JP4882836B2 - スピーカ用振動膜およびスピーカ - Google Patents

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Description

本発明は、スピーカ用振動膜およびスピーカに関し、特に高分子静電型アクチュエータで構成されるスピーカ用振動膜およびスピーカに関する。
球面状の音場を形成する理想の音源として、完全呼吸球のスピーカの形成が試みられている。従来は、例えば面状のダイナミックスピーカを多面体の各面に配置することにより、擬似的な呼吸球を形成するスピーカが提案されている。しかし、このような多面体の各面にダイナミックスピーカを配置しても、擬似的な呼吸球にとどまり、完全呼吸球のスピーカを形成することはできない。一方、圧電材料であるPZT(圧電セラミックス)を用いて曲面状のスピーカ用振動膜を形成したり、半球状の振動膜を組み合わせて球面状のスピーカ用振動膜を形成することが提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、圧電セラミックスを用いる場合、スピーカ用振動膜を球形状に形成するためには複雑な製造工程を必要とする。また、セラミックス製のスピーカ用振動膜は、衝撃に弱いという問題がある。さらに、セラミックス製のスピーカ用振動膜は、弾性体ではないため、完全な呼吸球の形成が困難である。また、特許文献1に開示されているスピーカ用振動膜は、半球状の二つの振動膜を接合しているため、振動膜の間に不連続な接合面を形成する。したがって、完全な呼吸球の形成が困難である。
特開平11−113095号公報
そこで、本発明の目的は、製造が容易かつ構造が簡単であるとともに、弾性体による均一な音場を形成するスピーカ用振動膜およびスピーカを提供することにある。
(1)本発明のスピーカ用振動膜は、絶縁層、および前記絶縁層の両面に形成されている導電層を有する高分子静電型アクチュエータ膜本体を備え、前記高分子静電型アクチュエータ膜本体は、内部に空間を形成可能な袋状である。
高分子静電型アクチュエータ膜本体は、高分子で形成される絶縁層および導電層を有している。絶縁層の両面を挟む導電層間に電圧を印加すると、導電層間のクーロン力によって高分子静電型アクチュエータ膜本体には歪みが生じる。そのため、導電層間に印加する電圧を制御することにより、高分子静電型アクチュエータ膜本体は伸縮し、振動を生じる。この振動によって、高分子静電型アクチュエータ膜は音場を形成する。また、高分子静電型アクチュエータ膜本体を構成する絶縁層および導電層は、高分子によって形成されている。そのため、高分子静電型アクチュエータ膜本体は、容易に弾性変形する。さらに、高分子静電型アクチュエータは、液状の高分子を積層して乾燥することにより、単一または複数の絶縁層および導電層が容易に形成される。さらに、高分子静電型アクチュエータ膜本体は、袋状に形成することにより、全体が均一に振動する。したがって、製造が容易であり、構造が簡単であるとともに、弾性体による均一な音場を形成することができる。
また、本発明のスピーカ用振動膜では、複数の層に積層された前記高分子静電型アクチュエータ膜本体を備える。
高分子静電型アクチュエータ膜本体は、絶縁層と導電層とを複数の層に積層することにより、膜厚が増大し、強度が向上する。ところで、絶縁層または導電層自体の膜厚を増大することにより、全体の膜厚が増大、強度を高めることも可能である。この場合、絶縁層の膜厚を増大すると、導電層間に印加すべき電圧が増大し、絶縁破壊や沿面放電などを招きやすくなる。そこで、絶縁層または導電層の膜厚を増大するよりも、絶縁層または導電層を積層して全体の膜厚を増大し強度の向上を図ることが望ましい。したがって、要求される強度、あるいは振動の大きさに応じて膜厚を調整することができる。
また、本発明のスピーカ用振動膜では、複数の層に積層された前記高分子静電型アクチュエータ膜本体のうち少なくとも一層は、前記高分子静電型アクチュエータ膜本体の伸縮を検出するセンサ層である。
絶縁層の両面に導電層を形成した高分子静電型アクチュエータ膜本体は、導電層間に電圧を印加すると歪みが生じる特性を有する。これとともに、このような高分子静電型アクチュエータ膜本体は、歪みを検出するセンサとしても機能する。すなわち、導電層間に電圧を印加しているとき、高分子静電型アクチュエータ膜本体に変形が生じると、変形の度合い(程度)を、導電層間の静電容量の変化により生じる導電層間の電圧の変化として求めることができる。そして、例えば電圧の変化と導電層間の距離dとの相関関係をあらかじめ測定したテーブルを参照することにより、この導電層間の電圧の変化に基づいて、高分子静電型アクチュエータ膜本体の変位が検出される。その結果、電圧の印加にともなう高分子静電型アクチュエータ膜本体の変形は高分子静電型アクチュエータ膜本体によって直接検出される。これにより、高分子静電型アクチュエータ膜本体の振動によって音場を形成するとき、高分子静電型アクチュエータ膜本体の振動特性が直接制御される。したがって、発生する音の制御特性が向上し、より音質の優れた音を再生することができる。
(2)本発明のスピーカ用振動膜では、前記高分子静電型アクチュエータ膜本体は、略球形状に形成されている。
これにより、高分子静電型アクチュエータ膜本体は、振動することによって球面状の音場を形成する点音源を構成する。したがって、理想的な球面状の音場を形成することができる。
)本発明のスピーカは、請求項1または2記載のスピーカ用振動膜と、前記高分子静電型アクチュエータ膜本体の開口側に設けられ、前記スピーカ用振動膜の内部の空間を密封して前記スピーカ用振動膜を支持するとともに、前記スピーカ用振動膜へ電力を供給する台座部と、を備える。
スピーカ用振動膜は袋状に形成されているため、良好な振動を生じさせるためには内部を密封する必要がある。そこで、台座部は、袋状の高分子静電型アクチュエータ膜本体の開口側を密封して支持している。また、台座部は、スピーカ用振動膜に電力を供給する。これにより、スピーカ用振動膜は、台座に密封された状態で固定され、台座から電力が供給される。したがって、音質の優れた音を再生することができる。
)本発明のスピーカでは、前記スピーカ用振動膜の内部の空間の圧力を調整する圧力調整手段をさらに備える。
袋状のスピーカ用振動膜を振動させるためには、内部を一定の圧力に保持し、適度にスピーカ用振動膜に引っ張り力を加えることが望ましい。一方、スピーカ用振動膜に加わる引っ張り力は、例えば気温、湿度、大気圧あるいは経年変化によって変化する。そこで、圧力調整手段は、それらの環境の変化あるいは経年変化に応じてスピーカ用振動膜内部の圧力を調整し、スピーカ用振動膜に加わる引っ張り力を所定値に維持する。したがって、常に音質の優れた音を再生することができる。
)本発明のスピーカでは、前記圧力調整手段は、前記台座部に設けられている。
台座部は、袋状のスピーカ用振動膜が形成する内部の空間を密封している。そのため、台座部に圧力調整手段を設けることにより、圧力調整手段とスピーカ用振動膜とが近接して配置される。したがって、スピーカ用振動膜の内部の圧力を迅速かつ正確に調整することができる。
)本発明のスピーカでは、前記スピーカ用振動膜の内部に設けられている発光部材をさらに備える。
これにより、袋状のスピーカ用振動膜は、発光部材が発する光が内部に照射される。したがって、イルミネーションとしての効果を得ることができ、美感を高めることができる。
以下、本発明によるスピーカの複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるスピーカを図1に示す。図1は、本発明の第1実施形態によるスピーカの概略構成を示す模式図である。
スピーカ10は、スピーカ用振動膜20および台座部11を備えている。スピーカ用振動膜20は、高分子静電型アクチュエータ膜本体(以下、単に「アクチュエータ膜本体」という。)21を備えている。アクチュエータ膜本体21は、略球形状の袋状に形成されている。アクチュエータ膜本体21は、径方向外側へ突出する首部22を有している。アクチュエータ膜本体21は、内部に密閉された空間を形成可能な袋状に形成されている。すなわち、アクチュエータ膜本体21は、風船状に形成されている。
アクチュエータ膜本体21は、絶縁層および導電層を有している。すなわち、アクチュエータ膜本体21は、図2(A)に示すように少なくとも一つの絶縁層31と、この絶縁層31を挟む二つの導電層32、33とから構成されている。第1実施形態の場合、アクチュエータ膜本体21は、導電層32の絶縁層31とは反対側に保護層34、および導電層33の絶縁層31とは反対側に保護層35を有している。保護層34、35は、導電層32および導電層33を保護するとともに、導電層32および導電層33の外部への露出を防止している。これにより、導電層32および導電層33の絶縁が図られている。導電層32、33は、例えばシリコンエラストマーにカーボン粒子を分散させた樹脂などで膜状に形成されている。また、絶縁層31および保護層34、35は、例えばシリコンエラストマーやポリウレタンなどの柔軟で誘電率の高い材料で膜状に形成されている。なお、絶縁層31と保護層34、35とは、異なる材料で形成してもよい。
アクチュエータ膜本体21は、図2(B)に示すように絶縁層41、42と導電層43、44、45とを交互に積層してもよい。この場合、絶縁層41は導電層43と導電層44との間に挟み込まれ、絶縁層42は導電層44と導電層45との間に挟み込まれる。そして、導電層43の絶縁層41とは反対側、および導電層45の絶縁層42とは反対側にはそれぞれ保護層46、47が設けられる。さらに、アクチュエータ膜本体21は、図2(C)に示すように図2(A)に示すアクチュエータ膜本体21を単純に積層した構成としてもよい。この場合、アクチュエータ膜本体21同士が接する部分は、保護層34、35を除去してもよい。これらのように、アクチュエータ膜本体21は、少なくとも一つの絶縁層とこの絶縁層を二つの導電層で含む構成であれば、任意の数の層に積層することができる。
図2に示したアクチュエータ膜本体21の構造は、一例であり、任意に変更することができる。このように構成されたアクチュエータ膜本体21は、厚さが数μmから数mm程度に設定されている。また、導電層および絶縁層の厚さは、それぞれ数μmから数十μm程度に設定されている。なお、絶縁層および導電層は、上記の例示した材料に限らず、絶縁層および導電層として同様の特性を示す任意の材料で形成することができる。
以下、説明の簡単のため、特に説明しない限り図2(A)に示すアクチュエータ膜本体21を例に説明する。
絶縁層31の両面に導電層32、33を形成することにより、絶縁層31は導電層32と導電層33との間に挟み込まれる。絶縁層31は、上述のように誘電率の高い材料で形成されている。そのため、絶縁層31を挟む二つの導電層32、33間に電圧を印加することにより、クーロン力が発生し、絶縁層31に歪みが生じる。二つの導電層32、33間に印加する電圧およびその周期を調整することにより、この絶縁層31の歪みはアクチュエータ膜本体21の振動として取り出すことができる。
図2(A)に示すアクチュエータ膜本体21の場合、アクチュエータ膜本体21は制御部12に接続される。この場合、アクチュエータ膜本体21の導電層32は制御部12の正極に接続され、導電層33は制御部12の負極に接続される。そして、この導電層32と導電層33との間に所定の周期で可変電圧を印加することにより、アクチュエータ膜本体21は振動を生じる。例えば図2(B)に示すアクチュエータ膜本体21の場合、導電層43および導電層45は制御部12の正極に接続され、導電層44は制御部12の負極に接続される。これにより、導電層43と導電層44との間に挟み込まれた絶縁層41、および導電層44と導電層45との間に挟み込まれた絶縁層42に印加される電圧が調整される。さらに、例えば図2(C)に示すアクチュエータ膜本体21の場合、導電層32は制御部12の正極に接続され、導電層33は制御部12の負極に接続される。なお、正極と負極とは、当然に入れ換え可能である。
スピーカ用振動膜20は、図1に示すように首部22が台座部11に保持されている。台座部11は、圧力室13、圧力調整部および制御部12を有している。圧力室13は、スピーカ用振動膜20の首部22を収容している。首部22は、端部が開口している。そのため、圧力室13の内部の圧力と袋状のスピーカ用振動膜20の内部の圧力とは同一である。圧力調整部は、蓄圧室14、調整通路15および調整弁16を有している。蓄圧室14は、例えばタンクを有しており、所定の圧力の気体を圧力を維持した状態で蓄えている。なお、圧力調整部は、例えばポンプなどの所定の圧力の気体を生成するものであってもよい。
調整通路15は、蓄圧室14と圧力室13との間を接続している。調整弁16は、調整通路15に設けられており、蓄圧室14から圧力室13へ供給される気体の流量を調整する。蓄圧室14から圧力室13へ供給される気体の流量を調整弁16で調整することにより、圧力室13およびスピーカ用振動膜20の内部は所定の圧力に維持される。蓄圧室14から圧力室13およびスピーカ用振動膜20の内部に供給される気体は、例えば窒素やアルゴンなどの不活性ガス、あるいは空気など任意のガスを利用することができる。
制御部12は、制御配線部17を経由してスピーカ用振動膜20と電気的に接続している。これにより、制御部12は、スピーカ用振動膜20に供給する電力の電圧および周波数などを制御する。制御部12は、外部ケーブル18を経由して外部のアンプ19に接続されている。制御部12は、アンプ19から出力される音声信号に応じてスピーカ用振動膜20へ供給する電力を制御する。なお、アンプ19は、別体に限らず、スピーカ10と一体に台座部11に設けてもよい。
スピーカ用振動膜20の首部22は、制御部12と電気的に接続するソケット50に接続される。スピーカ用振動膜20の首部22は、図3に示すように外壁が階段状に形成されている。すなわち、首部22では、積層されている絶縁層31、導電層32、導電層33、保護層34および保護層35が階段状に露出している。例えばスピーカ用振動膜20の最も内周側に保護層35が位置する場合、首部の端部には保護層35が露出する。そして、保護層35の外周側に形成される導電層33、導電層33の外周側に形成される絶縁層31、絶縁層31の外周側に形成される導電層32、および導電層32の外周側すなわちスピーカ用振動膜20の最も外周側に保護層34が順に露出している。
一方、ソケット50は、内周壁が階段状に形成されている。ソケット50には、導電部材51および導電部材52が設けられている。導電部材51、52は、ソケット50の内周壁に沿って連続または不連続な円環状に設けられている。ソケット50の内周壁は、スピーカ用振動膜20の首部22の外壁に対応している。そのため、導電層32には導電部材51が接し、導電層33には導電部材52が接する。これにより、簡単な構成でスピーカ用振動膜20を制御部12と電気的に接続することができる。なお、図3を用いて上述したスピーカ用振動膜20とソケット50との接続方法は一例である。したがって、例えば首部22およびソケット50の構成は、接続を維持可能な手法を用いて任意に変更することができる。
上述のようなスピーカ用振動膜20は、風船と同様の方法で製造される。スピーカ用振動膜20を製造する場合、図4(A)に示すようにスピーカ用振動膜20の外形に対応する成形型60が準備される。成形型60は、例えばワックスなどのようにスピーカ用振動膜20の形成後に溶融可能な材料で形成することが望ましい。図2(A)および図3に示すように絶縁層31、導電層32、導電層33、保護層34および保護層35を有するスピーカ用振動膜20を製造する場合、成形型60にはまず最も内周側に位置する保護層35が塗布される。
成形型60は、図4(B)に示すように保護層35を形成する液状となった樹脂61に浸される。これにより、成形型60の表面には、図4(C)に示すように保護層35となる膜が形成される。そして、成形型60は、液状の樹脂への浸漬または塗布、および乾燥を繰り返しながら、導電層33、絶縁層31、導電層32および保護層34が順に形成される。その結果、成形型60には、保護層35、導電層33、絶縁層31、導電層32および保護層34が順に形成される。また、成形型60に各層を形成する樹脂を浸すとき、上下方向の位置を徐々にずらすことにより、図3に示すように完成したスピーカ用振動膜20の外壁は階段状に形成される。
スピーカ用振動膜20のすべての層が形成されると、図4(D)に示すようにスピーカ用振動膜20は成形型60から取り外される。ワックスなどで成形型60を形成する場合、ワックスを溶融した後、内部を洗浄することにより、スピーカ用振動膜20の製造が完了する。各層の厚さは、成形型を浸す液状の樹脂の粘度を調整することにより、任意に設定することができる。
第1実施形態では、スピーカ用振動膜20は絶縁層31を導電層32と導電層33との間に挟み込むアクチュエータ膜本体21を備えている。スピーカ用振動膜20の絶縁層31、導電層32、33および保護層34、35はいずれも弾力性のある樹脂で形成されている。そのため、スピーカ用振動膜20は、全体が弾性体として振動する。そのため、導電層32と導電層33との間に印加する電圧の大きさおよび周波数を制御することにより、袋状のスピーカ用振動膜20は全体が径方向へ弾性変形により伸縮することによって振動する。また、スピーカ用振動膜20は、台座部11に接続される首部22を除き、ほぼ球形状に形成されている。その結果、スピーカ用振動膜20は、弾性体によって呼吸球に極めて近似した構造を形成する。したがって、点音源として理想的かつ均一な音場を形成することができる。
また、第1実施形態では、圧力調整部によってスピーカ用振動膜20の内部の圧力が一定に維持されている。そのため、スピーカ用振動膜20のアクチュエータ膜本体21に常に最適な引っ張り力を加えることができる。また、圧力調整部は、例えば外気の温度、気圧および湿度、あるいは経年変化などに基づいて、スピーカ用振動膜20の内部の圧力を調整する構成としてもよい。これにより、温度や圧力の影響を低減しつつ、音質の優れた音を発生することができる。
さらに、第1実施形態では、スピーカ用振動膜20の絶縁層31および導電層32、33は任意の数の層に積層されている。このように、絶縁層31および導電層32、33を積層することにより、アクチュエータ膜本体21の強度が向上する。したがって、要求される形状および音質などに応じて絶縁層31および導電層32、33の層の数は任意に設定することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるスピーカ用振動膜の模式図を図5に示す。
第2実施形態では、スピーカ用振動膜20のアクチュエータ膜本体21は、絶縁層31と、導電層32および導電層33と、保護層34および保護層35とからなる複数の膜ユニットを備えている。第2実施形態では、アクチュエータ膜本体21は三つの膜ユニット71、72、73を備えている。三つの膜ユニットのうち二つの膜ユニット71、72は、上述の第1実施形態による図2(C)と同様に制御部12に接続されている。一方、残る一つの膜ユニット73は、センサ部80に接続されている。すなわち、膜ユニット73は、センサ層を構成している。
センサ部80に接続されている膜ユニット73は、導電層32と導電層33との間に所定の電圧が印加されている。センサ部80が導電層32と導電層33との間に供給する電荷は一定の値である。導電層32と導電層33との間に電荷を供給したとき、導電層32と導電層33との間に挟み込まれた絶縁層31には一定のクーロン力により変形が発生している。このとき、アクチュエータ膜本体21に変形が生じると、導電層32と導電層33との間に生じている静電容量が変化し、導電層32と導電層33との間の発生電圧に変化が生じる。これにより、センサ部80は、導電層32と導電層33との間の発生電圧の変化によって、アクチュエータ膜本体21の変形量を検出する。
ここで、センサ部80によるアクチュエータ膜本体21の変位量の検出について具体的に説明する。
図6に示すように、計測装置100を用いてアクチュエータ膜本体21の特性が測定される。計測装置100では、アクチュエータ膜本体21の導電層32と導電層33との間の距離dと、静電容量Cとの関係が測定される。計測装置100は、アクチュエータ膜本体21を駆動する制御部101を備えている。制御部101は、アクチュエータ膜本体21の導電層32および導電層33へ駆動用の電力を供給する。制御部101とアクチュエータ膜本体21との間には、100kHzトラップ用のインダクタンスとしてコイル102が設けられている。
また、計測装置100は、センサ部80となるアクチュエータ膜本体21の特性を計測する計測回路部110を備えている。計測回路部110は、特定の周波数である100kHzの電気信号を発振する発振器111が設けられている。計測回路部110には、発振器111とアクチュエータ膜本体21の間の電圧を検出する電圧計112、および計測回路部110を流れる電流を検出する電流計113が設けられている。さらに、計測回路部110には、発振器111から発振された電気信号のノイズを除去するためのフィルタ114として100kHzバンドパスフィルタが設けられている。
上記のような計測装置100を用いて導電層32と導電層33との間の距離dと、アクチュエータ膜本体21の静電容量Cとの関係を測定する。この場合、計測装置100では、特定の周波数として100kHzの電気信号を発振する。その結果、図7に示すように、導電層32と導電層33との間の距離dと、アクチュエータ膜本体21のインピーダンスとの間には、ほぼ比例関係が得られる。アクチュエータ膜本体21のインピーダンスは、アクチュエータ膜本体21の静電容量に相関する。したがって、距離dとアクチュエータ膜本体21の静電容量Cとの間には、相関関係があり、特定の周波数におけるこの関係を予め知ることができる。一方、図8に示すように導電層32と導電層33との間の距離dと、アクチュエータ膜本体21から計測回路部110を流れる電流の大きさとの間には、ほぼ反比例の関係が得られる。これらの結果により、アクチュエータ膜本体21の静電容量の変化は、電流の変化として計測することができる。したがって、例えば図5に示すセンサ部80に、膜ユニット73における電流と静電容量Cとの関係をテーブルとして保存することにより、センサ部80で検出した電流から導電層32と導電層33との間の距離d、すなわち膜ユニット73の変位を検出することができる。
さらに、図9に示すように計測装置200を用いてアクチュエータ膜本体21の発信周波数と、静電容量Cとの関係を検出し、この関係から直接アクチュエータ膜本体21の導電層32と導電層33との間の距離dを検出してもよい。計測装置200は、アクチュエータ膜本体21に所定の周波数の電気信号を印加するLC発振器201と、LC発振器201から発振される電気信号の周波数をカウントするカウンタ202とを備えている。これにより、図10に示すようにLC発振器201による発振周波数と、アクチュエータ膜本体21の静電容量Cとの間の関係が得られる。
このように発信周波数とアクチュエータ膜本体21の静電容量Cとの間の関係を入手することにより、アクチュエータ膜本体21の静電容量Cの変化が、LC発振器201の回路定数すなわちコンデンサの容量変化として検出される。このLC発振器201の回路定数の変化を利用することにより、図11に示すようにアクチュエータ膜本体21の導電層32と導電層33との間の距離と、発信周波数との関係が直接検出される。したがって、例えば図5に示すセンサ部80に、膜ユニット73における発信周波数と静電容量Cとの関係をテーブルとして保存することにより、センサ部80で検出した静電容量Cから導電層32と導電層33との間の距離d、すなわち膜ユニット73の変位を検出することができる。
センサ部80に接続されている膜ユニット73は、制御部12に接続されている膜ユニット73と一体に積層されている。そのため、センサ部80は、アクチュエータ膜本体21の変位量を、アクチュエータ膜本体21から直接検出することができる。従来のスピーカの場合、スピーカを制御するとき、スピーカの振動部分の振動量を電気的に直接検出するのは困難である。そのため、従来のスピーカの制御は、アンプから供給される音声信号に基づいて各種特性が制御されるにとどまる。一方、第2実施形態では、センサ部80はアクチュエータ膜本体21の変位量を直接検出可能であるため、スピーカ10の振動部分の特性を迅速にフィードバック制御することができる。
また、センサ部80と制御部12、制御部12と圧力調整部とを接続し、センサ部80で検出したアクチュエータ膜本体21の振動特性を用いて制御部12で圧力調整部を制御する構成としてもよい。これにより、アクチュエータ膜本体21の振動特性を、例えば経年変化および周囲の環境の変化に関わらず常に一定することができ、長期間安定した優れた音質を維持することができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態によるスピーカの模式図を図12に示す。
第3実施形態では、スピーカ10は発光部90を備えている。発光部90は、台座部11からスピーカ用振動膜20の内部に突出して設けられている。これにより、発光部90は、スピーカ用振動膜20の内部に設けられる。発光部90は、制御部12に接続されており、制御部12からの信号によって変色あるいは発光量が変化する。制御部12は、例えばアンプ19から供給される音声信号に応じて発光部90の色および光量などを変化させる。その結果、発光部90は、スピーカ10から発生する音にあわせて光を発生する。
以上のように、第3実施形態では、発光部90によってスピーカ10を単に聴覚的な感覚手段としてではなく、視覚的な感覚手段としても適用でき、イルミネーションとして美感を高めることができる。
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態では、スピーカ用振動膜20を略球形状に形成する場合について説明した。しかし、スピーカ用振動膜20は、例えば円筒形または多面体としてもよい。スピーカ用振動膜20を円筒形にする場合、円筒の径方向にはほぼ均一な音場を形成することができる。一方、円筒の軸方向にはほとんど音場が形成されない。したがって、スピーカ用振動膜20を円筒形に形成する場合、音場の形成方向に指向性を持たせることができる。スピーカ用振動膜20を多面体に形成する場合も、音場の形成方向に指向性を持たせることができる。これにより、例えば多層住宅での使用のように音場の形成方向に制限がある場合、その環境にあわせて最適かつ高音質の音場を形成することができる。
また、スピーカ用振動膜20を形成するアクチュエータ膜本体21は、袋状の内部の圧力が大きくなると、導電層32、33間の電圧とアクチュエータ膜本体21の変位との関係において直線性が低下する。そのため、この直線性が低下する領域を利用することによって、予期しない音場を形成することも可能である。したがって、娯楽性を高めることができる。
本発明の第1実施形態によるスピーカの概略構成を示す模式図。 図1のII部分を拡大した模式的な断面図であって、スピーカ用振動膜の構成を示す図。 本発明の第1実施形態によるスピーカにおいて、ソケットおよびスピーカ用振動膜の首部を示す模式的な断面図。 本発明の第1実施形態によるスピーカにおいてスピーカ用振動膜の製造工程を示す模式図。 本発明の第2実施形態によるスピーカにおいて、スピーカ用振動膜の構成を示す模式的な断面図。 本発明の第2実施形態によるスピーカにおいて、スピーカ用振動膜の特性を検出するための計測装置を示すブロック図。 スピーカ用振動膜の導電層間の距離とインピーダンスとの関係を示す模式図。 スピーカ用振動膜の導電層間の距離と電流との関係を示す模式図。 本発明の第2実施形態によるスピーカにおいて、スピーカ用振動膜の特性を検出するための計測装置を示すブロック図。 スピーカ用振動膜の発信周波数と静電容量との関係を示す模式図。 スピーカ用振動膜の導電層間の距離と発信周波数との関係を示す模式図。 本発明の第3実施形態によるスピーカの概略構成を示す模式図。
符号の説明
10:スピーカ、11:台座部、14:蓄圧室(圧力調整手段)、15:調整通路(圧力調整手段)、16:調整弁(圧力調整手段)、20:スピーカ用振動膜、21:アクチュエータ膜本体(高分子静電型アクチュエータ膜本体)、31、41、42:絶縁層、32、33、43、44、45:導電層、73:センサ層、80:センサ部、90:発光部

Claims (6)

  1. 絶縁層、および前記絶縁層の両面に形成されている導電層を有する高分子静電型アクチュエータ膜本体を備え、
    前記高分子静電型アクチュエータ膜本体は、複数の層に積層され、内部に空間を形成可能な袋状であり、
    複数の層に積層された前記高分子静電型アクチュエータ膜本体のうち少なくとも一層は、前記高分子静電型アクチュエータ膜本体の伸縮を検出するセンサ層であるスピーカ用振動膜。
  2. 前記高分子静電型アクチュエータ膜本体は、略球形状に形成されている請求項1記載のスピーカ用振動膜。
  3. 請求項1または2記載のスピーカ用振動膜と、
    前記高分子静電型アクチュエータ膜本体の開口側に設けられ、前記スピーカ用振動膜の内部の空間を密封して前記スピーカ用振動膜を支持するとともに、前記スピーカ用振動膜へ電力を供給する台座部と、
    を備えるスピーカ。
  4. 前記スピーカ用振動膜の内部の空間の圧力を調整する圧力調整手段をさらに備える請求項記載のスピーカ。
  5. 前記圧力調整手段は、前記台座部に設けられている請求項記載のスピーカ。
  6. 前記スピーカ用振動膜の内部に設けられている発光部材をさらに備える請求項または記載のスピーカ。
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