JP4875733B2 - 可動磁石型スピーカおよびその製造方法 - Google Patents

可動磁石型スピーカおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、動電型スピーカのうちの可動磁石型スピーカ、およびその製造方法に関するものである。
上記動電型スピーカの標準的な構成として、磁石および継鉄からなる磁気回路をフレームに固定するとともに、ボイスコイルが固定された振動板をフレームに対して振動可能に取り付けておき、ボイスコイルに音声電流を供給して駆動力を発生させることにより、磁石に対して振動板を振動させて音を出力する可動線輪型スピーカが知られている。
一般にスピーカの特性を表す指標として、供給された音声電流のうちで音エネルギーに変換された割合を示す「効率」が知られている。上記従来の可動線輪型スピーカの効率に関しては、例えば非特許文献1における8.4.3の効率の項に、以下のように解説されている。すなわち、従来の可動線輪型スピーカの効率ηは、振動板片側放射抵抗をR、磁束密度をB、ボイスコイル巻線長をl、音の角周波数をω、ボイスコイル質量をm
ボイスコイル以外の振動系質量をm、振動板片側付加質量をMs、ボイスコイル電気抵抗をrとしたとき、数1のように示される。
Figure 0004875733
数1においては、ボイスコイル巻線長lが、ボイスコイル質量mに対して陰に依存しているため、このままでは効率ηとボイスコイル質量mとの関係が明確でない。そこで、ボイスコイル密度をρ、ボイスコイル巻線断面積をS、ボイスコイル導電率をκとするとともに、m=ρSl、r=l/(κS)なる関係を使ってボイスコイル巻線長lを消去すると、数1は数2のように変形される。
Figure 0004875733
したがって、最大効率は、数2の効率ηをボイスコイル質量mで偏微分して得られた式の値が零となるときであり、すなわち、数3に示すように、ボイスコイル質量mが、ボイスコイル以外の振動系質量mと振動板付加質量2Msとの和に等しい時に最大効率が得られる。
Figure 0004875733
例えば、実際の口径16cm程度の可動線輪型スピーカにおける一例を示せば、m=2g、m=5g、Ms=1.7g程度であり、これらの値と数3とを比較すると、m=m+2Msであるよりも、むしろm<m+2Msとなっている。これは、ボイスコイル質量mが大きくなると、磁極間隔が大きくなって磁束密度Bが減少するので、その減少分を補うために磁石を大きくする必要があるためである。また、高音の出力時に振動板が分割振動して実質的なm+2Msの値が減少するためであると説明されている。
また、上記「効率」とは別にスピーカの特性を表す指標として、ボイスコイル巻線長の略二乗に比例する「ボイスコイルインダクタンス」が知られている。従来の可動線輪型スピーカのボイスコイルインダクタンスに関しては、非特許文献1における8.4.2の電気インピーダンス特性と等価回路の項に、一例が図示されている。それによれば、ボイスコイルの電気抵抗rが約8Ωで音声電流の周波数が10kHzのときに、インダクタンスlは約0.6mHである。
この項に例示されたスピーカが一般的な全帯域用のものであると仮定すると、少なくとも10kHz程度の高音発生に支障とならないインダクタンスlは、0.6mH程度以下である必要がある。ボイスコイルの電気抵抗rは8Ωに限定されるものではないから、ボイスコイルのインダクタンスlの評価はその生の値によってではなく、電気抵抗rとの比で定義される電気的時定数τ=l/r、あるいは電気的時定数τから導かれる交叉周波数f=1/(2πτ)によって評価されるべきものである。この例では、交叉周波数fが略2kHzである。
さらに、動電型スピーカに使われる永久磁石磁気回路に関しては、例えば非特許文献2に解説されている。
動電型スピーカの別の構成として、上記可動線輪型スピーカに対して磁気回路とボイスコイルとを交換し、磁気回路が振動板に固定されるとともにボイスコイルがフレームに固定された構成である可動磁石型スピーカが知られている。例えば特許文献1〜3に、可動磁石型スピーカについて記載されている。
可動磁石型スピーカの利点は、可動線輪型スピーカと異なりボイスコイルが振動板に取り付けられていないため、ボイスコイルの錦糸線が振動板と一緒に常時振動して断線する虞がないことである。ところが、非特許文献3において、可動磁石型スピーカに関する記述がないことからも分かるように、可動磁石型スピーカは未だに一般的と言える状況にない。
特許第2936009号公報 特許第1223828号公報 特許第3421654号公報
川村雅恭著 「電気音響工学概論」 昭晃堂 大川光吉著 「永久磁石磁気回路入門」 総合電子出版社 特許検索ガイドブック〜小型スピーカ技術〜 特許庁 http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/pdf/pat_guidebook/h19_12.pdf
上記のような利点を有する可動磁石型スピーカを実現しようとした場合、主として以下の三つの問題があった。第1の問題は効率の低下である。従来の可動線輪型スピーカにおいては、磁気回路の質量がスピーカ質量の大部分を占める構成となっている。例えば口径16cm程度の振動板に対しては、400g程度以上の磁気回路が用いられる場合が多い。そのため、可動磁石型スピーカにおいて、従来の可動線輪型スピーカの磁気回路とボイスコイルとの取付位置を交換しただけでは、振動する振動板および磁気回路の質量が大きくなるため、負荷となる空気との不整合が大きくなって効率が非常に低くなる。よって、供給された音声電流に対して小さな音しか出力できなかった。
上記第1の問題を解決するための方法として、磁気回路を可動線輪型スピーカのものよりも小型化し軽量化する方法が考えられる。ところが、単純に磁気回路を小型化すると、継鉄によって磁束を収束させて磁束密度を十分に高めた状態でボイスコイルに鎖交させることが困難となり、スピーカの効率が低下するという第2の問題があった。
このような問題を解決するために、動電型スピーカの効率を上げるには、磁束密度Bとボイスコイル巻線長lとの積を大きくすることが考えられる。そこで、磁気回路を小型化し且つその小型化に伴う磁束密度Bの低下分を、ボイスコイル巻線長lを増加させて補償する方法が考えられるが、この方法の場合、ボイスコイルのインダクタンスが増加し、高音が出難くなるという第3の問題があった。
このような観点から、特許文献1では、主たる振動板と高音を出すための別の振動板とを、磁気回路を共有させた状態で併設している。しかしながら、この解決方法ではスピーカの構造が複雑になるとともに、振動方向に大型化する虞がある。また、特許文献2に開示された構成では、コア10の構成が複雑となって振動方向に大型化する虞がある。特許文献3の構成では、ムービング磁石が固定コイルの中に入り込んでいないか、または入り込んだ部分の長さが不十分なため、効率良く振動板を駆動できないという問題がある。このように、上記第1〜3の問題を解決して可動磁石型スピーカを実現することが困難であった。特に、簡潔な構成で薄型の可動磁石型スピーカを実現することが困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、磁気回路の質量に関して定量的な指針を与えることにより効率を向上させた可動磁石型のスピーカ、およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る可動磁石型スピーカは、磁石と磁性体(例えば、実施形態における強磁性体薄板4)とからなる磁気回路を有する振動板が、音声電流が流れたボイスコイルが発生する磁界を当該磁気回路で受けることで振動して音波を発生する可動磁石型スピーカであって、前記磁気回路の合計質量が、前記振動板の振動に伴って一緒に振動する空気の質量である付加質量と前記振動板の質量との合計質量に対して0.5〜2.0倍となっている。
この場合、前記可動磁石型スピーカはフレームを備え、前記ボイスコイルは、複数に分割されてインダクタンスが低減され高音域における音声電流の低下を防止するように構成されるとともに、前記フレームにおける異なった位置にその軸方向をそろえて固定され、前記振動板が、前記フレームに対して前記ボイスコイルの軸方向に所定間隙を有して前記ボイスコイルの軸方向に振動可能に取り付けられ、前記磁気回路は、複数の前記ボイスコイルに一対一に対応させて前記振動板に複数設けられて、前記ボイスコイルと対向するように前記振動板に固定されており、前記複数の磁気回路の合計質量が、前記振動板の振動に伴って一緒に振動する空気の質量である付加質量と前記振動板の質量との合計質量に対して0.5〜2.0倍であることが好ましい。
また、前記ボイスコイルはソレノイドコイルであり、前記磁石は柱状であってその軸方向に磁化されるとともに、一方端面が前記磁性体に固着されて前記磁性体と磁気的に接続され、他方端面が前記ボイスコイルの中空部に挿入されて前記ボイスコイルと磁気的結合をするように構成されたことが好ましい。
さらに、前記磁石は、その軸方向高さをLとし直径をDとしたときに寸法比L/Dが1以上となるように形成され、前記磁性体は、前記磁石の軸方向に対して垂直な平面に沿って前記ボイスコイルの外形よりも外側に拡がっていることが好ましい。
上記目的を達成するため、本発明に係る可動磁石型スピーカの製造方法は、磁石と磁性体とからなる磁気回路を有する振動板が、音声電流が流れたボイスコイルが発生する磁界を当該磁気回路で受けることで振動して音波を発生する可動磁石型スピーカの製造方法であって、前記ボイスコイルを、複数に分割してインダクタンスを低減し高音域における音声電流の低下を防止するように形成するボイスコイル製造工程と、複数の前記ボイスコイルに一対一に対応する複数の前記磁気回路の合計質量を、前記振動板の振動に伴って一緒に振動する空気の質量である付加質量と前記振動板の質量との合計質量に対して0.5〜2.0倍となるように形成する第1の磁気回路製造工程と、前記磁石を、柱状であってその軸方向高さをLとし直径をDとしたときに寸法比L/Dが1以上となるように形成し、且つ、前記磁性体を、前記磁石の軸方向に対して垂直な平面に沿って前記ボイスコイルの外形よりも外側に拡がるように形成する第2の磁気回路製造工程とを有する。
本発明に係る可動磁石型スピーカは、磁気回路の合計質量が、付加質量と振動板の質量との合計質量に対して0.5〜2.0倍となっている。このような磁気回路の質量に関する定量的な指針を基に構成することにより、振動する部分である振動板および磁気回路の質量と、負荷たる空気との不整合を解消して効率を向上させることができる。そのため、供給された音声電流に対して、聞き取り可能な十分に大きな音を出力できる可動磁石型のスピーカを実現可能である。
なお、ボイスコイルは、複数に分割されてインダクタンスが低減され高音域における音声電流の低下を防止するように構成されたことが好ましい。上述のように従来は、効率を上げるためにボイスコイル巻線長lを増加させることで、磁束密度Bとボイスコイル巻線長lとの積を大きくしていたが、この場合、インダクタンスの増加が避けられず、高音が出難くなるという問題が発生しやすかった。これに対し、上記のようにボイスコイルを複数に分割した場合には、磁束密度Bとボイスコイル巻線長lとの積を維持しつつインダクタンスを低減できるので、高音域においてインダクタンスに起因する音声電流の低下を防止可能である。
また、磁石は柱状であってその軸方向に磁化されるとともに、一方端面が磁性体に固着されて磁性体と磁気的に接続され、他方端面がボイスコイルの中空部に挿入されて磁気的結合をするように構成されたことが好ましい。ボイスコイル6に音声電流が供給されると、中心軸上の中央部分に最も強い磁界が発生するが、上記のように構成した場合には、最も強い磁界が発生する領域に磁石の磁極が存在する開放端面を位置させることができる。そのため、最も強い磁界を磁石に作用させて振動させることにより、可動磁石型スピーカ10の効率を一層向上させることが可能である。
さらに、磁石はその寸法比が1以上に形成され、磁性体はボイスコイルの外形よりも外側に拡がっていることが好ましい。このように構成した場合、磁性体により磁石の磁力線を外方に向けて十分に誘導することができるので、例えばボイスコイルの周端部においても、この誘導された磁力線をボイスコイルと鎖交させて大きな電磁力を発生可能である。
本発明に係る可動磁石型スピーカの製造方法は、磁気回路の合計質量を、付加質量と振動板の質量との合計質量に対して0.5〜2.0倍とする第1の磁気回路製造工程と、ボイスコイルを複数に分割してインダクタンスを低減するボイスコイル製造工程と、磁石をその寸法比が1以上となるように形成し、且つ、磁性体を磁石のボイスコイルの外形よりも外側に拡がるようにする第2の磁気回路製造工程とを有する。可動磁石型スピーカは、上記三つの製造工程を経て製造されるので、ボイスコイルの磁束密度を維持しつつインダクタンスを低減させて高音域の出力を可能とし、且つ効率を向上させた可動磁石型のスピーカを実現できる。
本発明に係る可動磁石型スピーカの平面図である。 図1中のII−II部分を示す断面図である。 上記可動磁石型スピーカの効率と、質量比βとの関係を示すグラフである。なお、質量比β=磁気回路質量/付加質量を含む振動板の質量である。
以下、図面を参照ながら、本発明の一実施形態に係る可動磁石型スピーカ10について説明する。説明の便宜上、各図面に示す矢印方向を前後、左右および上下と定義して説明を行う。
まず、図1および2を参照しながら、可動磁石型スピーカ10の構成について説明する。なお、以下に説明する可動磁石型スピーカ10は、全音域を受け持ついわゆるフルレンジ型スピーカに本発明を適用した例であるが、本発明はこれに限定されず高音域を受け持ついわゆるツィーターや、低音域を受け持つウーハーにも適用可能である。
可動磁石型スピーカ10は、リング状の固定支持部20、およびこの固定支持部20の前側に取り付けられた円盤状の振動部30とから構成される。なお、固定支持部20および振動部30の形状は、上記形状に限定されるものではなく他の形状であっても良い。
固定支持部20は、リング状に形成されたフレーム3と、四個のソレノイド形のボイスコイル6と、ボイスコイル引出し線8とから構成される。フレーム3には、前後に貫通した四個のボイスコイル挿入孔7が形成されている。ボイスコイル6は、その内径が、後述する磁石5の外径よりも大きく形成されている。ボイスコイル挿入孔7の各々に、ボイスコイル6がその中心軸を前後に向けた状態で一個ずつ埋め込まれ、ボイスコイル挿入孔7に接着固定されている。この構成より、ボイスコイル6に対して前後に挿入された磁石5は、ボイスコイル6の中心軸に沿って前後に振動可能である。
また、フレーム3に埋め込まれた四個のボイスコイル6は、フレーム3の後側表面に設けられた図示しない溝に埋設されたボイスコイル引出し線8により、直列に接続されている。ボイスコイル引出し線8の端部はスピーカ入力9として外部に引き出され、このスピーカ入力9が外部の図示しない音声電流出力装置と電気接続されている。この構成により、四個のボイスコイル6の各々には、ボイスコイル引出し線8を介して同一の音声電流が供給される。
振動部30は、円盤状の振動板1、前記振動板1の周縁近傍に接着された弾性体2、前記弾性体2に隣接して設けられた強磁性体薄板4および磁石5から構成される。以下の説明において、強磁性体薄板4と磁石5とをまとめて磁気回路と称する。なお、図1および2には、上記四個のボイスコイル6に対応させて、弾性体2、強磁性体薄板4および磁石5を、それぞれ四個用いた構成としている。
振動板1は、種々の材料を用いて形成可能であるが、可動磁石型スピーカ10の効率を向上させるためには、なるべく軽量且つ振動時に変形しない材質を用いて形成されることが好ましい。弾性体2は、図2に示すように、弾性変形可能な材料を用いて円筒状に形成されており、例えば樹脂製のチューブを用いることが可能である。
この弾性体2は、振動板1とフレーム3とにより前後に挟持された状態でこれらに接着されており、すなわち、弾性体2を介してフレーム3に振動板1が取り付けられている。この弾性体2の直径に相当する厚さは、振動板1が静止した状態のときに、ボイスコイル6の中心軸上における前後方向中央部に、磁石5の開放端面が位置するように形成されている。この磁石5の開放端面は、図2では磁石5における後側端面に該当する。なお、弾性体2として、一般的なスピーカに使用される変形自在ないわゆるエッジを用いることも可能である。
強磁性体薄板4は、円盤状に形成されており、その直径はボイスコイル6の外径よりも大きく形成されている。また、強磁性体薄板4の前後厚さは、磁石5が固定された面に対して反対側の面から、磁束が漏洩しない厚さであることが望ましい。その点では、強磁性体薄板4の前後厚さは厚くするほど良いが、振動部30を軽く形成することを考慮すると極端に厚くすることは現実的でなく、最適値を選択する。このように形成される強磁性体薄板4は、振動板1の周縁近傍において弾性体2に隣接するように、振動板1の後側表面に接着されて固定されている。
磁石5は、円柱状に形成されて図2の前後方向に該当する軸方向に磁化され、前後高さ/直径で表される寸法比が略1となるように形成されている。この磁石5の前側端面の中心と強磁性体薄板4の中心とが一致するように、磁石5が強磁性体薄板4に載置されて接着固定されている。このように形成される四個の強磁性体薄板4と四個の磁石5との合計質量は、振動板1の質量と略同一に設定されている。本実施形態においては、例えば振動板1が約5g、一個の強磁性体薄板4が約0.5g、一個の磁石5が約0.75gの場合を例示している。
ここで、強磁性体薄板4および磁石5と同様に、振動板1と一緒に振動する部材として弾性体2も挙げられるが、弾性体2の全体が振動するのではないため、弾性体2の質量は無視できるものとする。なお、磁石5は、上記寸法比が略1の構成に限定されず、例えば寸法比が略1以上の構成でも良い。このような構成から、磁石5および前記磁石5に固定された振動板1は、ボイスコイル6の中心軸に沿って前後に振動できるように位置決めされている。
以上ここまでは、可動磁石型スピーカ10の構成について説明した。以下において、本発明に係る可動磁石型スピーカ10の作動について説明する。
外部からスピーカ入力9を介して音声電流が供給されると、この音声電流が、ボイスコイル引出し線8を経由してボイスコイル6のそれぞれに入力される。ボイスコイル6においては、入力された音声電流に応じた磁界が発生し、この磁界により強磁性体薄板4および磁石5に電磁力が作用する。そうすることにより、強磁性体薄板4、磁石5および振動板1が一体となって前後に振動して音波が発生する。振動板1が前方に変位すると、弾性体2は振動板1およびフレーム3に接着された状態のまま前後に伸ばされて、振動板1が図2に示す静止位置に戻るように振動板1に対して後方に戻す力を作用させる。
上述のように、音声電流が入力されてボイスコイル6に磁界が発生する際、ボイスコイル6の中心軸上の中央部分に最も強い磁界が発生するが、この位置を中心として、磁石5の磁極が存在する開放端面を前後に振動させる構成となっている。そのため、可動磁石型スピーカ10の効率を向上させることが可能である。
従来の可動線輪型スピーカにおいては、振動側にボイスコイルが取り付けられた構造上、ボイスコイルで発生したジュール熱を効率良く放熱することが困難であった。これに対し、本発明を適用した可動磁石型スピーカ10においては、ボイスコイル6で発生したジュール熱は、ボイスコイル6の外周部を囲んで密着したフレーム3に伝達されて放熱されるので、ボイスコイル6が高温に晒されることを防止できる。さらに、熱伝達率の高い素材を用いてフレーム3を形成することにより、一層効率良くフレーム3へ熱を伝達して放熱可能である。
また、従来の可動線輪型スピーカにおいては、背景技術で述べたように錦糸線が切れる虞があったが、可動磁石型スピーカ10ではそのような事態が発生せず、断線に伴う故障を低減して安定した作動が確保されている。さらに、従来の可動線輪型スピーカでは、比較的大きな磁石が必要とされるが、可動磁石型スピーカ10では磁気回路が小型に構成されて省資源化が図られており、この点において環境に配慮した構成となっている。
以上ここまでは、可動磁石型スピーカ10の作動について説明した。以下において、本発明に係る可動磁石型スピーカ10の三つの特徴構成について詳しく説明する。
まず、可動磁石型スピーカ10の第1の特徴構成について説明する。以下に述べる第1の特徴構成は、磁気回路が上述した強磁性体薄板4と磁石5から構成されている点であり、この構成による効果についても併せて説明する。
可動磁石型スピーカ10において用いられる磁石5は、上述したように寸法比1以上の柱状磁石であるため、非特許文献2における2.3.1の単体磁石の項の解説によれば、3以上のパーミアンス係数が得られる。この結果、例えば残留磁束密度1Tの希土類磁石を使用すれば、0.7T以上の動作点磁束密度を得ることができる。ただし、表面磁束密度はこれより低い。可動磁石型スピーカ10においては、質量に関する条件から大型の強磁性体薄板4を用いて磁束収束を十分に行うことが困難なので、このように磁石5単体で高い磁束密度が得られる形状が適している。
また、可動磁石型スピーカ10における振動板1の最大振幅は、その構造上、磁石5の前後高さ程度に限定されるが、同一体積で前後高さを大きく形成した寸法比1以上の磁石5を用いることにより、十分な最大振幅を確保可能である。さらに、可動磁石型スピーカ10の磁気回路は、単体の磁石5に対して継鉄である強磁性体薄板4を加えた構成となっているため、一層高い磁束密度を得ることが可能である。
また、可動磁石型スピーカ10においては、磁気回路の発生する磁力線のうち磁石5の径方向に向けて放射状に伸びる成分だけがボイスコイル6と鎖交して、図2の前後方向に該当する軸方向の電磁力を発生させる。したがって、強磁性体薄板4の形状は、磁石5における径方向に向いた磁力線をより多く発生させ、大きな電磁力を発生させる形状が効率の観点から望ましい。この点を考慮して、可動磁石型スピーカ10においては、強磁性体薄板4の直径が、ボイスコイル6の外径よりも大きく形成されている。これにより、磁力線を磁石5の径方向に十分に誘導することができるので、例えばボイスコイル6の周端部においても、この誘導された十分な磁力線をボイスコイル6と鎖交させて大きな電磁力を発生可能である。
さらに、可動磁石型スピーカ10においては、強磁性体薄板4が薄板状に形成されているため、この強磁性体薄板4を振動板1に固定したときに、磁石5の周囲において前後方向に突起する構成物がない。そのため、磁石5の周囲の空間に、フレーム3およびボイスコイル6を密集させた配置が可能となる。また、上述したように、ボイスコイル6をフレーム3に埋め込んだ構成となっているが、強磁性体薄板4が薄板状に形成されているので、振動板1が振動したときにフレーム3と強磁性体薄板4とが干渉する虞がない。このため、フレーム3を平板状に形成することができて、可動磁石型スピーカ10全体を振動方向である前後方向に容易に薄型化可能である。
また、可動磁石型スピーカ10においては、強磁性体薄板4により磁力線を磁石5の径方向に十分に誘導することができる構成となっているので、従来の構成と比較して磁石5とボイスコイル6との隙間を大きく設定した場合でも、十分な効率を確保可能である。このように、磁石5とボイスコイル6との隙間を大きく設定すると、可動磁石型スピーカ10のメンテナンス作業が行いやすくなる。
以上、可動磁石型スピーカ10の第1の特徴構成について説明した。次に、可動磁石型スピーカ10の第2の特徴構成について説明する。
以下に述べる第2の特徴構成は、磁気回路の合計質量を、振動板1の振動に伴って一緒に振動する空気の質量である付加質量と振動板1の質量との合計質量に対して、0.5倍以上〜2.0倍以下となるように構成している点であり、この構成による効果についても併せて説明する。本実施形態では、1.0倍となるように構成している。なお、付加質量とは、振動板1と接する略半球領域の空気の質量であり、振動板1の半径の3乗に比例する量である。
まず、振動板1に固定されているのは、ボイスコイルではなく磁気回路であるから、数1において、ボイスコイル質量mを磁気回路質量mに置き換える必要がある。この置き換えを行うことで、可動磁石型スピーカ10の効率ηは、数4で表される。
Figure 0004875733
ここで、磁気回路質量mの最適値を見つけるためには、ボイスコイル巻線長lと磁気回路質量mとの関係を導入する必要がある。この関係は、従来の可動線輪型スピーカにおけるボイスコイル巻線長lとボイスコイル質量mとの関係ほど自明ではないが、次のように考えることができる。もし、軽量且つボイスコイルに高磁束密度を鎖交可能な磁気回路、およびボイスコイルの最適形状が決定されたとすると、この磁気回路およびボイスコイルの大きさを変更しようとする時、これらの相似関係を保ったまま寸法を拡大あるいは縮小すれば、最適形状が保たれて磁束密度が減少しない望ましい結果が得られる。
上記において述べたことは、現在一般に市販されて主流となっている可動線輪型スピーカにおける磁気回路とボイスコイルとが、そのサイズの大小に関らずほぼ相似形であることからも分かる。なお、上記のように磁気回路およびボイスコイルの大きさを、相似関係を保ったまま変更する方法に代えて、同一寸法の磁気回路とボイスコイルとの対を複数個設ける方法も可能である。この方法を採用した場合も、最適形状は保たれて磁束密度は変化しない。
上記のいずれの方法を採用したとしても、磁気回路の質量とボイスコイルの質量とは比例関係にある。そこで、αを比例定数とし、磁気回路質量mを数5のように表すことができる。
Figure 0004875733
数5の関係を用いて、数4からボイスコイル巻線長lを消去することで、数6が得られる。
Figure 0004875733
数6は、数2におけるボイスコイル質量mを磁気回路質量mに単純に置き換えただけではなく、分母に磁気回路とボイスコイルとの質量比αを含んでいることに注意すべきである。この数6は、より軽量で高磁束密度の磁石を使うことによって、または、数5に示す関係より一定質量の磁気回路に対してはボイスコイル質量mを増大させることによって、効率ηを向上可能であることを示している。そして、可動磁石型スピーカ10の最大効率は、数6の効率ηを磁気回路質量mで偏微分して得られた式の値が零となる時であり、すなわち数7に示す時である。
Figure 0004875733
すなわち、可動磁石型スピーカ10においては、磁気回路質量mと、付加質量を含む磁気回路以外の振動系質量とが等しい時に最大効率が得られる。この可動磁石型スピーカ10において、磁気回路以外の振動系の質量は、ほぼ振動板1の質量である。したがって、磁気回路の合計質量を、付加質量を含む振動板1の質量と等しくすることによって、最大効率を得ることができる。ここで、付加質量を含む振動板1の質量をM、磁気回路の合計質量とMとの比をβ、すなわち、m+2Ms=M、m=βMと置いて数6を変形すると、数8が得られる。
Figure 0004875733
さらに、数8において、付加質量を含む振動板1の質量と磁気回路の合計質量とが等しい、つまりβ=1におけるηの最大値をηmaxと置くと、数9が得られる。
Figure 0004875733
図3に、数9に示すη/ηmaxとβとの関係を表す。この図3から分かるように、0.5≦β≦2の範囲においてη/ηmax>0.888が得られる。すなわち、磁気回路の合計質量が、付加質量を含む振動板1の質量の0.5倍以上〜2.0倍以下の範囲であれば、最大効率の88.8%を上回る効率を得ることができる。
可動磁石型スピーカ10において、磁気回路以外の振動系の質量をほぼ振動板1の質量と見なすことができるとすると、上述したように、付加質量を含む振動板1が約5g、一個の強磁性体薄板4が約0.5g、一個の磁石5が約0.75gなので、付加質量を含む振動板1の質量M=約5g、磁気回路質量m=(0.5+0.75)×4=約5gとなっている。すなわち、可動磁石型スピーカ10はβ=1の最大効率となっていて、供給された音声電流に対して聞き取り可能な十分に大きな音を出力できる。
以上、可動磁石型スピーカ10の第2の特徴構成について説明した。次に、可動磁石型スピーカ10の第3の特徴構成について説明する。以下に述べる第3の特徴構成は、磁気回路とボイスコイル6とを対応させた対を複数設けた点であり、この構成による効果についても併せて説明する。
上述した第2の特徴構成の通り、磁気回路の合計質量には最適値があり、その条件を満足させつつ磁気回路およびボイスコイルを複数設けることは、これらを分割して設けることに他ならない。ここでは、ボイスコイルを複数に分割するとともに、分割されたボイスコイル同士を電気接続することによって、ボイスコイルのインダクタンスを低減できることについて、以下に詳しく説明する。
可動磁石型スピーカ10におけるボイスコイル6はソレノイド形コイルであるが、ソレノイド形コイルのインダクタンスLは、 ソレノイドの直径と軸方向長さとの比で決まる長岡係数をK、空間の定数である透磁率をμ、ソレノイド断面積をA、巻数をn、軸方向長さをlとしたとき、数10で表されることが知られている。
Figure 0004875733
ここで、ソレノイド形コイルにおいて、ソレノイドの直径および軸方向長さだけでなく、巻線の直径および巻線の長さを含んだすべての構成要素の寸法を「総合寸法」と定義する。すなわち、この総合寸法を変更することにより、相似関係を保持したままコイルを拡大または縮小できる。コイルの形状を一定とした場合、インダクタンスLがコイルの総合寸法に比例することは物理学の教えるところであるし、数10からも確認できる。すなわち、ソレノイド断面積Aは総合寸法の2乗に比例し、軸方向長さlは総合寸法の1乗に比例し、透磁率μ、長岡係数Kおよび巻数nは総合寸法の零乗に比例する。したがって、全体としてインダクタンスLは、総合寸法の1乗に比例する。
ここで、ボイスコイルの巻線径を変更することなく巻線長を半分にした場合を考えてみると、ボイスコイル巻線の体積は半分になる。一方、ボイスコイル全体の形状を変更することなくボイスコイル巻線の体積を半分にするためには、上記の総合寸法を0.51/3=0.7937倍にすればよい。こうすると、巻数が元と同一であっても、インダクタンスLは0.7939倍になることが上述の理論から導かれる。上記においては、巻線径を変更することなく巻線長を半分にした場合を仮定したので、巻数は、巻線長/ソレノイド周長=0.5/0.7937=0.63倍に変更される。そうすると、インダクタンスLは、総合寸法の因子にさらに巻数の2乗が掛かるので、0.7937×0.632=0.315倍になる。
このようにして形成された元のボイスコイルに対して巻線長が半分となった二個のボイスコイルを、互いの磁気的結合が無視できる距離まで離して直列に繋ぐと、全体のインダクタンスLは各ボイスコイルコイルのインダクタンスの和になる。すなわち、二個に分割する前の当初のインダクタンスLに対して、0.315×2=0.63倍に減少する。
上記のようにボイスコイルの構成を変更するとき、元の電線を同じ長さに2分割して直列に繋いだのだから、ボイスコイル全体の電気抵抗は分割前と同一である。各ボイスコイルは、その形状を変更することなく相似関係を保ったまま体積が半分になっているので、各ボイスコイルに対して分割前と同一の磁束密度を鎖交させるために必要な磁気回路も、形状を変更することなく相似形を保ったまま0.7937倍に縮小することで体積を半分にできる。
このように、体積が半分の磁気回路を二個用いるため、全体として磁気回路の合計質量は変わらない。すなわち、ボイスコイルおよび磁気回路のそれぞれについて、体積および質量に関しての総和を変えることなく分割し互いを離して位置させることで、磁束密度Bとボイスコイル巻線長lとの積、および電気抵抗は分割前の値のままインダクタンスLを減少させることができる。
上記の説明では、2分割した場合を例示して説明したが、同様にして分割数をさらに増やすことで、インダクタンスLを際限なく低減できることは明らかである。例えば、2分割したボイスコイルのそれぞれを、さらに2分割して結果的に4分割とすれば、インダクタンスLは元の値に対して0.63×0.63=0.3969倍に減少させることができる。
したがって、例えば分割前の一個のボイスコイルの時に、電気抵抗が8ΩでインダクタンスLが1mHであったとすると、この構成ではインダクタンスLが大き過ぎて高音の出力が十分ではなく、実用的ではないと判断される場合がある。これに対し、可動磁石型スピーカ10では、ボイスコイルを四個に分割して接続することにより、インダクタンスLを0.3969mHに減少させて高音の出力に支障の無い値とすることができる。もし仮に、このインダクタンスLでも高音の出力に支障がある場合には、さらに分割数を増やすことで対応可能である。
上述の説明では、ボイスコイル巻線径を変更することなく巻線長を半分にした場合を考えたが、以下において、ボイスコイル巻線長を変更することなく巻線断面積を半分にした場合を考えてみる。これは、巻線径を0.51/2=0.7071倍にしたことに相当し、この場合もボイスコイル巻線の体積は半分になる。したがって、上述の例と同様に、ボイスコイル全体の総合寸法を0.7937倍にした後、巻数が、巻線長/ソレノイド周長=1/0.7937=1.26倍に変更されたと考えると、インダクタンスLは総合寸法の因子にさらに巻数の2乗が掛かるので、0.7937×1.262=1.26倍になる。このようにして形成された巻線断面積が半分の二個のボイスコイルを、互いの磁気的結合が無視できる距離まで離して並列に繋ぐと、全体のインダクタンスLは各ボイスコイルのインダクタンスの半分となる。なわち、当初のインダクタンスLに対して、1.26/2=0.63倍に低減できる。
このように、ボイスコイルの巻線断面積を変更した場合、元の電線を断面積半分にして並列に繋いだのであるから、電気抵抗は元の値と変わらない。各ボイスコイルは、その形状を変えずに相似関係を保ったまま体積が半分になっているので、各ボイスコイルに元と同一の磁束密度を鎖交させるために必要な磁気回路も、形状を変更することなく相似形を保ったまま0.7937倍に縮小することで体積を半分にできる。このように、体積が半分の磁気回路を二個用いるため、全体として磁気回路の合計質量は変わらない。
また、上記のように、ボイスコイルを並列に分割した場合、分割した各ボイスコイルにおける磁束密度Bとボイスコイル巻線長lとの積は、分割前と同一の値となる。しかし、これらを並列接続すると、各巻線には分割前の半分の音声電流しか流れない。したがって、各ボイスコイルの、磁束密度Bとボイスコイル巻線長lとの積への実質的な寄与は分割前の半分であり、二個のボイスコイルを並列に接続することにより、磁束密度Bとボイスコイル巻線長lとの積は、分割前と同一となる。
以上説明したように、ボイスコイルを直列に分割した場合であっても、並列に分割した場合であっても、どちらの場合も同様にインダクタンスLを低減させることができる。当然ながら、直列と並列とを組み合せた場合も、同様の効果が得られる。
可動磁石型スピーカ10においては、上述したようにして、ボイスコイル6を相似関係を保ったまま四個に分割することでボイスコイル6全体のインダクタンスを低減させ、高音域の出力時におけるボイスコイル6に供給される音声電流の低下を防止している。言い換えれば、高音域の出力に支障とならないように、ボイスコイル6を分割してインダクタンスを低減させている。そのため、インダクタンスに起因する高音域の出力低下が回避できる構成となっている。なお、上記においてはボイスコイル6を四個に分割した構成を例示しているが、どの周波数の高音までを十分に出力できる構成とするか等の設計項目や、ボイスコイル6の特性等に応じて分割個数が決定される。
また、上述の実施形態において、円柱形状の磁石5を例示して説明したが、この構成に限定されない。磁石5に代えて例えば断面が矩形となった四角柱の磁石を用いるとともに、ボイスコイル6に代えて内部空間が当該磁石の外形に対応させて四角柱状に形成されたボイスコイルを用いて構成しても良い。このときの寸法比は、軸方向寸法と、当該磁石の断面積を同一面積の円で置き換えた等価直径との比で表される。
1 振動板
2 弾性体
3 フレーム
4 強磁性体薄板
5 磁石
6 ボイスコイル
7 ボイスコイル挿入孔
8 ボイスコイル引出し線
9 スピーカ入力
10 可動磁石型スピーカ
20 固定支持部
30 振動部

Claims (5)

  1. 磁石と磁性体とからなる磁気回路を有する振動板が、音声電流が流れたボイスコイルが発生する磁界を当該磁気回路で受けることで振動して音波を発生する可動磁石型スピーカであって、
    前記磁気回路の合計質量が、前記振動板の振動に伴って一緒に振動する空気の質量である付加質量と前記振動板の質量との合計質量に対して0.5〜2.0倍であることを特徴とする可動磁石型スピーカ。
  2. 前記可動磁石型スピーカはフレームを備え、
    前記ボイスコイルは、複数に分割されてインダクタンスが低減され高音域における音声電流の低下を防止するように構成されるとともに、前記フレームにおける異なった位置にその軸方向をそろえて固定され、
    前記振動板が、前記フレームに対して前記ボイスコイルの軸方向に所定間隙を有して前記ボイスコイルの軸方向に振動可能に取り付けられ、
    前記磁気回路は、複数の前記ボイスコイルに一対一に対応させて前記振動板に複数設けられて、前記ボイスコイルと対向するように前記振動板に固定されており、
    前記複数の磁気回路の合計質量が、前記振動板の振動に伴って一緒に振動する空気の質量である付加質量と前記振動板の質量との合計質量に対して0.5〜2.0倍であることを特徴とする請求項1に記載の可動磁石型スピーカ。
  3. 前記ボイスコイルはソレノイドコイルであり、
    前記磁石は柱状であってその軸方向に磁化されるとともに、一方端面が前記磁性体に固着されて前記磁性体と磁気的に接続され、他方端面が前記ボイスコイルの中空部に挿入されて前記ボイスコイルと磁気的結合をするように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の可動磁石型スピーカ。
  4. 前記磁石は、その軸方向高さをLとし直径をDとしたときに寸法比L/Dが1以上となるように形成され、
    前記磁性体は、前記磁石の軸方向に対して垂直な平面に沿って前記ボイスコイルの外形よりも外側に拡がっていることを特徴とする請求項3に記載の可動磁石型スピーカ。
  5. 磁石と磁性体とからなる磁気回路を有する振動板が、音声電流が流れたボイスコイルが発生する磁界を当該磁気回路で受けることで振動して音波を発生する可動磁石型スピーカの製造方法であって、
    前記ボイスコイルを、複数に分割してインダクタンスを低減し高音域における音声電流の低下を防止するように形成するボイスコイル製造工程と、
    複数の前記ボイスコイルに一対一に対応する複数の前記磁気回路の合計質量を、前記振動板の振動に伴って一緒に振動する空気の質量である付加質量と前記振動板の質量との合計質量に対して0.5〜2.0倍となるように形成する第1の磁気回路製造工程と、
    前記磁石を、柱状であってその軸方向高さをLとし直径をDとしたときに寸法比L/Dが1以上となるように形成し、且つ、前記磁性体を、前記磁石の軸方向に対して垂直な平面に沿って前記ボイスコイルの外形よりも外側に拡がるように形成する第2の磁気回路製造工程とを有することを特徴とする可動磁石型スピーカの製造方法。
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