ドラム式洗濯乾燥機として、図15に全体を模式的に示し、図16に回転ドラムの回転駆動部まわりを具体的に示すように、洗濯機本体101内に図示しないサスペンションによって弾性支持された水槽102と、有底円筒形で開口する正面側から底部となる背面側に向けて回転軸105の方向が水平または水平方向から下向き傾斜となるようにして水槽102内に設置した回転ドラム103と、この回転ドラム103を駆動するモータ104と、前記回転軸105の軸受106およびモータ104を水槽102の背面上で支持する金属製、具体的にはアルミニウム製の軸受支持部材111と、送風ファン107により水槽102内の空気を排気して除湿した後加熱し、水槽102内に送風口108を通じ送風することを繰り返し回転ドラム103内の衣類等を乾燥させる循環送風経路109と、を備えたものが既に知られている(例えば、特許文献1参照。)。
軸受支持部材111は図16に示すように、軸受106を支持するボス部111aと、このボス部111aの基部まわりに送風口108の開口部を含む周辺域まで張り出し水槽102の背部開口102aに背面側から接続して固定されると共にモータ104のステータ104aを背面に固定する座盤111bと、を備えている。この座盤111bには、周方向の一部に送風口108を避けて背部に露出させる切除部111cを有して、循環送風経路109の送風側109aの背部からの接続を邪魔しないようにしている。切除部111cは、図18に示すような周方向に湾曲したほぼ矩形の透孔であり、切除部111cの外まわりを含む座盤111bの全周において取り付け穴111dを有し、水槽102の背部に取り付けられるようにしている。座盤111b、水槽102の背部開口102a、回転軸105の基部まわりの相互間は、シール部材115によってシールされている。
回転ドラム103の底部開口103aには、前記軸受106に軸受される回転軸105の一端部と連結する軸連結支持部材112が背面側から当てがわれて、回転ドラム103の胴部・底部嵌合筒壁103bに周方向の複数個所にて外周面側からねじ止めして双方を一体化し、回転軸105はその一端部にフランジ部105aを設けるなどして軸連結支持部材112の中央にある軸連結部112aにねじ止めし双方を一体化している。
この軸連結支持部材112は、さらに、その軸連結部112aから放射状に延びる放射状腕112b、これら放射状腕112bの途中を連結しかつ回転ドラム103の底部開口103aに接続嵌合される環状シール壁112cを備え、放射状腕112bの各端部が前記回転ドラム103の胴部・底部嵌合筒壁103bにねじ止めされ、環状シール壁112cと回転ドラム103の底部開口103aとの間がシール部材113を介してシールされ、環状シール壁112cと水槽102の背部壁の送風口108よりも外周側域となる部分の環状部分との間が双方の環状凹凸面が入り込み合って形成した径方向のラビリンス隙間がなすメカ二カルシール114によって径方向内側から外側への通風を制限している。
回転ドラム103の底部内には図16、図17に示すように、底部開口103aを内側から塞ぐ樹脂製のメッシュカバー116が当てがい固定されている。メッシュカバー116は回転ドラム103と共に回転しながら送風口108からの送風を分散通過させることで、送風を回転ドラム103内の広域にむらなく導入し、乾燥効率を高め、乾燥むらがないようにしている。メッシュカバー116は円盤体で、中央部と周辺部、および中央部と周辺部を結ぶ放射状の補強域とを残して周方向にならぶセクタ領域116a毎にメッシュ孔116bが無数に形成されている。回転ドラム103の底部開口103aも前記セクタ領域116aに対応した位置および形状に形成され、軸連結支持部材112の対応開口形状輪郭部と接続されている。
ところで、上記のようなドラム式の洗濯機構は、回転ドラム103が横設または水平から傾斜して設けられ、洗濯物が周方向最下部はもとより、傾斜設置では軸方向最下部に滞留しようとする傾向を示すし、洗濯物がユーザによって軸線方向に偏って投入されることもあるなど、回転ドラム103の回転負荷に偏りが生じやすく、振れ回りの原因になる。また、回転ドラム103の振れ回りは、回転ドラム103の回転支持がその底部に連結した回転軸105を水槽102の背面で軸受する片持ち支持であることにより、この軸受部をほぼ中心といわば擂粉木運動として生じる。
回転ドラム103の擂粉木運動は回転軸105に伝達されるが、これを水槽102の背面上にある軸受支持部材111が軸受106を介し受け止める。この時の受け止め負荷は、ボス部111aが回転軸105を伴い回転ドラム103の振れに追随しようとするのを、座盤111bの回転軸105の振れ側が水槽102の背面に押し付けられる力として働く。そしてこの働きは振れの回転によって座盤111bの全周に繰り返し及ぶ。このような事情は、回転ドラム103に周方向に並ぶ端部を連結した軸連結支持部材112においてもほぼ同様と考えられる。
これに対し、特許文献1に開示の従来支持構造は、このような振れ回り時の負荷に十分耐え、実用に差し支えのない振れ回り範囲、振動範囲、騒音範囲に抑えられている。
しかし、近時はさらなる処理能力の向上が求められ、脱水工程では従来1200rpm程度だった回転数が、1600rpm程度と3割強といったさらなる高速化が望まれている。本発明者はこれに応えるべく現行形態にて種々な実験をしたところ、現状の支持構造では、高速化運転での回転ドラム103の振れ回りを抑制するのに必要な支持強度が不足し、振れ回り度、振動、騒音は実用域を大きく超え、寿命が早期に低下すると判断された。
そこで、本発明者は上記のような現行の支持構造における軸受支持部材111、軸連結支持部材112の形状と負荷の働きとの関係に着目し、回転ドラム103の振れ回り時における、軸受支持部材111、軸連結支持部材112に対する回転軸105の最大倒れ角を最大変形量として検証し(第1の検証)、それに対応する軸受支持部材111、軸連結支持部材112の負荷の掛り方に応じて生じる応力値の分布につき検証した(第2の検証)。
第1の検証は、軸受支持部材111に対しては図13(e)に示す解析モデルとして供し行い、軸連結支持部材112に対しては図14(e)に示す解析モデルを供して行った。また、第2の検証は、第1の検証時の軸受支持部材111の応力分布を実測して検証し、第1の検証時の軸連結支持部材112の応力分布を実測して検証したものである。軸受支持部材111の第1、第2の検証結果は図13(d)に示す通り、最大変形量が0.24°、最大応力が61MPa(重量3.6kg)であり、図13(a)にその時の応力分布を示し、最大応力部が切除部111cの座盤111b周方向両側広域に集中し、その点対称域に点在しているのが認められる。
一方、軸連結支持部材112の第1、第2の検証結果は図14(c)に示す通り、最大変形量が0.15°、最大応力が50MPa(重量3.5kg)であり、図14(a)にその時の表裏における応力分布部を個別に示し、最大応力が背面側で各放射状腕の端部に、正面側で環状シール壁112c部にある3本の径方向リブ112eの切除部111cの両側に対応するものと、これに点対称位置となるものに集中し、最大応力より少し低い程度の高応力が、背面側で軸連結部112aの周辺リブ112f、放射状腕112bの中央縦リブ112dに集中しているのが認められた。図14(d)に軸連結支持部材112に対する回転軸105の変形量、倒れ角の測定結果を示している。
以上の検証結果から、回転軸105は、軸受支持部材111や軸連結支持部材112に対して、それらに放射状、環状の補強リブ、輪郭に沿いあるいは沿わないボックス型の補強リブを設けてあるにもかかわらず、部分的に強度を超過した最大応力をもたらして、実用域を超えた大きな変形量、倒れ角を呈して振れ回ることが判明した。これに対応するのに、軸受支持部材111や軸連結支持部材112を単純にボリュームアップするのでは、徒に重量、駆動負荷が増大し、省資源、省エネルギに逆行する上、高価にもつく。これは、特に、軸受支持部材111に係る図13(a)の応力分布図における、切除部111cの両側での高域な最大応力の分布に対し、切除部111cの外周側の連結部111aでは、最大応力に対し格段に小さな応力が点在する程度である点からも知見され、連結部111aは切除部111c両側への応力の集中を分散させることに余り役立たない無駄なボリューム部といえる。
本発明の目的は、このような新たな知見に基づき、重量、駆動負荷が徒に増大せずに高速回転化に対応して回転ドラムの振れ回りや振動、騒音を実用域以下に抑えられる軸受支持部材を持ったドラム式洗濯乾燥機とそれに用いる回転ドラム支持用の軸受支持部材の増強方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明のドラム式洗濯乾燥機は、洗濯機本体内に弾性支持された水槽と、有底円筒形で開口する正面側から底部となる背面側に向けて回転軸方向が水平または水平方向から下向き傾斜となるようにして前記水槽内に設置した回転ドラムと、この回転ドラムを駆動するモータと、前記回転軸の軸受および前記モータを前記水槽の背面上で支持する軸受支持部材と、送風ファンにより前記水槽内の空気を排気して除湿した後加熱し、前記水槽内に送風口を通じ送風することを繰り返し回転ドラム内の衣類等を乾燥させる循環送風経路と、を備えたドラム式洗濯乾燥機において、前記軸受支持部材は、軸受を支持するボス部と、このボス部の基部まわりに前記送風口の開口部を含む周辺域まで張り出し水槽に固定されると共に前記モータのステータを固定する座盤と、を備え、この座盤は、周方向の一部に前記送風口部を避けて露出させる切除部を有し、この切除部の周方向両側にほぼ径方向に向く放射状増強部を設けたことを特徴としている。
このような構成では、回転ドラムは弾性支持された水槽に対して、基本的には現行の支持構造にて支持され、現行の駆動構造にて駆動されるもので、軸受支持部材は、軸受を支持するボス部と、このボス部の基部まわりに前記送風口の開口部を含む周辺域まで張り出し水槽に固定されると共に前記モータのステータを固定する座盤と、を備え、この座盤の周方向の一部に送風口部を避けて露出させる切除部を有して、循環送風経路との接続を邪魔しないようにした現行の基本形態を踏襲しているが、その切除部の周方向両側にほぼ径方向に向くほぼV字型リブとなるような放射状増強部を設けて現行形態に比し増強したことにより、回転ドラムの振れ回り時に切除部の座盤周方向両側に働く高い径方向の曲げ負荷を周方向局部の放射状増強部で分担してしかし回転軸、座盤間での高い突っ張り強度、座盤上での高い曲げ強度を持って受け止めるのに併せ、切除部の周方向両側広域に発生していた最大応力を分散、低減して、切除部側への回転軸の倒れや座盤の変形も抑えられる。このことは、増強は部分的なボリューム増を招くが、実用域未満の応力しか働かない部分での部分的なボリューム減が可能なことを意味し、前記ボリューム増との相殺ができるので、分布応力の部分的な違いを利用したボリューム移動による軸受支持部材の増強方法の実践であるといえる。ここに、放射状増強部とは、通常設計にて算出されるV字状リブがある場合に対しては、その延長、増厚、高さの増大などの少なくとも1つの増強構造を指し、それらを複合することもできる。
上記において、さらに、前記放射状増強部は、前記ボス部から座盤の外周側に延びることを特徴とすることができる。
このような構成では、上記に加え、さらに、放射状増強部は、座盤のボス部から外周側に延びて、切除部側への回転軸の座盤に対する倒れ変形部から座盤の変形終端にまで亘る径方向の突っ張り強度、曲げ強度を増強でき、応力の径方向への分散、低減が図られ、切除部側への回転軸の倒れや座盤の変形もより抑えられる。
上記において、さらに、前記座盤は、前記放射状補強部間を繋ぐように延びたブリッジ増強部を有していることを特徴とすることができる。
このような構成では、上記に加え、さらに、ブリッジ増強部は、V字型リブとなる放射状増強部間をほぼA字型リブをなすように繋ぎ、切除部のボス部側からボス部まで至る三角形のボックス増強部を構成して三角形のリブ形態に加え、ボックス構造による増強ともなって、該当域の増強度を増して、切除部側への回転軸の倒れおよびそれによる径方向の曲げに対する強度を高めながらA字型リブ部およびそれらが囲う非リブ状の平面域への応力の分散を図って、最大応力値をさらに低減し、切除部側への回転軸の倒れや座盤の変形もより抑えられる。
上記において、さらに、前記ブリッジ増強部は、前記切除部のボス側縁に沿ってボス部側に凸の屈曲形状をしていることを特徴とすることができる。
このような構成では、上記に加え、さらに、切除部のボス部側縁およびブリッジ増強部のボス部側に凸の屈曲形状によって切除部の切除面積がボス部側に大きくなってその分だけ送風口を大きく開口させられるし、径方向に対する立体化から座盤のボス部側切除部まわりでの放射状増強部間の径方向の耐曲げ剛性が高められる。
上記において、さらに、前記座盤は、前記放射状増強部と軸線まわりに点対称となって応力の均衡を図る放射状均衡増強部を有していることを特徴とすることができる。
このような構成では、上記に加え、さらに、切除部の周方向両側での放射状増強部は、切除部側への回転軸のボス部を伴う変形つまり倒れ変形時にその倒れ側で座盤を水槽背面に押圧して及ぼす回転軸の反切除部側へ倒し、径方向の曲げ負荷に対して十分な強度を発揮して変形を防止する反面、反切除部側に回転軸が倒れる場合に放射状増強部は座盤の切除部側が水槽背面から浮かされることに抵抗する最大抵抗点である座盤の外周部が支点となる梃作用にて、放射状増強部との点対称位置に放射状増強部の増強度に応じた水槽背部への押圧力が働くが、これによる回転軸の反切除部側への倒れおよびそれによる座盤の径方向の曲げ負荷を放射状均衡増強部が高い曲げ強度を持って受け止めるので、反切除部側でも切除部側と同程度の応力の分散、低源を図り、回転軸の倒れや座盤の径方向の変形も抑えられる。
上記において、さらに、前記切除部は、座盤の外周に開放されたほぼC型の輪郭を有して形成されていることを特徴とすることができる。
このような構成では、座盤の外周に開放されたC型の輪郭を有したものとして、座盤の切除部が透孔であった現行形態での座盤外周側での連絡部をも切除したことにより、実用域未満の小さな応力しか働かない部分でのボリューム減として、増強のためにボリューム増とした部分とのボリュームの相殺ができ、全体が徒に重量化するのを防止するのに貢献する。
上記において、さらに、前記座盤は、前記放射状増強部は、前記切除部の端部に設けた取り付け穴とこれに周方向に隣接する取り付け穴との間に端部が位置することを特徴とすることができる。
このような構成では、上記に加え、さらに、放射状増強部は、座盤の外周の水槽の背部に締結するのに必須であるが応力がまわりよりも集中しやすくなる取り付け穴部の間に及んで座盤外周を取り付け穴の間で大きな耐曲げ強度による応力の分散、低減を図り、取り付け穴部の強度不足を、取り付け穴まわりの水槽背部への締結と協働して補完することができる。
上記において、さらに、前記取り付け穴のある前記開放端部域は、前記放射状増強部が及びまたは連結された、他より増厚した増厚増強部、他の部分の輪郭補強リブよりも増厚した輪郭増強部の少なくとも1つを設けた増強部としたことを特徴とすることができる。
このような構成では、上記に加え、さらに、放射状増強部の両側での2つの取り付け穴に亘る開放端部域が、前記放射状増強部が及びまたは連結された、他より増厚した増厚増強部、他の部分の輪郭補強リブよりも増厚した輪郭増強部の少なくとも1つを設けた2つの取り付け穴部に対する増強部となって、放射状増強部と協働したさらに高い耐曲げ強度による応力の分散、低減が図れ、切除部側への回転軸の倒れ、座盤の変形を一層抑えられる。
上記において、さらに、前記放射状増強部に周方向の反切除部側で隣接の放射状補強リブは、前記増強部に及んでいることを特徴とすることができる。
このような構成では、上記に加え、さらに、この種の円盤型の部材である座盤に通常設けられる放射状補強リブが、放射状増強部の切除部から周方向の遠い側に隣接して、前記増強部に及んでいることにより、放射状増強部、それに隣接した通常の放射状補強リブ、増強部が三角形のボックス増強部を構成するのに加え、ボックス構造による増強ともなって、切除部の周方向両側での増強度を増して座盤の切除部側の径方向の曲げ強度を広域に高めて、その範囲での応力の分散と低減が図れる。
以上から、本願発明のドラム式洗濯乾燥機は、洗濯機本体内に弾性支持された水槽と、有底円筒形で開口する正面側から底部となる背面側に向けて回転軸方向が水平または水平方向から下向き傾斜となるようにして前記水槽内に設置した回転ドラムと、この回転ドラムを駆動するモータと、前記回転軸の軸受および前記モータを前記水槽の背面上で支持する軸受支持部材と、送風ファンにより水槽内の空気を排気して除湿した後加熱し、前記水槽内に送風口を通じ送風することを繰り返し回転ドラム内の衣類等を乾燥させる循環送風経路と、を備えたドラム式洗濯乾燥機の軸受支持部材の増強方法であって、軸受を支持するボス部と、このボス部の基部まわりに前記送風口の開口部を含む周辺域まで張り出し水槽に固定されると共に前記モータのステータを固定する座盤と、この座盤の周方向の一部に前記送風口を避けるように開口した切除部と、を有した基本形態の軸受支持部材の回転ドラム振れ回り時の応力分布を検証し、前記座盤の、前記切除部まわりで実用域を越える最大応力分布域となる前記切除部の周方向の両側で、放射状増強部を設けてボリューム増を図るのに併せ、座盤の実用域未満の小さな応力の分布域において応分のボリューム減を図る操作を含む点を特徴とするドラム式洗濯乾燥機の軸受支持部材の増強方法をも提供する。
本発明によれば、回転ドラムとモータは、回転軸を軸受にて片持ち支持するボス部と、このボス部まわりに水槽の送風口の開口部を含む周辺域まで張り出し水槽に固定されかつモータのステータを固定する座盤とを備えた現行の基本形態を踏襲したままの軸受支持部材では、さらなる高速化に対応できずに、座盤の周方向の一部に前記風口部を避けて露出させる切除部の周方向両側に、回転ドラムの振れ回り時の負荷による実用域を超えた最大応力が働くところを、その切除部の周方向両側にほぼ径方向に向くほぼV字型リブとなるような放射状増強部により、回転ドラムの振れ回り時に切除部側に回転軸が倒れ、座盤が径方向に曲げ変形される高負荷を、回転軸、座盤間での高い突っ張り強度、座盤上での高い曲げ強度にて周方向局部にて分担して受け止めるのに併せ、切除部両側の広域に発生していた最大応力をそれら放射状増強部上に分散させて、低減し、回転軸の倒れや座盤の変形も抑えられる増強が実現し、回転ドラムの振れ回り度、振動、騒音が改善されるので、応力分布に応じたボリューム移動を伴い徒に重量化し、高負荷化するようなことなく、さらなる高速回転、高負荷運転に対応でき十分な寿命も得られる。
上記に加え、さらに、放射状増強部は、座盤のボス部から外周側に延びて、切除部側への回転軸の座盤に対する倒れ変形部から座盤の変形終端にまで亘る径方向の突っ張り強度、曲げ強度を増強でき、応力の径方向への分散、低減も図りながら、切除部側への回転軸の倒れや座盤の変形もより抑えられ、回転ドラム振れ回り度、振動、騒音をより改善し、寿命もより伸ばせる。
上記に加え、さらに、ブリッジ増強部は放射状増強部間での突っ張っての増強にてそこにも最大応力を分散させるのに加え、両側の放射状増強部とで切除部のボス部側からボス部まで至る三角形のボックス増強部をなす相乗効果で増強度を増し、最大応力の分散と低減を図ることができる。
上記に加え、さらに、切除部のボス部側縁およびブリッジ増強部のボス部側に凸の屈曲形状は、切除部の切除面積をボス部側に大きくしてその分だけ送風口を大きく開口させられるので、送風負荷の増大なしに送風空気量を増大して乾燥速度を高められるし、径方向に対する立体化から座盤のボス部側切除部まわりでの放射状増強部間の径方向の耐曲げ剛性が高められる。
上記に加え、さらに、切除部の周方向両側での放射状増強部による座盤の増強は、これに点対称となる反切除部側への回転軸の倒れ負荷、座盤への曲げ負荷をもたらすのを、放射状均衡増強部で分担して受け止めて最大応力の前記点対称側への分散、低減が図れて、ボス部および座盤の軸線を境にした切除部側と反切除部側とで最大応力の周方向での分散と、応力の均衡と低減が図れる。
上記に加え、さらに、座盤の外周に開放されたC型の輪郭を有したものとして、座盤の切除部が透孔をなした現行形態から座盤外周側での連絡部を切除したボリューム減形態とし、増強のためにボリューム増とした部分とのボリュームの相殺ができ、全体が徒に重量化するのを防止できる。
上記に加え、さらに、放射状増強部は、座盤の外周の応力が集中しやすい取り付け穴部の間に及んで座盤協働して増強し、応力を大きく低減できる。
上記に加え、さらに、放射状増強部の両側にある補強状態となる締結部双方に亘る開放端部域が、前記放射状増強部が及びまたは連結された、他より増厚した増厚増強部、他の部分の輪郭補強リブよりも増厚した輪郭増強部の少なくとも1つを設けた増強部とされて、放射状増強部と協働した曲げ負荷の分担、応力の分散、低減、回転軸の倒れ変形や座盤の変形の防止が一層図れる。
上記に加え、さらに、この種の円盤型の部材である座盤に通常設けられる放射状補強リブが、放射状増強部の切除部から遠い側に隣接して、前記増強部に及んでいて、放射状増強部、それに隣接し放射状通常リブ、増強部が三角形のボックス増強部を構成するのに加え、ボックス構造による増強ともなって、増強度を増すと共に、応力値をさらに低減しながら、V字型リブをなす放射状増強部間にも応力を分散させて軸線まわりでの均等化を高められる。
本発明のそれ以上の目的と特徴は、以下の詳細な説明および図面によって明らかになる。本発明の各特徴はそれ単独で、あるいは可能な限り種々な組み合わせで複合して採用することができる。
以下本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機につき図1〜図14を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載の内容を限定するものではない。
図1〜図4に異なった省略のもとに要部を示す本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機100は、図示しない洗濯機本体内に図示しないサスペンション機構によって弾性支持された水槽1と、有底円筒形で開口する正面側から底部となる背面側に向けて回転軸2の方向が水平または水平方向から下向き傾斜となるようにして水槽1内に設置した回転ドラム3と、この回転ドラム3を駆動するモータ4と、回転軸2の軸受5およびモータ4を水槽1の背面上で支持する軸受支持部材6と、図示しない送風ファンにより水槽1内の空気を排気して除湿した後加熱し、水槽1内にその送風口7を通じ送風することを繰り返し回転ドラム3内の衣類等を乾燥させる図示しない循環送風経路と、回転軸2を回転ドラム3の底部に連結し支持する軸連結支持部材8、および回転ドラム3の底部開口3aを塞ぐメッシュカバー9も備えた既述した通りの基本構成を有している。
具体的には、軸受支持部材6は、図1、図4に示すように、軸受5を支持するボス部6aと、このボス部6aの基部まわりに前記送風口7の開口部を含む周辺域まで張り出し水槽1の背部開口1aに背面側から接続してボルト11で固定されると共にモータ4のステータ4aをボルト12で固定する座盤6bと、を備えている。この座盤6bには、周方向の一部に前記送風口7を避けて背部に露出させる切除部6cを有して、循環送風経路の送風側の背部からの接続を邪魔しないようにしている。また、座盤6bはその外周全域において前記ボルト11により水槽1の背部に取り付けられるようにしている。座盤6b、水槽1の背部開口1a、回転軸2の基部まわりの相互間は、シール部材13によってシールされている。ボス部6aのロータ4bはステータ4aの内外周に配置した内周側ロータ4b1および外周側ロータ4b2を一体に構成して回転軸2の外端2bにボルト20によりボルト止めし、1つのステータ4aに2つのロータ4b1、4b2が電磁結合することで、かさ張らずに回転ドラム3を高トルクで回転駆動できるようにしている。
回転ドラム3の底部開口3aには、前記軸受5に軸受される回転軸2の一端部と連結する軸連結支持部材8が外面側から当てがわれて、回転ドラム3の胴部・底部嵌合筒壁3bに周方向の複数個所にて外面側からボルト14によりボルト止めして双方を一体化し、回転軸2はその一端部にフランジ部2aを設けるなどして軸連結支持部材8にボルト15にてボルト止めし双方を一体化している。
ここで、本実施の形態は、重量、駆動負荷が徒に増大せずに高速回転化に対応して回転ドラムの振れ回りや振動、騒音を十分に抑えられる軸受支持部材を持ったドラム式洗濯乾燥機100とすることを意図して、第1に、軸受支持部材6を改良している。その主たる改良は、座盤6bの周方向の一部に前記送風口7部を避けて露出させる切除部6cを有してその両側の広域に高い最大応力が集中することに関し、この切除部6cの周方向両側にほぼ径方向に向く放射状増強部21を設けたものとしている。
本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機100は、上記のように、回転ドラム3は弾性支持された水槽1に対して、基本的には現行の支持構造にて支持され、現行の駆動構造にて駆動されるもので、軸受支持部材6は、軸受5を支持するボス部6aと、このボス部の6a基部まわりに前記送風口7の開口部を含む周辺域まで張り出し水槽1に固定されると共にモータ4のステータ4aを固定する座盤6bと、を備え、この座盤6bの周方向の一部に送風口7部を避けて露出させる切除部6cを有して、循環送風経路との接続を邪魔しないようにした現行の基本形態を踏襲しているが、その切除部6cの周方向両側に、図3〜図6に示すようなほぼ径方向に向くほぼV字型リブとなる前記放射状増強部21を設けて現行設計に比し径方向の曲げ強度を増強した改良により、回転ドラム3の振れ回り時に切除部6cの座盤6b周方向両側に働く径方向の高い曲げ負荷を周方向の局部で分担して受け止め、切除部6cの広域に発生していた最大応力を分散、低減して、回転軸2の倒れや座盤6bの変形を抑えられる。
このことは、前記放射状増強部21を設けることによる増強に要した部分的なボリューム増は、小さな応力しか働かない部分での部分的なボリューム減との相殺ができることを意味し、分布応力の部分的な違いを利用したボリューム移動による軸受支持部材6の増強方法であるといえる。
ここに、放射状増強部21とは、通常設計にて算出される他の部分に設けられる図5、図6に示すような通常の放射状補強リブ22などと重なる場合に対しては、その延長、増厚、高さの増大などの少なくとも1つの増強構造を指し、それらを複合することもできる。図示例では、通常の放射状補強リブ22、環状補強リブ23、輪郭に沿った輪郭部補強リブ24、座盤6b外周の取り付け穴30、31を囲うボックス補強リブ28などと複合して設けてあり、それらよりも厚みを大きくして放射状増強部21としている。
このような主たる改良によれば、回転ドラム3とモータ4は、回転軸2を軸受5にて片持ち支持するボス部6aと、このボス部6aまわりに水槽1の送風口7の開口部を含む周辺域まで張り出し水槽1に固定されかつモータ4のステータ4aを固定する座盤6bとを備えた現行の基本形態を踏襲した基本形態のままの軸受支持部材6では、座盤6bの周方向の一部に前記風口7部を避けて露出させる切除部6cの両側に、回転ドラム3の振れ回り時の負荷による過度な最大応力が働くところを、その切除部6cの周方向両側にほぼ径方向に向くほぼV字型リブとなるように設けた放射状増強部21の高い曲げ強度により高負荷を周方向局部で分担して受け止め、回転ドラムの振れ回り時に切除部6cの両側の広域に発生していた最大応力の分散と低減が図れ、回転軸2の倒れや座盤6bの変形も抑えられる増強が実現し、回転ドラム3の振れ回り度、振動、騒音が改善されるので、さらなる高速回転、高負荷運転に対応でき十分な寿命も得られる。この増強に要した部分的なボリューム増は、小さな応力しか働かない部分での部分的なボリューム減と相殺するいわばボリューム移動による軸受支持部材の増強として徒に重量化するようなことを防止でき、高速化度合いに対するボリューム増を従来設計に比し抑えられる。
また、前記放射状増強部21は、前記ボス部6aから座盤6bの外周近傍まで延びるように設けてある。これにより、放射状増強部21は、座盤6bのボス部6aから外周側に延びて、回転軸2の振れによる座盤6bの変形方向に一致する径方向にて、その変形基部から変形終端にまで亘って増強し、切除部6c側への回転軸2の倒れおよびそれによる座盤6bの径方向への曲げ負荷を周方向で分担して受け止め、ボス部6aから外周までの座盤6bの大応力の分散、低減作用を座盤6bの外周部にまで及ぼすので、切除部6c側への回転軸2の倒れやそれによる座盤6bの変形をより確実に抑えられる。さらに、座盤6bは、放射状増強部21、21間を繋ぐように延びたブリッジ増強部25も有している。このブリッジ増強部25は、V字型リブとなる放射状増強部21、21間をほぼA字型リブをなすように繋ぎ、切除部6cのボス部6a側からボス部6aまで至る三角形のボックス増強部26を構成して三角形のリブ形態に加え、ボックス構造による増強ともなって、該当域の増強度を増すと共に、切除部6c側への回転軸2の倒れおよびそれによる座盤6bの径方向の曲げに対する強度を高めながらA型リブ部およびそれらが囲う非リブ状の平面域への応力の分散を図って、最大応力値をさらに低減し、切除部6c側への回転軸2の倒れや座盤6bの変形をより抑えられる。このブリッジ増強部25は、さらに、切除部6cのボス部6a側輪郭に沿ってボス部6a側に凸の屈曲形状をしているので、切除部6cのボス部6a側輪郭およびブリッジ増強部25のボス部側に凸の湾曲形状によって切除部6cの切除面積が大きくなってその分だけ送風口7を大きく開口させられる。この結果、送風負荷の増大なしに送風空気量を増大して乾燥速度を高められる。しかも、径方向に対する立体化から座盤のボス部側切除部まわりでの放射状増強部間の径方向の耐曲げ剛性が高められる。
また、座盤6bにおいて、切除部6c両側での放射状増強部21、21は、回転軸2の切除部6c側へのボス部6aを伴う変形つまり倒れ変形時にその倒れ側で座盤6bを水槽1背面に押圧して及ぼす径方向の曲げ負荷に対して十分な強度を発揮して変形を防止する反面、反対側、つまり反切除部6c側に回転軸2が倒れ変形する場合に放射状増強部21、21はそれが位置する座盤6bの側が水槽1背面から浮かされることに抵抗する最大抵抗点である座盤6bの外周部が支点となる梃作用にて、ほぼV型リブとなる放射状増強部21、21との点対称位置に放射状増強部21、21の増強度に応じた水槽1背部への押圧力が働くが、これによる回転軸2の切除部6c側への倒れおよびそれによる座盤6bの径方向の曲げ負荷を、前記放射状増強部21、21と軸線まわりに対称なほぼ逆V型リブをなし、かつ、放射状増強部21、21と共に軸線を中心としたほぼX型リブをなす、放射状均衡増強部27、27の高い曲げ強度により周方向局部で分担して受け止めるので、反切除部6c側でも切除部6c側と同程度の最大応力の分散、低減を図れる。
この結果、切除部6c両側での放射状増強部21、21による座盤6bの増強は、これに点対称となる座盤6bの位置に高い負荷をもたらすのを、放射状均衡増強部27、27により周方向局部で分担して受け止め、最大応力の前記点対称側での周方向の分散と低減が図れて、座盤6bのボス部6aを境にした切除部6c側と反切除部6c側とで最大応力の周方向での分散、低減と、応力値の均衡と低減が図れるので、回転軸2の倒れ変形や座盤6bの変形を十分に防止することができる。
切除部6cは、さらに、座盤6bの外周に開放されたほぼC型の輪郭を有したものとして形成し、座盤6bの切除部6cが透孔であった現行形態での座盤6b外周側での連絡部をも切除したことにより、実用域未満の応力しか働かない部分でのボリューム減として、増強のためにボリューム増とした部分とのボリュームの相殺ができ、全体が徒に重量化するのを防止するのに貢献する。このようなボリューム減の操作は、分布応力値の小ささに応じた部分的な通常設計からの座盤6bの厚みの減少、通常の放射状補強リブ22、環状補強リブ23、輪郭に沿った輪郭部補強リブ24、ボックス補強リブ28などの厚み、高さの減少や削除によって行える。
また、座盤6bの放射状増強部21は、切除部6cの開放端部域6c1における開放端に設けた取り付け穴31とこれに周方向に隣接する反切除部6c側の取り付け穴31との間に端部が位置していることにより、座盤6bの外周の水槽1の背部に締結するのに必須であるが応力がまわりよりも集中しやすくなる取り付け穴31、31の間で、径方向の大きな耐曲げ強度による応力の分散、低減を図り、取り付け穴31、31部の強度不足を、取り付け穴31、31まわりの水槽1背部への締結と協働して座盤6b外周を両側での締結による補強状態と協働して座盤6b外周における切除部6cの開放端部域6c1を増強し、応力を大きく低減でき、座盤6b外周部での切除部6cの開放端部域6c1が変形したり損傷したりするのを防止しやすい。さらに、前記取り付け穴31、31のある開放端部域6c1は、放射状増強部21が及びまたは連結された、他より増厚した増厚増強部32、他の部分の輪郭部補強リブ24よりも増厚した輪郭増強部34の少なくとも1つを設けた増強部33としているので、放射状増強部21、と協働して、開放端部域6c1での応力をさらに分散、低減し、開放端部域6c1の変形や損傷の防止が一層図れる。
また、放射状増強部21に周方向の反切除部6c側で隣接の放射状補強リブ22は、前記2つの取り付け穴31、31の切除部6cから周方向に遠い側のものからさらに遠い側に寄って前記増強部33に及ぶようにしている。これにより、円盤型の部材である座盤6bに通常設けられる放射状補強リブ22が、放射状増強部21に切除部6cから周方向の遠い側に隣接して、前記増強部33に及んでいることにより、放射状増強部21、それに隣接した通常の放射状補強リブ22、増強部33が三角形のボックス増強部を構成するのに加え、ボックス構造による増強ともなって、切除部6cの周方向両側で増強度を増して座盤6bの径方向の曲げ強度を広域に高めて、その範囲での応力の分散と低減が図れる。一方、前記軸連結支持部材8にも回転軸2および回転ドラム3底部との連結部間で、回転ドラム3の振れ回り時に高い負荷を受けることに対応して、軸連結支持部材8は図1、図2、図4、図11、図12に示すように、中央に回転軸2と連結する軸連結部8aを持ち、この軸連結部8aから放射状に延びる放射状腕8b、これら放射状腕8bの途中を連結しかつ回転ドラム3の底部開口3aに接続嵌合される環状シール壁8cを備え、放射状腕8bの各端部が回転ドラム3の前記胴部・底部嵌合筒壁3bに前記ボルト14でボルト止めする現行形態を踏襲している。
なお、強度には関係ないが、軸連結支持部材8は図2に示すように、前記メッシュカバー9を回転ドラム3底部との間に挟み込んでボルト止めしてある。このように、回転ドラム3底部と回転軸2との軸連結支持部材8を介した連結構造での、回転ドラム3底部と軸連結支持部材8間の取り付けを利用して、メッシュカバー9を回転ドラム3底部および軸連結支持部材8間に挟み込み保持するので、メッシュカバー9単独の取り付け構造が不要になる上、メッシュカバー9は通風域のみ回転ドラム3の底部に露出すればよく、樹脂製のメッシュカバー9が金属製の回転ドラム3の底部に占める割合が少なくなる。結果、樹脂製のメッシュカバー9が金属製の回転ドラム3の底部に占める割合が少なくなる分だけ回転ドラム3底部の金属面露出比が高まり回転ドラム3底部の質感高められる外観が向上する上、樹脂製のメッシュカバーの耐傷つき性を高められる。
メッシュカバー9は、特に、回転ドラム3と共に回転しながら送風口7からの送風を分散通過させることで、送風を回転ドラム3内の広域にむらなく導入し、乾燥効率を高め、乾燥むらがないようにするもので、メッシュカバー9は、メッシュ目を持った通風域が周方向に並び、各通風域がそれに対応する大きさおよび形状とした回転ドラム3底部の開口3aを通じ正面側に露出しているのがよく、このように通風域が周方向に並ぶことで、送風口からの送風をどの回転位置でも回転ドラム3内に均等に導入して乾燥むらを回避しながら、周方向に並ぶ各通風域のまわりが金属製の回転ドラ3底部によって飾り枠風に囲まれて装飾される。具体的には、回転ドラム3底部の軸線まわりで均等に働くためにメッシュカバー9は、図4、図11、図12に示すような円盤体で、中央部9aと周辺部9b、および中央部9aと周辺部9bを結ぶ放射状の補強域9cとを残して周方向に並ぶセクタ領域9d毎にメッシュ孔が無数に形成されている。これに対応して、回転ドラム3の底部開口3aも図4に示すように前記セクタ領域9dに対応した位置および形状に形成し、軸連結支持部材8との間に挟んでいるメッシュカバー9のセクタ領域9dが背部から図2に示すように嵌合して、回転ドラム3底部の前面側にそれと同一面をなすようにしている。これにより、合成樹脂製のメッシュカバー9は通風域となるセクタ領域9dだけが、ステンレスなど金属製とされる回転ドラム3の金属底部面のセクタ型の底部開口3aに金属底部と同一面をなして露出する図2、図7に示すような外観、つまり、メッシュカバー9の周方向に配列された複数、具体的には6つのセクタ領域9dのまわりを連続した金属面にて飾った高級感のある外観が得られる。
また、このようなメッシュカバー9の回転ドラム3底部と軸連結支持部材8間への挟み付け構造上、回転ドラム3の胴部・底部嵌合筒壁3bと軸連結支持部材8とのボルト14によるボルト止め時の、図2に軸連結支持部材8基準で見て示す胴部・底部嵌合筒壁3bを仮想線位置から実線位置に位置決めにより、メッシュカバー9の周辺部9bの背面側に設けた環状凹部9eの底部と、軸連結支持部材9の環状シール壁8cの前面に設けた環状凸条8dとが圧接することによる外周部環状シール域41と、回転ドラム3底部と回転軸2のフランジ2aとを軸連結支持部材8の軸連結部8aを挟んでの図2に示すボルト15によりボルト止めしたことにより、回転ドラム3底部の中央開口3cまわりが、図2に軸連結支持部材8基準で見て示す仮想線位置から実線状態に押圧されて、メッシュカバー9の周辺部9b正面側に設けた環状凸条9fと圧接することによる内周部環状シール域42とを設けて、メッシュカバー9の挟み付け構造で必要な内外周でのシールを特別なシール部材を用いないで実現している。また、軸連結支持部材8の環状シール壁8cと水槽1背部壁の送風口7よりも外側部分の環状部分との間が図1に示すように双方の環状凹凸面が入り込み合って形成した径方向のラビリンス隙間45によって径方向内側から外側への通風を制限している。
さらに、メッシュカバー9は、中央部の内周9a、周辺部9b、補強域9cの輪郭部またはおよび非輪郭部の背面に、図10に示すような補強リブ9hが形成されているので、メッシュカバー9は回転ドラム3内に露出する通風域に洗濯物による負荷を受けるが、回転ドラム3に覆われて保護され、かつ、輪郭部またはおよび非輪郭部に形成した補強リブにより補強された中央部の内周9a、周辺部9b、補強域9cのそれぞれで各通風域をまわりから支持し面剛性を高められる。
回転ドラム3底部のセクタ型の各底部開口3aは、それぞれの内周に背部側、つまりメッシュカバー9側に折り曲げ背面側に向いた環状の折曲壁3a1を有し、これがメッシュカバー9のセクタ領域9dのまわり凹部9gに嵌り合っている。このように、回転ドラム3底部がメッシュカバー9の通風域を露出させる底部開口3aの背面側に折り曲げた折曲壁3a1により、口縁での曲げ剛性が高まり自身の強度、メッシュカバー9に対する保護特性が共に向上する上、この折曲壁3a1がメッシュカバー9の通風域まわりに形成した凹部内に嵌り合って露出しないことにより底部開口3aの切断縁が外部に出ずユーザへの危険や洗濯物を損傷させる原因にはならないし、メッシュカバー9の通風域まわりの凹部9gへの回り込みコーナ部と回転ドラム3の底部開口3aの折曲壁3a1の背部への回り込みコーナ部とが非エッジ形態で隣接し合って外観のよい割線をなすし、ユーザの手や洗濯物などの引っ掛かりを防止できる。
回転ドラム3底部中央での軸連結支持部材8の軸連結部8aを挟んでの回転軸3とのボルト止め部は、強固な締結のために大きなボルト15を多数利用した繁雑な外観を呈するところを、前面側から当てがった金属カバー43をねじ44により軸連結部8aに簡単にねじ止めして覆い隠し、回転ドラム3底部の金属部露出との外観での均衡を図っている。
なお、軸連結支持部材8は、図2に示す1つの放射状腕8bに設けた突起8gを回転ドラム3底部の回り止め孔3dに嵌め合わせて回り止めしてある。また、メッシュカバー9は、図2に示すように軸連結支持部材8の軸連結部8aとの間の凹凸形状の回り止め係合部51によって回り止めしてある。
軸連結支持部材8は回転ドラム3と回転軸2との連結強度上、図14(a)に示した現行の基本形態を踏襲している範囲で、回転ドラム3のさらなる高速化には強度不足となり、回転ドラム3の振れ回り度、振動、騒音が実用範囲を超えてしまうことに関与する。
具体的には、既述のように回転ドラム3の振れ回り時に軸連結支持部材8は、各放射状腕8bの端部が回転ドラム3の胴部・底部嵌合筒壁3bにボルト止めされ、軸連結部8aが回転ドラム3底部の中央開口3cまわりにボルト止めされた状態で、軸受支持部材6のボス部6aを伴い倒れ変形しようとする回転軸2を受け止めるのに、最大応力で見て背面側で各放射状腕8bの端部に、正面側で環状シール壁8c部にある3本の径方向リブ8dの切除部6cの両側に対応するものと、これに点対称位置となるものとに集中したりし、既述の1600rpm程度の高回転時負荷では最大応力が50MPA程度と実用範囲を超えたものとなるが、これに対応すべく本実施の形態では、図2、図11、図13に示すように、軸連結部8aから放射方向に延びる放射状腕8b基部間で、軸連結部8aの側周面前端から水槽1側の開放端まで傘状に広がるように延びて、隣接する放射状腕8bの基部間を水掻き状に繋ぐ立体増強ブリッジ8eを一体成形して増強してあるので、前記三者間の傘状をなしての立体的な連結によって回転軸2の倒れ変形時の高負荷を回転軸2の連結部まわりでバランスよく分散、吸収することができ、最大応力を低減して、しかもその多くが回転軸2に集中し、軸連結支持部材8には最大応力に対して極小さな応力しか発生させず、十分な増強ができた。
具体的には、軸連結支持部材8は、その軸連結部8aが、回転ドラム3の振れ回り時に生じる回転軸2の倒れ負荷を受ける中心部となって、放射状腕8bの基部からから途中の環状のシール周壁8cによる連結部を経て回転ドラム3への取り付け部にまで伝達し、回転ドラム3と協働した全体で受け止めるのに、各放射状腕8bは負荷による応力が集中しやすい基部間において軸連結部8aの側周面前端側から水槽1側の開放端まで傘状に広がって延びる立体増強ブリッジ8eにより重量が特に増すことなく繋がって、軸連結部8aの側周面との間に水槽1側に開放したボックス型の増強形態をなし、曲げ強度、および回転軸2の倒れ向きが周方向に移動することによる捩れに対する強度が高まる上、ボックス型の増強形態が水槽1側への開放形態であることによる弾性変形特性も発揮し、回転軸2の倒れを放射状腕8bの基部において無理なく軽減して回転ドラム3への取り付け部まで大きな応力が発生しないようにすることができる。結果、徒に重量化することなく回転ドラム3の振れ回り、振動、騒音を低減し、軸連結支持部材8の耐久性を高められる。
また、放射状腕8bは、背面側に開放した横断面U字状とし、軸連結支持部材8の立体増強ブリッジ8eは、軸連結部8aおよび放射状腕8b間にて、放射状腕8bの対向し合う両側面が両側辺、これら両側面間を繋ぐ開放端縁が底辺となる開放形状を有し、軸連結部8aの側周部の正面側を頂点とするほぼ三角錐形のボックス凹部を形成していることにより、曲げ、捩れ強度の増大と弾性変形特性のバランスが好適となる。
また、立体増強ブリッジ8eは、図2に矢印で示すように図示しない水槽1の送風口7からの送風がメッシュカバー9のセクタ領域9dに当たって拡散されながら分散透過するのに、回転ドラム3の中心側への流れに沿う湾曲ないしは屈曲、傾斜した形状であることにより、送風を回転ドラム3の中心側に向かわせやすくなり、従来のように回転ドラム3の周辺域に多く流入して中央部で不足していた場合に比し乾燥効率を高められる。これには、立体増強ブリッジ8eの水槽1側への開放端縁形状が送風口の回転中心側の口縁形状に対応しているのがよく、双方共に、図5、図6に示す軸受支持部材6の切除部6cのブリッジ増強部25の屈曲形状にほぼ対応する回転中心側へ拡張した形状をなして送風の回転ドラム3の中心側への導入を案内するようにしている。さらに、立体増強ブリッジ8eの湾曲ないしは屈曲、傾斜の向きが送風口7の回転中心側の口縁位置にほぼ対応しているのが好適である。因みに、傾斜角でいうと軸線に対してほぼ45°程度として有効であった。しかし、これに限られることはないし、送風口7を通じた吹き込み方向を送風口7の導風向き、それに接続される循環送風経路からの送風経路向きなどと協働して回転ドラム3内への導入向きに適正な傾向性を持たせることもできる。いずれにしても、軸連結支持部材8のシール周壁8cの内周と送風口7の反軸連結部8a側の内周とが回転軸2の方向でほぼ対応し、送風口7の回転軸3側の内周縁と立体増強ブリッジ8eの開放端縁は回転軸2の方向でほぼ対応し合っているのが好適である。これにより、軸連結支持部材8の軸連結部8aおよび環状のシール周壁8cとの間を、各放射状腕8bが区切って形成するセクタ型通風領域の形態および大きさが、送風口7のそれに対応し、送風口7から水槽1内への送風を損なわない利点がある。
さらに、立体増強ブリッジ8eは図12に示すように、軸連結部8aの外面との間で背面側に開放された立体形状となる関係から、これに繋がる各放射状腕8bは既述のように横断面U字型の形状として図7に示すようにメッシュカバー9の放射状の補強域9cの背面に対向してバックアップできるようにしている。また、放射状腕8bの長手方向の途中には図2に示すようにU字型底部から立ち上がって両側壁間を繋ぐブリッジ壁8fを形成してあり、放射状腕8bにその長手方向に2連接となるボックス構造を付与して、捩れ強度、曲げ強度を高めている。
最後に、現行の軸受支持部材111、軸連結支持部材112につき行なった既述の検証1、2に対応して、本実施の形態の軸受支持部材6、軸連結支持部材8につき回転数1600rpm時の高負荷条件で行なった検証例1、2につき比較しながら説明する。
第1の検証は、軸受支持部材6に対しては図13(e)に示す解析モデルを供して行い、軸連結支持部材8に対しては図14(e)に示す解析モデルを供して行った。また、第2の検証は、第1の検証時の軸受支持部材6の応力分布を実測して検証し、第1の検証時の軸連結支持部材8の応力分布を実測して検証したものである。
軸受支持部材6の第1、第2の検証結果は図13(d)に示す通り、最大変形量が0.09°、最大応力が33MPA(重量4.4kg)であり、図13(c)にその時の応力分布部を示し、最大応力部が放射状増強部21、21のボス部6aから切除部6cのボス部6a側に沿うブリッジ増強部25、放射状増強部21に反切除部6c側で隣接する一方の放射状補強リブ22の基部側、さらにこれに反切除部6c側で隣接する放射状補強リブ22の基部側一部と、これらとボス部6aを挟んで点対称となる放射状補強リブ22、放射状均衡増強部27の基部側ないしは極基部寄りに分散して集中し、その他の領域、部分での応力は極端に低減しているのが認められる。これに対し、現行の軸受支持部材111から本実施の形態の軸受支持部材6にまで、ボリューム増による増強とボリューム減とを達成する中途形状での軸受支持部材6′についての応力分布を比較して示すと図13(b)に示す通りであり、最大応力の分散は本実施の形態に係る図13(c)の場合に似ているが、図13(d)に示すように最大応力は39MPA(重量4.4kg)と本実施の形態に係る図13(c)の場合と重量が同じでもやや高く、その他の部分に分布する応力もやや高い傾向を示し、十分な増強を達成していないことが分かる。また、本実施の形態に係る図13(c)は現行に係る図13(a)の重量3.6kgに対し4.4kgとほぼ14%弱の重量増であるのに対し、最大応力で見ると本実施の形態に係る図13(c)では現行に係る図13(a)の61MPAに対し33MPAとほぼ半減しており、徒な重量化
なく対応できていることが分かる。
軸連結支持部材8の第1、第2の検証結果は図14(c)に示す通り、最大変形量が0.09°、最大応力が25MPA(重量3.9kg)であり、図14(b)にその時の正背面における応力分布部を個別に示し、最大応力が回転軸2に集中しそれ以外の部分の応力は軽微であることが認められた。本実施の形態に係る図13(b)では現行に係る図14(a)の重量3.5kgに対し3.9kgと10%強の重量増であるのに対し、最大応力で見ると本実施の形態に係る図14(b)では現行に係る図14(a)の50MPAに対し25MPAと半減している。この場合も徒な重量化なく対応できていることが分かる。