JP4874144B2 - 繊維板の溶着方法および繊維板 - Google Patents

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この発明は繊維板の溶着方法および繊維板に関する。繊維板は、廃繊維製品類から回収した繊維を再利用して製造したボードで、木製のボード(単板または合板)の代用品として、土木・建築・家具・物流・梱包等々用の資材さらには自動車部品等として利用することができる。
木製のボードは現場施工性に富み、釘または接着剤を使用することによりさらなる構造体を構成することができる。その一方で、耐水性・耐腐食性・断熱性・防音性・物理的強度等を確保した土木・建築用資材が要求される中、衝撃エネルギー・耐震性等に富んだ資材が求められている。カーテン・カーペット・衣類等の繊維製品は、肌触り・デザイン性等に配慮した製品構成とするため、ウール・コットン・ナイロン・ポリエステル等が混紡される。このようにさまざまな素材が混紡された廃繊維製品類は、分離・分別が困難なことから廃棄物として焼却処分に委ねられている。
特開平8−138819号公報 特開平8−531942号公報 国際公開パンフレットPCT/JP97/02289
高周波を利用してプラスチックを溶着する技術は種々知られている。しかし、いずれもプラスチック素材が予め特定されていることが前提となる。ナイロン・ポリエステル・ウール等の雑多種類が混在した廃繊維を素材とした繊維板の場合、自己溶着または通常の相溶化剤が機能せず、そのため、高周波誘電加熱やマイクロ波加熱を試みるも、冷却と共に剥離または分離してしまう。
この発明は、混紡素材等を用いて繊維板を得た後、任意の箇所に溶着または積層を施すことで、物理的強度を改善した新たな構造体を提供せんとするものである。そのために、この発明は、繊維板への共通する相溶化剤として木くずに含有されるセルロース(C6105)を利用し、非相溶の関係にある異種プラスチックを溶着することを提案するものである。しかしながら、木くずに含有されるセルロース成分を相溶化剤または一種の接着材を繊維板に塗布して溶着を試みたところ、繊維板の溶着機能は確認されるものの、繊維板に熱歪が発生し、安定した成形体を構築することができなかった。
そこで、この発明の目的は、熱歪を発生させることなく異種プラスチックが混在した繊維板を溶着することにある。
廃繊維製品類には、ナイロン・ポリエステル・ウール等々異なる繊維素材が混在している。このように雑多な素材が混在する廃繊維製品類を単繊維毛へと細かく反毛した後、木くずから開繊されたセルロース繊維毛(C6105)を混入し、攪拌・混合処理を施した後、熱と圧力によって押し固めることで、廃繊維等が混在した繊維板を得ることができる。
ナイロン・ポリエステル・ポリプロピレン等の非相溶な関係にある高分子素材に対して、熱歪を抑制しつつ溶着や積層を施すためには、局部的発熱が可能な高周波加熱が最も効率的である。高周波加熱は、繊維板表面に塗布した発熱体のみに高周波エネルギーを与えることで発熱体のみを昇温・加熱させ、繊維板の局部的発熱作用を促すことができる。高周波が誘電体に当たると、誘電体を構成している双極子が電界の極性変化によって激しく振動する。この双極子の振動が外部電界に追従できなくなると分子摩擦によって熱エネルギーに変わり、電波の強度は急速に減衰する。発熱量は誘電体の誘電損失係数(εγtanδ)に比例するため、発熱体としては誘電損失係数の大きい物質たとえばグリセリン水溶液等の溶液を採用する。
発熱体に高周波エネルギーを吸収させ、発熱体内部から昇温・加熱を促すのであるが、発熱体を粒子状または繊維状の木くずに含浸させた態様とすることで、高い昇温・加熱効果が期待できる。すなわち、木くずに含浸させた発熱体は、高周波電界中に置くことにより昇温・加熱状態となるが、木くずに含浸されて密閉状態にあることから飽和状態を保ち、通常より高い昇温効果を促すこととなる。木くずに含浸させた発熱体に逸早く吸収され、グリセリン水溶液の場合はグリセリン構成分子間での振動エネルギーが摩擦熱となって発熱体内部からの昇温を招く。グリセリン水溶液は、木くずにより包含されて密閉状態にあるため蒸発が阻害され、木くず内部で飽和状態となり、通常よりも、つまり密閉されていない場合に比べて逸早く、かつ、高い昇温効果が得られる。
このように、熱歪発生を抑制しつつ繊維板を積層して溶着するには、繊維板の表面層に発熱体を塗布した後、発熱体を高周波電界中に配置する。発熱体を中心とし、局部的発熱を促された繊維板の表面層は軟化・溶融するため、繊維板を積層して加圧成形を施すことによりセルロース成分を介して溶着することができる。複数の繊維板を積層して相互に溶着するほか、繊維板の表面にリブを溶着するなど、任意の形状の構造体を得ることができる。
この発明によれば、混紡繊維のように異種プラスチックを含んだ廃繊維を素材とした繊維板に対して、熱歪を抑制した溶着を施すことが可能となる。また、そのような溶着が可能となったことから、繊維板同士を積層溶着するほか、リブ板を溶着するなどして、任意の構造体を構築させることが可能となり、物理的強度および機能性の向上を図った繊維板を提供することができる。
以下、この発明の実施の形態を説明する。まず、発熱体について述べ、その後で繊維板の溶着について述べる。
上述のとおり高周波は誘電体とりわけ誘電損失係数の大きい物質に当たると分子摩擦によって熱エネルギーに変わり、電波の強度は急速に減衰(吸収)される。このような高周波減衰効果の高い物質としては、水・水酸化ニッケル・エチレングリコール・プロピレングリコール・水酸化ナトリウム・ペンタエリストール・グリセリン・その他数多くの物質が存在する。ここでは、特に限定するものではないが、グリセリン水溶液を例にとって説明することとする。
仮に、グリセリン水溶液そのものを繊維板の表面に塗布し、高周波を照射しても、ナイロン・ポリエステル・ポリプロピレン等の異種材の溶着ができないばかりか、グリセリン水溶液は、高周波エネルギーの吸収を受け、昇温と共に蒸発する結果となり、繊維板の溶着に必要な昇温・加熱状態を導くことはできない。そのため、図2および図4に示すように、グリセリン水溶液を、粉砕した粒子状または繊維状の木くずの中央部位に含浸させることで、グリセリン水溶液を木くず由来のセルロース成分で包み込み密閉状態とした発熱体を構築し、より高い発熱効果が得られるようにする。この場合、粒子状または繊維状の木くずがグリセリン水溶液の担体となり、異種プラスチックの相溶化剤としての作用と、高周波減衰効果とを併せ持った発熱体が得られる。
グリセリン水溶液は、図3に示すように、グリセリン(C383)100に対して水(H2O)0〜40 %を調合し、約20〜60 ℃の加熱状態で均一に攪拌・混合することによって得られる。なお、下限の「0」は文字通りの意味ではなく、限りなく少量でもよいという意味である。グリセリン(C383)は水(H2O)に対して、誘電率・比熱がいずれも極めて小さく、かつ、木くず等への浸透性が早いため、高い高周波減衰効果が望める発熱体として捉えることができる。
Figure 0004874144
Figure 0004874144
表2は、水とグリセリンの単体における沸点と、粒子状の木くずに含浸させて高周波を照射したときの温度を対比して示したものである。表1および表2に示すように、沸点171 ℃のグリセリンは、粒子状の木くずの中央部位深くにグリセリン水溶液を含浸させ、木くず由来のセルロース成分で包み含んで密閉状態とした後、高周波(2.45 GHz)を照射することで、単体の沸点の約1.4倍まで昇温・発熱する。
述べたように、より高い昇温効果を得るために、木くずの中央部位深くにグリセリン水溶液を浸透させる。グリセリン水溶液の担体としての木くずは、特に材質等を細かく限定する必要はなく、間伐材等の廃材を有効活用することができる。間伐材等の廃材を細かく粉砕し、50 μ〜3 mm程度のほぼ均一な大きさに整え、粒子状または繊維状となす。木くずは、セルロース(C6H10O5)を主成分とし、リグニン・ヘミセルロース等が混在したものと捉えることができるが、異種プラスチックの相溶化剤として作用するセルロースを含有すれば、その他成分構成等については細かく限定するものでない。
通常、粒子状または繊維状に細かく粉砕した木くずには、既に6〜15 %程度の水分が存在する。したがって、さらにグリセリン水溶液を含浸させるには、木くずに脱水・乾燥処理を施して含水率を低下させ、吸収性の高い木くずへと変化させることが望ましい。そのため、木くずを真空容器内へ投入して加熱・減圧状態におくことで残存する水分を蒸発させる。具体的には、密閉された容器内で60〜100 ℃の加熱状態の中、1気圧から−0.6気圧へと減圧することにより、木くずに残存していた水分を蒸発させ、含水率を3 %以下まで低下させる。
含水率を3 %以下に調製した絶乾状態にある木くずをグリセリン水溶液内に投入して含浸させる。グリセリン水溶液は粘度が高く、溶液内へ投入して浸漬するだけでは木くずの中央部位深くまで含浸させることはできないため、次なる加圧・蒸沸工程へと移行する。すなわち、グリセリン水溶液内に投入された木くずは、容器を密閉状態に保ち、圧力を1.6気圧程度に高めるとともに約60〜200 ℃の加熱・蒸沸処理を施すことで、木くずの中央部位深くまでグリセリン水溶液を浸透させることができる。このように、一旦真空・脱水処理を施して絶乾状態にした後、改めて加熱・増圧に伴う蒸沸処理を施すことで、木くずの中央部位深くまでグリセリン水溶液を含浸させる。
加圧・蒸沸処理により木くずに含浸させたグリセリン水溶液は20 %以上の高い含有率を確保することとなる。高周波加熱によって約150〜200 ℃の高い昇温効果を求めるためには、グリセリン水溶液を木くずの中央部位深くへ含浸させて密封する必要がある。グリセリン水溶液が木くずに密封された状態で高周波加熱を行なうと、グリセリン水溶液は昇温と共に飽和状態となり、より高い温度上昇が生じる。木くず内にグリセリン水溶液を密封した状態を構築するために、20〜80 ℃の熱風を与え、表面層に添着したグリセリン水溶液を揮発させ、木くずの表面層のみを乾燥させる。熱風により表面層を乾燥させた木くずは、中央部位にグリセリン水溶液が残存する。具体的には、表面層の乾燥処理を経た木くずは、5〜20 %のグリセリン水溶液を担持する。
次に、繊維板の溶着について説明する。
廃繊維製品類は、ナイロン・ポリエステル・ウール・綿等が混在している。雑多素材が混在する廃繊維製品類を単繊維毛へと細かく反毛した後、木くずから開繊されたセルロース繊維毛を混入し、相互繊維毛に攪拌・混合を施した後、熱と圧力によって押し固めることで、雑多廃繊維等が混在した繊維板を得る。
繊維板の任意の面に発熱体を均一に塗布する。繊維板の表面には、発熱体と共に、水酸化ニッケル・エチレングリコール・チタン・フェライト・酸化スズ・銅・鉄粉等の誘電性物質を混合させて、高周波減衰効果を高めることも可能である。繊維板の表面に発熱体を塗布した後、繊維板の積層または繊維板とリブ板等の仮組付けへと移行する。リブ板等の仮組付けに対しては、マイカレックス・白雲母・サルファイア・石英ガラス等、誘電力率の小さい素材を使用して仮組付け治具等を製作し、その治具内で仮組付けした状態のまま、次の加熱工程へ搬入するのが好ましい。
高周波加熱には、1 MHz〜300 MHzの周波数領域で行う高周波誘電加熱と、300 MHzから300GHzの周波数領域で行うマイクロ波加熱が存在する。マイクロ波加熱は、特定な電極板を介在させず、任意に積層溶着を施すことができる等の点に設備・汎用性でのメリットがあるが、量産性等の点に欠けるという問題点もある。もっとも、発熱体を高周波電界中に配置することによって局部的発熱を促す限りにおいてはマイクロ波加熱も高周波誘電加熱も同類であり、いずれも採用することができる。各々の加熱には特徴が存在するため、溶着する構造体の構成・生産量等によって、いずれかを選択することが望ましい。たとえば、試作品実験についてマイクロ波加熱を採用し、量産段階に到っては高周波誘電加熱を採用してもよい。
繊維板に発熱体を塗布した後、加熱炉内へ投入する。たとえば2枚の繊維板を積層溶着する場合、重ね合わせる面に発熱体を塗布する。また、繊維板にリブ板を溶着する場合、繊維板の所定の位置に発熱体を塗布してその上にリブ板を配置し、クランプ治具等で固定する(仮組付け)。加熱炉内では、グリセリン水溶液を包含した発熱体に2.45 GHzの高周波出力を照射し、発熱体内部からの昇温・加熱を促す。発熱体内部に局部的発熱を促すという高周波加熱の特性により、予め繊維板に塗布した発熱体のみを昇温させ、間接的に繊維板またはリブ板等を軟化・溶融させる。
加熱炉内で軟化・溶融した繊維板は、次に圧縮・加圧成形工程へ移行する。圧縮・加圧成形工程では、上下金型の隙間に、積層またはリブ板を仮組付けした繊維板を投入し、加圧力によって押し固める。これにより、繊維板同士または繊維板とリブ板が上下金型によって押し固められ、溶着・固形化が行われる。ナイロン・ポリエステル・ウール・ポリプロピレン等の、非相溶な関係にある雑多繊維素材が混在した繊維板の溶着に対して、木くず由来のセルロース成分を相溶化剤として利用し、かつ、このセルロース成分にグリセリン水溶液を含浸させて発熱体を構成することにより、熱歪の発生を抑えた繊維板の積層溶着を実施することができる。
住宅資材等には、耐水性・断熱性等の機能性のほか物理的強度が求められる。廃繊維製品類を素材とした繊維板は、耐水性・断熱性等には優れた機能性を備えるものの、物理的強度不足に大きな問題点が存在していた。しかし、繊維板にリブ板等を溶着することで、繊維板に発生するたわみ等の物理的強度を改善することができた。このようにして物理的強度を改善した繊維板成形体すなわちパネルは、パネル同士を面接合することで、床・壁・屋根材を一体化したいわゆるモノコック構造体など、高い耐震構造体等を構築することが可能となった。
床下地材として利用するため、2枚の繊維板を積層溶着した実施例について述べる。
最近の木材住宅構造では、白蟻の発生と共に、腐蝕・腐敗・カビ・ダニ等の発生が大きな社会問題となっている。カーテン・カーペット・衣類等が混在した廃繊維製品類から繊維板を得ることができる。廃繊維製品類を原料とした繊維板は、ホルムアルデヒドの放散も、腐蝕・腐敗・カビ・ダニ等の発生もなく、物理的強度を改善すれば、住宅資材として利用することができる。この実施例では、2枚の繊維板を積層して溶着することで、物理的強度・耐水性・耐腐蝕性等に優れた床下地材を製造した。
まず、発熱体について述べる。
高周波エネルギーは誘電損失係数(εγ・tanδ)の大きい物質に吸収され、発熱作用を促す。発熱に係る単位体積あたりの電力は、電界の強さ(E/d)の2乗、周波数f、比誘電率εγ、誘電正接tanδに比例する。比誘電率と誘電正接の積を誘電損失係数と呼び、誘電損失係数が大きいほどよく発熱量は大きい。水(25℃)の誘電率は約77であるが、比熱が1.0と大きく、多くの熱エネルギーを必要とし、沸点が低い。そのため、比熱が小さく沸点の高いグリセリン(C3H8O3)と混合することで、高温領域への昇温を可能とする。具体的には、グリセリン(C3H8O3)100に対して水(H2O)を5とし、60 ℃の加熱状態で攪拌することにより、均一に混合されたグリセリン水溶液を得た。
発熱体を含浸させる担体として杉間伐材を利用した。直径250mm、長さ2000mmの杉間伐材を細かく粉砕し、50mm程度の杉粉砕片を得た。この杉粉砕片を、粉砕機
((株)新東工機製、型式SHM)を用いて粒子状へ整え、粒径約2.0mm、含水率約8
%の杉粒子状物質500 gを得た。
上記杉粒子状物質を真空圧力釜に投入し、加熱温度110 ℃にて20分間加熱しつつ、−0.6気圧に減圧した。真空圧力釜の加熱・真空処理に伴って、杉粒子状物質に残存する水分を蒸発させ、含水率を0.8 %以下に低下させた。こうして脱水・乾燥処理を施した杉粒子状物質を、グリセリン(C3H8O3)100に対して水(H2O)5の割合で調合した温度60 ℃のグリセリン水溶液5000 ccが入っている高周波減衰溶液槽の中に投入し、溶液を杉粒子状物質内に含浸させた。
高周波減衰溶液槽に杉粒子状物質を投入した状態で、攪拌・混合を施した後、容器を密閉し、110 ℃に加熱するとともに、1.2気圧に加圧し、約20分間の加熱・蒸沸処理を施した。これにより、杉粒子状物質体内の中央部位深くへ高周波減衰溶液を浸透させる。杉粒子状物質は予め含水率0.8 %の脱水・乾燥状態にしてあるため、高周波減衰溶液内で加熱・蒸沸処理を施すことによって、杉粒子状物質体内の奥深くに高周波減衰溶液が浸透する。
加熱・蒸沸処理の後、杉粒子状物質を容器から取り出し、水切り・自然乾燥を行うことにより、含水率を30 %程度に調えた。その後、約60 ℃の熱風を30分間与え、表面層に添着・含浸した高周波減衰溶液を揮発させ、粒子状物質の表面層のみを均一に乾燥させることにより、含水率を15 %程度に調えた。
このようにして、高周波減衰溶液含水率15 %程度の杉粒子状物質500 gを得た。この杉粒子状物質は、表面層は乾燥し、中央部位深くには高周波減衰溶液を包含する発熱体担体として構成されている。
上述の発熱体を使用して溶着する繊維板として、ナイロン・ポリエステル・ウール等が混在した廃繊維製品類を反毛し、熱と圧力を加えて押し固め、厚さ13mm、幅600mm、長さ1800 mmの繊維板を2枚得た。繊維板はそのままでは床下地材として利用す
るには物理的強度が劣り、使用に耐えないため、繊維板を積層溶着することによって物理的強度を向上させる。すなわち、上述の、粒径約2.0mm、グリセリン水溶液の含水率
が約15 %の杉粒子状物質500gを発熱体として、繊維板の表面に塗布し、均一な密嵩に調える。繊維板の表面に塗布した発熱体を挟み込むようにしてもう1枚の繊維板を重ね合わせ、2枚の繊維板を積層した構造体とした。
繊維板と繊維板の間に発熱体を介在させて積層した2層の繊維板を加熱炉内へ投入し、マイクロ波加熱を施した。具体的には、周波数2.45 GHzのマイクロ波を約240秒照射することにより、発熱体を約165 ℃まで昇温させた。発熱体の昇温を受け、間接的に、繊維板が軟化・溶融を促された。発熱体の昇温に伴って各繊維板の表面は軟化・溶融状態となり、圧力を加えることによって相互に溶着された。具体的には、厚さ13mmの
2枚の繊維板を、25 kg/cm2の圧縮・加圧成形を経て、厚さ25.5mmの一体化した
積層繊維板とした。
従来の、ベニヤ合板・パーティクルボード等の木質系集成材は、耐水性・耐腐蝕性等に劣り、湿潤時曲げ強度が問題とされる。特に、床下地材等は、湿気が高く、高い含水率と共に経年劣化が大きな社会問題となっている。しかし、繊維板を積層溶着することによって、湿潤時曲げ強度が改善される。具体例を挙げるならば、単体の繊維板の曲げ強度15 N/mm2に対して、積層溶着を施すことにより、28.7 N/mm2まで強度が向上した。
また、ベニヤ合板・パーティクルボード等の経年劣化が確認される中、含水率25 %の状態を5040 H計測した結果、繊維板の湿潤時曲げ強度は26.6 N/mm2を確保し
た。
この発明の実施の形態を示す繊維板の溶着工程図である。 発熱体の模式的断面図である。 発熱体を構成するグリセリン水溶液の製造工程図である。 グリセリン水溶液を木くずに担持させた発熱体の製造工程図である。 繊維板の溶着工程図である。 湿潤時曲げ強度の比較試験結果を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 第1の繊維板の表面に誘電体からなる発熱体を塗布し、第2の繊維板と重ね合わせた後、高周波電界中に配置することにより繊維板の表面層に軟化・溶融を促し、その後加圧成形を施すことによって一体化する繊維板の溶着方法。
  2. 前記発熱体が液体であって、木質材料に含浸させてある請求項1の方法。
  3. 前記液体がグリセリン水溶液である請求項2の方法。
  4. 前記木質材料が、粒子状または繊維状の木くずである請求項2または3の方法。
  5. 前記木くずに真空・加熱処理を施した後、グリセリン水溶液を含浸させ、改めて加圧・蒸沸処理を施す請求項4の方法。
  6. 前記第1の繊維板および前記第2の繊維板が同一形状の矩形パネルである請求項1から5のいずれか1項の方法。
  7. 前記第1の繊維板が矩形パネルで、前記第2の繊維板がリブ板である請求項1から5のいずれか1項の方法。
  8. 請求項1から7のいずれか1項の方法により溶着した繊維板。
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