JP4876517B2 - 熱処理油組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、自然環境下において微生物等によって分解されやすく、熱処理工程後の被洗浄性や酸化安定性にも優れた熱処理油組成物に関する。
鋼等の金属の熱処理工程に使用される熱処理油は、水に溶解するポリエーテルポリオール等を主成分とする水溶性の熱処理油組成物と、鉱物油等を基油とする非水溶性の熱処理油組成物に区別される。非水溶性熱処理油は加熱した金属を冷却する速度が遅いため、焼き割れが発生しにくいが、反面、火気による火災の危険性や、熱処理時に金属表面に付着する熱処理油の洗浄除去工程が必要となる問題がある。一方、水溶性熱処理液は火気の危険性は低いが、金属を冷却する速度が速いために焼き割れや焼き歪み等が発生しやすい欠点がある。
この欠点を改善するためポリビニルアルコールや、ポリエーテルポリオールを添加した水溶性熱処理液や、エステル化したマレイン酸ポリマーのアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩を添加した水溶性熱処理液が提案されている(特許文献1,2)。しかし、上記のポリビニルアルコールやポリエーテルポリオールを添加した水溶性熱処理液は、焼き割れ防止の効果は有するものの、熱処理後の廃液処理性に劣り、廃液は焼却処理するしかない。また、一部をエステル化したマレイン酸ポリマーのアルカリ金属塩を添加した水溶性熱処理液は廃水処理性は改善されているが、生分解性が劣るため環境下(河川や土壌)に排出された場合、環境破壊に繋がる可能性をある。
さらに、非水溶性熱処理油の被洗浄性を改善するために鉱物油等の基油にスルホネート、フィネート、サリチレートのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を添加した熱処理油も提案されている(特許文献3)。この熱処理油は、焼入れ効果を有するものの、金属に付着する熱処理油の洗浄除去工程後のアルカリ洗浄廃水についても生分解性に乏しいため、河川や土壌等の環境へ漏出した場合、環境汚染の問題を生じる可能性がある。
本発明は、上記課題に鑑み、特定の複合金属シアン化物錯体触媒を用いて環状エステル化合物とアルキレンオキシドとを共重合して得られる狭分子量分布のポリエステルエーテルポリオールおよび/またはポリエステルエーテルモノオールを基油として用いることにより、生分解性が高く、かつ酸化安定性、被洗浄性に優れた熱処理油組成物を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされた下記の発明である。
tert−ブチルアルコールを有機配位子の少なくとも一部として有する複合金属シアン化物錯体触媒の存在下で、1〜12個の水酸基を有する1種以上の開始剤の存在下、1種以上の炭素数3〜9の環状エステル化合物と、1種以上の炭素数2〜20のアルキレンオキシドとを共重合して得られるポリエステルエーテルポリオールおよび/またはポリエステルエーテルモノオールを基油として含む、熱処理油組成物。
tert−ブチルアルコールを有機配位子の少なくとも一部として有する複合金属シアン化物錯体触媒の存在下で、1〜12個の水酸基を有する1種以上の開始剤の存在下、1種以上の炭素数3〜9の環状エステル化合物と、1種以上の炭素数2〜20のアルキレンオキシドとを共重合して得られるポリエステルエーテルポリオールおよび/またはポリエステルエーテルモノオールを基油として含む、熱処理油組成物。
本発明は、低酸価で、分子量分布の狭く低分子量体が極めて少ない構造を有するポリエステルエーテルポリオールを熱処理油基油とすることにより、酸化安定性に優れ、熱処理後の洗浄性が良好である生分解性熱処理油組成物を提供できる。特に熱処理油の被洗浄性が特に要求される精密部品の部品のガス浸炭焼入れ、無酸化焼入れ等の熱処理に適している。
以下に、本発明の熱処理油組成物の各成分について説明する。
なお、本明細書中に示す水酸基含有開始剤および実施例で製造されたポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、分子量測定用の標準試料として市販されている様々な重合度の単分散ポリスチレン重合体をリファレンスとして用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めた、いわゆるポリスチレン換算分子量である。また、開始剤が低分子アルコールなど、同じ分子量の分子のみから構成されている場合は、化学式から求められる分子量を数平均分子量(Mn)とする。本明細書中の水酸基価は、K1557 6.4(1970年)による測定値(単位はmgKOH/g)である。
なお、本明細書中に示す水酸基含有開始剤および実施例で製造されたポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、分子量測定用の標準試料として市販されている様々な重合度の単分散ポリスチレン重合体をリファレンスとして用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めた、いわゆるポリスチレン換算分子量である。また、開始剤が低分子アルコールなど、同じ分子量の分子のみから構成されている場合は、化学式から求められる分子量を数平均分子量(Mn)とする。本明細書中の水酸基価は、K1557 6.4(1970年)による測定値(単位はmgKOH/g)である。
(複合金属シアン化物錯体触媒)
本発明の熱処理油に用いるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの製造方法としては、環状エステル化合物とアルキレンオキシドの共重合(開環重合)反応のための触媒として、tert−ブチルアルコールを有機配位子の少なくとも一部として有する複合金属シアン化物錯体触媒(以下、単に「DMC(double
metal cyanide)触媒」とも記す。)を用いる。
本発明の熱処理油に用いるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの製造方法としては、環状エステル化合物とアルキレンオキシドの共重合(開環重合)反応のための触媒として、tert−ブチルアルコールを有機配位子の少なくとも一部として有する複合金属シアン化物錯体触媒(以下、単に「DMC(double
metal cyanide)触媒」とも記す。)を用いる。
上記DMC触媒は、代表的には下記式1で表される。
M1 a[M2 b(CN)c]de(M1 fXg)h(H2O)i(R)・・・式1
式1中、M1は、Zn(II)、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Ni(II)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Mn(II)、Cr(III)、Cu(II)、Sn(II)、およびPb(II)から選ばれる金属原子であり、Zn(II)またはFe(II)であることが好ましい。なお金属の原子記号に続くかっこ内のローマ数字は原子価を表し、以下同様である。
M1 a[M2 b(CN)c]de(M1 fXg)h(H2O)i(R)・・・式1
式1中、M1は、Zn(II)、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Ni(II)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Mn(II)、Cr(III)、Cu(II)、Sn(II)、およびPb(II)から選ばれる金属原子であり、Zn(II)またはFe(II)であることが好ましい。なお金属の原子記号に続くかっこ内のローマ数字は原子価を表し、以下同様である。
M2は、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ni(II)、V(IV)、およびV(V)から選ばれる金属原子であり、Co(III)またはFe(III)であることが好ましい。Xはハロゲン原子である。Rは、tert−ブチルアルコール単独であるか、または、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、iso−ペンチルアルコール、N,N−ジメチルアセトアミド、およびエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルからなる群から選択される1種以上の化合物とtert−ブチルアルコールとの組み合わせである有機配位子を表す。
a、b、c、d、e、f、g、h、iは、金属原子の原子価や有機配位子の配位数などにより変わる正の数である。本発明において特に好ましい有機配位子は、tert−ブチルアルコール単独か、もしくはtert−ブチルアルコールとエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルの組み合わせであり、この有機配位子を有するDMC触媒は、上記特定の水酸基含有開始剤に対する環状エステル化合物とアルキレンオキシドとの共重合反応に特に高い重合活性を示し、しかも重合によって得られるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの分子量分布を狭くでき、しかも低い酸価のポリエステルエーテルポリ(モノ)オールが得られる。
DMC触媒の製造方法は任意の方法を用いることができ、特に限定されない。有機配位子を有するDMC触媒の製造方法としては、例えば、特開2003−117403号公報に記載されている方法を用いることができる。例えば、(i)ハロゲン化金属塩と、シアノメタレート酸および/またはアルカリ金属シアノメタレートとを水溶液中で反応させて得られる反応生成物に有機配位子を配位させ、ついで、生成した固体成分を分離し、分離した固体成分をさらに有機配位子水溶液で洗浄する方法、または(ii)有機配位子水溶液中でハロゲン化金属塩と、シアノメタレート酸および/またはアルカリ金属シアノメタレートとを反応させ、得られる反応生成物(固体成分)を分離し、その分離した固体成分をさらに有機配位子水溶液で洗浄する方法、によって得られるケーキ(固体成分)をろ過分離し、さらに乾燥させる方法を挙げることができる。
DMC触媒を製造する場合に用いる上記アルカリ金属シアノメタレートのシアノメタレートを構成する金属は、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ni(II)、V(IV)、およびV(V)から選ばれる1種以上の金属であることが好ましく、Co(III)またはFe(III)であることがさらに好ましく、Co(III)であることが特に好ましい。本発明のDMC触媒の製造原料として用いるシアノメタレート酸およびアルカリ金属シアノメタレートとしては、H3[Co(CN)6]、Na3[Co(CN)6]、およびK3[Co(CN)6]が好ましく、Na3[Co(CN)6]、およびK3[Co(CN)6]が最も好ましい。
さらに上記DMC触媒の製造方法において、ケーキをろ過分離する前の段階で、有機配位子水溶液に固体成分を分散させた液にポリエーテルポリオールおよび/またはポリエーテルモノオールを混合し、得られた混合液から水及び過剰な有機配位子を留去することによって、DMC触媒がポリエーテルポリオールおよび/またはポリエーテルモノオール中に分散したスラリー状のDMC触媒混合物(以下、スラリー状DMC触媒とも記す。)を調製することもできる。
上記スラリー状DMC触媒を調製するために用いるポリエーテルポリオールおよびポリエーテルモノオールは、アニオン重合触媒やカチオン重合触媒を用い、モノアルコールおよび多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて製造することができる。この目的に用いるポリエーテルモノオールやポリエーテルポリオールは、水酸基数が1〜8であり、数平均分子量が300〜5000のものが、DMC触媒の重合活性が高く、かつスラリー状DMC触媒の粘度も高くならずに取り扱いやすいことから好ましい。
用いるDMC触媒の量は、環状エステル化合物/アルキレンオキシドの開環付加共重合を進行させることができる任意の量でよく、得られるポリエステルエーテル(モノ)ポリオールに対して1〜500ppmが好ましい。通常は、開始剤に環状エステル化合物およびアルキレンオキシドを反応させた後に、得られたポリエステルエーテルポリ(モノ)オールからDMC触媒を除去する操作を行い、DMC触媒に由来する残存金属量(例えばZnやCoなど)が1〜30ppmとすることが好ましい。1〜20ppmとすることがより好ましく、1〜10ppmとすることが特に好ましい。ポリエステルエーテルポリ(モノ)オール中に含まれるDMC触媒由来の金属量を30ppm以下となる量を使用することにより、重合で得られたポリエステルエーテルポリ(モノ)オールからの残存触媒の除去工程を不要としやすくなる。
また、共重合反応に用いるDMC触媒の量が少ないほど、生成物であるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールに含まれるDMC触媒の量を少なくでき、それにより、たとえDMC触媒を含んだままのポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを熱処理油に用いた場合でも、潤滑寿命、生分解性および酸化安定性などへ及ぼすDMC触媒の影響を小さくできる。通常は、開始剤に環状エステル化合物およびアルキレンオキシドを反応させた後に、得られたポリエステルエーテルポリ(モノ)オールからDMC触媒を除去する操作を行う。しかし、使用するDMC触媒の量の活性が高い場合には、使用量を少なくできる。使用量を少なくした場合は、最終製品の特性上許容可能であるかぎり、DMC触媒を除去する工程を行わずにポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを熱処理油に用いることができる。
本発明のポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの製造方法においては、得られるポリエステルエーテルポリ(モノ)オール中に含まれるDMC触媒に由来する金属、例えばZnやCoなど、の合計量が重合終了時の重合体中に、1〜30ppm、好ましくは10ppm以下となる量のDMC触媒を用いて開始剤への環状エステルおよびアルキレンオキシドの共重合反応を行うことが好ましい。重合体中に含まれるDMC触媒由来の金属の合計量を30ppm以下にすることにより、重合で得られたポリエステルエーテルポリ(モノ)オールからの残存触媒の除去工程を不要としやすくなる。
ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールからのDMC触媒の除去処理および/またはDMC触媒の失活処理を行うこともできる。その方法としては、たとえば、合成珪酸塩(マグネシウムシリケート、アルミニウムシリケートなど)、イオン交換樹脂、および活性白土などから選択される吸着剤を用いた吸着法や、アミン、水酸化アルカリ金属、有機酸、または鉱酸による中和法、中和法と吸着法を併用する方法などを用いることができる。
(開始剤)
開始剤としては、1〜12個の水酸基を有しかつ数平均分子量(Mn)が、18〜20000である化合物を使用することが好ましい。具体的な化合物としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、2−エチルヘキサノール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデカノール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、などの1価アルコール類;水;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの2価アルコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコール類;グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース、蔗糖、メチルグルコシドなどの糖類またはその誘導体;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック、レゾール、レゾルシンなどのフェノール化合物、などが挙げられる。これらの開始剤は1種のみ用いることも、2種以上を併用することもできる。
開始剤としては、1〜12個の水酸基を有しかつ数平均分子量(Mn)が、18〜20000である化合物を使用することが好ましい。具体的な化合物としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、2−エチルヘキサノール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデカノール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、などの1価アルコール類;水;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの2価アルコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコール類;グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース、蔗糖、メチルグルコシドなどの糖類またはその誘導体;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック、レゾール、レゾルシンなどのフェノール化合物、などが挙げられる。これらの開始剤は1種のみ用いることも、2種以上を併用することもできる。
開始剤として用いることのできる化合物には、適切な開始剤にアルキレンオキシドを公知の方法で開環付加または開環付加重合させて得られるポリエーテルポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリエステルポリオール;およびポリオキシテトラメチレングリコール、などから選択される化合物も含まれ、これらの化合物は数平均分子量(Mn)が300〜20000であり、1分子当たりの水酸基数が1〜12個であることが好ましい。
開始剤の数平均分子量 (Mn)は、18〜20000であり、好ましくは300〜10000であり、特に好ましくは、600〜5000である。数平均分子量(Mn)が300以上の開始剤を用いることにより、DMC触媒存在下における環状エステル化合物およびアルキレンオキシドの開環重合反応が開始するまでの時間を短くできる。一方、数平均分子量(Mn)が20000以下の開始剤を用いることにより、開始剤の粘度が高すぎることなく、開始剤に環状エステル化合物およびアルキレンオキシドを均一に共重合することができる。
開始剤の好ましい水酸基数は1〜12であり、1〜8がさらに好ましく、1〜6がより好ましく、1〜2が最も好ましい。水酸基数が12以下の開始剤を用いることにより、得られるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの分子量分布を狭くすることがより容易になる。開始剤として2種以上の化合物の混合物を用いる場合は、その1分子当たりの平均水酸基数が1〜12であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜6であることがより好ましい。(1〜2であることが最も好ましい。;潤滑性が要求されない用途のため、1〜2が最適とはいえません、削除願います)なお、本発明に用いるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの水酸基数とは、それを製造するときに使用した開始剤の水酸基数をいう。
開始剤としてポリエーテルポリ(モノ)オールを用いる場合、その分子量分布(Mw/Mn)は3.0以下であることが好ましい。最終生成物であるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの全質量に占める開始剤部分の割合は、5〜80質量%であるのが一般的であるが、開始剤部分の質量がポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの質量の50%以上を占めるように重合反応を行う場合には、開始剤として分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下のポリエーテルポリ(モノ)オールを用いることによって、最終生成物であるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの分子量分布(Mw/Mn)を1.4以下にすることが容易になる。それにより、得られたポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの粘度を低くすることができ、基油として用いるために好ましい粘度にできる。
(環状エステル化合物)
本発明において用いる環状エステル化合物は、炭素数3〜9の環状エステル化合物、いわゆるラクトン、である。具体的な環状エステル化合物としては、例えば、β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、メチル−ε−カプロラクトン、α−メチル−β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、メトキシ−ε−カプロラクトン、およびエトキシ−ε−カプロラクトンを挙げることができ、特にε−カプロラクトンが好ましい。これらの環状エステル化合物は1種類だけを用いることも、2種類以上を併用することもできる。なお、ブチロラクトンなどの5員環の環状エステル化合物は反応性が低いので、本発明の方法に用いる環状エステル化合物としてはあまり好ましくない。
本発明において用いる環状エステル化合物は、炭素数3〜9の環状エステル化合物、いわゆるラクトン、である。具体的な環状エステル化合物としては、例えば、β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、メチル−ε−カプロラクトン、α−メチル−β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、メトキシ−ε−カプロラクトン、およびエトキシ−ε−カプロラクトンを挙げることができ、特にε−カプロラクトンが好ましい。これらの環状エステル化合物は1種類だけを用いることも、2種類以上を併用することもできる。なお、ブチロラクトンなどの5員環の環状エステル化合物は反応性が低いので、本発明の方法に用いる環状エステル化合物としてはあまり好ましくない。
(アルキレンオキシド)
本発明において用いるアルキレンオキシドは、炭素数2〜20を有するアルキレンオキシドが好ましい。本発明に用いるアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、オキセタン、シクロペンタンオキシド、シクロヘキセンオキシド、炭素数5〜20のα−オレフィンオキシドなどを挙げることができ、これらから選択される1種または2種以上を用いることができる。本発明においては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、およびオキセタンから選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。また、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを少量のテトラヒドロフランとともに用いて重合反応を行うこともできる。本発明ではエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのいずれかを用いるか又は両者を併用することが好ましい。
本発明において用いるアルキレンオキシドは、炭素数2〜20を有するアルキレンオキシドが好ましい。本発明に用いるアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、オキセタン、シクロペンタンオキシド、シクロヘキセンオキシド、炭素数5〜20のα−オレフィンオキシドなどを挙げることができ、これらから選択される1種または2種以上を用いることができる。本発明においては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、およびオキセタンから選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。また、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを少量のテトラヒドロフランとともに用いて重合反応を行うこともできる。本発明ではエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのいずれかを用いるか又は両者を併用することが好ましい。
(共重合の態様)
上記開始剤およびDMC触媒の存在下、反応容器内に上記アルキレンオキシドの1種以上と、環状エステル化合物の1種以上とを同時に添加して重合を行い、ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールのランダム共重合体を得ることができる(ランダム共重合体)。また、アルキレンオキシドの1種以上と、環状エステル化合物の1種以上とを順次添加してポリエーテルエステルポリオールのブロック共重合体を得ることもできる(ブロック共重合体)。さらには、環状エステル化合物およびアルキレンオキシドを添加順序及び添加量などを調節することより、分子内の一部に環状エステル化合物に由来するポリエステル鎖部分および/またはポリオキシアルキレン鎖部分を導入して、ランダム共重合部位とブロック共重合部位が同一分子中に存在するポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを得ることができる(ランダム・ブロック共重合体)。本発明においてはランダム共重合、ランダム・ブロック共重合が好ましい。
上記開始剤およびDMC触媒の存在下、反応容器内に上記アルキレンオキシドの1種以上と、環状エステル化合物の1種以上とを同時に添加して重合を行い、ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールのランダム共重合体を得ることができる(ランダム共重合体)。また、アルキレンオキシドの1種以上と、環状エステル化合物の1種以上とを順次添加してポリエーテルエステルポリオールのブロック共重合体を得ることもできる(ブロック共重合体)。さらには、環状エステル化合物およびアルキレンオキシドを添加順序及び添加量などを調節することより、分子内の一部に環状エステル化合物に由来するポリエステル鎖部分および/またはポリオキシアルキレン鎖部分を導入して、ランダム共重合部位とブロック共重合部位が同一分子中に存在するポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを得ることができる(ランダム・ブロック共重合体)。本発明においてはランダム共重合、ランダム・ブロック共重合が好ましい。
上記共重合に用いる環状エステル化合物とアルキレンオキシドとの合計質量(重合モノマーの合計質量)に占める環状エステル化合物の割合は、5〜90質量%が好ましく、5〜70質量%が特に好ましい。重合させるモノマーの合計量に占める環状エステル化合物の割合を5質量%以上にすることにより、得られるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを基油として含む熱処理油の酸化安定性、および生分解性などを高めることができ、一方環状エステル化合物の割合を90質量%以下にすることにより、得られるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの分子量分布(Mw/Mn)を1.4以下にし、低粘度化することができる。
(重合方法及び重合条件)
上記開始剤およびDMC触媒の存在下に、環状エステル化合物およびアルキレンオキシドを共重合させる反応は、一般に、耐圧反応容器を用い、容器中に開始剤とDMC触媒を入れ、所定の反応温度に加熱した後、環状エステル化合物とアルキレンオキシドを同時に、または順次に、あるいは両者を組み合わせて反応容器内に導入し、加熱撹拌下で共重合させて行う。環状エステル化合物とアルキレンオキシドの反応容器内への添加は、連続して行うことも、所定量を順次添加することもできる。
上記開始剤およびDMC触媒の存在下に、環状エステル化合物およびアルキレンオキシドを共重合させる反応は、一般に、耐圧反応容器を用い、容器中に開始剤とDMC触媒を入れ、所定の反応温度に加熱した後、環状エステル化合物とアルキレンオキシドを同時に、または順次に、あるいは両者を組み合わせて反応容器内に導入し、加熱撹拌下で共重合させて行う。環状エステル化合物とアルキレンオキシドの反応容器内への添加は、連続して行うことも、所定量を順次添加することもできる。
環状エステル化合物とアルキレンオキシドの反応容器内への添加方法としては、反応混合物液相部への直接添加もしくは反応容器内気相への添加、または両者の併用、をあげることができる。環状エステル化合物とアルキレンオキシドは個別に、または、混合物として反応容器内に添加することができる。
共重合反応温度は、125〜180℃の範囲であり、125〜160℃の範囲がさらに好ましい。重合温度を125℃以上にすることにより、アルキレンオキシドとともに環状エステル化合物を充分速い速度で反応させることができ、それにより最終生成物であるポリエステルエーテルポリ(モノ)オール中に含まれる未反応の環状エステル化合物の量を低くでき、しかも目的としたモノマー組成を有するポリエステルポリ(モノ)オールを得ることができる。一方、重合温度を180℃以下にすることにより、DMC触媒の活性を高く保つことができ、未反応のアルキレンオキシドや環状エステル化合物の発生を防止でき、しかもポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの分子量分布を狭くすることができる。
上記共重合反応においては、重合反応に悪影響を及ぼさない溶媒を用いることができる。しかし、溶媒の使用は任意であり、反応溶媒を用いないことが好ましい。反応溶媒を用いないことにより、最終生成物であるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールからの溶媒除去工程も不要となり生産性を高めることができる。また、溶媒に含まれる水分や酸化防止剤の影響によってDMC触媒の重合活性が低下する場合があり、溶媒を用いないことによって、そのような不都合の発生を防止できる。
上記共重合反応においては、反応混合物の撹拌条件に制約はないが、反応混合物の良好な撹拌条件下で重合反応を行うことが好ましい。反応容器内を均一に混合できること、対応できる粘度範囲が広いこと、および気液界面から液相へのガス吸収性能が高いことから、大型翼が好ましい。具体的な好ましい撹拌翼としては、神鋼パンテック株式会社製フルゾーン(登録商標)翼、住友重機械工業株式会社製マックスブレンド(登録商標)翼などを挙げることができる。
具体的な環状エステル化合物およびアルキレンオキシドの反応器への供給速度としては、最終生成物として予定しているポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの全質量に対して0.01〜70質量%/hrの範囲の速度が好ましい。なお、環状エステル化合物とアルキレンオキシドの供給速度は同一でも、異なっていてもよい。また、重合反応途中で、環状エステル化合物および/またはアルキレンオキシドの反応容器への供給速度を変えることもできる。
上記共重合反応はバッチ法で行うことも、また、連続法で行うこともできる。
上記共重合反応はバッチ法で行うことも、また、連続法で行うこともできる。
本発明に用いるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの分子量分布(Mw/Mn)は、1.02〜1.4が好ましい。分子量分布を1.4以下にすることにより、ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの粘度を低くでき、熱処理油組成物の基油として用いるために好ましい。さらに、本発明に用いるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの数平均分子量(Mn)は200〜100000にすることが好ましく、500〜20000にすることが特に好ましい。上記数平均分子量(Mn)を200以上にすることによって、重合体に占める環状エステル化合物由来の重合単位数を多くでき、それによってポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの生分解性を高めることができる。また、ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの数平均分子量(Mn)を100000以下にすることにより、分子量分布(Mw/Mn)を1.4以下にし、熱処理油として好ましい粘度にすることができる。
ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの分子量分布(Mw/Mn)を1.02〜1.4にすることは、上述したtert‐ブタノールを少なくとも有機配位子の一部として有するDMC触媒を上記共重合反応触媒として用いること、ならびに環状エステル化合物およびアルキレンオキシドの供給速度、重合反応温度の調節、および撹拌条件を適切に選択することにより、きわめて容易に行うことができる。また、ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの数平均分子量(Mn)を上記好ましい範囲に調節することは、用いる開始剤のモル数に対して、共重合させる環状エステル化合物およびアルキレンオキシドのモル数を調節することにより行うことができる。
本発明の熱処理油組成物の基油として用いるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを製造する場合、粘度、および生分解性などの特性が所望の値となるように、上述した開始剤、環状エステル化合物、およびアルキレンオキシドの種類および使用量を調節して共重合反応を行う。
また、欧州規格諮問委員会が定義しているCEC規格のL−33−A−93(1993年)による生分解性試験方法に準拠して測定される生分解率が28日後で60%以上のポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを、本発明の熱処理油組成物の基油として用いることが好ましい。優れた生分解性を有する基油を用いることにより、環境を汚染するおそれの少ない熱処理油を得ることができる。
また、欧州規格諮問委員会が定義しているCEC規格のL−33−A−93(1993年)による生分解性試験方法に準拠して測定される生分解率が28日後で60%以上のポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを、本発明の熱処理油組成物の基油として用いることが好ましい。優れた生分解性を有する基油を用いることにより、環境を汚染するおそれの少ない熱処理油を得ることができる。
本発明において、ポリエステルエーテル(モノ)ポリオールのJIS K2283動粘度試験法による40℃の動粘度が、10〜500mm2/sであることが好ましく、30〜100mm2/sが特に好ましい。粘度が10mm2/sより低いと、蒸気膜段階が長くなり、熱処理工程時の金属の冷却が不均一になり易く、また焼き入れ歪みの増大を招く。同時にミストの発生により作業性悪化を生じ、また火気の危険性が増大する場合があり好ましくない。粘度が500mm2/sより高い場合では、熱処理工程時の金属の冷却が不均一になり易く、熱処理油には不適になる場合がある。
(熱処理油組成物)
上記記載の原料および方法を用いて製造したポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを基油として用い、さらに必要に応じてその他の添加剤を加えて本発明の熱処理油組成物を調製できる。本発明のポリエステルエーテルポリ(モノ)オールは、分子内にエステル結合を有し、微生物による生分解を受けやすいという特徴を有する。
ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを基油として用いた本発明の熱処理油組成物の生分解性は、欧州規格諮問委員会規格(CEC規格)のL−33−A−93(1993年)による生分解性試験方法に準拠して測定される生分解率(%)が28日後で60%以上であることが好ましい。この値は、自然環境に放出された場合の分解が速いほど、環境への負荷が小さくなり、環境保護の観点からは好ましい。
上記記載の原料および方法を用いて製造したポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを基油として用い、さらに必要に応じてその他の添加剤を加えて本発明の熱処理油組成物を調製できる。本発明のポリエステルエーテルポリ(モノ)オールは、分子内にエステル結合を有し、微生物による生分解を受けやすいという特徴を有する。
ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを基油として用いた本発明の熱処理油組成物の生分解性は、欧州規格諮問委員会規格(CEC規格)のL−33−A−93(1993年)による生分解性試験方法に準拠して測定される生分解率(%)が28日後で60%以上であることが好ましい。この値は、自然環境に放出された場合の分解が速いほど、環境への負荷が小さくなり、環境保護の観点からは好ましい。
ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを熱処理油組成物の基油として用いる場合、水、酸化防止剤、防錆剤などを含めた熱処理油組成物全体に対して、ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールが10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上が特に好ましい。熱処理油組成物に含まれるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの割合を10質量%以上にすることにより熱処理油組成物の生分解性を高くでき、さらに酸化抑制効果を高めることもできる場合が多い。
本発明においては、ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールに含まれる環状エステル化合物由来単位の割合を多くすることによって、熱処理油組成物の生分解度を高くすることができる。また、熱処理油組成物中に含まれるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの含有量を多くするほど、熱処理油組成物の生分解度も高くなる。したがって、ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの化学構造の調節、特に環状エステル化合物由来単位の含有量と、熱処理油組成物中に含有させるポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの量とを適宜調整することによって、熱処理油組成物の生分解度を所望の値にすることができる。
本発明のポリエステルエーテルポリ(モノ)オールは、熱処理油組成物に対して所望する生分解性を保てる範囲で、ポリエステルエーテルポリ(モノ)オール以外の基油と併用できる。併用できる基油としては、大豆油、ヒマワリ油、サフラワー油、とうもろこし油、メドウフォーム油、菜種油、ヒマシ油、米ぬか油、オリーブ油などの植物油または遺伝学的に変性した植物由来の基油、多価アルコールとカルボン酸との反応により得られるポリオールエステル油、もしくは脂肪族カルボン酸とモノアルコールとの反応により得られる脂肪族エステルを挙げることができる。また、生分解度を低下させない程度に鉱物油、合成炭化水素油、ポリフェニルエーテル、シリコーン油などの合成油を併用できる。
この場合、ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの含有量は、熱処理油組成物中10質量%以上が好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。10質量%以上であると微生物の分解作用が促進され、更に難分解性の植物油や合成エステルの水への親和性を高め、これらの微生物分解作用を助力する効果も発揮される。また、DMC触媒で合成したポリオールの特長である不飽和結合の副生少なく、かつエステル結合を有するポリエステルエーテル(モノ)ポリオールであるため、焼き入れ工程時における熱劣化が生じにくい特長も有する。一方10質量%未満であると生分解性に影響を与えるので好ましくない。
本発明の熱処理油組成物は、上記ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを必須成分として含むほか、所望する本発明の効果が得られる範囲で、本技術分野で公知の各種添加剤を必要に応じて任意に添加することができる。そのような添加剤として、酸化安定剤、防錆剤、冷却向上剤、消泡剤、防腐剤、殺菌剤、防微剤等を挙げることができる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤は、焼き入れ工程時における酸素及び熱による劣化に伴う発煙、スラッジの発生、油の着色、さらには鋼材の変色などの問題を抑制する効果を有するので、使用することが特に好ましい。
本発明において、酸化防止剤は、熱処理時の熱処理油のポリマーの分断を防止し、冷却効果の低下を防ぐためなどに用いることができる。酸化防止剤としては、公知のものを用いることができる。以下、具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
酸化防止剤は、焼き入れ工程時における酸素及び熱による劣化に伴う発煙、スラッジの発生、油の着色、さらには鋼材の変色などの問題を抑制する効果を有するので、使用することが特に好ましい。
本発明において、酸化防止剤は、熱処理時の熱処理油のポリマーの分断を防止し、冷却効果の低下を防ぐためなどに用いることができる。酸化防止剤としては、公知のものを用いることができる。以下、具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
アルキル化モノフェノール類としては、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジ−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、ノニルフェノール(側鎖において、直鎖又は分岐鎖である)、例えば、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジ−メチル−6−(1’−メチルヘプタデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデカ−1’−イル)フェノール及びその混合物が挙げられる。
アルキルチオメチルフェノール類としては、例えば2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジ−ドデシルチオメチル−4−ノニルフェノールが挙げられる。
ヒドロキノン類及びアルキル化ヒドロキノン類としては、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアラート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジパートが挙げられる。
ヒドロキノン類及びアルキル化ヒドロキノン類としては、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアラート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジパートが挙げられる。
トコフェロール類としては、例えばα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール及びその混合物(ビタミンE)、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル類としては、例えば2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−sec−アミルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィドが挙げられる。
アルキリデンビスフェノール類としては、例えば2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス〔4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)−フェノール〕、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス〔6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール〕、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス〔3,3−ビス(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチラート〕、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス〔2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル〕テレフタラート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタンが挙げられる。
O−、N−及びS−ベンジル化合物類としては、例えば3,5,3’,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセタート、トリデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルメルカプトアセタート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタラート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセタートが挙げられる。
ヒドロキシベンジル化マロナート類としては、例えばジオクタデシル−2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)−マロナート、ジ−オクタデシル−2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−マロナート、ジ−ドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロナート、ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロナートが挙げられる。
芳香族ヒドロキシベンジル化合物類としては、例えば1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノールが挙げられる。
芳香族ヒドロキシベンジル化合物類としては、例えば1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノールが挙げられる。
トリアジン化合物類としては、例えば2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌラート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌラート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌラートが挙げられる。
ベンジルホスホナート類としては、例えばジメチル−2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホナート、ジエチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホナート、ジオクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホナート、ジオクタデシル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホナート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩、アシルアミノフェノール類としては、例えば4−ヒドロキシルアウラニリド、4−ヒドロキシステアラニリド、オクチルN−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバマートが挙げられる。
β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル類としては、モノ−又は多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスホ−2,6,7−トリオキサビシクロ〔2.2.2〕オクタンとのエステル類が挙げられる。
β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸のエステル類としてはモノ−又は多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスホ−2,6,7−トリオキサビシクロ〔2.2.2〕オクタンとのエステル類が挙げられる。
β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル類としてはモノ−又は多価アルコール類、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスホ−2,6,7−トリオキサビシクロ〔2.2.2〕オクタンとのエステル類が挙げられる。
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸のエステル類としては モノ−又は多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスホ−2,6,7−トリオキサビシクロ〔2.2.2〕オクタンとのエステル類が挙げられる。
β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド類としては、例えばN,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヒドラジド、N,N’−ビス〔2−(3−〔3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオニルオキシ)エチル〕オキサミド(ユニロイヤル社 ナウガード XL−1)が挙げられる。
アミン性抗酸化剤としては、例えばN,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシ−ジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−tert−オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えばp,p’−ジ−tert−オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス〔(2−メチルフェニル)アミノ〕エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス〔4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル〕アミン、tert−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ−及びジアルキル化tert−ブチル/tert−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化tert−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ−及びジアルキル化tert−ブチル/tert−オクチルフェノチアジンの混合物、モノ−及びジアルキル化tert−オクチル−フェノチアジンの混合物、N−アリールフェノチアジン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブタ−2−エン、N,N−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−セバカート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールが挙げられる。
2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−sec−ブチル−5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−〔2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル〕−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシ−カルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−〔2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル〕−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス−〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール〕;ポリエチレングリコール300を用いた2−〔3’−tert−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールのエステル交換生成物;〔R−CH2CH2−COO−CH2CH2−〕2−(ここで、R=3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル)、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル〕ベンゾトリアゾール;2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)−フェニル〕ベンゾトリアゾールが挙げられる。
2−ヒドロキシベンゾフェノン類としては、例えば4−ヒドロキシ、4−メトキシ、4−オクチルオキシ、4−デシルオキシ、4−ドデシルオキシ、4−ベンジルオキシ、4,2’,4’−トリヒドロキシ及び2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体が挙げられる。
置換及び非置換安息香酸のエステル類としては、例えば4−tert−ブチル−フェニルサリシラート、フェニルサリシラート、オクチルフェニルサリシラート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−tert−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアート、ヘキサデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアート、オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアート、2−メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアートが挙げられる。
アクリラート類としては、例えばエチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリラート、イソオクチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリラート、メチルα−カルボメトキシシンナマート、メチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシ−シンナマート、ブチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシ−シンナマート、メチルα−カルボメトキシ−p−メトキシシンナマート及びN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリンが挙げられる。
ニッケル化合物類としては、例えばn−ブチルアミン、トリエタノールアミン若しくはN−シクロヘキシルジエタノールアミンのような付加的なリガンドを有するか又は有しない、1:1又は1:2錯体のような2,2’−チオ−ビス−〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕のニッケル錯体、ニッケルジブチルジチオカルバマート、モノアルキルエステル、例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスホニル酸のメチル又はエチルエステルのニッケル塩、ケトキシム、例えば2−ヒドロキシ−4−メチルフェニルウンデシルケトキシムのニッケル錯体、付加的なリガンドを有するか又は有しない1−フェニル−4−ラウロイル−5−ヒドロキシピラゾールのニッケル錯体が挙げられる。
立体障害アミン類としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバカート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシナート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバカート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバカート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロナート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとスクシン酸の縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの線状又は環状の縮合物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセタート、テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシラート、1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス−(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)マロナート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4.5〕デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバカート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシナート、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの線状又は環状の縮合物、2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物、2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス−(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4.5〕デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、4−ヘキサデシルオキシ−及び4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合生成物、1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタン、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン及び4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの縮合生成物(CAS No.〔136504−96−6〕);N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ〔4,5〕デカン、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ〔4,5〕デカンとエピクロロヒドリンの反応生成物、1,1−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテン、N,N’−ビス−ホルミル−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ヒドロキシピペリジンと4−メトキシ−メチレン−マロン酸のジエステル、ポリ〔メチルプロピル−3−オキシ−4−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)〕シロキサン、2,2,6,6−テトラメチル−4−アミノピペリジン又は1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジンとマレイ酸無水物−α−オレフィン−コポリマーの反応生成物が挙げられる。
オキサミド類としては、例えば4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブトキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブトキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2’−エトキサニリド、及び2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−tert−ブトキサニリドとのその混合物、o−及びp−メトキシ−ジ置換オキサニリドの混合物並びにo−及びp−エトキシ−ジ置換オキサニリドの混合物が挙げられる。
トリアジン類としては、例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス−(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシ−プロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシ−プロピルオキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−〔4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシ−フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジ−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシ−プロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス〔2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)フェニル〕−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−〔3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ〕フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。
ヒドラジン、ヒドラジド類としては、例えばN,N’−ジフェニルオキサミド、N−サリシラル−N’−サリシロルヒドラジン、N,N’−ビス(サリシロイル)、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリシロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジン、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N’−ジアセチルアジポイルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリシロイル)オキサリルジヒドラジドN,N’−ビス(サリシロイル)チオプロピオニルジヒドラジドが挙げられる。
ホスファイト類及びホスホナイト類としては、例えばトリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリス(tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12H−ジ−ベンズ〔d,g〕−1,3,2−ジオキサホスホシン、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12−メチル−ジベンズ〔d,g〕−1,3,2−ジオキサホスホシン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、2,2’,2”−ニトリロ〔トリエチルトリス(3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト〕、2−エチルヘキシル(3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイトが挙げられる。
ヒドロキシアミン類としては、例えば、N,N−ジベンジルヒドロキシアミン、N,N−ジエチルヒドロキシアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、水素化タロウアミンから誘導されたN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンが挙げられる。
ニトロン類としては、例えば、N−ベンジル−アルファ−フェニル−ニトロン、N−エチル−アルファ−メチル−ニトロン、N−オクチル−アルファ−ヘプチル−ニトロン、N−ラウリル−アルファ−ウンデシル−ニトロン、N−テトラデシル−アルファ−トリデシル−ニトロン、N−ヘキサデシル−アルファ−ペンタデシル−ニトロン、N−オクタデシル−アルファ−ヘプタデシル−ニトロン、N−ヘキサデシル−アルファ−ヘプタデシル−ニトロン、N−オクタデシル−アルファ−ペンタデシル−ニトロン、N−ヘプタデシル−アルファ−ヘプタデシル−ニトロン、N−オクタデシル−アルファ−ヘキサデシル−ニトロン、N,N−ジアルキルヒドロキシアミンから誘導されたタロウアミンから誘導されたニトロンが挙げられる。
その他としては、アスコルビン酸、ジラウリルチオジプロピオナート又はジステアリルチオジプロピオナート 例えばβ−チオジプロピオン酸のエステルとしては、例えばラウリル、ステアリル、ミリスチル又はトリデシルエステル、メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、亜鉛ジブチルジチオカルバマート、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(β−ドデシルメルカプト)プロピオナート、ヨウ化物及び/又はリン化合物と組み合わせた銅塩、並びに2価のマンガン塩が挙げられる。上記の酸化安定剤は1種または2種以上を使用することができる。
熱処理油組成物へ酸化防止剤を添加する場合、添加量は、通常、熱処理油組成物中に0.01〜10質量%が好ましい。0.01質量%未満では、酸化抑制効果が不十分であったり、他の成分との相乗効果が出にくい場合があり、10質量%を超えると、冷却性を阻害することがある。
熱処理油組成物へ酸化防止剤を添加する場合、添加量は、通常、熱処理油組成物中に0.01〜10質量%が好ましい。0.01質量%未満では、酸化抑制効果が不十分であったり、他の成分との相乗効果が出にくい場合があり、10質量%を超えると、冷却性を阻害することがある。
(防錆剤)
本発明において、焼き入れ工程後の錆発生を抑制する目的で防錆剤を添加しても良い。本発明に用いる防錆剤としては、公知のものが使用できる。具体的には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属フェネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリチレート、ソルビタンエステル、ポリオキシアルキレン化合物、アルケニルコハク酸イミド、リン酸エステル,酸性リン酸エステル,亜リン酸エステル,酸性亜リン酸エステルなどのリン酸エステル化合物、ホウ酸エステル化合物などが挙げられる。
本発明において、焼き入れ工程後の錆発生を抑制する目的で防錆剤を添加しても良い。本発明に用いる防錆剤としては、公知のものが使用できる。具体的には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属フェネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリチレート、ソルビタンエステル、ポリオキシアルキレン化合物、アルケニルコハク酸イミド、リン酸エステル,酸性リン酸エステル,亜リン酸エステル,酸性亜リン酸エステルなどのリン酸エステル化合物、ホウ酸エステル化合物などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、通常、炭素数6〜20の脂肪族ジカルボン酸、またはモノカルボン酸が用いられる。例えば、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、クエン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸等のヒドロキシカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アルケニルコハク酸、ダイマー酸、トリマー酸、ナフテン酸、9(又は10)−(4−ヒドロキシフェニル)オクタデカン酸、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸の中和用塩基性物質としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、有機アミン化合物としては、モノシクロヘキシルアミン,ジシクロヘキシルアミン,モノ(2−メチル−シクロペンチル)アミン等の炭素数6〜12のシクロアルキルアミン、モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,トリエタノールアミン,モノプロパノール−ジエタノールアミン,ジプロパノール−モノエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の炭素数2〜9のアルカノールアミン、ピペラジン,メチルピペラジン,t−ブチルピペラジン,N−メチルピペラジン、ヒドロキシピペラジン,N−ヒドロキシピペラジン,モノヒドロキシ−ジエチルピペラジン,ジヒドロキシ−モノエチルピペラジン,ヒドロキシ−N−メチルピペラジン,N−ヒドロキシ−プロピルピペラジン等の炭素数4〜8のピペラジン誘導体、モルホリン,エチルモルホリン,t−ブチルモルホリン,ジメチルモルホリン,N−メチルモルホリン等の炭素数4〜16のモルホリン誘導体が挙げられる。なお、これらの塩基性化合物は1種もしくは2種以上を併用してもよい。
これら防錆剤の添加量は、熱処理油組成物に対して、一般に0.1〜50質量%が好ましい。0.1質量%未満では、光輝性改善効果が不十分であり、50質量%を超えると、防錆性の効果を阻害する場合がある。
(水)
本発明である熱処理油組成物に、必要により水を添加し、水を主成分とした水溶性の熱処理油としても使用できる。この水溶性の熱処理油は本発明である熱処理油組成物の酸化防止の役割があると同時に、水本来の急速な冷却作用を発揮する。また、焼き入れ工程時には被熱処理材表面に皮膜を形成して蒸気膜段階を早期に解消でき、かつ過剰な冷却作用を抑制できる。更に、火災防止効果を付与でき、被熱処理材のベトツキも改善できる。
熱処理油組成物に水を添加する場合、熱処理油組成物中に5〜90質量%が好ましい。熱処理時には更に水で希釈して使用することもできる。
本発明である熱処理油組成物に、必要により水を添加し、水を主成分とした水溶性の熱処理油としても使用できる。この水溶性の熱処理油は本発明である熱処理油組成物の酸化防止の役割があると同時に、水本来の急速な冷却作用を発揮する。また、焼き入れ工程時には被熱処理材表面に皮膜を形成して蒸気膜段階を早期に解消でき、かつ過剰な冷却作用を抑制できる。更に、火災防止効果を付与でき、被熱処理材のベトツキも改善できる。
熱処理油組成物に水を添加する場合、熱処理油組成物中に5〜90質量%が好ましい。熱処理時には更に水で希釈して使用することもできる。
(その他の添加剤)
本発明の熱処理油組成物には、その他に必要に応じて組成物に、亜硝酸ナトリウム,亜硝酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,メタホウ酸ナトリウム,メタホウ酸カリウム,リン酸ナトリウム,リン酸カリウム,ヘキサメタリン酸ナトリウム,ヘキサメタリン酸カリウム,オルトケイ酸ナトリウム,オルトケイ酸カリウム,メタケイ酸ナトリウム,メタケイ酸カリウム等の無機塩、シリコーン系消泡剤;着色剤;アスファルト、ポリブテン、ポリスチレン、ポリα−オレフィンポリメタクリレート、石油樹脂等の冷却性向上剤;トリアジン系、アンモニウム塩、チアゾール系等の防腐剤、防微剤等を添加できる。
上記の各種添加剤は、単独で用いることも、または2種以上を併用することもできる。本発明の熱処理油組成物に含有させる各種添加剤は、所望の効果が得られる量を適宜用いることができる。熱処理油組成物に対する各種添加剤の合算した添加量は、一般に0.5〜15質量%であることが好ましい。
本発明の熱処理油組成物には、その他に必要に応じて組成物に、亜硝酸ナトリウム,亜硝酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,メタホウ酸ナトリウム,メタホウ酸カリウム,リン酸ナトリウム,リン酸カリウム,ヘキサメタリン酸ナトリウム,ヘキサメタリン酸カリウム,オルトケイ酸ナトリウム,オルトケイ酸カリウム,メタケイ酸ナトリウム,メタケイ酸カリウム等の無機塩、シリコーン系消泡剤;着色剤;アスファルト、ポリブテン、ポリスチレン、ポリα−オレフィンポリメタクリレート、石油樹脂等の冷却性向上剤;トリアジン系、アンモニウム塩、チアゾール系等の防腐剤、防微剤等を添加できる。
上記の各種添加剤は、単独で用いることも、または2種以上を併用することもできる。本発明の熱処理油組成物に含有させる各種添加剤は、所望の効果が得られる量を適宜用いることができる。熱処理油組成物に対する各種添加剤の合算した添加量は、一般に0.5〜15質量%であることが好ましい。
(用途)
本発明の熱処理油組成物は、加熱および冷却による金属の改質を目的に使用でき、焼入れ油および焼戻し油として使用できる。各種の金属熱処理に用いることができるが、熱処理油の被洗浄性が特に要求される精密部品の部品のガス浸炭焼入れ、無酸化焼入れ等の熱処理が最適である。
本発明の熱処理油組成物は、加熱および冷却による金属の改質を目的に使用でき、焼入れ油および焼戻し油として使用できる。各種の金属熱処理に用いることができるが、熱処理油の被洗浄性が特に要求される精密部品の部品のガス浸炭焼入れ、無酸化焼入れ等の熱処理が最適である。
本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。また、試験に用いたポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの組成を表1に示した。また、ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの水酸基価はJIS K1557 6.4に準拠して測定した値(単位はmgKOH/gであり以下では数値のみ示す。)である。
ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの動粘度は、ガラス製毛管式粘度計であるキャノン−フェンスケ粘度計を用いて測定した値である。
ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの動粘度は、ガラス製毛管式粘度計であるキャノン−フェンスケ粘度計を用いて測定した値である。
ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの数平均分子量(Mn1)および質量平均分子量(Mw1)は、分子量既知の標準ポリスチレン試料を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを測定することによって得られたポリスチレン換算分子量である。
ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールに含まれるDMC触媒由来の金属量は、以下のように測定した:触媒を含むポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの所定量を三角フラスコに採取し、イオン交換水100mL、濃塩酸と濃硝酸をそれぞれ20mL加え、さらに沸石を入れて3時間煮沸した。さらに、三角フラスコに濃塩酸を10mL加えて2時間煮沸後、No.5Aのろ紙でろ過し、さらに希釈後、ICP発光分析法により分析した。
ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールに含まれるDMC触媒由来の金属量は、以下のように測定した:触媒を含むポリエステルエーテルポリ(モノ)オールの所定量を三角フラスコに採取し、イオン交換水100mL、濃塩酸と濃硝酸をそれぞれ20mL加え、さらに沸石を入れて3時間煮沸した。さらに、三角フラスコに濃塩酸を10mL加えて2時間煮沸後、No.5Aのろ紙でろ過し、さらに希釈後、ICP発光分析法により分析した。
〔複合金属シアン化物錯体触媒の調製〕
500mLのフラスコ中に塩化亜鉛10.2gとイオン交換水10gからなる水溶液を調製する。次に、カリウムヘキサシアノコバルテート(K3[Co(CN)]6)4.2gとイオン交換水75gからなる水溶液を40℃に保温しつつ、300rpmで撹拌しながら前記塩化亜鉛水溶液を30分間かけて滴下して加えた。滴下終了後、さらに30分撹拌した後、tert−ブチルアルコール(以下、TBAと記す。)80g、イオン交換水80gおよびジプロピレングリコールにプロピレンオキシド(以下、POと記す。)を付加重合して得られた数平均分子量が1000のポリオール(以下、ポリオールXと記す。)0.6gの混合物を添加し、40℃で30分、さらに60℃で60分間撹拌後、直径125mmの円形ろ板と微粒子用の定量ろ紙(ADVANTEC社製、No.5C)を用い、0.25MPaの加圧下でろ過を行い、50分ほどで固体を分離した。
500mLのフラスコ中に塩化亜鉛10.2gとイオン交換水10gからなる水溶液を調製する。次に、カリウムヘキサシアノコバルテート(K3[Co(CN)]6)4.2gとイオン交換水75gからなる水溶液を40℃に保温しつつ、300rpmで撹拌しながら前記塩化亜鉛水溶液を30分間かけて滴下して加えた。滴下終了後、さらに30分撹拌した後、tert−ブチルアルコール(以下、TBAと記す。)80g、イオン交換水80gおよびジプロピレングリコールにプロピレンオキシド(以下、POと記す。)を付加重合して得られた数平均分子量が1000のポリオール(以下、ポリオールXと記す。)0.6gの混合物を添加し、40℃で30分、さらに60℃で60分間撹拌後、直径125mmの円形ろ板と微粒子用の定量ろ紙(ADVANTEC社製、No.5C)を用い、0.25MPaの加圧下でろ過を行い、50分ほどで固体を分離した。
次いで、この複合金属シアン化物錯体を含むケーキにTBA36gおよびイオン交換水84gの混合物を添加してから30分撹拌後、15分間加圧ろ過を行った。この結果得られた複合金属シアン化物錯体を含むケーキに、さらにTBA108gおよびイオン交換水12gの混合物を添加して30分撹拌し、複合金属シアン化物錯体を含むTBAのスラリーを得た。
このスラリーにポリオールXを100g添加混合した後、80℃で3時間、更に115℃で4時間減圧乾燥し、TBAを有機配位子として有する複合金属シアン化物錯体触媒(スラリー触媒c)を得た。スラリー触媒c中の複合金属シアン化物錯体の濃度は4.10質量%であった。
このスラリーにポリオールXを100g添加混合した後、80℃で3時間、更に115℃で4時間減圧乾燥し、TBAを有機配位子として有する複合金属シアン化物錯体触媒(スラリー触媒c)を得た。スラリー触媒c中の複合金属シアン化物錯体の濃度は4.10質量%であった。
(実施例1)「ε−カプロラクトンとプロピレンオキシドのランダム共重合体であるポリエステルエーテルジオールを用いた熱処理油組成物」
撹拌機付きのステンレス製10L耐圧反応器内に、開始剤として数平均分子量(Mn0)400のポリエチレングリコール1000gと、スラリー触媒cを6100mgを投入した。耐圧反応器内を窒素ガスで置換後、140℃に昇温し、続いて100gのプロピレンオキシドを反応器内に供給して重合反応させた。反応器内の圧力が低下した後、撹拌下、約140℃に反応器内温を保ちながら、1900gのプロピレンオキシドと2000gのε−カプロラクトンをいずれも約250g/hrの速度で同時に反応器内に約8時間10分間にわたって供給し、供給終了後、さらに1時間撹拌を続けて共重合反応を行なった。得られたポリエステルエーテルジオール(p1)の水酸基価は56.0、分子量分布(Mw1/Mn1)は、1.15であり、40℃での動粘度は14mm2/sであり、p1の外観は常温で微白濁液状であった。
撹拌機付きのステンレス製10L耐圧反応器内に、開始剤として数平均分子量(Mn0)400のポリエチレングリコール1000gと、スラリー触媒cを6100mgを投入した。耐圧反応器内を窒素ガスで置換後、140℃に昇温し、続いて100gのプロピレンオキシドを反応器内に供給して重合反応させた。反応器内の圧力が低下した後、撹拌下、約140℃に反応器内温を保ちながら、1900gのプロピレンオキシドと2000gのε−カプロラクトンをいずれも約250g/hrの速度で同時に反応器内に約8時間10分間にわたって供給し、供給終了後、さらに1時間撹拌を続けて共重合反応を行なった。得られたポリエステルエーテルジオール(p1)の水酸基価は56.0、分子量分布(Mw1/Mn1)は、1.15であり、40℃での動粘度は14mm2/sであり、p1の外観は常温で微白濁液状であった。
次いで、このポリエステルエーテルジオール(p1)にオクチル化ジフェニルアミンを加え、加熱、撹拌することにより熱処理油組成物を得た。この熱処理油組成物の生分解率は84%(14日後)、97%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は1.06、被洗浄率は98%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行なったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水との混合物はエマルションとなった。
(実施例2)「ε−カプロラクトンとエチレンオキシドのランダム共重合体であるポリエステルエーテルジオールを用いた熱処理油組成物」
実施例1で用いたものと同じ数平均分子量(Mn0)400のポリエチレングリコール200g、エチレンオキシド3000g、およびε−カプロラクトン1800gを用いた以外は、実施例1と同様に共重合反応を行った。この反応によって得られたポリエステルエーテルジオール(p2)の水酸基価は11.6、分子量分布(Mw1/Mn1)は、1.27であり、40℃での動粘度は305mm2/sであった。p2の外観は、常温で微白濁粘凋液体であった。
実施例1で用いたものと同じ数平均分子量(Mn0)400のポリエチレングリコール200g、エチレンオキシド3000g、およびε−カプロラクトン1800gを用いた以外は、実施例1と同様に共重合反応を行った。この反応によって得られたポリエステルエーテルジオール(p2)の水酸基価は11.6、分子量分布(Mw1/Mn1)は、1.27であり、40℃での動粘度は305mm2/sであった。p2の外観は、常温で微白濁粘凋液体であった。
次いでこのポリエステルエーテルジオール(p2)を基油として用い、さらに表2に示した添加剤を用いて実施例1と同様の方法に従い、熱処理油組成物を調製した。
この熱処理油組成物の生分解率は82%(14日後)、98%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は1.02、被洗浄率は96%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水とは透明に溶解した。
この熱処理油組成物の生分解率は82%(14日後)、98%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は1.02、被洗浄率は96%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水とは透明に溶解した。
(実施例3)「ε−カプロラクトンとエチレンオキシドのブロック・ランダム共重合体であるポリエステルエーテルジオールを用いた熱処理油組成物」
反応器に開始剤として数平均分子量(Mn0)400のポリエチレングリコール1000gと、スラリー触媒cを6100mg投入した。反応器を窒素ガスで置換後、140℃に昇温した。その後、1000gのエチレンオキシドを約125g/hrの速度で、2000gのε−カプロラクトンを約250g/hrの速度で同時に反応器内に供給して約140℃で共重合させた。反応器内の圧力が低下した後、さらに1000gのエチレンオキシドを約125g/hrで供給し、供給後さらに1時間撹拌を続けて反応させた。この共重合反応によって得られたポリエステルエーテルジオール(p3)の水酸基価は55.8、分子量分布(Mw1/Mn1)は、1.28であり、40℃での動粘度は18mm2/sであった。p3の外観は、常温で微白濁粘凋状液体であった。
反応器に開始剤として数平均分子量(Mn0)400のポリエチレングリコール1000gと、スラリー触媒cを6100mg投入した。反応器を窒素ガスで置換後、140℃に昇温した。その後、1000gのエチレンオキシドを約125g/hrの速度で、2000gのε−カプロラクトンを約250g/hrの速度で同時に反応器内に供給して約140℃で共重合させた。反応器内の圧力が低下した後、さらに1000gのエチレンオキシドを約125g/hrで供給し、供給後さらに1時間撹拌を続けて反応させた。この共重合反応によって得られたポリエステルエーテルジオール(p3)の水酸基価は55.8、分子量分布(Mw1/Mn1)は、1.28であり、40℃での動粘度は18mm2/sであった。p3の外観は、常温で微白濁粘凋状液体であった。
次いでこのポリエステルエーテルジオール(p3)を基油として用い、表2に示した添加剤を加え、実施例1と同様にして熱処理油組成物を調製した。
この熱処理油組成物の生分解率は81%(14日後)、98%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は1.05、被洗浄率99%であった。また、熱処理油組成物(t3)の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水との混合物はエマルションとなった。
この熱処理油組成物の生分解率は81%(14日後)、98%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は1.05、被洗浄率99%であった。また、熱処理油組成物(t3)の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水との混合物はエマルションとなった。
(実施例4)「ε−カプロラクトンとエチレンオキシドのブロック・ランダム共重合体であるポリエステルエーテルジオールを用い、酸化防止剤を変更した熱処理油組成物」
実施例3のポリエステルエーテルジオール(p3)を基油に用い、表2に示したようにオクチル化ジフェニルアミンに代えてアスコルビン酸0.5質量部を用いたほかは、実施例3と同様にして、熱処理油組成物を調製した。
この熱処理油組成物の生分解率は87%(14日後)、97%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は1.05、被洗浄率は97%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水との混合物はエマルションとなった。
実施例3のポリエステルエーテルジオール(p3)を基油に用い、表2に示したようにオクチル化ジフェニルアミンに代えてアスコルビン酸0.5質量部を用いたほかは、実施例3と同様にして、熱処理油組成物を調製した。
この熱処理油組成物の生分解率は87%(14日後)、97%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は1.05、被洗浄率は97%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水との混合物はエマルションとなった。
(実施例5)「ε−カプロラクトンとエチレンオキシドのブロック・ランダム共重合体であるポリエステルエーテルジオールを用い、防錆剤を添加した熱処理油組成物」
実施例3で得られたp3を基油に用い、表2に示したようにオクチル化ジフェニルアミンに代えてアスコルビン酸0.5質量部を用い、防錆剤であるナフタレンスルホン酸カルシウム塩を添加したほかは、実施例3と同様にして、熱処理油組成物を調製した。
この熱処理油組成物の生分解率は80%(14日後)、94%(28日後)、防錆性はA、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は1.05、被洗浄率は92%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水との混合物はエマルションとなった。
実施例3で得られたp3を基油に用い、表2に示したようにオクチル化ジフェニルアミンに代えてアスコルビン酸0.5質量部を用い、防錆剤であるナフタレンスルホン酸カルシウム塩を添加したほかは、実施例3と同様にして、熱処理油組成物を調製した。
この熱処理油組成物の生分解率は80%(14日後)、94%(28日後)、防錆性はA、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は1.05、被洗浄率は92%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水との混合物はエマルションとなった。
(実施例6)「ε−カプロラクトンとエチレンオキシドのランダム共重合体であるポリエステルエーテルモノオールを用いた熱処理油組成物」
開始剤としてラウリルアルコール1000gを用い、エチレンオキシドとε−カプロラクトンの添加量をいずれも2000gに変更した以外は、実施例2と同様の方法にしたがい、共重合反応を行った。この反応によって得られたポリエステルエーテルモノオール(p4)の水酸基価は55.9であり、分子量分布(Mw1/Mn1)は、1.07であり、40℃での動粘度は11mm2/sであった。p4の外観は常温で微白濁粘凋状液体であった。
開始剤としてラウリルアルコール1000gを用い、エチレンオキシドとε−カプロラクトンの添加量をいずれも2000gに変更した以外は、実施例2と同様の方法にしたがい、共重合反応を行った。この反応によって得られたポリエステルエーテルモノオール(p4)の水酸基価は55.9であり、分子量分布(Mw1/Mn1)は、1.07であり、40℃での動粘度は11mm2/sであった。p4の外観は常温で微白濁粘凋状液体であった。
次いでこのポリエステルエーテルジオール(p4)を基油として用い、さらに表2に示した添加剤を用いて実施例1と同様の方法にしたがい、熱処理油組成物を調製した。
この熱処理油組成物の生分解率は82%(14日後)、98%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は1.07、被洗浄率は97%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水との混合物はエマルションとなった。
この熱処理油組成物の生分解率は82%(14日後)、98%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は1.07、被洗浄率は97%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水との混合物はエマルションとなった。
(実施例7)「ε−カプロラクトンとエチレンオキシドのランダム共重合体であるポリエステルエーテルモノオールおよび合成エステルを基油として併用した熱処理油組成物」
実施例6で共重合反応によって得られたポリエステルエーテルモノオール(p4)39.5質量部にグリセリンのトリオレエート(40℃での動粘度は56mm2/s、水酸基価2.6、酸価12)60質量部を加えて基油とした。この基油に実施例1と同様に添加剤を加え、熱処理油組成物を得た。
この熱処理油組成物の生分解率は、75%(14日後)、91%(28日後)、防錆性はB、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は、1.04、被洗浄率は88%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水との混合物はエマルションとなった。
実施例6で共重合反応によって得られたポリエステルエーテルモノオール(p4)39.5質量部にグリセリンのトリオレエート(40℃での動粘度は56mm2/s、水酸基価2.6、酸価12)60質量部を加えて基油とした。この基油に実施例1と同様に添加剤を加え、熱処理油組成物を得た。
この熱処理油組成物の生分解率は、75%(14日後)、91%(28日後)、防錆性はB、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は、1.04、被洗浄率は88%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水との混合物はエマルションとなった。
(実施例8)「ε−カプロラクトンとエチレンオキシドのランダム共重合体であるポリエステルエーテルジオールを用いた水溶性熱処理油組成物」
実施例2のポリエステルエーテルジオール(p2)を基油に用い、表2に示したように酸化防止剤であるアスコルビン酸0.01質量部、防錆剤であるドデカン二酸のトリエタノールアミンを添加し、均一に撹拌、溶解後、イオン交換水98.49質量部で希釈して水溶性熱処理油組成物を調製した。
この水溶性熱処理油組成物の生分解率は99.5%(14日後)、99.8%(28日後)、防錆性はD、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は1.01、被洗浄率は99.7%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水とは透明に溶解した。
実施例2のポリエステルエーテルジオール(p2)を基油に用い、表2に示したように酸化防止剤であるアスコルビン酸0.01質量部、防錆剤であるドデカン二酸のトリエタノールアミンを添加し、均一に撹拌、溶解後、イオン交換水98.49質量部で希釈して水溶性熱処理油組成物を調製した。
この水溶性熱処理油組成物の生分解率は99.5%(14日後)、99.8%(28日後)、防錆性はD、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は1.01、被洗浄率は99.7%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水とは透明に溶解した。
(比較例1)「ε−カプロラクトンとプロピレンオキシドのランダム共重合体であるポリエステルエーテルジオールを用いた熱処理油組成物」
実施例1のポリエステルエーテルジオール(p1)を基油に用い、酸化防止剤を添加せずに、熱処理油組成物として上記実施例と同様の評価を実施した。
この熱処理油組成物の生分解率は84%(14日後)、97%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は、1.25、被洗浄率は98%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水とは透明に溶解した。
実施例1のポリエステルエーテルジオール(p1)を基油に用い、酸化防止剤を添加せずに、熱処理油組成物として上記実施例と同様の評価を実施した。
この熱処理油組成物の生分解率は84%(14日後)、97%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は、1.25、被洗浄率は98%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水とは透明に溶解した。
(比較例2)「鉱物油を用いた熱処理油組成物」
パラフィン系鉱物油(40℃での動粘度は28mm2/s)を基油として、実施例1と同様の方法を用い、表2に示した添加剤を加え、熱処理油組成物を得た。
この熱処理油組成物の生分解率は5%(14日後)、10%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は、1.31、被洗浄率は51%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水とは不溶であった。
パラフィン系鉱物油(40℃での動粘度は28mm2/s)を基油として、実施例1と同様の方法を用い、表2に示した添加剤を加え、熱処理油組成物を得た。
この熱処理油組成物の生分解率は5%(14日後)、10%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は、1.31、被洗浄率は51%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水とは不溶であった。
(比較例3)「植物油を用いた熱処理油組成物」
菜種油(40℃での動粘度は36mm2/s)を基油として、実施例1と同様の方法を用いて表2に示した添加剤を加え、熱処理油組成物を得た。
この熱処理油組成物の生分解率は41%(14日後)、80%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は、2.29、被洗浄率は32%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水とは不溶であった。
菜種油(40℃での動粘度は36mm2/s)を基油として、実施例1と同様の方法を用いて表2に示した添加剤を加え、熱処理油組成物を得た。
この熱処理油組成物の生分解率は41%(14日後)、80%(28日後)、防錆性はC、酸化安定性試験(150℃×500h)による粘度比は、2.29、被洗浄率は32%であった。また、熱処理油組成物の水への溶解試験を行ったところ(イオン交換水に1質量%希釈)、水とは不溶であった。
(生分解率の測定)
潤滑油組成物の生分解率(%)は、欧州規格諮問委員会規格(CEC規格)のL−33−A−93(1993年)のBiodegradability of Two−stroke Cycle Outboard Engine Oils in Water(水中での2ストロークサイクル船外エンジン用オイルの生分解性試験方法)に準じて測定した。
潤滑油組成物の生分解率(%)は、欧州規格諮問委員会規格(CEC規格)のL−33−A−93(1993年)のBiodegradability of Two−stroke Cycle Outboard Engine Oils in Water(水中での2ストロークサイクル船外エンジン用オイルの生分解性試験方法)に準じて測定した。
すなわち2本の500mlの三角フラスコ中に、それぞれ同じ潤滑油組成物サンプル7.5μlと、栄養液150mlとを入れる。一方のフラスコには、微生物液として都市下水処理用の活性汚泥1mlを加え(活性汚泥処理サンプル)、他方のフラスコには上記活性汚泥1mlを加えない(対照サンプル)。活性汚泥処理サンプル1つと対照サンプル1つを1組とし、これを2組準備する。1組は初期油量測定用サンプルとする。他方の1組の2つのフラスコの口をフィルタでふさいだ状態で、両フラスコを25℃で14日間、振とう培養法で好気培養する。初期油量測定用サンプルおよび培養試験後のサンプルから油を25mlの有機溶媒で抽出し、赤外線分光光度計を用いて測定したCH2−CH2
結合の量からフラスコ中の油量を求め、下記式により生分解率(%)を計算した。28日間振とう培養した後の生分解率(%)も同様に測定した。
結合の量からフラスコ中の油量を求め、下記式により生分解率(%)を計算した。28日間振とう培養した後の生分解率(%)も同様に測定した。
生分解率(%)=
{(活性汚泥処理サンプル初期油量−活性汚泥処理サンプル培養後油量)
−(対照サンプル初期油量−対照サンプル培養後油量)}÷(活性汚泥処理サンプル初期油量)×100
{(活性汚泥処理サンプル初期油量−活性汚泥処理サンプル培養後油量)
−(対照サンプル初期油量−対照サンプル培養後油量)}÷(活性汚泥処理サンプル初期油量)×100
(防錆性)
熱処理油組成物の防錆性は、熱処理油組成物をアセトンで希釈して1×50×100mmのSPCC鋼板に浸漬塗布し、熱処理油組成物の塗布量を5±1g/m2に調製する。このSPCC鋼板を50℃、相対湿度95%以上の恒温槽で1週間放置し、錆の発生状態を観察した。鋼板に発生している錆は、その面積から5段階で評価し、錆面積が10%未満をA、10%以上25%未満をB、25%以上50%未満をC、50%以上をDとランク付けした。
熱処理油組成物の防錆性は、熱処理油組成物をアセトンで希釈して1×50×100mmのSPCC鋼板に浸漬塗布し、熱処理油組成物の塗布量を5±1g/m2に調製する。このSPCC鋼板を50℃、相対湿度95%以上の恒温槽で1週間放置し、錆の発生状態を観察した。鋼板に発生している錆は、その面積から5段階で評価し、錆面積が10%未満をA、10%以上25%未満をB、25%以上50%未満をC、50%以上をDとランク付けした。
(酸化安定性の測定)
熱処理油組成物の酸化安定性は、JIS K2514潤滑油―酸化安定度試験方法(150℃、500h、触媒なし)に準拠して行った。下記の式を用いて、粘度比を求めた。
粘度比=試験後動粘度(mm2/s、40℃)/ 試験前動粘度(mm2/s、40℃)
熱処理油組成物の酸化安定性は、JIS K2514潤滑油―酸化安定度試験方法(150℃、500h、触媒なし)に準拠して行った。下記の式を用いて、粘度比を求めた。
粘度比=試験後動粘度(mm2/s、40℃)/ 試験前動粘度(mm2/s、40℃)
(被洗浄性)
熱処理油組成物の被洗浄性は以下のように測定した。脱脂剤2リットル(水酸化ナトリウム、ケイ酸ソーダを主成分とする市販洗浄剤2質量%水溶液)を40℃に設定、撹拌する。次いで、JIS K2514潤滑油―酸化安定度試験方法(150℃、500h、触媒なし)の酸化安定性試験後の熱処理油組成物をアセトンで希釈して1×50×100mmのSPCC鋼板に浸漬塗布し、熱処理油組成物の塗布量を5±1g/m2に調製する。この試験片を脱脂剤に1分間浸漬洗浄し、洗浄後の熱処理油組成物の残量をソックスレー抽出により求め、被洗浄性を評価。被洗浄率は下記の式で算出した。
被洗浄率(%)=((洗浄前塗布量−洗浄後残存量)/初期値)×100
熱処理油組成物の被洗浄性は以下のように測定した。脱脂剤2リットル(水酸化ナトリウム、ケイ酸ソーダを主成分とする市販洗浄剤2質量%水溶液)を40℃に設定、撹拌する。次いで、JIS K2514潤滑油―酸化安定度試験方法(150℃、500h、触媒なし)の酸化安定性試験後の熱処理油組成物をアセトンで希釈して1×50×100mmのSPCC鋼板に浸漬塗布し、熱処理油組成物の塗布量を5±1g/m2に調製する。この試験片を脱脂剤に1分間浸漬洗浄し、洗浄後の熱処理油組成物の残量をソックスレー抽出により求め、被洗浄性を評価。被洗浄率は下記の式で算出した。
被洗浄率(%)=((洗浄前塗布量−洗浄後残存量)/初期値)×100
(水への溶解性試験)
熱処理油組成物の水への溶解性は、ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールをイオン交換水に加え、1質量%の希釈液にした時の溶解性を目視により観察し、その状態を記録した。
熱処理油組成物の水への溶解性は、ポリエステルエーテルポリ(モノ)オールをイオン交換水に加え、1質量%の希釈液にした時の溶解性を目視により観察し、その状態を記録した。
実施例および比較例に基油として用いた組成物を表1に記載した。またその試験結果を表2に示した。表1中の開始剤とアルキレンオキシドの量を示す数値の単位は「g」であり、表2中の原材料の量を示す数値は質量部である。
表2に示すように、実施例1〜8のポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを基油とする、または基油として含む熱処理油組成物は、比較例1〜3の熱処理油組成物に比べ、生分解率が高く、流動性と酸化安定性にも優れていた。また、本発明の熱処理油組成物は水と混合した場合にはエマルション化するため、微生物に分解されやすい状態になることがわかる。また、比較例1の酸化防止剤が無添加の結果より、粘度上昇を抑制するためには酸化防止剤が不可欠であることもわかる。
表2に示すように、実施例1〜8のポリエステルエーテルポリ(モノ)オールを基油とする、または基油として含む熱処理油組成物は、比較例1〜3の熱処理油組成物に比べ、生分解率が高く、流動性と酸化安定性にも優れていた。また、本発明の熱処理油組成物は水と混合した場合にはエマルション化するため、微生物に分解されやすい状態になることがわかる。また、比較例1の酸化防止剤が無添加の結果より、粘度上昇を抑制するためには酸化防止剤が不可欠であることもわかる。
本発明は、ポリエステルエーテルポリオールおよびポリエステルエーテルモノオールを基油とした、酸化安定性に優れ、熱処理後の洗浄性が良好である熱処理油組成物である。金属の焼入れ処理用の熱処理油全般に利用でき、任意の用途に用いるための熱処理油組成物として好ましい。
Claims (8)
- tert−ブチルアルコールを有機配位子の少なくとも一部として有する複合金属シアン化物錯体触媒の存在下で、1〜12個の水酸基を有する1種以上の開始剤の存在下、1種以上の炭素数3〜9の環状エステル化合物と、1種以上の炭素数2〜20のアルキレンオキシドとを共重合して得られるポリエステルエーテルポリオールおよび/またはポリエステルエーテルモノオールを基油として含む、熱処理油組成物。
- さらに、酸化安定剤剤を含む、請求項1の熱処理油組成物。
- 熱処理組成物中の前記ポリエステルエーテルポリオールおよび/またはポリエステルエーテルモノオールの配合量が、10質量%以上である請求項1または2に記載の熱処理油組成物。
- さらに、水、および防錆剤を含む、請求項1〜3いずれかに記載の熱処理油組成物。
- 前記ポリエステルエーテルポリオールおよび/またはポリエステルエーテルモノオールのJIS K2283動粘度試験法による40℃における動粘度が10〜500mm2/sである請求項1〜4のいずれかに記載の熱処理油組成物。
- 欧州規格諮問委員会規格(CEC規格)のL−33−A−93(1993年)による生分解性試験方法に準拠して測定した生分解率(%)が28日後で60%以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱処理油組成物。
- 前記共重合に用いる前記環状エステル化合物と前記アルキレンオキシドの合計質量に対し、前記環状エステル化合物の質量が5〜90%であり、かつ、前記ポリエステルエーテルポリオールおよび/またはポリエステルエーテルモノオールの分子量分布(Mw/Mn)が1.02〜1.4である、請求項1〜6のいずれかに記載の熱処理油組成物。
- 前記ポリエステルエーテルポリオールおよび/またはポリエステルエーテルモノオール以外の基油をさらに含む、請求項1〜7のいずれかに記載の熱処理油組成物。
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