JP4874376B2 - Dna配列情報解析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、遺伝子の配列情報を解析するための装置に関する。
従来、遺伝子配列を解析する方法としては、ゲノムDNAを制限酵素などによって断片化し、クローニングしたDNAを鋳型としてDNAポリメラーゼなどの酵素により蛍光標識塩基を取り込ませたDNA鎖を作製し、電気泳動によって、A、T、G、Cそれぞれの塩基についての電気泳動パターンを求め塩基配列を解析する方法が広く用いられている。
また、最近では、数多くの既知の配列のオリゴヌクレオチドやcDNAなどを基板上に固定し、クローニングした試料DNAを反応させ、特異吸着の起きたことを検知することで、試料DNA中に存在する塩基配列を推測するDNAチップと呼ばれる方法も開発されている。
この他、DNAを解析する技術としては、Fluorescence in situ Hybridization 法によって、試料DNAに対してプローブDNAが、ハイブリダイズした状態を蛍光顕微鏡で観察することが、試みられている(例えば、非特許文献1参照。)。
Holmes-Davis et al著、「Trends in Plant Science 3(1999)91」、p.91
電気泳動法による遺伝子解析およびDNAチップによる遺伝子解析法における問題点としては、解析操作の複雑さが挙げられる。すなわち、この方法によると、ゲノムDNAを断片化し、いくつもの工程を経てクローニングし、得られた膨大な数のクローンの塩基配列を解析するという作業を行う必要がある。さらに、解析から得られる塩基配列データは染色体上での位置情報を持たないため、目的塩基配列の位置を特定するには、それぞれの塩基配列を基に、様々なアルゴリズムによりクローンをつなぎ合わせていくという処理が必要であり、多くの時間と情報処理能力が要求されていた。
これは、試料DNAの準備に手間がかかり、損傷DNAなどのクローニングのできないDNA試料の解析には適用できないという問題がある。また、解析が複雑になる点も問題としてあげられる。
これに対して、Fluorescence in situ Hybridization 法は、断片化していないDNA試料の配列情報を解析する方法として、工程も少なく、情報をつなぎ合わせる操作も不要で、きわめて有効な方法である。しかし、これまでの蛍光顕微鏡による観察法では、分解能がせいぜい500nm程度であり、1.5kbp程度の分解能でしか解析ができないという課題を有している。
遺伝子地図の構築は、遺伝子操作技術において、その対象となる遺伝子部位を特定するという点できわめて重要な部分を占める。したがって、迅速かつ、効率よく、高精度に遺伝子地図を構築する手法の開発が、強く望まれている。
このFluorescence in situ Hybridization 法の課題を解決する方法として、特開2001-165840に開示されているように、測定対象のDNA鎖に含まれる特定遺伝子配列の位置を求める方法において、測定対象DNA鎖およびプローブ分子を用い、DNA特異結合操作、固定・伸張操作、探針による検出操作からなる遺伝子解析方法 、および、DNA固定操作、特異結合操作、伸張操作、探針による検出操作からなる遺伝子解析方法、および、DNA固定・伸張操作、特異結合操作、探針による検出操作からなる遺伝子解析方法によって、分解能と精度の高い遺伝子配列の解析を実現することが可能であるが、さらにこのような遺伝子解析方法において、複数の標識の識別を可能にして、遺伝子の相対的な位置を明確に求める必要がある。
このためには、複数の標識で標識した試料を観察することが必要であるが、ダイクロイックミラーなどを組み合わせた光学フィルターによって蛍光を分離して同時観察を行う場合は、せいぜい2つの波長成分を観察するのが限界である。さらに、複数の波長成分を観察する場合には、フィルターを交換して、何度かに分けて観察する必要があるが、ナノメートルレベルの観察では、同時に観察を行わないと位置ずれの影響が大きく測定精度に影響してしまう。
本発明では、このような遺伝子解析方法において、複数の標識の識別を可能にして、遺伝子の相対的または絶対的な位置を明確に求めるために、蛍光標識したDNAプローブあるいはPNAプローブを結合させた検査対象DNAを蛍光観察によって、そのDNAプローブあるいはPNAプローブの結合位置を検出し、特定DNA配列のマッピングを行う方法において、先端部分に局在した光の場を発生可能な光プローブによって、検査対象DNA試料を2次元走査し、光プローブ先端に近接した試料表面からから放射される蛍光を検出し、試料の2次元イメージを取得する際に、前記放射される蛍光を分光器を介してCCDイメージ検出器に投影するとともに、CCDイメージ検出器上の任意の波長成分をCCDイメージ検出器のゲート時間毎に取得することによって、2次元走査に対応した2次元蛍光イメージを構成し、この2次元蛍光イメージをもとに特定DNA配列のマッピングを十〜数十ナノメートルレベルの分解能で行うことを特徴とするDNA配列情報解析法である。
特に、検査対象DNAを蛍光波長の異なる複数の蛍光色素で標識する場合には、2次元蛍光イメージの取得の際に、前記CCDイメージ検出器において、任意の波長成分を少なくとも2つ以上選択し、複数の2次元蛍光イメージを同時に取得して、この複数の2次元蛍光イメージをもとに複数の特定DNA配列のマッピングを行う。
また、プローブのDNA上の絶対位置を検出するため、検査対象DNAをDNA全体を染色する蛍光色素で染色し、DNA全体の2次元蛍光イメージとDNAプローブあるいはPNAプローブ標識の2次元蛍光イメージを同時に取得することによって、検査対象DNA上の前記プローブの絶対位置を検出可能とする。さらに、2次元蛍光イメージと同時に、2次元形状イメージを同時に取得し、検査対象DNA上の前記プローブの絶対位置を検出可能とする。
より具体的な手順として、前記DNA配列情報解析法の手順を(1)検査対象DNAの蛍光標識したDNAプローブあるいはPNAプローブによる標識操作、(2)標識した検査対象DNAを基板に固定する固定操作、(3)先端部分に局在した光の場を発生可能な光プローブによって検査対象DNA試料を2次元走査し、光プローブ先端に近接した試料表面からから放射される蛍光を検出し2次元イメージを取得する際に放射される蛍光について、分光器を介してCCDイメージ検出器に投影するとともに、CCDイメージ検出器上の任意の波長成分をCCDイメージ検出器のゲート時間毎に取得し2次元蛍光イメージを取得する測定操作、(4)2次元蛍光イメージからプローブ間の位置関係またはDNA全体の中のプローブの位置を取得するデータ処理操作、の順に実施する。
本発明では、複数選択された波長の範囲が、相互に波長範囲を制約せずに設定し、重なり合った波長範囲を選択して、複数の蛍光色素成分を合成した蛍光イメージを同時に表示する画像や個々に表示する画像をそれぞれ同時に取得することによって、蛍光波長の重なり合う色素についても測定イメージの画像処理によって分析を行うことを可能にする。また、複数選択された波長の範囲として、一定間隔の波長範囲を選択することによって、細かな波長範囲ごとの蛍光イメージを取得して、スペクトル情報の評価も可能にする。
遺伝子操作技術において有用となる、迅速かつ、効率よく、高精度に遺伝子地図を構築する手法として、測定対象のDNA鎖に含まれる特定遺伝子配列の位置を求める方法において、測定対象DNA鎖およびプローブ分子を用い、DNA特異結合操作、固定・伸張操作、探針による検出操作からなる遺伝子解析方法をさらに発展させ、複数の標識の識別を可能にして、遺伝子の相対的な位置を明確に求めるための装置を提供できるようになる。
本発明のDNA配列情報解析法の実施手順を示す図である。 本発明のDNA配列情報解析法の実施手順のうち、検査対象DNAが染色体の場合の説明図である。 本発明のDNA配列情報解析法で使用する測定系の構成図である。 本発明のDNA配列情報解析法を実施した結果として得られた染色体の観察例を示す図である。 本発明のDNA配列情報解析法を実施した結果として得られた染色体の観察例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照し説明する。
図1は、本発明のDNA配列情報解析法の実施の手順を示したものであり、
(a)検査対象DNAの蛍光標識したDNAプローブあるいはPNAプローブによる標識操作、(b)標識した検査対象DNAを基板に固定する固定操作、(c)先端部分に局在した光の場を発生可能な光プローブによって検査対象DNA試料を2次元走査し、光プローブ先端に近接した試料表面からから放射される蛍光を検出し2次元イメージを取得する際に放射される蛍光について、分光器を介してCCDイメージ検出器に投影するとともに、CCDイメージ検出器上の任意の波長成分をCCDイメージ検出器のゲート時間毎に取得し2次元蛍光イメージを取得する測定操作、(d)2次元蛍光イメージからプローブ間の位置関係またはDNA全体の中のプローブの位置を取得するデータ処理操作、の順に実施される。
図1で“a”で示す標識操作では、蛍光標識したプローブ101と検査対象DNA102を反応させて、蛍光標識したプローブが特異的な位置に結合した検査対象DNA103を得る。
次に、固定操作“b”によって、基板104上に検査対象DNAを固定するが、検査対象DNAの拡大図105で示すように、DNAが折り重ならずに望ましくは直線的に固定する。
さらに、測定操作“c”では、先端部分に局在した光の場を有するプローブ111を検査対象DNAを固定した試料112に近接させ、表面から放射される光を光学系113によって集光し、分光器114を介することで、前記試料112表面からの光に含まれるスペクトルを2次元イメージセンサ115に投影して、任意のスペクトルに対応する光強度をプローブの2次元走査に対応して取得する。これによって、検査対象DNAの形状イメージ121、蛍光イメージ122,123,124を得ることができる。ここで、蛍光イメージ122は、検査対象DNA全体を染色した蛍光色素のイメージであり、蛍光イメージ123,124は、プローブに標識した蛍光のイメージである。
このようにして測定したデータをもとに、データ処理操作“d”においては、例えば合成画像125を元にして、プローブの検査対象DNA中における絶対位置を末端からの距離126によって求めたり、プローブ間の相対的な位置を相対距離127によって求めたりすることができる。
このように、標識操作において、検査対象DNAを蛍光波長の異なる複数の蛍光色素で標識することによって、測定操作における2次元蛍光イメージの取得の際に、前記CCDイメージ検出器において、任意の波長成分を少なくとも2つ以上選択し、複数の2次元蛍光イメージを同時に取得して、この複数の2次元蛍光イメージをもとに複数の特定DNA配列のマッピングを行うことができる。
また、図1で示したように、プローブのDNA上の絶対位置を検出するため、標識操作において検査対象DNAをDNA全体を染色する蛍光色素で染色し、測定操作においてDNA全体の2次元蛍光イメージとDNAプローブあるいはPNAプローブ標識の2次元蛍光イメージを同時に取得することによって、検査対象DNA上の前記プローブの絶対位置を検出することができる。
さらに、図1で示したように、測定操作において、2次元蛍光イメージと同時に、2次元形状イメージを同時に取得し、検査対象DNA上のプローブの絶対位置を検出することができる。
図2は、検査対象DNAが、染色体の場合について、標識操作と、測定操作の結果についての説明を示したものである。
標識操作では、検査対象染色体201に対して、標識操作“a”を施すことによって、標識染色体202が得られる。さらに、標識操作“b”を施すことによって、標識染色体203が得られる。
次に、このように標識操作を行った検査対象染色体の測定操作の結果では、形状イメージ204と蛍光イメージ205,206を得ることができる。これらのイメージを処理することによって、標識位置を求めることができる。
図3は、本発明のDNA配列情報解析法で使用する測定系の詳細を示したものである。図3において、先端部分に局在した光の場を有する光学プローブ311と、その光学プローブ311の先端と試料の間を近接した距離に制御するためのプローブ位置検出手段312、微動手段313および制御手段314と、前記プローブを試料表面上で2次元的に走査する走査手段315と、前記局在した光の場を発生するための光源316と、プローブ311先端に近接した試料321表面から放射される光を集光するための集光光学系317と、データ収集手段318とを有し、さらに、分光器322、2次元イメージセンサ319および画像信号処理手段320を有している。ここで、分光器322によって前記試料321表面からの光に含まれるスペクトルを2次元イメージセンサ319に投影することができ、スペクトルイメージをリアルタイムで取得し、画像信号処理手段320により前記2次元イメージの中の任意の波長の光信号を選択して取得することが可能になっている。
このような構成によって、複数選択された波長の範囲が、相互に波長範囲を制約しないで、蛍光イメージを取得することができ、複数の蛍光色素成分を合成した蛍光イメージを同時に表示する画像や個々に表示する画像をそれぞれ同時に取得することができる。同様に、複数選択された波長の範囲として、一定間隔の細かな波長範囲を選択することも可能であり、細分化して2次元画像化してスペクトル情報を評価することも可能である。
検出対象DNAを、染色体上のバンド構造とすることもできる。図4は、本発明のDNA配列情報解析法を実施した結果として得られた染色体の観察例である。図4の染色体は、大麦の染色体で、染色体のバンド部分をYOYO−1、全体をCy3で染色した試料を観察した結果であり、形状像(図4a)と同時に、520nmから550nmの蛍光イメージ(図4b)、560nmから620nmの蛍光イメージ(図4c)を示している。それぞれ、YOYO−1、Cy3の色素に対応した波長であり、複数の色素を同時に識別して観察できることが確認できた。同様に、図5は、形状像(図5a)と同時に、520nmから620nmの蛍光イメージ(図5b)、520nmから550nmの蛍光イメージ(図5c)、560nmから620nmの蛍光イメージ(図5d)を示している。ここでは、選択された波長の範囲が、相互に波長範囲を制約せず、独立に設定した例を示したものである。
111 プローブ
112 試料
113 光学系
114 分光器
115 2次元イメージセンサ
121 検査対象DNAの形状イメージ
122,123,124 蛍光イメージ
125 合成画像
126 末端からの距離
127 相対距離
201 検査対象染色体
202、203 標識染色体
204 形状イメージ
205,206 蛍光イメージ
311 先端部分に局在した光の場を有する光学プローブ
312 位置検出手段
313 微動手段
314 制御手段
315 走査手段
316 光源
317 集光光学系
318 データ収集手段
319 2次元イメージセンサ
320 画像信号処理手段
321 試料
322 分光器

Claims (6)

  1. 光源と、
    前記光源から発生した光を導入し、先端部分に局在化した光の場を発生させる光プローブと、
    前記先端部分で、検査対象DNAと、前記検査対象DNAに結合させた蛍光標識したDNAプローブあるいはPNAプローブと、からなる試料の表面上を2次元走査する走査手段と、
    前記2次元走査中の前記先端部分の位置を検出するプローブ位置検出手段と、
    前記プローブ位置検出手段により前記先端部分と前記試料との距離を近接した距離に制御する制御手段と、
    前記2次元走査した前記試料の表面から放射される光を集光する集光光学系と、
    前記集光した光を分光する分光器と、
    前記分光された光に含まれるスペクトルを投影さるCCDイメージ検出器と、
    前記スペクトルの中から2次元蛍光イメージを構成するための波長の範囲を選択し、CCDイメージ検出器のゲート時間を設定することによって、前記波長の範囲の波長成分を前記2次元走査と同時に取得する画像信号処理手段と、
    取得した前記波長の範囲の波長成分のデータを収集するとともに、前記波長成分から前記2次元蛍光イメージを構成するデータ収集手段と、
    を備えることを特徴とするDNA配列情報解析装置。
  2. 前記画像信号処理手段が、前記スペクトルの中から前記2次元蛍光イメージを構成するための波長の範囲を少なくとも2つ以上選択し、前記CCDイメージ検出器のゲート時間を設定することによって、前記2次元走査と同時に前記CCDイメージ検出器上の前記少なくとも2つ以上選択した波長の範囲の波長成分を取得するとともに、
    前記データ収集手段が、前記少なくとも2つ以上選択した波長の範囲の波長成分から複数の前記2次元蛍光イメージを同時に構成することを特徴とする請求項1に記載のDNA配列情報解析装置。
  3. 前記データ収集手段が、蛍光色素で染色された前記検査対象DNA全体の2次元蛍光イメージと、前記DNAプローブあるいは前記PNAプローブの標識の2次元蛍光イメージと、を同時に構成することによって、前記DNAプローブあるいは前記PNAプローブの絶対位置を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のDNA配列情報解析装置。
  4. 前記データ収集手段が、前記2次元蛍光イメージと同時に、前記先端部分の位置により構成された2次元形状イメージを取得し、前記DNAプローブあるいは前記PNAプローブの絶対位置を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のDNA配列情報解析装置。
  5. 前記画像信号処理手段が、前記少なくとも2つ以上選択した波長の範囲を、独立に選択することを特徴とする請求項2に記載のDNA配列情報解析装置。
  6. 前記画像信号処理手段が、前記少なくとも2つ以上選択した波長の範囲を、相互に一定間隔を置いて選択することを特徴とする請求項2に記載のDNA配列情報解析装置。
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