JP4863848B2 - 吸収性物品の吸収体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品に好ましく用いられる吸収体及びその製造方法に関する。
連続フィラメントの開繊トウを用いた吸収性物品の吸収体が知られている。例えば、捲縮性アセテート繊維のトウ層と、この層の片面に積層した粉砕パルプ層とからなる吸収体であって、該吸収体の厚さ方向に両層をプレスで一体化したものが知られている(特許文献1参照)。この吸収体によれば、体液の拡散性が向上するとされている。
しかし、連続フィラメントからなるトウ層は、肌当接面に供給された液を、狭い範囲から吸収するというスポット吸収性の観点からは好ましくない。
また、アセテート繊維からなるトウ層は、その一部に加えられた力が全体に及び易いため、着用者の動きにより、該トウ層に破壊やヨレが起こりやすい。粉砕パルプ層が厚ければ、
破壊やよれがある程度防止されるが、その場合には、吸収体が厚くなり、柔軟性が低下し吸収性物品の着用感が低下してしまう。
特開昭57−160457号公報
本発明の目的は、スポット吸収性に優れ、使用中の加わる外力により破壊やヨレが生じ難い吸収体、及びそのような吸収体を効率よく製造可能な吸収体の製造方法を提供することにある。
本発明は、繊維ウエブを含む吸収性コアを具備し、該繊維ウエブは、合成又は半合成繊維を主体として構成されており、合成又は半合成繊維である構成繊維を、該吸収性コアの全長に対する繊維長の比に応じて、該比が1/4未満である第1の繊維群と、該比が1/4以上2/4未満である第2の繊維群と、該比が2/4以上3/4未満である第3の繊維群と、該比が3/4以上である第4の繊維群とに区分したとき、第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維を含んでいる吸収体を提供することにより、前記目的を達成したものである(以下、第1発明というときは、この発明をいう)。
本発明は、繊維ウエブを含む吸収性コアを具備し、該繊維ウエブは、合成又は半合成繊維を主体として構成されており、合成又は半合成繊維である構成繊維を、繊維長が25mm未満である第1の繊維群と、繊維長が25mm以上50mm未満である第2の繊維群と、繊維長が50mm以上100mm未満である第3の繊維群と、繊維長が100mm以上である第4の繊維群とに区分したとき、第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維を含んでいる吸収体を提供することにより、前記目的を達成したものである(以下、第2発明というときは、この発明をいう)。
本発明は、前記吸収体の製造方法であって、長繊維のウエブに粒子を散布した後、該ウエブを厚み方向に加圧する切断工程を具備し、該切断工程においては、前記長繊維を、前記粒子に押し当て、前記第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維が生じるように様々な長さに切断する、吸収体の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記吸収体の製造方法であって、長繊維のウエブに、複数の第1切断部を形成する第1切断工程、第1切断部を形成したウエブに、第1切断部とは異なるパターンで複数の第2切断部を形成する第2切断工程を具備する、吸収体の製造方法を提供するものである。
更に、本発明は、前記吸収体の製造方法であって、長繊維のウエブに、切断用突起がランダムに配置されてなる切断部材を押し付け、該長繊維を、様々な長さの繊維が生じるように切断する切断工程を具備する、吸収体の製造方法を提供するものである。
本発明の吸収体は、柔軟であり、スポット吸収性に優れ、使用中の加わる外力により破壊やヨレが生じにくい。
本発明の吸収体の製造方法によれば、そのような吸収体を効率よく製造可能である。
以下、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の吸収体10は、図1及び図2に示すように、繊維ウエブ12を含む吸収性コア11を具備し、該繊維ウエブ11は、合成又は半合成繊維を主体として構成されており、合成又は半合成繊維である構成繊維を、該吸収性コア11の全長Lに対する繊維長の比に応じて、該比が1/4未満である第1の繊維群と、該比が1/4以上2/4未満である第2の繊維群と、該比が2/4以上3/4未満である第3の繊維群と、該比が3/4以上である第4の繊維群とに区分したとき、第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維を含んでいる。
以下、本実施形態の吸収体10についてより詳細に説明する。
吸収体10は、吸収性コア11と、該吸収性コア11を被覆するラップシート14とからなる。吸収性コア11は、繊維ウエブ12と該繊維ウエブ12中に含まれる吸収性ポリマー13からなる。繊維ウエブ12は、吸収性コア11の全長Lに対して長さが十分に短い繊維から、該全長Lと略同様の長さの繊維まで、多様な長さの繊維を含んでいる。また、繊維ウエブ12は、合成又は半合成繊維を主体として構成されている。
繊維ウエブ12が、多様な長さの繊維を含んでいるか否かの指標として、第1発明においては、合成又は半合成繊維である構成繊維を、該吸収性コア11の全長Lに対する繊維長の比に応じて、該比が1/4未満である第1の繊維群と、該比が1/4以上2/4未満である第2の繊維群と、該比が2/4以上3/4未満である第3の繊維群と、該比が3/4以上である第4の繊維群とに区分したとき、第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維を含んでいるか否かという基準を用いている。
吸収性コア11を構成する繊維ウエブ12が、上記第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維を含んでいると、吸収体10が、スポット吸収性に優れ、使用中に加わる外力によっても破壊やヨレが生じにくいものとなる。繊維ウエブ12は、第1〜第4の繊維群のうちの総ての繊維群の繊維を含んでいることがより好ましい。
第1の繊維群に区分される繊維を含んでいると、スポット吸収性の発現とそれによる吸収速度の向上を発揮することができる。
第2の繊維群に区分される繊維を含んでいると、スポット吸収性の発現に加えて、ある程度の長さの繊維同士が絡み合うことで吸収体の強度が増し、使用中に加わる外力に対する破壊を抑えることができる。
第3の繊維群に区分される繊維を含んでいると、吸収体の平面方向で、より広範囲に液を拡散することによって吸収体が部分的に膨潤することを防ぎ、液戻りおよびそれに伴う肌トラブルの抑制、部分的な容量オーバーによるもれを防ぐことができる。
第4の繊維群に区分される繊維を含んでいると、吸収体全体の構造の安定化(ヨレの防止)や製造工程でのライン搬送性が向上するといったメリットがある。
〔スポット吸収性と液の拡散性とを両立する設計〕
吸収に関るスポット吸収性と拡散性の両立・共存は、以下のような考え方に基づいた設計を行うことで可能となる。まず、吸収体における液の吸収に関る力は、繊維集合体の毛管力(もちろん、高吸収性ポリマーの吸収力および高吸収性ポリマー−高吸収性ポリマー間に働く毛管力、高吸収性ポリマー−繊維間に働く毛管力も存在する)と外力(例えば排尿の圧力、体重など)が存在する。吸収体の吸収はこれら毛管力と外力の影響が絡み合って成されると考えられる。すなわち、排泄中は、液の吸収に関る力として排尿の圧力が加わるため、繊維を短くすることでスポット吸収性とすばやい吸収が可能となる。排泄が終わった後は、液の吸収は繊維集合体の毛管力が支配的となるため、長い繊維による拡散力の存在が上述のようなメリット(吸収体が部分的に膨潤することを防ぎ、液戻りおよびそれに伴う肌トラブルの抑制、部分的な容量オーバーによるもれを防ぐ)を発現することができる。
繊維ウエブ12が、上記第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維を含むか否かは、以下のようにして判断することができる。
即ち、図1に示すように、吸収性コア11を構成する繊維ウエブ12上に、例えば、200×100mm(長手方向×幅方向)の領域Rを設定し、該領域R内から、ピンセットを用いて無作為に30本の繊維を取り出す。そして、それぞれの繊維の繊維長を測定し、その測定値に基づき、それぞれの繊維を、第1〜第4の繊維群の何れかの繊維群に区分する。
そして、第1〜第4の繊維群のそれぞれについて、その繊維群に区分された繊維が複数本である場合、その繊維群の繊維を含むと判断する。そして、第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群のそれぞれについて、その繊維群の繊維を含むと判断できる場合に、「第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維を含んでいる」と判断する。また、第1〜第4の繊維群のうちの総ての繊維群のそれぞれについて、その繊維群の繊維を含むと判断できる場合に、「第1〜第4の繊維群のうちの総ての繊維群の繊維を含んでいる」と判断する。
なお、領域Rの寸法は、吸収体の大きさや形状(繊維ウエブが吸収体の一部に配されている場合は繊維ウエブの大きさや形状)によって適宜変更する。
長手方向の寸法は少なくとも吸収体(あるいは繊維ウエブ)の全長の1/2を超える寸法を設定する。より具体的には、
領域Rの長手方向の寸法(mm)=[(吸収体全長)×1/2+10](mm)
とする。
幅方向の寸法は吸収体(あるいは繊維ウエブ)の全長に渡って取りうる最大幅を領域Rの長さとする。例えば、吸収体(あるいは繊維ウエブ)が全長にわたって均一な幅を有している場合はその幅を、また、吸収体(あるいは繊維ウエブ)が長手方向で幅が異なる(例えば、T字状、I字状など)場合は、もっとも狭い部分の幅を領域Rの幅とする。吸収体(あるいは繊維ウエブ)におけるサンプリングの位置は、装着時の股下部(身体で最も下になる部分)を領域Rの中心となるようにする。
まれに、吸収体(あるいは繊維ウエブ)の当該位置に欠落部が形成されている場合は、欠落部を吸収体(あるいは繊維ウエブ)の前側に向かって避けて、領域Rを設定する。この場合の領域Rの寸法設定は、欠落部を除いて上記指標に基づき設定する。
ここで、吸収体(あるいは繊維ウエブ)の長手方向とは、繊維ウエブを構成する最も長い繊維群が配向している方向を、繊維が特定の方向に配向していない場合は吸収性物品の長手方向を指す。
もし、吸収体内で繊維長の分布に偏りがある場合、すなわち第1〜第4の繊維群の繊維が繊維ウエブ12の平面方向あるいは厚み方向で全く重なっていない場合、あるいは一部重なっている場合は、領域R内を縦横各3ブロック、系9ブロックに区切り、各ブロックより3本づつ繊維をサンプリングし、吸収体全体の繊維長分布をもって、該吸収体は第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維を含むかどうかを判断する。
スポット吸収性の観点から、特に第1の繊維群に区分される繊維を含有していることが好ましい。また、吸収体全体の構造の安定化(ヨレの防止)や製造工程でのライン搬送性が向上するといった観点から第4の繊維群に区分される繊維を含有していることが好ましい。総合力の観点からは、第1〜第4の繊維群の全ての区分の繊維が含まれているのが好ましい。
繊維ウエブ12において、第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維が混在している場合、繊維ウエブ12の構成繊維中、第1〜第4繊維群に区分される繊維の割合は、この順に、0〜80%、0〜80%、0〜80%及び0〜50%であることが好ましく、10〜60%、10〜60%、10〜60%及び5〜30%であることがより好ましい。なお、繊維ウエブ12において、第1〜第4繊維の群から選択される3以上の群の繊維が偏在している場合はこの限りではない。
吸収性コア11の大きさは、吸収体4の用途等に応じて適宜に決定され、特に制限されないが、吸収性コアの全長Lは、幼児用のおむつの場合、100〜600mm、特に150〜500mmが好ましく、成人用おむつの場合、250〜900mm、特に300〜800mmが好ましく、生理用ナプキンや軽失禁パッドの場合、50〜500mm、特に70〜450mmが好ましい。
本実施形態における繊維ウエブ12は、後述する製造方法において説明するように、捲縮した長繊維のウエブ12Aから得られたものである。従って、繊維ウエブから取り出した繊維には、捲縮している繊維が含まれるが、そのような繊維の繊維長を測定する際には、捲縮を含んだ状態で測定する。即ち、捲縮している繊維の繊維長は、後述する、捲縮率の測定方法における「元の繊維の長さ」と同じである。
繊維ウエブ12は、本実施形態におけるように、捲縮した繊維を含むことが好ましい。繊維の捲縮率(JIS L0208)は好ましくは10〜90%であり、より好ましくは10〜60%であり、更に好ましくは10〜50%である。
繊維ウエブ12の構成繊維が捲縮していることで、吸収体10が全体的に柔軟に変形しやすいものとなり、例えば、吸収性物品に組み込まれたときの、着用者に対するフィット性や、凹形状に変形させて防漏性を向上させる場合の凹形状への変形性を高めることができる。また、繊維ウエブ12が、捲縮した繊維を含むことで、繊維ウエブ中に吸収性ポリマー等がより安定に保持され、吸収性ポリマーが該ウエブ内を移動したり、該ウエブから脱落したりすることも抑制される。
上述した好ましい捲縮率は、少なくとも第1の繊維群の繊維が満たしていることが好ましく、より好ましくは第1及び該吸収体に含まれる最も長い繊維、更に好ましくは吸収体に含まれるすべての繊維群の繊維が満たしていることが好ましい。
繊維の捲縮は、二次元的でも三次元的でもよい。また、繊維の捲縮率は、繊維を引き伸ばしたときの長さAと、元の繊維の長さBとの差の、伸ばしたときの長さAに対する百分率で定義され、以下の式から算出される。
捲縮率=((A−B)/A) × 100 (%)
元の繊維の長さとは、繊維が自然状態において、繊維の両端部を直線で結んだ長さをいう。自然状態とは、繊維の一方の端部を水平な板に固定し、繊維の自重で下方に垂らした状態をいう。繊維を引き伸ばした時の長さとは、繊維の捲縮がなくなるまで伸ばした時の最小荷重時の長さをいう。繊維の捲縮率は前述の通りであり、捲縮数は1cm当たり2〜25個、特に4〜20個、とりわけ10〜20個であることが好ましい。
本実施形態の吸収体10について更に説明すると、吸収体10は、平面視して長方形状であり、吸収性物品に組み込まれた状態においては、該吸収体の長手方向と、着用時における着用者の前後方向とが一致する。本実施形態の吸収体10においては、繊維ウエブ12の構成繊維が、概ね、平面内の特定方向(図1中X方向)に配向している。
吸収性コア11の全長Lは、本実施形態におけるように、繊維ウエブ12の構成繊維(特に吸収体に含まれる繊維で最も長い繊維群の繊維)が、概ね、平面内の特定方向(図1中X方向)に配向している場合には、その配向方向(X方向)における長さLであり、繊維ウエブ12の構成繊維が、特定方向に配向していないような場合には、着用時における着用者の前後方向とが一致する方向における吸収性コア11の長さである。尚、仮に、図1の吸収体において、繊維ウエブ12の構成繊維がX方向と直交するY方向に配向していた場合には、吸収性コア11の幅方向の寸法(吸収体の幅Wと略同じ)が、吸収性コア11の全長となる。
本実施形態における第1〜第4の繊維群の繊維は、何れも、合成又は半合成繊維からなる。
合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ナイロン、アクリル等が挙げられる。半合成繊維としては、レーヨン、アセテート(セルローストリアセテート及びセルロースジアセテート)、リヨセル、テンセル、キュプラ等が挙げられる。合成及び半合成繊維は、それぞれ、上述のもの等を一種単独で又は2以上を組み合わせて使用することができる。また、合成又は半合成繊維という表現には、合成繊維と半合成繊維との併用も含まれる。
繊維ウエブが、合成又は半合成繊維を主体として構成されていることによって、従来汎用されているパルプ繊維を主体とする吸収体に対して、繊維長や繊維径、親水性の制御が広範囲で可能であり、液のこりや液戻りの少ない吸収体の設計が可能となり、あるいは湿潤時のへたりがなく、繰り返しの吸収に対して速度の低下が少ない、湿潤時の圧縮強度が高いために液戻りが少ない、繊維長や繊維径の制御が可能であるため、薄型にしても壊れ難い、吸収性物品を構成する他の部材との接合が容易であるという利点がある。
本実施形態における繊維ウエブ12は、繊維ウエブ12中の合成又は半合成繊維の含有率が100%であるが、繊維ウエブ12は、合成又は半合成繊維以外の繊維を含んでいても良い。但し、繊維ウエブ12の構成繊維中、合成又は半合成繊維の含有率は80〜100重量%、特に90〜100%であることが好ましい。合成又は半合成繊維以外の繊維としては、パルプ繊維、コットン繊維等が挙げられる。
繊維ウエブ12を構成する第1〜第4の繊維群の繊維は、親水性の繊維であることが好ましい。親水性の繊維には、本来的に親水性を有する繊維、及び本来的には親水性を有さないが、親水化処理が施されることによって親水性が付与された繊維の双方が包含される。好ましくは本来的に親水性を有する繊維であり、より好ましくはアセテートやレーヨンからなる繊維であり、とりわけアセテートはウエブが湿潤しても嵩高性が保持されるので好ましい。アセテートとしては、セルローストリアセテート及び/又はセルロースジアセテートを用いることが好ましい。
本実施形態の吸収体10における吸収性ポリマー13は、吸収体10の平面方向の一部に偏在している。具体的には、図1及び図2に示すように、繊維ウエブ12の平面方向における、吸収体10の幅方向中央の所定幅の領域M(以下、中央領域Mともいう)に位置する部分に偏在している。吸収性ポリマー13は、前記中央領域Mに位置する部分に、略一様に分布している一方、該中央領域Mの両外方の側部領域S,Sに位置する部分には実質的に存在していない。
そして、吸収体10の中央領域Mにおける繊維ウエブ12には、上述した第1の繊維群に区分される繊維122が略一様に分布しており、第1の繊維群に区分される繊維122の分布範囲と略同一の範囲に、第2〜第4の繊維群に区分される繊維(図示せず)も分布している。即ち、中央領域Mに、第1〜第4の繊維群に区分される繊維121が混在している。
第1〜第4の繊維群の繊維が混在していることで、スポット吸収性の発現とそれによる吸収速度の向上、吸収体強度、液の拡散性に一層優れた吸収体となる。スポット吸収性と液の拡散性の両立は、上述した〔スポット吸収性と液の拡散性とを両立する設計〕による。
尚、吸収体10の側部領域Sにおける繊維ウエブ12は、その構成繊維のほぼ総てが、吸収性コア11の全長に亘っており、上述した第4の繊維群に区分される繊維121である。
繊維ウエブ12が第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維を含む態様には、例えば、第1〜第4の繊維群に区分される繊維の分布範囲が、繊維ウエブ12の平面方向あるいは厚み方向において全く重なっていない場合も含まれるが、第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維の分布範囲が、繊維ウエブ12の平面方向あるいは厚み方向の少なくとも一部において重なっていることが好ましい。本実施形態においては、第1〜第4の繊維群の繊維の総てが、中央領域Mに分布しているが、中央領域Mに、第1〜第3の繊維群の繊維のみを混在させることもできる。第1〜第3の繊維群の繊維が存在する範囲、あるいは第1〜第4の繊維群の繊維の総てが存在する範囲(本実施形態においては中央領域M)の幅W1は、吸収体4の全幅Wの20〜100%であることが好ましく、50〜90%であることが好ましい。
吸収性ポリマー13としては、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収体に従来使用されている各種公知の吸収性ポリマーを用いることができる。吸収性ポリマー13の材料としては、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、(デンプン−アクリル酸)グラフト重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられる。
吸収性ポリマー13は、その遠心脱水法による生理食塩水の吸水量が30g/g以上、特に30〜50g/gであることが、ポリマーの使用量の点や、液吸収後のゲル感が低下することを防止する点から好ましい。吸収性ポリマーの遠心脱水法による吸収量の測定は以下のようにして行う。すなわち、吸収性ポリマー1gを生理食塩水150mlで30分間膨潤させた後、250メッシュのナイロンメッシュ袋に入れ、遠心分離機にて143G(800rpm)で10分間脱水し、脱水後の全体重量を測定する。ついで、以下の式に従って遠心脱水法による吸水量(g/g)を算出する。
遠心脱水法による吸水量=(脱水後の全体重量−ナイロンメッシュ袋重量−乾燥時吸収性ポリマー重量−ナイロンメッシュ袋液残り重量)/乾燥時吸収性ポリマー重量
さらに、吸収性ポリマー13は、以下の方法で測定される液通過時間が20秒以下、特に2〜15秒、とりわけ4〜10秒であることがゲルブロッキングの発生及びそれに起因する吸収性能の低下を防止し、また、吸収が間に合わないことに起因する液の素抜けによるもれの防止の点から好ましい。液通過時間の測定は以下の通りである。即ち、断面積4.91cm2(内径25mmφ)で底部に開閉自在のコック(内径4mmφ)が設けられた円筒管内に、該コックを閉鎖した状態で、該吸収性ポリマー0.5gを生理食塩水とともに充填し、該生理食塩水により該吸収性ポリマーを飽和状態に達するまで膨潤させる。膨潤した該吸収性ポリマーが、沈降した後、該コックを開き、生理食塩水50mlを通過させる。該生理食塩水50mlが通過するのに要した時間を測定し、この時間を液通過時間とする。液通過時間は、吸収性ポリマーのゲル強度を反映する指標のひとつである。液通過時間が短いものほどゲル強度は強くなる。
上記吸収性ポリマーとしては、加重下での通液性の高い吸収性ポリマーを用いることがさらに好ましい。吸収性ポリマーのゲルブロッキングを効果的に防止する観点から、吸収性ポリマーは、その通液速度の値が好ましくは30〜300ml/min、より好ましくは32〜200ml/min、更に好ましくは35〜100ml/minである。通液速度の値が30ml/min未満である場合、吸液によって飽和膨潤した吸収性ポリマーどうしが荷重下に付着し合って、液の通過を妨げてしまいゲルブロッキング発生が起こりやすくなる。通液速度の値は大きければ大きいほどゲルブロッキングの発生を防止する観点から好ましい。尤も、通液速度の値が40ml/min程度に高ければ、ゲルブロッキングの発生はほぼ確実に防止される。通液速度が300ml/minを超える場合は、吸収体中の液の流れ性が高すぎて、特に一度にたくさんの排泄物が排泄されたときや、月齢の高い乳幼児、あるいは大人の例に見られるように排泄速度が速い場合、さらに吸収体の薄型化を図った場合に液の固定が十分でなく、もれを生じる可能性がある。また、一般に、通液速度を高めることは吸収性ポリマーの架橋度を高くすることになり、吸収性ポリマーの単位重量あたりの吸収容量が低くなり、多量の吸収性ポリマーを使用しなければならない。これらの観点から通液速度の上限値は決定される。
本実施形態の吸収体10によれば、図3に示すように、第1〜第4繊維を含む幅方向の中央領域Mが、着用者の液排泄部に対向する部位Pに位置するようにして、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に組み込んで使用することにより、液排泄部から排泄された液(尿や経血等)が、短い繊維による優れたスポット吸収性により、吸収体10の狭い範囲から吸収体10内にスムーズに吸収される。そして、吸収体10に吸収された液は、その部位に存在する吸収性ポリマー13により吸収され、吸収体10内に安定に保持される。
吸収体10上に短時間に多量の液が供給されたり、長時間の使用等により多量の液が吸収体10に吸収されたりした場合には、液が、側部領域S,Sまで拡散することがある。しかし、側部領域S,Sそれぞれには長繊維がその形態を維持したまま存在し、それらは吸収体の長手方向に配向しているため、側部領域S,Sに達した液は、吸収体10の長手方向(着用者の前後方向)に良好に拡散し、側部領域S,Sを横切る方向への拡散は抑制される。これにより、吸収体10の両側縁からの液の漏れ出しが効果的に防止されると共に、吸収体の広い範囲が有効に活用される。
また、使用条件によっては、吸収体の一部あるいは複数部分に圧力がかかり、その部分で繊維が固定される。繊維が長ければ繊維の両端が固定されてしまい、吸収体(高吸収性ポリマー)が膨潤しようとしても繊維が引きつれ、構造が固定されてしまうことにより、膨潤が阻害されてしまう。
そこで、吸収性物品に組み込まれて使用されている際に、圧力下において、高吸収性ポリマーの周りに絡みついた繊維の引きつれとそれに伴う高吸収性ポリマーの膨潤阻害を起こしにくいため、繊維ウエブ12は繊維長の短い第1または第2の繊維群に区分される繊維を含んでいることが好ましい。
また、吸収体のよれは、安定した性能発現を阻害し装着時の違和感につながる。よれは、吸収体が応力を受けて、応力を緩和できなかった場合に生じる。繊維ウエブ12全体が長繊維で構成されているときは、吸収体の一部に受けた応力が繊維を通して吸収体全体に及ぶため、吸収体全体に渡ってよれが生じてしまう。
そこで、繊維ウエブ12が第1〜第3の繊維群の繊維を含んでいると、吸収体10の使用中に該吸収体10の一部に引っ張り力や圧縮力が加わったときに、その力が吸収体の全体に及ばず、よれが生じにくくなる。
尚、ラップシート14としては、ティッシュペーパや透水性の不織布等の透水性のシート材が好ましく用いられる。
次に、上述した吸収体10の好ましい製造方法(本発明の吸収体の製造方法の一実施形態)について、図4を参照して説明する。
図4に示す吸収体の製造装置は、長繊維からなるトウ12aを、連続搬送しつつ長手方向に伸長させて開繊させ、長繊維のウエブ12Aを得る開繊機構2、開繊機構2により開繊されたウエブ12Aを、張力を緩和した状態として、ポリマー13の供給位置まで搬送する張力緩和機構3、ウエブ12Aの片面にラップシート14を供給するラップシート供給機構4、ラップシート14上のウエブ12Aに、ラップシート14側とは反対側の面側から吸収性ポリマー13を供給する吸収性ポリマー供給機構6、ラップシート14の、ウエブ12Aの両側縁より延出した部分14a,14aを折り返して、ウエブ12Aの両面を該ラップシート14で被覆する折り返し機構7、両面をラップシートで被覆されたウエブ12Aをラップシートと共に厚み方向に加圧して圧縮し、該ウエブ12Aの一部における長繊維を切断する長繊維切断機構8を具備している。
開繊機構2は、折り畳まれて圧縮された状態の原反から帯状のトウ12aを連続的に引き出し、そのトウ12aを搬送途中で順次開繊するように構成されている。開繊機構2は、開繊機(バンディングジェット)21〜23を備えている。また、開繊機21と22との間には、トウ11を一旦上方に送った後に降下させるためのガイド24を備え、開繊機22、23の間には、プレテンショニングロール25及びブルミングロール26を備えている。開繊機21〜23は、エアーを吹き付けて搬送中のトウを開繊させてその幅を拡げる装置である。プレテンショニングロール25は、開繊機21で開繊されたトウ12aをニップして所定の速度で繰り出す一対のロール250,251を備えている。ブルミングロール26は、周方向に延びる多数の溝及び凸条部を備えた金属製の溝ロール260と、周面がゴムで形成されたアンビルロール261とを備えており、プレテンショニングロール25との間に速度差を設け、溝ロール260の凸条部が押圧して張力を与える部分と溝ロール260の溝部に位置して張力を与えない部分とを生じさせることで、トウ12aを開繊させる。
張力緩和機構3は、開繊機23の下流に配されたフィードロール31及びバキュームコンベア32を備えている。フィードロール31は、ブルミングロール26の周速度V2よりも遅い周速度で回転駆動される一対のロール310,311を備えている。フィードロール31は、開繊機構2によりトウ12aを開繊して得られた長繊維のウエブ12Aを、プレテンショニングロール25とブルミングロール26との間で伸長され張力を高められた状態のトウないしウエブよりも、張力を緩和した状態として、バキュームコンベア32上に供給されたラップシート14上に供給する。バキュームコンベア32は、フィードロール31の送り速度V3(一対のロール310,311の周速度)よりも更に遅い搬送速度V4で駆動される通気性の無端ベルト320と、バキュームボックス321とを備えている。バキュームコンベア32上のラップシート14上に供給されたウエブ12Aは、張力を緩和された状態のまま、無端ベルト320によって更に搬送され、ポリマーの供給位置まで搬送される。
ラップシート供給機構4は、ラップシート14を、長繊維のウエブ12Aの片面側に供給する。ラップシート供給機構4は、ラップシート14の巻出手段と、巻き出されたラップシート14をバキュームコンベア32に案内する案内ロール(図示せず)とからなり、巻出手段は、ラップシート14が巻回されたロール41と該ロール41を駆動させる駆動装置(図示せず)とを備えている。
吸収性ポリマー供給機構6は、長繊維のウエブ12Aの上面側(ラップシート14側とは反対側の面側)に配されたポリマー供給口から吸収性ポリマー13を散布する。無端ベルト320を挟んで、前記ポリマー供給口の反対側には、バキュームボックス321が位置しており、バキュームボックス321によりウエブ12Aの裏面側から吸引した状態下に吸収性ポリマーの散布も行うことができる。ポリマー供給口は、ウエブ12Aの搬送方向(長手方向)に直交する方向の幅がウエブの幅よりも狭くなっており、ウエブ12Aの幅方向中央の所定幅の領域にのみポリマー13を散布するようになされている。
折り返し機構7は、流れ方向の両側に折曲用のガイド71を備えている。ラップシート14は、長繊維切断機構8を構成する一対のロール80,81により引っ張られて、連続的に搬送されながら、該ラップシート14の、ウエブ12Aの両側縁より外方に延出した部分14a,14aが、それぞれ、ガイド71によってウエブ12Aの上面側に折り返される。この折り返しにより、ウエブ12Aの上面側もラップシート14で被覆され、その結果、ウエブ12Aの上下両面がラップシート14により被覆された状態となる。
長繊維切断機構8は、両面をラップシートで被覆された長繊維のウエブ12A(以下、ポリマーが散布された長繊維のウエブ12A及び該ウエブを被覆するラップシート14からなる複合体を吸収体連続体100ともいう)を挟んで厚み方向に加圧圧縮する一対のロール80,81を備えている。
一方のロール80は、軸長方向の中央の所定幅の部分の外周面80Mが、ゴム、シリコン等の弾性素材からなり、軸長方向における該中央領域の両側に位置する部分の外周面80Sがスチール等の金属等の硬質素材(非弾性素材)からなる。ロール80における、弾性素材からなる外周面80Mの、ウエブ12Aに直交する方向の幅は、ポリマー供給口の同方向の幅と略同じである。
長繊維切断機構8より下流には、吸収体連続体の切断機構5を備えている。吸収体連続体の切断機構5は、軸長方向に延びる切断刃51aを備えたカッターロール51とアンビルロール52とを備え、吸収体連続体100を、吸収性物品に組み込まれる個々の吸収体の長さに切断する。
上述した製造装置を使用して吸収体10を製造するには、図4に示すように、開繊機構2によって、原反から帯状のトウ12aを連続的に引き出し、開繊機21〜23の圧搾空気によるトウ12aの幅の拡幅及びプレテンショニングロール25とブルミングロール26の周速度差によるトウ12aの延伸によって、該トウ12aを開繊し、長繊維からなるウエブ12Aを得る。
そして、得られたウエブ12Aを、フィードロール31を介して、バキュームコンベア32上に供給されたラップシート14上に供給する。
そして、ウエブ12Aを、バキュームコンベア32によって、ラップシート14と共に搬送しながら、そのウエブ12Aに対して、吸収性ポリマー供給機構6により吸収性ポリマー13を散布する。
本実施形態においては、粒子として、吸収性ポリマー13を用いている。
高吸収性ポリマーは少なくとも一部に塊状のものを用いることが好ましい。塊状の吸収性ポリマーとは、水溶液重合法により重合した吸収性ポリマー含水ゲルを板状にキャストし乾燥後に粉砕したものや、逆相けん濁重合法で界面活性剤の種類や攪拌力を制御することにより不定形粒子が凝集してできたものである。これに対して、球状や複数の球状の凝集体や繊維状、鱗片状のものがある。
塊状の吸収性ポリマー(吸収性ポリマー以外の塊状の粒子も同様)の平均粒径は、150〜600μm、特に200〜500μmであることが好ましい。
粒子としては、吸収性ポリマーの他に、例えば、セルロースパウダーや活性炭、シリカ、アルミナ他各種粘土鉱物(ゼオライト、セピオライト、ベントナイト、カンクリナイト、ヘクトライト、スメクタイト等)等の有機、無機粒子(消臭剤や抗菌剤)を用いることもできる。無機粒子は一部金属サイトを置換したものを用いることができる。これらは凝集体として用いても良いし、別の担体と複合化して用いてもよい。これら粒子は、2種以上を併用することもできる。凝集体あるいは担体との複合体の平均径は、150〜600μm、特に200〜500μmであることが好ましい。
本実施形態においては、吸収性ポリマー13を、ウエブ12Aの幅方向中央の所定幅の領域のみに散布している。また、吸収性ポリマー13を、ウエブ12Aの長手方向に連続的に散布している。
吸収性ポリマー13のかさ密度は、後述する長繊維の切断において、長繊維を様々な長さに切断して、上述した第1〜第3の繊維群に区分される繊維を生じさせる観点から、0.5〜0.8g/cm3が好ましく0.55〜0.7g/cm3がより好ましい。
また、吸収性ポリマー13の粒径分布は、後述する長繊維の切断において、長繊維を様々な長さに切断して、上述した第1〜第3の繊維群の繊維を生じさせる観点から、平均粒径は250〜450μmの範囲に存在し、かつ、425μm以上の粒子の存在割合が5〜40%であることが好ましく、さらに、前記425μm以上の粒子の存在割合が10〜35%であることが、繊維を効率的に切断し、吸収体のざらつきを抑えるためにより好ましい。粒径の大きな粒子は細密充填がされにくいため、高吸収性ポリマー−高吸収性ポリマー同士間や高吸収性ポリマー−ロール間に繊維が挟まれた際に、繊維が切断されやすくなる。
また、高吸収性ポリマー13の散布は、長手方向に連続ではあるが坪量分布を持たせる方法、あるいは長手方向に不連続に散布する方法が挙げられる。長繊維を効率的に切断するためには、長繊維に対する高吸収性ポリマーの比率が少なくとも同量以上、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上である。そのため、連続かつ坪量分布を持たせる場合は、長手方向で、長繊維に対する高吸収性ポリマーの比率を同量未満とする領域Aと同量以上、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上とする領域Bに分けて分布させる。高吸収性ポリマーの坪量が高ければ高いほど繊維の切断の確率が上がり、より短い繊維が生じることになる。領域Aと領域Bの分布を制御することにより、第1〜第3の繊維群の繊維の存在比率、分布を制御することができる。
前述のように、短い繊維、例えば第1の繊維群の繊維を含んでいると、スポット吸収性の発現とそれによる吸収速度の向上を発揮することができるが、一方で液が集中してし、液戻りが増大してしまう懸念がある。そのため、第1の繊維群の繊維の存在領域に多くの高吸収性ポリマーを分布させることによりこの問題を解決することができる。一方、より長い繊維、例えば、第3の繊維群の繊維の存在領域では、吸収体の平面方向で、より広範囲に液を拡散する機能を担うため、高吸収性ポリマーの量を減らし、繊維の配向を利用したより拡散性を高める設計をすることが有効である。
また、塊状の高吸収性ポリマーに比べて、粒状の高吸収性ポリマーは繊維を切断しにくいため、塊状の高吸収性ポリマーと粒状の高吸収性ポリマーを混合して用いる、あるいは、塊状の高吸収性ポリマーを散布する領域と粒状の高吸収性ポリマーを散布する領域を分けることによっても、繊維長の分布を制御することができる。
繊維の切断は高吸収性ポリマーと繊維の比率で制御できるので、同様に、高吸収性ポリマーの量が一定の場合、繊維の量を変化させることによっても繊維長分布を制御することができる。すなわち繊維量を高吸収性ポリマーに対して同量未満(繊維が切断されやすい領域)とする領域と同量以上(繊維が切断されにくい領域)とする領域を設定することで、一部領域の繊維が切断され、一部が切断されていない領域を設けることができる。
相対的に短い繊維をたくさん存在させる方法には、次のような方法があげられる。例えば、ロール表面の硬度を低く設定(例えば、ゴムのJIS硬度を下げる。測定には例えばJIS K 6253準拠のタイプAデュロメータ、アスカーA型を用いる)したり、ロールの径を小さくして線圧を高めるなどの方法、あるいはこれらのロールを組み合わせる方法、ロールを複数回通す方法等があげられる。ロール硬度を下げることにより、繊維あるいは高吸収性ポリマーがロール面に食い込み切断が助長される。
本実施形態においては、ラップシート14として、ウエブ12Aの上下両面を被覆するに充分な幅を有するラップシート14を用いている。ラップシート14は、図4に示すように、吸収性ポリマー13がウエブ12に供給された後、該ウエブ12の両側縁より延出した部分14a,14aが、折り返し機構7によって該ウエブ12の上面側に折り返され該上面側もラップシートによって被覆される。ラップシート14としては、従来、吸収性コアを包み込むときに用いられている各種の材料を特に制限なく用いることができる。
次いで、吸収体連続体100に対して、上述した長繊維切断機構8による加圧圧縮及びそれによる長繊維の切断が行われる。この加圧圧縮及びそれによる長繊維の切断は、吸収体連続体100を、一対のロール80,81に挿通し、ウエブ12Aにおける、吸収性ポリマー13を散布した範囲の全域又は一部を厚み方向に加圧して行う。
長繊維の切断は、吸収性ポリマー13が散布されている範囲であって、しかも一方のロール80の弾性素材からなる外周面80Mと、他方のロール81の硬質素材からなる外周面との間に挟まれて加圧された部分に生じる。この長繊維の切断は、図5に示すように、長繊維121が、塊状の吸収性ポリマー13に押し当てられることにより生じる。
そして、ウエブ12Aの一部における長繊維が切断された吸収体連続体100は、吸収体連続体の切断機構5によって、それが組み込まれる吸収性物品の種類や寸法等に応じた所望の寸法に切断されて、吸収体10とされる。
本実施形態の製造方法によれば、このようにして、上述した形態の吸収体10を効率よく連続生産することができる。
本実施形態の製造方法は、このように長繊維のウエブに塊状の吸収性ポリマー(粒子)を散布した後、該ウエブを厚み方向に加圧し、該ウエブ中の長繊維をさまざまな長さに切断している。
本発明において長繊維のウエブとはJIS L1015の平均繊維長測定方法(C法)で測定した長さが、吸収性コア11の全長と同じか又はそれを超える長さの繊維からなるウエブをいう。本発明で用いられる長繊維は一般に連続フィラメントと呼ばれるものである。また、連続フィラメントの束は一般にトウと呼ばれている。従って、本発明における長繊維とは、連続フィラメントを含む概念のものである。
本実施形態の製造方法のように、長繊維のウエブを、塊状の粒子(塊状の吸収性ポリマー等)の存在下に加圧圧縮して長繊維を切断する観点から、繊維強度が、3g/d以下であることが好ましく、0.5〜2.5g/dであることが好ましい。
繊維強度は、以下のようにして測定する。
〔繊維強度の測定方法〕
JIS L1015化学繊維ステープル試験法引張り強さの項に準拠して行った。すなわち、コピー用紙に、繊維1本を、該繊維の固定されていない部分の長さ(空間距離)が20mm(繊維が短い場合は10mm)となるように貼り付けた。具体的には、貼り付けテープ間の距離が20mm(繊維が短い場合は10mm)となるように、繊維の両端部それぞれを幅18mmの貼り付けテープ〔ニチバン株式会社のスコッチテープ(商品名)〕を用いてコピー用紙に固定した。
この試料を、引張り試験機のチャックに取り付け、上下の貼り付けテープ部近傍で紙を切断し、引張り試験に供した。
装置は、ORIENTEC RTC−1150A型テンシロン引張り試験機を用いた。フルスケール5kgのロードセルを用いて適宜測定レンジを切り替えて行った。引張り速度は、300mm/minであった。測定は10点行い、その平均値を測定値とした。平均値に対して20%以上値が振れた測定値は除き、測定を追加した。
尚、長繊維の繊度は 1.0〜10dtex、特に1.5〜8dtexであることが好ましい。
尚、本実施形態の製造方法により得られた第1〜第4の繊維群の繊維は、それぞれ、長手方向両端(切断端部)の位置が吸収体の長手方向において揃っておらず、ランダムに位置している。
また、本実施形態の製造方法により得られた第1〜第4の繊維群の繊維は、相互間が接合されていないが、接合させることもできる。接合させる方法としては、長繊維の切断工程後又は前に、エアスルー法等の熱風処理により繊維の交点を熱融着させる方法、ヒートエンボス加工を施す方法、各種バインダーや可塑剤を散布あるいは塗工する等が挙げられる。
繊維どうしの接合には接着剤を用いることもできる。
次に、本発明の吸収体の製造方法の他の一実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。
図6に示す製造方法においては、図4に示す実施形態と同様にして得た長繊維のウエブ12Aに、ラップシート14を合流させた後、第1切断機構8Aと第2切断機構8Bとにより、順次、長繊維の切断を行う。
第1切断機構8Aは、周面に多数の刃82を備えたカッターロール83と、該ロール82の刃を周面に受けるアンビルロール84とを備え、両ロール間に導入されたウエブ12Aに、長繊維が切断された、多数の第1切断部85を形成する(第1切断工程)。
第1切断機構8Bは、周面に多数の刃86を備えたカッターロール87と、該ロール87の刃を周面に受けるアンビルロール88とを備え、両ロール間に導入されたウエブ12A’に、長繊維が切断された、多数の第2切断部89を形成する(第2切断工程)。
本実施形態においては、第1切断工程で形成する多数の第1切断部85と第2切断工程で形成する多数の第2切断部89とで、形成パターンを異ならせている。より具体的には、図7に示すように、第1切断部85は、ウエブ12Aの幅方向に直列した複数の切断部からなる切断部列85Lが、ウエブ12Aの流れ方向に一定間隔で生じるように形成されており、隣接する切断部列の切断部同士は、ウエブ12Aの幅方向の位置が、各切断部列における切断部のピッチの半ピッチ分ずれている。第2切断部89は、ウエブ12Aの長手方向に対して斜めに並んだ複数の切断部からなる切断部列98Lが、ウエブ12Aの流れ方向に一定間隔で生じるように形成されており、隣接する切断部列の切断部同士は、第1切断部の切断部列の切断部の半ピッチ分よりも短い距離だけ、ウエブ12Aの幅方向の位置がずれている。
このように、切断部の形成パターンが異なる第1及び第2切断工程により、長繊維のウエブにおける長繊維を順次切断することで、長繊維を様々な長さに切断することができ、第1〜第3の繊維群の繊維を含む繊維ウエブ12を容易に得ることができる。
そして、得られた繊維ウエブ12に、塊状又は非塊状の吸収性ポリマー13を散布した後、吸収性物品一枚分の長さに切断すれば、本発明の一実施形態である吸収体(図示略)が得られる。尚、本実施形態においては、長繊維のウエブの切断前に、該ウエブの片面に一枚のラップシート14を合流させ、吸収性ポリマー13の散布後に、更に他のラップシート(図示略)を合流させ、これら2枚のラップシートで、繊維ウエブ12を被覆した後、吸収性物品一枚分の長さに切断している。
本実施形態の吸収体10の製造方法によれば、繊維長や分布の制御が容易である。
次に、本発明の吸収体の製造方法の更に他の一実施形態について、図8及び図9を参照して説明する。
図8に示す製造方法においては、図4に示す実施形態と同様にして得た長繊維のウエブ12Aの片面側にラップシート(図示略)を合流させた後、この積層体に対して、切断機構8Cにより、長繊維の切断処理を施す。
切断機構8Cは、周面に多数の凸部91を備えた押圧ロール92と、該ロールに対向配置された周面平滑な受けロール93とを備え、両ロール間に導入されたウエブ12Aを、凸部91とロール93の周面との間で加圧することにより、その部分に位置する長繊維を切断する。
押圧ロール92の凸部91は、図9に示すように、ロール92の周面に、相互間の距離がまちまちになるようにランダムに配置されている。このようにランダムに配置された切断用の凸部により、長繊維を様々な長さに切断することで、第1〜第3の繊維群の繊維を含む繊維ウエブ12を容易に得ることができる。
そして、得られた繊維ウエブ12に、塊状又は非塊状の吸収性ポリマー13を散布した後、吸収性物品一枚分の長さに切断すれば、本発明の一実施形態である吸収体(図示略)が得られる。尚、本実施形態においては、長繊維のウエブの切断前に、該ウエブの片面に一枚のラップシート14を合流させ、吸収性ポリマー13の散布後に、更に他のラップシート(図示略)を合流させ、これら2枚のラップシートで、繊維ウエブ12を被覆した後、吸収性物品一枚分の長さに切断している。
本実施形態の吸収体の製造方法によれば、高吸収性ポリマーの分布と繊維の分布をおのおの独立して制御することが可能となる。
第2発明の吸収体については、構成繊維である合成又は半合成繊維を、第1〜第4の繊維群に区分するときの基準が第1発明の吸収体と異なる。即ち、第2発明においては、第1発明と同様にしてサンプリングした繊維ウエブの構成繊維(合成又は半合成繊維)を、繊維長が25mm未満である第1の繊維群と、繊維長が25mm以上50mm未満である第2の繊維群と、繊維長が50mm以上100mm未満である第3の繊維群と、繊維長が100mm以上である第4の繊維群とに区分する。第2発明の吸収体は、このように区分した第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維を含んでいる。
第2発明の実施形態としての吸収体やその製造方法としては、第1発明の実施形態としての吸収体やその製造方法において、第1発明における基準で区分した第1〜第4の繊維群の繊維を含ませたり生じさせるのに代えて、第2発明の基準で区分した第1〜第4の繊維群の繊維を含ませたり生じさせたりするものが挙げられる。第2発明は、合成又は半合成繊維である構成繊維を第1〜第4の繊維群に区分の基準を代える以外は、第1発明と同様であり、同様の点については、好ましい構成等を含めて、上述した第1発明又はその実施形態の説明が同様に適用される。
本発明は、上述した実施形態に制限されず、種々変更可能である。
例えば、上述した吸収体10は、中央領域Mにおける繊維ウエブ12に、第1〜第4繊維が混在していたが、吸収体10の幅方向の全幅に亘る繊維ウエブ12に、第1〜第4繊維が混在していても良い。
また、繊維ウエブ12を、各々のウエブが第1〜第4繊維のうちの少なくとも1種類の繊維を含む複数のウエブから構成することによって、厚み方向に繊維の分布を有する繊維ウエブ12を形成することができる。
また、繊維ウエブ12は、フラッフパルプを含む積繊物と積層されていても良い。この場合、繊維ウエブ12とフラッフパルプを含む積繊物とは、それぞれをラップシートで包んだ状態で、それらが積層されていても良いし、繊維ウエブ12とフラッフパルプを含む積繊物とを積層し、これらの全体をラップシートで被覆して吸収体とすることもできる。
このような吸収体は、繊維ウエブ12が、着用者の肌側に位置するように、吸収性物品に組み込んで使用することが好ましい。
フラッフパルプを含む積繊物としては、フラップパルプのみの積繊物、フラッフパルプと吸収性ポリマーの粒子との混合積繊物、フラッフパルプと熱融着性合成繊維を混合し熱処理により一体化した混合積繊物、フラッフパルプ、吸収性ポリマーの粒子と熱融着性合成繊維を混合し熱処理により一体化した混合積繊物、エンボス処理を施したフラッフパルプの積繊物、エンボス処理を施したフラッフパルプと吸収性ポリマーの粒子との混合積繊物、水散布処理を施したフラッフパルプと吸収性ポリマーの粒子との混合積繊物等を用いることができる。フラッフパルプを含む積繊物中のフラップパルプの含有量は、例えば50〜100質量%とすることができる。
図8及び図9に示す実施形態における押圧ロール92に代えて、図6及び図7に示す実施形態において用いたような、カッターロールであって、その刃の位置を押圧ロール92の凸部と同様にランダムに設けたものを用いることができる。図6及び図に示す実施形態におけるカッターロール及びアンビルロールに代えて、図8及び図9に示す実施形態において用いたような、押圧ロールと受けロールであって、第1切断工程と第2切断工程とで、形成される切断部の形成パターンが異なるようにしたものを用いることができる。
更に、上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
本発明における吸収体が組み込まれる吸収性物品としては、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等が挙げられる。吸収性物品は、一般には、液透過性の表面シート、液不透過性又は撥水性の裏面シート、及びこれらの両シート間に介在された吸収体を具備している。
〔実施例1〕
先ず、捲縮したアセテート長繊維のトウを用意した。この長繊維の繊維径は2.1dtexであった。トウの全繊維量は2.5万dtexであった。このトウを、伸張下に搬送し空気開繊装置を用いて開繊し、開繊ウエブを得た。次いで、多数の円盤が軸周りに所定間隔おきに組み込まれたロールと、平滑な受けロールとの間に開繊ウエブを通して、該ウエブを梳いた。その後、幅100mmに調節し、その後、ウエブの搬送速度を減速した状態でバキュームコンベア上に転写し、当該バキュームコンベア上でのウエブの張力を緩めて捲縮を発現させた。ウエブ中の繊維の捲縮率は30%、1cm当たりの捲縮数は15個であった。これによって長繊維間の空間を広げ、高吸収性ポリマー(ポリアクリル酸系高吸収性ポリマー。花王製、平均粒径350μm、塊状、かさ密度0.68g/cm3)を入り込ませ易くし、またウエブを厚くして高吸収性ポリマーの埋没担持性を向上させた。図10に示すように、ウエブ上に幅80mmで高吸収性ポリマーを散布量を変化させながら散布し、該高吸収性ポリマーを開繊ウエブ中に埋没担持させた。ウエブの坪量は35g/m2とし、高吸収性ポリマーの坪量は25〜135g/m2の範囲で連続的に変化させた〔図10(c)参照〕。より詳しくは、吸収体長手方向腹側端部が最も坪量の低い25g/m2となるように設定し、最も坪量の高い135g/m2の部分が200mm背側に設定、その後、徐々に坪量を落とし、吸収体長手方向背側端部で最も坪量の低い25g/m2となるように設定した。
次に、開繊したフラッフパルプ100重量部と高吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合したものを略T字状の型の上に積繊し、合計坪量300g/m2の積繊体を得た。T字状の型は、脚部の幅が100mm(股下部のみ70mm、横架橋部から100mmの長さ)で、長さが300mm、横架部の幅が125mmで、長さが100mmあった。積繊体におけるフラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ150g/m2であった。積繊体上にウエブを重ね、これら全体をホットメルト粘着剤をスプレー塗工した坪量16g/m2のティッシュペーパーで包みこんだ。その後、金属ロール−ゴムロール間で圧縮を行い(2つのロール間のクリアランスは0mmに設定した。)、ウエブとティッシュペーパーを一体化するとともに、ウエブが圧縮され、高吸水性ポリマーによってウエブの構成繊維を切断した。
得られた吸収体肌当接面側からティッシュペーを剥がし、前記繊維長の測定方法に則り、繊維の長さを測定した。得られた吸収体中の繊維を、第1発明の基準により第1〜第4の繊維群に区分したときに各繊維群に区分される繊維の割合は、以下の通りであった。
第1の繊維群に区分される繊維(繊維長100mm未満):10%
第2の繊維群に区分される繊維(繊維長100mm以上200mm未満):30%
第3の繊維群に区分される繊維(繊維長200mm以上300mm未満):43%
第4の繊維群に区分される繊維(繊維長300mm以上):17%
〔実施例2〕
実施例1におけるウエブへの高吸収性ポリマーの散布位置を図11に示したパターンで散布した(長さ×幅=60×30mmのユニットを基本構造とし、長手方向は20mm、幅方向は10mmピッチをあけて複数の基本ユニットを配した)。高吸収性ポリマーの散布坪量は150g/m2であった。それ以外は実施例1と同様にして、高吸収性ポリマーを開繊ウエブ中に埋没担持させた。次に、開繊したフラッフパルプを略T字状の型の上に積繊し、坪量100g/m2の積繊体を得た。T字状の型は、実施例1と同様のものである。積繊体上にウエブを重ね、これら全体を親水化処理した坪量16g/m2のスパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド不織布(SMMS)を用いて包み込み、吸収体を得た。該吸収態は実施例1と同様に金属ロール−ゴムロール間で圧縮を行い、ウエブの圧縮に伴って高吸水性ポリマーでウエブの構成繊維が切断された。
得られた吸収体中の繊維を、実施例1と同様の基準で区分した。各繊維群に区分される繊維の割合を表1中に示した。
〔実施例3〕
実施例1と同様のウエブを幅100mmを調整した後、互いにピッチの異なる2組のギアを通し、繊維を2度にわたり切断した。その後、ウエブの搬送速度を減速し、以後、実施例1と同様にして吸収体を得た。
得られた吸収体中の繊維を、実施例1と同様の基準で区分した。各繊維群に区分される繊維の割合を表1中に示した。
次に、ホットメルト粘着剤をスプレー塗工した坪量16g/m2のティッシュペーパー上に、フラッフパルプ100重量部と高吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合したものをT字状の型の上に積繊して得られた、合計坪量300g/m2の積繊体(実施例1で用いたものと同じもの)を重ねた。
〔比較例1〕
開繊したフラッフパルプ100重量部と高吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量520g/m2の積繊体を得た。フラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ260g/m2であった。得られた積繊体を坪量16g/m2のティッシュペーパーで包み吸収体を得た。積繊体とティッシュペーパーの間に、ホットメルト粘着剤5g/m2をスプレー塗工し、両者を接着した。繊維長は、平均3mmであった。
〔比較例2〕
比較例1と同様に、開繊したフラッフパルプ100重量部と高吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量300g/m2の積繊体を得た。フラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ150g/m2であった。それ以外は比較例1と同様にして吸収体を得た。繊維長は、平均3mmであった。
〔比較例3〕
実施例1の吸収体において、と同様に作成した吸収体において、ロールでの圧縮、すなわち、繊維の切断を行わなかった(短繊維を実質的に含まない構成とした)以外は、実施例1と同様に吸収体を作成した。
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られた吸収体について以下の方法で吸収容量を測定し、また構造安定性及び柔軟性を評価した。それらの結果を以下の表1に示す。
〔吸収容量と表面液流れ距離〕
得られた吸収体を45°の傾斜板に固定し、吸収体の上方側の端部から200mmの位置に生理食塩水を一定量、一定間隔ごとに繰り返し注入し、吸収体の下方側の端部からもれだすまでの注入量を比較した。比較例1の吸収容量を1.0とした時の相対値を以下の計算式を用いて算出した。
吸収容量(相対値)=(サンプルの吸収容量)/(比較例1の吸収容量)
また、吸収毎に吸収体表面を流れた距離(吸収の途中で液流れの距離が変化した場合は最大の距離)を求め、平均値を算出した。吸収容量は値が大きいほどより高性能である。また、液流れ距離は短いほどスポット吸収性が高いことを表す。
〔構造安定性〕
(1)ドライ時
100×200mmに作製した吸収体の中央部を切断し、100×100mmの吸収体を得た。切断面を真下にして、振幅5cmで1回/1秒の速度で20回振動を与えたとき、切断面からの落下したポリマーの量を測定した。以下の判断基準に従って高吸収ポリマーの埋没担持性を評価した。
混合した高吸収ポリマーのうち、
○:脱落した高吸収ポリマーの割合が10%以下である。
△:脱落した高吸収ポリマーの量が10%を超え、25%以下である。
×:脱落した高吸収ポリマーの量が25%を超える。
(2)ウエット時
100×200mmに切断した吸収体全面に、生理食塩水200gをほぼ均等に吸収させた後、静かに吸収体を持ち上げたとき、吸収体が破壊しないかどうかを目視判定した。また、脱落した高吸収性ポリマーの重量を測定し、別途測定しておいた脱落した高吸収性ポリマー単位重量あたりの遠心保持量で除することで脱落した高吸収性ポリマーのドライ時の重量を算出する。さらに、高吸収性ポリマーの配合量との関係から脱落した高吸収性ポリマーの割合を算出する。なお、高吸収性ポリマーの配合量は、あらかじめ重量を測定しておいた分析対象の吸収体をアスコルビン酸の水溶液に浸漬させ、十分な時間日光暴露をして、高吸収性ポリマーを完全に分解させる。水洗と分解を繰り返し、高吸収性ポリマーが完全に溶解した後乾燥させ、前記分解前の吸収体重量の差から高吸収性ポリマーの配合量を見積もることができる。
○:脱落した高吸収ポリマーの割合が10%以下であり、吸収体の破壊がない。
△:脱落した高吸収ポリマーの割合が10%を超え、25%以下であり、吸収体の破壊がない。
×:脱落した高吸収ポリマーの割合が25%を超える、あるいは吸収体が破壊する。
〔柔軟性〕
ハンドルオ・メーターを用いて吸収体の柔軟性を評価した。ハンドルオ・メーターの測定値は、その数値が小さい程、装着しやすさやフィット性が良好であることを示す。ハンドルオ・メーターによる測定方法は次の通りである。JIS L1096(剛軟性測定法)に準じて測定を行う。幅60mmの溝を刻んだ支持台上に、長手方向に150mm、幅方向に50mm切断した吸収体を、溝と直交する方向に配置する。吸収体の中央を厚み2mmのブレードで押した時に要する力を測定する。本発明で用いた装置は、大栄科学精機製作所製、風合い試験機(ハンドルオ・メーター法)、HOM−3型である。3点の平均値を測定値とする。得られた測定値に基づき、以下の基準に従って柔軟性を評価した。
○:ハンドルオ・メーターの測定値が2N以下である。
△:ハンドルオ・メーターの測定値が2Nを超え、4N以下である。
×:ハンドルオ・メーターの測定値が4Nを超える。
〔吸収体表面の拡散面積〕
吸収体表面の拡散面積(液拡がり面積)は、液注入終了5分後に、その輪郭を透明シートに写し取って記録する。このとき、吸収体表面の液の拡がり方(実施例及び比較例においてはティッシュペーパー上の液の拡がり方)と吸収体内部での液拡がり方とが異なる場合には両方を記録する。必要に応じて、得られた画像を、画像解析処理ソフト(Image−Pro plus,Media Cybernetics社)を用いて処理し、拡散面積を求めた。拡散面積の評価は、比較例1の拡散面積に対する相対値で表した。なお、着用者の肌への影響を考え、吸収体表面での拡散面積を評価値とした。
Figure 0004863848
本発明の吸収体の一実施形態を一部破断して示す斜視図である。 図1の吸収体のII−II線断面を示す模式断面図である。 図1の吸収体の効果を説明する説明図(模式平面図)である。 本発明の吸収体の製造方法の一実施形態を装置とともに模式的に示す斜視図である。 長繊維が吸収性ポリマーにより切断される様子を示す概念図である。 本発明の吸収体の製造方法の他の実施形態を示す斜視図である。 図6に示す実施形態における第1及び第2切断部の形成パターンを示す図である。 本発明の吸収体の製造方法の更に他の実施形態を示す模式図である。 図8の製造方法に用い得る押圧ロールの一例を拡大して示す斜視図である。 実施例1における高吸収性ポリマーの散布パターンを示す図で、(a)は平面図、(b)は吸収体の長手方向に沿う断面図、(c)は吸収体の長手方向における高吸収性ポリマーの分布態様を示すグラフである。 実施例2における高吸収性ポリマーの散布パターンを示す図で、(a)は平面図、(b)は吸収体の長手方向に沿う断面図、(c)は吸収体の長手方向における高吸収性ポリマーの分布態様を示すグラフである。
符号の説明
10 吸収体
11 吸収性コア
12 繊維ウエブ
121 第4繊維
122 第1の繊維群の繊維
13 吸収性ポリマー
14 ラップシート

Claims (8)

  1. 繊維ウエブを含む吸収性コアを具備し、該繊維ウエブは、合成又は半合成繊維を主体として構成されており、合成又は半合成繊維である構成繊維を、該吸収性コアの全長に対する繊維長の比に応じて、該比が1/4未満である第1の繊維群と、該比が1/4以上2/4未満である第2の繊維群と、該比が2/4以上3/4未満である第3の繊維群と、該比が3/4以上である第4の繊維群とに区分したとき、第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維を含んでいる、吸収性物品の吸収体。
  2. 前記繊維ウエブに含まれる1以上の繊維群の繊維が捲縮している請求項1に記載の吸収性物品の吸収体。
  3. 前記繊維ウエブに含まれる3以上の繊維群の繊維が混在している請求項1又は2に記載の吸収性物品の吸収体。
  4. 前記繊維ウエブに含まれる3以上の繊維群の繊維は、各繊維群中に繊維長の分布を有している請求項1〜の何れか1項に記載の吸収性物品の吸収体。
  5. 前記繊維ウエブが更に高吸収性ポリマーを含む請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品の吸収体。
  6. 請求項1〜の何れか1項に記載の吸収体の製造方法であって、
    長繊維のウエブに粒子を散布した後、該ウエブを厚み方向に加圧する切断工程を具備し、該切断工程においては、前記長繊維を、前記粒子に押し当て、前記第1〜第4の繊維群のうちの3以上の繊維群の繊維が生じるように様々な長さに切断する、吸収体の製造方法。
  7. 請求項1〜の何れか1項に記載の吸収体の製造方法であって、
    長繊維のウエブに、複数の第1切断部を形成する第1切断工程、第1切断部を形成したウエブに、第1切断部とは異なるパターンで複数の第2切断部を形成する第2切断工程を具備する、吸収体の製造方法。
  8. 請求項1〜の何れか1項に記載の吸収体の製造方法であって、
    長繊維のウエブに、切断用突起がランダムに配置されてなる切断部材を押し付け、該長繊維を、様々な長さの繊維が生じるように切断する切断工程を具備する、吸収体の製造方法。
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