JP4877778B2 - 無線装置およびそれを備えた無線通信ネットワーク - Google Patents

無線装置およびそれを備えた無線通信ネットワーク Download PDF

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Description

この発明は、無線装置およびそれを備えた無線通信ネットワークに関し、特に、自律的、かつ、即時的に構築されるアドホックネットワークシステムを構成する無線装置およびそれを備えた無線通信ネットワークに関するものである。
アドホックネットワークは、複数の無線装置が相互に通信を行なうことによって自律的、かつ、即時的に構築されるネットワークである。アドホックネットワークでは、通信する2つの無線装置が互いの通信エリアに存在しない場合、2つの無線装置の中間に位置する無線装置がルータとして機能し、データパケットを中継するので、広範囲のマルチホップネットワークを形成することができる。
このようなアドホックネットワークは、被災地での無線通信網やITS(Intelligent Transport Systems)車車間通信でのストリーミングなど、様々な方面に応用されようとしている(非特許文献1)。
マルチホップ通信をサポートする動的なルーティングプロトコルとしては、テーブル駆動型プロトコルとオンデマンド型プロトコルとがある。テーブル駆動型プロトコルは、定期的に経路に関する制御情報の交換を行ない、予め経路表を構築しておくものであり、GSR(Global State Routing)、FSR(Fish−eye State Routing)、OLSR(Optimized Link State Routing)およびDSDV(Destination Sequenced Distance Vector)等が知られている。
また、オンデマンド型プロトコルは、データ送信の要求が発生した時点で、初めて宛先までの経路を構築するものであり、DSR(Dynamic Source Routing)およびAODV(Ad Hoc On−Demand Distance Vector Routing)等が知られている。
そして、従来のアドホックネットワークにおいては、送信元から送信先へデータ通信を行なう場合、送信元から送信先までのホップ数ができる限り少なくなるように経路が決定される(非特許文献2)。
渡辺正浩"無線アドホックネットワーク",自動車技術会春季大会ヒューマトロニクスフォーラム,pp18−23,横浜,5月2003年. Guangyu Pei, at al, "Fisheye state routing: a routing scheme for ad hoc wireless networks", ICC2000. Commun., Volume 1, pp70-74, L.A., June 2000.
しかし、アドホックネットワークを構成する無線装置が移動可能な無線装置である場合、アドホックネットワークを構成する無線装置のトポロジーが変化し、パケットの到達率が低下するという問題がある。即ち、各無線装置が、一度、作成したルーティングテーブルに基づいて無線通信を行なうとすると、実際に無線通信を行なうときの各無線装置のトポロジーがルーティングテーブルを作成したときの各無線装置のトポロジーと異なってしまい、隣接無線装置が通信可能な範囲よりも遠い位置へ移動してしまっていることが想定され、そのような場合、パケットは隣接無線装置へ到達できず、パケットの到達率が低下する。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、無線装置が移動する通信環境においてパケットの到達率を向上可能な無線装置を提供することである。
また、この発明の別の目的は、無線装置が移動する通信環境においてパケットの到達率を向上可能な無線装置を備える無線通信ネットワークを提供することである。
この発明によれば、無線装置は、自律的に確立され、送信元と送信先との間で無線通信が行なわれる無線通信ネットワークを構成する無線装置であって、位置検出手段と、受信手段と、予測位置演算手段と、距離演算手段と、テーブル作成手段と、通信手段とを備える。位置検出手段は、当該無線装置の位置および移動速度を示す第1の位置情報を検出する。受信手段は、当該無線装置に隣接するn(nは正の整数)個の隣接無線装置の位置および移動速度を示すn個の第2の位置情報をn個の隣接無線装置から受信する。予測位置演算手段は、第1の位置情報に基づいて当該無線装置の現在の予測位置を示す第3の位置情報を演算し、n個の第2の位置情報に基づいてn個の隣接無線装置の現在の予測位置を示すn個の第4の位置情報を演算する。距離演算手段は、第3の位置情報およびn個の第4の位置情報に基づいて、当該無線装置とn個の隣接無線装置との間の距離であるn個の距離を演算する。テーブル作成手段は、距離演算手段によって演算された距離が反映され、かつ、当該無線装置と隣接無線装置との間の最適な無線通信経路を示すルートメトリックを各送信先に対して演算し、その演算したルートメトリックを含み、かつ、各送信先までの経路からなるルーティングテーブルを作成する。通信手段は、ルーティングテーブルから各送信先までの最適な無線通信経路を選択して無線通信を行なう。
好ましくは、テーブル作成手段は、n個の距離に基づいて、当該無線装置との間で通信範囲を超える距離を有する隣接無線装置を除外し、当該無線装置との間で通信範囲内の距離を有する隣接無線装置を含めてルーティングテーブルを作成する。
好ましくは、無線装置は、寿命演算手段を更に備える。寿命演算手段は、位置検出手段によって検出された当該無線装置の現在の位置、現在の移動速度および現在の移動方向を示す第5の位置情報と、受信手段によって受信されたn個の隣接無線装置の現在の位置、現在の移動速度および現在の移動方向を示すn個の第6の位置情報とに基づいて、当該無線装置と各隣接無線装置との間で無線通信が可能な残り時間を示すリンク寿命を演算する。そして、テーブル作成手段は、ルーティングテーブルの更新時にリンク寿命を超えた経路を有する隣接無線装置を除外してルーティングテーブルを更新する。
好ましくは、テーブル作成手段は、当該無線装置と隣接無線装置との間の瞬時の受信信号強度に基づいて、パケットの再送回数であるリンクコストを演算し、その演算したリンクコストと距離演算手段によって演算された距離とに基づいて、当該無線装置と隣接無線装置との間の無線通信品質が基準値以上である場合にはリンクコストよりも距離演算手段によって演算された距離を反映してルートメトリックを演算し、無線通信品質が基準値よりも低い場合にはリンクコスト、距離演算手段によって演算された距離および中継器の負荷を反映してパケットの輻輳を下げるようにルートメトリックを演算する。
好ましくは、テーブル作成手段は、無線通信品質が基準値以上である場合には距離演算手段によって演算された距離が長くなるに従って小さくなるようにルートメトリックを演算する。
好ましくは、テーブル作成手段は、距離演算手段によって演算された距離に基づいて、当該無線装置と隣接無線装置との間の距離に応じて決定される第1の受信信号強度を演算し、各隣接無線装置が現在の位置から所定の範囲内に存在するときの当該無線装置と各隣接無線装置との間の受信信号強度の平均である第2の受信信号強度を演算し、その演算した第1および第2の受信信号強度に基づいて、瞬時の受信信号強度である第3の受信信号強度を演算し、その演算した第3の受信信号強度に基づいて、リンクコストを演算する。
好ましくは、テーブル作成手段は、距離と第1の受信信号強度との関係を示す第1のテーブルと、第3の受信信号強度とリンクコストとの関係を示す第2のテーブルとを保持し、第1のテーブルを参照して、距離演算手段によって演算された距離に対応する第1の受信信号強度を抽出することによって第1の受信信号強度を演算し、第2のテーブルを参照して、演算した第3の受信信号強度に対応するリンクコストを抽出することによってリンクコストを演算する。
好ましくは、テーブル作成手段は、第1の受信信号強度と第2の受信信号強度との重み付け平均を演算して第3の受信信号強度を演算する。
好ましくは、無線装置は、方向演算手段と、指向性アンテナとを更に備える。方向演算手段は、最適な無線通信経路を構成する無線装置が当該無線装置に対して存在する方向を演算する。指向性アンテナは、指向性のビームを放射する。通信手段は、方向演算手段によって演算された方向にビームを放射するように指向性アンテナを制御して無線通信を行なう。
また、この発明によれば、無線通信ネットワークは、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の無線装置を備える無線通信ネットワークである。
この発明においては、無線通信ネットワークを構成する各無線装置は、自己の位置情報を検出してブロードキャストする。そして、各無線装置は、自己および他の無線装置の位置情報に基づいて、各無線装置の現在の位置を予測し、その予測した現在の位置に基づいて、最適な経路を有するルーティングテーブルを作成して無線通信を行なう。つまり、各無線装置は、各無線装置の移動先を予測して最適な経路を選択し、その選択した最適な経路を用いて無線通信を行なう。
従って、この発明によれば、無線装置が移動する通信環境においてパケットの到達率を向上できる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による無線通信ネットアークの概略図である。無線通信ネットアーク10は、無線装置1〜8を備える。無線装置1〜8は、無線通信空間に配置され、自律的にネットワークを構成している。そして、無線装置1から無線装置3へデータを送信する場合、無線装置2,4〜8は、無線装置1からのデータを中継して無線装置3へ届ける。
この場合、無線装置1は、異なる4個の経路を介して無線装置3との間で無線通信を行なうことができる。即ち、無線装置1は、無線装置4,7を介して無線装置3との間で無線通信を行なうことができ、無線装置2,7を介して無線装置3との間で無線通信を行なうこともでき、無線装置5,6を介して無線装置3との間で無線通信を行なうことができ、無線装置8を介して無線通信3との間で無線通信を行なうこともできる。
無線装置8を介して無線通信を行なう場合、ホップ数が“2”と相対的に少なく、無線装置4,7、無線装置2,7および無線装置5,6を介して無線通信を行なう場合、ホップ数が“3”と相対的に多い。
従って、無線装置8を介して無線通信を行なう経路を選択すると、ホップ数が“2”と相対的に少なくなるので、一般的には、無線装置1から無線装置3への無線通信のスループットが高くなる。
しかし、無線装置1〜8が移動する無線装置である場合において、無線装置1が無線装置3へ実際にパケットを送信するとき、無線装置1と無線装置8との距離が通信可能範囲を超えてしまっているために、無線装置1が無線装置8へパケットを送信できないことが想定される。
そこで、以下においては、各無線装置1〜8が自己に隣接する隣接無線装置の瞬時の位置を予測してパケットの到達率を向上可能な方法について説明する。
図2は、図1に示す無線装置1の構成を示す概略ブロック図である。無線装置1は、アレーアンテナ11と、GPS(Global Positioning System)アンテナ12と、無線LAN(Local Area Network)カード13と、GPS受信機15と、無線LANドライバ14と、GPSモジュール16と、キュー17と、ルーティングテーブル18と、TCP/IPモジュール19と、ルーティングモジュール20と、アプリケーション21と、表示部22とを備える。
アレーアンテナ11は、無指向性または指向性のビームによって無線LANカード13から受けたパケットを送信するとともに、無指向性または指向性のビームによってパケットを受信して無線LANカード13へ出力する。
GPSアンテナ12は、衛星(図示せず)から送信された経緯度、速度および角度を受信してGPS受信機15へ出力する。
無線LANカード13は、アレーアンテナ11の指向性を後述する方法によって制御する。また、無線LANカード13は、無線LANドライバ14からパケットを受け、その受けたパケットのヘッダを参照してパケットの中継先(=隣接無線装置)を検知する。そして、無線LANカード13は、アレーアンテナ11の指向性を所定の指向性に設定し、その所定の指向性に設定されたアレーアンテナ11を介してパケットを中継先(=隣接無線装置)へ送信する。この場合、無線LANカード13は、中継先(=隣接無線装置)から受信した隣接無線装置の位置と、GPSモジュール16から受けた無線装置1の位置とに基づいて、パケットの中継先(=隣接無線装置)が無線装置1に対して存在する方向を演算し、その演算した方向をアレーアンテナ11に設定する所定の指向性とする。更に、無線LANカード13は、アレーアンテナ11から受けたパケットを無線LANドライバ14へ出力する。更に、無線LANカード13は、アレーアンテナ11がパケットを受信したときの受信信号強度RSSIを検出し、その検出した受信信号強度RSSIを無線LANドライバ14へ出力する。
無線LANドライバ14は、キュー17からパケットを取り出す。そして、無線LANドライバ14は、ルーティングテーブル18を参照して、パケットを送信先へ送信するときの最適経路を選択し、その選択した最適経路を介してパケットを送信先へ送信するときの隣接無線装置のIPアドレスをパケットに含めて無線LANカード13へ出力する。また、無線LANドライバ14は、無線LANカード13から受けたパケットをTCP/IPモジュール19へ出力する。更に、無線LANドライバ14は、無線LANカード13から受けた受信信号強度RSSIをTCP/IPモジュール19へ出力する。
GPS受信機15は、GPSアンテナ12を介して無線装置1の経緯度、速度および角度を計測し、その計測した経緯度、速度および角度をGPSモジュール16へ出力する。
GPSモジュール16は、GPS受信機15から経緯度、速度および角度を受け、その受けた経緯度に基づいて、後述する方法によって、無線装置1の位置を演算する。そして、GPSモジュール16は、無線装置1の位置、速度および角度を無線LANカード13、TCP/IPモジュール19およびルーティングモジュール20へ出力する。
キュー17は、TCP/IPモジュール19からパケットを受け、その受けたパケットを保持する。そして、キュー17は、無線LANドライバ14からの要求に応じて、保持しているパケットを無線LANドライバ14へ出力する。ルーティングテーブル18は、各送信先へ対する最適通信経路を格納する。
TCP/IPモジュール19は、アプリケーション21からデータを受け、その受けたデータをTCPデータ部に格納してTCPパケットを作成する。そして、TCP/IPモジュール19は、その作成したTCPパケットをIPデータ部に含め、送信先をヘッダに含めてIPパケットを作成し、その作成したパケットをキュー17へ格納する。
また、TCP/IPモジュール19は、GPSモジュール16から無線装置1の位置、速度および角度を受けるとともに、キュー17のキュー長を検出する。そして、TCP/IPモジュール19は、隣接無線装置の位置、速度、角度、移動方向および負荷(=隣接無線装置のキュー長)と、隣接無線装置に隣接する無線装置の位置、速度、角度、移動方向および負荷とを含む専用パケットを隣接無線装置から受けるとともに、その受けた専用パケットをルーティングモジュール20へ出力する。そうすると、TCP/IPモジュール19は、キュー長からなる無線装置1の負荷と、無線装置1の位置、速度および角度と、隣接無線装置の位置、速度、角度、移動方向および負荷とからなる専用パケットを、例えば、2秒ごとに作成し、その作成した専用パケットをキュー17へ格納してブロードキャストする。また、TCP/IPモジュール19は、キュー長からなる無線装置1の負荷と、無線装置1の位置、速度および角度と、隣接無線装置の位置、速度、角度、移動方向および負荷と、隣接無線装置に隣接する無線装置の位置、速度、角度、移動方向および負荷とからなる専用パケットを、例えば、6秒ごとに作成し、その作成した専用パケットをキュー17へ格納してブロードキャストする。
更に、TCP/IPモジュール19は、無線LANカード14からパケットを受け、その受けたパケットからデータを取り出してアプリケーション21へ出力する。更に、TCP/IPモジュール19は、無線LANドライバ14から受けた受信信号強度RSSIをルーティングモジュール20へ出力する。
ルーティングモジュール20は、GPSモジュール16から無線装置1の位置、速度および角度を受け、TCP/IPモジュール19から専用パケットを受ける。そして、ルーティングモジュール20は、その受けた専用パケットと、無線装置1の位置、速度および角度とに基づいて、後述する方法によって、位置テーブルを作成する。なお、ルーティングモジュール20は、位置テーブルを作成した後に無線装置1の位置、速度および角度と、専用パケットとを受けると、位置テーブルを更新する。
また、ルーティングモジュール20は、専用パケットに基づいて、後述する方法によって、ネイバーテーブルを作成する。なお、ルーティングモジュール20は、ネイバーテーブルを作成した後に専用パケットを受けると、ネイバーテーブルを更新する。
そうすると、ルーティングモジュール20は、位置テーブルに基づいて、各無線装置1〜8の現在の位置を後述する方法によって予測し、その予測した位置と、無線装置1〜8のトポロジーと、ネイバーテーブルとに基づいて、後述する方法によってルーティングテーブル18を作成する。そして、ルーティングモジュール20は、ルーティングテーブル18を一定時間ごとに更新するとともに、ルーティングテーブル18を表示部22へ出力する。
アプリケーション21は、送信先へ送信するデータを生成し、その生成したデータをTCP/IPモジュール19へ出力する。また、アプリケーション21は、TCP/IPモジュール19から自己宛てのデータを受ける。
表示部22は、ルーティングモジュール20から受けたルーティングテーブル18を視覚情報としてユーザに与える。
なお、図1に示す無線装置2〜8の各々は、図2に示す無線装置1と同じ構成からなる。
図3は、図2に示すアレーアンテナ11の制御方法を説明するための図である。アレーアンテナ11は、アンテナ素子111〜117と、バラクタダイオード121〜126とからなる。アンテナ素子111〜116は、無給電素子であり、アンテナ素子117は、給電素子である。そして、アンテナ素子111〜117は、xyz直交座標のx−y平面に略垂直に、即ち、z軸に略平行に配置される。
バラクタダイオード121〜126は、それぞれ、アンテナ素子111〜116と接地ノードとの間に接続される。これにより、可変容量素子であるバラクタダイオード121〜126がそれぞれ無給電素子であるアンテナ素子111〜116に装荷される。
このように、アレーアンテナ11は、1本の給電素子(アンテナ素子117)と6本の無給電素子(アンテナ素子111〜116)とからなる。
無線LANカード13は、アレーアンテナ11のバラクタダイオード121〜126に制御電圧セットCLV0〜CLV12を供給してアレーアンテナ11のビームパターンを無指向性のビームパターンまたは指向性のビームパターンに切換える。
図4は、図2に示すアレーアンテナ11のx−y平面における平面図である。アンテナ素子111〜116は、アンテナ素子117の周囲に略円形に配置される。そして、アレーアンテナ11が送受信する電波の波長をλとすると、アンテナ素子111〜116とアンテナ素子117との間隔は、略λ/4である。
このように、アレーアンテナ11は、給電素子であるアンテナ素子117の周囲に無給電素子であるアンテナ素子111〜116を略円形配置した構造からなる。
無線LANカード13は、制御電圧セットCLV0〜CLV12をバラクタダイオード121〜126へ供給してアレーアンテナ11が放射するビームパターンを制御する場合、バラクタダイオード121〜126のリアクタンスセットx=xm1〜xm6が表1に示すリアクタンスセットに従って変化するように制御電圧セットCLV0〜CLV12をバラクタダイオード121〜126へ供給する。
Figure 0004877778
制御電圧セットCLV0〜CLV12の各々は、6個のバラクタダイオード121〜126に対応して6個の電圧V1〜V6からなる。無線LANカード13は、例えば、−20Vからなる電圧V1〜V6をそれぞれバラクタダイオード121〜126へ供給してバラクタダイオード121〜126のリアクタンスxm1〜xm6を“hi”に設定し、0Vからなる電圧V1〜V6をそれぞれバラクタダイオード121〜126へ供給してバラクタダイオード121〜126のリアクタンスxm1〜xm6を“lo”に設定する。
バラクタダイオード121〜126のリアクタンスxm1〜xm6が全て“hi”である場合(m=0)、アレーアンテナ11は、オムニパターンに近いビームパターンBPM0を放射する。また、バラクタダイオード121のリアクタンスxm1が“hi”であり、バラクタダイオード122〜126のリアクタンスxm2〜xm6が“lo”である場合(m=1)、アレーアンテナ11は、0度の方向に指向性を有するビームパターンBPM1を放射する。なお、x軸の正の方向を0度の方向とする。
更に、バラクタダイオード121,122のリアクタンスxm1,xm2が“hi”であり、バラクタダイオード123〜126のリアクタンスxm3〜xm6が“lo”である場合(m=2)、アレーアンテナ11は、30度の方向に指向性を有するビームパターンBPM2を放射する。
更に、バラクタダイオード122のリアクタンスxm2が“hi”であり、バラクタダイオード121,123〜126のリアクタンスxm1,xm3〜xm6が“lo”である場合(m=3)、アレーアンテナ11は、60度の方向に指向性を有するビームパターンBPM3を放射する。
以下、同様にして、バラクタダイオード121〜126のうち、リアクタンスxを“hi”に設定するバラクタダイオードをバラクタダイオード122,123、バラクタダイオード123、バラクタダイオード123,124、バラクタダイオード124、バラクタダイオード124,125、バラクタダイオード125、バラクタダイオード125,126、バラクタダイオード126およびバラクタダイオード126,121に順次切換えることによって、アレーアンテナ11は、それぞれ、90度の方向、120度の方向、150度の方向、180度の方向、210度の方向、240度の方向、270度の方向、300度の方向および330度の方向に指向性を有するビームパターンBPM4〜BPM12を放射する。
このように、アレーアンテナ11は、無線LANカード13からの制御に従って、オムニビームパターン(ビームパターンBPM0)および指向性を有するビームパターン(ビームパターンBPM1〜BPM12)を選択的に放射可能である。
図5は、専用パケットの構成を示す概念図である。専用パケットPKT_Dは、パケットヘッダと、自己の負荷と、自己の位置情報と、位置情報1,2とからなる。パケットヘッダは、専用パケットPKT_Dをブロードキャストするためのアドレスと、専用パケットPKT_Dを生成した無線装置のIPアドレスとを含む。自己の負荷は、専用パケットPKT_Dを生成する無線装置におけるキュー17のキュー長からなる。自己の位置情報は、専用パケットPKT_Dを生成する無線装置の位置、速度および角度からなる。位置情報1は、専用パケットPKT_Dを生成する無線装置に隣接する隣接無線装置の位置、速度および角度からなる。位置情報2は、専用パケットPKT_Dを生成する無線装置から一定距離以上の位置に存在する無線装置の位置、速度および角度からなる。そして、パケットヘッダ、自己の負荷、自己の位置情報および位置情報1からなる専用パケットPKT_Dは、例えば、2秒ごとに生成されてブロードキャストされる。また、パケットヘッダ、自己の負荷、自己の位置情報、位置情報1および位置情報2からなる専用パケットPKT_Dは、例えば、6秒ごとに生成されてブロードキャストされる。
図6は、位置テーブルの構成を示す図である。位置テーブルPSTは、インデックスと、IPアドレスと、位置と、速度と、角度と、時刻と、受信方向とからなる。そして、インデックス、IPアドレス、位置、速度、角度、時刻および受信方向は、相互に対応付けられる。
インデックスは、1,2,3,・・・等の数字からなる。IPアドレスは、各無線装置1〜8のIPアドレスからなる。位置は、各無線装置1〜8の位置<x,y>(i=1〜8)からなる。速度は、各無線装置1〜8の速度Vからなる。角度は、各無線装置1〜8の速度Vがx−y座標においてx軸の正方向となす角度αからなる。時刻は、各無線装置1〜8の位置<x,y>、速度Vおよび角度αが計測された時刻からなる。そして、時刻は、YYYY/MMMM/DDDD/HHHH/MMMM/SSSS(年//月/日/時間/分/秒)によって表される。受信方向は、各無線装置1〜8の角度αからなる。
図7は、ネイバーテーブルの構成を示す図である。ネイバーテーブルNBTは、隣接無線装置と、RSSIと、寿命と、負荷と、フラグと、インデックスとからなる。
隣接無線装置、RSSI、寿命、負荷、フラグおよびインデックスは、相互に対応付けられる。隣接無線装置は、各無線装置に隣接する無線装置の装置名からなる。RSSIは、受信信号強度からなる。寿命は、隣接する2つの無線装置間における経路を介して無線通信が可能な残りの時間からなる。負荷は、各無線装置におけるキュー17のキュー長からなる。フラグは、無線通信におけるフェージングが生じていることを示すFD_ON、または無線通信におけるフェージングが生じていないことを示すFD_OFFからなる。そして、この発明においては、受信信号強度が最大値に対して15dB以上低下したときにフェージングが生じていると判定する。インデックスは、図6において説明したインデックスと同じである。
図8は、図2に示すルーティングテーブル18の構成を示す図である。ルーティングテーブル18は、送信先アドレス、NextHopアドレスおよびルートメトリックからなる。そして、送信先アドレス、NextHopアドレスおよびルートメトリックは、相互に対応付けられる。
送信先アドレスは、送信先の無線装置のIPアドレスからなる。NexyHopアドレスは、パケットを送信先へ送信するときにパケットを次に送信すべき無線装置のIPアドレスからなる。ルートメトリックは、隣接する2つの無線装置間の経路の指標を示し、隣接する2つの無線装置間の距離、リンク品質および各無線装置における負荷によって決定される値からなる。ルートメトリックの求め方については後述する。
次に、GPS受信機15が計測した経緯度λEX,φEXに基づいて、位置<x,y>を求める方法について説明する。GPSモジュール16は、GPS受信機15から受けた経緯度λEX,φEXをそれぞれ次式のλ,φに代入して無線装置の位置<x,y>を求める。
Figure 0004877778
引き続いて、隣接する2つの無線装置間における経路を介して無線通信が可能な残りの時間からなるリンク寿命を求める方法について説明する。隣接する2つの無線装置は、2つの無線装置間の距離が最大通信距離を越えない限り、無線通信を行なうことができ、2つの無線装置間の距離が最大通信距離を越えると、リンクが切断される。そして、2つの無線装置の位置、速度および角度を用いて、各リンクを無線通信に使用可能な残りの時間が予測される。この予測された残りの時間をリンク寿命とする。
無線装置A,B間のリンクのリンク寿命を無線装置Aにおいて求める方法を具体的に説明する。無線装置Aのルーティングモジュール20は、GPSモジュール16から無線装置Aの時刻t1(現在の時刻)における位置<x t1,y t1>、速度V t1および角度α t1を受ける。また、無線装置Aのルーティングモジュール20は、無線装置Bから受信した無線装置Bの時刻t1における位置<x t1,y t1>、速度V t1および角度α t1をTCP/IPモジュール19から受ける。そして、無線装置Aのルーティングモジュール20は、無線装置Aの位置<x t1,y t1>、速度V t1および角度α t1と、無線装置Bの位置<x t1,y t1>、速度V t1および角度α t1とを次式に代入してリンク寿命tを演算する。
Figure 0004877778
式(2)において、rは、最大通信距離comm_distである。式(2)によって求めたリンク寿命tは、次式によって表されるように、時刻t1+tにおける無線装置A,B間の距離が最大通信距離comm_dist以上になることを意味する。
Figure 0004877778
なお、この発明においては、ルーティングモジュール20は、無線装置Aの位置<x t1,y t1>、速度V t1および角度α t1と、無線装置Bの位置<x t1,y t1>、速度V t1および角度α t1とを次式に代入してリンク寿命tを近似的に演算してもよい。
Figure 0004877778
このように、ルーティングモジュール20は、隣接する無線装置A,Bの位置、速度および角度を用いて無線装置A,B間のリンク寿命を演算する。
次に、OLSRプロトコルに従って無線通信ネットワーク10を構成する無線装置1〜8のトポロジーを検知する方法について説明する。
無線装置1〜8は、トポロジーを検知する場合、HelloメッセージおよびTCメッセージを送受信する。Helloメッセージは、各無線装置1〜8が有する情報の配信を目的として、定期的に送信される。このHelloメッセージを受信することによって、各無線装置1〜8は、周辺の無線装置に関する情報を収集でき、自己の周辺にどのような無線装置が存在するのかを認識する。
OLSRプロトコルにおいては、各無線装置1〜8は、ローカルリンク情報を管理する。そして、Helloメッセージは、このローカルリンク情報の構築および送信を行なうためのメッセージである。ローカルリンク情報は、「リンク集合」、「隣接無線装置集合」、「2ホップ隣接無線装置集合とそれらの無線装置へのリンク集合」、「MPR(Multipoint Relay)集合」、および「MPRセレクタ集合」を含む。
リンク集合は、直接的に電波が届く無線装置(隣接無線装置)の集合へのリンクのことであり、各リンクは2つの無線装置間のアドレスの組の有効時間によって表現される。なお、有効時間は、そのリンクが単方向なのか双方向なのかを表すためにも利用される。
隣接無線装置集合は、各隣接無線装置のアドレス、およびその無線装置の再送信の積極度(Willingness)等によって構成される。2ホップ隣接無線装置集合は、隣接無線装置に隣接する無線装置の集合を表す。
MPR集合は、MPRとして選択された無線装置の集合である。なお、MPRとは、各パケットPKTを無線通信ネットワーク10の全ての無線装置1〜8へ送信する場合、各無線装置1〜8が1つのパケットPKTを1回だけ送受信することによってパケットPKTを全ての無線装置1〜8へ送信できるように中継無線装置を選択することである。MPRセレクタ集合は、自己をMPRとして選択した無線装置の集合を表す。
ローカルリンク情報が確立される過程は、概ね、次のようになる。Helloメッセージは、初期の段階では、各無線装置1〜8が自己の存在を知らせるために、自己のアドレスが入ったHelloメッセージを隣接する無線装置へ送信する。これを、無線装置1〜8の全てが行ない、各無線装置1〜8は、自己の周りにどのようなアドレスを持った無線装置が存在するのかを把握する。このようにして、リンク集合および隣接無線装置集合が構築される。
そして、構築されたローカルリンク情報は、再び、Helloメッセージによって定期的に送り続けられる。これを繰返すことによって、各リンクが双方向であるのか、隣接無線装置の先にどのような無線装置が存在するのかが徐々に明らかになって行く。各無線装置1〜8は、このように徐々に構築されたローカルリンク情報を蓄える。
更に、MPRに関する情報も、Helloメッセージによって定期的に送信され、各無線装置1〜8へ告知される。各無線装置1〜8は、自己が送信するパケットPKTの再送信を依頼する無線装置として、いくつかの無線装置をMPR集合として隣接無線装置の中から選択している。そして、このMPR集合に関する情報は、Helloメッセージによって隣接する無線装置へ送信されるので、このHelloメッセージを受信した無線装置は、自己がMPRとして選択してきた無線装置の集合を「MPRセレクタ集合」として管理する。このようにすることにより、各無線装置1〜8は、どの無線装置から受信したパケットPKTを再送信すればよいのかを即座に認識できる。
Helloメッセージの送受信により各無線装置1〜8において、ローカルリンク集合が構築されると、無線通信ネットワーク10全体のトポロジーを知らせるためのTCメッセージが無線装置1〜8へ送信される。このTCメッセージは、MPRとして選択されている全ての無線装置によって定期的に送信される。そして、TCメッセージは、各無線装置とMPRセレクタ集合との間のリンクを含んでいるため、無線通信ネットワーク10の全ての無線装置1〜8は、全てのMPR集合および全てのMPRセレクタ集合を知ることができ、全てのMPR集合および全てのMPRセレクタ集合に基づいて、無線通信ネットワーク10全体のトポロジーを知ることができる。
なお、各無線装置1〜8は、Helloメッセージとは別に、TCメッセージを頻繁に交換する。そして、TCメッセージの交換にも、MPRが利用される。
引き続いて、位置テーブルPSTおよびネイバーテーブルNBTの作成方法について説明する。図9は、専用パケットPKT_Dの例を示す図である。また、図10は、位置テーブルPSTの例を示す図である。更に、図11は、ネイバーテーブルNBTの例を示す図である。
無線装置1のTCP/IPモジュール19は、GPSモジュール16から無線装置1の位置<x,y>,速度V、角度αおよび時刻tを受け、キュー17のキュー長L1QUEを検出する。そして、無線装置1のTCP/IPモジュール19は、無線装置1のIPアドレスIPadd1とブロードキャストアドレスadd_BCとをパケットヘッダに格納し、その検出したキュー長L1QUEを自己の負荷に格納し、位置<x,y>,速度V、角度αおよび時刻tを自己の位置情報に格納して専用パケットPKT1_D1を作成する(図9の(a)参照)。そして、無線装置1のTCP/IPモジュール19は、その作成した専用パケットPKT1_D1をブロードキャストする。
無線装置2のTCP/IPモジュール19は、同様にして専用パケットPKT2_D2(図9の(b)参照)を作成してブロードキャストし、無線装置7のTCP/IPモジュール19は、同様にして専用パケットPKT7_D3(図9の(c)参照)を作成してブロードキャストする。他の無線装置3〜6,8も、同様にして専用パケットPKT_Dを作成してブロードキャストする。
無線装置1のTCP/IPモジュール19は、無線装置1に隣接する無線装置2から専用パケットPKT2_D2を受信し、その受信した専用パケットPKT2_D2をルーティングモジュール20へ出力する。また、無線装置1のTCP/IPモジュール19は、無線装置1に隣接する無線装置4,5,8から無線装置4,5,8の位置、速度および角度を含む専用パケットを受信し、その受信した専用パケットをルーティングモジュール20へ出力する。
そして、無線装置1のTCP/IPモジュール19は、無線装置1のIPアドレスIPadd1と、ブロードキャストアドレスadd_BCとをパケットヘッダに格納し、無線装置1のキュー長L1QUEを自己の負荷に格納し、無線装置1の位置<x,y>,速度V、角度αおよび時刻tを自己の位置情報に格納し、無線装置2,4,5,8の位置、速度、角度および時刻を位置情報1に格納して専用パケットPKT1_D4(図9の(d)参照)を作成してブロードキャストする。
また、無線装置2のTCP/IPモジュール19は、無線装置2に隣接する無線装置7から専用パケットPKT7_D3を受信し、その受信した専用パケットPKT7_D3をルーティングモジュール20へ出力する。また、無線装置2のTCP/IPモジュール19は、無線装置2に隣接する無線装置1,4,5から無線装置1,4,5の位置、速度、角度および時刻を含む専用パケットを受信し、その受信した専用パケットをルーティングモジュール20へ出力する。
そして、無線装置2のTCP/IPモジュール19は、無線装置2のIPアドレスIPadd2と、ブロードキャストアドレスadd_BCとをパケットヘッダに格納し、無線装置2のキュー長L2QUEを自己の負荷に格納し、無線装置2の位置<x,y>,速度V、角度αおよび時刻tを自己の位置情報に格納し、無線装置1,4,5,7の位置、速度、角度および時刻を位置情報1に格納して専用パケットPKT2_D5(図9の(e)参照)を作成してブロードキャストする。
無線装置1のTCP/IPモジュール19は、専用パケットPKT2_D5を無線装置2から受信し、その受信した専用パケットPKT2_D5をルーティングモジュール20へ出力する。これによって、無線装置1のルーティングモジュール20は、無線装置1に隣接する無線装置2,4,5,8の位置、速度、角度および時刻のみならず、無線装置1から2ホップの位置に存在する無線装置7の位置、速度、角度および時刻を取得する。
上述した動作を繰り返すことによって、無線通信ネットワーク10を構成する無線装置1〜8の各々は、無線装置1〜8の時刻t1における位置、速度および角度を取得する。
無線装置1のルーティングモジュール20は、時刻t1における無線装置1〜8の位置、速度および角度を取得すると、その取得した位置、速度および角度に基づいて、位置テーブルPST1(図10参照)を作成する。
このように、各無線装置1〜8がGPS受信機15を用いて時刻t1における自己の位置、速度および角度を計測し、その計測した位置、速度および角度をブロードキャストすることによって、各無線装置1〜8は、同期して位置テーブルPST1を作成できる。
無線装置1のルーティングモジュール20は、上述した方法によって、無線通信ネットワーク10を構成する無線装置1〜8のトポロジーを検知し、その検知したトポロジーに基づいて、無線装置2,4,5,8が無線装置1に隣接する隣接無線装置であることを認識する。
そうすると、無線装置1のルーティングモジュール20は、無線装置2,4,5,8の名称N2,N4,N5,N8を隣接無線装置の欄に格納する。そして、無線装置1のルーティングモジュール20は、無線装置2,4,5,8からそれぞれ専用パケットPKT2_D,PKT4_D,PKT5_D,PKT8_Dを受信したときの受信信号強度RSSI2,ESSI4,RSSI5,RSSI8をTCP/IPモジュール19から受け、その受けた受信信号強度RSSI2,ESSI4,RSSI5,RSSI8をそれぞれ無線装置2,4,5,8の名称N2,N4,N5,N8に対応付けてRSSIの欄に格納する。
その後、無線装置1のルーティングモジュール20は、位置テーブルPSTから無線装置1の位置<x,y>、速度Vおよび角度αと、無線装置2の位置<x,y>、速度Vおよび角度αとを取出し、その取り出した位置<x,y>,<x,y>、速度V,Vおよび角度α,αに基づいて、上述した方法によって(式(2)または式(4)を用いて)、無線装置1−無線装置2間のリンクのリンク寿命Lifeを演算する。また、無線装置1のルーティングモジュール20は、位置テーブルPSTから無線装置1の位置<x,y>、速度Vおよび角度αと、無線装置4,5,8の位置<x,y>,<x,y>,<x,y>、速度V,V,Vおよび角度α,α,αとに基づいて、上述した方法によって(式(2)または式(4)を用いて)、それぞれ、無線装置1−無線装置4間、無線装置1−無線装置5間および無線装置1−無線装置8間のリンクのリンク寿命Life,Life,Lifeを演算する。そうすると、無線装置1のルーティングモジュール20は、演算したリンク寿命Life,Life,Life,Lifeをそれぞれ無線装置2,4,5,8の名称N2,N4,N5,N8に対応付けて寿命の欄に格納する。
また、無線装置1のルーティングモジュール20は、隣接無線装置2,4,5,8から専用パケットPKT_Dによって送信されたキュー長L2QUE,L4QUE,L5QUE,L8QUEをそれぞれ無線装置2,4,5,8の名称N2,N4,N5,N8に対応付けて負荷の欄に格納する。
更に、無線装置1のルーティングモジュール20は、無線装置2,4,5,8との間の無線通信においてフェージングが生じているか否かを判定し、その判定結果を示すフラグF,F,F,Fをそれぞれ無線装置2,4,5,8の名称N2,N4,N5,N8に対応付けてフラグの欄に格納する。更に、無線装置1のルーティングモジュール20は、位置テーブルPSTのIPアドレスIPadd2,IPadd4,IPadd5,IPadd8を介して無線装置2,4,5,8の位置を示すインデックス2,4,5,8を抽出し、その抽出したインデックス2,4,5,8を無線装置2,4,5,8の名称N2,N4,N5,N8に対応付けてインデックスの欄に格納する。これによって、無線装置1におけるネイバーテーブルNBT1が完成する(図11参照)。
無線装置1のルーティングモジュール20は、上述した方法によって、位置テーブルPST1およびネイバーテーブルNBT1を作成した後、無線装置1〜8の位置情報を新たに受けると、その受けた新たな位置情報に基づいて位置テーブルPST1およびネイバーリストNBT1を更新する。
ネイバーリストNBT1が更新される場合、無線装置1のルーティングモジュール20は、隣接無線装置2,4,5,8が無線装置1から離れて行って、新たに演算した隣接無線装置2,4,5,8との間の距離が通信範囲を超えている場合、通信範囲を超えている隣接無線装置を除外してネイバーテーブルNBT1を更新し、新たな無線装置が無線装置1に近づいて来て、新たな無線装置との間の距離が通信範囲内である場合、その新たな無線装置を含めてネイバーテーブルNBT1を更新する。
なお、無線装置2〜8のルーティングモジュール20も、無線装置1のルーティングモジュール20と同じ方法によって位置テーブルPSTおよびネイバーテーブルNBTを作成および更新する。
無線装置1におけるルーティングテーブル18の作成について説明する。無線装置1のルーティングモジュール20は、ルーティングテーブル18を作成する場合、位置テーブルPST1に基づいて、無線装置1〜8の現在の位置を予測する。例えば、無線装置1のルーティングモジュール20は、次式によって無線装置1の現在の位置<x ,y >を予測する。
Figure 0004877778
なお、式(5)において、t1は、位置を計測したときの時刻であり、tは、現在時刻である。
また、無線装置1のルーティングモジュール20は、位置テーブルPST1に基づいて、式(5)を用いて無線装置2〜8の現在の位置を予測する。
その後、無線装置1のルーティングモジュール20は、ルートメトリックRTMを演算する。そして、無線装置1のルーティングモジュール20は、ルートメトリックRTMを演算するために、無線装置1に隣接する隣接無線装置が現在の位置から一定距離内に存在するときの受信信号強度の平均値である受信信号強度RSSI_mvav(移動平均強度)を演算する。
図12は、移動平均強度の概念図である。また、図13は、受信信号強度と距離との関係の履歴を示す図である。無線装置2は、位置P11→位置P10→位置P9→・・・→位置P1の順序で現在の位置P1へ移動する。そして、無線装置1のルーティングモジュール20は、無線装置2が各位置P11〜P1に存在するときに無線装置2からパケットを受信したときの受信信号強度RSSI11〜RSSIをTCP/IPモジュール19から受け、受信信号強度RSSI11〜RSSIを保持する。
また、無線装置1のルーティングモジュール20は、それぞれ、受信信号強度RSSI11〜RSSIを受信したときに、無線装置1の位置<x,y>と無線装置2の位置<x,y>とに基づいて、無線装置1−無線装置2間の距離d11〜d(無線装置2がそれぞれ位置P11〜P1に存在するときの無線装置1,2間の距離)を演算する。
そうすると、無線装置1のルーティングモジュール20は、受信信号強度RSSI11と距離d11とを対応付けて履歴テーブルHISTに格納する。そして、無線装置1のルーティングモジュール20は、以下、順次、受信信号強度RSSI10と距離d10、受信信号強度RSSIと距離d、・・・、受信信号強度RSSIと距離dとを対応付けて履歴テーブルHISTに格納する。
無線装置1のルーティングモジュール20は、無線装置2が現在の位置P1に到達すると、履歴テーブルHISTに格納された受信信号強度RSSI〜RSSI11のうち、無線装置2が現在の位置P1から一定の距離r内に存在するときの受信信号強度RSSI〜RSSIを検出し、その検出した8個の受信信号強度RSSI〜RSSIの平均値を受信信号強度RSSI_mvavとして演算する。
この一定の距離rは、「移動平均区間」と呼ばれるものであり、無線装置1−無線装置2間の距離に応じて変わるものである。
無線装置1のルーティングモジュール20は、受信信号強度RSSI_mvavを演算すると、次に、隣接する2つの無線装置間の距離から受信信号強度RSSI_calを算出する。
図14は、受信信号強度と距離との関係を示す図である。図14において、縦軸は、受信信号強度RSSIを表し、横軸は、距離を表す。また、曲線k1は、地上から1.8mの位置にアンテナを設置した場合における受信信号強度RSSIと距離との関係を示す。
図14に示すように、受信信号強度RSSIは、距離に対して、曲線k1に従って周期的に変化する。
無線装置1のルーティングモジュール20は、曲線k1によって示される受信信号強度RSSIと距離との関係をテーブルとして保持している。無線装置1のルーティングモジュール20は、上述した方法(式(5))によって無線装置1,2の現在の位置を予測すると、その予測した無線装置1,2の現在の位置に基づいて、無線装置1−無線装置2間の距離を演算し、その演算した距離に対応する受信信号強度RSSIを曲線k1を参照して求める。そして、無線装置1のルーティングモジュール20は、その求めた受信信号強度RSSIを受信信号強度RSSI_cal(移動平均強度)とする。
無線装置1のルーティングモジュール20は、受信信号強度RSSI_calおよび受信信号強度RSSI_mvavを演算すると、その演算した受信信号強度RSSI_calおよび受信信号強度RSSI_mvavを次式に代入して瞬時の受信信号強度RSSI_instを演算する。
Figure 0004877778
式(6)において、βは、定数であり、例えば、β=0.3に設定される。このように、無線装置1のルーティングモジュール20は、受信信号強度RSSI_calと受信信号強度RSSI_mvavとの重み付け平均を演算することによって、瞬時の受信信号強度RSSI_instを演算する。
図15は、リンクコストと瞬時の受信信号強度RSSI_instとの関係を示す図である。図15において、縦軸は、リンクコストを表し、横軸は、瞬時の受信信号強度RSSI_instを表す。また、曲線k2は、リンクコストと瞬時の受信信号強度RSSI_instとの関係を示す。なお、リンクコストは、パケットの再送回数からなる。
リンクコストは、瞬時の受信信号強度RSSI_instが−95dBmから−75dBmへと大きくなると、急激に低下し、瞬時の受信信号強度RSSI_instが−75dBm以上になると、ほぼ一定値(最低値)を保持する。そして、リンク品質は、瞬時の受信信号強度RSSI_instが−75dBm以上の範囲においては、基準値以上の品質を保持し、瞬時の受信信号強度RSSI_instが−95dBmから−75dBmの範囲においては、基準値よりも低い品質を有する。
無線装置1のルーティングモジュール20は、リンクコストと瞬時の受信信号強度RSSI_instとの関係を示す曲線k2をテーブルとして保持している。そして、無線装置1のルーティングモジュール20は、瞬時の受信信号強度RSSI_instを算出すると、その算出した瞬時の受信信号強度RSSI_instに対応するリンクコストを曲線k2を参照して求める。
無線装置1のルーティングモジュール20は、リンクコストを求めると、次の方法によってルートメトリックRTMを求める。
図16は、ルートメトリックRTMを求める方法を説明するための図である。無線装置1のルーティングモジュール20は、無線装置2が送信先である場合、無線装置1から無線装置2までの直線距離をProgress12として求め(図16の(a)参照)、その求めたProgress12と、上述した方法によって求めた無線装置1−無線装置2間のリンクコストCost12とを次式に代入して無線装置1−無線装置2間のルートメトリックRTMを求める。
Figure 0004877778
なお、Progress12は、無線装置1の位置<x,y>(=予測した無線装置1の位置)と、無線装置2の位置<x,y>(=予測した無線装置2の位置)とを用いて演算される。
また、無線装置1のルーティングモジュール20は、無線装置3が送信先である場合、無線装置1から無線装置3までの直線Lへ無線装置2から垂線H1を下ろしたときの直線Lと垂線H1との交点X1と無線装置1との距離をProgress12として求める。そして、無線装置1のルーティングモジュール20は、無線装置1から無線装置3までの直線Lへ無線装置5から垂線H2を下ろしたときの直線Lと垂線H2との交点X2と無線装置5との距離をProgress15として求める。
その後、無線装置1のルーティングモジュール20は、無線装置1−無線装置2間のリンクコストCost12を上述した方法によって求め、無線装置1−無線装置5間のリンクコストCost15を上述した方法によって求める。また、無線装置1のルーティングモジュール20は、無線装置2,5の負荷L2QUE,L5QUEをネイバーテーブルNBTから検出する。
そうすると、無線装置1のルーティングモジュール20は、その求めたProgress12,Progress15、リンクコストCost12,Cost15および負荷L2QUE,L5QUEを次式に代入してルートメトリックRTMを求める。
Figure 0004877778
そして、無線装置1のルーティングモジュール20は、求めたルートメトリックRTM1,RTM2を次式に代入してパケットの中継端末を決定する。
Figure 0004877778
式(9)は、無線装置2を介する経路において計算した(Cost12+β×L12QUE)/Progress12の値と、無線装置5を介する経路において計算した(Cost15+β×L15QUE)/Progress15の値とのうち、最も小さいルートメトリックRTMを有する無線装置(無線装置2,5のいずれか)をパケットの中継端末として選択する。
なお、無線装置1−無線装置3間の無線通信において、パケットを中継する無線装置2,5,6,7のルーティングモジュール20も、上述した隣接無線装置が送信先であるときのルートメトリックを決定する式(7)、または隣接無線装置が中継器であるときのルートメトリックを決定する式(8)によって、最も小さいルートメトリックRTMを演算して中継端末を選択する。
式(7)または式(8)によってルートメトリックRTMを演算した場合、リンクコストは、瞬時の受信信号強度RSSI_instが−75dBm以上の領域において略一定であるので(図15の曲線k2参照)、ルートメトリックRTMは、Progress(=無線装置間の距離)に反比例して決定される。つまり、ルートメトリックRTMは、Progressが大きい程(=無線装置間の距離が長い程)、小さくなる。その結果、瞬時の受信信号強度RSSI_instが−75dBm以上の領域においては、各無線装置1〜8は、無線装置間の距離が相対的に長い無線通信経路を選択して無線通信を行なう。これは、ホップ数のより少ない無線通信経路を選択して無線通信を行なうことを意味する。
また、リンクコストは、瞬時の受信信号強度RSSI_instが−75dBm以上の領域において最低値を保持するので、この領域では、無線通信品質は、基準値よりも高い。
従って、瞬時の受信信号強度RSSI_instが−75dBm以上の領域においては、ルーティングモジュール20は、リンクコストよりも無線装置間の距離を反映してルートメトリックRTMを演算する。
一方、瞬時の受信信号強度RSSI_instが−75dBmよりも低い領域では、リンクコストは、瞬時の受信信号強度RSSI_instの低下とともに大きくなる。即ち、この領域では、無線通信品質は、基準値よりも低い。従って、無線通信品質が基準値よりも低い場合には、ルーティングモジュール20は、リンクコスト、中継器の負荷および無線装置間の距離を反映してパケットの輻輳を下げるようにルートメトリックRTMを演算する。
図17は、ルーティングテーブル18の例を示す図である。なお、ルーティングテーブル18Aは、無線装置1におけるルーティングテーブル18の例である。
無線装置1のルーティングモジュール20は、上述した方法によって、各無線装置2〜8を送信先とする場合の最も小さいルートメトリックを演算し、その演算した最も小さいルートメトリックを有する経路上の無線装置をNextHop(=中継端末)として選択する。そして、無線装置1のルーティングモジュール20は、無線装置2〜8のIPアドレスIPadd2〜IPadd8を送信先アドレスの欄に格納し、最も小さいルートメトリックを有する経路上の無線装置2,5,4,5,5,2,8のIPアドレスIPadd2,IPadd5,IPadd4,IPadd5,IPadd5,IPadd2,IPadd8をそれぞれIPアドレスIPadd2〜IPadd8に対応付けてNextHopアドレスの欄に格納し、最も小さいルートメトリックRTM1〜RTM8をそれぞれIPアドレスIPadd2〜IPadd8に対応付けてルートメトリックの欄に格納してルーティングテーブル18Aを作成する。
そして、無線装置1のルーティングモジュール20は、ルーティングテーブル18Aを作成した後、位置テーブルPSTおよびネイバーテーブルNBTを更新すると、その更新した位置テーブルPSTおよびネイバーテーブルNBTを用いてルーティングテーブル18Aを更新する。
上述したように、無線装置1のルーティングモジュール20は、隣接無線装置2,4,5,8との間の距離が通信範囲を超えている場合、通信範囲を超えている隣接無線装置を除外してネイバーテーブルNBT1を更新し、新たな無線装置との間の距離が通信範囲内である場合、その新たな無線装置を含めてネイバーテーブルNBT1を更新するので、無線装置1との距離が通信範囲を超えている隣接無線装置を除外してルーティングテーブル18Aを更新(作成)し、無線装置1との距離が通信範囲内にある無線装置を含めてルーティングテーブル18Aを更新(作成)する。
また、無線装置1のルーティングモジュール20は、ルーティングテーブル18Aの更新時にリンク寿命を超えた隣接無線装置を除外してルーティングテーブル18Aを更新する。
なお、無線装置2〜8のルーティングモジュール20は、無線装置1のルーティングモジュール20と同じ方法によってルーティングテーブル18を作成および更新する。
図18は、無線LANカード13における指向性の決定方法を説明するための図である。無線装置1は、時刻t1において位置<x t1,y t1>に存在し、時刻tにおいて位置<x ,y >へ移動する。また、無線装置2は、時刻t1において位置<x t1,y t1>に存在し、時刻tにおいて位置<x ,y >へ移動する。
この場合、無線装置1の移動方向は、x軸と角度α t1を成す方向であり、無線装置2の移動方向は、x軸と角度α t1を成す方向である。
そして、無線装置1の無線LANカード13は、無線装置1の時刻t1における位置<x t1,y t1>と、時刻t1における角度α t1とを次式に代入して、無線装置1の時刻tにおける位置<x ,y >を求めるとともに、無線装置2の時刻t1における位置<x t1,y t1>と、時刻t1における角度α t1とを次式に代入して、無線装置2の時刻tにおける位置<x ,y >を求める。
Figure 0004877778
そうすると、無線装置1の無線LANカード13は、その求めた位置<x ,y >,<x ,y >を次式に代入して、時刻tにおける無線装置1に対する無線装置2の方向θ12 を演算する。
Figure 0004877778
そして、無線装置1の無線LANカード13は、その演算した方向θ12 をアレーアンテナ11へ設定すべき指向性とする。
方向θ12 がx軸の正方向に対して−60度(=300度)である場合、無線LANカード13は、表1に従って、リアクタンスxm1〜xm5が“lo”となり、リアクタンスxm6が“hi”となる制御電圧セット号CLV11をバラクタダイオード121〜126へ出力する。これによって、アレーアンテナ11は、ビームパターンBPM11を放射し、無線装置1は、無線装置2が存在する方向へパケットを送信するとともに、無線装置2が存在する方向からパケットを受信する。
図19は、各無線装置1〜8における動作を説明するためのフローチャートである。一連の動作が開始されると、各無線装置1〜8は、GPS受信機15を用いて自己の位置情報を計測する(ステップS1)。そして、各無線装置1〜8は、その計測した自己の位置情報を含む専用パケットPKT_Dを作成してブロードキャストする(ステップS2)。
その後、各無線装置1〜8は、他の無線装置の位置情報を受信するとともに、その受信した他の無線装置の位置情報と、自己の位置情報とを含む専用パケットPKT_Dを作成してブロードキャストする(ステップS3)。
そして、各無線装置1〜8は、上述した方法によって、専用パケットを送受信して無線通信ネットワーク10のトポロジーを検知する(ステップS4)。引き続いて、各無線装置1〜8は、自己の位置情報および他の無線装置の位置情報を取得し、その取得した自己の位置情報および他の無線装置の位置情報に基づいて、上述した方法によって位置テーブルPSTを作成するとともに(ステップS5)、上述した方法によって、ネイバーテーブルNBTを作成する(ステップS6)。
そうすると、各無線装置1〜8は、位置テーブルPSTに基づいて、各無線装置の現在の位置を予測し、その予測した現在の位置を用いて隣接無線装置との間の距離を演算し、その演算した距離を用いてルートメトリックRTMを演算する(ステップS7)。より具体的には、各無線装置1〜8は、演算した距離を用いて上述した方法によって受信信号強度RSSI_calを求め、受信信号強度RSSI_mvavを求め、その求めた受信信号強度RSSI_calおよび受信信号強度RSSI_mvavの重み付き平均を演算して瞬時の受信信号強度RSSI_instを求める。そして、各無線装置1〜8は、瞬時の受信信号強度RSSI_instに対応するリンクコストを求め、その求めたリンクコストとProgressとを用いて(またはリンクコスト、Progressおよび負荷LQUEを用いて)、上述した方法によってルートメトリックRTMを求める。
その後、各無線装置1〜8は、最小のルートメトリックを選択し、その選択した最小のルートメトリックを有する経路上の無線装置を中継端末とし、ルーティングテーブル18を作成する(ステップS8)。そして、各無線装置1〜8は、その作成したルーティングテーブル18に従って無線通信を実行する(ステップS9)。これによって、一連の動作が終了する。
上述したように、この発明においては、各無線装置1〜8は、自己の位置情報を計測してブロードキャストするとともに、他の無線装置から受信した他の無線装置の位置情報もブロードキャストし、無線通信ネットワーク10を構成する無線装置1〜8の位置情報を取得する。また、各無線装置1〜8は、無線通信ネットワーク10を構成する無線装置1〜8のトポロジーを取得する。そして、各無線装置1〜8は、取得した位置情報に基づいて位置テーブルPSTを作成するとともに、トポロジーおよび位置情報に基づいてネイバーテーブルNBTを作成する。そして、各無線装置1〜8は、位置テーブルPSTおよびネイバーテーブルNBTに基づいて、隣接無線装置の現在の位置を予測し、その予測した現在の位置を用いて最小のルートメトリックRTMを求め、最小のルートメトリックRTMを有する経路(=最適通信経路)からなるルーティングテーブル18を作成する。
つまり、各無線装置1〜8は、パケットを送信するときの各無線装置1〜8の位置を予測し、その予測した位置を用いて最小のルートメトリックRTMを求め、その求めた最小のルートメトリックRTMを有する最適通信経路からなるルーティングテーブル18を作成して無線通信を行なう。その結果、各無線装置1〜8が移動しても、送信元の無線装置は、中継端末の移動後の位置を予測してパケットを送信する。
従って、この発明によれば、無線装置が移動する通信環境においてパケットの到達率を向上できる。
なお、上記においては、無線装置1〜8は、指向性のビームを用いてパケットを送受信すると説明したが、この発明においては、これに限らず、無線装置1〜8は、無指向性のビームを用いてパケットを送受信してもよい。
また、この発明においては、GPSアンテナ12、GPS受信機15およびGPSモジュール16は、「位置検出手段」を構成し、アレーアンテナ11および無線LANカード13は、「受信手段」を構成する。
更に、位置テーブルPST(位置情報)に基づいて各無線装置1〜8の現在の位置を予測するルーティングモジュール20は、「予測位置演算手段」を構成する。
更に、予測された各無線装置1〜8の現在の位置に基づいて無線装置間の距離を演算するルーティングモジュール20は、ルーティングモジュール20は、「距離演算手段」を構成する。
更に、ルーティングテーブル18を作成および更新するルーティングモジュール20は、「テーブル作成手段」を構成し、ルーティングテーブル18を参照してパケットを送信する無線LANドライバ14は、「通信手段」を構成する。
更に、リンク寿命を演算するルーティングモジュール20は、「寿命演算手段」を構成する。
更に、無線装置1に対する無線装置2の存在方向を演算する無線LANカード13は、「方向演算手段」を構成し、アレーアンテナ11は、「指向性アンテナ」を構成する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、無線装置が移動する通信環境においてパケットの到達率を向上可能な無線装置に適用される。また、この発明は、無線装置が移動する通信環境においてパケットの到達率を向上可能な無線装置を備える無線通信ネットワークに適用される。
この発明の実施の形態による無線通信ネットアークの概略図である。 図1に示す無線装置の構成を示す概略ブロック図である。 図2に示すアレーアンテナの制御方法を説明するための図である。 図2に示すアレーアンテナのx−y平面における平面図である。 専用パケットの構成を示す概念図である。 位置テーブルの構成を示す図である。 ネイバーテーブルの構成を示す図である。 図2に示すルーティングテーブルの構成を示す図である。 専用パケットの例を示す図である。 位置テーブルの例を示す図である。 ネイバーテーブルの例を示す図である。 移動平均強度の概念図である。 受信信号強度と距離との関係の履歴を示す図である。 受信信号強度と距離との関係を示す図である。 リンクコストと瞬時の受信信号強度との関係を示す図である。 ルートメトリックを求める方法を説明するための図である。 ルーティングテーブルの例を示す図である。 無線LANカードにおける指向性の決定方法を説明するための図である。 各無線装置における動作を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1〜8 無線装置、10 無線通信ネットアーク、11 アレーアンテナ、12 GPSアンテナ、13 無線LANカード、14 無線LANドライバ、15 GPS受信機、16 GPSモジュール、17 キュー、18 ルーティングテーブル、19 TCP/IPモジュール、20 ルーティングモジュール、21 アプリケーション、22 表示部、111〜117 アンテナ素子、121〜126 バラクタダイオード。

Claims (9)

  1. 自律的に確立され、送信元と送信先との間で無線通信が行なわれる無線通信ネットワークを構成する無線装置であって、
    当該無線装置の位置および移動速度を示す第1の位置情報を検出する位置検出手段と、
    当該無線装置に隣接するn(nは正の整数)個の隣接無線装置の位置および移動速度を示すn個の第2の位置情報を前記n個の隣接無線装置から受信する受信手段と、
    前記第1の位置情報に基づいて当該無線装置の現在の予測位置を示す第3の位置情報を演算し、前記n個の第2の位置情報に基づいて前記n個の隣接無線装置の現在の予測位置を示すn個の第4の位置情報を演算する予測位置演算手段と、
    前記第3の位置情報および前記n個の第4の位置情報に基づいて、当該無線装置と前記n個の隣接無線装置との間の距離であるn個の距離を演算する距離演算手段と、
    前記距離演算手段によって演算された距離が反映され、かつ、当該無線装置と前記隣接無線装置との間の最適な無線通信経路を示すルートメトリックを各送信先に対して演算し、その演算したルートメトリックを含み、かつ、各送信先までの経路からなるルーティングテーブルを作成するテーブル作成手段と、
    前記ルーティングテーブルから前記各送信先までの前記最適な無線通信経路を選択して無線通信を行なう通信手段とを備え、
    前記距離演算手段は、前記通信手段が前記送信先との間で無線通信を直接行う場合、当該無線装置と前記送信先との間の距離である第1の距離を演算し、前記通信手段が中継端末を介して前記送信先との間で無線通信を行う場合、当該無線装置から前記送信先までの直線に前記中継端末から下ろした垂線が前記直線と交差する交点と当該無線装置との間の距離である第2の距離を演算し、
    前記ルートメトリックは、前記通信手段が前記送信先との間で無線通信を直接行う場合、前記距離演算手段によって演算された前記第1の距離に反比例するように決定され、前記通信手段が中継端末を介して前記送信先との間で無線通信を行う場合、前記距離演算手段によって演算された前記第2の距離に反比例するように決定される、無線装置。
  2. 前記テーブル作成手段は、前記n個の距離に基づいて、当該無線装置との間で通信範囲を超える距離を有する隣接無線装置を除外し、当該無線装置との間で前記通信範囲内の距離を有する隣接無線装置を含めて前記ルーティングテーブルを作成する、請求項1に記載の無線装置。
  3. 前記位置検出手段によって検出された当該無線装置の現在の位置、現在の移動速度および現在の移動方向を示す第5の位置情報と、前記受信手段によって受信された前記n個の隣接無線装置の現在の位置、現在の移動速度および現在の移動方向を示すn個の第6の位置情報とに基づいて、当該無線装置と各隣接無線装置との間で無線通信が可能な残り時間を示すリンク寿命を演算する寿命演算手段をさらに備え、
    前記テーブル作成手段は、前記ルーティングテーブルの更新時に前記リンク寿命を超えた経路を有する隣接無線装置を除外して前記ルーティングテーブルを更新する、請求項1に記載の無線装置。
  4. 前記テーブル作成手段は、当該無線装置と前記隣接無線装置との間の瞬時の受信信号強度に基づいて、パケットの再送回数であるリンクコストを演算し、その演算したリンクコストと前記距離演算手段によって演算された距離とに基づいて、当該無線装置と前記隣接無線装置との間の無線通信品質が基準値以上である場合には前記リンクコストを前記距離演算手段によって演算された距離で除算して前記ルートメトリックを演算し、前記無線通信品質が前記基準値よりも低い場合には前記隣接無線装置から受信した前記隣接無線装置の負荷に定数を乗算した乗算結果と前記リンクコストとの和を、前記距離演算手段によって演算された距離で除算して前記ルートメトリックを演算する、請求項1に記載の無線装置。
  5. 前記テーブル作成手段は、前記距離演算手段によって演算された距離に基づいて、当該無線装置と前記隣接無線装置との間の距離に応じて決定される第1の受信信号強度を演算し、各隣接無線装置が現在の位置から所定の範囲内に存在するときの当該無線装置と各隣接無線装置との間の受信信号強度の平均である第2の受信信号強度を演算し、その演算した第1および第2の受信信号強度に基づいて、前記瞬時の受信信号強度である第3の受信信号強度を演算し、その演算した第3の受信信号強度に基づいて、前記リンクコストを演算する、請求項4に記載の無線装置。
  6. 前記テーブル作成手段は、距離と前記第1の受信信号強度との関係を示す第1のテーブルと、前記第3の受信信号強度と前記リンクコストとの関係を示す第2のテーブルとを保持し、前記第1のテーブルを参照して、前記距離演算手段によって演算された距離に対応する第1の受信信号強度を抽出することによって前記第1の受信信号強度を演算し、前記第2のテーブルを参照して、前記演算した第3の受信信号強度に対応するリンクコストを抽出することによって前記リンクコストを演算する、請求項5に記載の無線装置。
  7. 前記テーブル作成手段は、前記第1の受信信号強度と前記第2の受信信号強度との重み付け平均を演算して前記第3の受信信号強度を演算する、請求項5または請求項6に記載の無線装置。
  8. 前記最適な無線通信経路を構成する無線装置が当該無線装置に対して存在する方向を演算する方向演算手段と、
    指向性のビームを放射する指向性アンテナとを更に備え、
    前記通信手段は、前記方向演算手段によって演算された方向にビームを放射するように前記指向性アンテナを制御して前記無線通信を行なう、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の無線装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の無線装置を備える無線通信ネットワーク。
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