JP4876891B2 - 物質分級装置及び物質分級方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上述のような問題点に鑑みてなされたものであり、簡便な構成でかつ精度の高いサイズ分級が可能な物質分級装置及び物質分級方法を提供することをその目的とする。
本発明の請求項3による物質分級装置は、請求項1又は2において、前記目盛は、前記流路の下流側端部を基準とした流路方向の任意の位置に付されていることを特徴とする。
本発明の請求項4による物質分級装置は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記目盛を前記板又は前記流路基板に付したことを特徴とする。
本発明の請求項6による物質分級装置は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記スライド機構は、前記流路方向に沿って前記板を案内する案内部を備えることを特徴とする。
する。
[第1実施例]
(構成)
図1(a)は第1実施例の物質捕集装置Aの側面図、(b)は平面図であり、図2は物質捕集装置Aに流路2を形成する方法を示す図、図3は流路2の構造を説明するための図である。
流路2は、図2に示すようにして作製した。まず、ガラス板1の長手方向片側端部の裏面側に厚さ500μmのSiウエハを敷き、ガラス板1を水平面に対して傾斜させた状態で固定した。このとき、ガラス板1は約1.43°(=Tan(0.5/20))の傾斜勾配で固定されていることになる。この後、ダイシングソーを用いて、Siウエハを敷いた側から300μmの切り込み量でガラスの長手方向へ幅100μmの直線の溝を形成した。これにより、ガラス板1表面に、底面が流路方向に沿って約1.43°傾斜した直線溝状の流路2が約12mmの長さで形成される。
次に、上記構成の物質捕集装置Aの使用方法や作用効果について説明する。
物質捕集装置Aの使用時には、流路始端2bからポンプによってサンプル溶液を流路2に送り出す。流路2の途中、カバーガラス3の固定部分では、サンプル溶液中の物質のうち、カバーガラス3と流路2の底面間のギャップGと略同径の物質が挟まれ、捕集される。ギャップGの大きさは、流路2の深さに相当し、流路2底面の傾斜により下流側に向かうに従って小さくなっているため、サイズの小さな物質ほど下流側で捕集されることとなり、表1に示すように流路方向の位置と捕集物質のサイズが相関する。したがって、図1(a)及び(b)に示すように種々のサイズの物質を流した場合には、捕集物質sがそのサイズに応じて流路方向に分布し、その物質のサイズは、流路方向に沿って所定間隔に付されたカバーガラス3の目盛線によって知ることができる。例えば、表1に示す関係にある場合、流路終端2aから3.2mmの位置に付された目盛線m2付近にある物質は、外径が80μm前後であることが確認できる。
以上のように、カバーガラス3の流路方向に沿って流路方向の位置に応じた目盛線を付すことで、捕集物質のサイズを特定できるので、種々の物質の混合溶液をサイズ分級したり、目的の物質のサイズを特定したり、目的サイズの物質を分離したりすることができる。物質のサイズに直接相関するのはギャップの大きさであるが、このように、流路方向に沿って目盛を付す方が、流路基板を水平に配置するので見やすく、また、ギャップの大きさよりも捕集空間の流路方向の長さの方が大きいので、サイズを判別する精度が高くなる。
次に、第2実施例について説明する。
図4に、第2実施例の物質捕集装置Aを示す(図4(a)は側面図、(b)は(a)の物質捕集装置Aのカバーガラス3を上流側へスライドさせた場合の平面図である)。第2実施例の物質捕集装置Aは、第1実施例とほぼ同様の構成であるが、本発明の駆動装置である圧電素子をカバーガラス3に接続し、カバーガラス3を流路方向に沿ってスライド可能にした点が異なっている。以下、この異なる点を中心に説明し、その他の部分は説明を省略する。
物質捕集装置Aの使用時には、カバーガラス3を駆動して、目的物質のサイズに応じ当該物質を捕集できる位置にカバーガラス3の位置を設定する。つまり、第2実施例では、カバーガラス3の位置を変更することで、1つの物質捕集装置Aで種々のサイズの物質の捕集に対応できる。カバーガラス3の位置を設定したら、サンプル溶液をポンプで送り出す。これにより、第1実施例と同様に、ギャップとほぼ同径の物質sが、カバーガラス3と流路2の底面との間に捕集される(図4(a)参照)。捕集物質sのサイズは、カバーガラス3に付された目盛線m1〜m5によって確認できる。なお、第2実施例では、カバーガラス3の位置を調整することで、流路終端2aからの位置が変わるので、カバーガラス3の調整後に流路終端2aからの位置を確認しておく必要がある。
目的の物質sを取り出す場合には、ポンプからの送液を停止し、圧電素子で駆動し、目的の捕集物質sを解放する位置までカバーガラス3をスライドさせる。これを図4(b)により具体的に説明する。図4(b)は、あらかじめサイズが特定された目的物質をサンプル溶液から捕集する例である。この場合、サンプル溶液を流す前に、目的物質s1(図中の黒塗りの丸)がカバーガラス3の下流側端部付近で捕集されるようにカバーガラス3の位置を設定する。サンプル溶液を流し終わった後、捕集された目的物質s1を解放する位置までカバーガラス3をスライドさせ、そのままの状態でポンプから再び送液すると、解放した部分の目的物質s1のみが回収用チャンバ4に送り出される。これにより、回収用チャンバ4から目的物質s1を回収できる。なお、上流側からポンプで送液する代わりに、スポイトやポンプでなどで下流側から溶液を吸引し、目的物質s1を回収してもよい。
なお、第2実施例では、捕集物質s1のみを回収する場合について説明したが、上記操作を繰り返せば、サイズの小さなものから大きなものへ捕集物質s2〜s4を順次回収することができる。
また、カバーガラスのスライド方法としては、圧電素子に限らず、目的物質のサイズ(スライド距離)に応じた方法(アクチュエータ)が利用できる。
次に、第3実施例について説明する。
図5に、第3実施例の物質捕集装置Aを示す(図5(a)は側面図、(b)は(a)の物質捕集装置Aのカバーガラス3を上流側へスライドさせた場合の平面図、(c)はカバーガラス3を取り外した状態の平面図である。)。第3実施例の物質捕集装置Aは、目盛線m1〜m5をカバーガラス3でなく、ガラス板1の方に付した点が第2実施例と異なっている。この目盛線m1〜m5は、印刷やエッチングなどの方法でガラス板1の裏面側に、流路終端2aから所定距離に付されている。この目盛線m1〜m5は、ガラス板1及びカバーガラス3が透明であるので、表側からでも確認できる。なお、その他の部分は第2実施例と同様であるので説明を省略する。
なお、流路2に残った溶液を下流側からスポイトなどで吸い取り、除去すれば、図5(c)に示すようにカバーガラス3を完全に取り外してもサイズ分級した状態を維持できるので、この状態から目的物質を回収してもよい。
また、図6に示すように、目盛線が付された台座7をガラス板1の下に敷いて、サイズの判定を行ったりしてもよい。
2 流路
2a 流路終端
2b 流路始端
3 カバーガラス
4 回収用チャンバ
4a 側壁
5 チューブ
6 リブ
A 物質捕集装置
G ギャップ
m 目盛線
Claims (7)
- 表面に沿って延びる凹状の流路を形成した流路基板と、
前記流路基板に重ねられ、前記流路の流路方向の一部を覆う板と、を備え、
前記流路は下流側に向かうに従って浅くなっており、前記板と前記流路の底面との間に前記流路中を流れる物質の捕集空間を形成する物質分級装置であって、
流路方向に沿って付され、前記物質が捕集される流路方向の位置に対応して当該物質のサイズを特定可能な目盛を備え、
前記板を流路方向に沿ってスライド可能にするスライド機構を備えることを特徴とする物質分級装置。 - 前記流路は、底面が前記流路基板の基板面に対し傾斜面として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の物質分級装置。
- 前記目盛は、前記流路の下流側端部を基準とした流路方向の任意の位置に付されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の物質分級装置。
- 前記目盛を、前記板又は前記流路基板に付したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の物質分級装置。
- 前記スライド機構は、前記流路方向に沿って前記板を駆動する駆動装置を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の物質分級装置。
- 前記スライド機構は、前記流路方向に沿って前記板を案内する案内部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の物質分級装置。
- 表面に沿って延びる凹状の流路を形成した流路基板と、
前記流路基板に重ねられ、前記流路の流路方向の一部を覆う板と、を備え、
前記流路は下流側に向かうに従って浅くなっており、前記板と前記流路の底面との間に前記流路中を流れる物質の捕集空間を形成する物質分級装置を用いた物質分級方法であって、
前記物質が捕集された流路方向の位置に基づいて、その捕集された物質のサイズを特定し、
前記捕集空間に物質を捕集後、捕集された目的の物質を解放する位置まで前記板を上流側にスライドさせて、前記目的の物質を回収することを特徴とする物質分級方法。
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