JP4867635B2 - スターリングエンジン用体積変動部材 - Google Patents

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本発明はスターリングエンジン用部材に関するもの、詳しくはベローズを使用して作動ガスの漏洩を防止したスターリングエンジン用体積変動部材に関するものである。
スターリングエンジンとは、内部に作動ガスを封入し、この作動ガスを加熱して膨張させることによってその体積を増大させ、この膨張させた作動ガスを冷却しつつ圧縮して元の体積に戻す一連のサイクルを構成し、膨張の際に得られる仕事量と圧縮の際に要する仕事量との差を出力として取り出す熱機関のことである。
スターリングエンジンはその理論熱効率が熱機関の理論上の限界値であるカルノー機関の熱効率に等しくなるため、高い熱効率を持つ原動機を実現するべく多くの学者や研究機関によって研究開発がなされてきた。しかしながらその結果は必ずしも成功したものとは言えず、ピストンやロッド等の摺動部分からの作動ガスの漏洩、ラジエータからの過大な放熱と予期に反した低い熱効率、高度の加工技術を要する複雑な熱交換器、加速減速性能不足等、未解決の問題が数多く残っている。これらの中でもとりわけ大きな問題は摺動部分からの作動ガスの漏洩と低い熱効率に関するものである。
ピストンやロッド等の摺動部分からの作動ガスの漏洩に関しては〔特許文献1〕及び〔特許文献2〕においてベローズを使用する方法が開示されている。しかしながら〔特許文献1〕の方法は中間の空気室が一種の死空間として働き出力の低下が懸念されるものであり、〔特許文献2〕の方法はベローズに耐圧の高いものが必要でコスト高になることや内部加熱がやり難い等、いずれも実用化する上で問題の大きいものである。
公開特許公報 昭56−77537 公開特許公報 昭58−150001 一色尚次著 「スターリングエンジンの開発」工業調査会 1995年6月26日発行 山下巌 他著 「スターリングエンジンの理論と設計」山海堂 1999年7月30日発行
本発明はベローズを使用して作動ガスの漏洩を防止する方式のスターリングエンジンを、死空間の増加による出力及び熱効率の低下をなくし、且、耐圧が高い特殊なベローズのようなものが必要ないスターリングエンジンとなるように改良することをその課題とした。
これらの課題を解決するために、本発明者は、液体が持つ非圧縮性、従容性、圧力伝達性に注目し、これをこの課題の解決に利用できるのではないかと考え研究を重ねた結果、以下に示す方法により課題を解決できることを見出した。
スターリングエンジンに限らずレシプロエンジン全般に言えることであるが、レシプロエンジンにはピストンを嵌合したシリンダのように必ず体積が変化する部分があり、シリンダ内部にある気体の体積を変化させ、圧力と体積との積(圧力が変化するときは圧力と体積との積分)に相当する仕事量と圧縮の際に必要な仕事量との差を出力として取り出そうとするものである。
本発明においては一般的なレシプロエンジンのピストンを嵌合したシリンダのように、体積を変動させる機能を持つ構成部材を体積変動部材と称するものとする。またシリンダにピストンを嵌合させて一体となしたものをピストン・シリンダと称するものとする。
最初にピストン・シリンダ内にベローズを納め、ベローズの壁面とシリンダ内面及びピストン上面によって形成される領域全体に液体を充填したものを想定する。本発明ではこのようにピストン・シリンダの中にベローズを納めベローズの壁面とシリンダ内面及びピストン上面によって形成される領域全体に液体を充填したものをベローズ・ピストンと、またこのシリンダ内面とベローズ壁面及びピストン上面とによって形成される液体が充填された領域を液封室と称するものとする。
上記ベローズ・ピストンのベローズの内部には水素ガス或いはヘリウムガスを作動ガスとして封入する。作動ガスの封入圧力はエンジン出力によって異なり0.1メガパスカルから20メガパスカル程度である。この作動ガスとしては若干性能は劣るが空気或いは窒素ガスを使用することも可能である。
ベローズ・ピストンにはシリンダ内部にベローズが一個だけありその内部に作動ガスを封入したものと、アルファ型スターリングエンジンに使うもののように外側と内側にベローズがありこれらの間に作動ガスを封入したものとがある。
このベローズ・ピストンの働きは、作動ガスをベローズ内に納めて作動ガスが漏れないようにすると共に、ベローズ内に封入された作動ガスの膨張によるベローズの伸長の動きを液封室内の液体充填物質を介してピストンに伝達してピストンを押し出し、逆に外部からピストンを押し込む圧縮力が働いた場合にはこの力を液体充填物質を介してベローズに伝達してベローズ内の封入ガスを圧縮するようにするものである。
このようにベローズ・ピストンは、ベローズの動きをピストンに、或いはピストンの動きをベローズに伝達するがそれを媒介するのは液体である。液体は気体と異なり圧力の変化に対して体積は殆んど変化しないため、ピストンからベローズ或いはベローズからピストンへの変位の伝達は瞬間的に行われ、しかもピストンの変位量とベローズの変位量は体積で見ると同じであるという特徴をもっている。
従来のスターリングエンジンでは体積変動部材としてピストンを嵌合したシリンダが使用されている。しかし、これは冒頭述べようにピストンやロッド等の摺動部分からの作動ガスの漏洩が大きな問題であり、スターリングエンジンの実用化を阻んでいる大きな要因の一つである。この問題のあるピストン・シリンダに代えてベローズ・ピストンをスターリングエンジンの体積変動部材として使用し、このベローズの内部に作動ガスを封入した構造とすることで、封入されている作動ガスがピストンとシリンダとの摺動面に接触することが排除されるので封入ガスが漏洩することを防止することが可能となり、本発明に課せられた課題は解決する。ピストン・シリンダとベローズ・ピストンは体積変動部材としての機能は殆んど変わらないため、ピストン・シリンダの場合と同様に作動ガスの膨張による体積変化はベローズ・ピストンのピストンの動きとなり、このピストンの動きを駆動装置により動力として取り出すことが出来る。
これによって出力を低下させることなく作動ガスが摺動部分に触れる状態を排除し作動ガスの漏洩をなくすことが可能となる。この場合、作動ガスの圧力はピストンとシリンダが担うのでベローズ自体はそれ程耐圧は必要ではなく、前記の二つの課題を解決できる。後程詳述するが、これら以外にもその効果として等温膨張、等温圧縮による熱効率の上昇が期待できるものである。
ベローズ・ピストンの液封室に充填する液体は密度が低く粘度が小さいものが適している。低温で使用するベローズ・ピストンではスピンドル油等粘性の低い油を使用する。しかし、アルファ型スターリングエンジンの高温側で使用するベローズ・ピストンについては若干注意が必要である。比較的低い温度で使用するベローズ・ピストンでは耐熱性の高いシリコーン油等が使用出来る。しかし摂氏数百度で使用するベローズ・ピストンではこのような油類は熱分解を起こすため使用できない。この場合には使用条件下で液体である物質、例えば金属ナトリウムのようなものを溶融状態で使用することが必要になる。勿論このような溶融金属は比較的低い温度で使用するベローズ・ピストンに対しても、その融点以上の温度で使用するものあれば使用可能である。
ベローズの周囲に液体が充填されているということは、作動ガスを体積変動部材内で加熱或いは冷却しようとする場合には非常に好都合である。何故ならばベローズの周囲に充填した液体を伝熱媒体として外部に設けた熱交換器に送って循環させることで、等温圧縮、等温膨張式スターリングエンジンが簡単に実現できるからである。充填された液体が圧力と熱の双方を伝達する機能を果たしており極めて効率的なわけである。このように充填液を循環させるようにしたベローズ・ピストンを循環型ベローズ・ピストンと呼ぶものとする。この場合、充填液には作動ガスと同じ圧力が掛かるため、ベローズ・ピストンと熱交換器との間は循環ポンプを含め気体を含まない密閉された循環系としなければならない。循環型に対してフィンで熱交換するようにしたものをフィン型と呼ぶものとする。
ベローズ・ピストンで他に注意しなければならない点はピストンの上面とベローズ下面とを全面に渡って固定することはしてはならないことである。何故ならばベローズが縮んだ時に襞の部分にあった充填液の行き場がなくなり圧力が異常に上昇してベローズを破壊するためである。これを避けるためにピストンの上面とベローズ下面との間に充填液が回り込むことが出来るようにしておかなければならない。もし固定するのであれば、固定点は中心だけとすると共にベローズ下面をダイアフラム状の可撓性のあるものにして、充填液が回り込むことが出来るようにしておく必要がある。
本発明によって得られる主たる効果は下記のとおりである。
(1)作動ガスはベローズ内にありピストンやロッド等の外気につながった摺動部分に接触することはない。したがってピストンやロッド等の摺動部分から作動ガスが漏洩することはない。
(2)液体は圧力が変化しても体積は殆んど変化しないという性質があり、ピストン・シリンダ内に充填された液体の体積は作動ガスの圧力が変化しても殆んど変化せず、ベローズ内の作動ガスの圧力変化を直ちにピストン及びこれにつながる駆動装置に伝達できる。従って死空間の増加はなく出力が低下することはない。
(3)ベローズは液体を充填したピストン・シリンダ内に納められているため、ベローズの内圧にほぼ等しい圧力がシリンダ内部に発生して圧力が相殺されるので、作動ガスの圧力が高い場合でもベローズの耐圧はそれ程高くなくて良い。このためベローズは薄い金属で作ることが出来る。このことはベローズの熱抵抗が小さくなることを意味している。
(4)充填液に油を使用した場合には、ピストンとシリンダとの摺動部分は油潤滑されることになるため、ピストンの潤滑が良くなりサイドスラスト問題が解消される。このため駆動装置にロンビック機構やクロスヘッド機構、スコッチヨーク機構等の複雑な仕組みを使用する必要がなくなり、通常のエンジンに使われているクランク機構が使用できる。勿論従来使われてきた上記の諸機構も使用可能である。
(5)ベローズの周囲の液封室に充填する液体を外部に設けた熱交換器に送って循環させることで、等温圧縮、等温膨張式スターリングエンジンが簡単に実現できる。これにより熱効率の向上が期待出来るので冒頭で述べた“ラジエータからの過大な放熱と低い熱効率”という問題が解決出来ることになる。この場合ベローズの襞によって伝熱面積が大きくなるため伝熱性能の向上が期待できる。
(6)熱交換器には液体だけが流れ作動ガスは流れて行かないため熱交換器のために死空間が増大するということはない。このため熱伝達係数が低い燃焼ガスに対しては伝熱面積の大きい大型の熱交換器を使用して熱交換性能を良くすることが出来る。
(7)動力損失が大きいロッドシールやメカニカルシールが不要なため熱効率が向上する。
これらの効果の中で第1項及び第7項は公知のベローズ型スターリングエンジンでも同様のことが言え本発明に限ったものではない。しかし、第2項〜第6項は本発明になるスターリングエンジンに特徴的なものであり公知のスターリングエンジンには見られないものである。殊に第2項、第3項、第5項、第6項及び第7項はスターリングエンジンの出力及び熱効率を上げる上で極めて重要な役割を果たすものである。
ここでスターリングエンジンの熱効率を高める上で、何故等温圧縮、等温膨張が必要になるのかについて簡単に説明する。
従来のスターリングエンジンでは圧縮された作動ガスを加熱する際、作動ガスが高温熱交換器や再生熱交換器を通る前に低温熱交換器を通る構造になっており、断熱圧縮がなされると断熱圧縮で温度が上がった作動ガスが持つ熱を低温熱交換器で冷却して捨てることになるからである。断熱膨張の場合には熱の損失はないが、断熱膨張で温度が下がった作動ガスを加熱してから再生熱交換器に送ることになるわけで、余分な熱を再生熱交換器に貯えなければならないことになり、再生熱交換器の容量を大きくしなければならないという問題が発生する。
これらの問題を解決するためにスターリングエンジンの基本に戻り、作動ガスの等温膨張、等温圧縮を実現することが必要になるわけである。
従来のスターリングエンジンが等温圧縮、等温膨張が出来ない理由を一言で言うと、従来のスターリングエンジンは作動ガスをシリンダやベローズ等の体積変動部材とは別に設けた熱交換器に送りそこで加熱冷却しているためである。この点について簡単に説明する。今パワーピストンが圧縮行程にある場合を考える。体積変動部材とは別に設けた熱交換器で冷却して圧縮する場合、早い段階で冷却されてシリンダの低温室側に入った作動ガスは、後で圧力が上がってきても最初に冷却されただけで、その後は冷却されないまま圧力が上がるために断熱圧縮となり等温圧縮とはならないわけである。このため作動ガスの温度はシリンダに入ったときより上昇する。膨張行程にある場合はこれとは逆に、早い段階で加熱されてシリンダの高温室側に入った作動ガスは、加熱されないまま圧力が下がるので断熱膨張になり等温膨張とはならないわけである。
等温膨張、等温圧縮を実現するには、膨張行程の初期の段階で体積変動部材に入った作動ガスを膨張中常に加熱していること、圧縮行程の初期の段階で体積変動部材に入った作動ガスを圧縮中常に冷却していることが必要になる。このためには体積変動部材内の作動ガスを体積変動部材内で加熱冷却することが必要となる。本発明においては体積変動部材の内部にある作動ガスを加熱することを内部加熱、体積変動部材の内部にある作動ガスを冷却することを内部冷却と呼ぶこととする。この用語を用いると、等温膨張、等温圧縮を実現するには内部加熱、内部冷却することが必要であるということが出来る。
従来のスターリングエンジンでこれらを実現することは相当困難であり、通常は外部に設けた熱交換器で加熱、冷却する外部加熱、外部冷却であるが、本発明になるベローズ・ピストンでは内部加熱、内部冷却が比較的簡単に実現できる。何故ならばベローズ・ピストン内に充填されている液体を、外部に設けた熱交換器に送り再びベローズ・ピストンに戻して循環させることによって、ベローズ表面は外部に設けた熱交換器に近い温度に維持され、内部に封入されている作動ガスもこれに近い温度に加熱或いは冷却されるからである。従来のスターリングエンジンのように作動ガスを体積変動部材から外へ引き出し熱交換器に送る必要がなくなり、その分死空間を小さく出来ることになる。更に、作動ガス〜ベローズ〜伝熱媒体の間の熱交換は、伝熱媒体とベローズ間は液体と金属のため熱伝達係数が大きく、ベローズと作動ガス間も作動ガスの圧力が高いためやはり熱伝達係数が大きいため、結果として優れた熱交換性能を持つこととなる。しかも段落番号〔0013〕の第3項に記したようにベローズの肉厚は薄くすることが出来るためベローズの熱抵抗を小さく出来、更に段落番号〔0013〕の第5項に記したようにベローズの襞が伝熱面積増大に寄与し伝熱量が増大する。
ベローズ・ピストンの構造及びベローズ・ピストンを用いてスターリングエンジンを構成する方法を実施例に基づいて説明する。
図1はベータ型スターリングエンジンに使用する二重ベローズ・ピストンの構造を示した断面図である。
本機は公知のベータ型スターリングエンジンと比較して、ベローズ・ピストンで動力を発生させベローズ・ピストン内で作動ガスを冷却している点が異なっているが、スターリングエンジンとしての作動原理等は公知のベータ型スターリングエンジンと同じである。駆動装置は公知のロンビック機構等が使用出来るが本発明の対象ではないので省略する。以下、本機の構造について図面に沿って説明する。
シリンダ111とパワーピストン113によってつくられる空間には薄いステンレス鋼板で造った外ベローズ101と内ベローズ102が納められており、外ベローズ101とシリンダ111の内面との間の液封室115には粘度の低いスピンドル油等の機械油を充填液として充填し、外ベローズ101と内ベローズ102との間の低温空間116にはヘリウムガス又は水素ガスを封入する。低温空間116と高温空間117は後述するようにつながっておりこのガスは同時に高温空間にも封入されることになる。このガスはスターリングエンジンの作動ガスとして機能するものであり、性能を若干犠牲にしてもよければ空気や窒素ガスを使用してもよい。
通常のスターリングエンジンでは作動ガスを外部に設けた熱交換器に導きそこで加熱冷却するが、本機のように作動ガスを外部に引き出すことなくシリンダ壁或いはベローズ壁を通して加熱冷却すると熱効率の向上が期待できる。高温空間117と低温空間116はディスプレーサピストン110によって仕切られてはいるが、ディスプレーサピストン110は再生熱交換器の役割をも兼ねており、円盤状の金網を積層して作ってありその内部を非常に低い圧力損失でもって作動ガスが自由に通過できるようになっている。
高温の作動ガスがディスプレーサピストン110に押されて低温空間116に向かうときには作動ガスが持っている熱をディスプレーサピストン110に与え、逆に低温の作動ガスがディスプレーサピストン110に押されて高温空間117に向かうときには与えた熱をディスプレーサピストン101から受け取るようになっている。このようにディスプレーサピストン110の内部に作動ガスを通す方法は〔非特許文献1〕にも記されており公知のものである。
ディスプレーサピストン110の直径はシリンダ111の内径より僅かに小さくしてディスプレーサピストン110とシリンダ壁が接触しないようにしてある。当然作動ガスの一部はこの間隙を通過することになるが、ディスプレーサピストン110はその内部を作動ガスが通り抜けて再生熱交換器として機能するタイプであり、ディスプレーサピストン110とシリンダ111との間の僅かな間隙はスターリングエンジンの性能に大きな悪影響を及ぼすものではない。
シリンダ111の高温空間117側の外壁面に設けてあるフィン112は外壁に加えられる燃焼ガスの熱を効率よく受け取り作動ガスに伝えるためのものである。本例では高温側はシリンダ外壁を直接加熱する形式である。
本機は作動ガスに対しては摺動面がなくシールは不用であるが、シリンダ111とパワーピストン113との摺動面及びパワーピストンロッド114とディスプレーサピストンロッド118との摺動面についてはシールが必要である。しかしこのシールは液漏れを防ぐためのものでよく、水素ガスやヘリウムガスに対するオイルレスシールに比べると非常に簡単である。
液封室115内の充填液は等温圧縮を実現するために作動ガスの圧縮中に発生する熱を除去する担体として機能することが必要であり、冷却効果を高めるべく液出口120から循環ポンプ(図示せず)によって熱交換器(図示せず)に送り、そこで充填液を冷却した後液戻り口121に戻るようになっている。この循環系は作動ガスの圧力がそのまま掛かるため完全に密封し圧力が抜けないようにし、更に気体を含まないようにする。ここで使用する循環ポンプは、揚程はそれ程大きくなくてもよいが作動ガスの圧力に耐えることが出来るシール性が必要である。上記の熱交換器には充填液だけが流れ作動ガスは流れて行かないため死空間の増大を気にする必要がなく、伝熱面積の大きい大型のものが使用出来る。
ディスプレーサピストン110の位相がパワーピストン113より90度進んでいる点は通常のスターリングエンジンと同じであり、作動原理その他も通常のスターリングエンジンと変わるところはない。
作動ガスがディスプレーサピストン110によって高温空間117に送り込まれることによって作動ガスの圧力が高くなりベローズ下面103を押し下げるが、この動きは直ちに液封室115に充填された充填液に伝わりパワーピストン113を押し下げ、パワーピストンロッド114を通して駆動装置(図示せず)に伝わり、駆動装置から出力として取り出される訳であるが、これらは公知のスターリングエンジンと同じである。
図2はスターリングエンジンに使用する循環型ベローズ・ピストンを示した一部断面図である。このベローズ・ピストンはアルファ型スターリングエンジンの他にガンマ型スターリングエンジンや回転斜板式複動4気筒型スターリングエンジンを模したエンジンを構成することが出来る。
シリンダ211とピストン213によってつくられる空間には薄いステンレス鋼板で造ったベローズ201が納められ、ベローズ201内部のガス空間216にはヘリウムガスを封入する。ベローズ201とシリンダ211の内面との間の液封室215に充填する液体については段落番号〔0010〕で述べたとおりである。
液封室215には中の充填液を送り出すための液出口220及びその液が戻るための液戻り口221がそれぞれ複数個付いており、同一ベローズ・ピストンの複数個の液出口220は一つにまとめられて循環ポンプ(図示せず)に入り、そこから熱交換器(図示せず)に送られて熱交換を行った後それぞれの液戻り口221に分かれて戻るようになっている。この循環系は気体を含まない密閉系でなければならないのは〔実施例1〕と同じである。液出口220或いは液戻り口221の一部はピストン213の上昇によって塞がれるが全ての液出口220或いは液戻り口221が塞がれるわけではなく問題ない。
シリンダ211の上部は少し窪んでおりこの中央には通気口210が付いている。上部の窪みはベローズが縮んだときその内部に残る作動ガスの量を出来るだけ少なくするためである。ピストンロッド214は駆動装置(図示せず)につながっている。
このベローズ・ピストンは別に設けた熱交換器で充填液の加熱或いは冷却を行うが、作動ガスの加熱或いは冷却は体積変動部材の内部で行っているため、これを使用したスターリングエンジンは動作的には内部加熱冷却型である。
図3はスターリングエンジンに使用するフィン型ベローズ・ピストンを示した一部断面図である。〔実施例2〕は充填液を別に設けた熱交換器とシリンダ211との間を循環させて熱交換を行うタイプであるが、本例ではシリンダ311の上部にフィン312を付けて熱交換するようになっている。
基本的には〔実施例2〕と同じであり、ベローズ301、シリンダ311、ピストン313、液封室315、ガス空間316で構成されている。充填液は圧力と熱を伝達するだけであり循環のための液出口、液戻り口は付いていない。充填液が循環されないため伝熱性能は少し劣るが、ピストンの上下運動で充填液が揺動されるためある程度の伝熱性は確保できる。充填液は〔実施例2〕と同じく使用温度によって変更する必要がある。
このベローズ・ピストンではシリンダ311の外壁を直接加熱或いは冷却するが、作動ガスは充填液を介して体積変動部材内部で加熱或いは冷却されることになるため、これを使用したスターリングエンジンは〔実施例2〕と同じく動作的には内部加熱冷却型である。
図4は作動ガスを別に設けた高温熱交換器或いは低温熱交換器で加熱或いは冷却するタイプのスターリングエンジンに使用するベローズ・ピストンを示した一部断面図である。フィンがあるとフィンから熱が放散されて熱効率が低下するためフィンは付いていないがそれ以外は構造的に〔実施例3〕と同じであり、ベローズ401、シリンダ411、ピストン413、液封室415、ガス空間416で構成されている。充填液は〔実施例2〕と同じく使用温度によって変更する必要がある。
作動ガスは外部に設けられた熱交換器によって加熱冷却されることになるため、これを使用したスターリングエンジンは外部加熱冷却型となる。
図5はベローズ・ピストンを使用して内部加熱冷却型スターリングエンジンを構成した例を示した模式図である。
この例では外部に取り付けるのは再生熱交換器だけであり作動ガスの加熱冷却はベローズ内部で行っており内部加熱冷却型アルファ型スターリングエンジンである。作動ガスを体積変動部材の内部で加熱冷却することが出来るため、等温膨張、等温圧縮となる。
この図ではベローズ・ピストンはフィン型になっており、高温側ベローズ・ピストン501は外部高温熱源511によって加熱され、低温側ベローズ・ピストン502は外部低温熱源513によって冷却されているが、図2に示した循環型ベローズ・ピストンを使用して別に設けた熱交換器によって充填液を加熱或いは冷却することも出来る。高温側ベローズ・ピストン501と低温側ベローズ・ピストンは再生熱交換器512を間に入れて連結されている。充填液を介して体積変動部材内部に存在する作動ガスを加熱冷却するためこの方式のスターリングエンジンは内部加熱冷却型となる。
高温側ベローズ・ピストン501及び低温側ベローズ・ピストン502はコネクティングロッド531によってクランクシャフト532に連結されフライホイール533を駆動する。高温側ベローズ・ピストン501の位相が低温側ベローズ・ピストン502の位相に対して90°進むように設定されている。
ベローズ・ピストンを使用して外部加熱冷却型スターリングエンジンを構成した1例を図6に示す。ここに示した加熱冷却方式は通常広く採用されている方式であり、高温側ベローズ・ピストン601と低温側ベローズ・ピストン602は、高温熱交換器611、再生熱交換器612、低温熱交換器613を間に入れて連結されており、外部加熱冷却型アルファ型スターリングエンジンである。作動ガスを外部に設けた熱交換器によって加熱冷却する方式であるため、等温膨張、等温圧縮は期待出来ない。
高温側ベローズ・ピストン601は図4に示したフィンが付いていないタイプのものを使用する。図3に示したフィン付きの物を使用すると高温側のベローズ・ピストンではフィンから熱が放散されて熱効率が低下する。
ベローズ・ピストンをピストン・シリンダに置き換えると通常のスターリングエンジンと同じである。駆動装置は〔実施例5〕と同じであり、高温側ベローズ・ピストンの位相は低温側ベローズ・ピストンに対して90°進ませてある。
図7はベローズ・ピストンを使用してガンマ型スターリングエンジンを構成する方法を示した模式図である。ガンマ型スターリングエンジンをベローズ・ピストンで構成するには、複動式ピストンに代わるものとしてベローズ・ピストンが2個、出力ピストンに代わるものとしてベローズ・ピストンが1個、合計3個のベローズ・ピストンが必要である。
高温側ベローズ・ピストン701と低温側ベローズ・ピストン702は、高温熱交換器711、再生熱交換器712、低温熱交換器713を間に入れて連結されている。出力用ベローズ・ピストン703は図7のように低温側ベローズ・ピストン702と並列になるように接続されている。高温側ベローズ・ピストン701と低温側ベローズ・ピストン702とは180°の位相差がありコンプリメンタリな関係にある。出力用ベローズ・ピストン703の位相は高温側ベローズ・ピストン701に対して90°遅らせてある。これらはクランクシャフトで実現しているがクランクシャフト自体は公知の技術であり詳細は省略する。
本例は〔実施例6〕のアルファ型スターリングエンジンに更に1個のベローズ・ピストンを加えたものと構造的には同じである。
上記のように複動式ピストンの機能を180°の位相差を持った2個のベローズ・ピストンで実現できることは、回転斜板式複動4気筒型スターリングエンジンに相当するスターリングエンジンを構成することができることを意味している。
回転斜板式複動4気筒型スターリングエンジンに相当するスターリングエンジンは、回転斜板の片側に4個の高温側ベローズ・ピストンを等間隔に配備し、回転斜板の反対側にこれと向き合うように4個の低温側ベローズ・ピストンを配備することで構成することが出来る。それぞれの高温側ベローズ・ピストンは再生熱交換器を間に入れて隣に位置する低温側ベローズ・ピストンに連結する。右隣、左隣の何れの側に連結していっても良いが連結を逆にすると回転は逆になる。これらのベローズ・ピストンは、循環型、フィン型、外部加熱冷却型の何れでもよいが、図4に示す外部加熱冷却型を使用する場合には当然のことながら再生熱交換器の前後に高温熱交換器と低温熱交換器を取り付ける必要がある。また循環型とする場合には、それぞれのベローズ・ピストン毎に温度或いは圧力変動パターンが異なるため、それぞれのベローズ・ピストン毎に循環ポンプと熱交換器が必要であり循環ポンプや熱交換器を共用することは出来ない。
従来の複動シリンダを使った回転斜板式複動4気筒型スターリングエンジンの場合、ピストンロッドには押し引き両方向の力が交互に働くため、ピストンロッドの先端部のシューと回転斜板との間隙が問題となりこの調整を誤ると騒音の発生原因となるが、本例のように回転斜板の両側に高温側ベローズ・ピストンと低温側ベローズ・ピストンを向き合わせて配備すると、高温側ベローズ・ピストンのピストンロッドと低温側ベローズ・ピストンのピストンロッドに働く力は強弱の違いはあるものの共に回転斜板を押す力となり、回転斜板とシューとの間に間隙が出来ることはなく、これによる騒音発生の恐れはない。
二重ベローズ・ピストンを示す断面図である。 液循環型ベローズ・ピストンを示す一部断面図である。 フィン型ベローズ・ピストンを示す一部断面図である。 加熱冷却機構を持たないベローズ・ピストンを示す一部断面図である。 内部加熱冷却式アルファ型スターリングエンジンを構成した模式図である。 外部加熱冷却式アルファ型スターリングエンジンを構成した模式図である。 ガンマ型スターリングエンジンを構成した模式図である。
符号の説明
101 外ベローズ 102 内ベローズ 103 ベローズ下面
110 ディスプレーサピストン 111 シリンダ 112 フィン
113 パワーピストン 114 パワーピストンロッド 115 液封室
116 低温空間 117 高温空間 118 ディスプレーサピストンロッド
120 液出口 121 液戻り口 201 ベローズ 203 ベローズ下面
210 通気口 211 シリンダ 213 ピストン
214 ピストンロッド 215 液封室 216 ガス空間 220 液出口
221 液戻り口 301 ベローズ 311 シリンダ 312 フィン
313 ピストン 315 液封室 316 ガス空間 401 ベローズ
411 シリンダ 413 ピストン 415 液封室 416 ガス空間
501 高温側ベローズ・ピストン 502 低温側ベローズ・ピストン
511 外部高温熱源 512 再生熱交換器 513 外部低温熱源
531 コネクティングロッド 532 クランクシャフト
533 フライホイール 601 高温側ベローズ・ピストン
602 低温側ベローズ・ピストン 611 高温熱交換器
612 再生熱交換器 613 低温熱交換器
701 高温側ベローズ・ピストン 702 低温側ベローズ・ピストン
703 出力ピストン 711 高温熱交換器 712 再生熱交換器
713 低温熱交換器

Claims (1)

  1. ピストンを嵌合したシリンダ内にベローズを納め、該ベローズの壁面と該シリンダ内面及び該ピストン上面によって形成される領域全体にわたって使用条件下において液体である物質を充填し該ベローズの内部に作動ガスを封入している構造からなり、該ベローズの内部に封入された該作動ガスの膨張による該ベローズの伸長の動きを該液体充填物質を介して該ピストンに伝達して該ピストンを押し出し、外部からの該ピストンを押し込む圧縮力を該液体充填物質を介して該ベローズに伝達して該ベローズ内に封入された該作動ガスを圧縮する一連のサイクルを構成し、該作動ガスの膨張の際に得られる仕事量と該作動ガスの圧縮の際に要する仕事量との差を出力として取り出すスターリングエンジンに使用する体積変動部材であって、ピストンを嵌合したシリンダ内に納められたベローズの壁面と該シリンダ内面及び該ピストン上面によって形成される領域全体にわたって充填された使用条件下で液体である物質を、該領域と該シリンダの外部に設けられた高温熱交換器又は低温熱交換器との間を循環させることによって、該ベローズ内に封入された作動ガスを加熱又は冷却するようにしたスターリングエンジンに使用する体積変動部材。
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