JP4880382B2 - 予備潤滑回路を備えたヘリコプタ - Google Patents

Description

本発明は、予備潤滑回路を備えたヘリコプタに関する。

公知なように、ヘリコプタは、通常、一つ以上のタービンから主回転翼や尾部回転翼へ運動を伝達するための、或いはタービンから多数の補助装置、例えば機内の機器に動力・電力を供給する補助装置へ運動を伝達するための多数のトランスミッションを備えている。

通常、トランスミッションは、第二部材に対して移動可能な第一部材と、第二部材に対して第一部材を支持する多数のベアリングとを具備する。ヘリコプタは、特別なタンク内に収容された潤滑オイルをベアリングに供給してこれらベアリングを潤滑する供給・潤滑回路を更に具備する。

この潤滑回路が損傷すると、油圧が低下し、その結果トランスミッションの動作が阻害されてしまう。

当該業界では、このような場合に、ヘリコプタを着地させることができるように、予め定められた時間に亘って、例えば３０分、好ましくは１時間に亘ってトランスミッションが正確に作動するようにする必要があることが認識されている。

更に、所定の期間の任務（mission）のために、ヘリコプタの認可規則では上記予め定められた時間に亘って水平飛行を維持することができることが要求される。

本発明の目的は、直接的な安価な態様で上記要求を満たすように構成されたヘリコプタを提供することにある。

上記課題を解決するために、第１の発明では、第一部材及び第二部材と、上記第二部材に対して上記第一部材を移動可能に支持する被潤滑支持手段と、上記支持手段を潤滑する主要な潤滑回路であって、潤滑流体を蓄積する主要な貯留手段と上記潤滑流体を上記支持手段に供給する主要な流体供給手段とを具備する主要な潤滑回路とを具備するヘリコプタにおいて、上記主要な貯留手段から第一の流量で潤滑流体が継続的に供給されると共に上記支持手段に上記第一の流量よりも少ない第二の流量で潤滑流体を供給することで上記主要な潤滑回路が故障した場合に使用するための潤滑流体の予備的貯留部を形成する予備潤滑回路を具備する。
第２の発明では、第１の発明において、上記予備潤滑回路は、上記主要な貯留手段から潤滑流体が供給されると共に上記予備貯留部を画成する予備貯留手段と、該予備貯留手段から潤滑流体が供給されると共に上記潤滑流体の流れを横断する方向において上記主要な流体供給手段の出口よりも小さい出口により上記支持手段に潤滑流体を供給する予備流体供給手段とを具備する。
第３の発明では、第２の発明において、上記予備貯留手段は、上記主要な貯留手段から流路を介して潤滑流体が供給され、上記予備流体供給手段の出口は潤滑流体の流れを横断する方向において上記流路よりも小さい。
第４の発明では、第１〜第３のいずれか一つの発明において、上記第一部材は、上記第二部材に対して軸線回りで回転し、且つ上記主要な潤滑回路及び予備潤滑回路から潤滑流体が供給されるチャンバであって第一部材内に形成され且つ上記軸線に対して径方向に延びる開口によって上記支持手段に流体的に通じるチャンバを内部に画成する。
第５の発明では、第１〜第４のいずれか一つの発明において、上記主要な貯留手段は同一の流路を介して上記主要な潤滑回路及び上記予備潤滑回路に潤滑流体を供給する。
第６の発明では、第１〜第５のいずれか一つの発明において、上記第一部材及び第二部材を具備するトランスミッションを具備する。

図面を参照して本発明の限定するものではない好適な実施形態について例として説明する。

図１の参照番号１はヘリコプタを示しており、このヘリコプタは、二つのタービン２と、主回転翼４と、尾部回転翼５と、タービン２から主回転翼４及び尾部回転翼５へ運動を伝達する主要なトランスミッション３とを具備する。

ヘリコプタ１は、更に、主要なトランスミッション３から公知の各補助装置（図示せず）、例えば機内の機器に動力・電力を供給する補助装置へと運動を伝達する複数の補助的なトランスミッション６（概略的に図示）を具備する。

以下に詳述するように、各トランスミッション３、６は、適切に機能するようにオイルで潤滑されなければならない。

このため、図２に示したように、ヘリコプタ１は潤滑オイルをトランスミッション３、６に給油する潤滑回路を具備する。より詳細には、潤滑回路２０はタンク１１と、タンク１１から各トランスミッション３、６へ潤滑オイルを給油するための多数のノズル１２（一つのみを図示）とを具備する。

説明を簡単なものにするために、以下では単なる例としてトランスミッション３と各ノズル１２とを参照して説明する。

さらに、トランスミッション３は、本発明を明確に理解するのに必要な程度にのみ記載及び図示されている。

より詳細には、図２に示したトランスミッション３は、ヘリコプタ１の固定構造体（図示せず）に繋止された外側ケーシング８と、ケーシング８内に取付けられて軸線Ａ回りで回転すると共にタービン２をかさ歯車１９に機能的に接続するトランスミッションシャフト７とを具備し、かさ歯車１９はトランスミッション３の更なる構成要素に接続される。トランスミッション３は、径方向においてシャフト７とケーシング８との間に配置されてシャフト７をケーシング８内で軸線方向に移動不能であって回転可能な態様で支持する多数のベアリング９を更に具備する。

図２を参照すると、シャフト７はねじ山付き外周部分１４と、タービン２及び上記かさ歯車１９にそれぞれ機能的に接続される外周かさ歯車１５とを画成する。

部分１４はシャフト７の軸線方向の端部１８上に形成され、かさ歯車１５は端部１８とは反対側の軸線方向の端部１７に近接してシャフト７上に形成される。

タービン２に容易に接続することができるように、部分１４はケーシング８から軸線方向に突出する。

ベアリング９は転がり軸受であり、軸線方向において部分１４とかさ歯車１５との間に配置される。

シャフト７はノズル１２からベアリング９へのオイル流れ通路を画成する。

より詳細には、シャフト７は同軸の内部チャンバ２１を画成し、この内部チャンバ２１はオイルが流入するように端部１７で開かれていると共に端部１８を介してオイルが流出するのを防止するように端部１８において閉じられている。

チャンバ２１は、端部１７から流入するオイルがベアリング９へと流れることができるようにシャフト７を貫通して径方向に形成された多数の（図示した例では三つの）導管１６によってベアリング９に流体的に通じている。

ノズル１２は、端部１７を介して各トランスミッション３の内部チャンバに突出してベアリング９を潤滑するためのオイルを直接内部チャンバ２１内に噴出する出口１３を有する。

より詳細には、各ノズル１２は個別の流路２６によりタンク１１に接続され、この流路２６に沿って公知の各ポンプ（図示せず）が配置される。

本発明の重要な特徴によれば、ヘリコプタ１は予備潤滑回路２２を具備する。この予備潤滑回路２２は、タンク１１から第一の流量で連続的にオイルが供給されると共にトランスミッション３のベアリングに上記第一の流量よりも少ない第二の流量で連続的にオイルを供給し、潤滑回路２０が故障した場合に使用するための予備オイル貯留部（auxiliary oil storage volume）を形成する。

より詳細には、予備潤滑回路２２は、タンク１１から継続的にオイルが充填されて上記予備貯留部（auxiliary storage volume）を形成する予備タンク２３と、予備タンク２３からオイルが供給される予備ノズル２４とを具備する。予備ノズル２４は液滴の形態でオイルをチャンバ２１内に給油し、潤滑回路２０が故障した場合にもトランスミッション３のベアリング９を一時的に潤滑することができるようにする。

予備タンク２３には流路２６に接続された流路２７に沿ってタンク１１からオイルが供給される。

予備ノズル２４は、潤滑回路２０が故障した場合にベアリング９を一時的に確実に潤滑すべくオイルを滴下するように、ノズル１２のように、トランスミッション３の内部チャンバ２１に突出する出口２５を有する。

より詳細には、重力により液滴の供給が行われるように予備タンク２３は出口２５よりも高く配置される。

出口２５はオイルの流れに対して垂直な方向において出口１３よりも小さく、これによりタンク１１が適切に作動しているときには予備タンク２３から放出されるよりも多量のオイルが予備タンク２３に流入し、潤滑回路２０が故障したときにベアリング９を一時的に潤滑するのに十分なオイルが予備タンク２３内に蓄積せしめられる。

出口２５はオイルの流れに対して垂直な方向において流路２７よりも小さい。

各予備タンク２３は、予備タンク２３がオイルで完全に満タンになった時に導管２８に沿ってオイルを排出するための孔（図示せず）を有する。

実際の使用では、シャフト７は回転可能であって軸線方向に移動不能な態様でベアリング９に支持され、これらベアリングには正確に機能するためにオイルが供給されなければならない。

潤滑回路２０の通常の作動状態では、ノズル１２には流路２６に沿ってタンク１１からオイルが給油される。

オイルはノズル１２によってチャンバ２１に給油され、そこからオイルは導管１６に沿ってベアリング９へと流れてベアリングを潤滑する。

より詳細には、シャフト７は軸線Ａに対して遠心径方向成分の運動をチャンバ２１内に供給されたオイルに与え、この運動は導管１６へのオイルの流れを補助する。

潤滑回路２０の通常の作動状態では、タンク１１から流路２６に沿って流れるオイルの一部は、流路２７に沿って予備潤滑回路２２へと流れる。

より詳細には、上記オイルの一部は予備タンク２３内に蓄積され、予備ノズル２４からチャンバ２１内に継続的に滴下され、僅かにベアリング９を潤滑するのに貢献する。

より詳細には、オイルは、予備タンク２３から予備ノズル２４を介して放出されるオイルの流れよりも多いライン２７に沿って予備タンク２３に流入するオイルの流れによって蓄積される。このオイルの流れの差は、オイルの流れに対して垂直な方向において出口１３及び流路２７よりも小さい出口２５によって作り出される。

潤滑回路２０が故障した場合、ノズル１２によってはチャンバ２１内にオイルが供給されない。

この場合、予備潤滑回路２２がトランスミッション３のベアリング９の一時的な潤滑を行い、予め定められた時間に亘ってトランスミッションが作動することができるようにする。

より詳細には、予備タンク２３内に蓄積されたオイルは重力によって予備ノズル２４からチャンバ２１内へ徐々に滴下される。そして、オイルの液滴は遠心的に導管１６に沿ってベアリング９へと供給され、これにより潤滑回路２０が故障した場合にも予め定められた機関に亘ってベアリング９が潤滑され続ける。

この場合、ヘリコプタ１は、適切な着陸場所を探し出すまで、予め定められた時間、例えば３０分、好ましくは１時間だけトランスミッション３が機能し続ける。

より詳細には、ヘリコプタ１は、上記予め定められた時間に亘って水平飛行を維持することができ、予め定められた期間の任務（mission）を規定する認可要求を満たす。

特許請求の範囲に規定された保護範囲を逸脱することなく、説明及び図示したヘリコプタ１を修正することができることは明らかである。

本発明のヘリコプタの斜視図を示している。 図１のヘリコプタのトランスミッション及び緊急供給用のトランスミッションの予備潤滑回路の拡大断面図である。

符号の説明

１ ヘリコプタ
２ タービン
３ トランスミッション
４ 主回転翼
５ 尾部回転翼
７ シャフト
８ ケーシング
９ ベアリング
１２ ノズル
１６ 導管
２０ 潤滑回路
２１ チャンバ
２２ 予備潤滑回路
２３ 予備タンク（予備貯留部）
２４ 予備ノズル
２６ 流路
２７ 流路
２８ 導管

Claims (5)

1. 第一部材（７）及び第二部材（８）と、
   上記第二部材（８）に対して上記第一部材（７）を移動可能に支持する被潤滑支持手段（９）と、
   上記支持手段（９）を潤滑する主要な潤滑回路（２０）であって、潤滑流体を蓄積する主要な貯留手段（１１）と上記潤滑流体を上記支持手段に供給する主要な流体供給手段（１２）とを具備する主要な潤滑回路（２０）と、
   上記主要な貯留手段（１１）から第一の流量で潤滑流体が継続的に供給されると共に上記支持手段（９）に上記第一の流量よりも少ない第二の流量で潤滑流体を供給することで上記主要な潤滑回路（２０）が故障した場合に使用するための潤滑流体の予備的貯留部（２３）を形成する予備潤滑回路（２２）とを具備し、
   上記予備的貯留部（２３）は第一部材（７）の外に位置するヘリコプタにおいて、
   上記第一部材（７）は、上記第二部材（８）に対して軸線（Ａ）回りで回転し、且つ上記主要な潤滑回路（２０）及び予備潤滑回路（２２）から潤滑流体が供給されるチャンバ（２１）であって第一部材（７）内に形成され且つ上記軸線（Ａ）に対して径方向に延びる開口（１６）によって上記支持手段（９）に流体的に通じるチャンバ（２１）を内部に画成することを特徴とするヘリコプタ。
2. 上記予備潤滑回路（２２）は、上記主要な貯留手段から潤滑流体が供給されると共に上記予備貯留部を画成する予備貯留手段（２３）と、該予備貯留手段（２３）から潤滑流体が供給されると共に上記潤滑流体の流れを横断する方向において上記主要な流体供給手段（１２）の出口よりも小さい出口（２５）により上記支持手段（９）に潤滑流体を供給する予備流体供給手段（２４）とを具備することを特徴とする、請求項１に記載のヘリコプタ。
3. 上記予備貯留手段（２３）は、上記主要な貯留手段（１１）から流路（２７）を介して潤滑流体が供給され、上記予備流体供給手段（２４）の出口（２５）は潤滑流体の流れを横断する方向において上記流路（２７）よりも小さいことを特徴とする、請求項２に記載のヘリコプタ。
4. 上記主要な貯留手段（１１）は同一の流路（２６）を介して上記主要な潤滑回路（２０）及び上記予備潤滑回路（２２）に潤滑流体を供給することを特徴とする、請求項１〜３のいずれか１項に記載のヘリコプタ。
5. 上記第一部材（７）及び第二部材（２）を具備するトランスミッション（３）を具備することを特徴とする、請求項１〜４のいずれか１項に記載のヘリコプタ。

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