導体を含むことが意図される。従って、脳脊髄液サンプルは、多様な分画された形態の脳脊髄液を含むことができるか、または添加されて貯蔵もしくは特定のアッセイにおけるプロセシングを容易にする多様な希釈を含むことができる。生物学的サンプルはまた、必要であれば、例えば、均質化するかまたは抽出することによって、それを前処置に供することにより入手してもよい。そのような前処置は、供しようとする生物学的サンプルに依存して、当業者によって適切に選択することができる。
生物学的サンプルから調製される意図される配列を含んでなる核酸は、DNAまたはRNAから調製することができる。サンプルからの核酸の遊離、濃縮および単離は、当該分野において公知の任意の方法によって行うことができる。現在、血液サンプルからの核酸の単離のためのキアゲン(Qiagen)(Hilden、独国)由来のQIAamp Blood Kit、または「High pure PCR Template Preparation Kit」(ロッシュ・ダイアノスティクス(Roche Diagnostics)、Basel、瑞国)のような多様な市販のキットが利用可能である。生物学的サンプルからのDNAまたはRNAの単離のための他の周知の手順も利用可能である(サンブルック(Sambrook)ら、1989年)。
核酸の量が評価には低いまたは不十分である場合、核酸を増幅してもよい。そのような増幅手順は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および逆転写ポリメラーゼ反応(RT−PCR)を含む当該分野において公知のそれらの方法によって達成することができる。
抽出および/または増幅手順を実施した後、標的配列(MBL遺伝子)における所定の核酸変異体の有無を検出することができる。核酸配列において単一ヌクレオチド異形を検出するための多数の方法が、当該分野において周知である。本発明は、本明細書において開示する標的配列を検出するために使用される任意の特定の方法によって、限定されることはない。そのような方法の例は、ガット(Gut)(2001年)およびサイバネン(Syvanen)(2001年)によって記載されており、ハイブリダイゼーション法、例えば、リバースドットブロット、LiPA、geneChipマイクロアレイ、DASH、PNAおよびLNAプローブ、TaqMan(5’ヌクレアーゼアッセイ)および分子ビーコン;対立遺伝子特異的PCR法、例えば、インターカレーティング色素、FRETプライマーおよびAlphascreen;プライマー伸長法、例えば、ARMS、カイネティック(kinetic)PCR、SNPstream、GBA、マルチプレックス・ミニシーケンス(multiplex minisequencing)、SNaPshot、ピロシーケンス、MassExtend、MassArray、Goodassay、マイクロアレイminiseq、APEX、マイクロアレイプライマー伸長、Tagアレイ、コードされたマイクロスフェア、TDI、蛍光偏光、オリゴヌクレオチド・ライゲーション法、例えば、発色OLA、配列コード化OLA、マイクロアレイ・ライゲーション、リガーゼ連鎖反応、パドロックプローブおよびローリングサークル増幅、エンドヌクレアーゼ切断法、例えば、制限部位解析(RFLP)およびInvaderアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。可能なMBL遺伝子型分類方法論についてもまた、ターナー(Turner)ら(2000年)、ステフェンセン(Steffensen)(2000年)、ボルド(Boldt)およびペッツ−エルラー(Petz−Erler)(2002年)、キルパトリック(Kilpatrick)(2002年b)、ステフェンセン(Steffensen)(2003年)およびガーレッド(Garred)ら(2003年)に記載されている。
被験体のMBL遺伝子における核酸変異体の存在はまた、例えば、前記被験体の血清または血漿におけるMBL産物の濃度、構造および機能性にも表現型として反映し得る。MBL2遺伝子におけるプロモーター変異は、MBL2の産生の減少に関連する。3つのすべてのエキソン1変異体は、MBL2レベルの濃度および機能性の有意な減少と関連し、異なるタンパク質変異体を生じる。従って、本発明はまた、被験体が神経疾患を発症する危険性を有するかどうかを決定するための方法を包含し、ここで、MBL遺伝子における核酸変異体は、それらの表現型によって検出される。MBL遺伝子における核酸変異体の表現型検出は、前記被験体におけるMBL産物の1つもしくはそれ以上のタンパク質変異体の測定を包含し得る。従って、本発明は、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための方法であって:
(a)MBL産物の1つもしくはそれ以上のタンパク質変異体の濃度を測定すること;
(b)工程(a)における測定から、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定することであって、それによって、MBLの所定のタンパク質変異体の濃度の変化は、被験体が神経疾患を発症する危険性にあることを示すこと、
を含んでなる方法に関する。
好適な実施態様では、MBL2産物の1つもしくはそれ以上のタンパク質変異体が検出される。
好適な別の実施態様では、本発明の方法は、以下の工程を含んでなる:
(a)アミノ酸位置52でC(変異体D)、アミノ酸位置54でD(変異体B)および/またはアミノ酸位置57でE(変異体C)を伴うMBL2タンパク質変異体の濃度を測定し;次いで
(b)工程(a)における測定から、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定し、それによって、前記MBL2タンパク質変異体の濃度の減少が、被験体がADのような神経疾患を発症する危険性にあることを示すものである。
本発明において使用される用語「濃度」または「レベル」は、所定のタンパク質変異体の有無および/または量を指す。タンパク質変異体の濃度の変化は、コントロール被験体と比較した場合のタンパク質変異体濃度の測定可能な増加または減少(全体的な非存在もしくは存在を含む)を指す。
MBL遺伝子における核酸変異体の表現型検出はまた、前記被験体におけるMBL機能的活性の評価を包含し得る。従って、本発明は、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための方法であって、下記工程:
(a)MBL産物の機能的活性を測定し;
(b)工程(a)における測定から、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定し、それによって、MBL産物の機能的活性の変化は、被験体が神経疾患を発症する危険性にあることを示すものである
を含んでなる方法に関する。
「MBL産物の機能的活性」または「MBL機能的活性」は、MBL産物が補体のMBL依存性レクチン経路(MBL経路)を開始する能力を指す。
上記の方法は、インビボでもまたはインビトロでも行うことができる。しかし、被験体から得られる生物学的サンプル(上記を参照のこと)におけるMBLタンパク質変異体またはMBL機能的活性のインビトロ検出が好適である。好適な実施態様では、MBLタンパク質変異体またはMBL機能的活性は、前記被験体の脳、血液、血清、血漿、組織、口腔細胞(bucal cell)またはCSFにおいて検出される。
本発明において規定される「コントロール被験体」は、神経疾患でないかまたは神経疾患を発症する危険性がない試験対象の被験体と同じ種の被験体である。コントロール被験体の分析時に得られる濃度または機能的活性に対する試験対照の被験体の分析時に得られる任意の所定のタンパク質変異体の濃度またはMBL産物の機能的活性は、特定の分析プロトコルおよび使用する検出技術に依存する。従って、当業者であれば、本明細書の記載に基づき、任意の研究室が、使用する分析プロトコルおよび検出技術に従って、所定のMBLタンパク質変異体につて、コントロール被験体に特徴的な適切な「参照範囲」、「参照レベル範囲」、「濃度範囲」もしくは「レベルの範囲」(それらの用語は交換可能に使用される)または「参照機能的活性」を確立することができることを理解するであろう。検査対象の被験体について得られる濃度または機能的活性は、次いで、この参照と比較することができ、この比較に基づいて、被験体が神経疾患を発症する危険性を有するかどうかについての結論を導き出すことができる。また、当業者であれば、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するのに適切なカットオフ値を確立する仕方を知っているであろう。カットオフ値を規定するための方法として、IFCC(1987年)によって記載された方法が挙げられる(これに限定されない)。
本発明の方法において検出されるMBL産物は、当業者に公知の任意の方法によって検出することができる。それらは、それらの構造、部分的アミノ酸配列決定、機能アッセイ、酵素アッセイ、多様な免疫学的方法、または生化学的方法によって、同定することができる。
機能アッセイは、熱死滅させたパン酵母にオプソニンを作用させる能力の測定(ミラー(Miller)ら、1968年)、多様な微生物の食作用の評価(クールマン(Kuhlman)ら、1989年)および/または補体活性化の検出(スーパー(Super)ら、1989年;1990年;ヨコタ(Yokota)ら、1995年)を包含し得る。シーレン(Seelen)ら(2003年)により記載された補体活性化のための血清試験では、例えば、レクチン経路機能は、マンナンで被覆されたプレートを使用し、続いて、Ca2+、Mg2+およびC1qに対する阻害抗体を含有する緩衝液中での血清のインキュベーションによって、評価される。その後、膜侵襲複合体の形成が、C5b−9に対する特異的モノクローナル抗体の使用によって、検出される。MBL産物の機能的活性の測定のためのさらなるアッセイについては、シーレン(Seelen)ら(2005年)によって記載されている。
生化学的方法としては、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、超拡散(hyperdiffusion)クロマトグラフィー、2次元液相電気泳動(2−D−LPE;デビッドソン(Davidsson)ら1999年)またはゲル電気泳動にける泳動パターンの検出が挙げられる(但し、これらに限定されない)。ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)は、複合体混合物からタンパク質を分離するために広範に使用されているアプローチである(パターソン(Patterson)およびアエベルソルト(Aebersold)、1995年)。それは1または2次元(2−D)配置において実施することができる。それほど複雑ではないタンパク質調製では、1次元SDS−PAGEの方がより簡単であるため、2−Dゲルよりも好適である。しかし、SDS−PAGEは、しばしば、分解能に限界があるため、泳動または重複するタンパク質バンドが生じる。単一のバンドであると思われるものでも、実際には、異なるタンパク質の混合物である可能性がある。2−Dゲル電気泳動は、第1の次元で等電点電気泳動(IEF)および第2の次元でSDS−PAGEを組み入れ、電荷およびサイズによる分離を生じる(オファレル(O’Farrell)、1975年)。2−D PAGEは、極めて複雑なタンパク質調製物を分離するための強力な技術であり、哺乳動物組織由来の10000までのタンパク質および他の複雑なタンパク質を分離する(クローゼ(Klose)およびコバルツ(Kobalz)、1995年;セリス(Celis)ら、1996年;ヤン(Yan)ら、1997年)。本発明のMBLのタンパク質変異体は、それらの等電点(pI)およびキロダルトン(kD)でのそれらの分子量(MW)によって同定することができる。
上記に示されるように、MBLタンパク質変異体のレベルもまた、イムノアッセイによって検出することができる。本明細書において使用される「イムノアッセイ」は、抗原(即ち、MBLタンパク質変異体)に特異的に結合する抗体を利用するアッセイである。従って、イムノアッセイは、MBLタンパク質変異体の抗体への特異的結合の検出によって特徴付けられる。MBLタンパク質変異体を検出するためのイムノアッセイは、競合的であってもまたは非競合的であってもよい。非競合型イムノアッセイは、捕捉された分析物(即ち、MBLタンパク質変異体)の量を直接測定するアッセイである。競合アッセイでは、サンプル中に存在する分析物(即ち、MBLタンパク質変異体)によって捕捉因子(即ち抗体)から置換(または競合的に排除)される添加された(外因性の)分析物の量を測定することによって、サンプル中に存在する分析物(即ち、MBLタンパク質変異体)の量を間接的に測定する。1つの競合アッセイでは、既知の量の(外因性)MBLタンパク質変異体をサンプルに添加し、次いでサンプルを抗体に接触させる。抗体に結合した添加された(外因性)MBLタンパク質変異体の量は、外因性MBLタンパク質変異体が添加される前のサンプルにおけるMBLタンパク質変異体の濃度に反比例する。1つの好適な「サンドイッチ」アッセイでは、例えば、抗体を直接固体基体に結合させることができ、ここで、それらは固定化される。これらの固定化された抗体は、次いで、試験サンプルに存在する目的のMBLタンパク質変異体を捕捉する。他の免疫学的方法として、液体またはゲル沈降反応、免疫拡散(単純または二重)、凝集アッセイ、免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素免疫測定法(ELISA)、TRIFMA(クリスチャンセン(Christiansen)ら、1999年)、ウエスタンブロット、リポソームイムノアッセイ(モンロー(Monroe)ら、1986年)、補体結合アッセイ、免疫放射線検定法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、またはイムノPCRが挙げられるが、これらに限定されない。異なるイムノアッセイの概観については、ワイルド(Wild)(2001年)、ギンディリス(Ghindilis)ら(2002年)およびキルパトリック(Kilpatrick)(2002年b)に掲載されている。
好適な実施態様では、MBLタンパク質変異体のレベルはイムノアッセイによって決定され、少なくとも以下の工程を含んでなる:
(a)抗原−抗体複合体を生成させるのに適切な条件下で、MBLタンパク質変異体と、MBLタンパク質変異体を特異的に認識する抗体とを接触させ;次いで
(b)抗体とMBLタンパク質変異体との間に生じる免疫結合を検出する。
別の好適な実施態様では、MBLタンパク質変異体は、サンドイッチELISAによって検出することができ、以下の工程を含んでなる:
(a)抗原−抗体複合体を生成させるのに適切な条件下で、前記MBLタンパク質変異体と、前記MBLタンパク質変異体を認識する抗体(第一抗体または捕捉抗体)とを接触させ;
(b)抗原−抗体複合体を生成させるのに適切な条件下で、前記MBLタンパク質変異体と前記第一抗体との間で形成される複合体と、前記MBLタンパク質変異体を特異的に認識する別の抗体(第二抗体または検出抗体)とを接触させ;
(c)抗原−抗体複合体を、前記第二抗体への特異的タグ付けもしくは結合のいずれかのためのマーカーと接触させ、ここで前記マーカーは、当業者に既知の任意の可能なマーカーである;
(d)おそらくまた、標準化目的のために、抗体を、両方の抗体に反応性である精製されたMBLタンパク質変異体に接触させる。
有利なことに、第二抗体自体は、マーカーまたはマーカーに直接的もしくは間接的に結合するための基を担持する。
用語「特異的に認識する」、「特異的に結合する」、「特異的に反応する」または「特異的に免疫反応を形成する」は、他のタンパク質および/または他の生物製剤の異種集団の存在下でのサンプルにおける前記MBLタンパク質変異体の存在の決定因子であるMBLタンパク質変異体に対する抗体による結合反応を指す。従って、指定された免疫アッセイ条件下では、特定された抗体は、好ましくは、MBLタンパク質変異体に結合する一方、他のMBLタンパク質変異体および他のタンパク質への結合は、有意な量では生じない。
試験下でMBLタンパク質変異体を認識する任意の抗体は、上記の方法で使用することができる。
多様な抗体フラグメントがパパイン、ペプシンまたは他のプロテアーゼによる無傷な(intact)抗体の酵素消化によって規定される一方、当業者であれば、化学的にまたは組換えDNA方法論を利用することのいずれかによって、そのような抗体フラグメントならびにフルサイズの抗体を合成することができることを理解するであろう。従って、本明細書において使用する抗体という用語はまた、抗体および抗体全体の修飾によって生成されるかまたは組換えDNA方法論を使用して合成される抗体フラグメントを含む。マウスモノクローナル抗体のヒト化バージョンもまた、組換えDNA技術によって作製され、HおよびL鎖をコードするマウスならびに/またはヒトゲノムDNA配列かあるいはHおよびL鎖をコードするcDNAクローンから出発する。あるいは、本発明の方法において使用されるモノクローナル抗体は、ヒトモノクローナル抗体であってもよい。用語「ヒト化抗体」は、免疫グロブリンのフレームワーク領域の少なくとも一部がヒト免疫グロブリン配列から誘導されることを意味する。
本発明の方法において使用される抗体は、適切な標識で標識することができる。アッセイにおいて使用される特定の標識または検出可能な基は、アッセイにおいて使用される抗体の特異的結合を有意に妨害しない限り、本発明においてそれほど重要な局面ではない。検出可能な基は、検出可能な物理的または化学的特性を有する任意の物質であり得る。そのような検出可能な標識は、イムノアッセイの分野において良好に開発されており、一般に、そのような方法において使用される任意のほとんどの標識を、本発明の方法に適用することができる。従って、標識は、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、放射線学的、光学的、または化学的手段によって検出可能な任意の組成物である。本発明において有用な標識として、磁気ビーズ(例えば、DynabeadsTM)、蛍光染料(例えば、イソチオシアン酸フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン)、放射性標識物(radiolables)(例えば、H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAにおいて一般に使用される他の酵素)、ならびに金コロイド、着色ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズのような発色標識が挙げられるが、これらに限定されない。
標識は、当該分野において周知の方法に従って、直接または間接的に所望される成分もしくはアッセイに結合させることができる。上記に示されるように、広範な標識を使用することができ、標識の選択は、要求される感度、化合物との結合の容易さ、安定性要件、利用可能な機器、および処理設備に依存する。非放射性標識は、しばしば、間接的手段によって付着される。一般に、リガンド分子(例えば、ビオチン)が抗体に共有結合される。次いで、リガンドは、本来的に検出可能であるかまたは検出可能な酵素、蛍光化合物、もしくは化学発光化合物のようなシグナル系に共有結合する抗リガンド(例えば、ストレプトアビジン)分子に結合する。多くのリガンドおよび抗リガンドを使用することができる。リガンドが天然の抗リガンド、例えば、ビオチン、サイロキシン、およびコルチゾールを有する場合、それは、標識された天然に存在する抗リガンドと共に使用することができる。あるいは、ハプテンまたは抗原化合物を、抗体と組み合わせて使用することができる。抗体はまた、例えば、酵素またはフルオロフォアとの結合によって、シグナル発生化合物に直接コンジュゲートさせることができる。標識として興味深い酵素は、主に、ヒドロラーゼ、特に、ホスファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼ、またはオキシドレダクターゼ、特にペルオキシダーゼである。蛍光化合物としては、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン(umberlliferone)等が挙げられる。化学発光化合物としては、ルシフェリン、および2,3−ジヒドロフタラジンジオン、例えば、ルミノールが挙げられる。他の標識およびシグナル生成系のレビューについては、米国特許第4,391,904号明細書において利用可能である。
標識を検出するための手段は、当該分野において周知である。従って、例えば、標識が放射性標識である場合、検出のための手段として、オートラジオグラフィーにおけるように、シンチレーションカウンタまたは写真用フィルムが挙げられる。蛍光が蛍光標識である場合、それは、適切な波長の光でフルオロフォアを励起し、得られる蛍光を検出することによって、検出され得る。蛍光は、目視、写真用フィルムによって、電荷結合素子(CCD)または光倍増管などのような電子検出器の使用によって検出することができる。同様に、酵素標識は、酵素に適切な基質を提供し、得られる反応産物を検出することによって、検出することができる。最後に、簡単な発色標識は、標識に関連する色を観察することによって、簡単に検出することができる。
いくつかのアッセイ形式は、標識された成分の使用を必要としない。例えば、凝集アッセイを使用して、標的抗体の存在を検出することができる。この場合、抗原−被覆粒子は、標的抗体を含んでなるサンプルによって接着される。この形式では、標識を必要とする成分はなく、標的抗体の存在は、簡単な目視検査によって検出される。
疫学調査によって、神経疾患ついてのいくらかの他の既知の危険因子が実証されている。同定される異なる遺伝子マーカーのうち、現在、最も重要な危険因子は、ADが推定されるアポリポタンパク質E(ApoE)多型である。常染色体優性早発性ADでは、3つのさらなる遺伝子における変異、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、プレセニリン1(PSEN1)、およびプレセニリン2(PSEN2)遺伝子が同定されている(Campionら、1999年;Finckhら、2000年)。プレセニリン−1(PSEN1)遺伝子型およびCYP46多型もまた、より高い危険性の遅発性散発性ADと関連している(Wraggら、1996年;Papassotiropoulosら、2003年)。
従って、本発明はまた、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための方法に関し、1つもしくはそれ以上の他の危険因子の検出との組み合わせで、MBL遺伝子における核酸変異体の有無を検出する工程を含んでなる。好適な実施態様では、MBL遺伝子における核酸変異体の有無は、ApoE遺伝子型、APP遺伝子における核酸変異体、プレセニリン1遺伝子における核酸変異体、プレセニリン2遺伝子における核酸変異体および/またはCYP46における核酸変異体との組み合わせで検出される。
既に考察したように、被験体のMBL遺伝子における核酸変異体の存在は、前記被験体の血清におけるMBLの濃度に影響を及ぼし得る。MBL2遺伝子におけるプロモーター変異は、MBL2の産生の減少に関連する。3つのすべてのエキソン1変異体は、MBL2レベルの有意な減少に関連する。さらに、これらのエキソン1変異体は、MBL2の機能性に影響を及ぼし得る。従って、被験体における1つもしくはそれ以上のMBL核酸変異体、タンパク質変異体またはMBL機能的活性の有無の検出に基づき、所定の治療用薬剤または処置が、被験体が発症することが予想される(危険性を有する)神経疾患を防止することあるいは疾患の経過を改善することおよび/またはその重度を減少することに適切であるかどうかを決定することができる。MBL欠乏は、治療薬としてのMBLの投与によって回復させることができる。従って、本発明の方法はまた、治療用薬剤が神経疾患を防止または処置するために患者に適切であるかどうか、そしてどの治療用薬剤が適切であるかを決定するのに使用することができる。本明細書において使用する用語「疾患を防止する」は、疾患の発症を阻害または後退させること、疾患の初期症状を阻害または後退させること、疾患の臨床徴候の出現を阻害することを意味する。本明細書において使用する用語「疾患を処置する」は、疾患を実質的に阻害すること、疾患の進行を実質的に遅延もしくは後退させること、疾患の臨床徴候を実質的に改善することまたは疾患の臨床徴候の出現を実質的に防止することを含む。
従って、本発明の方法はまた、被験体における神経疾患の処置または防止に関し、以下の工程を含んでなる:
(a)前記被験体における1つもしくはそれ以上のMBL核酸変異体の有無を検出し;次いで
(b)工程(a)において検出される核酸変異体に基づいて選択された適切な治療用薬剤を被験体に投与する。
本発明はさらに、神経疾患の処置または防止のための医薬品の調製のためのMBLの使用に関する。好適な実施態様では、MBLは、アルツハイマー病、ピック病、パーキンソン病、レビー小体型痴呆、ハンチントン病、第13染色体認知症、ダウン症候群、脳血管疾患、多発性硬化症、ラスムッセン脳炎、ウイルス性髄膜炎、NPSLE、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、伝染性海綿状脳症、虚血再潅流損傷(例えば、脳卒中)、脳外傷、微生物感染または慢性疲労症候群の処置または防止のための医薬品の調製のために使用される。
可能な処置としては、生来の確認、改変された構造もしくはコンホメーションおよび/または異なる数(サイズ)のオリゴマーでのMBLの患者への適用が挙げられる(但し、これに限定されない)。MBLは、ドナー血漿から単離するか、または組換えDNA技術もしくは合成により調製することができる。例えば、MBL2は、Statens Serum Institut(Copenhagen、丁国)(バルディマルソン(Valdimarsson)ら、1998年)で開発された手順によって、プールされたドナー血漿から精製することができる。組換えDNA技術については、ジャンセニウス(Jensenius)ら(2003年)ならびにさらにマニアティス(Maniatis)(1989年)および国際公開第96/29605号パンフレットに記載されている。古典的な化学合成については、ホーベンウェリー(Houbenweyl)(1974年)、アセルトン(Atherton)およびシェパード(Shepard)(1989年)ならびに国際公開第96/29605号パンフレットに記載されている。
MBLは、血液において正常な濃度を達成するのに十分な用量で、静脈内に安全に投与することができる。静脈内輸注のためのMBL産物の処方については、バルディマルソン(Valdimarsson)ら(1998年)に記載されている。MBLは、1%(w/v)ヒト血清アルブミンを含有する0.15M NaClに200μg/mlに希釈される(バルディマルソン(Valdimarsson)ら、1998年)。しかし、他の処方もまた、MBL産物を被験体に投与するために使用することができることは明らかであるべきである。治療組成物の好適な処方は、投与および適用の意図される形態に依存する。組成物はまた、所望される処方に依存して、動物またはヒト投与のための医薬組成物を処方するために一般に使用されるビヒクルとして規定される薬学的に許容可能な非毒性のキャリアまたは希釈剤を含むこともできる。希釈剤は、組み合わせの生物学的活性に影響を及ぼさないように選択される。そのような希釈剤の例には、蒸留水、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、およびハンク溶液がある。さらに、医薬組成物または処方はまた、他のキャリア、アジュバント、または非毒性、非治療性、非免疫原性な安定剤などを含んでもよい。
医薬組成物はまた、大きな、緩徐に代謝される巨大分子、例えば、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびコポリマー(例えば、ラテックス官能基化セファロース、アガロース、セルロースなど)、高分子アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および脂質集合体(例えば、油滴またはリポソーム)を含むこともできる。
非経口投与のために、本発明の組成物を、水、オイル、食塩水、グリセロール、もしくはエタノールなどの滅菌液体であり得る薬学的キャリアを伴う生理学的に許容可能な希釈液中の物質の溶液または懸濁液の注射用調剤として投与することができる。また、生分解性微粒子へのカプセル化も非経口的送達系として使用することができる(ブライデン(Brayden)ら、2001年)。
さらに、湿潤または乳化剤、界面活性剤、pH緩衝物質などのような補助物質は、治療組成物に存在することができる。医薬組成物の他の成分は、石油、動物、植物、または合成用原料の成分、例えば、ピーナツ油、ダイズ油、および鉱油である。一般に、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコールは、特に、注射用溶液に好適な液体キャリアである。
典型的に、組成物は、液体の溶液または懸濁液のいずれかの注射剤として調製される。注入前の液体ビヒクルに対する溶液、または懸濁液に適切な固体形態を調製することもできる。調製物はまた、増強されたアジュバント効果のために、リポソームまたは微粒子、例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、もしくはコポリマーにおいて乳化あるいはカプセル化することもでき、上記において考察されている(ランガー(Langer)、1990年;ランガー(Langer)ら、1997年)。医薬組成物は、有効成分の徐放または脈状注入を可能にするような様式で処方され得る蓄積注射またはインプラント調製物の形態で投与することができる。
他の投与形態に適切なさらなる処方として、経口、経鼻、および経肺処方、坐剤、および経皮適用が挙げられる。
坐剤のための結合剤およびキャリアとしては、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドが挙げられる。そのような坐剤は、0.5%〜10%、好ましくは、1%〜2%の範囲の有効成分を含有する混合物から形成することができる。経口用処方は、賦形剤、例えば、製剤用のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、および炭酸マグネシウムを含む。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル、徐放処方物、または散剤の剤形であり、10%〜95%、好ましくは、25%〜70%の有効成分を含有する。
局所投与は、経皮または皮内送達を生じることができる。局所投与は、コレラ毒素または解毒された誘導体もしくはそのサブユニットあるいは他の類似の細菌毒素を伴う薬剤の同時投与によって、容易にすることができる(Glennら、1998年)。同時投与は、混合物もしくは化学架橋によって得られる連結された分子としての成分または融合タンパク質としての発現物を使用して達成することができる。
あるいは、経皮送達は、皮膚パッチまたはトランスフェロソーム(transferosome)を使用して達成することができる(ポール(Paul)ら、1995年;セベク(Cevc)ら、1998年)。
薬物の処方および投与のためのさらなる技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」においても見出すことができる。
被験体のMBL遺伝子における核酸変異体の存在と前記被験体の血清におけるMBLの濃度および機能性との間に明らかな関係があれば、神経疾患を発症すると予想される(または危険性がある)前記被験体がいずれかの形態の「遺伝子治療」によって処置され得る可能性が存在する。この方法では、欠損型MBL遺伝子を補正、修復および/または置き換えることが可能であり、正常な濃度の供給をもたらし、および/または前記被験体においてMBLを異なる形で機能化する。従って、別の実施態様では、本発明は、神経疾患の処置または防止のための医薬品の製造のためのMBL遺伝子(変異体核酸)において1つもしくはそれ以上の変異体を含有する核酸の使用に関する。好適な実施態様では、変異体配列は、MBL2遺伝子のプロモーター領域、5’UTRまたはエキソン1内に含まれる。好適な別の実施態様では、変異体配列は、MBL2遺伝子の−550位、−221位、+4位、+154位、+161位および/または+170位の少なくとも1つに存在する。好適な別の実施態様では、変異体配列は、MBL2遺伝子において+154位でヌクレオチドT(変異体D)、+161位でヌクレオチドA(変異体B)および/または+170位でヌクレオチドA(変異体C)を包含する。好適な別の実施態様では、変異体配列は、MBL2遺伝子において−221位でヌクレオチドG(変異体Y)を包含する。好適な実施態様では、MBL遺伝子治療は、アルツハイマー病、ピック病、パーキンソン病、レビー小体型痴呆、ハンチントン病、第13染色体認知症、ダウン症候群、脳血管疾患、多発性硬化症、ラスムッセン脳炎、ウイルス性髄膜炎、NPSLE、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、伝染性海綿状脳症、虚血再潅流損傷(例えば、脳卒中)、脳外傷、微生物感染または慢性疲労症候群の処置または防止のための医薬品の調製のために使用される。
核酸分子の細胞への導入を容易にするために、核酸分子と関連して、遺伝子送達のための多くの異なる手段を使用することができる。用語「遺伝子送達のための手段」は、血液脳関門を横切る核酸分子の送達および/または細胞膜を横切る膜貫通送達に適切な任意の技術を含むことを意味する。遺伝子送達のための手段の非制限的例にウイルスベクター(例えば、アデノ随伴ベクター、脂質/リポソーム、細胞表面受容体に対するリガンドなど)がある。核酸または該核酸を含有するベクターは、リポソームにパッケージすることができる。適切な脂質および関連類似体については、米国特許第5,208,036号明細書、同第5,264,618号明細書、同第5,279,833号明細書、および同第5,283,185号明細書に記載されている。ベクターおよび核酸はまた、粒状キャリアに吸着または会合させることができ、該粒状キャリアの例として、ポリメチルメタクリレートポリマーおよびポリラクチドならびにポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(マギー(McGee)ら、1997年)が挙げられる。個々の患者への投与、典型的に、全身投与(例えば、静脈内、腹膜内、鼻、胃、皮内、筋肉内、皮下、もしくは頭蓋内輸滴)または局所適用(例えば、米国特許第5,399,346号明細書を参照のこと)によって、遺伝子療法ベクターまたは裸の核酸を送達することができる。核酸はまた、遺伝子銃を使用して、投与することができる(シャオ(Xiao)およびブランズマ(Brandsma)、1996年)。核酸を、微小な金属ビーズの表面上に沈殿させる。マイクロプロジェクタイルは、衝撃波またはヘリウムガスを膨張させることによって加速され、いくらかの細胞層の深さにまで組織に侵入する。例えば、アガセタス・インク(Agacetus,Inc.)(Middleton、ウィスコンシン州、米国)により製造されたAccelTM遺伝子送達デバイスが適切である。あるいは、単純に、化学的または機械的刺激により核酸を皮膚にスポットすることによって、皮膚を介して裸の核酸を血流に通過させることができる(国際公開第95/05853号パンフレット)。さらなる変体では、変異体核酸をコードするベクターをエクスビボで細胞に送達することができ、ここで細胞は個々の患者から外植した細胞(例えば、リンパ球、骨髄吸引、組織生検)または万能献血者の造血幹細胞であり、続いて、通常、ベクターを組み入れている細胞の選択後、細胞は患者に再移植される。
本発明の治療組成物の有効用量は、投与手段、標的部位、被験体の生理学的状態、被験体がヒトであるかまたは動物であるか、投与される他の医薬品、および処置が予防的であるかまたは治療的であるかを含む異なる多くの要因に依存して変動する。処置用量については、安全性および有効性を最大にするためにタイトレーションする必要がある。有効用量の例は、バルディマルソン(Valdimarsson)ら(1998年)、ガーレッド(Garred)ら(2002年)およびバリドマルソン(Validmarsson)(2003年)に記載されている。
本発明の別の局面は、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するためのキットに関する。このキットは、前記被験体のMBL遺伝子における核酸変異体の検出に基づくことができるか、またはそれは、MBLタンパク質変異体またはMBL機能的活性の測定に基づくことができる。
キットは以下を含んでなり得る:
(a)前記被験体のMBL遺伝子における1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無を検出する、前記被験体における1つもしくはそれ以上のMBLタンパク質変異体の濃度を測定する、および/または前記被験体におけるMBL機能的活性を測定するための手段;ならびに
(b)工程(a)の手段によって検出される核酸変異体、タンパク質変異体濃度および/または機能的活性から、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための手段。
本発明の好適な実施態様では、キットは以下を含んでなる:
(a)前記被験体のMBL2遺伝子の+154位(C>T)、+161位(G>A)および/または+170位(G>A)で1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無を検出するための手段;ならびに
(b)工程(a)の手段によって検出される核酸変異体から、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための手段であって、それによって、MBL2遺伝子の+154位のヌクレオチドT(変異体D)、+161位のヌクレオチドA(変異体B)および+170位のヌクレオチドA(変異体C)の非存在が、被験体がADのような神経疾患を発症する危険性にあることを示すものである手段。
本発明の別の好適な実施態様では、キットは以下を含んでなる:
(a)前記被験体のMBLハプロタイプを検出するための手段;ならびに
(b)工程(a)の手段によって検出されるハプロタイプから、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための手段であって、それによって、ハプロタイプHYPD、LYPBおよびLYQCの非存在が、被験体がADのような神経疾患を発症する危険性にあることを示すものである手段。
本発明の別の好適な実施態様では、キットは以下を含んでなる:
(a)前記被験体のMBL2遺伝子の−221位(G>C)の1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無を検出するための手段;および
(b)工程(a)の手段によって検出される核酸変異体から、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための手段であって、それによって、MBL2遺伝子の−221位のヌクレオチドC(変異体X)存在が、被験体がADのような神経疾患を発症する危険性にあることを示すものである手段。
本発明の別の好適な実施態様では、キットは以下を含んでなる:
(a)前記被験体のMBLハプロタイプを検出するための手段;ならびに
(b)工程(a)の手段によって検出されるハプロタイプから、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための手段であって、それによって、ハプロタイプLXPAの存在が、被験体がADのような神経疾患を発症する危険性にあることを示すものである手段。
本発明の別の好適な実施態様では、キットは以下を含んでなる:
(a)前記被験体のMBLハプロタイプを検出するための手段;ならびに
(b)工程(a)の手段によって検出されるハプロタイプから、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための手段であって、それによって、ハプロタイプLYPAの存在が、被験体がMSのような神経疾患を発症する危険性にあることを示すものである手段。
特定の実施態様では、前記キットの工程(a)における手段は、以下を含んでなり得る:
(i)適切な場合、生物学的サンプルに存在する標的MBL2ポリ核酸を得るおよび/またはそのヌクレオチド配列を得るための手段;
(ii)適切な場合、−550位、−221位、+4位、+154位、+161位、および/または+170位で核酸配列を含んでなる標的MBL2ポリ核酸の増幅に適切な少なくとも1つのオリゴヌクレオチド対;
(iii)適切な場合、核酸を変性するための手段;
(iv)適切な場合、−550位、−221位、+4位、+154位、+161位、および/または+170位で核酸配列を含んでなる標的MBL2ポリ核酸の検出に適切な少なくとも1つのオリゴヌクレオチド;
(v)適切な場合、二本鎖または一本鎖核酸分子を修飾することが可能な酵素;
(vi)適切な場合、ハイブリダイゼーション緩衝液、または前記緩衝液を生成するのに必要な成分;
(vii)適切な場合、洗浄液、または前記洗浄液を生成するのに必要な成分;
(viii)適切な場合、部分的または完全に変性されたポリ核酸を検出するための手段および/または先のハイブリダイゼーションにおいて形成されたハイブリッドを検出するための手段および/または核酸の酵素修飾を検出するための手段;
(ix)適切な場合、オリゴヌクレオチドを固相支持体上の既知の位置に付着させるための手段。
用語「ハイブリダイゼーション緩衝液」は、プローブと、サンプルに存在するポリ核酸または適切なストリンジェンシー条件下での増幅産物との間のハイブリダイゼーション反応を可能にする緩衝液を意味する。
用語「洗浄液」は、適切なストリンジェンシー条件下で形成されたハイブリッドの洗浄を可能にする溶液を意味する。
キットのさらに特定の実施態様では、MBL遺伝子における核酸変異体の有無を検出するための手段は、ラインプローブアッセイである(LiPA;ストイベル(Stuyver)ら、1996年;ストイベル(Stuyver)ら、1997年;バン・ゲイト(Van Geyt)ら、1998年)。本実施態様では、選択された組のプローブが、ライン形式で膜ストリップに固定化される。代替物はドット形式での固定化である。前記プローブは、示された位置に個々にまたは混合物として固定化され得る。増幅されたMBLポリ核酸を、ビオチンで標識することができ、次いで、ハイブリッドを、ビオチン−ストレプトアビジン結合を介して、非放射性発色システムで検出することができる。異なる核酸変異体を同時に検出することができる他の系が特に有利である。この多パラメータアプローチでは、オリゴヌクレオチドをマイクロスフェアまたはチップに結合させることができる。同時検出を提供するアッセイの例として、xMapTM技術(Luminex100IS、Austin、テキサス州、米国)、PamGene技術(PamGene,’s−Hertogenbosch、蘭国)およびInvader(登録商標)プラットフォーム(Third Wave Technologies,Inc.、Madison、ウィスコンシン州、米国)が挙げられる(但し、これらに限定されない)。
MBLタンパク質変異体の検出に基づくキットは、検出されるMBLタンパク質変異体を特異的に認識する抗体を含んでなり得る。本発明の方法を行うための好適なキットは以下を含んでなる:
− 検出しようとするMBLタンパク質変異体免疫複合体を形成する抗体(第一抗体);
− 検出しようとするMBLタンパク質変異体を特異的に認識するモノクローナル抗体(第二抗体);
− 前記第二抗体への特異的タグ付けまたは結合のいずれかのためのマーカー;
− 第一抗体とMBLタンパク質変異体との間、第二抗体と第一抗体−MBLタンパク質変異体複合体との間および/または結合第二抗体とマーカーとの間の免疫反応を行うのに適切な緩衝溶液;
− おそらく、標準化の目的のための、精製されたMBLタンパク質変異体。
本発明の好適な実施態様では、キットは以下を含んでなる:
(a)アミノ酸位置52でC(変異体D)、アミノ酸位置54でD(変異体B)および/またはアミノ酸位置57でE(変異体C)を伴うMBLタンパク質変異体を特異的に認識する抗体;ならびに
(b)工程(a)の手段によって測定されるMBLタンパク質変異体濃度から、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための手段であって、それによって、アミノ酸位置52でC(変異体D)、54位でD(変異体B)および57位でE(変異体C)を伴うMBLタンパク質変異体の非存在が、被験体がADのような神経疾患を発症する危険性にあることを示すものである手段。
工程(a)の手段で検出されるMBL遺伝子における核酸変異体、MBLタンパク質変異体濃度および/またはMBL機能的活性から、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための前記キットの工程(b)における手段は、表、チャート、あるいはMBL核酸変異体もしくはハプロタイプ、MBLタンパク質変異体濃度および/またはMBL機能的活性を考慮して、神経疾患を発症する危険性を決定する、一般に「素因危険性アルゴリズム」と称される同様のものを含む。それは、神経疾患を発症する危険性を付与するMBL核酸変異体またはハプロタイプ、MBLタンパク質変異体濃度および/またはMBL機能的活性を示し得、ならびに/あるいはそれは、神経疾患を発症しないための保護を付与するMBL核酸変異体またはハプロタイプ、MBLタンパク質変異体濃度および/またはMBL機能的活性を示し得る。
危険性の決定は、手動またはコンピュータの使用を伴って実施することができる。従って、本発明はまた、コンピュータを利用して、被験体が神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための方法を提供する。本方法では、例えば、神経疾患を発症する危険性を付与するMBL核酸変異体またはハプロタイプ、MBLタンパク質変異体濃度および/またはMBL機能的活性、ならびに神経疾患を発症しないための保護を付与するMBL核酸変異体またはハプロタイプ、MBLタンパク質変異体濃度および/またはMBL機能的活性に関する情報が、オペレータによってコンピュータに導入される。1つの実施態様では、この情報は、コンピュータより取り可能なキャリアに記憶される。「コンピュータ読み取り可能なキャリア」または「コンピュータ読み取り可能な媒体」は、コンピュータによるアクセス可能および読み取り可能なすべてのキャリアならびに媒体を含む。前記キャリアおよび媒体は、磁気テープ、フロッピーディスク、ハードディスク、ZIPディスク、CD−ROM、RAMおよびROMのような電気または電子メモリーならびにハイブリッド磁気/光学記憶媒体を含む。相関関係後、比較または評価の結果を、例えば、コンピュータモニターのようなディスプレイデバイスにおいてコンピュータ上で表示するかまたは例えば、プリンタ上に出力することができる。
本発明のキットは、工程(a)の手段に加えて、神経疾患を発症する他の危険因子の検出のための手段を含み得る。好適な実施態様では、キットは、ApoE遺伝子型を検出するための手段、APP遺伝子における核酸変異体を検出するための手段、プレセニリン1遺伝子における核酸変異体を検出するための手段、プレセニリン2遺伝子における核酸変異体を検出するための手段および/またはCYP46における核酸変異体を検出するための手段をさらに含む。
従って、本発明は、以下を含むキットに関する:
(a)前記被験体のMBL遺伝子における1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無を検出する、前記被験体における1つもしくはそれ以上のMBLタンパク質変異体の濃度を測定する、および/または前記被験体におけるMBL機能的活性を測定するための手段;ならびに
(b)以下:ApoE遺伝子、APP遺伝子、プレセニリン1遺伝子、プレセニリン2遺伝子、CYP46の少なくとも1つにおける核酸変異体の有無を検出するための手段。
本明細書および以降の特許請求の範囲の全体を通じ、本文中で断らない限り、語句「含んでなる(comprise)」、ならびに「含んでなる(comprises)」および「含んでなっている(comprising)」のような変体は、陳述した完全体もしくは工程または陳述した完全体もしくは工程の群の包含を意味するものであって、他の完全体もしくは工程または完全体もしくは工程の群のいずれかの除外を意味するものではないことが理解されよう。
実施例1:アルツハイマー病患者およびコントロール被験体由来のMBL2対立遺伝子における核酸変異体の検出
患者サンプル
研究は、白人系の174例のAD患者を含むSahlgren’s University Hospital、Goeteborg、瑞国において保管された血液サンプルに基づいて行った。ADを伴うすべての患者がNINCDS−ADRDA基準(マックハン(McKhann)ら、1984年)に同意した。コントロール群(C)は、精神疾患または神経疾患の既往歴、徴候、もしくは症状を伴わない124例の個体からなった。
University of Goeteborg and Umea、瑞国の倫理委員会が本研究を承認した。すべての患者(またはそれらの近親者)およびコントロールは、ヘルシンキ宣言の条項に従って行われた本研究への参加について、インフォームドコンセントを提出した。
核酸多型の検出
MBL2対立遺伝子における核酸変異体の有無を決定するために、ビオチン化オリゴヌクレオチドを使用して、MBL2のエキソン1およびプロモーター配列の一部を増幅した。MBL2の−550位(G>C)、−221位(G>C)、+4位(C>T)、+154位(C>T)位、+161位(G>A)および+170位(G>A)の多型を認識するように設計された12のプローブによる逆ハイブリダイゼーション法(Line Probe Assay)の使用によって、多型を検出した。56℃でのストリンジェントな洗浄後、ハイブリダイズしたプローブを、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼコンジュゲートと共にインキュベートした。ハイブリダイズしたプローブの存在は、NBIT/BCIPの発色を使用して表した。逆ハイブリダイゼーションの詳細については、ストイベル(Stuyver)ら(1996年)、ストイベル(Stuyver)ら(1997年)およびバン・ゲイト(Van Geyt)ら(1998年)において記載されている。
統計解析
174例のAD−診断(2n=348ハプロタイプ)および124例のC−診断被験体(2n=248ハプロタイプ)を、MBL2(2n=596ハプロタイプ)について遺伝子型分類した。データ(すべてハプロタイプ)を、列は診断(1=ADおよび2=C)を示し、カラムはハプロタイプを示す2×C−表のモデルとした。
HAPLOと診断(AD対C)との間の関連を、フィッシャー正確検定で調べた。大きな表では、モンテ・カルロシミュレーションを使用して、P値を得た。2×2表(Table1)では、関連の強度を(95%下限(LCL)および上限(UCL)信頼限界による)オッズ比(OR)として報告し、ADを発症する危険性が増加する因数を示した。報告したすべての検定は、両側(two−tailed)で行われた。検定は、複数の検定について相関関係(ボンフェローニ(Bonferroni)手順)後、P値が0.05未満であった場合、有意であると結論付けた。解析は、SASのPROC FREQ(バージョン8.02、SAS Institute Inc.、ノースカロライナ州、米国)を使用して実施した。
ADおよびコントロール被験体におけるMBL2ハプロタイプの頻度
AD患者およびコントロール被験体におけるMBL2ハプロタイプの頻度を表2に示す。プロモーター変異体X(ハプロタイプLXPA)は、コントロール群と比較して、AD群ではより頻回に存在した。表1および2のオッズ比は、明らかに、プロモーター変異体X(ハプロタイプLXPA)がADを発症する優位に高い危険性を有することを示す。変異体対立遺伝子の検査時に、AD群ではそれほど優性ではないBおよびC変異体について、有意差も観察された。表1および2は、これらの変異体(LYPBおよびLYQC)を伴うハプロタイプが実際に、ADを発症するより低い危険性を有することを示す。
実施例2:アルツハイマー病患者およびコントロール被験体におけるMBL2ハプロタイプの検出
患者サンプル
研究は、523例のAD患者および285例のコントロール被験体を含めて行われた。ピティ(Pitea)由来のスウェーデン人サンプル(n=174、AD、血液サンプル)は、ピティ(Pitea)、瑞国における縦断的高齢者集団研究の一部として回収した。臨床的に診断されたすべてのAD患者が、既往歴、身体的、神経学的、および精神的検査、スクリーニング臨床検査、ECG、胸部X線、EEG、および脳のコンピュータ断層撮影(CT)を含む調査を受けた。臨床AD診断はNINCDS−ADRDA基準に従って行った。
MAS(n=273、AD、血液サンプル)、NOMAS(n=56、コントロール、血液サンプル)、Gbg(n=72、コントロール、血液サンプル)、リンケピング(Linkoeping)(n=14、コントロール、血液サンプル)、メ(Moe)(n=23、コントロール、脳サンプル)、ネ(Ne)(n=54、コントロール、脳サンプル)由来のサンプルを、認知症を伴う患者の前向き縦断的研究(メンダル(Moelndal)前向き認知症研究)から回収した。臨床診断はNINCDS−ADRDA基準に従って行った。12段階スケールでの老人斑(SP)および神経原線維変化(NFT)密度の項目(アラフゾフ(Alafuzoff)ら、1987年)を使用して、神経病理学的評価システムを解剖コントロールに適用した。解剖時、脳を秤量し、梗塞部およびラクナ部を注意深い肉眼検査で観察した。右半球の2つの領域、前頭葉および海馬形成の前部を10%緩衝中性ホルマリン中に4〜6週間、固定し、次いで、パラフィンブロック中に包埋した。切片を、ビルショウスキー(Bielschowsky)鍍銀技術によって染色した。SPおよびNFTの絶対数を、倍率125倍で無作為に選択した5箇所の領域において評価し、SPおよびNFTの平均計数を求めて、両方の脳領域についての平均を算出した。
健康者コントロールは、精神疾患または神経疾患、悪性疾患、あるいは全身障害の既往歴、徴候、もしくは症状を伴わない志願者であった。MMSEを使用して認識状態を試験し、28未満の評価の個体はコントロールに含めなかった。
INSERM由来のADサンプル(n=76、脳)は、認知症を伴う患者の前向き縦断的研究(デラコーテ(Delacourte)ら、1999年)の部分である一方、コントロール(n=66、血液)は年齢および性別を一致させ、スウェーデン人コントロールについて記載されている通りの完全な臨床試験を経験させた。
血液サンプルを回収した異なる施設の倫理委員会が本研究を承認した。すべての患者(またはそれらの近親者)およびコントロールは、ヘルシンキ宣言の条項に従って行われた本研究への参加について、インフォームドコンセントを提出した。
核酸多型の検出
MBL2対立遺伝子における核酸変異体の有無を決定するために、ビオチン化オリゴヌクレオチドを使用して、MBL2のエキソン1およびプロモーター配列の一部を増幅した。MBL2の−550位(G>C)、−221位(G>C)、+4位(C>T)、+154位(C>T)位、+161位(G>A)および+170位(G>A)の多型を認識するように設計された12のプローブによる逆ハイブリダイゼーション法(Line Probe Assay)の使用によって、多型を検出した。56℃でのストリンジェントな洗浄後、ハイブリダイズしたプローブを、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼコンジュゲートと共にインキュベートした。ハイブリダイズしたプローブの存在は、NBIT/BCIPの発色を使用して表した。逆ハイブリダイゼーションの詳細については、ストイベル(Stuyver)ら(1996年)、ストイベル(Stuyver)ら(1997年)およびバン・ゲイト(Van Geyt)ら(1998年)において記載されている。
統計解析
ロジスティック回帰アプローチ(ジャウ(Zhao)ら2003年)を使用して、MBL2−ハプロタイプがADを発症する危険性を予測するかどうかを試験した。言い換えれば、このアプローチは、所定のハプロタイプの存在が、ADを発症する可能性を増加する一方、他の所定のハプロタイプの存在が、患者がADを発症しないように保護するかどうかについて試験する。関連の強度を、95%下限(LCL)および上限(UCL)信頼限界を伴うオッズ比(OR)として報告する。ダミー変数の組(ここでは、各ハプロタイプについて1つ)のモデルとされる遺伝子(MBL2−遺伝子)について、それは、参照ハプロタイプと比較されると解釈すべきである(ジャウ(Zhao)ら2003年)。従って、以下のモデルを試験した:
・モデル1:LXPA対プールされた他のハプロタイプ;
・モデル2:プールされたハプロタイプHYPD、LYPBおよびLYQC対プールされた他のハプロタイプ;
・モデル3:LXPA対プールされたハプロタイプHYPD、LYPBおよびLYQC対プールされたハプロタイプHYPA、LYPAおよびLYQA。
すべての解析は、SASバージョン8.2で行った。ロジスティック回帰分析は、二項誤差構造およびロジットリンク関数を伴うPROC LOGISTICを使用して行った。報告したすべての検定は、両側(two−tailed)で行われた。試験は、P<0.05である場合、有意とみなした。
ADおよびコントロール被験体におけるMBL2ハプロタイプの頻度
AD患者およびコントロール被験体におけるMBL2ハプロタイプおよび組み合わされたMBL2ハプロタイプの頻度をそれぞれ表3および4に示す。
ADを発症する可能性を、i)LXPA、ii)HYPD、LYPBおよびLYQC、ならびにiii)HYPA、LYPAおよびLYQAの間で比較した(上記の統計モデルを参照のこと)。ロジスティック回帰分析の結果を表5に示す。AIC値は、全く同様であり、モデルが同様に許容可能であることが示唆される。疾患の発症率に対し性別の有意な影響があったモデルは認められなかった(すべてのP>0.78)。すべてのモデルにおいて、サブ集団の有意な好が認められた(P<0.0001):施設群ピティ(Pitea)およびINSERMより施設群MASにおいてADを伴う患者が多く認められた。多くのモデルでは、年齢は、ADの発症率に明確に関連する(P<0.0001)。すべてのモデルにおいて、ApoE4対立遺伝子の存在は、ADの発症率を有意に増加する(P<0.0001)。ApoE遺伝子型とMBL2−(プールされた)ハプロタイプとの間に有意な相互作用があるモデルは認められなかった(すべてのP>0.45)。モデル1は、MBL2−ハプロタイプLXPAが他のプールされたMBL2−ハプロタイプと比較してADの発症率を増加したことを示す(P<0.013、OR>1)。モデル2は、プールされたMBL2−ハプロタイプHYPD、LYPBおよびLYQCが、他のプールされたMBL2−ハプロタイプと比較してADの発症率を減少したことを示す(P<0.006、OR<1)。MBL2−ハプロタイプLXPAならびにプールされたMBL2−ハプロタイプHYPD、LYPBおよびLYQCが、1つのモデル(モデル3)において試験される場合、プールされたMBL2−ハプロタイプHYPA、LYPAおよびLYQAと比較して、プールされたMBL2−ハプロタイプHYPD、LYPBおよびLYQCは、ADの発症率を減少する一方、MBL2−ハプロタイプLXPAはADの発症率を増加するが、後者はそれほど有意ではないようである(P=0.0657)。従って、LXPAハプロタイプの存在は、ADを発症する危険性を増加するが、ハプロタイプHYPD、LYPBおよびLYQCの存在はADの発症に対する保護効果を有すると結論することができる。
実施例3:多発性硬化症病患者およびコントロール被験体におけるMBL2ハプロタイプの検出
患者サンプル
研究は、多発性硬化症が証明された61例の患者由来の血液サンプルに基づいて行った。コントロール群(C)は、172例の健康な個体よりなった。各血液サンプルから、研究への参加のためのインフォームドコンセントが入手可能である。
核酸多型の検出
MBL2の遺伝子型を決定するために、ビオチン化オリゴヌクレオチドを使用して、MBL2遺伝子の関連のコーディング配列を増幅した。MBL2の−550位(G>C)、−221位(G>C)、+4位(C>T)、+154位(C>T)位、+161位(G>A)および+170位(G>A)の多型を認識するように設計された12のプローブによる逆ハイブリダイゼーション法(Line Probe Assay)の使用によって、多型を検出した。56℃でのストリンジェントな洗浄後、ハイブリダイズしたプローブを、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼコンジュゲートと共にインキュベートした。ハイブリダイズしたプローブの存在は、NBIT/BCIPの発色を使用して表した。逆ハイブリダイゼーションの詳細については、ストイベル(Stuyver)ら(1996年)、ストイベル(Stuyver)ら(1997年)およびバン・ゲイト(Van Geyt)ら(1998年)において記載されている。
統計解析
MSを伴う61例の患者および172例のC診断被験体を、MBL2遺伝子における6つSNPについて遺伝子型分類した。多重ロジスティック回帰を使用して、関連を試験した。関連の強度をオッズ比(OR)として報告し、多発性硬化症を発症する危険性が増加または減少する因子を示した。95%信頼区間(95%CI)とは、研究が複数回反復される場合、その内の95%で真の効果を含有するであろうサンプルデータから計算される区間である。
結果
ロジスティック回帰分析(変数減少法)は、MS感受性とMBL2−ハプロタイプとの間には有意な関連があることを示した:LYPAを担持すると、疾患群(OR=2.297、95%LCL=1.031;95%UCL=5.117)に属する確率(ウォールド(Wald)カイ2乗=4.1385、df=1、P=0.0419)が増大した。
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MBL2遺伝子の部分の構造および構成。主要な多型の局在を示す

Claims (20)

  1. ヒト被験体が、アルツハイマー病および多発性硬化症ら選択される神経疾患を発症する危険性にあるかどうかをインビトロで決定するための方法であって、前記被験体から得られた試料中のMBL2遺伝子における1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無を検出する工程を含み、ここに、該変異体が、MBL2遺伝子の−550(G>C)、−221(G>C)、+4(C>T)、+154(C>T)、+161(G>A)および/または+170(G>A)である、方法。
  2. 下記工程:
    (a)前記ヒト被験体のMBL2遺伝子における1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無を検出し;次いで
    (b)工程(a)において検出される核酸変異体から、前記ヒト被験体が前記神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定し、それによって、MBL2遺伝子における前記変異体配列の非存在または存在が、前記ヒト被験体が前記神経疾患を発症する危険性にあることを示すものである
    を含んでなる、請求項1に記載の方法。
  3. +154位のヌクレオチドT(変異体D)、+161位のヌクレオチドA(変異体B)および+170位のヌクレオチドA(変異体C)の非存在は、被験体がアルツハイマー病を発症する危険性にあることを示す、請求項1に記載の方法。
  4. ハプロタイプHYPD、LYPBおよびLYQCの非存在は、被験体がアルツハイマー病を発症する危険性にあることを示す、請求項3に記載の方法。
  5. −221位(変異体X)のヌクレオチドCの存在は、被験体がアルツハイマー病を発症する危険性にあることを示す、請求項1に記載の方法。
  6. ハプロタイプLXPAの存在は、被験体がアルツハイマー病を発症する危険性にあることを示す、請求項5に記載の方法。
  7. ハプロタイプLYPAの存在は、被験体が多発性硬化症を発症する危険性にあることを示す、請求項1に記載の方法。
  8. 核酸変異体の有無は、以下の方法:ハイブリダイゼーション、配列決定、PCR、プライマー伸長および制限部位解析のうちの1つによって検出される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. MBL2遺伝子における核酸変異体の有無が、前記被験体由来の生物学的サンプルにおいてインビトロで決定される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 生物学的サンプルは組織サンプルまたは体液サンプルである、請求項9に記載の方法。
  11. 生物学的サンプルは脳、血液、血漿、唾液または脳脊髄液サンプルである、請求項9に記載の方法。
  12. MBL2遺伝子における核酸変異体の有無が、1つもしくはそれ以上の他の危険因子の検出と組み合わせて決定される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 他の危険因子は、ApoE遺伝子型、プレセニリン−1遺伝子型、プレセニリン−2遺伝子型、APP遺伝子における変異またはCYP46多型である、請求項12に記載の方法。
  14. ヒト被験体が、アルツハイマー病および多発性硬化症ら選択される神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するために使用されるキットであって:
    (a)前記ヒト被験体のMBL2遺伝子における1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無を検出するための手段であって、ここに、該変異体が、MBL2遺伝子の−550(G>C)、−221(G>C)、+4(C>T)、+154(C>T)、+161(G>A)および/または+170(G>A)である、手段;ならびに
    (b)工程(a)の手段によって検出される核酸変異体 から、前記被験体が前記神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するための手段
    を含んでなるキット。
  15. (a)前記ヒト被験体のMBL2遺伝子の核酸位置+154(C>T)、+161(G>A)および/または+170(G>A)の1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無を検出するための手段;ならびに
    (b)工程(a)の手段によって検出される核酸変異体から、前記被験体がアルツハイマー病を発症する危険性にあるかどうかを決定するための手段であって、それによって、MBL2遺伝子の+154位のヌクレオチドT(変異体D)、+161位のヌクレオチドA(変異体B)および+170位のヌクレオチドA(変異体C)の非存在が、前記被験体がアルツハイマー病を発症する危険性にあることを示すものである手段
    を含んでなる、請求項14に記載のキット。
  16. (a)前記被験体のMBLハプロタイプを検出するための手段;ならびに
    (b)工程(a)の手段によって検出されるハプロタイプから、前記被験体がアルツハイマー病を発症する危険性にあるかどうかを決定するための手段であって、それによって、ハプロタイプHYPD、LYPBおよびLYQCの非存在が、被験体がアルツハイマー病を発症する危険性にあることを示すものである手段
    を含んでなる、請求項15に記載のキット。
  17. (a)前記被験体のMBL2遺伝子の−221位(G>C)の1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無を検出するための手段;および
    (b)工程(a)の手段によって検出される核酸変異体から、前記被験体がアルツハイマー病を発症する危険性にあるかどうかを決定するための手段であって、それによって、MBL2遺伝子の−221位(変異体X)のヌクレオチドCの存在が、被験体がアルツハイマー病を発症する危険性にあることを示すものである手段
    を含んでなる、請求項14に記載のキット。
  18. (a)前記被験体のMBLハプロタイプを検出するための手段;ならびに
    (b)工程(a)の手段によって検出されるハプロタイプから、前記被験体がアルツハイマー病を発症する危険性にあるかどうかを決定するための手段であって、それによって、ハプロタイプLXPAの存在が、被験体がアルツハイマー病を発症する危険性にあることを示すものである手段
    を含んでなる、請求項17に記載のキット。
  19. (a)前記被験体のMBLハプロタイプを検出するための手段;ならびに
    (b)工程(a)の手段によって検出されるハプロタイプから、前記被験体が多発性硬化症を発症する危険性にあるかどうかを決定するための手段であって、それによって、ハプロタイプLYPAの存在が、被験体が多発性硬化症を発症する危険性にあることを示すものである手段
    を含んでなる、請求項14に記載のキット。
  20. ヒト被験体が、アルツハイマー病および多発性硬化症ら選択される神経疾患を発症する危険性にあるかどうかを決定するために使用されるキットであって:
    (a)前記ヒト被験体のMBL2遺伝子における1つもしくはそれ以上の核酸変異体の有無を検出するための手段であって、ここに、該変異体が、MBL2遺伝子の−550(G>C)、−221(G>C)、+4(C>T)、+154(C>T)、+161(G>A)および/または+170(G>A)である、手段;ならびに
    (b)前記被験体においてApoE遺伝子型、プレセニリン−1遺伝子型、プレセニリン−2遺伝子型、APP遺伝子における変異および/またはCYP46多型を検出するための手段、
    を含んでなるキット。
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