以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
図1は、本発明が好適に適用される電磁ポンプの駆動回路を示している。この電磁ポンプ駆動回路1は、オイルを燃料とする燃焼装置において、図示しない燃焼部にオイルを供給する電磁ポンプを駆動するための回路であって、図において、2は交流100Vの商用電源(交流電源)、3は電磁ポンプ、4は半波整流を行なう整流素子(ダイオード)、5は上記交流電源2と接続された電源ライン10上にあって上記電磁ポンプ3に流れる電流の経路を開閉する駆動リレーのリレー接点、6は上記駆動リレー(より具体的には、上記駆動リレーの1次側コイル51)に対して接点の閉成(オン)/開放(オフ)を指令する制御信号を生成する制御部を示している。
ここで、上記電磁ポンプ3は、上記整流素子4によって整流された半波波形(脈流)を電源として動作する直流負荷であって、コイル成分を含んだ誘導性負荷で構成されている。また、上記駆動リレーには、機械式のリレー接点を備えたパワーリレーが使用される。具体的には、この駆動リレーは、1次側コイル51の一端が駆動電源Vcc3(たとえば、直流15Vの電源)に接続されるとともに、その他端が抵抗器52を介してエミッタ端子が接地されたトラジスタ53のコレクタ端子に接続され、該トランジスタ53の制御端子(ベース端子)に上記制御部6の制御信号出力端子が接続される。つまり、制御部6からの制御信号によってトランジスタ53をオン/オフさせることにより、1次側コイル51への通電/遮断が制御可能に構成されている。さらに、上記制御部6は、燃焼装置各部の動作を制御する制御プログラムを備えたマイコンを主要部として構成されている。なお、この制御部6を構成するマイコンは、図示しないが、ROM,RAMなどの記憶装置(記憶手段)を備えている。
そして、本実施形態では、このマイコンのROMに、上記駆動リレーの制御用プログラムが記憶される他、後述する電流遅れ時間tidのデータが記憶されている。つまり、この制御部6は、電磁ポンプ3の電圧に対する電流遅れ時間を記憶した電流遅れ時間記憶手段を備えて構成されている。
ここで、上記電流遅れ時間tidは、この電磁ポンプ駆動回路1と同じ回路を用いて電磁ポンプ3への印加電圧波形と電流波形とを事前に調べ、両者の位相のずれ(換言すれば、電流の遅れ)を測定し、その値を電流遅れ時間tidとして用いる。その際、この電流の遅れは、電磁ポンプ3そのものの個体間のバラツキや、環境温度(燃焼装置が設置される場所の温度)などの種々の要因で変動することから、電流遅れ時間記憶手段に記憶させる電流遅れ時間tidとしては、これら種々の要因を考慮してできるだけ多くの条件の下で試験を行い、その際に得られた値の中で最も電流が遅れた時間(電流遅れが最大となった時間)を用いるのが好ましい。
なお、図示の電磁ポンプ駆動回路1においては、上記電源ライン10には、上述した電磁ポンプ3のほかに、燃焼部に点火するためのイグナイタ11と、湯水が流れる配管(図示せず)の凍結を予防するための凍結予防ヒータ12,13と、これらの駆動/停止を制御するためのリレー接点14〜16が接続されているが、これらはいずれも本発明とは直接関係しないので説明を省略する。
そして、この電磁ポンプ駆動回路1は、上記電源ライン10上に常閉(ノーマルクローズ)のハイリミットスイッチ7を備えている。このハイリミットスイッチ7は、燃焼缶体(燃焼部)の近傍に配置され、該燃焼缶体が所定温度を超えて高温になるとその温度を検知して自動的に接点が開放されるスイッチで構成される。つまり、燃焼装置に異常が生じて燃焼缶体が高温になると、このハイリミットスイッチ7の接点が自動的に開放(オープン)状態となり、電磁ポンプ3への電力供給が遮断され、燃焼部への燃料供給が自動的に停止するように構成されている。
また、この電磁ポンプ駆動回路1においては、上記電源ライン10のライン電圧を監視することでハイリミットスイッチ7が開閉いずれの状態にあるかを監視するハイリミット監視回路(入力電圧監視回路)8と、電磁ポンプ3に印加される電圧を監視することにより電磁ポンプ3が駆動/停止何れの状態にあるかを監視する電磁ポンプ監視回路9とが設けられており、これら各監視回路8,9の回路出力が上記制御部6に入力されている。
具体的には、上記ハイリミット監視回路8は、上記商用電源2の電圧の正負に応じたパルス波を生成する入力電圧監視回路であって、上記電源ライン10と制御部6とを絶縁するフォトカプラ21と、制御部6への信号電圧を供給する直流電圧源(図示例ではDC5V電源)Vccとを主要部として構成される。
そして、本実施形態では、このハイリミット監視回路8は、上記電源ライン10に正の電圧が印加されるとフォトカプラ21がオンして上記制御部6には0Vの信号電圧(Lo信号)が入力され、反対に、上記電源ライン10に負の電圧が印加されるとフォトカプラ21がオフとなって上記制御部6には直流電圧源Vccからの信号電圧(DC5VのHi信号)が印加されるように構成されている(図8参照)。
つまり、上記制御部6は、このハイリミット監視回路8から、商用電源2の電圧の正負に対応したパルス波が入力されているときには、上記ハイリミットスイッチ7の接点は閉成(クローズ)の状態にあり、燃焼装置は正常に動作していると判断する一方、パルス波の入力が停止し、入力信号がHi状態を継続すると、上記ハイリミットスイッチ7の接点は開放(オープン)の状態にあり、燃焼装置に異常が生じていると判断して、所定の安全動作を実行する。
一方、電磁ポンプ監視回路9は、上記電磁ポンプ3に印加される電圧を監視する負荷電圧監視回路であって、上記ハイリミット監視回路8と同様に、上記電源ライン10と制御部6とを絶縁するフォトカプラ22と、制御部6への信号電圧を供給する直流電圧源(図示例ではDC5V電源)Vcc2とを主要部として構成される。
そして、本実施形態では、この電磁ポンプ監視回路9は、上記リレー接点5が開放状態にあるときには、フォトカプラ22がオフとなって直流電圧源Vcc2からの信号電圧(DC5VのHi信号)を出力する一方、上記リレー接点5が閉成状態にあるときには、フォトカプラ22が断続的にオンとなって、電磁ポンプ3に印加される電圧パルス(半波整流された脈流パルス)に応じたパルス波を生成・出力する(図8参照)。
つまり、上記制御部6は、この電磁ポンプ監視回路9から、一定電圧(DC5V)が継続して入力されると、上記リレー接点5が開放状態(換言すれば、電磁ポンプ3は停止状態)にあると判断する一方、半波整流された脈流パルスに対応したパルス波が入力されると、上記リレー接点5が閉成状態にある(換言すれば、電磁ポンプ3は駆動状態)にあると判断する。
なお、このように構成されたハイリミット監視回路8と電磁ポンプ監視回路9は、いずれも燃料圧送用の電磁ポンプ3を備えた燃焼装置においては従来から備えられていた既存の監視回路である。
次に、制御部6におけるリレー制御について図2に基づいて説明する。本実施形態では、上述したように、制御部6には電流遅れ時間記憶手段が備えられ、電流遅れ時間tidが記憶されている。そのため、制御部6は、この電流遅れ時間tidを用いて以下のように駆動リレーに対する制御信号の出力タイミングを設定している。
図2は、電流遅れ時間tidを用いた制御信号の出力期間の設定手順を説明するためのタイミングチャートであって、図2(a)は上記商用電源2の電圧波形を、図2(b)はハイリミット監視回路の出力波形を示している。
本実施形態に示す燃焼装置の制御部6は、電磁ポンプ3の運転を停止する(換言すれば、駆動リレーのリレー接点5を閉成状態から開放状態に切り替える)にあたり、図2(b)に示すハイリミット監視回路8からの入力波形に基づいて、まず、上記商用電源2の電圧が正から負に変わる時点を検出する。具体的には、上記ハイリミット監視回路8は上記商用電源2の電圧の正負に応じたパルス波を生成することから、ハイリミット監視回路8の波形の立下りTaを捉えることにより、商用電源2の電圧が正から負に変わるタイミングを検出する(なお、図1の回路図との関係では電源ライン10に負の電圧が印加されるとハイリミット監視回路8の出力がHiとなる)。
そして、このハイリミット監視回路8の波形の立下りTaを捉えると、次に制御部6は、この立下りの時点から上記電流遅れ記憶手段に記憶された電流遅れ時間tidが経過するまでの期間を制御信号の出力禁止期間とする。つまり、ハイリミット監視回路8の波形が立ち下がって次に立ち上がるまでの期間は電圧0Vの期間であるが、電流遅れ時間Tidが経過するまでは電流が流れていると推定できるので、この期間は制御信号を出力しないこととしている。
そして、この出力禁止期間が終了すると、その時点Tbから次に商用電源2の電圧が負から正に変わる時点Tcまでの期間を制御信号の出力期間tsとして、この間にリレー接点5を閉成状態から開放状態に切り替える旨の制御信号を出力する。
なお、制御信号の出力は、上述した制御信号の出力期間tsの期間中であれば電圧・電流ともにオフであるためどのタイミングで出力してもよいが、本実施形態では、上記出力期間tsの中間点となるように設定される。
すなわち、制御部6は、半波整流された電源1周期あたりの電源電圧オフ期間Toffから上記電流遅れ時間tidを差し引いた時間をさらに1/2にすることで、出力禁止期間の終了時点から上記出力期間tsの中間点までの時間を求めている。なお、この電源電圧オフ期間Toffは既定値として予め制御部6の記憶手段(たとえばROM)に記憶させておくことができる他、ハイリミット監視回路8の出力波形の1/2周期を制御部6で測定し、その値を記憶手段(たとえばRAM)に記憶させることもできる。
つまり、制御部6では、Toff−{(Toff−tid)/2}を演算することにより、ハイリミット監視回路8の出力パルスの立下りTaから上記中間点までの期間(タイミング設定時間Ts)を設定するように構成されている。
このように、本実施形態の燃焼装置では、上記駆動リレーの接点を閉成から開放(オンからオフ)に切り替える制御信号を出力する際に、ハイリミット監視回路8から出力されるパルス波のパルスエッジ(本実施形態では立下りTa)を検出して、電流遅れ時間tidに相当する時間の制御信号の出力禁止期間を設定し、残余の制御信号の出力期間tsの間に制御信号を出力するように構成されていることから、電圧・電流ともにオフの期間にリレー接点を開閉することができる。
ところで、このように制御信号の出力タイミングをハイリミット監視回路8の出力パルスに依存する構成を採用すると、ハイリミット監視回路8にフォトカプラ21が含まれていることに起因してハイリミット監視回路8から制御部6に入力されるパルス波形が商用電源2の実際の電圧波形よりわずかに遅れることから、正確に電圧・電流がともにゼロのタイミングで制御信号を出力できない場合が生じる。そのため、本実施形態に示す電磁ポンプ駆動回路1では、このようなハイリミット監視回路8の信号の遅れを以下のようにして補正している。
図3は、かかるハイリミット監視回路8の信号遅れの補正を説明するためのタイミングチャートであって、図3(a)は電磁ポンプ3に電圧を印加したときの電圧波形と電流波形を模式的に示し、図3(b)はハイリミット監視回路8からの出力パルスに遅れがないと仮定したときのパルス波形を、図3(c)は同パルス波形に遅れがある実際のパルス波形を、図3(d)は出力パルスの遅れの補正を実施したときのパルス波形をそれぞれ示している。
ここで、商用電源2の周波数を60Hzとし、電流遅れ時間tidを5.3mSとすると、ハイリミット監視回路8からの出力パルスに遅れがないときは、図3(b)に示すようになり、上記タイミング設定時間Tsは、8.3−{(8.3−5.3)/2}=6.8mSとなり、電磁ポンプ3に正電圧が印加される前に制御信号を出力できる(図中のAのポイント参照)が、ハイリミット監視回路8の出力パルスが2mS遅れると、その分だけ制御信号の出力タイミングが遅れてしまうので、図3(c)に示すようになって、電磁ポンプ3に正電圧が印加されているときに制御信号が出力されてしまう(図中のBのポイント参照)。
そのため、本実施形態では、このような事態が生じないように、ハイリミット監視回路8からの出力パルスに遅れがあると否とに関係なく、上述した数式(Toff−{(Toff−tid)/2})によって求められる値から、予め設定したパルスエッジ出力遅れ時間T分を減算して、タイミング設定時間Tsを設定するように構成されている。つまり、制御部6は、Ts=Toff−{(Toff−tid)/2}−Tの数式を用いてタイミング設定時間Tsを設定する。
ここで、このパルスエッジ出力遅れ時間Tは、規定値として予め設定した値を記憶手段(たとえばROM)に記憶させておくことができる他、制御部6で演算により決定するように構成することもできる。
具体的には、規定値を用いる場合、この電磁ポンプ駆動回路1と同じ回路を用いてハイリミット監視回路8の出力の遅れを測定し、その測定結果に基づいてパルスエッジ出力遅れ時間Tが設定される。たとえば、測定によって得られた値の平均値や、最大値の1/2の値が好適に採用される。ここで、平均値や最大値の1/2の値を用いるのは、パルスエッジ出力遅れ時間Tと実際のハイリミット監視回路8の出力遅れ時間との間にはずれがあることから、ずれに対して余裕をもってパルスエッジ出力遅れ時間Tを設定するためである。
ここで、このパルスエッジ出力遅れ時間Tとして、たとえば1mmが設定されているとすると、制御上は、図3(d)に示すようになる。つまり、タイミング設定時間Tsは、8.3−{(8.3−5.3)/2}−1=5.8mSとなる。
このように、本実施形態では、制御部が、入力電圧監視回路のパルス波に全く遅れがないと仮定したときのタイミング設定時間(数式Toff−{(Toff−tid)/2})から、予め設定したパルスエッジ出力遅れ時間T分を減算して制御信号の出力タイミングを決定するので、入力電圧監視回路の出力パルスに遅れが生じても、電圧・電流がともにゼロのタイミングを確実に捉えて制御信号を出力することができる。
なお、本実施形態では、上記パルスエッジ出力遅れ時間Tとして既定値を用いる場合を示したが、このように規定値を用いる場合、商用電源2の周波数(たとえば、50Hzか60Hzか)によってハイリミット監視回路の出力遅れ時間が変化するので、上記制御部6には、パルスエッジ出力遅れ時間Tのデータとして、商用電源2の周波数に応じて複数(たとえば50Hzの場合と60Hzの場合の2種類)のデータを記憶させておき、制御部6が上記入力電圧監視回路からのパルス波に基づいて商用電源2の周波数を測定し、その測定結果に応じて、パルスエッジ出力遅れ時間(T)のデータを選択するように構成しておくのが好ましい。
また、これに関連して、商用電源2の周波数に応じてタイミング設定時間Tsを演算するための数式における電源電圧オフ期間Toffの値も変化する(図5に示すように、ハイリミット監視回路8の出力波形が変化するのでそれに伴って電源電圧オフ期間Toffも変化する)ので、上記制御部6は、上記パルスエッジ出力遅れ時間Tのデータ選択と合わせて、商用電源2の周波数に応じて電源電圧オフ期間Toffを設定するように構成される。
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は、上記パルスエッジ出力遅れ時間Tを、制御部6が演算により決定する場合を示している。なお、その他の構成は上述した実施形態1と同様であるので、説明を省略する。
図4は、パルスエッジ出力遅れ時間Tの演算によって決定する場合を説明するタイミングチャートであって、図4(a)は電磁ポンプ3に電圧を印加したときの電圧波形と電流波形の模式図であり、図4(b)はハイリミット監視回路8の出力パルスの波形を、図4(c)は出力パルスの遅れの補正を実施したときのパルス波形をそれぞれ示している。
すなわち、この場合、制御部6はハイリミット監視回路8の出力パルス(出力波形)のオフ期間Tvoを測定する。図示例では、このオフ期間Tvoが6.3mSである場合を示している。
そして、出力パルスのオフ期間Tvoの測定が完了すると、次に制御部6は、半波整流された電源1周期あたりの電源電圧オフ期間Toffから上記出力パルスのオフ期間Tvoを減算し、その後、この値を1/2して得た値をパルスエッジ出力遅れ時間Tとする。つまり、制御部6では、パルスエッジ出力遅れ時間Tを演算するにあたり、T=(Toff−Tvo)/2という数式を用いる。
ここで、Toff−Tvoによって得た値を1/2にしているのは、出願人が実験したところでは、ハイリミット監視回路8の立下りTaが図4(b)に示すように商用電源2の波形に対してXmS遅れると、その立上りTcのタイミングは上記Xと略同じ時間だけ商用電源2の波形より早くなる(図中のY参照)ことが確認されたことによる。つまり、Toff−Tvoによって得た値を1/2とすることによって、ハイリミット監視回路8の立下りTaの遅れ(図中のX)のみを算出するようにしている。
このようにして、パルスエッジ出力遅れ時間Tが算出されると、このパルスエッジ出力遅れ時間Tに基づいてタイミング設定時間Tsを演算する点は実施形態1と同様である。図4(c)は、演算によって求められたパルスエッジ出力遅れ時間Tが1mSであった場合を示しており、この場合、タイミング設定時間Tsは、8.3−{(8.3−5.3)/2}−1=5.8mSに設定される(図中のC参照)。
なお、本実施形態のように、パルスエッジ出力遅れ時間Tを演算によって決定する場合、パルスエッジ出力遅れ時間Tの決定を適時に行なわせることができる。たとえば、燃焼装置(電磁ポンプ駆動回路1)への電源投入時や、駆動リレー作動の度に行なわせるなどの設定が可能である。
また、本実施形態においても、パルスエッジ出力遅れ時間Tやタイミング設定時間Tsを演算するにあたって電源電圧オフ期間Toffの値が必要となるので、この値を商用電源2周波数に応じて設定する点は実施形態1と同様である。
実施形態3
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態は、上述した実施形態1,2を改良した実施形態であって、具体的には、商用電源2の電源電圧の変動によるハイリミット監視回路8の出力波形の変動を補正する場合を示している。
図6は、商用電源2の電源電圧の変動によるハイリミット監視回路の出力波形の変化を説明する説明図である。図示のように、商用電源2の電圧が変動するとそれに伴ってハイリミット監視回路8の出力波形が変動する。
本実施形態では、このような商用電源2の電圧変動を検出するために、商用電源2からの入力電圧を検出する入力電圧検出手段(図示せず)を設ける。そして、この入力電圧検出手段の出力信号に基づいて制御部6が商用電源2の電源電圧を測定する。
また、その一方で、制御部6の記憶手段には、商用電源2の電圧とハイリミット監視回路8の出力波形との関係をデータ化したデータテーブルを備えさせておく。
そして、制御部6が制御信号を出力するにあたっては、入力電圧検出手段を通じて測定された電源電圧の値と上記データテーブルとに基づいて、制御部6が上記パルスエッジ出力遅れ時間Tを調整することにより、タイミング設定時間Tsのずれを解消する。
これにより、商用電源2の電圧が変動してハイリミット監視回路8の出力波形が変化しても、その影響を受けずに制御信号を出力できる。
実施形態4
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。この第4の実施形態は、上述した実施形態1乃至3を更に改良した実施形態であって、具体的には、ハイリミット監視回路8の周辺温度の変動に伴うハイリミット監視回路8の出力波形の変動を補正する場合を示している。
図7は、ハイリミット監視回路8の周辺温度の変動によるハイリミット監視回路8の出力波形の変化を示す説明図である。図示のように、ハイリミット監視回路8の周辺温度が変動するとそれに伴ってハイリミット監視回路8の出力波形が変動する。
本実施形態では、このような周辺温度の変動を検出するために、ハイリミット監視回路8の周辺温度を検出する環境温度検出手段(図示せず)が設けられ、この環境温度検出手段の出力信号に基づいて制御部6がハイリミット監視回路8の周辺温度を測定する。なお、この環境温度検出手段としては、たとえば、燃焼装置における凍結予防ヒータ制御用の雰囲気温度センサが用いられる。
また、その一方で、制御部6の記憶手段には、ハイリミット監視回路8の周辺温度とハイリミット監視回路8の出力波形との関係をデータ化したデータテーブルを備えさせておく。
そして、制御部6が制御信号を出力するにあたっては、上記環境温度検出手段を通じて測定された周辺温度の値と上記データテーブルとに基づいて、制御部6が上記パルスエッジ出力遅れ時間Tを調整することにより、タイミング設定時間Tsのずれを解消する。
これにより、周辺温度が変動してハイリミット監視回路8の出力波形が変化しても、その影響を受けずに制御信号を出力することができる。
実施形態5
次に、本発明の第5実施形態について図8及び図9に基づいて説明する。この第5の実施形態は、上述した実施形態1乃至4に係る燃焼装置の改変例であって、上述した駆動リレーの制御にあたり、上記制御部6が、電流遅れ時間だけでなく、駆動リレーの動作遅れ時間(正確には、リレー接点5が開放から閉成するときの動作遅れ時間tcdと、リレー接点5が閉成から開放するときの動作遅れ時間todと)を考慮して制御信号の出力タイミングを設定する。
なお、上述した電流遅れはリレー接点を開放する場合にのみ問題となるが、リレー接点の機械的な動作遅れは、接点を閉成する場合にも考慮が必要となるので、以下では、閉成/開放の双方について順に説明する。
A.リレー接点5が閉成するとき(接点閉成時)の動作遅れ時間tcdについて
図8は、駆動リレーの接点閉成時における動作遅れ時間tcdを測定する手順を説明するためのタイミングチャートであって、図8(a)は上記商用電源2の電圧波形を、図8(b)はハイリミット監視回路の出力波形を、図8(c)は電磁ポンプ3に印加される電圧波形を、図8(d)から(f)は電磁ポンプ監視回路の出力波形をそれぞれ示している。
(1)駆動リレーの接点閉成時における動作遅れ時間tcdを測定するにあたり、本実施形態では、まず、上記制御部6は、上記電磁ポンプ3に対して正電圧が印加されている時間t1と、正電圧が印加されていない時間t2とを測定し、これらの値を上記制御部6のRAM(記憶手段)に記憶させる(以下、この工程を「電圧印加時間測定ステップ」と称する)。
ここで、これら電圧印加時間t1と電圧非印加時間t2の測定・記憶は、リレー接点5が閉成しているときの電磁ポンプ監視回路9からの入力波形に基づいて行なわれる(図8(d)参照)。すなわち、上述したように、電磁ポンプ監視回路9は、リレー接点5が閉成状態にあるときには電磁ポンプ3に印加される電圧パルス(脈流パルス)に応じたパルス波を生成・出力するので、このパルス波のHi期間とLo期間のそれぞれを計測することにより、電磁ポンプ3への電圧印加時間t1と電圧非印加時間t2とが測定される。
なお、この工程は、ハイリミット監視回路8の出力波形に基づいて測定したり、あるいは、商用電源2の周波数から演算によって求めたりすることも可能であるが、後述するように、本実施形態では、駆動リレーの動作遅れ時間を電磁ポンプ監視回路9の出力波形に基づいて測定するので、電圧印加時間t1と電圧非印加時間t2についても電磁ポンプ監視回路9の出力波形に基づいて測定することとしている。
また、本実施形態では、上記電圧印加時間t1と電圧非印加時間t2の測定・記憶は、燃焼装置が施工(現場に設置)され、かつ、燃焼装置に電源が投入(換言すれば、制御部6に電力供給が開始)されてから最初の燃焼運転の際に行なわれる。すなわち、この工程は、燃焼装置の施工前(換言すれば、工場出荷の際の出荷検査時)に実施しておくことも可能であるが、その場合、これらの値を記憶するメモリとして不揮発性のメモリが必要となる。本実施形態では、これらの値の記憶手段としてマイコンが備えるメモリ(具体的には揮発性のRAM)を用いていることから、燃焼装置施工後における最初の燃焼運転の際にこの工程を実行することとしている。なお、制御部6に不揮発性のメモリを設け、上述した手順で測定した電圧印加時間t1と電圧非印加時間t2の双方をこのメモリに記憶させることも可能である。その場合は、停電などで測定したデータt1、t2が消失するのを防止できる。
(2)このようにして、上記電磁ポンプ3に対する電圧印加時間t1と電圧非印加時間t2の測定・記憶がなされると、制御部6は、次の燃焼運転の際に、上記ハイリミット監視回路8からの入力波形に基づいて、上記商用電源2の電圧が正から負に変わるタイミング(ハイリミット監視回路8の波形が立ち下がるタイミング)T1に同期して上記リレー接点5を開放から閉成(オフからオン)とする旨の制御信号を駆動リレーに対して出力し、この制御信号の出力時T1から上記電磁ポンプ監視回路9からの入力電圧が立ち下がるまでの時間t3を測定する(以下、この工程を「第1のリレー遅れ時間測定ステップ」と称する)。
この工程では、商用電源の電圧が正から負に変わるタイミングT1、すなわち、本実施形態では、商用電源を整流素子4で半波整流して電磁ポンプ3に供給しているので、このタイミングT1は電磁ポンプ3に供給される電圧が0Vとなるタイミングと同じタイミングとなり、制御部6は、このタイミングT1に合わせてリレー接点の閉成(オフからオン)を指示する制御信号を出力する。
ここで、電磁ポンプ監視回路9は、上記リレー接点5が開放状態にあるときは一定電圧(本実施例ではDC5V)を出力し、閉成状態にあるときには電磁ポンプ3に印加される電圧パルスに応じたパルス波を生成する回路で構成されるので、上記タイミングT1の直後にくる電磁ポンプ3への印加電圧が0Vの期間中(交流電圧が負の半周期にあるとき)にリレー接点が閉成動作を完了すると、その時点で電磁ポンプ監視回路9の出力波形は立ち下がる(図8(d)のt3参照)。
その一方、電磁ポンプ3に正電圧が印加されているとき(交流電圧が正の半周期にあるとき)にリレー接点5の閉成動作が完了すると、このときはリレー接点5の動作に伴って電磁ポンプ監視回路9の出力波形は立ち下がらず、電磁ポンプ3に印加される電圧が再び0Vになったとき(交流電圧が次の負の半周期に入るとき)に立ち下がる(図8(e)のt3参照)。すなわち、この場合、リレー接点5が閉成しても電磁ポンプ監視回路9の出力波形はHi期間にあるので、リレー接点5が閉成したタイミングは電磁ポンプ監視回路9の出力波形上には現れない。
(3)このようにして、電磁ポンプ監視回路9からの入力電圧が立ち下がるまでの時間t3を測定すると、次に制御部6は、この第1のリレー遅れ時間測定ステップで測定した時間t3と上記誘導性負荷への電圧非印加時間t2とを比較して、前者t3が後者t2よりも短ければ、この測定した時間t3をリレー接点閉成時の動作遅れ時間tcdとして上記メモリに記憶させる(以下、この工程を「第1のデータ確定ステップ」と称する)。
(4)一方、上記第1のデータ確定ステップにおいて、上記第1のリレー遅れ時間測定ステップで測定した時間t3が上記電圧非印加時間t2よりも長い場合には、上記タイミングT1から始まるリレー接点閉成時の動作遅れ時間tcdの測定は失敗として、制御部6は、この測定した時間t3はメモリに記憶せずに測定に失敗した旨を記憶し、このときの燃焼運転ではリレー接点閉成時の動作遅れ時間tcdの測定は行なわずに、次に燃焼運転が行われるときに、再び以下の手順で動作遅れ時間tcdの測定を行なう。
すなわち、先の失敗の後に行われる次の燃焼運転の際(リレー接点を再び開放から閉成させる際)に、制御部6は、記憶手段に記憶された「測定失敗」の記録から先の燃焼運転の際に動作遅れ時間tcdの測定に失敗したことを確認すると、上記ハイリミット監視回路8からの入力波形に基づいて、今度は商用電源の電圧が負から正に変わるタイミングT2に同期して上記リレー接点5を開放から閉成させる旨の制御信号を出力する。そして、今度はこの制御信号の出力時T2から上記電磁ポンプ監視回路9からの入力電圧が立ち下がるまでの時間t4を測定する。つまり、2度目の測定では、上述した第1のリレー遅れ時間測定ステップより制御信号の出力タイミングを半周期(1/2周期)遅らせてリレー接点閉成時の動作遅れ時間Tcdを測定し、その値をメモリに記憶させる(以下、この工程を「第2のデータ確定ステップ」と称する)。
ここで、このように制御信号の出力タイミングを半周期遅らせているのは、先の失敗によってリレー接点閉成時の動作遅れ時間Tcdが商用電源の半周期より長いことがわかるので、リレー接点が閉成動作を完了したときに、その結果が電磁ポンプ監視回路9の出力波形に電圧の立ち下がりとして現れるようにするためである。
(5)このようにして、リレー接点閉成時の動作遅れ時間Tcdの測定・記憶がなされると、その後において、つまり、次の燃焼運転を行うときから、制御部6がリレー接点5を開放から閉成させる旨の制御信号を出力する際には、この駆動リレーの動作遅れ時間tcd分だけ制御信号の出力タイミングを早めて制御信号を出力する。具体的には、電磁ポンプ3に印加される電圧が0Vの期間(図8(b)のt0参照)のときにリレー接点5を閉成させるのが接点の耐久上好ましいので、たとえば、この期間t0の中間点で接点を閉成させたい場合には、この中間点からリレーの動作遅れ時間tcd分だけ制御信号の出力タイミングを早めることで、目標のタイミングで駆動リレーを閉成させることができる。
B.リレー接点5が開放するとき(接点開放時)の動作遅れ時間todについて
次に、接点開放時の動作遅れ時間todの測定手順について図9に基づいて説明する。図9は、駆動リレーの接点開放時における動作遅れ時間todを測定する手順を説明するためのタイミングチャートであって、図9(a)は上記商用電源2の電圧波形を、図9(b)はハイリミット監視回路の出力波形を、図9(c)は電磁ポンプ3に印加される電圧波形を、図9(d)から(f)は電磁ポンプ監視回路の出力波形をそれぞれ示している。
(1)駆動リレーの接点開放時における動作遅れ時間todを測定するにあたり、本実施形態では、上記リレー接点閉成時の動作遅れ時間tcdの場合と同様、まず、制御部6は、上記電磁ポンプ3に対する電圧印加時間t1と電圧非印加時間t2とを測定し、これらの値を記憶手段に記憶させる。なお、この工程は、上述した駆動リレー閉成時の動作遅れ時間tcdの測定において説明した電圧印加時間測定ステップと同じ工程であるので、制御部6は、一度この工程を実行していれば重ねて実行する必要はない。
(2)そして、次に、燃焼運転が停止される際(駆動リレーのリレー接点5を開放する際)に、上記制御部6は、上記ハイリミット監視回路8からの入力波形に基づいて、上記商用電源の電圧が正から負に変わるタイミングT3に同期して上記リレー接点5を閉成から開放させる旨の制御信号を出力し、この制御信号の出力時T3から上記電磁ポンプ監視回路9からの入力電圧が立ち上がるまでの時間t5を測定する(以下、この工程を「第2のリレー遅れ時間測定ステップ」と称する)。
すなわち、この工程では、商用電源の電圧が正から負に変わるタイミングT3、すなわち、本実施形態では、商用電源2を整流素子4で半波整流して電磁ポンプ3に供給しているので、このタイミングT3は電磁ポンプ3に供給される電圧が0Vとなるタイミングと同じタイミングとなり、制御部6は、このタイミングT3に合わせてリレー接点の開放(オンからオフ)を指示する制御信号を出力する。
ここで、電磁ポンプ監視回路9は、上記リレー接点5が開放状態にあるときは一定電圧(本実施例ではDC5V)を出力し、閉成状態にあるときには電磁ポンプ3に印加される電圧パルスに応じたパルス波を生成する回路で構成されるので、上記タイミングT3の直後にくる電磁ポンプ3への印加電圧が0Vの期間中(交流電圧が負の半周期にあるとき)にリレー接点5が開放動作を完了すると、その時点で電磁ポンプ監視回路9の出力波形が立ち上がることとなる(図9(d)のt5参照)。
これに対して、電磁ポンプ3に正電圧が印加されているとき(交流電圧が正の半周期にあるとき)にリレー接点5の開放動作が完了した場合は、その時点では既に電磁ポンプ監視回路9の出力波形は立ち上がっており(Hi期間となっており)、このHi期間中にリレー接点が開放動作を完了してもその動作時点が電磁ポンプ監視回路9の出力波形には現れない。具体的には、たとえば、図9(e)に示すように、リレー接点5の開放動作完了までに(t2+tα)時間を要した場合、電磁ポンプ監視回路9の出力波形はタイミングT3からt2時間が経過した時点で立ち上がってしまうので、この場合に、電磁ポンプ監視回路9の出力電圧が立ち上がるまでの時間t5を計測しても(t5=t2)となり、リレー接点5が開放されたタイミングを把握することができない。
(3)そこで、制御部6は、このようにして電磁ポンプ監視回路9からの入力電圧が立ち上がるまでの時間t5を測定すると、次に、上記第2のリレー遅れ時間測定ステップで測定した時間t5と上記電圧非印加時間t2とを比較して、前者t5が後者t2よりも短ければ、この測定した時間t5をリレー接点開放時の動作遅れ時間todとしてメモリに記憶させる(以下、この工程を「第3のデータ確定ステップ」と称する)。
(4)一方、上記第3のデータ確定ステップにおいて、上記第2のリレー遅れ時間測定ステップで測定した時間t5が上記電圧非印加時間t2と同じ場合には、上記タイミングT3から始まるリレー接点開放時の動作遅れ時間todの測定は失敗として、制御部6は、この測定した時間t5はメモリに記憶せずに測定に失敗した旨を記憶し、このときの燃焼運転停止時にはリレー接点開放時の動作遅れ時間todの測定は行わずに、次に燃焼運転が停止するときに、再び以下の手順で動作遅れ時間todの測定を行う。
すなわち、先の失敗の後に行われる次の燃焼運転停止の際(リレー接点を再び閉成から開放させる際)に、記憶手段に記憶された「測定失敗」の記録から先の燃焼運転停止の際に動作遅れ時間todの測定に失敗したことを確認すると、制御部6は、上記ハイリミット監視回路8からの入力波形に基づいて、今度は、上記商用電源2の電圧が負から正に変わるタイミングT4に同期して上記リレー接点5を閉成から開放させる旨の制御信号を出力する。そして、今度は、この制御信号の出力時T4から上記電磁ポンプ監視回路9からの入力電圧が次に立ち上がるまでの時間T6を測定し、この測定した時間t6をリレー接点開放時の動作遅れ時間Todとしてメモリに記憶させる。つまり、2度目の測定では、上述した第2のリレー遅れ時間測定ステップより制御信号の出力タイミングを半周期(1/2周期)遅らせてリレー接点開放時の動作遅れ時間Todを測定し、その値をメモリに記憶させる(以下、この工程を「第4のデータ確定ステップ」と称する)。
ここで、このように制御信号の出力タイミングを半周期遅らせたのは、上述したリレー接点閉成時の動作遅れ時間tcdの測定と同様に、先の失敗によってリレー接点開放時の動作遅れ時間Todが商用電源の半周期より長いことがわかるので、リレー接点が開放動作を完了したときに、その結果が電磁ポンプ監視回路9の出力波形に電圧の立ち上がりとして現れるようにするためである。
(5)このようにして、リレー接点開放時の動作遅れ時間Todの測定・記憶がなされると、その後において、再び制御部6がリレー接点を閉成から開放させる旨の制御信号を出力する際には、このリレーの動作遅れ時間tod分だけ制御信号の出力タイミングを早めて制御信号を出力する。
具体的には、リレー接点開放時には、上述したように、電流遅れ時間tidを考慮して制御信号の出力タイミングが電圧・電流ともにオフ期間となる出力期間tsとされるので、この出力期間tsの中間点で接点を開放さるためには、この中間点からリレーの動作遅れ時間tod分だけ制御信号の出力タイミングが早められる。
このように、本実施形態に示す燃焼装置によれば、該燃焼装置が通常備えるハイリミット監視回路8と電磁ポンプ監視回路9の出力波形に基づいて電磁ポンプ3の駆動リレーの動作遅れ時間を測定できるので、制御部6のソフトウェアを載せ替えるだけで従来の燃焼装置に容易に適用できる。換言すれば、部品点数の増加がなく、低コストで本発明を適用することができる。しかも、電流の遅れや駆動リレーの動作遅れ時間を加味したリレー制御が可能になることから、電磁ポンプ3の駆動リレーとして定格の低いリレーを使用することができるようになる。
ところで、このように駆動リレーの動作遅れ時間を加味したリレー制御を行なう場合であっても、出願人の実験によれば、たとえば、駆動リレーの1次側コイル51に印加する電源Vcc3の電圧が変動したり、駆動リレーの周辺温度(特に、1次側コイル51の周辺温度)が変動したりすると、これら要因の変動に伴って上記駆動リレーの動作遅れ時間もわずかに変動することが判明した。
そのため、駆動リレーのオン・オフが、電圧・電流ともにオフ期間にあるときに確実に行われるようにするためには、これら要因の変動に応じて上記駆動リレーの動作遅れ時間を補正してやるのが好ましい。そこで、以下に、これら要因による駆動リレーの動作遅れ時間の補正について説明する。
まず、駆動リレーの1次側コイル51に印加する電源Vcc3の電圧変動に応じた補正について説明する。
この補正は、上記制御部6が上記制御信号の出力タイミングを設定するにあたり、1次側コイル印加電圧検出手段60(図1参照)によって検出される電圧に基づいて、上記動作遅れ測定手段で測定された動作遅れ時間を補正するもので、そのための構成として、駆動リレーの1次側コイルへの印加電圧を検出する1次側コイル印加電圧検出手段60と、この1次側コイル印加電圧検出手段60によって検出された電圧値に基づいて上記動作遅れ時間の補正量を決定するテーブルデータを記憶した記憶手段(図示せず)とを備えている。
具体的には、上記1次側コイル印加電圧検出手段60は、上記駆動リレーの駆動電源Vcc3の電圧を分圧するための抵抗器61,62と制御部6とで構成される。すなわち、上記抵抗器61,62で分圧された電圧信号が制御部6のアナログ入力端子に入力され、この電圧信号に基づいて制御部6が駆動電源Vcc3の電圧を算出するように構成されている。
一方、上記テーブルデータは、実際に回路に組み込まれる駆動リレーを用いて、駆動電源Vcc3の電圧値と、各電圧値における駆動リレーの動作遅れ時間の変動量との関係を測定・収集することにより生成される。ここで、出願人の実験したところによれば、駆動電源Vcc3の電圧が低くなると駆動リレーの動作遅れ時間が延び(遅れ)、駆動電源Vcc3の電圧が高くなると駆動リレーの動作遅れ時間が短縮される(速まる)ことが判明している。たとえば、駆動リレーとして「オムロン株式会社製のG5NB−1A(DC12Vタイプ)」を使用した場合、駆動電源Vcc3の電圧が正規の電圧(DC15V)に対して1V下がると上記動作遅れ時間が約0.21μS延び、反対に1V上がると上記動作遅れ時間が約0.21μS速まる。
なお、このテーブルデータを記憶する記憶手段としては、制御部6の不揮発性の記憶手段(たとえばROM)が好適に用いられる。
しかして、このように構成された電磁ポンプ駆動回路1においては、リレー接点閉成時やリレー接点開放時に、上述した手順で測定・記憶された動作遅れ時間Tcd,Tod分だけ制御信号の出力タイミングを早められるが、その際これらの動作遅れ時間Tcd,Todがそれぞれ実際に駆動リレーの1次側コイル51に印加される駆動電源Vcc3の電圧値に基づいて補正される。すなわち、上述した手順での動作遅れ時間Tcd,Todの測定・記憶は一度のみ行われるが、これら動作遅れ時間Tcd,Todの補正は、リレー接点閉成時やリレー接点開放時の都度行なわれる。
次に、駆動リレーの周辺温度(特に、1次側コイル51の周辺温度)の変動に応じた補正について説明する。
この補正は、上記制御部6が上記制御信号の出力タイミングを設定するにあたり、リレー環境温度検出手段(図示せず)で検出される環境温度に基づいて、上記動作遅れ測定手段で測定された動作遅れ時間を補正するもので、そのための構成として、リレー環境温度検出手段と、このリレー環境温度検出手段によって検出された周辺温度に基づいて上記動作遅れ時間の補正量を決定するテーブルデータを記憶した記憶手段(図示せず)とを備えている。
ここで、上記リレー環境温度検出手段は、上記駆動リレーの周辺温度(特に、1次側コイル51の周辺温度)を検出するための温度センサからなる。具体的には、上記駆動リレー(特に、1次側コイル51)の近傍に配設され、雰囲気温度を測定する温度センサ(たとえば、サーミスタ)が用いられる。なお、本実施形態のように電磁ポンプ駆動回路1が燃焼装置に適用される場合には、該燃焼装置が備える各種の温度センサのうちで駆動リレーの近傍の雰囲気温度を検出する温度センサ(たとえば、凍結予防ヒータ制御用の雰囲気温度センサ)が既に存在する場合には当該センサをこのリレー環境温度検出手段として用いることもできる。
一方、上記テーブルデータは、実際に回路に組み込まれる駆動リレーを用いて、該駆動リレーの周辺温度と、各温度における駆動リレーの動作遅れ時間の変動量の関係を測定・収集することにより生成される。ここで、出願人の実験したところによれば、駆動リレーの周辺温度が低くなると駆動リレーの動作遅れ時間が延び(遅れ)、周辺温度が高くなると駆動リレーの動作遅れ時間が短縮される(速まる)ことが判明している。たとえば、駆動リレーとして「オムロン株式会社製のG5NB−1A(DC12Vタイプ)」を使用した場合、周辺温度が−20℃の場合と+70℃の場合とでは動作遅れ時間に0.3mS程度の相違が出た。
なお、このテーブルデータを記憶する記憶手段も、上述した駆動電源Vcc3の変動に対する補正用データテーブルの記憶手段と同様、制御部6の不揮発性の記憶手段(たとえばROM)が好適に用いられる。
しかして、このように構成された電磁ポンプ駆動回路1においては、リレー接点閉成時やリレー接点開放時に、上述した手順で測定・記憶された動作遅れ時間Tcd,Tod分だけ制御信号の出力タイミングを早められるが、その際これらの動作遅れ時間Tcd,Todがそれぞれ駆動リレーの周辺温度に基づいて補正される。すなわち、上述した手順での動作遅れ時間Tcd,Todの測定・記憶は一度のみ行われるが、これら動作遅れ時間Tcd,Todの補正は、リレー接点閉成時やリレー接点開放時の都度行なわれる。
なお、この駆動リレーの周辺温度による補正は、上述した駆動電源Vcc3に応じた補正と合わせて重畳的に行なってもよいのはもちろんのこと、単独で行うことも可能である。
実施形態6
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。この第6の実施形態は、上述した実施形態1乃至5の燃焼装置の更なる改変例であって、本実施形態では、上記制御部6が、所定条件成立時に上記駆動リレーの接点間にアーク放電が生じるタイミングで上記制御信号を出力するように構成される。
すなわち、上述した実施形態に示す燃焼装置では、電圧・電流ともにオフの期間にリレー接点5が開閉されることから、接点の開閉時に接点間でアーク放電が生じることはないが、反面、長期間にわたって燃焼装置を使用しているとリレー接点5の表面(接点面)に埃などが堆積した皮膜が形成され、接点が接触不良を起こすおそれがある。
本実施形態では、このような接点の接触不良が起きないように、あらかじめ制御部6のプログラムの設定によって、所定の条件(たとえば、接点の開閉が100回に達するなどの条件)が成立すると、制御部6が積極的に接点間にアーク放電が生じるタイミングで制御信号を出力するように構成されている。
ここで、アーク放電が生じるタイミングとしては、リレー接点5を開放から閉成に切り替える場合においては、たとえば、通常動作時にはハイリミット監視回路8からの出力波形の立下りを検出して制御信号を出力するが、それとは反対の立ち上がりを検出して制御信号を出力する。また、リレー接点5を閉成から開放に切り替える場合においては、上述した制御信号の出力禁止期間に制御信号を出力したり、あるいは、電磁ポンプ監視回路9の立ち上がりを検出して制御信号を出力したりすることができる。要は、アーク放電が生じるタイミングであれば、適宜設計変更可能である。
このように、本実施形態では、制御部6が所定条件成立時に積極的に接点間にアーク放電を生じさせるので、リレー接点5の表面(接点面)に皮膜が形成されることによる接触不良を防止できる。
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
たとえば、上述した実施形態では、制御部6のROMに記憶させる電流遅れ時間tidとして、種々の要因を踏まえて行う試験結果のうち電流遅れが最大となったときの値を用いた場合を示したが、制御部6に記憶させる電流遅れ時間としては、試験結果の平均値など一般的な値を記憶させておくことも可能である。
ところで、上述したように、電源電圧や電源周波数、環境温度によって、電流遅れ時間にわずかにずれが生じる。図10は、電流遅れが生じる要因毎の電流オフ期間を示しており、図10(a)は商用電源2の電圧(電源電圧)の相違による電流オフ期間を、図10(b)は電源周波数の相違による電流オフ期間を、図10(c)は環境温度の相違による電流オフ期間をそれぞれ示している。
図示のように、電流オフ期間は、電源電圧が高ければ長く、電源周波数が高ければ長く、周囲の環境温度が高ければ長くなる。そのため、上記電流遅れ時間tidとして一般的な値を用いる場合、これらの要因毎に電流遅れ時間tidを補正する補正データ(電圧補正データ、周波数補正データ、温度補正データ)を制御部6に記憶させておき、制御信号の出力禁止期間を設定する際には,補正データに基づいて上記電流遅れ時間tidを補正するように構成することが望ましい。
たとえば、上記電流遅れ時間tidを商用電源の電圧値に基づいて補正する場合、制御部6が上記制御信号の出力期間を設定する際に、この電圧補正データに基づいて上記電流遅れ時間記憶手段に記憶された電流遅れ時間tidを補正し、補正後の電流遅れ時間tidに基づいて制御信号の出力期間の設定を行なう。なお、電源周波数や環境温度に基づいて補正を行う場合は、それぞれ周波数補正データ、温度補正データを用いる。また、補正の前提となる電源電圧や電源周波数、環境温度の検出は、燃焼装置が備えるこれらの検出手段(たとえば、環境温度であれば凍結予防ヒータ制御用の雰囲気温度センサ)を用いる。
また、上述した実施形態では、制御部6が、燃焼運転の開始時(リレー接点5の閉成時)と燃焼運転の停止時(リレー接点5の開放時)の双方について、リレー接点の動作遅れ時間tcd,todの測定を行なうようにした場合について説明したが、制御部6のプログラムの設定により、燃焼運転の開始時又は燃焼運転の停止時のいずれか一方のみについて動作遅れ時間を測定し、リレー制御を行なうように構成することも可能である。
さらに、上述した実施形態では、第1及び第2のリレー遅れ時間測定ステップで測定された時間t3,t5が第1及び第3のデータ確定ステップにおいて確定されなかった場合(測定が失敗と判断された場合)、次の燃焼運転時又は次の燃焼運転停止時まで待って測定のタイミングを半周期遅らせて再度測定する場合について説明したが、たとえば、次の燃焼運転時又は次の燃焼運転停止時まで待たずに続けて測定を行うように設定することも可能である。すなわち、たとえば第1のリレー遅れ時間測定ステップで測定された時間t3が電圧非印加時間t2よりも長かった場合には、その時点で燃焼運転を停止させて、第2のデータ確定ステップを実行する(測定のタイミングを半周期遅らせて再度測定する)ように構成することも可能である。
また、上述した実施形態では、リレー接点の動作遅れ時間の測定にあたり、まず初めに電圧印加時間測定ステップを実行する場合について説明したが、たとえば第2のリレー遅れ時間測定ステップを実行した後に電圧印加時間t1と電圧非印加時間t2を測定するように構成することも可能である。
また、上述した実施形態では、電流の遅れ時間tidを制御部6に記憶させ、制御信号の出力タイミングをソフトウェア上で設定する場合について説明したが、たとえば、電流検出回路を設けて電流のオフ期間を制御部6で確認しながら制御信号を出力するように構成したり、あるいは、ハイリミット監視回路8の設計変更により、電源電圧が負の半波にある期間の中心寄りの1/3程度がLo期間となるようにし、このLo期間に制御信号を出力するように構成することも可能である。
また、上述した実施形態は、リレー接点の動作遅れ時間tcdの測定にあたり、上記第1のデータ確定ステップ及び第2のデータ確定ステップでは、測定した時間(t3)を電圧非印加時間(t2)と比較する場合について説明したが、電圧非印加時間(t2)と電圧印加時間(t1)とはほぼ同じ値となるので、比較対象として電圧印加時間(t1)を用いることも可能である。また、上述した実施形態では、リレー接点の動作遅れ時間tcd,todがいずれも商用電源2の周波数の1周期を超えない場合について説明したが、たとえば、上述した第1のデータ確定ステップで測定される時間t3が1周期を超える場合にはその値を動作遅れ時間tcdとすることができる。
また、上述した実施形態では、リレー接点の動作遅れ時間tcd,todを、制御部6が測定する構成を示したが、このような測定に代えて、これらの値を予め規定値として制御部6の記憶手段(たとえば、ROM)に記憶させておき、この記憶させておいた値に基づいて、制御部6に制御信号の出力タイミングを設定させるように構成することもできる。
また、上述した実施形態では、本発明を燃料圧送用の電磁ポンプ3を備える燃焼装置に適用した場合を示したが、本発明は、交流電源を半波整流した電源で動作する誘導性負荷の駆動リレーの制御装置であって、上述した入力電圧監視回路(ハイリミット監視回路)と負荷電圧監視回路(電磁ポンプ監視回路)に相当する回路を備えたものであれば、他の装置にも適用可能である。