JP4872585B2 - レーザーパターニング用透明導電膜付き基板およびその製造方法 - Google Patents

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本発明はプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する)の前面板に用いることのできる透明導電膜付き基板に関する。
フラットパネルディスプレイの透明電極は、従来ガラス基板上に形成された酸化インジュウムを主成分とする透明導電膜をフォトリソグラフィによるウエットエッチング法でパターニングしたものが透明電極等として用いられている。しかし、基板の大型化に伴い、フォトリソグラフィ法によるウエットパターニングは、フォトリソグラフィに使用する大型マスク作製の困難化と、パターニング工程数が多いことによるコストアップと、が問題となっている。そこで、特許文献1、2に示すように、レーザー光で直接基板に透明導電膜のパターンを形成するレーザーパターニング法が用いられつつある。
特開2001−52602号公報 特開2005−108668号公報
しかし、従来使用されている酸化インジュウム膜を主成分とする透明導電膜は、単位面積あたりのレーザの照射エネルギーが低下した時に酸化インジュウム膜が残ることにより、残存した膜残りが原因となって形成された導電膜パターン間が絶縁とならずにリークが発生する問題がある。逆に、レーザの照射エネルギーを上げるとガラス基板自体にキズが発生しやすくなる問題がある。また、タクトアップが困難で、生産効率が低いという問題がある。
本発明は、このような現状を考慮したものであって、容易にパターニングが可能なレーザーパターニング用透明導電膜付きガラス基板およびその製造方法、前記導電膜のパターニング方法を提供することを目的とする。
特に、波長が250〜1500nm、特に1000〜1500nm(さらには波長が1064nmの場合)のレーザー光に対し、パターニング性が良好で、安定したパターニング性を有するレーザーパターニング用透明導電膜付きガラス基板を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本出願は下記の発明を提供する。
(1)ガラス基板上に形成された透明導電膜をレーザー光によりパターニングすることによって透明導電膜パターンを形成するために使用される透明導電膜付き基板であって、
前記透明導電膜を形成する材料が酸化スズをドープした酸化インジウムであり
波長1064nmにおける式(1)にて求められる前記透明導電膜の吸収率が5%以上20%以下である透明導電膜付き基板。
透明導電膜の吸収率={100−(透明導電膜付きガラス基板の透過率+透明導電膜付きガラス基板の反射率)}−{100−(ガラス基板の透過率+ガラス基板の反射率)}
‥‥‥(1)式
(2)前記レーザー光の波長が1000〜1500nmである(1)に記載の透明導電膜付き基板。
(3)前記透明導電膜の比抵抗値が4×10−3Ω・cm以下である(1)または(2)に記載の透明導電膜付き基板。
(4)プラズマディスプレイパネルの前面板に用いることのできる(1)、(2)または(3)に記載の透明導電膜付き基板。
(5)成膜時の基板温度を220℃〜400℃、スパッタガス中のO濃度を0.5〜1.5%とし、酸化スズをドープした酸化インジウムターゲットを用いてスパッタリング法により(1)〜(4)いずれか1項に記載の透明導電膜を形成する透明導電膜付き基板の製造方法。
(6)(1)〜(4)いずれか1項に記載の透明導電膜をレーザパターニングすることによって得られる透明導電膜パターン付き基板。
(7)(5)に記載の透明導電膜付き基板の製造方法により得られた透明導電膜をレーザパターニングすることによって得られる透明導電膜パターン付き基板。
(8)(6)または(7)に記載の透明導電膜パターン付き基板を用いたプラズマディスプレイパネルの前面板。
(9)(8)に記載の前面板を用いたプラズマディスプレイパネル。
本発明によれば、エッチングしやすく、安定したレーザエッチング性を有するレーザパターニング用透明導電膜付きガラス基板、特にPDP用透明導電膜付きガラス基板を得ることができる。
また、本発明のPDP用透明導電膜付きガラス基板によれば、レーザーが低出力であっても所望の形状にパターニングできる結果、安定して絶縁することができる。よって、低出力のレーザの使用が可能であり、同じレーザ出力でも広範囲のエッチングが可能である。したがって、タクトアップが可能になるので生産効率をあげることができる。以上より、上記透明導電膜付きガラス基板は、本発明のPPD用の前面板用の基板として最適である。
本発明に用いられる基板はソーダライムガラス、無アルカリガラス等特に限定されず、各種ガラス基板が使用できる。本実施例においてはPDP用ガラス(旭硝子製PD200)を用いる。
ガラス基板の大きさは、特に限定されず、縦および横ともに100〜3000mm、特に500〜2500mmであることが好ましい。またガラス基板の厚さは0.3〜3mm、特に1.5〜3mmであることが好ましい。
ガラス基板上に透明導電膜を形成する材料は、酸化スズをドープした酸化インジウム(以下、ITOと記す。)である。具体的には、酸化インジウムが透明導電膜中に60質量%以上、特に70質量%以上、さらには80質量%以上であることが好ましい。透明導電膜は、1種の導電材料からなる単層膜であってもよく、異なる種類の透明導電材料からなる複合層であってもよく、さらに異なる層を2層以上有する積層膜であってもよい。また、透明導電膜の膜厚は、抵抗値、透過率等の観点から50〜250nmが好ましい。
これらのうち、透明導電膜としては酸化インジウムを80〜99質量%、ドーパンド材料である酸化スズを1〜20質量%含む膜であることが好ましい。また、透明導電膜の比抵抗値は4×10-4Ω・cm以下、特に3×10-4Ω・cm以下、さらには2.5×10-4Ω・cm以下が好ましい。また、前記透明導電膜の可視光透過率は、透明性の点で、80%以上であることが好ましい。
ITO膜は、酸化インジウムと酸化スズとの合計100質量%中、酸化スズを1〜20質量%含むものが導電性を良好とできる点で好ましい。ITO膜の膜厚は、抵抗値、透過率等の観点から50〜250nmが好ましい。また、ITO膜の比抵抗値は4×10-4Ω・cm以下が好ましい。
ITO膜の形成方法としては、熱分解法(原料溶液を塗布後加熱して膜を形成する方法)、化学気相成長法(CVD)法、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法等が挙げられるが、これらのうち、ITOターゲットを用いてRF(高周波)またはDC(直流)スパッタリング法で形成する方法が好ましい。
スパッタリング法による成膜時の雰囲気ガスとしては、アルゴン−酸素混合ガスを用い、ITO膜の比抵抗値が最小になるようにアルゴンと酸素のガス比を定めることが好ましい。雰囲気ガス中の酸素ガスの含有量は、0.1〜5体積%であることが比抵抗の点で好ましい。また、スパッタリング法による成膜時のガラス基板温度は、100〜500℃が好ましい。これは、ガラス基板温度を100℃以上とすることにより、ITO膜が非晶質になりにくく、ITO膜の耐薬品性が良好になり、成膜温度を500℃以下とすることにより、結晶性が抑えられ、膜表面の凹凸が大きくなり難くなるからである。
レーザ光を透明導電膜に照射することにより透明導電膜パターンを形成するレーザとしては、COレーザー、YVOレーザー、Ne−YAGレーザー等挙げられる。特に、高出力で安定したレーザーを安価に得られることから、Ne−YAGレーザーの基本波(1064nm)を使用することが好ましい。
ITO膜の結晶性は、可視光(波長400〜750nm)の領域においては、スパッタリング法による成膜時のガラス基板温度が高くなるほど向上し、その結果、吸収率が低くなる傾向がある。つまり、従来は、可視光域の吸収率を考慮すると、成膜時のガラス基板温度は下げて行うことが通常であった。
一方、波長1064nmにおけるITO膜の吸収率は、スパッタリング法による成膜時のガラス基板温度を高くすると上がり、低くすると下がる傾向があることがわかった。したがって、成膜時の基板温度は高いほうが好ましい。特に波長1064nmにおけるITO膜の吸収率を5%以上とするには、成膜時の基板温度を220℃以上400℃以下とすることが好ましい。
ここで吸収率とは、下記式(1)によって求められた値である。なお、反射率は5°入射のときの反射率を意味する。
透明導電膜の吸収率={100−(透明導電膜付きガラス基板の透過率+透明導電膜付きガラス基板の反射率)}−{100−(ガラス基板の透過率+ガラス基板の反射率)} ‥‥‥(1)式
なお、式中のそれぞれの透過率、反射率はJIS R3106(1998年)に準じて測定したものである。
本発明においては、上記透明導電膜の吸収率を5%以上とすることを特徴としている。あるレーザの波長において、その吸収率を上げることでレーザの吸収が良好となる結果、レーザパターニングがしやすくなると考えられる。
しかし、特にレーザとしてNe−YAGレーザーの基本波(1064nm)を使用してパターニングを行う場合、本発明に記載されている透明導電膜の吸収率を高くする方法は当業者が容易に考え付く内容ではない。
ITO膜に代表される透明導電膜は可視光(波長400〜750nm)の領域においては、スパッタリング法による成膜時のガラス基板温度が高くなるほど結晶性が向上し、吸収率が低くなる。つまり、レーザエッチング性を向上を目的として吸収率を高くする為には、成膜温度を下げれば良いと考えるのが一般的であった。
しかし、以下の実施例で示すように、波長1064nmにおけるITO膜の吸収率は、スパッタリング法による成膜時のガラス基板温度を高くすると上がり、低くすると下がる傾向があることがわかった。
このように可視光(波長400〜700nm)と波長1064nmで成膜温度と吸収率がまったく反対の挙動を示す理由として以下のことが考えられる。
透明導電膜では成膜温度を高くすることで(1)結晶性が向上し欠陥による吸収率か低下する効果と(2)キャリア密度が上昇しキャリアによる吸収が大きくなる効果が考えられる。
可視光(波長400〜700nm)の透明導電膜では欠陥による吸収に比べキャリアによる吸収が小さい為、成膜温度を高くすると(1)結晶性が向上し欠陥による吸収率か低下の効果が大きく作用する為。吸収率が小さくなると考えられている。
一方、1064nmの波長では欠陥による吸収に比べキャリアによる吸収が大きいため、成膜温度を高くすると(2)キャリア密度が上昇しキャリアによる吸収が大きくなる効果がより大きく作用するため、吸収率が大きくなると考えられる。
比抵抗と吸収率条件を考慮すると、成膜時の基板温度は220℃以上、500℃以下が好ましいが、高温域で使用できる装置の製作上の困難性から、400℃以下がより好ましい。さらに好ましくは、250〜350℃である。
また、スパッタリング法による成膜時における雰囲気ガス中のO濃度を高くすると、ITO膜の1064nmの波長における吸収率は下がり、O濃度を低くすると1064nmの波長における吸収率は上がる傾向がある。よって、O濃度は低い方が好ましい。特に波長1064nmにおけるITO膜の吸収率を5%以上とするには、上記雰囲気中のO濃度を2.5体積%以下とすることが好ましい。また、O濃度を0.3体積%未満するとITO膜が酸素欠乏になり、透明性が悪くなるとともに抵抗値が悪化する可能性がある。よって、O濃度は0.3〜2.5体積%、特に0.5〜1.5体積%、さらには0.6〜1.2体積%であることが好ましい。
なお、従来のITO膜は、その透明性などを考慮して、O濃度を高くして成膜することが通常であった。本発明は、ITO膜の1064nmの波長における吸収性を考慮して、雰囲気ガス中のO濃度をより低い範囲に限定したものである。
ITO膜の吸収率は成膜時の基板温度と上記雰囲気中のO濃度との両方の条件が大きく影響を与える。特に波長1064nmにおける吸収率を5%以上となるITO膜を安定して得るためには、成膜時の基板温度を220℃〜400℃、スパッタガス中のO濃度を0.6〜1.2%とすることが好ましい。
アルカリ含有ガラス基板を用いる場合には、ガラス基板に含まれるアルカリイオンがITO膜へ拡散してITO膜の抵抗値に影響を及ぼすことがある。そのため、アルカリバリア層として二酸化ケイ素膜等をガラス基板とITO膜の間に形成することが好ましい。アルカリバリア層の形成方法としては、熱分解法、CVD法、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法等が挙げられる。アルカリバリア膜の膜厚は、アルカリバリア性能の観点から、10nm以上が好ましく、コスト面から500nm以下が好ましい。
以上の様に、エッチングしやすく、安定したレーザエッチング性を持つ透明導電膜を有するレーザパターニング用透明導電膜付きガラス基板を得ることができる。
以下、本発明の実施例および比較例を示す。
(実施例1)
まず、サンプル基板として50mm×50mmのPDP用高歪み点ガラス(旭硝子製PD200)基板を用いる。このサンプル基板にDCマグネトロンスパッタリング法により、膜厚が130nmとなるようにITO膜の成膜を行い、ITO膜付きサンプル基板を得た。ターゲットは、10質量%の酸化スズがドープした酸化インジュウムターゲットを使用した。成膜時のサンプル基板温度は250℃とし、Ar−O混合ガス雰囲気中でスパッタリングを行った。Oの含有量は0.6体積%であった。
<ITO膜の吸収率Eの測定>
JIS R3106(1998年)に従って、波長532nmおよび1064nmにおけるITO膜付きサンプル基板の反射率および吸収率の測定を行った。本測定においては日立分光光度計U-4000を使用し、ITOを成膜した基板の成膜面から、(1)式における透過率A、入射角を5°とした場合の5°反射率Bを測定した。
次に、透過率Aおよび5°反射率Bを測定したITO膜付きサンプル基板を、47℃に加熱したエッチング液(水1000ml、40質量%塩化第二鉄水溶液500ml、35質量%塩酸1000mlの混合液)に3分間浸漬して、すべてのITO膜をガラス表面から除去した。その後、波長532nmおよび1064nmにおける膜を除去したガラス基板単体の透過率C、入射角を5°とした場合の5°反射率Dを測定した。
これら測定値A、B、C、Dから以下に示す式を用いて、ITO膜の波長1064nmにおける吸収率Eを算出した。結果を表1に示す。
ITO膜の吸収率E={100−(ITO膜付きガラス基板の透過率A+ITO膜付きガラス基板の5°反射率B)}−{100−(ガラス基板の透過率C+ガラス基板の5°反射率D)} ‥‥‥(1)式。
図1は、透過率A、5°反射率B、透過率C、5°反射率Dを測定する場合の、レーザ光の進行方向を記載した断面図である。なお、図1において、1は透明導電膜(ITO膜)、2はガラス基板である。
<レーザーエッチング後抵抗値とレーザーエッチングされた部分の線幅の測定>
吸収率Eを算出したITO膜と同条件でITO膜付きサンプル基板表面にレーザー光を照射し、パターニングを行った。具体的には、図2のとおり、基板の中心を通りかつ辺に平行な直線形状をパターニングできるように、基板を搬送してパターニングを行った。パターニング幅は48μm目標とした。このときのエッチング条件は、レーザー光波長1064nm、レーザー出力5W、レーザー径60μm、周波数30kHzの設定でレーザー光を照射し、基板の搬送速度は500mm/秒とした。
図2は、レーザーエッチング後のITO膜付きガラス基板の抵抗値の測定方法を説明する図である。図2に示すように、ITO膜付きガラス基板3のレーザーエッチングされた部分4を挟んで、10mm間隔の抵抗値測定点5にテスター(PC510:三和電気計器社製)をあて、レーザーエッチング後の抵抗値(以下、レーザーエッチング後抵抗値と記す。)とレーザーエッチングされた部分4の線幅とを測定した。結果を表1に示す。
なお、レーザエッチング後抵抗値でO.L.と記載されているものは、レーザエッチング後抵抗値が50MΩ以上となっており、実用上PDP用透明導電膜付きパターニング基板として問題の無いレベルにあることを意味する。
<線幅目標を変更した場合のレーザーエッチングされた部分の線幅の測定>
PDP用ITOの放電電極幅は通常100μm程度であることが多い。そこで、次に、レーザ径を変更して1064nmのITO膜の吸収率と、100μm幅でレーザパターニングした時のパターニング性を評価した。具体的には、上記線幅目標を48μmから100μmと変更した以外は上記と同様にパターニングを行い、レーザーエッチングされた部分4の線幅を測定した。結果を表1に示す。
<最小レーザ密度の測定>
レーザ出力を変更してレーザエッチング後抵抗値が50MΩ以上となるような最低のパワーを有するレーザ密度(最小レーザ密度)を測定した。
吸収率Eを算出したITO膜と同条件でITO膜付きサンプル基板を形成した。形成したITO膜表面にレーザー光を照射し、パターニングを行った。具体的には、図2のとおり、基板の中心を通りかつ辺に平行な直線形状をパターニングできるように、基板を搬送してパターニングを行った。パターニング幅は48μm目標とした。このときのエッチング条件は、レーザー光波長1064nm、レーザー出力5W、レーザー径60μm、周波数30kHzの設定でレーザー光を照射し、基板の搬送速度は500mm/秒とした。
なお、パターニングにおいて、レーザ密度については、レーザの1回照射におけるエネルギー密度を1.8、2.4、2.9、3.5および4.1J/cm2の5段階で変更して、おのおののレーザ密度でレーザエッチングを行いサンプルを作成した。その後、各サンプルのレーザエッチング後抵抗値を測定し、レーザエッチング後抵抗値が50MΩ以上となる最小のレーザ密度もとめ、それを最低レーザ密度とした。結果を表1に示す。この値が小さいほど、小さいエネルギー密度のレーザ光で、絶縁性を十分に有するパターンを形成することができることになる。
(実施例2〜4、比較例1〜5)
吸収率は成膜中の基板温度およびスパッタリング雰囲気中のO濃度により影響するので、この二つの変数を変えて、8パターンのサンプル基板を作製し、ITO膜の比抵抗、吸収率、レーザーエッチング後抵抗値、レーザーエッチングされたパターン線幅および最小レーザ密度を測定した。その結果を表1に示す(表中のO.L:オーバーロード)。
Figure 0004872585
表1より、成膜基板温度が同じ時、スパッタガス中のO濃度が低い方が波長1064nmにおける吸収率が高くなり、スパッタガス中のO濃度が同じ時、成膜基板温度が高い方が波長1064nmにおける吸収率が高くなることが確認できる。
また、波長1064nmの吸収率が5%以上のサンプル基板では、レーザーエッチング後抵抗値がオーバーロードとなり、ITO膜残りが無いことが確認できる。一方波長1064nmの吸収率が5%未満のサンプル基板では、ITO膜残りが発生しレーザーエッチング後抵抗値がオーバーロードとならなかった。また波長1064nmにおける吸収率が小さくなるほどITO膜残りが多くなり、レーザーエッチング後抵抗値が小さくなっている。
また、波長1064nmにおける吸収率の高いITO膜ほどレーザーエッチングされたパターン線幅が大きくなっていることが確認できる。
以上本試験より、波長1064nmにおける吸収率の高いITO膜ほど、レーザー光波長1064nmにおけるレーザーエッチングが安定しており、レーザー出力が低出力で良いことが確認できた。特に、波長1064nmにおける吸収率が5%以上であればレーザーパターニング用透明導電膜付きガラス基板として好適的あることが確認できた。
また、実施例1〜4は波長1064nmにおける吸収率が高く、5%以上になっている。したがって、スパッタリング時の基板温度と雰囲気中のO濃度を実施例1〜4の条件で成膜されたITO膜は、レーザーパターニング用透明導電膜付きガラス基板として好適であることが確認できた。
さらに、雰囲気中の酸素分圧濃度が同じ1.2%で、成膜基板温度が違う比較例1と実施例2、4を比較する。532nmの吸収率は成膜基板温度が200℃のときが0.7%、250℃のときが0.5%、320℃のときが0.3%と成膜基板温度が高くなるほど532nmの吸収率は低くなっている。
一方、1064nmにおけるITO膜の吸収率は逆に、200℃のときが4.4%、250℃のときが5.5%、320℃のときが6.8%となっている。532nmの吸収率とは逆に成膜基板温度が高くなるほど1064nmの吸収率は逆に低くなっていることが判る。
ITO膜に代表される透明導電膜は可視光(波長400〜700nm)の領域においては、スパッタリング法による成膜時のガラス基板温度が高くなるほど結晶性が向上し、吸収率が低くなることが知られている。しかし、1064nmの吸収率は逆にガラス基板温度が高くなるほど吸収率が高くなることが判った。これはキャリア密度がによる効果であると推察される。
また、2.9J/cmのレーザ密度でエッチングした時、波長1064nmの吸収率が5%以上のサンプル基板では、レーザエッチング後抵抗値がオーバーロードとなり、ITO膜残りが無いことが確認できる。一方波長1064nmの吸収率が5%未満のサンプル基板では、ITO膜残りが発生しているため、レーザエッチング後抵抗値がオーバーロードとならなかった。また波長1064nmにおける吸収率が小さくなるほどITO膜残りが多くなり、レーザエッチング後抵抗値が小さくなっている。
また、波長1064nmにおける吸収率の高いITO膜ほどレーザエッチングされたパターン線幅が大きくなっていることが確認できる。また、波長1064nmの吸収率が大きい例ほど最低レーザ密度も小さな値を示している。このことからも波長1064nmの吸収率が大きいほどレーザパターニングが容易な膜となっていることがわかる。
透明導電膜の最低レーザ密度が小さいほど、レーザパターニングで照射するレーザ密度を小さくすることができ、タクトアップやコストダウンが可能となる。PDP用前面板の透明電極のパターニングにおいては、ガラス基板の傷つきや生産性の点で、最低レーザ密度を3J/cm以下とすることが望ましいと考えられる。表1の結果からその為には波長1064nmの吸収率が5%以上とすることが良いことが判る。
本発明のガラス基板は、レーザーパターニングが容易であるので、PDP、LCD、ELD、FED等のFPDのガラス基板として有用である。
透過率A、5°反射率B、透過率C、5°反射率Dを用いてITO膜の吸収率Eを求める式の概念図。 サンプル基板をレーザーエッチング後の測定内容を説明する図。
符号の説明
1:透明導電膜
2:ガラス基板(フラットパネルディスプレイ用ガラス基板)
3:ITO膜付きガラス基板
4:レーザーエッチングされた部分
5:抵抗値測定点
A:透明導電膜付きガラス基板の透過率
B:透明導電膜付きガラス基板の反射率
C:ガラス基板の透過率
D:ガラス基板の反射率

Claims (9)

  1. ガラス基板上に形成された透明導電膜をレーザー光によりパターニングすることによって透明導電膜パターンを形成するために使用される透明導電膜付き基板であって、
    前記透明導電膜を形成する材料が酸化スズをドープした酸化インジウムであり
    波長1064nmにおける式(1)にて求められる前記透明導電膜の吸収率が5%以上20%以下である透明導電膜付き基板。
    透明導電膜の吸収率={100−(透明導電膜付きガラス基板の透過率+透明導電膜付きガラス基板の反射率)}−{100−(ガラス基板の透過率+ガラス基板の反射率)}
    ‥‥‥(1)式
  2. 前記レーザー光の波長が1000〜1500nmである請求項1に記載の透明導電膜付き基板。
  3. 前記透明導電膜の比抵抗値が4×10−3Ω・cm以下である請求項1または2に記載の透明導電膜付き基板。
  4. プラズマディスプレイパネルの前面板に用いることのできる請求項1、2または3に記載の透明導電膜付き基板。
  5. 成膜時の基板温度を220℃〜400℃、スパッタガス中のO濃度を0.5〜1.5%とし、酸化スズをドープした酸化インジウムターゲットを用いてスパッタリング法により請求項1〜4いずれか1項に記載の透明導電膜を形成する透明導電膜付き基板の製造方法。
  6. 請求項1〜4いずれか1項に記載の透明導電膜をレーザパターニングすることによって得られる透明導電膜パターン付き基板。
  7. 請求項5に記載の透明導電膜付き基板の製造方法により得られた透明導電膜をレーザパターニングすることによって得られる透明導電膜パターン付き基板。
  8. 請求項6または7に記載の透明導電膜パターン付き基板を用いたプラズマディスプレイパネルの前面板。
  9. 請求項8に記載の前面板を用いたプラズマディスプレイパネル。
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