JP4882639B2 - アクチュエータ、ポンプ、及び、光スキャナ - Google Patents

アクチュエータ、ポンプ、及び、光スキャナ Download PDF

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Description

本発明は、エレクトロウェッティング現象を利用して対象を駆動するアクチュエータ、このようなアクチュエータを備えたポンプ、及び、光スキャナに関する。
従来から、絶縁層に覆われた電極と絶縁層の表面に存在する液滴との間に、電位差が生じたときに、液滴と絶縁層表面の界面張力が変化して絶縁層表面に対する液滴の濡れ角(接触角)が変化する現象(エレクトロウェッティング現象)が知られている。近年、このエレクトロウェッティング現象によって生じる液滴挙動の変化をアクチュエータに応用する技術が提案されている。このような技術により、モータや圧電アクチュエータ等を用いた従来のものと比べてアクチュエータの駆動電力を低減することができ、さらに、構成が簡単なために一層の小型化を実現することが可能になってきている。
例えば、特許文献1には、エレクトロウェッティング現象を利用して、ピント合わせ時にカメラのレンズを駆動する装置が開示されている。この特許文献1のレンズ駆動装置は、第1構造体と、この第1構造体に対向するとともに第1構造体に対して離接可能な第2構造体と、第1構造体と第2構造体との間において両構造体と接触する液滴とを有する。そして、エレクトロウェッティング現象により、構造体の液滴接触面に対する液滴の濡れ角を変化させることによって、両構造体間の液滴の高さを変化させて、第1構造体と第2構造体の離間距離を調整することが可能に構成されている。
特開2005−185090号公報
ところで、前記特許文献1に記載されている駆動装置(アクチュエータ)は対向する2つの構造体を離接する方向に駆動するものであるが、このような構造のアクチュエータは、駆動量の微小な調整が必要な場合には必ずしも適していない。一方で、従来から、一部が固定された薄いプレート(駆動プレート)を微小変形させることで対象を駆動するアクチュエータが知られているが、駆動量の微小な調整が必要な場合には、このようなアクチュエータの方が、前記特許文献1の構成のものよりもむしろ適している。そこで、このような駆動プレートを有するアクチュエータに対しても、上述したようなエレクトロウェッティング現象を応用することができれば、駆動量の微調整が可能で、且つ、従来よりも消費電力低減及び小型化を容易に実現できる、非常に有用なアクチュエータが得られる。
本発明の目的は、駆動プレートを変形させることにより対象を駆動するアクチュエータであって、エレクトロウェッティング現象を応用することにより従来よりも消費電力低減及び小型化を容易に実現できるアクチュエータを提供することである。
第1の発明のアクチュエータは、絶縁性面を有する基材と、前記絶縁性面に配置された第1電極と、前記基材の絶縁性面と所定間隔空けて対向し、且つ、その一部分において前記基材に固定された駆動プレートと、前記基材の絶縁性面と前記駆動プレートとの間において、これらの両方と接触した状態で配置された導電性を有する液滴と、前記第1電極に対して電位を付与する電位付与手段を備え、
前記電位付与手段が前記第1電極の電位を変化させることにより、前記絶縁性面に対する前記液滴の濡れ角を変化させて前記液滴の高さを変動させ、この液滴高さの変動に応じて前記駆動プレートを変形させるように構成されていることを特徴とするものである。
基材の絶縁性面に配置された第1電極と、この基材に接触する導電性を有する液滴との間に電位差が生じると、その電位差に応じて基材表面に対する液滴の濡れ角が変化する(エレクトロウェッティング現象)。従って、電位付与手段が第1電極の電位を変化させると、絶縁性面に対する液滴の濡れ角が変化して、基材と駆動プレートとの間に位置する液滴の高さが変動する。このように、液滴の高さが変動することで、一部が基材に固定された駆動プレートが、液滴に接触されている位置において変形することになる。
この第1の発明によれば、エレクトロウェッティング現象を利用して液滴の高さを変動させることによって、駆動プレートを変形させることから、駆動量の微調整が可能であり、さらに、圧電アクチュエータや小型モータ等の従来のアクチュエータと比べて消費電力を低減することも可能となる。また、基材と駆動プレートとの間に配置された液滴と、この液滴と基材表面との間に電位差を生じさせるための第1電極等からなる、非常に簡単な構成で駆動プレートを変形させることができることから、アクチュエータの一層の小型化を容易に実現できる。
第2の発明のアクチュエータは、前記第1の発明において、前記基材の絶縁性面に、少なくとも前記第1電極を覆うように絶縁層が形成されており、前記液滴は、この絶縁層と前記駆動プレートの両方と接触していることを特徴とするものである。
この構成によれば、絶縁層の表面に位置する液滴と絶縁層に覆われた第1電極との間に電位差が生じると、絶縁層の表面に対する液滴の濡れ角が変化する。このように、液滴と電極間に絶縁層を介在させることにより、絶縁層が存在しない場合と比べて、基材に対する液滴の濡れ角を大きく変化させることができる。
第3の発明のアクチュエータは、前記第1又は第2の発明において、前記駆動プレートの前記絶縁性面と対向する面に、前記液滴と常に接触するとともに一定電位に保持された第2電極が配置されていることを特徴とするものである。この構成によれば、第2電極に接触する液滴の電位がほぼ一定に保持されるため、液滴と第1電極の間の電位差が安定することから、アクチュエータの動作の確実性が高まる。
第4の発明のアクチュエータは、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記絶縁性面の前記第1電極の配置領域と隣接する領域に、前記液滴の濡れ角が、常に前記第1電極の配置領域に対する前記液滴の濡れ角以下となる親液性領域が設けられていることを特徴とするものである。この構成によれば、第1電極に付与されている電位にかかわらず、液滴が常に親液性領域に安定して存在できるため、第1電極の電位が変化する際に、液滴の挙動が不安定になるのを防止できる。
第5の発明のアクチュエータは、前記第4の発明において、前記第1電極が切れ目のない環状に形成されており、前記親液性領域は、前記第1電極の内側に設けられていることを特徴とするものである。第1電極が配置されている領域の撥液性が高い(この領域に対する液滴の濡れ角が大きい)状態では、液滴はその内側の親液性領域に保持される。一方、第1電極の配置領域の撥液性が低下する(濡れ角が小さくなる)と、親液性領域から第1電極の配置領域まで液滴が濡れ広がる。この構成によれば、第1電極の電位変化時に、液滴の挙動が不安定になって、第1電極から離れるように移動してしまうことが防止されるため、アクチュエータの動作が安定する。
第6の発明のアクチュエータは、前記第1〜第5の何れかの発明において、複数の前記第1電極が前記絶縁性面に配置されていることを特徴とするものである。このように、第1電極が複数設けられることによって、駆動プレートの変形量をより一層大きくすることが可能になる。または、駆動プレートの変形位置や変形量をより細かく調整することが可能になる。
第7の発明のアクチュエータは、前記第6の発明において、前記絶縁性面と前記駆動プレートとの間に、前記複数の第1電極にそれぞれ対応して複数の前記液滴が配置されており、前記電位付与手段は、前記複数の第1電極に対して同じ電位を同時に付与することを特徴とするものである。
この構成によれば、複数の第1電極に対して同じ電位を同時に付与して、複数の液滴を同時にほぼ同じ高さに変化させることにより、駆動プレート全体の変形量を大きくすることができる。また、1つの液滴の高さが変動したときにその表面張力によって駆動プレートに作用する力は、接触している液滴の周長に比例する。本発明では、第1電極が複数に分割されてそれぞれに対応して複数の液滴が配置されているために、液滴の総周長(複数の液滴の周長の総和)が大きくなっている。そのため、面積の大きい1つの第1電極に電位が付与されて、それに対応する1つの大きな液滴の高さが変動する場合と比べると、液滴から駆動プレートに作用する力が大きくなるため、駆動プレートの変形量を大きくすることができる。
第8の発明のアクチュエータは、前記第6の発明において、前記電位付与手段は、前記複数の第1電極の一部に対して、他の第1電極とは異なる電位を付与することを特徴とするものである。この構成によれば、電位付与手段により、駆動プレートを変形させるための電位を付与する第1電極の位置や数を変更することで、液滴と接触する駆動プレートの変形位置、あるいは、変形量を調整することが可能となる。
第9の発明のアクチュエータは、前記第8の発明において、前記電位付与手段が、前記電位付与手段が、ある所定の電位を付与する前記第1電極の位置を変更することにより、前記絶縁性面に沿って前記液滴を移動させるように構成されていることを特徴とするものである。この構成によれば、絶縁性面に沿って液滴を移動させることにより、液滴と接触する駆動プレートの変形位置を変更することが可能となる。
第10の発明のアクチュエータは、前記第8又は第9の発明において、前記電位付与手段が、同時に同じ電位を付与する前記第1電極の数を変更することにより、前記液滴の高さを変化させるように構成されていることを特徴とするものである。この構成によれば、駆動プレートの変形量を調整することが可能となる。
第11の発明のアクチュエータは、絶縁性面を有する基材と、前記絶縁性面に配置された複数の第1電極と、前記基材の絶縁性面と所定間隔空けて対向し、且つ、その一部分において前記基材に固定された駆動プレートと、前記基材の絶縁性面と前記駆動プレートとの間において、これらの両方と接触した状態で配置された導電性を有する液滴と、前記第1電極に対して電位を付与する電位付与手段を備え、
前記電位付与手段が前記第1電極の電位を変化させることにより、前記絶縁性面に対する前記液滴の濡れ角を変化させて前記液滴を前記絶縁性面に沿って移動させ、この液滴の移動に応じて前記駆動プレートを変形させるように構成されていることを特徴とするものである。
この構成によれば、電位付与手段が第1電極の電位を変化させると、絶縁性面に対する液滴の濡れ角が変化して、絶縁性面に沿って基材と駆動プレートとの間に位置する液滴が移動する。このように、液滴が移動することで、一部が基材に固定された駆動プレートが、液滴の位置に応じて変形することになる。
第12の発明のポンプは、流体を貯留する流体貯留室と、この流体貯留室に連通する流入口及び流出口とを有するポンプ本体と、前記流体貯留室内の容積を変化させるアクチュエータとを備えたポンプであって、
前記アクチュエータは、前記ポンプ本体内に設けられた絶縁性面と、前記絶縁性面に配置された第1電極と、前記絶縁性面と所定間隔空けて対向するとともに前記流体貯留室を区画する一面を構成し、且つ、その外周部において前記ポンプ本体に固定された駆動プレートと、前記絶縁性面と前記駆動プレートとの間において、これらの両方と接触した状態で配置された導電性を有する液滴と、前記第1電極に対して電位を付与する電位付与手段を備え、
前記電位付与手段が前記第1電極の電位を変化させることにより、前記絶縁性面に対する前記液滴の濡れ角を変化させて前記液滴の高さを変動させ、この液滴高さの変動に応じて前記駆動プレートを変形させて、前記流体貯留室の容積を変化させるように構成されていることを特徴とするものである。
このポンプにおいては、電位付与手段が第1電極の電位を変化させることにより、絶縁性面に対する液滴の濡れ角を変化させて、基材と駆動プレートとの間に位置する液滴の高さを変動させる。このように、液滴の高さが変動することで、一部が基材に固定された駆動プレートが液滴に接触する位置において変形する。さらに、この駆動プレートの変形により、流体貯留室の容積が変化することから、流体貯留室内の流体の圧力を変動させて、流入口から流体貯留室に流体を流入させるとともに、流体貯留室内の流体を流出口から排出することができる。
第13の発明のポンプは、前記第12の発明において、前記ポンプ本体に、前記流体貯留室内における前記流体の圧力変動に応じて前記流入口及び前記流出口をそれぞれ開閉する開閉弁が設けられていることを特徴とするものである。この構成によれば、流体貯留室内の圧力が低下したときには、流入口を開放して流体貯留室に流体を流入させる一方で、流出口からの逆流(流入)を防止できる。また、流体貯留室内の圧力が上昇したときには、流出口を開放して流体貯留室から流体を流出させる一方で、流入口からの逆流(流出)を防止でき、流入口から流入した流体を効率よく流出口から排出することができる。
第14の発明の光スキャナは、光反射部とこの光反射部の傾斜を変化させるアクチュエータとを備え、入射光を光反射部で反射させて所定方向に偏向させる光スキャナであって、
前記アクチュエータは、絶縁性面を有する基材と、前記絶縁性面に配置された第1電極と、その一端部に前記光反射部が固定的に取り付けられるとともに前記絶縁性面と所定間隔空けて対向し、且つ、その他端部において前記基材に固定された駆動プレートと、前記絶縁性面と前記駆動プレートとの間において、これらの両方と接触した状態で配置された導電性を有する液滴と、前記第1電極に対して電位を付与する電位付与手段を備え、
前記電位付与手段が前記第1電極の電位を変化させることにより、前記絶縁性面に対する前記液滴の濡れ角を変化させて前記液滴の高さを変動させ、この液滴高さの変動に応じて前記駆動プレートを変形させて、駆動プレートの前記一端部に設けられた前記光反射部の傾斜を変化させるように構成されていることを特徴とするものである。
この光スキャナにおいては、電位付与手段が第1電極の電位を変化させることにより、絶縁性面に対する液滴の濡れ角を変化させて、基材と駆動プレートとの間に位置する液滴の高さを変動させる。このように、液滴の高さが変動することで、一部が基材に固定された駆動プレートが、液滴に接触する位置において変形する。そして、この駆動プレートの変形により、駆動プレートの一端部に設けられた光反射部の傾斜を変化させることができるため、入射光の偏向方向(反射方向)を変更することが可能となる。
第15の発明の光スキャナは、前記第14の発明において、前記絶縁性面に、複数の前記第1電極が前記駆動プレートの前記一端部から前記他端部に向けて配列されていることを特徴とするものである。この構成によれば、駆動プレートの変形量及び変形位置の微調整が可能となる。
第16の発明の光スキャナは、前記第15の発明において、前記電位付与手段が、ある所定の電位を付与する前記第1電極の位置を変更することにより、前記第1電極の配列方向に沿って前記液滴を移動させるように構成されていることを特徴とするものである。この構成によれば、液滴を第1電極の配列方向に移動させることにより、駆動プレートの変形位置を変更して、光反射部の傾斜を微調整することが可能になる。
第17の発明の光スキャナは、前記第15又は第16の発明において、前記電位付与手段が、同時に同じ電位を付与する前記第1電極の数を変更することにより、前記液滴高さを変化させるように構成されていることを特徴とするものである。この構成によれば、電位付与手段により同時に同じ電位を付与する第1電極の数を変えることにより、駆動プレートの変形量(たわみ量)を変化させて、光反射部の傾斜を微調整することが可能となる。
本発明によれば、エレクトロウェッティング現象を利用して駆動プレートを変形させることから、従来から広く用いられている圧電アクチュエータや小型モータ等と比べて、より低い消費電力で対象を駆動することが可能になる。また、基材と駆動プレートとの間に配置された液滴と、この液滴と基材表面との間に電位差を生じさせるための第1電極のみの、非常に簡単な構成で駆動プレートを変形させることが可能であるため、アクチュエータのより一層の小型化が容易になる。
本発明の第1実施形態について説明する。この第1実施形態は、インクジェットプリンタにインクを供給するインクカートリッジに接続されて、インク流路の背圧を調整する空気ポンプに本発明を適用した一例である。
まず、本実施形態の空気ポンプが設けられたインクジェットプリンタ100について簡単に説明する。図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、図1の左右方向に移動可能なキャリッジ2と、このキャリッジ2に設けられて記録用紙Pに対してインクを噴射するシリアル型のインクジェットヘッド1と、記録用紙Pを図1の前方へ搬送する搬送ローラ3などを備えている。
インクジェットヘッド1には、インクを貯留するインクカートリッジ4がチューブ5を介して接続されており、このインクカートリッジ4からインクジェットヘッド1へインクが供給される。そして、インクジェットヘッド1は、キャリッジ2と一体的に左右方向(走査方向)へ移動して、その下面に配置されたノズルから記録用紙Pに対してインクを噴射して所望の文字や画像等を記録するように構成されている。また、インクジェットヘッド1により画像等が記録された記録用紙Pは、搬送ローラ3により前方(紙送り方向)へ排出される。
また、インクカートリッジ4の大気導入部には、チューブ7を介して空気ポンプ6(以下、単にポンプという)が接続されている。このポンプ6は、インクジェットヘッド1のノズルからインクを噴射しない印字停止時に、インクカートリッジ4のヘッド圧等によってノズルからインクが漏れ出るのを防止するために、インクカートリッジ4の内圧を大気圧よりも低い圧力(負圧)に調整するためのものである。
次に、ポンプ6について図2〜図6を参照して説明する。図2、図3に示すように、ポンプ6は、空気を貯留する空気貯留室14(流体貯留室)と、この空気貯留室14に連通する流入口15及び流出口16を有するポンプ本体10と、空気貯留室14の容積を変化させるアクチュエータ11とを備えている。尚、以下の説明では、図2の上下方向をポンプ6の上下方向と定義する。
ポンプ本体10は、円板状の底板12と、この底板12の上面に接合されて、底板12の上方空間を覆う有底円筒状のケース部材13とを有する。そして、底板12とケース部材13の内部に空気貯留室14が形成されている。また、ケース部材13の上壁部には、この上壁部を貫通する孔からなる流入口15と流出口16が設けられている。また、図2には図示しないが、流入口15にはチューブ7が接続され、空気貯留室14はチューブ7を介してインクカートリッジ4の内部空間(インクが貯留されている空間)と連通している(図1参照)。一方、流出口16は外部へ開口しており、空気貯留室14は流出口16を介して大気と連通している。
尚、底板12及びケース部材13の材質は特に限定されるものではなく、例えば、ポリイミド等の合成樹脂材料やシリコン、あるいは、金属材料などで構成することができる。但し、底板12の上面には、後述するように複数の駆動電極20が配置されることから、これら複数の駆動電極20を絶縁するために、少なくとも底板12の上面は絶縁性を有する(絶縁性面である)必要がある。底板12の全体が合成樹脂材料等の絶縁性材料からなる場合には特別な表面処理は必要ないが、そうでない場合には、上面に絶縁性を付与する必要がある。例えば、底板12がシリコン製の場合には、底板12の上面にシリコンの酸化膜を形成すればよい。また、底板12が金属製の場合には、底板12の上面に絶縁性材料からなる薄膜を形成すればよい。
ケース部材13の上壁部の流入口15付近には、空気貯留室14内の圧力変動に応じて流入口15を開閉する流入側弁部材17が上下方向に移動可能に設けられている。この流入側弁部材17は、ケース部材13の上壁部の内面において流入口15を取り囲むように設けられた弁座13aに当接することにより、流入口15を内側から閉止する。また、流入側弁部材17は、図示しない付勢部材により閉止方向(上方)へ常時付勢されている。
また、ケース部材13の上壁部の流出口16付近には、空気貯留室14内の圧力変動に応じて流出口16を開閉する流出側弁部材18が上下方向に移動可能に設けられている。この流出側弁部材18は、ケース部材13の上壁部の外面において流出口16を取り囲むように設けられた弁座13bに当接することにより、流出口16を外側から閉止する。また、流出側弁部材は、図示しない付勢部材により閉止方向(下方)へ常時付勢されている。
そして、後ほど述べるアクチュエータ11の動作により、空気貯留室14内の容積が増加して、その内圧が低下したときには、空気貯留室14内とインクカートリッジ4内の間の圧力差により、流入側弁部材17が付勢部材の付勢力に抗して下方へ移動して弁座13aから離間し、流入口15が開放される。一方、空気貯留室14の容積が減少して、その内圧が上昇したときには、空気貯留室14内と外部(大気圧)の間の圧力差により、流出側弁部材18が付勢部材の付勢力に抗して上方へ移動して弁座13bから離間し、流出口16が開放される。
アクチュエータ11は、前述のポンプ本体10の底板12(基材)と、絶縁性を有する底板12の上面(絶縁性面)に配置された複数の駆動電極20(第1電極)と、底板12の上面に複数の駆動電極20を覆うように形成された絶縁層21と、底板12の上面に形成された絶縁層21と所定間隔空けて対向して配置された駆動プレート22と、絶縁層21と駆動プレート22との間に配置された導電性を有する複数の液滴23と、複数の駆動電極20に電位を付与するドライバIC24(電位付与手段:図6参照)等を備えている。
図3に示すように、複数の駆動電極20は、それぞれ、平面視で切れ目のない環状に形成されている。また、複数の駆動電極20は、底板12の上面において、隣接する駆動電極20間の中心間距離が全て等しくなるように配置されている。即ち、1つの駆動電極20を取り囲む周囲の領域の周方向6等分位置に、6つの駆動電極20が、中央の駆動電極20との中心間距離が等しくなるように隣接して配置されている。また、図3においては、簡単のため6つの駆動電極20しか示されていないが、実際には、多数(例えば、数百個)の駆動電極20が設けられている。尚、これら複数の駆動電極20は、スクリーン印刷やスパッタ法を用いることにより、底板12の上面に一度に形成することができる。
そして、これら複数の駆動電極20はドライバIC24とそれぞれ接続されており、ドライバIC24から複数の駆動電極20に対して所定の駆動電位とグランド電位の何れかの電位が付与される。
絶縁層21は、複数の駆動電極20の内側の円形領域25を除いて、底板12の上面全体を覆うように形成されている。つまり、駆動電極20の内側の円形領域25においては、底板12の上面が露出した状態となっている。ここで、絶縁層21に接触する液滴23の、絶縁層21表面に対する濡れ角θは、底板12の上面に対する濡れ角よりも大きくなっている。つまり、絶縁層21の撥液性は、円形領域25の撥液性よりも高くなっている。尚、以下の説明において、「ある面に対する液滴23の濡れ角が大きい」という状態を、便宜上、「ある面の撥液性が高い」と表現している場合があるが、これら2つの表現は同じ意味で用いている。
また、後述するように、ドライバIC24から駆動電極20に所定の駆動電位が付与されたときには、エレクトロウェッティング現象により、駆動電極20の配置領域における絶縁層21に対する濡れ角が小さくなり、その撥液性が、底板12の上面と同程度まで低下するようになっている。
尚、この絶縁層21は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂を含有した合成樹脂材料からなり、底板12の上面よりも撥液性の高い薄膜である。また、絶縁層21は、スピンコート等の方法により、合成樹脂材料の薄膜を底板12の上面に全面的に形成した後に、レーザー加工により駆動電極20の内側の領域を除去することにより得ることができる。
駆動プレート22は、底板12とほぼ等しい面積を有する円板であり、例えば、ポリイミド等の合成樹脂材料で形成されている。この駆動プレート22は、その下面が底板12の上面に形成された絶縁層21と対向している状態で、その外周部の全周にわたってケース部材13の側壁に固定されている。その結果、ポンプ本体10内の空気貯留室14の下部が、駆動プレート22の上面によって区画されることになる。また、駆動プレート22の底板12と対向する下面には、共通電極26(第2電極)がほぼ全面的に形成されている。そして、この共通電極26はドライバIC24により接続されて常にグランド電位に保持されている。
複数の駆動電極20及び絶縁層21が形成された底板12の上面には、複数の駆動電極20に対応して、導電性を有する複数の液滴23が接触状態で配置されている。また、共通電極26が形成された駆動プレート22の下面においては、液滴23は駆動プレート22の下面に常時接触している。つまり、複数の液滴23は、底板12と駆動プレート22との間において、これらの両方と接触した状態で配置されている。さらに、複数の液滴23は駆動プレート22の下面に形成された共通電極26と常に接触していることから、液滴23の電位は、共通電極26を介して常にグランド電位に保持されることになる。
尚、このような導電性を有する液滴23としては、例えば、水や、水にグリセリンや塩等を溶かした水溶液からなる液滴を使用できる。あるいは、イオンのみからなるイオン性液体(常温溶融塩)を使用することもできる。このイオン性液体は、一般的に不揮発性であることから、外気に長期間さらされても蒸発しにくいという長所がある。
ところで、前述したように、環状の駆動電極20内側の円形領域25は絶縁層21により覆われておらず、円形領域25において絶縁層21よりも撥液性の低い底板12の上面が露出している。つまり、この円形領域25に対する液滴23の濡れ角は小さくなっており、その周囲の絶縁層21に対する液滴23の濡れ角よりも小さくなっている。また、駆動電極20に駆動電位が付与されて、駆動電極20と液滴23との間に電位差が生じたときには、後述するエレクトロウェッティング現象により駆動電極20を覆う絶縁層21の撥液性が低下し、駆動電極20の配置領域に対する液滴23の濡れ角と、円形領域25に対する濡れ角とがほぼ等しくなる。
つまり、円形領域25に対する液滴23の濡れ角は、駆動電極20に付与されている電位にかかわらず、常に駆動電極20の配置領域に対する液滴23の濡れ角以下であり、円形領域25は、液滴23が常に安定して存在できる親液性領域となっている。従って、液滴23は、対応する駆動電極20の配置領域の内側に設けられた円形領域25に定在することになる。
ドライバIC24は、インクジェットプリンタ100の制御装置8(図6参照)によりポンプ6の駆動が必要であると判断されたときに、制御装置8から入力される制御信号に基づいて、駆動電極20に対して、所定の駆動電位とグランド電位の何れか一方の電位を付与する。このように、駆動電極20の電位を変化させることで、駆動電極20を覆う絶縁層21に対する液滴23の濡れ角を変化させて、液滴23の高さを変動させる。また、ドライバIC24は、駆動プレート22の下面に形成された共通電極26を常時グランド電位に保持する。
尚、以下に参照する図2等において、“+”とは、駆動電極20に駆動電位が付与されている状態を示し、“GND”とは、駆動電極20がグランド電位に保持されている状態を示している。
駆動電極20に対してドライバIC24からグランド電位とは異なる所定の駆動電位が付与されると、絶縁層21の上側に位置する液滴23と下側に位置する駆動電極20との間に電位差が生じる。すると、その電位差に応じて液滴23と絶縁層21表面の界面張力が変化し、電位差が大きいほど、絶縁層21に対する液滴23の濡れ角θが大きく低下する(エレクトロウェッティング現象)。
従って、ドライバIC24により、駆動電極20の電位を2種類の電位(駆動電位とグランド電位)の間で切換えることによって、絶縁層21の表面の撥液性(液滴23の濡れ角)を容易に変化させることができる。尚、ドライバIC24が駆動電極20に付与する2種類の電位のうちの一方をグランド電位とすることにより、電源の種類が実質的に1種類で済むため、ドライバICの構成を簡素化できる。
また、駆動電極20に付与される駆動電位は、絶縁層21の撥液性が、環状の駆動電極20の内側に位置する円形領域25(親液性領域)と同程度まで低下するような電位に設定されている。尚、この駆動電位は、液滴23との間で、絶縁層21の撥液性を低下させるのに必要な所定の電位差を生じさせるような電位であればよいことから、グランド電位よりも高い正の電位であってもよいし、グランド電位よりも低い負の電位であってもよい。
このように、駆動電極20の配置領域において、絶縁層21の撥液性(液滴23の濡れ角)が円形領域25と同程度まで低下すると、この円形領域25にのみ存在していた液滴23が、図4に示すように、その周囲の駆動電極20の配置領域にまで濡れ広がる。従って、液滴23と底板12の上面との接触面積が増加することから、それに伴って液滴23の高さが低下する。ここで、液滴23は上方に位置する駆動プレート22に接触していることから、液滴23の高さの低下に伴って、液滴23の表面張力に起因する力が駆動プレート22の液滴23との接触部分に下向きに作用して、この接触部分が下方へ変位する。その結果、駆動プレート22が下に凸となるように変形し、空気貯留室14の容積が増大する。
逆に、ドライバIC24によって、駆動電極20の電位が駆動電位からグランド電位に切り換えられると、駆動電極20と液滴23との間の電位差がなくなるため、駆動電極20を覆う絶縁層21の撥液性が元に戻って円形領域25よりも高くなる。すると、図5に示すように、駆動電極20の配置領域まで広がっていた液滴23が、その内側の円形領域25内に再び収まり、液滴23と底板12の上面との接触面積が減少することから、それに伴って液滴23の高さが増加する。従って、駆動プレート22の液滴23との接触部分が上方へ変位して、駆動プレート22が再び水平な状態に戻ることから、空気貯留室14の容積が減少する。
ところで、ドライバIC24は、空気貯留室14の容積を増加させるときには、複数の駆動電極20の全てに対して同時に駆動電位を付与する。また、空気貯留室14の容積を減少させるときには、複数の駆動電極20の全てに対して同時にグランド電位を付与する。これにより、複数の液滴23の高さが同時に増加又は低下し、これに伴って、駆動プレート22の、複数の液滴23とそれぞれ接触する部分の全てが、同時に下方又は上方へ変位することになる。従って、駆動電位をできるだけ低く抑えつつ、駆動プレート22の全体の変形量、つまり、空気貯留室14の容積変化量を大きくすることができる。
尚、底板12の上面に配置される駆動電極20が1つ(即ち、液滴23の数も1つ)であっても、その電極面積を十分広くし、その駆動電極20に対応する液滴23を、駆動プレート22を下方から支持できる程度の容積の大きいものにすれば、1つの液滴23の高さを変動させることによって、駆動プレート22を変形させることは可能である。しかし、液滴23の表面張力に起因して、駆動プレート22の液滴23との接触部分に作用する力は、接触している部分の周長に比例する。そのため、図3に示すように、底板12の上面に配置される駆動電極20が多数に分割され、さらに、これら多数の駆動電極20に対してそれぞれ液滴23が対応して設けられていると、駆動電極が1つ(液滴が1つ)の場合と比べて、駆動プレート22と接触する部分における液滴23の総周長(液滴23の周長の和)を大きくすることができる。従って、駆動電位を低く抑えつつ、複数の液滴23から駆動プレート22に作用する力をできるだけ大きくして、駆動プレート22を大きく変形させることが可能となる。
さらに、駆動電極20の電位変化に応じて濡れ角が変化する、駆動電極20の配置領域と、常に撥液性が低い親液性領域(円形領域25)とが隣接して配置されている。そのため、液滴23が、電位切換時などに駆動電極20の配置領域から離れて、底板12の上面を勝手に移動してしまうことが防止され、液滴23の挙動が安定する。さらに、親液性領域が、切れ目のない環状に形成された駆動電極20の配置領域の内側に配置されているため、ある駆動電極20に対応する液滴23が、隣接する他の駆動電極20の配置領域へ移動してしまうのが防止されるため、アクチュエータ11の安定的な動作が確保される。
また、複数の液滴23は、駆動プレート22の下面に形成された共通電極26に接触し、この共通電極26により複数の液滴23の電位が常時グランド電位に保持されている。そのため、液滴電位のふらつきに起因して液滴23と駆動電極20の間の電位差(即ち、絶縁層21に対する液滴23の濡れ角)が変動してしまうのが防止され、アクチュエータ11の動作の確実性が高まる。
次に、前述したポンプ6を含む、インクジェットプリンタ100の各部の動作を制御する制御装置8について、図6のブロック図を参照して簡単に説明する。制御装置8は、インクジェットヘッド2のインク噴射動作、搬送ローラ3による記録用紙Pの搬送動作、ポンプ6による背圧調整動作等の、プリンタ100の各種動作の制御を司るものであり、中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、プリンタ100を制御するためのプログラムやデータ等が格納されたROM(Read Only Memory)、CPUで処理されるデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等を備えている。
そして、制御装置8は、PC等のデータ入力装置200から入力された記録画像等に関するデータに基づいて、インクジェットヘッド2、及び、搬送ローラ3(図1参照)を駆動する搬送モータ30を制御して、記録用紙Pに所望の画像等を記録させる。さらに、インクジェットヘッド1のノズルに連通するインク流路に作用する背圧によって、印字停止時にノズルからインクが漏れ出すことがないように、ポンプ6のアクチュエータ11(具体的には、ドライバIC24)を制御して、インクカートリッジ4内の空気をポンプ6により排出して、インクカートリッジ4の内圧を低下させる。
次に、ポンプ6による背圧調整動作について説明する。まず、制御装置8からドライバIC24に対して、ポンプ6を駆動する制御信号が出力されていない状態では、図2、図3に示すように、ドライバIC24は、全ての駆動電極20の電位をグランド電位に保持している。このとき、液滴23と絶縁層21の下側の駆動電極20との間に電位差が生じていないことから、駆動電極20を覆う絶縁層21の撥液性は円形領域25よりも高くなっており、全ての液滴23が円形領域25内に収まっている。また、この状態では、駆動プレート22は、底板12の上面に平行(水平)な状態となっている。さらに、流入側弁部材17と流出側弁部材18は、ともに、付勢部材により弁座13a,13bに押し付けられて、流入口15と流出口16をそれぞれ閉止している。
この状態から、インクカートリッジ4の内圧(インク流路の背圧)を低下させる必要があると制御装置8が判断したときには、制御装置8は、ポンプ6のアクチュエータ11のドライバIC24に対して、ポンプ6を駆動する制御信号を出力する。
尚、制御装置8が、インクカートリッジ4の内圧を低下させる必要があると判断する場合とは、例えば、新たなインクカートリッジ4が装着された場合や、前回のポンプ6の作動時から所定時間経過して、ポンプ6の流入口15及び流出口16におけるリーク等によって、インクカートリッジ4の内圧が上昇していると予想される場合などが考えられる。あるいは、インクカートリッジ4の内圧を検出する手段が設けられた上で、この検出手段からの出力に基づいてポンプ6を駆動するか否かを制御装置8が判断するように構成されていてもよい。
このように、制御装置8からドライバIC24に制御信号が出力されたときには、図4に示すように、ドライバIC24は、まず、全ての駆動電極20に対して同時に駆動電位を付与する。すると、全ての駆動電極20の配置領域における絶縁層21の撥液性が同時に低下する。その結果、複数の駆動電極20にそれぞれ対応する複数の液滴23が、円形領域25から駆動電極20の配置領域まで濡れ広がり、全ての液滴23の高さが低下する。従って、駆動プレート22の液滴23との接触部分に液滴23から下向きの力が作用して、駆動プレート22が下方へ凸となるように変形する。
このとき、駆動プレート22が変形した分だけ空気貯留室14の容積が増加するため、空気貯留室14内の圧力が低下する。従って、空気貯留室14内とインクカートリッジ4内の間の圧力差により、流入側弁部材17が付勢部材の付勢力に抗して下方へ押圧されて弁座13aから離間し、流入口15が開放されて、インクカートリッジ4内の空気が空気貯留室14内に流れ込む。尚、空気貯留室14の内圧よりも外部の大気圧の方が高いことから、流出口16は流出側弁部材18により閉止されており、流出口16を介して大気が流入(逆流)するのが防止される。
全ての駆動電極20に駆動電位を付与してからある時間経過した後に、図5に示すように、ドライバIC24は、全ての駆動電極20の電位を、駆動電位からグランド電位に切り換える。すると、全ての駆動電極20の配置領域における絶縁層21の撥液性が円形領域25よりも高い状態に戻る。その結果、複数の駆動電極20にそれぞれ対応する複数の液滴23が駆動電極20の配置領域から円形領域25に戻り、液滴23の高さが高くなる。従って、駆動プレート22の液滴23との接触部分に液滴23から上向きの力が作用して、駆動プレート22が元の水平な状態に戻る。
このとき、空気貯留室14の容積が元に戻り(減少し)、空気貯留室14内の圧力が上昇する。従って、空気貯留室14内と外部(大気圧)との間の圧力差により、流出側弁部材18が付勢部材の付勢力に抗して上方へ押圧されて弁座13bから離間し、流出口16が開放され、空気貯留室14内の空気が外部へ排出される。尚、空気貯留室14の内圧がインクカートリッジ4の内圧よりも高いことから、流入口15は流入側弁部材17により閉止されており、流入口15を介してインクカートリッジ4への空気が流出(逆流)するのが防止される。
以上のようなポンプ6の動作により、インクカートリッジ4内の空気が空気貯留室14を介して外部へ排出されることから、インクカートリッジ4の内圧が減少することになる。尚、制御装置8からドライバIC24に制御信号が入力されたときのポンプ6の動作は1回に限られるものではなく、複数回連続して行われてもよい。さらに、この連続動作回数は、予め決められた所定の回数であってもよいし、あるいは、インクカートリッジ4の内圧状態によって制御装置8により適切な回数が設定されてもよい。
次に、この第1実施形態のポンプ6の具体的な構成の一例を挙げる。この実施例における、ポンプ本体10及びアクチュエータ11に関する主な仕様は以下の通りである。
空気貯留室寸法:内径20mm、高さ3mm
駆動プレート仕様:ポリイミド製、厚さ50μm
駆動電極仕様:内径(=円形領域の外径)0.3mm、外径0.5mm、電極数800
駆動プレートと絶縁層の離間距離:0.15mm
液滴の表面張力:45mN/m
このようなポンプ6において、円形領域25に収まっている液滴23が駆動電極20の配置領域まで広がったときに、液滴23の直径は0.3mm→0.5mmに変化する。このとき、液滴23の高さは0.15mm→0.05mmに低下し、駆動プレート22は0.1mm近く変形する。これにより、駆動プレート22の1回の変形で、空気貯留室14の容積が30mmほど増加する。つまり、これだけの量の空気が、1回のポンプ6の動作により、インクカートリッジ4から外部へ排出される。
また、横に広がった状態における液滴23の周長の合計は、0.5×10―3(液滴直径)×π×800(電極個数)=1.2mとなる。従って、液滴23から駆動プレート22に作用する力は、1.2m(液滴周長の和)×45mN/m(表面張力)=5.4×10−2Nとなる。従って、空気貯留室14内において発生する圧力は、5.4×10−2/((10×10−3×π)=170Paとなる。つまり、1回のポンプ6の動作で、17mmHO程度の微小な圧力変動を生じさせることができる。
以上説明した本実施形態のポンプ6によれば、次のような効果が得られる。
エレクトロウェッティング現象により絶縁層21に対する液滴23の濡れ角を変化させ、液滴23の高さを変動させて駆動プレート22を変形させることから、駆動プレート22を微小変形させて、空気貯留室14内に微小な圧力変動を生じさせることが可能になる。そのため、インクジェットプリンタ100のインク流路の背圧を微調整することが容易である。
また、エレクトロウェッティング現象を利用して駆動プレート22を変形させることから、圧電式アクチュエータ等の従来のアクチュエータ11と比べて消費電力を低減することが可能である。さらに、底板12と駆動プレート22との間に配置された複数の液滴23と、これら複数の液滴23と底板12の上面との間に配置された駆動電極20等からなる、非常に簡単な構成で駆動プレート22を変形させることが可能であるため、アクチュエータ11、ひいては、ポンプ6全体の、より一層の小型化が容易になる。また、底板12と駆動プレート22が直接接触しないので、ポンプ6の駆動にともなう騒音がほとんど発生しない。
次に、前述した第1実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]図7、図8に示すポンプ6Aのように、環状の駆動電極20の内側の円形領域25にも電極40が設けられ、駆動電極20と円形電極40とが共に絶縁層21で覆われていてもよい(変更形態1)。ここで、ドライバIC24により、複数の円形電極40に対して、駆動電位と同じ電位が常時付与されるように構成すれば、円形領域25において絶縁層21に対する液滴23の濡れ角が常に低下した状態となって、前記第1実施形態と同様に、円形領域25が親液性領域となり、液滴23が円形領域25に定在できる。
あるいは、ドライバIC24により、複数の円形電極40に対して、駆動電極20に付与される電位と反対の電位が付与されるように構成されてもよい。即ち、駆動電極20に対してグランド電位が付与されているときには、円形電極40に対して駆動電位が付与される。このとき、液滴23は円形領域25にのみ存在することになり、液滴23の高さは高くなる。一方、駆動電極20に対して駆動電位が付与されている場合には、円形電極40に対してグランド電位が付与される。このとき、液滴23は環状の駆動電極20の配置領域にのみ存在することになるが、環状の駆動電極20の面積が円形電極40の面積よりも大きく設定されていれば、液滴23の絶縁層21との接触面積が増加することから、液滴23の高さは低くなる。そのため、前記第1実施形態と同様に、液滴23の高さを変動させて、駆動プレート22を変形させることが可能である。
2]前記第1実施形態では、ドライバICが複数の駆動電極に対して同時に同じ電位を付与するように構成されているが、複数の駆動電極の一部に対してのみ駆動電位又はグランド電位を同時に付与するように構成されていてもよい(変更形態2)。
例えば、図9に示すポンプ6Bのアクチュエータ11Bにおいては、それぞれ正方形状に形成された複数の駆動電極20Bが、底板12の上面において、互いに直交する2方向に沿ってそれぞれ等間隔空けて配置されている。そして、ドライバIC24は、これら複数の駆動電極20Bの各々に対して、駆動電位とグランド電位の何れか一方を選択的に付与するように構成されている。また、底板12の上面全域には、複数の駆動電極20Bを覆う絶縁層21が形成されている。さらに、絶縁層21の表面には複数(例えば5つ)の液滴23が接触状態で配置されている。
さらに、ドライバIC24は、制御装置8から出力された制御信号に基づいて、複数の液滴23の各々に対応して、同じ電位を同時に付与する駆動電極20Bの数を変更することが可能に構成されている。即ち、図9には、1つの液滴23に対して互いに隣接する4つの駆動電極20B(ハッチングが施されている駆動電極20B)に駆動電位が付与されている状態が示されているが、ドライバIC24は、駆動電位を付与する駆動電極20Bの数を4つから増減し、これにより、絶縁層21上において液滴23が濡れ広がる面積を変化させる。この構成によれば、液滴23の高さをさらに小刻みに変更することができるため、駆動プレート22の変形量(即ち、空気貯留室14内の圧力変動量)の微調整が可能である。
3]ドライバIC24から駆動電極20に付与する電位の種類は2種類(前記第1実施形態では駆動電位とグランド電位)に限られる必要はなく、3種類以上の電位が設定されていてもよい。この場合には、駆動電極20の配置領域に対する液滴23の濡れ角を3段階以上に細かく変化させることができるため、液滴23の高さをさらに小刻みに変更して、駆動プレートの変形量の微調整が可能となる。
4]前記第1実施形態では、駆動電極20を覆うように絶縁層21が設けられて、この絶縁層21の表面に液滴23が接触しているが、絶縁層21を省略して、駆動電極20に直接液滴23が接触していてもよい。このように、絶縁層21が設けられていない場合においても、駆動電極20に駆動電位が付与されたときに、エレクトロウェッティング現象が生じて、駆動電極20の表面に対する液滴23の濡れ角が低下することがわかっている(例えば、特開2005−199231号公報参照)。そのため、前記第1実施形態と同様に、液滴23の高さを変動させて駆動プレート22を変形させることが可能である。しかし、駆動電極20と液滴23との間に絶縁層21が介在している方が、駆動電極20に同じ駆動電位を付与した場合に、底板12の表面に対する液滴23の濡れ角を大きく変化させることができる。そのため、駆動プレート22を効率よく変形させるという観点においては、絶縁層21が設けられていることが好ましい。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、入射された光を所定方向に偏向させる光スキャナに適用した一例である。
図10(a),(b)に示すように、光スキャナ50は、入射光を反射させる光反射部51と、この光反射部51の傾斜を変化させるアクチュエータ52とを備えている。そして、アクチュエータ52により光反射部51の傾斜を変化させることで、入射光の反射方向を変更して所定方向に偏向させるように構成されている。尚、図10(a)における上下方向を光スキャナ50の上下方向と定義する。
アクチュエータ52は、少なくとも上面において絶縁性を有する基材55と、この基材55の上面に配置された複数の駆動電極60(第1電極)と、基材55の上面に複数の駆動電極60を覆うように形成された絶縁層61と、基材55の上面に形成された絶縁層61と所定間隔空けて対向する駆動プレート62と、絶縁層61と駆動プレート62との間に配置された導電性を有する液滴63と、複数の駆動電極60に電位を付与するドライバIC64(電位付与手段)等を備えている。
基材55は、一方向に長い矩形の平面形状を有する板部材である。この基材55は、ポリイミド等の合成樹脂材料やシリコン、あるいは、金属材料など、種々の材料で構成することができる。尚、基材55の上面には複数の駆動電極60が配置されることから、この上面は絶縁性を有する面である必要がある。そのため、基材55の材質が絶縁性材料でない場合には、前記第1実施形態の底板12と同じように、基材55上面に種々の表面処理が施されることによって絶縁性が付与される。
絶縁性を有する基材55の上面の長手方向先端側部分(図10における右半部)には、それぞれが矩形の平面形状を有する複数(例えば、8つ)の駆動電極60が、基材55の長手方向に沿って等間隔で配列されている。また、複数の駆動電極60からは、それぞれ配線が基材55の下面に引き出され、これらの配線を介して複数の駆動電極60はドライバIC64に接続されている。さらに、基材55の上面には、絶縁層61は、複数の駆動電極60を連続的に覆うように形成されている。尚、この絶縁層61は、前記第1実施形態と同様に、フッ素系樹脂を含有した合成樹脂材料等からなる。
駆動プレート62は、基材55とほぼ同じ平面形状(矩形状)を有する板部材である。この駆動プレート62の上面の先端部には、上方からの入射光を反射させる光反射部51が固定的に取り付けられている。また、駆動プレート62の基端部は、基材55の上面に固着された支持部材65の上面に固定されている。つまり、駆動プレート62は基材55の上面に形成された絶縁層61と所定の間隔を空けて対向した状態で、支持部材65を介して基材55に固定されている。尚、駆動プレート62の材質は特に限定されるものではないが、駆動プレート62を変形させて光反射部51を傾斜させる際の応答性を高めるために、シリコンなどの比較的剛性(弾性係数)の高い材料を使用することが好ましい。
そして、基材55の上面の絶縁層61と駆動プレート62の下面との間には、導電性を有する液滴63が、基材55と駆動プレート62の両方と接触した状態で配置されている。尚、図には示されていないが、前記第1実施形態の駆動プレート22(図2等参照)と同様に、駆動プレート62の下面に共通電極が形成され、この共通電極を介して液滴63がグランド電位に保持されるようになっていてもよい。
ドライバIC64は、光スキャナ50を制御するスキャナ制御部70から出力された制御信号に基づいて、複数の駆動電極60に対して、駆動電位とグランド電位の何れか一方の電位を付与する。そして、駆動電極60の電位を変化させることにより、駆動電極60を覆う絶縁層61に対する液滴63の濡れ角(撥液性)を変化させる。このように、絶縁層61の撥液性を変化させることによって、液滴63の高さを変動させたり、あるいは、液滴63を絶縁層61に沿って移動させたりすることにより、液滴63に接触する駆動プレート62を変形させる。そして、駆動プレート62の先端部を変位させることで、この先端部上面に取り付けられた光反射部51の傾斜を変化させ、入射光が光反射部51の表面(反射面)で反射される方向、即ち、入射光の偏向方向を変化させることが可能となる。
スキャナ制御部70は、中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、光スキャナ50を制御するためのプログラムやデータ等が格納されたROM(Read Only Memory)、CPUで処理されるデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等を備えており、このスキャナ制御部70は、入射光が所定の偏向方向に反射されるように、アクチュエータ52のドライバIC64を制御して、光反射部51の傾斜を調整する。
次に、入射光の反射方向を変化させる際の光スキャナ50の具体的動作について、図10〜図13を参照して説明する。尚、図11〜図13においては、ドライバIC64及びスキャナ制御部70の図示は省略されている。
入射光の偏向方向を変更する必要が生じたときには、スキャナ制御部70は、ドライバIC64に対して制御信号を出力し、複数の駆動電極60のうちの一部の電位を変化させる。
例えば、スキャナ制御部70はドライバIC64を制御して、駆動電位を付与する駆動電極60の数を変更させることにより、液滴63の高さを変動させて駆動プレート62の先端部の変位を変化させ、入射光の反射方向を変更する。
まず、図10の状態においては、一列に配列された複数の駆動電極60のうち、配列方向に関して中央に位置する2つの駆動電極60(図10(b)においてハッチングが施された駆動電極60)にのみ、ドライバIC64から駆動電位が付与されており、残りの駆動電極60にはグランド電位が付与されている。従って、駆動電位が付与されている2つの駆動電極60の配置領域において絶縁層61の撥液性が局所的に低下していることから、これら2つの駆動電極60の配置領域に跨って液滴63が存在している。また、このとき、駆動プレート62が基材55の上面と平行(水平姿勢)であるとする。従って、駆動プレート62の先端部上面に取り付けられた光反射部51に向けて上方から光が入射されると、この光は上方へ反射される。
図10の状態から、ドライバIC64により、配列方向中央部に位置する2つの駆動電極60に加えて、図11に示すように、さらに、配列方向両側にそれぞれ隣接する2つの駆動電極60にも駆動電位が付与されると、絶縁層61の撥液性が低下する領域が配列方向両側に広がることになる。つまり、液滴63が、駆動電位が付与された4つの駆動電極60の配置領域に跨って濡れ広がるため、液滴63と絶縁層61との接触面積が増加する。それに伴って、液滴63の高さが低下することから、駆動プレート62の液滴63との接触部分に下向きの力が作用して、駆動プレート62が変形する。これにより、光反射部51が取り付けられた駆動プレート62の先端部が下方へ変位することから、光反射部51により入射光が図11(a)の右斜め上方へ反射される。
あるいは、スキャナ制御部70はドライバIC64を制御して、駆動電位を付与する駆動電極60の位置を変更させることにより、液滴63を基材55の上面において駆動電極60の配列方向に沿って移動させて、駆動プレート62の先端部を変位させ、入射光の反射方向を変更する。
駆動電位が同時に付与される駆動電極60の数が同じであれば、それらの位置が配列方向に異なっていても、液滴63の表面張力により駆動プレート62に作用する下向きの力はさほど変わらない。しかし、駆動プレート62はその基端部において基材55に固定されていることから、液滴63から作用する力が同じであっても、液滴63の接触位置が固定端である基端部から離れるほど(自由端である先端部に近いほど)、駆動プレート62に作用する曲げモーメントは大きくなるため、先端部の変位も大きくなる。従って、駆動電位が付与される駆動電極60の位置を変えることにより、絶縁層61上において駆動電極60の配列方向に沿って液滴63を移動させることで、駆動プレート62の先端部の変位(即ち、光反射部51の傾斜)を変化させることが可能になる。
例えば、図12に示す状態では、一列に配列された複数の駆動電極60のうち、配列方向に関して基端側(図12の左側)に位置する4つの駆動電極60にドライバIC64から駆動電位が付与されており、先端側(図12の右側)に位置する4つの駆動電極60にはグランド電位が付与されている。従って、基端側に位置する4つの駆動電極60の配置領域に跨って液滴63が存在している。
図12の状態から、ドライバIC64が、先端側に位置する4つの駆動電極60の電位をグランド電位から駆動電位に切り換えるとともに、基端側に位置する4つの駆動電極60の電位を駆動電位からグランド電位に切り換えることで、基端側に位置する液滴63を先端側に移動させる。
但し、8つの駆動電極60の電位を一度に切り換えると液滴63の挙動が不安定になる虞があるので、ドライバIC64は、駆動電位が付与される駆動電極60の数(4つ)は変えないままで、それらの位置を先端側へ1つずつずらしていく。つまり、図12の状態から、先端から4番目の駆動電極60の電位をグランド電位から駆動電位に切り換えるとともに、最も基端側に位置する駆動電極60の電位を駆動電位からグランド電位に切り換える。すると、撥液性が低下する領域が電極1つ分だけ先端側へずれることから、それに伴って液滴63が先端側へ移動する。このような電極電位の切換を順番に行うことで、最終的に、図13に示すように、先端側の4つの駆動電極60に駆動電位が付与されるとともに、基端側の4つの駆動電極60にグランド電位が付与されて、液滴63が基材55の先端部に移動した状態となる。
このとき、図12の状態に比べて、駆動プレート62の液滴63との接触位置が固定端から離れているため、駆動プレート62に作用する曲げモーメントが大きくなる。そのため、光反射部51が取り付けられた駆動プレート62の先端部がさらに下方へ変位することになり、光反射部51の傾斜、即ち、入射光の反射方向が変化する。
また、スキャナ制御部70がドライバIC64を制御して、上述の2つの動作を複合的に行わせることも可能である。即ち、ドライバIC64に、駆動電位を付与する駆動電極60の数と、駆動電位を付与する駆動電極60の位置の、両方を変更させることにより、駆動プレート62の変形量をさらに小刻みに調整して、入射光の反射方向をより細かく調整することもできる。
さらに、スキャナ制御部70はドライバIC64を制御して、駆動プレート62の共振周波数に合わせて駆動電極60の電位切換を行わせることも可能である。つまり、図10と図11の状態切換(あるいは、図12と図13の状態切換)を共振周波数に合わせて行わせることで、駆動プレート62を共振させて、駆動プレート62にさらに大きな変形を生じさせることができる。
次に、この第2実施形態の光スキャナ50の具体的な構成の一例を挙げる。この実施例におけるアクチュエータ52の主な仕様は以下の通りである。
駆動プレート62仕様:シリコン製、長さl=500μm、幅b=30μm、厚さh=10μm
液滴63の表面張力:45mN/m
液滴63が駆動プレート62の下面と接触している領域の直径を30μmとすると、その領域の周長は30×10―6×π=9.4×10―5mとなる。従って、液滴63の表面張力により駆動プレート62に作用する下向きの力Fは、F=9.4×10―5m×45×10−3N/m(表面張力)=4.2×10―6N=0.43mgとなる。
そして、駆動プレート62を一端が固定された片持ちばりと見て、その自由端に上述の力Fが作用したと考えると、自由端の変形量(たわみδ)は、以下のようになる。
δ=Fl/3EI=Fl/3E(bh/12)
=((0.43×10―6)×(500×10―3)/(3×7200×(30×10―3)×(10×10―3/12)
=1×10―3mm=1.0μm
尚、Eはシリコン製の駆動プレート62の弾性係数である。これにより、光反射部51が取り付けられた駆動プレート62の端部を1μm変位させることが可能である。
以上説明した光スキャナ50によれば、次のような効果が得られる。
エレクトロウェッティング現象により絶縁層61に対する液滴63の濡れ角を変化させ、液滴63の高さを変動させる、あるいは、液滴63を絶縁層61に沿って移動させることにより、駆動プレート62を変形させることから、駆動プレート62に取り付けられた光反射部51を微小に変位させることが可能となる。従って、入射された光の反射方向を微調整して所定の偏向方向に合わせることが容易である。また、従来のアクチュエータ52と比べて消費電力を低減することが可能であり、さらに、構造が簡単であることから、アクチュエータ52、ひいては、光スキャナ50のより一層の小型化を容易に実現できる。
基材55の上面に複数の駆動電極60が一列に配列されており、ドライバIC64は、駆動電位を同時に付与する駆動電極60の数、又は、その位置の少なくとも一方を変更することが可能に構成されている。そのため、液滴63の高さ、あるいは、液滴63の位置を変えて、光反射部51が取り付けられた駆動プレート62の先端部の変位を小刻みに変更することができるため、入射光の反射方向を微調整することが可能である。
以上説明した第2実施形態に対しても、前述の第1実施形態に対するものと同様の変更を加えることが可能である。例えば、駆動電極60の電位が3種類以上設定され、これら3種類以上の電位から選択された1つの電位がドライバIC64により付与されるように構成されていてもよい。また、基材55の上面において複数の駆動電極60を覆う絶縁層61が省略されてもよい。
また、基材55の上面に複数の駆動電極60が配置されている必要は必ずしもない。つまり、基材55の上面に駆動電極60が1つのみ形成され、この駆動電極60の電位を駆動電位とグランド電位との間で切り換えることにより、液滴63の高さや位置を変化させて、駆動プレート62を変形させることも可能である。但し、この場合には、駆動電極60の電位がグランド電位のとき、つまり、駆動電極60を覆う絶縁層61の撥液性が高くなっているときにおいても、基材55の上面において液滴63の挙動を安定させることができるように、前記第1実施形態における円形領域25(図2等参照)のような、液滴63が定在できる親液性領域が駆動電極60の配置領域に隣接して設けられていることが好ましい。
以上、本発明を、インクジェットプリンタの背圧調整用ポンプ(第1実施形態)と光スキャナ(第2実施形態)にそれぞれ適用した例について説明したが、本発明の適用対象はこれらに限られるものではなく、カメラやマイクロマシン、あるいは、精密機械の組立装置等において、特に、微小な制御量での駆動が必要とされる種々のアクチュエータに本発明を適用することが可能である。
本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。 停止状態におけるポンプの縦断面図である。 図2のポンプのA−A線横断面図である。 吸入時におけるポンプの縦断面図である。 排出時におけるポンプの縦断面図である。 インクジェットプリンタの制御構成を概略的に示すブロック図である。 変更形態1のポンプの縦断面図である。 図7のポンプのB−B線横断面図である。 変更形態2のポンプの横断面図である。 本発明の第2実施形態に係る、ある一状態にある光スキャナを示す図であり、(a)は光スキャナの縦断面図、(b)は(a)のC−C線横断面図である。 図10の状態から液滴高さを低下させたときの光スキャナを示す図であり、(a)は光スキャナの縦断面図、(b)は(a)のD−D線横断面図である。 別の一状態にある光スキャナを示す図であり、(a)は光スキャナの縦断面図、(b)は(a)のE−E線横断面図である。 図12の状態から液滴を先端側へ移動させたときの光スキャナを示す図であり、(a)は光スキャナの縦断面図、(b)は(a)のF−F線横断面図である。
符号の説明
6,6A,6B ポンプ
10 ポンプ本体
11,11B アクチュエータ
12 底板(基材)
14 空気貯留室
15 流入口
16 流出口
17 流入側弁部材
18 流出側弁部材
20,20B 駆動電極(第1電極)
21 絶縁層
22 駆動プレート
23 液滴
24 ドライバIC
25 円形領域(親液性領域)
26 共通電極(第2電極)
50 光スキャナ
51 光反射部
52 アクチュエータ
55 基材
60 駆動電極
61 絶縁層
62 駆動プレート
63 液滴
64 ドライバIC

Claims (17)

  1. 絶縁性面を有する基材と、
    前記絶縁性面に配置された第1電極と、
    前記基材の絶縁性面と所定間隔空けて対向し、且つ、その一部分において前記基材に固定された駆動プレートと、
    前記基材の絶縁性面と前記駆動プレートとの間において、これらの両方と接触した状態で配置された導電性を有する液滴と、
    前記第1電極に対して電位を付与する電位付与手段を備え、
    前記電位付与手段が前記第1電極の電位を変化させることにより、前記絶縁性面に対する前記液滴の濡れ角を変化させて前記液滴の高さを変動させ、この液滴高さの変動に応じて前記駆動プレートを変形させるように構成されていることを特徴とするアクチュエータ。
  2. 前記基材の絶縁性面に、少なくとも前記第1電極を覆うように絶縁層が形成されており、
    前記液滴は、この絶縁層と前記駆動プレートの両方と接触していることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記駆動プレートの前記絶縁性面と対向する面に、前記液滴と常に接触するとともに一定電位に保持された第2電極が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
  4. 前記絶縁性面の前記第1電極の配置領域と隣接する領域に、前記液滴の濡れ角が、常に前記第1電極の配置領域に対する前記液滴の濡れ角以下となる親液性領域が設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のアクチュエータ。
  5. 前記第1電極が切れ目のない環状に形成されており、
    前記親液性領域は、前記第1電極の内側に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ。
  6. 複数の前記第1電極が前記絶縁性面に配置されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のアクチュエータ。
  7. 前記絶縁性面と前記駆動プレートとの間に、前記複数の第1電極にそれぞれ対応して複数の前記液滴が配置されており、
    前記電位付与手段は、前記複数の第1電極に対して同じ電位を同時に付与することを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。
  8. 前記電位付与手段は、前記複数の第1電極の一部に対して、他の第1電極とは異なる電位を付与することを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。
  9. 前記電位付与手段が、ある所定の電位を付与する前記第1電極の位置を変更することにより、前記絶縁性面に沿って前記液滴を移動させるように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のアクチュエータ。
  10. 前記電位付与手段が、同時に同じ電位を付与する前記第1電極の数を変更することにより、前記液滴の高さを変化させるように構成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載のアクチュエータ。
  11. 絶縁性面を有する基材と、
    前記絶縁性面に配置された複数の第1電極と、
    前記基材の絶縁性面と所定間隔空けて対向し、且つ、その一部分において前記基材に固定された駆動プレートと、
    前記基材の絶縁性面と前記駆動プレートとの間において、これらの両方と接触した状態で配置された導電性を有する液滴と、
    前記第1電極に対して電位を付与する電位付与手段を備え、
    前記電位付与手段が前記第1電極の電位を変化させることにより、前記絶縁性面に対する前記液滴の濡れ角を変化させて前記液滴を前記絶縁性面に沿って移動させ、この液滴の移動に応じて前記駆動プレートを変形させるように構成されていることを特徴とするアクチュエータ。
  12. 流体を貯留する流体貯留室と、この流体貯留室に連通する流入口及び流出口とを有するポンプ本体と、前記流体貯留室内の容積を変化させるアクチュエータとを備えたポンプであって、
    前記アクチュエータは、
    前記ポンプ本体内に設けられた絶縁性面と、
    前記絶縁性面に配置された第1電極と、
    前記絶縁性面と所定間隔空けて対向するとともに前記流体貯留室を区画する一面を構成し、且つ、その外周部において前記ポンプ本体に固定された駆動プレートと、
    前記絶縁性面と前記駆動プレートとの間において、これらの両方と接触した状態で配置された導電性を有する液滴と、
    前記第1電極に対して電位を付与する電位付与手段を備え、
    前記電位付与手段が前記第1電極の電位を変化させることにより、前記絶縁性面に対する前記液滴の濡れ角を変化させて前記液滴の高さを変動させ、この液滴高さの変動に応じて前記駆動プレートを変形させて、前記流体貯留室の容積を変化させるように構成されていることを特徴とするポンプ。
  13. 前記ポンプ本体に、前記流体貯留室内における前記流体の圧力変動に応じて前記流入口及び前記流出口をそれぞれ開閉する開閉弁が設けられていることを特徴とする請求項12に記載のポンプ。
  14. 光反射部とこの光反射部の傾斜を変化させるアクチュエータとを備え、入射光を光反射部で反射させて所定方向に偏向させる光スキャナであって、
    前記アクチュエータは、
    絶縁性面を有する基材と、
    前記絶縁性面に配置された第1電極と、
    その一端部に前記光反射部が固定的に取り付けられるとともに前記絶縁性面と所定間隔空けて対向し、且つ、その他端部において前記基材に固定された駆動プレートと、
    前記絶縁性面と前記駆動プレートとの間において、これらの両方と接触した状態で配置された導電性を有する液滴と、
    前記第1電極に対して電位を付与する電位付与手段を備え、
    前記電位付与手段が前記第1電極の電位を変化させることにより、前記絶縁性面に対する前記液滴の濡れ角を変化させて前記液滴の高さを変動させ、この液滴高さの変動に応じて前記駆動プレートを変形させて、駆動プレートの前記一端部に設けられた前記光反射部の傾斜を変化させるように構成されていることを特徴とする光スキャナ。
  15. 前記絶縁性面に、複数の前記第1電極が前記駆動プレートの前記一端部から前記他端部に向けて配列されていることを特徴とする請求項14に記載の光スキャナ。
  16. 前記電位付与手段は、ある所定の電位を付与する前記第1電極の位置を変更することにより、前記第1電極の配列方向に沿って前記液滴を移動させるように構成されていることを特徴とする請求項15に記載の光スキャナ。
  17. 前記電位付与手段は、同時に同じ電位を付与する前記第1電極の数を変更することにより、前記液滴高さを変化させるように構成されていることを特徴とする請求項15又は16に記載の光スキャナ。
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