JP4880839B2 - 半透過型液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外光を利用して表示を行うための半透過型液晶表示素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半透過型液晶表示装素子は、表示素子に入射する光および反射膜で反射された光の光量を制御する光制御手段(液晶表示素子など)とを組み合わせて表示を行うものであり、消費電力が小さいため、携帯用の機器に利用されることが多い。半透過型表示素子では外光を反射する反射膜が必要であるが、表示素子として十分な明るさを確保するためには、反射膜から反射される光のうち表示素子を見る観察者の方向に反射する光をできるだけ多くし、光の利用効率を高める必要がある。特にカラー表示を行う半透過型表示素子では、単色の表示素子に比べて高い反射率が求められる。
高い反射率を得るためには、反射膜として反射率の高いアルミニウムや銀などの金属反射膜を用いることが考えられるが、平坦な面上に金属反射膜を形成すると、鏡面反射して光源が反射膜に映り込み、それ以外ではほとんど反射しないために暗く、表示が非常に見づらくなる。図3(a)はこの様子を示したものである。反射板の垂線からの角度θ(座標角)が−30度方向から入射光を入射した場合、図3(b)のように、反射光は、+30度方向のみに鋭いピークとしてあらわれ、それ以外ではほとんど反射光が得られない。
【0003】
一方、紙の印刷物のように自然な見え(いわゆるペーパーホワイト)を得ようとすると、反射膜として白い紙やこれに類似するものを反射板として用いればよいが、観察者から大きく外れた方向にも光が反射されるため、暗い表示となる。図4(a)にこの様子を示す。図4(b)のように、反射光がすべての方向に散乱されるため、光源の映り込みはないが、どの方向から見ても暗い表示となる。
【0004】
この問題に対しては、図5(a)のように、フォトレジスト等により基板上に隔離して多数の凸部13を形成し、この上に反射膜15を形成した提案がある。反射膜15としてアルミニウムなどを用いることにより、図5(b)のように散乱性を付与し、光源の映り込みを小さくしている。しかし、この従来例では、凸部13が隔離して形成されているため、凹部12は平面的であり、その反射光は正反射方向(図5(b)では+30度方向)にピークが現れ、光源の映り込みが発生し、ほかの角度から見たときには暗いという課題を有していた。
【0005】
そこで、この問題を解決するため、図6(a)に示す提案がある。これは凹形状12および凸形状13が形成された基板上に液体を塗布、硬化することによって凹凸表面に滑らかな起伏14を形成し、前記問題であった平面的な部分が除かれ、図6(b)のように、正反射方向に鋭いピークが現れない良好な光散乱性を確保したものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6(a)〜(b)に示す従来例では、基板上に凹または凸形状を形成する工程と、前記凹凸上に液体を塗布するという2段階の工程が必要であり、凹凸形状を形成する工程のみに2段階の工程が必要であり、工程が煩雑であった。
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、基板上に凹凸を形成する工程の簡略化を図るとともに、光の映り込みを抑え良好な光散乱性を有する半透過型液晶表示素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の方法は、基板上に多数の微細な凹凸部が形成された凹凸層が設けられ、前記凹凸層上に反射膜を形成した半透過型アレイ基板を有する半透過型液晶表示素子の製造方法であって、前記半透過型アレイ基板を構成する基板の一方の面にアクリル樹脂系であって感光性樹脂膜の露光波長付近にのみ吸収をもつ染料入りポジ型感光性材料を用いて前記感光性樹脂膜を形成し、前記凹凸層の凹部およびコンタクトホールの領域のみを露光するフォトマスクを用いて前記感光性樹脂膜を露光および現像し、前記感光性樹脂膜が完全に取り除かれない前記凹部と、前記感光性樹脂膜が完全に取り除かれた前記コンタクトホールとを形成して前記感光性樹脂膜から成る凹凸層を形成し、前記凹凸層を熱処理して溶融変形させ、前記凹凸層上に前記凹凸層表面の凹凸形状に沿った反射膜を形成し、前記反射膜上に透明画素電極を形成することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の方法によれば、前記感光性樹脂膜からなる凹凸を形成する際、感光性樹脂膜が露光波長に吸収を持つためテーパー形状となり、凹部では感光性樹脂膜は完全には取り除かれない。これにより、1回の工程で下地となる凹凸形状を形成できる。
【0010】
本発明は、多数の微細な凹凸部が形成された基板上に反射膜を形成した半透過型アレイ基板を有する半透過型液晶表示素子の製造方法であって、前記半透過型アレイ基板を構成する基板の一方の面に露光波長付近にのみ吸収を持つ感光性樹脂膜を塗布する工程と、前記感光性樹脂膜をフォトマスクを用いて露光および現像して凹凸を形成する工程と、前記凹凸部の角を丸める熱処理工程と、前記凹凸部を有する基板上に反射膜を形成する反射膜形成工程と、反射膜上に透明画素電極を形成する工程を有する。この方法により、凹凸を形成する際、感光性樹脂膜が露光波長に吸収を持つためテーパー形状となり、凹部では感光性樹脂膜が完全には取り除かれない。これにより、なめらかな凹凸形状を1回のフォトリソグラフィー工程により形成でき、かつ、光源の映り込みを抑えるとともに散乱性を有する明るい反射膜形成をすることができる。また、露光波長付近にのみ吸収を持つ感光性樹脂膜を用いることにより、良好な透過特性を得ることができる。
【0011】
また、この手法により、良好な光散乱特性を有し、かつ良好な透過特性を有する半透過型液晶表示素子を得ることができる。
【0012】
本発明方法においては、前記感光性樹脂膜が露光波長付近にのみ吸収を持つ染料を含む感光性樹脂膜であることが好ましい。
【0013】
また、前記感光性樹脂膜が露光波長付近にのみ吸収を持つ高分子物質であってもよい。
【0014】
以下、本発明の具体的実施の形態について図面を用いて説明する。図2は本発明の半透過型アレイ基板の製造方法を説明する図である。図2(a)のようにガラス基板1上に感光性樹脂膜3をスピンコートにより形成し、90℃、90秒プリベークした。感光性樹脂膜にはアクリル樹脂系の染料入りポジ型感光性材料を用いた。
【0015】
プリベーク後の膜は2μmの厚みとした。次に凹部およびコンタクトホールの領域のみを露光するフォトマスクを用いて露光を実施し、現像液で現像して図2(b)のように、凹部およびコンタクトホールの個所を取り除くパターニングを実施した。この際、感光性樹脂膜中の染料による露光波長の吸光効果により、染料の入っていない感光性樹脂膜と比較してテーパー形状となるため、凹部では感光性樹脂膜3は完全には取り除かれない。次に、凹凸層をパターニングした基板を、200℃のオーブンで1時間熱処理し、溶融変形させて図2(c)のように感光性樹脂層表面に所望の凹凸曲面を形成した。次に、図2(d)のように上記感光性樹脂層上にアルミニウムを0.2μmの厚みで成膜し、パターニングを施すことにより反射膜4を形成した。反射膜4は感光性樹脂層表面の凹凸形状に沿って製膜され、光散乱性を有する反射板を形成できた。次に、図2(e)のように上記反射膜4上にITO(インジウム錫酸化物合金)を0.1μmの厚みで成膜し、これを画素形状のパターニングを施し透明画素電極5を形成した。
【0016】
次に、図1に示すように、上記半透過型アレイ基板と対向基板9の表面に、液晶材料を配向させるための配向膜を形成したのち所定の間隙を保って貼り合わせた。対向基板9には、あらかじめ赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に相当するカラーフィルター8が画素ごとに形成されてマトリクス状に配置し、さらにITOからなる透明電極を形成して、液晶表示素子の共通電極7として用いる。配向膜は基板1の反射板4側、および対向基板9の共通電極7側に形成し、これら配向膜を形成した面を向かい合わせて約4μmの間隙で張り合わせ、間隙に液晶材料を封入して液晶層6形成した。さらに、前記対向基板の外側に位相差板10及び偏光板11を貼って半透過型液晶素子を完成させた。
【0017】
さらに、この半透過型液晶表示素子を表示部として、コンピューター用表示装置、携帯情報端末装置、携帯電話などの半透過型液晶表示装置を構成することができる。
【0018】
また、本実施例では凹凸層を形成する材料として、アクリル樹脂系のポジ型感光性材料を用いたが、これに限定されない。すなわち、ポジ型、ネガ型に拘らず、すくなくとも露光プロセスを用いてパターニングできる感光性樹脂であれば使用可能である。
【0019】
また、本実施例では、基板として透明なガラスを用いたが、たとえばプラスチックなどの樹脂で構成された基板を用いてもよい。また、基板は、シリコンなどの不透明な基板を用いることもできる。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明方法により、良好な反射特性と透過性を有する半透過型表示素子を作成することができる。また、反射板を作成する際に、下地となる凹凸形状を1回の露光で実施することができ、従来に比べて工程を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の反射膜を備えた半透過型表示素子の画素部分の断面図
【図2】同、実施例の半透過型アレイ基板の画素部の断面図
【図3】従来の鏡面性反射膜の反射特性の説明図
【図4】従来の完全均等拡散反射膜の反射特性の説明図
【図5】従来の凹凸散乱反射膜の反射特性の説明図
【図6】従来の凹凸散乱反射膜の反射特性の説明図
【符号の説明】
1 基板
2 駆動素子
3 感光性樹脂膜
4 反射膜
5 透明画素電極
6 液晶層
7 共通電極
8 カラーフィルター
9 対向基板
10 位相差板
11 偏光板
12 凹部
13 凸部
14 滑らかな起伏
15 反射膜

Claims (1)

  1. 基板上に多数の微細な凹凸部が形成された凹凸層が設けられ、前記凹凸層上に反射膜を形成した半透過型アレイ基板を有する半透過型液晶表示素子の製造方法であって、
    前記半透過型アレイ基板を構成する基板の一方の面にアクリル樹脂系であって感光性樹脂膜の露光波長付近にのみ吸収をもつ染料入りポジ型感光性材料を用いて前記感光性樹脂膜を形成し、
    前記凹凸層の凹部およびコンタクトホールの領域のみを露光するフォトマスクを用いて前記感光性樹脂膜を露光および現像し、前記感光性樹脂膜が完全に取り除かれない前記凹部と、前記感光性樹脂膜が完全に取り除かれた前記コンタクトホールとを形成して前記感光性樹脂膜から成る凹凸層を形成し、
    前記凹凸層を熱処理して溶融変形させ、
    前記凹凸層上に前記凹凸層表面の凹凸形状に沿った反射膜を形成し、
    前記反射膜上に透明画素電極を形成することを特徴とする半透過型液晶表示素子の製造方法。
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