JP4883142B2 - 反応液粘度測定装置及び反応液製造装置、並びに反応液製造方法 - Google Patents

反応液粘度測定装置及び反応液製造装置、並びに反応液製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インバータ駆動電動機を動力源として、攪拌翼を備えた回転軸を回転することにより反応液の攪拌を行う反応器に設置され、前記反応液の粘度を検出するための反応液粘度検出装置であって、特定の演算によって回転トルクを検出した後に、該回転トルク検出値から反応液粘度を演算することを特徴とする反応液粘度検出装置、更には上記反応液粘度検出装置が設置された反応液製造装置、並びに該反応液粘度検出装置を用いることを特徴とする反応液製造方法に関する。
産業界では電動機を動力源として使用する反応器における反応液粘度が各種製品の工程管理に用いられることがあり、経時的な反応液の粘度を精密に把握することは、反応工程管理上極めて重要である。
これまでの反応液の粘度測定は、通常ガードナーホルト法により行われることが多い。本法は、反応液を一部採取し、必要に応じて希釈溶剤等にて希釈を行った後に、試料中の気泡の移動速度を標品と比較することにより粘度の測定を行うものであり、測定された粘度に定量性がない上に、気泡の移動速度を目視により行うためにバラツキが大きく、上記目的の反応工程管理を行うには用いることのできない方法である。
また、本法に基づく工程管理では、粘度測定の際、生産ラインを停止して製品化途上の反応液を少量抽出し、冷却、計量、希釈、温度調整等の手続きを経てから粘度を計測する手続を経る必要があり、効率性に劣る問題があった。しかも、反応が進み過ぎて粘度の値が規格で定めた数値を超過した場合には目的とする性能が発揮されないことにより不良品として扱われるため、当該粘度計測は念入りに注意深く、反応の終点付近では少なくとも3〜4回もの複数にわたって行われるのが通例であり、生産効率向上の大きな妨げとなっていた。
一方、反応液の粘度を検出する方法としては攪拌翼にかかるトルクを測定する方法がある。ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ等の反応物の生産においては反応の進行に伴って反応釜内に生成される物質の分子量が増大し、それに伴って粘度が上昇し攪拌翼にかかる回転負荷が増大する。この負荷の増大はトルクの上昇となって現れることから、トルクを測定することによって反応の進行や最終到達粘度等を予測することが可能となる。
トルクを測定する手段としては、回転軸の原動側と従動側の間に歪を検出するための弾性体から成る継ぎ手を設け、この弾性体の歪量を電気抵抗の変化に変換して検出する半導体センサー方式、継ぎ手の捻れを交流信号の位相差に変換して検出する位相差方式、その他にも磁歪方式、圧電方式等の各種装置が知られている。これらの装置に共通することは、何れもトルク検出装置の一部として設けた弾性体にトルクの大きさに比例した変形を起こさせ、更にこの変形量を前述の各種検出方式を用いて電気信号に変換するというものである。こうした公知慣用装置では、電動機容量が大きくなると歪検出のための弾性体も頑丈な構造が要求されるばかりでなく、前記反応製品を扱う化学工場等では、d2G4等の防爆設備基準を満たすための数々の工夫が要求されるため、大掛かり且つ複雑なものにならざるを得なかった。
従来の回転トルク或いは粘度の検出方法、又はこれらの検出装置としては、例えば、特許文献1には、試料との相対回転により受ける粘性によって発生するトルクを測定するようにした回転粘度計用トルク検出器に関して記載があり、中心部に被計測流体内で回転するロータが受けるトルクにより回転する軸を固定し、前記中心部から延びる平板状のボビンプレートと、前記ボビンプレートにおいて少なくともコイルの電流が中心軸から離れる方向の部分と近づく方向の部分を備えるように巻回し、外部から通電可能なコイルと、前記各コイルを上下から挟んで対向し、互いに磁極が異なる各々一対の永久磁石と、前記ボビンプレートの回転位置に対応した光または影の位置を検出する受光部材と、前記受光部材の受光位置信号に応じて前記ボビンプレートの回転前の位置に戻すように前記コイルへの通電量を制御し、該通電量によりトルクを求める手段を備えたことを特徴とする回転粘度計用トルク検出器が記載されている。
粘度を測定する手段としては、例えば、特許文献2には、ゴム等の試料の粘性抵抗を測定する粘度測定装置についての記載があり、互いに対向して離接され当接時に試料室を形成する上部および下部ダイスと、いずれか一方のダイスを貫通する軸を有し、前記試料室内で回転されるロータとを備え、前記試料室内に試料を充填しない状態で前記ロータを回転させ、ロータに作用する反トルクを検出器で検出して検出器のゼロ点調節を行うとともに、前記試料室内に試料を充填してロータを回転させ、試料の粘性抵抗によってロータに作用する反トルクを前記検出器で検出して試料の粘性抵抗を測定する粘度測定装置において、前記ロータの頂面には、試料非充填時の前記反トルクを低減すべく前記ロータの回転中心軸上において前記試料室の壁面とほぼ点接触可能な当接部が設けられていることを特徴とする粘度測定装置が記載されている。
特許文献3には、回転の生成と発生トルクの測定、或いは、その逆の組み合わせで試料の粘性等を測定する回転粘度計について記載があり、回転粘度計の回転軸の軸線と駆動用モータの駆動軸線を一致させ、前記回転軸を直接駆動する駆動用モータを備えた回転粘度計であって、前記駆動用モータはオープンループによる回転制御を行うステッピングモータであり、前記ステッピングモータの各相の電流を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、ステッピングモータに流す電流の内、1相のみの電流を振動させて、モータに回転変位振動を発生させることを特徴とする直接駆動モータを用いた回転粘度計が記載されている。
しかし、これまでのトルク測定法或いは粘度測定法においては、特定の測定装置を導入する必要があり、化学工場等において既設の反応釜設備にトルク検出装置等を設置する場合には、生産を停止して設備を解体し当該設備固有の取り付け部品等を用いる必要があるため、製造コストへの影響も大きく、合理化目的のトルク検出装置等導入を一層困難なものとしていた。
上記事情から、トルク検出装置を用いずにトルクを検出する方法が種々検討されてきた。例えば、特許文献4には、誘導電動機の二次抵抗の温度変化による影響を抑圧する制御技術を確立することを目的とし、電動機の回転速度または一次電圧・電流を用いた関数演算により発生トルクを推定する二つの方法が明らかにされている。一つは電動機慣性モーメントと電動機摩擦係数を定数としてトルクと角速度を変数とした微分方程式を解くことによってトルクを推定する方法、もう一つは誘導電動機の極対数、相互インダクタンス、二次インダクタンス、一次電流、及び二次磁束とから公知関係式によりトルクを推定する方法である。
前者の方法では、前記方程式の解を得るためには慣性モーメントの検出が必要になるが、反応釜の攪拌翼を回転させる場合、負荷が刻々と変化して行くので慣性モーメントも変化し、さらに回転系の慣性モーメントを計測するのは容易ではないため実施には困難が伴い、測定した慣性モーメントを用いて精度高く回転トルクの検出を行うことは実質不可能である。
後者では、電圧又は電流のみの計測量から関数演算によりトルクを推定するが必ずしも一つの関数式で実現象を正確に記述し得ないこと、該計測誤差がそのままトルク推定誤差に直結すること、摩擦に起因する損失トルク及び交流電源の周波数変化の影響等が考慮されないこと等から大きな誤差が生じる問題点があった。
特許文献5では、誘導電動機の可変速制御装置に関する発明を開示しており、発明構成要件の一つとして一次電流検出値に基づいてトルクを演算によって求める方法を明らかにしているが、本方法においても前記特許文献4と同様の問題が生じる可能性がある。
特許文献6には、画像形成装置に関する発明を開示しており、発明構成要件の一つとして直流モータの回転速度を一定に制御することを目的に電流、電圧、又は電力の何れかによってトルクを検知する方法を記載している。当該方法では、トルクが前記何れかの変数と比例関係にあることを利用してトルクを検知しているものの、摩擦に起因する損失トルク等による影響が考慮されないため誤差が大きくなる問題点がある。
特許文献7には、電力、電流、電圧、及び回転速度の計測量から関数演算によりトルクを求める方法が開示されているが、インバータ電源で駆動する誘導電動機においてこの方法を適用すると、後記図13〜15で示すように求められたトルク曲線に予期せぬ段差が生じ、信頼性の乏しいものであった。
以上のように、これまでの反応液の粘度を検出する方法においては、検出装置を反応器に設置することが必要でありそのための費用が必要となったり、検出装置を設置しない方法においても各種検出値の測定が困難となったり、或いは検出値を用いて演算を行った場合では検出値の誤差が大きい等、様々の課題に直面することになる。その一方、特別の検出装置を必要とすることなく、各種測定パラメータを用いて精度高く回転トルクの演算を行う方法、さらには該回転トルク検出値からバラツキの少ない反応液粘度を検出する装置は知られていなかった。
また、反応液粘度を検出する装置において、予め定められた製造単位あたりの標準仕込み量と、当該製造単位における実仕込み量が異なる場合に、両者の仕込み量の差に基づいて反応液粘度値を補正することによる仕込み量の補正手段を有する反応液粘度検出装置、更に、反応液の検出粘度が、予め定められた値を超えたときに反応終点と判定する判定機能を有する反応液粘度検出装置については、これまで知られていなかった。
特開2005−55410号広報 特許2800693号公報 特開2008−020465号公報 特許2654547号公報 特開2005‐102467号公報 特開2004‐258419号公報 特開昭60‐82826号広報
本発明では、前記背景技術に鑑み、公知慣用のトルク検出装置や化学工場等の防爆区域に大掛かりな計測設備を設けることなく、電動機作動のために加えられている電力、電圧、電流、回転軸の回転速度、更にはインバータ出力周波数を用いた精度の高い回転トルクの演算方法、及び該演算方法によって得られた値に基づき、反応液粘度を演算により検出する反応液粘度検出装置と、当該粘度検出方法を備える反応液製造装置、並びに該反応液粘度検出装置を用いた反応液製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、インバータ駆動電動機を動力源として、攪拌翼を備えた回転軸を回転することにより反応液の攪拌を行う反応器に設置され、前記反応液の粘度を検出するための反応液粘度検出装置であって、
1)前記電動機に供給されている電力を検出する電力検出手段
2)前記電動機に供給されている電流を検出する電流検出手段
3)前記電動機に供給されている電圧を検出する電圧検出手段
4)前記回転軸の速度を検出する回転速度検出手段
5)前記インバータ出力周波数を検出する周波数検出手段

の各手段を有し、前記各手段で得られた検出出力の値に基づき、特定の演算を行うことにより、精度の高い回転トルクが演算できること、更に該回転トルク検出値をもとに反応液粘度を検出できる装置を作出することにより、本発明の反応液粘度検出装置を完成するに至った。
更に、上記反応液粘度検出装置において、
予め定められた前記反応器での製造単位あたりの標準仕込み量と、当該製造単位における実仕込み量が異なる場合に、両者の仕込み量の差に基づいて反応液粘度値を補正することによる仕込み量の補正手段を有する装置、及び
反応液の検出粘度が、予め定められた値を超えたときに反応終点と判定する判定機能を有する装置を完成させた。
また、反応液を製造する場合に、該反応液粘度検出装置を公知慣用の反応液の製造装置に取り入れることによって、より効率性の高い反応液の製造が可能となることを見出し、本発明の反応液製造装置並びに製造方法を完成させるに至った。
本発明における反応液粘度検出装置の特徴は、回転トルクが、投入電力をP、電動機の回路定数等及び電動機負荷に応じて決まる各種損失電力をPとすると、両者の差分P−P(P)が機械動力P=Tω(Tは回転トルク、ωは回転軸の角速度)に変換されることになるので、回転トルク(T)は単位時間当たりの電力損失と角速度の値から、一般式(1)

T=(P−P)/ω 式(1)

として求めることができることに着目した点にある。
即ち、本発明は、トルク演算に必要な電流、電圧、電力等の計測量が各種要因で変動することがあったとしても、エネルギーの入出力の総和がゼロになるということ、及びインバータ出力周波数を検出するための周波数検出手段から検出される周波数に着目することによって、演算結果の精度が格段に高くなることを見出した。本知見をもとに、Pとωの計測値を基にした関数演算を経ることにより、回転トルク(T)を精度高く求めることができ、更にバラツキを少なくした反応液粘度検出装置を作出するに至った。
更に、本発明の上記反応液粘度検出装置は、
予め定められた前記反応器での製造単位あたりの標準仕込み量と、当該製造単位における実仕込み量が異なる場合に、両者の仕込み量の差に基づいて反応液粘度値を補正することによる仕込み量の補正手段を有し、
該反応液の検出粘度が、予め定められた値を超えたときに反応終点と判定する判定機能を有することを特徴とする。
また、本発明は反応液を製造する装置及び方法に関し、該反応液粘度検出装置を用いることを特徴とするものである。
本発明によれば、既存設備の解体等の特別の作業を行って回転トルク検出装置を導入することなく、少なくとも前記電動機に供給されている電力を検出する電力検出手段、電流を検出する電流検出手段、電圧を検出する電圧検出手段、回転軸の速度を検出する回転速度検出手段、インバータ出力周波数を検出するための周波数検出手段を有し、各手段で得られた検出出力の値に基づき、精度の高い回転トルクが検出でき、更には当該トルク(T)の検出値を用いた反応液粘度検出装置を提供することができる。
また、本発明によれば、前記検出方法を、反応液を製造する公知慣用の製造方法に設置することにより、反応途上の抽出検査を行うことなくリアルタイムで粘度値を把握できるようになるため、効率性の高い反応液の製造装置及び反応液の製造方法を提供することができる。
本発明の実施態様の一例を示す図面である。 反応容器の横から見た断面を示す図面である。 本発明の実施例を説明する図面である。 本発明の実施例で得られた回転トルクチャートを示す図面である。 本発明の実施例で得られた電力チャートを示す図面である。 本発明の実施例で得られた電圧チャートを示す図面である。 本発明の実施例で得られた電流チャートを示す図面である。 本発明の実施例で得られた周波数チャートを示す図面である。 本発明の実施例で得られた回転速度チャートを示す図面である。 本発明の実施例における本発明の方法と管理値との相関性の検討結果を示す図面である。 比較例1で得られた回転トルクチャートを示す図面である。 比較例2で得られた周波数50Hzにおける回転トルクチャートを示す図面である。 比較例2で得られた周波数50.3Hzにおける回転トルクチャートを示す図面である。 比較例2で得られた周波数50.5Hzにおける回転トルクチャートを示す図面である。 比較例2で得られた周波数50.7Hzにおける回転トルクチャートを示す図面である。 比較例2における相関性の検討結果を示す図面である。 一般的な反応液の粘度の温度特性を模式的に示す図面である。 反応器(9)への製品の投入量を変化させて検出した式(13)の値を模式的な曲線で示した図面である。
以下、本発明を詳細に説明する。
前記P(W)は、投入電力計測値を用いる。測定には通常公知の電力測定機器を用いることができる。電力測定機器は、用いられる電動機の種類によって、使い分けを行うことが必要で、例えば、電動機が単相回路である場合は単相用電力計、3相電動機である場合は3相用電力計を用いる。
また、P(W)は、電力を検出する電力検出手段、電流を検出する電流検出手段、電圧を検出する電圧検出手段、回転軸の速度を検出する回転速度検出手段及びインバータ出力周波数を検出するための周波数検出手段から得られる測定値によって、所定の演算から得られる各種損失電力の総和として算出された値を用いる。
電動機の損失には、電動機に対する負荷の大きさに依存せずに発生する固定損と、負荷の大きさに依存する変動損があることが知られており、前者固有損は電動機に固有の値であり、一義的に決定することが可能である。
後者変動損は、運転中の電圧値、電流値及び軸回転速度と、電動機に固有の回路定数を用い、所定演算を行うことにより求めることができる。ここで回路定数は、電動機メーカーから提供される試験表によっても、電動機の負荷試験による計測値によっても得ることができる。
当該所定演算を、具体的に説明する。
(W)を構成する損失電力としては、一次電流損、二次電流損、渦電流損、ヒステリシス損、機械損、浮遊損の総和として表され、各々以下の一般式(2)、(3)、(9)、(10)、(11)、(12)で表される。

一次電流損=一次巻線抵抗×(一相電流)×電動機の相数式(2)

二次電流損=二次巻線抵抗×(一相二次電流)×電動機の相数 式(3)

前記一相二次電流の値(単位アンペア)は三相誘導電動機のL型等価回路の採用によって、次の一般式(4)によって求められる。

二次電流値=一相電圧計測値/((一次巻線抵抗+(二次巻線抵抗/すべり))+(一次巻線リアクタンス+二次巻線リアクタンス))1/2 式(4)
尚、三相の各相電流間の差が大きく三相平衡とみなせないような場合では、式(2)、式(3)の計算は、各相毎に行ってから加え合わせて求める。

前記一次及び二次巻線リアクタンスの値(単位Ω)は、定格周波数における値なのでインバータ運転時の周波数の値によって次の一般式(5)、(6)によって求められる。
一次巻線リアクタンス=定格周波数における一次巻線リアクタンス×(インバー出力周波数出力値/定格周波数) (単位Ω) 式(5)

二次巻線リアクタンス=定格周波数における二次巻線リアクタンス×(インバー出力周波数出力値/定格周波数) (単位Ω) 式(6)
式(4)におけるすべりの値は、次の一般式(7)によって求められる。
すべり=(同期回転速度−回転速度計測値)/同期回転速度 式(7)

式(7)における同期回転速度は次の一般式(8)によって求められる。
同期回転速度=120×インバータ出力周波数計測値/極数 式(8)

渦電流損 =渦電流損×(一相電圧計測値/定格相電圧) (単位W) 式(9)

ヒステリシス損=ヒステリシス損×(一相電圧計測値/定格相電圧)/(インバータ出力周波数計測値/定格周波数) (単位Hz) 式(10)

機械損≒(機械損)× 回転速度計測値/定格同期速度 (単位W) 式(11)

浮遊損=固定損 (単位W) 式(12)

機械出力(P)は、Pから上記各損失電力を差し引いた値であるので、
=P‐(一次電流損+二次電流損+渦電流損+ヒステリシス損+機械損+浮遊損
式(13)
で表される。
従って、電動機の回転トルクは、
回転トルク=機械出力(P)/(2π×回転速度計測値/60)(単位Nm)
式(14)
で求めることができる。
ここで、回転速度計測値は、毎分あたりの回転数を表し公知慣用の回転速度計測計を用いて、通常の方法により測定することができる。
前記巻線抵抗の値としては、通常基準温度(20℃)での値が提供されるので前記、式(2)と式(3)の損失を求めるにあたっては、実際の運転温度で補正した値を用いると粘度測定精度をより高めることができる。抵抗値を運転温度で補正するには次式を用いる。
運転温度における巻線抵抗値=基準温度における巻線抵抗値×(運転温度+234.5)/(20+234.5) (単位Ω) 式(15)

ここで値234.5は銅の抵抗温度係数として知られる。回転中の巻線温度を直接測定するのは困難なので、温度検出手段は電動機内部の温度全体を代表するような部位に固定して設け、そこで得られた値を近似的に一次及び二次巻線の温度とみなしてもよい。
負荷の時間変動が速い場合は、各手段における計測タイミングのズレがエネルギーの入出力の総和がゼロになるというエネルギー保存則の前提を崩してしまうため、各検出手段における計測は同期的に行われることが望ましい。但し、負荷の変動が緩やかであって、全ての計測値を採取し終えるまでの間は実質的に変化がないと言えるような場合はこの限りではない。
本発明の特徴は、電動機が誘導電動機であってインバータを介して動作することであり、実施にあたっては、その出力周波数を他の計測量である電力、電圧、電流等と共に同期的に計測し、損失を求める各種変数に組み込めばよい。本願の反応液粘度検出装置においては、ヒステリシス損の検出にインバータ出力周波数を検出するための周波数計測値を組み込むことにより、検出される反応液粘度の変動(バラツキ)を小さくすることが可能となり、反応工程管理上好ましいものとなる。
さらに負荷の時間変動が激しい場合には、前記検出手段の他に、各手段に対して一斉に検出指令を出すための同期信号発生手段が設けられて、各検出手段による計測が同期的に行われるようにすることもできる。
本発明により検出された回転トルク(T)から反応液粘度を検出するには、例えば以下の手順に従って行うことができる。
ニュートンの式によれば、厚さhの液体を間にはさんだ2枚の面積Aの平面が相対速度Uで運動する時発生する力Fは、ηが粘度を表すとして、
F=ηAU/h 式(16)
で表される。
ここで、図2に表される反応容器において、rは攪拌翼半径、lは攪拌翼が反応液に没している長さ、Nは回転数、Fは距離rにおいて攪拌翼に発生する力、gは攪拌翼と反応釜との距離を表すとすると、上記式(10)式は以下の式(12)のように表される。
F=η(2πrl・2πrN)/g (単位N) 式(17)
従って、
回転トルク(T)=F・r=η(2πrl・2πrN)/g・r(単位Nm) 式(18)
であるので、
η=T・g/(2πrl・2πrN・r)
ここで、T、N以外は反応容器及び攪拌翼の寸法によって決定される定数なので改めて

η=κT/N (単位Pa・S) 式(19)

と表すことができ、式(19)によって相対的に反応液粘度を求めることができる。
以上の本発明の回転トルク演算方法を採用した反応液粘度検出装置は、電動機を動力源とする軸の回転トルクを検出し、更に反応液粘度を検出するための装置であって、前記電動機に供給されている電力を検出する電力検出手段、電流を検出する電流検出手段、電圧を検出する電圧検出手段、回転軸の速度を検出する回転速度検出手段及びインバータ出力周波数を検出するための周波数検出手段、更には、電動機の内部温度を検出する温度検出装置とを有し、前記各手段で得られた検出情報に基づき所定の演算を行うことにより回転トルクを求め、さらに反応液粘度演算手段を有することを特徴とするものであり、前記電力、電圧、電流、角速度、周波数、及び電動機の内部温度の各検出手段としては公知慣用の計測装置を用いることができる。
前記演算手段には、ノート型、ディスクトップ型等の各種パーソナルコンピュータ、或いはプロセスコンピュータ等の公知慣用演算処理機能を有する手段を用いることができる。前記演算手段並び前記各検出手段との間にはRS−232C、GP−IP、USB、ISA、PCI等の公知慣用のデータ通信機能があってもよいし、また前記同期信号発生手段が前記コンピュータ等からの命令で代用されるものであってもよい。
本発明のトルク検出装置は、図1において(1)の電力計、(2)の電圧計、(3)の電流計、(4)の回転速度計、(5)のPCとで構成される。
また、図1は動力源である電動機が単相回路であることを想定したものであるが、対象が三相誘導電動機である場合には、公知慣用の三相用の電力計が用いられるべきこと、また、その場合、電圧及び電流共に相毎に計測され、トルクを算出する演算も相毎に行われて合成されるべきことは言うまでもない。また対象とする電動機が直流電源で駆動する直流電動機であっても本発明を同様に適用することができる。
本発明のトルク検出装置で、減速機(10)の従動軸(12)の側のトルクを求める場合は、負荷(9)の原因となる内容物が空の状態で原動軸(11)のトルクToを予め求める。ここでのトルクToは減速機(10)で発生する損失トルクと従動軸(12)以下に繋がる軸受け等で発生する機械損失トルクを合計したものとなる。仮に減速機(10)の減速比率がA(従動軸回転速度に対する原動軸回転速度比)である場合は、従動軸トルクは演算式A(T−To)として求めることができる。この演算もまた演算手段であるPC(5)によって行われる。
原動側、従動側何れの側のトルクを求める場合にせよ、各計器での測定は(5)のPCからの命令で一斉に同期的に行われ、(6)の通信ケーブルを通じて当該計測情報を(5)のPCに戻される。(5)のPCは予めプログラム内に格納している電動機の固定損失及び電動機の回路定数を用い、前記計測情報に基づいてトルクを算出するための演算を行い、結果を画面や内部の情報記録手段等に出力する。
以上のような手順を経ることにより、オペレータはPC画面上に表示された回転トルク値をリアルタイムで知ることができる。
次に、前記反応液粘度検出装置において、反応液の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段で得られた温度値に基づき反応液粘度値を補正する粘度補正手段について説明する。
一般に、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ等の化学反応製品の製造は、所定内容積の反応釜の中に複数原料と反応促進剤(触媒)とを投入し、釜全体が所定温度となるように制御されて行われる。反応進行に伴い、内容物の分子量は徐々に増加し、それに伴い反応液粘度も上昇する。通常、製品には製品固有の許容粘度範囲(規格粘度幅)が定められていて、最終到達粘度は当該範囲に含まれることが要求される。反応釜の温度制御は、釜の内容積が大きくなるほど精度維持が難しくなり、実質的な制御精度は±3〜±5℃が限界と言われる。
一方、化学反応製品の粘度はアレニウス型と呼ばれる温度の指数型関数であることが知られており、温度変化に対しては大きく急激に変動する。一般に、反応温度を一定に維持することは困難であるとの前提から、本発明の装置で得られる粘度の値も、上記温度変動の影響を受けて増減することになるので、その結果、反応液に固有の粘度値を一義的に決めることができない。
上記を鑑み、本発明の装置においては、上記温度変化を伴ったとしても、前記反応液固有の粘度値を得るために、前記反応器内の反応液温度を検出する温度検出手段(16)と、当該手段で得られた温度値に基づき反応液粘度値を補正する温度補正手段とを設けることによって、予め定めた特定の温度における粘度に補正した値を出力することができる。
以下、具体的に手段を説明する。
図17は、一般的な反応液(以下、製品Aという)の粘度の温度特性を模式的に示した図であり、またToは当該製品Aが製造されるときの標準温度を表す。縦軸は、本発明原理である式(19)に基づいて得られた粘度の、温度Toおける値を100としたときの異なる温度における相対値(以下%粘度)を表したものである。当該曲線は、予め、例えばガードナーホルト法等の粘度測定装置を用いて、製品Aに係る粘度の温度特性を測定した結果を基に作成することができる。そして、本発明における温度補正は、図17に示す温度曲線を、例えば、2〜3次等の多項式形式で(5)のPC内部のメモリーに予め記憶させておいて、数値100を温度計測手段によって得られた値の%粘度で除した値(以下、温度補正係数という)を、式(19)で得られた値に積算することによって行われる。ここで、多項式はその種類は問わないが、粘度と温度の関係を誤差少なく表すものであればよい。
仮に、製品Aを製造しているときの反応器内の液温が標準温度Toであった場合には、%粘度値は100なので、温度補正係数の値は1となり、これを式(19)によって得られる値に積算するが、この場合には値は変化しない。同様に液温が標準温度Toよりも高いT’であった場合、%粘度は図17の曲線に沿って得られる100よりも小さい値η’となるので、温度補正係数の値は1よりも大きい値となる。これを式(19)で得られた値に積算することによって、実際に温度T’で検出された粘度値を、標準温度Toでの値に換算して出力することが可能となる。
次に、前記反応液粘度検出装置において、予め定められた前記反応器での製造単位あたりの標準仕込み量と、当該製造単位における実仕込み量が異なる場合に、両者の仕込み量の差に基づいて反応液粘度値を補正することによる仕込み量の補正手段について説明する。ここで、仕込み量とは、仕込みの質量を指しても、仕込みの容量を指してもどちらであってもよいが、通常は仕込みの質量である。
反応製品は反応器(9)に原料等を投入して行われるが顧客需要や生産計画等の都合で、生産単位当たりの生産量が一定であるとは限らない。反応器内に投入される原料の合計量が増減する場合は、式(14)によって得られるトルクが増減し、それに基づいて式(19)で得られる粘度もまた増減することになり、反応液に固有の粘度値を一義的に決めることができない。
しかし、本発明の装置においては、上記仕込み量の増減があったとしても前記反応液固有の粘度値を得ることができるようにするために、仕込み量の増減に伴う上記変化を補正する仕込み量補正手段が設けられる。図18は、反応器(9)に製品Aの投入量Wを変化させて検出した式(19)の値を模式的な曲線で示したものである。当該曲線は、予め、例えばガードナーホルト法等の粘度測定装置を用いて、製品Aに係る粘度と仕込み量の関係を測定した結果を基に作成することができる。
縦軸は、本発明原理である式(19)に基づいて得られた粘度の、標準仕込み量Woおける値を100としたときの他仕込み量における相対値(以下、%粘度という)を表したものである。本発明における仕込み量補正は、図18に示す曲線を、例えば、2〜3次等の多項式形式で(5)のPC内部のメモリーに予め記憶させておいて、数値100を、当該生産における仕込み量時の%粘度で除した値(以下、仕込量補正係数という)を求め、これを式(19)で得られた値に積算することによって行われる。ここで、多項式はその種類は問わないが、粘度と仕込み量の関係を誤差少なく表すものであればよい。
仮に、製品Aを製造しているときの反応器への仕込み量が標準仕込み量Woであった場合には、%粘度値は100なので、仕込み量補正係数の値は1となり、これを式(19)によって得られる値に積算するが、この場合には値は変化しない。同様に仕込み量が標準量Woよりも高いW’であった場合、%粘度は図18の曲線に沿って100よりも大きい値η’となるので、仕込み量補正係数の値は1よりも小さい値となる。これを式(19)で得られた値に積算することによって、実際には仕込み量W’で検出された粘度の値であっても、標準仕込み量Woでの値に換算して出力することが可能となる。
また、反応終点と判定する手段は、前記手段に従って算出された反応液の検出粘度が、予め定められた値を超えたときに反応終点と判定することにより行われる。
本発明に係る反応液の製造装置は、前記反応液粘度検出装置が設置されている特徴を有する。該製造装置への設置方法に特に制限はなく、該反応液粘度検出装置の有する機能を発揮することが可能であればよい。該反応液粘度検出装置が設置された製造装置の具体例として、図1の製造装置を挙げることができる。
本発明において製造される反応液は、化学反応性化合物を含み反応の進行に伴い、粘度が変動するものであれば制限はないが、本発明で得られる反応液は、例えば、通常公知のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を含む反応液を挙げることができる。
本発明において製造されるポリエステル樹脂は、例えば、低分子ポリオールまたはポリアルキレンエーテルジオールとカルボン酸またはポリカルボン酸とを反応させて得られる縮合ポリエステルまたは縮合ポリエステルポリオール、ラクトンの開環重合により得られるポリラクトンジオール、低分子ジオールと低級アルコールの炭酸ジエステルとを反応させて得られるポリカーボネートジオール等であり、アクリル樹脂は、例えば、アクリル酸、水酸基を有しないアクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、水酸基を有しないメタクリル酸エステル、及び水酸基を有するアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル等の重合物であり、ポリウレタン樹脂は、例えば、アルコール若しくはポリオールとジイソシアネートの重付加物等であり、エポキシ樹脂は、例えば、ポリエポキシドとポリカルボン酸との付加縮合物等を挙げることができるが、これらに限らない。
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)ポリウレタン樹脂を含む反応液の製造
以下に、重合反応釜を用いて合成樹脂製品を生産する工程において、本発明の反応液粘度検出装置を用いた結果を示す。
(装置構成)
図3は反応設備の構成を示す図であり、
(4)は、角速度検出手段、
(5)は、パーソナルコンピュータ(PC)、
(6)は、通信ケーブル、
(7)は、三相電源、
(8)は、三相誘導電動機、
(9)は、反応釜(負荷)、
(9a)は、反応液、
(9b)は、従動軸に固定された攪拌翼、
(10)は、減速機、
(11)は、原動軸、
(12)は、従動軸、
(13)は、計測器パッケージ、
(14)は、制御盤、
(15)は、インバータ
(16)は、温度検出手段(反応液)
(17)は、温度検出手段(電動機巻線)

をそれぞれ示し、何れも公知慣用の設備並びに機器類である。尚、前記制御盤はインバータを内包し化学工場の非防爆指定区域に設けられるのが通常であり、また本実施例においてはPC及び計測器パッケージもまた当該制御盤内に設けられるのでd2G4等の防爆技術基準を満たす必要はない。但し、回転速度計は防爆指定区域にある現場の回転軸付近に設けられており当該生産設備の標準機能として敷設されていたものを、本発明の構成要素の一部として兼用した。
本実施例の前記三相誘導電動機は、極数4極、20℃における一次巻線抵抗0.033Ω、一次巻線リアクタンス0.038Ω、20℃における二次巻線抵抗0.015Ω、二次巻線リアクタンス0.020Ω、鉄損460W(渦電流損260W、ヒステリシス損200W)、機械損160W、浮遊損380Wであり、定格電圧220V、定格周波数60Hzの下で定格出力37kWを有する。本実施例における製品はジエチレングリコールに、トルエンジイソシアネート(2,4体:2,6体=95以上:5以下)を分割的に投入することによって重合反応を促進して得られるポリウレタン樹脂製品である。
当該反応は発熱反応であるため、原料である上記トルエンジイソシアネートを一括投入すると爆発的に反応が起こるので、安全性への配慮から少量ずつ分割投入して製造が行われる。当該製品を本実施例で用いる反応釜で製造する場合の標準仕込み量は5000kgであり、本実施例での仕込み量は4500kgである。また仕込み量補正曲線から得られる仕込み量補正係数の値は1.09である。当該製品を製造する場合の反応中の標準温度は80℃であり、本実施例での反応温度は78℃であった。また当該製品の温度補正曲線から得られる78℃における温度補正係数の値は、0.97であった。
前記計測パッケージは、本発明構成要素の一部を成し本実施例ではクランプ電力計CW240(横河メータ&インスツルメンツ株式会社)を用いた。この計測器は三相交流回路の電力計、電圧計4チャンネル、電流計4チャンネル及び周波数計の、合わせて4つの機能を一つのユニットに組み込んだものである。同様の計測機能であればこのCW240以外の計測器であっても用いることができる。
前記PCは前記計測パッケージから通信手段を通じてデータ入手し、所定演算を行って回転トルクを算出する演算機能と、各計測手段に対して一斉に計測タイミング信号を発する同期信号発生手段を兼ねる。各計測手段はPCからの指令で一斉に、単位時間あたり所定回数の計測を行い、その平均値をPCが取り込んで回転トルクを算出する。
(回転トルクの演算)
次に、回転トルク演算手順を次に示す。
三相電力計測値としてP=12000W、一相電圧計測値として123.6V、一相電流計測値として56.0A、二相、三相の電圧及び電流の計測値として共に一相と同じ値、周波数計測値として50.65Hz、回転速度計測値として1509.6m−1、電動機内部温度70℃が、それぞれ得られた場合で説明する。
前記三相誘導電動機の回路定数や損失特性が計測された時の基本量を先ず求める。
定格相電圧 V=220/31/2=127.1(V)
定格同期速度 Ns=120×60/4=1800(m−1
次に前記運転時における基本量として同期速度とすべりを求める。
電動機巻線コイル温度が計測によって得られた前記電動機内部温度70℃に等しいとみなし、当該温度における巻線抵抗値を求めると
一次巻線抵抗 =0.033×(234.5+70)/(234.5+20)
=0.040 (Ω)

二次巻線抵抗 =0.015×(234.5+70)/(234.5+20)
=0.018 (Ω)

リアクタンスは周波数に比例するので運転時のインバータ周波数で変換すると、
一次巻線リアクタンス=0.038×(50.65/60)
=0.032 (Ω)

二次巻線リアクタンス=0.020×(50.65/60)
=0.017 (Ω)

運転時同期速度N=120×50.65/4=1519.5(m−1
すべり S=(1519.5−1509.6)/1519.5=0.00652

二次電流 I=123.6/((0.040+0.018/0.00652)+(0.032+0.017)1/2=44.1(A)
以上の結果と、前記計測データとから各損失と回転トルクは以下の手順で求められる。
一次電流損P=一次巻線抵抗×一相電流の二乗×3相分
=0.040×56.0×3=376.3(W)

二次電流損P=二次巻線抵抗×一相二次電流の二乗×3相分
=0.018×44.1×3=105.0(W)
渦電流損 P=260×(123.6/127.1)=245.9(W)
ヒステリシス損P=200×(123.6/127.1)/(50.65/60)
=224.1(W)
機械損 P≒160×1509.6/1800=134.2(W)
浮遊損 P=380(W)
以上から、
機械出力P=P−(P+P+P+P+P+P
=12000−(376.3+105.0+245.9+224.1+134.2+380)=10535(W)
原動軸回転トルク=10535/(2π×1509.6/60)=66.65(Nm)
減速機出力トルク=66.65×29=1933(Nm)
と求めることができる。
反応釜に原料等を投入する前の空の状態においてトルクを検出した時の値は150Nmであったので、
反応液に起因する正味トルク=1933−150=1783(Nm)
として求められる。
また、前記で求めた仕込み量補正係数、及び温度補正係数の値を用いて、以下のように、補正後の粘度を求めることができる。
従動軸(攪拌翼)角速度ω=2π×1509.6/60/29
=5.451 (rad/s)
補正前粘度 η=1783/5.451=327.1 (Pa・s)
仕込み量補正後粘度 η1=327.1×1.09=356.5 (Pa・s)
温度補正後粘度 η2= 356.5×0.97=345.8(Pa・s)
本実施例は、各相の電圧、電流が共に等しい三相平衡状態を想定して行ったが、三相平衡状態でない場合では、相毎に一次電流損や二次電流損を求めてそれぞれ合計すればよい。
減速機によるトルク損失を考慮する場合、反応釜内の内容物が空の状態で、上記同様の手順により減速機出力トルクToを求めておいて、正味攪拌トルクは本発明の方法で得たトルクから差し引くことによって求められる。
上記トルク算出に用いた巻線抵抗の値は、電動機運転中の値が用いられることがトルクの検出精度上望ましく、必要に応じて公知慣用の温度計測手段を電動機内部に設けその温度計測値に基づき、上記抵抗値を温度補正して用いればよい。
前記一連の演算は公知慣用PC(本発明で使用した機種は、DELL DIMENSION 9200Cであるが、これに限られない。)を用い数十ミリ秒のオーダーで実施することができた。
図4は上記手順をある樹脂製品の反応工程で生産開始から終了まで1分間隔でモニターしPC画面に出力した回転トルクチャートを示す。また、図4の回転トルク算出に用いた電力の計測チャートを図5、電圧の計測チャートを図6、電流の計測チャートを図7、周波数の計測チャートを図8、回転速度の計測チャートを図9にそれぞれ示す。
図4〜図9の一連の図が示すように、各計測値はデータ抽出レート128個/分の平均値であるにも拘らず幅広いばらつきを持っているが、最終的に算出された図4の回転トルクのチャートは相対的に滑らかに推移している。これは、各損失エネルギーの起伏がエネルギー保存則という制約の下で互いに相殺している可能性を示唆している。
反応液粘度は、以上の回転トルクの結果と前記式(19)に従って求めることができる。
(本発明の方法と管理値との相関性の検討)
公知慣用法として知られるガードナー粘度計で求めたホルト粘度をストークス値に換算した値と本発明の方法で求めた反応液粘度の値で相関分析を行った結果を図10に示す。データの収集にあたり、3〜4ロット分の反応を用いた。
尚、本実施例においては相対粘度の値が便宜上0〜100の範囲に入るように係数を調節して求めた。当該実施例での直線性は良好で寄与率0.98(相関係数の二乗)であった。
(実施例2)ポリエステル樹脂を含む重合液の製造
実施例1におけるジエチレングリコール及びトルエンジイソシアネートの替わりに、エチレングリコール及びテレフタル酸を用いて通常公知の方法により、ポリエチレンテレフタレートを製造するに際し、実施例1と同様の手段を用いて反応を行った。
その結果、ポリエステル樹脂を含む重合液の製造において、本発明の手段及び方法を利用できることが確認された。
(実施例3)アクリル樹脂を含む重合液の製造
実施例1におけるジエチレングリコール及びトルエンジイソシアネートの替わりに、メタクリル酸メチルを用いて通常公知の方法によりメタクリル酸メチル樹脂を製造するに際し、実施例1と同様の手段を用いて反応を行った。
その結果、アクリル樹脂を含む重合液の製造において、本発明の手段及び方法を利用できることが確認された。
(実施例4)エポキシ樹脂を含む重合液の製造
実施例1におけるジエチレングリコール及びトルエンジイソシアネートの替わりに、エピクロルヒドリン及びビスフェノールAを用いて通常公知の方法によりエポキシ樹脂を製造するに際し、実施例1と同様の手段を用いて反応を行った。
その結果、エポキシ樹脂を含む重合液の製造において、本発明の手段及び方法を利用できることが確認された。
(比較例1)
図11には、上記実施例1で得た電圧計測値と回転速度の二情報のみを用いて、L型等価回路におけるトルクと一次電圧及びすべり(角速度の関数)の関係式から回転トルクを求めたチャートを表す。従来法で求めた図11と本発明の方法で求めた図4のチャートと比較すると、両者共に変化の傾向は類似しているものの、図11の方が各時刻における変動幅が大きく信頼性が劣ることは明らかである。
(比較例2)
本比較例では、特許文献7の方法を適用して回転トルクを算出した。
この場合には、運転時の同期速度を求める時の周波数を、電源商用周波数で代用せざるを得ないので、f=50Hzとしてすべりを求め、その値に基づき二次電流の値を求めた。その他の計算方法は前述の図11の場合と全く同様とした。そのようにして求めたトルクの値は全領域で負となるものであったが、このような状況は物理的には有り得ないため便宜上ゼロとみなした(図12に回転トルクチャートを示す)。
続いて特許文献7の方法を適用する更なる試みとして、周波数を50.3Hz、50.5Hz、50.7Hzと仮定して求めたトルク値を、図13、図14、及び図15にそれぞれ示す。何れの図においても経過時間300分前後のところで段差が生じていることが分かる。最も段差が小さい図15を最良値として実施例で示した(図10)ものと同様の相関分析を行った結果を図16に示す。当該比較例の結果は、本発明の方法で得た相関直線よりバラツキが大きく寄与率も実施例に比較し、0.1小さいものとなっている。
以上のように、本発明の反応液粘度検出装置によれば、大掛かりな装置を必要とすることなく、回転トルク、及び反応液粘度を精度よく検出することができることが明らかである。
本発明は、特定の演算によって回転トルクを検出した後に、該回転トルク検出値から反応液粘度を演算することを特徴とする反応液粘度検出装置、該反応液粘度検出装置が設置された反応液の製造装置を提供するものであり、各種反応液の製造に利用することができる。
(1)電力検出手段
(2)電圧検出手段
(3)電流検出手段
(4)角速度検出手段
(5)演算手段(コンピュータ)
(6)データ通信線
(7)電源
(8)電動機
(9)負荷(反応釜)
(9a)反応液
(9b)従動軸に固定された攪拌翼
(10)継ぎ手(または減速機)
(11)原動軸
(12)従動軸
(13)計測器パッケージ(三相電力計、電圧計、電流計、周波数計)
(14)制御盤
(15)インバータ
(16)温度検出手段
(17)温度検出手段(電動機巻線)

Claims (12)

  1. インバータ駆動電動機を動力源として、攪拌翼を備えた回転軸を回転することにより反応液の攪拌を行う反応器に設置され、前記反応液の粘度を検出するための反応液粘度検出装置であって、
    1)前記電動機に供給されている電力を検出する電力検出手段
    2)前記電動機に供給されている電流を検出する電流検出手段
    3)前記電動機に供給されている電圧を検出する電圧検出手段
    4)前記回転軸の速度を検出する回転速度検出手段
    5)前記インバータ出力周波数を検出する周波数検出手段

    の各手段を有し、各手段で検出される検出値により得られる投入電力(P)、損失電力(P)、角速度(ω)を基に、式(1)

    T=(P−P)/ω 式(1)

    により回転トルク(T)を求め、該回転トルクから反応液粘度を演算することを特徴とする反応液粘度検出装置。
  2. 前記反応液粘度検出装置において、前記電動機の内部温度を検出する温度検出手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の反応液粘度検出装置。
  3. 前記損失電力(P)が、一次電流損、二次電流損、渦電流損、ヒステリシス損、機械損、及び浮遊損の総和である請求項1又は2に記載の反応液粘度検出装置。
  4. 前記電力検出手段、電流検出手段、電圧検出手段、回転速度検出手段、周波数検出手段での検出が同期的に行われる請求項1〜3の何れかに記載の反応液粘度検出装置。
  5. 前記反応液粘度検出装置において、
    1)前記反応液の温度を検出する温度検出手段
    2)前記温度検出手段で得られた温度値に基づき反応液粘度値を補正する粘度補正手段の各手段を更に有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の反応液粘度検出装置。
  6. 前記反応液粘度検出装置において、
    予め定められた前記反応器での製造単位あたりの標準仕込み量と、当該製造単位における実仕込み量が異なる場合に、両者の仕込み量の差に基づいて反応液粘度値を補正することによる仕込み量の補正手段を更に有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の反応液粘度検出装置。
  7. 前記反応器を用いて反応液を攪拌するに際し、
    該反応液の検出粘度が、予め定められた値を超えたときに反応終点と判定する判定機能を更に有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の反応液粘度検出装置。
  8. 前記電動機が誘導電動機である請求項1〜7の何れかに記載の反応液粘度検出装置。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の反応液粘度検出装置が設置されることを特徴とする、反応液製造装置。
  10. 前記反応液が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、またはエポキシ樹脂を含むものある請求項9に記載の反応液製造装置。
  11. 請求項1〜8の何れかに記載の反応液粘度検出装置を用いることを特徴とする反応液製造方法。
  12. 前記反応液が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、またはエポキシ樹脂を含むものである請求項11に記載の反応液製造方法。
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