以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は以下に説明される実施の形態に限られるものではない。また、以下の説明で用語の意義を説明している記載があるが、あくまで実施の形態における用語の意義を説明するものであり、本発明の用語の意義はこの記載に限られない。
実施形態1
本実施形態の放射線画像撮影システム01は、図3に示すように、複数の放射線画像読取装置1と複数のコントローラ2とサーバ4とが、ネットワーク3を介して接続されている。そして、複数のコントローラ2は、DICOMネットワーク90へ接続されている。このDICOMネットワーク90には、レーザイメージャなどの画像記録装置91や画像診断装置92や画像ファイリング装置93などを接続することができる。画像記録装置91は、コントローラ2が出力する画像データをフイルム上に出力することで医者に可視化した診断画像を提供し、画像診断装置92は、コントローラ2が出力する画像データをモニタ上に表示することで、医者に可視化した診断画像を提供する。画像ファイリング装置93は、コントローラ2から出力する画像データを保存する。画像ファイリング装置93に保存されている画像データは、必要に応じて画像出力装置91や画像診断装置92に出力することができる。
先ず、本実施形態の放射線画像撮影システム01について図4を用いて説明する。
(1)カセッテ6の筐体には、カセッテ6に内蔵されている輝尽性蛍光体シート8を識別するためのID番号(以後、このID番号をシートID番号を呼ぶ)に対応するバーコード62が付されている。また、本実施形態では、シートID番号をバーコード62にて識別する構成としたが、例えば、電磁波やマイクロ波などを用いた無線技術を用いて、ラベルなどの素子に書き込まれたコードを読取り可能な、非接触IDラベル(Sラベル)やタイリスと呼ばれる素子を、バーコード62の代わりに使用しても良い。
この様な、無線技術を使用してコード(シートID番号)を読み取るラベルなどを使用する場合、カセッテ6の筐体にラベルを添付する必要はなく、例えば、輝尽性蛍光体シート8の裏面などに添付する様にしても良い。この場合、輝尽性蛍光体シート8を識別するためのID番号が表記された別ラベルを、カセッテ6の筐体に添付しておくと良い。
放射線技師は、撮影に使用するカセッテ6を持ってコントローラ2の前に行き、コントローラ2の操作者ID入力部23で、操作者ID番号を入力する。この入力部は、指紋や声紋など操作者自身の身体的特徴に基づく識別情報を識別できる指紋検出器や声紋検出器などの入力器や、IDカードを読み取るIDカードリーダや、バーコードラベルを読み取るバーコードリーダーや、携帯発信器を受信する携帯発信信号受信器などの入力器(IDカードやバーコードラベルや携帯発信器は、操作者が常に持ち歩くことができるので便利である)が情報の正確さの観点から最も適切であるが、その他としてキーボードやタッチパネルなどを使用しても良い。
また、後述する入力部22が操作者ID入力部23を兼ねるように構成しても良い。また、毎回の入力の面倒を省くために、通常、1台のコントローラ2を1人で扱う場合は、一度入力したら、デフォルトとして設定するのが便利である。また、予め、使用する放射線技師のID番号をコントローラ2に登録しておき、これをキーボードやタッチパネルなど介して選択できるようにしても良い。
そして、放射線技師は、コントローラ2のバーコードリーダ24によりカセッテ6のバーコード62からシートID番号を読み取らせたり、コントローラ2の入力部22からシートID番号を入力したりして、コントローラ2にシートID番号を登録する。
また、放射線技師は、入力部22から、このカセッテ6で撮影する患者の患者情報や、その患者を撮影する際の撮影情報を入力する。ここで、患者情報とは、患者の氏名、年齢、性別、生年月日、患者を特定するための患者ID番号などである。
また、撮影情報とは、撮影部位(被写体Mの身体のどの部分かという情報)や撮影方法(後前方向撮影、前後方向撮影、測方向撮影、斜位撮影などの撮影の方向や撮影技法を特定する情報)などの情報であり、患者の撮影記録として使用するばかりでなく、読み取られた画像データの画像処理条件、特に階調変換処理条件を決定するための画像処理パラメータとしても使用される。
撮影情報が決定すると、撮影情報に対応した、放射線画像読取装置1の読取感度や読取解像度(サンプリングピッチ)などの読取条件が自動的に選択される仕組みになっている。
なお、これらの情報の内、再利用可能な情報は、そのままデフォルト値として保存し、次回以降の入力を簡素化しても良い。また、撮影情報や患者情報が予め登録されている場合は、画面21に、これらの情報をリスト表示し、放射線技師が表示されたリストの中から必要な情報を選択する様に構成しても良い。
コントローラ2は、バーコードリーダ24や入力部22から入力されたシートID番号や操作者ID番号に対して、これらのID番号と共に登録された撮影情報や患者情報、読取条件などの一連の情報(この一連の情報を、付随情報と呼ぶことにする)を対応付けて、コントローラ2に一次記憶する。
放射線技師は、画面21に表示されているシートID番号や操作者ID番号、付随情報に間違いがあれば、入力部22から再入力指示を入力し、正しければ、次の入力作業を行う。そして、撮影予定のカセッテ全てについてこれらの入力を終了すると、入力終了を指示する入力を行う。コントローラ2は、入力部22から再入力指示が入力されると、シートID番号などの一次記憶をクリアし、再入力を待つ。
また、次のシートID番号の入力がなされたり、入力終了が指示されると、一次記憶されたシートID番号と操作者ID番号と付随情報をコントローラ2のID番号(以後、コントローラID番号と呼ぶ)と共にサーバ4に送り記憶させる。サーバ4は、これらの情報を受け取ると、撮影画像毎に固有の撮影画像固有ID番号を付したレコードとして、撮影データベース内に登録する。
このように、コントローラ2でシートID番号を登録する際に、カセッテ6に対応した撮影情報も共に登録するものであり、後述するように、コントローラ2は、シートID番号と共に受信した画像データを、シートID番号に一致する撮影情報に基づいて画像処理して出力するので、カセッテ6の輝尽性蛍光体シート8から画像を読みとった後に撮影情報を登録する場合のような経時による撮影情報の登録ミスを抑えることができ、正しい画像処理を施すことができる。
また、コントローラ2でシートID番号を登録する際に、カセッテ6に対応した操作者ID番号とコントローラID番号も共に登録するので、後に、これらの情報を活用することができる。なお、放射線画像読取装置1も、それそれの放射線画像読取装置1を識別するためのID番号(装置ID番号)を有している。
(2)各種ID番号の登録や付随情報の入力などの一連の作業を完了すると、放射線技師は、放射線管球9とカセッテ6の間に被写体Mの放射線撮影を行いたい部分を位置させ、(通常、カセッテ6を被写体Mにあてがう)放射線管球9の放射線発生制御装置10を操作して放射線を照射する。すると、放射線管球9から照射され被写体Mを透過した放射線エネルギーの一部が、カセッテ6に内蔵されている輝尽性蛍光体シート8に一旦蓄積される。
(3)患者の放射線撮影が終了すると、助手が、撮影を終えたカセッテ6を放射線画像読取装置1にセットする。この際、何れの放射線画像読取装置1にカセッテ6をセットするかは自由である。また、複数枚のカセッテ6を、複数台の放射線画像読取装置1に分散してセットしても良い。
放射線画像読取装置1は、カセッテ6をセットされると、カセッテ6のバーコード62からシートID番号を読み取り、このシートID番号で、サーバ4の撮影データベースに検索をかける。サーバ4は、送られたシートID番号で、その撮影データベースを検索し、一致するレコードの中で最新のレコードを得て、放射線画像読取装置1にそのレコードの情報を返送する。
そして、放射線画像読取装置1は、返送されたレコードの情報の中に記述されている読取条件(読取感度、読取解像度など)で、カセッテ6内にある輝尽性蛍光体シート8に蓄積された放射線画像情報を読み出す。すなわち、励起光を輝尽性蛍光体シート8に照射し、照射された励起光により蓄積された放射線画像情報に応じて発光する輝尽光を光電変換し、A/D変換したデジタル画像データ(以後、簡単のために、画像データと呼ぶ)を得る。得られた画像データは、サーバ4から送られたレコードの情報と共に、サーバ4から返送されたコントローラID番号を有するコントローラ2に送信される。
画像データの読取りが終了すると、放射線画像読取装置1は、輝尽性蛍光体シート8に残存しているエネルギーを消去し、輝尽性蛍光体シート8をカセッテ6内に戻し、カセッテ6を取り出し可能な状態にする。助手は、読取りを終えたカセッテ6を放射線撮影室に戻し、次の撮影に備える。
このように、本発明の実勢形態では、登録された撮影情報から自動的に輝尽性蛍光体シート8の読取条件が決定され、かつ、決定された読取条件がシートID番号に対応付けられて記憶される様に構成されているので、放射線画像読取装置1は、読み取ったシートID番号に基づいて、読取条件を検索し、得られた読取条件に基づいてカセッテ6の輝尽性蛍光体シート8から画像データを読み取るのことができる。
この様に、コントローラ2で撮影情報を登録するだけで、適切な読取条件で画像データを読み取ることができるので、撮影条件に最適な良好な画質の画像データを得ることができる。
(4)放射線技師は、受信した画像データの確認作業を行う。まず、コントローラ2は、放射線画像読取装置1から画像データを受信しながら、画像データの縮小画像を生成し、この縮小画像を画面21に順次表示してゆく。また、受信した画像データに関連するするシートID番号や、画像データを送信した放射線画像読取装置1の装置ID番号や、その他の付随情報を画像データと共に画面21に表示する。画像データ(縮小画像データ)と共に表示するこれらの情報の内容は、使用者が予め選択できるようになっている。
全ての画像データの受信が完了すると、生成した縮小画像データに対して、その画像データに対応する撮影情報によって確定された画像処理条件で、非線形な階調変換処理などの画像処理が施され、画面21に再表示される。放射線技師は、この再表示された画像を確認し、必要があれば、画像処理条件を変更して縮小画像データに対する画像処理をやり直すことができる。
また、コントローラ2は、受信された画像データに対応するシートID番号をサーバ4に通知する。サーバ4は、この通知により、撮影データベースの該当レコードに、画像転送済みの情報を付加する。
コントローラ2は、患者ID番号で、サーバ4内の撮影データベース、もしくはコントローラ2に一時記憶されている情報を検索し、当該患者ID番号を有するシートID番号の画像データが、全てコントローラ2に返送されたか否かを確認する。当該患者ID番号を有するシートID番号の画像データが、全てコントローラ2に返送された場合は、当該患者の画像データを全て受信した旨の情報を画面21に表示する。
放射線画像読取装置1の稼働状況からは、1人の患者に関する全てのカセッテ6の読み取りが完了したか否か判別しにくいものであるが、シートID番号の登録を行ったコントローラ2は、この1人の患者に関する複数のカセッテ6から読み取られた画像が全て受信した際に、全て受信した旨の表示をするので、作業者は安心して次ぎの作業に移ることができる。
また、本発明の実施形態では、画像データの表示位置や出力順序を所定の順序に並べ替えることができる。これらは、自動的に行われるようにしても良いし、使用者が指定できるようにしても良い。自動的に行いたい場合は、予め並べる順序を設定しておく。例えば、シートID番号の登録順序に並べ替えるように設定しておくと、カセッテ6の放射線撮影装置1への投入順序がばらばらであっても、また、コントローラ2が受信する画像データの受信順序がまちまちであっても、常に登録順序で画像の表示位置が決定されるので、混乱を招くことがなくなる。
また、本発明の実施形態では、1人の患者を撮影するための複数のカセッテ6のシートID番号の登録を、1つのコントローラ2で行い、撮影を終えたこの複数枚のカセッテ6を複数の放射線画像読取装置1に分散してセットした場合でも、複数の放射線画像読取装置1で読み取られた画像は自動的に、そのシートID番号を登録したコントローラ2に返送される。
このため、異なる放射線画像読取装置1から返送された画像データであっても、同一患者の画像データを、一緒に取り扱うことができる。
放射線技師は、画像の確認作業を終了すると、画像確定を入力する。画像確定が入力されると、画面21に表示されている縮小画像に対して最後に実施された画像処理条件で、縮小していない画像データ(受信したオリジナル画像データ)に対しても画像処理が施され、この画像処理された画像データがコントローラ2内に一時記憶される。
そして、画像処理された画像データ、もしくは、画像処理条件を付加した画像処理前の画像データを、その他の付随情報やID情報と共に、DICOMネットワーク90を介して、画像記録装置91や画像診断装置92や画像ファイリング装置93などにDICOMの通信プロトコルに従って送信する。また、画像確定が入力されると、サーバ4内の撮影データベースの当該シートID番号に関するレコードに処理済みを示すコードが付加される。
次に、放射線画像読取装置1について図5に基づいて、詳細に説明する。
放射線撮影終了後、カセッテ6を放射線画像出力装置1にセットすると、バーコードリーダ150によりカセッテ6のバーコード62からシートID番号が読み取られる。このシートID番号でサーバ4に検索をかけ、上述した様に、読取条件(読取感度や読取解像度)や、画像データ返送先のコントローラID番号を得る。この読取感度の値に従って、光電読取部112の感度が設定され、この読取解像度の値に従って、搬送機構160の搬送速度やA/D変換器113のサンプリングピッチが設定される。
カセッテ6を放射線画像出力装置1にセットすると、カセッテ6から輝尽性蛍光体シート8が引き出され、搬送機構160で輝尽性蛍光体シート8をXの方向に副走査搬送しながら、輝尽性蛍光体シート8に蓄積・保持された画像データを読取部110により読み出す。
読取部110は、励起光発生部111、光電読取部112、A/D変換器113によって構成されている。輝尽性蛍光体シート8が搬送機構160によって副走査搬送されている間、励起光発生部111が、副走査方向と直行する方向(主走査方向)に励起光14を走査する。
輝尽性蛍光体シート8に励起光14が作用すると、蛍光体内部に蓄積されていたエネルギーが輝尽光15として発生するで、この輝尽光15を集光して、光電読取部112によって電気信号に変換し、この電気信号を、対数変換器114にて対数変換し(これによって、電気信号は輝尽光15の光強度にリニアな電気信号から、輝尽光15の光強度の対数リニアな電気信号、すなわち濃度にリニアな電気信号に変換される)、さらにA/D変換器113によってデジタル化する。
読取部110から出力される画像データは、信号処理部120で、読取部110や輝尽性蛍光体シート8に特有の補正処理(光電読取部112のシェーディング補正や、励起光発生部111に起因するムラ補正、輝尽性蛍光体シート8の感度ムラ補正など)が施され、その後、順次、一次記憶部130に一時的に記憶される。そして、読取りが完了した後(もしくは、画像データを読取りながら)、通信部140が、ネットワーク3を介して、サーバ4から返送されたコントローラID番号を有するコントローラ2に、画像データを送信する。
ここでコントローラ2に送信される画像データは、輝尽光15の光強度の対数に対してリニアな画素値を有する画像データであり、このままの階調特性では診断に不向き(多くの場合、診断に使用できない)画像データである。診断に使用できる画像データに変換するには、一般に非線形な階調変換処理を施す必要があるが、本実施形態では、この処理はコントローラ2で実施する。この様に、本実施形態では、診断に不向きな階調特性のまま、放射線画像読取装置1からコントローラ2へ画像データが返送される。
非線形な階調変換処理の処理条件は、撮影部位や撮影方向などによって異なるため、撮影部位や撮影方向ごとにアルゴリズムを用意する必要がある。また、その他にも、撮影時の放射線の照射野絞りや被写体領域を自動的に検出するアルゴリズムが必要とされるので、非線形な階調変換処理のアルゴリズムは一般に大変複雑な構造を有する。
この様な複雑な画像処理アルゴリズムを高速に実行できる環境(画像処理環境と呼ぶ)は大変高価であるため、放射線画像読取装置1とコントローラ2の双方に、画像処理環境を構築するのは、大変不経済である。本実施形態では、放射線技師が画像を確認した上で画像処理条件を変更し、変更された画像処理条件で再び画像処理が実施される環境を提供するものであるから、コントローラ2側には画像処理環境が必要である。従って、放射線画像読取装置1側では画像処理は行わず、コントローラ2側でのみ画像処理を行う様に構成のが良い。
ただし、放射線画像読取装置1側で画像処理が実施できるように構成しても、コストの点を除く本発明の本質を損なうものではない。
次に、コントローラ2について、図4に基づいて、さらに詳しく説明する。
コントローラ2は、様々な情報や読み取った画像を表示するための表示部21と、放射線技師などが指示を入力するための入力部22と、放射線技師などの操作者のID番号を入力するための操作者ID入力部23と、カセッテ6のバーコード62を読み取るためのバーコードリーダ24とを有する。また、コントローラ2は、ネットワーク3を介して、サーバ4と複数の放射線画像読取装置1とに接続されている。また、コントローラ2は、DICOMネットワーク90を介して画像記録装置91や画像診断装置92や画像ファイリング装置93などにも接続することができる。
入力部22としては、キーボードやタッチパネルや音声入力装置などが使用できるが、これらに限らない。
また、コントローラ2やサーバ4は、病院情報システム(HIS)や放射線情報システム(RIS)と接続することができる。この場合、これらHISやRISからオンラインで患者情報や撮影情報などを取り込むことことが好ましい。また、患者に上述の情報を記憶した可搬性記憶媒体を持たせ、コントローラ2には記憶媒体読取装置を設け、患者が持ってきた可搬性記憶媒体から患者情報や撮影情報などの情報を読み取るようにしてもよい。このような可搬性記憶媒体及び記憶媒体読取装置としては、バーコード及びバーコードリーダや、磁気カード及び磁気カードリーダや、ICカード及びICカードリーダなどが挙げられるが、これらに限られない。
また、患者ID番号で、HIS,RISから一致するデータを検索するようにしてもよい。この場合、患者に患者ID番号を記憶した可搬性記憶媒体を持たせ、記憶媒体読取装置を設け、患者が持ってきた可搬性記憶媒体からこれらの情報を読み取るようにしてもよいが、これに限らず、入力部22からの入力しても良いし、HIS,RISに指紋や声紋など患者固有の情報を記憶させ、指紋検出装置や声紋検出装置などをコントローラ2に設けることにより、検出した指紋や声紋により一致するデータをHIS,RISから検索するようにしてもよい。
また、コントローラ2の表示部21としては、例えば、CRTディスプレイや、液晶ディスプレイなど文字情報や画像情報を表示できる手段であれば良く、表示する内容としては、画像データを取得した放射線画像読取装置1を特定する装置ID番号、操作者ID番号、患者情報、撮影情報、読取条件、放射線管球9の放射線発生制御装置10から取得した放射線撮影条件(例えば放射線管球の管電圧や線量など)、画像データの画素数やマトリクスサイズ、画像データの1画素当たりのビット数、画像処理の種類、画像処理パラメータ、補正処理の内容等の情報、及び撮影された画像データの映像などが挙げられるがこれらに限られない。
また、撮影部位は、人体の主要構成部分に基づいたおおまかな大分類と、さらに細かな小分類の2段階で選択できるようにしても良い。この場合の大分類の例としては、例えば、「頭部」、「胸部」、「腹部」、「上肢」、「下肢」、「脊椎」、「骨盤」というような分類である。また、小分類とは、大分類で示された部位をさらに細かな部位に分類したもので、例えば大分類が「上肢」の場合は、「肩関節」、「肩甲骨」、「肩鎖間接」、「上腕骨」、「肘関節」、「前腕骨」、「手関節」、「手根骨」、「手指骨」などが小分類に当たる。
また、撮影方向は、人体に対する撮影方向であることが一般的であるが、これに限らない。このような撮影方向の代表的なものとして、「後前方向撮影(PA:Posteroanterior Projection)」、「前後方向撮影(AP:Anteroposterrior Projection)」、「測方向撮影(LAT:Lateral Radiography)」、「斜位撮影(Oblique Radiography)」などが挙げられる。
また、コントローラ2で行う画像処理の種類としては、画像データの持つ階調を変換する階調変換処理や、画像データの周波数特性を変換する周波数処理や、画像データのダイナミックレンジを圧縮するダイナミックレンジ圧縮処理などが挙げられるがこれらに限られない。
特に、本実施形態では、放射線画像読取装置1からコントローラ2へ、輝尽光15の光強度の対数に対してリニアな画素値を有する画像データが送信されるように構成したので、コントローラ2で、非線形な階調変換処理を行えることが必須である。
以上、説明したように、本実施形態では、どのコントローラ2でシートID番号が登録されたカセット6であっても、任意の放射線画像読取装置1に分散してセットすることができ、かつ、任意の放射線画像読取装置1で読み取られた画像データは、その画像データに対応する輝尽性蛍光体シート8のシートID番号が登録されたコントローラ2へ自動的に返送されるように構成されている。
この様に、1つのコントローラ2でシートID番号が登録されたカセッテを複数の放射線画像読取装置1のいずれにもセットできるので、放射線画像読取装置1台あたりのセット可能なカセッテ6の枚数が少ない、安価な放射線画像読取装置1を使用することができる。これにより、装置の設置面積を削減するとともに、導入コストを安価にでき、更に拡張性も高くなる。
また、1つのコントローラ2でシートID番号を登録したカセッテ6を複数の放射線画像読取装置1で同時に読み取らせることができるので、1人の患者について一度に多くの撮影を行う病院では、放射線画像撮影システムの処理能力を向上させることが可能である。
また、n枚のカセッテをセットできる放射線画像読取装置1をm台接続している場合、最大nxm枚のカセッテを連続してセットできるため、一度に多くの枚数のカセッテを処理したい場合、カセッテのセットに煩わされることがなく、撮影サイクル時間を著しく短縮することができる。
また、m台の放射線画像読取装置1が接続されている場合は、最大m台の放射線読取装置1が同時期に画像データの読み取りを行うことができるため、1台の放射線読取装置1で画像データの読み取りを行う場合と比べて、読み取り時間が1/mに短縮される(処理能力がm倍に向上する)。従って、1人の患者について一度に多くの撮影を行う病院や、撮影サイクルが短い病院にとっても、効率的で作業遅延を伴わない理想的な作業環境を提供できる。
また、1患者につき、複数台の放射線画像読取装置1を使用する場合であっても、1台のコントローラ2で患者情報や撮影条件などの付随情報を入力できるので、入力作業が効率的になる。
また、1患者につき、複数台の放射線画像読取装置1を使用した場合でも、画像データが、この患者の患者情報や撮影情報を登録した(すなわち、この患者の撮影に使用する輝尽性蛍光体シート8のシートID番号を登録した)1つのコントローラ2に集結するため、放射線技師が、患者の患者情報や撮影情報の登録用端末と画像確認用端末の間を移動する必要が無くなり、作業効率を向上させることができる。また、患者の患者情報や撮影情報の登録と画像確認を1つのコントローラ2で行うことができるので、登録した情報と画像データの対応関係を確認できるようになり、作業の信頼性を向上することができる。
また、複数のコントローラ2があるので、コントローラ2を放射線撮影の現場に近い位置に設置することができ、放射線技師が患者情報や撮影情報の入力や画像の確認や画像処理条件の選択などが、放射線撮影の現場に近い位置で実施でき、作業効率が良く、作業しやすい環境を提供できる。
また、複数の放射線画像読取装置1の内の一部の放射線画像撮影装置1が故障した場合でも、故障していない他の放射線画像撮影装置1で対応することができるので、信頼性のあるシステムを構築することができる。
また、サーバ4が撮影データベースを一括管理するので、後に、この情報を参照することができ、撮影履歴を間違えなく管理することが可能となる。
次に、本実施形態で、放射線画像読取装置1がカセッテ6の輝尽性蛍光体シート8から読み取った放射線像を、特定されたコントローラ2に送信しようとした際に、このコントローラ2への送信ができなかった場合について説明する。
このようなことは、例えば、ネットワークの端子の接続不良や、プログラム上のバグや発熱などによるCPUの暴走や、ハードディスクドライブなどの構成部品の不調や故障などにより生じるものである。また、特定されたコントローラ2に送信しようとした際に、このコントローラ2への送信ができなかったか否かは、通信の確立ができなかったことを検出することにより、検知することができる。
また、放射線画像読取装置1又はサーバ4からの制御で警報を発したり、警告表示したりする警報器を設けたり、コントローラ2に通信故障を検知する手段を設け、通信故障を表示させたりすることにより放射線技師に、使用しているコントローラ2が通信故障になったことを知らせる。
通信故障を検知した場合の解決手段として、以下の6つのソリューションが考えられる。これらは、病院側の都合などにより適宜選択すると良い。第1のソリューションは、別のコントローラ2から、画像データの送信先のコントローラ2を指定する方法である。この方法には、以下に示すさらに3つのソリューションがある。
1)使用者が別のコントローラ2を選択し、受信したい画像データを保持している放射線画像読取装置1へ、直接、返送先のコントローラID番号を送りつけ、画像データの返送を要求する方法である。
この要求を受けた放射線画像読取装置1は、指定されたコントローラID番号を有するコントローラ2へ、保持している全ての画像データを送信する。
このソリューションのメリットは、コントローラ2側と放射線画像読取装置1側双方の制御形態が最もシンプルであり、制御ソフトの開発コストが低いく、また、安定動作させやすいという点である。
2)使用者が別のコントローラ2を選択し、この選択したコントローラ2で操作者ID番号を登録して、全ての放射線画像読取装置1へ操作者ID番号と返送先のコントローラID番号を送りつけ、送信した操作者ID番号を有する画像データの返送を要求する方法である。
この要求を受けた放射線画像読取装置1が、要求された操作者ID番号を有する画像データを保持している場合は、指定されたコントローラID番号を有するコントローラ2へ、要求された操作者ID番号を有する画像データを送信する。
3)使用者が別のコントローラ2を選択し、この選択したコントローラ2で操作者ID番号を登録して、サーバ4へ操作者ID番号と返送先のコントローラID番号を送りつけ、送信した操作者ID番号を有する画像データの返送を要求する方法である。
通信が確立できなかった放射線画像読取装置1が、常にサーバ4を検索するように設定しておけば、前記要求をサーバ4が受信した時点で、放射線画像読取装置1がこの要求を取り込むことができる。この要求を取り込んだ放射線画像読取装置1は、要求された操作者ID番号を有する画像データを、指定されたコントローラID番号を有するコントローラ2へ送信する。
上記2)、3)のソリューションのメリットは、操作者ID番号を使用することで、使用者が受信したかった画像データを選択的に、かつ簡単に、別のコントローラ2で受信できることである。操作者ID番号をキーワードとして画像データを受信するので、他者が受信しようとしていた画像データを誤って受信してしまう危険性を回避できる。
第2のソリューションは、放射線画像読取装置1が、故障していない残りの全てのコントローラ2に対して、画像データを、2次配布データであることを示す付加情報と共に強制的に送信する方法である。
画像データと付加情報を受け取ったコントローラ2は、受信した画像データと付加情報を一時的に保存して、不要になればこれを削除する。例えば、使用者が別のコントローラ2を選択した時、一時的に保存してある画像データと付加情報が自分のものであることを確定する確定宣言する。この確定宣言を、その他のコントローラ2に送信することで、その他のコントローラ2は、一時的に保存してある画像データと付加情報を消去することができる。
例えば、この確定宣言の宣言方法に操作者ID番号を使用しても良い。この場合、放射線画像読取装置1が送りつける付加情報の中に、シートID番号を登録した操作者ID番号を含めておく。そして、使用者が別のコントローラ2を選択した時、この選択したコントローラ2で操作者ID番号を登録する。コントローラ2は、新たに登録された操作者ID番号と一時的に保存してある付加情報中の操作者ID番号を比較し、それらが合致していれば、確定宣言がなされたと見なす。
このソリューションのメリットは、使用者が別のコントローラ2を選択したときに、すでに画像データが受信されているので(受信されている確率が高いので)、任意のコントローラ2で即座に画像確認ができることである。
第3のソリューションは、サーバ4に画像保存機能を持たせ、放射線画像読取装置1が、画像データを特定されたコントローラ2に送信する代わりに、サーバ4に送信し、サーバ4が送信された画像データを一時保存するものである。
使用者が別のコントローラ2を選択し、この選択したコントローラ2からサーバ4へ一時保存された画像データの送信を要求すると、サーバ4から要求を行ったコントローラ2へ一時保存されていた画像データが送信される。
例えば、コントローラ2からサーバ4へ一時保存された画像データの送信を要求する際に、操作者ID番号を使用すると便利である。すなわち、使用者が別のコントローラ2を選択した時、この選択したコントローラ2で操作者ID番号を登録する。そして、サーバ4へ一時保存された画像データの送信を要求するとき、操作者ID番号もサーバ4へ伝えるようにする。サーバ4は、一時保存されている画像データの中から、送られて来た操作者ID番号と同じID番号を持つ画像データを見つけだし、コントローラ2へ返送する。
このソリューションのメリットは、放射線画像読取装置1からの画像データの送信先が常にサーバに固定されているので、放射線画像読取装置1側の制御用ソフトウエアの開発が簡単であり、開発コストが小さく、かつシンプルな制御でシステムが安定動作するという点である。また、操作者ID番号をキーワードとして画像データを検索するので、他者が受信しようとしていた画像データを誤って受信してしまう危険性を回避できる。
第4のソリューションは、本来画像データを返送すべきコントローラ2への送信ができなかった場合に、画像データを送信するコントローラ2の順番をあらかじめ定めておき、その順番に従い、次の順番のコントローラ2へ画像データの送信を行う方法である。この場合、使用者はコントローラ2が通信故障した場合に、行くべきコントローラ2を予め知っていることが好ましい。
このソリューションのメリットは、使用者が何も操作せずとも、あらかじめ定められた別のコントローラ2へ画像データが自動的に送信される点である。
第5のソリューションは、放射線画像読取装置1に、画像データを返送するコントローラ2を指定できる機能を設け、使用者が、この機能を用いて、画像データを返送する先のコントローラ2を指定する方法である。使用者が、通信可能なコントローラ2を指定すると、画像データがコントローラ2へ送信される。また、複数のコントローラ2やサーバ4を同時に指定できるように構成すると、さらに便利である。
このソリューションのメリットは、コントローラ2側と放射線画像読取装置1側双方の制御形態がシンプルであり、制御ソフトの開発コストが低く、また、安定動作させやすいという点である。また、送信先として複数のコントローラ2やサーバ3を指定できるので、安全性が高いシステムが構築可能である。
第6のソリューションは、いずれの放射線画像読取装置1にも可搬性記憶媒体の書込装置を設け、また、いずれのコントローラ2にもこの可搬性記憶媒体の読取装置を設けて、送信できなかった画像データをこの可搬性記憶媒体に記憶させ、この可搬性記憶媒体を別のコントローラ2へセットして画像データをコントローラ2へ移し替える方法である。
このような可搬性記憶媒体としては、光磁気ディスク、磁気ディスク、光ディスク、メモリカード、可搬性ハードディスクドライブなどが挙げられるが、これらに限らない。
このソリューションのメリットは、ネットワーク3全体が通信故障となった場合でも、対応できることである。
以上、説明したように、本実施形態では、放射線画像読取装置1が読み取った画像データを特定したコントローラ2へ送信することができなかった場合でも、別のコントローラ2へ画像データを送信することが可能となるため、複数のコントローラ2の中で一部のコントローラ2が使用途中で故障した場合でも、他のコントローラ2で対応でき、使いやすく信頼性のあるシステムを提供することが可能である。
また、第4のソリューションを除き、通信故障発生時の複数のコントローラ2の使用状況に応じて放射線技師がコントローラ2を選択できるというメリットがある。
また、特定のコントローラ2がサーバ4の機能を兼ねる様にすれば、サーバ4が故障しても、コントローラ2に撮影データベースの全レコードが保存されているので、撮影作業に支障をきたさない。全てのコントローラ2がサーバ4の機能を兼ねる様にすれば、さらに好ましい。
次に、緊急の場合で、患者や撮影に関する登録を後回しにして、放射線像の読み取りを先に実施したい場合について説明する。
(1)放射線技師は、放射線管球9とカセッテ6の間に被写体Mの放射線撮影を行いたい部分を位置させ、放射線管球9の放射線発生制御装置10を操作して放射線を照射する。すると、放射線管球9から照射され被写体Mを透過した放射線エネルギーの一部が、カセッテ6に内蔵されている輝尽性蛍光体シート8に一旦蓄積される。
(2)患者の放射線撮影が終了すると、助手が、撮影を終えたカセッテ6を放射線画像読取装置1にセットする。放射線画像読取装置1は、カセッテ6をセットされると、カセッテ6のバーコード62からシートID番号を読み取り、このシートID番号で、サーバ4の撮影データベースに検索をかける。
サーバ4は、送られたシートID番号で、その撮影データベースを検索するが、一致するレコードの中で最新のレコードを得られない。従って、一致するレコードが無い旨の返事を、放射線画像読取装置1に返送する。放射線画像読取装置1は、デフォルトの読取条件で画像データを読取り、読取った画像データを放射線画像読取装置1に一時的に記憶する。
次に、画像を送信するコントローラ2を特定したいが、どのコントローラ2に画像を送信して良いかが不明である。この場合、前述の通信故障の際と類似のソリューションで解決することになる。これらは、病院側の都合などにより適宜選択すると良い。
第1のソリューションは、コントローラ2側から、送信先のコントローラ2を指定する方法である。すなわち、コントローラ2から、受信したい画像データを保持している放射線画像読取装置1へ、直接、返送先のコントローラID番号を送りつけ、画像データの返送を要求する。
この要求を受けた放射線画像読取装置1は、指定されたコントローラID番号を有するコントローラ2へ、読み取ったシートID番号、読取条件などの付加情報と共に保持している全ての画像データを送信する。
このソリューションのメリットは、コントローラ2側と放射線画像読取装置1側双方の制御形態が最もシンプルであり、制御ソフトの開発コストが低いく、また、安定動作させやすいという点である。
第2のソリューションは、放射線画像読取装置1が、全てのコントローラ2に対して、後登録データであることを示す情報や、読み取ったシートID番号、読取条件などの付加情報と共に、画像データを強制的に送信する方法である。画像データと付加情報を受け取ったコントローラ2は、受信した画像データと付加情報を一時的に保存して、不要になればこれを削除する。
例えば、使用者が別のコントローラ2を選択した時、一時的に保存してある画像データと付加情報が自分のものであることを確定する確定宣言する。この確定宣言を、その他のコントローラ2に送信することで、その他のコントローラ2は、一時的に保存してある画像データと付加情報を消去することができる。
このソリューションのメリットは、使用者が別のコントローラ2を選択したときに、すでに画像データが受信されているので(受信されている確率が高いので)、任意のコントローラ2で即座に画像確認ができることである。
第3のソリューションは、サーバ4に画像保存機能を持たせ、放射線画像読取装置1が、サーバ4に後登録データであることを示す情報や読み取ったシートID番号、読取条件などの付加情報と共に画像データを送信し、サーバ4が送信された画像データと付加情報を一時保存する方法である。
使用者がコントローラ2からサーバ4へ一時保存された後登録の画像データの送信を要求すると、サーバ4から要求を行ったコントローラ2へ一時保存されていた画像データとその付加情報が送信される。
このソリューションのメリットは、放射線画像読取装置1からの画像データの送信先が常にサーバに固定されているので、放射線画像読取装置1側の制御用ソフトウエアの開発が簡単であり、開発コストが小さく、かつシンプルな制御でシステムが安定動作するという点である。
第4のソリューションは、予め、後登録データの場合に送信するコントローラ2の順番を定めておき、その順番に従い、後登録データであることを示す情報や読み取ったシートID番号、読取条件などの付加情報と共に、画像データをコントローラ2へ送信を行う方法である。この場合、使用者は後登録データの場合に、行くべきコントローラ2を予め知っていることが好ましい。
このソリューションのメリットは、使用者が何も操作せずとも、あらかじめ定められた別のコントローラ2へ画像データが自動的に送信される点である。
第5のソリューションは、放射線画像読取装置1に、画像データを返送するコントローラ2を指定できる機能を設け、使用者が、この機能を用いて、画像データを返送する先のコントローラ2を指定する方法である。使用者が、コントローラ2を指定すると、後登録データであることを示す情報や読み取ったシートID番号、読取条件などの付加情報と共に画像データがコントローラ2へ送信される。また、複数のコントローラ2やサーバ4を同時に指定できるように構成すると、さらに便利である。
このソリューションのメリットは、コントローラ2側と放射線画像読取装置1側双方の制御形態がシンプルであり、制御ソフトの開発コストが低く、また、安定動作させやすいという点である。また、送信先として複数のコントローラ2やサーバ3を指定できるので、安全性が高いシステムが構築可能である。
第6のソリューションは、いずれの放射線画像読取装置1にも可搬性記憶媒体の書込装置を設け、また、いずれのコントローラ2にもこの可搬性記憶媒体の読取装置を設けて、画像データを読み取ったシートID番号、読取条件などの付加情報と共にこの可搬性記憶媒体に記憶させ、この可搬性記憶媒体を所望のコントローラ2へセットして画像データと付加情報をコントローラ2へ移し替える方法である。
このソリューションのメリットは、ネットワーク3全体が通信故障となった場合でも、対応できることである。このように、緊急の場合で、患者や撮影に関する登録を後回しにして、読取を先にする場合でも、コントローラ2へ読みとった画像データの送信を行うことができる。
(3)放射線技師は、コントローラ2の入力部22から、このカセッテ6で撮影した際の患者情報や撮影情報などの付随情報を入力する。患者情報や撮影情報が確定すると、コントローラ2は、受信した画像データに対して、撮影情報よって決まる画像処理条件で画像処理を施し、この画像処理を施された画像データを画面21へ表示する。この後、放射線技師は、必要に応じて画像処理条件の変更等を行うことができる。コントローラ2は、画像処理条件の変更が入力されると、変更された画像処理条件で画像データを画像処理し、再び画面21に表示する。コントローラ2は、画像データと共に受信したシートID番号や、読取条件と共に、入力された患者情報や撮影情報などの付随情報や操作者ID番号を、一次記憶する。
放射線技師は、画面21に表示されている情報に間違いがあれば、入力部22から再入力指示を入力して修正を行うことができる。そして、受信した画像データ全てについてこれらの入力を終了すると、入力終了を指示する入力を行う。
一連の処理や入力作業が終了し、画像データや付随情報が確定すると、一次記憶されたシートID番号や操作者ID番号や読取条件や付随情報が、コントローラ2のID番号(以後、コントローラID番号と呼ぶ)と共にサーバ4に送信される。
サーバ4は、受信したシートID番号や、操作者ID番号や、読取条件や、付随情報に、撮影画像毎に固有の撮影画像固有ID番号を付して、このレコードをその撮影データベースに登録する。
実施形態2
本実施形態は、実施形態1の変形形態で、実施形態1のサーバ4に機能を利用しない(サーバ4が無くとも機能する)実施形態である。
コントローラ2でシートID番号や読取条件(読取感度や読取解像度など)が登録され、これが確定すると、少なくともシートID番号を含むこれらの情報を、返送先のコントローラ2のコントローラID番号(通常シートID番号や読取条件が登録されたコントローラ2のコントローラID番号)と共に、全ての、もしくは、予め定められた特定の放射線画像読取装置1に送信する。言い換えれば、シートID番号が登録されたカセッテ6が何れかの放射線画像読取装置1にセットされる前に、あらかじめ、複数の放射線画像読取装置1に画像データの送信を要求しておく。
本実施形態では、シートID番号、読取条件、返送先のコントローラID番号などの情報を書き込んだ画像データ転送要求通知を形成し、この画像データ転送要求通知を全ての放射線画像読取装置1に送信する。
画像データ転送要求通知を受信した放射線画像読取装置1は、受信した画像データ転送要求通知を、一時的に記憶する。
任意のタイミングで、放射線画像読取装置1へカセッテ6がセットされ、カセッテ6のバーコード62からシートID番号が読み取られると、放射線画像読取装置1内に一時記憶されている全ての画像データ転送要求通知の中に、放射線画像読取装置1がバーコード62から読み取ったシートID番号と同一のシートID番号が存在するか否かを検索する。該当するシートID番号が検出された場合は、その画像データ転送要求通知から、返送先のコントローラID番号を取得し、このコントローラID番号を有するコントローラ2に、所望のシートID番号を有するカセッテ6が検出された旨を通知する。
本実施形態では、検出されたシートID番号と、自分の装置ID番号を書き込んだID検出通知を形成し、このID検出通知を、返送先のコントローラ2に送信する。
また、放射線画像読取装置1は、該当する画像データ転送要求通知中で指定された読取条件に従って、カセッテ6に内包されている輝尽性蛍光体シート8から画像データを読み取り、読み取られた画像データを、返送先のコントローラ2へ送信する。
該当するシートID番号が発見できなかった場合は、先に説明した「緊急の場合で、患者や撮影に関する登録を後回しにして、読取を先にする場合」と同様な対処方法を実施すれば良い。
コントローラ2が、ID検出通知を受信すると、これをコントローラ2内に一時記憶すると共に、受信したID検出通知の中に記載されているシートID番号を調べ、どの画像データ転送要求通知に該当するシートID番号が検出されたのかを確認する。
次に、少なくともID検出通知を送信しなかった放射線画像読取装置1へ、検出されたシートID番号に対応する画像データ転送要求通知を破棄する要求を送信する。本実施形態では、検出されたシートID番号書き込んだ破棄要求通知を、ID検出通知を送信しなかった全ての放射線画像読取装置1へ送信する。
破棄要求通知を受け取った放射線画像読取装置1は、一時記憶していた全ての画像データ転送要求通知の中から、破棄要求通知の中に記述されているシートID番号と同じシートID番号を有する画像データ転送要求通知を検索し、これを破棄(消去)する。
コントローラ2が、破棄要求通知を放射線画像読取装置1へ送信するタイミングは、画像データを受信する前であっても良いし、後であっても良い。なお、本実施形態では、放射線画像読取装置1にて画像データ転送要求通知に該当するシートID番号が検出された際に、放射線画像読取装置1からコントローラ2へ向けてID検出通知を送信し、これを受けて、コントローラ2が、少なくともID検出通知を送信していない放射線画像読取装置1へ破棄要求通知を送信することで、不要となった画像データ転送要求通知を破棄させる構成としたが、その他の手段を用いて、不要となった画像データ転送要求通知を破棄させるようにしても良い。
例えば、シートID番号を検出した放射線画像読取装置1から、その他の放射線画像読取装置1へ向けて、この検出されたシートID番号を有する画像データ転送要求通知を破棄する要求を通知する様にしてもよい。
実施形態3
本実施形態は、実施形態2の変形形態である。
コントローラ2でシートID番号や読取条件(読取感度や読取解像度など)が登録されると、これらの情報をコントローラ2内に一時記憶する。しかし、実施形態2とは異なり、この時点では、シートID番号、読取条件、返送先のコントローラID番号などの情報を書き込んだ画像データ転送要求通知を放射線画像読取装置1に送信しない。
放射線画像読取装置1へカセッテ6がセットされ、カセッテ6のバーコード62からシートID番号が読み取られると、少なくとも読み取られたシートID番号と自分の装置IDを全てのコントローラ2に通知する。本実施形態では、読み取られたシートID番号と、自分の装置ID番号を書き込んだID検出通知を形成し、このID検出通知を、全てのコントローラ2に送信する。
また、コントローラ2が、ID検出通知を受信すると、これをコントローラ2内に一時記憶すると共に、コントローラ2内に一時記憶されている情報の中に、ID検出通知の中に記載されているシートID番号と同一のシートID番号信が存在するか否かを検索する。該当するシートID番号が検出された場合は、ID検出通知を送信した放射線画像読取装置1に画像データを転送を要求する。
本実施形態では、コントローラ2が、シートID番号、読取条件、返送先のコントローラID番号などの情報を書き込んだ画像データ転送要求通知を生成し、これを、ID検出通知を送信した放射線画像読取装置1に対して送信する。
コントローラ2内に一時記憶されている情報の中に該当するシートID番号が発見できなかった場合は、先に説明した「緊急の場合で、患者や撮影に関する登録を後回しにして、読取を先にする場合」と同様な対処方法を実施すれば良い。
次に、少なくともID検出通知を送信しなかった放射線画像読取装置1へ、検出されたシートID番号に対応する画像データ転送要求通知を破棄する要求を送信する。本実施形態では、検出されたシートID番号書き込んだ破棄要求通知を、ID検出通知を送信しなかった全ての放射線画像読取装置1へ送信する。
破棄要求通知を受け取った放射線画像読取装置1は、一時記憶していた全ての画像データ転送要求通知の中から、破棄要求通知の中に記述されているシートID番号と同じシートID番号を有する画像データ転送要求通知を検索し、これを破棄(消去)する。
放射線画像読取装置1が画像データ転送要求通知を受信すると、このパケットの中で指定されている読取条件に従って、カセッテ6に内包されている輝尽性蛍光体シート8から画像データを読み取り、読み取った画像データを、画像データ転送要求通知内の返送先のコントローラID番号で指示されるコントローラ2へ送信する。
コントローラ2が、破棄要求通知を放射線画像読取装置1へ送信するタイミングは、画像データを受信する前であっても良いし、後であっても良い。
以上、実施形態2,3にて説明した様に、サーバ4の機能を使用しない形態で、実施形態1と同様の効果を得られる放射線画像撮影システムを構築することができる。
また、実施形態2,3においても、放射線画像読取装置1がカセッテ6の輝尽性蛍光体シート8から読み取った放射線像を、特定されたコントローラ2に送信しようとした際に、このコントローラ2への送信ができない場合が生じうる。この場合は、実施形態1で述べたようなソリューションの内、サーバ4を使用しないソリューションで、この問題を回避することができる。
また、実施形態2,3においても、緊急の場合で、患者や撮影に関する登録を後回しにして、放射線像の読み取りを先に実施したい場合がある。この場合も、実施形態1で述べたようなソリューションの内、サーバ4や、操作者ID番号を使用しないソリューションで、この問題を回避することができる。
さらに、本実施形態では、どのコントローラ2でシートID番号が登録されたカセット6であっても、任意の放射線画像読取装置1に分散してセットすることができ、かつ、任意の放射線画像読取装置1で読み取られた画像データは、その画像データに対応する輝尽性蛍光体シート8のシートID番号が登録されたコントローラ2へ自動的に返送されることを実現するための機能が、それぞれのコントローラ2と放射線画像読取装置1に備わっており、特定のサーバ4を介さずにこの機能を実現できるため、サーバ4の機能がダウンした際に、システム全体が機能しなくなるという危険が生じ得ない。また、何れのコントローラ2や放射線画像読取装置1が故障した場合でも、画像データの自動返送機能が失われることが無い。
以上、説明した本発明の3つの実施形態について、さらなる変形形態を以下に説明する。
一般に、放射線画像読取装置には、図5に示すようなカセッテ6を使用する放射線画像読取装置1(以後、このタイプ放射線画像読取装置を、適宜、カセッテタイプの放射線画像読取装置と呼ぶ)以外にも、図7、図8に示すような専用タイプの放射線画像読取装置がある。専用タイプの放射線画像読取装置とは、X線を検出する検出手段(ディテクタ部)が撮影装置の内部に固定もしくは内蔵されているため、検出手段を使用者が簡単に持ち運べない放射線画像読取装置である。検出手段として輝尽性蛍光体シート8の他に固体平面検出器なども使用することができる。
図7は、立位型の放射線画像読取装置1aを示す図であり、昇降台100と放射線画像読取装置1aによって構成される。
図8は、臥位型の放射線画像読取装置1bを示す図であり、板状部材101、ベッド102、放射線画像読取装置1bによって構成される。
放射線画像読取装置1a、放射線画像読取装置1bは、それそれ、読取部110、信号処理部120、一次記憶部130、通信部140により構成されているが、その機能、動作共に、図5で説明した放射線画像読取装置1と同様である。また、読取部110の内部は、励起光発生部、光電読取部、A/D変換器によって構成されているが(何れも図示せず)、その機能、動作共に、図5で説明した放射線画像読取装置1と同様である。
放射線画像読取装置1a、放射線画像読取装置1bが放射線画像読取装置1と異なる主なる点は、以下の3点である。
1)放射線管球9から放射線が発生されるのに同期して、輝尽性蛍光体シート8の読み取りが開始しされること。
2)この同期を取るために、コントローラ2a、2bが放射線発生制御装置10が放射線照射の同期信号に関する通信を行っていること。
3)輝尽性蛍光体シート8のシートID番号の登録が不要なこと。
次に、放射線画像読取装置1a、放射線画像読取装置1bを使用した場合の動作について説明する。
放射線技師は、コントローラ2a,2bで、患者情報の登録を行った後に、被写体Mを放射線画像読取装置1a、放射線画像読取装置1bの所定の位置にセットし、放射線管球9の放射線発生制御装置10を操作して放射線を照射する。すると、X線管球9から照射され被写体Mを透過したX線エネルギーの一部が、カセッテ6に内蔵されている輝尽性蛍光体シート8に一旦蓄積される。
この放射線照射に同期して、読取部110が輝尽性蛍光体シート8より画像情報を読み取り、信号処理部120、一次記憶部130、通信部140を経て、画像データがコントローラ2a,2bへ送信される。
これまで、これらの専用タイプの放射線画像読取装置とカセッテタイプの放射線画像読取装置は、個別のコントローラで制御されてきた。しかしかしながら、同じ撮影室に専用タイプの放射線画像読取装置とカセッテタイプの放射線画像読取装置を配置した場合、それぞれ異なるコントローラで制御しなければならないので、コントローラの設置数、設置面積、装置コストが増大するという欠点が指摘されている。また、同一患者を専用タイプの放射線画像読取装置とカセッテタイプの放射線画像読取装置で撮影する場合、患者情報や撮影情報の登録や画像確認を異なるコントローラーで行わなければならず、作業効率の著しい低下と、操作ミスの増加を招いていた。
本発明の実施形態では、これら問題点を解決するために、カセッテタイプのコントローラ2で専用タイプの放射線画像読取装置1a,1bを制御できるようにした。
図9は、この実勢形態の一例を示す図であり、実施形態1,2,3の変形形態である。矢印Aで示されるコントローラ2に、専用タイプの放射線画像読取装置1a,1bがそれぞれ専用線3a,3bで接続されている。その他のコントローラ2も、専用タイプの放射線画像読取装置1a,1bを同様に接続可能である。この実施形態では、専用タイプの放射線画像読取装置1a,1bと矢印Bで示されるカセッテタイプの放射線画像読取装置1が、同じ撮影室に設置されている場合を想定しており、放射線技師は、通常、これらの放射線画像読取装置を矢印Aのコントローラ2で使用する。
この場合、専用タイプの放射線画像読取装置1a,1bは、専用線3a,3bによって矢印Aで示されるコントローラ2に接続されているため、専用タイプの放射線画像読取装置1a,1bから送信される画像データは、矢印Aで示されるコントローラ2でしか受信できない。ただし、矢印Aで示されるコントローラ2は、矢印Bで示されるカセッテタイプ放射線画像読取装置1だけでなく、その他のカセッテタイプ放射線画像読取装置1からも画像データを受信することが可能である。
これにより、同じ撮影室に専用タイプの放射線画像読取装置とカセッテタイプの放射線画像読取装置を配置した場合、それぞれ異なるコントローラで制御する必要が無くなり、コントローラの設置数、設置面積、装置コストを低減することができる。また、同一患者を専用タイプの放射線画像読取装置とカセッテタイプの放射線画像読取装置で撮影する場合、患者情報や撮影情報の登録や画像確認を同一のコントローラーで行うことが可能となるので、作業効率が向上し、操作ミスを低減することができる。
図10は、図9の実施形態の変形形態であり、専用タイプの放射線画像読取装置1a,1bがネットワーク3を経由して、任意のコントローラ2に接続されている。このため、任意のコントローラ2が、専用タイプの放射線画像読取装置1a,1bからの画像データを受信可能である。図10は、矢印Cが指し示す点線で囲われた装置が1つの撮影室に設置されている場合を想定している。
放射線画像読取装置1a,1bを使用する場合、放射線技師は、通常矢印Dで指し示されるコントローラ2で患者情報、撮影情報の登録や画像確認を行うが、何らかのトラブルにより、矢印Cで指し示されるコントローラ2が、放射線画像読取装置1a,1bから送信される画像データを受信できなくなった場合は、その他のコントローラが画像データを受信することができる。このため、信頼性の高いシステムを構築することができる。
図11は、図10の実施形態の変形形態であり、専用タイプの放射線画像読取装置1a,1bやカセッテタイプの放射線画像読取装置1やコントローラ2がスイッチングハブ80によって接続されている。矢印Eで指し示されるスイッチングハブには、サーバ4が接続されているが、このサーバ4が存在しない場合でも、これまで説明してきた実施形態のように問題なく動作することは言うまでもない。
ネットワーク3とDICOMネットワーク90は、ゲートウエイ81によって接続されている。コントローラ2が出力する画像データは、スイッチングハブ80とゲートウエイ81を経由することで、DICOMネットワーク90へ出力される。この実施形態では、専用タイプの放射線画像読取装置1a,1bやカセッテタイプの放射線画像読取装置1やコントローラ2がスイッチングハブ80によって分散されて接続されているため、放射線画像読取装置1、1a、1bとコントローラ2間で画像データ転送が同時期に発生した場合の画像データ転送時間が改善される。スイッチングハブ80間を結ぶネットワーク3は、多くの画像データが流れるため、転送能力の大きいケーブルを使用するのが好ましい。
図12は、図11の実施形態の変形形態である。DICOMゲートウエイを兼ねたローカルな画像ファイリング装置82,83が、それぞれ矢印G、Hの点線で囲まれる部分で発生する画像データをファイリングする。サーバ4は、矢印G、Hの点線で囲まれる部分で発生する情報を統括するサーバであるが、このサーバ4が存在しない場合でも、これまで説明してきた実施形態のように問題なく動作することは言うまでもない。ローカルな画像ファイリング装置82,83内のデータベースは、画像ファイリング装置93によって統括されている。
図9、図10、図11、図12のDICOMネットワーク90には実施形態1で説明した画像記録装置91や画像診断装置92や画像ファイリング装置93などを接続することができる。