JP4865273B2 - 軌道系車両の構体の製造方法および軌道系車両 - Google Patents
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Description
このため、熱歪み(溶接歪み)の発生は避けられず、歪み取り加工が欠かせない。特に、シングルスキンパネルを使用した場合には剛性が低いので、大きな変形が発生しやすく、歪み取り加工に多大の時間と労力を要する問題があった。
少なくとも床構体から屋根構体までの高さ、および乗降口間の幅を有し補強リブの高さに対応する厚み有する一枚の軽合金製の板状素材を切削加工によって、板状素材の肉厚を除去して外板、縦補強リブ、横補強リブ及び窓開口部を形成したことを特徴とする。
さらに、外板と補強リブとが一枚の板材から一体に形成されるため、材質、形状を基にした応力解析を精度よく容易に行なうことができるようになることから、予め弱い箇所を知ってその箇所を集中的に検査するようにできるので、強度的、耐久的に信頼性が向上するととともに、従来のような大掛かりな非破壊検査を不要とし、検査のための時間と労力を低減でき、生産性を向上できる。
そして、請求項2の発明よれば、一枚の板状素材から切削加工によって肉厚を除去して外板と補強リブを形成しつつ、同時に補強リブの交差箇所に丸みを持たせる加工をし、さらに窓開口部およびその隅部に丸みを持たせる加工をすることによって、隅部、角部に生じる応力集中を緩和する加工を行なうことができる。
そして、請求項3に記載の発明によれば、段落0034に示すように外板80の形成のための余肉除去加工のフライスカッタの刃先半径87を利用して形成することにより、隅部の円弧加工を簡単に製造することができる。
そして、請求項4の発明によれば、マシニングセンタ等の工作機械に一枚の板状素材をセットして、数値制御によって切削加工することで、外板、補強リブ、窓開口部、丸みを正確、迅速に加工でき、さらに、補強リブ形状の変更等への対応も容易である。
そして、請求項5の発明によれば、切削工具刃の刃先半径を利用することで補強リブの交差箇所、窓開口部の隅部の丸みの加工を簡単に製造することができる。
そして、請求項6の発明によれば、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽合金材料よりなる板状素材を加工して構体を製造することができるため、軽量構体を製造することができる。
そして、請求項7の発明によれば、請求項1乃至6に記載の製造方法によって製造された構体を用いているため、溶接熱による素材の変色等の外観上の欠陥を生じないことから、無塗装化の軌道系車両を得ることができる。さらに、応力解析の容易化によって弱い箇所の予知による検査工数の低減および補強リブの交差箇所や窓開口部の隅部への一体円弧状加工による応力集中の低減から、強度、信頼性が確保された軌道系車両を得ることができる。特に、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽合金材料で軽量化を図りつつ強度、信頼性の確保ができる。
さらに、構体の検査、補修、歪み取り作業の低減によって、軌道系車両の生産性を向上することも達成できる。
なお、従来の製造方法の説明で示した要素と同一要素については(図6〜図8)、同一符号を付して説明を省略する。
まず、本発明が適用される軌道系車両20について説明する。図1(a)に示すように、この軌道系車両20は、新交通システム等の比較的小型の車両であり、レール上を走行する鉄道車両と異なり、走行輪であるゴムタイヤ50で車体を支持して定められた軌道52に沿って走行する車両である。
この軌道系車両20は、図7に示すように、それぞれ別の製造ラインで製造された台枠(床構体)22、屋根構体23、前後の妻構体24、および左右の側構体25等の平面状若しくは大きな曲率を有する広幅パネル体の組み合わせからなる。
また、側構体25は中央の中央部側構体26と、前端部および後端部に位置する端部側構体27、27とに分かれ、中央部側構体26と端部側構体27、27との間には、左右に乗降口28、28が設けられている。
その床構体22の両端側には、強度性維持を図るためとスカートの機能を図るために方形枠状の側梁型材58、58が固設され、該側梁型材58上に中央部側構体26の下端部が立設して溶接接合Wされている。
中央部側構体26は、シングルスキンパネル60で構成され、ほぼ中央には窓開口部62が形成されている。なお、図1(b)は、中央部側構体26の断面図であるが、端部側構体27においても同様に、シングルスキンパネル構造で構成され、中央部に窓開口部64が形成されている。
まず、アルミニウム合金、又はマグネシウム合金等の軽合金を押し出し製法によって、一枚の板状素材94を成形する。板状素材94は、軌道系車両20の床構体22から屋根構体23までの高さ、および乗降口28、28間の幅を有し、厚さは補強リブ82、86、90の高さを有する大きさ、又は加工削り代を加味してそれ以上の大きさを有する素材である。
この円弧の形成は、補強リブの交差箇所の円弧と同様にフライスカッタの刃先半径を利用して形成するようにしてもよく、この場合には、隅部の円弧加工を簡単に製造することができる。
また、溶接歪みの発生もなく、歪み取り作業が不要となるとともに、素材が溶接熱の高温にさらされることがなく、変色、色むら等の外観上の欠陥が生じにくく、軌道系車両20の外観上最も目に付く中央部側構体26部分に無塗装での使用が可能になる。
さらに、外板80と縦補強リブ82、横補強リブ86、90、窓開口部62とが一枚の板状素材94から一体に形成されるため、材質、形状を基にした応力解析を精度よく容易に行なうことができるようになることから、予め弱い箇所を知ってその箇所を集中時に検査するようにできるので、強度的、耐久的に信頼性が向上するととともに、従来のような大掛かりな非破壊検査を不要とし、検査のための時間と労力を低減でき、生産性を向上できる。
次に、板状素材94の材料除去加工の例として、切削加工ではなく放電加工を用いた場合を、図5を参照して説明する。
放電加工のうち気中放電加工を用いるものであり、マシニングセンタ等の工作機械150の主軸152に放電ユニット154が装着されている。放電ユニット154には、電極156、放電電源供給部158、アシストガス供給部160を備え、電極156と板状素材94の間隔の制御、供給電圧の制御、送り速度の制御によって、放電エネルギを利用して板状素材94の除去加工が行なわれる。縦補強リブ162、横補強リブ164の加工の場合には、縦補強リブ162、横補強リブ164の形状と外板80を残して板状素材94の材料の除去を行い、窓開口部62の場合には、窓の輪郭166に沿って外板80まで含めて除去し、パネル168を切り落とすように放電エネルギ、電極156の移動制御が行なわれる。また、X、Y、Z方向の動きは、第1の実施の形態で説明したマシニングセンタ等の工作機械100による動きと同様である。
また、放電加工ではなく、レーザを用いたレーザ加工によっても材料切除加工を行なうことができる。
また、中央部側構体26として、窓開口部62が形成された構成のものを説明したが、軌道系車両20の仕様によっては窓開口部62がない中央部側構体26であってもよいことは勿論である。
22 台枠(床構体)
23 屋根構体
24 妻構体
28 乗降口
62 窓開口部
80 外板
82 縦補強リブ(補強リブ)
86,90 横補強リブ(補強リブ)
94 板状素材
100 マシニングセンタ等の工作機械
104 切削工具
RW,Rf,RM 円弧(丸み)
Claims (7)
- 構体が軌道系車両の側面部を構成して、乗降口間に配設される側構体であり、該構体を一枚の板状素材から切削加工で削りだす側構体の製造方法であって、
少なくとも床構体から屋根構体までの高さ、および乗降口間の幅を有し補強リブの高さに対応する厚み有する一枚の軽合金製の板状素材を切削加工によって、板状素材の肉厚を除去して外板、縦補強リブ、横補強リブ及び窓開口部を形成したことを特徴とする軌道系車両の構体の製造方法。 - 前記補強リブの形成と同時に該補強リブの交差箇所に丸みを持たせ、さらに車両の窓開口部およびその隅部に丸みを持たせた加工を行なうことを特徴とする請求項1記載の軌道系車両の構体の製造方法。
- 前記縦補強リブと横補強リブの隅部は、外板の形成のための余肉除去加工用のフライスカッタの刃先半径を利用して円弧加工を行うことを特徴とする請求項1若しくは2記載の軌道系車両の構体の製造方法。
- 切削工具が取り付けられて回転駆動する主軸を上下方向に有し、加工テーブルを水平方向に有するマシニングセンタ等の工作機械に前記板状素材を固定し、前記補強リブ、窓開口部、または前記丸みの加工を前記切削工具の数値制御によって行うことを特徴とする請求項2記載の軌道系車両の構体の製造方法。
- 前記丸みの加工が、前記切削工具刃の刃先半径によって形成されることを特徴とする請求項4記載の軌道系車両の構体の製造方法。
- アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽合金材料よりなる前記板状素材を加工することを特徴とする請求項1乃至4記載の軌道系車両の構体の製造方法。
- 請求項1乃至6に記載の製造方法によって製造された構体によって組み立てられたことを特徴とする軌道系車両。
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