実施の形態1.
図1及び図2は、実施の形態1の液晶表示装置の構成を説明するための図であり、図1(a)は液晶表示装置全体の平面模式図、図1(b)は図1(a)におけるC部の拡大斜視模式図、図2は図1(a)におけるA−B断面線での断面模式図である。なお図中では膜構成等を簡略化して示している。
図1及び図2に示すように、一対の透明基板であるガラス基板1、2が空間を空けて配置されており、ガラス基板1とガラス基板2は画像表示を行う表示領域3を囲む様に額縁状に形成されたシール材4によって貼り合わされている。更に、ガラス基板1、2間のシール材4で囲まれる空間に液晶5が注入されており、シール材4に設けられた液晶5の注入口は封止材6により封止されている。ここでは、透明基板の材質としてガラスを用いたが透明であれば透明プラスチックや石英等、他の材質であっても良い。
上述の表示領域3において、ガラス基板1の液晶5に向かう面側の上面にはTFT(Thin Film Transistor)等の駆動素子7、駆動素子7に信号を供給するゲート配線8及びソース配線9、ガラス基板1を覆う多層からなる絶縁膜10、駆動素子7を保護する有機絶縁膜からなる保護膜11、及び駆動素子7に電気的に接続され駆動素子7から供給される電圧により液晶5を駆動する画素電極12などが形成されている(以上説明したガラス基板1及びガラス基板1上面に形成された構成をまとめて端子基板13と呼ぶ。)。
一方、ガラス基板2の液晶5に向かう面側の上面には、ITO(Indium Tin Oxide)膜等の透明導電膜からなる共通電極14、保護膜の役割を持つオーバーコート膜15、カラーフィルタ16、遮光層17等が形成されており、上述の共通電極14と画素電極12間に電圧を与えて液晶5を駆動することができる(以上説明したガラス基板2及びガラス基板2上面に形成された構成をまとめて対向基板18と呼ぶ。)。また、端子基板13及び対向基板18の液晶5と接する表面には液晶5を配向させる配向膜(図示せず)が形成されている。
また、端子基板13の端部に対向基板18より食み出して設けられた端子領域19には、端子基板13の駆動素子7と同一面側の上面にITO膜等の透明導電膜からなる信号入力用の端子20が形成されている。この端子20に、駆動IC(Integrated Circuit)などを載せた制御基板21がFPC(Flexible Printed Circuit)22等で実装されている。また端子20は、配線(図示せず)によりゲート配線8またはソース配線9に接続されており、入力された信号を、ゲート配線8またはソース配線9に伝達することができる。
更に、上述の端子20は、これも配線(図示せず)により端子基板13上のシール材4の外側に設けられたトランスファ電極23に電気的に接続されている。このトランスファ電極23は、対向基板18上の共通電極14と導電材料であるトランスファ材24を介して電気的に接続されトランスファ部を形成している。このトランスファ部によって、端子基板13上の端子20から入力された信号が対向する対向基板18上の共通電極14に伝達され液晶5を駆動することができる。
また、本実施の形態1の液晶表示装置のトランスファ部については、図1(b)のトランスファ部での拡大図から判るようにトランスファ電極23の周囲を囲み基板端方向で開放された段差部25を備えている。更に段差部25は3μmの有機絶縁膜からなる保護膜11によって形成され、トランスファ部から端子基板13の端部まで前記の保護膜11を除去した構造となっている。
また、端子基板13の構成に関して、絶縁膜10は、シリコン窒化膜またはシリコン酸化膜等の絶縁膜を適宜組み合わせ用いている。図中では簡略化してあるが、実際には駆動素子7の層間にも絶縁膜10を構成する絶縁膜が存在する。画素電極12としては、液晶表示装置が透過型、反射型、半透過型等の種類に応じてITO膜等の透明導電膜、表面の反射率の高い金属膜、または、両者を適宜組み合わせたものを用いる。表面の反射率の高い金属膜としては、Al、Agやそれらを主成分とする合金膜または前記合金膜を少なくとも一層、構成要素に含んだ多層膜等が有効である。
以上の説明の様に本実施の形態1の液晶表示装置が構成されている。透過型や半透過型の液晶表示装置ではバックライトユニットが配置されるが、本実施の形態1では一般的な白色光タイプで良く、反射型の液晶表示装置の様に用いられない場合もあるので、ここでは図示せず省略した。また、液晶表示装置では端子基板13と対向基板18の外側にそれぞれ偏光板を配置するのが一般的であるが、本実施の形態1では特別なものを使用する必要がなく、偏光板についても図示せず説明を省略した。
次に、上述した液晶表示装置の製造工程について説明する。先ず、端子基板13の製造工程について、ここでは、一例として駆動素子7にアモルファスシリコンTFT を用いた製造方法について図3に従って説明する。なお、図中、図1と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略している。
図3(a)に示す様に、ガラス基板1の上にCr、Al、Mo、Ti等を主成分とする配線材料を用いて、表示領域3にはゲート電極26、端子領域19には端子パッド27及びトランスファ部にはトランスファパッド28を形成する。つづいて、シリコン窒化膜等からなる絶縁膜29や、TFTの能動層であるアモルファスシリコン膜等を形成し、シリコンを島状にパターニングしてTFTのチャネル30を形成する。
続いて、図3(b)に示す様に、端子パッド27及びトランスファパッド28に対応してコンタクトホール31及びコンタクトホール32を形成し、更に、ソース配線やソース・ドレイン電極33をMo、 Cr、 Ti等を主成分とする金属膜あるいは、これらとAlを主成分とする金属膜の積層膜を用いて形成する。また、同時に、端子パッド34及びトランスファパッド35を形成する。
更に、図3(c)に示す様に有機絶縁膜、または、シリコン窒化膜と有機絶縁膜の積層膜からなる絶縁膜36を形成する。絶縁膜36の画素部、端子部、トランスファ部に対応する部分に開口部を開け、画素部、端子部にはコンタクトホール37、38が、トランスファ部には段差部25が形成される。最後に、表面の反射率の高い金属膜で画素電極12の反射部分39を形成し、ITO膜で画素電極12の透過部分40、端子20、及びトランスファ電極23を形成することによって端子基板13が完成する。
また、図2の構成との対応としては、ゲート電極26、絶縁膜29、チャネル30及びソース・ドレイン電極33等によってアモルファスシリコンTFTからなる能動素子7が、絶縁膜29及び絶縁膜36の一部によって、絶縁膜10が、絶縁膜36の一部によって有機絶縁膜からなる保護膜11が構成される。
ここで絶縁膜36として有機絶縁膜を使用したのは、スピンコート等の方式によって比較的容易に厚い絶縁膜を形成できるからである。数100nm程度のシリコン窒化膜等を用いるよりも1μm以上の絶縁膜を形成することによって、層間で発生する寄生容量を小さくできる。この為、ソース配線やソース・ドレイン電極33と画素電極12を重なる様に配置することも可能となり高開口率の消費電力の少ない液晶表示装置を得ることができる。また、容易に段差部25として1μm以上の段差を形成することができる。
ここでは、半透過型の液晶表示装置について説明したので、画素電極12としては前記の反射部分と透明部分の両方を持ち合わせる構成とした。透過型液晶表示装置の場合には、透過部分のみを持った構成、反射型液晶表示装置では反射部分のみを持った構成となる。
続いて、液晶表示装置のセル組み立て工程を図4に従って説明する。端子基板13については、上述の製造方法に従い複数の端子基板13を多面取りすることのできるアレイ基板41の形態で準備した。カラーフィルタ16の形成された対向基板18についても、アレイ基板41と同様に複数の対向基板18を多面取りすることのできるカラーフィルタ基板42を使用するが、一般的な物を使用するものとし、製造工程の説明は省略する。図中、膜構成等を簡略化し、多面取りされる複数の端子基板13及び対向基板18は一つのみ示し、他は省略している。
図4(a)に示されたアレイ基板41および、カラーフィルタ基板42の表面(アレイ基板41では図の上面側、カラーフィルタ基板42では図の下面側)に、それぞれ別々に、配向膜(図示せず)を形成する。その後、図4(a)に示す様にアレイ基板41表面に、ペースト状の樹脂であるシール材4をノズルによるディスペンス方式、または、スクリーン印刷方式等によって塗布する。ここでは、小型の液晶表示装置の製造時など一枚のガラス基板から多数の液晶表示装置を製造する場合において処理能力の高いスクリーン印刷方式を使用した。
また、アレイ基板41に対しては、トランスファ電極23の近傍に導電材料からなるトランスファ材24を塗布する。導電材料としては、銀ペーストが一般的である。しかし小型の液晶表示装置では、屋外での使用などもあり、使用時にセルに外力がかかることが多い。銀ペーストは比較的剥がれ易いため、信頼性のトラブルが発生し易い。そこで、剥がれ等の発生しにくい導電材料として、金、銀などの導電体をコーティングした球状の樹脂をシール剤中に分散させたペースト材をここでは用いた。また、図示はしないが基板間距離を決めるスペーサー材を散布する工程等も行われる。
その後、図4(b)に示す様に、これら2枚の基板は、重ね合わされ、熱と圧力を印加し、シール材4で接着されることによって貼り合わされる。この時に、トランスファ材24は、アレイ基板41とカラーフィルタ基板42間で潰され、トランスファ電極23上に拡げられる。その結果、トランスファ材24がトランスファ電極23と共通電極17の表面と密着することによって、トランスファ電極23と共通電極14間は電気的に接続される。これによりカラーフィルタ基板42とアレイ基板41間の導通を取ることができる。図中、表示領域3は一つのみ図示し、他を省略しているが、複数の表示領域3を多面取りできる様に形成されている。
続いて、図4(c)に示す様に、複数の表示領域3間で基板を切断して、液晶5の注入を行い、注入口部分の封止を行い、セル43が形成される。
最後に図1に示す様に、端子20に制御基板21を実装し、必要に応じセル43の外側に偏光板(図示せず)や光源としてのバックライトユニット(図示せず)などを配置することによって液晶表示装置が完成する。
続いて、本実施の形態1でのトランスファ塗布工程について図5〜図8を用いて詳細に説明する。ここで、図5は本実施の形態1で用いたトランスファ塗布装置を示した模式図である。また、図6は塗布状態を示した塗布位置付近での斜視模式図、図7はアレイ基板41上の表示領域3及び塗布位置の配置を示す平面模式図、図8は塗布位置での詳細位置関係を示した平面模式図である。
図5の様に、アレイ基板41がトランスファ塗布装置で処理される。図中、アレイ基板41の表面には、多数の表示領域3が示されている。トランスファ塗布装置は、処理するアレイ基板41を載せるステージ44と、トランスファ材24を充填したシリンジ45と、シリンジ45を取り付ける打点ヘッド46、シリンジ45に接続されたチューブ47、シリンジ45にチューブ47を介して圧力を印加する圧力印加ユニット48で構成されている。
ステージは図中のX方向、Y方向に基板を載せたまま移動することでトランスファ材24の塗布位置を制御できる。シリンジ45は注射器と同様に先端に針を備えており、シリンジ内のペースト状のトランスファ材24は印加された空気による圧力によって針先から押し出される。また、打点ヘッド46はZ方向に上下動作しシリンジ45の針をアレイ基板41の表面に近づけることで、針先から押し出されたトランスファ材24をアレイ基板41の表面に塗布することができる。圧力印加ユニット48は、チューブ47によってシリンジ45に接続されており、チューブ47に空気を送り込む事によってシリンジ45に圧力を印加することができる。印加する圧力の大きさ、印加するタイミングなどを制御可能である。この装置では、塗布位置の制御はステージ44の動作のみで行うこととしたが、打点ヘッド46がX方向に移動可能な方式としても良く、その方式の方が塗布動作を早く行い易い。
次に図6及び図7を用いて、アレイ基板41表面での塗布位置について説明する。図6の斜視模式図に示す様に、隣り合う二つの端子基板13a及び端子基板13bにおいて、表示領域3a及び表示領域3bの周辺には、周囲を段差部25で囲まれた凹部49が形成されている。凹部49にトランスファ電極が収納された状態で、この凹部49の中央付近にトランスファ材24は塗布される。図中トランスファ部について、トランスファ電極は省略し、トランスファ電極を囲む長方形の段差部25及びトランスファ材24の塗布位置のみ図示している。
液晶表示装置を多面取りするにあたり、アレイ基板41上の端子基板13、表示領域3及びトランスファ材24の塗布位置をどのように配置するかについて図7の平面模式図を用いて具体的に説明する。図に示すように、各端子基板13は、図中表示領域3の上側に端子領域19が来る様に、上下方向、左右方向揃えて配置する。この様に配置したことによって隣り合う端子基板13のトランスファ部が同時形成し易い様に近接して配置される。段差部25は隣り合う各端子基板13の双方にかかる様に一つずつ配置される。また各端子基板13の配列の端では、図の様に段差部25を長方形の一端が端子基板13にかかる様に配置した。更にトランスファ材24の塗布位置は、図の様に長方形状の段差部25の中央付近に塗布した。
続いてトランスファ電極23と段差部25との位置関係を図8の平面模式図を用いて説明する。図8に示す様に長方形状の段差部25に対して、長方形の長手方向の両端にそれぞれ一つずつのトランスファ電極23a、23bが配置されており、トランスファ電極23a、23bは何れも、段差部25によって形成された凹部49に収納されている。トランスファ電極23a、23bより少し小さい領域のトランスファパッド35a、35bも一つずつ形成されている。ここで、トランスファ電極23aと23b、トランスファパッド35aと35bは、図6の隣り合う二つの端子基板13a、13bにそれぞれ対応する。また、塗布されたトランスファ材24は、段差部25の中央付近に点線で示されている。その結果、トランスファ材24は、形成されるトランスファ電極23aと23bの何れにも跨って塗布されている。
以上の説明の様に塗布されたトランスファ材24はアレイ基板41とカラーフィルタ基板42間で潰されることによって機能する。続いて、どの様に潰れトランスファ部として機能するのかについて図を用いて詳細に説明する。ここで、図9はシール材4とトランスファ材24の塗布及び潰された時点での位置関係について説明する為の平面模式図であり、図9(a)はカラーフィルタ基板42上に形成されたシール材4の配置を示す平面図、図9(b)はアレイ基板41上に形成されたトランスファ材24の配置を示す平面図、図9(c)はカラーフィルタ基板42とアレイ基板41を貼り合わせた状態での配置を示す平面図である。(a)、 (b)では、貼り合わせ時の相対する基板との位置関係((a)では、アレイ基板41での段差部25の位置とトランスファ材24の位置、(b)では、カラーフィルタ基板42でのシール材4及びダミーシール50の位置)を点線で示している。
これより、シール材4とダミーシール50が段差部25を囲む様に配置されている。段差部25の中心付近に塗布されたトランスファ材24は、図9(c)の様に、潰された際に段差部25で囲まれた領域内に拡がる。段差部25、段差部周辺のシール材4、及びダミーシール50は、何れも段差部25で囲まれた領域以外の領域へのトランスファ材24の拡がりを妨げる効果を持つ。これによって、塗布されたトランスファ材24が意図しない領域まで拡がり基板間でのショートを発生すること、十分に段差部25で囲まれた領域内に拡がらずトランスファ部として機能しないこと、といった不具合を防止できる。また、ダミーシール50は、シール材4と同一材料でシール材4を形成するスクリーン印刷で同時に形成されたものである。
ダミーシール50を形成しない場合にも、段差部25は土手の役割をする為、トランスファ材24の不要な拡がりをある程度防止する効果を持つ。しかし、ダミーシール50は、段差の内側方向へ拡がりトランスファ材24を押し戻す効果を持つことから確実に不要な拡がりを防止することが可能となる。また、段差部25を形成しない場合においても、ダミーシール50やシール材4の配置によって不要な拡がりはある程度防止される。しかし、段差部25が本実施の形態1の形状に形成されること、更に膜厚を比較的簡単に厚くできる有機絶縁膜を用い3μm以上の段差部25を形成することによって確実に不要な拡がりを防止することが可能となる。
続いて、図10は、トランスファ部近傍の切断時の様子を説明する平面模式図である。この図の様に、表示領域3aと表示領域3bの間での基板の切断によって、トランスファ電極23、トランスファ材24は分割されて、二つの液晶表示装置のそれぞれのトランスファ部(トランスファ電極23a、23b及びトランスファ材24a、24b)として機能することができる。
以上説明した実施の形態1では、特に新たな工程を増やすことなく二つの液晶表示装置のトランスファ部を同時に形成することができる。その結果、トランスファ材24の塗布回数を少なくし製造工程を簡略にすることができる。また、トランスファ材24の塗布工程の処理能力を二倍近くまで改善することができ、液晶表示装置の製造コストを安くすることができる。更に、トランスファ電極23周辺の構造が適正化されている為、塗布されたトランスファ材24が意図しない領域まで拡がり基板間でのショートを発生すること、十分に段差部25で囲まれた領域内に拡がらないことによってトランスファ部として機能しないこと、といった不具合も発生することがない。
また、実施の形態1では、図8の様に、トランスファ電極23a、23bとトランスファパッド35a、35bが2つずつ形成されており、図6の隣り合う二つの端子基板13a、13bにそれぞれ対応する場合について説明した。しかし、この様な形状に限られる必要はなく、図11(a)の平面模式図にしめす様に、トランスファ電極23が繋がった一つのパターンで形成しても良い。最終的に二つの端子基板13a、13bに分割される為、長方形状の段差部25に対して、長方形の長手方向の両端の部分がそれぞれの端子基板13a、13bのトランスファ電極23a、23bとなる。同様に、図11(b)の様に、トランスファパッド35についても、繋がった一つのパターンで形成しても良い。
また、本実施の形態1では、図7の様に、一つの表示装置に対して端子領域19と反対側のコーナー部分にトランスファ部を二箇所備えた表示装置について説明した。更に小型の液晶表示装置では、トランスファ部での導通の抵抗が高くても表示上問題が出にくい為、一つの表示装置に対して一箇所のトランスファ部を備えた表示装置を設計することも可能である。図12のアレイ基板41上の表示領域3及び端子領域19の配置を示した平面模式図に変形例を示す。この様な場合、図の様に、隣り合う端子基板13の間に一列おきにトランスファ材24を塗布する様にして製造することができる。また、この場合、端子領域19の位置に対してトランスファ部の位置が左右異なる二種類の表示装置が製造される。ただし、表示品質上の要求する仕様を満たすことができれば同一の製品として利用することが可能である。この様な配置で製造しても、二つの液晶表示装置のトランスファ部を同時に形成することができ実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また、他の変形例を、図13のアレイ基板41上の表示領域3及び端子領域19の配置を示した平面模式図に示す。この様に端子領域19の位置に対して片側に二つのトランスファ部を設置した表示装置を設計することも可能である。この様な場合、図12で説明した様に、端子領域19の位置に対してトランスファ部の位置が左右異なる二種類の表示装置として製造しても構わない。ここでは図13の様に、アレイ基板41上の配置で、各端子基板13は、図中表示領域3の上側に端子領域19が来るものと、下側に来るものを交互に配置した。この様に配置すると隣り合う端子基板13のトランスファ部が同時形成し易い様に、近接して配置され、全ての表示装置において端子領域19の位置に対するトランスファ部の位置が一致する様に製造することができる。この様な配置で製造しても、二つの液晶表示装置のトランスファ部を同時に形成することができ実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
以上説明した実施の形態1において、トランスファ材24の拡がりを妨げるダミーシール50をトランスファ電極23の近傍に段差部25を囲む様に配置した。これはトランスファ材24を最も有効に段差部25で囲まれた領域内に拡げる為であってトランスファ電極23の近傍であれば他の位置に塗布してもトランスファ材24が意図しない領域まで拡がることを防止する等の効果がある。
実施の形態2.
実施の形態1では、長方形状の段差部25で囲まれた凹部49の中央付近に塗布したトランスファ材24を基板間で潰すことのみで凹部49内に拡げた。十分に両端のトランスファ電極23上まで拡がらないと、抵抗値の要求の厳しい種類の表示装置などでは、必要な抵抗値が得られず不良品となる場合がある。そこで、確実にトランスファ材24を両側のトランスファ電極23上まで拡げられる実施の形態2について説明する。
本実施の形態2では、ダミーシール50の形成方法のみが実施の形態1と異なるが、この変更以外については、製造方法、構造は実施の形態1と同様である為、説明を省略する。
ここで、図14は本実施の形態2でのシール材4、ダミーシール50及びトランスファ材24の塗布及び潰された時点での位置関係について説明する為の平面模式図であり、図14(a)はカラーフィルタ基板42上に形成されたシール材4の配置を示す平面図、図14(b)はアレイ基板41上に形成されたトランスファ材24の配置を示す平面図、図14(c)はカラーフィルタ基板42とアレイ基板41を貼り合わせた状態での配置を示す平面図である。(a)、 (b)では、貼り合わせ時の相対する基板との位置関係((a)では、アレイ基板41での段差部25の位置とトランスファ材24の位置、(b)では、カラーフィルタ基板42でのシール材4及びダミーシール50の位置)を点線で示している。
図14(a)、図14(b)より、シール材4とダミーシール50が段差部25を囲む様に配置されている。更に実施の形態1と異なり、隣り合う二つの端子基板13間の境界部付近に、長方形の段差部25を横切る様にダミーシール50を追加配置している。
段差部25の中心付近に塗布されたトランスファ材24は、図14(c)の様に、潰された際に段差部25で囲まれた領域内に拡がる。実施の形態1と同様に段差部25、段差部周辺のシール材4、及びダミーシール50は、何れも段差部25で囲まれた領域以外の領域へのトランスファ材24の拡がりを妨げる効果を持つ。更に本実施の形態2で追加配置されたダミーシール50は最終的に形成される二つのトランスファ電極23の間に、トランスファ材24の塗布位置に重なる様に配置されており、潰されることによって端子基板13の境界付近から拡がる。その際にトランスファ材24を段差部25で囲まれた領域内で、中央部から左右のトランスファ電極23の方向へ押し出す効果を持つ。この様にして段差部25で囲まれた領域内にトランスファ材24を確実に拡げることが可能となる。続いて、実施の形態1と同様に基板を切断することによってトランスファ電極23、トランスファ材24は分割されて、二つの液晶表示装置のそれぞれのトランスファ部として機能することができる。
以上説明した実施の形態2では、二つの液晶表示装置のトランスファ部を同時に形成することができ実施の形態1と同様の効果を得ることができると共に、段差部25で囲まれた領域内にトランスファ材24を確実に拡げることが可能となる。
実施の形態3.
実施の形態2で説明した方法と異なる方法で、トランスファ材24を確実に両側のトランスファ電極23上まで拡げられる方法である実施の形態3について説明する。本実施の形態3では、トランスファ材24の塗布方法のみが実施の形態1と異なるが、この変更以外については、製造方法、構造は実施の形態1と同様である為、説明を省略する。
実施の形態1で説明した図5の様なトランスファ塗布装置を用いた場合、塗布されたトランスファ材24は、図8の平面図で示された様に、塗布形状が円形であった。しかし、本実施の形態3では、トランスファ材24の塗布形状について、塗布されるアレイ基板41と水平な断面において円形から扁平させる。更に、扁平方向は最終的に形成される二つのトランスファ電極23の方向へ扁平して塗布する。
この様な扁平した形状にトランスファ材24を塗布することのできる方法がいくつか考えられ、以下で順番に説明を行う。第一の方法として、図15のトランスファ材24の塗布方法を示す模式図を用いて説明する。図15(a)の斜視模式図に示す様に、このシリンジ45は先端の針の断面が円形でなく楕円形状となっている。この針の楕円形状の長手方向が、塗布される段差部25で囲まれた長方形の長手方向と一致する様にシリンジ45をアレイ基板41に対してセットして塗布を行う。この様にして塗布を行うと、図15(b)の平面模式図に示す様に、塗布されたトランスファ材24は楕円形状となる。また、扁平方向は最終的に段差部25で囲まれた長方形の両端に形成される二つのトランスファ電極23の方向へ扁平して塗布される。
続いて第二の方法として、図16のトランスファ材24の塗布方法を示す模式図を用いて説明する。図16(a) の斜視模式図に示す様に、このシリンジ45は、先端の針がアレイ基板41に対して垂直方向から傾いている。この針の傾いた方向と塗布される段差部25で囲まれた長方形の長手方向を一致する様にシリンジ45をアレイ基板41に対してセットして塗布を行う。塗布動作は、図中矢印で示している様にアレイ基板41に対して垂直に上下動作させる。この様にして塗布を行うと、図16(b) の平面模式図に示す様に、塗布されたトランスファ材24は段差部25で囲まれた長方形の長手方向に扁平した形状となる。これは、傾いた針の側面にもトランスファ材24が回り込んで塗布される為である。
また、図17にシリンジ45自体を傾けたトランスファ材24の塗布方法を示す斜視模式図を示す。この様な場合にも針がアレイ基板41に対して垂直方向から傾いている状態には変わりが無い為、塗布されたトランスファ材24は図16(b)と同様の形状となる。
続いて第三の方法として、図18のトランスファ材24の塗布方法を示す模式図を用いて説明する。図18(a) の斜視模式図に示す様に、このシリンジ45は、アレイ基板41に対して垂直方向から傾いている。この傾いた方向と塗布される段差部25で囲まれた長方形の長手方向を一致する様にシリンジ45をアレイ基板41に対してセットして塗布を行う。塗布動作は、図中矢印で示している様にシリンジ45の傾いた方向と平行に上下動作させる。この様にして塗布を行うと、図18(b) の平面模式図に示す様に、塗布されたトランスファ材24は段差部25で囲まれた長方形の長手方向に扁平した形状となる。
この様な形状となることは以下の様に説明できる。トランスファ材24はペースト状であることから粘性をもっている。この為、図18(a)でも示されている様に、シリンジ針がアレイ基板41から離れる際にトランスファ材24は上方へ伸びる。動作方向が基板と垂直である場合には、伸びたトランスファ材24は真下に戻る為に、塗布形状は円形となる。しかし、動作が斜め方向の場合は、伸びたトランスファ材24が横に倒れる様に基板上に付着する為、図18(b)に示す様な扁平形状となる。
また、図19のトランスファ材24の塗布方法を示す斜視模式図に示す様に、シリンジ45自体はアレイ基板41に対し垂直として、動作方向のみを垂直方向から傾いた方向とすることもできる。この様な場合にも、トランスファ材24はアレイ基板41に対して斜めに伸びる。その結果、塗布されたトランスファ材24は図18(b)と同様の形状となる。
以上説明した何れの方法でも、トランスファ材24を、近接した二つのトランスファ電極23の方向へ扁平して塗布できる。この様にトランスファ材24が形成されていると、円形に塗布された場合に比べて、段差部25で囲まれた領域の長方形状に近い。この為、アレイ基板41とカラーフィルタ基板42間で潰される際に、確実にトランスファ材24を両側のトランスファ電極23上まで拡げられる。また、二つのトランスファ電極23の方向へ扁平する様にトランスファ材24を塗布したのは、最も有効に段差部25で囲まれた領域内に拡げる為であって、少なくとも一つのトランスファ電極23の方向へ扁平して塗布することでトランスファ電極23上へトランスファ材24を確実に拡げる効果がある。
以上説明した実施の形態3では、実施の形態1と同様に二つの液晶表示装置のトランスファ部を同時に形成することができる効果を得ると共に、実施の形態2と同様に段差部25で囲まれた領域内のトランスファ電極23上へトランスファ材24を確実に拡げることが可能となる。
実施の形態4.
実施の形態1では、二つの液晶表示装置のトランスファ部を同時に形成することができ、トランスファ材24の塗布工程の処理能力を向上する方法について説明を行った。続いて、更に処理能力向上の効果が高い四つの液晶表示装置のトランスファ部を同時に形成可能な方法である実施の形態4について説明する。
本実施の形態4では、段差部25の形状、ダミーシール50の形成位置及びトランスファ材24の塗布位置等が実施の形態1と異なるが、この変更以外については、製造方法、構造は実施の形態1と同様である為、説明を省略する。
本実施の形態4での、アレイ基板41上の表示領域3及び端子領域19の配置を図20の平面模式図に示す。図に示す様に、各端子基板13は、表示領域3に対して端子領域19の配置された端部と反対側の端部のコーナー部に来る様に、トランスファ部が配置されている。更に、端子基板13は、端子領域19の位置が一行毎に変わる様に配置されている。この様に配置したことによって近接する四つの端子基板13でトランスファ部が同時形成し易い様に、近接して配置される。図中トランスファ部について、トランスファ電極23は省略し、トランスファ電極23を囲む四角形の段差部25及びトランスファ材24の塗布位置のみ図示している。段差部25は近接する四つの各端子基板13にかかる様に一つずつ配置される。また、各端子基板13の配列の端では、図の様に段差部25を四角形の一端が端子基板13にかかる様に配置した。トランスファ材24の塗布位置は、図の様に四角形の段差部25の中央付近とした。
ここで、図21は本実施の形態4でのシール材4、トランスファ材24の塗布及び潰された時点での位置関係について説明する為の平面模式図であり、図21(a)はカラーフィルタ基板42上に形成されたシール材4の配置を示す平面図、図21(b)はアレイ基板41上に形成されたトランスファ材24の配置を示す平面図、図21(c)はカラーフィルタ基板42とアレイ基板41を貼り合わせた状態での配置を示す平面図である。(a)、 (b)では、貼り合わせ時の相対する基板との位置関係((a)では、アレイ基板41での段差部25の位置とトランスファ材24の位置、(b)では、カラーフィルタ基板42でのシール材4の位置)を点線で示している。
図21(a)、図21(b)より、シール材4が段差部25を囲む様に配置されている。段差部25の中心付近に塗布されたトランスファ材24は、図21(c)の様に、潰された際に段差部25で囲まれた領域内に拡がる。実施の形態1と同様に段差部25及び段差部周辺のシール材4は、段差部25で囲まれた領域以外の領域に拡がるのを防止する効果を持つ。続いて、実施の形態1と同様に基板を切断することによってトランスファ電極23、トランスファ材24は分割されて、四つの液晶表示装置のそれぞれのトランスファ部として機能することができる。
以上説明した実施の形態4では、特に新たな工程を増やすことなく四つの液晶表示装置のトランスファ部を同時に形成することができる。その結果、トランスファ材24の塗布回数を少なくし製造工程を簡略にすることができる。また、工程の処理能力を四倍近くまで改善することができ、液晶表示装置の製造コストを安くすることができる。更に、トランスファ電極23周辺の構造が適正化されている為、塗布されたトランスファ材24が意図しない領域まで拡がり基板間でのショートを発生すること、十分に段差部25で囲まれた領域内に拡がらないことによってトランスファ部として機能しないこと、といった不具合も発生することがない。
実施の形態5.
実施の形態4では、段差部25及び段差部周辺のシール材4が、トランスファ材24の段差部25で囲まれた領域以外への拡がりを防止する効果を持つ為、実施の形態1で設置した様な拡がりを防止する役割を持つダミーシール50を配置しなかった。しかし、実施の形態2で説明した段差部25で囲まれた領域内にトランスファ材24を確実に拡げる効果を持つダミーシール50については、実施の形態4に追加しても効果的である。続いて、トランスファ材24を拡げる効果を向上した実施の形態5について説明する。
本実施の形態5では、ダミーシール50の形成方法、段差部25の形状のみが実施の形態4と異なるが、この変更以外については、製造方法、構造は実施の形態4と同様である為、説明を省略する。
ここで、図22は本実施の形態5でのシール材4、ダミーシール50及びトランスファ材24の塗布及び潰された時点での位置関係について説明する為の平面模式図であり、図22(a)はカラーフィルタ基板42上に形成されたシール材4の配置を示す平面図、図22(b)はアレイ基板41上に形成されたトランスファ材24の配置を示す平面図、図22(c)はカラーフィルタ基板42とアレイ基板41を貼り合わせた状態での配置を示す平面図である。(a)、 (b)では、貼り合わせ時の相対する基板との位置関係((a)では、アレイ基板41での段差部25の位置とトランスファ材24の位置、(b)では、カラーフィルタ基板42でのシール材4及びダミーシール50の位置)を点線で示している。
まず、段差部25を、四つのトランスファ部の方向にトランスファ材24が拡がり易くなる様に実施の形態4より変更した。形状としては、図22(a)、図22(b)の様に、長手方向がそれぞれ、四つのトランスファ部の方向に一致する二つの長方形を組み合わせた斜め十字形状とした。また、この斜め十字形状の段差部25を端子基板13間の境界部付近で四つに分割する様な十字形状にダミーシール50を配置している。
段差部25の中心付近に塗布されたトランスファ材24は、図22(c)の様に、潰された際に段差部25で囲まれた領域内に拡がる。実施の形態4と同様に段差部25及び段差部周辺のシール材4は、何れも段差部25で囲まれた領域以外の領域に拡がるのを防止する効果を持つ。また、段差部25の形状の変更によって、中央部から斜め十字形状の四つのそれぞれの端部方向へ導く作用が大きくなる。更に本実施の形態5で追加配置されたダミーシール50は、最終的に形成される四つのトランスファ電極23の間に、トランスファ材24の塗布位置に重なる様に配置されており、潰されることによって端子基板13の境界付近から拡がる。その際にトランスファ材24を段差部25で囲まれた領域内で、中央部から斜め十字形状の四つのそれぞれの端部の方向、すなわちトランスファ電極23の方向へ押し出す効果を持つ。この様にして段差部25で囲まれた領域内にトランスファ材24を確実に拡げることが可能となる。
以上説明した実施の形態5では、実施の形態4と同様に四つの液晶表示装置のトランスファ部を同時に形成することができる効果を得ると共に、実施の形態2と同様に段差部25で囲まれた領域内にトランスファ材24を確実に拡げることが可能となる。
以上説明した実施の形態1〜5において、トランスファ材24を段差部25で囲まれた領域の中央部に塗布することによって、分割されて形成される何れのトランスファ電極23にも跨る様に塗布した。これはトランスファ材24を最も有効に段差部25で囲まれた領域内に拡げる為であってトランスファ電極23に近接していれば他の位置に塗布しても構わない。
以上、実施の形態1〜5として、駆動素子7の一例としてアモルファスシリコン膜を能動層として用いたTFTを用いて説明を行った。駆動素子7としては、能動層にポリシリコン膜を使ったTFT、更に薄膜ダイオードも駆動素子7に含まれ、その他、能動的に信号を制御できる素子を全て含む。これらの駆動素子7を用いた液晶表示装置等についても、端子基板13上の電極と対向基板18上の電極間を電気的に接続するトランスファ部を持つ場合には、全て同様の効果がある。
また、実施の形態1〜5として、駆動素子7を持つ液晶表示装置について例を挙げて説明したが、パッシブ方式の液晶表示装置等、駆動素子7を特別に持たない場合についても、端子基板13上の電極と対向基板18上の電極間を電気的に接続するトランスファ部を持つ場合には、全て同様の効果がある。
実施の形態1〜5の変形例として、対向基板18に設けた共通電極14を端子基板13側に設置して、画素電極12との間に横方向に液晶5に対して電界をかける横電界方式を用いた液晶表示装置の場合についても、対向基板18にも電極を備えるタイプの様に端子基板13上の電極と対向基板18上の電極間を電気的に接続するトランスファ部を持つ場合には、全て同様の効果がある。