JP4864976B2 - 飛行機用の呼吸マスク及び調整器の改良 - Google Patents

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Description

〔関連出願の参照〕
本願は、2005年10月11日に出願された米国仮特許出願第60/725,816号に基づく出願である。
当該技術分野において知られているマスクと調整器の組立体では、マスクは、ユーザの顔面に密着する。ユーザが吸息すると、マスクの口鼻フェースシール内の圧力が周囲環境に対して低下する。圧力のこの相対的低下により、調整器の機構は、酸素を口鼻フェースシール内に小出しする。幾つかの場合では、酸素と周囲環境からの希釈用空気は、一緒になって口鼻フェースシール内に小出しされる。酸素をユーザの吸息に応答して送り出す調整器は、「デマンド型調整器(demand regulator)」と呼ばれる場合があり、酸素と希釈用空気の混合物を送り出すことができる調整器は、「ダイリュータ−デマンド型調整器(diluter-demand regulator)」と呼ばれる場合がある。調整器は、種々の「モード」、例えば「デマンド型モード」又は「ダイリュータ−デマンド型モード」で稼働されると呼ばれる場合がある。同様な標準名称は、マスクと調整器の組み合わせにも使用される場合がある。
ダイリュータ−デマンド型調整器を備えたマスクを用いる種々の航空用途では、調整器は、機室内圧力高度が10,000フィート(3,048m)のところにあるとき、指定された量の酸素を高信頼度で送り出さなければならない。所要量の酸素を10,000フィートのところで送り出すが、周囲圧力がほんの僅か高い状態の僅かに低い圧力高度、例えば約5,000〜8,000フィート(1,524〜2,438m)の機室内圧力高度では酸素を送り出さないよう従来型調整器を設計することは非常に困難であり且つ非現実的である。
この問題は、調整器をユーザの酸素マスクに直接取り付けるよう実用的にするために十分にコンパクトで且つ軽量のパッケージ内に入れられるよう設計された調整器では特に深刻である。
さらに、実用上、ユーザの酸素マスクに直接取り付けるのに十分コンパクトで且つ軽量のパッケージ内に入れた状態で非常に低い吸息抵抗を持つ従来型調整器を設計することは非常に困難であり且つ非現実的である。かくして、呼吸作業の増大及びその結果としてのユーザの疲労及び不快感を無くすことは、困難であり又は実現できない。また、改良型酸素呼吸マスクであって、マスク内の圧力の相対的減少により調整器をトリガして酸素をマスクの口鼻フェースシール内に小出しすることができるが、マスクが着用されていても酸素の供給が必要でない場合には酸素の供給を控えるために不必要な酸素の使用を回避する改良型酸素呼吸マスクを提供することが望ましい。
本発明は、10,000フィート以上と以下の両方で作動しなければならない酸素マスク圧力調整器と関連した上述の問題及び他の問題に取り組み、これら問題を解決する。
本発明は、非常事態ではない状況において10,000フィート以下の機室高度において酸素の消費量を最小限にし又はゼロにした状態で乗員マスクの長時間にわたる着用を可能にするシステムを提供する。
本発明は、飛行機のパイロット及び乗員のための改良型呼吸マスク及び調整器である。本発明は、現在用いられているダイリュータ−デマンド型調整器の改良である。
種々の作戦行動において、搭乗員は、たとえキャビンが通常通り加圧されていても酸素マスクを着用することが必要な場合がある。従来型マスク及びこれらの調整器は、かかる条件下において酸素を送り出す。この結果、酸素の消費量が増大する。加うるに、従来型マスク及び調整器と関連した呼吸抵抗により、機器が長期間にわたって用いられると、或る程度の不快感及び疲労が生じる。
デマンド型調整器及びダイリュータ−デマンド型調整器に利用できる本発明では、マスク及び調整器は、追加のフローチャネルを有し、かかるフローチャネルを介してユーザは周囲空気を吸息することができる。このチャネルは、ユーザによる通常の吸息が調整器をトリガして貯蔵状態の酸素を小出しすることがないように十分に低い圧力降下を有する。
第1の現時点において好ましい実施形態では、追加のフローチャネルは、ユーザがこの特徴を利用したいと思ったときにこのフローチャネルを手動で開くことができるように構成されているのが良い。この追加のフローチャネルは、ユーザがマスク及び調整器をその通常の動作モードのうちの1つで作動させることが望ましいような状態に遭遇した場合に手動で閉鎖できるのが良い。追加のチャネルは更に、機室内圧力コードが所定の設定値、代表的には約10,000フィートの圧力高度に達したときに自動的に閉鎖されるように構成されているのが良く、かかる設定値では、マスク及び調整器の動作は、その通常の動作モードのうちの1つに自動的に戻る。
したがって、本発明の第1の実施形態は、調整器が酸素を小出しするようにするほどの口鼻フェースシール内の圧力の低下を生じさせることなく、周囲空気が酸素マスクの口鼻フェースシールに入ることができるようになった補助チャネルを提供する。補助チャネルを通る流れを調整する手段が設けられ、この調整手段は、流れを遮断する少なくとも第1(閉鎖)位置及び流れを可能にする第2(開放)位置を有する。流れ調整手段を第1(閉鎖)位置に維持するために付勢力が流れ調整手段に加えられてチャネルが常態では遮断されるようになっている。ユーザは、手動で流れ調整手段を第2(開放)位置に動かすことができ、この場合、流れ調整手段を捕捉してこれを第2(開放)位置に保持することができるラッチ止め手段が設けられる。次に、ユーザは、所望時に手動でラッチ止め手段を解除することができ、それにより流れ調整手段は、第1(閉鎖)位置に戻ることができる。また、圧力検出手段が設けられ、この圧力検出手段は、機室内圧力の低下(機室内圧力高度の増大)時にラッチ止め手段を自動的に解除できるようになっており、それにより、流れ調整手段は、かかる機室内圧力の低下時にユーザによる介入又は行為が行われないで第1(閉鎖)位置に自動的に戻ることができる。
本発明の第1の好ましい実施形態では、補助チャネルは、マスクの口鼻フェースシールを直接貫通した通路であり、調整器を完全にバイパスする。通路を調整器中にではなく口鼻フェースシール中に開けることにより、本発明の利点を得ることができると同時にその他の点においては先行技術による既存設計の調整器を依然として利用することができる。
現時点において好ましい特徴では、流れ調整手段は、摺動部材の直線又は曲線運動により開閉する弁組立体であり、付勢力は、摺動部材を開放位置に摺動させたときに圧縮され、摺動部材が閉鎖位置に戻ったときに弛緩する圧力検出手段によって提供される。
別の好ましい特徴では、流れ調整手段は、穴を備えた回転ディスクを有し、穴付き回転ディスクは、流れを可能にするためにマスクの口鼻フェースシールに設けられた別の穴とオーバーラップするよう位置決め可能であり又は流れを阻止するために穴が互いにオーバーラップしないよう別の整列状態に回転可能である。付勢力は、ディスクを閉鎖位置に回転させるよう設けられた捩じりばねによって提供される。
本発明は、周囲空気を吸息できるようにするマスク及び調整器に追加のチャネルを設けるので、マスクを介する通常の呼吸中、調整器は、酸素を送り出さず、不必要な酸素の使用が回避される。通常の呼吸中、調整器による酸素の放出のトリガを回避するのに必要であるように追加のチャネルを通る吸息抵抗は比較的低いので、ユーザは又、呼吸の努力が少なくなったことを体験し、その結果、通常通り加圧された機室環境内での長時間にわたる使用間隔の間、疲労が減少すると共にユーザの快適さが向上する。必要の場合、酸素の流れは、例えばユーザが早い呼吸をすることにより又は呼吸が速くなっていることによりトリガされると、調整器により供給される。
別の好ましい特徴では、圧力検出手段は、機室内圧力の変化に応答して長さが変化するアネロイドカプセルであるのが良く、この長さの変化は、流れ調整手段を解除するリンク装置を作動させることができる。
更に別の好ましい特徴では、圧力検出手段は、適当な電子回路にインターフェイスされる電子圧力変換器であり、電子圧力変換器は、電気又は電子作動手段の動作によってラッチ止め手段を解除することができる。
本発明の一特徴では、電気作動手段は、機械的ラッチを解除し、流れ調整手段がその閉鎖位置に戻ることができるようにするソレノイドであるのが良い。
別の特徴では、電気作動手段は、磁気キャッチを解除するよう永久磁石の磁界に打ち勝つ磁界を生じさせるようちょっとの間付勢されるコイルである。
第2の好ましい実施形態では、本発明は、飛行機のパイロット及び乗員のための酸素マスクの補助呼吸フローチャネル装置であって、酸素マスクが、口鼻キャビティを画定する口鼻フェースシール及び酸素供給調整器を有し、補助空気流チャネルが、酸素マスクの一部分を貫通して設けられたフローチャネル部材内に形成されている補助呼吸フローチャネル装置を提供する。補助呼吸フローチャネル装置は、フローチャネル部材を通る流れを調整する流れ調整手段を有する。流れ調整手段は、空気流チャネルを通る流れを遮断する少なくとも1つの閉鎖位置と、空気流チャネルを通る流れを可能にする開放位置との間で動くことができる。流れ調整手段は、機室内圧力の変化に応答して長さが変化し、流れ調整手段を少なくとも1つの閉鎖位置と開放位置との間で動かすよう動作するアネロイドカプセルを含む。補助呼吸フローチャネル装置は、流れ調整手段を少なくとも1つの閉鎖位置に手動で動かす手段を更に有する。
現時点において好ましい一特徴では、補助空気流チャネルは、マスクの口鼻フェースシールを貫通して延び、酸素供給調整器をバイパスする。現時点において好ましい別の特徴では、流れ調整手段は、上側開口部、下側出口ポート、及び下側開口部を有する内側チャンバを備えた主ハウジングと、壁及び壁に接合された頂部カバープレートを有する上側アネロイドハウジングと、主ハウジングの内側チャンバ内に設けられていて、上側アネロイドハウジングに摺動可能に結合される下側アネロイドハウジングとを有する。環状ボール軌道インサートが、上側アネロイドハウジングと下側アネロイドハウジングとの間に設けられ、ボール軌道インサートの内面は、下側ボール軌道及び上側ボール軌道を有し、上側アネロイドハウジングの壁は、対応の戻り止めボールをそれぞれ受け入れて戻り止めボールを保持する複数個のボール孔を有する。ばねリテーナが、上側アネロイドハウジング及び下側アネロイドハウジング内に設けられ、ばねリテーナは、ベース部分を有し、複数個のばねフィンガが、ベース部分に連結された状態でこれから延びている。ばねフィンガは各々、戻り止めボールと整列すると共にこれに隣接して設けられていて、上側アネロイドハウジングを上側位置又は下側位置にそれぞれラッチ止めするよう戻り止めボールに圧接してこれらを外方に付勢して上側ボール軌道又は下側ボール軌道の中に入れる突起を有する。頂部カバープレートは、周囲空気を下側出口ポートに通じる補助呼吸フローチャネル内に流通させることができる複数個の上側通気開口部を有するのが良い。
アネロイドカプセルは、好ましくは、上側アネロイドハウジング及び下側アネロイドハウジング内に収納されており、ばねリテーナのベース部分は、アネロイドカプセルの底面に連結されていて、アネロイドカプセルが高い高度で膨張すると、アネロイドカプセルの底面が下方に動き、これに対応してばねリテーナのばねフィンガがアネロイドカプセルの伸長により下方に押され、戻り止めボールに加わる圧力を解除して戻り止めボールを補助呼吸フローチャネルの開放位置でボール軌道の下側軌道から解除したり、戻りボールが補助呼吸フローチャネルの閉鎖位置でボール軌道の上側軌道まで動いたりすることできるようになっている。下側アネロイドハウジングは、好ましくは、下側外方フランジ及び主ハウジングの下側内壁に隣接して設けられたOリングを受け入れてこれを保持するチャネルを有し、主ハウジングの下側内壁は、弁着座面を形成するよう内方にテーパしている。
現時点において好ましい別の特徴では、主ハウジングは、雄ねじ付きフローチャネルコネクタと、フローチャネルコネクタフランジとを有し、フローチャネルコネクタフランジは、酸素マスク口鼻フェースシールの側開口部のところで対応のねじ山付きマスクコネクタポートにねじ連結可能である。Oリング密封ガスケットが、好ましくは、酸素マスク口鼻フェースシールのねじ山付きマスクコネクタポートへの補助呼吸フローチャネル装置の確実な漏れ止め取り付けを可能にするようマスクコネクタポートとフローチャネルコネクタフランジとの間に介在して設けられている。
現時点において好ましい別の特徴では、アネロイドカプセルは、アネロイドカプセルの上側部分内にねじ込まれていて、アネロイドカプセルの作動を調整するアネロイド設定ねじを有する。現時点において好ましい別の特徴では、主コイルばねが下側フランジと頂部カバープレートの間で下側アネロイドハウジングの周りに設けられ、全体として管状の開放下側部分及び下側部分に連結された上側プレートを有するプッシュプルボタンが設けられて、プッシュプルボタンは、管状下側部分が上側アネロイドハウジングと下側アネロイドハウジングとの間に位置した状態で設けられると共にボール軌道インサートの上面に当接する。別の特徴では、補助呼吸フローチャネル装置は、代表的には、フラッパ弁リテーナにより下側出口ポートの下に固定されたフラッパ弁を更に有する。
上述のことから、本発明は、現在入手できる飛行機用酸素マスクと比較して顕著な利点を提供していることが理解できる。特に、本発明は、機室内圧力が約10,000フィートの等価圧力よりも高い又は低いレベルまで変化する場合のある長時間にわたり快適に使用されなければならず、しかも呼吸作業及び疲労を増大させる恐れの少ない酸素マスクを提供する。本発明の追加の利点は、従来型酸素マスクと比較してマスクを長時間使用しても酸素消費量を減少させることにある。本発明の上記利点及び他の利点は、以下の詳細な説明及び図面から当業者には明らかであり、図面は、本発明の特徴を例示的に示している。
従来型マスク及び酸素調整器組立体は、通常、機室内圧力高度が約10,000フィートにあるとき又はこれを超えた状態にあるとき、酸素を送り出すよう設計されているが、約10,000フィートで又はこれを超えた高さで送り出されるべき所要量の酸素をもたらすが、又、周囲圧力がほんの僅か高い状態の僅かに低い圧力高度、例えば約5,000〜8,000フィート機室内圧力高度では酸素をもたらさないようにすることにより酸素を保存するような従来型調整器を提供することは非常に困難であり且つ非現実的である。従来、10,000フィートよりも高い高さで又はこれよりも低い高さで稼働しなければならない非常に低い吸息抵抗を備えたコンパクト且つ軽量の調整器をユーザの酸素マスクに直接取り付けることも又、非常に困難且つ非現実的である。
したがって、本発明は、飛行機のパイロットや乗員のための酸素マスクの補助呼吸フローチャネル装置を提供し、酸素マスクは、口鼻キャビティを画定する口鼻フェースシール及び酸素供給調整器を有している。図1に示す第1の現時点において好ましい実施形態では、補助呼吸フローチャネル20を酸素マスクの口鼻フェースシール22内に配置することができる。酸素マスクの口鼻フェースシールは、代表的には口鼻キャビティを画定し、代表的には、酸素供給ラインによって酸素供給源に連結された調整器、例えば希釈デマンド型調整器を更に有し、酸素供給源は、代表的には、デマンド吸息を指示する圧力降下の検出に応答して酸素を酸素マスクに小出しするようトリガされ、これについては以下に更に説明する。
補助呼吸フローチャネルは、代表的には低い高度において適度の酸素レベルを有し、補助酸素の供給を必要としない開放位置及び高い高度で空気流調整弁機構体により自動的に又はユーザによって手動で実現できる閉鎖位置を備えた空気流調整手段24を有している。酸素供給調整器をバイパスする空気流チャネル26が、酸素マスクの一部分、例えばマスクの口鼻フェースシールを貫通して形成されている。空気流調整手段は、空気流チャネルを通る流れを調整する弁機構体28を有し、流れ調整手段は、空気流チャネルを通る流れを遮断する少なくとも1つの閉鎖位置と空気流チャネルを通る流れを可能にする開放位置との間で動くことができる。図1に示されているように、弁機構体は、摺動部材30の運動により、例えば、摺動部材の直線又は曲線運動によって開いたり閉じたりする弁組立体を有するのが良い。弁機構体は、好ましくは、付勢力を流れ調整手段に加えて流れ調整手段を閉鎖位置に付勢し、空気流チャネルが常態では閉塞されるようにする付勢手段を有する。付勢手段は、代表的には、摺動部材を開放位置に摺動させると圧縮され、摺動部材が閉鎖位置に戻ると弛緩する。変形例として、流れ調整手段は、穴を備えた回転ディスクを有しても良く、この穴付きの回転ディスクは、流れを可能にするようマスクの口鼻フェースシールに設けられた別の穴とオーバーラップするよう位置決めすることができ、又、流れを阻止するよう穴が互いにオーバーラップしないように回転ディスクを別の整列状態に回転させることができる。また、回転ディスクを閉鎖位置に付勢する手段、例えば、ディスクを閉鎖位置に回転させるよう配置された捩じりばねも又設けられるのがよい。弁機構体は、流れ調整手段を開放位置に手動で動かす手段と、流れ調整手段を開放位置に解除自在に保持するラッチ止め手段と、流れ調整手段が閉鎖位置に戻ることができるようラッチ止め手段を解除する手段とを更に有するのが良い。付勢手段は、周囲圧力を検出する圧力検出手段であるのが良く、この圧力検出手段は、ラッチ止め手段に連結されていて、しきい圧力への機室内圧力の低下の検出時にラッチ止め手段を解除してかかる機室内圧力の低下時にユーザによる介入又は行為が行われないで流れ調整手段が閉鎖位置に戻ることができるよう動作する。現時点において好ましい一特徴では、圧力検出手段は、機室内圧力の変化に応答して長さが変化するアネロイドカプセル32であり、長さの変化は、流れ調整手段を解除するリンク装置を作動させることができる。機室内高度が上昇すると、アネロイドカプセルは、膨張し、補助フローチャネルを自動的に閉鎖している機構体を引き外す。圧力検出手段は、電子圧力変換器であっても良く、この電子圧力変換器は、機械的キャッチを解除して流れ調整手段がその閉鎖位置に戻ることができるようにする電気又は電子作動手段、例えばソレノイドの作動を介してラッチ止め手段を解除することができる適当な電子回路にインターフェイスされている。変形例として、電子作動手段は、磁界を作るようちょっとの間通電されるコイルであっても良く、この磁界は、磁気的キャッチを解除し、流れ調整手段がその閉鎖位置に戻ることができるよう永久磁石の磁界に打ち勝つ。
弁機構体が開放位置にあるとき、ユーザは、補助呼吸フローチャネルを介して周囲空気を吸息することができ、それにより低い高度においても呼吸可能であって生命を維持する酸素レベルを有する通常の呼吸が可能になる。図1に示す向きでは、現在B/E宇宙空間で用いられている既存の調整器は、前の開口部34とインターフェイスすることができ、これに対し、フェースシールの残部は、図示のコンポーネントの後部36に突き出ている。変形例として、補助チャンネルを酸素マスクに取り付けられるようになった調整器の構造中に組み込んでも良い。これにより、改良型調整器を他の点においては改造が施されていない先行技術のマスクに取り付けることができる。補助呼吸フローチャネルは、ユーザによる通常の吸息では貯蔵されている酸素を小出しするような調整器のトリガが行われないほど十分低い圧力降下を呈する。かくして、本発明を機器設計に組み込むことができ、他方、他の点においては満足の行く機器の他の要素の設計を改変する必要性がなく又は最小限に抑えられる。
図2〜図18に示す第2の現時点において好ましい実施形態では、補助呼吸フローチャネルは、典型的には口鼻キャビティ44(その一部分が、図4に示されている)を画定する口鼻フェースシール42と、1つ又は2つ以上の酸素供給ライン49によって酸素供給源(図示せず)に連結された調整器48、例えば希釈デマンド型調整器とを有する酸素マスク40内に配置でき、酸素供給源は、代表的には、急速な若しくは迅速な呼吸又は低酸素レベルに達した状態の高い高度を指示する圧力降下の検出に応答して酸素を酸素マスクに小出しするようトリガされる。
補助呼吸フローチャネル50は、空気流調整弁機構体52を有し、この空気流調整弁機構体は、開放位置及び閉鎖位置を有するが、常態では、補助酸素の供給を必要としない適度で生命を維持する酸素レベルを有する低い高度では開放位置にある。弁機構体が開放位置にあるとき、ユーザは、補助呼吸フローチャネルを通って周囲空気を吸息することができ、それにより低い高度においても呼吸可能であって生命を維持する酸素レベルを有する通常の呼吸が可能になる。この補助呼吸フローチャネルは、通常の又は典型的な吸息中、ユーザによる通常の吸息では貯蔵されている酸素を小出しするような調整器のトリガが行われないほど十分低い圧力降下を呈する。図2〜図4に示されているように、本発明の好ましい一実施形態では、補助呼吸フローチャネルは、調整器を完全にバイパスするようマスクの口鼻フェースシールを直接貫通した通路として提供できる。通路を調整器中にではなく口鼻フェースシール中に開けることにより、本発明の利点を得ることができると同時に、既存設計の調整器を依然として利用することができる。
図4、図6、図8及び図10〜図14を参照すると、補助呼吸フローチャネルは、代表的には雄ねじ付きフローチャネルコネクタ56及びフローチャネルコネクタフランジ58を有する主又は下側ハウジング54を有し、このハウジングは、酸素マスクの口鼻フェースシールの側開口部62のところで対応関係にあるねじ山付きマスクコネクタポート60にねじ連結可能であるのが良く、Oリング密封ガスケット64が、しっかりとした漏れ止め取り付け部を提供するようマスクコネクタポートとフローチャネルコネクタフランジとの間に介在して位置している。図6、図8及び図10〜図14を参照すると、主ハウジングは、内側チャンバ66、下側出口ポート68、下側開口部69及び上側開口部70を有し、この上側開口部は、全体として管状の壁74及びこの管状の壁に接合された頂部カバープレート76を有する上側アネロイドハウジング72を受け入れる。頂部カバープレートは、周囲空気を下側出口ポートに通じる補助呼吸フローチャネル内に流通させることができる複数個の上側通気開口部78を有している。上側アネロイドハウジングは、主ハウジングの内側チャンバ内に収納された下側アネロイドハウジング80内に摺動自在に受け入れられ、全体として環状のボール軌道インサート82が、上側アネロイドハウジング及び下側アネロイドハウジングの壁相互間に設けられている。ボール軌道インサートの内面は、好ましくは、下側ボール軌道又は溝84及び上側ボール軌道又は溝86を有し、上側アネロイドハウジングの管状壁は、各々が対応の戻り止めボール90、例えばステンレス鋼ボールを受け入れてこれを保持する複数個のボール孔88を有している。代表的には、3つのボール孔内に3つのステンレス鋼ボールが入れられている。
ばねリテーナ92が、上側アネロイドハウジング及び下側アネロイドハウジング内に設けられており、このばねリテーナは、ベース部分94を有し、複数個のばねフィンガ96が、このベース部分に連結された状態でこれから延びている。ばねフィンガは、戻り止めボールと整列すると共にこれに隣接して設けられた突起98を有し、この突起は、以下に更に説明するように、上側アネロイドハウジングを上側位置又は下側位置にラッチ止めするよう戻り止めボールに圧接してこれらを上側ボール軌道か下側ボール軌道かのいずれかの中に外方に押し込むようになっている。アネロイドカプセル100が、上側アネロイドハウジング及び下側アネロイドハウジング内に収納されており、ばねリテーナのベース部分は、アネロイドカプセルの底面102に連結されていて、アネロイドカプセルが高い高度で膨張すると、アネロイドカプセルの底面が下方に動き、これに対応してばねリテーナのばねフィンガがアネロイドカプセルの伸長により下方に押されるようになっており、それにより戻り止めボールにかかる圧力を解除して戻り止めボールを補助呼吸フローチャネルの開放位置でボール軌道の下側軌道から解除したり、戻りボールが補助呼吸フローチャネルの閉鎖位置でボール軌道の上側軌道まで動いたりすることできるようになっている。アネロイドカプセルの作動をアネロイドカプセルの上側部分に螺入されているアネロイド設定ねじ104により調整できる。
下側アネロイドハウジングは、下側且つ外側肩又はフランジ106及び弁着座面112を形成するよう内方にテーパした主又は下側ハウジングの下側内壁に隣接して設けられていて、Oリング110を受け入れてこれを保持するチャネル108を有する。主コイルばね114が、下側フランジと頂部カバープレートの頂部プレートとの間で下側アネロイドハウジングの周りに設けられている。全体として管状の開放下側部分118及びこの下側部分に連結された上側プレート120を有するプッシュプルボタン、取っ手又はノブ116が設けられており、管状下側部分は、上側アネロイドハウジングと下側アネロイドハウジングとの間に位置していてボール軌道インサートの上面に当接している。フラッパ弁122が、フラッパ弁リテーナ124によって下側出口ポートの下に固定されている。かくして、補助フローチャネル126が、主又は下側ハウジングの内壁と下側アネロイドハウジングの外壁との間で、頂部カバープレートの上側通気開口部から下側出口ポートまで、そしてフラッパ弁を通り、下側開口部を通って酸素マスクの口鼻キャビティの内部まで形成されている。
補助呼吸フローチャネルが開いていて、代表的には約8,000フィート又はこれ以下の機室内圧力で稼働しているとき、弁機構体は、静止開放位置にある。ばねフィンガは、戻り止めボールをボール軌道インサートの下側主軌道内に保持し、アネロイドカプセルは、一杯まで圧縮される。減圧が生じると、アネロイドカプセルは、約8,000フィートの機室内圧力状態で膨張し始めることになる。アネロイドカプセルが膨張すると、このアネロイドカプセルは、アネロイドカプセルの底面の運動によりばねフィンガを下方に動かし、それにより、戻り止めボールが、ばねフィンガにより提供されている斜面を下ることができる。アネロイドカプセルは、代表的には、約8,000フィートの機室内圧力に達する前に動き始めるが、ばねフィンガと戻り止めボールの係合度は、約8,000フィートになるまでは減少しない。戻り止めボールのこの運動により、戻り止めボールは、ボール軌道インサート内のステンレス鋼ボールの確実な係合度から解除される。約10,000フィートの機室内コードでのしきい減圧状態に達する前に、係合度がゼロになり、主ばねがOリングと主又は下側ハウジングとの間のインターフェイスのところでアネロイドハウジング組立体を閉鎖状態にする。プッシュプルノブを含むアネロイドハウジング全体は、主ハウジングに取り付けられている上側アネロイドハウジングを除き、閉鎖位置に動く。この位置では、アネロイドが非作動状態に戻るまで、即ち約8,000フィートの機室内高度を下回るまではプッシュプルボタンを用いても弁機構体を開くことができない。戻り止めボールは、ボール軌道インサートの上側又は2次溝内でロック状態になって確実なロック位置を保証し、高度検出装置としてのアネロイドカプセルの使用に基づいて弁機構体を自動的に閉じる。他の高度検出装置、例えば圧力変換器又はブルドン管を用いても良い。
また、約8,000フィートの機室内高度未満では補助呼吸フローチャネルを手動で開閉することができる。弁機構体を開放位置から閉鎖位置に手動で動かすために、ばねフィンガが戻り止めボールとの係合箇所を越えて撓むまでプッシュプルボタンを押す。主ばねは、この加えられた押圧力の作用と一緒になって弁機構体を閉じる。この手順は、例えば機室内に毒性ガス又は煙が存在している場合であっても実施するのが非常に迅速である。この設計には、触覚による設定調整ねじキャップ又はボタン128が組み込まれ、このボタンは、弁機構体が開放位置にあるときにはプッシュプルボタンと面一をなし、弁機構体を閉じるとプッシュプルボタンよりも高くなり、それにより、オペレータは、補助呼吸フローチャネルを触って弁機構体が閉じられていることを確認することができる。
フラッパ弁組立体は、吸息時に開き、ユーザが呼息すると閉じるよう設計されている。これは、湿気が弁機構体に入らないようにするのに役立ち、又、これにより、ユーザからの呼気が乗員マスク希釈デマンド型調整器の呼気ベントを通って追い出される。加うるに、希釈デマンド型調整器をマスク内に正圧をもたらす非常時モードに切り換えると、フラッパ弁は、弁機構体を通る侵入が生じないようにする2次シールとして働くよう閉じる。フラッパ弁は又、弁機構体が依然として開放位置にあり、又、希釈デマンド型調整器を非常時モードに切り換えて弁機構体が依然として開放位置にある場合には1次シールとして働くよう設計されている。これは、オペレータを安全にするよう弁機構体内に組み込まれた万全を期すための手段である。
上述のことから明らかなように、本発明の特定の形態を図示すると共に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の改造を行うことができる。したがって、本発明の範囲は特許請求の範囲の記載に基づく以外には制限されることはない。
酸素マスクの口鼻フェースシールの口鼻フェースシールコンポーネント上に配置された本発明の補助呼吸フローチャネル装置の第1の好ましい実施形態の斜視図である。 酸素マスクの口鼻フェースシール内に配置された本発明の補助呼吸フローチャネル装置の第2の好ましい実施形態を示す酸素マスクの平面図である。 図2の酸素マスク及び補助呼吸フローチャネル装置の側面側斜視図である。 図3の4−4線に沿って取った酸素マスク及び補助呼吸フローチャネル装置の断面図である。 弁開放位置で示された図2の補助呼吸フローチャネル装置の立面図である。 図5の6−6線に沿って取った補助呼吸フローチャネル装置の断面図である。 弁閉鎖位置で示された図2の補助呼吸フローチャネル装置の立面図である。 図7の8−8線に沿って取った補助呼吸フローチャネル装置の断面図である。 弁手動閉鎖位置で示された図2の補助呼吸フローチャネル装置の立面図である。 図9の10−10線に沿って取った補助呼吸フローチャネル装置の断面図である。 弁開放位置で示された補助呼吸フローチャネル装置の断面図であり、図2の装置を通る流路を示す図である。 弁閉鎖位置で示された図2の補助呼吸フローチャネル装置の別の断面図である。 弁開放位置で示された図2の補助呼吸フローチャネル装置の別の断面図であり、頂部カバープレートを示す図である。 弁手動閉鎖位置で示された図2の補助呼吸フローチャネル装置の別の断面図である。 図2の補助呼吸フローチャネル装置の平面図である。 図2の補助呼吸フローチャネル装置の側面図である。 図2の補助呼吸フローチャネル装置の底面図である。 図2の補助呼吸フローチャネル装置の分解組立て斜視図である。

Claims (11)

  1. 飛行機のパイロット及び乗員のための酸素マスクの補助呼吸フローチャネル装置であって、前記酸素マスクは、口鼻キャビティを画定する口鼻フェースシール及び酸素供給調整器を有し、前記補助呼吸フローチャネル装置は、
    前記酸素マスクの一部分を貫通して設けられたフローチャネル部材内に形成された補助空気流チャネルを有し、前記補助空気流チャネルは、外気に接続されており、前記補助空気流チャネルを通して外気が前記酸素マスクに搬送されるように構成され、
    前記フローチャネル部材を通る流れを調整する流れ調整器を有し、
    前記流れ調整器は、主ハウジングと、流れ調整器の主ハウジングの中で移動可能な下側アネロイドハウジングを含むアネロイドハウジングアセンブリと、を含み、前記下側アネロイドハウジングは、前記補助空気流チャネルを通る流れを遮断する少なくとも1つの閉鎖位置と、前記補助空気流チャネルを通る流れが可能にされる開放位置との間で動くことができ、前記流れ調整器は、機室内圧力の変化に応答して長さが変化し、前記流れ調整器の主ハウジングの中で前記下側アネロイドハウジングを前記少なくとも1つの閉鎖位置と前記開放位置との間で動かすよう動作するアネロイドカプセルを含み
    前記下側アネロイドハウジング前記流れ調整器の主ハウジングの中で前記少なくとも1つの閉鎖位置に手動で動かす手段を有する、補助呼吸フローチャネル装置。
  2. 前記補助空気流チャネルは、前記マスクの前記口鼻フェースシールを貫通して延び、前記酸素供給調整器をバイパスする、請求項1記載の補助呼吸フローチャネル装置。
  3. 前記流れ調整器の主ハウジングは
    上側開口部、下側出口ポート、及び下側開口部を有する内側チャンバを備え
    前記アネロイドハウジングアセンブリは、壁と、壁に接合された頂部カバープレートと、を含む上側アネロイドハウジングを有し、
    前記下側アネロイドハウジングは、主ハウジングの内側チャンバー内に配置され、前記上側アネロイドハウジングと摺動可能に結合され
    前記上側アネロイドハウジングと前記下側アネロイドハウジングとの間に設けられた環状ボール軌道インサートを有し、前記環状ボール軌道インサートは内面を有し、前記内面は、下側ボール軌道及び上側ボール軌道を有し、前記上側アネロイドハウジングの前記壁は、対応の戻り止めボールをそれぞれ受け入れて前記戻り止めボールを保持する複数個のボール孔を有し、
    前記上側アネロイドハウジング及び前記下側アネロイドハウジング内に設けられたばねリテーナを有し、前記ばねリテーナは、ベース部分を有し、複数個のばねフィンガが、前記ベース部分に連結された状態でこれから延び、前記ばねフィンガは、前記戻り止めボールと整列すると共にこれに隣接して設けられていて、前記上側アネロイドハウジングを上側位置又は下側位置にそれぞれラッチ止めするよう前記戻り止めボールに圧接してこれらを外方に付勢して前記上側ボール軌道又は前記下側ボール軌道の中に入れる突起を有し、
    前記アネロイドカプセルは、前記上側アネロイドハウジング及び前記下側アネロイドハウジング内に収納されており、前記ばねリテーナの前記ベース部分は、前記アネロイドカプセルの底面に連結されていて、前記アネロイドカプセルが高い高度で膨張すると、前記アネロイドカプセルの前記底面が下方に動き、これに対応して前記ばねリテーナの前記ばねフィンガが前記アネロイドカプセルの伸長により下方に押され、前記戻り止めボールに加わる圧力を解除して前記戻り止めボールを前記補助呼吸フローチャネルの前記開放位置で前記ボール軌道インサートの前記下側軌道から解除したり、前記戻りボールが前記補助呼吸フローチャネルの前記閉鎖位置で前記ボール軌道の前記上側軌道まで動いたりすることできるようになっている、請求項1記載の補助呼吸フローチャネル装置。
  4. 前記主ハウジングは、雄ねじ付きフローチャネルコネクタと、フローチャネルコネクタフランジとを有し、前記フローチャネルコネクタフランジは、酸素マスク口鼻フェースシールの側開口部のところで対応のねじ山付きマスクコネクタポートにねじ連結可能である、請求項3記載の補助呼吸フローチャネル装置。
  5. Oリング密封ガスケットが、前記酸素マスク口鼻フェースシールの前記ねじ山付きマスクコネクタポートへの前記補助呼吸フローチャネル装置の確実な漏れ止め取り付けを可能にするよう前記マスクコネクタポートと前記フローチャネルコネクタフランジとの間に介在して設けられている、請求項4記載の補助呼吸フローチャネル装置。
  6. 前記頂部カバープレートは、周囲空気を前記下側出口ポートに通じる前記補助呼吸フローチャネル内に流通させることができる複数個の上側通気開口部を有する、請求項3記載の補助呼吸フローチャネル装置。
  7. 前記下側アネロイドハウジングは、下側外方フランジ及び前記主ハウジングの前記下側内壁に隣接して設けられたOリングを受け入れてこれを保持するチャネルを有し、前記主ハウジングの前記下側内壁は、弁着座面を形成するよう内方にテーパしている、請求項3記載の補助呼吸フローチャネル装置。
  8. 前記アネロイドカプセルは、前記アネロイドカプセルの上側部分内にねじ込まれていて、前記アネロイドカプセルの作動を調整するアネロイド設定ねじを有する、請求項3記載の補助呼吸フローチャネル装置。
  9. 前記下側フランジと前記頂部カバープレートの間で前記下側アネロイドハウジングの周りに設けられた主コイルばねを更に有し、前記主コイルばねは、下側アネロイドハウジングを前記閉鎖位置に付勢する、請求項記載の補助呼吸フローチャネル装置。
  10. 全体として管状の開放下側部分及び前記下側部分に連結された上側プレートを有するプッシュプルボタンを更に有し、前記プッシュプルボタンは、前記管状下側部分が前記上側アネロイドハウジングと前記下側アネロイドハウジングとの間に位置した状態で設けられると共に前記ボール軌道インサートの前記上面に当接する、請求項3記載の補助呼吸フローチャネル装置。
  11. フラッパ弁リテーナにより前記下側出口ポートの下に固定されたフラッパ弁を更に有する、請求項3記載の補助呼吸フローチャネル装置。
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