JP4881175B2 - シンチレータおよび平面型x線画像検出装置 - Google Patents

シンチレータおよび平面型x線画像検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、放射線を可視光に変換するシンチレータと、当該シンチレータを用いた平面型X線画像検出装置に関する。
シンチレータとは、放射線を可視光に変換する蛍光体を用いた素子であり、医療用や工業用の非破壊検査などにおいて広く用いられている。放射線の種類には、α線、β線、γ線などがあり、特に紫外線とγ線との間の範囲の波長を有する電磁波がX線と呼ばれている。
上記のX線の強度分布を画像情報として取り出す方法としては、かつてはX線を直接電気信号に変換して画像信号として取り出す方式が一般的であったが、最近では、シンチレータを用いてX線画像を可視光画像に変換した後、光電子増倍管やフォトダイオードで可視画光を電気信号に換えてX線画像を得る方式の性能が向上し、この方式が主流を占めている。
シンチレータによって、例えばX線を可視光に変換する原理は、シンチレータの内部でX線により励起された電子が基底状態に落ちる際に可視光を放出して可視光を発光するものである。上記のX線用シンチレータ用の蛍光体材料(以下シンチレータ材料)は、1)励起状態から基底状態への遷移が早いこと、2)発光効率が高いこと、3)材料が発光した際、その発光波長領域で透明である(その発光波長領域の透過率が高い)こと、などの要件を満たすことが好ましいとされている。
上記の観点から、従来様々な材料が検討されてきたが、例えば発光効率の高い材料としてはヨウ化ナトリウムを結晶母材とする材料がある。しかし、ナトリウム系材料は化学的に不安定であるため、これらの材料に換わって、ヨウ化セシウム(CsI)を結晶母体とする材料を用いたシンチレータが用いられるようになってきている。
上記のCsIを結晶母体とする材料は、X線に対する発光効率が高い性質を有しているが、一方で、吸湿性が大きく、大気に触れると潮解してしまうという問題があった。このため、CsIを結晶母体とする材料を吸湿による潮解から保護するための構造が様々に提案されていた。
例えば、CsIを結晶母体とする材料を、プラスチック材料であるポリパラキシレンで被覆する方法や(例えば特許文献1参照)、シリコーン樹脂よりなるポッティング材でコーティングする方法(例えば特許文献2参照)が提案されていた。また、耐湿性を向上させるために、CsIを結晶母体とする材料の結晶を単位画素より小さな柱状化結晶にして、当該柱状化結晶の各々を防湿膜でコーティングする方法(例えば特許文献3参照)なども提案されていた。
特開2000−9845号公報 特許第2680228号公報 特開2003−75593号公報
しかし、上記のようにシンチレータ材料を保護する防湿膜を設ける方法(構造)では、防湿膜中でシンチレータ材料の発光が散乱するとともに発光の透過率が低下し、X線画像の画像分解能およびX線変換効率(感度)が低下してしまう問題があった。
そこで、本発明では上記の問題を解決する、新規で有用なシンチレータと、当該シンチレータを用いた平面型X線画像検出装置を提供することを統括的課題としている。
本発明の具体的な課題は、画像分解能とX線変換効率が良好となるX線用のシンチレータと、当該シンチレータを用いた平面型X線画像検出装置を提供することである。
本発明の第1の観点では、上記の課題を、一般式(MI)(MII):Re(但し、MIはBa,Ca,SrおよびEuのいずれかであり、MIIは、GaまたはAlであり、Reは、Eu,CeおよびMnのいずれかである)で表される材料を含むことを特徴とするシンチレータにより、解決する。
また、本発明の第2の観点では、上記の課題を、上記のシンチレータと、前記シンチレータの発光を受光する平面型センサーアレイを有することを特徴とする平面型X線画像検出装置により、解決する。
本発明によれば、画像分解能とX線変換効率が良好となるX線用のシンチレータと、当該シンチレータを用いた平面型X線画像検出装置を提供することが可能となる。
次に、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施例1によるシンチレータ20と、シンチレータ20を用いた平面型X線画像検出装置10を模式的に示した断面図である。
図1を参照するに、本実施例によるシンチレータ20は、シンチレータ材料(蛍光体薄膜)22が、X線を透過する基板21に形成(積層)されてなる構造を有している。また、シンチレータ20は、シンチレータ20にX線が入射して生じる発光(可視光)を受光するための受光素子(光電変換素子、例えばアモルファスシリコンフォトダイオード)30と積層されている。
また、受光素子30は、可視光の光電変換が行われる光電変換層(アモルファスシリコン層)32が、下部電極31と上部電極33で挟まれた構造を有している。上部電極33は可視光を透過する材料で形成され、シンチレータ20(シンチレータ材料22)に面するように設置される。また、光電変換層32の上部電極33の反対側に形成された下部電極31は、基板51上に形成された薄膜トランジスタ(TFT)40に接続されている。
薄膜トランジスタ40は、例えばガラスよりなる基板51上に形成されたゲート電極41と、ゲート電極41を覆うゲート絶縁膜42と、ゲート絶縁膜42上に形成された半導体層43と、半導体層43に接続されるソース電極44およびドレイン電極45とを有している。
また、半導体層43とソース電極44、ドレイン電極45を覆うように絶縁層46が形成され、絶縁層46上には、半導体層43に可視光が入射することを防止するための遮光膜47が形成されている。
また、基板51上には、ソース電極44に接続される画素電極48がパターニングされて形成されており、さらに画素電極48と下部電極31を接続する円柱状のコンタクト電極49が、画素電極48上に起立するように形成されている。また、薄膜トランジスタ40、画素電極48、コンタクト電極49、受光素子30などは、基板51上に形成された絶縁層50に埋設されるように設置されている。また、受光素子30や薄膜トランジスタ40は、平面型X線画像検出装置の画素に対応して、例えば格子状に(アレイ状に)設置される。このようにアレイ状に構成された受光素子30と薄膜トランジスタ40の組み合わせを、平面型センサーアレイと呼ぶ場合がある。上記のように、シンチレータ20に、平面型センサーアレイが組み合わされてなる平面型X線画像検出装置10が構成されている。
上記の平面型X線画像検出装置10では、以下のようにしてX線を画像に変換している。まず、シンチレータ20の基板21の側からX線が入射すると、入射したX線は、基板21を透過してシンチレータ材料22に到達する。シンチレータ材料22の内部では、入射したX線により電子が励起され、励起された電子が基底状態に落ちる際に可視光を放出して可視光を発光する。このようにして、まず、シンチレータ20によってX線が可視光に変換される。
さらに、シンチレータ材料22の発光(可視光)は、シンチレータ材料22の直下に設置された受光素子30によって画像(電気信号)に変換される。また、受光素子30によって変換された電気信号の読み出し(スイッチング)は、受光素子30に接続された薄膜トランジスタ40によって行われる構造になっている。
上記の本実施例による平面型X線画像検出装置10に用いるシンチレータ20では、シンチレータ材料22が、一般式(MI)(MII):Re(但し、MIはBa,Ca,SrおよびEuのいずれかであり、MIIは、GaまたはAlであり、Reは、Eu,CeおよびMnのいずれかである)で表される材料(以下文中本願材料)により構成されていることが特徴である。
例えば、従来シンチレータ材料として用いられていたCsIを結晶母体とする材料は、発光効率は高いものの、吸湿性が高く、このために通常の大気中では潮解してしまう(潮解性を有する)問題を有していた。「潮解」とは、吸湿性が高い固体材料が大気中の水蒸気を吸って、その水の中に溶ける現象である。シンチレータ材料を用いてシンチレータを構成する場合には、当該シンチレータ材料が一般的な大気程度の湿度と圧力で「潮解性」を有するか否かが問題となる。
上記の「潮解性」を表す指標として、水に対する溶解度(水100g対して何gの材料が溶けるか)を挙げることができる。「理化学事典」(岩波書店、第3版、1982年発行)によれば、例えば、NaI(ヨウ化ナトリウム)の溶解度は179gであり、また、CsIの溶解度は44gであり、他の材料に比べて大きな値を示している。このため、上記のNaIやCsIは一般的な大気中では不安定であり、潮解してしまう問題を有していた。例えば、CsIを結晶母体とする材料は、材料そのものの発光効率は高いものの、一方で吸湿による潮解から保護するための防湿膜で保護される必要があった。例えば、CsIの防湿膜の厚さは、10μm(保護膜をポリパラキシレンで構成した場合、特開2003−75593号公報参照)程度とされている。このため、防湿膜中でシンチレータ材料の発光が散乱するとともに発光の透過率が低下し、シンチレータとして構成した場合の実質的なX線画像の画像分解能およびX線変換効率(感度)が低下してしまう問題があった。
一方、本願材料は硫化物蛍光体であるが、本願材料の「溶解度」の具体的な数の報告例は無い。しかし、上記の「理化学事典」によれば、本願材料と同じ硫化物蛍光体材料の母体の典型である硫化ストロンチウム(SrS)は水に不溶とされている。すなわち、硫化ストロンチウムの溶解度はほぼ0であり、SrSの潮解性は、NaIやCsIにくらべて無視できるほど小さいものであると考えられる。しかし、シンチレータ材料として実用化することを考慮すると、SrSが有する僅かな潮解性が無視できず、厳密な意味での吸湿性が問題となってしまう。
例えば、一般式(MI’)Ga:Re’(但し、MI’はCaまたはSrのいずれかであり、Re’は、EuまたはCeのいずれかである)で表される材料は、硫化ストロンチウムよりも吸湿性において遙かに安定であり、CRT用蛍光材料としてより実用的であるとされている(T.E.Peter and J.A.Baglio: J.Electorochem.Vol.119,No2(1972)pp.230−236参照)。
これは、同族の元素から構成される3元系硫化物である本願材料にまで拡張しても一般的に言えることであって、本願材料はSrSよりも、ひいてはNaIやCsIと比べて格段に水に対する耐性が良好であり、実用化の観点から有用である。また、実際に放置状態で10日後の吸湿による重量増加は認められなかった。
したがって、本実施例によるシンチレータ20では、シンチレータ材料22を吸湿から保護するための防湿膜を省略した構造とすることが可能となっている。このため、防湿膜によって、シンチレータ材料の発光が散乱する懸念や、発光が減衰する懸念が小さくなり、X線画像の画像分解能およびX線変換効率(感度)が良好となる効果を奏する。
例えば、上記のシンチレータ材料22は、粉末状または薄膜状に構成されるが、シンチレータ材料22を薄膜状に形成した場合には、結晶粒による光散乱を低減できるためにシンチレータが高分解能となり、好適である。
また、図2は、アモルファスシリコンの分光感度特性を示す図である。図2に示すように、アモルファスシリコンは、青色(波長380nm付近)〜赤色(650nm付近)の可視光の波長領域において、略平坦な分光感度特性となっている。このため、アモルファスシリコンフォトダイオードは、シンチレータ材料22の様々な波長の可視光の発光に対して良好な感度を有する特徴がある。
また、上記の受光素子30は、アモルファスシリコンフォトダイオード以外のものでもよく、例えば、光電子増倍管や、アモルファスシリコン以外の光電変換材料を用いたフォトダイオードなどを用いて構成してもよい。
また、基板51は、例えばガラスにより構成されるが、ガラス以外の材料でX線を透過する材料を用いることが可能であり、例えば、軽金属(アルミニウム、ベリリウム、チタン)、有機材料(ポリイミド、ポリカーボネート)、セラミック(アルミナ、ベリリア、ジルコニア)などを用いることが可能である。
また、シンチレータ材料22を形成するための成膜方法としては、例えば、スパッタ法、電子線蒸着法、多源蒸着法(例えば、分子線エピタキシーなどによるものを含む)などを用いることができる。
さらに、上記のシンチレータ材料22は、実用上有用である程度の良好な発光強度を有することを目視により確認した。従って、発光効率についても充分な値を確保できる。
次に、上記のシンチレータ材料22を様々な材料を用いて構成し、X線の照射による発光を確認した具体的な例について説明する。以下の実施例では、ガラスよりなる基板上に、分子線エピタキシー(MBE)による多源蒸着法によってシンチレータ材料22を形成している。
本実施例では、ガラスよりなる基板上に、EuGa(EuGa:Eu、またはEuGa:Eu2+と表記する場合もある)よりなるシンチレータ材料を成膜してシンチレータを構成した例について説明する。
まず、MBE装置の複数のクヌーセンセル(Kセル)のうちの一つにEuを充填し、他のクヌーセンセルにGaを充填した。次に、上記の各々のクヌーセンセルを加熱し、ガラス基板状に成膜を行った。ガラス基板上では、以下の化学反応により、EuGa薄膜が成長する。
Eu+2Ga→EuGa+2GaS(↑)(式1)
なお、上記の化学反応においてGaSはガラス基板上で再蒸発するためにEuGa薄膜中には実質的に残留することはない。また、上記の成膜に係るクヌーセンセルの温度と基板温度、および成長速度を以下に示す。
Figure 0004881175

上記の成膜によって形成されたシンチレータ材料(EuGa薄膜)にX線を照射した際の発光スペクトルを図3に示す。上記の発光は波長536nmにピークを有する緑色発光である。また、上記の波長の発光に対しては、図2に示したようにアモルファスシリコンフォトダイオードが良好な感度を有している。このため、図1の平面型X線画像検出装置10において、シンチレータ材料22としてEuGa薄膜、受光素子30としてアモルファスシリコンフォトダイオードを用いた場合には高いX線感度を実現することが可能であることがわかる。
本実施例では、ガラスよりなる基板上に、SrGa:Ce(SrGa:Ce3+と表記する場合もある)よりなるシンチレータ材料を成膜してシンチレータを構成した例について説明する。
まず、MBE装置の複数のクヌーセンセルのうちの一つに、Srを充填し、他のクヌーセンセルにGaを充填し、さらに別のクヌーセンセルにCeClをそれぞれ充填した。次に、上記の各々のクヌーセンセルを加熱し、ガラス基板状に成膜を行った。ガラス基板上では、以下の化学反応により、SrGa母体結晶薄膜が成長する。
Sr+2Ga→SrGa+2GaS(↑)(式2)
なお、上記の化学反応においてGaSはガラス基板上で再蒸発するためにSrGa薄膜中には実質的に残留することはない。また、上記の式2の反応による成膜時に、CeClが充填されたクヌーセンセルも加熱されているためにCe3+イオンがSrGa結晶中に取り込まれ、SrGa:Ce薄膜が成長する。なお、CeClが充填されたクヌーセンセルを加熱する場合には、セルの開口部付近を1300℃程度に加熱してクラッキングを行うと、効率よくCe3+イオンがSrGa結晶中に取り込まれる。
上記の成膜に係るクヌーセンセルの温度と基板温度、および成長速度を以下に示す。
Figure 0004881175
上記の成膜によって形成されたシンチレータ材料(SrGa:Ce)にX線を照射した際の発光スペクトルを図4に示す。上記の発光は波長450nmにピークを有する青色発光である。また、上記の波長の発光に対しては、図2に示したようにアモルファスシリコンフォトダイオードが良好な感度を有している。このため、図1の平面型X線画像検出装置10において、シンチレータ材料22としてSrGa:Ce薄膜、受光素子30としてアモルファスシリコンフォトダイオードを用いた場合には高いX線感度を実現することが可能であることがわかる。
本実施例では、ガラスよりなる基板上に、BaAl:Eu(BaAl:Eu2+と表記する場合もある)よりなるシンチレータ材料を成膜してシンチレータを構成した例について説明する。
まず、MBE装置の4つのクヌーセンセルに、それぞれ、Ba、Al、Eu、ZnSをそれぞれ充填した。次に、上記の各々のクヌーセンセルを加熱し、ガラス基板状に成膜を行った。ガラス基板上では、以下の化学反応により、BaAl母体結晶薄膜が成長する。
Ba+2Al→BaAl+2AlS(↑)(式3)
なお、上記の化学反応においてAlSはガラス基板上で再蒸発するためにBaAl薄膜中には実質的に残留することはない。また、上記の式3の反応による成膜時に、Euが充填されたクヌーセンセルも加熱されているためにEu2+イオンがBaAl結晶中に取り込まれ、BaAl:Eu薄膜が成長する。なお、BaAl:Eu薄膜の成膜時には、S欠損を抑制するためにZnSを共蒸着すると組成比率の整ったBaAl:Eu薄膜を形成することができる。
上記の成膜に係るクヌーセンセルの温度と基板温度、および成長速度を以下に示す。
Figure 0004881175
上記の成膜によって形成されたシンチレータ材料(BaAl:Eu薄膜)にX線を照射した際の発光スペクトルを図5に示す。上記の発光は波長474nmにピークを有する青色発光である。また、上記の波長の発光に対しては、図2に示したようにアモルファスシリコンフォトダイオードが良好な感度を有している。このため、図1の平面型X線画像検出装置10において、シンチレータ材料22としてBaAl:Eu薄膜、受光素子30としてアモルファスシリコンフォトダイオードを用いた場合には高いX線感度を実現することが可能であることがわかる。
なお、上記の実施例2〜5で示した発光スペクトルは、AlKαの特性X線(エネルギー1.49keV)を照射した際のものであるが、上記の薄膜にMgKα(エネルギー1.25keV)や、WKα(エネルギー69.5keV)の特性X線を照射した際にも同様の発光スペクトルが得られる。このため、上記のシンチレータ材料は医療用のみならず、例えば工業用途も含んだ幅広い分野で利用することが可能である。
上記の一般式(MI)(MII):Re(但し、MIはBa,Ca,SrおよびEuのいずれかであり、MIIは、GaまたはAlであり、Reは、Eu,CeおよびMnのいずれかである)で表されるシンチレータ材料を用いると、高い発光効率(高い感度)が得られる理由としては、以下の可能性が考えられる。例えば、シンチレータ材料を構成する元素として、Sr,Ba,Euなどの原子量の大きい元素があるため、X線が結晶母体に吸収されやすくなり、このことが発光効率に何らかの形で寄与していると考えられる。
また、従来のNaIやCsIなどの材料では、発光に寄与するイオン(ドーパント)として、毒性を有するTl(タリウム)イオンが用いられることが一般的であった。一方で上記の実施例に係る元素は、例えばTlに比べて毒性が低く、取り扱いが簡単であるメリットがある。
また、従来の平面型X線画像検出装置では、シンチレータ材料の吸湿性が高いため、シンチレータを受光素子側(薄膜トランジスタ側)から脱着することは困難となっていた。このため、従来の平面型X線画像検出装置はメンテナンス性が悪い問題があった。
一方で、上記の図1に示した平面型撮像装置10では、シンチレータ材料22が水に対する耐性が良好であるため、シンチレータ20を受光素子30側(アレイ状に構成された受光素子30と薄膜トランジスタ40の組み合わせを有する平面型センサーアレイ)から脱着することが可能となっている。このため、図1に示した平面型撮像装置10は、メンテナンス性が良好である特徴を有している。
例えば、上記のようにシンチレータを脱着する場合には、シンチレータ材料の破損や汚れなどによる品質の低下を防止するために、シンチレータ材料を保護する保護膜を設けてもよい。上記の保護膜を設けることで、シンチレータの脱着がさらに容易となる効果を奏する。
図6は、実施例5による平面型X線画像検出装置10Aを模式的に示した断面図である。ただし、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
図6を参照するに、本実施例による平面型X線画像検出装置10Aでは、実施例1のシンチレータ20に相当するシンチレータ20Aが、シンチレータ22の保護膜23を有することが特徴である。
上記の保護膜23は、例えばSi(窒化シリコン)により形成され、シンチレータ材料22を覆うように形成される。上記の保護膜23が形成されることによって、シンチレータ20Aが脱着された場合のシンチレータ材料22の破損や、もしくはシンチレータ材料22の汚染などの発生のリスクを低減することができる。このため、シンチレータ20Aの脱着が容易となる効果を奏する。また、保護膜23はシンチレータ材料の吸湿防止を目的としていないため、保護膜23の厚さは1μm以下程度とすればよい。上記の保護膜23の厚さは、例えば従来の2元系ヨウ化物が必要とする防湿膜の厚さに比べて格段に薄いため、X線画像の画像分解能およびX線変換効率(感度)は実質的に殆ど低下することはない。
なお、上記のSiよりなる保護膜23の成膜条件の一例について下記に示す。
Figure 0004881175
以上、本発明を好ましい実施例について説明したが、本発明は上記の特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
例えば、上記の実施例では、受光素子としてアモルファスシリコンフォトダイオードを例にとって説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、受光素子として、アモルファスセレンを主成分とする光導電型の素子を用いることも可能である。また、アモルファスシリコンやアモルファスセレン中でアバランシェ増倍を利用できれば、X線の検出感度をさらに向上させることが可能となる。
実施例1による平面型X線画像検出装置を模式的に示した図である。 アモルファスシリコンの分光感度特性を示す図である。 実施例2によるシンチレータにX線を照射した際の発光スペクトルである。 実施例3によるシンチレータにX線を照射した際の発光スペクトルである。 実施例4によるシンチレータにX線を照射した際の発光スペクトルである。 実施例2による平面型X線画像検出装置を模式的に示した図である。
符号の説明
10,10A 平面型X線画像検出装置
20,20A シンチレータ
21 基板
22 シンチレータ材料
23 防湿膜
30 受光素子
31 下部電極
32 光電変換層
33 上部電極
40 薄膜トランジスタ
41 ゲート電極
42 ゲート絶縁膜
43 半導体層
44 ソース電極
45 ドレイン電極
46,50絶縁層
51 基板

Claims (4)

  1. 一般式(MI)(MII):Re(但し、MIはBa,Ca,SrおよびEuのいずれかであり、MIIは、GaまたはAlであり、Reは、Eu,CeおよびMnのいずれかである)で表される材料を含むことを特徴とするシンチレータ。
  2. 前記材料が薄膜状に構成されている請求項1記載のシンチレータ。
  3. 前記材料が保護膜によって覆われている請求項1または2に記載のシンチレータ。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシンチレータと、
    前記シンチレータの発光を受光する平面型センサーアレイを有することを特徴とする平面型X線画像検出装置。
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